説明

アルコキシシリルトリアジンジチオール,アルコキシシリルトリアジンジチオールの製造方法,表面反応性固体,表面反応性固体の製造方法,形状転写型,形状転写型の製造方法

【課題】 金属、セラミックス及び樹脂表面に原子、原子団及び分子レベルで付着して機能的な反応性を付与する。
【解決手段】
下記一般式(1):
【化7】


で示されるアルコキシシリルトリアジンジチオール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なトリアジンジチオール化合物,その製造方法及びこれらの応用技術に係り、特に、アルコキシシリルトリアジンジチオール,アルコキシシリルトリアジンジチオールの製造方法、更には、金属、セラミックス及び樹脂表面形状に単分子膜を形成した表面反応性固体,表面反応性固体の製造方法、加えて、樹脂やゴム製品等の成形に使用される電鋳金型等に有効な形状転写型,形状転写型の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トリアジンジチオール誘導体は、架橋剤、接着促進剤、表面処理剤、重金属処理剤及び防錆剤などに使用されている(例えば、特許文献1参照)。トリアジンジチオール誘導体は、金属や樹脂との反応性に特徴があるが、しかしながら、金属、セラミックス、樹脂及び無機物のいずれに対しても反応性を有し、機能を付与できる処理剤は、現在知られていない。また、近年、多種の材料間に結合を発生させて機能を発揮するナノ機能物質の実現が待たれているという実情もある。
【0003】
また、従来、微細加工形状及び複雑立体形状を有する金属、セラミックス及び樹脂などの固体や各種固体としての製品の表面形状をそのまま型などに転写する所謂電鋳金型の技術において(例えば、特許文献2参照)、例えば、固体が後で分離しやすいように固体表面に蝋などの溶融しやすい有機物を溶剤に溶解して浸漬するか、または蒸着などの方法により表面コートし、金属を蒸着などして導電化した後、無電解または電解により電鋳金型を作成していた。
【0004】
【特許文献1】特開平2−298284号公報
【特許文献2】特開平6−128788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の電鋳金型技術において、表面形状が微細になると、溶液への浸漬法では十分に形状を転写できないという課題が絶えず発生する。また、蒸着法では固体や製品への着き回りや大きさなどの制約があり、どんな場合でも自由にできるわけではなかった。いずれの場合も、μmレベルの形状には対応できない場合が多いのが大きな問題であった。
【0006】
即ち、このような電鋳技術においては、金属、セラミックス及び樹脂固体及び各種製品の表面形状を正確にかつ迅速に転写するためには表面形状をナノスケイルで複写する分子複写技術の開発が不可欠である。すなわち、金属、セラミックス及び樹脂固体及び製品表面に並ぶ原子、原子団及び分子を的確に模写する必要がある。
しかしながら、従来の固体及び製品表面形状の模写は蒸着及びロウ溶液浸漬のように物理的な手法であったため、その表面の原子、原子団及び分子を正確に模写できていない。例えば、蒸着の場合には結晶成長により模写するため、成長結晶粒子間の隙間が必ず生成し模写できない部分が必ず発生する。また、浸漬では溶液が表面形状の隅々まで浸透するが、溶剤の揮発段階で濃度の増加と共に空間が生じる。
また、従来法はナノスケイルの精度を必要としない場合には有効であるが、最近のナノプリント技術分野における表面形状の模写には使用できない。
【0007】
一方、最近の競争力の激化は生産性の高い技術の開発を促進しており、射出成型からプレス成型へ移行しつつある。射出成型ではおよそ20sで一個の製品が製造され、24時間休みなく稼動しても、4324個の製品が生産できるのみである。しかし、100個取りのプレス金型を使用すると、24時間休みなく稼動すると、なんと432400個の製品が生産できる。
このような製品として、表面にサブミクロン以下のフレネル形状やマット形状を持った微小レンズ(5mm2以下)などが考えられている。このような微小レンズのフレネル形状やマット形状を迅速にかつ正確に模写するためには、新しい模写技術の開発が不可欠である。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、このような状況の下、新しい分子構造を有する化合物の分子設計と合成手法の探索を重ね、鋭意研究の結果、金属、セラミックス及び樹脂表面に原子、原子団及び分子レベルで付着して機能的な反応性を付与することが可能なトリアジンジチオール誘導体及びその製造方法を提供し、また、このトリアジンジチオール誘導体を固体表面に反応させ、固体表面に反応性官能基を導入した表面反応性固体及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、金属、セラミックス及び樹脂表面形状を原子、原子団及び分子レベルで正確に転写した形状転写型及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するため本発明は、
下記一般式(1):
【0010】
【化3】

【0011】
(式中、R1は-S-, -O-, -NHCH2C6H4O-, -NHC6H4O-, -NHC6H3(Cl)O-, -NHCH2C6H3(NO2)O-, -NHC6H3(NO2)O-, -NHC6H3(CN)O-, -NHC6H2(NO2)2O-, -NHC6H3(COOCH3)O-, -NHC10H6O-, -NHC10H5(NO2)O-, -NHC10H4(NO2)2O-, -NHC6H4S-, -NHC6H3(Cl)S-, -NHCH2C6H3(NO2)S-, -NHC6H3(NO2)S-, -NHC6H3(CN)S-, -NHC6H2(NO2)2S-, -NHC6H3(COOCH3)S-, -NHC10H6S-, -NHC10H5(NO2)S-, -NHC10H4(NO2)2S-であり、Mは-Hまたはアルカリ金属塩、Xはアルコキシ基であり、nは整数である)で示されるアルコキシシリルトリアジンジチオールにある。ここで、Mは、具体的には、-H, Li, Na, KまたはCe等である。
【0012】
また、本発明は、
一般式 (X)3SiCnH2nNCO・・・・(2)
(式中Xはアルコキシ基であり、nは整数である)
で示されるトリアルコキシシリルアルキルイソシアナートと、
下記一般式(3):
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、R2は-SH, -OH, -NHCH2C6H4OH, -NHC6H4OH, -NHC6H3(Cl)OH, -NHCH2C6H3(NO2)OH, -NHC6H3(NO2)OH, -NHC6H3(CN)OH, -NHC6H2(NO2)2O-, -NHC6H3(COOCH3)OH, -NHC10H6OH, -NHC10H5(NO2)OH, -NHC10H4(NO2)2OH, -NHC6H4SH-, -NHC6H3(Cl)SH-, -NHCH2C6H3(NO2)SH-, -NHC6H3(NO2)SH-, -NHC6H3(CN)SH-, -NHC6H2(NO2)2SH-, -NHC6H3(COOCH3)SH-, -NHC10H6SH-, -NHC10H5(NO2)SH-, -NHC10H4(NO2)2SH-であり、Mは-Hまたはアルカリ金属塩である)で示されるトリアジンジチオールとを反応させることを特徴とする上記一般式(1)で示されるアルコキシシリルトリアジンジチオールの製造方法にある。ここでいうトリアジンジチオールは、例えば、OH基,SH基等の置換基を備えている。Mは、具体的には、-H, Li, Na, KまたはCe等である。
【0015】
また、本発明の表面反応性固体は、上記一般式(1)で示されるアルコキシシリルトリアジンジチオールを固体表面に付着させた構成としている。
更に、本発明の表面反応性固体の製造方法は、上記一般式(1)で示されるアルコキシシリルトリアジンジチオールを固体表面に付着させた表面反応性固体を製造する方法であって、固体表面に上記一般式(2)で示されるトリアルコキシシリルアルキルイソシアナートを付着させ、続いて、該固体表面に上記一般式(3)で示されるトリアジンジチオールを反応させる構成としている。
【0016】
これにより、アルコキシシリルトリアジンジチオールが固体表面と反応して、原子、原子団及び分子レベルの単分子膜が形成され、機能性が賦与される。
【0017】
また、本発明の形状転写型は、母型の表面に上記一般式(1)で示されるアルコキシシリルトリアジンジチオールを付着させ且つ該母型の表面を模写して形成され、その後、該アルコキシシリルトリアジンジチオールに付着させた金属を該アルコキシシリルトリアジンジチオールの分離により他の型材に転写可能にした構成としている。
この場合、上記金属はアルコキシシリルトリアジンジチオールを介して母型に電着されるとともに、該金属は上記アルコキシシリルトリアジンジチオールの加熱分離により他の型材に転写される構成としてよい。
【0018】
また、本発明の形状転写型の製造方法は、
上記母型を上記一般式(2)で示されるトリアルコキシシリルアルキルイソシアナートの溶液に浸漬反応後、続いて、上記一般式(3)で示されるトリアジンジチオールの溶液に浸漬反応させる構成としている。
【0019】
これにより、機能性アルコキシシリルトリアジンジチオールが母型に付着すると、原子、原子団及び分子レベルでコピーペイントとしてコピーコートされる。そのため、母型の表面に例えば無電解金属メッキ等により金属を付着させた後、この金属を他の型材に転写させる際は、機能性アルコキシシリルトリアジンジチオールからなるコピーペイントに熱を加える。これにより、機能性アルコキシシリルトリアジンジチオールが加熱分解して結合が分かれるので、母型を容易に分離することができるようになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、固体表面に、原子、原子団及び分子レベルの所謂ナノスケイルで界面層を形成する新規物質としてのアルコキシシリルトリアジンジチオールを提供することができた。そして、このアルコキシシリルトリアジンジチオールにおいては、単分子のコピーペンイントとして母型表面をコピーコートすることにより、母型表面の形状を分子レベルで正確に模写することが可能となる。また、このアルコキシシリルトリアジンジチオールにおいては、加熱による分離性に起因して、金属を他に転写させ易くすることができる。そのため、電鋳金型等、種々の応用分野への利用を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係るアルコキシシリルトリアジンジチオール,アルコキシシリルトリアジンジチオールの製造方法,表面反応性固体,表面反応性固体の製造方法,形状転写型,形状転写型の製造方法について説明する。
【0022】
先ず、本発明の実施の形態に係るアルコキシシリルトリアジンジチオールは、
下記一般式(1):
【0023】
【化5】

【0024】
(式中、R1は-S-, -O-, -NHCH2C6H4O-, -NHC6H4O-, -NHC6H3(Cl)O-, -NHCH2C6H3(NO2)O-, -NHC6H3(NO2)O-, -NHC6H3(CN)O-, -NHC6H2(NO2)2O-, -NHC6H3(COOCH3)O-, -NHC10H6O-, -NHC10H5(NO2)O-, -NHC10H4(NO2)2O-, -NHC6H4S-, -NHC6H3(Cl)S-, -NHCH2C6H3(NO2)S-, -NHC6H3(NO2)S-, -NHC6H3(CN)S-, -NHC6H2(NO2)2S-, -NHC6H3(COOCH3)S-, -NHC10H6S-, -NHC10H5(NO2)S-, -NHC10H4(NO2)2S-であり、Mは-Hまたはアルカリ金属塩、Xはアルコキシ基であり、nは整数である)で示される。
【0025】
その製造方法は、
一般式 (X)3SiCnH2nNCO・・・・(2)
(式中Xはアルコキシ基であり、nは整数である)
で示されるトリアルコキシシリルアルキルイソシアナート(例えば、トリアルコキシシリルプロピルイソシアナート)と、
下記一般式(3):
【0026】
【化6】

【0027】
(式中、R2は-SH, -OH, -NHCH2C6H4OH, -NHC6H4OH, -NHC6H3(Cl)OH, -NHCH2C6H3(NO2)OH, -NHC6H3(NO2)OH, -NHC6H3(CN)OH, -NHC6H2(NO2)2O-, -NHC6H3(COOCH3)OH, -NHC10H6OH, -NHC10H5(NO2)OH, -NHC10H4(NO2)2OH, -NHC6H4SH-, -NHC6H3(Cl)SH-, -NHCH2C6H3(NO2)SH-, -NHC6H3(NO2)SH-, -NHC6H3(CN)SH-, -NHC6H2(NO2)2SH-, -NHC6H3(COOCH3)SH-, -NHC10H6SH-, -NHC10H5(NO2)SH-, -NHC10H4(NO2)2SH-であり、Mは-Hまたはアルカリ金属塩である)で示されるトリアジンジチオールとを反応させることにより製造される。ここで、Mは、具体的には、-H, Li, Na, KまたはCe等である。
【0028】
その反応は、例えば、図1に示す反応式のようになる。
【0029】
また、本発明の実施の形態に係る表面反応性固体及び表面反応性固体の製造方法について説明すると、表面反応性固体は、上記一般式(1)で示されるアルコキシシリルトリアジンジチオールを固体表面に付着させたものである。
更に、表面反応性固体の製造方法は、上記一般式(1)で示されるアルコキシシリルトリアジンジチオールを固体表面に付着させた表面反応性固体を製造する方法であって、固体表面に上記一般式(2)で示されるトリアルコキシシリルアルキルイソシアナート(例えば、トリアルコキシシリルプロピルイソシアナート)を付着させ、続いて、該固体表面に上記一般式(3)で示されるトリアジンジチオールを反応させる。
【0030】
ここで、本発明で規定する固体(製品を含む)は、表面にOH基を含有する樹脂、金属及びセラミックスなどからなるフイルム、板、棒、筐体、球などを用いるのが望ましい。 表面にOH基が含有する樹脂とはセルロース、メチル化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、酢酸セルロース、フェノール‐ホルマリン樹脂、ハイドロキノン樹脂、クレゾール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、レゾルシン樹脂、セロファン、メラミン樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、水酸基含有ポリビニルホルマール樹脂、ポリヒドロキシエチルメタアクリレートとその共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレートとその共重合体、ポリビニルアルコールとその共重合体、ポリ酢酸ビニルの表面加水分解物などOH基を固有の官能基として持つ樹脂を意味する。
【0031】
また、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリケトンイミド、ポリブチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン(アイソタクチック及びシンジオタクチック)、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂の表面に通常のコロナ放電処理やプラズマ処理をしてOH基を生成させた樹脂及び製品も有効である。
【0032】
さらに、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリケトンイミド、ポリブチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン(アイソタクチック及びシンジオタクチック)、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂を前記OH含有樹脂溶液に浸漬して表面に吸着させた樹脂及び製品も有効である。
【0033】
さらに加えて、アルカリ性でホルマリン処理してメチロール基を導入した、6‐ナイロン、66‐ナイロン、610ナイロン、芳香族ポリアミド、メラミン樹脂、ポリスチレン、尿素樹脂などの樹脂及び製品も有効である。また、6‐ナイロン、66‐ナイロン、610ナイロン、芳香族ポリアミド、メラミン樹脂、ポリスチレン、尿素樹脂などの樹脂及び製品も有効である。
【0034】
表面OH基を含有する金属とはマグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、鉄、コバルト、スズ、銅、銀、鉛、クロム及びこれらの合金のように、表面が酸化されてOH基を含有する金属を意味する。
【0035】
表面OH基を含有するセラミックスとはMg,Ca, Ba, Ti, Si, Mn, Al, Zn, Sn, Zr, Co,Fe, Ni, Cu, Agなどの酸化物を意味し、これらの一種及び一種以上の混合物からなる。
【0036】
次に、本発明の実施の形態に係る形状転写型及び形状転写型の製造方法について説明する。この形状転写型は、上記の表面反応性固体を具現化したものであり、固体としての母型の表面に上記一般式(1)で示されるアルコキシシリルトリアジンジチオールを付着させ且つ該母型の表面を模写して形成され、その後、該アルコキシシリルトリアジンジチオールに付着させた金属を該アルコキシシリルトリアジンジチオールの分離により他の型材に転写可能にしたものである。
【0037】
詳しくは、図2に示すように、例えば、微細加工形状及び複雑立体形状の母型を、機能性アルコキシシリルトリアジンジチオールの溶液に浸漬することにより、ジチオールトリアジニル基含有の形状転写型とする。
【0038】
ここで、機能性アルコキシシリルトリアジンジチオールの溶液とは、前記機能性アルコキシシリルトリアジンジチオールを水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソパノール、プロピレングリコール、カルビトール、セルソルブなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、安息香酸メチル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチルなどのエステル類、ジブチルエーテル、アニソールなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など溶剤、またはこれらの混合溶媒に溶解して使用する。
【0039】
前記機能性アルコキシシリルトリアジンジチオールの濃度は0.01〜500 g/Lの範囲、望ましくは0.1〜100 g/Lの範囲である。0.1 g/L以下の濃度では希薄すぎて浸漬時間がかかりすぎる。また、100 g/L以上の濃度では付着トリアジントリチオールの除去に時間がかかることと槽外へのトリアジンジチオールの持出量が多くなるので好ましくない。
【0040】
前記の溶液に対して、金属、セラミックス及び樹脂固体及び製品などの母型を0〜150℃で1秒〜100分間、望ましくは20℃〜80℃で1〜20分間である。温度が低いとコピーペイントが反応しがたく、高すぎると溶液の耐久性が問題となる。時間は生産性と効果を考慮して選択される。
【0041】
前記機能性アルコキシシリルトリアジンジチオールが母型(固体及び固体としての製品)表面と反応して単分子薄膜を形成するが、反応を完結させるために、前記浸漬処理後70〜200℃で1秒〜100分間、望ましくは130〜160℃で1〜20分間熱処理をする場合もある。これらの条件範囲の設定は生産性と効果を尺度として決められる。
【0042】
その後、この形状転写型は、例えば、以下のようにして電鋳金型の製造に供せられる。即ち、図2に示すように、この形状転写型を、触媒溶液に浸漬して触媒担持する。さらにこれを無電解金属めっき液に浸漬して、必要に応じ、更に電気めっきして表面の金属化を図る。次に、この金属表面に他の型材(図示せず)を付着させ、最後に、アルコキシシリルトリアジンジチオールを加熱して母型を分離し、金属を他の型材に転写して、この転写した他の型材を電鋳金型とする。
【0043】
詳しくは、触媒担持の工程において、母型(固体及び固体としての製品)表面と反応した機能性アルコキシシリルトリアジンジチオールに無電解金属めっきの触媒機能を与えるために、パラジウム塩、白金塩、銀塩、塩化スズ、アミン錯体などからなる活性化剤水溶液を使用する。この水溶液の触媒は母型表面のSH基部分にパラジウム、白金及び銀塩として化学的に結合するので洗浄しても脱落しない。
【0044】
一般に、Pd-Sn系の触媒が活性化工程で使用されるが、この活性化浴は水にPdCl2とSn Cl2・7H2Oを溶解させて調整する。PdCl2とSnCl2・7H2Oはそれぞれ0.001〜1mol/Lの濃度範囲で溶解して作製し、0〜70℃の温度範囲で1秒〜60分の浸漬時間で使用される。
【0045】
無電解金属めっきの工程においては、Pd‐Sn触媒が担持された母型を無電解めっき浴に浸漬して金属を析出させるが、ここで云う無電解めっき浴とは金属塩と還元剤が主成分であり、これにpH調整剤、緩衝剤、錯化剤、促進剤、安定剤及び改良剤などの補助成分が添加されてなる。
【0046】
無電解めっきできる金属は金、銀、銅、ニッケル、コバルト、鉄、パラジウム、白金、真鍮、モリブデン、タングステン、パーマロイ、スチールなどであり、これらの金属塩が使用される。
【0047】
具体的な金属塩として、AuCN, Ag(NH3)2NO3, AgCN, CuSO4・5H2O, CuEDTA, NiSO4・7H2O, NiCl2, Ni(OCOCH3)2、CoSO4, CoCl2, SnCl2・7H2O、PdCl2など挙げることができ、主に0.001〜1mol/Lの濃度範囲で使用される。
【0048】
還元剤とは上記の金属塩を還元して金属を生成する作用を持つものであり、KBH4, NaBH4, NaH2PO2, (CH3)2NH・BH3, CH2O, NH2NH2, ヒドロキシルアミン塩、N,N-エチルグリシンなどであり、0.001〜1mol/Lの濃度範囲で使用される。
【0049】
以上のような主成分に対して、無電解めっき浴の寿命を延長させたり、還元効率を高める目的で補助成分を加えるが、塩基性化合物、無機塩、有機酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、水酸化アンモニア、EDTA, ジアミノエチレン、酒石酸ナトリウム、エチレングリコール、チオ尿素、トリアジンチオール、トリエタノールアミンなどを0.001〜0.1mol/Lの濃度範囲で使用される。
【0050】
無電解めっきは浴の種類及びめっきの目的などによりめっき条件は異なり明確に範囲指定し難いが、大よそ0〜98℃の温度範囲及び、1分〜300分の浸漬時間で使用される。
【0051】
触媒が担持された配線模様樹脂基盤を無電解めっき浴に浸漬すると、触媒が担持された部分に金属が析出して導電性金属配線模様が出来上がる。この時、触媒は樹脂と化学結合したSH基とイオン結合で結合しているので、金属膜と樹脂は化学結合で連結され、接着強度を発生する。
【0052】
同時に析出した金属の界面(樹脂と接触した部分)は樹脂表面の粗さが転写されるので、Ra:1μmを越えない。また金属膜の表面(空気との接触面)はレベリング剤などの作用により、Ra:1μm付近を維持する。
【0053】
尚、必要に応じ、無電解電鋳皮膜を厚化する場合は短時間で金属膜が成長する電気鍍金を行うことができる。
【0054】
このようにして得られた電鋳金属化母型は電鋳金属薄膜と母型が機能性アルコキシシリルトリアジンジチオール(以下「コピーペイント」とも言う)を介在して化学結合で接着しているが、両者を分離するために100〜300℃で1分〜100分間、望ましくは150〜250℃で5〜30分間加熱する。
【0055】
前記の電鋳金属薄膜と母型はコピーペイントのウレタン結合がイソシアナート基と水酸基に熱分解するため、接着結合が解消されて両者の分離が可能となる。接着結合は母型表面形状を原子、原子団及び分子レベルで正確に模写する上で不可欠であり、コピーペイントの分解も正確に模写した電鋳金属薄膜を得るうえで必要である。
【0056】
次に、本発明の実施の形態に係る別の形状転写型の製造方法について説明する。これは、上記母型を上記一般式(2)で示されるトリアルコキシシリルアルキルイソシアナート(実施の形態では、トリアルコキシシリルプロピルイソシアナートを用いる)の溶液に浸漬反応後、続いて、上記一般式(3)で示されるトリアジンジチオールの溶液に浸漬反応させる。
【0057】
トリアルコキシシリルプロピルイソシアナート溶液とは、トリアルコキシシリルプロピルイソシアナートをアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、安息香酸メチル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチルなどのエステル類、ジブチルエーテル、アニソールなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など非プロトン溶媒でまたはこれらの混合溶媒に溶解して得られる。
【0058】
トリアルコキシシリルプロピルイソシアナートの濃度は0.01〜500 g/Lの範囲、望ましくは0.1〜100 g/Lの範囲である。0.1 g/L以下の濃度では希薄すぎて浸漬時間がかかりすぎる。また、100 g/L以上の濃度では付着トリアジントリチオールの除去に時間がかかることと槽外へのトリアジンジチオールの持出量が多くなるので好ましくない。
【0059】
前記の溶液に対して、金属、セラミックス及び樹脂固体及び製品などの母型の浸漬条件は前記同様に、0〜150℃で1秒〜100分間、望ましくは20℃〜80℃で1〜20分間である。温度が低いとコピーペイントが反応しがたく、高すぎると溶液の耐久性が問題となる。時間は生産性と効果を考慮して選択される。
【0060】
そして、得られたジチオールトリアジニル基含有の形状転写型(固体及び固体としての製品)からは、前記のように触媒担持、金属化及び加熱分離して、電鋳金型を得る。
【0061】
次に、本発明の実施の形態に係るまた別の形状転写型の製造方法について説明する。これは、上記母型を、上記一般式(2)で示されるトリアルコキシシリルアルキルイソシアナート(実施の形態では、トリアルコキシシリルプロピルイソシアナートを用いる)及び上記一般式(3)で示されるトリアジンジチオールの混合溶液に浸漬反応させる。
【0062】
前記混合溶液はトリアルコキシシリルプロピルイソシアナートと前記トリアジンジチオールをアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、安息香酸メチル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチルなどのエステル類、ジブチルエーテル、アニソールなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など非プロトン溶媒でまたはこれらの混合溶媒に溶解して得られる。
【0063】
前記トリアルコキシシリルプロピルイソシアナートと前記トリアジンジチオールの濃度は0.01〜500 g/Lの範囲、望ましくは0.1〜100 g/Lの範囲である。0.1 g/L以下の濃度では希薄すぎて浸漬時間がかかりすぎる。また、100 g/L以上の濃度では付着トリアジントリチオールの除去に時間がかかることと槽外へのトリアジンジチオールの持出量が多くなるので好ましくない。
【0064】
前記トリアルコキシシリルプロピルイソシアナートと前記トリアジンジチオールの混合比はモル比で1が最も望ましい。1より小さくても又多くても、反応効率が減少するので好ましくない。
【0065】
前記の溶液に対して、金属、セラミックス及び樹脂固体及び製品などの母型の浸漬条件は前記同様に、0〜150℃で1秒〜100分間、望ましくは20℃〜80℃で1〜20分間である。温度が低いとコピーペイントが反応しがたく、高すぎると溶液の耐久性が問題となる。時間は生産性と効果を考慮して選択される。
【0066】
そして、得られたジチオールトリアジニル基含有の形状転写型(固体及び固体としての製品)からは、前記のように触媒担持、金属化及び加熱分離して、電鋳金型を得る。
【実施例】
【0067】
次に、本発明の実施例について示す。先ず、参考例を挙げる。
<参考例1〜3>
SUS304板(株式会社ニラコジャパン、SUS‐304 753323、0.1x30x40mm)、エポキシ樹脂基板(味の素ファインテック株式会社 ABF‐GX、30x40x1mm)、およびガラス板(株式会社成瀬理工、スライドガラス、863-14)などの材料板はそれぞれ市販から調達した。エポキシ樹脂基板(30x40x1mm、味の素ファインテック株式会社 ABF‐GX)は鏡面仕上げのSUS304(ニコレ性、Ra:10nm)と重ねて、1kgf/cm2の圧力下で150℃で2分間プレスした後、石鹸水で洗浄、水洗、アルコール洗浄して表面の汚れを除去して使用した。
【0068】
パラフィン(試薬1級)10gをヘキサン1000 mlに溶解し、上記の材料基板を30℃で5分間浸漬後、乾燥して離型処理を行った。これを蒸着装置に入れ、ニッケルを蒸着して表面に導電性を賦与した。これをスルファミン酸ニッケル浴(スルファミン酸ニッケル;400g/dm3, ホウ酸;40g/dm3, pH;4.5)で、2A/dm2の電流密度で55℃、2時間電気鍍金を行い、母型上に厚さおよそ50μmのニッケル電鋳形を作製した。図3に示すように、母型側と電鋳形側に補助材を瞬間接着剤で接着し、島津オートグラフP‐100により5mm/minの引張り速度でせん断剥離強度を求めた。せん断剥離強度を求めた後のニッケル電鋳形及び材料基板の平均表面粗さRaは株式会社レスカ社製Friction Playerによって測定した。
【0069】
<参考例4〜6>
上記のSUS304,ガラス及びエポキシ樹脂基板に直接ニッケルを蒸着し、その後同様にこれをスルファミン酸ニッケル浴(スルファミン酸ニッケル;400g/dm3, ホウ酸;40g/dm3, pH;4.5)で、2A/dm2の電流密度で55℃、2時間電気鍍金を行い、母型上に厚さおよそ50μmのニッケル電鋳形を作製した。せん断剥離強度測定の試料は、図3に示されるように、得られた試料の両側を瞬間接着剤を用いてステンレス板で接着して作製した。
【0070】
図4に示すように、参考例1〜3ではパラフィン離型剤を使用しているため、せん断剥離強度は低いが、得られた電鋳形の表面粗さRaはパラフィン離型剤膜の形状の影響を受けて、母型の平均粗さよりかなり高くなる。さらに、参考例4〜6のように母型に直接蒸着すると、一般にせん断接着強度が高くなり、剥離しなくなる。剥離しても表面粗さは著しく高くなる。
【0071】
<実施例1〜3>
参考例1〜3のように十分に表面洗浄したSUS304板(0.1x30x40mm)、エポキシ樹脂基板(30x40x1mm)、およびガラス板(30x40x1mm)などの母型板を6‐トリエトキシシリルプロピルチオウレチル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール[(SH)2C3N3SCONHC3H6Si(OC2H5)3, mp:165℃]の5%エタノール溶液に20℃で5分間浸漬して、コピーペイントをコピーコートする。その後、母型板は150℃で10分間加熱し、エタノールで十分に洗浄してジチオールトリアジニル基導入処理を行う。ジチオールトリアジニル基表面含有母型板は触媒処理液(上村工業株式会社, NP‐8 150ml/lとHCl 150ml/lを混合して調整)に25℃で1分間浸漬、そして1%硫酸水溶液洗浄をしてPd触媒担持を行う。次いで、カニゼン株式会社のシュマー無電解ニッケル-リン浴(硫酸ニッケル20g/dm3, ジ亜燐酸ソーダー24g/dm3, 乳酸27g/dm3, プロピオン酸2g/dm3)に65℃で20分間浸漬して母型表面の導電化を行った。さらに、これをスルファミン酸ニッケル浴(スルファミン酸ニッケル;400g/dm3, ホウ酸;40g/dm3, pH;4.5)で、2A/dm2の電流密度で55℃、2時間電気鍍金を行い、母型上に厚さおよそ50μmのニッケル電鋳形を作製した。図3のように母型側と電鋳形側に補助材を瞬間接着剤で接着し、島津オートグラフP-100により5mm/minの引張り速度でせん断剥離強度を20℃と80℃で求め、母型と電鋳Ni形間のコピーペイントが分解しているかどうか調べた。せん断剥離強度を求めた後のニッケル電鋳形及び材料基板の平均表面粗さRaは株式会社レスカ社製Friction Playerによって測定した。結果を図5に示す。
【0072】
実施例1〜3から分かるように、電鋳Ni形はSUS304, ガラス及びエポキシ樹脂の母型材の粗さRaを高い精度で転写していることが分かる。コピーぺイントを用いると20℃でのせん断強度はいずれも高いが、80℃以上では著しく低いせん断強度を示し、コピーペイントが80℃以上で分解していることが分かる。
【0073】
参考例1〜3のように十分に表面洗浄したSUS304板(0.1x30x40mm)、エポキシ樹脂基板(30x40x1mm)、およびガラス板(30x40x1mm)などの母型板を6‐トリエトキシシリルプロピルウレチルフェニルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール[(SH)2C3N3SCONHC3H6Si(OC2H5)3, mp:245℃]の5%エタノール溶液に20℃で5分間浸漬して、コピーペイントをコピーコートする。その後、母型板は150℃で10分間加熱し、エタノールで十分に洗浄してジチオールトリアジニル基導入処理を行う。ジチオールトリアジニル基表面含有母型板は触媒処理液(上村工業株式会社, NP‐8 150ml/lとHCl 150ml/lを混合して調整)に25℃で1分間浸漬、そして1%硫酸水溶液洗浄をしてPd触媒担持を行う。次いで、カニゼン株式会社のシュマー無電解ニッケル-リン浴(硫酸ニッケル20g/dm3, ジ亜燐酸ソーダー24g/dm3, 乳酸27g/dm3, プロピオン酸2g/dm3)に65℃で20分間浸漬して母型表面の導電化を行った。さらに、これをスルファミン酸ニッケル浴(スルファミン酸ニッケル;400g/dm3, ホウ酸;40g/dm3, pH;4.5)で、2A/dm2の電流密度で55℃、2時間電気鍍金を行い、母型上に厚さおよそ50μmのニッケル電鋳形を作製した。図3のように母型側と電鋳形側に補助材を瞬間接着剤で接着し、島津オートグラフP‐100により5mm/minの引張り速度でせん断剥離強度を20℃と80℃で求め、母型と電鋳Ni形間のコピーペイントが分解しているかどうか調べた。せん断剥離強度を求めた後のニッケル電鋳形及び材料基板の平均表面粗さRaは株式会社レスカ社製Friction Playerによって測定した。結果を図5示す。
【0074】
実施例4〜6から分かるように、電鋳Ni形はSUS304, ガラス及びエポキシ樹脂の母型材の粗さRaを高い精度で転写していることが分かる。コピーペイントを用いると20℃でのせん断強度はいずれも高いが、80℃以上では著しく低いせん断強度を示し、コピーペイントが80℃以上で分解していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態に係るアルコキシシリルトリアジンジチオールの一例及びその製造に係る反応式を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る表面反応性固体としての形状転写型の一例を示すとともにその後の電鋳金型の製造工程を示す図である。
【図3】本発明の実施例の試験に係る試験片の状態を示す図である。
【図4】参考例に係る試験結果を示す表図である。
【図5】本発明の実施例についての試験結果を示す表図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
【化1】

(式中、R1は-S-, -O-, -NHCH2C6H4O-, -NHC6H4O-, -NHC6H3(Cl)O-, -NHCH2C6H3(NO2)O-, -NHC6H3(NO2)O-, -NHC6H3(CN)O-, -NHC6H2(NO2)2O-, -NHC6H3(COOCH3)O-, -NHC10H6O-, -NHC10H5(NO2)O-, -NHC10H4(NO2)2O-, -NHC6H4S-, -NHC6H3(Cl)S-, -NHCH2C6H3(NO2)S-, -NHC6H3(NO2)S-, -NHC6H3(CN)S-, -NHC6H2(NO2)2S-, -NHC6H3(COOCH3)S-, -NHC10H6S-, -NHC10H5(NO2)S-, -NHC10H4(NO2)2S-であり、Mは-Hまたはアルカリ金属塩、Xはアルコキシ基であり、nは整数である)で示されるアルコキシシリルトリアジンジチオール。
【請求項2】
一般式 (X)3SiCnH2nNCO・・・・(2)
(式中Xはアルコキシ基であり、nは整数である)
で示されるトリアルコキシシリルアルキルイソシアナートと、
下記一般式(3):
【化2】

(式中、R2は-SH, -OH, -NHCH2C6H4OH, -NHC6H4OH, -NHC6H3(Cl)OH, -NHCH2C6H3(NO2)OH, -NHC6H3(NO2)OH, -NHC6H3(CN)OH, -NHC6H2(NO2)2O-, -NHC6H3(COOCH3)OH, -NHC10H6OH, -NHC10H5(NO2)OH, -NHC10H4(NO2)2OH, -NHC6H4SH-, -NHC6H3(Cl)SH-, -NHCH2C6H3(NO2)SH-, -NHC6H3(NO2)SH -, -NHC6H3(CN)SH-, -NHC6H2(NO2)2SH-, -NHC6H3(COOCH3)SH-, -NHC10H6SH-, -NHC10H5(NO2)SH-, -NHC10H4(NO2)2SH-であり、Mは-Hまたはアルカリ金属塩である)で示されるトリアジンジチオールとを反応させることを特徴とする上記一般式(1)で示されるアルコキシシリルトリアジンジチオールの製造方法。
【請求項3】
上記一般式(1)で示されるアルコキシシリルトリアジンジチオールを固体表面に付着させたことを特徴とする表面反応性固体。
【請求項4】
上記一般式(1)で示されるアルコキシシリルトリアジンジチオールを固体表面に付着させた表面反応性固体を製造する方法であって、
固体表面に上記一般式(2)で示されるトリアルコキシシリルアルキルイソシアナートを付着させ、続いて、該固体表面に上記一般式(3)で示されるトリアジンジチオールを反応させることを特徴とする表面反応性固体の製造方法。
【請求項5】
母型の表面に上記一般式(1)で示されるアルコキシシリルトリアジンジチオールを付着させ且つ該母型の表面を模写して形成され、その後、該アルコキシシリルトリアジンジチオールに付着させた金属を該アルコキシシリルトリアジンジチオールの分離により他の型材に転写可能にしたことを特徴とする形状転写型。
【請求項6】
上記金属はアルコキシシリルトリアジンジチオールを介して母型に電着されるとともに、該金属は上記アルコキシシリルトリアジンジチオールの加熱分離により他の型材に転写されることを特徴とする請求項5記載の形状転写型。
【請求項7】
上記請求項5または6記載の形状転写型を製造する方法であって、
上記母型を上記一般式(2)で示されるトリアルコキシシリルアルキルイソシアナートの溶液に浸漬反応後、続いて、上記一般式(3)で示されるトリアジンジチオールの溶液に浸漬反応させることを特徴とする形状転写型の製造方法。
【請求項8】
上記請求項5または6記載の形状転写型を製造する方法であって、
上記母型を、上記一般式(2)で示されるトリアルコキシシリルアルキルイソシアナート及び上記一般式(3)で示されるトリアジンジチオールの混合溶液に浸漬反応させることを特徴とする形状転写型の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−131580(P2007−131580A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−326764(P2005−326764)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(504165591)国立大学法人岩手大学 (222)
【Fターム(参考)】