説明

アレルギー性鼻炎を処置するための抗アレルギー剤およびステロイドの使用

抗アレルギー剤およびステロイドの所定の組み合わせを用いて、アレルギー性鼻炎を処置するための組成物および方法を開示する。本発明は、哺乳動物におけるアレルギー性鼻炎を処置する方法に関し、この方法は薬学的に有効な量の組成物を投与する工程を含み、この組成物はエメダスチンおよびオロパタジンからなる群から選択される抗アレルギー剤、ならびにフルチカゾン、モメタゾン、ブデソニド、およびベクロメタゾンからなる群から選択されるステロイドを含む。この組成物中の抗アレルギー剤の量は0.01〜0.8%(重量/体積)であり、この組成物中のステロイドの量は0.01〜1.0%(重量/体積)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻の状態、とりわけ鼻炎を処置するための、ステロイドと併用する抗アレルギー剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
アレルギー性鼻炎は、歴史的に、経口抗ヒスタミン剤および/または経口ステロイドのレジメンを用いて処置されてきた。全身処置は、代表的には、必要な処置部位に到達するために有効な濃度を与えるために投与されるべき、より高い濃度の薬物化合物を必要とする。抗ヒスタミン化合物は、中枢神経系(CNS)活性を有することが公知であり、この活性はそれ自体、嗜眠状態となって現れる。それらの化合物はまた、抗コリン作用性の活性もまた有するかも知れず、この活性はそれ自体、粘膜の乾燥となって現れる。
【0003】
鼻腔内の併用療法は公知である。例えば、WO97/01337号は、鼻炎の処置のための、局所で鼻用の抗ヒスタミン剤と局所で鼻用のステロイドとの組み合わせを開示する。その出願は、本発明の抗アレルギー剤とステロイドとの組み合わせの使用を開示していない。WO97/46243号は、ステロイドおよび抗ヒスタミン剤を含む鼻用スプレーを開示する。この出願もまた、本発明の組み合わせを開示していない。米国外で上市されていて、ステロイドおよび抗ヒスタミン剤の両方を含む鼻腔内用製品があり、例えば、以下である:PharmacobelからのCortinasal(これはアンタゾリンおよびヒドロコルチゾンを含む);SmithKline BeechamからのRinosular(これはジフェンヒドラミンおよびプレドニゾロンを含む);ならびにAlconCusiからのRinocusi(これはジフェンヒドラミンおよびヒドロコルチゾンを含む)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、鼻炎を処置するための抗アレルギー剤とステロイドとの所定の組み合わせを含む鼻腔内用組成物に関する。この抗アレルギー剤は、エメダスチンまたはオロパタジン(olopatadine)であるよう選択される。このステロイドは、フルチカゾン、モメタゾン、ブデソニド、またはベクロメタゾンであるよう選択される。哺乳動物における上記の組成物の使用の方法もまた予期されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
(好ましい実施形態の説明)
本発明は、アレルギー性鼻炎に関連するくしゃみ、鼻漏、鬱血、および掻痒を処置するための、エメダスチンまたはオロパタジンのいずれか、および一つの選択されるステロイドの組成物を含む。
【0006】
エメダスチンおよびオロパタジンは公知の抗アレルギー化合物である。エメダスチンは、米国特許第4,430,343号に開示される。オロパタジンは、米国特許第5,116,863号に開示され;眼のアレルギー状態を処置するためのその使用は、米国特許第5,641,805号に開示される。本発明の組成物中の抗アレルギー剤の濃度は、0.01〜0.8%(重量/体積)の範囲にわたり、好適には、オロパタジンに対しては、0.1〜0.8%(重量/体積)であり、エメダスチンに対しては、0.01〜0.1%(重量/体積)である。エメダスチンは、本発明の組成物にエメダスチンジフマレートの形で好適に添加される。オロパタジンは、本発明の組成物にオロパタジン塩酸塩の形で好適に添加される。
【0007】
本発明の併用製品は、ステロイドを含み、このステロイドは以下からなる群から選択される:フルチカゾン、モメタゾン、ブデソニド、およびベクロメタゾン。これらのステロイドの各々は、鼻炎を処置する際の使用について公知である。本発明の組成物中のステロイドの濃度は、0.01〜1.0%(重量/体積)の範囲にわたり、好適には、0.02〜0.5%(重量/体積)である。フルチカゾンは、本発明の組成物にフルチカゾンプロピオネートの形で好適に添加され、モメタゾンは、モメタゾンフロエート一水和物として、そしてベクロメタゾンは、ベクロメタゾンジプロピオネート(beclomethasone diproprionate)として好適に添加される。一つの実施形態において、このステロイドは、それが2.5〜5μmの平均粒子サイズを有するよう、公知の手法を用いて、寸法を決められる。別の実施形態において、0.8μm未満の平均粒子サイズ、好適には、0.5μm以下の平均粒子サイズを有するステロイド粒子を得るために、公知のナノサイズ化手法が用いられる。
【0008】
本発明の組み合わせは、鼻への送達のための、様々なタイプの鼻腔内用処方物に組み込まれ得る。例えば、その処方物は、エアロゾル剤、水性スプレー剤、または点滴剤として投与されるよう設計される液剤または懸濁剤の形態をとってもよい。好適には、この処方物は鼻用スプレーとして包装される水性組成物である。投与レジメンは、熟練した臨床医の慣用的判断に従って指定されるが、代表的には、1〜2スプレーのこれらの処方物であり、それが1日あたり2回まで外鼻孔に送達され、各スプレーが25〜100μLのその処方物を送達する。
【0009】
この処方物は、上記の抗アレルギー剤およびステロイドに加えて、鼻用処方物の分野で公知の賦形剤を含んでいてもよく、この賦形剤としては、抗菌剤、抗酸化剤、粘度を上昇させるための薬剤、張度調整剤、緩衝剤、可溶化剤、界面活性剤などが挙げられる。例えば、水性鼻腔内用処方物は、塩化ベンザルコニウム、およびポリクオタニウム−1(polyquaternium−1)などの4級アンモニウム保存剤、ならびにEDTAなどの保存剤および保存補助剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン、およびカルボキシメチルセルロースなどの粘性改変剤;塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール、およびグルセリンなどの張度調整剤;チロキサポール(tyloxapol)、またはポリソルベート80(Polysorbate 80)などの湿潤剤/界面活性剤;ならびにNaOHまたはHClなどのpH調整剤を含んでいてもよい。本発明の処方物中の4級アンモニウム保存剤の量は、代表的には、0.001〜0.03%(重量/体積)の範囲にある。本発明の組成物は、好適には、3.5〜8.0のpHを有し、および1〜50cpsの粘度を有するよう処方される。
【0010】
下記の実施例は本発明の組成物についての例示であるが、決して限定的ではない。
【実施例】
【0011】
【表1】

【0012】
【表2】

【0013】
【表3】

【0014】
【表4】

【0015】
【表5】

【0016】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物におけるアレルギー性鼻炎を処置するための方法であって、該方法が、薬学的に有効な量の組成物を投与する工程を含み、該組成物が、エメダスチンおよびオロパタジンからなる群から選択される抗アレルギー剤、ならびにフルチカゾン、モメタゾン、ブデソニド、およびベクロメタゾンからなる群から選択されるステロイドを含む、方法。
【請求項2】
前記組成物中の抗アレルギー剤の量が、0.01〜0.8%(重量/体積)であり、該組成物中のステロイドの量が、0.01〜1.0%(重量/体積)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗アレルギー剤が、オロパタジンである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステロイドが、フルチカゾンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ステロイドが、2.5〜5μmの平均粒子サイズを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ステロイドが、0.8μm未満の平均粒子サイズを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物中の前記ステロイドが、0.5μm以下の平均粒子サイズを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が、鼻用スプレーとして包装される水性組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、pH3.5〜8.0および1〜50cpsの粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
哺乳動物におけるアレルギー性鼻炎を処置するための方法であって、該方法が、薬学的に有効な量の組成物を投与する工程を含み、該組成物が、0.1〜0.8%(重量/体積)のオロパタジン、ならびにフルチカゾン、モメタゾン、ブデソニド、およびベクロメタゾンからなる群から選択される0.02〜0.5%(重量/体積)のステロイドを含み、ここで該組成物が、pH3.5〜8.0および1〜50cpsの粘度を有し、該組成物が鼻用スプレーとして包装される水性組成物である、方法。

【公表番号】特表2006−508138(P2006−508138A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552124(P2004−552124)
【出願日】平成15年11月12日(2003.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/036054
【国際公開番号】WO2004/043470
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(399054697)アルコン,インコーポレイテッド (102)
【Fターム(参考)】