説明

アルコール摂取症状を軽減するための方法

本発明は、アルコール摂取症状の軽減ならびにアルコール摂取関連症状の予防を必要とする対象における、アルコール摂取症状の軽減ならびにアルコール摂取関連症状の予防についての方法ならびにメタドキシンおよびその生理学上適合する活性誘導体の組成物、さらにそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、アルコール摂取症状の軽減ならびにアルコール摂取関連症状の予防を必要とする対象における、アルコール摂取症状の軽減ならびにアルコール摂取関連症状の予防についての方法ならびにメタドキシンおよびその生理学上適合する機能的誘導体の組成物、さらにそれらの使用に関する。
【0002】
発明の背景
社会的飲酒(酩酊にならないアルコールの摂取)は、多様な文化における社会規範であり、人々をともにより自由にかつ容易に社会化させる良好な慣例と長年考えられてきた。飲酒は多くの人々をリラックスさせ、パーティー前やパーティー中、バーまたはレストランで、食事中、そして家族や友人との飲酒は総て、酩酊に達しないようにアルコール摂取が維持される場合には、社会的飲酒の範囲内であると考えられる行為である。
【0003】
常習的な場合が多いより過度または重大な飲酒形態は、飲酒者や飲酒者の影響を受ける他の人に有害である可能性がある。例えば、酔うまたは酩酊する目的での飲酒、飲酒運転、精神運動協調性および言語の喪失、ブラックアウト、嘔吐、アルコール中毒ならびに関連死が、社会的飲酒の範囲に入らない飲酒の有害な症状および影響と見なされる。過度のアルコール摂取のこれらおよび他の影響または結果を避けることが望ましいであろう。
【0004】
さらに、アルコール中毒は、世界的に一般集団に共通の問題である。アルコール中毒およびアルコール依存症は、様々な医学的問題に関与しており、それらは新時代の流行病の一部と考えられている。それらのうち、最も認められているものはアルコール性肝疾患、一次的および二次的栄養失調、ならびにニューロン損傷であり、多くの場合には死に至る。
【0005】
アルコール依存症の薬物治療的態様には、異なる作用および目的を有する薬物の使用がある。メタドキシンは、顕著なアルコール排除能を有するピリドキシン−ピロリドンカルボキシレート(ピリドキソール L,2−ピロリドン−5 カルボキシレートまたはピリドキシン 5−オキソ−2−ピロリドン−カルボキシレートとしても知られている)であり、急性アルコール酩酊、中毒、およびある特定の急性アルコール症候群を治療するために用いられている(Addolorato et al., Int. J. Immunopathol. Pharmacol. (2003) 16:207-214に総説されている)。長期データにより、メタドキシンは、ヒトが使用しても安全であることが示されている。
【0006】
メタドキシンは、肝臓の機能構造を回復させる手助けをして、血液および組織からのアルコールの排除を加速することができ、慢性アルコール酩酊および関連症候群に関連する神経心理学的障害を緩和することができる。動物研究では、メタドキシンは、エタノールの血漿クリアランスおよび尿中排泄を増加し、慢性アルコール摂取中に肝臓での脂肪酸エステルの生産増加を阻害し、酸化的ストレスを減少し、肝組織でのグルタチオン枯渇を妨げた(Antonelli et al., Pharmacol. Res. Commun. (1984) 16:189-197)。脳では、メタドキシンは、モルモットの前頭頭頂葉皮質のGABAおよびアセチルコリンのレベルを増加した。
【0007】
メタドキシンは、ピロリドンカルボキシレート(PCA)とピリドキシン(ビタミンB6)とのイオン対であり、これらの2つの化合物は塩化により単一生成物として結合している。PCAとの対合により、ピリドキシンの薬理学的活性は相乗的に増加する(例えば、米国特許第4,313,952号参照)。メタドキシンは、水や胃液に溶けやすい。この薬物の経口吸収は速く、高バイオアベイラビリティである(60〜80%)。ヒト血清中でのメタドキシンの半減期は短く(40〜60分)、経口投与と静脈内投与では認めうるほどの違いはない(Addolorato et al., 前掲; Lu Yuan et al., Chin. Med. J. 2007 120(2) 160-168)。
【0008】
メタドキシンは、500mg錠剤および300mg注射剤の形で処方薬としていくつかの国で販売されている。錠剤には、500mgのメタドキシン、微晶質セルロースおよびステアリン酸マグネシウムが含まれる。アンプルには、300mgのメタドキシン、メタ重亜硫酸ナトリウム、EDTAナトリウム、p−ヒドロキシ安息香酸メチルおよび水が含まれる。
【0009】
血流中においてエタノールの最大レベルは飲酒の30〜60分後に現れる。エタノールの吸収が速いため、胃洗浄はエタノール過剰摂取に対して効果がない。エタノールは水に混和できるため、エタノールは水を多く含む組織、例えば脳へと導かれ、そこでエタノールはよく知られた症状を引き起こす。普通のアルコール飲料は、血中エタノールレベルを約20mg/dlに増加し、それは一般に代謝され、約1時間内に除去される。大量飲酒者におけるアルコール−デヒドロゲナーゼ(ADH)のアップレギュレーションは、エタノールクリアランスを1時間当たり約30mg/dlに増加し得る。
【0010】
よって、アルコールレベルを迅速に低下させ、いかなるタイプの飲酒においてもアルコール摂取後に正気を迅速に回復させることができるか、あるいは特に酩酊レベルにはまだ達していないかまたは慢性アルコール性関連症候群の症状を呈していない対象において、アルコール摂取の症状を軽減または予防する、方法および組成物が必要である。例えば、いかなる量のアルコールでも社会的飲酒中または社会的飲酒直後に行うことができ、合法的に運転できるほどに飲酒者が迅速に酔いが覚め得るようにする治療を有することが望ましいであろう。また、急性および慢性アルコール酩酊ならびに関連疾患、例えばアルコール依存症のよりよい治療および予防も必要である。
【0011】
発明の概要
本発明は、メタドキシン組成物を投与することによる、アルコール摂取の影響を軽減または予防するための様々な方法を提供することによって、上述した1以上の問題を解決する。持続または制御放出のために処方された、所望により即時放出性成分も含むメタドキシン組成物、および本発明のかかる持続または制御放出性メタドキシン処方物を使用するための方法も提供される。
【0012】
よって、ある特定の態様では、本発明は、アルコール摂取の症状または影響の軽減または予防を必要とする、好ましくは酩酊にはまだ達していない対象において、アルコール摂取の症状または影響を軽減または予防するための方法であって、メタドキシンを含んでなる組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0013】
ある特定の態様では、本発明は、アルコール酩酊の予防を必要とする対象において、アルコール酩酊を予防するための方法であって、メタドキシンを含んでなる組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0014】
ある特定の態様では、本発明は、血中アルコールレベルの低下または消滅を必要とする、好ましくは酩酊にはまだ達していない対象において、血中アルコールレベルを低下または消滅させるための方法であって、メタドキシンを含んでなる組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0015】
ある特定の他の態様では、本発明は、持続放出または制御放出のために処方されたメタドキシンを含んでなる組成物を提供する。いくつかの態様では、本発明は、メタドキシンを含んでなる組成物であって、メタドキシンの一部が持続または制御放出のために処方され、かつメタドキシンの一部が即時放出のために処方された組成物を提供する。
【0016】
よって、上記の本発明の方法の様々な実施形態のいずれにおいても、前記組成物は、即時放出、持続放出、制御放出、または前述のもののいずれかの組合せのために処方されたメタドキシンを含んでなってよい。上記方法の様々な実施形態のいずれにおいても、前記投与は非慢性的投与である。さらに、メタドキシンは、本明細書に記載の生理学上適合するメタドキシン誘導体からなってよくまたは本明細書に記載の生理学上適合するメタドキシン誘導体を含んでなってもよい。
【0017】
ある特定の他の態様では、本発明は、血液中のメタドキシンの平均tmaxの延長を必要とする対象の血液中のメタドキシンの平均tmaxを延長するための方法であって、持続放出または制御放出のために処方された、所望により即時放出のために処方された一部のメタドキシンを含む本発明のメタドキシン組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0018】
ある特定の態様では、本発明は、本明細書に記載の本発明の各方法を実行するために、例えば、アルコール摂取の症状または影響を軽減または予防するために;アルコール酩酊を予防するために;対象において血中アルコールレベルを低下または消滅させるために、またはとりわけ対象の血液中のメタドキシンの平均tmaxを延長するために有用な治療組成物の製造における本発明の組成物のいずれか1つの使用を提供する。
【0019】
本明細書に記載のメタドキシン組成物の様々な実施形態(例えば、即時放出、持続放出、制御放出、または前述のもののいずれかの組合せのために処方されたメタドキシン)のいずれにおいても、メタドキシンは、本明細書に記載の生理学上適合するメタドキシン誘導体からなってよくまたは本明細書に記載の生理学上適合するメタドキシン誘導体を含んでなってもよい。ある特定の実施形態では、メタドキシン組成物は、非慢性的投与のために、好ましくは非侵襲的投与のために処方される。
【0020】
本発明はまた、本発明のメタドキシン組成物を含んでなる送達装置およびキット、ならびにアルコール摂取関連症状の治療または予防におけるそれらの使用方法にも提供する。キットは、所望により、メタドキシン組成物の投与前、投与中または投与後に血中アルコール濃度(BAC)レベルを測定またはモニタリングするための手段を含んでいてよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例2〜3に記載の本発明の特定メタドキシン組成物の放出速度のグラフである。このグラフは、メタドキシンの即時放出性処方物と緩慢放出性処方物との違いを示している。経過時間(時間)に対するメタドキシン放出量(%)。
【図2】実施例4〜6に記載の異なるポリマーを用いて調製した様々な緩慢放出性メタドキシン処方物の例示的な溶解速度を示す図である。経過時間(時間)に対するメタドキシン放出量(%)。
【図3】実施例13に記載の即時放出性処方物および緩慢放出性処方物の投与後の3頭のブタにおけるメタドキシン平均血清レベルを示す図である。経過時間(時間)に対するメタドキシン平均血清レベル(マイクログラム(mcg)/ml)。
【図4】実施例13に記載の緩慢放出性メタドキシン処方物(250mg)および2倍用量の(500mg)緩慢放出性メタドキシン処方物の投与後の3頭のブタにおけるメタドキシン平均血清レベルを示す図である。経過時間(時間)に対するメタドキシン平均血清レベル(mcg/ml)。
【0022】
発明の説明
定義
便宜上、本明細書、実施例、および添付の実施形態に使用する特定の用語をここに集めている。特に、定義しない限り、本明細書に用いる総ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の通常の技術者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0023】
本明細書において、数を限定しない用語は1つまたは2つ以上(すなわち少なくとも1つ)のものを指すように用いられる。例として、「要素」とは、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0024】
「を含む」という用語は、本明細書において、「を含むが限定されるものではない」というフレーズを意味するように用いられ、同義的に用いられる。
【0025】
「または」という用語は、本明細書において、文脈上明示しない限り、「および/または」という用語を意味するように用いられ、同義的に用いられる。
【0026】
「例えば」という用語は、本明細書において、「例えば限定されるものではないが」というフレーズを意味するように用いられ、同義的に用いられる。
【0027】
「予防的」または「治療的」処置という用語は、本発明の組成物の1種以上の対象への投与を指す。処置が望ましくない状態(例えば、宿主動物の病気または他の望ましくない状態)の臨床症状の前に行われる場合には、その処置は予防のためである、すなわちその処置は予防、すなわち望ましくない状態の発現に対する対象の保護に貢献するのに対し、望ましくない状態の症状後に行われる場合には、その処置は治療のためである(すなわちその処置は望ましくない状態またはその副作用の進行を軽減、改善または予防するように意図されている)。
【0028】
「治療効果」という用語は、薬理的活性物質または物質群によってもたらされる、動物、特に哺乳類、より特にはヒトにおける局所的または全身的効果を指す。よって、この用語は、病気の診断、治癒、緩和、治療または予防における使用あるいは動物またはヒトにおける望ましい身体的または精神的発達および状態の強化における使用を目的とするいかなる物質をも意味する。「治療上有効な量」という用語は、任意の処置に適用される妥当なベネフィット/リスク比で何らかの望ましい局所的または全身的効果をもたらすような物質の量を意味する。ある特定の実施形態では、化合物または組成物の治療上有効な量はその治療係数、溶解度などによって決まる。例えば、本発明のある特定のメタドキシン処方物は、当業者により決定され得る、選択した処置に適用される妥当なベネフィット/リスク比をもたらすのに十分な量で投与してよい。
【0029】
「有効な量」という用語は、適当な用量およびレジメンで対象に投与した場合に、少なくとも1つの望ましい結果をもたらす治療用薬剤の量を指す。
【0030】
本発明の方法により治療される「対象」または「患者」とは、ヒトまたは非ヒト動物のいずれか、好ましくは哺乳類を意味し得る。
【0031】
本明細書を通じて、「を含む」または「を含んでなる」という語は、規定の整数または整数群を含むことを意味し、その他の整数または整数群を排除することを意味しないと理解する。
【0032】
「生物学的に利用可能な」という用語は、特定の化合物が体循環中に少なくとも何らかの量で存在することを意味する。経口バイオアベイラビリティの正式の計算はF値に関して記載されている("Fundamentals of Clinical Pharmacokinetics," John G. Wegner, Drug Intelligence Publications; Hamilton, 111. 1975)。F値は、静脈内投与後の体循環(例えば、血漿)中の親薬物の濃度の、非静脈内経路による(例えば、経口)投与後の体循環中の親薬物の濃度に対する比から得られる。よって、本発明の範囲に入る経口バイオアベイラビリティは、静脈内投与と比較した、経口投与後に血漿中に検出可能な親薬物の量の比またはF値を検討する。
【0033】
「治療すること」または「治療」という用語は、哺乳類、例えばヒトにおける状態、疾患または障害の少なくとも1つの症状を緩和または軽減すること、あるいは状態、疾患または障害に関連する、確かめることができる測定値の改善を指す。
【0034】
本明細書における「メタドキシン」という用語は、ピロリドンカルボキシレート(PCA)とピリドキシン(ビタミンB6)とのイオン対であり、これらの2つの化合物が塩化により単一生成物として結合している、現在知られている入手可能な形態のメタドキシンを指す。
【0035】
本明細書における「メタドキシン」という用語はまた、ピリドキシン(ビタミンB6)と安定に結合しているいかなる活性型ピロリドンカルボキシレート(PCA)をも指し、包含するように意図されている。PCAとピリドキシンとの安定した結合は非共有的であってよく、例えば塩結合、または他の静水力もしくは静電気力によるものであってよい。他のケースでは、共有結合により、例えば、リンカーまたはメタドキシン活性が保持されるPCAとピリドキシンとの他の化学結合によって安定した結合が達成されていてよい。当業者ならば標準的なメタドキシンアッセイによりそのような複合体の生物活性を試験することができるであろう。
【0036】
メタドキシンに関して「許容される誘導体」という用語は、対象への投与後に、メタドキシンまたはその代謝産物もしくは機能的残基、あるいは測定可能なメタドキシン活性を(直接または間接的に)提供することができる、メタドキシンのいかなる塩、コンジュゲート、エステル、複合体もしくは他の化学的誘導体もまたはそれを含んでなるいかなる部分をも指す。「生理学上適合するメタドキシン誘導体」という用語は、本明細書においては「許容される誘導体」という用語と同義的に用いられ、メタドキシンの機能的で活性な薬学上許容される誘導体を指す。
【0037】
「賦形剤」という用語は、処方物において有効成分の担体として用いられる不活性物質を指す。
【0038】
「制御放出」という用語は、長期間制御された速度で薬剤を送達する、望ましい薬剤レベルプロフィールを達成するよう設計されたいかなる処方物をも指す。
【0039】
「持続放出」という用語は、長期間にわたって活性物質の漸次放出を与え、ある特定の実施形態では長期間にわたって実質的に一定な血液レベル、すなわち制御放出もさらにもたらし得る処方物を指すようにその従来の意味において用いられる。
【0040】
「即時放出」という用語は、投与後に活性物質の非遅延放出または制御放出を与える処方物を指すようにその従来の意味において用いられる。
【0041】
物質の「半減期」という用語は、物質がその薬理学的活性、生理学的活性、または他の活性の半分を失うまでにかかる時間である。生物学的半減期は重要な薬物動態パラメーターであり、通常略語t1/2で示される。
【0042】
「非侵襲的」という用語は、皮膚を穿刺しない処置様式を指す。
【0043】
「非慢性的投与」という用語は、本明細書においては「急性投与」という用語と同義的に用いられ、対象に非定期的に測定または非測定量の薬物または一部を与えることを指す。非慢性的投与は単回投与処置または複数回投与処置であってよく、所望により経時的に行ってよい。必ずしもそうではないが一般に、非慢性的投与は、非慢性状態を治療または予防するために行われる。本明細書に記載のメタドキシン組成物の非慢性的投与によってある特定の慢性状態も利益を享受し得る。
【0044】
「慢性的投与」という用語は、対象に定期的に測定量の薬物を与えることを指す。いくつかの実施形態では、慢性的投与は、1以上の慢性状態または疾患を治療または予防することである。慢性疾患は次の特徴のうちの1つ以上を有する:永続的である、後遺障害を残す、不可逆的病理学的変化に起因する、リハビリテーションのために患者の特別なトレーニングを必要とする、または長期の管理、観察、もしくはケアを必要とすると思われる。
【0045】
「単回投与処置」という用語は、1回に服用すべき測定量の薬物を与えることを指す。単回投与処置は、個人的な必要に応じて不定期に非慢性状態を治療するために行われる。
【0046】
「アルコール依存症」という用語は、最も重篤な一飲酒問題群である、アルコール依存症候群として知られている原発性慢性疾患を指す。アルコール依存症は進行性疾患と考えられ、飲酒の症状および影響が時間とともにますます重篤化することを意味している(Morse R. et al., JAMA 268(8):1012-4 (1992))。
【0047】
「アルコール中毒」という用語は、アルコール関連の身体的、社会的、精神的、または職業的問題にもかかわらず繰り返される飲酒を指す(「精神疾患の診断・統計マニュアル、IV」(The Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, IV))。アルコール中毒がアルコール依存段階に達すると、その人は耐性、離脱、および抑えられない飲酒衝動も経験し得る。
【0048】
当技術分野で認められているアルコール摂取症状には、中枢神経系の活動低下、筋緊張弛緩、微細運動協調失調、よろめき「酩酊」歩行、「光沢のある」ように見える眼、刺激に対する反応が遅い可能性がある瞳孔、縮小している可能性がある瞳孔、心拍数の低下、血圧および呼吸数の低下、反射応答の減少、反応時間の遅延、触れると冷たい可能性がある皮膚(しかし酒愛用者は暖かく感じる可能性がある)、多量の発汗、微細運動協調失調、または呼気からのアルコール臭:が含まれる。アルコール摂取症状およびアルコール酩酊の診断基準には、「精神疾患の診断・統計マニュアルDSM−IV」(the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders DSM-IV)、例えば、第303.00項アルコール酩酊の診断基準(section 303.00 Diagnostic Criteria for Alcohol Intoxication)に記載されているものがある。
【0049】
本明細書における「アルコール酩酊」という用語は、人が摂取するアルコールの量がその個人のアルコール耐性を超え、飲酒中または飲酒直後のいずれかに、臨床的に重要な精神的、行動的または身体的異常、例えば不適当な攻撃性、ならびに判断力および社会的機能の低下がもたらされるという状況を指す。アルコール酩酊の次の徴候または症状のうちの1つ以上が飲酒直後に起こる:(1)不明瞭な発語;(2)運動協調障害;(3)不安定歩行;(4)眼振(一方向への対象の円滑追跡と反対方向への衝動性運動を特徴とする不随意で不規則な眼球運動);(5)不注意および/または記憶障害;ならびに(6)昏迷または昏睡(「精神疾患の診断・統計マニュアル第4版(DSM−IV)」、第303.00項(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition, (DSM-IV) 303.00)参照)。
【0050】
正気、酩酊、アルコール中毒、アルコールが関連した攻撃性またはアルコール依存症は、1以上の当技術分野で認められている試験、例えば精神運動試験、血清アルコールレベル試験、例えば一般に認められている吸入試験、「精神疾患の診断・統計マニュアル、第4版(DSM−IV)」(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition, (DSM-IV))、Alcohol Abstinence Self-Efficacy Scale (AASE; DiClemente, Carbonari, Montgomery, and Hughes, 1994)、Barratt Impulsiveness Scale-11 (BIS-11; Barratt, 1994)、State-Trait Anger Expression Inventory-2 (STAXI-2; Spielberger, 1999)、Conflict Resolution, Impulsivity and Aggression Questionnaire (CRIAQ; Honess, Maguire, and Vanstone, 2001)、Social Problem-Solving Inventory-Revised (SPSI-R; D'Zurilla, Nezu, and Maydeu-Olivares, 2002)、Alcohol-Related Aggression Questionnaire (ARAQ; McMurran, Egan, Austin, and Charlesworth, under review)、またはThe Alcohol Use Disorders Identification Test (AUDIT; Saunders, Aasland, Babor, et al., 1993)によって測定し得る。体内のアルコールレベルは、尿、血液、呼気または唾液で測定し得る。
【0051】
人によって酩酊にならずに耐え得る血中アルコールレベルは幅広く異なる。この範囲は0.3〜1.5mg/mlくらいであり得るが、米国の多くの州では合法的に運転するための正気レベルは0.8mg/mlと設定されている(DSM−IV、第303.00節;前掲)。著しい行動的変化が現れたりまたは法的限界よりはるかに低い血中アルコール濃度(Blood Alcohol Concentration)(BAC)で酩酊になったりする酒愛用者もいる。この状態は「アルコール特異体質による酩酊(Alcohol Idiosyncratic Intoxication)」または「病的酩酊(Pathological Intoxication)」として知られている(DSM−IV、第291.9項)
しかしながら、一般に、次の症状はBACレベルの上昇と関連している:
・0.02〜0.03 BAC:協調失調なし、軽い陶酔感および恥じらいの喪失。抑制作用は見られない。
・0.04〜0.06 BAC:幸福感、弛緩、抑制低下、温熱感覚。陶酔感。推論および記憶についての何らかの軽度障害、注意の低下。
・0.07〜0.09 BAC:平衡、発語、視覚、反応時間、および聴覚についての軽い障害。陶酔感。判断力および自制心が低下し、注意、推察力および記憶に障害がある。
・0.10〜0.125 BAC:著しい運動協調障害および的確な判断力の喪失。発語が不明瞭であることがあり;平衡、視覚、反応時間および聴覚に障害が出る。陶酔感。この酩酊レベルで自動車を運転することは違法である。
・0.13〜0.15 BAC:大きな運動障害および身体的制御不能。かすみ目および大きな平衡感覚喪失。陶酔感が減少し、不快(心配、不穏状態)が生じ始める。
・0.16〜0.20 BAC:不快が主に生じ、悪心も生じることがある。飲酒者は「泥酔者(sloppy drunk)」と見える。
・0.25 BAC:飲酒者は歩行に補助が必要である;総合的精神錯乱。悪心および時に嘔吐を伴う不快。
・0.30 BAC:意識喪失。
・0.40以上 BAC:昏睡の発症、呼吸停止による死亡の可能性。
【0052】
「社会的飲酒」という用語は、通常酩酊になるところまで達する(すなわちアルコール酩酊に達する)意図がない安全で、合法的で社会的に許容される方法でのアルコールの摂取を指す。酩酊に至らせる血中アルコール量は各個人により大きく異なるが、定量飲料3杯以下(または血中アルコールレベル最大0.05%)は、一般的に社会的飲酒の範囲内であると考えられる。
【0053】
「会期的飲酒(session drinking)」という用語は、単一期間または会合中の、泥酔する意図がない多量飲酒を指す。機会の社会的側面に焦点を合わせている。
【0054】
「多量飲酒」という用語は、酩酊するためだけの飲酒を指し、多量飲酒が社会的状況に適応することはかなりよくあり、社会的飲酒と多量飲酒にはある程度重複が生じる。ある特定の実施形態では、多量飲酒は、1回の飲酒の機会に女性が4杯摂取し、男性が5杯摂取することを指す。飲酒の機会は最大5時間または7時間続くことがあるため、多くのそのような多量飲酒者は決して酩酊にはならない。
【0055】
「tmax」という用語は、ピーク濃度に達するまでの時間を指す。単回投与後に最大濃度が生じる時間の計算を式:
【数1】

(式中、λαおよびλはそれぞれ見かけの吸収および排出速度定数である。)
に従って行う。
【0056】
メタドキシン組成物を用いる治療および予防方法
ある特定の実施形態では、本発明は、アルコール摂取の症状または影響の軽減または予防を必要とする、とりわけ酩酊にはまだ達していない対象において、アルコール摂取の症状または影響を軽減または予防するための方法であって、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物を投与することを含む方法を提供する。ある特定のかかる実施形態では、前記方法は、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物の非慢性的投与を含む。
【0057】
ある特定の実施形態では、本発明は、アルコール酩酊の予防を必要とする対象において、アルコール酩酊を予防するための方法であって、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物を投与することを含む方法を提供する。ある特定のかかる実施形態では、前記方法は、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物の非慢性的投与を含む。ある特定の実施形態では、酩酊を予防するための方法は、対象の、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物での治療を含み、この場合、該対象は、1回の飲酒会合中に酩酊に既に達したが、その後酩酊までいかないレベルまで酔いがさめた。
【0058】
ある特定の実施形態では、本発明は、アルコール依存症の予防を必要とする、とりわけ急性アルコール中毒ではない対象において、アルコール依存症を予防するための方法であって、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0059】
ある特定の実施形態では、本発明は、アルコール依存症の進行の遅延を必要とする、とりわけ急性アルコール中毒ではない対象において、アルコール依存症の進行を遅延するための方法であって、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0060】
ある特定の実施形態では、本発明は、血中アルコールレベルの低下または消滅を必要とする、とりわけ酩酊にはまだ達していない対象において、血中アルコールレベルを低下または消滅させるための方法であって、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物を投与することを含む方法を提供する。ある特定のかかる実施形態では、前記方法は、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物の非慢性的投与を含む。
【0061】
ある特定の実施形態では、本発明は、血液中のメタドキシンの平均tmaxの延長を必要とする対象の血液中のメタドキシンの平均tmaxを延長するための方法であって、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物を投与することを含み、とりわけ該組成物が、持続または制御放出のために全部または一部が処方されたメタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる方法を提供する。ある特定のかかる実施形態では、前記方法は、持続または制御放出のために全部または一部が処方されたメタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物の非慢性的投与を含む。本発明のある特定の実施形態では、対象の血液中のメタドキシンの平均tmaxが50%、100%、150%、200%、300%、400% 500%以上延長される。
【0062】
ある特定の実施形態では、本願は、血液または血清中のメタドキシンの半減期(t1/2)の延長を必要とする対象の血液または血清中のメタドキシンの半減期(t1/2)を延長するための方法であって、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物を投与することを含み、とりわけ該組成物が、持続放出または制御放出のために全部または一部が処方されたメタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなり、所望により即時放出のために処方された一部のメタドキシンを含む方法を提供する。本発明のある特定の実施形態では、対象の血液または血清中のメタドキシンのt1/2が50%、100%、150%、200%、300%、400% 500%以上延長される。
【0063】
本発明のある特定の実施形態では、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体は、酒気の即時軽減および正気の回復を必要とする対象において、酒気を即時軽減し、正気を回復するために用いられる。いくつかの実施形態では、前記対象は、アルコール酩酊レベルには達していない。かかる即時軽減は、様々な危険、特に自動車事故やその他の人身傷害の防止において大きな価値がある。ある特定のかかる実施形態では、前記方法は、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物の非慢性的投与を含み、所望により持続または制御放出のために全部または一部が処方されてもよい。
【0064】
ある特定の実施形態では、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体は、酒気の長期軽減および正気の回復を必要とする対象において、酒気を長期軽減し、正気を回復するために用いられる。いくつかの実施形態では、前記対象は、アルコール酩酊レベルには達していない。上述のとおり、かかる長期軽減は、様々な危険、特に自動車事故やその他の人身傷害の防止において大きな価値があり、さらに長期または頻繁なアルコール摂取に関連する様々な症状および状態の予防および治療においても価値がある。ある特定のかかる実施形態では、前記方法は、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物の非慢性的投与を含み、所望により持続または制御放出のために全部または一部が処方されてもよい。
【0065】
ある特定の実施形態では、本発明の方法は、アルコールを摂取したが酩酊していない対象を治療するために用いてよい。ある特定の実施形態では、本発明の方法は、アルコールを摂取したが精神運動興奮や攻撃性は増加していない対象を治療するために用いてよい。本発明の方法は、あらゆる量の様々なタイプのアルコール摂取前、アルコール摂取中またはアルコール摂取後に様々な対象で使用することを目的とする。各対象はアルコール摂取の異なる症状を示すため、本発明の組成物および方法によって利益を享受するであろう対象を説明するために血中アルコール濃度だけを使用することが多いが単独では不十分である。
【0066】
ある特定の実施形態では、本発明のメタドキシン組成物、例えば、持続または制御放出のために全部または一部が処方されたものは、非慢性または慢性アルコール酩酊ならびにその関連症候群および状態の治療または予防におけるメタドキシンのより効率的な使用を可能にする。
【0067】
ある特定の実施形態では、本発明の方法は、アルコール摂取関連症状を予防するために用いてよい。ある特定の実施形態では、対象は、あらゆるアルコール摂取前に治療される。ある特定の実施形態では、対象は、アルコール摂取後、症状が現れる前に治療される。ある特定の実施形態では、対象は、アルコール摂取後、対象が酩酊する前に治療される。これらの実施形態は相互排他的なものではなく、いかなる望ましい組合せでも組み合わせてよい。
【0068】
ある特定の実施形態では、本発明の方法は、1杯またはその一部の飲酒に関するアルコール摂取の症状を予防し得る。ある特定の実施形態では、本発明の方法は、2杯、3杯、4杯、5杯以上の飲酒に関するアルコール摂取の症状を予防し得る。
【0069】
いっそうさらなる実施形態では、本発明は、アルコール摂取後の正気の急速または即時回復の処置を必要とする対象において、アルコール摂取後に正気を急速または即時回復するための方法であって、該対象にメタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物を投与することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、前記対象は、アルコール酩酊レベルには達していない。ある特定の実施形態では、前記投与は非慢性的投与である。
【0070】
さらに、本発明は、アルコール酩酊の治療および/または予防の処置を必要とする対象において、アルコール酩酊を治療および/または予防する方法であって、該対象にメタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物を投与することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、前記対象は、アルコール酩酊レベルには達していない。ある特定の実施形態では、前記投与は非慢性的投与である。
【0071】
さらに、本発明は、アルコールの血液、血清または組織レベル(例えば、筋肉およびその他の非脂肪組織)の低下の処置を必要とする対象において、アルコールの血液、血清または組織レベル(例えば、筋肉およびその他の非脂肪組織)を低下させる方法であって、該対象にメタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物を投与することを含む方法に関する。ある特定の実施形態では、前記対象は、アルコール酩酊レベルには達していない。ある特定の実施形態では、前記投与は非慢性的投与である。
【0072】
ある特定の実施形態では、本発明は、アルコール摂取しているかまたはアルコール摂取した対象において、BACの上昇を軽減または予防する方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明の方法は、前記対象のBACが、前記対象が自動車を運転できるほどに合法的に低いように、BACの上昇を軽減または予防し得る。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、上記定義に記載した1つ、2つ、3つ以上のレベルを超えたBACの上昇を予防し得る。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、BACを低下させ得る。ある特定の実施形態では、本発明の方法は、自動車の運転が合法的に許されるレベルまでBACを低下させ得る。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、BACを上記定義に記載した1つ、2つ、3つ以上のレベルだけ低下させ得る。
【0073】
本発明の上記方法のいくつかでは、メタドキシンまたはその許容される誘導体は、前記対象への投与後の即時放出のために処方されていてよい。本発明の上記方法のいくつかでは、メタドキシンまたはその許容される誘導体は、持続および/または制御放出のために処方されていてよく、所望により前記対象への投与後の即時放出と持続および/または制御放出の両方の特徴を備えるように処方されていてよい。ある特定の実施形態では、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体は、非慢性的投与のために処方される。本発明のメタドキシン処方物を以下により詳細に記載する。
【0074】
メタドキシン処方物および投与法
ある特定の実施形態では、本発明は、対象への投与での持続および/または制御放出のために処方されたメタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、メタドキシンまたはその生理学上許容される誘導体を含んでなる組成物であって、メタドキシンまたは誘導体の一部が対象への投与での持続および/または制御放出のために処方され、かつメタドキシンまたは誘導体の一部が即時放出のために処方された組成物を提供する。
【0075】
ある特定の実施形態では、メタドキシン組成物は、1杯またはその一部の飲酒に関するアルコール摂取の症状を軽減し得る。ある特定の実施形態では、メタドキシン組成物は、2杯、3杯、4杯、5杯以上の飲酒に関するアルコール摂取の症状を軽減し得る。
【0076】
ある特定の実施形態では、メタドキシン組成物は、単回投与形で、例えば一飲みで送達してよい。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、飲酒会合ごとに単回投与で送達してよい。ある特定の実施形態では、メタドキシン組成物は、多量飲酒会合ごとに単回投与で送達してよい。ある特定の実施形態では、メタドキシン組成物は、急性アルコール関連状態または潜在的状態ごとに単回投与で送達してよい。ある特定の実施形態では、メタドキシン組成物は、酩酊または潜在的酩酊ごとに単回投与形で送達してよい。潜在的状態または酩酊は、介入なしに前記状態または酩酊につながるであろう状態であり得る。ある特定の実施形態では、1回用量は、一部の用量、すなわち単回投与形の一部であってよい。
【0077】
ある特定の実施形態では、メタドキシン組成物は、アルコール摂取の24時間前、12時間前、8時間前、4時間前、2時間前、1時間前、55分前、50分前、45分前、40分前、35分前、30分前、25分前、20分前、15分前、10分前、5分前または直前に投与してよい。
【0078】
ある特定の実施形態では、メタドキシン組成物は、アルコール関連症状が現れる24時間前、12時間前、8時間前、4時間前、2時間前、1時間前、55分前、50分前、45分前、40分前、35分前、30分前、25分前、20分前、15分前、10分前、5分前または直前に投与してよい。
【0079】
ある特定の実施形態では、メタドキシン組成物は、アルコール摂取の24時間後、12時間後、8時間後、4時間後、2時間後、1時間後、55分後、50分後、45分後、40分後、35分後、30分後、25分後、20分後、15分後、10分後、5分後または直後に投与してよい。
【0080】
ある特定の実施形態では、メタドキシン組成物は、アルコール関連症状が現れる24時間後、12時間後、8時間後、4時間後、2時間後、1時間後、55分後、50分後、45分後、40分後、35分後、30分後、25分後、20分後、15分後、10分後、5分後または直後に投与してよい。
【0081】
ある特定の実施形態では、メタドキシン組成物は、1時間に1回、1日に1回、1週間に1回、1ヶ月に1回、1年に1回(例えば、時間放出性形態で)または1回限りの送達として投与してよい。前記投与は、慢性的であっても非慢性的であってもよい。ある特定の実施形態では、前記送達は連続したものではない。ある特定の実施形態では、メタドキシン組成物は、単回投与で送達してよい。ある特定の実施形態では、前記投与は、12時間〜24時間に1回、2回、3回以上であり、その期間において処置は中断される。ある特定の実施形態では、前記投与は、24時間〜48時間に1回、2回、3回以上であり、その期間において処置は中断される。ある特定の実施形態では、送達様式は非侵襲的である。ある特定の実施形態では、前記送達は静脈内ではない。
【0082】
ある特定の実施形態では、前記送達は、一時期の連続送達、例えば、静脈内送達であってよい。本明細書に記載の方法の1つの実施形態では、メタドキシン組成物は、1時間当たり少なくとも1回投与される。本明細書に記載の方法の1つの実施形態では、メタドキシン組成物は、1時間に1回投与される。本明細書に記載の方法の1つの実施形態では、メタドキシン組成物は、1日当たり少なくとも1回投与される。1つの実施形態では、メタドキシン組成物は、1日に1回投与される。1つの実施形態では、メタドキシン組成物は、1日おきに投与される。1つの実施形態では、メタドキシン組成物は、6〜8日ごとに、またはより特には、1週間に1回投与される。
【0083】
ある特定の実施形態では、前記有効成分の有効血清レベルは、メタドキシン投与後約10分〜約20または30または40または50または60分以内に達成される。ある特定の実施形態では、前記有効成分の有効血清レベルは、メタドキシン投与後約5分〜約20または30または40または50または60分以内に達成される。ある特定の実施形態では、前記有効成分の有効血清レベルは、メタドキシン投与後約20分〜約20または30または40または50または60分以内に達成される。ある特定の実施形態では、前記有効成分の有効血清レベルは、約5、10、15、20、30、40、50または60分以内に達成される。
【0084】
ある特定の実施形態では、アルコール関連症状の緩和もしくは軽減または予防は、メタドキシン投与後約5分〜約20または30または40または50または60分以内に達成される。ある特定の実施形態では、アルコール関連症状の緩和もしくは軽減または予防は、メタドキシン投与後約10分〜約20または30または40または50または60分以内に達成される。ある特定の実施形態では、アルコール関連症状の緩和もしくは軽減または予防は、メタドキシン投与後約15分〜約20または30または40または50または60分以内に達成される。
【0085】
ある特定の実施形態では、アルコール関連症状の緩和もしくは軽減または予防は、メタドキシン投与後約1時間〜約2、3、4、5、6、7または8時間以内に達成される。ある特定の実施形態では、アルコール関連症状の緩和もしくは軽減または予防は、メタドキシン投与後約2時間〜約3、4、5、6、7または8時間以内に達成される。ある特定の実施形態では、アルコール関連症状の緩和もしくは軽減または予防は、メタドキシン投与後約3時間〜約4、5、6、7または8時間以内に達成される。ある特定の実施形態では、アルコール関連症状の緩和もしくは軽減または予防は、メタドキシン投与後約4時間〜約5、6、7または8時間以内に達成される。ある特定の実施形態では、アルコール関連症状の緩和もしくは軽減または予防は、メタドキシン投与後約5時間〜約6、7または8時間以内に達成される。ある特定の実施形態では、アルコール関連症状の緩和もしくは軽減または予防は、メタドキシン投与後約6時間〜約7または8時間以内に達成される。ある特定の実施形態では、アルコール関連症状の緩和もしくは軽減または予防は、メタドキシン投与後約7時間〜約8時間以内に達成される。
【0086】
ある特定の実施形態では、アルコール関連症状の緩和もしくは軽減または予防は、メタドキシン投与後約5、10、15、20、30、40、50または60分以内に達成される。ある特定の実施形態では、アルコール関連症状の緩和もしくは軽減または予防は、メタドキシン投与後約2、3、4、5、6、7または8時間以内に達成される。
【0087】
ある特定の実施形態では、治療有効量または治療有効用量は、摂取するまたは摂取する予定のアルコール量、酩酊の状態、対象の重篤度および反応性、あるいは慢性または急性処置であることの有無に依存し得る。メタドキシン処置は、数分から数日〜数ヶ月まで、あるいは治癒が果たされるまでまたは前記症状、状態もしくは病状の減退が達成されるまで進めてよい。選択する処置レジメンは、慢性的であっても非慢性的であってもよい。最適な投薬スケジュールは、患者体内への薬物蓄積の測定により計算してよい。当業者ならば、最適な用量、投薬方法および反復速度を容易に決定することができる。一般的に、用量は体重によって計算し、1日、1週間、1ヶ月または1年に1回以上、あるいは2〜20年に1回与えてよい。当業者ならば、体液または組織における本発明の組合せ組成物の滞留時間および濃度の測定値に基づいて投薬の反復速度を容易に予測することができる。処置成功の後、病状の再発を防止するために患者が維持療法を受けることが望ましい場合があり、この際、本発明の組合せ組成物は、1日に1回以上維持量で投与される。
【0088】
本発明者らは、経腸(消化管を介する)経路および/または非経口(消化管以外の経路)経路に基づいたメタドキシンの投与のための革新的なアプローチを開発した。これらのアプローチは、目的の送達システムに用いる、担体、例えば適当な界面活性剤/補助界面活性剤組成物または有効成分を封入するマイクロ/ナノ粒子(例えばリポソームまたはナノリポソーム)、あるいはその他の添加剤または賦形剤の細心の選択に基づいて望ましい特性を有する送達システムの合理的設計を提供する。
【0089】
経腸送達システムは、経口投与(錠剤、サシェ剤、トローチ剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤、滴剤、またはその他の口に合う形態)または直腸投与(坐剤または(ミニ)浣腸製剤)用に設計し得る。
【0090】
加えて、目的の送達システムは、液体形態、例えば滴下液剤、シロップ剤であってよい。さらに、目的の送達システムは、飲料品または食料品の形態であってよい。よって、本発明によって用いる有効成分/有効成分群は、飲料、特にジュース、ネクター、水、発泡水およびその他の発泡性飲料のような清涼飲料、シェイク、ミルクセーキおよびその他の乳飲料などに含まれていてよい。液体調製物は、水または発泡水で希釈する濃縮シロップ形態であってもよい。あるいは、前記有効成分/有効成分群は、食料品、例えばスナックバー、ヘルスバー、ビスケット、クッキー、スイーツ、菓子製品、アイスクリーム、アイスキャンディーなどに含まれていてよい。
【0091】
さらに、本発明は、正気の迅速な回復を必要とする、とりわけ酩酊にはまだ達していない対象において、アルコール摂取後に正気を迅速に回復するための、生理学上活性なピリドキシン誘導体、特にピリドキソール L,2−ピロリドン−5 カルボキシレート(メタドキシン)を含んでなる食料品または飲料品に関する。ある特定の実施形態では、本発明の食料品または飲料品の摂取により、その摂取後約10分から約40〜60分以内に前記有効成分の血清レベルを達成し得る。
【0092】
非経口法としては、皮下投与、経皮投与(無傷皮膚からの拡散)、経粘膜投与(粘膜からの拡散)、舌下投与、口内投与(歯肉線近くの頬から吸収される)、または吸入による投与が挙げられる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は侵襲的処置様式では投与しない(すなわち非侵襲的である)。ある特定の実施形態では、メタドキシン組成物は静脈内注射では投与しない。
【0093】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、噴霧に好適な微結晶粉末または溶液として;膣内または直腸内投与の場合には膣坐薬、坐薬、クリーム剤または泡沫剤として送達される。好ましい処方物は経口投与用の処方物である。もう1つの好ましい処方物は、局所投与に向けられたものである。もう1つの好ましい処方物は、経粘膜投与、舌下投与、口内投与(歯肉線近くの頬から吸収される)、吸入による投与または眼投与(例えば、点眼剤)に向けられたものである。
【0094】
医学的用途でのメタドキシンの投与には安全かつ効率的な送達システムが必要である。本発明は、非侵襲的手段による、特有の物理化学的特徴、特に直接吸収を理由とした様々な物質の安全な送達、そしてその結果としての副作用回避のための送達システムを提供する。これらの送達システムは、その独自の物理化学的特徴に基づいてメタドキシン吸収についての効率および質を大幅に高め、そしてそれにより低い濃度または量の活性物質を生物学的に活性な形態で対象に送達することが可能である。本発明の送達システムは、活性物質の組織への直接アクセスを提供し、その結果メタドキシンの即時またはほぼ即時の効果の提供を必要とする対象にメタドキシンの即時またはほぼ即時の効果を提供する。
【0095】
よって、ある特定の実施形態では、本発明は、生理学上活性なピリドキシン、特にピリドキソール L,2−ピロリドン−5 カルボキシレート(メタドキシン)、またはその生理学上許容される誘導体の投与改善のための非侵襲的医薬送達システムであって、アルコール摂取後に正気の迅速な回復を必要とする、特に酩酊にはまだ達していない対象において、アルコール摂取後に正気の迅速な回復のために好適な担体中に有効成分として該生理学上活性なピリドキシンを含んでなるシステムを提供する。ある特定の実施形態では、前記有効成分の血清レベルは、投与後約10分〜約40〜60分以内に達成される。
【0096】
もう1つの実施形態では、本発明は、生理学上活性なピリドキシン誘導体、特にピリドキソール L,2−ピロリドン−5 カルボキシレート(メタドキシン)の投与改善のための非侵襲的医薬送達システムであって、慢性および/または急性アルコール酩酊の予防または治療を必要とする対象において、慢性および/または急性アルコール酩酊を予防または治療するのに用いる、好適な担体中に、有効成分として該ピリドキシン誘導体を含んでなるシステムを提供する。ある特定の実施形態では、前記有効成分の血清レベルは、投与後約10分〜約40〜60分以内に達成される。
【0097】
ある特定の実施形態では、本発明の薬物送達システムは、経口投与、経鼻投与、眼投与、直腸投与、皮下投与、経皮投与、経粘膜投与、舌下投与、口内投与または吸入投与に向けて設計し得る。これらの薬物送達システムは、活性物質を制御放出様式で提供し得る。ある特定の実施形態では、本発明の薬物送達システムは、少なくとも1つのさらなる薬学上活性な薬剤をさらに含んでなってよい。
【0098】
本発明の送達システムは、緩衝剤、その浸透圧を調整する薬剤、所望により、当技術分野で公知の1以上の薬学上許容される担体、賦形剤および/または添加剤を一般的に含んでなってよい。補助的な薬学上許容される有効成分も前記組成物に組み込むことができる。前記担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒であり得る。例えば、レシチンのようなコーティング剤を用いることによって、分散の場合には必要な粒径を維持することによって、そして界面活性剤を用いることによって、適切な流動性を維持することができる。
【0099】
本明細書において「薬学上許容される担体」とは、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌薬および抗真菌薬などを含む。医薬活性物質のためのかかる媒質および薬剤の使用は当技術分野で周知である。従来の媒質または薬剤が前記有効成分と混合できない場合を除いて、前記治療組成物におけるその使用は意図されている。任意の薬学上許容される経路で、また任意の薬学上許容される投与形で前記活性薬剤を送達することができるということは意図されている。
【0100】
経口剤形としては、限定されるものではないが、錠剤、カプセル剤、丸剤、サシェ剤、トローチ剤、滴剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁剤、シロップ剤、および乳剤が挙げられる。また、経口用の急速放出性医薬投与形、時間制御放出性医薬投与形、および遅延放出性医薬投与形も含まれる。前記有効薬物成分は、好適な医薬希釈剤、賦形剤または担体(本明細書では「担体」と総称されている)、すなわち目的の投与形態に関して適切に選択された材料との混合物として投与することができる。
【0101】
前記送達システムが経口投与に向けられたものであり、錠剤またはカプセル剤などの形態である場合には、前記有効薬物成分を、毒性のない薬学上許容される不活性担体例えばラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、加工糖、加工デンプン、メチルセルロースおよびその誘導体、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール、ならびに他の還元および非還元糖、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸カルシウムなどと組み合わせることができる。液体形態での経口投与の場合には、前記有効薬物成分を、毒性のない薬学上許容される不活性担体例えばエタノール、グリセロール、水などと組み合わせることができる。望ましい場合または必要に応じて、好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤ならびに着色剤および香味剤も前記混合物に組み込むことができる。また、前記投与形を安定させるために、分解防止剤例えば酸化防止剤、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸、メタ重亜硫酸カルシウム、ヒドロキノン、および7−ヒドロキシクマリンを添加することもできる。他の好適な化合物としては、ゼラチン、甘味剤、天然および合成ガム例えばアラビアガム、トラガカントガム、またはアルギナート、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、グリコール、ワックスなどを挙げることができる。
【0102】
これらの医薬組成物に用い得るさらなる好適な薬学上許容される担体としては、限定されるものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。いくつかの実施形態では、前記薬学上許容される担体はステアリン酸マグネシウムである。一般に受け入れられ、用いられているさらなる医薬賦形剤は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (Gennaro, A., ed., Mack Pub., 1990)において見つけられる。
【0103】
非経口投与目的では、好適な油例えば胡麻油もしくは落花生油中かまたは含水プロピレングリコール中の溶液を使用することができ、また対応する水溶性塩の滅菌水溶液も使用することができる。かかる水溶液は、必要に応じて適切に緩衝剤処理してよく、また液体希釈剤をまず充分な生理食塩水またはグルコースを用いて等張にしてよい。これらの水溶液は、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射および腹膜内注射用にとりわけ好適である。この関連において、使用される滅菌水性媒質は全て当業者に周知の標準的な技術により容易に得ることができる。ある一定量の有効成分を含む様々な医薬組成物の調製方法は、当業者には公知であるか、または本開示内容に照らして明らかとなるであろう。
【0104】
ヒト血清におけるメタドキシン半減期は非常に短い。Lu Yuan et al. (Chin. Med. J. 2007 120(2) 160-168)によれば、平均半減期は約0.8時間である。活性部分の血清レベルを延長する方法は、持続放出性処方物として前記物質を投与することによる。メタドキシンは水や様々な体液に溶けやすい(実施例1参照)ため、その放出を持続させ、その吸収時間を延長することは難しい。そのため、持続放出性が得られるとは予想外であった。メタドキシンの制御放出性投与形は、長時間にわたって血漿レベルの小変動を伴うが持続作用をもたらす該有効成分の体液中への所定の漸次放出に基づくものであってよい。
【0105】
ある特定の実施形態では、本発明の送達システムは制御放出性処方物により投与してよい。ある特定の実施形態では、前記投与方法は、対象の状態および要求の評価後に担当医またはその他の当業者により決定されるであろう。本発明の方法の実施形態は、本明細書に記載の治療化合物を持続放出性形態により投与することである。本発明の組成物および方法とともに、当業者に公知のいかなる制御または持続放出方法をも、例えばLanger, Science 249(4976): 1527-33 (1990)に記載されているものを用いてよい。かかる方法は、本発明の組成物の治療上有効な用量がかかる方法の対象に連続的に送達されるように、持続放出性組成物、坐剤、またはコーティングを施した埋め込み型医療装置を投与することを含む。この目的のために設計し処方したパッチを用いて持続放出性を得てもよい。本発明の組成物は、ある期間にわたって前記薬剤の持続放出を可能にするカプセル剤によって送達してよい。制御または持続放出性組成物としては、親油性デポー(例えば、脂肪酸、ワックス、油)中の処方物が挙げられる。また、ポリマー(例えば、ポロキサマーまたはポロキサミン)でコーティングした微粒子組成物も本発明に包含される。持続放出性処方もしくは装置、またはいかなる局所処方物も、前記組成物を安定させまたは生理学的障壁例えば皮膚もしくは粘膜を通過するための組成物をさらに含んでよい。例示的な追加成分としては、いかなる生理学上許容される洗剤、または溶媒をも、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを挙げてよい。
【0106】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物中のメタドキシンは、少なくとも0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12時間にわたる持続または制御放出のために処方されていてよい。ある特定の実施形態では、本発明の組成物中のメタドキシンは、約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12時間にわたる持続または制御放出のために処方されていてよい。ある特定の実施形態では、本発明の組成物中のメタドキシンは、約0.5または1または2または3または4時間〜約5、6、7、8、9、10、11または12時間の間にわたる持続または制御放出のために処方されていてよい。ある特定の実施形態では、本発明の組成物中のメタドキシンは、約5または6または7または8時間〜約9、10、11または12時間の間にわたる持続または制御放出のために処方されていてよい。
【0107】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物中のメタドキシンは、即時、迅速またはバースト放出性形態であってよい。
【0108】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物中のメタドキシンは、約0.5、1、2、3、4、5、6、7または8時間でメタドキシン総量の5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99、99.5または100%までを放出するように処方されていてよい。ある特定の実施形態では、本発明の組成物中のメタドキシンは、約0.5、1、2、3、4、5、6、7または8時間でメタドキシン総量の少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99、99.5または100%を放出するように処方されていてよい。
【0109】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物中のメタドキシンは、持続または緩慢放出性形態と即時または迅速放出性形態との組合せであってよい。ある特定の実施形態では、持続または緩慢放出性メタドキシンと即時または迅速放出性メタドキシンとの相対的割合は、例えば、1対99、5対95、10対90、15対85、20対80、25対75、30対70、35対65、40対60、45対55、50対50、55対45、60対40、65対35、70対30、75対25、80対20、85対15、90対10、95対5、または99対1である。
【0110】
ある特定の実施形態では、メタドキシンの放出を持続または制御するためにポリマー材料を用いる。ある特定の実施形態では、用いるポリマー材料の種類と量は、本発明の製品からのメタドキシンの放出速度に強い影響を及ぼす。ポリマーの例としては、疎水性ポリマーと親水性ポリマーの両方が挙げられる。疎水性ポリマーの例としては、限定されるものではないが、エチルセルロースおよびその他のセルロース誘導体、脂肪例えばグリセロールパルミト−ステアレート、蜜蝋、グリコワックス、キャスターワックス、カルナウバワックス、グリセロールモノステアレートまたはステアリルアルコール、疎水性ポリアクリルアミド誘導体および疎水性メタクリル酸誘導体、ならびにこれらのポリマーの混合物が挙げられる。親水性ポリマーとしては、限定されるものではないが、親水性セルロース誘導体例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびヒドロキシエチルメチルセルロース ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、エチレン・酢酸ビニルコポリマー、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ならびにこれらのポリマーの混合物が挙げられる。さらに、1種以上の疎水性ポリマーと1種以上の親水性ポリマーとのいかなる混合物も所望により用いることができる。
【0111】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物に用いるべきポリマー材料は、微晶質セルロース例えばFMC BioPolymer's製造の「Avicel PH 101」である。
【0112】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物に用いるべきポリマー材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース例えば信越化学社製造の「メトロース(Metholose)」である。
【0113】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物に用いるべきポリマー材料は、エチルセルロース例えば Dow Chemical Company製造の「エトセル(Ethocel)(商標)」である。
【0114】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物に用いるべきポリマー材料は、アクリルポリマー例えばRohm GmbH生産の「オイドラジット(Eudragit) RS(商標)」である。
【0115】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物に用いるべきポリマー材料は、コロイド状シリコーンジオキシド例えばDegussa製造の「Aerosil(商標)」である。
【0116】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物に用いるべきポリマー材料は、ポリ(酢酸ビニル)例えばBASF製造の「Kollicoat SR」である。
【0117】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物に用いるべきポリマー材料は、酢酸エチル・酢酸ビニル溶液例えばDelasco Dermatologic Lab & Supply, Inc.製造の「Duro−Tak」である。
【0118】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、処方1を含んでなるかまたは処方1から本質的になる。処方1は、100〜3000mg メタドキシンおよび5〜20,000mg metholoseを含んでなるかまたは100〜3000mg メタドキシンおよび5〜20,000mg metholoseをから本質的になる。
【0119】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、処方2を含んでなるかまたは処方2から本質的になる。処方2は、100〜3000mg メタドキシンおよび5〜7000mg Ethocel E 10(商標)を含んでなるかまたは100〜3000mg メタドキシンおよび5〜7000mg Ethocel E 10(商標)から本質的になる。
【0120】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、処方3を含んでなるかまたは処方3から本質的になる。処方3は、100〜3000mg メタドキシンおよび5〜20,000mg Eudragit RS(商標)を含んでなるかまたは100〜3000mg メタドキシンおよび5〜20,000mg Eudragit RS(商標)から本質的になる。
【0121】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、約250、300、400、500、600、700、800、もしくは900mg〜約1000、1500、2000、2500もしくは3000mg メタドキシンを含んでなるかまたは約250、300、400、500、600、700、800、もしくは900mg〜約1000、1500、2000、2500もしくは3000mg メタドキシンから本質的になる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、約5、100、500、もしくは1000mg〜約2000、4000、10,000、15,000、もしくは20,000mg Avicel PH 101(商標)を含んでなるかまたは約5、100、500、もしくは1000mg〜約2000、4000、10,000、15,000、もしくは20,000mg Avicel PH 101(商標)から本質的になる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、約25、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550もしくは600mg〜約650、700、750、800、850、900、950、1000、5000、10,000、15,000もしくは20,000mgのポリマー材料を含んでなるかまたは約25、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550もしくは600mg〜約650、700、750、800、850、900、950、1000、5000、10,000、15,000もしくは20,000mgのポリマー材料から本質的になる。ある特定の実施形態では、前記ポリマー材料は、metholose、Ethocel E 10(商標)またはEudragit RS(商標)である。ある特定の実施形態では、metholoseは、前記処方物の1〜90%間、好ましくは5〜70%間を構成するかまたは前記処方物の1〜90%間、好ましくは5〜70%間から本質的になる。ある特定の実施形態では、Ethocel(商標)は、前記処方物の1〜30%間、好ましくは2〜20%間を構成するかまたは前記処方物の1〜30%間、好ましくは2〜20%間から本質的になる。ある特定の実施形態では、Eudragit(商標)は、前記処方物の1〜90%間、好ましくは5〜70%間を構成するかまたは前記処方物の1〜90%間、好ましくは5〜70%間から本質的になる。
【0122】
ある特定の実施形態では、本発明の送達システムは送達装置を含んでなる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、浸透作用により制御された速度で例えば浸透圧ポンプにより送達される。前記システムは、半透膜を制御する割合で浸透活性剤をコーティングすることにより構築し得る。この半透膜は臨界サイズのオリフィスを含んでよく、このオリフィスを通って薬剤が送達される。前記投与形は水性流体と接触した後、半透膜の流体透過性およびコア処方物の浸透圧により決定される速度で水を吸収する。このような水の浸透吸収によりコアで活性物質の飽和溶液が生成し、そしてそれは半透膜の送達オリフィスから制御された速度で施与される。
【0123】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、生分解性微粒子を用いて送達される。ある特定の実施形態では、微粒子を調製するための前記システムは、溶解ポリマーを含む揮発性溶媒からなる有機相と水相に封入し乳化させる材料からなる。ある特定の実施形態では、微粒子マトリックスに用いることができる前記生分解性ポリマーは、ポリ乳酸(PLA)または乳酸とグリコール酸のコポリマー(PLAGA)を含んでなる。PLAGAポリマーは、経時的に加水分解によりそのモノマー成分へと分解され、そしてそのモノマー成分は自然生命プロセスにより容易に体から除去される。
【0124】
調製物は、吸収促進剤およびその他の任意選択成分も含んでよい。吸収促進剤の例としては、限定されるものではないが、シクロデキストリン、リン脂質、キトサン、DMSO、Tween、Brij、グリココレート、サポニン、フシダートおよびエネルギーにより促進する吸収装置が挙げられる。
【0125】
前記投与形中に存在する任意選択成分としては、限定されるものではないが、希釈剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、着色剤、香味料、緩衝剤、防腐剤、分解防止剤などが挙げられる。
【0126】
希釈剤は「増量剤」とも呼ばれ、それらとしては、例えば、リン酸二カルシウム二水和物、硫酸カルシウム、ラクトース、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、加水分解デンプン、二酸化ケイ素、コロイドシリカ、酸化チタン、アルミナ、タルク、微晶質セルロース、および粉砂糖が挙げられる。液体形態での投与の場合には、希釈剤としては、例えば、エタノール、ソルビトール、グリセロール、水などが挙げられる。
【0127】
結合剤は、前記処方物に凝集性を与えるために用いられる。好適な結合剤材料としては、限定されるものではないが、デンプン(コーンスターチおよびプレゼラチン化デンプンを含む)、ゼラチン、糖(スクロース、グルコース、デキストロース、ラクトースおよびソルビトールを含む)、ポリエチレングリコール、ワックス、天然および合成ガム、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、アルギン酸ナトリウム、セルロース、およびVeegum、ならびに合成ポリマー例えばポリメタクリレートおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。
【0128】
滑沢剤は製造を容易にするために用いられ;好適な滑沢剤の例としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0129】
界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、両性または非イオン性界面活性剤であってよく、陰イオン性界面活性剤が好ましい。好適な陰イオン性界面活性剤としては、限定されるものではないが、陽イオン例えばナトリウムイオン、カリウムイオンおよびアンモニウムイオンと結合する、カルボン酸イオン、スルホン酸イオンおよび硫酸イオンを含むものが挙げられる。特に好ましい界面活性剤としては、限定されるものではないが:長アルキル鎖スルホン酸塩およびアルキルアリールスルホン酸塩例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、例えばビス−(2−エチルヘキシル)−スルホコハク酸ナトリウム;ならびにアルキル硫酸塩例えばラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0130】
分解防止剤例えば酸化防止剤としては、限定されるものではないが、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸、メタ重亜硫酸カルシウム、ヒドロキノン、および7−ヒドロキシクマリンが挙げられる。
【0131】
必要に応じて、本組成物は、少量の毒性のない補助剤例えば湿潤剤または乳化剤、防腐剤なども含んでよい。
【0132】
本発明の組成物のいかなるものもアルコール摂取関連症状の治療のために、単独でまたは1以上の追加治療薬と組み合わせて用いてよい。追加治療薬の例については、米国特許出願公開番号2005/0271739、2004/0162270および2002/0192303(これらは引用することにより本明細書の一部とされる)を参照のこと。
【0133】
単回投与形を生産するために担体材料と組み合わせてよい前記化合物と追加治療薬の両方の量は、治療受給者および特定の投与様式によって決定される。好ましくは、本発明の組成物は、0.1〜1g間/体重1kg/日、好ましくは0.1〜300mg/体重1kgの用量を投与することができるように処方すべきである。前記化合物の用量は、患者の状態および病気、ならびに所望の1日用量によって決まる。ヒト療法では、経口1日用量は、好ましくは10〜3000mgである。これらの用量は単位投与形で投与されるが、ある特定の場合では、とりわけ経口治療では各日用量を減らして2〜3回に分けてよい。
【0134】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、互いに組み合わせて相乗的に作用し得るし、追加治療薬の存在下でもさらに相乗的に作用し得る。そのため、かかる組成物における化合物(群)と追加治療薬(群)の量は、その治療薬を単独で利用する単剤療法で必要な量よりも少ないであろう。かかる組成物では、0.1〜1g間/体重1kg/日の用量の追加治療薬を投与することができる。
【0135】
治療組成物を調製するためのメタドキシンの使用
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の本発明の方法のいずれか1つに従ってそれを必要とする対象に投与するのに有用な治療組成物の製造におけるメタドキシン(またはメタドキシンの生理学上許容される機能的誘導体)の使用を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の本発明の組成物のいずれか1つに従ってそれを必要とする対象に投与するのに有用な治療組成物の製造におけるメタドキシン(またはメタドキシンの生理学上許容される機能的誘導体)の使用を提供する。
【0136】
キットおよび送達装置
本発明はまた、本発明のメタドキシン組成物を含んでなる送達装置およびキット、ならびにそれらの使用方法も提供する。本発明の送達装置およびキットは、本明細書に記載の本発明の各方法を実行するために、例えば、アルコール摂取の症状または影響を軽減または予防するために;アルコール酩酊を予防するために;対象の血中アルコールレベルを低下または消滅させるために、またはとりわけ対象の血液中のメタドキシンの平均tmaxを延長するために用いてよい。
【0137】
本発明のある特定の実施形態では、本発明のキットおよび送達装置は、容器、パッケージまたはディスペンサー内に単独に含めてよいしまたはキットの一部として投与に関するラベルおよび説明書を添えて含めてもよい。本発明のある特定の実施形態では、本発明の方法を実施するための成分は、容器、パッケージまたはディスペンサー内に単独に含めてよいしまたはキットの一部として投与に関するラベルおよび説明書を添えて含めてもよい。ある特定の実施形態では、前記成分に、メタドキシン組成物の投与前、投与中または投与後にBACレベルを測定またはモニタリングするための手段を含めてよい。BACレベルの測定またはモニタリングは、当業者に公知の従来の手段によって実施される。
【0138】
本発明の組成物および方法とともに用いる送達装置には、当業者に公知のいかなる薬物送達用装置も含めてよい。ある特定の実施形態では、送達装置は、本発明の組成物の持続または制御放出性を維持するために用いられる。
【実施例】
【0139】
実施例
次の実施例は、開示する発明を例示するためのものである。これらの実施例は限定されるものではなく、当業者ならば、その他の実施形態も本発明の範囲内であることは分かるであろう。特に断りのない限り、当業者ならば分かるであろう技術を用いて方法を実施した。
【0140】
実施例1−メタドキシンの溶解度試験
200mgのメタドキシン粉末を秤量し4本の試験管に入れた。各試験管に1種の水性媒質2gを加えた。試験する媒質は、ダルベッコのPBS pH7.2、ペプシン USP(SGF pH1.2)を含まない模擬胃液、リン酸バッファー 10mM pH4.5およびパンクレアチン USP(SIF pH6.8)を含まない模擬腸液であった。前記材料を4つの水性媒質全てに完全に溶かした。追加量のメタドキシン粉末を、最大重量1.4gに達するまで200mgずつ加えた。
結果:
メタドキシン(1.4g)は各媒質2gに溶けた。終濃度(w/w)は70%であった。
結論:
メタドキシンは様々な体液に溶けやすい。
【0141】
実施例2−メタドキシンの即時放出性錠剤
市販の製品と同じ成分:微晶質セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを用いて500mg錠剤を調製した。
メタドキシン 500ミリグラム
Avicel PH 101(商標) 100ミリグラム
ステアリン酸マグネシウム 14ミリグラム
材料を一緒に混合し、錠剤に圧縮した。USP装置2(パドル)を用いて溶解を試験した、50rpm、500ml腸液 pH=6.8、37℃。錠剤は直ちに溶解し、30分後に100%に達した(図1参照)。
【0142】
実施例3−メタドキシンの緩慢放出性錠剤
市販の製品と同じ成分に加えてマトリックス形成ポリマーを用いて500mg錠剤を調製した。この高溶解性分子の緩慢放出を得るためには、ポリマーの選択が重要である。このポリマーは水性媒質を吸収し、粘着性ゲルを形成し、そしてこの粘着性ゲルが活性物質をゆっくりと放出する。
メタドキシン 500ミリグラム
Avicel PH 101(商標) 72ミリグラム
Metholose 90SH 250ミリグラム
ステアリン酸マグネシウム 21ミリグラム
材料を一緒に混合し、錠剤に圧縮した。USP装置2(パドル)を用いて溶解を試験した、50rpm、500ml腸液 pH=6.8、37℃。錠剤はゆっくりと溶解し、6時間後に74%に達した(図1参照)。
【0143】
実施例4−メタドキシンの緩慢放出性カプセル剤
高剪断造粒および真空乾燥を用いて顆粒剤を調製した。ポリマーを溶解する必要があるが活性物質を溶解する必要がないため、造粒溶媒の選択が重要である。
メタドキシン 1カプセル剤当たり250ミリグラム
Avicel PH 101(商標) 1カプセル剤当たり51.5ミリグラム
Metholose 90SH 1カプセル剤当たり125ミリグラム
材料を一緒に混合し、エタノールを用いて粒状にした。顆粒剤をゼラチンカプセル内部に充填した。USP装置2(パドル)を用いて溶解を試験した、50rpm、500ml腸液 pH=6.8、37℃。顆粒剤はゆっくりと溶解し、4時間後に75%に達した(図2参照)。
【0144】
実施例5−メタドキシンの緩慢放出性カプセル剤
高剪断造粒および真空乾燥を用いて顆粒剤を調製した。この組成物の溶解は拡散による。
メタドキシン 1カプセル剤当たり250ミリグラム
Avicel PH 101(商標) 1カプセル剤当たり83.5ミリグラム
Ethocel E10(商標) 1カプセル剤当たり36.5ミリグラム
材料を一緒に混合し、エタノールを用いて粒状にした。顆粒剤をゼラチンカプセル内部に充填した。USP装置2(パドル)を用いて溶解を試験した、50rpm、500ml腸液 pH=6.8、37℃。顆粒剤はゆっくりと溶解し、4時間後に85%に達した(図2参照)。
【0145】
実施例6−メタドキシンの緩慢放出性カプセル剤
高剪断造粒および真空乾燥を用いて顆粒剤を調製した。これはポリマー材料としてのアクリル系疎水性ポリマーの一例である。
メタドキシン 1カプセル剤当たり250ミリグラム
Avicel PH 101(商標) 1カプセル剤当たり90ミリグラム
Eudragit RS(商標) 1カプセル剤当たり46ミリグラム
材料を一緒に混合し、Eudragit RS(商標)溶液のエタノール溶液を用いて粒状にした。顆粒剤をゼラチンカプセル内部に充填した。USP装置2(パドル)を用いて溶解を試験した、50rpm、500ml腸液 pH=6.8、37℃。顆粒剤はゆっくりと溶解し、2時間後に100%に達した(図2参照)。
【0146】
実施例7−メタドキシンの制御放出性シロップ剤
オーバーヘッドロータリーミキサーを用いてシロップ剤を調製する。
メタドキシン顆粒剤 5ミリリットル当たり950ミリグラム
イチゴ香味料 5ミリリットル当たり20ミリグラム
ソルビトール70%溶液 5ミリリットル容量を満たす量
メタドキシン緩慢放出性顆粒剤(実施例5のもの)をソルビトール70%溶液に混ぜ入れる。イチゴ香味料を加える。
【0147】
実施例8−メタドキシンのすぐに飲み込めるサシェ剤
攪拌造粒機により2種類の造粒を実施する:
顆粒剤No1:
メタドキシン 600ミリグラム
シクロデキストリン 500ミリグラム
顆粒剤No2:
メタドキシン 800ミリグラム
Metholose 90SH 200ミリグラム
Ethocel E 10(商標) 50ミリグラム
最終混合:
ステアリン酸マグネシウム 10ミリグラム
Aerosil 200(商標) 10ミリグラム
顆粒剤No1(吸収促進処方)および顆粒剤No2(緩慢放出性処方)を他の成分と一緒に混合し、サシェ内部に充填する。
【0148】
実施例9−メタドキシンアイスクリーム
押し出し技術を用いて微粒剤(ペレット)を調製する:
メタドキシン 2500ミリグラム
マンニトール 200ミリグラム
Ethocel E 10(商標) 50ミリグラム
Wurster流動層乾燥機によりペレットをコーティングする。
Kollicoat SR 30D 200ミリグラム
ペレットをアイスクリームと混合し、チョコレートコーティングしたアイスクリームキューブとして送達する。
【0149】
実施例10−メタドキシンの皮膚パッチ
材料(下記)を一緒に混合して、透明なゲルを生成する。コーティング装置を用いることによってこのゲルを支持膜にコーティングする。この積層物を乾燥させ、乾燥させたメタドキシンゲル上にポリエステル製剥離ライナーを貼り合わせる。そのシートをパッチにし、涼しい場所に保管する。
メタドキシン 2300ミリグラム
Durotak 387−2287 200ミリグラム
エタノール 10ミリリットル
水 5ミリリットル
【0150】
実施例11−メタドキシンチョコレートバー
押し出し技術を用いて微粒剤(ペレット)を調製する:
メタドキシン 2000ミリグラム
Ethocel E 10(商標) 70ミリグラム
ペレットを以下と混合する
メタドキシン 1000ミリグラム
この混合物を溶かしたチョコレートバーに混ぜる。
【0151】
実施例12−メタドキシン発泡性キャンディー
押し出し技術を用いて微粒剤(ペレット)を調製する:
メタドキシン 70ミリグラム
Metholose 90SH 35ミリグラム
ペレットを以下と混合する
メタドキシン 60ミリグラム
重炭酸ナトリウム 60ミリグラム
クエン酸 100ミリグラム
スクラロース 20ミリグラム
サクランボ香味料 10ミリグラム
この混合物をサシェ内部に充填する。
【0152】
実施例13−ブタにおける薬物動態研究
三元交差バイオアベイラビリティ試験を、絶食中の健常ブタ3頭への単回経口投与後に実施した。この研究の一選択肢に250mg即時放出性カプセル剤を−研究の対照として含める(現行市販処方物と同じもの)。この研究の第2の選択肢として250mg緩慢放出性カプセル剤−試験処方物を含める。この研究の第3の選択肢として2個の250mg緩慢放出性カプセル剤(500mg)−試験処方物の摂取を含める。この選択肢の目的は、緩慢放出性送達に最適な用量を確立することであった。通常、緩慢放出性処方物は、即時放出性処方物より高い用量を含み、より低い頻度で与える。合計3頭の市販ブタ、体重15〜18kgを処置した。これらのブタは、試験の36時間前に絶食させ(流動食を除く)、試験の24時間前に流動食を絶った。治療選択肢に従ってこれらの動物に前記薬物を経口的に与えた。処置前と薬物投与の20分後、40分後、1時間後、2時間後、4時間後、8時間後および24時間後に3mlの血液をEDTA管に採取した。血液を遠心分離し、血清を回収し、凍結した。血清を、高感度特異的HPLC法を用いてメタドキシン含量について分析した。
【0153】
これらの結果より、緩慢放出性処方物のピークに達するまでの時間(tmax)が遅れる(即時放出性処方物の約1時間に対して約2時間)ことが分かる(図3;表1)。両方の処方物の曲線下面積(AUC)は同様である(表1)。2倍用量を与えた場合、tmaxは緩慢放出性単一用量と同程度に遅れるが、AUCは2倍になった(図4;表1)。
【0154】
【表1】

【0155】
実施例14−ヒト被験者における薬物動態研究
無作為化三元交差比較バイオアベイラビリティ研究を、絶食中の健常被験者9名にメタドキシン処方物の単一用量を少なくとも3日のウォッシュアウト期間で区切り3回で与えて、実施する。この研究の一選択肢に500mg即時放出性錠剤を−研究の対照として含める(現行市販処方物と同じもの)。この研究の第2の選択肢として500mg緩慢放出性錠剤−試験処方物を含める。この研究の第3の選択肢として2個の500mg緩慢放出性錠剤(1000mg)−試験処方物の摂取を含める。各期間内に所定のタイムスケジュールに従って血液サンプルを採取して、薬物吸収および消失を特徴付ける。
【0156】
被験者は、一晩(少なくとも10時間)絶食した後午前中に到着する。各被験者に被験者番号を指定する。この番号は処置群への割り当てに用いる。無菌静脈穿刺によりベースライン(時間0)血液検体を得る。次いで、各被験者は、200ml水道水を用いて、単一用量のメタドキシン、上記の試験または参照製品のいずれかを摂取する。その後、投薬の0.5時間後、0.75時間後、1時間後、1.5時間後、2時間後、2.5時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後および24時間後に(各期間に合計15回)静脈血(各6ml)を採取する(EDTAで抗凝固処理する)。研究番号、被験者番号、期間およびサンプル番号を明記したラベルで各血液検体を識別する。血液サンプルは直ちに処理し、遠心分離により分離し、血漿を3組の試験管に等分し、メタドキシン濃度の分析のために−75℃で凍結した(公称)。各期間の間の少なくとも3日のウォッシュアウトの後、前記手順を繰り返し、各被験者に次の製品を与える。
【0157】
ヒトの結果は、実施例13のブタの結果と同様であると考えられる。緩慢放出性処方物のtmaxは遅れ、両方の処方物のAUCは同様である。2倍用量を与えた場合、tmaxは緩慢放出性単一用量と同程度に遅れるが、AUCは2倍になる。
【0158】
本発明のいくつかの実施形態を例として記載してきたが、多くの修飾、変形および適応を行って、そして当業者の範囲内である数多くの等価物または代替案を使用しても、本発明の精神から逸脱することなくすなわち特許請求の範囲の範囲を超えることなく、本発明を実践することができるということは明らかであろう。
【0159】
全ての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許または特許出願が引用することによりそのまま本明細書の一部とされることを具体的にかつ個別に示したのと同様に、引用することにより本明細書の一部とされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール摂取の症状または影響の軽減または予防を必要とする、酩酊にはまだ達していない対象において、アルコール摂取の症状または影響を軽減または予防するための方法であって、メタドキシンを含んでなる組成物の非慢性的投与を含む、方法。
【請求項2】
アルコール酩酊の予防を必要とする、酩酊にはまだ達していない対象において、アルコール酩酊を予防するための方法であって、メタドキシンを含んでなる組成物を投与することを含む、方法。
【請求項3】
血中アルコールレベルの低下または消滅を必要とする、酩酊にはまだ達していない対象において、血中アルコールレベルを低下または消滅させるための方法であって、メタドキシンを含んでなる組成物を投与することを含む、方法。
【請求項4】
前記組成物が非慢性的投与によって投与される、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記対象が、社会的飲酒、会期的飲酒または多量飲酒しているかあるいは社会的飲酒、会期的飲酒または多量飲酒している予定である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が単回投与形またはその分割投与形で投与される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記投与様式が経口投与、舌下投与、口内投与、経鼻投与、経皮投与、経粘膜投与、直腸投与または皮下投与である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
対象への投与後の持続または制御放出のために処方されたメタドキシンを含んでなる組成物。
【請求項9】
メタドキシンを含んでなる組成物であって、メタドキシンの一部が持続放出のために処方され、かつメタドキシンの一部が対象への投与後の即時放出のために処方された、組成物。
【請求項10】
持続放出性メタドキシンと即時放出性メタドキシンとの相対的割合が完全整数でl対99から99対1までの範囲である、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
医薬組成物、栄養補助食品、食物および飲料から選択される、請求項8〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記メタドキシンが生理学上適合する誘導体である、請求項8〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
非慢性的投与のために処方された、請求項8〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
単回投与形またはその分割投与形で投与される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
8時間以内にメタドキシン総量の50%以上を放出するように処方された、請求項8〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
6時間以内にメタドキシン総量の50%以上を放出するように処方された、請求項8〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
約1時間より長い血液中のメタドキシンのtmaxを有する、請求項8〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
血液中のメタドキシンのtmaxが、即時放出性組成物における場合よりも約2倍長い、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
単回投与またはその分割投与で最大で3000mgのメタドキシンを送達するように処方された、請求項8〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
ポリマー材料をさらに含んでなる、請求項8〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
吸収促進剤をさらに含んでなる、請求項8〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
許容される賦形剤をさらに含んでなる、請求項8〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
処方1を含んでなるかまたは処方1から本質的になる、請求項8〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
処方2を含んでなるかまたは処方2から本質的になる、請求項8〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
処方3を含んでなるかまたは処方3から本質的になる、請求項8〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記持続放出が制御放出である、請求項8〜25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
血液中のメタドキシンの平均tmaxの延長を必要とする対象の血液中のメタドキシンの平均tmaxを延長するための方法であって、請求項8〜26のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項28】
前記組成物が、即時放出性組成物における場合よりも約2倍長い血液中のメタドキシンのtmaxを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物が請求項8〜26のいずれか一項に記載の組成物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記対象が、社会的飲酒、会期的飲酒または多量飲酒しているかあるいは社会的飲酒、会期的飲酒または多量飲酒している予定である、請求項28〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が非慢性的投与によって投与される、請求項28〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が単回投与形またはその分割投与形で投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記投与様式が経口投与、経鼻投与、直腸投与、皮下投与、経粘膜投与、舌下投与、口内投与または経皮投与である、請求項28〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
血中アルコールレベルを低下または消滅させるための治療組成物の製造におけるメタドキシンまたはその機能的誘導体の使用。
【請求項35】
アルコール摂取の症状または影響の軽減または予防するための治療組成物の製造におけるメタドキシンまたはその機能的誘導体の使用。
【請求項36】
アルコール酩酊を予防するための治療組成物の製造におけるメタドキシンまたはその機能的誘導体の使用。
【請求項37】
血液中のメタドキシンの平均tmaxを延長するための治療組成物の製造における、持続または制御放出のために処方されたメタドキシンまたはその機能的誘導体の使用。
【請求項38】
請求項8〜26のいずれか一項に記載のメタドキシン組成物を含んでなる薬物送達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−531872(P2010−531872A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514251(P2010−514251)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000917
【国際公開番号】WO2009/004629
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(510004918)アルコブラ、リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】ALCOBRA LTD.
【Fターム(参考)】