説明

アルデヒドまたはケトン樹脂による有機および無機顔料のコーティング

アルデヒドまたはケトン樹脂による有機および無機顔料のコーティングであって、その両者が、光の一部分を吸収し、その補色部分を反射する物質であるという点から顔料と定義され、アルデヒドまたはケトン樹脂で被覆されているところの固形の有機および無機物質の粒子からなる化学化合物を含んでいるもの。樹脂を融解すること、その結果として該融解状態にある樹脂によって顔料の全表面を濡らし被覆すること、その後に冷却すること、そしてそれに続いて、低温プロセスによって10℃未満の温度条件で稼動する機械装置によって細分化することの段階を想定するプロセスによって、アルデヒドまたはケトン樹脂は顔料の表面上に堆積される。本発明から得られる生成物は、単色性着色物質として粉体塗料およびプラスチックの着色および色素化のための半製品として使用され、および/または溶媒中に溶解後に、液体塗料産業における着色ペーストとしても使用されるだろう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルデヒドまたはケトン樹脂による有機および無機顔料のコーティング(被覆物)であって、好ましくは顆粒の形態をしたものに関し、およびそれに関連した製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、顔料は固体であり、有機的および無機的性質の両方のものがあり、樹脂のような固着する系の中で使用されて、光の一部分を吸収し、その補色部分を反射し、該補色部分がこの系で被覆された表面の色を形成するときに、そのようなものと定義される。
【0003】
顔料はそれ自体、化合物ごとに異なる非常に不規則な表面を持ち、互いに全く異なる他の物質と表面相互作用をする特性を持つ固体であり、かつ、接触し合う要素の物理的および化学的状態によって大きく影響を受ける。
【0004】
広範な樹脂に基づいた媒質(ベヒクル)系中に顔料を取り込むことの困難さは、周知である。
【0005】
このことは、押出機の内部で融解された状態にあるポリマー樹脂と顔料との接触が起きる粉体系の場合、および溶媒で希釈された樹脂との表面相互作用が起きる液体系の場合の両者について言え、後者の溶媒はその系を凝集させる効果を有する。
【0006】
現在、粉体塗料配合物では、顔料と樹脂との接触を改良する能力があり、押出段階の際に樹脂中に顔料を取り込む能力がある化学化合物を添加して、ベヒクルを形成する樹脂である種々の形状の顆粒と顔料との単純な物理的混合によって、顔料の導入は実施されている。
【0007】
着色顔料の計量供給を容易にするために、多くの場合、着色顔料は不活性顔料と混合される。これは少量の場合に、濃度を薄め、計量供給上の不具合の危険を減らすためである。
【0008】
上記の化学化合物は、融解された状態にある樹脂の表面張力を変性する機能、または顔料の表面の濡れを変性する機能を有する。
【0009】
種々の顔料が並存すると、多くの場合、互いに相容れず、相殺し合う特性を往々にして有する種々のタイプの化学化合物を使用する必要が生じる。
【0010】
その結果、それぞれの場合で異なる環境条件の変化の故のみならず、バッチ毎に変動する顔料表面の多様な特性、およびバッチ毎には異ならないけれども、環境条件の変化の結果としては非常に異なることがある、融解された状態にあるポリマーの表面張力特性の故にも、顔料の混合によって行われる混合色素の開発は、その調製の度毎の不整合を被りやすいということになる。
【0011】
溶媒相の液体塗料配合物の場合、顔料と溶媒中に溶解された樹脂とを混合することによって、顔料の導入は慣用的に実施される。
【0012】
溶媒の存在は、樹脂と顔料との接触を不安定にさせやすくする、その凝集させる特性の故に、極めて有害である。
【0013】
この効果を低減するために、凝集防止性化学化合物が普通、顔料と溶媒中に溶解された樹脂とのこれらの混合物に添加され、これらの凝集防止性化学化合物は顔料表面の静電特性を変性し調整し、かつ、樹脂/溶媒の溶液の表面張力を変性する特性を有する。
【0014】
顔料/樹脂/溶媒系に典型的なこれらの有害な効果の故に、混合色素は、完成塗料の着色効果が経時変化する不安定な系と説明されるかも知れない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
アルデヒドおよびケトンの性質も持つが、溶媒中に溶解されている特定の樹脂の中に顔料が取り込まれる予備分散技術および単一顔料ペーストの対応する粉砕、並びに該特定の顔料の表面と該選択された溶解化樹脂との表面相互作用をさせるために、化学化合物の配合物を使用することによって、上記の系の改良が行われた。
【0016】
本発明の目標は、従来技術の欠点が克服されることを許すコーティングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目標に関連して、本発明の1の目的は、粒子組成物の形態をしたコーティングを提供することであり、これは、粉体塗料の着色および色素化のための半製品として使用されることができ、または溶媒中に溶解後に、液体塗料産業における着色ペーストとしても使用されることができる。
【0018】
他の目的は、顆粒または粉体の形態をしたコーティングを提供することであり、これは、粉体塗料および液体塗料を色素化するための有機および無機染料の混合物を得るために使用されることができ、その結果、従来技術に従って顔料を使用する際に典型的に遭遇される不具合を克服する。
【0019】
特に、本発明の顆粒組成物は、予備被覆されていない純粋な顔料の代わりとして、粉体塗料配合物に半製品として使用されることができる。これらを使用すると、着色系の品質のより高い均一性および元々使用される顔料量の低減を達成して、予備被覆された物質が有している潜在着色性を実現することが可能である。顆粒形態は、その上、該物質の自動輸送を容易にし、粉塵汚染を低減する。
【発明の効果】
【0020】
本発明から得られる製品は、粉体塗料を着色および色素化するための半製品として使用され、または溶媒中に溶解後に液体塗料産業における着色ペーストとしても使用され、または、完成塗料に色合いを付けるための成分として、または熱可塑性および熱硬化性プラスチック(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートPET、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンABS、並びに多様な組成のポリウレタン、および多様な組成の強化および非強化ポリアミド)の両方に色素添加する、つまり着色するためにも使用されるだろう。
【0021】
特に、従来技術で知られたコーティングと比較して、本発明の顆粒組成物は、粉塵を完全に含まず、高い色素化効果(とともにその結果として着色コストの低減)を有し、最適の分散特性(すなわち、凝集しないこと)および易溶解特性を有し、かつ、高い相容性(すなわち、種々の系に、たとえばプラスチックの他に粉体塗料に使用されることができる。)を特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、より明白に説明される上記および他の目的は、アルデヒドまたはケトン樹脂による有機または無機顔料のコーティングであって、それが固形の有機および無機物質の粒子からなる化学化合物、すなわち上に定義された顔料とその表面に堆積されたアルデヒドまたはケトン樹脂との両方を含んでいることを特徴とするもの、によって達成される。
【0023】
本発明の主題は、したがって、少なくとも1のアルデヒドおよび/またはケトン樹脂によって被覆された有機または無機顔料からなる粒子組成物からなり、当該樹脂は平均分子量800〜2000ダルトンおよび融点70℃〜130℃を有する。
【0024】
「アルデヒドおよび/またはケトン樹脂」の語は、アルデヒド(好ましくは、脂肪族アルデヒド)またはケトン(好ましくは、シクロヘキサノンまたはメチルシクロヘキサノン)の縮合生成物、任意的に、たとえば尿素またはホルムアルデヒドとの縮合生成物を意味すると理解される。
【0025】
これらの樹脂は、着色剤の分野では周知であり、普通、該樹脂顆粒と顔料との単純な物理的混合によって粉体塗料配合物に、または顔料と溶媒中に溶解された樹脂とを混合することによって溶媒相の液体塗料配合物に使用される。アルデヒドまたはケトン樹脂の例は、たとえばBASF社によって市販されている製品、たとえばLaropal(商標)であり、これは引用によって本明細書に取り込まれ、特に、Laropal(商標)A 101およびA 81は尿素と脂肪族アルデヒドとの縮合生成物であり、他方、Laropal(商標)K 80はシクロヘキサノンの縮合生成物である。
【0026】
本発明の優先的な面に従うと、該アルデヒドおよび/またはケトンは、平均分子量900〜1400ダルトンおよび融点90℃〜110℃を有する。
【0027】
本発明の組成物は通常、顔料80重量%〜20重量%および樹脂80重量%〜20重量%を含んでおり、添加剤および/または助剤、たとえば補強用鉱物フィラーおよび/または分散剤を含有してもよい。無機顔料の場合、該組成物は、好ましくは顔料50〜70重量%および樹脂35〜45重量%、さらにより好ましくは顔料55〜65重量%および樹脂35〜45重量%からなり、有機顔料の場合、それは好ましくは顔料15〜40重量%、樹脂45〜75重量%、補強用鉱物フィラー1〜20重量%および分散剤0.1〜10重量%、さらにより好ましくは顔料20〜35重量%、樹脂50〜70重量%、不活性フィラー5〜15重量%および分散剤1〜7重量%からなる。補強用鉱物フィラーの中では、硫酸バリウムが好ましくは使用され、エポキシ化大豆油およびソルビタンエステルの中から、分散剤は選択されることができ、好ましくはUniqema社によってAtmer 116(商標)として販売されているエトキシル化ソルビタンエステルが使用される。
【0028】
当の組成物は、粉体または顆粒の形態をしていることができる。第一の場合には、粉体の粒子は寸法10〜100μを有することができ、第二の場合には、顆粒は長さ0.2〜8.8mmおよび直径0.4〜2.2mm、好ましくは長さ1.8〜2.2mmおよび直径1.0〜1.8mmを有することができ、本発明の可能な実施態様の一つに従えば、該組成物はそのグラム当たり顆粒80〜1000個を含有する。
【0029】
本発明に従う粒子配合物は、1の方法によって製造されることができ、その方法の最初の2段階は、該配合物が粉体の形態であるか顆粒の形態であるかに関らず、不変である。
【0030】
粉体および顆粒状物を混合するのに適した容器の内部で、顔料は樹脂と混合される。
【0031】
着色顔料、すなわち光スペクトルの一部分または全部を吸収し、その捕色部分を反射して、視認できる色を形成する物質と定義されることができる全ての有機および無機粉体を、本発明は包含する。
【0032】
本発明に従い、試験された顔料が以下に列挙される。
酸化鉄顔料、色調の異なる全てのその黄色、茶色、赤色および黒色のもの、全てのその物理的形態および結晶粒の部類のもの。
全ての種々の無機表面処理をされた酸化チタン顔料。
酸化クロム顔料、またニッケルおよびチタン酸ニッケルと共沈殿されたもの。
有機物燃焼からの黒色顔料。
銅フタロシアニンから誘導された青色および緑色顔料、また塩素化および臭素化されたもの、種々のアルファ、ベータおよびエプシロン結晶形態のもの。
スルホクロム酸鉛から誘導された黄色顔料。
バナジン酸鉛ビスマスから誘導された黄色顔料。
モリブデン酸スルホクロム酸鉛から誘導されたオレンジ色顔料。
アリールアミドに基づいた有機性質の黄色顔料。
ナフトールに基づいた有機性質のオレンジ色顔料。
ジケトピロロピロールに基づいた有機性質のオレンジ色顔料。
アゾ染料のマンガン塩に基づいた赤色顔料。
ベータオキシナフトエ酸のマンガン塩に基づいた赤色顔料。
赤色有機キナクリドン顔料。
赤色有機アンスラキノン顔料。
【0033】
使用されることができる各種のポリマーの中から、この顔料コーティングを得るのに適したものを突きとめるべく意図された研究作業は、分子量800〜2000を持ち、融点70℃〜130℃を持つアルデヒドおよびケトン樹脂の一群をもたらした。
【0034】
本発明は、温度20℃において固体状態にあるポリマーの、好ましくは完全な使用に関する。
【0035】
本発明は、顔料と樹脂との相対比が80〜20%およびその逆であるような、これらの樹脂とこれらの顔料との全ての混合物を包含する。
【0036】
調製された混合物は、加熱チャンバー押出機中へと導入される。
【0037】
本発明は、単軸および2軸押出機の使用方法にも関する。
【0038】
押出は好ましくは、使用されたアルデヒドまたはケトンポリマーの融解温度よりも5〜20℃高い押出機内部温度で実施される。
【0039】
押出機を出て行く融解された物質は好ましくは、冷却されたスチールシリンダーを使用して、冷却用ベルト上で冷却され、薄く広げられる。
【0040】
粉体配合物の場合、該物質は25℃より下まで冷却され、それから通常のピン型フレーキング機によってフレークにされる。
【0041】
次に、該フレークの形態をした物質は、種々の機械装置、たとえばピン型粉砕機を使用して細分化される。
【0042】
該半製品を特徴付け、識別する必須の条件は、作業温度10℃未満での作業に適した低温装置を使用して、細分化作業が実施されることである。
【0043】
細分化された粒子への形態変換は、融解されそして再固化された樹脂構造体の破断は行われるが、有機および無機顔料が両者とも完全に被覆されたままでいるように、温度20℃未満で行われなければならない。
【0044】
細分化作業は、塊状化防止剤および流動剤、たとえば酸化ケイ素および酸化アルミニウム粉体を0.2%未満に等しい量で導入することを想定している。
【0045】
細分化装置を出て行く物質は、標準化された粒度分布曲線を示すように等級分けされ、該粒度分布曲線は、本発明の目的のためには、いかなる場合にも例外的であってならない。
【0046】
等級分けされた物質は、次いで最終用途のために箱詰めされ、それによって本発明の目的物を形成する。
【0047】
他方、顆粒配合物の場合には、押出機を出て行く融解された物質はダイ中へ運ばれ、そこから一定の断面で延伸され、冷却され、そしてウォータージェットカッティング装置を使用する湿式法によって顆粒化される。好ましくは、Gala Industries社によって製造されているタイプのものであって、国際特許出願第01/21371号に記載されたウォータージェットカッティング顆粒化装置によって、顆粒は製造される。同公報は、引用によって本明細書に取り込まれる。
【0048】
顆粒の乾燥は、簡単な換気によって実施されることができ、遠心分離機およびろ過を使用して速度を上げることもできる。すなわち、本発明の好ましい実施態様では、顆粒化段階が上述のウォータージェットカッティング顆粒化装置によって実施される場合には、顆粒は振動篩上で水から分離され、そして次にスパイラルエレベータ上で乾燥される。
【0049】
本発明のさらなる面に従うと、このようにして得られた顆粒配合物は、粉体配合物を製造するために細分化段階に移送されることができる。
【0050】
特に、有機顔料に基づく配合物の場合には、分散剤の水性溶液が調製され(好ましくは、該配合物の全重量に対して10〜20%の量で、水が使用される。);樹脂が混合機中に導入され、当該溶液の約50%の量で濡らされ;顔料が混合の間に導入され、水性溶液の残りの量が添加され;不活性フィラーが添加され、混合終了後に生成物が排出され、そして次に押出機に移送される。
【0051】
有機顔料の場合および無機顔料の場合のどちらでも、混合は通常、速度800〜2200rpmで実施される。
【0052】
本発明を粉体塗料へ使用する方法
【0053】
予備被覆されていない純粋な顔料の代わりとして、本発明に従うコーティングは、粉体塗料配合物に好都合に使用されることができる。
【0054】
これらを使用すると、着色系のより均一な品質および元々使用される顔料量の低減が確保されて、予備被覆された物質が有する潜在着色性が実現される。
【0055】
塗装製品が意図されている最終用途のための特定の予備被覆された顔料の正確な量および正しい使用方法を決定することは、それを使用する当業者の技術的専門知識に任せられる。
【0056】
本発明を液体塗料へ使用する方法
【0057】
溶媒で希釈後、または溶媒で予備希釈された樹脂で希釈後、本発明に従うコーティングは、溶媒性液体塗料の配合物に好都合に使用されることができる。
【0058】
予備希釈方法は直接的であることができ、たとえば、スパイラル羽根並びに比表面積の増加によるエネルギー伝達によって、および多様な性質および大きさを持つボールを使用して混合することである。
【0059】
このようにして得られたペーストは、溶媒性液体塗料の製造に適した半製品を形成することができる。
【0060】
単純に塗料に添加して、そしてスパイラル羽根および表面積の増加によるエネルギー伝達によるような直接的手段を使用して、並びに多様な性質および大きさを持つボールを併せて使用して該添加に対応して溶解することによって、着色または色合い付け(色の修飾)のために、本発明に従うコーティングは、溶媒での予備希釈も、あるいは溶媒中に溶解された樹脂での予備希釈もいずれもされないで使用されることができる。
【0061】
本発明に従うコーティングは好ましくは、単一顔料を含有する配合物に使用され、図2に示された重量比でアルデヒドおよびケトン樹脂によって覆われることができ、図3から判るように、該アルデヒドおよびケトン樹脂の分子量は800〜2000の範囲にあり、融点70℃〜130℃を持つ。
【0062】
本発明の調製プロセスは、ポリマー融解温度よりも5〜20℃高い温度における高温プロセスを使用して、顔料上への樹脂性部分の押出しがされ、そしてベルトおよび冷却用シリンダーを使用して薄層へと冷却することによって、このコーティングが得られるようなものである。
【0063】
該プロセスは、形態変換が20℃未満で行われるような低温プロセスによる細分化を想定しており、その結果、融解されそして再固化された樹脂構造体の破断によって細分化が起きるが、顔料は、それが有機性であれ無機性であれ、完全に被覆されたままでいる。
【0064】
本発明はその任務を果たし、所定の目的を達成することが、実際に見出された。
【0065】
固形顔料を取り込むために押出すに際し、粉体塗料のポリマーを融解するときに添加される要素の標準化に不足するものを補うことができるコーティングを提供することが、実際に可能となった。
【0066】
本発明に従うコーティングは、ある程度の均一な品質を持つ、着色された粉体塗料の製造を許し、それは、顔料を樹脂中に取り込む工程が実施される際の環境条件にはもはや依存しないで、実際の押出工程によって管理されることができるパラメータの結果のみに依存する。
【0067】
予備被覆された顔料は、その表面の濡れ特性に対する影響力をもはや持たず、かつ、該樹脂の表面張力は、顔料混合物の均一性および色形成の目的に影響しないことを、上記は意味する。
【0068】
本発明に従うコーティングによって、上記の全ての不具合を克服することが可能である。というのは、予備被覆された顔料は、その顔料表面に付随する全ての効果を排除しており、溶媒中へ、またはさらに良好には溶媒中に溶解された樹脂の溶液中への単純な分散によっても、実際上直ちに使用できるからである。
【0069】
言うまでもなく、必要条件および技術水準に応じて、使用される物質並びにその大きさは任意でよい。
【0070】
本発明をプラスチックに使用する方法
【0071】
予備被覆された顔料の単色性顆粒化物は、プラスチック、すなわちポリエチレン、ポリプロピレン、PET、ABSおよびポリスチレン並びに種々の配合のポリウレタンエラストマーを着色するのに使用されることができる。個別に、および所定の色を生成するために一緒に混合されて、これは使用されることができる。
【0072】
種々の単色性顆粒を計量供給して混合すれば、最終色の組成物とすることができ、これはそのまま供給段階に付され、該供給段階は最終目的物の着色および/または製造のために、プラスチックの顆粒を融解状態へと変換する。
【0073】
言い換えれば、種々の単色の顆粒の混合物は、単純な混合によって多色の組成物となることができる。したがって、これは単色性顆粒に基づく着色系の組成物となることができ、その結果種々の単色性顔料から構成される色が得られる。
【0074】
本発明が同様に包含するプラスチック分野では、従来、染色およびそれに関連した着色に、マスターバッチが使用されてきた。
【0075】
マスターバッチは、有彩顔料と(最終的に使用される樹脂と同類の)樹脂との混合物であって、押出され顆粒化されたものである。
【0076】
これらのマスターバッチは、押出前にプラスチックに少量で添加され、プラスチックの全体を着色する。
【0077】
同じ物質および同じ色を常時使用する、連続かつ一定の押出である、ある特定の場合には、液状マスターバッチによってプラスチックを着色することが可能であり、該液状マスターバッチは、顔料が液状ベヒクル、たとえば可塑剤(ポリ酸エステル)中で粉砕されたものである。
【0078】
押出による着色前に、該液状マスターバッチは、押出機のヘッド上に供給される。
【0079】
アルデヒドまたはケトン樹脂で予備被覆された顔料である単一顔料の顆粒が、プラスチックの着色押出の前に計量供給されて使用されたことはこれまでなかった。
【0080】
完成色のマスターバッチが関与する複雑な調製手順を経る必要なく、これらの顆粒は最終色をプラスチック全体に与えることができる。
【0081】
本発明の目的は、既に予備粉砕されている顔料の量を計量供給し、その元の顔料の取扱いをより有害でなくすることを可能にするという目的である。
【0082】
その上、アルデヒドまたはケトン樹脂に基づいたコーティングの大きい分子易動性の故に、本発明に従う単色性半製品によって、および顆粒化物によって、プラスチック、粉体塗料および液体塗料の均一な着色を達成することが可能である。
【0083】
好ましいが限定的ではない本発明の実施態様の記載を検討することによって、本発明の主題のさらなる特徴および利点は、よりはっきりと明らかになり、該実施態様は添付図面の非限定的実施例によって例示される。
【0084】
以下の実施例は、純粋に例示的かつ非限定的な役割を有し、顆粒形態および粉体形態の両方の本発明の粒子組成物を続いて製造するために、押出機に運ばれるべき化合物の考えられ得る混合物のいくつかを明らかにする。ここで、水は乾燥の間に除去されているので、言うまでもなく最終配合物の一成分と解釈されてはならない。また、割合は、重量部と解釈されなければならない。
【0085】
〔実施例1〕
・緑色顔料(銅フタロシアニンに基づいたもの)
30部
・硫酸バリウム
10部
・atmer 116
5部
・laropal A 81
55部
・水
12部
【0086】
〔実施例2〕
・黒色顔料(カーボンブラック)
25部
・硫酸バリウム
10部
・atmer 116
2部
・laropal A 81
63部
・水
14部
【0087】
〔実施例3〕
黄色顔料(銅フタロシアニンに基づいたもの)
60部
・laropal A 81
40部
【0088】
〔実施例4〕
青色顔料(鉄フタロシアニンに基づいたもの)
30部
・laropal A 81
70部
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1a】図1aは、本発明に従う粉体コーティングの考えられ得る製造プラントの図を示す。
【図1b】図1bは、本発明に従う顆粒コーティングの考えられ得る製造プラントの図を示す。
【図2】図2は、本発明に従うコーティングの使用範囲を示す図である。
【図3】図3は、本発明に従うコーティングの混合物中における顔料と樹脂との相対比を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1のアルデヒドおよび/またはケトン樹脂で被覆された顔料からなる粒子組成物であって、当該樹脂が平均分子量800〜2000ダルトンおよび融点70℃〜130℃を有するところの、上記粒子組成物。
【請求項2】
当該樹脂が平均分子量900〜1400ダルトンを有することを特徴とする、請求項1に従う組成物。
【請求項3】
当該樹脂が融点90℃〜110℃を有することを特徴とする、請求項1または2に従う組成物。
【請求項4】
当該アルデヒド樹脂が、脂肪族アルデヒドと尿素との縮合生成物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に従う組成物。
【請求項5】
当該ケトン樹脂が、シクロヘキサノンまたはメチルシクロヘキサノンの縮合生成物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に従う組成物。
【請求項6】
当該ケトン樹脂が、シクロヘキサノンまたはメチルシクロヘキサノンと尿素またはホルムアルデヒドとの縮合生成物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に従う組成物。
【請求項7】
当該顔料が、有機顔料および無機顔料の中から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に従う組成物。
【請求項8】
当該顔料が、酸化鉄顔料、酸化チタン顔料、ニッケルおよびチタン酸ニッケルと共沈殿された酸化クロム顔料、有機物燃焼からの黒色顔料、銅フタロシアニンからの青色および緑色顔料、スルホクロム酸鉛若しくはバナジン酸鉛ビスマスからの黄色顔料、モリブデン酸スルホクロム酸鉛からのオレンジ色顔料、アリールアミドに基づいた黄色顔料、ナフトールに基づいたオレンジ色顔料、ジケトピロロピロールに基づいたオレンジ色顔料、アゾ染料のマンガン塩に基づいた赤色顔料、ベータオキシナフトエ酸のマンガン塩に基づいた赤色顔料、キナクリドンに基づいた赤色顔料、並びにアンスラキノンに基づいた赤色顔料、またはこれらの混合物の中から選択されることを特徴とする、請求項7に従う組成物。
【請求項9】
当該顔料80〜20重量%および当該樹脂80〜20重量%を含有していることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に従う組成物。
【請求項10】
無機顔料80〜20重量%、好ましくは50〜70重量%、および樹脂80〜20重量%、好ましくは30〜50重量%からなることを特徴とする、請求項9に従う組成物。
【請求項11】
無機顔料55〜65重量%および当該樹脂35〜45重量%からなることを特徴とする、請求項10に従う組成物。
【請求項12】
有機顔料15〜40重量%、樹脂45〜75重量%、補強用鉱物フィラー1〜20重量%および分散剤0.1〜10重量%からなることを特徴とする、請求項9に従う組成物。
【請求項13】
有機顔料20〜35重量%、樹脂50〜70重量%、補強用鉱物フィラー5〜15重量%および分散剤1〜7重量%からなることを特徴とする、請求項12に従う組成物。
【請求項14】
当該補強用鉱物フィラーが、硫酸バリウムであることを特徴とする、請求項12または13に従う組成物。
【請求項15】
当該分散剤が、エポキシ化大豆油およびソルビタンエステル、好ましくはエトキシル化ソルビタンエステルの中から選択されることを特徴とする、請求項12または13に従う組成物。
【請求項16】
粉体または顆粒の形態をしていることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に従う組成物。
【請求項17】
当該顆粒が、長さ0.2〜8.8mmおよび直径0.4〜2.2mmを有することを特徴とする、請求項16に従う組成物。
【請求項18】
当該顆粒が、長さ1.8〜2.2mmおよび直径1.0〜1.8mmを有することを特徴とする、請求項17に従う組成物。
【請求項19】
組成物グラム当たり顆粒80〜1000個を含有することを特徴とする、請求項16に従う組成物。
【請求項20】
粉体粒子が、寸法10〜40μを有することを特徴とする、請求項16に従う組成物。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に従う組成物を、粉体塗料、液体塗料およびプラスチックの調製に使用する方法。
【請求項22】
樹脂を融解すること、該融解された樹脂で顔料の全表面を濡らすこと、このようにして得られた混合物を押出すこと、それを冷却すること、その後、湿った状態において顆粒化すること、そして乾燥することを含む、請求項16に従う顆粒組成物を調製する方法。
【請求項23】
樹脂を融解すること、該融解された樹脂で顔料の全表面を濡らすこと、このようにして得られた混合物を押出すこと、それを冷却すること、そしてその後、温度10℃未満でそれを細分化することを含む、請求項16に従う粉体組成物を調製する方法。
【請求項24】
樹脂の融解温度よりも5〜20℃高い押出機の内部温度で、押出が実施されることを特徴とする、請求項22または23に従う方法。
【請求項25】
単軸および2軸押出機、好ましくは加熱チャンバータイプのものの使用を含むことを特徴とする、請求項22または23に従う方法。
【請求項26】
冷却されたスチールシリンダーを使用してベルト広がり面上で冷却が実施されることを特徴とする、請求項23に従う粉体組成物を調製する方法。
【請求項27】
好ましくは25℃より下まで冷却された物質が、細分化される前にフレークにされることを特徴とする、請求項23に従う粉体組成物を調製する方法。
【請求項28】
フレークの形態をした物質が、ピン型粉砕機または他の機械装置を使用して細分化されることを特徴とする、請求項23に従う粉体組成物を調製する方法。
【請求項29】
細分化が20℃未満で実施されることを特徴とする、請求項23に従う粉体組成物を調製する方法。
【請求項30】
塊状化防止剤および流動剤、たとえば酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素粉体の、好ましくは0.2重量%未満の量での存在下に、細分化が実施されることを特徴とする、請求項23に従う粉体組成物を調製する方法。
【請求項31】
押出機を出て行く融解された物質が、ウォータージェットカッティング装置による湿式法を使用して冷却され、そして顆粒化されることを特徴とする、請求項23に従う顆粒組成物を調製する方法。
【請求項32】
顆粒が、振動篩上で水から分離され、そして次にスパイラルエレベータ上で乾燥されることを特徴とする、請求項31に従う顆粒組成物を調製する方法。
【請求項33】
顆粒の細分化段階を含む、請求項22、31および32のいずれか1項に従う方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−503121(P2009−503121A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553785(P2007−553785)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【国際出願番号】PCT/IT2005/000443
【国際公開番号】WO2006/082603
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(507259589)インエクセル エス.アール.エル. (1)
【Fターム(参考)】