説明

アルツハイマー病を予防および/または治療するための医薬の製造におけるピリミジン誘導体の使用

本発明は、アルツハイマー病を治療および/または予防する医薬の製造における、遊離塩基またはその製薬上許容できる塩としての式I:
【化1】


で示されるピリミジン誘導体の新規な使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3に関連する状態を治療および/または予防するための医薬の製造における、遊離塩基または製薬上許容できる塩としてのピリミジン誘導体の新規な使用に関する。本発明はさらに、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3に関連する状態の治療および/または予防方法に関し、本方法は、このような防止および/または予防が必要なヒトを含む哺乳動物に、治療上有効な量の前記ピリミジン誘導体を投与することを含む。加えて、本発明は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の阻害に適した新規な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)は、2種のアイソフォーム(αおよびβ)で構成されるセリン/スレオニンプロテインキナーゼであり、これらは別個の遺伝子によってコードされているが、触媒ドメイン内は高度に相同している。GSK3は、中枢および末梢神経系で高度に発現される。GSK3は、tau、β−カテニン、グリコーゲンシンターゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、および、伸長開始因子2b(eIF2b)などの数々の基質をリン酸化する。インスリンおよび増殖因子は、セリン9残基でGSK3をリン酸化しGSK3を不活化するプロテインキナーゼBを活性化する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アルツハイマー病(AD)認知症およびタウパシー
ADは、認知力低下、コリン作動性の機能不全、ならびにアミロイド−βの沈着からなるニューロンの死、神経原線維変化および老人斑を特徴とする。ADにおけるこれらの事象の順序はよくわかっていないが、これらは関連していると考えられる。グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK3β)またはタウ(τ)リン酸化キナーゼは、ニューロン中の微小管関連タンパク質τを、AD脳内の過剰リン酸化された部位で選択的にリン酸化する。過剰リン酸化されたタンパク質τは、微小管に対して低い親和性を有し、対になったらせん状のフィラメントとして蓄積し、これらがAD脳において神経原線維変化および神経網糸を構成する主成分である。これにより、軸索の逆行性死滅および神経炎性ジストロフィーを引き起こす微小管の解重合が起こる。神経原線維変化は、AD、筋萎縮性側索硬化症、グアム島パーキンソン症候群−認知症、大脳皮質基底核変性症、ボクサー認知症および頭部外傷、ダウン症候群、脳炎後パーキンソン症候群、進行性核上麻痺、ニーマン−ピック病、および、ピック病のような疾患に一貫して見出される。アミロイド−βを海馬の初代培養に添加すると、GSK3β活性の誘導を介して、τおよび対になったらせん状のフィラメント様の状態が過剰リン酸化され、それに続いて軸索輸送の破壊およびニューロンの死が起こる(ImahoriおよびUchida.,J.Biochem 121:179〜188,1997)。GSK3βは神経原線維変化を選択的に標識し、AD脳内の縺れる前のニューロンにおいて活性であることが示されている。またGSK3タンパク質レベルも、AD患者からの脳組織において50%増加する。さらにGSK3βは、解糖経路における主要な酵素であるピルビン酸デヒドロゲナーゼをリン酸化し、ピルビン酸のアセチル−Co−Aへの変換を防ぐ(Hoshi等,PNAS 93:2719〜2723,1996)。アセチル−Co−Aは、認知機能を有する神経伝達物質であるアセチルコリン合成にとって重要である。従って、GSK3βの阻害は、アルツハイマー病およびその他の上述した疾患の進行、ならびにそれらに関連する認知障害に有益な作用を有する可能性がある。
【0004】
慢性および急性神経変性疾患
増殖因子が介在するPI3K/Akt経路の活性化は、ニューロンの生存において主要な役割を果たすことが示されている。この経路を活性化することによって、GSK3βの阻害が起こる。近年の研究(Bhat等,PNAS 97:11074〜11079(2000))によれば、GSK3β活性は、脳虚血のような神経変性の、または成長因子の欠如後の細胞および動物モデルにおいて増加することが示される。例えば、活性部位のリン酸化は、アポトーシス(これは、一般的に、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、および、HIV認知症、虚血性発作、および、頭部外傷のような慢性および急性神経変性疾患で生じると考えられている一種の細胞死である)を受けやすいニューロンで増加した。リチウムは、GSK3βの阻害を引き起こす用量で用いると、細胞および脳内のアポトーシスの阻害において神経保護作用があった。従って、GSK3β阻害剤は、神経変性疾患の経過を弱めるのに有用な可能性がある。
【0005】
双極性障害(BD)
双極性障害は、躁病エピソードおよびうつ病エピソードを特徴とする。リチウムが、その気分安定化効果に基づきBDを治療するために用いられてきた。リチウムの不利点は、狭い治療域、および、リチウム中毒を引き起こす可能性がある過剰投与の危険である。近年の、リチウムは治療効果のある濃度でGSK3を阻害するという発見は、この酵素が、脳におけるリチウムの作用の主要な標的の一つを示す可能性を高めている(Stambolic等,Curr.Biol.6:1664〜1668,1996;KleinおよびMelton;PNAS 93:8455〜8459,1996)。それゆえに、GSK3βの阻害は、BD患者および情動障害を示すAD患者の治療において治療関連性の阻害である可能性がある。
【0006】
統合失調症
GSK3は、複数の細胞プロセスのシグナル伝達カスケード、特に神経の発達中のシグナル伝達カスケードに関与する。Kozlovsky等(Am J Psychiatry 2000年5月;157(5):831〜3)は、統合失調症の患者のGSK3βレベルは、比較の被験者よりも41%低いことを見出した。この研究は、統合失調症が神経発達の病理を伴い、さらに、異常なGSK3調節が統合失調症に関与している可能性があることを示す。さらに、統合失調症を示す患者においてβ−カテニンレベルの低下が報告されている(Cotter等,Neuroreport 9:1379〜1383(1998))。
【0007】
糖尿病
インスリンは、骨格筋において、グリコーゲンシンターゼの脱リン酸化、従って活性化によってグリコーゲン合成を刺激する。休息状態下で、GSK3は脱リン酸化を介して、グリコーゲンシンターゼをリン酸化し不活化する。またGSK3は、II型糖尿病患者由来の筋肉でも過剰発現される(Nikoulina等,Diabetes 2000年2月;49(2):263〜71)。GSK3を阻害すると、グリコーゲンシンターゼの活性が上昇し、それによってグルコースがグリコーゲンに変換され、グルコースレベルが減少する。それゆえに、GSK3阻害は、I型およびII型糖尿病および糖尿病性神経障害の治療において治療関連性の阻害である可能性がある。
【0008】
脱毛
GSK3は、β−カテニンをリン酸化して分解する。β−カテニンは、ケラトニン合成に関する経路のエフェクターである。β−カテニンを安定化することによって、毛髪成長の増進がもたらされる可能性がある。GSK3によってリン酸化された部位の突然変異によって安定化β−カテニンを発現するマウスは、新規の毛髪の形態形成に類似したプロセスを経る(Gat等,Cell 1998年11月25日;95(5):605〜14))。新規な毛嚢によって、通常は胚形成でしか形成されない皮脂腺と毛乳頭が形成された。従ってGSK3の阻害は、脱毛症の治療を提供する可能性がある。
【0009】
経口避妊薬
Vijajaraghavan等(Biol Reprod 2000年6月;62(6):1647〜54)は、GSK3は、非運動精子に比べて運動精子において高度に存在することを報告している。免疫細胞化学から、GSK3は、鞭毛と精子頭部の前方部分に存在することが明らかになった。これらのデータによれば、GSK3は、精巣上体における運動開始、および、成熟した精子の機能の調節の基礎をなす主要な構成要素であり得ることを示唆している。GSK3の阻害剤は、男性の避妊薬として有用な可能性がある。
【0010】
骨に関連する障害
GSK3阻害剤は、骨関連障害の治療に有用な可能性があることが示されている。これは、例えばTobias等,Expert Opinion on Therapeutic Targets,2002年2月,41〜56頁で考察されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、GSK3における作用の選択的な阻害を示し、加えて優れた生物学的利用率を有する化合物の使用を提供することである。
【0012】
本発明は、アルツハイマー病を予防および/または治療するための医薬の製造に使用するための式I:
【化1】

で示される化合物または、その製薬上許容できる塩の使用であって、式中、
1は、水素、ハロ、CN、NO2、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、ORa、SO2NRbc、C(O)NRbc、CH2NRbc、CH2ORh、SO2i、およびC(O)Rjから選択され;
2およびR4は、独立して、水素、ハロ、CN、NO2、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、ORa、SO2NRbc、C(O)NRbc、CH2NRbc、CH2ORh、SO2i、およびC(O)Rjから選択され;
3およびR5は、独立して、水素、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、およびORaから選択され;
6は、C2〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、およびC2〜C4ハロアルキルから選択され;
7は、C1〜C3アルキル、CN、およびC1〜C3ハロアルキルから選択され、該C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルは、場合により1個またはそれ以上のORaで置換され;
8およびR9は、独立して、水素、CNおよびハロから選択され;
aは、水素、C1〜C3アルキル、またはC1〜C3ハロアルキルであり、該C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルは、場合により1個またはそれ以上のC1〜C3アルコキシで置換され;
bおよびRcは、独立して、水素、C1〜C6アルキル、またはC1〜C6ハロアルキルから選択され、該C1〜C6アルキルまたはC1〜C6ハロアルキルは、場合により1個またはそれ以上のORaまたはNRdeで置換され;または
bおよびRcは、それらが結合している原子と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む4、5または6員の複素環を形成してもよく、ここにおいて該複素環は、場合により1個またはそれ以上のハロ、C1〜C3アルキル、またはC1〜C3ハロアルキルで置換され、該C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルは、場合によりさらに1個またはそれ以上のC1〜C3アルコキシで置換され;
dおよびReは、独立して、水素、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6ハロアルキルから選択され、該C1〜C6アルキルまたはC1〜C6ハロアルキルは、場合により1個またはそれ以上のORaで置換され;または
dおよびReは、それらが結合している原子と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む4、5または6員の複素環を形成してもよく、ここにおいて該複素環は、場合により1個またはそれ以上のハロ、C1〜C3アルキル、またはC1〜C3ハロアルキルで置換され、該C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルは、場合によりさらに1個またはそれ以上のC1〜C3アルコキシで置換され;
hは、水素、C1〜C3アルキル、またはC1〜C3ハロアルキルであり、該C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルは、場合により1個またはそれ以上のC1〜C3アルコキシで置換され;
iは、C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルであり、該C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルは、場合により1個またはそれ以上のORaで置換され;および
jは、アリールまたはヘテロアリール環であり、ここにおいて該アリールまたはヘテロアリール環は、場合により1個またはそれ以上のC1〜C3アルキル、ORa、ハロまたはCNで置換される。
【0013】
本発明の一実施態様は、式Iで示される化合物またはその製薬上許容できる塩の使用に関し、式中、
1は、水素、SO2NRbc、C(O)NRbc、CH2NRbc、およびC(O)Rjから選択され;
2およびR4は、独立して、水素、ハロ、CN、C1〜C3アルキル、ORa、およびSO2iから選択され;
3およびR5は、独立して、水素、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルから選択され;
6は、C2〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、およびC2〜C4ハロアルキルから選択され;
7は、C1〜C3アルキルであり;
8およびR9は、独立して、水素、およびハロから選択され;および
aは、C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルであり、該C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルは、場合により1個またはそれ以上のC1〜C3アルコキシで置換され;
bおよびRcは、独立して、水素、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6ハロアルキルから選択され、該C1〜C6アルキルまたはC1〜C6ハロアルキルは、場合により1個またはそれ以上のORaで置換され;または
bおよびRcは、それらが結合している原子と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む4、5または6員の複素環を形成してもよく、ここにおいて該複素環は、場合により1個またはそれ以上のハロ、C1〜C3アルキル、またはC1〜C3ハロアルキルで置換され、該C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルは、場合によりさらに1個またはそれ以上のC1〜C3アルコキシで置換され;
iは、C1〜C3アルキルであり;および
jは、アリールまたはヘテロアリールである。
【0014】
本発明のその他の実施態様は、式Iで示される化合物またはその製薬上許容できる塩の使用に関し、式中、
1は、SO2NRbc、C(O)NRbc、およびC(O)Rjから選択され;
2およびR4は、独立して、水素、ハロ、CN、C1〜C3アルキル、ORa、およびSO2iから選択され;
3およびR5は、独立して、水素、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルから選択され;
6は、C2〜C4アルキルであり;
7は、C1〜C3アルキルであり;
8およびR9は、独立して、水素、およびハロから選択され;
aは、C1〜C3アルキルまたはC13ハロアルキルであり;
bおよびRcは、それらが結合している原子と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む4、5、または6員の複素環を形成してもよく、ここにおいて該複素環は、場合により1個またはそれ以上のC13アルキルで置換され;
iは、C1〜C3アルキルであり;および
jは、アリールまたはヘテロアリールである。
【0015】
さらに本発明のその他の実施態様は、式Iで示される化合物の使用に関し、ここにおいてR9はハロであり、R8は水素である。
【0016】
本発明のさらなる実施態様は、請求項4に記載の使用に関し、ここにおいてR9はフルオロである。
【0017】
本発明のその他の実施態様は、式Iで示される化合物の使用に関し、ここにおいてR6は、C2〜C4アルキルである。本発明の一実施態様によれば、R6は、イソプロピルである。
【0018】
本発明の一実施態様は、式Iで示される化合物の使用に関し、ここにおいてR7は、フルオロメチルまたはメチルである。
【0019】
その他の本発明の実施態様は、式Iで示される化合物の使用を提供し、ここにおいてR2およびR4は水素である。
【0020】
さらに本発明のその他の実施態様は、式Iで示される化合物の使用に関し、ここにおいてR5およびR3は水素である。
【0021】
本発明の一実施態様は、式Iで示される化合物の使用を提供し、ここにおいてR1は、C(O)NRbc、SO2bc、SO2i、または、C(O)Rjから選択される。本発明の一実施態様によれば、Rjは、フェニルまたはピペリジンである。その他の本発明の実施態様によれば、RbおよびRcは、それらが結合している原子と一緒になって、Nから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む6員の複素環を形成する、ここにおいて該複素環は、場合により1個またはそれ以上のハロ、C1〜CC3アルキル、またはC1〜C3ハロアルキルで置換される。本発明のさらなる実施態様によれば、前記複素環は、1個またはそれ以上のC1〜C3アルキルで置換されている。本発明のさらにその他の実施態様によれば、前記C1〜C3アルキルは、メチルである。その他の本発明の実施態様によれば、Riは、C1〜C3アルキルである。さらにその他の本発明の実施態様によれば、Riはメチルである。
【0022】
式Iで示される化合物の使用、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の阻害に関連する状態を治療および/または予防するための医薬の製造において、前記化合物またはそれらの製薬上許容できる塩は、以下から選択される:
(4−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)(フェニル)メタノン塩酸塩;
(4−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)(ピリジン−2−イル)メタノン塩酸塩;
(4−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)(ピリジン−3−イル)メタノン塩酸塩;
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−{3−メチル−4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]フェニル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−{2−メチル−4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]フェニル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−[4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]−2−(トリフルオロメチル)フェニル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−[4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]−3−(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−[4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−3−(メチルスルホニル)フェニル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}−2−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]ベンゾニトリル塩酸塩;
N−{3−クロロ−4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}−5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−{3−メトキシ−4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
(4−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)(ピリジン−4−イル)メタノン塩酸塩;
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]フェニル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−フルオロ−4−[1−イソプロピル−2−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−5−イル]−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−フルオロ−4−[1−イソプロピル−2−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−5−イル]−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
{4−[5−フルオロ−4−(3−イソプロピル−2−トリフルオロメチル−3H−イミダゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イルアミノ]−フェニル}−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン塩酸塩;および、
3−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}−N−(3−メトキシプロピル)ベンズアミド塩酸塩。
【0023】
本発明の一側面によれば、GSK3に関連する状態を治療および/または予防するための医薬の製造における、遊離塩基またはその製薬上許容できる塩としての式Iで示される化合物の使用が提供される。
【0024】
本発明のその他の側面によれば、GSK3に関連する状態の治療および/または予防方法が提供され、本方法は、このような治療および/または予防が必要なヒトを含む哺乳動物に、治療上有効な量の遊離塩基またはその製薬上許容できる塩として式Iで示される化合物を投与することを含む。
【0025】
本発明のさらにその他の側面によれば、GSK3に関連する状態の治療および/または予防に使用するための医薬製剤が提供され、本医薬製剤は、治療上有効な量の遊離塩基またはその製薬上許容できる塩としての式(I)で示される化合物、および、従来の添加剤を含む。
【0026】
ここで驚くべきことに、以下で説明するようなピリミジン誘導体群は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の阻害によく適していることが見出された。前記グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3阻害剤の使用は、特に、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、パーキンソン型の前頭側頭認知症、グアム島のパーキンソン認知症複合、HIV認知症、神経原線維変化の病変に関連する疾患、筋萎縮性側索硬化症、大脳皮質基底核変性症、ボクサー認知症、ダウン症候群、ハンチントン病、脳炎後パーキンソン症候群、進行性核上麻痺、ピック病、ニーマン−ピック病、卒中、頭部外傷およびその他の慢性神経変性疾患、双極性障害、情動障害、うつ病、統合失調症、認識障害、I型およびII型糖尿病、および糖尿病性神経障害、脱毛、避妊投薬、および骨の障害に関連する状態の治療および/または予防に適している。
【0027】
本発明を説明するために、本明細書および請求項で用いられる様々な用語の定義を以下に列挙する。
【0028】
本明細書における用語「アルキル」は、直鎖アルキル基および分岐鎖アルキル基の両方を含み、加えて環状アルキル基も含む。用語C1〜C3アルキルは、1〜3個の炭素原子を有し、例えば、これらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、または、シクロプロピルが挙げられる。用語C2〜C4アルキルは、2〜4個の炭素原子を有し、例えば、これらに限定されないが、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、および、シクロブチルが挙げられる。用語C1〜C6アルキルは、1〜6個の炭素原子を有し、例えば、これらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、t−ペンチル、neo−ペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、またはシクロヘキシルが挙げられる。
【0029】
用語「アルケニル」は、直鎖または分岐鎖のアルケニル基を意味する。用語C2〜C4アルケニルは、2〜4個の炭素原子と1個の二重結合を有し、例えば、これらに限定されないが、ビニル、アリル、プロペニル、i−プロペニル、ブテニル、i−ブテニル、および、クロチルが挙げられる。
【0030】
用語「アルキニル」は、直鎖または分岐鎖のアルキニル基を意味する。用語C2〜C4アルキニルは、2〜4個の炭素原子と1個の三重結合を有し、例えば、これらに限定されないが、エチニル、プロパルギル、ブチニル、および、i−ブチニルが挙げられる。
【0031】
用語「C1〜C3アルコキシ」は、直鎖および分岐鎖の両方を含む。用語「C1〜C3アルコキシ」は、1〜3個の炭素原子を有し、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、または、i−プロポキシであり得る。
【0032】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、および、ヨウ素を意味する。
【0033】
用語「ハロアルキル」は、水素置換基のうち1個または数個がハロゲン置換基で置換された上記で定義されたアルキル基を意味し、ここにおいて用語ハロゲンは、上記で定義された通りである。
【0034】
用語「アリール」は、少なくとも1個の不飽和芳香環を含む、場合により置換された単環式または二環式炭化水素の環系を意味する。「アリール」は、C5〜C7シクロアルキル環と縮合して、二環式の炭化水素の環系を形成してもよい。用語「アリール」の例および適切な意味としては、これらに限定されないが、フェニル、ナフチル、インダニル、または、テトラリニル(tetralinyl)が挙げられる。
【0035】
本明細書で用いられる「ヘテロアリール」は、硫黄、酸素または窒素のような少なくとも1個のヘテロ原子の環員を有する芳香族複素環を意味する。ヘテロアリール基としては、単環式、および、多環式(例えば、2、3または4個の縮合した環を有する)系が挙げられる。ヘテロアリール基の例としては、これらに限定されないが、ピリジル(すなわちピリジニル)、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フリル(すなわちフラニル)、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピロリル(pyrryl)、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、プリニル、カルバゾリル、フルオレノニル(fluorenonyl)、ベンゾイミダゾリル、インドリニルなどが挙げられる。いくつかの実施態様において、ヘテロアリール基は、1〜約20個の炭素原子を有し、さらなる実施態様において、約3〜約20個の炭素原子を有する。いくつかの実施態様において、ヘテロアリール基は、3〜約14、4〜約14、3〜約7、または、5〜6個の環を形成する原子を含む。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールまたは複素環式芳香族基は、1〜約4、1〜約3、または、1〜2個のヘテロ原子を有する。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールまたは複素環式芳香族基は、1個のヘテロ原子を有する。
【0036】
用語「独立してN、O、または、Sから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む4、5、6または7員の複素環」は、飽和した、または部分的に飽和した一または二環式複素環を意味し、これらは場合によりカルボニル官能性を含んでいてもよく、例えば、これらに限定されないが、アゼチジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル(piperidonyl)、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、1−メチル−1,4−ジアゼパン、テトラヒドロピラニル、または、チオモルホリニルが挙げられる。複素環がSまたはNから選択されるヘテロ原子を含む場合において、これらの原子は、場合により酸化された形態であってもよい。
【0037】
用語「塩酸塩」は、一塩酸塩、二塩酸塩、三塩酸塩、および四塩酸塩を含む。
【0038】
本発明の化合物の適切な製薬上許容できる塩は、例えば酸付加塩であり、例えば無機酸または有機酸である。加えて、本発明の化合物の適切な製薬上許容できる塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、または、生理的に許容できるカチオンを与える有機塩基との塩である。
【0039】
式Iで示される化合物のいくつかは、立体中でおよび/または幾何異性中心(EおよびZ異性体)を有するものでもよく、当然のことながら本発明は、このようなあらゆる光学異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体を包含する。
【0040】
本発明は、上記で定義されたような式Iで示される化合物およびそれらの塩の使用に関する。医薬組成物で使用するための塩は製薬上許容できる塩となるが、その他の塩も式Iで示される化合物の製造において有用な場合がある。
【0041】
当然のことながら、本発明は、式Iで示される化合物のありとあらゆる互変異性型に関する。
【0042】
本発明の目的は、治療用途のための式Iで示される化合物を提供することであり、特に、ヒトを含む哺乳動物におけるグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)に関連する状態の予防および/または治療に有用な化合物を提供することである。特に、GSK−3への選択的な親和性を示す式Iで示される化合物である。
【0043】
製造方法
本発明のその他の側面において、式Iで示される化合物、または、製薬上許容できる塩、または、それらの生体内で加水分解可能なエステルの製造方法が提供され、本方法(式中R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、Rb、Rc、RdおよびReは、特に他の規定がない限り、式Iで定義された通りである)は、以下を含む:
【0044】
方法a)式(II)で示されるアミノピリミジンと式(III)で示される化合物(式中 Yは、置換可能な基である)とを反応させること:
【化2】

その後、必要に応じて以下を行う:
i)式Iで示される化合物を式Iで示されるその他の化合物に変換すること;
ii)いずれかの保護基を除去すること;
iii)製薬上許容できる塩、または、生体内で加水分解可能なエステルを形成すること。
【0045】
Yは置換可能な基であり、Yの適切な例は、例えば、ハロゲノまたはスルホニルオキシ基であり、例えばクロロ、ブロモ、ヨード、または、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基である。本発明の一実施態様によれば、Yは、ブロモまたはヨードである。
【0046】
方法a)で説明した反応に関する特定の反応条件は以下の通りである。
【0047】
式(II)で示されるアミノピリミジンと、式(III)で示される化合物とを、標準的なブッフバルト−ハルトウィヒ条件下で(例えば、J.Am.Chem.Soc.1996,118,7215;J.Am.Chem.Soc.1997,119,8451;J.Am.Chem.Soc.2003,125,6653;J.Org..Chem.1997,62,1568、および、6066を参照)、例えば酢酸パラジウムの存在下で、例えば芳香族系溶媒(例えばトルエン、ベンゼンまたはキシレン)のような適切な溶媒中で、適切な塩基、例えば無機塩基(例えば炭酸セシウム)、または、有機塩基(例えばカリウム−t−ブトキシド)と共に、適切なリガンド、例えば2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、または、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソ−プロピル−1,1’−ビフェニルの存在下で、+25〜+80℃の温度範囲で共に反応させることができる。
【0048】
スキーム1に、式(II)で示されるアミノピリミジンの合成を説明する(式中Rxは、同一でもよいし、または異なっていてもよく、C1〜C6アルキルから選択される):
【化3】

式(III)で示される化合物は、市販の化合物であるか、または、文献で知られているか、または、当業界既知の標準的な方法によって製造することができる。
【0049】
6が一般構造Ra−CH−Rb(式中RaおよびRbはいずれもアルキル、例えばメチルである)を有し、R9はフルオロである式(IV)で示される化合物は、スキーム2に従って製造することができる;
【化4】

式(Va)、(Vb)および(Vc)で示される化合物は、市販の化合物であるか、または、文献で知られているか、または、当業界既知の標準的な方法によって製造される。
【0050】
本発明の一側面において、方法a)として説明されている、式Iで示される化合物の製造方法が提供される。
【0051】
当然のことながら、本発明の化合物における様々な環の置換基のうちいくつかは、上述のプロセスの前に、またはその直後のいずれかにおいて、標準的な芳香族置換反応によって導入してもよいし、または従来の官能基の修飾によって生成してもよく、そのようなものとして本発明の方法の側面に含まれる。このような反応および修飾としては、例えば、芳香族置換反応による置換基の導入、置換基の還元、置換基のアルキル化、および、置換基の酸化が挙げられる。このような手法のための試薬および反応条件は化学技術においてよく知られている。芳香族置換反応の特定の例としては、濃硝酸を用いたニトロ基の導入、フリーデル・クラフツ条件下で例えばハロゲン化アシル、および、ルイス酸(例えば、三塩化アルミニウム)を用いたアシル基の導入;フリーデル・クラフツ条件下でハロゲン化アルキル、および、ルイス酸(例えば、三塩化アルミニウム)を用いたアルキル基の導入;および、ハロゲノ基の導入が挙げられる。修飾の特定の例としては、例えばニッケル触媒との接触水素化によるニトロ基のアミノ基への還元、または、塩酸の存在下での加熱を用いた鉄での処理;アルキルチオのアルキルスルフィニルまたはアルキルスルホニルへの酸化が挙げられる。
【0052】
また当然ながら、本明細書で述べられた反応のいくつかにおいて、化合物中のいずれの反応性を有する基を保護することが必要であるか望ましい場合がある。保護が必要であるか、または望ましい場合の例、および、適切な保護方法は、当業者既知である。標準的な技法に従って従来の保護基が使用できる(説明として、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons),1999を参照)。従って、反応物にアミノ、カルボキシまたはヒドロキシのような基が含まれる場合、本明細書で述べられた反応のいくつかにおいてこれらの基を保護することが望ましい場合がある。
【0053】
アミノまたはアルキルアミノ基に適した保護基の例は、アシル基、例えばアルカノイル基、例えばアセチル、アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルもしくはt−ブトキシカルボニル基、アリールメトキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル、またはアロイル基、例えばベンゾイルである。上記の保護基に関する脱保護条件は保護基の選択に応じて必然的に変わる。従って、例えば、アルカノイルまたはアルコキシカルボニル基のようなアシル基、またはアロイル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウムまたはナトリウムのような適切な塩基との加水分解によって除去することができる。あるいはt−ブトキシカルボニル基のようなアシル基は、例えば、塩酸、硫酸もしくはリン酸、または、トリフルオロ酢酸のような適切な酸で処理することによって除去してもよいし、ベンジルオキシカルボニル基のようなアリールメトキシカルボニル基は、例えば、炭素担持パラジウムのような触媒上での水素化によって、または、ルイス酸、例えばトリス(トリフルオロ酢酸)ホウ素で処理することによって除去してもよい。一級アミノ基に適した代替の保護基は、例えばフタロイル基であり、これは、アルキルアミン、例えばジメチルアミノプロピルアミンで、またはヒドラジンで処理することによって除去することができる。
【0054】
ヒドロキシ基に適した保護基は、例えば、アシル基、例えばアルカノイル基、例えばアセチル、アロイル基、例えばベンゾイル、または、アリールメチル基、例えばベンジルである。上記の保護基に関する脱保護条件は、保護基の選択に応じて必然的に変わることになる。従って、例えば、アルカノイルのようなアシル基、または、アロイル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウムまたはナトリウムのような適切な塩基との加水分解によって除去することができる。あるいはベンジル基のようなアリールメチル基は、例えば、炭素担持パラジウムのような触媒上での水素化によって除去できる。
【0055】
カルボキシ基に適した保護基は、例えば、エステル形成基、例えばメチルまたはエチル基であり、これは、例えば、水酸化ナトリウムのような塩基との加水分解によって除去することができ、または、例えばt−ブチル基は、例えば、酸、例えばトリフルオロ酢酸のような有機酸での処理によって除去することができ、または、例えばベンジル基は、例えば、炭素担持パラジウムのような触媒上での水素化によって除去することができる。
【0056】
保護基は、化学技術においてよく知られた従来技術を用いて合成中のいずれの都合のよい段階で除去することができる。
【0057】
本発明はまた、本発明の最終生成物のための中間体に関する。これらの中間体は、上記で定義された式Iで示される化合物の製造において有用である。このような中間体は、これらに限定されないが、以下に示す通りである:
1−[4−ブロモ−2−(メチルスルホニル)ベンゾイル]−4−メチルピペラジン;
1−(4−クロロ−2−ヨードベンゾイル)−4−メチルピペラジン;
5−クロロ−2−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]ベンゾニトリル;
1−(4−クロロ−2−メトキシベンゾイル)−4−メチルピペラジン;
2,2,2−トリフルオロ−N−イソプロピル−N−(5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−アセトアミド;
5−アセチル−2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール;
(2E)−3−ジメチルアミノ−1−(2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オン;
(2Z)−3−ジメチルアミノ−2−フルオロ−1−(2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オン;および、
5−フルオロ−4−[2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン;
3−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}安息香酸メチル。
【0058】
一般法
用いられるあらゆる溶媒は分析グレードであり、市販の無水の溶媒を反応に型どおりに用いた。反応は、典型的には窒素またはアルゴンの不活性雰囲気下で行った。
【0059】
1H、19Fおよび13CNMRスペクトルを、5mmのZ−グラディエントを有するBBOプローブヘッドを備えたバリアン(Varian)のユニティ(Unity)+400NMRスペクトロメーター、または、5mmのBBIプローブヘッドを備えたバリアン(Varian)ジェミニ(Gemini)300NMRスペクトロメーター、または、Z−グラディエントを有する60μlのデュアルインバースフロープローブヘッドを備えたブルカー(Bruker)のアドバンス(Avance)400NMRスペクトロメーター、または、Z−グラディエントを有する4つの核からなるプローブヘッドを備えたブルカーDPX400NMRスペクトロメーター、または、Z−グラディエントを有する5mmのBBIプローブヘッドを備えたブルカーのアドバンス600NMRスペクトロメーターで記録した。実施例において特に規定がない限り、スペクトルは、プロトンに関して400MHzで、フッ素19に関して376MHzで、炭素13に関して100MHzで記録した。以下の基準シグナルが用いられた:DMSO−d6δ2.50(H)の中心線、δ39.51(13C);CDODδ3.31(H)の中心線、または、δ49.15(13C);CDCl3δ7.26(H)、および、CDCl3δ77.16(13C)の中心線(特に他の指定がない限り)。
【0060】
マススペクトルを、アライアンス(Alliance)2795(LC)、および、ZQの単一の四重極型質量分析計からなるウォーターズ(Waters)のLCMS、ウォーターズPDA2996で記録した。マススペクトロメーターに、陽イオンまたは陰イオンモードで稼働させるエレクトロスプレーイオン源(ESI)を取り付けた。キャピラリー電圧は3kVであり、コーン電圧は30Vであった。マススペクトロメーターをm/z100〜700で0.3秒のスキャン時間でスキャンした。分離は、ウォーターズのX−テラ(X−Terra)MS C8(3.5μm、50または100mm×直径2.1mm)、または、スキャンテックラボ(ScantecLab)から入手したACE3AQ(100mm×直径2.1mm)のいずれかで行った。流速をそれぞれ1.0または0.3mL/分に調節した。カラム温度を40℃に設定した。中性または酸性の移動相システムを用いて、100%のAから始まり(A:95:5の0.1MのNH4OAc:MeCN、または、95:5の8mMのHCOOH:MeCN)、100%のB(MeCN)に終わる直線状の濃度勾配を適用した。
【0061】
あるいは、マススペクトルを、アライアンスの2690分離モジュールからなるウォーターズのLCMS、ウォーターズの2487デュアル1吸光度検出器(220および254nm)、および、ウォーターズのZQの単一の四重極型質量分析計で記録した。マススペクトロメーターに、陽イオンまたは陰イオンモードで稼働させるエレクトロスペクトロメーターに、陽イオンまたは陰イオンモードで稼働させるエレクトロン電圧は30Vであった。マススペクトロメーターをm/z97〜800で0.3または0.8秒のスキャン時間でスキャンした。分離を、クロモリス(Chromolith)のパフォーマンス(Performance)RP−18e(100×4.6mm)で行った。95%のA(A:0.1%HCOOH(水溶液))から始まり、100%のB(MeCN)に終わる5分間の直線状の濃度勾配を流速2.0mL/分で適用した。
【0062】
マイクロ波での加熱を、2450MHzでの連続照射を生じるクリエーター(Creator)またはスミス(Smith)シンセサイザーのシングルモードのマイクロ波キャビティー中で行った。
【0063】
HPLC分析は、G1379Aマイクロ・バキューム・デガッサー(Micro Vacuum Degasser)、G1312Aバイナリーポンプ、G1367Aウェルプレートオートサンプラー、G1316A温度調節タイプのカラムコンパートメント、および、G1315Bダイオードアレイ検出器からなるアジレント(Agilent)HP1000システムで行った。カラム:X−テラMS、ウォーターズ、3.0×100mm、3.5μm。カラム温度を40℃に設定し、流速を1.0ml/分に設定した。ダイオードアレイ検出器を210〜300nmでスキャンし、処理およびピーク幅をそれぞれ2nmおよび0.05分間に設定した。100%のAから始まり(95:5の10mMのNH4OAc:MeCN)、100%のB(B:アセトニトリル)に終わる4分間の直線状の濃度勾配を適用した。
【0064】
あるいは、HPLC解析は、クロモリス(Chromolith)のパフォーマンスRPカラム(C18、100mm×4.6mm)を備えたギンコテックUVD170SUV−vis.−デテクターを有するグラジエントポンプからなるギンコテック(Gynkotek)P580HPGで行われた。カラム温度を+25℃に設定した。ミリQ(MilliQ)水中のMeCN/0.1のトリフルオロ酢酸を用いて直線状の濃度勾配を適用し、10%〜100%MeCNで5分間、流速3ml/分で泳動した。
【0065】
反応の後に、酢酸エチルのような溶媒での生成物の抽出、水での洗浄、それに続いてMgSO4またはNa2SO4での有機相の乾燥、ろ過、およびこの溶液の真空中での濃縮からなる典型的なワークアップ手順を行った。
【0066】
薄層クロマトグラフィー(TLC)は、メルク(Merck)TLC−プレート(シリカゲル60F254)で行い、UVによってスポットを可視化した。フラッシュクロマトグラフィーを、コンビフラッシュ(Combi Flash(R))コンパニオン(CompanionTM)でレディステップ(RediSepTM)順相フラッシュカラムを用いて予備的に形成した。フラッシュクロマトグラフィーに用いられる典型的な溶媒は、クロロホルム/メタノール、ジクロロメタン/メタノール、ヘプタン/酢酸エチル、クロロホルム/メタノール/アンモニア(水溶液)、および、ジクロロメタン/メタノール/NH(水溶液)の混合物であった。SCXイオン交換カラムは、アイソリュート(Isolute(R))カラムで行われた。イオン交換カラムを介するクロマトグラフィーは、典型的には、メタノールのような溶媒中で行われた。
【0067】
分取用クロマトグラフィーは、ダイオードアレイ検出器を備えたウォーターズの自動精製HPLCで行った。カラム:XテラMSC8、19×300mm、10μm。MeCN/(95:5 0.1MのNH4OAc:MeCN)の狭い濃度勾配を、20ml/分の流速で用いた。あるいは、精製は、ウォーターズのシンメトリー(Symmetry(R))カラム(C18、5mm、100mm×19mm)を装備した島津SPD−10A UV−vis.−デテクターを有するセミプレパラティブ島津(Shimadzu)LC−8A HPLCで達成した。MeCN/ミリQ水中の0.1%トリフルオロ酢酸の狭い濃度勾配を、10ml/分の流速で用いた。
【0068】
最終生成物の塩酸塩の形成は、典型的には、、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン/トルエン、ジクロロメタン/メタノールなどの溶媒または溶媒の混合物に溶解し、続いて、ジエチルエーテル中の1MのHClを添加することによって行った。
【0069】
以下の略語を使用した:
aq. 水性;
BINAP 2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル
CHCl.クロロホルム
CDCl 重水素化クロロホルム
CDOD 重水素化メタノール
CHCl ジクロロメタン
CsCO 炭酸セシウム
DMF N,N−ジメチルホルムアミド;
DMFDMA ジメチルホルムアミドジメチルアセタール;
DMSO ジメチルスルホキシド;
dppf 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン;
EDC 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;
EDTA エチレンジアミン四酢酸;
エーテル ジエチルエーテル;
EtOAc 酢酸エチル;
EtOH エタノール;
水素ガス;
HCOOH 酢酸;
HCl 塩酸塩;
HOAc 酢酸;
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;
(i−Pr)NEt N,N−ジイソプロピルエチルアミン;
MeCN アセトニトリル;
MeOH メタノール;
MeSnCl 塩化トリメチルスズ;
MgSO 硫酸マグネシウム;
NaCl 塩化ナトリウム;
NaBHCN シアノホウ水素化ナトリウム;
NaHCO 炭酸水素ナトリウム;
NaOMe ナトリウムメトキシド;
NaSO 硫酸ナトリウム;
n−BuOH n−ブタノール;
NH アンモニア;
NHOAc 酢酸アンモニウム;
NHOH 水酸化アンモニウム;
Pd/C 炭素担持パラジウム;
Pd(PPhCl 二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム;
Pd(t−BuP) ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム;
Pd(dba) トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム;
Pd(OAc) 二酢酸パラジウム;
r.t.またはRT 室温;
セレクトフルオロ(Selectfluor) N−フルオロ−N’−シクロメチル−トリエチレンジアミン−ビス(テトラフルオロホウ酸);
t−BuLi tert−ブチルリチウム
TEA トリエチルアミン;
THF テトラヒドロフラン;
X−Phos 2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソ−プロピル−1,1’−ビフェニル。
【0070】
用いられる出発物質は、商業的な供給源より入手可能なものか、または、文献の手法に従って製造されるかのいずれかであり、これらは報告されている実験データを有するものであった以下は、製造した出発物質の例である:(4−ブロモフェニル)(ピリジン−2−イル)メタノン:Bruce,R.B等,J.Med.Chem.1968,5,1031〜1034。
【0071】
化合物は、アドバンスト・ケミストリー・デベロップメント社(Advanced Chemistry Development,Inc.,ACD/Labs,オンタリオ州トロント,カナダ,www.acdlabs.com,2004)製のACD/NAMEのバージョン8.08、ソフトウェア、または、IUPAC名称を得るためのオープンアイ・レキシケム(Openeye lexichem)のバージョン1.4(著作権(C)1997〜2006,オープンアイ・サイエンティフィック・ソフトウェア(OpenEye Scientific Software),サンタフェ,ニューメキシコ州)のいずれかを用いて命名した。
【0072】
以下の一般法A〜Cにおいて、基R1、R2およびR3は、独立して、それぞれの構造内での置換の多様性を示すために用いられる。R1、R2およびR3の認識は、当業者であればそれぞれ特定の実施例に関する出発物質および中間体に基づき明らかであると予想される。例えば一般法Cに関する実施例15において、C1は、5−フルオロ−4−[2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミンであり、この場合、R1は−CF3であり、C2は、4−ブロモフェニルスルホニルメタンであり、この場合、R2は、ハロゲンに対してパラ位のスルホニルメタンである。
【0073】
一般法A
【化5】

(i−Pr)2NEt(2.1当量)、HOBt(1.05当量)、EDC塩酸塩(1.05当量)、および、アミンA2(1.05当量)を、無水DMF中の安息香酸A1(1.0当量)の撹拌溶液に室温で添加した。15時間後に、反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層を、水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、真空で蒸発させ、粗生成物を得て、これをそれ以上精製しないで次の工程に用いた。
【0074】
一般法B
【化6】

【0075】
B1(1.0当量)、B2(0.85〜1.24当量)、および、ナトリウムtert−ブトキシド(1.34〜1.46当量)を、1,4−ジオキサン中で混合し、この混合物をアルゴンで5〜10分間フラッシュし、その後Pd(OAc)2(0.04〜0.082当量)、および、Pd(t−Bu3P)2(0.044〜0.06当量)を添加した。混合物をアルゴンでフラッシュし、次に、反応が完了するまで(TLCまたはLC−MSでモニターして)封管中で+110℃〜+120℃で加熱した。24時間後に反応が完了していない場合、さらにPd(OAc)2、Pd(t−Bu3P)2、および、ナトリウムtert−ブトキシドを添加した。溶媒を真空で除去し、残留物をCH2Cl2と水との間で分配した。抽出後に、有機層を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、蒸発させた。遊離塩基の未精製品を分取用HPLCを用いて精製した。MeCNを真空で蒸発させ、水相をCH2Cl2で抽出した。有機相をpH9の水(希NaHCO3溶液)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、蒸発させた。残留物をCH2Cl2に溶解し、エーテル中の0.1MのHCl(2〜3当量のHCl)の添加によって、この溶液から生成物のHCl付加物を沈殿させた。溶媒を蒸発させ、残留物を、水に溶解し、凍結乾燥させた。
【0076】
一般法C
【化7】

C1(1.01〜1.27当量)、C2(1.0当量)、および、Cs2CO3(1.66〜2.02当量)を無水1,4−ジオキサン中で混合し、この混合物をアルゴンで5分間フラッシュし、その後Pd2(dba)3(0.05〜0.08当量)、および、X−Phos(0.10〜0.16当量)を添加した。この混合物をアルゴンでフラッシュし、次に、反応が完了するまで封管中で+90〜100℃で加熱した。溶媒を真空で除去し、残留物をCH2Cl2に溶解し、希NaHCO3(水)で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、蒸発させた。塩基性生成物の未精製品を分取用HPLCを用いて精製した。
【実施例】
【0077】
本発明の化合物の様々な非限定的な例を以下に示す。
実施例1
(4−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)(フェニル)メタノン塩酸塩
実施例1(a):(2Z)−3−(ジメチルアミノ)−2−フルオロ−1−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オン
【化8】

セレクトフルオル(Selectfluor)(1.32g,3.72mmol)を、MeOH(10mL)中の(2E)−3−(ジメチルアミノ)−1−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オン(WO03/076436に記載されている)(0.634g,2.86mmol)の冷却した(−70℃)溶液に窒素雰囲気下で添加した。この反応混合物を−70℃で25分間撹拌し、次に室温で3時間撹拌した。アンモニア(32%水,3mL)を添加し、2つの層を分離した。CH2Cl2で抽出した後、合わせた有機相を飽和したNaCl(水)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、真空で蒸発させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOHの濃度勾配;0〜10%MeOH)で精製し、表題の化合物を得た(0.311g,45%)。
1H NMR (CDCl3) δ ppm 7.34 (s, 1 H), 6.85 (d, J=27.6 Hz, 1 H), 5.05-4.94 (m, 1 H), 3.11 (s, 3 H), 3.11 (s, 3 H), 2.52 (s, 3 H), 1.53 (d, J=7.0 Hz, 6 H); MS (ESI) m/z 240 (M +1)。
【0078】
実施例1(b):5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン
【化9】

1−ブタノール中の(2Z)−3−(ジメチルアミノ)−2−フルオロ−1−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オン(0.170g,0.71mmol,実施例1(a)から得られた)、塩酸グアニジン(0.170g,1.78mmol)、および、ナトリウムメトキシド(0.154g,2.84mmol)の反応混合物を、アルゴンまたは窒素雰囲気下で、マイクロ波反応器中で+140℃で10分間加熱した。この混合物をろ過し、ろ過した混合物をCH2Cl2でリンスした。溶媒を真空で蒸発させ、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/MeOH−濃度勾配;0〜10%MeOH)を用いて精製し、表題の化合物を得た(0.119g,71%)。
1H NMR (CDCl3) δ ppm 8.16 (d, J=3.3 Hz, 1 H), 7.55 (d, J=3.8 Hz, 1 H), 5.49-5.34 (m, 1 H), 4.86 (br s, 2 H), 2.60 (s, 3 H), 1.57 (d, J=7.1 Hz, 6 H); MS (ESI) m/z 236 (M+1)。
【0079】
実施例1(c):(4−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)(フェニル)メタノン塩酸塩
【化10】

表題の化合物を、一般法Bに従って、5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(50mg,0.21mmol,実施例1(b)から得られた)、4−ブロモベンゾフェノン(53.4mg,0.20mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(27.4mg,0.28mmol)、Pd(OAc)2(3.3mg,0.015mmol)、および、Pd(t−Bu3P)2(5.1mg,0.010mmol)を用いて製造し、表題の化合物を得た(28mg,32%)。
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 10.35 (s, 1 H), 8.87 (d, J=2.0 Hz, 1 H), 8.05 (s, 1 H), 7.88 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.75 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 7.72-7.62 (m, 3 H), 7.55 (t, J=7.5 Hz, 2 H), 5.36-5.20 (m, 1 H), 2.77 (s, 3 H), 1.51 (d, J=6.8 Hz, 6 H): MS (ESI) m/z 416 (M +1)。
【0080】
実施例2
(4−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)(ピリジン−2−イル)メタノン塩酸塩
【化11】

表題の化合物を、一般法Bに従って製造した[ただし、70時間の反応時間を用いた]。5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(実施例1(b)から得られた)(47.7mg,0.203mmol)、(4−ブロモフェニル)(ピリジン−2−イル)メタノン(Bruce,R.B.,等,J.Med.Chem.,1968,5,1031〜1034)(53.8mg,0.205mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(27.8mg,0.289mmol)、Pd(OAc)2(2.5mg,0.011mmol)、および、Pd(t−Bu3P)2(6.5mg,0.013mmol)から出発して、表題の化合物(17mg,17%)を固体として得た。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ ppm 10.41 (s, 1 H), 8.90 (d, J=1.4 Hz, 1 H), 8.71 (d, J=4.6 Hz, 1 H), 8.13 (d, J=1.4 Hz, 1 H), 8.08-8.03 (m, 1 H), 8.00 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.93 (d, J=7.7 Hz, 1 H), 7.86 (d, J=8.8 Hz, 1 H), 7.68-7.63 (m, 1 H), 5.31-5.21 (m, 1 H), 2.81 (s, 3 H), 1.52 (d, J=6.8 Hz, 6 H); MS (ESI) m/z 417 (M +1)。
【0081】
実施例3
(4−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)(ピリジン−3−イル)メタノン塩酸塩
【化12】

表題の化合物を、一般法Bに従って、5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(実施例1(b)から得られた)(59mg,0.25mmol)、(4−ブロモフェニル)(ピリジン−3−イル)メタノン(Backvall,J.−E.,等,J.Org.Chem.,1981,46,3479〜3483)(56mg,0.213mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(33.8mg,0.35mmol)、Pd(OAc)2(2.9mg,0.013mmol)、および、Pd(t−Bu3P)2(6.4mg,0.012mmol)を用いて製造し、表題の化合物を固体として得た(35mg,34%)。
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 10.45 (s, 1 H), 8.91 (d, J=2.0 Hz, 1 H), 8.89 (d, J=1.3 Hz, 1 H), 8.85 (d, J=1.3 Hz, 1 H), 8.21-8.15 (m, 1 H), 8.13 (d, J=1.8 Hz, 1 H), 7.91 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.79 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.67 (dd, J=7.7, 5.1 Hz, 1 H),
5.32-5.18 (m, 1 H), 2.81 (s, 3 H), 1.52 (d, J=7.0 Hz, 6 H); MS (ESI) m/z 417 (M
+1)。
【0082】
実施例4
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−{3−メチル−4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]フェニル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩
【化13】

表題の化合物を、一般法Bに従って、5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(実施例1(b)から得られた)(40mg,0.17mmol)、1−[(4−ブロモ−2−メチルフェニル)スルホニル]−4−メチルピペラジン(WO2003004472に記載されている)(56mg,0.168mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(22.7mg,0.236mmol)、Pd(OAc)2(3.0mg,0.013mmol)、および、Pd(t−Bu3P)2(5.0mg,0.010mmol)を用いて製造し、表題の化合物を固体として得た(36mg,38%)。
1H NMR (D2O) δ ppm 8.52 (d, J=2.0 Hz, 1 H), 7.82 (d, J=2.0 Hz, 1 H), 7.73 (d, J=8.8 Hz, 1 H), 7.55 (dd, J=8.8, 2.0 Hz, 1 H), 7.42 (d, J=1.3 Hz, 1 H), 5.43-5.29 (m, 1 H), 3.83 (d, J=12.9 Hz, 2 H), 3.59 (d, J=11.9 Hz, 2 H), 3.26-3.03 (m, 4 H), 2.92 (s, 3 H), 2.81 (s, 3 H), 2.47 (s, 3 H), 1.51 (d, J=7.1 Hz, 6 H); MS (ESI) m/z 488 (M +1)。
【0083】
実施例5
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−{2−メチル−4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]フェニル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩
【化14】

表題の化合物を、一般法Bに従って、5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(実施例1(b)から得られた)(59mg,0.25mmol)、1−[(4−ブロモ−3−メチルフェニル)スルホニル]−4−メチルピペラジン(WO2003004472に記載されている)(46.4mg,0.139mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(21.7mg,0.23mmol)、Pd(OAc)2(2.1mg,0.009mmol)、および、Pd(t−Bu3P)2(5.0mg,0.010mmol)を用いて製造し、表題の化合物を固体として得た(17mg,18%)。
1H NMR (CD3OD) δ ppm 8.60 (d, J=2.3 Hz, 1 H), 7.98-7.89 (m, 2 H), 7.73 (d, J=1.8 Hz, 1 H), 7.66 (dd, J=8.3, 2.3 Hz, 1 H), 5.49-5.35 (m, 1 H), 4.33-3.35 (m, 8 H), 2.90 (s, 3 H), 2.80 (s, 3 H), 2.41 (s, 3 H), 1.49 (d, J=7.1 Hz, 6 H); MS (ESI) m/z 488 (M +1)。
【0084】
実施例6
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−[4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]−2−(トリフルオロメチル)フェニル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩
実施例6(a):1−{[4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}−4−メチルピペラジン
【化15】

CH2Cl2(50mL)中のN−メチルピペラジン(1.0g,10.1mmol)、および、塩化物4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル(3.23g,10.0mmol)の溶液に、トリエチルアミン(1.39mL,10.0mmol)を滴下しながら添加した。得られた混合物を室温で30分間撹拌した。飽和したNaHCO3(水,30mL)を添加した。この溶液をCH2Cl2で抽出し、有機層を乾燥させ(MgSO4)、ろ過し、真空で蒸発させ、表題の化合物を固体として得た(3.62g,94%)。この粗生成物をそれ以上精製しないで次の工程に用いた。
1H NMR (CDCl3) δppm 8.01 (d, J=2.0 Hz, 1 H), 7.89 (d, J=8.3 Hz, 1 H), 7.74 (dd,
J=8.3, 2.0 Hz, 1 H), 3.12 (s, 4 H), 2.57 (s, 4 H), 2.33 (s, 3 H); MS (ESI) m/z 387, 389 (M +1)。
【0085】
実施例6(b):5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−[4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]−2−(トリフルオロメチル)フェニル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩
【化16】

表題の化合物を、一般法Bに従って製造した(ただし以下の変更を含む)。+120℃で95分間加熱した後、Pd(OAc)2(2mg)、Pd(t−Bu3P)2(4.5mg)、および、ナトリウムtert−ブトキシド(15mg)を添加した。5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(実施例1(b)から得られた)(47mg,0.20mmol)、1−{[4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}−4−メチルピペラジン(77mg,0.199mmol,実施例6(a)から得られた)、ナトリウムtert−ブトキシド(26.6mg,0.277mmol)、Pd(OAc)2(2.0mg,0.009mmol)、および、Pd(t−Bu3P)2(5.1mg,0.010mmol)から出発して、表題の化合物(38mg,35%)を固体として得た。
1H NMR (D2O) δ ppm 8.51 (d, J=2.3 Hz, 1 H), 8.21 (s, 1 H), 8.13-8.04 (m, 2 H) 7.70 (d, J=2.0 Hz, 1 H), 5.22-5.09 (m, 1 H), 3.77-2.99 (m, 8 H), 2.82 (s, 3 H), 2.68 (s, 3 H), 1.37 (d, J=6.8 Hz, 6 H); MS (ESI) m/z 542 (M +1)。
【0086】
実施例7
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−[4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]−3−(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩
【化17】

表題の化合物を、一般法Bに従って、5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(実施例1(b)から得られた)(38.5mg,0.164mmol)、1−{[4−ブロモ−2−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}−4−メチルピペラジン(WO2003004472に記載されている)(86mg,0.203mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(22mg,0.229mmol)、Pd(OAc)2(3.0mg,0.013mmol)、および、Pd(t−Bu3P)2(4.0mg,0.008mmol)を用いて製造し、表題の化合物を固体として得た(16mg,16%)。
1H NMR (D2O) δ ppm 8.58 (d, J=1.8 Hz, 1 H), 7.87 (br s, 1 H), 7.82 (d, J=8.8 Hz, 1 H), 7.78 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 7.59 (dd, J=8.8, 2.0 Hz, 1 H), 5.31-5.17 (m, 1 H), 4.32-2.98 (m, 8 H), 2.91 (s, 3 H), 2.79 (s, 3 H), 1.51 (d, J=7.1 Hz, 6 H); MS (ESI) m/z 558 (M +1)。
【0087】
実施例8
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−[4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−3−(メチルスルホニル)フェニル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩
実施例8(a):1−[4−ブロモ−2−(メチルスルホニル)ベンゾイル]−4−メチルピペラジン
【化18】

塩化チオニル(5mL)を、4−ブロモ−2−(メチルスルホニル)安息香酸(0.50g,1.67mmol)に添加した。1滴の無水DMFを添加した後に、この反応混合物を窒素雰囲気下で30分間還流した。溶媒を真空で蒸発させ、残留物を、CH2Cl2に溶解した(透明な溶液が得られるまで)。N−メチルピペラジン(0.195mL,1.75mmol)を滴下しながら添加し、続いてトリエチルアミン(0.243mL,1.75mmol)を添加した。反応混合物を室温で15分間撹拌し、その後それをCH2Cl2で希釈し、飽和したNaHCO3(水)、水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、真空で濃縮し、表題の化合物を定量的な収量で得た。単離した物質をそれ以上精製しないで次の工程に用いた。
1H NMR (DMSO-d6, 溶媒とオーバーラップする3つのプロトンに相当するシグナル) δ ppm
8.06 (d, J=2.0 Hz, 1 H), 8.01 (dd, J=8.3, 2.0 Hz, 1 H), 7.46 (d, J=8.0 Hz, 1 H), 3.65-3.53 (m, 2 H), 3.19-3.00 (m, 2 H), 2.43-2.33 (m, 2 H), 2.33-2.21 (m, 2 H), 2.19 (s, 3 H); MS (ESI) m/z 361, 363 (M+1)。
【0088】
実施例8(b):5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−[4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−3−(メチルスルホニル)フェニル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩
【化19】

無水1,4−ジオキサン(2mL)を、5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(実施例1(b)から得られた)(52mg,0.22mmol)、1−[4−ブロモ−2−(メチルスルホニル)ベンゾイル]−4−メチルピペラジン(Bruce,R.B.,等J.Med.Chem.,1968,5,1031〜1034)(71.0mg,0.197mmol,実施例8(a)から得られた)、および、ナトリウムtert−ブトキシド(30.9mg,0.32mmol)に添加した。この混合物をアルゴンでパージし、Pd(OAc)2(2mg,0.009mmol)、Pd(t−Bu3P)2(6.1mg,0.012mmol)を添加し、続いてさらにアルゴンでパージした。この混合物を封管中で120℃で加熱した。一晩撹拌した後、Pd(t−Bu3P)2(12.4mg,0.024mmol)を添加し、さらに24時間後、以下の試薬を添加した;Cs2CO3(107mg,0.33mmol)、X−Phos(11.3mg,0.024mmol)、および、Pd2(dba)3(11.1mg,0.012mmol)。得られた混合物をオイルバス中で+90℃で20時間加熱した。この混合物をけいそう土を通してろ過し、EtOAcで洗浄した。有機相を、水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、真空で蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(MeCN/ MeCN中の5%TEAの濃度勾配;MeCN中の0〜5%TEA)で精製した。生成物を含む分画を一緒にしてプールし、真空で蒸発させた。残留物を、CH2Cl2に溶解し、有機相を、pH1でEDTA(水)で洗浄した。EDTA(水)相をNaHCO3(水)で中和し(pH7)、生成物をCH2Cl2で抽出した。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、真空で蒸発させた。残留物を、CH2Cl2/エーテル(1:1,10mL)に溶解し、エーテル中の1MのHCl(2.0当量)を滴下しながら添加して表題の化合物を沈殿させた。沈殿をろ過によって集め、CH2Cl2でリンスし、水に溶解させ、凍結乾燥し、表題の化合物を固体として得た(96mg,74%)。
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 11.47-11.25 (m, 1 H), 10.41 (s, 1 H), 8.90 (d, J=1.5 Hz,
1 H), 8.30 (s, 1 H), 8.21 (d, J=8.5 Hz, 1 H), 8.12 (s, 1 H), 7.52 (d, J=8.0 Hz,
1 H), 5.29-5.12 (m, 1 H), 4.64-4.48 (m, 1 H), 3.62-3.04 (m, 6 H), 2.84-2.71 (m,
7 H), 2.76 (br s, 4 H), 1.52 (d, J=7.0 Hz, 6 H); MS (ESI) m/z 516 (M +1)。
【0089】
実施例9
5−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}−2−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]ベンゾニトリル塩酸塩
実施例9(a):1−(4−クロロ−2−ヨードベンゾイル)−4−メチルピペラジン
【化20】

表題の化合物を、実施例8(a)の一般法に従って製造した[ただし、反応混合物を塩化チオニル中で還流しながら60分間撹拌し、アミンを含む反応液を室温で一晩撹拌したことを除く]。4−クロロ−2−ヨード安息香酸(0.523g,1.85mmol)を用いて、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl3/MeOHの濃度勾配;0〜5%MeOH)で精製した後、表題の化合物(0.415g,61%)を固体として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 7.97 (d, J=2.0 Hz, 1 H), 7.54 (dd, J=8.3, 2.0 Hz, 1 H), 7.26 (d, J=8.3 Hz, 1 H), 3.69-3.53(m, 2 H), 3.08 (t, J=5.0 Hz, 2 H), 2.38 (t, J=5.1 Hz, 2 H), 2.36-2.21 (m, 2 H), 2.19 (s, 3 H); MS (ESI) m/z 365 (M+1)。
【0090】
実施例9(b):5−クロロ−2−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]ベンゾニトリル
【化21】

1−(4−クロロ−2−ヨードベンゾイル)−4−メチルピペラジン(400mg,1.70mmol,実施例9(a)から得られた)、酢酸亜鉛(17.2mg,0.079mmol)、シアン化亜鉛(109mg,0.928mmol)、亜鉛末(8.0mg,0.122mmol)、Pd2(dba)3(44mg,0.048mmol)、および、dppf(117mg,0.211mmol)を無水1,4−ジオキサン(1.5mL)中で混合し、アルゴンでフラッシュした。この混合物を封管中で+90〜+95℃で45分間加熱した。この反応混合物をけいそう土を通してろ過し、EtOAcでリンスした。有機相を、飽和したNaHCO3(水)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、真空で蒸発させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH−濃度勾配;0〜5%MeOH)で精製し、表題の化合物を得た(280mg,62%)。1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 8.16 (d, J=2.0 Hz, 1 H), 7.87 (dd, J=8.3, 2.0 Hz, 1 H), 7.59 (d, J=8.3 Hz, 1 H), 3.71-3.59 (m, 2 H), 3.24-3.14 (m, 2 H), 2.43-2.32 (m, 2
H), 2.32-2.22 (m, 2 H), 2.19 (s, 3 H); MS (ESI) m/z 264 (M+1)。
【0091】
実施例9(c):5−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}−2−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]ベンゾニトリル塩酸塩
【化22】

表題の化合物を、一般法Cに従って、5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(実施例1(b)から得られた)(53mg,0.225mmol)、5−クロロ−2−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]ベンゾニトリル(55mg,0.209mmol,実施例9(b)から得られた)、Cs2CO3(114mg,0.350mmol)、Pd2(dba)3(11.6mg,0.013mmol)、および、X−Phos(10.6mg,0.022mmol)を用いて製造し、表題の化合物を固体として得て(70mg,58%)、その塩酸塩を一般法Dに従って製造した。
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 11.79 (br s, 1 H), 10.54 (s, 1 H), 8.91 (d, J=1.76 Hz, 1
H), 8.29 (d, J=2.01 Hz, 1 H), 8.11 (d, J=1.83 Hz, 1 H), 8.02 (dd, J=8.53, 2.26 Hz, 1 H), 7.62 (d, J=8.53 Hz, 1 H), 5.26 (s, 1 H), 4.57 (br s, 1 H), 3.75-2.95 (m, 8 H), 2.82 (s, 3 H), 2.77 (s, 3 H), 1.52 (d, J=7.03 Hz, 6 H); MS (ESI) m/z 463 (M +1)。
【0092】
実施例10
N−{3−クロロ−4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}−5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン塩酸塩
【化23】

表題の化合物を、一般法Cに従って、5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(実施例1(b)から得られた)(49.4mg,0.211mmol)、1−(2,4−ジクロロベンゾイル)−4−メチルピペラジン(Prasad,R.N.,等,J.Med.Chem.,1968,6,1144〜1150)(57mg,0.209mmol)、Cs2CO3(113mg,0.347mmol)、Pd2(dba)3(9.9mg,0.011mmol)、および、X−Phos(10.5mg,0.022mmol)を用いて製造し、表題の化合物を黄色の固体として得た(50mg,44%)。この塩酸塩を、一般法Bに従って製造した。
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 11.78 (br s, 1 H), 10.31 (s, 1 H), 8.88 (d, J=1.8 Hz, 1 H), 8.12 (d, J=2.0 Hz, 1 H), 7.94 (br s, 1 H), 7.71 (dd, J=8.3, 2.0 Hz, 1 H), 7.38 (br s, 1 H), 5.30-5.17 (m, 1 H), 4.57 (d, J=13.1 Hz, 1 H), 4.20-2.89 (m, 8 H), 2.83 (s, 3 H), 2.76 (s, 3 H), 1.51 (d, J=7.1 Hz, 6 H); MS (ESI) m/z 472 (M+1)。
【0093】
実施例11
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−{3−メトキシ−4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩
実施例11(a):1−(4−クロロ−2−メトキシベンゾイル)−4−メチルピペラジン
【化24】

表題の化合物を、実施例8(a)の一般法に従って、4−クロロ−2−メトキシ安息香酸(0.501g,2.68mmol)を用いて製造し、表題の化合物を定量的な収量で得た。この粗生成物をそれ以上精製しないで次の工程に用いた。
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 7.18 (d, J=8.0 Hz, 1 H), 7.17 (d, J=2.0 Hz, 1 H), 7.05 (dd, J=8.0, 1.8 Hz, 1 H), 3.81 (s, 3 H), 3.67-3.51 (m, 2 H), 3.14-3.04 (m, 2 H), 2.38-2.27 (m, 2 H), 2.27-2.19 (m, 2 H), 2.18 (s, 3 H)。
【0094】
実施例11(b):5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−{3−メトキシ−4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩
【化25】

表題の化合物を、一般法Cに従って、5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(実施例1(b)から得られた)(49.8mg,0.212mmol)、1−(4−クロロ−2−メトキシベンゾイル)−4−メチルピペラジン(45mg,0.167mmol)、Cs2CO3(110mg,0.338mmol)、Pd2(dba)3(9.3mg,0.010mmol)、および、X−Phos(11.3mg,0.024mmol)を用いて製造した。この塩酸塩を、一般法Dに従って製造し、表題の化合物を固体として得た(60mg,53%)。
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 11.38 (br s, 1 H), 10.06 (s, 1 H), 8.85 (d, J=2.0 Hz, 1 H), 8.12 (d, J=1.8 Hz, 1 H), 7.49 (dd, J=8.3, 1.8 Hz, 1 H), 7.39 (s, 1 H), 7.20 (d, J=8.3 Hz, 1 H), 5.30-5.15 (m, 1 H), 4.58 (d, J=13.3 Hz, 1 H), 3.81 (s, 3 H),
3.57-3.13 (m, 6 H), 3.13-2.87 (m, 2 H), 2.82 (s, 3 H), 2.79 (br s, 3 H), 1.51 (d, J=7.0 Hz, 6 H); MS (ESI) m/z 468 (M +1)。
【0095】
実施例12
(4−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)(ピリジン−4−イル)メタノ
ン塩酸塩
【化26】

表題の化合物を、一般法Cに従って製造した[ただし、生成物の塩基をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ EtOAc中の4%MeOH濃度勾配;EtOAc中の0〜4%MeOH)で精製したことを除く]。表題の化合物の塩酸塩を、一般法Dに従って製造した。5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(実施例1(b)から得られた)(42.6mg,0.181mmol)、(4−クロロフェニル)(ピリジン−4−イル)メタノン(Hogberg,T.,等,J.Med.Chem.,1981,24,1499〜1507)(34.6mg,0.159mmol)、Cs2CO3(93.0mg,0.285mmol)、Pd2(dba)3(11.6mg,0.013mmol)、および、X−Phos(12.6mg,0.026mmol)を用いて、表題の化合物(26mg,34%)を固体として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 10.51 (s, 1 H), 8.91 (d, J=1.8 Hz, 1 H), 8.88 (d, J=4.8 Hz, 2 H), 8.13 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 7.92 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.83-7.72 (m, 4 H), 5.31-5.17 (m, 1 H), 2.82 (s, 3 H), 1.52 (d, J=7.0 Hz, 6 H); MS (ESI) m/z 417 (M+1)。
【0096】
実施例13
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩
【化27】

5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(実施例1(b)から得られた)(64mg,0.272mmol)、1−(4−ブロモベンゾイル)−4−メチルピペラジン(WO2003004472に記載されている)(92mg,0.325mmol)、BINAP(51mg,0.082mmol)、および、ナトリウムtert−ブトキシド(31mg,0.323mmol)を1,4−ジオキサン(2.0mL)中で混合した。この混合物をアルゴンで5分間フラッシュし、次に、Pd(OAc)2(9.1mg,0.045mmol)を添加し、続いてアルゴンでさらにパージした。反応混合物を、マイクロ波反応器中で、封管中で+110℃で30分間加熱した。溶媒を真空で蒸発させ、残留物を、CH2Cl2と希NaHCO3(水)との間で分配した。水相をCH2Cl2で抽出し、合わせた有機相を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、蒸発させた。未精製品を分取用HPLCを用いて精製した。この塩酸塩を、一般法Dに従って製造し、表題の化合物を固体として得た(43mg,36%)。
1H NMR (D2O) δ ppm 8.54 (d, J=2.0 Hz, 1 H), 7.79 (d, J=2.0 Hz, 1 H), 7.63 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.48 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 5.39-5.26 (m, 1 H), 4.29-3.83 (m, 2 H), 3.79-3.33 (m, 4 H), 3.32-3.09 (m, 2 H), 2.95 (s, 3 H), 2.79 (s, 3 H), 1.52 (d, J=6.8 Hz, 6 H); MS (ESI) m/z 437 (M +1)。
【0097】
実施例14
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]フェニル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩
【化28】

表題の化合物を、実施例13で説明された一般法に従って製造した[ただし、塩酸塩を製造する際に生成物の塩基をCH2Cl2/トルエン(1:1)に溶解したことを除く]。5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(実施例1(b)から得られた)(38.0mg,0.161mmol)、1−[(4−ブロモフェニル)スルホニル]−4−メチルピペラジン(WO2003004472に記載されている)(78.0mg,0.244mmol)、BINAP(20.0mg,0.032mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(20.0mg,0.208mmol)、および、Pd(OAc)2(5.0mg,0.022mmol)を用いて、表題の化合物(27mg,31%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 11.00 (br s, 1 H), 10.46 (s, 1 H), 8.89 (d, J=1.8 Hz, 1 H), 8.09 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 7.97 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.70 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 5.31-5.17 (m, 1 H), 3.79-3.68 (m, J=11.4 Hz, 2 H), 3.42 (d, J=11.1 Hz, 2 H), 3.13 (s, 2 H), 2.79 (s, 3 H), 2.72 (s, 3 H), 2.71-2.59 (m, 2 H), 1.52 (d, J=7.1 Hz, 6 H); MS (ESI) m/z 474 (M+1)。
【0098】
実施例15
5−フルオロ−4−[1−イソプロピル−2−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−5−イル]−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩
【化29】

表題の化合物を、一般法Cに従って、5−フルオロ−4−[2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン(実施例15(e)から得られた)(50mg,0.173mmol)、4−ブロモフェニルメチルスルホン(41mg,0.173mmol)、Cs2CO3(114mg,0.350mmol)、Pd2(dba)3(6mg,0.006mmol)、および、X−Phos(5.3mg,0.011mmol)を用いて製造し、表題の化合物の遊離塩基を固体として得た(41mg,53%)。この塩酸塩を、一般法Bで説明した方法に従って製造した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 10.35 (s, 1 H) 8.85 (s, 1 H) 7.76-8.04 (m, 4 H)
7.54 (br.s., 1 H) 4.97-5.13 (m, 1 H) 3.89 (br.s., 3 H) 1.47 (d, J=6.57 Hz, 6 H)。
MS (ES) m/z 444 (M+1)。
【0099】
実施例15(a):2,2,2−トリフルオロ−N−イソプロピル−N−(5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−アセトアミド
【化30】

5−メチル−4−アミノ−イソオキサゾール(Reiter,L.A.,J.Org.Chem.1987,52,2714〜2726)(0.68g,5.1mmol)、および、酢酸(0.61g,10.2mmol)を、MeOH(20mL)に溶解した。アセトン(0.56ml,7.6mmol)を添加し、この混合物を、0〜(−5)℃に冷却し、1時間撹拌した。シアノホウ水素化ナトリウム(0.32g,5.1mmol)を、この反応混合物に−5℃で添加したところ、弱い発熱およびガス発生が起こった。冷浴を取り除き、この混合物を室温で1時間撹拌し、それに続いてシアノホウ水素化ナトリウム(0.1g,1.6mmol)の第二の部分を添加した。室温で2時間撹拌した後、この混合物をろ過し、ろ液を真空で濃縮した。残留物をトルエンに溶解し、再度濃縮した。残留物をTHF(10mL)に溶解し、無水トリフルオロ酢酸(3.2g,15.3mmol)を添加した。得られた混合物を一晩室温で撹拌し、続いて+50℃で1時間撹拌した。揮発物質を真空で除去し、残留物をトルエンに溶解し、真空で濃縮し、表題の化合物を固体として得た(0.84g、77%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 8.11 (s, 1 H) 4.82-5.03 (m, 1 H) 2.39 (s, 3 H) 1.16 (d, J=6.82 Hz, 3 H) 1.08 (d, J=6.82 Hz, 3 H); MS (CI) m/z 236 (M+)。
【0100】
実施例15(b):5−アセチル−2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール
【化31】

2,2,2−トリフルオロ−N−イソプロピル−N−(5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−アセトアミド(2g,8.5mmol,実施例15(a)から得られた)をEtOH(30ml)中に溶解し、この混合物を、3barでPd/C(10%,湿したペースト,0.10g)上で水素化した。反応混合物を+50℃で3時間撹拌した。追加量のPd/C(10%,湿潤したペースト,0.15g)を添加し、混合物を+50℃で3時間撹拌し続けた。ナトリウムメトキシド(1.38g,26mmol)を添加し、得られた混合物を30時間加熱還流した。塩化アンモニウムを添加して反応をクエンチした。この混合物をけいそう土を通してろ過し、ろ液を真空で蒸発させた。残留物を、飽和炭酸水素ナトリウム(水)で希釈し、EtOAc、続いてCHCl3で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、真空で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH,20:1)で精製し、表題の化合物を得た(1.33g,71%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.84 (s, 1 H) 4.96 (s, 1 H) 2.56 (s, 3 H) 1.58 (d, J=6.82 Hz, 6 H); MS (CI) m/z 220 (M+)。
【0101】
実施例15(c):(2E)−3−ジメチルアミノ−1−(2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オン
【化32】

5−アセチル−2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール(1.33g,6mmol,実施例15(b)から得られた)を、DMFDMA/DMF(1:1,100mL)に溶解し、この混合物を還流下で一晩撹拌した。室温に冷却した後、混合物をCH2Cl2で抽出した。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、真空で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(25:1のCH2Cl2/MeOH)で精製し、表題の化合物を得た(1.6g,73%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.68 (d, J=12.38 Hz, 1 H) 7.47 (s, 1 H) 5.49 (d, J=12.38 Hz, 1 H) 4.88-5.03 (m, 1 H) 3.15 (br.s., 3 H) 2.92 (br.s., 3 H) 1.62 (d,
J=6.82 Hz, 6 H); MS (CI) m/z 275 (M+)。
【0102】
実施例15(d):(2Z)−3−ジメチルアミノ−2−フルオロ−1−(2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オン
【化33】

表題の化合物を、実施例1(a)で説明された方法に従って製造した[ただし、生成物を精製する必要はまったくなく、この未精製品を次の工程に用いたことを除く]。(2E)−3−ジメチルアミノ−1−(2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オン(1.6g,5.8mmol,実施例15(c)から得られた)を用いて、表題の化合物を得た(0.42g,25%)。
MS (CI) m/z 293 (M+)。
【0103】
実施例15(e):5−フルオロ−4−[2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン
【化34】

表題の化合物を、実施例1(b)で説明された方法に従って製造した[ただし、炭酸グアニジンを用いたことを除く]。(2Z)−3−ジメチルアミノ−2−フルオロ−1−(2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−5−イル)プロパ−2−エン−オン(1.47g,5.22mmol,15(d)で得られた)、および、炭酸グアニジン(2.35g,13.06mmol)を用いて、フラッシュクロマトグラフィー(20:1のCH2Cl2/MeOH)によって精製した後に表題の化合物(0.53g,33%)を固体として得た。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.28 (d, J=2.53 Hz, 1 H) 7.53 (d, J=3.03
Hz, 1 H) 5.04-5.14 (m, 1 H) 5.02 (br.s., 2 H) 1.61 (d, J=7.07 Hz, 6 H); MS (ES)
m/z 290 (M+1)。
【0104】
実施例16
[5−フルオロ−4−(3−イソプロピル−2−トリフルオロメチル−3H−イミダゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミン塩酸塩
【化35】

表題の化合物を、一般法Cに従って、5−フルオロ−4−[2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン(実施例15(e)から得られた)(50mg,0.173mmol)、1−[(4−ブロモフェニル)スルホニル]−4−メチルピペラジン(56mg,0.173mmol)、Cs2CO3(114mg,0.350mmol)、Pd2(dba)3(6mg,0.006mmol)、および、X−Phos(5.3mg,0.011mmol)を用いて製造し、表題の化合物の遊離塩基を固体として得た(10mg,3%)。この塩酸塩を、一般法Bで説明した方法に従って製造した。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm 8.65 (s, 1 H) 7.67-8.11 (m, 4 H) 7.53 (s, 1 H) 5.08-5.27 (m, 1 H) 3.82-4.04 (m, 2 H) 3.48-3.70 (m, 2 H) 3.12-3.28 (m, 2 H) 2.90 (s, 3 H) 2.61-2.81 (m, 2 H) 1.56 (d, J=5.30 Hz, 6 H); MS (ES) m/z 528 (M+1)。
【0105】
実施例17
{4−[5−フルオロ−4−(3−イソプロピル−2−トリフルオロメチル−3H−イミダゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イルアミノ]−フェニル}−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン塩酸塩
【化36】

表題の化合物を、一般法Cに従って、5−フルオロ−4−[2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン(実施例15(e)から得られた)(50mg,0.173mmol)、1−(4−ブロモベンゾイル)−4−メチルピペラジン(49mg,0.173mmol)、Cs2CO3(114mg,0.350mmol)、Pd2(dba)3(6mg,0.006mmol)、および、X−Phos(5.3mg,0.011mmol)を用いて製造し、表題の化合物の遊離塩基を固体として得た(25mg,29%)。この塩酸塩を、一般法Bで説明した方法に従って製造した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 8.41-8.48 (m, 1 H) 7.62 (d, J=8.59 Hz, 2 H) 7.54 (d, J=3.03 Hz, 1 H) 7.42 (d, J=8.59 Hz, 2 H) 7.33 (s, 1 H) 5.07-5.22 (m, 1 H) 3.35-3.97 (m, 4 H) 2.36-2.52 (m, 4 H) 2.34 (s, 3 H) 1.56 (d, J=7.07 Hz, 6 H); MS (ES) m/z 490 (M-1)。
【0106】
実施例18
3−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}−N−(3−メトキシプロピル)ベンズアミド塩酸塩
【化37】

3−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}安息香酸メチル(実施例18(a)から得られた)(40mg,0.11mmol)、および、3−メトキシプロピルアミン(58mg,0.65mmol)をトルエン(4mL)中で混合し、不活性なアルゴン雰囲気とした。密封したバイアルを室温に冷却し、シリンジでAl(CH33(156mg,2.16mmol)を添加した。この反応混合物をオイルバス中で+90〜100℃にで4時間加熱し、室温に冷却し、これを激しく撹拌しながら氷冷した飽和NaHCO3(水)に滴下して添加した。生成物をCH2Cl2で抽出し、有機層をNa2SO4での処理によって乾燥させた。未精製の生成物の塩基を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(100%のEtOAcからEtOAc中の5%MeOHへの濃度勾配)を用いて精製し、次に、この塩酸塩を実施例Bで説明した方法に従って製造し、表題の化合物を得た(8mg,16%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.90 (s, 1 H) 8.78 (d, 1 H) 8.39 (t, 1 H) 8.07 (d, 1 H) 8.01 (t, 1 H) 7.78 (dd, 1 H) 7.49-7.42 (m, 1 H) 7.37 (t, 1 H) 5.33-5.19
(m, 1 H) 3.22 (s, 3 H) 2.75 (s, 3 H) 1.79-1.68 (m, 2 H) 1.45 (s, 3 H) 1.43 (s, 3 H) いくつかのシグナルはHDOシグナルによって部分的に不明瞭になった; MS (ESI) m/z
427
(M+1)。
【0107】
実施例18(a):3−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}安息香酸メチル
【化38】

5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(実施例1(b)から得られた)(99mg,0.42mmol)、3−ブロモ安息香酸メチル(97mg,0.45mmol)、および、Cs2CO3(230mg,0.71mmol)を無水1,4−ジオキサン中で混合し、この混合物をアルゴンで10分間フラッシュし、その後、Pd2(dba)3(23mg,0.025mmol)、および、X−Phos(24mg,0.050mmol)を添加した。混合物をアルゴンでフラッシュし、次に、反応が完了するまで封管中で+90〜100℃で加熱した。反応混合物をCH2Cl2で希釈し、ろ過し、蒸発させた。残留物をCH2Cl2に溶解し、有機相をH2Oで洗浄した。Na2SO4での処理によって有機相から残留した水を除去した。塩基である生成物の未精製品を分取用HPLCを用いて精製し、表題の化合物を固体として得た(97mg,62%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.73 (s, 1 H) 8.57 (d, 1 H) 8.19 (t, 1 H) 8.04-7.95 (m, 1 H) 7.59-7.52 (m, 1 H) 7.43 (t, 1 H) 7.37 (d, 1 H) 5.44-5.31 (m, 1 H) 3.84 (s, 3 H) 2.51 (s, 3 H) 1.42 (d, 3 H) 1.40 (d, 3 H); MS (ESI) m/z 370 (M+1)。
【0108】
医薬組成物
本発明の一側面によれば、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3に関連する状態の予防および/または治療に使用するための、遊離塩基、または製薬上許容できる塩、溶媒和物、またはその塩の溶媒和物としての式Iで示される化合物を含む医薬組成物が提供される。
【0109】
本組成物は、経口投与に適した形態であってもよく、例えば錠剤であり、滅菌溶液または懸濁液のような非経口の注射剤に適した形態であってもよい。一般的に上記の組成物は、従来の方式でキャリアーまたは賦形剤を製薬的に用いて製造してもよい。ヒトを含む哺乳動物の治療における式Iで示される化合物の適切な1日用量は、経口投与の場合、約0.01〜250mg/kg体重であり、非経口投与の場合、約0.001〜250mg/kg体重である。活性成分の典型的な1日用量は広い範囲で変動し、関連する適応症、投与経路、患者の年齢、重量および性別のような様々な要因に依存し、医師によって決定され得る。
【0110】
式Iで示される化合物、または製薬上許容できる塩、溶媒和物、またはそれらの塩の溶媒和物はそのままで用いてもよいが、通常は、式Iで示される化合物/塩/溶媒和物(活性成分)が製薬上許容できる添加剤、賦形剤、またはキャリアーと共に含まれる医薬組成物の形態で投与されることになる。投与様式に応じて、本医薬組成物に、0.05〜99重量%(重量パーセント)の活性成分、例えば0.10〜50重量%の活性成分を含んでいてもよく、ここで全重量パーセンテージは組成物の総量に基づく。
【0111】
添加剤、賦形剤またはキャリアーとしては、水、水性ポリエチレングリコール、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖(例えばラクトース)、ペクチン、デキストリン、スターチ、トラガカント、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、またはカカオ脂が挙げられる。
【0112】
本発明の組成物は、錠剤の形態であってもよいし、または注射可能な形態であってもよい。錠剤は、崩壊剤をさらに含んでいてもよいし、および/または、コーティングされていてもよい(例えば、腸溶性コーティングでコーティングされていてもよいし、または、ヒドロキシプロピルセルロースのようなコーティング剤でコーティングされていてもよい)。
【0113】
本発明はさらに、本発明の医薬組成物の製造方法を提供し、本方法は、上記で定義された式Iで示される化合物、または製薬上許容できる塩、溶媒和物、またはそれらの塩の溶媒和物を、製薬上許容できる添加剤、賦形剤またはキャリアーと混合することを含む。
【0114】
本発明の医薬組成物の例は、注射用溶液であり、このような注射用溶液は、上記で定義された本発明の化合物、または製薬上許容できる塩、溶媒和物またはそれらの塩の溶媒和物、および滅菌水を含み、さらに必要に応じて、最終的な組成物のpHを約pH5にするための水酸化ナトリウムまたは塩酸のいずれかを含み、場合により溶解を促進するための界面活性剤を含んでいてもよい。
【0115】
医学的用途
驚くべきことに、本発明で定義された遊離塩基またはそれらの製薬上許容できる塩としての化合物は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)の阻害に非常に適していることが見出された。従って、本発明の化合物は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3活性に関連する状態の予防および/または治療において有用であると期待され、すなわち上記化合物は、このような予防および/または治療が必要な哺乳動物(ヒトを含む)においてGSK3の阻害作用を生じさせるために使用できる。
【0116】
GSK3は、中枢および末梢神経系ならびに他の組織で高度に発現される。従って、本発明の化合物は、中枢および末梢神経系におけるグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3に関連する状態の予防および/または治療に十分適していることが期待される。特に、本発明の化合物は、特に認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、パーキンソン型の前頭側頭認知症、グアム島のパーキンソン認知症複合、HIV認知症、神経原線維変化の病変に関連する疾患、および、ボクサー認知症に関連する状態の予防および/または治療に適すると期待される。
【0117】
その他の状態は、筋萎縮性側索硬化症、大脳皮質基底核変性症、ダウン症候群、ハンチントン病、脳炎後パーキンソン症候群、進行性核上麻痺、ピック病、ニーマン−ピック病、卒中、頭部外傷、およびその他の慢性神経変性疾患、双極性障害、情動障害、うつ病、統合失調症、認識障害、脱毛、および、避妊投薬からなる群より選択される。
【0118】
さらなる状態は、前認知症の状態、軽度認知機能障害、加齢に伴う記憶障害、加齢関連認知低下、認知症ではない認知障害、軽度の認知力低下、軽度の神経系認知力低下、高齢期の健忘、記憶障害、および、認知障害、脳血管性認知症、レヴィー小体型認知症、前頭側頭認知症、および、男性型脱毛症、ならびに、I型およびII型糖尿病、糖尿病性神経障害および糖尿病に関連する障害からなる群より選択される。
【0119】
本発明の一実施態様は、認知症およびアルツハイマー病の予防および/または治療に関する。
【0120】
その他の本発明の実施態様は、骨関連障害の予防および/または治療に関する。
【0121】
特定の病気の治療または予防的処置に必要な用量は、必然的に、処置されている宿主、投与経路、および処置される疾患の重症度に応じて変動することになる。
【0122】
本発明はまた、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3に関連する状態を予防および/または治療するための薬剤の製造における、上記で定義された式Iで示される化合物の使用にも関する。
【0123】
本明細書の文脈において、用語「治療」は、それとは異なる特定の適応症が存在しない限り「予防」も含む。用語「治療の」および「治療上(治療的に)」は、それに従って解釈すべきである。
【0124】
本発明はまた、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3に関連する状態の治療および/または予防方法を提供し、本方法は、このような治療および/または予防が必要な哺乳動物(ヒトを含む)に、上記で定義された治療上有効な量の式Iで示される化合物を投与することを含む。
【0125】
医学以外の用途
それらの治療薬における使用に加えて、遊離塩基またはそれらの製薬上許容できる塩としての式Iで示される化合物はまた、新規の治療剤探索の一環として、ネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラット、およびマウスのような実験動物においてGSK3に関連する活性に関する阻害剤の作用を評価するためのインビトロおよびインビボでの試験システムの開発および標準化における薬理学的なツールとしても有用である。
【0126】
薬理学
GSK3βのシンチレーション近接分析におけるATP競合の測定
GSK3βのシンチレーション近接分析
競合実験は、底が透明なマイクロタイタープレート(ワラック(Wallac),フィンランド)中で10種の異なる濃度の阻害剤を用いて二連で行われた。ビオチン化ペプチド基質、ビオチン−Ala−Ala−Glu−Glu−Leu−Asp−Ser−Arg−Ala−Gly−Ser(PO32)−Pro−Gln−Leu(アストラゼネカ(AstraZeneca),ルンド)を、1μMの最終濃度で、組換えヒトGSK3β(ダンディー大学(Dundee University),イギリス)1mU、12mMのモルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)、pH7.0、0.3mMのEDTA、0.01%β−メルカプトエタノール、0.004%のBrij35(天然の洗浄剤)、0.5%グリセリン、および0.5μgのBSA/25μlを含む分析緩衝液中で添加した。この反応は、0.04μCiの[(−33P]ATP(アマシャム(Amersham),イギリス)および標識されていないATPを1μMの最終濃度および25μlの分析体積で添加することによって開始させた。室温で20分間インキュベートした後、5mMのEDTA、50μMのATP、0.1%トリトン(Triton)X−100、および、0.25mgのストレプトアビジンで被覆したシンチレーション近接分析(SPA)ビーズ(アマシャム,イギリス)を含む停止溶液25μlの添加によって各反応を止めた。6時間後、放射活性を液体シンチレーションカウンター(1450マイクロベータ・トリラックス(MicroBeta Trilux),ワラック)で測定した。阻害曲線を、グラフパッド・プリズム(GraphPad Prism,米国)を用いて非線形回帰によって解析した。様々な化合物の阻害定数(Ki)を計算するために用いられたGSK3βに関するATPのKm値は、20μMであった。
【0127】
以下の略語を用いた:
MOPS モルホリンプロパンスルホン酸
EDTA エチレンジアミン四酢酸
BSA ウシ血清アルブミン
ATP アデノシン三リン酸
SPA シンチレーション近接分析
GSK3 グリコーゲンシンターゼキナーゼ3。
【0128】
結果
本発明の化合物に典型的なKi値は、約0.001〜約10.000nMの範囲である。Kiに関するその他の値は、約0.001〜約1000nMの範囲である。Kiに関するさらなる値は、約0.001nM〜約300nMの範囲である。
【0129】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルツハイマー病を予防および/または治療するための医薬の製造に使用するための、式I:
【化1】

で示され化合物、またはその製薬上許容できる塩の使用。
式中、
1は、水素、ハロ、CN、NO2、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、ORa、SO2NRbc、C(O)NRbc、CH2NRbc、CH2ORh、SO2i、およびC(O)Rjから選択され;
2およびR4は、独立して、水素、ハロ、CN、NO2、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、ORa、SO2NRbc、C(O)NRbc、CH2NRbc、CH2ORh、SO2i、およびC(O)Rjから選択され;
3およびR5は、独立して、水素、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、およびORaから選択され;
6は、C2〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、およびC2〜C4ハロアルキルから選択され;
7は、C1〜C3アルキル、CN、およびC1〜C3ハロアルキルから選択され、該C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルは、場合により1個またはそれ以上のORaで置換され;
8およびR9は、独立して、水素、CNおよびハロから選択され;
aは、水素、C1〜C3アルキル、またはC1〜C3ハロアルキルであり、該C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルは、場合により1個またはそれ以上のC1〜C3アルコキシで置換され;
bおよびRcは、独立して、水素、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6ハロアルキルから選択され、該C1〜C6アルキルまたはC1〜C6ハロアルキルは、場合により1個またはそれ以上のORaまたはNRdeで置換され;または
bおよびRcは、それらが結合している原子と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む4、5または6員の複素環を形成してもよく、ここにおいて該複素環は、場合により1個またはそれ以上のハロ、C1〜C3アルキル、またはC1〜C3ハロアルキルで置換され、該C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルは、場合によりさらに1個またはそれ以上のC1〜C3アルコキシで置換され;
dおよびReは、独立して、水素、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6ハロアルキルから選択され、該C1〜C6アルキルまたはC1〜C6ハロアルキルは、場合により1個またはそれ以上のORaで置換され;または
dおよびReは、それらが結合している原子と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む4、5または6員の複素環を形成してもよく、ここにおいて該複素環は、場合により1個またはそれ以上のハロ、C1〜C3アルキル、またはC1〜C3ハロアルキルで置換され、該C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルは、場合によりさらに1個またはそれ以上のC1〜C3アルコキシで置換され;
hは、水素、C1〜C3アルキル、またはC1〜C3ハロアルキルであり、該C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルは、場合により1個またはそれ以上のC1〜C3アルコキシで置換され;
iは、C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルであり、該C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルは、場合により1個またはそれ以上のORaで置換され;そして
jは、アリールまたはヘテロアリール環であり、ここにおいて該アリールまたはヘテロアリール環は、場合により1個またはそれ以上のC1〜C3アルキル、ORa、ハロまたはCNで置換される。
【請求項2】
1は、水素、SO2NRbc、C(O)NRbc、CH2NRbc、およびC(O)Rjから選択され;
2およびR4は、独立して、水素、ハロ、CN、C1〜C3アルキル、ORa、およびSO2iから選択され;
3およびR5は、独立して、水素、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルから選択され;
6は、C2〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、およびC2〜C4ハロアルキルから選択され;
7は、C1〜C3アルキルであり;
8およびR9は、独立して、水素、およびハロから選択され;そして
aは、C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルであり、該C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルは、場合により1個またはそれ以上のC1〜C3アルコキシで置換され;
bおよびRcは独立して、水素、C1〜C6アルキル、またはC1〜C6ハロアルキルから選択され、該C1〜C6アルキルまたはC1〜C6ハロアルキルは、場合により1個またはそれ以上のORaで置換され;または
bおよびRcは、それらが結合している原子と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む4、5または6員の複素環を形成してもよく、ここにおいて該複素環は、場合により1個またはそれ以上のハロ、C1〜C3アルキル、またはC1〜C3ハロアルキルで置換され、該C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルは、場合によりさらに1個またはそれ以上のC1〜C3アルコキシで置換され;
iは、C1〜C3アルキルであり;そして
jは、アリールまたはヘテロアリールである、
請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容できる塩の使用。
【請求項3】
1は、SO2NRbc、C(O)NRbc、およびC(O)Rjから選択され;
2およびR4は、独立して、水素、ハロ、CN、C1〜C3アルキル、ORa、およびSO2iから選択され;
3およびR5は、独立して、水素、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルから選択され;
6は、C2〜C4アルキルであり;
7は、C1〜C3アルキルであり;
8およびR9は、独立して、水素およびハロから選択され;
aは、C1〜C3アルキルまたはC1〜C3ハロアルキルであり;
bおよびRcは、それらが結合している原子と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む4、5、または6員の複素環を形成してもよく、ここにおいて該複素環は、場合により1個またはそれ以上のC1〜C3アルキルで置換され;
iは、C1〜C3アルキルであり;そして
jは、アリールまたはヘテロアリールである、
請求項1または2に記載の化合物またはその製薬上許容できる塩の使用。
【請求項4】
9はハロであり、R8は水素である、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
9はフルオロである、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
6は、C2〜C4アルキルである、請求項4または5に記載の使用。
【請求項7】
6は、イソプロピルである、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
7は、フルオロメチルまたはメチルである、請求項4〜7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
2およびR4は、水素である、請求項4〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
5およびR3は、水素である、請求項4〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
1は、C(O)NRbc、SO2bc、SO2i、またはC(O)Rjから選択される、請求項4〜10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
jは、フェニルまたはピペリジンである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
bおよびRcは、それらが結合している原子と一緒になって、Nから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む6員の複素環を形成し、ここにおいて該複素環は、場合により1個またはそれ以上のハロ、C1〜C3アルキル、またはC1〜C3ハロアルキルで置換される、請求項11に記載の使用。
【請求項14】
複素環は、1個またはそれ以上のC1〜C3アルキルで置換されている、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
1〜C3アルキルは、メチルである、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
iは、C1〜C3アルキルである、請求項11に記載の使用。
【請求項17】
iは、メチルである、請求項11に記載の使用。
【請求項18】
化合物またはその製薬上許容できる塩は、以下から選択される、請求項1に記載の使用:
(4−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)(フェニル)メタノン塩酸塩;
(4−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)(ピリジン−2−イル)メタノン塩酸塩;
(4−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)(ピリジン−3−イル)メタノン塩酸塩;
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−{3−メチル−4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]フェニル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−{2−メチル−4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]フェニル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−[4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]−2−(トリフルオロメチル)フェニル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−[4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]−3−(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−[4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−3−(メチルスルホニル)フェニル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}−2−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]ベンゾニトリル塩酸塩;
N−{3−クロロ−4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}−5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−{3−メトキシ−4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
(4−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)(ピリジン−4−イル)メタノン塩酸塩;
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]フェニル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−フルオロ−4−[1−イソプロピル−2−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−5−イル]−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
5−フルオロ−4−[1−イソプロピル−2−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−5−イル]−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩;
{4−[5−フルオロ−4−(3−イソプロピル−2−トリフルオロメチル−3H−イミダゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イルアミノ]−フェニル}−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン塩酸塩;および、
3−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}−N−(3−メトキシプロピル)ベンズアミド塩酸塩。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の治療上有効な量の式Iで示される化合物、またはその製薬上許容できる塩、および従来の添加剤を含む、アルツハイマー病の治療および/または予防に使用するための医薬製剤。
【請求項20】
アルツハイマー病の治療および/または予防が必要なヒトを含む哺乳動物に、請求項1〜18のいずれか一項に記載の治療上有効な量の式Iで示される化合物、またはその製薬上許容できる塩を投与することを含む、アルツハイマー病の治療および/または予防方法。
【請求項21】
以下から選択される化合物:
1−[4−ブロモ−2−(メチルスルホニル)ベンゾイル]−4−メチルピペラジン;
1−(4−クロロ−2−ヨードベンゾイル)−4−メチルピペラジン;
5−クロロ−2−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]ベンゾニトリル;
1−(4−クロロ−2−メトキシベンゾイル)−4−メチルピペラジン;
2,2,2−トリフルオロ−N−イソプロピル−N−(5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−アセトアミド;
5−アセチル−2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール;
(2E)−3−ジメチルアミノ−1−(2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オン;
(2Z)−3−ジメチルアミノ−2−フルオロ−1−(2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オン;
5−フルオロ−4−[2−トリフルオロメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン;および
3−{[5−フルオロ−4−(1−イソプロピル−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}安息香酸メチル。
【請求項22】
請求項1に記載の式Iで示される化合物の製造における請求項21に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2009−510160(P2009−510160A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534482(P2008−534482)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【国際出願番号】PCT/SE2006/001112
【国際公開番号】WO2007/040436
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】