アンテナおよび携帯端末
【課題】小型で広帯域の無線通信をカバーする。
【解決手段】アンテナ10の放射部11は、ループ形状を有し、開放部11aを有している。放射部12は、線状を有し、放射部11から伸びている。スイッチ13は、放射部11の開放部11aを短絡および開放する。アンテナ10は、スイッチ13により開放部11aが短絡および開放される放射部11によって高域および中域の無線通信をカバーし、放射部12によって低域の無線通信をカバーする。
【解決手段】アンテナ10の放射部11は、ループ形状を有し、開放部11aを有している。放射部12は、線状を有し、放射部11から伸びている。スイッチ13は、放射部11の開放部11aを短絡および開放する。アンテナ10は、スイッチ13により開放部11aが短絡および開放される放射部11によって高域および中域の無線通信をカバーし、放射部12によって低域の無線通信をカバーする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、アンテナおよびアンテナを備えた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機などの携帯端末は高機能化し、例えば、複数の無線通信システムの周波数帯域に対応できるよう広帯域化が求められている。また、携帯端末は、例えば、持ち運びがしやすいよう小型化が求められている。
【0003】
携帯端末は、広帯域化に対応するために複数のアンテナを有しているものがある。例えば、携帯端末は、通信帯域の各帯域を複数のアンテナのそれぞれでカバーし、広帯域化を実現する。この場合、アンテナの携帯端末の実装スペースを占める部分が大きくなり、携帯端末のサイズが大きくなる。
【0004】
なお、従来、小型化され、低周波数化かつ広帯域化したアンテナ装置と該アンテナ装置を備えた携帯型電子機器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−279530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようにアンテナは、広帯域の無線通信をカバーするにはサイズが大きくなるという問題点があった。
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、小型で広帯域の無線通信をカバーすることができるアンテナおよび携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、アンテナが提供される。このアンテナは、開放部を有するループ形状の第1の放射部と、前記第1の放射部から伸びる線状の第2の放射部と、前記第1の放射部の開放部を短絡および開放するスイッチと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
開示の装置によれば、小型で広帯域の無線通信をカバーすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態に係るアンテナを適用した携帯端末の平面図である。
【図2】携帯端末の使用する周波数帯域の例を示した図である。
【図3】アンテナの平面図である。
【図4】図3に示すアンテナの底面図である。
【図5】図3に示すアンテナ、給電部、およびパターンの拡大図である。
【図6】図3に示すスイッチ部分の拡大図のその1である。
【図7】図3に示すスイッチ部分の拡大図のその2である。
【図8】スイッチの等価回路である。
【図9】アンテナの特性を説明する図のその1である。
【図10】アンテナの特性を説明する図のその2である。
【図11】アンテナの特性を説明する図のその3である。
【図12】アンテナの特性を説明する図のその4である。
【図13】図9〜図12に示すアンテナの反射波特性を示した図である。
【図14】第2の実施の形態に係るアンテナの斜視図である。
【図15】図14に示すアンテナの平面図である。
【図16】図15に示すアンテナのA方向から見た側面図である。
【図17】図15に示すアンテナのB方向から見た側面図である。
【図18】図14に示すアンテナの平面図である。
【図19】アンテナ各部の大きさの一例を説明する図である。
【図20】図14に示すアンテナの反射波特性を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係るアンテナを適用した携帯端末の平面図である。図1に示す携帯端末1は、例えば、携帯電話機である。携帯端末1は、例えば、ユーザの使用するアプリケーションによって、自動的に無線通信する周波数帯域を切替える。
【0011】
図2は、携帯端末の使用する周波数帯域の例を示した図である。図2の周波数帯域の欄には、携帯端末1の無線通信に使用する周波数帯域が示してある。中心周波数の欄には、携帯端末1の使用する周波数帯域の中心周波数が示してある。帯域幅の欄には、携帯端末1の使用する周波数帯域の帯域幅が示してある。無線方式の欄には、携帯端末1の使用する周波数帯域がどの無線方式によるものかを示している。
【0012】
例えば、図2の最左欄より、携帯端末1は、806MHz〜960MHz、1447.9MHz〜1510.9MHz、1710MHz〜1880MHz、および1850MHz〜2167.6MHzの4つ周波数帯域で無線通信を行うことが分かる。
【0013】
また、図2の最上欄より、周波数帯域806MHz〜960MHzの中心周波数は、883MHzであることが分かる。また、周波数帯域806MHz〜960MHzの帯域幅は、154MHzであることが分かる。また、周波数帯域806MHz〜960MHzは、FOMA(Freedom Of Mobile multimedia Access)またはGSM(Global System for Mobile)の無線方式で使用されることが分かる。なお、図2中に示すLTEは、Long Term Evolutionである。
【0014】
以下では、周波数帯域806MHz〜960MHzをバンド1と呼ぶことがある。また、周波数帯域1447.9MHz〜1510.9MHzをバンド2と呼ぶことがある。また、周波数帯域1710MHz〜1880MHzをバンド3と呼ぶことがある。また、周波数帯域1850MHz〜2167.6MHzをバンド4と呼ぶことがある。
【0015】
また、以下では、1000MHz以下にあるバンド1を低域、1400MHz〜1600MHz内にあるバンド2を中域、1700MHz以上にあるバンド3,4を高域と呼ぶことがある。
【0016】
携帯端末1は、例えば、バンド1〜4のいずれかを用いて無線通信を行う。例えば、携帯端末1は、ユーザの使用するアプリケーションによって、自動的にバンド1〜4のいずれかを選択し、選択したバンドで無線通信を行う。
【0017】
例えば、ユーザが携帯端末1のアプリケーションAを使用する場合、アプリケーションAは、バンド1で無線通信を行う。また、ユーザが携帯端末1のアプリケーションBを使用する場合、アプリケーションBは、バンド2で無線通信を行う。
【0018】
携帯端末1は、例えば、内部の基板にアンテナを備え、そのアンテナを介して、無線通信を行う。携帯端末1のアンテナは、例えば、バンド1〜4の4バンドの無線通信に対応できるチューナブルアンテナである。
【0019】
図3は、アンテナの平面図である。図3には、アンテナ10が示してある。また、図3には、給電部21、パターン22、および基板30が示してある。
アンテナ10、給電部21、およびパターン22は、基板30上に形成されている。基板30上には、半導体デバイス等の部品が実装されるが、図3ではその図示を省略している。
【0020】
アンテナ10は、開放部を有するループ形状の放射部11を有している。また、アンテナ10は、放射部11から伸びる線状の放射部12を有している。放射部12は、放射部11の給電点(放射部11と給電部21との接続部分)から伸びている。また、アンテナ10は、放射部11の開放部に、スイッチ13を有している。
【0021】
給電部21は、アンテナ10で無線送信する信号を放射部11,12に給電する。給電部21は、例えば、図3に示していない半導体デバイスから信号を受信し、その信号を放射部11,12に給電する。給電部21は、例えば、マイクロストリップ線路で形成される。
【0022】
パターン22は、スイッチ13をオン・オフする制御信号を伝搬する。図3の例では、給電部21のそばにあるパターン22の一端は、スルーホールで裏面(基板30のアンテナ10の形成されていない側の面)に出され、放射部12の下をくぐる。そして、裏面で放射部12の下をくぐったパターン22は、スルーホールで表面(基板30のアンテナ10の形成されている側の面)に出され、スイッチ13に接続される。
【0023】
パターン22の他端は、図3に示していないCPU(Central Processing Unit)等の半導体デバイスに接続されている。半導体デバイスから出力される制御信号は、パターン22を伝搬してスイッチ13に出力される。スイッチ13は、パターン22を伝搬した制御信号によってオン・オフし、放射部11の開放部を短絡および開放する。
【0024】
基板30は、例えば、縦横が123mm×50mm、厚さが1mmのPCB(Printed Circuit Board)である。基板30の比誘電率は、例えば、4.4であり、誘電正接は0.01である。また、基板30上に形成されるアンテナ10、給電部21、パターン22、およびグランドは、例えば、銅箔であり、その厚さは、例えば、35μmである。基板30のアンテナ10が形成される部分の縦横の大きさは、例えば、23mm×50mmである。
【0025】
図4は、図3に示すアンテナの底面図である。図4において図3と同じものには同じ符号が付してある。
図4に示すように、グランド40は、基板30のアンテナ10が形成される面とは反対の面に形成されている。グランド40は、例えば、基板30上にベタに形成される。グランド40の縦横の大きさは、例えば、100mm×50mmである。
【0026】
グランド40は、アンテナ10と重ならないように形成されている。例えば、アンテナ10は、図4のグランド40が形成されていない部分の反対側の面に形成されている。
図4に示すパターン22は、図3で説明した放射部12の下をくぐるパターンである。上述したように、パターン22は、スルーホールによって、基板30のアンテナ10が形成されている面に出され、スイッチ13に接続される。
【0027】
パターン41は、グランド40に接続されている。パターン41の一端は、スルーホールによって、基板30のアンテナ10が形成されている面に出され、スイッチ13に接続される。
【0028】
図5は、図3に示すアンテナ、給電部、およびパターンの拡大図である。図5において図3と同じものには同じ符号が付してある。
アンテナ10の放射部11は、5角形の板状のループ形状を有している。また、放射部11は、開放部11aを有している。開放部11aには、スイッチ13が接続されている。
【0029】
開放部11aは、スイッチ13がオンすることによって短絡される。これにより、放射部11は、板状アンテナと同等の広帯域特性を有するループ形状アンテナとして機能する。また、開放部11aは、スイッチ13がオフすることによって開放される。これにより、放射部11は、モノポールアンテナとしての機能を有する。すなわち、放射部11は、スイッチ13のオン・オフによって、ループ形状アンテナとして機能し、またモノポールアンテナとして機能する。
【0030】
放射部11の電気長(給電点から時計回りした開放部11aまでの長さ)は、送受信したい無線周波数のλ/4(λ:波長)にする。これにより、放射部11は、モノポールアンテナとして機能する場合、λ/4の無線周波数の信号を送受信できる。
【0031】
例えば、放射部11で中域のバンド2の無線通信をカバーするには、放射部11の給電点から開放部11aまでの長さを、バンド2の中心周波数のλ/4にする。これにより、放射部11は、スイッチ13がオフしてモノポールアンテナとして機能する場合、中域のバンド2の無線通信をカバーすることができる。
【0032】
なお、後述するが、放射部11は、スイッチ13がオンしてループ形状アンテナとして機能する場合、高域のバンド3,4の無線通信をカバーする。
放射部12は、放射部11の給電点から伸びたモノポールアンテナである。放射部12の電気長(給電点からの長さ)は、送受信したい無線周波数のλ/4にする。これにより、放射部12は、λ/4の無線周波数の信号を送受信できる。
【0033】
放射部12の電気長は、放射部11の電気長より長くする。すなわち、放射部12は、放射部11より低域の周波数帯域の無線通信をカバーするようにする。
例えば、放射部12は、低域のバンド1の無線通信をカバーするようにする。放射部12が低域のバンド1の無線通信をカバーするには、放射部12の給電点からの長さを、例えば、バンド1の中心周波数のλ/4にする。
【0034】
以上より、携帯端末1は、高域のバンド3,4の無線通信を行う場合、スイッチ13をオンする。これにより、携帯端末1は、放射部11のループ形状アンテナにより、高域のバンド3,4の無線通信を行うことができる。
【0035】
また、携帯端末1は、中域のバンド2の無線通信を行う場合、スイッチ13をオフする。これにより、携帯端末1は、放射部11のモノポールアンテナにより、中域のバンド2の無線通信を行うことができる。
【0036】
さらに、携帯端末1は、低域のバンド1の無線通信を行う場合、スイッチ13をオン・オフのどちらにしてもよい。低域のバンド1の無線通信は、モノポールアンテナの放射部12によってカバーされるからである。
【0037】
パターン22は、分断された部分があり、その分断部分に抵抗51が挿入される。パターン22に抵抗51を挿入するのは、パターン22がアンテナ10と共振しないようにするためである。図5に示す5個の抵抗51のそれぞれの抵抗値は、例えば、10kΩである。
【0038】
図6は、図3に示すスイッチ部分の拡大図のその1である。図6では、基板30にスイッチ13を実装していない場合のスイッチ部分を示している。すなわち、スイッチ13部分のパターンを示している。図6において図5と同じものには同じ符号が付してある。
【0039】
図6に示すパターン22は、スルーホール22aを介して、図4に示す基板30の裏面に形成されたパターン22に接続されている。パターン61は、スルーホール61aを介して、図4に示すパターン41に接続されている。スイッチ13は、図6に示すパターン22,61、および放射部11の開放端11aa,11abの上に実装される。
【0040】
図7は、図3に示すスイッチ部分の拡大図のその2である。図7では、基板30にスイッチ13を実装した場合のスイッチ部分を示している。図7において図6と同じものには同じ符号が付してある。
【0041】
スイッチ13は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical System)スイッチである。スイッチ13は、パターン22を伝搬する制御信号によって、図6に示した放射部11の開放端11aa,11abを短絡(接続)および開放する。また、スイッチ13は、その筺体がパターン61に接続され、グランド40に接続される。
【0042】
図8は、スイッチの等価回路である。図8に示すように、スイッチ13は、端子71a,71b、開閉部72、コンデンサC1,C2、およびインダクタL1,L2を有している。
【0043】
端子71aは、図6に示す放射部11の開放端11aaに接続される。端子71bは、図6に示す放射部11の開放端11abに接続される。開閉部72は、パターン22を伝搬した制御信号によって開閉する。これにより、放射部11の開放端11aa,11ab(開放部11a)は、短絡および開放される。
【0044】
スイッチ13は、図7で説明したように、その筺体がパターン61に接続され、グランド40に接続される。図8に示すグランドは、グランド40に対応する。コンデンサC1,C2は、端子71a,71bとグランド40との間に発生する容量を示している。インダクタL1,L2は、スイッチ13の有するインダクタ成分を示している。
【0045】
以下、アンテナ10の特性について説明する。まず、板状アンテナ、ループ形状アンテナ、モノポールアンテナ、およびループ形状アンテナとモノポールアンテナとを組み合わせたアンテナについて説明する。
【0046】
図9は、アンテナの特性を説明する図のその1である。図9には、板状アンテナ81、給電部82、および基板83が示してある。
図9に示すように、基板83の板状アンテナ81の右側には、何も形成されていない。この何も形成されていない部分と板状アンテナ81の部分の縦横の大きさは、例えば、アンテナ10と同じ大きさの23mm×50mmである。
【0047】
基板83の裏面には、ベタグランドが形成されている。ただし、板状アンテナ81と、板状アンテナ81が形成されていない部分とに対応する基板83の裏面には、ベタグランドは形成されていない。基板83は、図3で説明した基板30と同様の基板パラメータを有している。
【0048】
図10は、アンテナの特性を説明する図のその2である。図10において図9と同じものには同じ符号が付してある。図10では、図9の板状アンテナ81がループ形状アンテナ91となっている。
【0049】
ループ形状アンテナ91は、板状アンテナ81の中央部分をくり貫いたものである。従って、ループ形状アンテナ91の外周の大きさは、板状アンテナ81の外周の大きさと同じである。
【0050】
図10に示すように、基板83のループ形状アンテナ91の右側には、何も形成されていない。この何も形成されていない部分とループ形状アンテナ91の部分の縦横の大きさは、例えば、23mm×50mmである。
【0051】
基板83の裏面には、ベタグランドが形成されている。ただし、ループ形状アンテナ91と、ループ形状アンテナ91が形成されていない部分とに対応する基板83の裏面には、ベタグランドは形成されていない。
【0052】
図11は、アンテナの特性を説明する図のその3である。図11において図10と同じものには同じ符号が付してある。図11では、図10のループ形状アンテナ91がモノポールアンテナ101となっている。
【0053】
モノポールアンテナ101は、ループ形状アンテナ91の一部を開放したアンテナである。従って、モノポールアンテナ101の外周の大きさは、ループ形状アンテナ91の外周の大きさと同じである。
【0054】
図11に示すように、基板83のモノポールアンテナ101の右側には、何も形成されていない。この何も形成されていない部分とモノポールアンテナ101の部分の縦横の大きさは、例えば、23mm×50mmである。
【0055】
基板83の裏面には、ベタグランドが形成されている。ただし、モノポールアンテナ101と、モノポールアンテナ101が形成されていない部分とに対応する基板83の裏面には、ベタグランドは形成されていない。
【0056】
図12は、アンテナの特性を説明する図のその4である。図12において図10と同じものには同じ符号が付してある。図12では、ループ形状アンテナ91の給電点(ループ形状アンテナ91と給電部82の接続部分)から、右側にモノポールアンテナ111が伸びている。ループ形状アンテナ91とモノポールアンテナ111の縦横の大きさは、例えば、23mm×50mmである。
【0057】
基板83の裏面には、ベタグランドが形成されている。ただし、ループ形状アンテナ91と、モノポールアンテナ111とが形成されている部分に対応する基板83の裏面には、ベタグランドは形成されていない。
【0058】
図13は、図9〜図12に示すアンテナの反射波特性を示した図である。図13の横軸は周波数を示し、縦軸は反射損失(S11パラメータ)を示している。ここでは、アンテナの反射損失の目標値を−6dB以下とする。
【0059】
図13に示す波形W11は、図9に示した板状アンテナ81の反射損失を示している。波形W12は、図10に示したループ形状アンテナ91の反射損失を示している。波形W13は、図11に示したモノポールアンテナ101の反射損失を示している。波形W14は、図12に示したループ形状アンテナ91とモノポールアンテナ111との反射損失を示している。
【0060】
アンテナのカバーする無線周波数を、図2で説明したバンド1〜4とする。この場合、高域のバンド3,4は、低域のバンド1および中域のバンド2の周波数帯域幅に対して、広帯域で動作(1710MHz〜2167.6MHz)させなければならないことが分かる。このため、高域において、λ/4長の線状モノポールアンテナを用いて動作帯域を確保することは困難であると考えられる。
【0061】
そこで、まず、高域の無線通信をカバーするために、図9で示した板状アンテナ81を考える。板状アンテナ81の動作下限周波数は、主にアンテナの高さで決定される。1700MHz以上の周波数帯域をカバーするには、アンテナの高さは約23mmとなる。
【0062】
図13に示す波形W11は、高さを23mmとした板状アンテナ81の反射損失を示している。波形W11に示すように、板状アンテナ81は、1700MHz以上の周波数帯域において、反射損失−6dBを満たしていることが分かる。すなわち、板状アンテナ81は、バンド3,4の周波数帯域をカバーすることができる。
【0063】
次に、中域の無線通信をカバーすることを考える。中域における動作帯域幅は、60MHz程度であり、狭帯域である。従って、中域の周波数帯は、線状のモノポールアンテナでカバーできる。
【0064】
図9の板状アンテナ81の右側には、アンテナは存在せず、この部分に、1500MHz帯のモノポールアンテナを形成すれば、中域と高域の周波数帯域をカバーすることができる。しかし、板状アンテナ81の右側に、中域をカバーするモノポールアンテナを形成すれば、低域の周波数帯域をカバーするアンテナを形成するスペースがなくなる。そこで、図10に示した、板状アンテナ81の中央部分をくり貫いたループ形状アンテナ91を考える。
【0065】
板状アンテナ81では、信号電流のほとんどは、エッジ部分を流れる。従って、板状アンテナ81の中央部分をくり貫いたループ形状アンテナ91は、板状アンテナ81の信号電流が多く流れる部分を残したアンテナと考えることができる。
【0066】
図13に示す波形W12は、ループ形状アンテナ91の反射損失を示している。ループ形状アンテナ91は、板状アンテナ81の反射損失とほぼ同じ特性が得られていることが分かる。すなわち、ループ形状アンテナ91は、高域のバンド3,4の周波数帯域をカバーすることができる。
【0067】
しかし、ループ形状アンテナ91では、波形W12に示すように中域をカバーできない。そこで、ループ形状アンテナ91の一部を分断し、図11に示すモノポールアンテナ101にすることを考える。モノポールアンテナ101が1500MHz帯の中域の無線通信をカバーするには、給電点からモノポールアンテナ101の上側の分断点までの長さを、1500MHzのλ/4とする。
【0068】
モノポールアンテナ101は、図13の波形W13に示すように、1500MHz帯の中域において、反射損失−6dBを満たしていることが分かる。すなわち、モノポールアンテナ101は、中域のバンド2の周波数帯域をカバーすることができる。
【0069】
以上から、モノポールアンテナ101の分断した部分(開放部)にスイッチを設け、設けたスイッチにより、開放部を短絡および開放することにより、ループ形状アンテナ91とモノポールアンテナ101を実現することができる。すなわち、図11のモノポールアンテナ101は、開放部にスイッチを設けることによって、基板83の右側にスペースを有したまま、高域と中域の無線通信をカバーすることができる。
【0070】
最後に低域の無線通信をカバーすることを考える。上述したように、高域および中域の無線通信は、基板83の左側に形成するアンテナ(ループ形状アンテナ91とモノポールアンテナ101)でカバーすることができる。すなわち、基板83の右側には、低域をカバーするアンテナを形成するためのスペースがある。そこで、図12に示すように、基板83の右側に、低域の無線通信をカバーするモノポールアンテナ111を形成する。
【0071】
例えば、800MHzのλ/4は、約90mmであるので、モノポールアンテナ111は、図12に示すように折り曲げ、電気長を90mmにする。図13の波形W14は、ループ形状アンテナ91と電気長が90mmのモノポールアンテナ111の反射損失を示している。ループ形状アンテナ91とモノポールアンテナ111は、波形W14に示すように、800MHz帯の低域において、反射損失−6dBを満たしていることが分かる。すなわち、ループ形状アンテナ91とモノポールアンテナ111は、バンド1の周波数帯域をカバーすることができる。
【0072】
なお、ループ形状アンテナ91にモノポールアンテナ111を接続したことによって、高域での反射損失が一部−6dBを超えているが、ループ形状アンテナ91とモノポールアンテナ111の形状および寸法を最適化することにより、−6dB以下にすることができる。
【0073】
また、モノポールアンテナ101とモノポールアンテナ111の組み合わせにおいても、ループ形状アンテナ91とモノポールアンテナ111の反射損失と同様に、800MHzの低域をカバーすることができる。
【0074】
以上より、図3に示すアンテナ10において、スイッチ13をオンすれば、放射部11は、図13の波形W12の反射損失を有することができる。これにより、アンテナ10は、バンド3,4の無線通信をカバーすることができる。
【0075】
また、放射部11は、スイッチ13をオフすれば、図13の波形W13の反射損失を有することができる。これにより、アンテナ10は、バンド2の無線通信をカバーすることができる。
【0076】
さらに、放射部12は、スイッチ13をオンまたはオフしていても、図13の800MHz帯の波形W14に示す反射損失を得ることができる。これにより、アンテナ10は、バンド1の無線通信をカバーすることができる。
【0077】
このように、アンテナ10は、開放部11aを有するループ形状の放射部11と、放射部11から伸びる放射部12とを備える。そして、アンテナ10は、スイッチ13によって、放射部11の開放部11aを短絡および開放するようにした。
【0078】
これにより、アンテナ10は、スイッチ13により開放部11aが短絡および開放される放射部11によって高域および中域の無線通信をカバーし、放射部12によって低域の無線通信をカバーすることができ、小型で広帯域の無線通信をカバーすることができる。また、アンテナ10を搭載する携帯端末1も小型で広帯域の無線通信をカバーすることができる。
【0079】
また、アンテナ10は、放射部12の電気長を、放射部11の電気長より長くすることにより、異なる帯域の無線通信をカバーすることができる。
さらに、スイッチ13のオン・オフを制御する制御信号が伝搬するパターン22に抵抗を挿入することにより、パターン22とアンテナ10との結合を防止することができる。
【0080】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。第2の実施の形態では、放射部の一部を折り曲げてアンテナをさらに小型化する。
【0081】
図14は、第2の実施の形態に係るアンテナの斜視図である。図14において図3と同じものには同じ符号が付してある。
図14に示すように、アンテナ120は、開放部を有するループ形状の放射部121を有している。放射部121は、一部が折り曲げられている。例えば、放射部121は、基板30の上側の端において、コの字型に折り曲げられている。より具体的には、放射部121は、基板30の上側の端において、基板30と垂直となるように折り曲げられ、さらに、基板30と平行となるように折り曲げられている。
【0082】
また、アンテナ120は、線状の放射部122を有している。放射部122は、放射部121の給電点から伸びている。放射部122は、一部が折り曲げられている。例えば、放射部122は、基板30の右上の端おいて、コの字型に折り曲げられている。より具体的には、放射部122は、基板30の右上の端において、基板30と垂直となるように折り曲げられ、さらに、基板30と平行となるように折り曲げられている。
【0083】
また、アンテナ120は、スイッチ123を有している。スイッチ123は、放射部121の開放部に設けられ、放射部121の開放部を短絡および開放する。スイッチ123は、例えば、図7に示すスイッチ13と同様であり、図8に示す等価回路を有している。
【0084】
基板30のアンテナ120が形成される面とは反対の面には、グランドがベタに形成されている。ただし、アンテナ120が形成されている部分に対応する基板30の裏面には、グランドは形成されていない。
【0085】
図15は、図14に示すアンテナの平面図である。図16は、図15に示すアンテナのA方向から見た側面図である。図17は、図15に示すアンテナのB方向から見た側面図である。図15〜図17において図14と同じものには同じ符号が付してある。
【0086】
図15に示す点線は、放射部121の折り曲げによって見えなくなった放射部121,122の部分を示している。図15に示すように、放射部121は、ループ形状を有し、放射部122は、線状を有している。放射部121の電気長および放射部122の電気長は、図5で説明した放射部11,12と同様にして決めることができる。
【0087】
インダクタL11は、一端が給電部21に接続され、他端がスルーホールを介して裏面のグランドに接続される。インダクタL11は、給電部21の整合素子である。
パターン22には、図5で説明したのと同様に抵抗51が接続されている。給電部21のそばにあるパターン22の一端は、スルーホールで裏面に出され、放射部122の下をくぐる。そして、裏面で放射部122の下をくぐったパターン22は、スルーホールで表面に出され、スイッチ123に接続される。
【0088】
スイッチ123の筺体は、基板30上に形成されているパターンに接続される。このパターンは、スルーホールで裏面に出され、グランドに接続される。
図18は、図14に示すアンテナの平面図である。図18において図14と同じものには同じ符号が付してある。図18では、図15で説明したスイッチ123、抵抗51、およびインダクタL11が基板30に実装されていない。
【0089】
図18に示すように、ループ形状の放射部121は、開放部に開放端121a,121bを有している。開放端121a,121bは、スイッチ123によって短絡および開放される。これにより、放射部121は、ループ形状アンテナの機能を有し、またモノポールアンテナの機能を有する。
【0090】
スイッチ123は、図18に示す開放端121a,121bおよびパターン22,131の上部に実装される。パターン131は、スルーホールによって、裏面のグランドに接続される。パターン132には、インダクタL11の他端が接続される。パターン132は、スルーホールによって、裏面のグランドに接続される。
【0091】
図19は、アンテナ各部の大きさの一例を説明する図である。図19は、図18と同じ図面であり、符号を省略している。
図19に示すa〜eのそれぞれの値は、例えば、20.6mm,29mm,29.6mm,6.1mm,9mmである。f〜lのそれぞれの値は、11mm,1.9mm,16.4mm,6.2mm,12mm,10.1mm,12mmである。
【0092】
アンテナ120は、放射部121,122の一部を折り曲げることにより、例えば、縦横の大きさを9mm×50mmにすることができる。すなわち、アンテナ120は、放射部121,122の一部を折り曲げて3次元にすることにより、基板30上に2次元で形成する場合より、縦の大きさを小さくすることができる。
【0093】
図20は、図14に示すアンテナの反射波特性を示した図である。図20の横軸は周波数を示し、縦軸は反射損失(S11パラメータ)を示している。
図20に示す反射損失は、図19の示す大きさでの反射損失を示している。また、図20に示す反射損失は、基板30が図3で説明した基板パラメータを有している場合の反射損失を示している。ここでは、アンテナ120の反射損失の目標値を−6dB以下とする。
【0094】
図20に示す波形W21は、スイッチ123をオンしたときのアンテナ120の反射損失を示している。スイッチ123がオンしたとき、放射部121は、ループ形状アンテナの機能を有する。これにより、アンテナ120は、図20の両矢印A11に示すように、高域で目標の反射損失を満たすことができる。つまり、アンテナ120は、スイッチ123をオンすることにより、バンド3,4をカバーすることができる。
【0095】
波形W22は、スイッチ123をオフしたときのアンテナ120の反射損失を示している。スイッチ123がオフしたとき、放射部121は、線状のモノポールアンテナの機能を有する。これにより、アンテナ120は、両矢印A12に示すように、中域で目標の反射損失を満たすことができる。つまり、アンテナ120は、スイッチ123をオフすることにより、バンド2をカバーすることができる。
【0096】
波形W21,W22に示すように、スイッチ123をオンしてもオフしても、アンテナ120は、両矢印A13に示すように、低域で目標の反射損失を満たすことができる。これは、放射部122によって、低域がカバーされるからである。すなわち、アンテナ120は、バンド1をカバーすることができる。
【0097】
このように、アンテナ120は、放射部121,122の一部を折り曲げて、基板と平行な部分を有するようにした。これにより、アンテナ120は、小型化することができる。また、アンテナ120を搭載する携帯端末1も小型で広帯域の無線通信をカバーすることができる。
【0098】
なお、上記では、放射部121,122の両方を折り曲げているが、放射部121,122の形状または寸法によっては一方を折り曲げるようにしてもよい。
本件は、ASET(Association of Super-advanced Electronics Technologies)の業務の一環に係るものである。
【符号の説明】
【0099】
10 アンテナ
11,12 放射部
11a 開放部
13 スイッチ
21 給電部
22 パターン
30 基板
【技術分野】
【0001】
本件は、アンテナおよびアンテナを備えた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機などの携帯端末は高機能化し、例えば、複数の無線通信システムの周波数帯域に対応できるよう広帯域化が求められている。また、携帯端末は、例えば、持ち運びがしやすいよう小型化が求められている。
【0003】
携帯端末は、広帯域化に対応するために複数のアンテナを有しているものがある。例えば、携帯端末は、通信帯域の各帯域を複数のアンテナのそれぞれでカバーし、広帯域化を実現する。この場合、アンテナの携帯端末の実装スペースを占める部分が大きくなり、携帯端末のサイズが大きくなる。
【0004】
なお、従来、小型化され、低周波数化かつ広帯域化したアンテナ装置と該アンテナ装置を備えた携帯型電子機器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−279530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようにアンテナは、広帯域の無線通信をカバーするにはサイズが大きくなるという問題点があった。
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、小型で広帯域の無線通信をカバーすることができるアンテナおよび携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、アンテナが提供される。このアンテナは、開放部を有するループ形状の第1の放射部と、前記第1の放射部から伸びる線状の第2の放射部と、前記第1の放射部の開放部を短絡および開放するスイッチと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
開示の装置によれば、小型で広帯域の無線通信をカバーすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態に係るアンテナを適用した携帯端末の平面図である。
【図2】携帯端末の使用する周波数帯域の例を示した図である。
【図3】アンテナの平面図である。
【図4】図3に示すアンテナの底面図である。
【図5】図3に示すアンテナ、給電部、およびパターンの拡大図である。
【図6】図3に示すスイッチ部分の拡大図のその1である。
【図7】図3に示すスイッチ部分の拡大図のその2である。
【図8】スイッチの等価回路である。
【図9】アンテナの特性を説明する図のその1である。
【図10】アンテナの特性を説明する図のその2である。
【図11】アンテナの特性を説明する図のその3である。
【図12】アンテナの特性を説明する図のその4である。
【図13】図9〜図12に示すアンテナの反射波特性を示した図である。
【図14】第2の実施の形態に係るアンテナの斜視図である。
【図15】図14に示すアンテナの平面図である。
【図16】図15に示すアンテナのA方向から見た側面図である。
【図17】図15に示すアンテナのB方向から見た側面図である。
【図18】図14に示すアンテナの平面図である。
【図19】アンテナ各部の大きさの一例を説明する図である。
【図20】図14に示すアンテナの反射波特性を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係るアンテナを適用した携帯端末の平面図である。図1に示す携帯端末1は、例えば、携帯電話機である。携帯端末1は、例えば、ユーザの使用するアプリケーションによって、自動的に無線通信する周波数帯域を切替える。
【0011】
図2は、携帯端末の使用する周波数帯域の例を示した図である。図2の周波数帯域の欄には、携帯端末1の無線通信に使用する周波数帯域が示してある。中心周波数の欄には、携帯端末1の使用する周波数帯域の中心周波数が示してある。帯域幅の欄には、携帯端末1の使用する周波数帯域の帯域幅が示してある。無線方式の欄には、携帯端末1の使用する周波数帯域がどの無線方式によるものかを示している。
【0012】
例えば、図2の最左欄より、携帯端末1は、806MHz〜960MHz、1447.9MHz〜1510.9MHz、1710MHz〜1880MHz、および1850MHz〜2167.6MHzの4つ周波数帯域で無線通信を行うことが分かる。
【0013】
また、図2の最上欄より、周波数帯域806MHz〜960MHzの中心周波数は、883MHzであることが分かる。また、周波数帯域806MHz〜960MHzの帯域幅は、154MHzであることが分かる。また、周波数帯域806MHz〜960MHzは、FOMA(Freedom Of Mobile multimedia Access)またはGSM(Global System for Mobile)の無線方式で使用されることが分かる。なお、図2中に示すLTEは、Long Term Evolutionである。
【0014】
以下では、周波数帯域806MHz〜960MHzをバンド1と呼ぶことがある。また、周波数帯域1447.9MHz〜1510.9MHzをバンド2と呼ぶことがある。また、周波数帯域1710MHz〜1880MHzをバンド3と呼ぶことがある。また、周波数帯域1850MHz〜2167.6MHzをバンド4と呼ぶことがある。
【0015】
また、以下では、1000MHz以下にあるバンド1を低域、1400MHz〜1600MHz内にあるバンド2を中域、1700MHz以上にあるバンド3,4を高域と呼ぶことがある。
【0016】
携帯端末1は、例えば、バンド1〜4のいずれかを用いて無線通信を行う。例えば、携帯端末1は、ユーザの使用するアプリケーションによって、自動的にバンド1〜4のいずれかを選択し、選択したバンドで無線通信を行う。
【0017】
例えば、ユーザが携帯端末1のアプリケーションAを使用する場合、アプリケーションAは、バンド1で無線通信を行う。また、ユーザが携帯端末1のアプリケーションBを使用する場合、アプリケーションBは、バンド2で無線通信を行う。
【0018】
携帯端末1は、例えば、内部の基板にアンテナを備え、そのアンテナを介して、無線通信を行う。携帯端末1のアンテナは、例えば、バンド1〜4の4バンドの無線通信に対応できるチューナブルアンテナである。
【0019】
図3は、アンテナの平面図である。図3には、アンテナ10が示してある。また、図3には、給電部21、パターン22、および基板30が示してある。
アンテナ10、給電部21、およびパターン22は、基板30上に形成されている。基板30上には、半導体デバイス等の部品が実装されるが、図3ではその図示を省略している。
【0020】
アンテナ10は、開放部を有するループ形状の放射部11を有している。また、アンテナ10は、放射部11から伸びる線状の放射部12を有している。放射部12は、放射部11の給電点(放射部11と給電部21との接続部分)から伸びている。また、アンテナ10は、放射部11の開放部に、スイッチ13を有している。
【0021】
給電部21は、アンテナ10で無線送信する信号を放射部11,12に給電する。給電部21は、例えば、図3に示していない半導体デバイスから信号を受信し、その信号を放射部11,12に給電する。給電部21は、例えば、マイクロストリップ線路で形成される。
【0022】
パターン22は、スイッチ13をオン・オフする制御信号を伝搬する。図3の例では、給電部21のそばにあるパターン22の一端は、スルーホールで裏面(基板30のアンテナ10の形成されていない側の面)に出され、放射部12の下をくぐる。そして、裏面で放射部12の下をくぐったパターン22は、スルーホールで表面(基板30のアンテナ10の形成されている側の面)に出され、スイッチ13に接続される。
【0023】
パターン22の他端は、図3に示していないCPU(Central Processing Unit)等の半導体デバイスに接続されている。半導体デバイスから出力される制御信号は、パターン22を伝搬してスイッチ13に出力される。スイッチ13は、パターン22を伝搬した制御信号によってオン・オフし、放射部11の開放部を短絡および開放する。
【0024】
基板30は、例えば、縦横が123mm×50mm、厚さが1mmのPCB(Printed Circuit Board)である。基板30の比誘電率は、例えば、4.4であり、誘電正接は0.01である。また、基板30上に形成されるアンテナ10、給電部21、パターン22、およびグランドは、例えば、銅箔であり、その厚さは、例えば、35μmである。基板30のアンテナ10が形成される部分の縦横の大きさは、例えば、23mm×50mmである。
【0025】
図4は、図3に示すアンテナの底面図である。図4において図3と同じものには同じ符号が付してある。
図4に示すように、グランド40は、基板30のアンテナ10が形成される面とは反対の面に形成されている。グランド40は、例えば、基板30上にベタに形成される。グランド40の縦横の大きさは、例えば、100mm×50mmである。
【0026】
グランド40は、アンテナ10と重ならないように形成されている。例えば、アンテナ10は、図4のグランド40が形成されていない部分の反対側の面に形成されている。
図4に示すパターン22は、図3で説明した放射部12の下をくぐるパターンである。上述したように、パターン22は、スルーホールによって、基板30のアンテナ10が形成されている面に出され、スイッチ13に接続される。
【0027】
パターン41は、グランド40に接続されている。パターン41の一端は、スルーホールによって、基板30のアンテナ10が形成されている面に出され、スイッチ13に接続される。
【0028】
図5は、図3に示すアンテナ、給電部、およびパターンの拡大図である。図5において図3と同じものには同じ符号が付してある。
アンテナ10の放射部11は、5角形の板状のループ形状を有している。また、放射部11は、開放部11aを有している。開放部11aには、スイッチ13が接続されている。
【0029】
開放部11aは、スイッチ13がオンすることによって短絡される。これにより、放射部11は、板状アンテナと同等の広帯域特性を有するループ形状アンテナとして機能する。また、開放部11aは、スイッチ13がオフすることによって開放される。これにより、放射部11は、モノポールアンテナとしての機能を有する。すなわち、放射部11は、スイッチ13のオン・オフによって、ループ形状アンテナとして機能し、またモノポールアンテナとして機能する。
【0030】
放射部11の電気長(給電点から時計回りした開放部11aまでの長さ)は、送受信したい無線周波数のλ/4(λ:波長)にする。これにより、放射部11は、モノポールアンテナとして機能する場合、λ/4の無線周波数の信号を送受信できる。
【0031】
例えば、放射部11で中域のバンド2の無線通信をカバーするには、放射部11の給電点から開放部11aまでの長さを、バンド2の中心周波数のλ/4にする。これにより、放射部11は、スイッチ13がオフしてモノポールアンテナとして機能する場合、中域のバンド2の無線通信をカバーすることができる。
【0032】
なお、後述するが、放射部11は、スイッチ13がオンしてループ形状アンテナとして機能する場合、高域のバンド3,4の無線通信をカバーする。
放射部12は、放射部11の給電点から伸びたモノポールアンテナである。放射部12の電気長(給電点からの長さ)は、送受信したい無線周波数のλ/4にする。これにより、放射部12は、λ/4の無線周波数の信号を送受信できる。
【0033】
放射部12の電気長は、放射部11の電気長より長くする。すなわち、放射部12は、放射部11より低域の周波数帯域の無線通信をカバーするようにする。
例えば、放射部12は、低域のバンド1の無線通信をカバーするようにする。放射部12が低域のバンド1の無線通信をカバーするには、放射部12の給電点からの長さを、例えば、バンド1の中心周波数のλ/4にする。
【0034】
以上より、携帯端末1は、高域のバンド3,4の無線通信を行う場合、スイッチ13をオンする。これにより、携帯端末1は、放射部11のループ形状アンテナにより、高域のバンド3,4の無線通信を行うことができる。
【0035】
また、携帯端末1は、中域のバンド2の無線通信を行う場合、スイッチ13をオフする。これにより、携帯端末1は、放射部11のモノポールアンテナにより、中域のバンド2の無線通信を行うことができる。
【0036】
さらに、携帯端末1は、低域のバンド1の無線通信を行う場合、スイッチ13をオン・オフのどちらにしてもよい。低域のバンド1の無線通信は、モノポールアンテナの放射部12によってカバーされるからである。
【0037】
パターン22は、分断された部分があり、その分断部分に抵抗51が挿入される。パターン22に抵抗51を挿入するのは、パターン22がアンテナ10と共振しないようにするためである。図5に示す5個の抵抗51のそれぞれの抵抗値は、例えば、10kΩである。
【0038】
図6は、図3に示すスイッチ部分の拡大図のその1である。図6では、基板30にスイッチ13を実装していない場合のスイッチ部分を示している。すなわち、スイッチ13部分のパターンを示している。図6において図5と同じものには同じ符号が付してある。
【0039】
図6に示すパターン22は、スルーホール22aを介して、図4に示す基板30の裏面に形成されたパターン22に接続されている。パターン61は、スルーホール61aを介して、図4に示すパターン41に接続されている。スイッチ13は、図6に示すパターン22,61、および放射部11の開放端11aa,11abの上に実装される。
【0040】
図7は、図3に示すスイッチ部分の拡大図のその2である。図7では、基板30にスイッチ13を実装した場合のスイッチ部分を示している。図7において図6と同じものには同じ符号が付してある。
【0041】
スイッチ13は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical System)スイッチである。スイッチ13は、パターン22を伝搬する制御信号によって、図6に示した放射部11の開放端11aa,11abを短絡(接続)および開放する。また、スイッチ13は、その筺体がパターン61に接続され、グランド40に接続される。
【0042】
図8は、スイッチの等価回路である。図8に示すように、スイッチ13は、端子71a,71b、開閉部72、コンデンサC1,C2、およびインダクタL1,L2を有している。
【0043】
端子71aは、図6に示す放射部11の開放端11aaに接続される。端子71bは、図6に示す放射部11の開放端11abに接続される。開閉部72は、パターン22を伝搬した制御信号によって開閉する。これにより、放射部11の開放端11aa,11ab(開放部11a)は、短絡および開放される。
【0044】
スイッチ13は、図7で説明したように、その筺体がパターン61に接続され、グランド40に接続される。図8に示すグランドは、グランド40に対応する。コンデンサC1,C2は、端子71a,71bとグランド40との間に発生する容量を示している。インダクタL1,L2は、スイッチ13の有するインダクタ成分を示している。
【0045】
以下、アンテナ10の特性について説明する。まず、板状アンテナ、ループ形状アンテナ、モノポールアンテナ、およびループ形状アンテナとモノポールアンテナとを組み合わせたアンテナについて説明する。
【0046】
図9は、アンテナの特性を説明する図のその1である。図9には、板状アンテナ81、給電部82、および基板83が示してある。
図9に示すように、基板83の板状アンテナ81の右側には、何も形成されていない。この何も形成されていない部分と板状アンテナ81の部分の縦横の大きさは、例えば、アンテナ10と同じ大きさの23mm×50mmである。
【0047】
基板83の裏面には、ベタグランドが形成されている。ただし、板状アンテナ81と、板状アンテナ81が形成されていない部分とに対応する基板83の裏面には、ベタグランドは形成されていない。基板83は、図3で説明した基板30と同様の基板パラメータを有している。
【0048】
図10は、アンテナの特性を説明する図のその2である。図10において図9と同じものには同じ符号が付してある。図10では、図9の板状アンテナ81がループ形状アンテナ91となっている。
【0049】
ループ形状アンテナ91は、板状アンテナ81の中央部分をくり貫いたものである。従って、ループ形状アンテナ91の外周の大きさは、板状アンテナ81の外周の大きさと同じである。
【0050】
図10に示すように、基板83のループ形状アンテナ91の右側には、何も形成されていない。この何も形成されていない部分とループ形状アンテナ91の部分の縦横の大きさは、例えば、23mm×50mmである。
【0051】
基板83の裏面には、ベタグランドが形成されている。ただし、ループ形状アンテナ91と、ループ形状アンテナ91が形成されていない部分とに対応する基板83の裏面には、ベタグランドは形成されていない。
【0052】
図11は、アンテナの特性を説明する図のその3である。図11において図10と同じものには同じ符号が付してある。図11では、図10のループ形状アンテナ91がモノポールアンテナ101となっている。
【0053】
モノポールアンテナ101は、ループ形状アンテナ91の一部を開放したアンテナである。従って、モノポールアンテナ101の外周の大きさは、ループ形状アンテナ91の外周の大きさと同じである。
【0054】
図11に示すように、基板83のモノポールアンテナ101の右側には、何も形成されていない。この何も形成されていない部分とモノポールアンテナ101の部分の縦横の大きさは、例えば、23mm×50mmである。
【0055】
基板83の裏面には、ベタグランドが形成されている。ただし、モノポールアンテナ101と、モノポールアンテナ101が形成されていない部分とに対応する基板83の裏面には、ベタグランドは形成されていない。
【0056】
図12は、アンテナの特性を説明する図のその4である。図12において図10と同じものには同じ符号が付してある。図12では、ループ形状アンテナ91の給電点(ループ形状アンテナ91と給電部82の接続部分)から、右側にモノポールアンテナ111が伸びている。ループ形状アンテナ91とモノポールアンテナ111の縦横の大きさは、例えば、23mm×50mmである。
【0057】
基板83の裏面には、ベタグランドが形成されている。ただし、ループ形状アンテナ91と、モノポールアンテナ111とが形成されている部分に対応する基板83の裏面には、ベタグランドは形成されていない。
【0058】
図13は、図9〜図12に示すアンテナの反射波特性を示した図である。図13の横軸は周波数を示し、縦軸は反射損失(S11パラメータ)を示している。ここでは、アンテナの反射損失の目標値を−6dB以下とする。
【0059】
図13に示す波形W11は、図9に示した板状アンテナ81の反射損失を示している。波形W12は、図10に示したループ形状アンテナ91の反射損失を示している。波形W13は、図11に示したモノポールアンテナ101の反射損失を示している。波形W14は、図12に示したループ形状アンテナ91とモノポールアンテナ111との反射損失を示している。
【0060】
アンテナのカバーする無線周波数を、図2で説明したバンド1〜4とする。この場合、高域のバンド3,4は、低域のバンド1および中域のバンド2の周波数帯域幅に対して、広帯域で動作(1710MHz〜2167.6MHz)させなければならないことが分かる。このため、高域において、λ/4長の線状モノポールアンテナを用いて動作帯域を確保することは困難であると考えられる。
【0061】
そこで、まず、高域の無線通信をカバーするために、図9で示した板状アンテナ81を考える。板状アンテナ81の動作下限周波数は、主にアンテナの高さで決定される。1700MHz以上の周波数帯域をカバーするには、アンテナの高さは約23mmとなる。
【0062】
図13に示す波形W11は、高さを23mmとした板状アンテナ81の反射損失を示している。波形W11に示すように、板状アンテナ81は、1700MHz以上の周波数帯域において、反射損失−6dBを満たしていることが分かる。すなわち、板状アンテナ81は、バンド3,4の周波数帯域をカバーすることができる。
【0063】
次に、中域の無線通信をカバーすることを考える。中域における動作帯域幅は、60MHz程度であり、狭帯域である。従って、中域の周波数帯は、線状のモノポールアンテナでカバーできる。
【0064】
図9の板状アンテナ81の右側には、アンテナは存在せず、この部分に、1500MHz帯のモノポールアンテナを形成すれば、中域と高域の周波数帯域をカバーすることができる。しかし、板状アンテナ81の右側に、中域をカバーするモノポールアンテナを形成すれば、低域の周波数帯域をカバーするアンテナを形成するスペースがなくなる。そこで、図10に示した、板状アンテナ81の中央部分をくり貫いたループ形状アンテナ91を考える。
【0065】
板状アンテナ81では、信号電流のほとんどは、エッジ部分を流れる。従って、板状アンテナ81の中央部分をくり貫いたループ形状アンテナ91は、板状アンテナ81の信号電流が多く流れる部分を残したアンテナと考えることができる。
【0066】
図13に示す波形W12は、ループ形状アンテナ91の反射損失を示している。ループ形状アンテナ91は、板状アンテナ81の反射損失とほぼ同じ特性が得られていることが分かる。すなわち、ループ形状アンテナ91は、高域のバンド3,4の周波数帯域をカバーすることができる。
【0067】
しかし、ループ形状アンテナ91では、波形W12に示すように中域をカバーできない。そこで、ループ形状アンテナ91の一部を分断し、図11に示すモノポールアンテナ101にすることを考える。モノポールアンテナ101が1500MHz帯の中域の無線通信をカバーするには、給電点からモノポールアンテナ101の上側の分断点までの長さを、1500MHzのλ/4とする。
【0068】
モノポールアンテナ101は、図13の波形W13に示すように、1500MHz帯の中域において、反射損失−6dBを満たしていることが分かる。すなわち、モノポールアンテナ101は、中域のバンド2の周波数帯域をカバーすることができる。
【0069】
以上から、モノポールアンテナ101の分断した部分(開放部)にスイッチを設け、設けたスイッチにより、開放部を短絡および開放することにより、ループ形状アンテナ91とモノポールアンテナ101を実現することができる。すなわち、図11のモノポールアンテナ101は、開放部にスイッチを設けることによって、基板83の右側にスペースを有したまま、高域と中域の無線通信をカバーすることができる。
【0070】
最後に低域の無線通信をカバーすることを考える。上述したように、高域および中域の無線通信は、基板83の左側に形成するアンテナ(ループ形状アンテナ91とモノポールアンテナ101)でカバーすることができる。すなわち、基板83の右側には、低域をカバーするアンテナを形成するためのスペースがある。そこで、図12に示すように、基板83の右側に、低域の無線通信をカバーするモノポールアンテナ111を形成する。
【0071】
例えば、800MHzのλ/4は、約90mmであるので、モノポールアンテナ111は、図12に示すように折り曲げ、電気長を90mmにする。図13の波形W14は、ループ形状アンテナ91と電気長が90mmのモノポールアンテナ111の反射損失を示している。ループ形状アンテナ91とモノポールアンテナ111は、波形W14に示すように、800MHz帯の低域において、反射損失−6dBを満たしていることが分かる。すなわち、ループ形状アンテナ91とモノポールアンテナ111は、バンド1の周波数帯域をカバーすることができる。
【0072】
なお、ループ形状アンテナ91にモノポールアンテナ111を接続したことによって、高域での反射損失が一部−6dBを超えているが、ループ形状アンテナ91とモノポールアンテナ111の形状および寸法を最適化することにより、−6dB以下にすることができる。
【0073】
また、モノポールアンテナ101とモノポールアンテナ111の組み合わせにおいても、ループ形状アンテナ91とモノポールアンテナ111の反射損失と同様に、800MHzの低域をカバーすることができる。
【0074】
以上より、図3に示すアンテナ10において、スイッチ13をオンすれば、放射部11は、図13の波形W12の反射損失を有することができる。これにより、アンテナ10は、バンド3,4の無線通信をカバーすることができる。
【0075】
また、放射部11は、スイッチ13をオフすれば、図13の波形W13の反射損失を有することができる。これにより、アンテナ10は、バンド2の無線通信をカバーすることができる。
【0076】
さらに、放射部12は、スイッチ13をオンまたはオフしていても、図13の800MHz帯の波形W14に示す反射損失を得ることができる。これにより、アンテナ10は、バンド1の無線通信をカバーすることができる。
【0077】
このように、アンテナ10は、開放部11aを有するループ形状の放射部11と、放射部11から伸びる放射部12とを備える。そして、アンテナ10は、スイッチ13によって、放射部11の開放部11aを短絡および開放するようにした。
【0078】
これにより、アンテナ10は、スイッチ13により開放部11aが短絡および開放される放射部11によって高域および中域の無線通信をカバーし、放射部12によって低域の無線通信をカバーすることができ、小型で広帯域の無線通信をカバーすることができる。また、アンテナ10を搭載する携帯端末1も小型で広帯域の無線通信をカバーすることができる。
【0079】
また、アンテナ10は、放射部12の電気長を、放射部11の電気長より長くすることにより、異なる帯域の無線通信をカバーすることができる。
さらに、スイッチ13のオン・オフを制御する制御信号が伝搬するパターン22に抵抗を挿入することにより、パターン22とアンテナ10との結合を防止することができる。
【0080】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。第2の実施の形態では、放射部の一部を折り曲げてアンテナをさらに小型化する。
【0081】
図14は、第2の実施の形態に係るアンテナの斜視図である。図14において図3と同じものには同じ符号が付してある。
図14に示すように、アンテナ120は、開放部を有するループ形状の放射部121を有している。放射部121は、一部が折り曲げられている。例えば、放射部121は、基板30の上側の端において、コの字型に折り曲げられている。より具体的には、放射部121は、基板30の上側の端において、基板30と垂直となるように折り曲げられ、さらに、基板30と平行となるように折り曲げられている。
【0082】
また、アンテナ120は、線状の放射部122を有している。放射部122は、放射部121の給電点から伸びている。放射部122は、一部が折り曲げられている。例えば、放射部122は、基板30の右上の端おいて、コの字型に折り曲げられている。より具体的には、放射部122は、基板30の右上の端において、基板30と垂直となるように折り曲げられ、さらに、基板30と平行となるように折り曲げられている。
【0083】
また、アンテナ120は、スイッチ123を有している。スイッチ123は、放射部121の開放部に設けられ、放射部121の開放部を短絡および開放する。スイッチ123は、例えば、図7に示すスイッチ13と同様であり、図8に示す等価回路を有している。
【0084】
基板30のアンテナ120が形成される面とは反対の面には、グランドがベタに形成されている。ただし、アンテナ120が形成されている部分に対応する基板30の裏面には、グランドは形成されていない。
【0085】
図15は、図14に示すアンテナの平面図である。図16は、図15に示すアンテナのA方向から見た側面図である。図17は、図15に示すアンテナのB方向から見た側面図である。図15〜図17において図14と同じものには同じ符号が付してある。
【0086】
図15に示す点線は、放射部121の折り曲げによって見えなくなった放射部121,122の部分を示している。図15に示すように、放射部121は、ループ形状を有し、放射部122は、線状を有している。放射部121の電気長および放射部122の電気長は、図5で説明した放射部11,12と同様にして決めることができる。
【0087】
インダクタL11は、一端が給電部21に接続され、他端がスルーホールを介して裏面のグランドに接続される。インダクタL11は、給電部21の整合素子である。
パターン22には、図5で説明したのと同様に抵抗51が接続されている。給電部21のそばにあるパターン22の一端は、スルーホールで裏面に出され、放射部122の下をくぐる。そして、裏面で放射部122の下をくぐったパターン22は、スルーホールで表面に出され、スイッチ123に接続される。
【0088】
スイッチ123の筺体は、基板30上に形成されているパターンに接続される。このパターンは、スルーホールで裏面に出され、グランドに接続される。
図18は、図14に示すアンテナの平面図である。図18において図14と同じものには同じ符号が付してある。図18では、図15で説明したスイッチ123、抵抗51、およびインダクタL11が基板30に実装されていない。
【0089】
図18に示すように、ループ形状の放射部121は、開放部に開放端121a,121bを有している。開放端121a,121bは、スイッチ123によって短絡および開放される。これにより、放射部121は、ループ形状アンテナの機能を有し、またモノポールアンテナの機能を有する。
【0090】
スイッチ123は、図18に示す開放端121a,121bおよびパターン22,131の上部に実装される。パターン131は、スルーホールによって、裏面のグランドに接続される。パターン132には、インダクタL11の他端が接続される。パターン132は、スルーホールによって、裏面のグランドに接続される。
【0091】
図19は、アンテナ各部の大きさの一例を説明する図である。図19は、図18と同じ図面であり、符号を省略している。
図19に示すa〜eのそれぞれの値は、例えば、20.6mm,29mm,29.6mm,6.1mm,9mmである。f〜lのそれぞれの値は、11mm,1.9mm,16.4mm,6.2mm,12mm,10.1mm,12mmである。
【0092】
アンテナ120は、放射部121,122の一部を折り曲げることにより、例えば、縦横の大きさを9mm×50mmにすることができる。すなわち、アンテナ120は、放射部121,122の一部を折り曲げて3次元にすることにより、基板30上に2次元で形成する場合より、縦の大きさを小さくすることができる。
【0093】
図20は、図14に示すアンテナの反射波特性を示した図である。図20の横軸は周波数を示し、縦軸は反射損失(S11パラメータ)を示している。
図20に示す反射損失は、図19の示す大きさでの反射損失を示している。また、図20に示す反射損失は、基板30が図3で説明した基板パラメータを有している場合の反射損失を示している。ここでは、アンテナ120の反射損失の目標値を−6dB以下とする。
【0094】
図20に示す波形W21は、スイッチ123をオンしたときのアンテナ120の反射損失を示している。スイッチ123がオンしたとき、放射部121は、ループ形状アンテナの機能を有する。これにより、アンテナ120は、図20の両矢印A11に示すように、高域で目標の反射損失を満たすことができる。つまり、アンテナ120は、スイッチ123をオンすることにより、バンド3,4をカバーすることができる。
【0095】
波形W22は、スイッチ123をオフしたときのアンテナ120の反射損失を示している。スイッチ123がオフしたとき、放射部121は、線状のモノポールアンテナの機能を有する。これにより、アンテナ120は、両矢印A12に示すように、中域で目標の反射損失を満たすことができる。つまり、アンテナ120は、スイッチ123をオフすることにより、バンド2をカバーすることができる。
【0096】
波形W21,W22に示すように、スイッチ123をオンしてもオフしても、アンテナ120は、両矢印A13に示すように、低域で目標の反射損失を満たすことができる。これは、放射部122によって、低域がカバーされるからである。すなわち、アンテナ120は、バンド1をカバーすることができる。
【0097】
このように、アンテナ120は、放射部121,122の一部を折り曲げて、基板と平行な部分を有するようにした。これにより、アンテナ120は、小型化することができる。また、アンテナ120を搭載する携帯端末1も小型で広帯域の無線通信をカバーすることができる。
【0098】
なお、上記では、放射部121,122の両方を折り曲げているが、放射部121,122の形状または寸法によっては一方を折り曲げるようにしてもよい。
本件は、ASET(Association of Super-advanced Electronics Technologies)の業務の一環に係るものである。
【符号の説明】
【0099】
10 アンテナ
11,12 放射部
11a 開放部
13 スイッチ
21 給電部
22 パターン
30 基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放部を有するループ形状の第1の放射部と、
前記第1の放射部から伸びる線状の第2の放射部と、
前記第1の放射部の開放部を短絡および開放するスイッチと、
を有することを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
前記第2の放射部の電気長は、前記第1の放射部の電気長より長いことを特徴とする請求項1記載のアンテナ。
【請求項3】
前記第1の放射部および前記第2の放射部は、基板上に形成され、
前記第1の放射部および前記第2の放射部の一方または両方は、一部が折り曲げられて基板と平行な部分を有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記スイッチの短絡および開放を制御する制御信号が伝搬するパターンと、
前記パターンの間に挿入される抵抗と、
をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項5】
開放部を有するループ形状の第1の放射部と、前記第1の放射部から伸びる線状の第2の放射部と、前記第1の放射部の開放部を短絡および開放するスイッチと、を備えたアンテナ、
を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項1】
開放部を有するループ形状の第1の放射部と、
前記第1の放射部から伸びる線状の第2の放射部と、
前記第1の放射部の開放部を短絡および開放するスイッチと、
を有することを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
前記第2の放射部の電気長は、前記第1の放射部の電気長より長いことを特徴とする請求項1記載のアンテナ。
【請求項3】
前記第1の放射部および前記第2の放射部は、基板上に形成され、
前記第1の放射部および前記第2の放射部の一方または両方は、一部が折り曲げられて基板と平行な部分を有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記スイッチの短絡および開放を制御する制御信号が伝搬するパターンと、
前記パターンの間に挿入される抵抗と、
をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項5】
開放部を有するループ形状の第1の放射部と、前記第1の放射部から伸びる線状の第2の放射部と、前記第1の放射部の開放部を短絡および開放するスイッチと、を備えたアンテナ、
を有することを特徴とする携帯端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−26759(P2013−26759A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158610(P2011−158610)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「立体構造新機能集積回路(ドリームチップ)技術開発/多機能高密度三次元集積化技術」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「立体構造新機能集積回路(ドリームチップ)技術開発/多機能高密度三次元集積化技術」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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