説明

アレイアンテナ装置及びマイクロ波送受信モジュール

【課題】デジタル化により半導体技術及び回路技術を適用する。
【解決手段】送受信モジュール12nにおいて、アンテナ素子11nとの間にマイクロ波のアナログ信号インターフェースを持たせ、電源以外の信号インターフェースを全てデジタル信号インターフェースとし、半導体にてワンチップ化する。内部の基準信号は、クロック生成部A1にて、高周波のデジタルクロック信号を逓倍して基準となるローカル信号を生成し、且つ同時に低周波のデジタルクロック信号により同期動作化が可能な基準信号を生成する。上記クロック生成部A1において、内部の逓倍数もしくは高周波信号のデジタルクロック信号を制御することで、基準ローカル信号の周波数を変化させることが可能である。且つ、送信波形生成部A2で生成する送信デジタル信号の周波数を変化させることにより、送受信ともに任意の周波数において対応が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレーダ装置、無線通信機器等に用いられ、マイクロ波帯の高周波信号を送受信するアレイアンテナ装置及びこの装置に用いられるマイクロ波送受信モジュールに係り、特に複数のアンテナ素子の送受信のパターン合成をデジタル合成によって実現する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ装置、無線通信機器等に用いられ、マイクロ波帯の高周波信号を送受信するアンテナ装置では、高機能化、或いは高性能化のため、フェーズドアレイ化の要求が高まって来ている。
【0003】
しかしながら、フェーズドアレイアンテナは、多数のアンテナ素子と、各アンテナ素子に接続される多数のマイクロ波送受信モジュールと、それを動作させるための電源や制御回路などが必要となるため、装置構成が複雑で大規模となる。しかも、電力増幅器、移相器やスイッチなどのマイクロ波半導体素子、個々のマイクロ波送受信モジュールと接続されてアレイアンテナのパターン合成を行なうマイクロ波信号分配/合成回路、といった特殊な回路が必要である。このようなことから、小型化、低コスト化が困難であった。
【0004】
尚、レーダセンサ等に用いられるRF送受信モジュールの集積回路化技術に関しては、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−155741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように従来のアレイアンテナ装置では、利用分野の拡大に対応すべく、大幅なコスト低減が要求されている。
【0007】
本発明は上記の事情を考慮してなされたもので、マイクロ波送受信モジュール、電力合成回路などの高周波回路部分のデジタル化を実現し、これによって全体の小型化及びコスト低減を実現するアレイアンテナ装置とこの装置に用いられるマイクロ波送受信モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、複数のアンテナ素子と、前記複数のアンテナ素子それぞれに接続され、前記アンテナ素子に送信マイクロ波信号を供給し、前記アンテナ素子からのマイクロ波信号を受信する複数のマイクロ波送受信モジュールと、前記複数のマイクロ波送受信モジュールから出力される受信信号を合成するビーム形成器と、前記複数のマイクロ波送受信モジュール及びビーム形成器それぞれに対する制御信号を生成するアンテナ制御部とを具備し、前記マイクロ波送受信モジュールは、前記アンテナ素子との間でマイクロ波のアナログ信号を入出力するためのインターフェースを持ち、且つ、電源以外の信号インターフェースが全てデジタル信号インターフェースであり、半導体にてワンチップ化してなる構成とする。
【0009】
また、本発明に係るマイクロ波送受信モジュールは、複数のアンテナ素子それぞれに接続され、前記アンテナ素子に送信マイクロ波信号を供給し、前記アンテナ素子からのマイクロ波信号を受信するマイクロ波送受信モジュールであって、前記アンテナ素子毎に異なる送信波形を生成可能な波形生成部と、外部から供給される高周波のデジタルクロック信号を逓倍して基準ローカル信号を生成し、且つ同時に外部より供給される低周波のデジタルクロック信号により同期化用の基準信号を生成するクロック生成部と、前記波形生成部で生成されたデジタル送信信号をアナログ信号に変換するデジタル信号−アナログ信号(以下単にDA)変換部と、前記クロック生成部にて生成される高周波の基準ローカル信号を前記DA変換部にて生成されるアナログ送信信号に混合してマイクロ波送信信号を生成する送信信号用ミキサと、前記ミキサにて周波数変換された送信信号を電力増幅して前記アンテナ素子に送出する送信電力増幅器と、前記アンテナ素子から入力される受信マイクロ波信号を低熱雑音増幅する受信電力増幅器と、前記受信電力増幅器から出力されるマイクロ波受信信号に前記クロック生成部にて生成される基準ローカル信号を混合して受信中間周波信号を生成する受信信号用ミキサと、前記受信信号用ミキサにて生成された受信中間周波信号を、前記クロック生成部にて生成される基準ローカル信号によってアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログ信号−デジタル信号(以下単にAD)変換部と、少なくとも前記デジタル波形生成部及びクロック生成部を外部からの指令に応じて制御するモジュール制御部とを備え、前記アンテナ素子との間でマイクロ波のアナログ信号を入出力するためのインターフェースを持ち、且つ、電源以外の信号インターフェースが全てデジタル信号インターフェースであり、半導体にてワンチップ化してなる構成とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のように構成したことにより、マイクロ波送受信モジュール、電力合成回路などの高周波回路部分のデジタル化を実現し、これによって全体の小型化及びコスト低減を実現するアレイアンテナ装置とこの装置に用いられるマイクロ波送受信モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態として、マイクロ波アレイアンテナ装置の構成を示すブロック図。
【図2】上記マイクロ波アレイアンテナ装置の制御系の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態として、マイクロ波アレイアンテナ装置の構成を示すブロック図である。ここでは、高周波のデジタルクロック信号をHi=600MHz,Lo=10MHzとし、9.6GHz帯の送信信号を生成、出力する場合について説明する。
【0014】
図1において、…,11i,11i+1,…(以下、11n)はアンテナ素子であり、各アンテナ素子11nはそれぞれ対応して設けられた送受信モジュール…,12i,12i+1,…(以下、12n)に接続され、当該モジュール12nを通じて送受信信号を入出力する。各送受信モジュール12nは、信号源15から送られてくるデジタルクロック信号を用いて送信信号を生成し、アンテナ素子11nからの受信信号の振幅・位相特性をウェイト制御することでビーム形成を行って、その制御を受けた受信信号をビーム形成器13に出力する。
【0015】
上記送受信モジュール12nにおいて、クロック生成部A1は、上記信号源15から与えられるデジタルクロック信号(Hi=600MHz,Lo=10MHz)からベースバンド周波数150MHzの基準信号と送信周波数9600MHzの基準ローカル信号を生成する。波形生成部A2は、クロック生成部A1で生成されるベースバンド周波数150MHzの基準信号から送信波形のデジタル信号を生成する。DA変換部A3は、波形生成部A2で生成される送信波形のデジタル信号をアナログ信号に変換する。送信信号用ミキサA4は、DA変換部A3から出力されるベースバンドのアナログ送信信号に送信周波数の基準ローカル信号を混合してアップコンバートする。フィルタA5は、アップコンバート時に発生する不要周波数成分を除去する。送信電力増幅器A6はフィルタA5から出力される送信信号を電力増幅してアンテナ素子11nに出力する。
【0016】
また、受信電力増幅器A7は、アンテナ素子11nの受信出力を低雑音増幅する。受信信号用ミキサA8は、受信電力増幅器A7の出力に送信周波数の基準ローカル信号を混合してIF(中間周波数)帯に変換する。AD変換部A9は、ミキサA8の出力をベースバンドのデジタル信号に変換する。信号インターフェース回路部A10は、ベースバンドのデジタル信号に変換された受信信号を所定の形式に変換してビーム形成器13に出力する。モジュール制御部A11は、上記各処理部A1〜A10それぞれのタイミング、パラメータをアンテナ制御部14からの制御信号に応じて適宜制御する。
【0017】
上記構成による送受信モジュール12nの波形生成部A2で生成された送信波形信号と信号インターフェース回路部A10で得られた受信信号はビーム形成器13に送られる。このビーム形成器13は各送受信モジュール12nからの信号の振幅・位相をモニタし、パラメータを調整して送信ビーム、受信ビームそれぞれの広がり、角度を調整する。
【0018】
上記構成において、以下に本発明の特徴部分について説明する。
【0019】
まず、送信における信号の原波形は波形生成部A2にて生成される。送信信号の原波形は、例えばレーダなどにおいて、送信パルス内で周波数掃引を行なうチャープ波形などがこれに当たる。波形生成部A2では、先ずこの原波形F0を最初に生成する。
【0020】
次に、一般的な2次元素子配列アレイアンテナの場合を想定して説明する。
【0021】
この場合、各アンテナ素子の座標を(Xm,n ,Ym,n ,Zm,n )、方位方向のビームの指向角をθAZ 、仰角方向のビーム指向角をθEL とし、周波数をfc から求められる位相遅延量Pm,n を原波形に加算し、必要に応じて振幅変調Am,nを加えることでデジタルの送信信号が生成される。
【0022】
ここで、アンテナ素子毎の位相遅延量Pm,n は、一般的な2次元素子配列アレイアンテナの場合では、次の(1)式で得ることができる。
【数1】

【0023】
なお、Vc :光速
m,n :各アンテナ素子のX軸座標
m,n :各アンテナ素子のY軸座標
θm,n :方位方向ビーム走査角
θm,n :仰角方向ビーム走査角
である。
【0024】
さらに、波形生成部A2にて生成されたデジタルの送信信号はDA変換部A3にてアナログ信号に変換されて送信信号用ミキサA4に送られる。一方、クロック生成部A1では、信号源15から供給される600MHzの高域デジタルクロック信号及び10MHzの低域デジタルクロック信号から、その10MHzの低域デジタルクロック信号に同期した9.6GHzのローカル信号を生成し、送信信号用ミキサA4へ出力する。送信信号用ミキサA4では、DA変換部A3より送られてくるアナログの送信信号と、クロック生成部A1にて生成される9.6GHzのローカル信号とを混合することで送信マイクロ波信号を生成する。このようにして生成された送信マイクロ波信号は、フィルタA5によって不要波成分を除去し、電力増幅器A6によって電力増幅された後、アンテナ素子11nに送られて空間に送出される。
【0025】
尚、前述の位相遅延量Pm,n をアンテナ素子毎に、且つ時間ごとに可変制御することによって、電子的にビームを走査することのできるフェーズドアレイアンテナとして使用することが可能となる。
【0026】
次に、信号源15で発生される600MHzのデジタルクロック信号を入力して、9.6GHz帯の受信動作を行う場合について説明する。
【0027】
アンテナ素子11nから入力された受信マイクロ波信号は、受信側の低雑音増幅器A7にて低熱雑音増幅されて受信信号用ミキサA8に入力される。この受信用ミキサA8では、送信時と同様にクロック生成部A1にて生成された9.6GHzのローカル信号により、受信マイクロ波信号を150MHz程度の受信IF信号に変換する。受信用ミキサA7にて受信IF信号に変換された信号は、AD変換部A8にてデジタル信号に変換されて、ビーム形成器13へ出力される。
【0028】
上記構成による送受信モジュール12nにおいて、本発明では、アンテナ素子11nとの間にマイクロ波のアナログ信号インターフェースを持たせ、電源以外の信号インターフェースを全てデジタル信号インターフェースとし、半導体にてワンチップ化する。
【0029】
また、送受信モジュール12nにおいて、内部の基準信号は、クロック生成部A1にて、外部から供給される高周波のデジタルクロック信号を逓倍して基準となるローカル信号を生成し、且つ同時に外部より供給される低周波のデジタルクロック信号により同期動作化が可能な基準信号を生成する。
【0030】
ここで、上記クロック生成部A1において、内部の逓倍数もしくは外部より供給される高周波のデジタルクロック信号の周波数を制御することで、生成する基準ローカル信号の周波数を変化させることが可能である。且つ、送信波形生成部A2で生成する送信デジタル信号の周波数を変化させることにより、送受信ともに任意の周波数において対応が可能となる。
【0031】
尚、上記送受信モジュールにおいて、12nにおいて、アナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換部A3の出力部に、外部に対して高速大容量のデータ通信を行うためのインターフェース回路部A10を備えるようにすると、マイクロ波通信機器にも利用することが可能となる。
【0032】
また、上記送受信モジュール12nにおいて、AD変換部A8の出力部に、他の送受信モジュールから出力される受信デジタル信号を取り込んで複素乗算する回路を設けるようにすれば、各アンテナ素子出力を相互に調整してアクティブなフェーズドアレイアンテナが実現されると予想される。
【0033】
以上のように、本発明の構成によれば、小型・軽量化で安価なアクティブフェーズドアレイアンテナを実現することができる。特に、レーダや通信機器を始めとした、様々な電波通信機器において、高機能で高性能なシステムを提供することができる。
【0034】
具体例として、パルスレーダ装置のアレイアンテナ装置に本発明を適用した場合の糸よりの流れを図2に示す。図2において、アンテナ制御部14では、レーダ動作諸元として周波数a1、パルス条件a2、ビーム指向角a3を決定する。周波数a1では中心周波数a11、占有帯域幅a12を設定する。パルス条件a2では、基準タイミングa21、送信パルス幅a22、繰り返し周期a23を設定する。そして、占有帯域幅a12、基準タイミングa21及び送信パルス幅a22の設定値からレーダ・キャリア波信号定数(ε-jf(t) )a4が生成される。一方、ビーム指向角a3が設定されると、そのビーム指向角a3からモジュール制御の位相演算に要する情報a5としてビーム走査角θAZ,EL 、素子座標(m,n)、波長定数k(f/Vc)を求め、上記占有帯域幅a12及びレーダ・キャリア波信号定数a4と共に送受信モジュール12nの制御部A11に送られる。
【0035】
制御部A11において、アンテナ制御部14から供給される占有帯域幅a12は開口面補正係数演算回路b1に供給され、レーダ・キャリア波信号定数a4はモジュール位相変調定数生成回路b2に送られ、モジュール制御位相演算情報a5は上記開口面補正係数演算回路b1と共にモジュール制御位相演算回路b3に送られる。
【0036】
上記開口面補正係数演算回路b1は、占有帯域幅a12とモジュール制御位相演算情報a5とからアンテナ開口面の補正係数A・f(m,n)を求める。一方、モジュール制御位相演算回路b3は、クロック生成部A1の逓倍/分周回路c1から与えられるデジタルクロック信号に基づいてモジュール制御位相演算情報a5からモジュール制御位相ε-jKm,n を求める。
【0037】
上記モジュール位相変調定数生成回路b2は、開口面補正係数A・f(m,n)、モジュール制御位相ε-jKm,n 及びレーダ・キャリア波信号定数ε-jf(t) からモジュール位相変調定数A・f(m,n)・ε-jKm,n ・ε-jf(t) を生成する。
【0038】
一方、アンテナ制御部14から供給される繰り返し周期a23は、送受信タイミング生成回路b4に供給される。この送受信タイミング生成回路b4は、送信パルスの繰り返し周期a23から送受信の切換を制御するタイミング信号を生成する。この送受信タイミング生成回路b4で生成されたタイミング信号は、クロック生成部A1の送受切替回路c2に供給される。
【0039】
上記クロック生成部A1では、逓倍/分周回路c1において、信号源15から与えられる低域デジタルクロック信号(10MHz)と高域デジタルクロック信号(600MHz)を取り込み、両クロック信号を逓倍/分周して9600MHzと150MHzのクロック信号を生成する。ここで生成されたクロック信号は、送受切り替え回路c2によりレーダパルスの送受信それぞれのタイミングで選択的に導出され、150MHzのクロック信号は波形生成部A2にサンプリングクロックとしてDA変換部A3及びAD変換部A9に供給され、9600MHzのクロック信号はローカル信号としてミキサA4,A8に送られる。
【0040】
一方、上記モジュール位相変調定数生成部b2で生成されモジュール位相変調定数は波形生成部A2に送られる。この波形生成部A2は、150MHzのクロック信号によるステップでモジュール位相変調定数に基づいてモジュール位相変調信号を生成する。ここで得られた変調信号はDA変換部A3に送られ、150MHzのクロック信号に基づいてアナログ波形に変換されてミキサA4に送られる。
【0041】
上記構成によれば、電源以外の信号インターフェース、すなわち制御部A11を全てデジタル信号インターフェースとすることになるので、半導体にてワンチップ化することが可能となる。
【0042】
また、モジュール内部では、クロック生成部A1にて、高周波のデジタルクロック信号を逓倍して基準となるローカル信号を生成し、且つ同時に低周波のデジタルクロック信号により同期動作化が可能な基準信号を生成することができる。
【0043】
ここで、上記クロック生成部A1において、内部の逓倍数もしくは高周波のデジタルクロック信号の周波数を制御することで、生成する基準ローカル信号の周波数を変化させることが可能である。且つ、送信波形生成部A2で生成する送信デジタル信号の周波数を変化させることにより、送受信ともに任意の周波数において対応が可能となる。
【0044】
その他、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0045】
11n…アンテナ素子、12n…送受信モジュール、13…ビーム形成器、14…アンテナ制御部、15…信号源、A1…クロック生成部、A2…波形生成部、A3…DA変換部、A4…送信用ミキサ、A5…電力増幅器、A6…低雑音増幅器、A7…受信用ミキサ、A8…AD変換部、A9…モジュール制御部、a1…周波数、a2…パルス条件、a3…ビーム指向角、a4…レーダ・キャリア波信号定数、a5…モジュール制御の位相演算に要する情報、a11…中心周波数、a12…占有帯域幅、a21…基準タイミング、a22…送信パルス幅、a23…繰り返し周期、b1…開口面補正係数演算回路、b2…モジュール位相変調定数生成回路、b3…モジュール制御位相演算回路、b4…送受信タイミング生成回路、c1…逓倍/分周回路、c2…送受切り替え回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナ素子と、
前記複数のアンテナ素子それぞれに接続され、前記アンテナ素子に送信マイクロ波信号を供給する機能と、前記アンテナ素子からのマイクロ波信号を受信する機能を有する複数のマイクロ波送受信モジュールと、
前記複数のマイクロ波送受信モジュールから出力される受信信号を合成するビーム形成器と、
前記複数のマイクロ波送受信モジュール及びビーム形成器それぞれに対する制御信号を生成するアンテナ制御部とを具備し、
前記マイクロ波送受信モジュールは、
前記アンテナ素子との間でマイクロ波のアナログ信号を入出力するためのインターフェースを持ち、且つ、電源以外の信号インターフェースが全てデジタル信号インターフェースであり、半導体にてワンチップ化してなるアレイアンテナ装置。
【請求項2】
前記マイクロ波送受信モジュールは、
前記アンテナ素子毎に異なる送信波形を生成可能な波形生成部と、
高周波のデジタルクロック信号を逓倍して基準ローカル信号を生成し、且つ同時に低周波のデジタルクロック信号により同期化用の基準信号を生成するクロック生成部と、
前記波形生成部で生成されたデジタル送信信号をアナログ信号に変換するデジタル信号−アナログ信号(以下単にDA)変換部と、
前記クロック生成部にて生成される高周波の基準ローカル信号を前記DA変換部にて生成されるアナログ送信信号に混合してマイクロ波送信信号を生成する送信信号用ミキサと、
前記ミキサにて周波数変換された送信信号を電力増幅して前記アンテナ素子に送出する送信電力増幅器と、
前記アンテナ素子から入力される受信マイクロ波信号を低熱雑音増幅する受信電力増幅器と、
前記受信電力増幅器から出力されるマイクロ波受信信号に前記クロック生成部にて生成される基準ローカル信号を混合して受信中間周波信号を生成する受信信号用ミキサと、
前記受信信号用ミキサにて生成された受信中間周波信号を、前記クロック生成部にて生成される基準ローカル信号によってアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログ信号−デジタル信号(以下単にAD)変換部と、
少なくとも前記デジタル波形生成部及びクロック生成部を外部からの指令に応じて制御するモジュール制御部と
を備える請求項1記載のアレイアンテナ装置。
【請求項3】
前記モジュール制御部は、前記クロック生成部の内部の逓倍数もしくは高周波のデジタルクロック信号の周波数を制御することで、生成する基準ローカル信号の周波数を変化させ、且つ、前記送信波形生成部で生成するデジタル送信信号の周波数を変化させることで、送受信ともに任意の周波数において対応させる請求項2記載のアレイアンテナ装置。
【請求項4】
前記マイクロ波送受信モジュールは、前記AD変換部の出力部に、外部に対してデータ通信を行うための信号インターフェース回路部を備える請求項2記載のアレイアンテナ装置。
【請求項5】
前記マイクロ波送受信モジュールは、前記AD変換部の出力部に、他のマイクロ波送受信モジュールから出力されるデジタル受信信号を取り込んで複素乗算する回路を備える請求項2記載のアレイアンテナ装置。
【請求項6】
前記マイクロ波送受信モジュールは、前記AD変換部の出力部に、他のマイクロ波送受信モジュールから出力されるデジタル受信信号を取り込んで複素乗算する回路と、外部に対してデータ通信を行うための信号インターフェース回路部とを備えるようにしたことを特徴とする請求項2記載のアレイアンテナ装置。
【請求項7】
複数のアンテナ素子それぞれに接続され、前記アンテナ素子に送信マイクロ波信号を供給し、前記アンテナ素子からのマイクロ波信号を受信するマイクロ波送受信モジュールであって、
前記アンテナ素子毎に異なる送信波形を生成可能な波形生成部と、
高周波のデジタルクロック信号を逓倍して基準ローカル信号を生成し、且つ同時に低周波のデジタルクロック信号により同期化用の基準信号を生成するクロック生成部と、
前記波形生成部で生成されたデジタル送信信号をアナログ信号に変換するデジタル信号−アナログ信号(以下単にDA)変換部と、
前記クロック生成部にて生成される高周波の基準ローカル信号を前記DA変換部にて生成されるアナログ送信信号に混合してマイクロ波送信信号を生成する送信信号用ミキサと、
前記ミキサにて周波数変換された送信信号を電力増幅して前記アンテナ素子に送出する送信電力増幅器と、
前記アンテナ素子から入力される受信マイクロ波信号を低熱雑音増幅する受信電力増幅器と、
前記受信電力増幅器から出力されるマイクロ波受信信号に前記クロック生成部にて生成される基準ローカル信号を混合して受信中間周波信号を生成する受信信号用ミキサと、
前記受信信号用ミキサにて生成された受信中間周波信号を、前記クロック生成部にて生成される基準ローカル信号によってアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログ信号−デジタル信号(以下単にAD)変換部と、
少なくとも前記デジタル波形生成部及びクロック生成部を外部からの指令に応じて制御するモジュール制御部とを備え、
前記アンテナ素子との間でマイクロ波のアナログ信号を入出力するためのインターフェースを持ち、且つ、電源以外の信号インターフェースが全てデジタル信号インターフェースであり、半導体にてワンチップ化してなるマイクロ波送受信モジュール。
【請求項8】
前記モジュール制御部は、前記クロック生成部の内部の逓倍数もしくは高周波のデジタルクロック信号の周波数を制御することで、生成する基準ローカル信号の周波数を変化させ、且つ、前記送信波形生成部で生成するデジタル送信信号の周波数を変化させることで、送受信ともに任意の周波数において対応させることを特徴とする請求項7記載のマイクロ波送受信モジュール。
【請求項9】
前記AD変換部の出力部には、外部に対してデータ通信を行うための信号インターフェース回路部を備える請求項7記載のマイクロ波送受信モジュール。
【請求項10】
前記AD変換部の出力部には、他のマイクロ波送受信モジュールから出力されるデジタル受信信号を取り込んで複素乗算する回路を備える請求項7記載のマイクロ波送受信モジュール。
【請求項11】
前記AD変換部の出力部には、他のマイクロ波送受信モジュールから出力されるデジタル受信信号を取り込んで複素乗算する回路と、外部に対してデータ通信を行うための信号インターフェース回路部とを備えるようにしたことを特徴とする請求項7記載のマイクロ波送受信モジュール。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−239614(P2010−239614A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53624(P2010−53624)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】