説明

アロイ化されたフィルムを製造する改善された方法、およびその方法のための装置

熱可塑性ポリマーアロイのフィルムまたはシートを形成する方法および該方法を実施するための装置であって、LLDPE中に分散されたポリプロピレンのような非相溶性のポリマー物質の密接混合物が押出ダイを通って押し出され、押出後に延伸される。出口からの上流のダイには、1つ以上のグリッドを含むグリッドチャンバーが提供され、該1つまたは複数のグリッドは、流れの主な表面に垂直な断面において少なくとも4つの近接したラメラ(303)を有し、該ラメラは流れ方向に数ミリ伸びた壁を有し、それらは間隔を置いて相互に連結され、流れの方向に垂直な断面においてそれらはネットワークを形成し、前記の間隔はそれぞれのラメラ対の間の距離よりも実質的に長く、ブレンド内のP1またはP2の分散された相の平均サイズを減少させるようにラメラの開口ツイズが選択され、1つまたは複数のグリッドはチャンバー内に位置し、ギャップは前述の出口ギャップより広く、グリッドチャンバーはさらにスクリーンとダイ出口の間にギャップ低減部分をさらに含み、混合物がそれを通って流れるギャップがダイ出口のギャップへの通路の少なくとも一部で減少される。それらは平行なラメラを有する2つのグリッドであることができ、下流のグリッドのラメラが上流のグリッドのラメラの間の中間に位置するように配置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
共に係属する国際特許出願WO−A−2004094129は、マトリックス物質として他のポリマー物質(P2)内に吸蔵された1以上のポリマー物質(P1)の平坦なマイクロフィブリルから成るアロイ化されたフィルムを製造する方法を含む。そのようなモルホロジーにおいては、フィブリルの高度の平坦性、すなわち幅と長さにおける平均比率がいいくつかの目的のために非常に重要であり、特には目標が高いバリア特性を達成することであり、そのために1または複数のポリマーP1およびP2が選択される場合には重要である。しかしながら、高度のフィブリルの平坦性は、さらに以下において取り扱われる他のいくつかの目的にとって重要になりえる。
【0002】
上記の共に係属する国際特許出願において請求され開示された関連する方法は、熱可塑性のポリマーアロイのフィルムまたはシートを形成する方法を含み、高分子材料P1および高分子材料P2の密接混合物が形成される。混合物はダイを通って押し出され、押出されたフィルムは、押出の後に延伸される。ここでダイを通る流れ通路は出口ギャップを有する出口オリフィスを含む。ここで、出口オリフィスの上流にグリッドチャンバーが提供され、該グリッドチャンバーはそれを通って混合物が通過する1つ以上のグリッドを含み、1つまたは複数のグリッドは少なくとも4つの(流れの主表面に垂直な長さ方向部分において)近接して置かれたラメラを有し、該ラメラは流れの方向に数ミリメートル伸びた壁を有し、ラメラの開口部の間のサイズが混合物中に分散されたP1’とP2’の相の平均サイズを減少させるように選択され、1つまたは複数のグリッドはチャンバー内に位置し、該位置においてギャップは前述の出口ギャップより広く、グリッドチャンバーはさらにスクリーンとダイ出口の間にギャップ低減部分を含み、それを通って混合物が流れるギャップが、少なくともダイ出口のギャップへの一部において減少される。
【0003】
本発明は同様に特徴づけられるが、前記のラメラが間隔をおいて相互に連結し、流れの方向と垂直な部分で見るとそれらはネットワークを形成し、間隔はそれぞれのラメラの対の間の距離よりも実質的に長いという点でさらに特徴づけられる。
【0004】
本特許出願は、前述の国際特許出願の公開前に出願された。本発明は、チューブ状のフィルム並びに平らなフィルムの押出にも使用することができる。
【0005】
グリッド中のラメラの配列間のポリマーインポリマー分散物の流れの通過は、流れを平坦なリボンのように形成された複数のサブフローに分割する。これらはラメラの配列からの出口で1つの流れに再び結合される。各対のラメラ間の通過中に、P2の中で吸蔵されるP1の粒子状物質はせん断力を受け平坦な構造にされ、流れ方向に大きく伸ばされ、平坦なフィブリルにされる。この点で、各対のラメラは平坦なまたは環状の押出ダイにおける狭い出口スロットと同様に作用する。単に非常に狭い出口オリフィスからポリマー分散物を押し出す代わりに、本明細書に記載されたグリッドチャンバーを使用し、流れと平行で流れの主な境界に垂直である部分の中で見られた時にそれぞれのグリッドが少なくとも4つのラメラを有し、それにより同じ視界において少なくとも4つの支流に流れが分割されることには2つの利点がある。1つの利点は、通常の、より大きなギャップの出口オリフィスと比較して、そのようなグリッドチャンバーの使用により、背圧が与えられたスループットにおいて非常に低くできることである。別の利点は、支流がラメラを通過する際に起こる平坦化に加えて、ダイの出口に向けてチャンバーが狭くなる際に、フィブリルが1つまたは複数のグリッドの後に本質的に平らになることである。
【0006】
押出型の末端に公知のスクリーンを使用することは公知である(日本国特許公開85−110422)が、ポリマー−イン−ポリマー分散体が通過する際に粒子の平坦性を増加させることを支援しない。
【0007】
所望のモルホロジーを妨害しないために、それぞれの対のラメラの間の距離よりも本質的に長い、間隔をおいて相互に連結されたラメラを有することの特別な利点は、機械的な安定性である。そのために、ラメラの厚さ、例えば、0.5mmまでまたはこれ以下、および後者間のスペーシングをより小さくすることができ、および/または、グリッド―チャンバーはより高く作ることができ、それにより流れと平行で流れの境界に垂直である部分の中で見た時のラメラの数をフィブリルの平坦性を最適化する目的のために最適化することができる。
【0008】
好ましくは、ラメラ間の連結の間隔は、それぞれの対または複数のラメラの間の距離の少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも3倍、さらにより好ましくは5から10倍の間である。
【0009】
本発明の1つの実施態様においては、ラメラは平らであるかまたは若干曲がっており、流れがグリッドに入るときの流れの主境界に対して、これらの境界と約10から約70度の角度を形成するように傾いている。好ましくは、相互に異なる方向に傾むいた、少なくとも2つのそのような一連のグリッドを有する。
【0010】
本発明の別の実施態様においては、ラメラはグリッドに入る時の流れの主境界に対して平行であり、各ラメラの相対する側の連結部分は互いに異なる箇所に配置される。
【0011】
相互の連結は隣接したラメラを連結し、ポリマーの流れと平行にグリッドを通り抜ける中空のチャンネルを作るために、グリッドの全厚さ(例えば5−10mm)にわたり拡げられる。 本発明の異なる実施態様では、相互の連結はグリッドの全厚さにわたって拡がらず、単にグリッドの上流端または下流端、またはこれらの端の間に提供される。
【0012】
金属板のスパークエロージョンによりグリッドを製造することができる。ここでラメラ間と相互連結ユニットとの間の流路は、放電を使用してシートから取り除かれる。異なる製造方法においては、流れの主境界に垂直なグリッドの断面を有する薄い(例えば1mm未満)プレートとスペーサーを溶接して、所望の厚さの三次元のグリッドを形成する。スペーサーは、たとえばグリッドの上流端または下流端のみで、または全厚さに沿って溶接され、完全なチャンネルを形成することができる。
【0013】
押出物、および任意にさらに延伸され非常に薄くされ、非常に平坦なマイクロフィブリルを有するフィルムのモルホロジーは、直交積層およびスリットフィルム製品に改善された強さ特性を提供することができる。更に、それは小さいセルを有する、拡げられた構造を有するフィルムを製造するために使用することができる。直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)のフィルム内へアロイにされた、小さな、延伸された非常に平らなポリプロピレンミクロフィブリルは、フィルムを高度に耐油性にすることができる。LLDPEとアロイにされた非常に平坦なポリアミドミクロフィブリルは同様に機能し、さらに酸素に対する良好なバリヤー特性を提供することができる。バリアフィルムの製造のために、平坦なマイクロフィブリルは、例えば、EVOHまたはビニリデンコポリマーからなることができる。
【0014】
ポリマーをコントロールすることはもちろん重要である。それは機械特性、バリア特性または他の特別な特性がP1成分のものであるからである。すなわち、平坦な吸蔵されたフィブリル(フィブリルネットワークを含む)は実際にP1コンポーネントになり、マトリクス材にならない。
【0015】
この関連では、次のガイドラインを与えることができる。P1の濃度が低いほど、(他の特徴が変更されない場合に)それが吸蔵された相になる確率は高い。
【0016】
与えられた条件の下での溶融物薄膜化において、P2に比較してP1の溶融粘度が大きいほど、(他の特徴が変更されない場合に)P1が吸蔵された相になる確率は高い。
P1が固形化するポイントの近傍において溶融粘度の増加を起こすことが銘記される。また、発明者は、ゆっくりとした冷却がP1中のP2の分散をP2中のP1の分散に変換することがあることを示す証拠を確立した。おそらくそのような転換はP1の結晶化中に起こる。好ましくは、混合物中のP1の重量割合は75%未満、より好ましくは5から60%の範囲、たとえば10から60%の範囲であり、最も好ましくは20〜50%の範囲である。
【0017】
しかしながら、それが実現可能な場合、P1のポリマーについて比較的大きな分子量のものを使用して好適な高い粘度(たとえば、少なくとも0.1,好ましくは約0.5のメルトインデックス)を与えること、またはこの成分について比較的低い濃度で使用して、ついで迅速な冷却により両方の成分を固体化して溶融物薄膜化された構造を固定することによりP2中のP1吸蔵物を得る(WO−A−02/051617に記述される)ことが好ましい。ゆっくりとした冷却はより不規則な形のフィブリルを形成し、そのためより低い強度を与えるように思われるからである。
【0018】
ラメラは、最終フィルム中にいわゆる「ダイ−ライン」を生成するだろう。ラメラがグリッドチャンバーの主境界と平行である場合、ダイ−ラインはフィルム主表面と平行になる。また、ラメラが傾斜している場合には、ダイ−ラインはフィルム主表面と非常に小さな角度(例えば1度未満)を形成するだろう。ラメラ間を支流が通過する間に、それぞれのラメラの中間近傍で剪断力は最大になるであろう。そのためP1フィブリルの薄膜化および平坦化はダイ−ラインの中で最も顕著であろう。したがって、これらのダイ−ラインは、本発明の効果を促進する。その一方で公知の押出技術のダイ−ラインは、欠点であると考えられている。
【0019】
そのような平坦なダイ−ラインの発生を促進するために、本発明の実施態様は、グリッドチャンバーが少なくとも2つのグリッドSおよびTを含んでいるという点で特徴づけられる。SはTのすぐ上流にあり、グリッドはグリッドSのラメラによって形成された流れ中のそれぞれのダイ−ラインが、グリッドT中の一対のまたは隣接したラメラの間のスペースの真中になるように配置される。
【0020】
この互いに異なる箇所に配置されたラメラの配置の利点は、相互連結されたラメラに限定されず、そのような相互連結されていないラメラについても同様に得られ、この場合に改良が与えられると考えられる。その場合には、グリッドSおよびTの中のラメラは互いと平行であるべきである。
【0021】
この態様では、熱可塑性ポリマーアロイのフィルムまたはシートを形成する方法であって、ポリマー物質P1およびポリマー物質P2の密接混合物が形成され、ブレンドはダイを通って押し出され、押出されたフィルムは押出後に延伸され、ダイを通る流路が出口ギャップを有する出口オリフィスを含み、出口オリフィスの上流に、混合物が通り抜ける1つ以上のグリッドを含むグリッドチャンバーが提供され、該1つまたは複数のグリッドは、流れの主な表面に垂直な断面において少なくとも4つの近接したラメラを有し、該ラメラは流れ方向に数ミリ伸びた壁を有し、ラメラの開口のサイズはブレンド内のP1またはP2の分散された相の平均サイズを減少させるように選択され、1つまたは複数のグリッドはチャンバー内に位置し、ギャップは前述の出口ギャップより広く、グリッドチャンバーはさらにスクリーンとダイ出口の間にギャップ低減部分をさらに含み、混合物がそれを通って流れるギャップがダイ出口のギャップへの通路の少なくとも一部で減少され、グリッドチャンバーが少なくとも2つのグリッドSおよびTを含み、SはTのすぐ上流にあり、グリッドはグリッドSのラメラによって形成された流れの中のそれぞれのダイ−ラインが、一対のまたはグリッドT中の隣接したラメラの間のスペースの真中になるように配置される点においてさらに特徴づけられる方法を提供する。これは、本発明のさらなる態様を形成する。この態様では、ラメラは平坦、またはわずかに曲がっていることができる。ダイ−ラインがラメラの長さに沿って記載されたように形成されるために、2つのグリッドのラメラは互いにほぼ平行であるべきである。任意のステントの範囲は、本発明の第1の態様に関して記載されたものである。
【0022】
1または複数のグリッドのパターンを反映するが、平坦化された形態のダイ−ラインは、最終フィルムにおいて通常検知することができる。例えば、P2を溶解するがP1を溶解しない溶剤でフィルムの断面を処理し、ついでフィルムの断面を走査電子顕微鏡を使用して適切な倍率でフィルムを調査することにより検知することができる。例として、P1がポリプロピレンで、P2がLLDPEならば、90℃のキシレンで30分処理するとダイ−ラインを示す繊維性の構造を発現させるだろう。
【0023】
本発明は、さらに請求項16から25において規定される異なる実施態様において記載された方法の実施に適した装置に関する。
【0024】
熱可塑性の物質を押し出してフィルムまたはシートを形成するための、本発明の第2の態様を実施するためにふさわしい装置は、溶融物質がそれを通る出口オリフィスを有するダイ、押出された後に物質を延伸するための延伸手段を含み、出口オリフィスからの上流にグリッドチャンバーが提供され、グリッドチャンバーは押出物が通過する、2またはより多くのグリッドを含み、1つまたは複数のグリッドはチャンバー内で出口オリフィスギャップよりも広いギャップを有する位置に配置され、グリッドチャンバーはさらに1つまたは複数のグリッドの間にギャップ減少部分をさらに含み、ギャップは出口オリフィスのギャップへの少なくとも一部で減少され、前記の少なくとも2つのグリッドSおよびTにおいて、SはTのすぐ上流にあり、グリッドはグリッドSのラメラによって形成された流れの中のそれぞれのダイ−ラインが、一対のまたはグリッドT中の隣接したラメラの間のスペースの真中になるように配置される点においてさらに特徴づけられる。
【0025】
本発明の実施態様は次の特徴によって特徴づけられる:P1とP2はそれらが最終フィルムにおいて個別の相として存在する程度に非相溶性であるが、アロイ化剤の使用によるかまたは機械的に十分攪拌し薄膜化することにより、現実的な目的のためには十分に相溶化され、P2はその非延伸状態、20℃において、P1の弾性率(E)の少なくとも15%小さい弾性率を示す。好ましくは、P1の機械的に決定した融点は、少なくともP2より20℃高いが、必須要件ではない。レオロジー的条件、成分の割合、並びに混合および薄膜化の条件の適合により、アロイはP2に囲まれたP1の微視的に細かいフィブリルまたはフィブリルネットワークの分散物として実質的に形成される。ここでそれぞれのフィブリルは主として一方向に伸び、一般に約5ミクロンまたはそれ以下、好ましくは約1ミクロンまたはそれ以下、さらに好ましくは約0.1ミクロンまたはそれ以下の厚さと、少なくとも厚さの5倍の幅、好ましくは少なくとも厚さの10倍または20倍の幅を有する。更に、少なくともP1が固形化された後、フィルムは好ましくは延伸される。
【0026】
ブレンディングは実際上常に実施されるので、ランダムブレンディング技術により、マトリックスとしての他のポリマー中に吸蔵された1つのポリマーの顕微鏡領域またはより微視的な微細なフィブリルを形成する。マトリックス中のフィブリルの濃度が非常に低い場合を除いてフィブリルが互いの規則性を妨害するので、それらの幅方向に沿ってさえある断面寸法をフィブリルに与えることが常にできないだろう。非常に微細なフィブリルの結晶化によって引き起こされるこの不規則性は、得られたフィルムの強度に対してマイナスの影響がある。しかしながら、非常に平らなフィブリルでは、これらの効果は特にアロイが急速に冷却された時にある程度均等化される。したがって、本発明は、生成されたフィルム、およびこのフィルムから作られたテープまたは直交ラミネートの強度に関して利点を本質的に与える。
【0027】
本発明のこの使用では、固形化の後の延伸工程は、フィブリルの方向に対して横方向であることができる。その後、好ましくはフィルムは、この延伸中にフィブリルの方向に収縮することを許容される。引き続くフィルムの微細な横方向のプリーツ加工により、収縮の可能性を確立することができる。フィブリルに対して横方向への延伸工程に引き続き、後者が固体の間、フィブリルの方向に延伸することができる。
【0028】
本発明の強度促進のためのポリマーの選択に関しては、P1は例えば、結晶性のプロピレンコポリマーまたはプロピレンホモポリマーを含む、プロピレンポリマー、ポリアミドまたはポリエチレンテレフタレートであることができ、P2は例えば、主としてプロピレンコポリマー、またはエチレンのコポリマー、好ましくは他のα‐オレフィンとのコポリマーを含むエチレンポリマーから成り、P2は好ましくは直鎖低密度ポリエチレンを含む。
【0029】
本発明の別の実施態様では、P1は望ましいバリヤー特性を示すように選ばれる。この使用は、次の特徴によってさらに特徴づけられる:
【0030】
P1とP2はそれらが最終フィルムにおいて別個の相として存在する程度に非相溶性であるが、アロイ化剤の使用または機械的に十分に混合して、薄膜化することによって実際的な目的のために十分には相溶化される。レオロジー条件、成分の割合、および混合と薄膜化の条件の適用により、アロイはP2により囲まれたP1の顕微鏡的に微細なフィブリルの分散体またはフィブリルネットワークとして本質的に形成される。ここでそれぞれのフィブリルは、一般に1つの主な方向に伸び、一般に約5μmまたはより小さい厚さを有し、好ましくは約1μmまたはより小さい厚さを有し、厚さの少なくとも5倍の幅、好ましくは厚さの10倍、より好ましくは厚さの少なくとも20倍の幅を有する。
【0031】
フレーク形状の粒子状物質、例えばマイカ粉末がバリア効果を及ぼすことは公知である。なぜなら、それは迷路の中でのようにガス分子、芳香物質または有害液体を浸透させ、拡散することを強いるからである。しかしながら、そのようなフレーク形状粒子状物質は、その濃度が小さく、したがってその効果が小さい場合を除いて、通常フィルムの強度に対してマイナスの影響を及ぼすであろう。したがって、通常は、バリヤー特性は、フィルムの主な層と一緒に、任意の結合層の共押出を含む共押出によって達成される。2つのヒートシール層が必要な場合、ダイは6層以上で通常構成されなければならないか、または2つのバリヤー層が必要な場合には9層が必要である。そのようなダイは、商業上利用可能であるが高価である。本発明の使用に際しては、1、2またはより多くのバリア形成ポリマー、P1a、P1bなどが、高価なタイ−ポリマーを使用することなく、主なポリマーP2とアロイとすることができる。これはヒートシールのための特別の表面層が必要でない場合、記載されたグリッドチャンバーが追加して供給された時、簡単な1成分ダイで十分であることを意味する。ヒートシールのための表面層が必要な場合、3層共押出ダイが必要である。しかし、どんな場合も、投資の節約は非常に重要である。バリヤー効果は、高価なダイスで達成されるような最高値と全く同じではない場合があるが、多くの目的には十分良好である。
【0032】
適用可能なバリヤーポリマーの実施例:
ポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートは、油による破壊から、ポリエチレンに主として基づく直交ラミネートを保護することができる;ナイロン6または66も同様に作用し、さらに酸素へのバリアを形成することができる。その一方でEVOHおよび塩化ビニリデンのコポリマーは、非常に効率的に酸素、油およびほとんどの芳香物質へのバリアを形成することができる。
【0033】
最後に、すでに述べたように、本発明の第2の態様による方法は、微細なセル状の、膨張された構造を有するフィルムを作成するために使用され、特にテープまたは直交ラミネートへの変換のために使用される。
【0034】
この使用は次の特徴によって特徴づけられる:
P1とP2はそれらが最終フィルムにおいて個別の相として存在する程度に非相溶性であるが、アロイ化剤の使用によるかまたは機械的に十分攪拌し薄膜化することにより現実的な目的のためには十分に相溶化される。
レオロジー条件、成分の割合、および混合と薄膜化の条件の適用により、アロイはP2により囲まれたP1の顕微鏡的に微細なフィブリルの分散体またはフィブリルネットワークとして本質的に形成される。ここでそれぞれのフィブリルは、一般に1つの主方向に伸び、一般に約5μmまたはより小さい厚さを有し、好ましくは約1μmまたはより小さい厚さを有し、厚さの少なくとも5倍の幅、好ましくは少なくとも10倍、より好ましくは厚さの少なくとも20倍の幅を有する。押出の際にまたはその前に膨張剤が加えられる。膨張剤はP2には可溶であるが、一般にP1には可溶ではない。膨張は押出工程の後に行われる。
【0035】
膨張剤がP1に一般に可溶ではないので、フィブリルは膨張剤に対するバリアとして働く。それによりフィブリルは効率的で微細な膨張を強力に促進する。フィルム(またはフィルムを裂くことにより作られたテープ)は、膨張の前、間、または後にさらに強く延伸されることができ、さらにたとえば、摩擦により分離したファイバーネットワークに変換することができる。
【0036】
本発明は、図面を参照してさらに詳細に説明される。図1aは、本発明による共押出型の出口を示す。これは平坦または環状であり、フィブリルの分散をより微細にし、フィブリルを明白に平坦にする目的で、2つのグリッドに形成されたスクリーンが供給される。スケッチは図1bでのa−a線での断面を示す。
【0037】
図1bは図1aでのb−b線での断面を示す。また、同様に、図1cは図1aでのc−c線での断面を示す。環状のダイの場合には、これらの図は折り曲げられた環状の断面を示す。
【0038】
図2は、同様に流れの方向に垂直な断面での、異なるパターンのグリッド構造を示す。
適切な寸法は図面に示される。
図1a、bおよびcにおいて、P2の中にP1の分散体を含むダイ中の主な流れが膨張、たとえば約2.5mmの厚さから20mmの厚さに膨張し、ついでたとえば結合、ヒートシール特性および/または摩擦特性を改良するために選択された、2つの少量の表面層と共押出される。20mmの深さグリッドチャンバー中の3つの層の組み合わされた流れは、2つのグリッド状のスクリーン(301)および(302)を通る。これらはそれぞれ数mm(たとえば、5−10mm)の厚さであり、図1bおよび図1cにそれぞれ示される。各々はラメラ(303)および(304)の列を含み、それぞれはたとえば、約1mmの厚さで、例えば互いに約1mmの間隔を置いている。ラメラは、相互連結部(306)によって連結される。通過する時に、流れが最も効率的に剪断されるように、スクリーン(301)および(302)は互いの鏡像である。
【0039】
スクリーン(302)を通過した直後、流れは共押出ダイからの出口に便利な、たとえば2.5mmの厚さに圧縮される。これによって、ポリマー−イン−ポリマーの分散物はさらに薄膜化され、各フィブリルの所望の最終の横断面の寸法を形成し、同時にラメラ(303)および(304)によって形成されたダイ−ラインは平らにされる。ダイ中の言及された寸法、およびラメラの示された傾斜角度で、ダイ−ラインおよび水平のフィブリルは、ダイの出口においてフィルムの主な表面と約8度の角度を形成するだろう。引き続く延伸プロセスは、通常この角度を約1度またはそれ以下に減ずるであろう。これらのダイ−ラインは、先に説明されたように、通常最終フィルムにおいて検知することができる。フィルムの断面中のダイ−ラインのパターンは、グリッドの平らになった像である。
【0040】
図2において、ラメラ(305)は、傾斜せず、チャンバーの主表面と平行である。ラメラ間の連結部(307と308)はフィルムを通り抜けるダイ−ラインを直接回避するように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1a】図1aは、本発明による共押出型の出口を示す。
【図1b】図1bは図1aでのb−b線での断面を示す。
【図1c】図1cは図1aでのc−c線での断面を示す。
【図2】図2は、同様に流れの方向に垂直な断面での、異なるパターンのグリッド構造を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリマーアロイのフィルムまたはシートを形成する方法であって、ポリマー物質P1およびポリマー物質P2の密接混合物が形成され、ブレンドはダイを通って押し出され、押出されたフィルムは押出後に延伸され、ダイを通る流路が出口ギャップを有する出口オリフィスを含み、出口オリフィスの上流に、混合物が通過する1つまたは複数のグリッドを含むグリッドチャンバーが提供され、該1つまたは複数のグリッドは、流れの主表面に垂直な長さ方向の断面において少なくとも4つの近接して配置されたラメラを有し、該ラメラは流れ方向に数ミリ伸びた壁を有し、それらは間隔を置いて相互に連結され、流れの方向に垂直な断面においてそれらはネットワークを形成し、前記の間隔はそれぞれのラメラ対の間の距離よりも実質的に長く、ラメラの開口のサイズはブレンド内のP1またはP2の分散された相の平均サイズを減少させるように選択され、1つまたは複数のグリッドはチャンバー内に位置し、ギャップは前述の出口ギャップより広く、グリッドチャンバーはさらにスクリーンとダイ出口の間にギャップ低減部分をさらに含み、混合物がそれを通って流れるギャップがダイ出口のギャップへの通路の少なくとも一部で減少される、熱可塑性ポリマーアロイのフィルムまたはシートを形成する方法。
【請求項2】
前記の間隔が、それぞれのラメラの対の間の距離の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも5倍である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ラメラが平坦か、またはわずかに曲げられ、グリッドに入る時の流れの主境界に対して傾斜し、これらの境界と約10から約70度の間の角度を形成する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
相互に異なる方向に傾斜する少なくとも2つのグリッドが存在する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
ラメラがグリッドに入る時の流れの主境界と平行であり、各ラメラの相対する側の連結が互いに異なる箇所に配置される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
グリッドチャンバーが少なくとも2つのグリッドSおよびTを含み、SはTの直接上流にあり、該グリッドはグリッドSのラメラによって形成された流れ中のそれぞれのダイ−ラインが、グリッドT中の一対のまたは隣接するラメラの間の空間の中間となるように配置される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
ブレンド中にP1が重量で、5から75%、好ましくは10から60%、より好ましくは20から5%の量で存在する、請求項1から6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
P1が少なくとも0.1、好ましくは約0.5のMFIを有している、請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
P1がプロピレン(コ)ポリマー、ポリアミド、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、ビニリデン(コ)ポリマーおよびポリエステル類から選択され、P2が主としてオレフィンポリマーを含む、請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
P2がプロピレン(コ)ポリマーまたはエチレン(コ)ポリマーである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
P2が未延伸の状態で、20℃において、P1の弾性率(E)よりも少なくとも15%小さい弾性率を示す、請求項1から10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
1以上の物質がダイを通って、ポリマーアロイの1つまたは両方の表面上に共押出される、請求項1から11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
共押出された物質はフィルムまたはシートの1つまたは両方のそれぞれの表面にヒートシール層を形成する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
押出後のフィルムの延伸が、少なくともP1が固形化する温度へのフィルムの冷却後に行なわれる、請求項1から13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
延伸がP1のフィブリルの方向の横方向に行われ、好ましくはフィルムがフィブリルの方向に収縮することが許容される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
フィルムまたはシートを形成するための熱可塑性物質の押出装置であって、溶融物質がそれを通る出口オリフィスを有するダイ、押出された後に物質を延伸するための延伸手段を含み、出口オリフィスからの上流にグリッドチャンバーが提供され、グリッドチャンバーは押出物が通過する、1つ(301)またはより多くの(302)グリッドを含み、1つまたは複数のグリッドはチャンバー内で出口オリフィスギャップよりも広いギャップを有する位置に配置され、グリッドチャンバーはさらに1つまたは複数のグリッドの間にギャップ減少部分をさらに含み、ギャップは出口オリフィスのギャップへの流路の少なくとも一部で減少され、1つまたは複数のグリッドは流れの主表面に垂直な長さ方向の断面において少なくとも4つの近接して配置されたラメラ(303)を有し、該ラメラは流れの方向に数ミリ伸びた壁を有し、流れの方向に垂直な断面において間隔を置いて内部連結されて(306)ネットワークを形成し、前記の間隔は、各対のラメラ間の距離より本質的に長い。
【請求項17】
前記の間隔は、各対のラメラ間の距離の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも5倍の距離を有する、請求項16記載の装置。
【請求項18】
ラメラが、平らかまたはわずかに曲げられ、グリッドに入る時の流れの主境界に対して傾いており、これらの境界に対して約10から約70度の角度を形成する、請求項16記載の装置。
【請求項19】
相互に異なる方向に傾斜する少なくとも2つのグリッドを有する、請求項18記載の装置。
【請求項20】
流れがグリッドに入るときに、ラメラは流れの主境界と平行であり、各ラメラの相対する側の連結部分が互いに異なる箇所に配置される、請求項16記載の装置。
【請求項21】
グリッドチャンバーが少なくとも2つのグリッドSおよびTを含み、SはTの直接上流にあり、該グリッドは下流のグリッドTの各ラメラが、押出物の流れに垂直な方向において上流のグリッドSの隣接する一対のラメラの間の中間に位置するように配置される、請求項16記載の装置。
【請求項22】
ダイが第2の熱可塑性の物質を押出し、第1の熱可塑性物質の1つまたは両方の表面の上に層を形成するための手段を含む、請求項16記載の装置。
【請求項23】
延伸手段が機械方向にフィルムまたはシートを延伸する、請求項16記載の装置。
【請求項24】
延伸手段が延伸方向の横方向でのフィルムの収縮を許容するための手段を有する、請求項16記載の装置。
【請求項25】
出口オリフィスと延伸手段の間に冷却手段を含む、請求項16記載の装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−518802(P2008−518802A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538368(P2007−538368)
【出願日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012184
【国際公開番号】WO2006/048335
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(507143060)
【Fターム(参考)】