説明

アルツハイマー病の治療のための療法組合せ

アルツハイマー病を治療するのに有用な医薬組成物を開示する。アルツハイマー病を治療するための方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年4月16日付けの米国仮出願第60,562,141号に対し、35U.S.C第119条(e)に基づく優先権を請求するものである。
発明の分野
本発明は、アルツハイマー病の治療に有用な組成物に関する。該発明はさらに、アルツハイマー病を患うヒトを含めた患者を治療する目的でかかる組成物を使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
1906年にアロイス・アルツハイマーが初めて、進行性痴呆を有する患者の脳において現在我々がアルツハイマー病(AD)と呼んでいるものに独特の神経病理学的特長を記述した(Alzheimer A. Ueber eine eigenartige erkrankung der hirnrinde. Z Gesamte Neurol Psychiat. 18:177;1907)。65才を超える個体の5%超が痴呆にかかっていると推定されている(Hofman A, Rocca WA, Brayne C, Breteler MM, Clarke M, Cooper B,ら、「ヨーロッパにおける痴呆の患者数;1980〜1990年の発見事実の共同研究」EURODEM Prevalence Research Group. Int J Epidemiol, 20(3):736-748;1991)。痴呆の60〜70%がアルツハイマー病(「AD」)に起因すると考えられている。アルツハイマー協会によると、65才を超える10人に一人、そして85才を超える人のほぼ半数がADを患っている。現在、400万人を超えるアメリカ人がこの病気を患う。この数字は2050年までには1400万人にまで増加するものと推定されている(Brookmeyer R. 及びGray S. 「高齢化する人口における慢性疾患の発生率及び有病率の予想方法:アルツハイマー病への応用」Stat Med, 19(11-12):1481-1493;2000)。
【0003】
アルツハイマー病は、学習及び記憶における認知の衰退という形で現われる慢性神経変性障害である。それには脳内の広汎性構造異常が随伴する。増々増大する一連の証拠が、ベータアミロイド(Aβ)がこの多因子変性プロセスの中で重要な役割を果たしていることを示唆している(De Strooper B及びAnnaert W. 「アミロイド前駆体タンパク質のタンパク質分解プロセッシング及び細胞生物学的機能」. J. Cell Sci. 113:1857~1870:2000)。しかしながら、Emmerling及び共同研究者らによる再考の中で(Emmerling MR, Spiegel K, Hall ED, Le Vine H, Walker LC, Schwarz RD及びGracon S. 「ミレニアムにおけるアルツハイマー病の治療のための新興戦略」Emerging Drugs, 4:35-86;1999)、彼らはADを、「もはや単純に神経伝達物質の欠損又はアミロイド沈積の疾患として見られていない。むしろ、この痴呆を生み出すべく共謀しているのは複数の事象(アミロイド症、神経原線維病変、炎症、酸化的ストレス及び脳循環不全)の組合せである」として記述している。
【0004】
アセチルコリンエステラーゼ阻害物質がADの治療において有用であることが知られている。既知のアセチルコリンエステラーゼ阻害物質の例には、ドネペジル(Aricept(登録商標))、タクリン(Cognex(登録商標))、リバスチグミン(Exelon(登録商標))及びガランタミン(Reminyl)が含まれる。Aricept(登録商標)は、本書にその全てが完全に参考として内含されている以下の米国特許の中で開示されている:第4,895,841号、5,985,864号、6,140,321号、6,245,911号及び6,372,760号。Exelon(登録商標)は本書に全体が参考として内含されている米国特許第4,948,807号及び第5,602,176号の中で開示されている。Cognex(登録商標)は、(本書に全体が参考として内含されている)米国特許第4,631,286号及び第4,816,456号の中で開示されている。Remynil(登録商標)は、本書に全体が参考として内含されている米国特許第4,663,318号及び6,099,863号の中で開示されている。
【0005】
コレステロールは、ADの発生及び進行に重要な役割を果たし得る。さまざまな脂質粒子の合成及び分泌は末梢及び脳内で異なった形で発生する。重要なことに、ADにおける末梢及び脳の両方の中での脂質粒子の輸送及び代謝の潜在的にきわめて重要な役割を理解するためにはさらなる調査が必要とされる(Beisiegel U及びSpector AA. 「脳内の脂質とリポタンパク質」Current Opinion in Lipidology, 12:243-244;2001)。
【0006】
コレステロールは、インビトロ及び動物モデル研究を通して実証されているように、アミロイド前駆体タンパク質(APP)のプロセッシング及び付随するAβ産生を変調させる(Emmerling MR, Spiegel K, Hall ED, Le Vine H, Walker LC, Schwarz RD及びGracon Sミレニアムにおけるアルツハイマー病の治療のための新興戦略。Emerging Drugs, 4:35-86;1999)。培養又は動物の規定食における余剰のコレステロールは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)のプロセッシング及びAβの産生の増加を結果としてもたらす。培養又は動物の規定食からコレステロールを除去すると結果としてAPPのプロセッシング及びAβの産生の減少がもたらされる(Bergmann C, Runz H, Jakala P 及び Hartmann T. 「コレステロールの枯渇によるガンマセクレターゼの多様化対ベータセクレターゼの阻害の関係」Neurobiol Aging, 21:S278;2000)。スタチンは、HMG−CoAからメバロン酸塩への転換という、経路内でのきわめて重要な段階を遮断することにより新たに合成を阻害する。スタチンとして知られているHMG−CoA−レダクターゼ阻害物質を通したコレステロールの低下は、APPのプロセッシング及びAβの産生に対して類似の効果を有する(Austen BM, Frears ER及びDavies H. 「トランスフェクションを受けた細胞内でコレステロールがAbeta 1−40及び1−42の産生をアップレギュレートする」Neurobiol Aging, 21: S254;2000)。
【0007】
例えばロバスタチンで治療された正常なヒトの患者においては、血清Aβ濃度は用量依存的に減少させられる。(Friedhoff LT, Cullen EI, Geoghagen NS, Buxbaum JD。制御放出ロバスタチンでの治療はヒトベータ−アミロイド(Aβ)ペプチドの血清濃度を減少させる。Int J Neuropsychopharmacol., 4(2):127-30; June 2001)。これらのデータは、血清コレステロールの減少がAPP及びβアミロイドの減少と相関することを示唆している。このような減少は、疾病の進行の修正及び認知及び行動機能の改善を結果としてもたらし得る。
【0008】
ADの発生における血清ApoEの役割はコレステロールを通したものでなくより直接的Aβの凝集に基づくものであり得る(Golde TE及びEckman CB.「アルツハイマー病の治療のための新興戦略としてのコレステロールの変調」。Drug Discovery Today, 6(2):1049-1055;2001)。高齢、女性という性別そして家族履歴がADの明白な危険因子である。付加的な危険因子としては、喫煙、肥満度、血圧及び脂質値が含まれる。しかしながら、疾病が進行するにつれて、これらの危険因子の相対的重要性は変化し得る(Corti MC, Guralnik JM, Salive ME, Harris T, Ferrucci L, Glynn RJ, Havlik RJ.「高齢者における冠状動脈性心臓病による死亡と合計コレステロール値の直接的関係を解明する」Ann Intern Med, 126:753-760;1997)。一般に、ADの診断は数十年前には、血清コレステロールと結びつけられている(Kivipelto M, Helkala EL, Heanniren Tその他、中年血管危険因子及び晩年軽度認識障害−人口に基づく研究、Neurology, 322:1447-1451;2001年)。
【0009】
Sparks及び共同研究者による初期の研究作業(Sparks, DL, Hunsaker JC その他。「冠状動脈疾患における皮膚老人斑、加齢及びアルツハイマー病」Neurobiology of Aging, 11(6):601-607;1996)は、非痴呆性CAD患者におけるAD様の神経病理学的病巣を実証した。疫学的研究作業は、高脂肪規定食とADの危険性の間の結びつきを実証した。
(Desmond DW, Tatemichi TK, Paik M, Stern Y. 「卒中を患わないコホートにおける認知機能の相関物としての脳血管疾患に対する危険因子」Arch Neurol, 50:162-166;1993)。いわゆる心臓防御性ある規定食がAD発生の危険性を低減させることが示されてきた(Forette F, Seux ML, Staessen JAその他。「無作為2重盲目プラシーボ制御型欧州収縮期高血圧(Syst-Eur)試用における痴呆の予防」Lancet, 352:1347-1351;1998)。
【0010】
近年の遡及的研究は、コレステロール低下剤特にスタチンの使用とコレステロール及びAD発生の危険性の減少の間に明らかなプラスの関係があることを指摘している。(Jick H, Zornberg GL, Jick SS, Seshadri S及びDrachman DA 「スタチンと痴呆の危険性」The Lancet, 356:1627-1631;2000)。
【0011】
アトルバスタチンは、高コレステロール血症の治療において使用するためのスタチン類の脂質調節剤の一成員である。米国特許第4,681,893号(本書に全体が参考として内含されている)及び米国特許第5,273,995号(本書に全体が参考として内含されている)がアトルバスタチン(Lipitor(登録商標))について開示している。その他のスタチンには、ロバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン及びロスバスタチンが含まれている。
【発明の開示】
【0012】
発明の要約
本発明は、一定量のアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩;一定量のアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩;及び薬学的に許容される担体又は希釈剤、を含む医薬組成物を提供している。
【0013】
本発明はさらに、アルツハイマー病を患う哺乳動物を治療する方法において、前記哺乳動物に治療上有効な量の第1の化合物(前記第1の化合物はアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の化合物(前記第2の化合物はアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を投与する段階を含んで成る方法を提供する。
【0014】
さらに提供されているのは、治療上有効な量の第1の化合物(前記第1の化合物はアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の化合物(前記第2の化合物はアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物のアルツハイマー病を予防するための方法である。
【0015】
さらに提供されているのは、アセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である、一定量の第1の活性成分(a);及びアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である、一定量の第2の活性成分(b)、の両方の組合せ投与による療法からの利益を享受すると考えられ、従って(a)及び(b)の両方の投与が処方されているアルツハイマー病を患っているか又はアルツハイマー病のリスクがあると診断された哺乳動物を治療する方法において、かく診断され処方された前記哺乳動物に対し前記一定量の第1の活性成分(a)及び前記一定量の第2の活性成分(b)を投与する段階を含む方法であって、前記第1の活性成分(a)及び前記第2の活性成分(b)が薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に単一の医薬組成物の形で一緒に投与される方法である。
【0016】
さらに提供されているのは、医者によるアルツハイマー病についての検査を受けかつ、治療上有効な量の第1の活性成分(a)(前記第1の活性成分(a)はアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の活性成分(前記第2の活性成分(b)はアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を含む(a)及び(b)と呼ばれる活性成分の合同投与による前記アルツハイマー病の療法が必要と診断された哺乳動物においてアルツハイマー病を治療又は予防するための方法において、前記第1の活性成分(a)及び前記第2の活性成分(b)が薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に単一の医薬組成物の形で一緒に投与される方法である。
【0017】
さらに提供されているのは、哺乳動物の体内で治療効果を達成するためのキットにおいて、第1の単位剤形の中の治療上有効な量のアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤;第2の単位剤形の中の治療上有効な量のアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤;そして前記第1及び第2の剤形を収納するための容器手段を含んで成るキットである。
【0018】
さらに提供されているのは、アルツハイマー病を患う哺乳動物においてアルツハイマー病修飾効果を達成するために第2の医薬組成物と共に使用するための第1の医薬組成物において、該アルツハイマー病修飾効果は、前記第1及び第2の医薬組成物を別々に投与することによって達成される効果の合計よりも大きく、前記第1の医薬組成物が一定量のアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含み、前記第2の医薬組成物が一定量のアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又は薬学的に許容される担体又は希釈剤を含んで成る、第1の医薬組成物である。
【0019】
さらに提供されているのは、一定量のアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩;一定量のスタチン又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体又は希釈剤、を含んで成る医薬組成物である。
【0020】
さらに提供されているのは、アルツハイマー病を患う哺乳動物を治療する方法において、前記哺乳動物に治療上有効な量の第1の化合物(前記第1の化合物はアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の化合物(前記第2の化合物はスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を投与する段階を含んで成る方法である。
【0021】
さらに提供されているのは、治療上有効な量の第1の化合物(前記第1の化合物はアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の化合物(前記第2の化合物はスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物のアルツハイマー病を予防するための方法である。
【0022】
さらに提供されているのは、アセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である、一定量の第1の活性成分(a);及びスタチン又はその薬学的に許容される塩である、一定量の第2の活性成分(b)、の両方の組合せ投与による療法からの利益を享受するものと考えられ、従って(a)及び(b)の両方の投与が処方されているアルツハイマー病を患っているか又はアルツハイマー病のリスクがあると診断された哺乳動物を治療する方法において、かく診断され処方された前記哺乳動物に対し前記一定量の第1の活性成分(a)及び前記一定量の第2の活性成分(b)を投与する段階を含む方法であって、前記第1の活性成分(a)及び前記第2の活性成分(b)が薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に単一の医薬組成物の形で一緒に投与される方法である。
【0023】
さらに提供されているのは、医者によるアルツハイマー病についての検査を受けかつ、治療上有効な量の第1の活性成分(a)(前記第1の活性成分(a)はアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の活性成分(前記第2の活性成分(b)はスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を含む(a)及び(b)と呼ばれる活性成分の合同投与による前記アルツハイマー病の療法が必要と診断された哺乳動物においてアルツハイマー病を治療又は予防するための方法において、前記第1の活性成分(a)及び前記第2の活性成分(b)が薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に単一の薬学組成物の形で一緒に投与される方法である。
【0024】
さらに提供されているのは、哺乳動物の体内で治療効果を達成するためのキットにおいて、第1の単位剤形の中の治療上有効な量のアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤;第2の単位剤形の中の治療上有効な量のスタチン又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤;そして前記第1及び第2の剤形を収納するための容器手段を含んで成るキットである。
【0025】
さらに提供されているのは、アルツハイマー病を患う哺乳動物においてアルツハイマー病修飾効果を達成するために第2の医薬組成物と共に使用するための第1の医薬組成物において、該アルツハイマー病修飾効果は、前記第1及び第2の医薬組成物を別々に投与することによって達成される効果の合計よりも大きく、前記第1の医薬組成物が一定量のスタチン又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含み、前記第2の医薬組成物が一定量のスタチン又は薬学的に許容される担体又は希釈剤を含んで成る、第1の医薬組成物である。
【0026】
本発明はさらに、一定量のドネペジル又はその薬学的に許容される塩;一定量のアルバスタチン又はその薬学的に許容される塩;及び薬学的に許容される担体又は希釈剤、を含んで成る医薬組成物を提供している。
【0027】
さらに提供されているのは、アルツハイマー病を患う哺乳動物を治療する方法において、前記哺乳動物に治療上有効な量の第1の化合物(前記第1の化合物はドネペジル又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の化合物(前記第2の化合物はアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を投与する段階を含んで成る方法である。
【0028】
さらに提供されているのは、治療上有効な量の第1の化合物(前記第1の化合物はドネペジル又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の化合物(前記第2の化合物はアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物のアルツハイマー病を予防するための方法である。
【0029】
さらに提供されているのは、ドネペジル又はその薬学的に許容される塩である、一定量の第1の活性成分(a);及びアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である、一定量の第2の活性成分(b)、の両方の組合せ投与による療法からの利益を享受するとものと考えられ、従って(a)及び(b)の両方の投与が処方されているアルツハイマー病を患っているか又はアルツハイマー病のリスクがあると診断された哺乳動物を治療する方法において、かく診断され処方された前記哺乳動物に対し前記一定量の第1の活性成分(a)及び前記一定量の第2の活性成分(b)を投与する段階を含む方法であって、前記第1の活性成分(a)及び前記第2の活性成分(b)が薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に単一の医薬組成物の形で一緒に投与される方法である。
【0030】
さらに提供されているのは、医者によるアルツハイマー病についての検査を受けかつ、治療上有効な量の第1の活性成分(a)(前記第1の活性成分(a)はドネペジル又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の活性成分(前記第2の活性成分(b)はアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を含む(a)及び(b)と呼ばれる活性成分の合同投与による前記アルツハイマー病の療法が必要と診断された哺乳動物においてアルツハイマー病を治療するための方法において、前記第1の活性成分(a)及び前記第2の活性成分(b)が薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に単一の医薬組成物の形で一緒に投与される方法である。
【0031】
さらに提供されているのは、哺乳動物の体内で治療効果を達成するためのキットにおいて、第1の単位剤形の中の治療上有効な量のドネペジル又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤;第2の単位剤形の中の治療上有効な量のアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤;そして前記第1及び第2の剤形を収納するための容器手段を含んで成るキットである。
【0032】
さらに提供されているのは、アルツハイマー病を患う哺乳動物においてアルツハイマー病修飾効果を達成するために第2の医薬組成物と共に使用するための第1の医薬組成物において、該アルツハイマー病修飾効果は、前記第1及び第2の医薬組成物を別々に投与することによって達成される効果の合計よりも大きく、前記第1の医薬組成物が一定量のアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含み、前記第2の医薬組成物が一定量のドネペジル又は薬学的に許容される担体又は希釈剤を含んで成る、第1の医薬組成物。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
発明の詳細な説明
本発明は、一定量のアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩;一定量のアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩;及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0034】
さらに提供されているのは、アトルバスタチンのヘミカルシウム塩を含む上述の組成物である。
【0035】
さらに提供されているのは、約0.2mg〜約20mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩及び約5mg〜約80mgのアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩を含む上述の組成物である。
【0036】
さらに提供されているのは、活性5mgのアトルバスタチンカルシウムと活性10mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;活性10mgのアトルバスタチンカルシウムと活性10mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;活性20mgのアトルバスタチンカルシウムと活性10mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;活性40mgのアトルバスタチンカルシウムと活性10mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;活性80mgのアトルバスタチンカルシウムと活性10mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;活性5mgのアトルバスタチンカルシウムと活性5mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;活性10mgのアトルバスタチンカルシウムと活性5mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;活性20mgのアトルバスタチンカルシウムと活性5mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;活性40mgのアトルバスタチンカルシウムと活性5mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;及び活性80mgのアトルバスタチンカルシウムと活性5mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質、から成る群から選択された固定した組合せを含む医薬組成物である。
【0037】
さらに提供されているのは、アルツハイマー病を患う哺乳動物を治療する方法において、前記哺乳動物に治療上有効な量の第1の化合物(前記第1の化合物はアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の化合物(前記第2の化合物はアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を投与する段階を含んで成る方法を提供する。
【0038】
さらに提供されているのは、治療上有効な量の第1の化合物(前記第1の化合物はアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の化合物(前記第2の化合物はアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物のアルツハイマー病を予防するための方法である。
【0039】
さらに提供されているのは、アセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である、一定量の第1の活性成分(a);及びアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である、一定量の第2の活性成分(b)、の両方の組合せ投与による療法からの利益を享受するものと考えられ、従って(a)及び(b)の両方の投与が処方されているアルツハイマー病を患っているか又はアルツハイマー病のリスクがあると診断された哺乳動物を治療する方法において、かく診断され処方された前記哺乳動物に対し前記一定量の第1の活性成分(a)及び前記一定量の第2の活性成分(b)を投与する段階を含む方法であって、前記第1の活性成分(a)及び前記第2の活性成分(b)が薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に単一の医薬組成物の形で一緒に投与される方法である。
【0040】
さらに提供されているのは、医者によるアルツハイマー病についての検査を受けかつ、治療上有効な量の第1の活性成分(a)(前記第1の活性成分(a)はアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の活性成分(前記第2の活性成分(b)はアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を含む(a)及び(b)と呼ばれる活性成分の合同投与による前記アルツハイマー病の療法が必要と診断された哺乳動物においてアルツハイマー病を治療又は予防するための方法において、前記第1の活性成分(a)及び前記第2の活性成分(b)が薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に単一の医薬組成物の形で一緒に投与される方法である。
【0041】
さらに提供されているのは、哺乳動物の体内で治療効果を達成するためのキットにおいて、第1の単位剤形の中の治療上有効な量のアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤;第2の単位剤形の中の治療上有効な量のアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤;そして前記第1及び第2の剤形を収納するための容器手段を含んで成るキットである。
【0042】
さらに提供されているのは、アルツハイマー病を患う哺乳動物においてアルツハイマー病修飾効果を達成するために第2の薬学組成物と共に使用するための第1の医薬組成物において、該アルツハイマー病修飾効果は、前記第1及び第2の医薬組成物を別々に投与することによって達成される効果の合計よりも大きく、前記第1の医薬組成物が一定量のアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含み、前記第2の医薬組成物が一定量のアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又は薬学的に許容される担体又は希釈剤を含んで成る、第1の医薬組成物である。
【0043】
さらに提供されているのは、安定化量の上述の医薬組成物を哺乳動物に投与する段階を含む、安定化を必要とする哺乳動物におけるアルツハイマー病の症候を安定化させる方法である。
【0044】
さらに提供されているのは、前記安定化がアルツハイマー病評価等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)によって評価される方法である。さらに提供されているのは、前記安定化がアルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)によって評価される方法である。
【0045】
さらに又、本発明は、一定量のアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩;一定量のスタチン又はその薬学的に許容される塩;及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0046】
さらに提供されているのは、約0.2mg〜約20mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩及び約5mg〜約80mgのスタチン又はその薬学的に許容される塩を含む上述の薬剤組成物である。
【0047】
さらに提供されているのは、活性5mgのスタチンと活性10mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;活性10mgのスタチンと活性10mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;活性20mgのスタチンと活性10mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;活性40mgのスタチンと活性10mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;活性80mgのスタチンと活性10mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;活性5mgのスタチンと活性5mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;活性10mgのスタチンと活性5mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;活性20mgのスタチンと活性5mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;活性40mgのスタチンと活性5mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;及び活性80mgのスタチンと活性5mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質、から成る群から選択された固定した組合せを含む医薬組成物である。
【0048】
さらに提供されているのは、アルツハイマー病を患う哺乳動物を治療する方法において、前記哺乳動物に治療上有効な量の第1の化合物(前記第1の化合物はアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の化合物(前記第2の化合物はスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を投与する段階を含んで成る方法である。
【0049】
さらに提供されているのは、治療上有効な量の第1の化合物(前記第1の化合物はアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の化合物(前記第2の化合物はスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物のアルツハイマー病を予防するための方法である。
【0050】
さらに提供されているのは、アセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である、一定量の第1の活性成分(a);及びスタチン又はその薬学的に許容される塩である、一定量の第2の活性成分(b)、の両方の組合せ投与による療法からの利益を享受するものと考えられ、従って(a)及び(b)の両方の投与が処方されているアルツハイマー病を患っているか又はアルツハイマー病のリスクがあると診断された哺乳動物を治療する方法において、かく診断され処方された前記哺乳動物に対し前記一定量の第1の活性成分(a)及び前記一定量の第2の活性成分(b)を投与する段階を含む方法であって、前記第1の活性成分(a)及び前記第2の活性成分(b)が薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に単一の医薬組成物の形で一緒に投与される方法である。
【0051】
さらに提供されているのは、医者によるアルツハイマー病についての検査を受けかつ、治療上有効な量の第1の活性成分(a)(前記第1の活性成分(a)はアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の活性成分(前記第2の活性成分(b)はアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を含む(a)及び(b)と呼ばれる活性成分の合同投与による前記アルツハイマー病の療法が必要と診断された哺乳動物においてアルツハイマー病を治療又は予防するための方法において、前記第1の活性成分(a)及び前記第2の活性成分(b)が薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に単一の医薬組成物の形で一緒に投与される方法である。
【0052】
さらに提供されているのは、哺乳動物の体内で治療効果を達成するためのキットにおいて、第1の単位剤形の中の治療上有効な量のアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤;第2の単位剤形の中の治療上有効な量のスタチン又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤;そして前記第1及び第2の剤形を収納するための容器手段を含んで成るキットである。
【0053】
さらに提供されているのは、アルツハイマー病を患う哺乳動物においてアルツハイマー病修飾効果を達成するために第2の医薬組成物と共に使用するための第1の医薬組成物において、該アルツハイマー病修飾効果は、前記第1及び第2の医薬組成物を別々に投与することによって達成される効果の合計よりも大きく、前記第1の医薬組成物が一定量のスタチン又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含み、前記第2の医薬組成物が一定量のアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又は薬学的に許容される担体又は希釈剤を含んで成る、第1の医薬組成物である。
【0054】
さらに提供されているのは、安定化量の上述の医薬組成物を哺乳動物に投与する段階を含む、安定化を必要とする哺乳動物におけるアルツハイマー病の症候を安定化させる方法である。
【0055】
さらに提供されているのは、前記安定化がアルツハイマー病評価等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)によって評価される方法である。さらに提供されているのは、前記安定化がアルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)によって評価される方法である。
【0056】
さらに又、本発明は、一定量のドネペジル又はその薬学的に許容される塩;一定量のアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩;及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0057】
さらに提供されているのは、アトルバスタチンのヘミカルシウム塩を含む上述の医薬組成物である。さらに提供されているのは、ドネペジルHClを含む組成物である。
【0058】
さらに提供されているのは、約0.2mg〜約20mgのドネペジル又はその薬学的に許容される塩及び約5mg〜約80mgのアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩を含む上述の医薬組成物である。
【0059】
さらに提供されているのは、活性5mgのアトルバスタチンカルシウムと活性10mgのドネペジル;活性10mgのアトルバスタチンカルシウムと活性10mgのドネペジル;活性20mgのアトルバスタチンカルシウムと活性10mgのドネペジル;活性40mgのアトルバスタチンカルシウムと活性10mgのドネペジル;活性80mgのアトルバスタチンカルシウムと活性10mgのドネペジル;活性5mgのアトルバスタチンカルシウムと活性5mgのドネペジル;活性10mgのアトルバスタチンカルシウムと活性5mgのドネペジル;活性20mgのアトルバスタチンカルシウムと活性5mgのドネペジル;活性40mgのアトルバスタチンカルシウムと活性5mgのドネペジル;及び活性80mgのアトルバスタチンカルシウムと活性5mgのドネペジル、から成る群から選択された固定した組合せを含む上述の医薬組成物である。
【0060】
さらに提供されているのは、アルツハイマー病を患う哺乳動物を治療する方法において、前記哺乳動物に治療上有効な量の第1の化合物(前記第1の化合物はドネペジル又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の化合物(前記第2の化合物はアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を投与する段階を含んで成る方法である。
【0061】
さらに提供されているのは、治療上有効な量の第1の化合物(前記第1の化合物はドネペジル又はその薬学的に受容可能な塩である)及び治療上有効な量の第2の化合物(前記第2の化合物はアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物のアルツハイマー病を予防するための方法である。
【0062】
さらに提供されているのは、アトルバスタチンのヘミカルシウム塩を含む上述の方法である。さらに提供されているのは、ドネペジルHClを含む方法である。
【0063】
さらに提供されているのは、ドネペジル又はその薬学的に許容される塩である、一定量の第1の活性成分(a);及びアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である、一定量の第2の活性成分(b)、の両方の組合せ投与による療法からの利益を享受するものと考えられ、従って(a)及び(b)の両方の投与が処方されているアルツハイマー病を患っているか又はアルツハイマー病のリスクがあると診断された哺乳動物を治療する方法において、かく診断され処方された前記哺乳動物に対し前記一定量の第1の活性成分(a)及び前記一定量の第2の活性成分(b)を投与する段階を含む方法であって、前記第1の活性成分(a)及び前記第2の活性成分(b)が薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に単一の医薬組成物の形で一緒に投与される方法である。
【0064】
さらに提供されているのは、活性成分(b)がアトルバスタチンのヘミカルシウム塩である上述の方法である。さらに提供されているのは、活性成分(b)がドネペジルHClである方法である。
【0065】
さらに提供されているのは、医者によるアルツハイマー病についての検査を受けかつ、治療上有効な量の第1の活性成分(a)(前記第1の活性成分(a)はドネペジル又はその薬学的に許容される塩である)及び治療上有効な量の第2の活性成分(前記第2の活性成分(b)はアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である)を含む(a)及び(b)と呼ばれる活性成分の合同投与による前記アルツハイマー病の療法が必要と診断された哺乳動物においてアルツハイマー病を治療するための方法において、前記第1の活性成分(a)及び前記第2の活性成分(b)が薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に単一の医薬組成物の形で一緒に投与される方法である。
【0066】
さらに提供されているのは、活性成分(b)がアトルバスタチンのヘミカルシウム塩である上述の方法である。さらに提供されているのは、活性成分(b)がドネペジルHClである方法である。
【0067】
さらに提供されているのは、哺乳動物の体内で治療効果を達成するためのキットにおいて、第1の単位剤形の中の治療上有効な量のドネペジル又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤;第2の単位剤形の中の治療上有効な量のアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤;そして前記第1及び第2の剤形を収納するための容器手段を含んで成るキットである。
【0068】
さらに提供されているのは、アルツハイマー病を患う哺乳動物においてアルツハイマー病修飾効果を達成するために第2の医薬組成物と共に使用するための第1の医薬組成物において、該アルツハイマー病修飾効果は、前記第1及び第2の医薬組成物を別々に投与することによって達成される効果の合計よりも大きく、前記第1の医薬組成物が一定量のアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含み、前記第2の医薬組成物が一定量のドネペジル又は薬学的に許容される担体又は希釈剤を含んで成る、第1の医薬組成物。
【0069】
さらに提供されているのは、安定化量の上述の医薬組成物を哺乳動物に投与する段階を含む、安定化を必要とする哺乳動物におけるアルツハイマー病の症候を安定化させる方法である。
【0070】
さらに提供されているのは、前記安定化がアルツハイマー病評価等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)によって評価される上述の方法である。さらに提供されているのは、前記安定化がアルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)によって評価される上述の方法である。
【0071】
本発明の1つの実施形態は、認知及び大域的機能により測定される通り、特にそれぞれアルツハイマー病等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)及びアルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)によって評価されるように、ドネペジル単独での治療に比べ改良されている、アトルバスタチンとアセチルコリンエステラーゼ阻害物質ドネペジルの投与段階を含む、安定化を必要とする哺乳動物におけるアルツハイマー病の症候の安定化のための改良型方法である。本書で使用される「安定化」というのは、上記の尺度(ADAS−Cog及びADCS−CGIC)に経時的にさらなる減退が全く無いことを意味する。
【0072】
該発明のさらなる実施形態は、例えばアトルバスタチンといったスタチンとAD病修正効果をもつアセチルコリンエステラーゼ阻害物質(例えばドネペジル)を組合せた薬学的配合である。
【0073】
本発明のさらなる実施形態は、アルツハイマー病の進行を減速させその悪化を低減する例えばドネペジルといったアセチルコリンエステラーゼ阻害物質と例えばアトルバスタチンといったスタチンを組合せた薬学的配合である。
【0074】
本書で使用する「組合せ型治療」というのは、薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に単一の薬学組成物の形で例えばアトルバスタチンといったスタチンと例えばドネペジルといったアセチルコリンエステラーゼ阻害物質を投与することを意味する。
【0075】
本書で使用する「アルツハイマー病修正効果」又は「安定化」というのは、ADを患う哺乳動物におけるAD症候のさらなる悪化が全くないことを意味する。本書で使用する「アルツハイマー病安定化量」は、かかる哺乳動物におけるAD症候のかかる安定化を達成するのに必要とされる投薬量を意味する。
【0076】
ADならびにAD治療投薬計画の疾病修正効果のその他の臨床的尺度としては以下のものが含まれる;神経精神病目録作成(NPI)により測定される行動;ミニメンタルステート検査(MMSE)により測定される総合的認知状態;臨床痴呆格付けボックス合計(CDR−SB)により測定される全体的痴呆重症度;及びアルツハイマー病機能評価及び変化等級(ADFACS)によって評価される日々の機能。
【0077】
さらに、MRI及びMRSを介した脳体積と代謝の測定は、AD治療投薬計画の疾症修正効果の標示を提供する。MRI尺度には、全脳体積、心室体積及び海馬体積が含まれる。MRS尺度には、N−アセチルアスパラギン酸(NAA)及びミオイノシトール(MI)が含まれる。疾病修正の証拠は、これらの尺度における治療グループ間の差異によって実証される。
【0078】
さらに、ADの末梢バイオマーカー、特定的にはβアミロイドペプチド(Aβ1−40、Aβ1−42)、セレブロステロール(24S−ヒドロキシコレステロール)及びS100bの血漿レベルは、AD治療投薬計画の疾病修正効果の標示を提供する。疾病修正の証拠は、これらの尺度における治療グループ間の差異によって実証される。
【0079】
本書で使用されているように、「患者」という用語は、ヒトを含めた全ての哺乳動物を意味する。患者の例としては、ヒト、ウシ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、及びウサギが含まれる。
【0080】
「治療上有効な量」というのは、患者に投与された時点でADの症候が改善される本発明の化合物の量である。
【0081】
「薬学的に許容される塩」というのは、本発明の化合物の相対的に非毒性の、無機及び有機酸又は塩基付加塩を意味する。これらの塩は、化合物の最終単離及び精製中にインサイチュで、又はその遊離形態の精製済み化合物を適切な有機又は無機酸又は塩基と別々に反応させこのように形成された塩を単離することによって調製可能である。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシルラート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプタンン酸塩、ラクトビオン酸塩及びラウリルスルホン酸塩などが含まれる。これらには、アルカリ及びアルカリ土類金属例えばナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどならびに非毒性アンモニウム、第4級アンモニウムに基づくカチオン、及びアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トメメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含む(ただしこれらに制限されるわけではない)アミンカチオンが含まれる(例えば本書に参考として内含されているBerge S. M. et al.,「薬学塩」J, Pharm. Sci., 1977;66:1-19を参照のこと)。遊離塩基形態は、塩形態を塩基と接触させることによって再生可能である。遊離塩基は、溶解度といったような物理的特性に関して塩形態と異なるものであり得るが、塩は、本発明の目的ではそのそれぞれの遊離基と等価である。
【0082】
本発明の組成物は、アルツハイマー病の治療、制御又は予防のため患者に投与するのに適している。「治療」、「治療する」、「制御する」、「予防する」などの用語は、かかる用語が適用される疾病又は身体条件又はかかる疾病又は身体条件の単数又は複数の症候の進行を逆転、緩和又は阻害することを意味する。本書で使用されているこれらの用語は同様に、患者の身体条件に応じて、疾病又は身体条件による苦痛以前に疾病又は身体条件又はそれらに付随する症候の重症度を軽減することを含め、疾病又は身体条件又は疾病又は身体条件に付随する症候の発症を予防することをも包含している。苦痛を受ける以前のこのような予防又は軽減は、投与の時点で該疾病又は身体条件に悩まされていない患者に対し該発明の化合物を投与することを意味する。「予防する」という用語は同様に疾病又は身体条件又はそれに付随する症候の再発を予防することをも包含する。従って、本発明の組成物は、患者に単独で又は、全て当該技術分野において周知である賦形剤、希釈剤及び担体といったようなその他の構成要素を含有する組成物の一部として投与され得る。組成物は、ヒト及び動物に対して経口で、直腸経由で、非経口で(静脈内、筋内又は皮下)、槽内、膣内、腹腔内、膀胱内で、局所施用で(粉末、軟こう、又は滴下)、又は口腔又は鼻腔スプレーとして、投与可能である。
【0083】
非経口注射に適した組成物には、生理学的に許容される無菌水溶液又は非水性溶液、分散、懸濁液又はエマルジョン及び無菌注射用溶液又は分散に戻すための無菌粉末が含まれ得る。適切な水性及び非水性担体、希釈剤、溶剤又はビヒクルとしては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、その適切な混合物、植物油(例えばオリーブ油)及び注射可能な有機エステル例えばオレイン酸エチルが含まれる。適切な流動性は、例えばレシチンといったようなコーティングの使用、分散の場合の所要粒度の維持及び界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0084】
これらの組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、及び分配剤といったアジュバントをも含み得る。微生物の作用の予防は、例えばパラペン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などのさまざまな抗菌及び抗真菌剤によって確保できる。例えば糖、塩化ナトリウムなどといった等張剤を内含することも同様に望ましい。注射可能な薬学的形態の長時間吸収は、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンといった吸収を遅延させる作用物質の使用によってもたらされ得る。
【0085】
経口投与のための固体剤形には、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、及び顆粒が含まれる。かかる固体剤形において、活性化合物は、例えばクエン酸ナトリウム又は第2リン酸カルシウムといったような少なくとも1つの不活性の慣習的賦形剤(又は担体)又は(a)例えばでんぷん、ライトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸といったような充填剤又は増量剤;(b)例えばカルボキシメチルセルロース、アリグナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及びアカシアといった結合剤;(c)例えばグリセロールといった保湿剤;(d)例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカでんぷん、アルギン酸、或る種の複合ケイ酸塩及び炭酸ナトリウムといったような崩壊剤;(e)例えばパラフィンといったような溶解遅延剤;(f)例えば第4級アンモニウム化合物といった吸収促進剤;(g)例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールといった湿潤剤;(h)例えばカオリン及びベントナイトといった吸着剤;及び(i)例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム又はその混合物といったような潤滑剤、と混和される。カプセル、錠剤及び丸薬の場合、剤形は同様に緩衝剤も含み得る。
【0086】
類似のタイプの固体組成物を同様に、ラクトース又は乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどといった賦形剤を用いて軟及び硬ゼラチンカプセル内の充填剤として利用することもできる。
【0087】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬及び顆粒といった固体剤形を、当該技術分野において周知の腸溶コーティングその他といったコーティング及びシェルを伴って調製することができる。これらは不透明化剤を含有することができ、同様に腸管の或る部分の中で遅延した形で活性化合物(単複)を放出するような組成を有することもできる。使用可能な包埋組成物の例としては、重合体物質及びろうがある。活性化合物は同様に、該当する場合、上述の賦形剤のうちの単数又は複数のものを伴って、マイクロカプセル封入された形態であり得る。
【0088】
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤を内含する。活性化合物に加えて、液体剤形は、当該技術分野において一般的に使用されている不活性希釈剤例えば水又はその他の溶剤、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、特に綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル又はこれらの物質の混合物などを含有し得る。
【0089】
このような不活性希釈剤の他に、該組成物は同様に、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、着香剤及び芳香剤といったようなアシュバントを内含できる。
【0090】
活性化合物に加えて懸濁液は、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微晶質セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天及びトラガカント又はこれらの物質の混合物などといった懸濁剤を含有し得る。
【0091】
直腸投与用の組成物は好ましくは、通常の温度では固体であるが体温で液体となり従って直腸又は膣腔内で溶融し活性構成要素を放出し得る、ココアバター、ポリエチレングリコール又は座薬ワックスといったような適切な無刺激性賦形剤又は担体と本発明の化合物を混合することにより調製可能である座薬である。
【0092】
本発明の局所投与のための剤形には、軟こう、粉末、スプレー及び吸入薬が含まれる。活性構成要素は無菌条件下で必要に応じて生理学的に許容される担体及び任意の防腐剤、緩衝液又は噴射剤と混和される。眼科用配合、眼科用軟こう、粉末及び溶液も同様に本発明の範囲内にあるものとして考慮されている。
【0093】
一般に、スタチンは以下の投薬量で投与される:シンバスタチン、一般に約2.5mg〜約160mg、好ましくは約10mg〜約40mg;プラバスタチン、一般に約2.5mg〜約160mg、好ましくは約10mg〜約40mg;セリバスタチン、一般に約25マイクログラム〜約5mg、好ましくは約1mg〜約3.2mg;フルバスタチン、一般に約2.5mg〜約160mg、好ましくは約20mg〜約80ng;ロバスタチン、一般に約2.5mg〜約160mg、好ましくは約10mg〜約80mg;そしてアトルバスタチン、一般に約2.5mg〜約160mg、好ましくは約10mg〜約80mg。
【0094】
しかしながら使用される特定の投薬量は変動可能である。例えば、投薬量は、患者の必要条件、治療対象である身体条件の重症度及び使用対象である化合物の薬学的活性を含めた数多くの因子に左右され得る。特定の患者のための最適な投薬量の決定は、当業者にとって周知である。
【0095】
一定量の活性成分を伴うさまざまな医薬組成物を調製する方法は当業者にとって既知であるか又は本開示に照らして明らかとなるものである。医薬組成物を調製する方法の例については、Remington's pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easter, Pa., 第15版(1975年)を参照のこと。
【0096】
本発明は、別々に投与されうる活性成分の組合せを用いた本書に記述された疾病/身体条件の治療に関する1つの態様を有することから、該発明は同様に、キットの形態で別々の医薬組成物を組合せることにも関する。該キットは2つの別々の医薬組成物すなわち本発明の化合物、そのプロドラッグ又はかかる化合物又はプロドラッグの塩及び上述のとおりの第2の化合物を含む。該キットは、容器、分割したびん又は分割したフォイルパケットといったような別々の組成物を収納するための手段を含む。標準的には、該キットは別々の構成要素の投与についての使用法を含んでいる。キット形態は、別々の構成要素が異なる剤形(例えば経口又は非経口)で投与される場合、異なる投薬量間隔で投与される場合又は組合せの個々の構成要素の滴定か処方を行なう医師により望まれる場合に特に有利である。
【0097】
かかるキットの一例はいわゆるブリスタ包装である。ブリスタ包装は、包装業界において周知であり、薬学的単位剤形(錠剤、カプセルなど)の包装のために広く用いられている。ブリスタ包装は一般に、好ましくは透明なプラスチック材料のフォイルで覆われた比較的堅い材料のシートから成る。包装プロセスの間に、プラスチックフォイル内に凹所が形成される。この凹所は包装されるべき錠剤又はカプセルのサイズ及び形状を有する。次に錠剤又はカプセルは、凹所の中に置かれ、フォイルの凹所の形成された方向とは反対の面で比較的堅い材料のシートがプラスチックフォイルに接触して密封される。その結果、錠剤又はカプセルは、プラスチックフォイルとシートの間の凹所の中に密封される。好ましくは、シートの強度は、凹部に手で圧力を加えかくして凹所の場所でシート内に開口部が形成されることによってブリスタ包装から錠剤又はカプセルを取り出すことができるような強度である。こうして錠剤又はカプセルを前記開口部を介して取り出すことができる。
【0098】
錠剤又はカプセルの隣りに例えば数字の形でキット上に記憶補助を提供しかくしてこのように特定された錠剤又はカプセルを摂取すべき投薬計画の日付とそれらの数字を対応させることが望ましい可能性もある。かかる記憶補助のもう1つの例は、例えば「第1週、月曜、火曜など…第2週、月曜、火曜…」などといったようにカードの上に印刷されたカレンダである。記憶補助のその他の変形形態が容易に明らかとなるだろう。「一日量」は、既定の日に飲むべき単一の錠剤又はカプセル又は複数の丸薬又はカプセルであり得る。同様に、本発明の化合物の一日量は、1つの錠剤又はカプセルから成り得、一方第2の化合物の一日量は複数の錠剤又はカプセルから成り得、その逆も考えられる。該記憶補助はこれを反映すべきである。
【0099】
該発明のもう1つの特定の実施形態においては、その意図された使用の順序で一度に一回一日量を送り出すように設計されたディスペンサが提供されている。好ましくは、該ディスペンサには投薬計画をさらに容易に遵守できるように記憶補助が備わっている。かかる記憶補助の一例は、送り出された一日量の数を標示する機械式計数器である。かかる記憶補助のもう1つの例は、例えば、最後の一日量が摂取された日付を読み出しかつ/又は次の用量を摂取すべき時を思い出させる可聴注意喚起信号又は液晶読み出しと結合された電池式マイクロチップメモリである。
【0100】
配合
本発明の組成物は単独で又は単数又は複数の治療薬と組合せた形で投与可能である。これらには、例えば、アルツハイマー病を治療、予防又は制御するためのその他の作用物質が含まれる。
【0101】
該組成物はかくして、ADの予防及び治療のために哺乳動物に対して適切に投与するのに充分適している。
【0102】
以下の例は、該発明により提供される組成物の標準的配合をさらに例示している。本書で使用する「化合物」という用語は、それぞれドネペジル及びアトルバスタチンを含めたアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はスタチンを意味する。
【0103】
【表1】

【0104】
以上の成分は患者にIV(静脈内)投与するため混合され生理食塩水中で溶解させられる。
【0105】
【表2】

【0106】
以上の成分は、均等になるまでブレンドされ、患者への経口投与に充分適した錠剤の形に圧縮加工される。
【0107】
【表3】

【0108】
以上の成分は組合され、粉砕されて、患者に投与する硬ゼラチンカプセルの充填に適した材料を提供する。
【0109】
【表4】

【0110】
上述の成分は溶融を介して組合わされ、その後金型の中に注ぎ込まれる。
【0111】
本発明の実施形態について例示し記述してきたが、これらの実施形態が本発明の考えられる全ての形態を例示し記述するものとして意図されているわけではない。むしろ、本願明細書中において使用される語いは、制限ではなくむしろ記述のための語いであり、本発明の本質及び範囲から逸脱することなくさまざまな変更を加えることができるということは暗黙の了解である。
【0112】
アルツハイマー病等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)
ADAS−Cogは、AD患者における認知機能障害の重症度を評価するように設計された11項目の等級である。項目には、単語想起、物体及び指の命名、指令の遂行、構成運動、観念運動、方向性、単語認識、会話能力、会話理解力、自発語における単語発見困難、及びテスト命令の記憶が含まれる。合計評点は0〜70の範囲に及び、70は最悪の認知を表わす。この試験のためには、さらに2つの項目がADAS−Cogに加えられた。つまり単語想起遅延及び集中力/散漫性である。これら2つの付加的項目をもとの11項目のADAS−Cogと組合わせた場合、この手段はModified ADAS-Cogと呼ばれる。
【0113】
アルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)
ADCS−CGICは、臨床医のインタビューに基づく変化印象に介護者の入力を加えたもの(CIBIC−Plus)のADCSバージョンである。これは患者及び介護者への広範なインタビューを通した独立した臨床医による患者の機能の変化の世界的格付けである。
【0114】
臨床痴呆格付けボックス合計(CDR−SB)
CDR−SBは、認知及び機能を評価する6つの領域すなわち、記憶、方向性、判断及び問題解決、コミュニティアフェアーズ、家庭、及び趣味、そして身の回りの世話における痴呆の重症度の尺度である。
【0115】
神経精神病目録作成(NPI)
神経精神病目録作成(NPI)は、痴呆の患者において一般に発生する行動障害の12項目の等級、すなわち、妄想、幻覚、動揺/攻撃性、うつ病/情動不安、不安症、高揚感/陶酔、無感動/無関心、脱抑制、興奮性/不安定性、自発運動量異常、睡眠及び食欲及び摂食障害、である。介護人とのスケジュールに基づいたインタビューを通して、12の行動の各々が評価される。各行動の頻度(0〜4)及び重症度(0〜3)が判定され、0〜144の合計評点用としてについて乗算される。評点が高くなればなるほど精神病理が多いことを表わす。さらに、介護人の疲労困ぱい度(0〜5)も同じく各行動について決定される。
【0116】
アルツハイマー病機能評価及び変化等級(ADFACS)
ADFACSは、臨床調査において一般に用いられる日常生活の手段的活動及び基本的活動(ADL)等級に基づく16項目の機能的評価手段である。それには6つの基本的ADL(排泄、食餌、着がえ、個人衛生及び身づくろい、入浴及び歩行)及び10種の手段的活動(電話を使用する能力、家事、家庭用器具の使用、金銭の取扱い、買物、食事の準備、家の中及び外を動き回る能力、趣味及び余暇活動、個人的メールの取扱い及び状況把握又は説明)が含まれる。各項目の評価は、患者の介護者のインタビューに基づいている。基本的ADL項目の各々は、0(機能的障害無し)から4(非常に重度の機能的障害)までの等級で評定され、0〜24の基本的ADL合計評点を与える。有益ADL項目の各々は0(機能的障害無し)から3(重度の機能的障害)までの等級で評定され、0〜30の有益ADL合計評点を与える。従って16項目のADFACS全体は、0〜54の合計評点範囲を有する。
【0117】
ミニメンタルステート検査(MMSE)
MMSEは、全体的認知状態を評価するための手短かな広く用いられているテストである。MMSEは、0〜30の等級で記憶、方向性、注意、言語及び運動といったような認知の選択された側面を測定する。評点が低くなればなるほど認知機能障害が大きいことを表わす。
【0118】
修正型アルツハイマー病評価等級−認知サブ等級(Modified ADAS-Cog)
Modified ADAS-Cogは、単語想起遅延及び集中力/散漫性という2つの項目を加えた上述の11項目のADAS−Cogと同じ手段である。
【0119】
臨床痴呆格付けボックス合計(CDR−SB)
CDR−SBは、認知及び機能を評価する6つの領域すなわち記憶、方向性、判断力及び問題解決、コミュニティ・アフェアーズ、及び家庭及び趣味における痴呆の重症度の尺度である。各領域についての格付けは、臨床visit中に行なわれた全てのテストからの結果を考慮した後(ADCS−CGICを実施する臨床医を除いた)患者の評価チームによる合意を受けることになる。CDR−SBコンセンサス論議には、ADCS−CGICインタビューワのインタビュー記録及び格付けが含まれるべきであるが、ADCS−CGICインタビューワはCDR−SBの論議に参加しない。各領域における格付けは合計され、世界臨床尺度、ボックス合計を提供する。
【0120】
神経精神病目録作成(NPI)
神経精神病目録作成(NPI)は、痴呆の患者において一般に発生する行動障害の12項目の等級、すなわち、妄想、幻覚、動揺/攻撃性、うつ病/情動不安、不安症、高揚感/陶酔、無感動/無関心、脱抑制、興奮性/不安定性、自発運動量異常、睡眠及び食欲及び摂食である。介護人とのスケジュールに基づいたインタビューを通して、12の行動の各々が評価される。各行動の頻度(0〜4)及び重症度(0〜3)が判定され、0〜144の合計評点用として乗算される。評点が高くなればなるほど精神病理が多いことを表わす。さらに、介護人の疲労困ぱい度(0〜5)も同じく各行動について決定される。
【0121】
アルツハイマー病機能評価及び変化等級(ADFACS)
ADFACSは、臨床調査において一般に用いられる日常生活の手段的活動及び基本的活動(ADL)等級に基づく16項目の機能的評価手段である。それには6つの基本的ADL(排泄、食餌、着がえ、個人衛生及び身づくろい、入浴及び歩行)及び10個の手段的動作(電話の使用、家事、家庭用器具の使用、金銭の管理、買物、食事の準備、家の中及び外を動き回る能力、趣味及び余暇活動、個人的メールの取扱い及び状況把握又は説明)が含まれる。各項目の評価は、患者の介護者のインタビューに基づいている。基本的ADL項目の各々は、0(機能的障害無し)から4(非常に重度の機能的障害)までの等級で評定され、0〜24の基本的ADL合計評点を与える。有益ADL項目の各々は0(機能的障害無し)から3(重度の機能的障害)までの等級で評定され、0〜30の有益ADL合計評点を与える。従って16項目のADFACS全体は、0〜54の合計評点範囲を有する。
【0122】
疾患修正
投薬中止期
無作為化投薬中止設計は、ADの進行における薬物誘発性変化を評価するための試験設計として、提案されてきた(Leber 1996年、1997年)(Leber P. 抗痴呆薬の開発に対する考察事実及び提案。Alzheimer Disease and Associated Disorders, 10(1): S31-S35: 1996)。(ADにおける)指針調和に関する国際研究グループはこの概念を是認した(Bodick N, Forette F, Hadler D. ら、アルツハイマー病の進行の減速を実証するためのプロトコル。痴呆薬物指針の調和に関する国際研究グループからの方針説明書。疾病進行サブグループ。Alzheimer Dis Assoc. Disord. 11(suppl 3):50-3;1997年)。無作為化投薬中止設計においては、充分な持続期間中の潜在的疾病修正剤での治療の後、積極的治療を止める(患者サブグループが積極的治療状態にとどまり、1つのサブグループが投薬中止される)。治療(例えばこの場合、アトルバスタチン)が対症的効果しかもたない場合には、プラシーボに切換えられた患者の能力は、極く最初からプラシーボを与えられた患者グループの能力レベルまで低下すると予想されるであろう。この設計を利用したADにおける公開された臨床試用が少なくとも1つ存在している(Rother M, Erkinjuntti T, Roessner Mら。「アルツハイマー病及び血管性痴呆の治療におけるプロペントフィリン;第III期試験の再考」Dement Geriatr Cogn Disord, 9(1):36-43;1998)。
【0123】
MRI/MRSサブ試験;神経画像検査:磁気共鳴画像検査(MRI)/磁気共鳴分光法(MRS)
ADにおける認識減退が進むにつれて、脳体積の相応する変化が起こり進行性萎縮症を導く。組織病理学及び放射線試験は、ADを患う患者と正常な対照の間の萎縮症速度ならびに或る脳構造のサイズの間に著しい差異が存在することを示した。疾病の重症度が進むにつれて、甚しい萎縮症のインビボ尺度として構造体積を測定するためにMRIを用いることでこれらの変化を監視することが可能である(Kesslak, JP, Nalcioglu O. Cotman CW. 「アルツハイマー病における海馬及び海馬傍萎縮症についての磁気共鳴スキャンの定量化」Neurology, 41: 57; 1991)。
【0124】
これらの差異は、記憶及びその他の認知機能に結びつけられる部域内で最も著しい。試験により、疾病の進行を監視する上での内側頭葉構造特に海馬ならびに心室及び全脳体積の有用性が脚光を浴びることになった(Friedhoff LT, Cullen EI, Geoghagen NS, Buxbaum JD. 「制御放出ロバスタチンでの治療がヒトベータアミロイド(Aβ)ペプチドの血清濃度を減少させる」Int J Neuropsychopharmacol, 4(2); 127-30; June 2001)。特定的には、海馬萎縮症は、ADの高感応性早期指標であることが実証されてきており、試験により、各々約90%の感応性及び特異性で正常な対照と軽度乃至中度ADの弁別を行なう能力が示されてきた。その上、海馬萎縮症の度合は、記憶喪失の重症度と相関関係をもつことが示されてきた(Laasko MP, Soininen H, Partanen K et al. アルツハイマー病における海馬のMRI;不適正な分類を受けた患者の感応性、特異性及び分析 Neurolobiol Aging, 19: 23-31; 1998)。ADのための治療が開発されるにつれて、このような療法が単に対症療法であるのかそれとも疾病修正療法でもあるのかという問いが残る。
【0125】
MRIスキャナ及び特定ソフトウェアを使用することにより、磁気共鳴分光法(MRS)は、問題の脳領域内での生化学代謝産物を測定することができる。ADにおいては、試験が2つの代謝産物すなわちN−アセチルアスパルタート(NAA)及びミオイノシトール(MI)の特定の変化を実証した。主としてニューロンによって産生されるNAAは、ニューロンミトコンドリア代謝ひいてはニューロン無欠性のマーカであり、AD患者におけるさまざまな脳領域の中で減少することが示されてきた(Klunk, W, Panchalingam K, Moosy J, McClure R, Pettigrew J. 「アルツハイマー病の脳内のN−アセチル−Lアスバルタート及びその他のアミノ酸代謝産物予備的なプロトン核磁気共鳴試験Neurology, 42: 1578-1585; 1992)。換言すると、グリオールスマーカー及び星状細胞内で生成されるMIがこの集団内で増大させられることが示されてきた。総合的に考えると、試験により、軽度乃至中度のADを患う患者を同定するための高い感応性と特異性が示された(Shonk TK, Moats R, Gifford P, Michaelis T, Mandingo JC, Izumi J, Ross BD. 「確率の高いアルツハイマー病;プロトンMR分光法での診断」Radiology, 195: 65-72; 1995)。かくして、かかる尺度は疾症進行及び療法に対する応答のモニターとして役立ち得る。
【0126】
MRIからの問題の尺度は、大域的又は局所的体積の変化速度△体積/時間によって定義される通りの大域的脳萎縮症及び局所的脳萎縮症(海馬萎縮症)である。MRSについての問題の尺度は、N−アセチルアスパルタート対クレアチン(NAA/Cr)の変化及び前頭皮質及び後頭皮質内の正規化されたNAAレベルならびにMI/Cr及びMI/NAA及び正規化されたMIレベルである。
【0127】
本書で使用される「末梢バイオマーカー」というのは、血液中に発見され、アルツハイマー病の病態生理に関与するタンパク質、ペプチド及び脂質を意味する。
【0128】
末梢バイオマーカー、特定的にはβ−アミロイドペプチド(Aβ1−40、Aβ1−42)、セレブロステロール(24S−ヒドロキシコレステロール)及びS100bの血漿レベルは、組合せられたスタチン例えばアトルバスタチンプラスアセチルコリンエステラーゼ阻害物質(例えばドネペジル)の疾病修正効果についての証拠である。アポリポタンパク質B(ApoB)、アポリポタンパク質E(ApoE)(Davignon J, Gregg RE, Sing CE, アポリポタンパク質E多型及びアテローム性動脈硬化症Arteriosclerosis, 8: 1-21; 1988)、血清総コレステロール、血清LDL−C、血清VLDL−C、セレブロステロール、トリグリセリド及びHDL−C]及びRBCアセチルコリンエストラーゼ阻害(RBCAChE−I)が、疾病修正又は進行のさらなるバイオマーカーである。
【0129】
問題の血漿バイオマーカーには、血漿β−アミロイドペプチド(Aβ1−40、Aβ1−42)、S100b及び24−ヒドロキシコレステロール(セレブロステロール)が含まれる。
【0130】
血漿Aβレベルは、疾病の発症に先立ちADの複数の家族型及形態及びAD患者の第1度近親者において高くなっている(Golde TE, Eckman CB, Younkin SG. 「Aベータイソ型の生化学的検出;アルツハイマー病の病因、診断及び治療との密接な関係」Biochim Biophys Acta., 26; 1502(1): 172-87; 26-July-2000)。これらの発見事実は、高い血漿Aβレベルの及びADの危険性との関連を暗示している。高齢の集団(平均年令80才超)における遡及的試験は、患者の血漿Aβレベルが高くなればなるほど続く3年間の間にAD診断を受ける危険性が高くなることを明らかにした(Mayeux R, Tang MX, Jacobs DM, Manly J, Bell K, Merchant C, Small SA, Stern Y, Wisniewski HM, Mehta PD. 「血漿アミロイドベータペプチド1−42と初期アルツハイマー病」Ann Neurol., 46(3): 412-6; Sep 1999)。最近の研究は、HMG−CoAレダクターゼ阻害物質での治療によりヒトの患者において血漿Aβのレベルを低減させることができるということを示している。(Friedhoff LT. Cullen EI. Geoghagen NS, Buxbaum JD. 「制御放出ロバスタチンでの治療が、ヒトベーターアミロイド(Aβ)ペプチドの血清濃度を低下させる」Int J Neuropsychopharmacol., 4(2): 127-30; June 2001)。
【0131】
セレブロステロール(24S−ヒドロキシコレステロール)は脳内で主に産生され、(Bjorkhem I, Lutjohann D, Diczfalusy U, Stahle L, Ahlborg G, 及びWahren J. ヒトの脳内でのコレステロールホメオスターシス:24S−ヒドロキシコレステロールの産生高と循環中このオキシステロールの大部分が脳に由来することの証拠J Lipid Res, 39: 1594-1600; 1998)、(Bretillon L, Lutjohann D, Stahle L, Widhe T, Bindl L, Eggertsen G, Diczfalusy U, Bjorkhem I)血液−脳障壁を横断して移動し(61Lutjoharm D, Breuer O, Ahlborg G その他。ヒトの脳内のコレステロールホメオスタシス:脳から循環中への24S−ヒドロキシコレステロールの年令依存性流束の証拠Proc Natl Acad Sci USA, 93: 9799-9804; 1996)早期発症AD患者の血漿中でより高い濃度で発見される(Lutjohann D, Papassotiropoulos A, Bjorkhem I ら。アルツハイマー及び血管性痴呆患者において、血漿24S−ヒドロキシコレステロール(セレブロステロール)が増大させられる、Lipid Res, 41: 195-198; 2000)。Locatelli及び共同研究者ら(Locatelli S, Lutjohann D, Schmidt HH, Otto C, Beisiegel U, von Bergmann K., 高コレステロール血症患者における高い投薬量のシンバスタチンを用いた血漿24S−ヒドロキシコレステロール(セレブロコレステロール)レベルの低減;シンバスタチンがヒトの脳内のコレステロール代謝に影響を及ぼすという証拠」Arch Neurol., 59(2): 213-6; Feb 2002.)は、高コレステロール血症患者の血漿中の総コレステロール及びセレブロコレステロールをシンバスタチンが低減させることを実証した。
【0132】
S100bは、カルシウムレベルの調節に関与する細胞間シグナリング分子である(Mrak RE, Griffin WS. 「アルツハイマー病の病因における活性化星状細胞及び神経栄養性サイトカインS100Bの役割」Neurobiol Aging, 22(6): 915-22. Review; Nov-Dec 2001)。活性化星状細胞は、脳損傷及び炎症の結果としてもたらされる高レベルのS100bを有する。軽度乃至中度のAD患者のCSFにおけるS100bのレベルは年齢整合対照患者と比べて高いものである(Peskind ER, Griffin WS, Akama KT, Paskind MA, Van Eldik LI. 「アルツハイマー病の早期において脳脊髄液S100Bが高くなる」Neurochem Int., 39(5-6); 409-413; Nov-Dec 2001)。
【0133】
本書で使用される用語は以下の意味を有する;
AChE アセチルコリンエステラーゼ
AD アルツハイマー病
ADAS−Cog アルツハイマー病評価等級−認知サブ等級
ADCS−CGIC アルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象
ADFACS アルツハイマー病機能評価及び変化等級
ADL 日常生活活動
ADRDA−NINCDS アルツハイマー型多重認知欠損の痴呆についての
アルツハイマー病診断基準
AE 悪い事件
APP アミロイド前駆体タンパク質
FDA 食品医薬品局
ALT アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)=グルタ
マートピルバートトランスアミナーゼ(GPT)
ANCOVA 共分散分析
ANOVA 分散分析
ApoE アポリポタンパク質E
AST アスパルタートアミノトランスフェラーゼ(ASAT)
=グルタマートオキサルアセタートトランスアミナーゼ
(GOT)
BP 血圧
BPM 毎分心拍数
BUN 血中尿素窒素
CAD 冠状動脈疾患
CDR−SB 臨床痴呆格付け−ボックス合計
CFR 連邦規制集
【0134】
CI 信頼性区間
CIBIC−Plus 臨床医インタビューベースの変化印象プラス介護者入力
CGIC 臨床世界変化印象
CPK クレアチンホスホキナーゼ
CRF 症例報告書式
CRO 治験機構
CRP C反応性タンパク質
CSF 脳脊髄液
CT 頭蓋コンピュータ断層撮影
CVA 脳血管障害
DSM−IV 米国精神医学会精神障害診断統計マニュアル−第4版
−1987年改定
DNA デオキシリボ核酸
【0135】
ECG 心電図
ECT 電子ショック療法
EDTA エチレンジアミン4酢酸
EEG 脳電図
ELISA 酵素免疫測定法
GCP 医薬品の臨床実験実施規準
HAM−D ハミルトンうつ病等級
HDL 高密度リボタンパク質
HIS ハシンスキー虚血等級
HIV ヒト免疫不全ウイルス
HMG−CoA ヒドロキシメチルグルタリル補酵素A
【0136】
ICH ハーモナイゼーション国際会議
IEC 医療機関内倫理委員会
IPI 国際製品情報
IRB 施設内倫理委員会
LDL 低密度リボタンパク質
LOCF 最終考察次期くり越し
MANOVA 多変量分散分析
MDD 大うつ病性障害
MI ミオイノシトール
MTTT 集団治療の修正された意図
MMSE ミニメンタルステート検査
MRI 磁気共鳴映像法
MRS 磁気共鳴分光法
【0137】
NAA N−アセチルアスパルタート
NAA/Cr N−アセチルアスパルタート対クレアチン
NPH 正常圧水頭症
NPI 神経精神病目録
NSAID 非ステロイド系抗炎症薬
PI 添付文書
PRN 必要な場合=必要ベースで
QD 毎日
RBC 赤血球数
RBC AChE−I 赤血球数アセチルコリンエステラーゼ阻害
ROI 問題の領域
【0138】
RPR 急速な血漿復帰
RR リスク比
SAE 重大な悪い事件
SOP 標準作業手順
TSH 甲状腺刺激ホルモン
TFT 甲状腺機能テスト
ULN 正常の上限
【0139】
アルツハイマー型痴呆(アルツハイマー病)のためのDSM−IV診断基準
痴呆
痴呆は、一般的病状の直接的生理学的効果、物質の持続的効果又は多重病因(例えば脳血管疾患及びアルツハイマー病の組合せ型効果)に起因する多重認知欠損(記憶障害を含む)の発生によって特徴づけられる。
【0140】
診断的特長
痴呆の基本的な特長は、記憶障害及び失語症、失行症、失認症又は執行的機能の障害といった認知障害のうちの少なくとも1つを含む多数の認知欠損の発生にある。認知欠損は、職業又は社会機能における機能障害をひき起こすのに充分重症でなくてはならず、又以前のより高いレベルの機能からの減退を表わしていなければならない。認知欠損が精神錯乱の間のみ起こる場合には痴呆の診断を下すべきではない。しかしながら、精神錯乱が存在せず痴呆が存在する場合には、痴呆と精神錯乱の両方の診断が下される可能性がある。痴呆は病因的に、一般的病状、物質使用の持続的効果(毒素曝露を含む)又はこれらの因子の組合せに関係し得る。痴呆の診断を行なうためには記憶機能障害が必要とされ、これが顕著な早期症候である(基準A1)。痴呆を患う個体は新しい材料を学習する能力が損なわれた状態になるか、又は以前に学習した材料を忘れる。痴呆を患う大部分の個体は両方の形態の記憶機能障害を有するが、障害の経過の早期において以前に学習した材料の喪失を実証することは時として困難である。彼らは財布や鍵といった貴重品を失なったり、コンロ上で調理中の食品を忘れたり、行きつけない近所で道に迷ったりし得る。痴呆の進行期では、記憶機能障害はきわめて重症であり、そのためその人は自分の職業、学校教育、誕生日、家族、そして時として自分の名前さえも忘れてしまう。
【0141】
記憶は、その人物に情報を記録、保持、想起及び認識するよう求めることにより正式にテストされ得る。新しい情報を学習する能力は、その個体に単語リストを学習するよう求めることで評価できる。該個体は、その単語をくり返す(記録)、数分の経過後にその情報を想起する(保持、想起)、そして多重リストからその単語を認識する(認識)よう要求される。新しい情報を学習するのが困難である個体は、その材料を当初から学習しなかったことを理由としてヒント又はプロンプト(例えば多重選択肢問題)が助けになることはない。
【0142】
対照的に、主として検索欠損を有する個体は、その機能障害がその記憶にアクセスする能力にあることから、ヒント及びプロンプトでの助けを受けることができる。遠い記憶は、その個体が興味深いと思った過去の材料(例えば、政治、スポーツ、娯楽)又は個人情報を想起するように個人に求めることによってテストできる。個人の機能(例えば仕事をする。買物する、調理する、請求書の支払いをする、道に迷わずに家に帰る能力)に対する記憶障害の影響を(その個人及び情報提供者から)見極めることも同様に有用である。
【0143】
言語機能(失語症)の劣化は、個人及び物体の名前を取り出すのが困難になるという形で現われ得る(基準A2a)。失語症を患う個体の会話はあいまいで中味がなく、長く回りくどい語句及び「物」及び「それ」といったような不定の指示語の過度の使用を伴う。痴呆の進行期では、個体は口が利けなくなるか又は、反響言語(すなわち聞いたことを反響させること)又は同語反復(すなわち音や単語を何度もくり返すこと)を特徴とする話し方の劣化を示し得る。言語は、その個体に対し部屋の中にある物体(例えば、ネクタイ、洋服、机、ランプ)又は体の部分(例えば鼻、あご、肩)の名前を挙げること、指令に従うこと(「扉を指さしその後テーブルを指さして下さい」)又は語句をくり返すこと(「if(もし)、and(および)又はbut(ただし)無し」)を求めることでテストされる。
【0144】
痴呆を患う個体は、失行症(すなわち運動機能、感覚機能、及び要求された仕事の理解が無欠であるにもかかわらず、運動活動を運動する能力が損なわれていること)を示す可能性がある(基準A2b)。彼らは、物体の使用(例えば髪をとかす)をパントマイムするか又は既知の運動性行為(例えば手でバイバイする)を運動するその能力が損なわれていることになる。失行症は、調理、着衣及び描画の欠損に寄与し得る。運動技能の障害は、個体に対し、運動機能(例えば、歯みがきの仕方交差する五角形のコピーの仕方、ブロックの組立て方又は特定のデザインに棒を配置する方法を示す)を運動するように求めることでテストできる。
【0145】
痴呆を患う個体は失認症(感覚機能が無傷であるにも関わらず物体を認識するか又は識別することができない)を示し得る(基準A2c)。例えば、個体は、正常な視覚を有するものの椅子又は鉛筆といった物体を認識する能力を失なっている。最終的に、彼らは、家族又はさらには鏡の中の自らの映像さえ認識できない可能性がある。同様にして、彼らは正常な触覚を有するものの触れるだけで自らの手の中に置かれた物体(例えばコイン又は鍵)を識別することしかできない可能性がある。
【0146】
執行的機能における障害は、痴呆の一般的徴候であり(基準A2d)、特に前頭葉又は付随する皮質下経路の障害に関係する可能性がある。執行的機能には、抽象的に考え、複雑な行動を計画し、開始し、順序づけし、監視し、停止する能力が関与する。抽象的思考の機能障害は、1個体が新たな仕事に対処し新しい複雑な情報の処理を必要とする状況を回避するのが困難であるという形で現われる可能性がある。
【0147】
要約する能力は、関連する単語間の類似性又は差異を見つけるようその人物に求めることによって正式に評価され得る。執行機能不全は同様に、先入的能度を移行させる、新しい口頭又は非口頭情報を生成する及び連続する運動活動を運動する能力の低下においても明白である。執行機能についてのテストには、10まで数える、アルファベットを復唱する、連続7の引き算をする、1分以内でできるだけ多くの動物名を言う、又は交番するmとnから成る連続線を描くように個体に求めることが含まれる。その個人の日常生活(例えば仕事する、活動を計画する、予算を立てる能力)に対する執行機能の障害の影響を(個体又は情報提供者から)判定することも同様に有用である。
【0148】
基準A1(記憶機能障害)及び基準A2(失語症、失行症、失認症又は執行機能の障害)の両方の中の項目は、社会的又は職業的機能(例えば登校する、仕事する、買物する、着衣る、入浴する、会計を扱う及び日常生活のその他の活動)における有意な機能障害をひき起こすのに充分なほど重大でなくてはならず、以前の機能レベルからの減退を表わしていなければならない(基準B)。機能障害の性質及び度合は、可変的であり、往々にして個体の特定の社会的環境によって左右される。同じレベルの認知機能障害は、複雑な仕事を実施する個体の能力を著しく損なう可能性があるが、さほど要求の高くない仕事についての能力は損わないかもしれない。肉体的維持(例えば個人的衛生)、知的機能及び用具又は工具を使う能力(例えば電話、洗たく機)を測定する規格化された公開格付け等級を、機能障害の重症度を測定するために使用することができる。
【0149】
痴呆は、精神錯乱の間だけこれらの症候が発生する場合には診断されない。しかしながら精神錯乱は予め存在する痴呆に付加され得、その場合両方の診断が下されなくてはならない。
【0150】
アルツハイマー型の痴呆
診断上の特長
認知欠損(基準A)及び所要機能障害(基準B)については以上で論述されている。アルツハイマー型の痴呆の発症は漸進的であり、連続する認知減退が関与する(基準C)。アルツハイマー病の存在の直接的な病理学的証拠を得るのは困難であることから、痴呆についてのその他の病因が除外された場合にのみ、診断を下すことができる。特定的には、該認知欠損は、記憶又は認知の漸進的欠損をひき起こすその他の中枢神経系身体条件(例えば脳血管疾患、パーキンソン病、ハンチントン病)、痴呆をひき起こすものとして知られている全身的身体状態(例えば甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏、HIV感染)又は物質(例えばアルコール)の持続的効果に起因するものではない(基準D)。付加的な病因(例えばアルツハイマー型の痴呆を悪化させる頭部外傷)が存在する場合、両方のタイプの痴呆が、コード化されるべきである(「多重病因に起因する痴呆」154ページを参照のこと)。アルツハイマー型の痴呆は、症候が精神錯乱の間だけに起こる場合には診断されるべきではない(基準E)。
【0151】
しかしながら、精神錯乱は、アルツハイマー型の予め存在する痴呆に対し重複する可能性があり、その場合、「精神錯乱を伴う」亜型が適応されるべきである。最後に、認知欠損はもう1つのAxisI障害(例えば、大うつ病性障害又は統合失調症)によりさらにうまく説明がつくわけではない(基準F)。
【0152】
アルツハイマー型の痴呆のための診断基準:
A. (1)記憶機能障害(新しい情報を学習する能力又は以前に学習した情報を想起する能力が損なわれている)
(2)(a)失語症(言語障害)
(b)失行症(運動機能が無欠であるにもかかわらず運動性活動を行なう機能が損われている)
(c)失認症(感覚機能が無欠であるにもかかわらず物体を認識又は識別することができない)
(d)執行機能(すなわち計画すること、組織すること順序づけすること、要約すること)の障害
という認知障害のうちの1つ(又は複数のもの);の両方により現われる多重認知欠損の発生
B. 基準A1及びA2内の認知欠損は各々、社会的又は職業的機能の有意な機能障害をひき起こし、以前の機能レベルからの有意な減退を表わす。
C. 経過は、漸進的な発症及び連続的な認知減退によって特徴づけされる。
D. 基準A1及びA2中の認知欠損は以下のもののいずれにも起因するものでない。
(1)記憶又は認知の漸進的欠損をひき起こすその他の中枢神経系身体条件(例えば脳血管疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、硬膜下血腫、正常圧水頭症、脳腫瘍)
(2)痴呆をひき起こすものとして知られている全身的身体状態(例えば甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏又は葉酸欠乏症、ナイアシン欠乏症、高カルシウム血症、神経梅毒、HIV感染)
(3)物質により誘発される身体条件。
E. 欠損は、精神錯乱の経過中にのみ発生するわけではない。
F. 障害は、もう1つのAxisI障害(例えば大うつ病性障害、統合失調症)によってより良く説明がつくわけではない。
【0153】
タイプ(DSM−IVコードを含む)。
アルツハイマータイプの痴呆、晩期発症(65才以降の発症)
精神錯乱を伴う 290.30
妄想を伴う 290.20
落ち込んだ気分を伴う 290.10
合併症無し 290.00
【0154】
アルツハイマー型の痴呆、早期発症(65才以前での発症)
精神錯乱を伴う 290.11
妄想を伴う 290.12
落ち込んだ気分を伴う 290.13
合併症無し 290.10
【0155】
アルツハイマー病の臨床的診断−NINCDS−ADRDA基準
A. 痴呆症候群の基準
痴呆は、能力の減退の履歴及び臨床検査及び神経精神テストにより指摘された異常によって判定される通りの患者の以前の機能レベルと比較した記憶及びその他の認知機能の減退である。痴呆の診断は、精神錯乱、傾眠状態、意識もうろう状態又は昏睡によって意識が損なわれる場合、又はその他の臨床的異常が精神状態の適切な査定を妨げる場合には、下され得ない。痴呆は、行動に基づく診断であり、コンピュータ断層撮影、脳波検査又はその他の実験室命令によって決定され得ないが、痴呆の特定的原因をこれらの手段で同定することはできる。
【0156】
B. アルツハイマー病の基準
アルツハイマー病は、通常は中年又は晩年の進行性痴呆障害である。「疑われる」、「ほぼ確実な」及び「確実な」アルツハイマー病の診断のための臨床基準は、表1に概略的に示されている。アルツハイマー病の疑い例の臨床的診断は、進行を伴う痴呆の標準的な潜行性発症がある場合、及び進行性の記憶及びその他の認知欠損を説明しうるその他の全身的又は脳の疾患が全くない場合に、断定的に下すことができる。除外されるべき障害としては、躁うつ病、パーキンソン病、多発脳梗塞性痴呆及び薬物中毒がある。痴呆をひき起こす可能性のあるさほど一般的に見られるものではない障害としては、甲状腺疾患、悪性貧血、梅毒性脳疾患及び神経系のその他の慢性感染症、硬膜下血腫、潜在性水頭、ハンチントン病、クロイツフェルトヤコブ病及び脳腫瘍が含まれる。
【0157】
確実例アルツハイマー病の診断には、組織病理学的確認が必要である。ほぼ確実例アルツハイマー病の臨床的診断は、特に臨床的判断の時点でアルツハイマー病が進行性痴呆のより確率の高い原因であるとみなされた場合に、その他の有意な疾患の存在下で行なわれ得る。疑い例ではなくほぼ確実例のアルツハイマー病の臨床的診断は、体裁又は経過が幾分か異常である場合に使用できる。これらの基準を適用するのに必要な情報は、標準的検査方法すなわち、病歴;神経学的;精神病理学的及び臨床的検査;精神心理学的テスト及び実験室試験によって得られる。
【0158】
表1:アルツハイマー病の臨床的診断の基準
I. 「疑い例」アルツハイマー病の臨床的診断の基準には以下のものが含まれる:
− 臨床検査により立証されミニメンタルテスト、Blessed Dementia Scale又は何らかの類似の検査により立証され、神経心理学テストにより確認された痴呆状態;
− 2つ以上の認知部域内での欠損;
− 記憶及びその他の認知機能の進行性悪化;
− 意識障害無し;
− 40才〜90才、より頻繁には65才以上の年齢での発症;及び
− それ自体単独で記憶及び認知の進行性欠損の説明がつく全身性障害又はその他の脳疾患の不在。
【0159】
II. 「疑い例」アルツハイマー病の診断は以下のものにより裏づけされる:
− 言語(失語症)、運動技能(失行症)及び知覚(失認症)といった特定の認知機能の進行性劣化;
− 日常生活活動の機能障害及び行動パターンの改変;
− 特に神経病理学的に確認された類似の障害の家族履歴;及び
− 実験室結果;
− 標準的技術により査定される正常な腰椎穿刺結果;
− 低速波活性の増加といったようなEEGの正常なパターン又は非特定的変化及び、
− 逐次観察により立証される進行を伴うCTでの脳萎縮症の証拠。
【0160】
III. アルツハイマー病以外の痴呆の原因を除外した後の、「疑い例」アルツハイマー病の診断と一貫したその他の臨床的特長としては、以下のものが含まれる:
− 病気の進行経過中の安定期;
− うつ病、不眠症、失禁、妄想、幻想、幻覚、破局的言語、情動又は肉体的爆発、性的障害及び体重減少;一部の患者での特により進行した疾病でのかつ筋緊張増加、間代性筋けいれん又は歩行障害といった運動的徴候を含むその他の神経学的異常の随伴症状;及び− 年令に正常なCT。
【0161】
IV. 「疑い例」アルツハイマー病の診断を不確実又は疑わしくする特長としては以下のものが含まれる:
− 突然の卒中発症;
− 病気の経過において早期の片側不全麻痺、感覚喪失、視界欠損及び協調不能といった巣状の神経的発見事実;及び
− 病気の経過における極めて早期の発作又は歩行困難。
【0162】
V. 「ほぼ確実例」アルツハイマー病の臨床的診断:
− これは、痴呆をひき起こすのに充分なその他の神経学的、精神病理学的又は全身的障害の不在下及び発症、体裁又は臨床的経過の変動の存在下での、痴呆症候群に基づいて下すことができる;
− これは、痴呆の原因とはみなされないが、痴呆を生み出すのに充分な第2の全身的又は脳の障害の存在下で、下すことができる;又
− これは、その他の識別可能な原因の不在下で単一の漸進的に進行性の重症認知欠損が識別された場合に、調査試験内で使用すべきである。
【0163】
VI. 「確実例」アルツハイマー病の診断の基準は:
− 「疑い例」アルツハイマー病の臨床的基準、及び
− 生検又は剖検から得られた組織病理学的証拠、
である。
【0164】
VII. 調査目的でのアルツハイマー病の分類は、次のような障害亜型を区別しうる特長を特定すべきである:
− 家族内発症;
− 65才前の発症;
− トリソミー−21の存在;及び
− パーキンソン病といったその他の関連身体条件の共存。
【0165】
実験
哺乳動物(例えばヒト)におけるアルツハイマー病の治療又はAD発生の危険性がある状態での治療の薬剤としての本発明の組成物の有効性は、以下に記述する臨床プロトコルにおける本発明の組成物の活性により実証される。
【0166】
これは、複数の段階を伴う多重中心、2重盲目、無作為化、並行グループ試験である。およそ600人の軽度乃至中度のアルツハイマー病の雄及び雌のヒトの患者が試験される。治療グループは、アトルバスタチン80mgとドネペジル10mgの治療群内のおよそ300人の患者と、プラシーボプラスドネペジル10mgの治療群内のおよそ300人の患者に分割される。
【0167】
72週間(18カ月)の2重盲目治療期間中に、全ての患者はドネペジル10mg(一治療群につき患者300人、合計患者600人)を受ける。これらの患者は、アトルバスタチン80mg又は整合したプラシーボの付加を受けるべく1:1の比で無作為に割当てられる。18カ月の終りで、治療群を分離する。プラシーボとアセチルコリンエステラーゼ阻害物質(ドネペジル10mg)を受けた患者は、この薬物投薬計画で続行する。アトルバスタチン80mgとアセチルコリンエステラーゼ阻害物質(ドネペジル10mg)を受けた患者の4分の1はこの薬物投薬計画で続行する。その他の4分の3の患者はアトルバスタチン80mgから切換えてプラシーボとアセチルコリンエステラーゼ阻害物質(ドネペジル10mg)を受ける。グループはこの治療単位で8週間続行する。
【0168】
およそ200人の患者がさらにMRI/MRSで査定される。
【0169】
これは3段階での多重中心、2重盲目、無作為化、並行グループ試験である。全ての患者は、スクリーニングの前に安定した10mgのドネペジルの用量又は対象のアセチルコリンエステラーゼ阻害物質を3カ月以上の間摂取していることが要求される。
【0170】
【化1】

【0171】
任意のスタチン及び任意のアセチルコリンエステラーゼ阻害物質を用いて類似の手順に従うことができる。
【0172】
試験Visit
スクリーニングVisit1(−14〜−1日目)
スクリーニングは薬物投与に対し−14日目から−1日目までに実施されなくてはならない。試験エントリに先立ち、次のスクリーニング手順が実施される:
・ 書面によるインフォームドコンセント(単複)を得る
・ 病歴を記録する
・ エントリ基準との適合性を確認する
・ 身体検査を完了する
・ 身長及び体重を記録する
・ 神経学的検査を完了する
・ 生命徴候
・ 実験室評価、尿検査、化学、血液学、血清学、保管血清サンプル及び全脂質プロファイル
・ 12誘導心電図(ECG)
・ MRI/CTスキャン(スクリーニングから12カ月以内に軽度乃至中度のアルツハイマー病の診断を確認するために前回のMRI/CTスキャンが入手不可能である場合のみ)
・ 全ての併用薬を再考する
・ ミニメンタルステート検査(MMSE)
・ アルツハイマー病等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)
・ Rosen修正Hachinski(包含されるためにはスクリーニング時点で患者は4以下を有していなくてはならない)
・ もう1人の患者に割当てられてはならない一意的8ケタ患者番号を割当てる。
・ 次のVisitを計画する(Visit2/ベースライン)
【0173】
試験薬物治療期間中の手順
Visit2ベースライン/無作為化Visit2(0日目)
・ エントリ基準との適合性を確認する
・ 身体検査を完了する
・ 体重を記録する
・ 神経学的検査を完了する
・ 生命徴候
・ 実験室評価、尿検査、化学、血液学、血漿バイオマーカーサンプリング、匿名遺伝子型サンプル、ドネペジルレベル及びRBCAchE
・ ミニメンタルステート検査(MMSE)
・ アルツハイマー病等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)
・ アルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)
・ 神経精神病目録作成(NPI)
・ 臨床痴呆格付けボックス合計(CDR−SB)
・ 薬学的に受容可能な担体又は希釈剤
・ 介護負担質問
・ 患者ヘルスケア・リソース利用質問
・ 利用可能な最低の無作為化番号を割当てる。この番号はもう1人の患者に再割り当てされてはならない。
・ Visit2のための試験薬物投与を施す
・ 次のVisitを計画する(Visit3/6週目)
・ 併用薬を記録する
・ 悪い事件を記録する
【0174】
Visit3/6週目(42日目)
・ 実験室評価、化学及び血液学
・ 次のVisitを計画する(Visit4/3カ月目)
・ 併用薬を記録する
・ 悪い事件を記録する
【0175】
Visit4/3カ月目(84日目)
・ 修正身体検査評価
・ 体重を記録する。
・ 生命徴候
・ 実験室評価、化学、血液学、全脂質プロファイル及び血漿バイオマーカーサンプリング
・ ミニメンタルステート検査(MMSE)
・ アルツハイマー病等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)
・ アルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)
・ Visit2以降に行なった試験薬物投与を記録する
・ 試験薬物投与計画のコンプライアンスを評価する
・ 全ての薬物投与容器を収集する
・ Visit4のための試験薬物投与を施す
・ 次のVisitを計画する(Visit5/6カ月目)。
・ 全ての併用薬を記録する
・ 悪い事件を記録する
【0176】
Visit5/6カ月目(168日目)
・ 生命徴候
・ 体重を記録する
・ 実験室評価、尿検査、化学、血液学、全脂質プロファイル及び血漿バイオマーカーサンプリング
・ 12誘導心電図(ECG)
・ ミニメンタルステート検査(MMSE)
・ アルツハイマー病等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)
・ アルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)
・ 神経精神病目録作成(NPI)
・ アルツハイマー病機能評価及び変化等級(ADFACS)
・ 介護負担質問
・ 患者ヘルスケア・リソース利用質問
・ Visit4以降に行なわれた試験薬物投与を記録する
・ 試験薬物投与計画のコンプライアンスを評価する
・ 全ての薬物投与容器を収集する
・ Visit5のための試験薬物投与を施す。
・ 次のVisitを計画する(Visit6/9カ月目)
・ 全ての併用薬を記録する
・ 悪い事件を記録する
【0177】
Visit6/9カ月目(252日目)
・ 修正身体検査評価
・ 体重を記録する
・ 生命徴候
・ ミニメンタルステート検査(MMSE)
・ アルツハイマー病等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)
・ アルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)
・ VIsit5以降に行なった試験薬物投与を記録する
・ 試験薬物投与計画のコンプライアンスを評価する
・ 全ての薬物投与容器を収集する
・ Visit6のための試験薬物投与を施す。
・ 次のVisitを計画する(Visit7/12カ月目)。
・ 全ての併用薬を記録する
・ 悪い事件を記録する
【0178】
Visit7/12カ月目(336日目)
・ 身体検査を完了する
・ 神経学的検査を完了する
・ 体重を記録する
・ 生命徴候
・ 実験室評価、尿検査、化学、血液学、全脂質プロファイル及び血漿バイオマーカーサンプリング
・ ミニメンタルステート検査(MMSE)
・ アルツハイマー病等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)
・ アルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)
・ 神経精神病目録作成(NPI)
・ 臨床痴呆格付けボックス合計(CDR−SB)
・ アルツハイマー病機能評価及び変化等級(ADFACS)
・ 介護
・ 介護負担質問
・ 患者ヘルスケア・リソース利用質問
・ Visit6以降に行なわれた全ての試験薬物投与を記録する
・ 試験薬物投与計画のコンプライアンスを評価する。
・ 全ての薬物投与容器を収集する
・ Visit7のための試験薬物投与を施す。
・ 次のVisitを計画する(Visit8/15カ月目)
・ 全ての併用薬を記録する
・ 悪い事件を記録する
【0179】
Visit8/15カ月目(420日目)
・ 生命徴候
・ 体重を記録する
・ ミニメンタルステート検査(MMSE)
・ アルツハイマー病等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)
・ アルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)
・ Visit7以降に行なわれた全ての試験薬物投与を記録する。
・ 試験薬物投与計画のコンプライアンスを評価する
・ 全ての薬物投与容器を収集する
・ Visit8のための試験薬物投与を施す。
・ 次のVisitを計画する(Visit9/18カ月目)
・ 全ての併用薬を記録する
・ 悪い事件を記録する
【0180】
Visit9/18カ月目(504日目)−投薬中止操作第1回Visit/MRIサブ試験参加終了/2重盲目部分のための早期終了Visit
・ 身体検査を終了する
・ 神経学的検査を完了する
・ 生命徴候
・ 体重を記録する
・ 実験室評価、尿検査、化学、血液学、全脂質プロファイル、保管血清サンプル及び血漿バイオマーカーサンプリング、ドネペジルレベル及びRBCAChE−I
・ 12誘導心電図(ECG)
・ ミニメンタルステート検査(MMSE)
・ アルツハイマー病等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)
・ アルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)
・ 神経精神病目録作成(NPI)
・ 臨床痴呆格付けボックス合計(CDR−SB)
・ アルツハイマー病機能評価及び変化等級(ADFACS)
・ 介護負担質問
・ 患者ヘルスケア・リソース利用質問
・ Visit8以降に行なわれた試験薬物投与を記録する
・ 試験薬物投与計画のコンプライアンスを評価する
・ Visit9のための試験薬物投与を施す(投薬中止操作の薬物投与)
・ 次のVisitを計画する(Visit10/20カ月目)
・ 全ての併用薬を記録する
・ 悪い事件を記録する
【0181】
Visit10/20カ月目(560日目)最終Visit/投薬中止操作治療群のための早期終了Visit
・ 身体検査を終了する
・ 体重を記録する
・ 生命徴候
・ 実験室評価、尿検査、化学、血液学、全脂質プロファイル及び血漿バイオマーカーサンプリング
・ 12誘導心電図(ECG)
・ ミニメンタルステート検査(MMSE)
・ アルツハイマー病等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)
・ アルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)
・ 臨床痴呆格付けボックス合計(CDR−SB)
・ Visit9以降に行なった試験薬物投与を記録する
・ 試験薬物投与計画のコンプライアンスを評価する
・ 全ての薬物投与容器を収集する
・ 全ての併用薬を記録する
・ 悪い事件を記録する
【0182】
実験室判定:
患者はテストに先立つ12時間絶食しなければならず、テスト前日までは激しい運動及び食餌の変更をすべきではない。患者が絶食を行わなかった場合、臨床visitはできるだけ早く計画し直されなくてはならない。患者の姿勢は脂質採血のために規格化されるべきである。患者は、座った姿勢をとるべきである(5分以内)。止血帯を使用することができるが(2分以内)、採血に先立ち解除されなくてはならない。
【0183】
以下の実験室テストを実施することができる。
血液学;ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球計数、白血球及び血小板計数、好中球、リンパ球、単球、好酸球及び好塩基球を含めた差異(WBCが異常ある場合)。
臨床化学;アルブミン、グルコース、アルカリホスファターゼ、総ビリルビン、血中尿素窒素(BUN)、クレアチニン、尿酸、塩化物、カリウム、総タンパク質、ナトリウム、リン、カルシウム、グロブリン、乳酸デヒドロゲナーゼ、C反応性タンパク質、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、及びCPK。ALT又はASTが正常値上限(ULN)の3倍を超える場合、その患者は反復テストのため1週間以内に復帰しなければならない。値が3×ULN超にとどまる場合、患者の試験を中止すべきであり、ALT/ASTのフォローアップ措置を続行すべきである。CPK>5×ULNである場合には、CPK−MBが実施されなくてはならない。CPKが10×ULN超である場合には、患者は除外されなくてはならず、異常が解消されるまでCPKのフォローアップ測定値を続けるべきである。
・ 脂質プロファイル;総コレステロール、LDL−C、HDL−C、VLDL−C、トリグリセリド及びアポリポタンパク質(ApoE及びApoB);直接的LDL−C測定が、トリグリセリドレベルに関わらず実施されることになる。安全性尺度は盲目。分析のためスクリーニング時、3、6、12、18及び20カ月目にサンプルを収集することになる。
甲状腺プロファイル;甲状腺刺激ホルモン(TSH)及び血清チロキシン(T4)(スクリーニング時のみ)。
血清学;C型肝炎及びRPR(特定的テストスクリーニングのみで、陽性テストを確認するものとする)。
ビタミン;ビタミンB12及びRBC葉酸塩レベル(スクリーニングのみ)
血糖コントロール;HbA1Cレベル(スクリーニングのみ)
尿検査;pH、白血球、亜硝酸塩、ウロビリノゲン、比重、タンパク質、グルコース、ケトン及び血液、尿検査は、スクリーニング時、ベースライン、6、12、18及び20カ月目に実施されることになる。
【0184】
実験室評価は、スクリーニング時、ベースライン、6週目、3、6、12、18及び20カ月目に実施される(以上で別途指摘がある場合を除く)。(以上にその指針が与えられているALT/AST/CPK以外の)スクリーニング後に指摘された臨床的に注目すべき異常な実験室テスト値においては、該テストは、試験メディカルモニターにより承認され直ちに反復され、かつ正常範囲に戻りかつ/又はその異常の適切な説明が見い出されるまでフォローアップされるべきである。
【0185】
12誘導心電図
心電図(ECG)は、完全で標準的な12誘導記録である。ECGは、スクリーニング時、6カ月、18カ月及び20カ月目に実施される。
【0186】
生命徴候、体重及び身長
スクリーニング時、ベースライン、3、6、9、12、15、18及び20カ月目に生命徴候が得られる。これらには、すわった位置で判定される体温(口腔)、呼吸数、脈拍数及び収縮期及び拡張期血圧が含まれる。記録は5分間、患者を着席させた後に行なわれることになる。靴無しの体重(kg)が測定される。身長はスクリーニング時にcm単位で記録されることになる。体重は、スクリーニング時、ベースライン及び3、6、9、12、15、18及び20カ月目に記録される。
【0187】
完全身体検査
完全身体検査が、スクリーニング、ベースライン、12、18及び20カ月目に実施される。全身的な肉体の健康が、頭、目、耳、鼻、のど、首、心臓、胸、肺、腹部、末端部、末梢脈拍、皮膚及びその他の注目すべき身体条件(乳房、秘尿器及び直腸は任意である)の査定により評価されることになる。ベースライン状態を確立するため又は症候又はAEを査定するために必要なその他のあらゆる評価が、臨床的に注目すべきものとしてスクリーニング後に識別された全ての変化について、補完されなくてはならない。靴無しの身長がスクリーニングのみで記録されることになる。体重は各visitで記録される。
【0188】
身体状態評価
簡単な所定の身体検査;3カ月目及び9カ月目の簡単な身体検定により、全身的な身体状態が評価される。患者及び介護人は、スクリーニング時に行なわれた先の検査以降の身体状態の変化に関し質問を受けなくてはならない。各visitにおいて体重が記録される。
【0189】
神経学的検査
臨床visit、スクリーニング時、ベースライン、12カ月及び18日目に完全な神経学的検査が実施される。この検査には、脳神経(視野を含む)、運動、感覚、脳幹、小脳及び自律機能の査定が含まれる。
【0190】
スクリーニングCT又はMRI
過去12カ月以内に行なわれていない場合には、CTスキャン又はMRIを補完しなければならない。MRI/MRSサブ試験に参加していない患者については、CT結果が診断基準を満たすのか疑わしい場合にのみMRIが必要とされる。
【0191】
精神測定検査
アルツハイマー病等級−認知サブ等級(ADAS−Cog);アルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)及び神経精神病目録作成(NPI)等級の管理のためには認定された格付け人が必要とされる。
【0192】
同一の認定格付け人が、一日のほぼ同じ時刻で全ての精神測定検査を実施すべきである。既定の評価のための複数の格付け人における全ての変化をその患者のソース文書中に記載しておかなくてはならない。精神測定テストは、実験室テストの後に、しかも患者が食事をとる機会を持った後にのみ行なわれる。
【0193】
ミニメンタルステート検査(MMSE)
MMSEは、全体的な認知状態を評価するために広く用いられている簡単なテストである。MMSEは、0〜30の等級で記憶、方向性、注意、言語及び運動といったような選択された認知の側面を測定する。評点が低くなればなるほど認知の機能障害は大きくなる。MMSEは、スクリーニング時、ベースラインそして3、6、9、12、15、18及び20カ月後に実施される。
【0194】
アルツハイマー病等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)
ADAS−Cogは、AD患者における認知機能障害の重症度を評価するように設計された11項目の等級である。項目には、単語想起、物品及び手指の名称の読み上げ、指令の遂行、構成運動、観念運動、方向性、単語認識、会話能力、会話理解力、自発語における単語発見困難、及びテスト命令の記憶が含まれる。合計評点は0〜70の範囲に及び、70は最悪の認知を表わす。この試験のためには、ADAS−Cogに対し2つの付加的項目が加えられてきた。つまり、単語想起遅延と集中力/散漫性である。これら2つの付加的な項目がもとの11項目のADAS−Cogと組合わされた場合、該手段はModifiedADAS−Cogと呼ばれる。試験に包含されるためには、患者が確実に修正ADAS−Cogを完了できるようにする必要がある。修正ADAS−Cogはスクリーニング時、ベースライン及び3、6、9、12、15、18及び20カ月目に実施される。
【0195】
アルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)
ADCS−CGICは、臨床医のインタビューに基づく変化印象に介護者の入力を加えるもの(CIBIC−Plus)のADCSバージョンである。これは、独立した臨床医による患者及び介護者の広範なインタビューを通して導出された患者の機能の変化の世界的格付けである。ベースラインにおいてのみ、その他のあらゆるソースからのその患者についての臨床的情報を用いて、他の評価チーム成員、病歴、身体検査及び格付け等級及びスクリーニング及びベースラインvisitからのテスト結果といったベースライン覚え書を生成すべきである。患者及び介護者は、つねに別々にインタビューを受け、患者が最初にインタビューを受けることになる。患者及び介護者のインタビューのビデオテープも同様にベースラインにおいて必要とされる。ベースラインvisitの後、臨床医は自らのベースライン覚え書及びビデオテープになったインタビューを参照すべきであるが、その他の試験手順/結果を再考するか又は評価チームの他の成員と該患者について論議することは禁じられる。臨床医は、ベースラインからの変化度を評価するべく7点等級で患者を格付けする。すなわち1−著しい改善、2−中程度の改善、3−最小限の改善、4−変化無し、5−最小限の悪化、6−中程度の悪化及び7−著しい悪化である。これらのベースライン覚え書とビデオテープに収められたインタビューのみが、その後ベースラインインタビュー及び格付けを実施する毎にその間臨床医が利用可能なものとなる(Schneider LS、Olin JT, Doody RS, Clark CM、Morris JC, Reisberg G, Schmitt FA, Grundman M, Thomas RG, Ferris SH及びアルツハイマー病協調試験。アルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象。Alzheimer's Dis. Assoc. Disorder, 2: S22-S32; 1997)。
【0196】
臨床医は単独で、その他のスタッフの助言を求めることなく変化についての決定を下さなくてはならない。各インタビューの始めに、臨床医はインタビューを受ける人に対しその人が体験する可能性のあるあらゆる副作用について言及するのを控えるように警告すべきである。ベースラインからの変化の評価は、3、6、9、12、15及び18カ月目に行なわれる。20カ月目(試験の投薬中止期の終り)における変化の評価はベースラインとの関係においてではなく18カ月目との関係で行なわれる。
【0197】
臨床痴呆格付けボックス合計(CDR−SB)
CDR−SBは、認知及び機能を評価する6つの領域すなわち、記憶、方向性、判断及び問題解決、コミュニティアフェアーズ、家庭、及び趣味、そして身の回りの世話における痴呆の重症度の尺度である。各寮分についての格付けは、臨床visitの間に行なわれた全てのテストからの結果を考慮した後(ADCS−CGICを実施する臨床医を除いた)患者の評価チームによって合意されることになる。CDRコンセンサス論議には、インタビュー覚え書及びADCS−CGICインタビューワの格付けが含まれるべきであるが、ADCS−CGICインタビューワはCDR論議に参加しない。各々の領域内での格付けは合計されて世界臨床尺度、ボックス合計を提供する。CDR−SBはベースライン、12、18及び20カ月目に実施される。
【0198】
神経精神病目録作成(NPI)
神経精神病目録作成(NPI)は、痴呆の患者において一般に発生する行動障害の12項目等級、すなわち、妄想、幻覚、動揺/攻撃性、うつ病/情動不安、不安症、高揚感/陶酔、無感動/無関心、脱抑制、興奮性/不安定性、自発運動量異常、睡眠及び食欲及び摂食障害、である。介護人とのスケジュールに基づいたインタビューを通して、12の行動の各々が評価される。各行動の頻度(0〜4)及び重症度(0〜3)が判定され、0〜144の合計評点用として乗算される。評点が高くなればなるほど精神病理が多いことを表わす。さらに、介護人の疲労困ぱい度(0〜5)も同じく各行動について決定される。NPIはベースライン、6、12及び18ヶ月目に実施される。
【0199】
アルツハイマー病機能評価及び変化等級(ADFACS)
ADFACSは、臨床調査において一般に用いられる日常生活の手段的活動及び基本的活動(ADL)等級に基づく16項目の機能的評価手段である。それには6つの基本的ADL(排泄、食餌、着がえ、個人衛生及び身づくろい、入浴及び歩行)及び10個の手段的活動(電話を使用する能力、家事、家庭用器具の使用、金銭の取扱い、買物、食事の準備、家の中及び外を動き回る能力、趣味及び余暇活動、個人的メールの取扱い及び状況把握又は説明)が含まれる。各項目の評価は、患者の介護者のインタビューに基づいている。基本的ADC項目の各々は、0(機能的障害無し)から4(非常に重度の機能的障害)までの等級で評定され、0〜24の基本的ADL合計評点を与える。有益ADL項目の各々は0(機能的障害無し)から3(重度の機能的障害)までの等級で評定され、0〜30の有益ADL合計評点を与える。従って16項目のADFACS全体は、0〜54の合計評点範囲を有する。
【0200】
神経画像検査;脳の形態学及び代謝
このMRI/MRSサブ試験では、脳内の疾病の進行の尺度に対する治療の効果を評価するべく磁気共鳴映像法(MRI)及び磁気共鳴分光法(MRS)が二次的有効性変数として用いられることになる。脳の体積変化(大域的及び局所的萎縮)を評価するために、ベースライン及びvisit9/18カ月目においてMRIが実施される。MRSは、N−アセチルアスパルタート(NAA)及びミオイノシトール(MI)を含めた内因性脳代謝産物を評価するために同じvisitにおいて実施されることになる。
【0201】
MRIのための有利な分析は、大域的又は局所的体積の変化速度、△体積/時により定義される通りの大域的脳萎縮及び局所的脳萎縮(海馬萎縮)である。MRSのための有利な分析は、N−アセチルアスパルタート対クレアチン(NAA/Cr)及び前頭皮質及び後頭皮質内の正規化されたNAAレベル、ならびにMI/Cr及びMI/NAA及び正規化MIレベルの変化である。神経画像スキャンを得ることは記号論理学上複雑であることから、これらは、およそ200人の患者のサブグループの中で実施される。
【0202】
末梢バイオマーカー
血液中に見い出されアルツハイマー病の病態生理学に関与するタンパク質、ペプチド及び脂質が試験集団の中で測定される。
【0203】
血漿バイオマーカー
有利な血漿バイオマーカーとしては、血漿β−アミロイドペプチド(Aβ1−40、Aβ1−42)、S100b及び24−ヒドロキシコレステロール(セレブロステロール)が含まれる。血漿バイオマーカーは、分析のため、ベースライン、3、6、12、18及び20カ月目で収集される。
【0204】
10mLの全血からの血漿画分は、各患者についてEDTA内で収集される。サンプルは−70℃で急速凍結され、その場で保管される。
【0205】
血清バイオマーカー
患者の脂質プロファイルは、総コレステロール、LDL−C、HDL−C、VLDL−C、トリグリセリド及びアポリポタンパク質(ApoE及びApoB)を測定することによって評価される。脂質及びリポタンパク質についての血清サンプルの検定が実施される。血清バイオマーカーが、分析のためスクリーニング3、6、12、18及び20カ月目に収集される。スクリーニングがベースラインvisitから2週間以内であることから、スクリーニングサンプルがベースラインとみなされる。
【0206】
ドネペジル血漿レベル及びRBCアセチルコリンエステラーゼ阻害(RBCAChE−I)
患者の体内でRBCAChE−Iの測定のために、7ミリリットル(7ml)の全血がベースライン及び18カ月目に収集される(補遺I参照)。ドネペジルの血漿濃度が、赤血球中の測定アセチルコリンエステラーゼ活性と相関される。
【0207】
ドネペジル血漿濃度の分析
高性能液体クロマトグラフィ方法を用いて、ドネペジル濃度を定量化する。試験サンプルの分析に先立ち、検定の感度、特異性及び再現性が立証される。
【0208】
RBCコリンエステラーゼ阻害の分析
放射酵素測定法を用いて、赤血球内のアセチルコリンエステラーゼの活性を測定する。この試験に先立ち、検定の感度、特異性及び再現性が立証される。
【0209】
介護負担及び健康の経済
介護者の評価−介護負担質問−ベースライン
介護者の評価には、介護負担質問による患者介護の負担の測定が含まれる。ベースラインにおいて、この質問は、2つの主要な区分、すなわち介護時間(3問)及び患者収容設備(すなわち生活状況;1問)から成る。介護時間区分は、ベースラインVisitに先行する4週間にあてはまる質問から成る。患者収容設備区分は、現行の生活状況を評価する。
【0210】
有効性評価項目の定義づけ
一次有効性
一次有効性尺度及び測定時点は以下の通りである。
【0211】
アルツハイマー病等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)
ADAS−Cogは、AD患者における認知機能障害の重症度を評価するように設計された11項目の等級である。項目には、単語想起、物品及び手指の名称の読み上げ、指令の遂行、構成運動、観念運動、方向性、単語認識、会話能力、会話理解力、自発語における単語発見困難、及びテスト命令の記憶が含まれる。合計評点は0〜70の範囲に及び、70は最悪の認知を表わす。ADAS−Cogはスクリーニング時、ベースライン及び3、6、9、12、15、18及び20カ月目に実施される。
【0212】
アルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)
ADCS−CGICは、臨床医のインタビューに基づく変化印象に介護者の入力を加えるもの(CIBIC−Plus)のADCSバージョンである。これは、独立した臨床医による患者及び介護者の広範なインタビューを通して導出された患者の機能の変化の世界的格付けである。ベースラインにおいてのみ、その他のあらゆるソースからのその患者についての臨床的情報を用いて、他の評価チーム成員、病歴、身体検査及び格付け等級及びスクリーニング及びベースラインvisitからのテスト結果といったベースライン覚え書を生成すべきである。患者及び介護者のインタビューのビデオテープも同様にベースラインにおいて必要とされる。ベースラインvisitの後、臨床医は自らのベースライン覚え書及びビデオテープになったインタビューを参照すべきであるが、その他の試験手順/結果を再考するか又は評価チームの他の成員と該患者について論議することは禁じられる。臨床医は、ベースラインからの変化度を評価するべく7点等級で患者を格付けする。すなわち1−著しい改善、2−中程度の改善、3−最小限の改善、4−変化無し、5−最小限の悪化、6−中程度の悪化及び7−著しい悪化である。これらのベースライン覚え書とビデオテープに収められたインタビューのみが、その後ベースラインインタビュー及び格付けを実施する毎にその間臨床医が利用可能なものとなる(Schneider LS、Olin JT, Doody RS, Clark CM、Morris JC, Reisberg G, Schmitt FA, Grundman M, Thomas RG, Ferris SH及びアルツハイマー病協調試験。アルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象。Alzheimer's Dis. Assoc. Disorder, 2: S22-S32; 1997)。
【0213】
臨床医は単独で、その他のスタッフの助言を求めることなく変化についての決定を下さなくてはならない。各インタビューの始めに、臨床医はインタビューを受ける人に対しその人が体験する可能性のあるあらゆる副作用について言及するのを控えるように警告すべきである。ベースラインからの変化の評価は、3、6、9、12、15及び18カ月目に行なわれる。20カ月目(試験の投薬中止期の終り)における変化の評価はベースラインとの関係においてではなく、18カ月目との関係において行なわれる。
【0214】
二次有効性変数(単複)−精神測定検査
二次臨床有効性尺度及び時点は、以下の通りである:
ミニメンタルステート検査(MMSE)
MMSEは、全体的認知状態を評価するための手短かな広く用いられているテストである。MMSEは、0〜30の等級で記憶、方向性、注意、言語及び運動といったような認知の選択された側面を測定する。評点が低くなればなるほど認知機能障害が大きいことを表わす。MMSEは、スクリーニング時、ベースライン及び3、6、9、12、15、18及び20カ月目に実施される。
【0215】
修正型アルツハイマー病評価等級−認知サブ等級(Modified ADAS-Cog)
Modified ADAS-Cogは、単語想記遅延及び集中力/散漫性という2つの項目を加えた上述の11項目のADAS−Cogと同じ手段である。Modified ADAS-Cogは、スクリーニング時、ベースライン及び3、6、9、12、15、18及び20カ月目に実施される。
【0216】
臨床痴呆格付けボックス合計(CDR−SB)
CDR−SBは、認知及び機能を評価する6つの領域すなわち、記憶、方向性、判断及び問題解決、コミュニティアフェアーズ、家庭、及び趣味における痴呆の重症度の尺度である。各寮分についての格付けは、臨床visitの間に行なわれた全てのテストからの結果を考慮した後(ADCS−CGICを実施する臨床医を除いた)患者の評価チームによって合意される。CDR−SBコンセンサス論議には、インタビュー覚え書及びADCS−CGICインタビューワの格付けが含まれるべきであるが、ADCS−CGICインタビューワはCDR−SB論議に参加しない。各々の領域内での格付けは合計されて世界的臨床尺度、ボックス合計を提供する。CDR−SBはベースライン、12、18及び20カ月目に実施される。
【0217】
神経精神病目録作成(NPI)
神経精神病目録作成(NPI)は、痴呆の患者において一般に発生する行動障害の12項目の等級、すなわち、妄想、幻覚、動揺/攻撃性、うつ病/情動不安、不安症、高揚感/陶酔、無感動/無関心、脱抑制、興奮性/不安定性、自発運動量異常、睡眠及び食欲及び摂食である。介護人とのスケジュールに基づいたインタビューを通して、12の行動の各々が評価される。各行動の頻度(0〜4)及び重症度(0〜3)が判定され、0〜144の合計評点用として乗算される。評点が高くなればなるほど精神病理が多いことを表わす。さらに、介護人の疲労困ぱい度(0〜5)も同じく各行動について決定される。
【0218】
アルツハイマー病機能評価及び変化等級(ADFACS)
ADFACSは、臨床調査において一般に用いられる日常生活の手段的活動及び基本的活動(ADL)等級に基づく16項目の機能的評価手段である。それには6つの基本的ADL(排泄、食餌、着がえ、個人衛生及び身づくろい、入浴及び歩行)及び10種の手段的活動(電話の使用、家事、家庭用器具の使用、金銭の管理、買物、食事の準備、家の中及び外を動き回る能力、趣味及び余暇活動、個人的メールの取扱い及び状況把握又は説明)が含まれる。各項目の評価は、患者の介護者のインタビューに基づいている。基本的ADC項目の各々は、0(機能的障害無し)から4(非常に重度の機能的障害)までの等級で評定され、0〜24の基本的ADL合計評点を与える。有益ADL項目の各々は0(機能的障害無し)から3(重度の機能的障害)までの等級で評定され、0〜30の有益ADL合計評点を与える。従って16項目のADFACS全体は、0〜54の合計評点範囲を有する。ADFACSは、ベースライン、6、12、18カ月目に実施される。
【0219】
疾病修正
投薬中止期:
18カ月目が完了した時点で、例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害物質例えば(ドネペジル)と例えばアトルバスタチンを受けるべく無作為化された患者は、試用が完了するまでアセチルコリンエステラーゼ阻害物質例えば(ドネペジル)プラスアトルバスタチンを受け続けるか又は活性アトルバスタチン療法から撤退させられドネペジルのみの療法を受けながら試験を完了することになる。この予め定められた第2段階無作為化は、試験の開始に先立って決定される。活性アトルバスタチン療法を受けている患者のおよそ75%が、活性アトルバスタチン療法から撤退するべく再度無作為化されることになる。かくして、患者は、18カ月目で、
a. 整合するプラシーボプラスアセチルコリンエステラーゼ阻害物質例えば(ドネペジル10mg)で続行する、か又は、
b. アトルバスタチン80mgプラスアセチルコリンエステラーゼ阻害物質例えば(ドネペジル10mg)で続行する、か又は、
a. 患者が8週間の整合するプラシーボプラスアセチルコリンエステラーゼ阻害物質例えば(ドネペジル10mg)を受けるような形でアトルバスタチン80mgでの治療から撤退するか、のいずれかとなるように、ベースラインにおいて無作為化されることになる。
【0220】
疾病プロセスの変化を間接的に評価するような2つの試験設計が提案されてきた(Leber 1996,1997)。(57,58)
【0221】
MRI/MRSサブ試験:神経画像検査:磁気共鳴映像法(MRI)/磁気共鳴分光法(MRS)
このMRI/MRSサブ試験では、脳内の疾病の進行の尺度に対する治療の効果を評価するべく磁気共鳴映像法(MRI)及び磁気共鳴分光法(MRS)が二次的有効性変数として用いられることになる。脳の体積変化(大域的及び局所的萎縮)を評価するために、ベースライン及び18カ月目においてMRIが実施される。MRSは、N−アセチルL−アスパルタート(NAA)及びミオイノシトール(MI)を含めた内因性脳代謝産物を評価するために同じvisitにおいて実施される。
【0222】
MRIからの有利な尺度は、大域的又は局所的体積の変化速度、△体積/時により定義される通りの大域的脳萎縮及び局所的脳萎縮(海馬萎縮)である。MRSのための有利な尺度は、N−アセチルアスパルタート対クレアチン(NAA/Cr)及び前頭皮質及び後頭皮質内の正規化されたNAAレベル、ならびにMI/Cr及びMI/NAA及び正規化MIレベルの変化である。神経画像試験を得ることは記号論理学上複雑であることから、これらは、200人の患者のサブグループの中で実施される。
【0223】
アポリポタンパク質(ApoE及びApoB)、脂質及び血漿バイオマーカーについての血液サンプルの検査
有利な血漿バイオマーカーとしては、血漿β−アミロイドペプチド(Aβ1−40、Aβ1−42)、S100b及び24−ヒドロキシコレステロール(セレブロステロール)が含まれる。血漿バイオマーカーは、分析のため、ベースライン、3、6、12、18及び20カ月目で収集される。S100bは、カルシウムレベルの調節に関与する細胞間シグナリング分子である。Mark RE, Griffin WS。「活性化された星状細胞及び好中球サイトカインS100Bの、アルツハイマー病の病因における役割」Neurobiol Aging, 22(6): 915-22。再考:Nov-Dec, 2001。活性化された星状細胞は、脳の損傷及び炎症の結果として高レベルのS100bを有する。軽度乃至中度のAD患者のCSFにおけるS100bのレベルは、年令整合された対照患者に比べ高くなっている。Peskind ER, Griffin WS, Akama KT, Raskind MA, Van Eldik LJ. 「早期のアルツハイマー病において脳脊髄液S100Bは高くなる」Neurochem Int., 39(5-6); 409-413; Nov-Dec 2001。脳内のS100bの増加は同様に、血液中のS100bの高いレベルを結果としてもたらす。かくして、血漿中のS100bのレベル及びS100bレベルに対する薬物投与の影響が評価される。
【0224】
包含/排除基準
包含基準
> あらゆるスクリーニング活動の開始に先立ち、患者、介護者及び患者の法定後見人(該当する場合)から書面によるインフォームドコンセントを得なくてはならない。万一患者が書面によるインフォームドコンセントを提供する能力をもたない場合、公認の代理人及び証人の立合いの下で患者から口頭での同意を得なくてはならない。立会う人物の口頭の同意及び身分の証明を、原始文書ならびに同意書の両方で作成しなければならない。
> 患者及び介護者は、現地の言葉に充分堪能で、かつ、スクリーニング及びベースラインにおいて試験評価を信頼できる形で完了させる能力を有していなくてはならない。
> 年令50才以上90才以下であらゆる人種の男性及び女性の外来患者。
【0225】
> 女性は、試験に先立って、自然閉経又は外科的閉経の始まりを経験し、かつ少なくとも6カ月間無月経でなくてはならない。自然閉経は、卵巣機能の自然の停止として定義づけされる。外科的閉経は、子宮が無傷の状態のままの両側卵巣摘除術として定義される。
> スクリーニングの時点で現場の医師により作成されたNINCDS/ADRDA及びDSMIV基準と一貫性ある、疑い例アルツハイマー病の診断的証拠。この証拠は、ベースラインに先立って患者の原始文書の中で充分に立証されなくてはならない。治験責任医師は、ADの重症度が軽度から中度であり患者がそれ以外の上では健康であることを考慮しなくてはならない。
> 疑い例アルツハイマー病の診断と一貫性がありかつその他の何らかの臨床的に有意な併存する病理が全く無い、過去12カ月以内のCR又はMRI。該報告書のコピーが要求されることになり、CRFに添えられているべきである。最後のCT又はMRIの時点とスクリーニング査定の間に発症を有する卒中又はその他の考えられる神経疾患を示唆する有意な臨床変化が存在した場合には、スポンサの承認を得てスキャンを反復することができる。
【0226】
MRI/MRSサブ試験;MRIサブ試験に参加する患者は、任意の先行する神経画像試験のタイミングの如何に関わらず、ベースライン及びvisit9/18カ月目に試験特異的MRI(又はベースライン後少なくとも9カ月目である場合早期終了)を受けることができなくてはならない。ベースラインにおけるMRIは同様に、(併存する病理の可能性を示唆する臨床変化が存在していた患者及び反復神経画像スキャンが必要とされている患者の場合を含めて)疑い例ADの診断を裏づけるためのスクリーニングMRIとして役立つ。
> 患者のミニメンタルステート検査(MMSE)評点は、スクリーニングの時点で13以上25以下の範囲内になくてはならない。
> 患者はスクリーニングに先立ち3カ月以上の間10mgのドネペジルの安定した用量を摂取していなくてはならない。
> 抗高脂血症薬投与を全く受けていない患者。
【0227】
患者のRosen修正Hachinski虚血(Rosen EG, Terry RD, Fuld PA, Karzman R, Peck A. 「痴呆の分化における虚血評点の病理学的確認」Ann. Neurol., 7: 486-488; 1980)スケール≦4。[Hachinski評点基準を満たすことができないものの治験責任医師の臨床的見解では多硬塞痴呆又は脳血管疾患に付随する痴呆をもたない(例えば巣状神経徴候、又は症候が全くなくCVAの病歴が全くない)選択された患者についてスポンサと合わせたケースバイケースのペースで例外が認められ得る]
> 患者の実験室発見事実は正常限界内になくてはならず、異常である場合には、スクリーニング時に臨床的に有意でないと判断されなくてはならない。(あらゆる異常は、「臨床的に有意でない」すなわち認知機能障害又は医学的不安定性をひき起こす確率の少ないものとして治験責任医師によって立証されなくてはならない)。
> 患者は、100mg/dL以上190mg/dL以下のLDL−Cレベルを有していなくてはならず、又治験責任医師の見解であらゆる脂質低下薬での異常脂質血症についての治療を必要としてはならない。
> 冠状動脈疾患の病歴又は証拠を有する患者は、メディカルモニターにより承認されるべきである。
【0228】
食餌及び/又は経口血糖降下薬及び/又はインシュリンの安定した投薬計画下にある糖尿病患者は、糖尿病制御の適切性を保証するべく定期的に監視されメディカルモニターにより承認されていることを条件として、適格である。既知の糖尿病を有する患者は、10%未満のHbA1cレベル及び170mg/dL以下の絶食血清グルコース値を有するべきである。上述の基準を満たす患者は、100mg/dL以上130mg/dL以下のLDL−C値も有していなくてはならない。
> 患者は、経口投薬(錠剤)を嚥下することができなくてはならない。錠剤を圧壊すべきではない。
> 患者の生命徴候は、年齢に対し正常とみなされなくてはならない。患者のスクリーニング12誘導ECGは、卓越して正常な洞律動を実証しなくてはならない。治験責任医師により臨床的に有意でないものとして立証された(毎分50心拍数以下の洞性徐脈を含めた)わずかな異常は許容されることになる。臨床的には有意であるが安定しているECG異常を有する患者は、スポンサの立証された(例えば電話、書面)許可がある場合にのみ試用に入ることができる。
> 右脚ブロック(完全又は部分)及びペースメーカーを伴う患者は、臨床的に安定しているとみなされた場合、該試験に内含され得る。
> 患者には、全ての計画されたvisitで患者に随伴し、このプロトコルが必要とする該患者についての情報を提供し、薬物投与計画の順守を保証することに合意する同一の信頼できる介護者又は家族成員がいなくてはならない。該介護者は、恒常で信頼できる情報提供者でなくてはならず一週間に少なくとも5日、一週間に最低10時間の覚醒時間中患者と接触していなくてはならない。この接触は、治験責任医師により、患者の行動及び日常生活活動を運動する患者の能力の正確な報告を保証するのに適切であると判断されるべきである。
> 患者は、試験の全ての側面において彼らの参加を妨げる知覚的(例えば難聴又は視力障害)又は運動困難を有していないものとする[杖(歩行用ステッキ)又は歩行器は許可される]
> 治験責任医師の見解でかつメディカルモニターからの承認を得て、ADFACS内に規定されている通りの日常生活活動全てを実施しかつそれについて評価される機会を有する介助付き生活状況にある患者。この生活状況は、試験の経過全体にわたり維持されるものと予想される。
> 推定上の処方外/処方認知エンハンサ(例えばイチョウ、高用量ビタミンE、レシチン、エストロゲン、NSAIDS)は排除されないが思いとどまらせるべきである。推定上の認知エンハンサが許容される場合、投薬量は、無作為化に先立つ少なくとも3カ月間安定しているべきであり、試験の経過中変化するべきではない。
【0229】
排除基準
> スクリーニングから3カ月以内にテストアセチルコリンエステラーゼ阻害物質以外の何らかのコリンエステラーゼ阻害物質による治療を受けた患者。
> プロトコルを順守できないか又は成果指標を実行できない可能性のある患者。
> 試験薬物の吸収、分配又は代謝に影響を及ぼす何らかの活性な又は臨床的に有意な身体条件(例えば炎症性大腸炎、胃又は十二指腸潰瘍、重症の乳糖不耐性)を有する患者。
> 現在薬物又はアルコール乱用又は依存症についてのDSMIV基準を満たしている又は過去5年以内にそれを満たしていたことのある患者。
> ドネペジル又はピペリジン誘導体に対するアレルギー又はその有意な不寛容又はHMG−CoA還元酵素阻害物質に対する過敏症又はその有意な不寛容を有する患者。
> その他のあらゆる脂質低下剤を服用している患者。
> スクリーニングに先立つ3カ月以内に一日10mgのドネペジル治療を寛用しなかった患者。
> 同時の、又はスクリーニングに先立つ30日以内又は5半減期以内のいずれか長い方の期間以内の治験薬又は市販薬が関与するその他の何らかの試験への参加。
> 試験プロトコルにより許可されていない薬物での試験期間中の治療を必要とする可能性がある患者。
> スクリーニングに先行する30日間に血液又は血液製剤を提供した患者又は、該試験に参加している間に又は該試験の完了後4週間以内に献血する予定のある患者。
【0230】
大うつ病性障害(MDD)、部分寛解状態のMDDの現行のDSM−IV診断、又は(DSM−IVに従った)アルツハイマー病以外のあらゆる現行の一次精神科診断を受けている患者。
> その他の器質性疾患により悪化した痴呆又は精神錯乱を伴うアルツハイマー病(DSM290,30又は290,11)を有する患者は排除される。精神科的症状(例えばうつ病、不安症、妄想)はADにおいて一般的であるが、代替的な同時診断を正当化するような顕著な重症の症候を有する患者は排除されるべきである。
> 治験責任医師の判断で現在有意な自殺危険を示す患者。
> 治験責任医師の判断で電気ショック療法(ECT)が必要であると思われる患者。
> 治験責任医師の見解で、向精神薬投与における調整又は修正が必要となる確率が高い不安定な精神科的症状を有する患者。
> 発作性疾患又は脳炎の病歴又は存在を伴う患者。
> 卒中、頭蓋内出血、大病巣(mass lesion)又は正常圧水頭(NPH)の診断と一貫性あるCT又はMPIスキャンを有する患者。
【0231】
MRI/MRSサブ試験
MRI/MRSサブ試験に対する全ての潜在的患者はMR検査のための禁忌についてスクリーニングされることになる。MR検査のための禁忌(例えばペースメーカー、神経刺激装置、動脈瘤クリップなど)を有するあらゆる患者が、サブ試験から排除されるものとする。スクリーニングはベースライン及び18カ月目のスキャニングの両方について行なわれることになる。
> アルツハイマー病以外の原因による痴呆を有する患者。これらには、毒性、アルコール性又は血管性病因及びHIV、パーキンソン病、レブィー小体痴呆、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルトヤコブ病及び神経毒素などの内科的障害が含まれる。
> 頭部外傷の直後の認知欠損の病歴をもつ患者。意識喪失を伴う重大な頭部外傷をもつ患者には、治験責任医師が判断を下すことが必要である(注:認知続発症のない頭部外傷の遠い病歴は、排除されない)。
> 高度看護施設に居住しているか又は入院している患者又は、試験の経過中に療養施設に入ることが予測されている患者。
> 深い静脈血栓症、肺動脈塞栓又はその他の何らかの血栓−塞栓性障害の病歴をもつ患者。
> スクリーニングに先立ち、禁止された併用薬を受けた患者。
> 現在、皮膚科疾患、血液疾患、肺疾患、心臓血管疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、胃腸疾患、泌尿生殖器疾患、内分泌疾患、神経系疾患(アルツハイマー病以外)を含む臨床的に有意な不安的な症状のいずれかを患っている患者。
> スクリーニングに先立つ3カ月以内に重症の感染症又は大きな外科手術を受けた患者(敗血症、冠動脈血管形成術、冠動脈パイパスグラフト、股関節置換など)。
> 試験開始に先立つ5年以内に治療された悪性新生物の病歴(皮膚の基底細胞又はへん平上皮細胞ガン以外)を有する患者又は再発性又は転移性疾患の現行の証拠がある場合。
> ビタミンB12欠乏症を有する患者。しかしながら、スクリーニングに先立つ少なくとも3カ月間安定した用量の薬物投与を受けておりスクリーニングの時点で正常な血清B12レベルを有する患者は適格となる。該試験全体を通して安定した用量が維持されなくてはならない。
【0232】
> 無制御の甲状腺機能低下症及び甲状腺機能亢進症を有する患者。スクリーニング時に正常なTSH及び遊離T4を有し。スクリーニングに先立つ少なくとも3カ月間安定した用量の薬物投与を受けてきた患者は、甲状腺機能正常とみなされ、適格となる。該安定した用量は研究全体を通して維持されなくてはならない。
> スクリーニング時に正常値の上限の3.0倍以上のAST(SGOT)又はALT(SGPT)により(ただしこれに制限されるわけではない)示される通りの肝機能障害を有する患者。
> スクリーニング時に30mg/dL以上のBUNを有する患者
> スクリーニング時に尿検査で「微量」を超えるあらゆるタンパク尿又は3.0mg/dL以上の血清クレアチニンを有する患者。
> スクリーニング時に正常範囲の上限の5倍超のCPK(クレアチニンホスホキナーゼ)を有する患者。
> 最後の6カ月以内に脂質低下療法を受けていた患者。
> 500mg/dL以上の血清トリグリセリドレベルを有する患者。
> 降圧薬を併用しているかいないかに関わらず、治験責任医師によって評価される通り、無制御の高血圧(着席時拡張期血圧>95mmHg及び収縮期血圧>160mmHg)を有する患者。
> 治験責任医師の判断で、患者に対する危険性を増大させてか又は試験の目標を満たすのに必要とされるデータの信頼性を低下させる可能性のあるその他のあらゆる条件。
【0233】
試験中、以下の薬物投与/療法は禁止される;
・ 全ての抗高脂血薬(例えばナイアシン、プロブコール、フィブラート及び誘導体、胆汁酸金属イオン封鎖樹脂、ゼニカル、HMG−CoA−レダクターゼ阻害物質、メタムシルを含めたオオバコ誘導体(一日大さじ2杯超)又は魚油)。
・ HMG−CoAレダクターゼ阻害物質と組合わせて横紋筋融解と結びつけられるものとして知られている薬物(例えばサイクロスポリン、エリスロマイシンなど)。試験中にこれらの薬物が一時的に必要となる場合、試験薬物投与は適切に中断されるべきである)。
・ アゾール系抗真菌薬。
・ あらゆる免疫抑制剤(例えばサイクロスポリン、ミコフェンラート・モフェティル)。
・ イソトレチノインを含めた全てのレチノイドといったような脂質レベルに対する有意な悪い効果をもつものとして知られている薬物。
・ 制酸剤を利用しなければならない場合、試験薬物と同時に摂取しないこと。試験薬剤の少なくとも2時間前又は2時間後の摂取は許される。
【0234】
下記の医薬品は、該試験中併用薬としての使用が禁じられるものである。
鎮痛剤
トラマドール ウルトラム
抗コリン薬
一般名 商品名(登録商標)
アマンタジン シンメトレル
ベンズトロピン コジェンティン
シプロフェタジン ペリアクチン
ジシクロミン ベンチル
ジフェンヒドラミン ベナドリル、ソミネックス2、ベニリン
アトロピンを含むジフェンオキシラート ロモチル
ヒドロキシジン ビスタリル、アタラックス
メクリジン アンチバート、ボニン
クエン酸オルフェナドリン ノルフレックス
オキシブチニン ジトロパン
プロクロペラジン コンパジン
プロメタジン フェネルガン
トリヘキシフェニジル アーテン
トリメトベンズアミド ティガン
【0235】
抗けいれん薬
一般名 商品名(登録商標)
カルバマゼピン テグレトール
クロナゼパム クロノピン
クロザバザム
エトスクシミド ザロンジン
【0236】
禁止医薬品リスト
フェルバメート フェルバトール
レベチラセタム ケプラ
ラモトリジン ラミクタール
フェノバルビタール
フェニトイン ジランチン
プリミドン マイソリン
トピラメート トパマックス
バルプロ酸塩 デパケン、デパコート
ビガバトリン サブリル
【0237】
抗うつ薬
一般名 商品名(登録商標)
アミトリプチリン エラビル
アモキサピン アセンジン
ブプロピオン ウェルブトリン、ジバン
クロミプラミン アナフラニール
デシプラミン ノルプラミン、パートフラン
ドキセピン シネクアン
イミプラミン トフラニル
イソカルボキサジド マープラン
リチウム
マルプロチリン ルジオミール
ミルタザピン レメロン
ネファゾドン セルゾン
ノルトリプチリン アベンティル、パメロール
フェネルジン ナージル
プロトリプチリン ビバクチル
トラニルシプロミン パルネート
トリミプラミン スルモンチール
【0238】
禁止医薬品リスト
抗精神病薬
クロルプロマジン トラジン
フルフェナジン プロリキシン、パーミチル
チオリダジン メレリル
ロキサピン ロキシタン
クロザピン クロザリル
モリンドン モーバン
【0239】
抗真菌薬
一般名 商品名(登録商標)
フルシトシン アンコボン
アンフォテリシンB ファンギゾン静注、アンフォテク、
アムビソーム,アベルセット
ケトコナゾール ニゾラール
フルコナゾール ジフルカン
グリセオフルビン フルビシンU/F、グリフルビンV、
クリサクシン
ナイスタチン ナイスタチン、マイコスタチン、
ニルスタット
イトラコナゾール スポラノックス
【0240】
抗パーキンソン病薬
一般名 商品名(登録商標)
ビペリデン アキネトン
ブロモクリプチン パーロデル
レボドーパ ラロドーパ、シネメット
ペルゴリド ペルマックス
ロピニロール レキップ
セレギリン デプレニル、エルデプリル
トルカポン タスマール
【0241】
禁止医薬品リスト
抗不安薬
一般名 商品名(登録商標)
アルプラゾラム ザナックス
クロラゼペート トランセン
クロルジアゼポキシド リブリアム
ジアゼパム バリアム
エストラゾラム プロサム
フルラゼパム ダルマン
メプロバメート イクオニル、イクワジェシック、
ミルタウン
オキサゼパム セラックス
テマゼパム レストリル
トリアゾラム ハルシオン
【0242】
コリン様作用薬
一般名 商品名(登録商標)
ベタネコール デュボイド、ウレコリン
ガラタミン レミニル
フィソスチグミン
ピリドスチグミン メスチノン
リバスチグミン エクセロン
テトラヒドロアミノアシジン(タクリン) コグネックス
*患者がアセチルコリンエステラーゼ阻害物質をテストする場合を除く
【0243】
****シトクロームP450-3A4阻害剤
一般名 商品名(登録商標)
アミオダロン コルダロン、パセロン
カンナビノイド
シメチジン タガメット
クラリスロマイシン ビアキシン
【0244】
禁止医薬品リスト
クロトリマゾール ロトリミン、マイセレックス
シクロスポリン ゲングラフ、ネオラール、サンジミューン
ダナゾール ダノクリン
エリスロマイシン エリ・タブ
フルコナゾール ジフルカン
インジナビル クリキシバン
イトラコナゾール スポラノックス
ケトコナゾール ニゾラール
ミコナゾール
ネルフィナビル ビラセプト
ニカルジピン
ノルフロキサシン
オメプラゾール プリロセック
プロポキシフェン ダルボン、ダルボン・プルヴュール
キニジン キニデックスエクステンタブ、
キナグリュートデユーラタブ
リトナビル カレトラ、ノルビル
サキナビル フォルトベーズ、インバライズ
トロレアンドマイシン タオ
ザフィルルカスト ジレウトン
【0245】
エリスロマイシン
一般名 商品名(登録商標)
エリスロマイシン・ベース E−マイシン、エリ−タブ、ERYC
エリスロマイシン、
遅延放出型エリスロマイシン
PCEディスパータブ
エリスロマイシンコハク酸エチル ペディアゾール
アセチルスルフィソキサゾール
【0246】
禁止医薬品リスト
免疫抑制剤
一般名 商品名(登録商標)
リンパ球免疫グロブリン Atgom
Rho(D)免疫グロブリン HypPho−D、MICRhoGAM
Rohm
アザチオパンナトリウム イムラン
バシリキシマブ シムレクト
ムロモナブ−CD3 オルトクローンOKT3
シクロスポリン ゲングラフ、ネオラール、サンジミューン
マイコフェノラートモフェチル セルセプト
ダクリツマブ ゼナパックス
酢酸グラチラマー コパクソン
タクロリムス プログラフ
シロリムス ラパミューン
【0247】
脂質調節薬
一般名 商品名(登録商標)
ナイアシン/ニコチン酸 ナイアコール、コノビド、ニコラール、
スロナイアシン
プロブコール ロレルコ
クロフィブラート アトロミド−5
コレスチラミン コリバール、クエストラン、クエストラン(ライ ト)、
プレバライト、LoCHOLEST
コレセベラム WelChol
塩酸コレスチポール コレスチド
ゲムフィブロジル ロピド
魚油(オメガ−3脂肪酸−処方薬専用)
フルバスタチン レスコル
ロバスタチン メバコール
プラバスタチン プラバコール
シンバスタチン ゾコール
セリバスタチン ベイコール
オルリスタット ゼニカル
【0248】
禁止医薬品リスト
フェノフィブラート トリコール
デキストロチロキシンナトリウム コロキシン
ロスバスタチン クレストール
【0249】
覚せい剤
一般名 商品名(登録商標)
アンフェタミン デキセドリン
メエチルフェニダート リタリン
ペモリン サイラート
【0250】
その他の薬剤
一般名 商品名(登録商標)
シクロベンザプリン フレキセリル
エルゴロイドメシラート ハイデルジン
イソトレチノイン アクテン
イソックスプリン バソジラン
メマンチン エビクザ
メトカルバモール ロバキシン
ニ塩酸ミベフラジル ポジコール
ミトキサントロン ノバントロン
ニモジピン ニモトップ
オキシブチニン ジトロパン
パパベリン パバビド
【0251】
制限付で許可される医薬品
推定的認知エンハンサ
推定的処方外/処方認知エンハンサ(例えば、イチョウ、高用量ビタミンE、レシチン、エストロゲン、NSAIDS)は排除されないが、阻止されるべきではない。推定認知エンハンサが許容される場合、投薬量は無作為化に先立ち少なくとも3ヶ月間は用量が安定したものであるべきであり、試験の間は変更すべきでない。
【0252】
臨床検査室パラメータ
1.完全臨床検査室
血液学
RBC(赤血球)
ヘモグロビン
ヘマトクリット
WBC(白血球)
血小板計数
差異(WBCが異常である場合)
好中球
リンパ球
単球
好酸球
好塩基球
【0253】
化学
SGOT(AST)
SGPT(ALT)
アルカリホスファターゼ
LDH
CPK(CPKが基準上限値の5倍まで高くなった場合は、CPK−MB、)
血中尿素窒素
塩化物
クレアチニン
尿酸
総タンパク量
アルブミン
ナトリウム
カリウム
グルコース
グロブリン
リン
カルシウム
HbAlc(Visit1の時のみ)
総ビリルビン
C−反応性タンパク質
TSHレベル(Visit1の時のみ)
遊離T4(サイロキシン)(Visit1の時のみ)
12(Visit1の時のみ)
RBC葉酸(Visit1の時のみ)
【0254】
血清学
C型肝炎(Visit1の時のみ)
RPR(Visit1の時のみ)
脂質プロフィール
総コレステロール
LDL−C
VLDL−C
トリグリセリド
HDL−C
ApoB
ApoE
血漿サンプリング
β−アミロイド(Aβ1−40、Aβ1−42)
S−100b
24S−ヒドロコレステロール(セレブロステロール)
RBC AChE−I
【0255】
2.尿検査
白血球ディプスティク判定
硝酸塩
ウロビリノーゲン
タンパク室
PH
血液
比重
ケトン
グルコース
【0256】
【表5】

【0257】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. 一定量のアセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩;
b. 一定量のスタチン又はその薬学的に許容される塩;及び
c. 薬学的に許容される担体又は希釈剤、
を含む医薬組成物。
【請求項2】
活性5mgのスタチンと活性10mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;
活性10mgのスタチンと活性10mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;
活性20mgのスタチンと活性10mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;
活性40mgのアトルバスタチンカルシウムと活性10mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;
活性80mgのスタチンと活性10mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;
活性5mgのスタチンと活性5mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;
活性10mgのスタチンと活性5mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;
活性20mgのスタチンと活性5mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;
活性40mgのスタチンと活性5mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質;及び
活性80mgのスタチンと活性5mgのアセチルコリンエステラーゼ阻害物質、
から成る群から選択された固定した組合せを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
一定量のアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩を含む、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
一定量のドネペジル又はその薬学的に許容される塩を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
約0.20mg〜約20mgのドネペジル又はその薬学的に許容される塩;約5mg〜約80mgのアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項6】
アルツハイマー病を患う哺乳動物においてアルツハイマー病修飾効果を達成するために第2の医薬組成物と共に使用するための第1の医薬組成物において、該アルツハイマー病修飾効果は、前記第1及び第2の医薬組成物を別々に投与することによって達成される効果の合計よりも大きく、前記第1の医薬組成物が一定量のアトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含み、前記第2の医薬組成物が一定量のドネペジル又は薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む、第1の医薬組成物。
【請求項7】
アルツハイマー病を治療するための医薬の製造を目的とする、それぞれ請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項8】
安定化を必要とする哺乳動物においてアルツハイマー病の症候を安定化させるための医薬の製造を目的とする、それぞれ請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項9】
前記安定化がアルツハイマー病評価等級−認知サブ等級(ADAS−Cog)によってか又はアルツハイマー病協調試験−臨床世界変化印象等級(ADCS−CGIC)によって評価される、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
1. アセチルコリンエステラーゼ阻害物質又はその薬学的に許容される塩である、一定量の第1の活性成分(a)及び
2. アトルバスタチン又はその薬学的に許容される塩である、一定量の第2の活性成分(b)、
の両方の組合せ投与による療法からの利益を享受するものと考えられ、従って(a)及び(b)の両方の投与が処方されているアルツハイマー病を患っているか又はアルツハイマー病のリスクがあると診断された哺乳動物を治療又は予防する方法において、かく診断され処方された前記哺乳動物に対し前記一定量の第1の活性成分(a)及び前記一定量の第2の活性成分(b)を投与するステップを含む方法であって、前記第1の活性成分(a)及び前記第2の活性成分(b)が薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に単一の医薬組成物の形で一緒に投与される、方法。

【公表番号】特表2007−532624(P2007−532624A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507862(P2007−507862)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000923
【国際公開番号】WO2005/099823
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】