アルミニウム及びアルミニウム合金のスパイラル管及びその製造方法並びに摩擦攪拌接合方法及びその構造体
【課題】 アルミニウム及びアルミニウム合金の高品質・高能率製造のスパイラル管の提供及びその製造方法を確立し、並びに摩擦攪拌接合方法における被接合材裏面の未接合部分の発生を防止し、かつ、かかる裏面を外観視できる化粧面とする。
【解決手段】 帯材を円形のスパイラル状に成形する成形手段と、当該成形体(4)の突合箇所の内周面にピン(5)とピンの周囲に凹面(8)を有するショルダ−(6)からなる回転工具(7)を配備し、当該工具を回転させながらピンを後退角(θ)をもってショルダ−の部分が当該突合箇所に食い込むまで挿入し、当該成形体の突合箇所の外周面に裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−(10)によって、ばりを生じさせながら裏ビ−ドを成形する摩擦攪拌接合手段と、の連続工程によって製造されたことを特徴とする。
【解決手段】 帯材を円形のスパイラル状に成形する成形手段と、当該成形体(4)の突合箇所の内周面にピン(5)とピンの周囲に凹面(8)を有するショルダ−(6)からなる回転工具(7)を配備し、当該工具を回転させながらピンを後退角(θ)をもってショルダ−の部分が当該突合箇所に食い込むまで挿入し、当該成形体の突合箇所の外周面に裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−(10)によって、ばりを生じさせながら裏ビ−ドを成形する摩擦攪拌接合手段と、の連続工程によって製造されたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム及びアルミニウム合金のスパイラル管及びその製造方法並びに摩擦攪拌接合方法及びその構造体に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のアルミニウム及びアルミニウム合金の管に適用されている製造方法を管の直径サイズとの関連でまとめて表したのが表1である(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。継目無管には、引抜管と押出管とがある。引抜管の最大外径は約200mm,押出管の最大外径は約420mmである。継目有管には、高周波誘導加熱溶接管とア−ク溶接管とがある。高周波誘導加熱溶接管の最大外径は約100mmである。ア−ク溶接管の外径サイズは約200〜1,500mmとその製造範囲は最も広い。しかし、溶接性の観点から、2000系、6000系及び7000系のアルミニウム合金には、高周波誘導加熱溶接管及びア−ク溶接管は存在しない。また、かかるア−ク溶接管は、品質的には、融合不良、割れ及びブロ−ホ−ル等が発生し易いという欠点がある。さらには、径が異なる多種類の管を製造する場合には、かかる径に対応する多種類の幅の帯材を準備しなければならないという欠点がある。なお、溶接管の溶接方向は管の長手方向であり、管に内圧が作用した場合には、長手方向には最大の応力が作用し、管の円周に生じる応力の2倍である。
【0003】
近年、摩擦攪拌接合方法が開発され、国内出願特許文献は200件にも及び、溶接学会誌においても多数の研究発表や解説が特集として掲載されている。摩擦攪拌接合法の特徴の一つとして、溶加材を加えないので接合部が健全であるためには、接合部の肉厚は、理論上、母材の原質部よりも薄くなって当然である。接合中に「ばり」としての材料ロスや突合精度に起因する材料の体積不足があるからである。例えば、特許文献1で述べているショルダ−面の食込み量(t)の“アンダ−カット”による肉厚減少のことである。したがって、かかる接合方法の適用は肉厚の許容差の規定の厳しいものには向かない。一方、かかる摩擦攪拌接合法の欠点を解決するために、突合箇所に凸状部分(14)を設けた方法が多く提案され、回転工具(7)のショルダ−部分(6)の直径に等しい幅の凸状部分が開示されている(例えば、非特許文献3)。しかし、図12の上図に示すように、回転工具(7)を被接合材(9)に垂直にショルダ−(6)の全面を食込ませた場合には、摩擦による加熱が生じる前に、かかる凸状部分(14)がショルダ−部分によって切削されて十分にその効果が生じない。また、図12の下図に示すように、後退角(θ)をもってショルダ−面を被接合材の面に食込ませた場合には、接合箇所の上面が円弧形状に形成されて、かかる凸状部分の取り残し部分(15)が生じ、接合後にかかる取り残し部分を削除する後工程が必要となる。
【0004】
一方、摩擦攪拌接合法には、接合後に取り外しができる裏当て材方式が適用され、当該裏当て材が接する被接合材の裏面に接合不良の欠陥が発生し、多くの解決方法が提案されている(例えば、特許文献2)。しかし、かかる提案では、裏面の接合不良は減少するものの皆無とすることは難しい。その理由は、摩擦熱による加熱と裏当て材による冷却との相反する現象を同時進行させることに無理があると解するからである。なお、特許文献3には、スパイラル管のスパイラル状の突合箇所に管の内面から接合する摩擦攪拌接合法を適用した技術が開示されている。内面から接合する理由として、外周面の外観がきれいであること、回転工具(7)の加圧の反力を管の内周面で受けることができるとしている。しかし、管の外周面の外観をきれいに見せるための手段や外周面の接合不良防止のための手段(どのような裏当て方式を採用するのか、等)については、一切開示していない。また、かかるスパイラル管は、管の長さに比較して帯材の巻き数が多く、接合箇所の長さも長くなり、管の成形工程と接合工程とを独立した工程にしたのでは、製造能率が著しく低くなるという欠点がある。
【0005】
【特許文献1】 特許番号第2792233号特許公報
【特許文献2】 特開2001−71155号公報
【特許文献3】 特開平11−226756号公報
【非特許文献1】 JIS H 4080,アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管
【非特許文献2】 JIS H 4090,アルミニウム及びアルミニウム合金溶接管
【非特許文献3】 岡村久宣著、摩擦攪拌接合(FSW)の特徴と日本における適用状況、溶接学会誌、69(2000)、14ペ−ジ、図8
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明が解決しようとする課題は、上述の問題点を解決することにあり、次の記載のとおりである。ア−ク溶接管と同じ外径サイズを有する2000系、6000系及び7000系を含むアルミニウム及びアルミニウム合金の高品質・高能率製造管の提供及びその製造方法の確立にある。そして、スパイラル管の場合には、管内の内圧の作用によって生じる最大応力は管の長手方向であり、スパイラル状の接合箇所ではないために、接合部の品質が高い摩擦攪拌接合方法の適用によって、かかる接合箇所の肉厚が上述したように減少しても支障が少ないことに着目した。アルミニウム及びアルミニウム合金のア−ク溶接管(非特許文献2)の肉厚の許容差の規定(呼び径450A以下の場合:+15%、−12.5%、呼び径450Aを超える場合:+15%、−10%)を適用したとしても、摩擦攪拌接合による肉厚の減少は10%以下であり、かかる許容差を十分に満足すべきものと考える。また、かかるスパイラル管の製造能率を高める方法として、管の成形手段と管の接合工程とを連続工程にすれば良いことにも着目した。
【0007】
また、後退角(θ)を適用した回転工具(7)を管の内周面に配備し、内周面からの接合をした場合には、接合箇所を円弧形状にすることができ、管の内周面を倣わせることができる点にも着目した。さらには、スパイラル管と言えども、接合箇所の肉厚の許容差がより小さくなるように要求される場合に対処して、予め設けられる突合箇所の凸状部分を接合のために有効に利用し、取り残し部分が生じない方法にも着目した。
【0008】
他の課題は、接合後に取り外しができる裏当て材を適用した摩擦攪拌接合法の欠点である裏側の接合不良を防止し、しかもかかる裏面を外観視できる化粧面にすることにある。突合箇所の裏面における摩擦加熱による塑性流動帯の攪拌化に対し、裏当て材による当該塑性流動帯の冷却固化との間にタイムラグ(時間の遅れ)を設ければ、裏側の接合不良を防止できることに気付いた。そして、裏当て材として回転ロ−ラ−(10)の適用に着目した。また、かかる回転ロ−ラ−(10)の零時よりも前の時点で塑性流動帯を適性に膨らませ、当該回転ロ−ラ−の零時の時点でかかる塑性流動帯を冷却固化すれば、ばりを生じさせながら目的とする裏ビ−ド形状(やや膨らませる、ややへこませる、平らにする)に成形することもでき、外観視できる化粧面に仕上げることができる点にも着目した。ここで、「裏ビ−ド」とは、突合箇所の裏面(管の場合には外周面)が塑性流動・攪拌化し、かかる塑性流動帯部分が回転ロ−ラ−によって成形されながら冷却固化した部分をいう。すなわち、裏ビ−ド形状に成形されるためには、「ばり」の発生が必須であり、当該ばりの大部分は、回転ロ−ラ−によって薄く圧延され千切れ除去される。かかるロ−ラ−と被接合材との間に小さい隙間がある場合には、当該ばりが残る場合もあるが薄く圧延されているために簡単に除去することができ、何ら支障をきたすものではない。なお、多くの実験結果から、裏面に「ばり」の発生が確認できた場合、裏面の接合不良が皆無であることが判明し、後述するように接合工程における品質管理面にも大きく寄与する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る
【請求項1】
及び
【請求項2】
に記載のアルミニウム及びアルミニウム合金のスパイラル管及びその製造方法は、次のとおりである。帯材(3)の両側面(a,b)が突合うように円形のスパイラル状に成形するロ−ル成形手段(1、2)と、当該成形体(4)の突合箇所(a,b)の内周面にピン(5)とピンの周囲に凹面(8)を有するショルダ−(6)からなる回転工具(7)を配備し、当該工具を回転させながらピンを後退角(θ)をもってショルダ−の部分が当該突合箇所に食込むまで挿入し、当該成形体の突合箇所の外周面に裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−(10)によってばりを生じさせながら裏ビ−ドを成形する摩擦攪拌接合手段と、の連続工程によって製造されることを特徴とする(図1、図2、図3、図4)。
【0010】
本発明に係る
【請求項3】
及び
【請求項7】
に記載のアルミニウム及びアルミニウム合金の摩擦攪拌接合方法及びその構造体は、次のとうりである。両被接合材(9)の突合箇所の一方の面にピン(5)とピンの周囲に凹面(8)を有するショルダ−(6)からなる回転工具(7)を配備し、当該工具を回転させながらピンを後退角(θ)をもってショルダ−の部分が当該突合箇所に食込むまで挿入し、両被接合材の突合箇所の他方の面に裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−(10)によってばりを生じさせながら裏ビ−ドを成形する手段を有して接合されることを特徴とする(図5)。
【0011】
本発明に係る
【請求項4】
に記載の摩擦攪拌接合方法は、請求項3の従属請求項として、ピン(5)を先細りの螺旋形状とし、当該ピンのねじ込み方向と逆方向に回転工具(7)を回転させながら接合することを特徴とする。
本発明に係る
【請求項5】
に記載の摩擦攪拌接合方法は、請求項3又は請求項4の従属請求項として、回転工具(7)がピン(5)とショルダ−(6)の組立構造からなり、かつ、ピンの長さの微調整ができる精密ねじ構造を有することを特徴とする。
本発明に係る
【請求項6】
に記載の摩擦攪拌接合方法は、請求項3、請求項4又は請求項5の従属請求項として、両被接合材の突合箇所にピン(5)の最小直径よりも小さい幅の凸部(14)を設けて接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の完成によって、2000系、6000系及び7000系を含むアルミニウム及びアルミニウム合金の直径200mm以上のスパイラル管の高能率製造が達成され、製造コスト低減に寄与する。
【0013】
また、摩擦攪拌接合方法の裏面の接合不良を防止することによって、一層高品質の接合を提供することができ、しかも、スパイラル管の外周面のみならず、その他の摩擦攪拌接合構造体の裏面に特別の仕上げ工程を導入することなく外観視できる化粧面に仕上げることができ、工数低減及びコスト低減に寄与する。なお、裏面のばりの発生の有無のみの確認によって裏面の接合不良の有無が分かり、接合工程における品質管理が著しく容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係るアルミニウム及びアルミニウム合金のスパイラル管及びその製造方法の実施のための最良の形態について、以下に詳述する。
【0015】
一定の所定幅のアルミニウム又はアルミニウム合金の帯材(3)を用意し、図6に示すようにαの角度の部分を切り落としても良い。当該切り落としの長さ(c)が成形体(4)の周の長さになるからである。そして、図1に示すような成形機に当該帯材(3)を供給角度(β)で供給し、当該帯材の両側面(aとb)が突合うように円形のスパイラル状に巻いた成形体(4)とするロ−ル成形手段としても良い。図1には、2個の駆動ロ−ル(1)と1個の加圧ロ−ルを示しているが、駆動ロ−ル同士の間隔と加圧ロ−ルとの位置関係によって成形体の曲率半径を調節する。
【0016】
図7に、所定幅(w)の帯幅の切断角度(α)と成形体(4)のピッチ長さ(p)、成形体(4)の直径(d)との関係を
【数1】
及び
【数2】
から求め、示す。ここで、dは
【数1】
p=w/sinα
【数2】
d=w/3.14cosα
、実質的には、上述のとおり駆動ロ−ル同士の間隔と加圧ロ−ルの位置関係によって定まるものである。
【0017】
本発明が対象とする直径200〜1,500mmを1種類の帯材で達成しても良い。そのために、αとして45以上を適用する場合、60度以上を適用する場合及び75度以上を適用する場合のそれぞれについて、帯幅を
【数2】
を変形して求めた。すなわち、dに
【数2】
の変形式 w=d×3.14cosα
200の値を代入し、αには45度、60度及び75度のそれぞれの値を代入して求めた。併せて、それぞれの直径に対する帯材の供給角度(β)とピッチ長さ(p)を
【数3】
と
【数1】
から求めた。これらを図8に示す。これより、適用するαの角度が45度以上
【数3】
β=90−α
の場合、特にdが500mm以下の小径の場合にピッチ長さの変化が大きく、帯材の供給角度βの厳格な管理が重要となる。これに対して、αとして75度以上を適用する場合には、dに対するpの変動幅が著しく小さくなりβの管理がし易いが、帯材の幅(w)が著しく小さくなり、接合の長さが著しく長くなる。したがって、αとして、60度以上の適用が妥当であると考える。
一方、管の直径が特定のサイズのものに限定されている場合には、それぞれの直径ごとに帯幅を変えても良い。図9は、αとして75度の一定値を適用した場合のdとwとの関係を
【数2】
の変形式から求め示したものである。このようにすることにより、直径(d)に比例して帯幅(w)の広いものを適用することができ、より一層の高能率製造が達成されるからである。また、所定の範囲ごとにグル−プ化し、かかる範囲ごとに1種類の帯材を準備しても良い。
【0018】
本発明が適用する摩擦攪拌接合手段においては、成形体(4)の内面から接合する。成形体の外面から接合した場合には、ばりの発生が著しく多くなるからである。そのために、ピン(5)とピンの周囲に凹面(8)を有するショルダ−(6)からなる回転工具(7)を成形体の内面に配備する(図2)。ピン(5)の周囲に凹面を有するのは、摩擦加熱帯を挿入ピンの近傍に限定し、ピンの挿入による周囲の被接合材の膨出部分を当該凹部分に逃がし、かかる部分での摩擦熱の発生を著しくし、塑性流動化した部分が、回転工具(7)の進行によるピンの抜け跡の体積を順次充填・補給する役目を果たすからである。
【0019】
本発明が適用する摩擦攪拌接合手段においては、回転工具(7)を回転させながらピン(5)を後退角(θ)をもってショルダ−(6)の部分が当該突合箇所に食込むまで挿入する。当該θの角度を大きくすれば当該接合箇所の円弧形状の曲率半径が小さくなる関係にあり、当該θの角度調整によって内周面を倣わせることが可能だからである。また、かかる後退角の適用は、図10に示すように接合部の肉厚減少防止のために採用する突合箇所を予め厚肉化しておく効果を高めることができるからでもある。
【0020】
本発明が適用する摩擦攪拌接合手段においては、成形体(4)の突合箇所の外周面に裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−(10)によってばりを生じさせながら裏ビ−ドを成形する(図2、図3及び図4)。摩擦加熱による塑性流動帯の攪拌による裏側の膨らみに対する裏当て材の回転ロ−ラ−(10)による裏ビ−ドの成形・冷却固化との間にタイムラグ(時間の遅れ)を設けて、裏側の接合不良を防止し、かかる部分を望ましい形状に成形するためである。そのために、回転ロ−ラ−(10)の形状を成形体(4)の外周面を倣う形状にしても良いし、成形体(4)の接合箇所の裏面をやや膨らませ又はややへこませる形状になるように、当該ロ−ラ−(10)の接する箇所をややへこませ又はやや膨らませて望ましい形状にしても良い。成形体の長手方向でみた接合位置は、図2に示すすように、成形体の下面において巻き数1ピッチ目が望ましい。回転工具(7)を取りつるア−ム(11)が長過ぎないようにするためである。かかる回転ロ−ラ−(10)の取り付け軸は、成形体(4)の突合面(a,b)に垂直とする。後述するように成形体の長手方向の送り(19)をスム−スに与えるためである。
【0021】
本発明に係るスパイラル管の製造方法は、ロ−ル成形手段と摩擦攪拌接合手段との連続工程の適用である。高能率製造のためである。それを達成するには、成形体(4)の接合速度に帯材(3)の供給速度を合わせる必要がある。ここで、駆動ロ−ル(1)の直径をD1、回転ロ−ラ−(10)の直径をD2、適正な接合速度を与えるために設定された回転ロ−ラ−の回転数をN2とした場合、駆動ロ−ルの回転数N1は、
【数4】
から求めた値に
【数4】
N1=(D2/D1)N2×sinα
設定する必要がある。図2に図示を省略した2本の駆動ロ−ル(1)が成形体(4)の接合箇所の位置以上にまで接するように長く伸ばし、かつ、回転ロ−ラ−(10)をも駆動源とすることが望ましい。成形体(4)の外周面の上部と下部とを挟み込み、3箇所を駆動源として、摩擦攪拌接合に打ち勝つ回転(18)・送り(19)を当該成形体にスム−スに与えるためである。この場合、駆動ロ−ル(1)の先端が上側に逃げないように、成形体(4)の両側に梁で連結された門型の支柱を建て、当該梁の部分に駆動ロ−ルの先端を支持し、駆動ロ−ルを両端支持構造としても良い。
【0022】
ピン(5)の挿入による突合せ目の開き防止手段として、摩擦攪拌接合に先立って仮止め溶接を行なっても良い。仮止め溶接は、図1に示す17の箇所で自動テイグ溶接による小入熱の断続溶接が望ましい。この場合、2000系、6000系及び7000系のアルミニウム合金はミクロ割れを生じ易いが、かかる部分は摩擦攪拌接合によって塑性流動・攪拌化し、当該ミクロ割れは消失してしまう。
また、図10に示すような圧延装置(12、13)を帯材(3)の成形工程の前に連続工程の一環として設置し、軽微な圧延によって帯材の両端に凸部(14)を設け、かかる凸部分を図11に示すように摩擦攪拌接合に先行して、回転工具(7)を取り付けるためのア−ム(11)に連結した回転ロ−ラ−(16)で挟む手段で行なっても良い。かかる回転ロ−ラ−を2個以上設けても良い。この場合、かかる凸部(14)が加圧ロ−ル(2)によって押し潰されないように、成形体(4)のピッチ長さ(p)よりも短いリングを加圧ロ−ル(2)にはめ込み、当該凸部(14)の逃がし部分を設けることが望ましい。
また、図1に示すように、ガイドロ−ラ−(21)と正常な造管速度にマッチングして移動(19)する回転フリ−のストッパ−(22)と、によって行なっても良い。異状な造管速度の上昇が生じないようにして、ピン(5)の挿入等による突合面の開きを防止するためである。正常な造管速度にマッチングした回転フリ−のストッパ−の移動速度は、
【数5】
から求める。かかるストッパ−(22)の移動速度は電気的に制御しても良い。
【数5】
回転フリ−のストッパ−の移動速度=接合速度×cosα
【0023】
次に、本発明に係るアルミニウム及びアルミニウム合金の摩擦攪拌接合方法及びその構造体の実施のための最良の形態について、以下に詳述する。なお、本発明に係る摩擦攪拌接合方法及びその構造体の摩擦攪拌接合手段は、上述のスパイラル管及びその製造方法の摩擦攪拌接合手段と本質的には共通するので、重複する部分の記載は省略する。
【0024】
本発明が適用する摩擦攪拌接合手段においては、ピン(5)を先細りの螺旋形状とし、当該ピンのねじ込み方向と逆方向に回転工具(7)を回転させながら接合しても良い。前述の回転ロ−ラ−(10)の適用と相俟って、塑性流動帯を裏面へ供給し、裏ビ−ドの成形を助長する効果が著しく大きくなるからである。
【0025】
本発明の摩擦攪拌接合手段において適用される回転工具(7)は、ピン(5)とショルダ−(6)からの組立構造からなり、かつ、ピンの長さの微調整ができる精密ねじ構造としても良い。前述の回転ロ−ラ−(10)の適用と相俟って、裏ビ−ドの成形直前の塑性流動化した箇所を適正な膨らみ量に調整し、ばりの発生をなるべく少なく押さえる効果があるからである。
【0026】
本発明が適用する摩擦攪拌接合手段においては、両被接合材(9)の突合箇所にピン(9)の最小直径よりも小さい幅の凸部(14)を設けても良い。スパイラル管以外の接合構造体においては、接合部の肉厚の許容差が、より小さくなるように要求される場合もあるからである。また、図5に示すように、回転ロ−ラ−(10)に窪みを設け、裏ビ−ドを滑らかな余盛り形状(ηが120度以上)に成形することもでき、化粧盛りとしての効果もあるからである。かかる凸部(14)は、突合箇所の一方の面又は両方の面に設けても良い。また、突合箇所に、被接合材と同じ合金のI型形状を有するものを挟み込んでも良い。なお、かかる凸部(14)の幅をピン(5)の最小直径よりも小さくするのは、かかる凸部の大部分が接合のために有効に使用され、図10の下図に示すような取り残し部分(15)が殆ど生じないからである。
【実施例】
【実施例1】
【0027】
アルミニウム合金6061、O質、帯材(3)の幅407mm、帯材の厚さ5mmを準備し、図1に示すロ−ルにて直径(d)500mmのスパイラル状の成形体(4)を帯材の供給角度(β)15度(αとしては75度)にて成形した。この場合の当該成形体のピッチ長さ(p)は421mmである。当該成形行程に連動する摩擦攪拌接合として、次の接合条件を採用した。回転工具(7)は図4に示す形状のものを使用し、回転数は2,000回/分、接合速度は1,300mm/分、同図に示す回転ロ−ラ−(10)によって裏ビ−ド形状を平らに成形し、内面におけるショルダ−(6)の食い込み量0.3mmである。かかる接合速度と帯材の供給速度が等しくなるように駆動ロ−ル(1)の回転数(N1)を2回/分に設定した(D1,D2共に200mm,N2が2.07回/分)。なお、ピン(5)の挿入による突合面の開き防止として、図1に示す17の箇所でテイグ溶接による仮止めを行い、成形体(4)の90度の回転毎に長さ約30mmの断続溶接を自動的に行なった。そして、かかるスパイラル管の成形行程と摩擦攪拌接合行程とを連動させて、5mの長さのスパイラル管に仕上げた。
【0028】
かかる5mの長さのスパイラル管の摩擦攪拌接合箇所の裏ビ−ドの全線にわたって、染色浸透探傷試験(JIS Z 2343)を行い、接合不良を含む接合欠陥の有無を調べたが、結果は無欠陥であった。さらに任意の10箇所の位置における断面の試験片を切り取り、100倍及び400倍の顕微鏡観察を行なったが接合不良等の接合欠陥は観察されなかった。なお、かかるスパイラル管をT6の熱処理を行い、接合部を中心に機械的性質を調べたが、押出管の機械的性質の規定値(JIS H 4080)を十分満足することを確認した。
【実施例2】
【0029】
アルミニウム合金5052、O質、板厚10mm、長さ2mの板材をI型のインサ−ト(同一の合金)を挟んで突合せ、摩擦攪拌接合をした。摩擦攪拌接合として、次の接合条件を採用した。回転工具(7)はピン(5)とショルダ−(6)との組立構造であり、かつ、ピン(5)の長さの微調整ができる精密ねじ構造とし、ショルダ−(6)には凹面を有し、ピン(5)は先細りの左ねじ込みの螺旋形状とし、右回転の回転数800回/分、後退角(θ)3度、溶接速度300mm/分、を設定し、図5に示す裏当てロ−ラ−(10)によって、ばりを生じさせながら裏ビ−ド形状を滑らかな凸形状に成形した。I型のインサ−トの幅はピン(5)の最小直径と同一とし、裏側に1mm、表側に2mm、被接合材(9)の面よりも突出し当該インサ−トを被接合材にテイグ溶接により仮止めをし、本発明の例とした。なお、比較例として、I型のインサ−トを使用しないで、被接合材(9)同士を直接突合せ、接合後に取り外しができる通常の裏当て材を用いた。なお、本発明、比較例ともに、ピン(5)の先端を被接合材(9)の底面から1mmの位置に設定し、回転工具(7)を固定し、被接合材を移動させながら接合した。ショルダ−(6)の食い込み量は、比較例が0.3mm、本発明が被接合材表面に接するまでとした。
【0030】
両接合体の裏面の全線を染色浸透探傷試験を行なったが、比較例の突合面に相当する箇所に接合欠陥が認めらわたが、本発明のものは、約0.5mmの余盛り高さであり、トウ部の角度(η)が約160度の滑らかな形状が得られ、接合欠陥も認められず、良好であった。また、顕微鏡観察においても、比較例には明らかな接合不良が認められ、本発明には認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】は、スパイラル状の成形を概念的に示す正面図と平面図である。
【図2】は、摩擦攪拌接合を概念的に示す側面図である。
【図3】は、摩擦攪拌接合において、裏当て材の役割を兼ね備えた裏ビ−ド成形のための回転ロ−ラ−(10)の配置を示す正面図と平面図である。
【図4】は、左側が図3に示す回転ロ−ラ−と接する突合面の縦断面図、右側がかかる突合面の横断面図、である。
【図5】は、左側が平板同士の突合面の縦断面図、右側がかかる突合面の横断面図である。
【図6】は、スパイラル管の原理を説明する概念図である。
【図7】は、αとp及びdとの関係を示す図である。
【図8】は、αが45度以上、αが60度以上、αが75度以上のそれぞれの場合のwを示し、また、上述のそれぞれの場合におけるdとβ及びpとの関係を示す図である。
【図9】は、αが75度の一定の場合におけるdとwとの関係を示す図である。
【図10】は、帯材の両端に凸部を成形する圧延を示す概念図である。
【図11】は、突合面がピンの挿入によって開かないように凸部を回転ロ−ラ−で挟み込む手段を示す概念図である。
【図12】は、従来技術として、突合せ部に回転工具のショルダ−の直径と等しい幅の凸部を設けた場合の正面図と側面図である。
【符号の説明】
【0032】
w:帯材(3)の幅。α:切断角度(突合面の傾斜角度)。c:切断箇所の長さ(管の円周の長さ)。d:管の直径。p:スパイラルのピッチ長さ。β:帯材(3)の供給角度。a(b):1ピッチ当たりの突合面の接合長さ。θ:ピンの挿入角度。η:トウ部の角度。1:駆動ロ−ル。2:加圧ロ−ル。3:帯材。4:スパイラル状成形体。5:ピン。6:ショルダ−。7:回転工具。8:ショルダ−(6)面の凹面。9:被接合材。10:裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−。11:回転工具(7)を取り付けるア−ム。12(13):圧延ロ−ル。14:帯材(3)の両端に成形する凸部。15:図12に示す凸部の取り残し部分。16:突合面の開き防止回転ロ−ラ−。17:仮止め溶接位置。矢印18:回転方向。矢印19:成形体(4)又は被接合体の移動方向。矢印20:接合方向。21:ガイドロ−ラ−。22:回転フリ−のストッパ−。
【表1】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム及びアルミニウム合金のスパイラル管及びその製造方法並びに摩擦攪拌接合方法及びその構造体に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のアルミニウム及びアルミニウム合金の管に適用されている製造方法を管の直径サイズとの関連でまとめて表したのが表1である(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。継目無管には、引抜管と押出管とがある。引抜管の最大外径は約200mm,押出管の最大外径は約420mmである。継目有管には、高周波誘導加熱溶接管とア−ク溶接管とがある。高周波誘導加熱溶接管の最大外径は約100mmである。ア−ク溶接管の外径サイズは約200〜1,500mmとその製造範囲は最も広い。しかし、溶接性の観点から、2000系、6000系及び7000系のアルミニウム合金には、高周波誘導加熱溶接管及びア−ク溶接管は存在しない。また、かかるア−ク溶接管は、品質的には、融合不良、割れ及びブロ−ホ−ル等が発生し易いという欠点がある。さらには、径が異なる多種類の管を製造する場合には、かかる径に対応する多種類の幅の帯材を準備しなければならないという欠点がある。なお、溶接管の溶接方向は管の長手方向であり、管に内圧が作用した場合には、長手方向には最大の応力が作用し、管の円周に生じる応力の2倍である。
【0003】
近年、摩擦攪拌接合方法が開発され、国内出願特許文献は200件にも及び、溶接学会誌においても多数の研究発表や解説が特集として掲載されている。摩擦攪拌接合法の特徴の一つとして、溶加材を加えないので接合部が健全であるためには、接合部の肉厚は、理論上、母材の原質部よりも薄くなって当然である。接合中に「ばり」としての材料ロスや突合精度に起因する材料の体積不足があるからである。例えば、特許文献1で述べているショルダ−面の食込み量(t)の“アンダ−カット”による肉厚減少のことである。したがって、かかる接合方法の適用は肉厚の許容差の規定の厳しいものには向かない。一方、かかる摩擦攪拌接合法の欠点を解決するために、突合箇所に凸状部分(14)を設けた方法が多く提案され、回転工具(7)のショルダ−部分(6)の直径に等しい幅の凸状部分が開示されている(例えば、非特許文献3)。しかし、図12の上図に示すように、回転工具(7)を被接合材(9)に垂直にショルダ−(6)の全面を食込ませた場合には、摩擦による加熱が生じる前に、かかる凸状部分(14)がショルダ−部分によって切削されて十分にその効果が生じない。また、図12の下図に示すように、後退角(θ)をもってショルダ−面を被接合材の面に食込ませた場合には、接合箇所の上面が円弧形状に形成されて、かかる凸状部分の取り残し部分(15)が生じ、接合後にかかる取り残し部分を削除する後工程が必要となる。
【0004】
一方、摩擦攪拌接合法には、接合後に取り外しができる裏当て材方式が適用され、当該裏当て材が接する被接合材の裏面に接合不良の欠陥が発生し、多くの解決方法が提案されている(例えば、特許文献2)。しかし、かかる提案では、裏面の接合不良は減少するものの皆無とすることは難しい。その理由は、摩擦熱による加熱と裏当て材による冷却との相反する現象を同時進行させることに無理があると解するからである。なお、特許文献3には、スパイラル管のスパイラル状の突合箇所に管の内面から接合する摩擦攪拌接合法を適用した技術が開示されている。内面から接合する理由として、外周面の外観がきれいであること、回転工具(7)の加圧の反力を管の内周面で受けることができるとしている。しかし、管の外周面の外観をきれいに見せるための手段や外周面の接合不良防止のための手段(どのような裏当て方式を採用するのか、等)については、一切開示していない。また、かかるスパイラル管は、管の長さに比較して帯材の巻き数が多く、接合箇所の長さも長くなり、管の成形工程と接合工程とを独立した工程にしたのでは、製造能率が著しく低くなるという欠点がある。
【0005】
【特許文献1】 特許番号第2792233号特許公報
【特許文献2】 特開2001−71155号公報
【特許文献3】 特開平11−226756号公報
【非特許文献1】 JIS H 4080,アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管
【非特許文献2】 JIS H 4090,アルミニウム及びアルミニウム合金溶接管
【非特許文献3】 岡村久宣著、摩擦攪拌接合(FSW)の特徴と日本における適用状況、溶接学会誌、69(2000)、14ペ−ジ、図8
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明が解決しようとする課題は、上述の問題点を解決することにあり、次の記載のとおりである。ア−ク溶接管と同じ外径サイズを有する2000系、6000系及び7000系を含むアルミニウム及びアルミニウム合金の高品質・高能率製造管の提供及びその製造方法の確立にある。そして、スパイラル管の場合には、管内の内圧の作用によって生じる最大応力は管の長手方向であり、スパイラル状の接合箇所ではないために、接合部の品質が高い摩擦攪拌接合方法の適用によって、かかる接合箇所の肉厚が上述したように減少しても支障が少ないことに着目した。アルミニウム及びアルミニウム合金のア−ク溶接管(非特許文献2)の肉厚の許容差の規定(呼び径450A以下の場合:+15%、−12.5%、呼び径450Aを超える場合:+15%、−10%)を適用したとしても、摩擦攪拌接合による肉厚の減少は10%以下であり、かかる許容差を十分に満足すべきものと考える。また、かかるスパイラル管の製造能率を高める方法として、管の成形手段と管の接合工程とを連続工程にすれば良いことにも着目した。
【0007】
また、後退角(θ)を適用した回転工具(7)を管の内周面に配備し、内周面からの接合をした場合には、接合箇所を円弧形状にすることができ、管の内周面を倣わせることができる点にも着目した。さらには、スパイラル管と言えども、接合箇所の肉厚の許容差がより小さくなるように要求される場合に対処して、予め設けられる突合箇所の凸状部分を接合のために有効に利用し、取り残し部分が生じない方法にも着目した。
【0008】
他の課題は、接合後に取り外しができる裏当て材を適用した摩擦攪拌接合法の欠点である裏側の接合不良を防止し、しかもかかる裏面を外観視できる化粧面にすることにある。突合箇所の裏面における摩擦加熱による塑性流動帯の攪拌化に対し、裏当て材による当該塑性流動帯の冷却固化との間にタイムラグ(時間の遅れ)を設ければ、裏側の接合不良を防止できることに気付いた。そして、裏当て材として回転ロ−ラ−(10)の適用に着目した。また、かかる回転ロ−ラ−(10)の零時よりも前の時点で塑性流動帯を適性に膨らませ、当該回転ロ−ラ−の零時の時点でかかる塑性流動帯を冷却固化すれば、ばりを生じさせながら目的とする裏ビ−ド形状(やや膨らませる、ややへこませる、平らにする)に成形することもでき、外観視できる化粧面に仕上げることができる点にも着目した。ここで、「裏ビ−ド」とは、突合箇所の裏面(管の場合には外周面)が塑性流動・攪拌化し、かかる塑性流動帯部分が回転ロ−ラ−によって成形されながら冷却固化した部分をいう。すなわち、裏ビ−ド形状に成形されるためには、「ばり」の発生が必須であり、当該ばりの大部分は、回転ロ−ラ−によって薄く圧延され千切れ除去される。かかるロ−ラ−と被接合材との間に小さい隙間がある場合には、当該ばりが残る場合もあるが薄く圧延されているために簡単に除去することができ、何ら支障をきたすものではない。なお、多くの実験結果から、裏面に「ばり」の発生が確認できた場合、裏面の接合不良が皆無であることが判明し、後述するように接合工程における品質管理面にも大きく寄与する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る
【請求項1】
及び
【請求項2】
に記載のアルミニウム及びアルミニウム合金のスパイラル管及びその製造方法は、次のとおりである。帯材(3)の両側面(a,b)が突合うように円形のスパイラル状に成形するロ−ル成形手段(1、2)と、当該成形体(4)の突合箇所(a,b)の内周面にピン(5)とピンの周囲に凹面(8)を有するショルダ−(6)からなる回転工具(7)を配備し、当該工具を回転させながらピンを後退角(θ)をもってショルダ−の部分が当該突合箇所に食込むまで挿入し、当該成形体の突合箇所の外周面に裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−(10)によってばりを生じさせながら裏ビ−ドを成形する摩擦攪拌接合手段と、の連続工程によって製造されることを特徴とする(図1、図2、図3、図4)。
【0010】
本発明に係る
【請求項3】
及び
【請求項7】
に記載のアルミニウム及びアルミニウム合金の摩擦攪拌接合方法及びその構造体は、次のとうりである。両被接合材(9)の突合箇所の一方の面にピン(5)とピンの周囲に凹面(8)を有するショルダ−(6)からなる回転工具(7)を配備し、当該工具を回転させながらピンを後退角(θ)をもってショルダ−の部分が当該突合箇所に食込むまで挿入し、両被接合材の突合箇所の他方の面に裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−(10)によってばりを生じさせながら裏ビ−ドを成形する手段を有して接合されることを特徴とする(図5)。
【0011】
本発明に係る
【請求項4】
に記載の摩擦攪拌接合方法は、請求項3の従属請求項として、ピン(5)を先細りの螺旋形状とし、当該ピンのねじ込み方向と逆方向に回転工具(7)を回転させながら接合することを特徴とする。
本発明に係る
【請求項5】
に記載の摩擦攪拌接合方法は、請求項3又は請求項4の従属請求項として、回転工具(7)がピン(5)とショルダ−(6)の組立構造からなり、かつ、ピンの長さの微調整ができる精密ねじ構造を有することを特徴とする。
本発明に係る
【請求項6】
に記載の摩擦攪拌接合方法は、請求項3、請求項4又は請求項5の従属請求項として、両被接合材の突合箇所にピン(5)の最小直径よりも小さい幅の凸部(14)を設けて接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の完成によって、2000系、6000系及び7000系を含むアルミニウム及びアルミニウム合金の直径200mm以上のスパイラル管の高能率製造が達成され、製造コスト低減に寄与する。
【0013】
また、摩擦攪拌接合方法の裏面の接合不良を防止することによって、一層高品質の接合を提供することができ、しかも、スパイラル管の外周面のみならず、その他の摩擦攪拌接合構造体の裏面に特別の仕上げ工程を導入することなく外観視できる化粧面に仕上げることができ、工数低減及びコスト低減に寄与する。なお、裏面のばりの発生の有無のみの確認によって裏面の接合不良の有無が分かり、接合工程における品質管理が著しく容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係るアルミニウム及びアルミニウム合金のスパイラル管及びその製造方法の実施のための最良の形態について、以下に詳述する。
【0015】
一定の所定幅のアルミニウム又はアルミニウム合金の帯材(3)を用意し、図6に示すようにαの角度の部分を切り落としても良い。当該切り落としの長さ(c)が成形体(4)の周の長さになるからである。そして、図1に示すような成形機に当該帯材(3)を供給角度(β)で供給し、当該帯材の両側面(aとb)が突合うように円形のスパイラル状に巻いた成形体(4)とするロ−ル成形手段としても良い。図1には、2個の駆動ロ−ル(1)と1個の加圧ロ−ルを示しているが、駆動ロ−ル同士の間隔と加圧ロ−ルとの位置関係によって成形体の曲率半径を調節する。
【0016】
図7に、所定幅(w)の帯幅の切断角度(α)と成形体(4)のピッチ長さ(p)、成形体(4)の直径(d)との関係を
【数1】
及び
【数2】
から求め、示す。ここで、dは
【数1】
p=w/sinα
【数2】
d=w/3.14cosα
、実質的には、上述のとおり駆動ロ−ル同士の間隔と加圧ロ−ルの位置関係によって定まるものである。
【0017】
本発明が対象とする直径200〜1,500mmを1種類の帯材で達成しても良い。そのために、αとして45以上を適用する場合、60度以上を適用する場合及び75度以上を適用する場合のそれぞれについて、帯幅を
【数2】
を変形して求めた。すなわち、dに
【数2】
の変形式 w=d×3.14cosα
200の値を代入し、αには45度、60度及び75度のそれぞれの値を代入して求めた。併せて、それぞれの直径に対する帯材の供給角度(β)とピッチ長さ(p)を
【数3】
と
【数1】
から求めた。これらを図8に示す。これより、適用するαの角度が45度以上
【数3】
β=90−α
の場合、特にdが500mm以下の小径の場合にピッチ長さの変化が大きく、帯材の供給角度βの厳格な管理が重要となる。これに対して、αとして75度以上を適用する場合には、dに対するpの変動幅が著しく小さくなりβの管理がし易いが、帯材の幅(w)が著しく小さくなり、接合の長さが著しく長くなる。したがって、αとして、60度以上の適用が妥当であると考える。
一方、管の直径が特定のサイズのものに限定されている場合には、それぞれの直径ごとに帯幅を変えても良い。図9は、αとして75度の一定値を適用した場合のdとwとの関係を
【数2】
の変形式から求め示したものである。このようにすることにより、直径(d)に比例して帯幅(w)の広いものを適用することができ、より一層の高能率製造が達成されるからである。また、所定の範囲ごとにグル−プ化し、かかる範囲ごとに1種類の帯材を準備しても良い。
【0018】
本発明が適用する摩擦攪拌接合手段においては、成形体(4)の内面から接合する。成形体の外面から接合した場合には、ばりの発生が著しく多くなるからである。そのために、ピン(5)とピンの周囲に凹面(8)を有するショルダ−(6)からなる回転工具(7)を成形体の内面に配備する(図2)。ピン(5)の周囲に凹面を有するのは、摩擦加熱帯を挿入ピンの近傍に限定し、ピンの挿入による周囲の被接合材の膨出部分を当該凹部分に逃がし、かかる部分での摩擦熱の発生を著しくし、塑性流動化した部分が、回転工具(7)の進行によるピンの抜け跡の体積を順次充填・補給する役目を果たすからである。
【0019】
本発明が適用する摩擦攪拌接合手段においては、回転工具(7)を回転させながらピン(5)を後退角(θ)をもってショルダ−(6)の部分が当該突合箇所に食込むまで挿入する。当該θの角度を大きくすれば当該接合箇所の円弧形状の曲率半径が小さくなる関係にあり、当該θの角度調整によって内周面を倣わせることが可能だからである。また、かかる後退角の適用は、図10に示すように接合部の肉厚減少防止のために採用する突合箇所を予め厚肉化しておく効果を高めることができるからでもある。
【0020】
本発明が適用する摩擦攪拌接合手段においては、成形体(4)の突合箇所の外周面に裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−(10)によってばりを生じさせながら裏ビ−ドを成形する(図2、図3及び図4)。摩擦加熱による塑性流動帯の攪拌による裏側の膨らみに対する裏当て材の回転ロ−ラ−(10)による裏ビ−ドの成形・冷却固化との間にタイムラグ(時間の遅れ)を設けて、裏側の接合不良を防止し、かかる部分を望ましい形状に成形するためである。そのために、回転ロ−ラ−(10)の形状を成形体(4)の外周面を倣う形状にしても良いし、成形体(4)の接合箇所の裏面をやや膨らませ又はややへこませる形状になるように、当該ロ−ラ−(10)の接する箇所をややへこませ又はやや膨らませて望ましい形状にしても良い。成形体の長手方向でみた接合位置は、図2に示すすように、成形体の下面において巻き数1ピッチ目が望ましい。回転工具(7)を取りつるア−ム(11)が長過ぎないようにするためである。かかる回転ロ−ラ−(10)の取り付け軸は、成形体(4)の突合面(a,b)に垂直とする。後述するように成形体の長手方向の送り(19)をスム−スに与えるためである。
【0021】
本発明に係るスパイラル管の製造方法は、ロ−ル成形手段と摩擦攪拌接合手段との連続工程の適用である。高能率製造のためである。それを達成するには、成形体(4)の接合速度に帯材(3)の供給速度を合わせる必要がある。ここで、駆動ロ−ル(1)の直径をD1、回転ロ−ラ−(10)の直径をD2、適正な接合速度を与えるために設定された回転ロ−ラ−の回転数をN2とした場合、駆動ロ−ルの回転数N1は、
【数4】
から求めた値に
【数4】
N1=(D2/D1)N2×sinα
設定する必要がある。図2に図示を省略した2本の駆動ロ−ル(1)が成形体(4)の接合箇所の位置以上にまで接するように長く伸ばし、かつ、回転ロ−ラ−(10)をも駆動源とすることが望ましい。成形体(4)の外周面の上部と下部とを挟み込み、3箇所を駆動源として、摩擦攪拌接合に打ち勝つ回転(18)・送り(19)を当該成形体にスム−スに与えるためである。この場合、駆動ロ−ル(1)の先端が上側に逃げないように、成形体(4)の両側に梁で連結された門型の支柱を建て、当該梁の部分に駆動ロ−ルの先端を支持し、駆動ロ−ルを両端支持構造としても良い。
【0022】
ピン(5)の挿入による突合せ目の開き防止手段として、摩擦攪拌接合に先立って仮止め溶接を行なっても良い。仮止め溶接は、図1に示す17の箇所で自動テイグ溶接による小入熱の断続溶接が望ましい。この場合、2000系、6000系及び7000系のアルミニウム合金はミクロ割れを生じ易いが、かかる部分は摩擦攪拌接合によって塑性流動・攪拌化し、当該ミクロ割れは消失してしまう。
また、図10に示すような圧延装置(12、13)を帯材(3)の成形工程の前に連続工程の一環として設置し、軽微な圧延によって帯材の両端に凸部(14)を設け、かかる凸部分を図11に示すように摩擦攪拌接合に先行して、回転工具(7)を取り付けるためのア−ム(11)に連結した回転ロ−ラ−(16)で挟む手段で行なっても良い。かかる回転ロ−ラ−を2個以上設けても良い。この場合、かかる凸部(14)が加圧ロ−ル(2)によって押し潰されないように、成形体(4)のピッチ長さ(p)よりも短いリングを加圧ロ−ル(2)にはめ込み、当該凸部(14)の逃がし部分を設けることが望ましい。
また、図1に示すように、ガイドロ−ラ−(21)と正常な造管速度にマッチングして移動(19)する回転フリ−のストッパ−(22)と、によって行なっても良い。異状な造管速度の上昇が生じないようにして、ピン(5)の挿入等による突合面の開きを防止するためである。正常な造管速度にマッチングした回転フリ−のストッパ−の移動速度は、
【数5】
から求める。かかるストッパ−(22)の移動速度は電気的に制御しても良い。
【数5】
回転フリ−のストッパ−の移動速度=接合速度×cosα
【0023】
次に、本発明に係るアルミニウム及びアルミニウム合金の摩擦攪拌接合方法及びその構造体の実施のための最良の形態について、以下に詳述する。なお、本発明に係る摩擦攪拌接合方法及びその構造体の摩擦攪拌接合手段は、上述のスパイラル管及びその製造方法の摩擦攪拌接合手段と本質的には共通するので、重複する部分の記載は省略する。
【0024】
本発明が適用する摩擦攪拌接合手段においては、ピン(5)を先細りの螺旋形状とし、当該ピンのねじ込み方向と逆方向に回転工具(7)を回転させながら接合しても良い。前述の回転ロ−ラ−(10)の適用と相俟って、塑性流動帯を裏面へ供給し、裏ビ−ドの成形を助長する効果が著しく大きくなるからである。
【0025】
本発明の摩擦攪拌接合手段において適用される回転工具(7)は、ピン(5)とショルダ−(6)からの組立構造からなり、かつ、ピンの長さの微調整ができる精密ねじ構造としても良い。前述の回転ロ−ラ−(10)の適用と相俟って、裏ビ−ドの成形直前の塑性流動化した箇所を適正な膨らみ量に調整し、ばりの発生をなるべく少なく押さえる効果があるからである。
【0026】
本発明が適用する摩擦攪拌接合手段においては、両被接合材(9)の突合箇所にピン(9)の最小直径よりも小さい幅の凸部(14)を設けても良い。スパイラル管以外の接合構造体においては、接合部の肉厚の許容差が、より小さくなるように要求される場合もあるからである。また、図5に示すように、回転ロ−ラ−(10)に窪みを設け、裏ビ−ドを滑らかな余盛り形状(ηが120度以上)に成形することもでき、化粧盛りとしての効果もあるからである。かかる凸部(14)は、突合箇所の一方の面又は両方の面に設けても良い。また、突合箇所に、被接合材と同じ合金のI型形状を有するものを挟み込んでも良い。なお、かかる凸部(14)の幅をピン(5)の最小直径よりも小さくするのは、かかる凸部の大部分が接合のために有効に使用され、図10の下図に示すような取り残し部分(15)が殆ど生じないからである。
【実施例】
【実施例1】
【0027】
アルミニウム合金6061、O質、帯材(3)の幅407mm、帯材の厚さ5mmを準備し、図1に示すロ−ルにて直径(d)500mmのスパイラル状の成形体(4)を帯材の供給角度(β)15度(αとしては75度)にて成形した。この場合の当該成形体のピッチ長さ(p)は421mmである。当該成形行程に連動する摩擦攪拌接合として、次の接合条件を採用した。回転工具(7)は図4に示す形状のものを使用し、回転数は2,000回/分、接合速度は1,300mm/分、同図に示す回転ロ−ラ−(10)によって裏ビ−ド形状を平らに成形し、内面におけるショルダ−(6)の食い込み量0.3mmである。かかる接合速度と帯材の供給速度が等しくなるように駆動ロ−ル(1)の回転数(N1)を2回/分に設定した(D1,D2共に200mm,N2が2.07回/分)。なお、ピン(5)の挿入による突合面の開き防止として、図1に示す17の箇所でテイグ溶接による仮止めを行い、成形体(4)の90度の回転毎に長さ約30mmの断続溶接を自動的に行なった。そして、かかるスパイラル管の成形行程と摩擦攪拌接合行程とを連動させて、5mの長さのスパイラル管に仕上げた。
【0028】
かかる5mの長さのスパイラル管の摩擦攪拌接合箇所の裏ビ−ドの全線にわたって、染色浸透探傷試験(JIS Z 2343)を行い、接合不良を含む接合欠陥の有無を調べたが、結果は無欠陥であった。さらに任意の10箇所の位置における断面の試験片を切り取り、100倍及び400倍の顕微鏡観察を行なったが接合不良等の接合欠陥は観察されなかった。なお、かかるスパイラル管をT6の熱処理を行い、接合部を中心に機械的性質を調べたが、押出管の機械的性質の規定値(JIS H 4080)を十分満足することを確認した。
【実施例2】
【0029】
アルミニウム合金5052、O質、板厚10mm、長さ2mの板材をI型のインサ−ト(同一の合金)を挟んで突合せ、摩擦攪拌接合をした。摩擦攪拌接合として、次の接合条件を採用した。回転工具(7)はピン(5)とショルダ−(6)との組立構造であり、かつ、ピン(5)の長さの微調整ができる精密ねじ構造とし、ショルダ−(6)には凹面を有し、ピン(5)は先細りの左ねじ込みの螺旋形状とし、右回転の回転数800回/分、後退角(θ)3度、溶接速度300mm/分、を設定し、図5に示す裏当てロ−ラ−(10)によって、ばりを生じさせながら裏ビ−ド形状を滑らかな凸形状に成形した。I型のインサ−トの幅はピン(5)の最小直径と同一とし、裏側に1mm、表側に2mm、被接合材(9)の面よりも突出し当該インサ−トを被接合材にテイグ溶接により仮止めをし、本発明の例とした。なお、比較例として、I型のインサ−トを使用しないで、被接合材(9)同士を直接突合せ、接合後に取り外しができる通常の裏当て材を用いた。なお、本発明、比較例ともに、ピン(5)の先端を被接合材(9)の底面から1mmの位置に設定し、回転工具(7)を固定し、被接合材を移動させながら接合した。ショルダ−(6)の食い込み量は、比較例が0.3mm、本発明が被接合材表面に接するまでとした。
【0030】
両接合体の裏面の全線を染色浸透探傷試験を行なったが、比較例の突合面に相当する箇所に接合欠陥が認めらわたが、本発明のものは、約0.5mmの余盛り高さであり、トウ部の角度(η)が約160度の滑らかな形状が得られ、接合欠陥も認められず、良好であった。また、顕微鏡観察においても、比較例には明らかな接合不良が認められ、本発明には認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】は、スパイラル状の成形を概念的に示す正面図と平面図である。
【図2】は、摩擦攪拌接合を概念的に示す側面図である。
【図3】は、摩擦攪拌接合において、裏当て材の役割を兼ね備えた裏ビ−ド成形のための回転ロ−ラ−(10)の配置を示す正面図と平面図である。
【図4】は、左側が図3に示す回転ロ−ラ−と接する突合面の縦断面図、右側がかかる突合面の横断面図、である。
【図5】は、左側が平板同士の突合面の縦断面図、右側がかかる突合面の横断面図である。
【図6】は、スパイラル管の原理を説明する概念図である。
【図7】は、αとp及びdとの関係を示す図である。
【図8】は、αが45度以上、αが60度以上、αが75度以上のそれぞれの場合のwを示し、また、上述のそれぞれの場合におけるdとβ及びpとの関係を示す図である。
【図9】は、αが75度の一定の場合におけるdとwとの関係を示す図である。
【図10】は、帯材の両端に凸部を成形する圧延を示す概念図である。
【図11】は、突合面がピンの挿入によって開かないように凸部を回転ロ−ラ−で挟み込む手段を示す概念図である。
【図12】は、従来技術として、突合せ部に回転工具のショルダ−の直径と等しい幅の凸部を設けた場合の正面図と側面図である。
【符号の説明】
【0032】
w:帯材(3)の幅。α:切断角度(突合面の傾斜角度)。c:切断箇所の長さ(管の円周の長さ)。d:管の直径。p:スパイラルのピッチ長さ。β:帯材(3)の供給角度。a(b):1ピッチ当たりの突合面の接合長さ。θ:ピンの挿入角度。η:トウ部の角度。1:駆動ロ−ル。2:加圧ロ−ル。3:帯材。4:スパイラル状成形体。5:ピン。6:ショルダ−。7:回転工具。8:ショルダ−(6)面の凹面。9:被接合材。10:裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−。11:回転工具(7)を取り付けるア−ム。12(13):圧延ロ−ル。14:帯材(3)の両端に成形する凸部。15:図12に示す凸部の取り残し部分。16:突合面の開き防止回転ロ−ラ−。17:仮止め溶接位置。矢印18:回転方向。矢印19:成形体(4)又は被接合体の移動方向。矢印20:接合方向。21:ガイドロ−ラ−。22:回転フリ−のストッパ−。
【表1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯材(3)を当該帯材の両側面(a,b)が突合うように円形のスパイラル状に成形するロ−ル成形手段(1、2)と、当該成形体(4)の突合箇所(a,b)の内周面にピン(5)とピンの周囲に凹面(8)を有するショルダ−(6)からなる回転工具(7)を配備し、当該工具を回転させながらピンを後退角(θ)をもってショルダ−の部分が当該突合箇所に食い込むまで挿入し、当該成形体の突合箇所の外周面に裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−(10)によってばりを生じさせながら裏ビ−ドを成形する摩擦攪拌接合手段と、の連続工程によって製造されたことを特徴とするアルミニウム及びアルミニウム合金のスパイラル管。
【請求項2】
帯材(3)を当該帯材の両側面(a,b)が突合うように円形のスパイラル状に成形するロ−ル成形手段(1、2)と、当該成形体(4)の突合箇所(a,b)の内周面にピン(5)とピンの周囲に凹面(8)を有するショルダ−(6)からなる回転工具(7)を配備し、当該工具を回転させながらピンを後退角(θ)をもってショルダ−の部分が当該突合箇所に食い込むまで挿入し、当該成形体の突合箇所の外周面に裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−(10)によってばりを生じさせながら裏ビ−ドを成形する摩擦攪拌接合手段と、の連続工程によって製造されたことを特徴とするアルミニウム及びアルミニウム合金のスパイラル管の製造方法。
【請求項3】
両被接合材(9)の突合箇所の一方の面にピン(5)とピンの周囲に凹面(8)を有するショルダ−(6)からなる回転工具(7)を配備し、当該工具を回転させながらピンを後退角(θ)をもってショルダ−の部分が当該突合箇所に食い込むまで挿入し、両被接合材の突合箇所の他方の面に裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−(10)によってばりを生じさせながら裏ビ−ドを成形する手段を有して接合されることを特徴とするアルミニウム及びアルミニウム合金の摩擦攪拌接合方法。
【請求項4】
ピン(5)を先細りの螺旋形状とし、当該ピンのねじ込み方向と逆方向に回転工具(7)を回転させながら接合することを特徴とする請求項3記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項5】
回転工具(7)がピン(5)とショルダ−(6)との組立構造からなり、かつ、ピンの長さの微調整ができる精密ねじ構造を有することを特徴とする請求項3又は請求項4記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項6】
両被接合材(9)の突合箇所にピン(5)の最小直径よりも小さい幅の凸部(14)を設けて接合することを特徴とする請求項3、請求項4又は請求項5記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項7】
両被接合材(9)の突合箇所の一方の面にピン(5)とピンの周囲に凹面(8)を有するショルダ−(6)からなる回転工具(7)を配備し、当該工具を回転させながらピンを後退角(θ)をもってショルダ−の部分が当該突合箇所に食い込むまで挿入し、両被接合材の突合箇所の他方の面に裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−(10)によってばりを生じさせながら裏ビ−ドを成形する手段を有して接合されることを特徴とするアルミニウム及びアルミニウム合金の摩擦攪拌接合の構造体。
【請求項1】
帯材(3)を当該帯材の両側面(a,b)が突合うように円形のスパイラル状に成形するロ−ル成形手段(1、2)と、当該成形体(4)の突合箇所(a,b)の内周面にピン(5)とピンの周囲に凹面(8)を有するショルダ−(6)からなる回転工具(7)を配備し、当該工具を回転させながらピンを後退角(θ)をもってショルダ−の部分が当該突合箇所に食い込むまで挿入し、当該成形体の突合箇所の外周面に裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−(10)によってばりを生じさせながら裏ビ−ドを成形する摩擦攪拌接合手段と、の連続工程によって製造されたことを特徴とするアルミニウム及びアルミニウム合金のスパイラル管。
【請求項2】
帯材(3)を当該帯材の両側面(a,b)が突合うように円形のスパイラル状に成形するロ−ル成形手段(1、2)と、当該成形体(4)の突合箇所(a,b)の内周面にピン(5)とピンの周囲に凹面(8)を有するショルダ−(6)からなる回転工具(7)を配備し、当該工具を回転させながらピンを後退角(θ)をもってショルダ−の部分が当該突合箇所に食い込むまで挿入し、当該成形体の突合箇所の外周面に裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−(10)によってばりを生じさせながら裏ビ−ドを成形する摩擦攪拌接合手段と、の連続工程によって製造されたことを特徴とするアルミニウム及びアルミニウム合金のスパイラル管の製造方法。
【請求項3】
両被接合材(9)の突合箇所の一方の面にピン(5)とピンの周囲に凹面(8)を有するショルダ−(6)からなる回転工具(7)を配備し、当該工具を回転させながらピンを後退角(θ)をもってショルダ−の部分が当該突合箇所に食い込むまで挿入し、両被接合材の突合箇所の他方の面に裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−(10)によってばりを生じさせながら裏ビ−ドを成形する手段を有して接合されることを特徴とするアルミニウム及びアルミニウム合金の摩擦攪拌接合方法。
【請求項4】
ピン(5)を先細りの螺旋形状とし、当該ピンのねじ込み方向と逆方向に回転工具(7)を回転させながら接合することを特徴とする請求項3記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項5】
回転工具(7)がピン(5)とショルダ−(6)との組立構造からなり、かつ、ピンの長さの微調整ができる精密ねじ構造を有することを特徴とする請求項3又は請求項4記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項6】
両被接合材(9)の突合箇所にピン(5)の最小直径よりも小さい幅の凸部(14)を設けて接合することを特徴とする請求項3、請求項4又は請求項5記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項7】
両被接合材(9)の突合箇所の一方の面にピン(5)とピンの周囲に凹面(8)を有するショルダ−(6)からなる回転工具(7)を配備し、当該工具を回転させながらピンを後退角(θ)をもってショルダ−の部分が当該突合箇所に食い込むまで挿入し、両被接合材の突合箇所の他方の面に裏当て材の役割を兼ね備えた回転ロ−ラ−(10)によってばりを生じさせながら裏ビ−ドを成形する手段を有して接合されることを特徴とするアルミニウム及びアルミニウム合金の摩擦攪拌接合の構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−75898(P2006−75898A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295420(P2004−295420)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(504376164)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(504376164)
【Fターム(参考)】
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