説明

アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体及びその製造方法

【課題】本発明は、アルケンとアクリレートとノルボルネンとからなる単量体混合物を、ルイス酸の存在下でラジカル開始剤により重合させるアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の製造方法を開示する。
【解決手段】本発明のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の製造方法は、ルイス酸を使用することにより、低温及び低圧のマイルド条件でも共重合体を製造することができ、工程が単純で、共重合体の物性制御が容易である。さらに、前記方法により製造された3元共重合体は、エチレンとノルボルネンとを同時に含むため、相対的に高いガラス転移温度を有し、フィルムの製造時、壊れる特性が改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルケン、アクリレート及びノルボルネンの3元共重合体、及びその製造方法に関し、より具体的には、金属酸化物またはルイス酸の存在下でアルケン、アクリレート及びノルボルネン単量体をラジカル重合して製造されるアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、金属錯化合物触媒を使用してα−オレフィンにビニル単量体を共重合する方法が広く知られてきた。しかしながら、金属の酸素に対する高い親和力のため、初期転移金属とランタニド系金属に基づいた金属錯化合物触媒は、極性ビニル単量体の機能性(C=O)グループにより汚染され易い短所があった。一部後期転移金属に基づいた金属錯化合物触媒システムにおいて、アルキルアクリレートとα−オレフィンの共重合が可能であることが報告されたが、α−オレフィンの含量が著しく高かった。
【0003】
このように、金属錯化合物触媒を使用して製造されたα−オレフィン系極性共重合体は、若干の極性基を含む程度に過ぎないため、ポリオレフィンの結晶性が共重合体に残存するようになって、透明フィルムなどの光学用素材に使用するには制約があるなどの短所があった。
【0004】
一方、調節されたラジカル重合(Controlled radical polymerization)は、極性基内部に存在する酸素により金属触媒が汚染されて活性が低下し、極性基含有量の低い高分子が得られる金属錯化合物触媒重合法の短所を克服した代案的な方法である。調節されたラジカル重合の代表的な重合法であるATRP(Atom Transfer Radical Polymerization)によりα−オレフィンと極性ビニル単量体を共重合する場合、金属錯化合物触媒重合法とは反対に、極性ビニル単量体の含有量がα−オレフィン含有量より高く得られる。即ち、重合条件によって、α−オレフィン含量がある程度調節されたランダム共重合体の合成が可能である。しかしながら、ATRPを使用する場合、高分子量を得るためには時間がかかり、α−オレフィンの含量が低い水準で維持される限界があった。
【0005】
また、このように共重合された1−アルケン−アルキル(メタ)アクリレートは、高分子鎖にエチレン含量が低くてよく壊れるため、フィルム特性が低下する。
【0006】
α−オレフィン−アクリレート共重合体は、高い透明性と接着性を有するため、光学素材に使用するに適合しているが、前記用途に使用されるためには、光学機器の作動時に発生する熱により変形が生じないように、耐熱性に優れていなければならない。
したがって、耐熱性などの物性を向上させることのできる、新しい単量体が添加された3元共重合体の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,127,567号
【特許文献2】米国特許第6,171,996号
【特許文献3】米国特許第6,380,421号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の第一の目的は、前記従来技術の問題点を解決するために、アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体を製造する方法を提供することである。
【0009】
本発明の第二の目的は、前記製造方法により製造される、特に光学用素材に好適な3元共重合体を提供することである。
【0010】
本発明の第三の目的は、前記共重合体を含む光学用フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記第一の目的を達成するために、アルケン、アクリレート及びノルボルネンからなる単量体混合物を、金属酸化物またはルイス酸の存在下でラジカル開始剤により重合させるアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の製造方法を提供する。
【0012】
本発明は、前記第二の目的を達成するために、アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体を提供する。
【0013】
本発明は、前記第三の目的を達成するために、前記アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体を含む光学用フィルムを提供する。
【0014】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0015】
本発明は、アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体を提供する。
【0016】
本発明において、前記アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体のために使用されるアクリレート単量体は、エステル基のカルボニル基と共役した(conjugated)炭素間の二重結合を有する化合物であればよく、それの置換基は、特に限定されず、アクリレートだけではなくアクリレート誘導体を含む。したがって、以下で詳細に説明するようなアルキルアクリレート、アルキルメタクリレートなどを含む概念として理解すべきで、当該技術分野で使用されるあらゆるアクリレート系単量体が使用可能である。
【0017】
例えば、前記アクリレート系単量体は、下記化学式1で表される化合物である。
【化1】

前記式において、
、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換された炭素数1〜30の炭化水素基、またはヘテロ原子を含む1価の原子団であり、Rが水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、特にメチル基である。
【0018】
前記化学式1において、R、R及びRがそれぞれ独立して、水素原子;置換または非置換された炭素数1〜6のアルキル基、置換または非置換された炭素数5〜12のアリール基、置換または非置換された炭素数6〜18のアリールアルキル基、置換または非置換された炭素数6〜18のアルキルアリール基、または置換または非置換された炭素数1〜6のアルコキシ基;置換または非置換されたカルバモイル基;置換または非置換されたアミノ基;または置換または非置換されたシリル基;であることが好ましい。
【0019】
そして、前記置換される置換基は、アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルバモイル基またはシリル基であることが好ましい。
【0020】
より具体的に、前記化学式1で表されるアクリレート単量体は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートとC5−12アルコールのネオ−異性体のアクリル酸エステルなどが好ましく、特に好ましい共単量体は、n−アルキルメタクリレートである。
【0021】
また、前記アクリレート単量体は、下記化学式2、化学式3、化学式4、化学式5またはこれらの混合物であることが好ましい。
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

前記化学式2〜5において、o、p、qは、それぞれ独立して0〜2の整数であり、xは、アクリロイル(acryloyl)側面からみて、単結合、−(CH)−、−(CO)−、−(CO)−、または−(C)−(式中、rは、1〜5の整数である)で表される2価の連結基であり、Rは、水素またはメチル基であり、R’10、R”10は、水素であり、R’11、R”11、R”’11、R””11は、水素またはメチル基であって(但し、R’10、R”10、R’11、R”11、R”’11、R””11のいずれか一つは、前記x基で代置される)、R‘12、R”12、R”’12、R””12、R13、R’13は、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;環構造(
【化6】

または
【化7】

)に直接結合するか、または酸素、窒素、硫黄または珪素を含む連結基を媒介として結合している、置換または非置換された炭素数1〜20の炭化水素基;または極性基である。
【0022】
前記−x−基が単結合である場合は、アクリレートの−C(O)O−基が直接
【化8】

に結合されることを意味する。
【0023】
前記化学式2〜5のR’12、R”12、R”’12、R””12、R13、R’13において、ハロゲンは、例えばフッ素、塩素または臭素である。
【0024】
前記化学式2〜5のR’12、R”12、R”’12、R””12、R13、R’13において、炭素数1〜20の炭化水素基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などのアリール基;メチルフェニル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基などのアルカリル(alkalyl)基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基である。このような炭化水素基の一部または全部の水素原子は、置換されていてもよく、置換基は、例えば、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン、シアノ基、フェニルスルホニル基である。
【0025】
前記化学式2〜5のR’12、R”12、R”’12、R””12、R13、R’13において、置換または非置換された炭化水素基は、環構造(
【化9】

または
【化10】

)に直接結合していてもよく、または酸素、窒素、硫黄または珪素を含む連結基を利用して環構造に結合していてもよい。その連結基は、例えば、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−SO−、−O−、−S−、−NH−、−NHCO−、−CONH−、−OSi(R)−(式中、Rは、メチル基、エチル基などのアルキル基である)であり、前記連結基は、同種または2種以上の連結基が二つ以上結合された連結基である。
【0026】
前記化学式2〜5のR’12、R”12、R”’12、R””12、R13、R’13において、極性基は、例えば、水酸基、シアノ基(−CN)、アミド基(−CONH)、−NH、カルボキシル基、イミド環含有基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などのトリアルキルシリル基;トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基である。
【0027】
より具体的に前記化学式2〜5で表されるアクリレート単量体は、
【化11】

またはこれらの混合物である。
【0028】
また他の例として、アクリレート単量体は、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アルキルブタクリレート、アルキルアクリル酸、アルキルエステル及びこれらの2以上の混合物からなる群から選ばれたいずれか一つであることが好ましく、前記アルキルは、炭素数1〜12の直鎖状または分枝状アルキル基であることが好ましい。
【0029】
また他の例として、アクリレート系単量体は、直鎖または分枝鎖C1−12アルコールのアクリル酸及びメタクリル酸エステル、好ましくは、直鎖または分枝鎖C1−8アルコールのアクリル酸及びメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0030】
また他の例として、前記アクリレート系単量体は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートとC5−12アルコールのネオ−異性体のアクリル酸エステルなどが好ましく、特に好ましい単量体は、n−アルキルメタクリレートである。
【0031】
前記アルキルアクリレートまたはメタクリレートエステル単量体は、単独または混合物として使用できる。
【0032】
前記アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体で使用される前記アクリレート単量体の量は、単量体混合物の総量を基準に30〜99モル%であることが好ましく、より好ましくは35〜99モル%、40〜99モル%、または50〜99モル%であり、さらに好ましくは、50〜95モル%であり、最も好ましくは50〜90モル%である。上記のようにアクリレート共単量体の含量が高い場合、前記共重合体は、結晶性を有しなくなり、無結晶性共重合体を得ることができる。前記無結晶性共重合体は、高い透明性を有して、接着性などにも優れているため、光学素材として使用が可能であり、特に極性官能基を多く含んでおり、金属などとの接着力に優れており、電気素材への適用に有利である。前記反応において、アクリレート系共単量体の量が、単量体混合物の総量を基準に30モル%未満の場合は、接合性に問題があり、99モル%を超過する場合は、壊れ易い問題がある。
【0033】
本発明において、前記アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体のために使用される前記アルケンは、炭素鎖の末端または中間に二重結合を有するアルケンであれば、特に限定されない。1−アルケンの例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられて、炭素鎖の中間に二重結合を有するアルケンの例としては、2−ブテン、2−ペンテン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、2−ヘプテン、2−オクテン、2−ノネンなどが挙げられる。
【0034】
本発明の共重合体の反復単位として含有される前記アルケンの含量は、1〜50モル%であることが好ましい。適当な含量のアルケン反復単位は、フィルム製造時、極性基単量体のアクリレートによる壊れやすい短所を補完することができる。
【0035】
本発明において、前記アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体のために使用される前記ノルボルネンは、下記化学式6で表される化合物であることが好ましい。
【化12】

前記式において、
mは、0〜4の整数であり、
、R’、R”及びR”’は、それぞれ独立して、極性官能基または非極性官能基を示し、
、R’、R”及びR”’は、互いに連結されて、炭素数4〜12の飽和または不飽和サイクリックグループ、または炭素数6〜24の芳香族環を形成することができ、
前記非極性官能基は、水素;ハロゲン;炭素数1〜20の線状または分枝状アルキル、ハロアルキル(haloalkyl)、アルケニル、ハロアルケニル;炭素数3〜20の線状または分枝状アルキニル(alkynyl)、ハロアルキニル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数3〜12のシクロアルキル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数6〜40のアリール;またはアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数7〜15のアラルキル(aralkyl)であり、
前記極性官能基は、少なくとも一つ以上の酸素、窒素、燐、硫黄、シリコン、またはボロンを含む非炭化水素極性基(Non-hydrocarbonaceous polar group)であって、−ROR、−OR、−OC(O)OR、−ROC(O)OR、−C(O)R、−RC(O)R、−OC(O)R、−RC(O)OR、−C(O)OR、−ROC(O)R、−(RO)− O R、−(O R)−OR、−C(O)−O−C(O)R、−RC(O)−O−C(O)R、−SR、−RSR、−SSR、−RSSR、−S(=O)R、−RS(=O)R、−RC(=S)R、−RC(=S)SR、−RSO、−SO、−RN=C=S、−NCO、−R−NCO、−CN、−RCN、−NNC(=S)R、−RNNC(=S)R、−NO、−RNO
【化13】

であり、
前記極性官能基において、
それぞれのR及びR11は、炭素数1〜20の線状または分枝状アルキレン、ハロアルキレン、アルケニレン、ハロアルケニレン;炭素数3〜20の線状または分枝状アルキニレン、ハロアルキニレン;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニルで置換または非置換された炭素数3〜12のシクロアルキレン;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニルで置換または非置換された炭素数6〜40のアリレン;またはアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニルで置換または非置換された炭素数7〜15のアラルキレンであって、
それぞれのR、R12、R13及びR14は、水素;ハロゲン;炭素数1〜20の線状または分枝状アルキル、ハロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル;炭素数3〜20の線状または分枝状アルキニル、ハロアルキニル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数3〜12のシクロアルキル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数6〜40のアリール;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数7〜15のアラルキル;またはアルコキシ、ハロアルコキシ、カルボニルオキシ、ハロカルボニルオキシであり、
それぞれのkは、1〜10の整数である。
【0036】
より具体的には、前記ノルボルネンが、ノルボルネン、5−エチルエステル−2−ノルボルネン、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート(NB-TBE)、メチル−5−ノルボルネン−2−メチル−2−カルボキシレート(Nb-MMA)、5−メチレン−2−ノルボルネン、及び5−n−ブチル−2−ノルボルネンからなる群から選ばれる一つ以上であることが好ましい。
【0037】
本発明の共重合体の反復単位として含有される前記ノルボルネンの含量は、1〜50モル%であることが好ましい。適当な含量のノルボルネン反復単位は、ガラス転移温度の増大に寄与して、耐熱性を増加させる長所がある。
【0038】
本発明のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の代表的な例は、下記化学式7で表される1−アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体を含む。
【化14】

前記式において、
、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換された炭素数1〜30の炭化水素基、またはヘテロ原子を含む1価の原子団であり、
が水素原子またはメチル基であって、
が水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、
、R’、R”及びR”’は、それぞれ独立して、極性官能基または非極性官能基を示し、
、R’、R”及びR”’は、互いに連結されて、炭素数4〜12の飽和または不飽和サイクリックグループ、または炭素数6〜24の芳香族環を形成することができて、
mは0〜4の整数であり、
nは、上記単量体反復単位の配列が反復されることを意味し、
a、b及びcは、1〜50モル%のアルケン反復単位、30〜98モル%のアクリレート反復単位、そして1〜50モル%のノルボルネン反復単位となる単量体の含量比(モル%)により定められる最小の数であって、一反復単位の配列では整数を有するが、全体共重合体に対して平均すれば、実数で表される。したがって、本発明の共重合体は、各単量体がランダムに共重合されるものである。即ち、例えば、単量体の含量比が1:1:1の場合は、平均的にa=b=c=1となり、単量体の含量比が順に1:2:1の場合は、平均的にa=1、b=2、c=1となる。また、単量体の含量比が1:2.2:0.7の場合は、単量体反復単位の各基本的配列におけるa、b及びcは、整数(例えば、1:2:1、1:3:1、2:4:1など)であるはずだが、これらを平均すれば、単量体の含量比と同一な1:2.2:0.7となる。
【0039】
前記3元共重合体は、アクリレート反復単位を主成分として、70モル%、好ましくは50モル%未満の範囲内でアルケン反復単位及びノルボルネン反復単位の含量調節がそれぞれが可能であるため、物性調節が容易である。
【0040】
前記化学式7で表されるアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体において、前記R、R及びRがそれぞれ独立して、水素原子;置換または非置換された炭素数1〜6のアルキル基、置換または非置換された炭素数5〜12のアリール基、置換または非置換された炭素数6〜18のアリールアルキル基、置換または非置換された炭素数6〜18のアルキルアリール基、または置換または非置換された炭素数1〜6のアルコキシ基;置換または非置換されたカルバモイル基;置換または非置換されたアミノ基;または置換または非置換されたシリル基;であることが好ましい。
【0041】
また、前記置換される置換基は、アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルバモイル基またはシリル基であることが好ましい。
【0042】
前記アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体において、前記ノルボルネンの前記非極性官能基は、水素;ハロゲン;炭素数1〜20の線状または分枝状アルキル、ハロアルキル(haloalkyl)、アルケニル、ハロアルケニル;炭素数3〜20の線状または分枝状アルキニル(alkynyl)、ハロアルキニル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数3〜12のシクロアルキル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数6〜40のアリール;またはアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数7〜15のアラルキル(aralkyl)であり、
前記ノルボルネンの前記極性官能基は、少なくとも一つ以上の酸素、窒素、燐、硫黄、シリコン、またはボロンを含む非炭化水素極性基(Non-hydrocarbonaceous polar group)であって、−ROR、−OR、−OC(O)OR、−ROC(O)OR、−C(O)R、−RC(O)R、−OC(O)R、−RC(O)OR、−C(O)OR、−ROC(O)R、−(RO)− O R、−(O R)−OR、−C(O)−O−C(O)R、−RC(O)−O−C(O)R、−SR、−RSR、−SSR、−RSSR、−S(=O)R、−RS(=O)R、−RC(=S)R、−RC(=S)SR、−RSO、−SO、−RN=C=S、−NCO、−R−NCO、−CN、−RCN、−NNC(=S)R、−RNNC(=S)R、−NO、−RNO
【化15】

であり、
前記極性官能基において、
それぞれのR及びR11は、炭素数1〜20の線状または分枝状アルキレン、ハロアルキレン、アルケニレン、ハロアルケニレン;炭素数3〜20の線状または分枝状アルキニレン、ハロアルキニレン;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニルで置換または非置換された炭素数3〜12のシクロアルキレン;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニルで置換または非置換された炭素数6〜40のアリレン;またはアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニルで置換または非置換された炭素数7〜15のアラルキレンであって、
それぞれのR、R12、R13及びR14は、水素;ハロゲン;炭素数1〜20の線状または分枝状アルキル、ハロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル;炭素数3〜20の線状または分枝状アルキニル、ハロアルキニル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数3〜12のシクロアルキル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数6〜40のアリール;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数7〜15のアラルキル;またはアルコキシ、ハロアルコキシ、カルボニルオキシ、ハロカルボニルオキシであり、
それぞれのkは、1〜10の整数であることが好ましい。
【0043】
さらに、本発明のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の代表的な例は、下記化学式8〜11で表される1−アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体を含む。
【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

前記化学式8〜11において、a、b、c、R、R、R’、R”、R”’、 R””、R’10、R”10、R’11、R”11、R”’11、R””11、 R’12、R”12、R”’12、R””12、13、R’13、x、m、n、o、p、qは、前記化学式1〜7における定義と同様である。
【0044】
本発明による前記アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体のガラス転移温度(Tg)は−50〜300℃であることが好ましい。そして、前記アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の数平均分子量は5,000〜400,000であり、重量平均分子量が10,000〜800,000であることが好ましい。また、前記アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の初期重量の50%が分解される温度(Td_50)は、300〜500℃であることが好ましい。
【0045】
さらに本発明は、アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の製造方法を提供する。本発明は、アルケン、アクリレート及びノルボルネンからなる単量体混合物を、金属酸化物またはルイス酸の存在下でラジカル開始剤により重合させて、アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体を得るものである。前記方法は、従来技術と異なって、ラジカル重合でルイス酸を使用することにより、高温高圧条件を避けることが可能である。したがって、工程上の効率も非常に高い。
【0046】
本発明の製造方法で使用される単量体の種類及び量、生成される共重合体の構造及び性質は、上記で説明した通りである。
【0047】
本明細書に記載のルイス酸及び金属酸化物において、本発明で使用される金属酸化物は、本発明の重合反応で実質的に酸点(Acid site)を提供するルイス酸と同様な役割をするため、概念上ルイス酸に含まれるものである。しかしながら、一般的な他のルイス酸と比較し、重合反応後にも実質的にその構造や組成の変化がないため、簡単に分離可能であり、また再使用が可能であるという追加的な利点があるため、本明細書では、便宜上、他の一般的なルイス酸と区別し、金属酸化物または複合金属酸化物と命名する。
【0048】
本発明で使用する金属酸化物は、下記化学式12で表される化合物であることが好ましい。
[化学式12]

前記式において、
Mは、アルカリ土類金属、転移金属、13族及び14族金属からなる群から選ばれた一つ以上を示し、
Nは、5族または6族原子を示し、
Oは、酸素原子を示して、
x、y及びzは、M及びNの酸化状態により決定される値であって、x>0、y≧0、z>0である。
【0049】
より具体的に前記金属酸化物は、酸化アルミニウム(Al)、酸化イットリウム(Y)、酸化亜鉛(ZrO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化ボロン(B)、酸化セシウム(CeO)、酸化ジスプロシウム(Dy)、 酸化エルビウム(Er)、酸化ユウロピウム(Eu)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化ホルミウム(Ho)、酸化ランタン(La)、酸化ルテチウム(Lu)、酸化ネオジム(Nd)、酸化プラセオジム(Pr11)、酸化サマリウム(Sm)、酸化テルビウム(Tb)、酸化トリウム(Th)、酸化ツリウム(Tm)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化錫(SnO)、酸化チタニウム(TiO)からなる金属酸化物群、及びジスプロシウムアルミネート(DyAl12)、イットリウムアルミネート(YAl12)、アルミニウムチタネート(Al・SiO)、アルミニウムシリケート(3Al・2SiO)、カルシウムチタネート(CaTiO)、カルシウムシルコネート(CaZrO)、鉄チタネート(FeTiO)、マグネシウムアルミネート(MgO・Al)、セシウムアルミネート(CeAl1118)、Al(SO、AlPOからなる複合金属酸化物群から選ばれた一つ以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
前記1−アルケン−アクリレート−ノルボルネン共重合体の製造方法において、前記金属酸化物を、アクリレート単量体を基準に0.01〜200モル%使用することが好ましい。
【0051】
金属酸化物の含量が0.01モル%未満の場合は、1−アルケン単量体含量が低い問題があり、200モル%を超過する場合にはカラム形態の重合機を使用する場合は問題がないが、攪拌重合機の場合には攪拌速度が阻害される問題がある。したがって、攪拌重合機を使用する場合は、金属酸化物を200モル%未満に使用することが好ましい。
【0052】
本発明で使用される金属酸化物は、濾過装置のみを使用する物理的な方法によっても金属酸化物を100%近く回収することができ、回収された金属酸化物を再び重合に使用することができるため、経済的なだけでなく生成される共重合体を高純度で得られるという長所を提供する。初期と再使用時とも、酸処理、乾燥及び焼成などの前/後処理過程が全く必要なく、金属酸化物そのものを使用するため、工程が単純である。回収された金属酸化物は、通常、20回以上再使用が可能である。
【0053】
本発明のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の製造方法において、前記ルイス酸はカチオンがスカンジウム、チタニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオビウム、モリブデン、カドミウム、レニウム及び錫からなる群から選ばれた一つ以上の金属カチオンを含み、前記ルイス酸は、無機または有機金属化合物であってもよい。
【0054】
また、前記ルイス酸はアニオンが、ハライド、トリフレート(triflate)、HPO2−、HPO2−、CFCOO−、C15OSO2−及びSO2−からなる群から選ばれた一つ以上のアニオンを含み、前記ルイス酸は、無機または有機金属化合物であってもよい。
【0055】
本発明の前記アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の製造方法で使用されるルイス酸としては、ボロントリフルオライド、エチルボロンジクロライド、ボロントリブロマイド、ボロントリヨージド、アルミニウムトリクロライド、アルミニウムトリブロマイド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、スタニッククロライド(stanic chloride)、亜鉛ジクロライド、銅ジクロライド、ニッケルクロライドなどのクロライド及びフルオライド系統のルイス酸と共に、アルミニウムトリフレート(Triflate)、スカンジウムトリフレート、銅トリフレート、イットリウムトリフレート、亜鉛トリフレートなどのトリフレート系統のルイス酸が使用できる。前記ルイス酸は、1種を使用しても、2種以上の混合物を使用してもよい。
【0056】
例えば、米国特許第6,127,567号、第6,171,996号、及び第6,380,421号などに記載のZnBr、ZnI、ZnCl、ZnSO、CuCl、CuCl、Cu(OSCF、CoCl、CoI、FeI、FeCl、FeCl、FeCl(THF)、TiCl(THF)、 TiCl、TiCl、ClTi(O−i−propyl)、MnCl、ScCl、AlCl、(C17)AlCl、(C17AlCl、(i−CAlCl、(CAlCl、(C)AlCl、ReCl、ZrCl、NbCl、VCl、CrCl、MoCl、YCl、CdCl、LaCl、Er(OSCF、Yb(OCCF、SmCl、B(C 及びTaClなどである。そして、米国特許第3,496,217号、第3,496,218号及び第4,774,353号などに記載されたZnCl、CoI及びSnClなどの金属塩、RAlCl、RSnOSCF及びRB(ここで、Rは、アルキル基またはアリール基である)などの有機金属化合物も適合している。
【0057】
米国特許第3,773,809号によると、アニオン性残基がフッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物などのハロゲン化物、2〜7の炭素原子を有する低級脂肪酸のアニオン、HPO2−、HPO2−、CFCOO、C15OSO2−、またはSO2−からなる群から選択でき、亜鉛、カドミウム、ベリリウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、エルビウム、ゲルマニウム、錫、バナジウム、ニオビウム、スカンジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、パラジウム、トリウム、鉄、及びコバルト、好ましくは、亜鉛、カドミウム、チタニウム、錫、クロム、鉄及びコバルトから構成された群から選択されるカチオン形態の金属を使用することも可能である。
【0058】
また、米国特許第3,773,809号には、適合した助触媒として、ボロヒドライド、有機ボロヒドライド及び化学式RBまたはB(OR)のホウ酸塩(ここで、Rは水素、6〜18の炭素原子を有するアリール基、1〜7個の炭素原子を有するアルキル基により置換されたアリール基、1〜7個の炭素原子を有するシアノ−置換されたアルキル基により置換されたアリール基、好ましくは、トリフェニルボロンから構成された群から選択される)が開示されている。
【0059】
本発明でルイス酸という用語は、前記記載された化合物の範囲の他にも、米国特許第3,496,217号、第3,496,218号、第4,774,353号、第4,874,884号、第6,127,567号、第6,171,996号、及び第6,380,421号で言及された助触媒も含む。
【0060】
前記ルイス酸の中、特に金属塩、特に好ましくは、金属ハロゲン化物、例えばフッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物、特に塩化物、その中でも、塩化アルミニウム(III)、塩化亜鉛、塩化鉄(II)、及び塩化鉄(III)が特に好ましい。
【0061】
前記アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の製造方法において、前記アクリレート単量体のモル数に対する前記ルイス酸のモル数の比が1:0.0001乃至1:1であることが好ましく、1:0.01乃至1:1であることがさらに好ましいが、これに限定されるものではなく、必要に応じて適宜使用可能である。
【0062】
本発明は、金属酸化物またはルイス酸を使用することにより、製造される共重合体に反復単位として含まれる単量体の含量を、要求される物性によって適宜調節及び制御することができる。特に、エチレンまたはプロピレンのように、反応条件において気体相に存在するアルケン単量体が溶媒に一部溶解されて重合反応に参与する場合、金属酸化物またはルイス酸は、製造される共重合体に求められる物性に必要な適正量のアルケン単量体が重合されるように調節する役割をすることができ、また、後述するように、相対的に低温及び低圧で重合反応がなされるようにする役割をする。
【0063】
また、前記アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の製造方法において、前記ラジカル開始剤は、過酸化物及びアゾ化合物からなる群から選択された1種の化合物または2種以上の混合物を使用することができる。
【0064】
より具体的には、過酸化物化合物、例えば、過酸化水素、デカノニルペルオキシド、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ジエチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−アミルペルオキシネオデカノエート、t−アミルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート及び1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド;アルカリ金属パーサルフェート、パーボレート(perborates)、及びパーカーボネート(percarbonaetes);及び2,2‘−アゾ−ビス(イソブチロニトリル)(AIBN)(2,2’−azo-bis(isobutyronitrile))のようなアゾ化合物などがある。
【0065】
好ましい開始剤は、アゾ化合物である。このような開始剤の混合物を使用することもできる。開始剤は、任意の適切な方式により、例えば、純粋な形態、適切な溶媒に溶解された形態及び/または単量体または共単量体供給物ストリームと混合された形態として反応ストリームに添加することができる。
【0066】
前記アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の製造方法において、前記アクリレート単量体のモル数に対する前記ラジカル開始剤のモル数の比が1:0.0001乃至1:0.01であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、必要に応じて適宜使用することができる。
【0067】
また、前記アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の製造方法において、前記重合が溶媒の存在下で行われる場合に使用される溶媒が、トルエン、クロロベンゼン、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン、クロロホルム及びメチレンクロライドからなる群から選択された1以上であることが好ましいが、これらに限定されるものではなく、当該技術分野で使用可能な溶媒なら特に限定されない。
【0068】
本発明の重合反応において、アクリレート単量体及びノルボルネン単量体は、反応条件下で一般的に液相に存在するため、溶媒に溶解されて重合反応に参与でき、反応圧力は特に限定されない。
【0069】
一方、アルケン単量体が、特にエチレンまたはプロピレンの場合は、反応条件で一般に気体状態に存在するため、アルケン単量体を本発明の共重合体の反復単位に適量含有させるためには、一定加圧の反応条件が要求されるが、アルケン単量体が反応条件で液相に存在する1−ヘキセン、1−デセンなどの場合なら、反応圧力は特に限定されない。
【0070】
本発明によると、前記アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の製造方法において、前記重合が40〜150℃で行われることが好ましい。前記重合温度が40℃未満の場合は、開始剤の活性化速度が遅くて、温度制御の問題があり、150℃を超過する場合は、過量の未反応モノマー及び工程制御の問題が生じ得る。
【0071】
一方、前記重合は、アルケンが、例えばエチレンである場合、10〜200気圧の圧力条件で行われることが好ましい。前記圧力が10気圧未満の場合は、エチレン含量が低くなる可能性があり、200気圧を超過する場合は、工程上の追加的な装置が必要となる。
【0072】
本発明は、前記第三の目的を達成するために、前記によるアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体を含む光学用フィルムを提供する。前記光学用フィルムは、光透過度、ガラス転移温度及び靱性の高い共重合体樹脂を使用して製造されるため、高い光透過度を有することができ、極性官能基を有する単量体の含量が高く接着性に優れているため、偏光板などのような積層フィルムとしての適用に適している。したがって、延伸などを通じて複屈折率を有する位相差補償フィルムに、ヨード溶液との後処理を通じて偏光フィルムに製造することも可能であって、その他の多様な光学用フィルムに使用が可能である。
【0073】
以下、実施例を通じて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
重合に必要な有機試薬と溶媒は、Aldrich社の製品で、標準方法により精製して、エチレンは、Applied Gas Technology社の高純度製品を、水分及び酸素ろ過装置を通した後、重合を進行した。
【0075】
共重合体内の単量体の含量比を求めるために、Varian社で製造した500 MHz NMRを利用してスペクトルを得た。得られた重合体の熱的特性であるガラス転移温度(Tg)は、TA Instrument社のDSC Q100で測定して、Td_50(50%熱分解温度)は、TA Instrument社のTGAを利用した。
【0076】
分子量及び分子量分布は、Waters社のGPC(gel permeation chromatography)分析により得た。分析温度は、25℃であって、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として使用し、ポリスチレンで標準化して、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求めた。
【0077】
1−アルケン−アルキルアクリレート共重合体
(比較例1)
125mL高圧反応装置を真空にした後、アルゴンを充填した。前記アルゴン雰囲気の反応器に、メチルアクリレート(MA)2.4g(27.8mmol)とアルミニウムトリクロライド3.74g(28mmol)を投入した。その後、トルエンに溶かした開始剤AIBNを0.27mmol投入した。次いで、50barのエチレンを充填した後、反応器温度を65℃まで上昇させて、20時間重合を行った。
【0078】
(比較例2)
125mL高圧反応装置を真空にした後、アルゴンを充填した。前記アルゴン雰囲気の反応器に、メチルアクリレート4.8g(55.9mmol)とアルミニウムトリクロライド3.74g(28mmol)を投入した。その後、トルエンに溶かした開始剤AIBNを0.27mmol投入した。次いで、30barのエチレンを充填した後、反応器温度を65℃まで上昇させて、20時間重合を行った。
【0079】
前記比較例1及び比較例2の重合条件及び結果を表1及び表2に示した。前記比較例1の重合分析結果であるNMRスペクトル(1H-NMR spectrum)を図1に示した。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
比較例1の実験結果、エチレン含量50%を有するエチレン−メチルアクリレート交互共重合体が重合された。これは、ルイス酸の存在下でなされるラジカル重合のメカニズム上で可能な最大含量のエチレンを有するエチレン−メチルアクリレート交互共重合体である。
【0083】
比較例2は、比較例1の重合条件と比較し、エチレン投入圧力とルイス酸の投入率を減らしてエチレン含量を減らし、投入単量体に対する開始剤のモル濃度を減らして分子量を高めた結果である。エチレン含量が減ったため、ガラス転移温度は、実施例1より高く得られた。このように、応用分野に応じて重合条件を調節することにより、所望のエチレン含量を有するランダム共重合体が合成可能であり、エチレン含量の変化範囲は0〜50%と非常に広い。
【0084】
しかしながら、前記比較例1及び比較例2では、共重合体のガラス転移温度が0℃未満と非常に低い。エチレンの含有量を高めることにより、アクリレートの壊れ易い特性を補完し、フィルム形成に適しているが、低いガラス転移温度により、応用範囲に制限がある。
【0085】
ノルボルネン−アルキルアクリレート共重合体
(比較例3)
125mL高圧反応装置を真空にした後、アルゴンを充填した。アルゴン雰囲気の反応器に、メチルアクリレート1.7ml(18.7mmol)、2−ノルボルネン3.5ml(37.4mmol)、アルミニウムトリクロライド1.24g(9.32mmol)を投入した。その後、トルエンに溶かした開始剤AIBNを0.27mmol投入した。次いで、反応器温度を65℃まで上昇させて、20時間重合を行った。
【0086】
(比較例4)
反応温度を60℃、反応時間を18時間として、2−ノルボルネン5.25ml(28.05mmol)、メチルアクリレート1.7ml(18.7mmol)、開始剤AIBNを0.17mmol添加したことを除いては、比較例3と同様な方法により重合を行った。
【0087】
前記比較例3及び比較例4の重合条件及び結果を表3及び表4に示した。前記比較例3の重合分析結果である水素核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR spectrum)を図2に示した。
【0088】
【表3】

【0089】
【表4】

【0090】
比較例3の結果、ノルボルネン含量50%を有するノルボルネン−メチルアクリレート交互共重合体が合成された。メチルアクリレートは、単一重合体の場合、ガラス転移温度が約20℃である。比較例3は、従来の自由ラジカル重合技術及び工程に、変化なしにただルイス酸を追加投入することにより、ノルボルネンがメチルアクリレートに50%共重合され、ガラス転移温度が164.5℃と、耐熱性が著しく改善された。また、比較例4の結果、開始剤の濃度と反応温度の調節により、ノルボルネン含有量は等しく維持しながら、重量平均分子量178,000を有する高分子を得た。この結果から、反応条件を変化させることにより分子量の増大が容易であることを確認した。
【0091】
ノルボルネンを共重合することにより、アクリレートの比較的低いガラス転移温度を向上させる結果が得られた。
【0092】
1−アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体
(実施例1)
125mL高圧反応装置を真空にした後、アルゴンを充填した。アルゴン雰囲気の反応器に、メチルアクリレート1.7ml(18.7mmol)、ノルボルネン3.5ml(37.4mmol)、アルミニウムクロライド1.24g(9.32mmol)を投入した。その後、トルエンに溶かした開始剤AIBNを0.27mmol投入した。次いで、30barのエチレンを充填した後、反応器温度を65℃まで上昇させて、20時間重合を行った。
【0093】
(実施例2)
エチレン圧力を35bar、温度を70℃、反応時間を16時間、ノルボルネンをMAに対し0.5モル比、開始剤を0.22mmolに設定したことを除いては、実施例1と同様な方法により重合を行った。
【0094】
【表5】

【0095】
【表6】

【0096】
実施例1の結果、ガラス転移温度が115.6℃であるエチレン−メチルアクリレート−ノルボルネン3元共重合体が合成された。エチレン含量が高くなるほどガラス転移温度は低くなり、ノルボルネン含量が高くなるほどガラス転移温度は高くなるため、重合条件の変化により、所望の耐熱性及び物性に適した高分子を合成することができる。エチレン−メチルアクリレート交互共重合体のガラス転移温度は、比較例1のように−16℃であり、メチルアクリレート−ノルボルネン交互共重合体のガラス転移温度は、比較例3のように164.5℃であるため、この二つの範囲内で調節が可能である。
【0097】
アクリレート系ビニル単量体の中、ガラス転移温度が最も高いメチルメタクリレートの場合、一般に、単独重合時、ガラス転移温度が110℃と得られて、メチルアクリレートの場合、単独重合時、ガラス転移温度が20℃と得られる。フィルムの形成時、壊れる短所を克服するために、アクリレート系高分子にエチレンを共単量体として添加するが、この際、耐熱性が低下する問題点が発生する。しかし、加工上の熱を耐えるためには、ガラス転移温度が100℃以上となる必要があるが、この問題をノルボルネンの添加により解決することができる。
【0098】
(実施例3〜7)
ルイス酸として、再活用可能な金属酸化物の種類を変えながら、表7に提示した反応条件により重合を行った。重合後、金属酸化物をろ過装置により除去する過程を追加したことを除いては、実施例1と同様な順に実験を行った。重合結果を表8に示した。
【0099】
【表7】

【0100】
【表8】

【0101】
ルイス酸として、多様な金属酸化物が適用可能であることを確認した。金属酸化物の性質により高分子組成が異なって、開始剤の濃度調節による分子量増大効果も確認した。前記重合体を利用して製造したフィルムの透過度は89%以上であり、Tgが高くて、光学フィルムの要求物性の耐熱性を確保した。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の製造方法は、ルイス酸を使用することにより、低温及び低圧のマイルド条件でも共重合体を製造することができ、工程が単純で、共重合体の物性制御が容易である。さらに、前記方法により製造された3元共重合体は、ノルボルネンを含むため、相対的に高いガラス転移温度を有し、アルケン、特にエチレンを含むため、吸湿性が高くて、壊れ易い(brittle)アクリル系樹脂の短所を補完し、フィルム特性が著しくよくなる。
【0103】
また、本発明は、高温高圧が要求される従来技術と違って、200気圧以下、100℃以下のマイルドな条件でも共重合体を製造することができ、工程が単純で、共重合体の物性制御が容易である。また、本発明による金属酸化物は、特に水分安全性に優れ効率的であって、追加処理工程無しに再活用が可能である。また、金属酸化物をルイス酸として使用すれば、重合後、ろ過装置のみで容易に100%近く回収して再活用が可能であるため、製造コストが著しく節減できると共に、水分及び空気安定性にも優れ効率が高くて、追加触媒の残渣処理工程が必要なく重合工程を単純化できるため、産業的適用可能性が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】比較例1で得られたエチレン−メチルアクリレート共重合体のNMRスペクトル(1H-NMR spectrum)である。
【図2】比較例3で得られたメチルアクリレート−2−ノルボルネン共重合体のNMRスペクトル(1H-NMR spectrum)である。
【図3】実施例3で得られたエチレン−メチルアクリレート−2−ノルボルネン3元共重合体のDSC測定結果である。
【図4】実施例3で得られたエチレン−メチルアクリレート−2−ノルボルネン3元共重合体のNMRスペクトル(13C-NMR spectrum)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜50モル%のアルケン単量体と50〜98モル%のアクリレート単量体と1〜50モル%のノルボルネン単量体とからなる反復単位を含む、アルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体であって、
下記化学式7で表されることを特徴とするアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体:
【化1】

前記式において、
、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換された炭素数1〜30の炭化水素基、またはヘテロ原子を含む1価の原子団であり、
が水素原子またはメチル基であって、
が水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、
、R’、R”及びR”’は、それぞれ独立して、極性官能基または非極性官能基を示し、
、R’、R”及びR”’は、互いに連結されて、炭素数4〜12の飽和または不飽和サイクリックグループ、または炭素数6〜24の芳香族環を形成することができて、
mは0〜4の整数であり、
nは、重合度を示すもので、10〜100,000の実数であり、
a、b及びcは、モル比であって、a+b+c=1であり、
0.01≦a≦0.5、0.3≦b≦0.98及び0.01≦c≦0.5である。
【請求項2】
前記アクリレート単量体は、下記化学式1で表されることを特徴とする、請求項1に記載のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体。
【化2】

前記式において、
、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換された炭素数1〜30の炭化水素基、またはヘテロ原子を含む1価の原子団であり、
は、水素原子またはメチル基である。
【請求項3】
前記R、R及びRがそれぞれ独立して、水素原子;置換または非置換された炭素数1〜6のアルキル基、置換または非置換された炭素数5〜12のアリール基、置換または非置換された炭素数6〜18のアリールアルキル基、置換または非置換された炭素数6〜18のアルキルアリール基、または置換または非置換された炭素数1〜6のアルコキシ基;置換または非置換されたカルバモイル基;置換または非置換されたアミノ基;または置換または非置換されたシリル基;であることを特徴とする、請求項2に記載のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体。
【請求項4】
前記置換される置換基が、アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルバモイル基またはシリル基であることを特徴とする、請求項3に記載のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体。
【請求項5】
前記アクリレート系単量体は、下記化学式2〜5で表される化合物及びこれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体の製造方法。
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

前記式2〜5において、
o、p、qは、それぞれ独立して、0〜2の整数であり、xはアクリロイル(acryloyl)側面からみて、単結合、−(CH)−、−(CO)−、−(CO)−、または−(C)−(式中、rは1〜5の整数である)で表される2価の連結基であり、Rは、水素またはメチル基であり、R’10、R”10は、水素であり、R’11、R”11、R”’11、R””11は、水素またはメチル基であって(但し、R’10、R”10、R’11、R”11、R”’11、R””11のいずれか一つは、前記x基で代置される)、R’12、R”12、R”’12、R””12、R13、R’13は、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;環構造(
【化7】

または
【化8】

)に直接結合するか、または酸素、窒素、硫黄または珪素を含む連結基を媒介として結合している、置換または非置換された炭素数1〜20の炭化水素基;または極性基である。
【請求項6】
前記アルケンが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、及び1−デセンからなる群から選ばれる1以上であることを特徴とする、請求項1に記載のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体。
【請求項7】
前記ノルボルネンが、下記化学式6で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体。
【化9】

(式中、mは、0〜4の整数であり、
、R’、R”及びR”’は、それぞれ独立して、極性官能基または非極性官能基を示し;
、R’、R”及びR”’は、互いに連結されて、炭素数4〜12の飽和または不飽和サイクリックグループ、または炭素数6〜24の芳香族環を形成することができ;
前記非極性官能基は、水素;ハロゲン;炭素数1〜20の線状または分枝状アルキル、ハロアルキル(haloalkyl)、アルケニル、ハロアルケニル;炭素数3〜20の線状または分枝状アルキニル(alkynyl)、ハロアルキニル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数3〜12のシクロアルキル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数6〜40のアリール;またはアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数7〜15のアラルキル(aralkyl)であり、
前記極性官能基は、少なくとも一つ以上の酸素、窒素、燐、硫黄、シリコン、またはボロンを含む非炭化水素極性基(Non-hydrocarbonaceous polar group)であって、−ROR、−OR、−OC(O)OR、−ROC(O)OR、−C(O)R、−RC(O)R、−OC(O)R、−RC(O)OR、−C(O)OR、−ROC(O)R、−(RO)− O R、−(O R)−OR、−C(O)−O−C(O)R、−RC(O)−O−C(O)R、−SR、−RSR、−SSR、−RSSR、−S(=O)R、−RS(=O)R、−RC(=S)R、−RC(=S)SR、−RSO、−SO、−RN=C=S、−NCO、−R−NCO、−CN、−RCN、−NNC(=S)R、−RNNC(=S)R、−NO、−RNO
【化10】

であり、
前記極性官能基において、
それぞれのR及びR11は、炭素数1〜20の線状または分枝状アルキレン、ハロアルキレン、アルケニレン、ハロアルケニレン;炭素数3〜20の線状または分枝状アルキニレン、ハロアルキニレン;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニルで置換または非置換された炭素数3〜12のシクロアルキレン;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニルで置換または非置換された炭素数6〜40のアリレン;またはアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニルで置換または非置換された炭素数7〜15のアラルキレンであって、
それぞれのR、R12、R13及びR14は、水素;ハロゲン;炭素数1〜20の線状または分枝状アルキル、ハロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル;炭素数3〜20の線状または分枝状アルキニル、ハロアルキニル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数3〜12のシクロアルキル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数6〜40のアリール;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数7〜15のアラルキル;またはアルコキシ、ハロアルコキシ、カルボニルオキシ、ハロカルボニルオキシであり、
それぞれのkは、1〜10の整数である。
【請求項8】
前記ノルボルネンが、ノルボルネン、5−エチルエステル−2−ノルボルネン、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート(NB-TBE)、メチル−5−ノルボルネン−2−メチル−2−カルボキシレート(Nb-MMA)、5−メチレン−2−ノルボルネン、及び5−n−ブチル−2−ノルボルネンからなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体。
【請求項9】
前記3元共重合体のガラス転移温度が−50〜300℃であることを特徴とする、請求項1に記載のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体。
【請求項10】
前記3元共重合体の数平均分子量が5,000〜400,000であり、重量平均分子量が10,000〜800,000であることを特徴とする、請求項1に記載のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体。
【請求項11】
前記3元共重合体の初期重量の50%が分解される温度が300〜500℃であることを特徴とする、請求項1に記載のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体。
【請求項12】
前記R、R及びRがそれぞれ独立して、水素原子;置換または非置換された炭素数1〜6のアルキル基、置換または非置換された炭素数5〜12のアリール基、置換または非置換された炭素数6〜18のアリールアルキル基、置換または非置換された炭素数6〜18のアルキルアリール基、または置換または非置換された炭素数1〜6のアルコキシ基;置換または非置換されたカルバモイル基;置換または非置換されたアミノ基;または置換または非置換されたシリル基;であることを特徴とする、請求項1に記載のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体。
【請求項13】
前記置換される置換基が、アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルバモイル基またはシリル基であることを特徴とする、請求項12に記載のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体。
【請求項14】
前記非極性官能基は、水素;ハロゲン;炭素数1〜20の線状または分枝状アルキル、ハロアルキル(haloalkyl)、アルケニル、ハロアルケニル;炭素数3〜20の線状または分枝状アルキニル(alkynyl)、ハロアルキニル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数3〜12のシクロアルキル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数6〜40のアリール;またはアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数7〜15のアラルキル(aralkyl)であり、
前記極性官能基は、少なくとも一つ以上の酸素、窒素、燐、硫黄、シリコン、またはボロンを含む非炭化水素極性基(Non-hydrocarbonaceous polar group)であって、−ROR、−OR、−OC(O)OR、−ROC(O)OR、−C(O)R、−RC(O)R、−OC(O)R、−RC(O)OR、−C(O)OR、−ROC(O)R、−(RO)− O R、−(O R)−OR、−C(O)−O−C(O)R、−RC(O)−O−C(O)R、−SR、−RSR、−SSR、−RSSR、−S(=O)R、−RS(=O)R、−RC(=S)R、−RC(=S)SR、−RSO、−SO、−RN=C=S、−NCO、−R−NCO、−CN、−RCN、−NNC(=S)R、−RNNC(=S)R、−NO、−RNO
【化11】

であり、
前記極性官能基において、
それぞれのR及びR11は、炭素数1〜20の線状または分枝状アルキレン、ハロアルキレン、アルケニレン、ハロアルケニレン;炭素数3〜20の線状または分枝状アルキニレン、ハロアルキニレン;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニルで置換または非置換された炭素数3〜12のシクロアルキレン;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニルで置換または非置換された炭素数6〜40のアリレン;またはアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニルで置換または非置換された炭素数7〜15のアラルキレンであって、
それぞれのR、R12、R13及びR14は、水素;ハロゲン;炭素数1〜20の線状または分枝状アルキル、ハロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル;炭素数3〜20の線状または分枝状アルキニル、ハロアルキニル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数3〜12のシクロアルキル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数6〜40のアリール;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、またはハロアルキニルで置換または非置換された炭素数7〜15のアラルキル;またはアルコキシ、ハロアルコキシ、カルボニルオキシ、ハロカルボニルオキシであり、
それぞれのkは、1〜10の整数であることを特徴とする、請求項1に記載のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体。
【請求項15】
請求項1に記載のアルケン−アクリレート−ノルボルネン3元共重合体を含む光学用フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−237006(P2012−237006A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−175612(P2012−175612)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【分割の表示】特願2009−507599(P2009−507599)の分割
【原出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】