説明

アンテナ共用器、高周波回路及び無線通信装置

【課題】アンテナ共用器のアイソレーション特性を改善する。
【解決手段】圧電基板1の第1の面に受信用帯域通過フィルタ200と送信用帯域通過フィルタ300とが形成される。受信用帯域通過フィルタ200の出力端子16は、回路基板2のビア導体57,76及び配線導体63を含む受信給電線を介して受信回路接続端子47に接続され、送信用帯域通過フィルタ300の入力端子20は、回路基板2のビア導体59,80及び配線導体64を含む送信給電線を介して送信回路接続端子49に接続される。受信用帯域通過フィルタ200と送信用帯域通過フィルタ300とは、共通のグランド導体61を介して接地される。受信給電線とグランド導体61との間に、当該受信給電線に流れる無線受信信号の電流の向きに実質的に直交する軸を有するように、輪状導体31に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波帯及びミリ波帯の高周波信号を無線送受信する高周波回路及び無線通信装置のためのアンテナ共用器及び当該アンテナ共用器を備えた高周波回路並びに無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナ共用器はデュプレクサとも呼ばれ、アンテナと送信回路と受信回路とに接続されて送信信号と受信信号を分離する機能を有する。一般に、アンテナ共用器は、アンテナ装置と送信回路との間に接続される送信信号用の帯域通過フィルタ(以下、送信フィルタという。)と、アンテナ装置と受信回路との間に接続される受信信号用の帯域通過フィルタ(以下、受信フィルタという。)とを備えて構成される。ここで、送信フィルタ及び受信フィルタの各通過帯域は、互いに異なるように設定される。
【0003】
アナログ方式又はCDMA(Code Division Multiple Access)方式のように、送受信を同時に行う方式の携帯電話システムに用いられるアンテナ共用器では、送信信号が送信フィルタ及び受信フィルタを介して受信回路に流れ込んで当該受信回路内の低雑音増幅器などの動作に悪影響を及ぼし通話品質の低下につながることを防ぐ必要がある。すなわち、アンテナ共用器においてアイソレーション特性を向上させて、受信フィルタで送信信号を十分に減衰させる必要がある。
【0004】
従来、高周波回路である送信フィルタ及び受信フィルタを1つの回路基板に実装した従来技術に係るアンテナ共用器が知られている。ここで、上記回路基板のアンテナ共用器の実装面には、送信信号入力端子、アンテナ接続端子、受信信号出力端子及びグランド端子が設けられる。グランド端子には、送信フィルタと受信フィルタの共通のグランドとして電気的に機能するグランド導体が接続されている。このため、従来技術に係るアンテナ共用器において、送信フィルタの動作に伴ってグランド導体に発生するグランド電流と受信フィルタの動作に伴ってグランド導体に発生するグランド電流とが相互に結合し、アイソレーション特性の劣化につながった。
【0005】
特許文献1には、送信フィルタに接続された基準電位電極を、送信フィルタと受信フィルタの共通接続端子及び受信フィルタに接続された基準電位電極から分離するように構成された分波器(上記アンテナ共用器である。)が記載されている。特許文献1に記載の分波器によれば、送信信号が基準電位電極を介して受信回路に流れ込むことを防止できる。
【0006】
また、特許文献2には、一つの回路基板上に構成された複数の高周波回路毎に回路基板にグランド電極を形成し、該グランド電極が間隙を設けて相互に離隔してなる高周波回路装置が記載されている。特許文献2に記載の高周波回路装置によれば、各高周波回路のグランド電流がグランド電極で相互に電磁気的に干渉することが抑えられ、高周波回路相互間のグランド電流の電磁気結合を防止することができる。
【0007】
【特許文献1】特開2005−175638号公報。
【特許文献2】特許第3319418号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の分波器及び特許文献2に記載の高周波回路装置では、送信フィルタに接続されるグランド導体と受信フィルタに接続されるグランド導体とが別々に設けられるので、送信フィルタと受信フィルタとの間で基準電位が変化してしまい、グランド導体の形状によりフィルタ特性が変化しやすくなってしまう。また、上述のように基準電位が変化することによって、アイソレーション特性、送信フィルタ特性及び受信フィルタ特性が劣化する場合がある。このため、従来は、良好な送信及び受信のフィルタ特性を維持したまま、アイソレーション特性の劣化を抑制することが困難だった。
【0009】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、従来技術に比較してアイソレーション特性を向上できるアンテナ共用器及びそれを備えた高周波回路並びに無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係るアンテナ共用器は、アンテナによって受信された無線受信信号に対して所定の帯域通過処理を行い、当該処理後の無線受信信号を受信給電線を介して受信回路に出力する受信用帯域通過フィルタと、送信回路から送信給電線を介して入力される無線送信信号に対して所定の帯域通過処理を行い、当該処理後の無線受信信号を上記アンテナに出力して送信する送信用帯域通過フィルタとを備えたアンテナ共用器において、上記受信用帯域通過フィルタと上記送信用帯域通過フィルタとは共通のグランド導体に接続されて接地され、上記グランド導体と上記受信給電線との間に、上記無線受信信号の電流の向きに実質的に直交する軸を有するように設けられた第1の輪状導体と、上記グランド導体と上記送信給電線との間に、上記無線送信信号の電流の向きに実質的に直交する軸を有するように設けられた第2の輪状導体とのうちの少なくとも一方を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記アンテナ共用器において、上記第1及び第2の輪状導体のうち、上記第1の輪状導体のみを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、上記アンテナ共用器において、上記受信用帯域通過フィルタと上記送信用帯域通過フィルタとを形成した第1の基板と、上記送信給電線と上記受信給電線と上記グランド導体とを形成した第2の基板とを備え、上記各輪状導体は、上記第2の基板の表面に対して平行に形成された第1及び第2の配線導体と、当該第1の配線導体及び第2の配線導体の各一端を互いに接続する第1のビア導体と、当該第1の配線導体及び第2の配線導体の各他端を互いに接続する第2のビア導体とを備えたことを特徴とする。
【0013】
さらに、上記アンテナ共用器において、上記グランド導体は上記第2の基板の所定の層に形成され、上記第1及び第2の配線導体のうちの一方は、上記所定の層に形成されたことを特徴とする。
【0014】
またさらに、上記アンテナ共用器において、上記第1の基板は圧電基板であり、上記受信用帯域通過フィルタ及び送信用帯域通過フィルタはそれぞれ、複数の表面弾性波共振子を備えたことを特徴とする。
【0015】
第2の発明に係る高周波回路は、所定の搬送波信号を送信信号に従って変調することにより上記無線送信信号を発生する送信回路と、上記無線受信信号を周波数変換して復調する受信回路と、上記アンテナ共用器とを備えたことを特徴とする。
【0016】
第3の発明に係る無線通信装置は、上記高周波回路と、上記無線送信信号及び上記無線受信信号を送受信するアンテナとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るアンテナ共用器、高周波回路及び無線通信装置によれば、受信用帯域通過フィルタと送信用帯域通過フィルタとは共通のグランド導体に接続されて接地され、当該グランド導体と受信給電線との間に、無線受信信号の電流の向きに実質的に直交する軸を有するように設けられた第1の輪状導体を備えたので、送信給電線と受信給電線との間の電磁気結合による干渉を防止し、従来技術に比較して、受信用帯域通過フィルタ及び送信用帯域通過フィルタの各特性を劣化させることなく、アイソレーション特性を改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0019】
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ共用器100の回路図であり、図2は、本実施形態に係るアンテナ共用器100を構成する圧電基板1及び回路基板2の斜視図である。図3において、(a)は図2の回路基板2の第1層を横切る断面図であり、(b)は図2の回路基板2の第2層を横切る断面図であり、(c)は図2の回路基板2の第3層を横切る断面図であり、(d)は図2の回路基板2の第4を横切る断面図であり、(e)は図2の回路基板2の第5層を横切る断面図である。また、図4は、図2の圧電基板1及び回路基板2を含むアンテナ共用器100をH方向から見た透視側面図である。さらに、図5は、図2の圧電基板1の第1の面に形成された図1の表面弾性波(Surface Acoustic Wave:以下、SAWという。)共振子201の斜視図であり、図6は、図2の圧電基板1の第1の面に形成された図1のSAW共振子201〜208及び301〜307を示す平面図である。
【0020】
なお、図1のアンテナ共用器100の回路構成は、以下の各実施形態及び比較例に係るアンテナ共用器100A,100B,100C,100Dの各回路構成と共通である。また、図5及び図6のSAW共振子201〜208及び301〜307の各構成は、以下の各実施形態及び比較例に係るSAW共振子201〜208及び301〜307の各構成と共通である。さらに、図2,図9,図13及び図17において、図を明確にするために半田バンプB1〜B10及びシールドカバー91(図4参照。)を省略し、図4,図11,図15及び図19の各透視側面図において、図を明確にするために導体を斜線で示す。
【0021】
はじめに、本実施形態に係るアンテナ共用器100の構成を説明する。図1において、アンテナ共用器100は、携帯電話機などの無線通信装置において2110メガヘルツから2170メガヘルツの周波数範囲の無線受信信号を選択的に帯域通過ろ波させるための受信用帯域通過フィルタ200と、1920メガヘルツから1980メガヘルツの周波数範囲の無線送信信号を選択的に帯域通過ろ波させるための送信用帯域通過フィルタ300とを備えて構成される。ここで、受信用帯域通過フィルタ200は、受信回路を接続するための受信回路接続端子47とアンテナを接続するためのアンテナ接続端子42との間に電気的に接続され、送信用帯域通過フィルタ300は送信回路を接続するための送信回路接続端子49とアンテナ接続端子42との間に電気的に接続される。
【0022】
ここで、図2,図5及び図6に示すように、受信用帯域通過フィルタ200及び送信用帯域通過フィルタ300は圧電基板1の第1の面に形成される。また、図2及び図4に示すように、アンテナ接続端子42、受信回路接続端子47及び送信回路接続端子49は回路基板2の第1の面に形成されている。
【0023】
図1及び図6に示すように、受信用帯域通過フィルタ200は、回路基板2の受信回路接続端子47に後述するように電気的に接続された端子16とアンテナ接続端子42に後述するように電気的に接続された端子13との間にはしご型に接続されたSAW共振子201〜208を備えて構成される。ここで、SAW共振子201の第1の端子201t1は配線導体L1を介して端子16及びSAW共振子205の第1の端子205t1に接続され、SAW共振子201の第2の端子201t2は配線導体L2を介してSAW共振子202の第1の端子202t1及びSAW共振子206の第1の端子206t1に接続される。また、SAW共振子203の第1の端子203t1は配線導体L3を介してSAW共振子202の第2の端子202t2及びSAW共振子207の第1の端子207t1に接続され、SAW共振子203の第2の端子203t2は配線導体L4を介してSAW共振子204の第1の端子204t1及びSAW共振子208の第1の端子208t1に接続される。さらに、図6に示すように、SAW共振子205,206及び207の各第2の端子205t2,206t2及び207t3は、グランド配線G1を介して端子11,12に接続され、当該端子11,12は後述するように回路基板2のグランド導体61を介してグランド端子41,43〜46,48に接続されて接地される。SAW共振子208の第2の端子208t2はグランド配線G2を介して端子18に接続され、当該端子18は後述するように回路基板2のグランド導体61を介してグランド端子41,43〜46,48に接続されて接地される。
【0024】
また、図1及び図6に示すように、送信用帯域通過フィルタ300は、回路基板2の送信回路接続端子49に後述するように電気的に接続された端子20と端子13との間にはしご型に接続されたSAW共振子301〜307を備えて構成される。ここで、SAW共振子301の第1の端子301t1は配線導体L5を介して端子13及びSAW共振子204の第2の端子204t2に接続され、SAW共振子301の第2の端子301t2は配線導体L6を介してSAW共振子302の第1の端子302t1及びSAW共振子305の第1の端子305t1に接続される。また、SAW共振子303の第1の端子303t1は配線導体L7を介してSAW共振子302の第2の端子302t2及びSAW共振子306の第1の端子306t1に接続され、SAW共振子303の第2の端子303t2は配線導体L8を介してSAW共振子304の第1の端子304t1及びSAW共振子307の第1の端子307t1に接続される。さらに、SAW共振子304の第2の端子304t2は配線導体L9を介して端子20に接続される。また、SAW共振子305,306及び307の各第2の端子305t2,306t2及び307t3は、グランド配線G3を介して端子14,15に接続され、当該端子14,15は後述するように回路基板2のグランド導体61を介してグランド端子41,43〜46,48に接続されて接地される。
【0025】
以上のように構成された受信用帯域通過フィルタ200と送信用帯域通過フィルタ300とは、グランド導体61に共通に接続されて接地される。
【0026】
さらに、図5に示すように、SAW共振子201は、タンタル酸リチウム(LiTaO)又はニオブ酸リチウム(LiNbO)などの圧電体材料にてなる圧電基板1の第1の面に形成された二つの櫛形電極201a及び201bを備えて構成され、各櫛形電極の端子201t1及び201t2は配線導体L1,L2にそれぞれ接続される。端子201t1及び201t2を介して櫛形電極201a及び201bに高周波信号である無線受信信号が印加されると、上記圧電体が励振され、櫛形電極201a及び201bの間の間隔dに基づいて決定される所定の周波数の表面弾性波が発生される。なお、SAW共振子202〜208,301〜307はSAW共振子201と同様に構成され、各共振子202〜208における櫛形電極間の距離dは、受信用帯域通過フィルタ200の通過帯域を2110メガヘルツから2170メガヘルツに設定するようにそれぞれ設定される。また、各共振周波数301〜307における櫛形電極間の距離dは、送信用帯域通過フィルタ300の通過帯域を1920メガヘルツから1980メガヘルツに設定するようにそれぞれ設定される。
【0027】
図2〜図4に示すように、回路基板2は5層構造にてなり、第1層は回路基板の第1の面上に形成されたアンテナ接続端子42、受信回路接続端子47、送信回路接続端子49及びグランド端子41,43〜46,48を含み、第2層は、端子41〜49にそれぞれ接続されるように形成されたビア導体51〜59を含む。また、第3層は、ビア導体51,53〜56,58に接続するように設けられたグランド導体61と、一端がビア導体52に接続された配線導体62と、一端がビア導体57に接続された配線導体63と、一端がビア導体59に接続された配線導体64とを含む。さらに、第4層は、グランド導体61に接続されるように形成されたビア導体71,72,74,75,77〜79と、配線導体62の他端に接続されるように形成されたビア導体73と、配線導体63の他端に接続されるように形成されたビア導体76と、配線導体64の他端に接続されるように形成されたビア導体80とを含む。またさらに、第5層は、圧電基板1の端子11〜20と第4層のビア導体71〜80とをそれぞれ接続するように回路基板2の第2の面に形成された半田バンプB1〜B10を含む。また、図4に示すように、圧電基板1及び回路基板2を覆うように、銅メッキにてなるシールドカバー91が形成されている。ここで、シールドカバー91は、図示しない配線導体を介してグランド導体61に接続されている。
【0028】
ここで、例えば図4に示すように、圧電基板1の端子16と回路基板2の受信回路接続端子47との間の半田バンプB6,ビア導体76,配線導体63及びビア導体57は、無線受信信号Srを受信するための受信給電線を構成する。同様に、圧電基板1の端子20と回路基板2の送信回路接続端子49との間の半田バンプB10,ビア導体80,配線導体64及びビア導体59は、無線送信信号Stを送信するための送信給電線を構成する。
【0029】
また、図2〜図4に示すように、回路基板2は、矩形の形状を有しかつ回路基板2内の他の導体と電気的に接続されていない輪状導体31を備える。ここで、輪状導体31は、受信給電線とグランド導体61との間に設けられ、第3層及び第5層にそれぞれ形成された下辺及び上辺と、受信給電線に流れる無線受信信号Srの電流の向きに実質的に直交する軸とを有する。
【0030】
次に、以上のように構成されたアンテナ共用器100の動作を、比較例に係るアンテナ共用器100Dの動作と比較して説明する。ここで、比較例に係るアンテナ共用器100Dは、本実施形態に係るアンテナ共用器100に比較して、回路基板2に代えて、輪状導体31を含まない回路基板2Dを備えた点のみが異なる。
【0031】
図21は、比較例に係るアンテナ共用器100Dの動作を示す、回路基板2Dの第3層の断面図である。図21に示すように、アンテナ共用器100Dの動作時に、配線導体63の長手方向に無線受信信号Srの電流が流れ、配線導体64の長手方向に、無線送信信号Stの電流が流れる。これに伴い、グランド導体61上の配線導体63,64間には、無線送信信号Stの電流の向きに直交する向きを有する磁界M1,M2a,M3aが発生し、グランド導体61に、上記磁界M1,M2a,M3aの向きに直交する方向にグランド電流Ig1,Ig2a,Ig3aが流れる。さらに、配線導体63に最も近い位置に流れるグランド電流Ig3aによって、グランド電流Ig3aの電流の向きに直交する向きを有する磁界が配線導体63に発生し、当該磁界の向きに実質的に直交する方向に漏洩電流ILが流れる。すなわち、アンテナ共用器100Dの動作時に、導体配線63に、無線送信信号Stと同一の方向の漏洩電流ILが流れる。ここで、図21において、無線受信信号Srの電流の向きに実質的に平行な方向をy方向、y方向に直交する方向をx方向と定義すると、漏洩電流ILのx成分ILx(図22(c)参照。)が無線受信信号Srに及ぼす影響は、漏洩電流ILのy成分が無線受信信号Srに及ぼす影響に比較して大きく、アンテナ共用器100Dのアイソレーション特性の劣化を招く。
【0032】
図22において、(a)はアンテナ共用器100Dにおいて、配線導体64の近傍に発生する磁界M1及びグランド電流Ig1を示す回路基板2Dの第3層の断面図であり、(b)は上記磁界M1及びグランド電流Ig1をx方向及びy方向にそれぞれ分解して示す断面図であり、(c)は上記磁界M1のy成分M1yによって配線導体63に流れる漏洩電流のx成分ILxを示す断面図である。図22(b)に示すように、磁界M1はx成分M1x及びy成分M1yに分解され、グランド電流Ig1はx成分Ig1x及びy成分Ig1yに分解される。同様に、図22(c)に示すように、磁界M2aはx成分M2ax及びy成分M2ayに分解され、磁界M3aはx成分M3ax及びy成分M3ayに分解され、グランド電流Ig2aはx成分Ig2ax及びy成分Ig2ayに分解され、グランド電流Ig3aはx成分Ig3ax及びy成分Ig3ayに分解される。図22(c)に示すように、磁界M3ayによって、無線受信信号Srの電流の向きと実質的に直交する方向に漏洩電流ILxが流れる。
【0033】
図7は、本実施形態に係るアンテナ共用器100の動作を示す、図2の回路基板2の第3層の断面図である。図7において、アンテナ共用器100の動作時に、配線導体63の長手方向に無線受信信号Srの電流が流れ、配線導体64の長手方向に、無線送信信号Stの電流が流れる。これに伴い、グランド導体61上の配線導体64の近傍には、図21と同様に、無線送信信号Stの電流の向きに直交する向きを有する磁界M1が発生する。一方、導体配線63とグランド導体61との間には無線受信信号Srの向き(y方向である)に実質的に直交する方向(x方向である)の軸を有する輪状導体31が設けられているので、グランド導体61上において輪状導体31の近傍では磁界M3はx成分のみを有する。このため、配線導体63と輪状導体31との間では、磁界M3は輪状導体31に流れる電流によって発生する磁界に打ち消され、配線導体63に漏洩電流ILが流れない。
【0034】
また、図8において、(a)は図2のアンテナ共用器100において、配線導体64の近傍に発生する磁界M1及びグランド電流Ig1を示す回路基板2の第3層の断面図であり、(b)は上記磁界M1及びグランド電流Ig1をx方向及びy方向にそれぞれ分解して示す断面図であり、(c)は無線送信信号Stのx成分Stxとグランド導体61に発生する磁界との関係を示す断面図である。なお、図8(a)及び図8(b)はそれぞれ、上述した図22(a)及び図22(b)と同一である。図8(c)において、無線送信信号Stのx成分Stxによってグランド導体61に発生する磁界M1b,M2b,M3b及びグランド電流Ig1b,Ig2b,Ig3bを示す。図8(c)に示すように、導体配線63とグランド導体61との間には無線受信信号Srの向き(y方向である)に実質的に直交する方向(x方向)の軸を有する輪状導体31が設けられているので、グランド導体61上において輪状導体31の近傍では磁界M3bはx成分のみを有する。このため、配線導体63と輪状導体31との間では、磁界M3bは輪状導体31に流れる電流によって発生する磁界に打ち消され、配線導体63に漏洩電流ILが流れない。
【0035】
従って、本実施形態に係るアンテナ共用器100によれば、グランド導体61と受信給電線との間に、無線受信信号Srの向きと実質的に直交する軸を有するように輪状導体31を設けたので、輪状導体31を設けない場合に比較して、無線送信信号Stによってグランド導体61に発生する磁界の向きを受信給電線の近傍において上記軸の向きに平行な方向に変化させて、受信給電線である配線導体63に漏洩電流ILが流れることを防止できる。従って、送信回路からの無線送信信号Stが受信給電線を介して受信回路に流れ込むことを防止し、送信給電線と受信給電線との間の電磁気結合による干渉を防止することができる。
【0036】
また、輪状導体31は電気的に他の導体と電気的に接続されておらず、特に、グランド導体61と接続されていないので、受信用帯域通過フィルタ200と送信用帯域通過フィルタ300とを別のグランド導体を介して接地する必要が無く、従来技術に比較して受信用帯域通過フィルタ200及び送信用帯域通過フィルタ300の基準電位を安定させることができる。このため、従来技術に比較して、受信用帯域通過フィルタ200及び送信用帯域通過フィルタ300の各特性を劣化させることなく、アイソレーション特性が改善されたアンテナ共用器100を得ることができる。
【0037】
第2の実施形態.
図9は、本発明の第2の実施形態に係るアンテナ共用器100Aを構成する圧電基板1及び回路基板2Aの斜視図である。また、図10において、(a)は図9の回路基板2Aの第1層を横切る断面図であり、(b)は図9の回路基板2Aの第2層を横切る断面図であり、(c)は図9の回路基板2Aの第3層を横切る断面図であり、(d)は図9の回路基板2Aの第4を横切る断面図であり、(e)は図9の回路基板2Aの第5層を横切る断面図である。さらに、図11は、図10の圧電基板1及び回路基板2Aを含むアンテナ共用器100AをH方向から見た透視側面図であり、図12は、本実施形態に係るアンテナ共用器100Aのアイソレーション特性を示すグラフである。
【0038】
第2の実施形態に係るアンテナ共用器100Aは、第1の実施形態に係るアンテナ共用器100に比較して、輪状導体31に加えて輪状導体32をさらに備えた回路基板2Aを備えたことを特徴としている。図9〜図11に示すように、回路基板2Aは、矩形の形状を有しかつ回路基板2A内の他の導体と電気的に接続されていない輪状導体31,32を備える。ここで、輪状導体31は、第1の実施形態と同様に、受信給電線とグランド導体61との間に設けられ、第3層及び第5層にそれぞれ形成された下辺及び上辺と、受信給電線に流れる無線受信信号Srの電流の向きに実質的に直交する軸とを有する。また、輪状導体32は、送信給電線とグランド導体61との間に設けられ、第3層及び第5層にそれぞれ形成された下辺及び上辺と、送信給電線に流れる無線送信信号Stの電流の向きに実質的に直交する軸とを有する。
【0039】
図12に示すように、本実施形態に係るアンテナ共用器100Aによれば、受信用帯域通過フィルタ200の通過帯域及び送信用帯域通過フィルタ300の通過帯域において、輪状導体31,32を備えない比較例に係るアンテナ共用器100Dに比較して、アイソレーションが改善されている。
【0040】
本実施形態に係るアンテナ共用器100Aによれば、第1の実施形態に比較して、グランド導体61と送信給電線との間に、無線送信信号Stの向きと実質的に直交する軸を有する輪状導体32をさらに設けたので、輪状導体32を設けない場合に比較して、無線受信信号Srによってグランド導体61に発生する磁界の向きを送信給電線の近傍において上記軸の向きに平行な方向に変化させて、送信給電線である配線導体64に漏洩電流が流れることを防止できる。従って、受信回路からの無線受信信号Srが送信給電線を介して受信回路に流れ込むことを防止し、送信給電線と受信給電線との間の電磁気結合による干渉を防止することができる。
【0041】
また、輪状導体31,32は電気的に他の導体と電気的に接続されておらず、特に、グランド導体61と接続されていないので、受信用帯域通過フィルタ200と送信用帯域通過フィルタ300とを別のグランド導体を介して接地する必要が無く、従来技術に比較して受信用帯域通過フィルタ200及び送信用帯域通過フィルタ300の基準電位を安定させることができる。このため、第1の実施形態に比較して、受信用帯域通過フィルタ200及び送信用帯域通過フィルタ300の各特性を劣化させることなく、アイソレーション特性が改善されたアンテナ共用器100を得ることができる。
【0042】
第3の実施形態.
図13は、本発明の第3の実施形態に係るアンテナ共用器100Bを構成する圧電基板1及び回路基板2Bの斜視図である。また、図14において、(a)は図13の回路基板2Bの第1層を横切る断面図であり、(b)は図13の回路基板2Bの第2層を横切る断面図であり、(c)は図13の回路基板2Bの第3層を横切る断面図であり、(d)は図13の回路基板2Bの第4を横切る断面図であり、(e)は図13の回路基板2Bの第5層を横切る断面図である。また、図15は、図13の圧電基板1及び回路基板2Bを含むアンテナ共用器100BをH方向から見た透視側面図であり、図16は、本実施形態に係るアンテナ共用器100Bのアイソレーション特性を示すグラフである。
【0043】
第3の実施形態に係るアンテナ共用器100Bは、第1の実施形態に係るアンテナ共用器100に比較して、輪状導体31に代えて輪状導体33を備えた回路基板2Bを備えたことを特徴としている。図13〜図15に示すように、輪状導体33は、回路基板2Bの第3層に形成された配線導体33aと、第5層に形成された配線導体33dと、配線導体33a,33dの各一端を互いに接続するように第4層に形成されたビア導体33bと、配線導体33a,33dの各他端を互いに接続するように第4層に形成されたビア導体33cとを備えて構成される。輪状導体33は、第1の実施形態の輪状導体31と同様に、矩形の形状を有しかつ回路基板2B内の他の導体と電気的に接続されていない。また、輪状導体33は、受信給電線とグランド導体61との間に、受信給電線に流れる無線受信信号Srの電流の向きに実質的に直交する軸を有するように設けられる。
【0044】
図16に示すように、本実施形態に係るアンテナ共用器100Bによれば、送信用帯域通過フィルタ300の通過帯域において、輪状導体33を備えない比較例に係るアンテナ共用器100Dに比較して、アイソレーションが改善されている。
【0045】
本実施形態に係るアンテナ共用器100Bによれば、第1の実施形態に係るアンテナ共用器100と同様に、従来技術に比較して、受信用帯域通過フィルタ200及び送信用帯域通過フィルタ300の各特性を劣化させることなく、アイソレーション特性を改善できる。
【0046】
さらに、本実施形態に係るアンテナ共用器100Bによれば、輪状導体33を導体配線33a,33d及びビア導体33b,33cによって構成したので、従来技術に係るビア導体及び配線導体の形成プロセスを用いて、第1の実施形態に係るアンテナ共用器100に比較して容易に製造できる。
【0047】
第4の実施形態.
図17は、本発明の第4の実施形態に係るアンテナ共用器100Cを構成する圧電基板1及び回路基板2Cの斜視図である。また、図18において、(a)は図17の回路基板2Cの第1層を横切る断面図であり、(b)は図17の回路基板2Cの第2層を横切る断面図であり、(c)は図17の回路基板2Cの第3層を横切る断面図であり、(d)は図17の回路基板2Cの第4を横切る断面図であり、(e)は図17の回路基板2Cの第5層を横切る断面図である。さらに、図19は、図17の圧電基板1及び回路基板2Bを含むアンテナ共用器100CをH方向から見た透視側面図である。
【0048】
第4の実施形態に係るアンテナ共用器100Cは、第1の実施形態に係るアンテナ共用器100に比較して、輪状導体31に代えて輪状導体34を備えた回路基板2Cを備えたことを特徴としている。図17〜図19に示すように、輪状導体34は、回路基板2Cの第1層に形成された配線導体34aと、第3層に形成された配線導体34dと、配線導体34a,34dの各一端を互いに接続するように第2層に形成されたビア導体34bと、配線導体34a,34dの各他端を互いに接続するように第2層に形成されたビア導体34cとを備えて構成される。輪状導体34は、第1の実施形態の輪状導体31と同様に、矩形の形状を有しかつ回路基板2C内の他の導体と電気的に接続されていない。また、輪状導体34は、受信給電線とグランド導体61との間に、受信給電線に流れる無線受信信号Srの電流の向きに実質的に直交する軸を有するように設けられる。
【0049】
本実施形態に係るアンテナ共用器100Cによれば、第1の実施形態に係るアンテナ共用器100と同様に、従来技術に比較して、受信用帯域通過フィルタ200及び送信用帯域通過フィルタ300の各特性を劣化させることなく、アイソレーション特性を改善できる。
【0050】
さらに、本実施形態に係るアンテナ共用器100Cによれば、輪状導体34を導体配線34a,34d及びビア導体34b,34cによって構成したので、従来技術に係るビア導体及び配線導体の形成プロセスを用いて、第1の実施形態に係るアンテナ共用器100に比較して容易に製造できる。
【0051】
第5の実施形態.
図20は、本発明の第5の実施形態に係る無線通信装置400の構成を示すブロック図である。無線通信装置400は、無線送信信号St及び無線受信信号Srを送受信するアンテナ401と高周波回路402を備えて構成される。さらに、高周波回路402は、第1の実施形態に係るアンテナ共用器100と、送信回路403と、受信回路404とを備えて構成される。
【0052】
図20において、アンテナ共用器100はアンテナ401によって受信された無線受信信号Srを受信用帯域通過フィルタ200を介して受信回路404に出力する。受信回路404は、入力される無線受信信号Srに対して高周波低雑音増幅、中間周波信号への周波数変換、復調などの処理を実行し、処理後のベースバンド信号を出力する。
【0053】
また、送信回路403は、所定の搬送波信号を送信信号に従って変調することにより無線送信信号Stを発生してアンテナ共用器100に出力する。アンテナ共用器100は、入力される無線送信信号Stをアンテナ401に出力して送信する。
【0054】
本実施形態に係る高周波回路402及び無線通信装置400によれば、アンテナ共用器100を備えたので、従来技術に比較して受信用帯域通過フィルタ200及び送信用帯域通過フィルタ300の各特性を劣化させることなく、アイソレーション特性を改善できる。
【0055】
なお、本実施形態において、アンテナ共用器100に代えてアンテナ共用器100A,100B又は100Cを備えてもよい。
【0056】
また、各実施形態において、受信用帯域通過フィルタ200及び送信用帯域通過フィルタ300はSAW共振子201〜208,301〜307を備えて構成されたが、本発明はこれに限らず、インダクタとキャパシタとを備えて構成されてもよい。
【0057】
さらに、各実施形態において、受信給電線とグランド導体61との間に1つの輪状導体31,33又は34を設けたが、本発明はこれに限らず、受信給電線とグランド導体61との間に複数の輪状導体を設けてもよい。この場合、各輪状導体は、無線受信信号Srの向きと実質的に直交する軸を有しかつ他の導体と接続されないように設けられる。
【0058】
またさらに、第2の実施形態において、送信給電線とグランド導体61との間に1つの輪状導体32を設けたが、本発明はこれに限らず、送信給電線とグランド導体61との間に複数の輪状導体を設けてもよい。この場合、各輪状導体は、無線送信信号Stの向きと実質的に直交する軸を有しかつ他の導体と接続されないように設けられる。
【0059】
また、第2の実施形態において、輪状導体31に代えて第3の実施形態に係る輪状導体33又は第4の実施形態に係る輪状導体34を備えてもよい。さらに、第2の実施形態において、輪状導体32に代えて第3の実施形態に係る輪状導体33又は第4の実施形態に係る輪状導体34を送信給電線とグランド導体61との間に設けてもよい。
【0060】
第1,第3,第4の各実施形態においてグランド導体61と受信給電線との間に輪状導体31,33,34をそれぞれ設け、第2の実施形態においてグランド導体61と受信給電線との間に輪状導体31を設けかつグランド導体61と送信給電線との間に輪状導体32を設けた。しかしながら、本発明はこれに限らず、グランド導体61と受信給電線との間及びグランド導体61と送信給電線との間の少なくとも一方に、少なくとも1つの輪状導体を設ければよい。例えば、第1の実施形態において、輪状導体31を設けず、グランド導体61と送信給電線との間に輪状導体33又は34と同様に構成された輪状導体又は輪状導体32を少なくとも1つ設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上詳述したように、本発明に係るアンテナ共用器、高周波回路及び無線通信装置によれば、受信用帯域通過フィルタと送信用帯域通過フィルタとは共通のグランド導体に接続されて接地され、当該グランド導体と受信給電線との間に、無線受信信号の電流の向きに実質的に直交する軸を有するように設けられた第1の輪状導体を備えたので、送信給電線と受信給電線との間の電磁気結合による干渉を防止し、従来技術に比較して、受信用帯域通過フィルタ及び送信用帯域通過フィルタの各特性を劣化させることなく、アイソレーション特性を改善できる。
【0062】
本発明に係るアンテナ共用器は、マイクロ波帯及びミリ波帯の高周波信号を受信する高周波回路及び携帯電話機などの無線通信装置のためのアンテナ共用器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ共用器100の回路図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ共用器100を構成する圧電基板1及び回路基板2の斜視図である。
【図3】(a)は図2の回路基板2の第1層を横切る断面図であり、(b)は図2の回路基板2の第2層を横切る断面図であり、(c)は図2の回路基板2の第3層を横切る断面図であり、(d)は図2の回路基板2の第4を横切る断面図であり、(e)は図2の回路基板2の第5層を横切る断面図である。
【図4】図2の圧電基板1及び回路基板2を含むアンテナ共用器100をH方向から見た透視側面図である。
【図5】図2の圧電基板1の第1の面に形成された図1のSAW共振子201の斜視図である。
【図6】図2の圧電基板1の第1の面に形成された図1のSAW共振子201〜208及び301〜307を示す平面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ共用器100の動作を示す、図2の回路基板2の第3層の断面図である。
【図8】(a)は図2のアンテナ共用器100において、配線導体64の近傍に発生する磁界M1及びグランド電流Ig1を示す回路基板2の第3層の断面図であり、(b)は上記磁界M1及びグランド電流Ig1をx方向及びy方向にそれぞれ分解して示す断面図であり、(c)は無線送信信号Stのx成分Stxとグランド導体61に発生する磁界との関係を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るアンテナ共用器100Aを構成する圧電基板1及び回路基板2Aの斜視図である。
【図10】(a)は図9の回路基板2Aの第1層を横切る断面図であり、(b)は図9の回路基板2Aの第2層を横切る断面図であり、(c)は図9の回路基板2Aの第3層を横切る断面図であり、(d)は図9の回路基板2Aの第4を横切る断面図であり、(e)は図9の回路基板2Aの第5層を横切る断面図である。
【図11】図10の圧電基板1及び回路基板2Aを含むアンテナ共用器100AをH方向から見た透視側面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るアンテナ共用器100Aのアイソレーション特性を示すグラフである。
【図13】本発明の第3の実施形態に係るアンテナ共用器100Bを構成する圧電基板1及び回路基板2Bの斜視図である。
【図14】(a)は図13の回路基板2Bの第1層を横切る断面図であり、(b)は図13の回路基板2Bの第2層を横切る断面図であり、(c)は図13の回路基板2Bの第3層を横切る断面図であり、(d)は図13の回路基板2Bの第4を横切る断面図であり、(e)は図13の回路基板2Bの第5層を横切る断面図である。
【図15】図13の圧電基板1及び回路基板2Bを含むアンテナ共用器100BをH方向から見た透視側面図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に係るアンテナ共用器100Bのアイソレーション特性を示すグラフである。
【図17】本発明の第4の実施形態に係るアンテナ共用器100Cを構成する圧電基板1及び回路基板2Cの斜視図である。
【図18】(a)は図17の回路基板2Cの第1層を横切る断面図であり、(b)は図17の回路基板2Cの第2層を横切る断面図であり、(c)は図17の回路基板2Cの第3層を横切る断面図であり、(d)は図17の回路基板2Cの第4を横切る断面図であり、(e)は図17の回路基板2Cの第5層を横切る断面図である。
【図19】図17の圧電基板1及び回路基板2Bを含むアンテナ共用器100CをH方向から見た透視側面図である。
【図20】本発明の第5の実施形態に係る無線通信装置400の構成を示すブロック図である。
【図21】比較例に係るアンテナ共用器100Dの動作を示す、回路基板2Dの第3層の断面図である。
【図22】(a)はアンテナ共用器100Dにおいて、配線導体64の近傍に発生する磁界M1及びグランド電流Ig1を示す回路基板2Dの第3層の断面図であり、(b)は上記磁界M1及びグランド電流Ig1をx方向及びy方向にそれぞれ分解して示す断面図であり、(c)は上記磁界M1のy成分M1yによって配線導体63に流れる漏洩電流のx成分ILxを示す断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1…圧電基板、
2,2A,2B,2C…回路基板、
11〜20…端子、
31〜34…輪状導体、
33a,33d…配線導体、
33b,33c…ビア導体、
34a,34d…配線導体、
34b,34c…ビア導体、
41,43〜46,48…グランド端子、
42…アンテナ接続端子、
47…受信回路接続端子、
49…送信回路接続端子、
51〜59…ビア導体、
61…グランド導体、
62〜64…配線導体、
71〜80…ビア導体、
100,100A,100B,100C…アンテナ共用器、
200…受信用帯域通過フィルタ、
201〜208…SAW共振子、
300…送信用帯域通過フィルタ、
301〜307…SAW共振子、
401…アンテナ、
402…高周波回路、
403…送信回路、
404…受信回路、
B1〜B10…半田バンプ、
Sr…無線受信信号、
St…無線送信信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナによって受信された無線受信信号に対して所定の帯域通過処理を行い、当該処理後の無線受信信号を受信給電線を介して受信回路に出力する受信用帯域通過フィルタと、
送信回路から送信給電線を介して入力される無線送信信号に対して所定の帯域通過処理を行い、当該処理後の無線受信信号を上記アンテナに出力して送信する送信用帯域通過フィルタとを備えたアンテナ共用器において、
上記受信用帯域通過フィルタと上記送信用帯域通過フィルタとは共通のグランド導体に接続されて接地され、
上記グランド導体と上記受信給電線との間に、上記無線受信信号の電流の向きに実質的に直交する軸を有するように設けられた第1の輪状導体と、上記グランド導体と上記送信給電線との間に、上記無線送信信号の電流の向きに実質的に直交する軸を有するように設けられた第2の輪状導体とのうちの少なくとも一方を備えたことを特徴とするアンテナ共用器。
【請求項2】
上記第1及び第2の輪状導体のうち、上記第1の輪状導体のみを備えたことを特徴とする請求項1記載のアンテナ共用器。
【請求項3】
上記受信用帯域通過フィルタと上記送信用帯域通過フィルタとを形成した第1の基板と、
上記送信給電線と上記受信給電線と上記グランド導体とを形成した第2の基板とを備え、
上記各輪状導体は、
上記第2の基板の表面に対して平行に形成された第1及び第2の配線導体と、
当該第1の配線導体及び第2の配線導体の各一端を互いに接続する第1のビア導体と、
当該第1の配線導体及び第2の配線導体の各他端を互いに接続する第2のビア導体とを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ共用器。
【請求項4】
上記グランド導体は上記第2の基板の所定の層に形成され、
上記第1及び第2の配線導体のうちの一方は、上記所定の層に形成されたことを特徴とする請求項3記載のアンテナ共用器。
【請求項5】
上記第1の基板は圧電基板であり、
上記受信用帯域通過フィルタ及び送信用帯域通過フィルタはそれぞれ、複数の表面弾性波共振子を備えたことを特徴とする請求項3又は4記載のアンテナ共用器。
【請求項6】
所定の搬送波信号を送信信号に従って変調することにより上記無線送信信号を発生する送信回路と、
上記無線受信信号を周波数変換して復調する受信回路と、
請求項1から5までのうちのいずれか1つの請求項記載のアンテナ共用器とを備えたことを特徴とする高周波回路。
【請求項7】
請求項6記載の高周波回路と、
上記無線送信信号及び上記無線受信信号を送受信するアンテナとを備えたことを特徴とする無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−68079(P2010−68079A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230658(P2008−230658)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】