説明

アルミナ及びジルコニアに基づく焼結製品

アルミナ及びジルコニアに基づく焼結製品
最小粒径と最大粒径の比が0.6超であり、以下の化学分析を有する焼結粒子
重量百分率として:
・CeOとYで部分的に安定化されたZrO:100%への残部;
・Al:10〜60%;
・CaO、酸化マンガン、La,SrO、BaO及びそれらの混合物から選択される添加剤:0.2%〜6%;
・ただしCaOの量は2%より少ない;
・不純物:<2%;
・ジルコニアはCeOとYで安定化されており、CeOとYは、ZrOとCeOとYの合計に基づくモル百分率で
・CeO:6モル%〜11モル%;及び
・Y:0.5モル%〜2モル%;
となるようなモル量で含まれる;
・該粒子は1300℃より高い焼結温度にて焼結することによって得られ、該焼結温度は、添加剤がCaOである、又は、CeOモル含有量が10%〜11%の範囲にあれば、1400℃より高い。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミナ及びジルコニアに基づく焼結製品、特に焼結ビーズ、及び粉砕機でのそれの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
用語「耐熱製品」は溶融キャスト成形された製品及び焼結製品を包含する。
【0003】
焼結製品に比べ、溶融キャスト成形された製品は、非常にたくさんの粒間のガラス質の相を通常含み、該ガラス質の相は結晶化された粒子の列を埋める。それぞれの用途で焼結製品と溶融キャスト製品によって引き起される問題、及びそれを解決するために採用される技術的解決策は、従って一般的に異なる。さらに、その製造方法のかなりの相違のために、溶融キャスト製品を製造するために開発された組成物は、先験的に、焼結製品の製造のために使用することができず、その逆も成り立つ。
【0004】
焼結製品は適切な出発原料を混合し、次いで、その未焼成の混合物を成形し、得られた未焼成体をその未焼成体を焼結するのに十分な温度と時間において加熱することにより得られる。
【0005】
その化学構成に依存して、焼結製品は多様な特性を有しており、そのため非常に広く多様な産業の為に意図される。
【0006】
一つの特定の用途は、通常ビーズ状での、粉砕媒体としての焼結製品の使用であり、特に鉱物、無機材料又は有機材料を微粉砕するための使用である。その用途において、該ビーズは80℃を超えてよい温度で水性媒体中または溶剤中で分散され、その後、粉砕される材料との接触、相互接触、及び粉砕機の部品との接触により摩擦を受ける。それ故に、該ビーズの耐用年数は、水性媒体や溶剤中でのそれらの耐摩耗性に直接的に依存する。
【0007】
米国公開第2009/0036291号(国際公開第2009/018024号)はジルコニア及びアルミナニ基づく焼結ビーズを開示しており、該焼結ビーズは、約9%〜12%の酸化セリウムCeOと、0.01%〜0.8%の範囲にある酸化カルシウムCaOを含有する。該文献は、該焼結ビーズをCeO−TZPビーズ(「CeO安定化正方晶ジルコニア多結晶体」)と比較しているが、過去のデータに基づいて、水性媒体中での能力が低いことで知られているY−TZPビーズと該焼結ビーズを比較する必要はないことを考察している。
【0008】
焼結ビーズの組成を、特に新規の酸化物を少量ではあるが組み込むことによって修正することは、非常に本質的な結果を該焼結ビーズの性質にもたらすだろう。ジルコニアを加熱処理又は機械的処理することによってジルコニアの安定化相の量が修正されることも知られている。
【0009】
特に粉砕粒子が80℃超の温度で水に接触するとき(以下でその様な条件を「熱水条件」と言う)には、粉砕作業の生産性を向上するために、粉砕粒子は熱液体媒体中での高い耐劣化性を有しつつ、これまで以上に耐摩耗性である必要がある。
【0010】
更に、粉砕生産性の向上、つまり所定のコスト当たりの粉砕された物質の最大量を得ること、を目的とする変わらぬ要望がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的の一つは、それらの必要性を、少なくとも部分的に、満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下の化学分析を有する焼結粒子を提供する。
重量百分率として:
・CeOとYによって部分的に安定化されたZrO:100%への残部;
・Al:10〜60%;
・CaO、酸化マンガン、ZnO、La、酸化プラセオジム、SrO、酸化銅、Nd、BaO、酸化鉄及びそれらの混合物から選択される添加剤:0.2%〜6%;
・ただしCaOの量は2%より少ない;
・不純物:<2%;
・CeOとYは、ZrOとCeOとYの合計に基づくモル百分率で、
・CeO:6モル%〜11モル%;及び
・Y:0.5モル%〜2モル%;
であるような量で存在する:
該粒子は1300℃より高い焼結温度にて焼結することによって得られ、該焼結温度は
(C1)添加剤がCaOであるとき、又は、
(C2)CeOモル含有量が10%〜11%の範囲にあるときは
1400℃より高い、好ましくは1425℃より高い。
【発明の効果】
【0013】
以下の記載でより詳細に説明する通り、当該焼結粒子は熱水条件下であっても優れた耐摩耗性を有する。
【0014】
さらに、上記粒子の密度は比較的低い。粉砕機に投入することができる粒子の重量が通常には制限因子である故に、本発明の焼結粒子の密度は、有利に、多数の該粒子を投入できる事を意味している。
【0015】
さらに、上記粒子は低減されたジルコニア及びCeO含有量を持つ。ジルコニア及びセリウムは高価な物質であるため、所定の予算で、より多くの焼結粒子を生産すること及び多数の粒子を粉砕機中に投入することが可能である。従って、本発明の焼結粒子は非常に高い粉砕収率を得るために使用され得る。
【0016】
要するに、本発明の焼結粒子は、熱水条件下での耐摩耗性と粉砕収率の間での優れた妥協案を得ることができることを意味している。
【0017】
本発明の焼結粒子は、以下の任意的な特徴の1以上を有することもできる。
【0018】
CeOの上記モル量は、ZrO、CeO及びYの合計に基づくモル百分率で10.0%未満、好ましくは9.5%未満であり、及び/又は、好ましくは7.0%超、より好ましくは7.5%超、さらに好ましくは8.0%超、さらには8.5超である。
【0019】
の上記モル量は、ZrO、CeO及びYの合計に基づくモル百分率で1.9%未満、1.7%未満、1.5%未満、1.2未満、及び/又は、0.7%超、更には0.8%超である。
【0020】
特定の態様において、CeOの上記モル量は、ZrO、CeO及びYの合計に基づくモル百分率で8.5%〜9.5%の範囲にあり、Yの上記モル量は、ZrO、CeO及びYの合計に基づくモル百分率で0.8%〜1.2%の範囲にある。
【0021】
アルミナAlの量は、酸化物に基づく重量百分率で15%超、さらには20%超であり、及び/又は、55%未満、さらには50%未満、さらには40%未満、あるいはさらには35%未満である。
【0022】
酸化マンガンはMnO、MnO、Mn、Mn、及びその混合物から選択される。好ましくは、酸化マンガンはMnO、Mn、及びその混合物から選択される。
【0023】
酸化プラセオジムはPr11である。
【0024】
酸化銅はCuOである。
【0025】
酸化鉄はFeO、Fe、及びその混合物から選択される。
【0026】
添加剤はCaO、MnO、MnO、Mn、Mn、ZnO、La、SrO及びそれらの混合物から選択される。
【0027】
添加剤はCaO、酸化マグネシウム、La、SrO、BaO及びそれらの混合物から選択され、好ましくはCaO、MnO、MnO、Mn、Mn及びそれらの混合物から選択される。
【0028】
好ましくは、添加剤はCaO、MnO、Mn及びそれらの混合物から選択される。さらに好ましくは、添加剤はCaOとMnO及び/又はMnとの混合物である。
【0029】
好ましくは、添加剤はCaO、MnO及びそれらの混合物から選択される。さらに好ましくは、添加剤はCaOとMnOの混合物である。
【0030】
添加剤の量は、酸化物に基づく重量百分率で0.3%超、0.4%超、さらには0.5%超、さらには0.6%超であり、及び/又は5%未満、さらには4%未満、さらには3%未満、さらには2.5%未満、さらには2%未満、さらには1.5%未満、さらには1%未満である。
【0031】
添加剤はCaOを含有し、CaOの量は、酸化物に基づく重量百分率で0.3%超、さらには0.4%超、さらには0.5%超であり、及び/または1.5%未満、好ましくは1%未満、さらには0.8%未満、さらには0.6%未満である。
【0032】
添加剤はCaOと、MnO、MnO、Mn、Mn、ZnO、La、SrO及びそれらの混合物から選択される、特には、MnOとMnの混合物、第二の添加剤成分を含む。上記第二の添加剤成分の量は、酸化物に基づく重量百分率で好ましくは0.1%超、0.2%超であり、及び/又は4.0%未満、好ましくは3.5%未満、さらには3.0%未満、さらには2.5%未満、さらには2.0%未満、さらには1.5%未満、さらには1.0%未満、さらには0.8%未満、さらには0.6%未満、さらには0.5%未満、あるいは0.4%未満、さらには0.3%未満である。
【0033】
Laの量は、酸化物に基づく重量百分率で5.2%未満、5.0%未満、さらには4.5%未満である。
【0034】
不純物の量は、酸化物に基づく重量百分率で1.0%未満、好ましくは0.8%未満、好ましくは0.5%未満、さらには0.3%未満である。一態様においては、不純物は酸化物によって構成されている。
【0035】
好ましくは、シリカSiOの量は、酸化物に基づく重量百分率で1.5%未満、1.0%未満、好ましくは0.7%未満、好ましくは0.5%未満である。
【0036】
粒子は、1320℃以上、1400℃超、1425℃超であり、及び/又は1550℃未満の温度で焼結することによって得られる。特には、それは、以下で説明する本発明に従う方法により得ることができる。
【0037】
好ましくは、本発明に従う焼結粒子の、部分的に安定化されたジルコニアグレインとアルミナグレインのセットの平均径は、3μm(マイクロメーター)未満、好ましくは2.5μm未満、さらには2μm未満、さらには1.5μm未満、さらには1μm未満、さらには0.8μm未満であり、好ましくは0.1μm超である。
【0038】
焼結粒子はビーズ状であり、好ましくは0.7超の球形度を有するビーズ状である。
【0039】
焼結粒子は細長い形状を有するグレインを有する。
【0040】
細長い形状を有するグレインの、数で80%超、90%超、さらには実質上100%が、全体的に直線で囲まれた形を有する。
【0041】
X線回折により測定された細長い形状を有するグレインの数は、好ましくは0.05%超、好ましくは0.10%超、好ましくは0.15%超、好ましくは0.20%超、好ましくは0.25%超、好ましくは0.3%超、さらには0.4%超、及び/又は、5%未満、3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満である。細長い形状を有するグレインの数の測定は、本記載の残りの部分で詳述する。
【0042】
上記細長い形状を有するグレインは、元素Al及び添加剤として加えられた酸化物の金属カチオン成分(Ca、及び/又はMn、及び/又はZn、及び/又はLa、及び/又はPr、及び/又はSr、及び/又はCu、及び/又はNd、及び/又はBa、及び/又はFe)を含有する。上記細長い形状を有するグレインは元素セリウム(Ce)を含有していてもよい。それ故に、添加剤がCaO及びMnOを有する場合に、細長い形状を有するグレインは元素Al、Ca、Mn、及びCeを含有する。焼結粒子の密度は、4.8g/cm[グラムパー立方センチメートル]超、さらには4.9g/cm超であり、及び/又は、5.5g/cm未満、さらには5.3g/cmである。
【0043】
焼結粒子は、熱間静圧圧縮成形(HIP)を含まない方法を使用して製造される。
【0044】
焼結粒子は、ドリップキャスティング工程を含む方法を使用して製造される。
【0045】
本願発明は、本発明に従う焼結粒子を重量百分率で90%超、好ましくは95%超、好ましくは約100%の量で含有する粒子のセットをもまた提供する。
【0046】
本発明は、本発明に従う焼結粒子、特には焼結ビーズを製造する方法をもまた提供し、該方法は以下の順次の段階を有する。
【0047】
a)必要ならば、1以上の出発原料粉体を粉砕し、好ましくは共粉砕によって粉砕して、該粉体を混合して1.0μm未満のメジアン径を有する粒子混合物を得る。
b)上記粉体から懸濁物を調製し、懸濁物の組成は、段階f)の最後で、本発明の焼結粒子に一致する組成を有する焼結粒子を得るように適合されている。
c)懸濁物の滴を硬化して、未焼成粒子を形成する。
d)洗浄する。
e)乾燥する。
f)1300℃超の焼結温度で焼結して、焼結粒子を得る。
焼結温度は
(C’1)懸濁物が、Mn、Zn、Cu、Pr、Nd、Sr、La、Ba、またはFeの化合物を含まない、つまり焼結粒子中の添加剤がCaOである、あるいは、
(C’2)懸濁物が、段階f)の最後で得られた焼結粒子のCeOモル含有量がZrO、CeO、及びYの合計に基づくモル百分率で10〜11%の範囲にあるなら、1400℃超であり、好ましくは1425℃超である。
【0048】
本発明に従う方法は、以下の任意的な特徴の1以上を含み得る。
【0049】
1以上の出発原料粉体を粉砕するために段階a)を行って、好ましくは共粉砕により行って、その粉体を混合することによって、0.6μm未満、好ましくは0.5μm、好ましくは0.3μm、好ましくは0.2μmの平均径を有する粒子混合物を得ること。
【0050】
該方法は、少なくとも焼結段階の終りより前に、静圧圧縮成形を含まず、特には熱間静圧圧縮成形(HIP)を含まないこと。
【0051】
焼結温度は1550℃未満であること。
【0052】
焼結温度は1320℃以上、あるいは1400℃超、あるいは1425℃超であること。
【0053】
本発明はまた、本発明の焼結粒子を、あるいは、本発明に従う方法を使用して製造された又は製造されることができる粒子を、粉砕媒体として、特には微粉砕のための媒体として使用する方法を提供する。本発明はまた、本発明に従う焼結粒子を有する粉砕機を提供する。
【0054】
本発明はまた、粒子混合物を提供し、該粒子混合物は、ZrO、Al、CeO、及びYの粒子、及び任意的にCaO、及び/又は酸化マグネシウム、及び/又はZnO、及び/又はLa、及び/又は酸化プラセオジム、及び/又はSrO、及び/又は酸化銅、及び/又はNd、及び/又はBaO、及び/又は酸化鉄の粒子、及び/又は上記酸化物の前駆体の粒子を、該粒子混合物を焼結することによって本発明に従う焼結粒子が得られるような割合で含有する。
【0055】
有利には、上記粒子混合物は出来合いである。特に、段階b)で懸濁物の製造の為に使用されてよい。
【0056】
特に、本発明に従う粒子混合物は袋に詰めこまれていてもよい。
【0057】
好ましくは、粒子混合物のメジアン径は1μm未満、好ましくは0.6μm未満、好ましくは0.5μm未満、好ましくは0.3μm未満、さらには0.2μm未満である。
【0058】
定義
用語「粒子」は、粉体中にある固体物質の一つの個体を意味する。
【0059】
用語「焼結」は、1100℃超の加熱処理による、粒子の塊の、その成分の或る部分(しかしその成分の全部ではない)の部分的な又は全体的な融合をたぶん伴う、団結、を言い表すために使用される。
【0060】
用語「ビーズ」は、球形度、つまりその最小直径に対する最大直径の比、が0.6超である粒子を意味し、該粒径度が得られた方法には関係しない。
【0061】
粒子のセットの「メジアン径」は、通常D50と示され、上記セットの粒子を等質量の第一及び第二の集団に分割するサイズであり、上記第一及び第二の集団は、夫々、メジアン径より大きいサイズを有する粒子のみ、又はメジアン径より小さいサイズを有する粒子のみを含む。メジアン径は例えばレーザー粒度計を使用して測定されてよい。
【0062】
焼結粒子のグレインの「平均径」は、「平均リニアインターセプト」法を使用して測定される寸法である。このタイプの測定方法はASTM E1382法に記載されており、グレイン分布の関数である較正係数も適用される。
【0063】
用語「酸化マグネシウム」は、マグネシウムの1以上の酸化物を意味する。特には、MnO、Mn、MnO、及びMnが言及されうる。
【0064】
用語「酸化鉄」は、1以上の酸化鉄を意味する。特には、FeO、Fe、Feが言及されうる。
【0065】
用語「酸化プラセオジム」は、プラセオジムの1以上の酸化物を意味する。特には、Prが言及されうる。
【0066】
用語「酸化銅」は、銅の1以上の酸化物を意味する。特には、CuO及びCuOが言及されうる。
【0067】
用語「不純物」は、出発物質と一緒に必然的に導入される避けがたい成分を意味する。特には、酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物、酸炭化物、炭窒化物、及び金属ナトリウム族、及び、他のアルカリ、バナジウム、及びクロムに属する化合物、が不純物である。述べ得る例は、NaOまたはMgOである。これに対し、酸化ハフニウムは不純物とは考えられない。
【0068】
HfOはZrOから化学的に分離することができない。ジルコニアを含有する製品の化学組成において、「ZrO」はそれ故にこれら二つの酸化物の合計量を示す。しかし、本発明において、HfOは出発投入物に意図的に加えられない。このように、その酸化物はジルコニアの原料中に通常2%未満の量で常に自然に存在しているため、「HfO」は単に微量の酸化ハフニウムを示す。そして明確性のために、ジルコニアと微量の酸化ハフニウムの量は、互換的に「表示Zr+HfO」又は「ZrO」又は「ジルコニア含有量」であってよい。
【0069】
用語、酸化物の「前駆体」は、本発明に従う焼結粒子の製造の間に上記酸化物を供給できる成分を意味する。例えば、炭酸バリウムBaCOは、BaOの可能性ある前駆体である。
【0070】
用語、グレインの「形状因子」は、「F」で表わされ、グレインの最大寸法「Ga」の、寸法Gaの方向に垂直に測定された最大寸法「Pa」に対する比の逆数として使用されており、F=Pa/Gaである。これらの寸法は、焼結粒子の研磨された切片の観察の平面で測定され、該測定は従来のように当該切片の写真を使用する(図1参照)。
【0071】
用語「細長い形状を有するグレイン」は0.4未満の形状因子Fを有するグレインを意味する。
【0072】
発明者らは本発明の製品が、添加剤の作用として、ヒボナイト型の相及び/または マグネトプランバイト型の相を含み、それらの相は細長い形状を有するグレインにのみ実質的に存在していることを確認した。それ故に、それらの相の量の測定は細長い形状を有するグレインの量を評価する手段として用いられ得る。従って、「細長い形状を有するグレインの数」は、a%として、以下の式(1)を使用して定義される。
T=100×(A細長いグレイン)/(A細長いグレイン+AAl2o3+AZro2) (1)
【0073】
上記式中、A細長いグレインは、
・ヒボナイト型相の<110>反射に相当するピーク(ICDDファイルNo38−0470)の、及び
・マグネトプランバイト型相の<107>反射に相当するピーク(ICDDファイルNo04−0704)の
X線回折図にて測定された面積の合計である。
【0074】
Al2O3は、Al相の<012>反射に相当するピーク(ICDDファイルNo43−1484)の同じ図において測定された面積であり、24.5°〜26.5°の範囲で2θ測角領域にて測定され、理論上は25.58°の角2θに中心を置かれる。
【0075】
ZrO2は、ZrO正方晶系相の<111>反射に相当するピーク(ICDDファイルNo17−0923)の同じ図において測定された面積であり、26.5°〜31.3°の範囲で2θ測角領域にて測定され、理論上は30.19°の角2θに中心を置かれる。
【0076】
面積A細長いグレイン、AAl2O3及びAZrO2の測定は、銅X線回折管を備えるパナリティカル社製のX’パート型回折計を使用して得られた同じX線回折図にて実施された。ステップサイズは、24.5°〜26.5°及び31.3°〜33.6°の2θ測角範囲で0.008°及び600秒/ステップに、26.5°〜31.3°の2θ測角範囲で0.033°及び300秒/ステップに調整された。擬似ヴォイト関数を用いた解析処理は、ブルカー社製のTOPASソフトウエアを用いて、秒当たりカウントで表示されるピークの振幅について行われた。
【0077】
用語「ヒボナイト型相の<110>反射に相当するピーク」及び「マグネトプランバイト型相の<107>反射に相当するピーク」は、31.19°〜33.19°及び31.29°〜33.29°夫々での2θ測角範囲における最大ピークを表すために使用される。これらの範囲は32.19°及び32.29°の2θ角に中心を置かれており、純粋なヒボナイト相のピーク(ICDDファイルNo38−0470)及び純粋なマグネトプランバイト相のピーク(ICDDファイルNo04−0704)に夫々対応している。角2θについてこれら値に相対的なオフセットは、使用した添加剤の性質の函数である。添加剤の性質はまた、ヒボナイト型相の<110>反射に相当するピーク及び/またはマグネトプランバイト型相の<107>反射に相当するピークの存在を決定する。
【0078】
特に明記しない限り、製品の組成に関する百分率又は出発投与量に関する百分率は全て、酸化物に基づく重量百分率であり、CeOとYの百分率は全てZrO、CeO、及びYの合計に基づくモル百分率である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
本発明のその他の特徴及び有利な点は、以下の詳細な説明及び添付する図面により明らかになり、ここで図1は、本発明に従って、1375℃の温度での焼結の後に得られた、実施例2の焼結粒子の研磨された切片の写真であり、該粒子は、研磨の後に1275℃、30分間の熱処理を受けてグレイン境界をはっきり見えるようにしたものである。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本発明の焼結粒子を製造する為に、上述した及び以下に詳しく説明する段階a)〜f)が実行されてよい。
【0081】
好ましくは、使用された粉体、特にはZrO粉体、アルミナ(Al)粉体、Y粉体、CeO粉体及び粉末状添加剤は、夫々、5μm未満、さらには3μm未満、1μm未満、0.7μm未満、好ましくは0.6μm未満、好ましくは0.5μm未満、好ましくは0.3μm未満、さらには0.2μm未満のメジアン径を有する。有利には、これら粉体の各々が1μm未満、好ましくは0.6μm未満、好ましくは0.5μm未満、好ましくは0.3μm未満、さらには0.2μm未満のメジアン径を有するときに、段階a)は任意的である。
【0082】
低いメジアン径を有する使用粉体の使用はまた、焼結温度が低減され得ることを有利に意味する。
【0083】
好ましくは、使用されるジルコニア粉体は、BET法を用いて計算された、5m/g[平方メートル/グラム]超、好ましくは8m/g超、好ましくは10m/g超であり、及び30m/g未満である比表面積を有する。有利には、段階f)での焼結温度が低減され、及び、通常懸濁物での、段階a)の粉砕と段階b)で懸濁物とすることがそれ故に促進される。
【0084】
段階a)において、出発原料粉体が望ましいグレイン径分布を有していないならば、特には該粉体が1μm超、0.6μm超、0.5μm超、0.3μm超、あるいは0.2μm超のメジアン径を有しているなら、出発原料粉体は個々に粉砕されてよく、又は、好ましいならば、それらは共粉砕される。
【0085】
段階b)において、「スリップ」として知られている、水または溶剤に基づく懸濁物は、室温で調製され、ZrO、Al、CeO、及びYの粉体を含有し、適切ならば、CaO、及び/又は酸化マグネシウム、及び/又はZnO、及び/又はLa、及び/又は酸化プラセオジム、及び/又はSrO、及び/又は酸化銅、及び/又はNd、及び/又はBaO、及び/又は酸化鉄の粉体の1以上を含有する。
【0086】
これらの粉体は、上述した酸化物の為の前駆体粉末に少なくとも部分的に置き換えられてもよく、同等量で導入されてよい。
【0087】
本発明者らは、CaO、及び/又は酸化マグネシウム、及び/又はZnO、及び/又はLa、及び/又は酸化プラセオジム、及び/又はSrO、及び/又は酸化銅、及び/又はNd、及び/又はBaO、及び/又は酸化鉄、及び/又は上記酸化物の前駆体の添加が、焼結粒子に含まれる細長い形状を有するグレインの量が増やされ、機械的性能が向上されることを意味することを発見した。
【0088】
本発明者らは、また、酸化マグネシウム、及び/又はZnO、及び/又はLa、及び/又は酸化プラセオジム、及び/又はSrO、及び/又は酸化銅、及び/又はNd、及び/又はBaO、及び/又は酸化鉄、及び/又は上記酸化物の前駆体の添加は、本発明の焼結粒子中にあるCeOのモル量が7%〜10%の範囲にあるなら、焼結温度が1400℃未満、1350℃未満、さらには1300℃にまで下げられ得ることを意味することを発見した。
【0089】
酸化物や前駆体を供給する粉体は、好ましくは、不純物の合計量が酸化物に基づく重量百分率で2%未満となるように選択される。
【0090】
ある特定の態様では、Yは、酸化イットリウムで部分的に安定化されたジルコニアの形態で導入される。
【0091】
一方、好ましくは、CeOは、酸化セリウムで部分的に安定化されたジルコニアの形態では部分的にのみ導入されるか、あるいは全く導入されない。
【0092】
スリップは好ましくは、50重量%〜70重量%の範囲にある固形分含有量を有する。
【0093】
当業者に周知であるように、懸濁物は以下の成分をも含んでいてもよい。
・固形分に基づく重量百分率で0〜10%の量の分散剤。
・固形分に基づく重量百分率で0〜3%の量の粘度安定剤、又は凝集防止剤。
・固形分に基づく重量百分率で0〜3%の量の表面張力変更剤。
・固形分に基づく重量百分率で0〜2%の量のゲル化剤。
【0094】
分散剤、又は凝集防止剤、表面張力変更剤、及びゲル化剤は当業者に周知である。このことは所定のゲル化剤との反応に適した電界質にも妥当する。
【0095】
記載される例は、
分散剤または凝集防止剤として、ナトリウムまたはアンモニウムポリメタクリレート群、ナトリウムまたはアンモニウムポリアクリレート群、ポリアクリル酸群(アンモニウムまたはナトリウム塩)、または、その他の高分子電解質、クエン酸塩群、例えばアンモニウム、リン酸ナトリウム群、及びカルボン酸エステル群、
表面張力変更剤として、ある脂肪族アルコールのような有機溶媒、及び、
ゲル化剤として、天然多糖群のいずれかである。
【0096】
これらの成分の全ては後続の製造段階の間に消失するが、僅かな痕跡が残っていてもよい。
【0097】
好ましくは、前駆体及び/又は酸化物粉体は、ボールミル中にて水と分散剤/凝集防止剤との混合物に添加される。かき混ぜた後、ゲル化剤が溶解された水が添加されて、懸濁物を得る。
【0098】
段階c)において、懸濁物を、口径を定められたオリフィスを通して流すことによって懸濁物の滴が得られる。オリフィスを離れる滴はゲル化溶液(ゲル化剤と反応する電解質)の溶液槽の中に落ち、そこでそれらは実質的に球状になった後に硬化する。
【0099】
段階d)において、得られた未焼成の粒子は槽から取出され、水で洗浄され、そして段階e)でオーブン乾燥される。
【0100】
段階f)において、洗浄され乾燥された未焼成の粒子が焼結される。焼結は還元性、中和、あるいは酸化性の雰囲気下で行われうる。好ましくは、焼結は空気中で、電気オーブンにて、大気圧下で行われる。
【0101】
好ましくは、焼結時間は、1時間超、2時間超であり、及び/又は10時間未満、7時間未満、または5時間未満である。好ましくは、焼結時間は2時間〜5時間の範囲である。
【0102】
段階f)における焼結は、1300℃超の温度で、好ましくは1550℃未満で行われる。
【0103】
懸濁物が、Mn、Zn、Cu、Pr、Nd、Sr、La、Ba、またはFeの化合物を含んでいないとき、つまり焼結粒子における添加剤がCaOであるとき、焼結温度は1400℃超であり、好ましくは1425℃超である。
【0104】
懸濁物が、段階f)の最後に得られた焼結粒子のCeOのモル量が10%〜11%の範囲にあるなら、焼結温度は1400℃より高い。
【0105】
焼結温度は、好ましくは、アルミナの量が増えるにつれて高くなる。
【0106】
得られる焼結粒子は好ましくは、0.4mm[ミリメートル]〜10mmの範囲の最小直径を有するビーズ状である。
【0107】
驚いたことに、発明者らは、本発明の焼結粒子に特有の微細構造の存在を発見した。図1に示すように、上記焼結粒子は、部分的に安定化されたジルコニアのグレイン1と、アルミナのグレイン2と、実質的に直線の棒状である細長い形状を有するグレイン3とを含有し、同様に空隙4も含有する。
【0108】
細長い形状を有するグレインの形状因子Fは0.3未満、さらには0.25未満である。
【0109】
図1は、細長い形状を有するグレイン3と実質的に球状を有するその他のグレインとの中間の形状を有するグレインは実質的にない事を示している。それらのグレインの形状因子の関数としてグレインの数を表す曲線において、該グレインは形状因子のクラス毎に集められており、夫々が、0.05の幅を有しており、その為、0.1超、または0.2超、さらには0.3超の幅を有する形状因子の領域があり、該領域はほとんど表されていないが、この領域が細長い形状を有するグレインに相当する領域とその他のグレインに相当する領域とを分離している。形状因子のクラス又は領域の幅は、このクラス又はこの領域の上限と下限の間の差である。「ほとんど表されておらず」は「細長い形状を有するグレインに相当する範囲の主たるピークの30%、20%、又はさらには10%を超えるピークが含まれていない」ことを意味する。一態様では、細長い形状を有するグレインは、それ故に、上記曲線上にある孤立した主たるピークによって表される。
【0110】
細長い形状を有するグレインの量は、上述の方法を使用して測定され、0.05%超、好ましくは0.10%超、好ましくは0.15%超、好ましくは0.20%超、好ましくは0.25%超、好ましくは0.3%超、さらには0.4%超、及び/または5%未満、さらには3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満である。
【0111】
分析は、細長い形状を有するこれらのグレインが、Al元素及び添加剤として配合された酸化物の金属カチオン(Ca、及び/又はMn、及び/又はZn、及び/又はLa、及び/又はPr、及び/又はSr、及び/又はCu、及び/又はNd、及び/又はBa、及び/又はFe)を含んでいる事を示す。上記細長い形状を有するグレインはCe成分を含有していてもよい。
【0112】
本発明者らはまた、本発明の焼結粒子においてジルコニアの60体積%超、好ましくは80体積%超、より好ましくは90体積%超が正方晶相にあることも示した。
【0113】
CeO及びYはジルコニアを安定化するために働くが、その外側に存在していてもよい。
【実施例】
【0114】
以下の制限しない実施例は本発明を説明する目的で提供されるものである。
【0115】
焼結ビーズは、ジルコニア源(比表面積8m/gのオーダー、メジアン径<5μm)、CeO源(メジアン径10<μm)、Y源(メジアン径<20μm)、アルミナ源(メジアン径<5μm)、及び、行われた実施例の関数として、マンガン酸化物源(主にMnの形態(D90が44μm未満)でありMnOも含む)から調製された。ジルコニア源とCeO源の純度は、99%超であった。酸化マンガン源の純度は、MnOの形態で表されて、88%超であった。これら粉体は混合され、その後、微細なグレイン径を有する混合物(メジアン径は<0.3μm)が得られるまで、湿潤媒体中で共粉砕された。混合物はその後乾燥された。
【0116】
その後、固形分の重量百分率で、7.5%のポリアクリル型分散剤と、1%のカルボン酸エステル型凝集防止剤(粘度安定剤)と、1%のゲル化剤、すなわちアルギン酸塩群からの多糖とを有する水性懸濁物が、上記混合物から調製された。
【0117】
ボールミルはこの調製に使用されて、懸濁物の良好な均一性を得た。ゲル化剤を含有する溶液は最初に形成された。その後、次々と、任意的な、マンガン源、アルミナ粉体、ZrO粉体、CeO粉体、Y粉体、及び分散剤が水に添加された。ゲル化剤を含む溶液がその後添加された。得られた混合物は8時間かきまぜられた。次に、凝集防止剤が添加され、混合物は0.5時間かきまぜられた。粒子径はマイクロメリティクス(商標)社製のセディグラフ5100を使用したセディグラフィーによって追跡され(メジアン径<0.5μm)、予め決められた量で水が添加されて、61%の固形分を有し、かつ、ブルックフィールド粘度計を用いて測定した8500cP[センチポイズ]未満の粘度を有する水性懸濁物を得た。すると、該懸濁物のpHはおよそ9であった。
【0118】
懸濁物は、本実施例の文脈で焼結したあとにおよそ1.2mm〜1.4mmのビーズが得られ得るような流速で、口径を定められた穴を通された。懸濁物の滴は、電解質、即ちゲル化剤と反応する二価または三価のカチオン塩、に基づくゲル化槽中に落ちた。未焼成のビーズが集められ、過剰な試薬を取り除くために洗浄されて、その後、90℃で乾燥され、湿気を取り除いた。ビーズはその後、焼結かまどの中に移され、100℃/hの速度で所望の焼結温度まで加熱された。所望の焼結温度における4時間の一定温度段階の最後で、温度が自然冷却によって下げられた。
【0119】
上記の方法で得られた、さまざまな成分を含有する焼結ビーズにて2連のテストが行われた。最初のシリーズのテストでは、焼結温度が1375℃に一定に保たれ、焼結温度とは独立に、ビーズの組成の耐摩耗性への影響が観察された。第二のシリーズのテストでは、焼結温度が変更されて、使用された様々な組成の耐摩耗性への影響を観察した。
【0120】
測定手順
焼結粒子の密度はヘリウムピクノメトリ法(AccuPyc 1330、マイクロメリティクス(商標)社製)により測定された。
【0121】
「プラネタリー」耐摩耗性を測定するために、20mL[ミリリットル](目盛を付けた試験管を用いて測定された体積)の1.25mm〜1.4mm(ふるい分けで選ばれたもの)の範囲に径を有する試験されるべき焼結粒子が秤量され(質量m)、レッチェ社製PM400型の、125mLの高速プラネタリーミルを有している、高密度の焼結アルミナで覆われた4つの容器の中に投入された。2.2g[グラム]のプレシ社製シリコンカーバイト(メジアン径D50は23μm)、及び40mLの水が容器の一つに投入された。容器は閉じられ、400rpm[一分間あたりの回転数]で、一分間ごとに回転方向を反対にしながら1時間30分回転された(プラネタリー運動)。容器の内容物はその後、100μmのふるいの上で洗浄されて、残存するシリコンカーバイト及び粉砕の間に摩耗により生じた破片を取り除いた。100μmのふるいの上でふるい分けした後、焼結粒子は100℃で3時間オーブン乾燥され、その後秤量された(質量m)。
【0122】
プラネタリー摩耗は、百分率で表わされ、下記の式によって与えられる。
100(m−m)/m
【0123】
焼結粒子の平均グレイン径は「平均リニアインターセプト」法を用いて測定された。そのタイプの方法は規格ASTM E1382に記載されている。この規格において、分析線が粒子の画像上にトレースされ、そして「インターセプト」と呼ばれる長さが、上記分析線を切断している二つの連続するグレイン境界の間で各分析線に沿って測定された。
【0124】
次いで、インターセプト「I」の平均長さ「l’」が測定された。
【0125】
以下のテストの為に、走査電子顕微鏡法によって得られた、粒子の切片の画像上でインターセプトが測定された。該切片は、鏡面を得るために研磨され、焼結温度よりも100℃低い温度にて加熱処理されて、グレイン境界をはっきり見えるようにされた。画像を撮るために使用した倍率は、1つの画像上におよそ100の粒子が見られるように選択された。5つの画像が粒子毎に作らされた。
【0126】
焼結粒子のグレインのメジアン径「d」は、d=1.56×l’の関係によって与えられる。
【0127】
この式は「多結晶セラミックスにおける平均グレイン径」エム・アイ・メンデルソン,J.Am.Cerm.Soc.Vol.52,No.8,443〜446頁の式(13)から導き出されたものである。
【0128】
比表面積は、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー60巻(1938年)の309〜316頁に記載される通りのBET(ブルナウアー・エメット・テラー)法を使用して測定された。
【0129】
本発明者らは、単斜晶系ジルコニア含有量における小さな変化と140℃24時間でオートクレーブした後の耐摩耗性が、熱水条件下での良好な耐摩耗性に対応すると考える。その様な状況下にて、表2の最後の欄は試験製品が熱水条件下で安定である事を示している。
【0130】
下記表1と表2は得られた結果を集約している。
【0131】
【表1】

【0132】
【表2】

【0133】
発明者らは、
・プラネタリー摩耗が3%に等しいかそれ未満であり、かつ、
・密度が4.5g/cm〜5.9g/cmの範囲にあるときに、
粉砕収率とプラネタリー摩耗の間に良い妥協があると考える。
【0134】
好ましくは、プラネタリー摩耗は2.5%未満、好ましくは2%未満、さらには1.5%未満、さらには1.0%未満であり、及び/又は密度が4.8g/cm〜5.5g/cmの範囲、さらには4.9g/cm〜5.3g/cmの範囲である。
【0135】
実施例3は、CaO以外の添加剤成分を含んでおらず、妥協条件を満たす耐摩耗性に到達するために1400℃超の焼結温度が必要とされた。そのため、任意的にCaOに加えて、CaO以外の添加剤成分の添加が有利である。
【0136】
実施例3と4の比較は、所定のCaO含有量の場合の、酸化マンガンの存在の重要性を特に示している。
【0137】
実施例5と実施例6は、10%超のCeOモル含有量を有し、妥協条件を満足する耐摩耗性を達成するために1400℃超の焼結温度が必要である事を示している。本発明に従う好ましいCeOの範囲は、焼結温度が有利に制限され得る事を意味する。これらの実施例はまた、CaO含有量の増加を制限する有利な効果も立証している。
【0138】
実施例10は、4.53%のCeO含有量を有し、CeO含有量を制限することの重要さを説明している。
【0139】
実施例11は、本発明の製品の範囲内にないCeO及びY含有量を有し、熱水条件下において摩耗に対する抵抗が十分でなかった。
【0140】
実施例2は、最も好ましい実施例である。
【0141】
表2はまた、得られた性能と細長い形状を有するグレインの割合との相互関係を示している。
【0142】
ここに明確に示されるように、本発明は、熱水条件下であっても、プラネタリー摩耗耐性と密度との間の良い妥協を有する焼結粒子を提供する。
【0143】
はっきりと、本発明は、上記に記載された実施例及び態様に制限されるものでない。特に、他のゲル化システムが本発明のセラミックビーズの製造に適用されてもよい。即ち、米国特許第5466400号、仏特許第2842438号、及び米国特許4063856号が適用可能なゾル・ゲル方法を記載している。仏特許第2842438号と米国特許4063856号は上述した(アルギニン酸塩に基づく)方法に近いゲル化システムを使用しており、一方、米国特許第5466400号は全く異なるゲル化システムを記載している。
【0144】
米国公開第2009/0036291号に記載されている方法、及び、加圧成型あるいは造粒によりビーズを形成する方法もまた想定されてよい。

【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
最小粒径と最大粒径の比が0.6超であり、以下の化学分析を有する焼結粒子
重量百分率として:
・CeOとYで部分的に安定化されたZrO:100%への残部;
・Al:10〜60%;
・CaO、酸化マンガン、La,SrO、BaO及びそれらの混合物から選択される添加剤:0.2%〜6%;
・ただしCaOの量は2%より少ない;
・不純物:<2%;
・ジルコニアはCeOとYで安定化されており、CeOとYは、ZrOとCeOとYの合計に基づくモル百分率で
・CeO:6モル%〜11モル%;及び
・Y:0.5モル%〜2モル%;
となるようなモル量で含まれる;
・該粒子は1300℃より高い焼結温度にて焼結することによって得られ、該焼結温度は、添加剤がCaOである、又は、CeOモル含有量が10%〜11%の範囲にあれば、1400℃より高い。
【請求項2】
CeOモル含有量が10%未満かつ7%超である、請求項1に記載の焼結粒子。
【請求項3】
CeOモル含有量が9.5%未満かつ8.5%超である、請求項2に記載の焼結粒子。
【請求項4】
モル含有量が1.2%未満かつ0.8%超である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼結粒子。
【請求項5】
アルミナAl含有量が酸化物に基づく重量百分率で15%超かつ55%未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼結粒子。
【請求項6】
アルミナAl含有量が酸化物に基づく重量百分率で20%超かつ40%未満である、請求項5に記載の焼結粒子。
【請求項7】
添加剤がCaO、MnO、MnO、Mn、Mn、La、SrO及びそれらの混合物から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の焼結粒子。
【請求項8】
添加剤がCaO、MnO、Mn及びそれらの混合物から選択される、請求項7に記載の焼結粒子。
【請求項9】
添加剤がCaOとMnO及び/又はMnとの混合物である、請求項8に記載の焼結粒子。
【請求項10】
添加剤含有量が酸化物に基づく重量百分率で0.4%超かつ5%未満である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の焼結粒子。
【請求項11】
添加剤の量が酸化物に基づく重量百分率で0.5%超かつ1%未満である、請求項10に記載の焼結粒子。
【請求項12】
添加剤の量が酸化物に基づく重量百分率で4%未満である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の焼結粒子。
【請求項13】
添加剤がCaOを含有し、該CaOの量が酸化物に基づく重量百分率で0.3%超かつ1.5%未満である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の焼結粒子。
【請求項14】
不純物の量が1%未満である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の焼結粒子。
【請求項15】
0.7超の球形度を有するビーズ状である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の焼結粒子。
【請求項16】
細長い形状を有するグレインを含有し、X線回折で測定された細長い形状を有するグレインの量が0.05%〜5%の範囲にある、請求項1〜15のいずれか1項に記載の焼結粒子。
【請求項17】
ジルコニアの80体積%超が正方晶相にある、請求項1〜16のいずれか1項に記載の焼結粒子。
【請求項18】
ドリップキャスティング工程を含む方法によって製造された、請求項1〜17のいずれか1項に記載の焼結粒子。
【請求項19】
粒子混合物であって、ZrO、Al、CeO、Y、及び、CaO及び/又は酸化マンガン及び/又はLa及び/又はSrO及び/又はBaO及び/又は前記酸化物の前駆体粒子から選択される添加剤を、該粒子混合物を焼結することによって請求項1〜18のいずれか1項に記載の焼結粒子が得られるような割合で含有する、粒子混合物。
【請求項20】
メジアン径が1μm未満である、請求項19に記載の粒子混合物。
【請求項21】
メジアン径が0.3μm未満である、請求項20に記載の粒子混合物。
【請求項22】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の焼結粒子、又は請求項19〜21のいずれか1項に記載の粒子混合物から製造された焼結粒子を含む粉砕機。
【請求項23】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の焼結粒子、又は請求項19〜21のいずれか1項に記載の粒子混合物から製造された焼結粒子を粉砕媒体として使用する方法。


【公表番号】特表2012−528782(P2012−528782A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513720(P2012−513720)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052447
【国際公開番号】WO2010/140121
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(511104875)
【Fターム(参考)】