説明

アンカー利用可能性表示のブロードキャスト

アンカー(24)からのマルチキャストステータス利用可能性表示が、アンカー(24)によってサービスされるマルチキャストグループの一部である複数の基地ノード(22)に提供される。一例における利用可能性ステータス表示は、基地ノード(22)によるそのアンカーとの新たなセッションの照会又は試行されるセットアップとは独立して自動的に送信される。基地ノード(22)は、例えば、新たなセッションを確立するために現在利用可能なアンカーに関する情報を含むアンカー候補セットを保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概略として通信に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の通信システムが知られている。多くのワイヤレス通信システムでは、複数の基地局が配備されて地理的領域、即ち、セルのカバレッジを与えるので、それはセルラシステムとして考えられる。例えば、移動局は基地局と通信し、基地局は移動局に代わって通信を促進するために関連するネットワークへのアクセスを与える。多くの例において、無線ネットワークコントローラは基地局とネットワークの間のインターフェイスとして作用する。
【0003】
通信システムの1以上の部分が利用不可となることがある。3GPPシステムにおいて、例えば、SGSNのプールが使用される。SGSNはその利用不可であることを、例えば、3GPP・TS25.413において規定されるRANAPプロトコルを用いてそれに接続する能力を持つ無線ネットワークコントローラにシグナリングする。SGSNは例えば過負荷表示を提供する。SGSN及びそれらに接続できる無線ネットワークコントローラの数は比較的小さいので、このアプローチは従来の3GPPシステムにおいては機能する。
【0004】
しかし、そのようなアプローチでは十分でないような通信システム構成がある。通信システムによっては、無線ネットワークコントローラがなく、基地局コントローラの機能が基地ノード間に分散されている。基地ノードが多くの潜在的なアンカーから選択することは可能である。例えば、いわゆるフラットIPセルラシステムでは、このアプローチが用いられる。アンカーが過負荷となったり、又はそうでなくてもサービス中止となったりした場合に、基地ノードがそれを特定するための周知の方法としては、そのアンカーに接続を試行して失敗するか、試行された接続に対する応答として、アンカーがその基地ノードとの新たなセッションに対応することができないことの通知をアンカーから受信するかしかない。このアプローチは無用なベアラセットアップ遅延を招いてしまう。さらに、このアプローチでは、影響を受けたいくつかの基地ノードが、そのアンカーが利用できないことに関してその後通知されるまでに長期間を要してしまいそれを計ることができない。
【0005】
通信システムにおける基地ノードとアンカーの間のより効率的な接続を促進する構成に対するニーズがある。本発明はこのニーズに対処するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
通信の代表的方法は、現在利用可能なアンカー候補のセットを構築するために複数の基地ノードに提供されるアンカーからのブロードキャスト利用可能性ステータス表示を用いるステップを含む。
【0007】
一例では、ブロードキャストステータス表示はアンカーが利用可能又は利用不可のいずれかであることを示す。
【0008】
一例では、アンカーは、アンカーとの接続を確立しようと試行する基地ノードからの照会とは独立して、ステータス表示をブロードキャストする。
【0009】
一例では、アンカーはステータス表示を規則的に間隔があけられたインターバルで周期毎にブロードキャストする。一例では、アンカーのステータスが変化すると、そのアンカーは、規則的にスケジュールされた次のステータス表示を待つのではなく、ステータスの変化に応じてできるだけ早くステータス表示をブロードキャストする。
【0010】
一例では、基地ノードはステータス表示を受信し、それに応じて、基地局によって保持されるアンカー候補のセットに対するあらゆる必要な対応の変更を行う。一例では、各基地局は、受信されたブロードキャストステータス表示に応じてアンカー候補のステータスを自動的に更新する。
【0011】
本発明の種々の構成及び有利な効果は、以下の詳細な説明から当業者には明らかなものとなる。詳細な説明に付随する図面の簡単な説明は後述する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の実施例で有用な通信システム例の選択部分を示す図である。
【図2】図2はアプローチの一例をまとめたフローチャートである。
【図3】図3はアプローチの他の例をまとめたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の開示される実施例は、アンカーによって複数の基地ノードに対してブロードキャストされるブロードキャストアンカーステータス表示を使用することによって、どのようにして少なくとも1つのアンカー候補のステータス情報を含むアンカー候補セットを構築することが可能となるのかを説明するものである。このようなアプローチによって、フラット・インターネット・プロトコル・セルラシステムのような通信システムにおいて、利用可能なアンカー候補の適応的で自動化された構築が可能となる。
【0014】
図1に例示の通信システム20の選択部分を示す。複数の基地ノード22は、例えば個々のユーザ装置の代わりに通信を促進する。基地ノード22には様々な装置が使用され得る。一例として、ワイヤレス通信に使用される基地局等がある。このような基地ノードはマクロセル又はピコセルカバレッジについて使用できる。基地ノードの他の例は、特定の建物内のような比較的制限され、又は専用のカバレッジエリアのための基地局として動作するルーター装置である。基地ノードの他の例はローカルエリアネットワークのためのサーバである。基地ノード22の少なくともいくつかは、基地ノードと移動局又はコンピュータのようなエンドユーザ装置との間のワイヤレス通信を促進する。
【0015】
図1の例は複数のアンカー24も含む。種々のアンカー装置が特定の状況におけるニーズに従って使用され得る。ある例では、少なくとも1つの基地ノードはある時間にアンカーとして作用する。アンカー24の各々は複数の基地ノード22と通信する能力を持つ。一例では、アンカー24と基地ノード22の間の通信はインターネットプロトコル(IP)ネットワーク26を介して行われる。各アンカー24は、例えば、そのアンカーが新たなセッションを確立するのに利用可能なのか、又はそのアンカーは既に過負荷である、サービスを中止している、若しくは保守手順を受けているために利用できないのかを示す利用可能性ステータス表示を複数の基地ノード22に提供する。一例は、現在利用可能なアンカーの表示を含む各基地ノードにおけるアンカー候補セットを構築するために、利用可能性ステータス表示を複数の基地ノードにブロードキャストするステップを含む。本記載で使用する用語「ブロードキャストする」とは、ブロードキャスト及びマルチキャスト技術を網羅する趣旨である。
【0016】
例示の利用可能性ステータス表示は、当該アンカーとの接続を確立するために当該基地ノードによる照会又は試行に応じてアンカーから複数の基地ノードに送信されたメッセージとは異なる。利用可能性ステータス表示は、基地ノードによって試行されたアクセス又は基地ノードからの直接の照会とは独立して、各アンカー24によって自動的に送信される。このようなアプローチによって、各基地ノード22におけるアンカー候補セットの適応性及び自動的な又は自身による構築がもたらされる。さらに、このようなアプローチによって、基地ノードはアンカーを介して接続を確立しようと試みる前にそのアンカーが利用可能かどうかを予め判断することができるので、より効率的な過負荷ステータス検出が可能となり、ベアラセットアップでの遅延を少なくともある程度減少させる。
【0017】
図2は例示のアンカー24によって採用されるアプローチの一例をまとめたフローチャート40である。42において、アンカー24は確立されたマルチキャストグループを有する。これは、利用可能性ステータス表示をブロードキャストするためのインターネットルーティング機能を有するアンカーによってマルチキャストインターネットプロトコルが使用されるような例において有用である。一例では、マルチキャストグループは、利用可能性ステータス表示を通信するためにアンカーがサポートされる各基地ノード22のIPアドレスを含む。一例では、セッションを確立するためにアンカー24と接続する可能性のある基地ノード22のいずれもがそのアンカーのマルチキャストグループに含まれることになる。多くの例において、基地ノード22はマルチキャストグループに明示的に加わる。1つの技法として、IMGPv3参加メッセージを用いること等が挙げられる。この説明の下、当業者であれば、各自の特定のニーズを満たすために、どのようにすれば最も好適にマルチキャストグループを構築し、及びマルチキャストグループに基地ノードを含めることを促進できるかを決定できるはずである。
【0018】
44において、アンカー24はその現在のステータスに変化があるかどうかを判断する。例えば、アンカー24が新たなセッションについて現在利用可能であるとき、例えば、アンカーが過負荷状態のために利用不可になっていないかどうかの判断を行う。その現在のステータスから変化がない場合、図2の例におけるアンカー24は、ブロードキャスト利用可能性ステータス表示間に規則的なインターバルを有する予め設定されたスケジュールに従って周期的な利用可能性ステータス表示を送信する。これは図2の例の46において行われる。
【0019】
アンカー24においてステータスの変化がある場合、48において、そのアンカー24のステータスの変化に関する情報を可能な限り早く種々の基地ノード22に提供するために、新たな利用可能性ステータスの即座の表示を送信するステップが採られる。一例では、ステータスの変化について即座の通知は、利用可能性ステータス表示を送信するために規則的にスケジュール化されたインターバルより先に代替される。
【0020】
一例では、アンカーが利用可能なとき、利用可能ステータス表示間には第1のスケジュール化されたインターバルが使用される。アンカーが利用不可のとき、表示間には第2の、より小さいインターバルが使用されて、特定のアンカーが利用不可であることの表示を未だ受信していない基地ノードに利用不可のアンカーに関する情報を可能な限り早く提供することを促進する。これは、例えば、新たな基地ノードがマルチキャストグループに追加されたときに行われるようにしてもよい。
【0021】
図2の例は、50において、新たな基地ノード22がアンカー24のマルチキャストグループに追加されたかの判断を含む。もしそうなら(追加されたなら)、マルチキャストグループが更新され、アンカーは上述のように利用可能性ステータス表示を送信することを継続する。
【0022】
一例では、アンカーからの利用可能性ステータス表示は現在のステータス情報を含む。他の例では、少なくとも1つの利用可能性ステータス表示が、アンカーが利用可能でなくなる、予め選択され又は計画された時間に関する情報を提供する。これは、例えば、計画された保守手順中に行われる。一実施例は、特定のアンカーが将来の時間において利用不可となることに関する情報を提供するステータス表示を構築することを含む。このような例では、基地ノード22は、アンカー候補セットに関連してそのような情報を保持するために、その時間に特定のアンカーが利用不可となることの情報を維持する。このようなアプローチによって、アンカーが現在利用可能であるがすぐに利用不可となるときであっても、新たなセッションを確立するためのアンカーを選択する際における更なる柔軟な対応が可能となる。
【0023】
図3は基地ノード22によって使用されるアプローチの一例をまとめたフローチャート60である。各基地ノードはアンカー候補セットをルックアップテーブル又はデータベースとして保持する。62において、基地ノードはマルチキャストグループに加わる。一例では、これは適切なIPアドレスが基地ノード22に構築されるようにすることによって行われ、それが、その基地ノードが接続を確立しようとする少なくとも1つのアンカーによって利用可能性ステータス表示が提供されるマルチキャストグループの一部として含まれる。基地ノード22は、マルチキャストグループの一部となると、そのマルチキャストグループにステータス表示を提供するアンカー又は複数のアンカー24からのステータス表示を受信することを開始する。ある例では、基地ノード22は1よりも多いマルチキャストグループ(その各々が1以上のアンカー24を含む)のメンバーとなる。
【0024】
64において、基地ノード22は特定のアンカー24からのステータス表示を受信する。66において、基地ノードはそれが現在のアンカー候補であるかを判断する。もしそうなら、68において、基地ノードはそのアンカーの現在のステータスを判断する。70において、基地ノードは、そのアンカーが利用可能なのか利用不可なのかを示すように現在のステータスを更新する。70のステップは、直前に受信された利用可能性ステータス表示に基づいてステータスを変化させること又はステータスを維持することを含む。
【0025】
図3の例は、72において、基地ノードが第1の時間にアンカー24から利用可能性ステータス表示を受信していると判断するステップも含む。この例において、基地ノードはアンカーを候補セットに追加し、そのセットにおける当該アンカーの適切なステータスを保持するための処理を行う。基地ノードは、例えば、新たなセッションを確立するためのアンカーを選択する目的でアンカー候補セット情報を用いる。
【0026】
アンカー24からのマルチキャスト又はブロードキャストステータス表示情報を基地ノード22において利用可能とすることによって、例えば、新たなセッションを確立するための基地ノード22とアンカー24の間のより効率的な接続を促進できる。開示された例を用いれば、もはや基地ノード22は現在利用可能でないアンカー24との接続を確立するための試行を行う必要はない。そして、基地ノード22は現在利用可能なアンカー24を選択することができる。
【0027】
一例として、それらのアンカー候補セットを構築する目的で、ブロードキャスト利用可能性ステータス表示を保護するとともに基地ノード22で有用な情報の信頼性を確かなものとするために、データ元認証及び完全性の保護技術を用いることを含む。
【0028】
前述の説明は限定的なものではなく例示的なものである。開示された例に対する、本発明の本質から必ずしもはなれない変更や修正は当業者には明らかなものとなる。本発明に与えられる法的保護の範囲は特許請求の範囲を検討することによって特定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信の方法であって、
現在利用可能なアンカーを含むアンカー候補セットを構築するために、アンカーから複数の基地ノードに対するブロードキャスト利用可能性ステータス表示を使用するステップ
からなる方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、該利用可能性ステータス表示は該アンカーが利用可能であることの表示からなる方法。
【請求項3】
請求項1の方法において、該利用可能性ステータス表示は該アンカーが利用不可であることの表示からなる方法。
【請求項4】
請求項1の方法であって、
該利用可能性ステータス表示を該複数の基地ノードに同時にブロードキャストするステップ
からなる方法。
【請求項5】
請求項1の方法であって、
該利用可能性ステータス表示を該複数の基地ノードからのいずれの照会からも独立してブロードキャストするステップ
からなる方法。
【請求項6】
請求項1の方法であって、
該利用可能性ステータス表示を、マルチキャスト用プロトコルを用いてインターネットプロトコルネットワークを介してブロードキャストするステップ
からなる方法。
【請求項7】
請求項1の方法であって、
該利用可能性ステータス表示を、規則的なインターバルで間隔をあけられた複数の時間の各々で周期的にブロードキャストするステップ、及び
該利用可能性ステータス表示を、該アンカーの利用可能性の変化に応じて別の時間にブロードキャストするステップ
からなる方法。
【請求項8】
請求項1の方法であって、
該ブロードキャスト利用可能性ステータス表示を該アンカーから受信するステップ、及び
これに応じて該アンカー候補セットを構築するステップ
からなる方法。
【請求項9】
請求項8の方法であって、
該ブロードキャスト利用可能性ステータス表示を複数のアンカーから受信するステップ、及び
該アンカー候補セット内の該複数のアンカーの少なくとも1つのステータスを、該少なくとも1つのアンカーのステータスが以前のステータスから変化したことに相当する受信表示に応じて、自動的に更新するステップ
からなる方法。
【請求項10】
請求項1の方法において、該利用可能性ステータス表示が、該アンカーが利用不可となる将来の時間に関する情報を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−500847(P2010−500847A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524609(P2009−524609)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/017104
【国際公開番号】WO2008/020996
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】