説明

アンテナ装置

【課題】 取付位置にかかわらず内蔵されている発光手段の点灯を確認できること。
【解決手段】 透明の樹脂製とされている下ケース12は、下面のほぼ中央に4角錐状の反射凹部12bが形成されており、LED16が発光した際に、その光が反射凹部12bの各斜面で反射されて、下ケース12の各側面に形成された光放出窓12aから放出される。下ケース12には上ケース10が嵌合されて、内部に形成された収納空間にアンテナ部14が収納される。LED16はアンテナ部14の下面に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵されている発光手段が発光した際に取り付け位置によらず発光していることを確認することができるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の例えばETC(Electronic Toll Collection System)では、ETCカードがETC車載器本体に正常に読込まれた場合は、ETC車載器本体のインジケータを点灯することによりその旨を運転者に報知するようにしている。この車載器本体の設置場所は多様化しており、運転者が走行中に視認しにくい場所に設置されることが多々あり、このような場合は、走行中のインジケータの視認が困難となる。そこで、フロントガラスやダッシュボードに取り付け可能なETCアンテナにインジケータを設けることが考えられている。
【特許文献1】特開2006−157577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ETC車載器は車両に限らずオートバイにも搭載されるようになってきた。しかしながら、従来のETCアンテナにおいては、フロントガラスやダッシュボードに取り付けられるもののオートバイには取り付けることができなかった。また、オートバイに取り付けられる構造のETCアンテナもあるが、オートバイではETCアンテナを取り付ける位置が特定されていない。このことから、インジケータを内蔵させても見られる方向が特定の方向とされてインジケータの点灯を確認できにくくなることから、インジケータは内蔵されていなかった。
【0004】
そこで、本発明は、取付位置にかかわらず内蔵されている発光手段の点灯を確認することができるアンテナ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、発光手段が点灯された際に、該発光手段からの光が透明の下ケースの下面のほぼ中央に形成された多角錐状の反射凹部で反射されて光放出窓からそれぞれ外部へ放射されるようにしたことを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、発光手段が点灯された際に、該発光手段からの光が透明の下ケースの下面のほぼ中央に形成された多角錐状の反射凹部で反射されて光放出窓からそれぞれ外部へ放射されるようにしたことから、多方向から発光手段が発光したことを確認することができる。このため、アンテナ装置の取付位置にかかわらず、発光手段が発光したことを確認することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施例にかかるアンテナ装置の構成を示す平面図を図1に、本発明にかかるアンテナ装置の構成を示す正面図を図2に、本発明にかかるアンテナ装置の構成を示す側面図を図3に、本発明にかかるアンテナ装置の構成を示す背面図を図4に示す。
本発明にかかるアンテナ装置は、例えばETC(Electronic Toll Collection System)車載器用のETCアンテナとされ、ETCカードが装着されるETC車載器の送受信用アンテナとして接続されている。これらの図に示すように、本発明にかかるアンテナ装置は、アンテナケースとされる電波透過性の合成樹脂からなる上ケース10と透明の下ケース12とを備え、このアンテナケース内に後述するアンテナ部が収納されている。上ケース10および下ケース12の断面形状はほぼ矩形とされており、下ケース12の上部に上ケース10が嵌合されて内部に収納空間が形成されている。この収納空間に収納されたアンテナ部からは、送受信信号を導くケーブル11が導出されている。
【0008】
下ケース12の側面の下部のほぼ直交している3方向には光放出窓12aが設けられており、アンテナ部に設けられた発光手段が発光した際に、発光した光が光放出窓12aから放射されるようになる。この3方向に設けられた光放出窓12aに対応して、下ケース12の下面には4角錐状の反射凹部12bが形成されている。この反射凹部12bにおける4角錐の各斜面で反射された光が4方向に伝達されて、その内の3方向の光が光放出窓12aから放出されるようになる。
次に、本発明にかかるアンテナ装置1の構成をほぼ中央で切断した断面図で示す側面図を図5に示し、アンテナ装置1の構成をほぼ中央で切断した断面図で示す正面図を図6に示す。
【0009】
図5および図6の説明をするに当たって、アンテナ装置1を構成する各部品の詳細構成を説明する。まず、上ケース10の詳細構成を図10ないし図14に示す。図10は上ケース10の構成を示す平面図であり、図11は上ケース10の構成を示す正面図であり、図12は上ケース10の構成を示すA−A線で切断した断面図であり、図12は上ケース10の構成を示す背面図であり、図14は上ケース10の構成を示すB−B線で切断した断面図である。
これらの図に示す上ケース10は、合成樹脂を成形して形成されており、下面が開放された矩形状とされている。側面の一面にはケーブル引出部10aが設けられており、このケーブル引出部10aに形成されている引出孔10bからケーブル11が導出される。なお、後述するがケーブル11はパッキンで被覆されて導出され、パッキンの外周が嵌合する半リング状の2本の溝部が引出孔10bに形成されている。また、ケーブル引出部10aが設けられている側面を除く3つの側面のほぼ中央下部に矩形状の切欠部10cがそれぞれ形成されている。この切欠部10cからは、下ケース12に形成されている光放出窓12aが臨むようになる。上ケース10の内面には所定高さの壁部10eが面取りをした矩形状に形成されており、壁部10eにより囲まれた空間がアンテナ部を収納する収納部10dとされている。
【0010】
次に、下ケース12の詳細構成を図15ないし図18に示す。図15は下ケース12の構成を示す平面図であり、図16は下ケース12の構成を示す正面図であり、図17は下ケース12の構成を示す背面図であり、図18は下ケース12の構成を示すC−C線で切断した断面図である。
これらの図に示す下ケース12は、アクリル樹脂やポリカーボネイトなどの透明の樹脂を成形してほぼ矩形状に形成されている。下ケース12における本体部12hの上面のほぼ中央には矩形状の所定高さの凸部12cが形成されており、この凸部12cの側面の3方に連接する導光路12iが突出して形成されており、3本の導光路12iの先端にはそれぞれ光放出窓12aが形成されている。光放出窓12aの先端面は波形に形成されて放出される光が散乱されるようになされている。また、導光路12iおよび光放出窓12aが形成されていない側面にはケーブル11を導出する引出孔12eが形成されている。なお、ケーブル11を覆うパッキンの外周面に嵌合する半リング状の2本の溝部が引出孔12eに形成されている。
【0011】
本体部12hの上面には周側面にほぼ沿って面取りした矩形状とされたパッキンが嵌入されるリング状溝部12fが形成されており、さらに、リング状溝部12fの内側の面から立ち上がっているリング状の壁部12gが形成されている。また、本体部12hの下面のほぼ中央には4角錐状の反射凹部12bが形成されている。この反射凹部12bにおける4角錐の各斜面で光が反射され、反射された光は3方向に設けた導光路12iを伝搬していき光放出窓12aからそれぞれ放射されるようになる。また、引出孔12e方向に伝搬された光は引出孔12eの端面から放出されるようになる。さらに、本体部12hの下面の4隅にはゴム足を嵌着する孔部12dがそれぞれ形成されている。なお、下ケース12における本体部12hの外周形状は、上ケース10の内周形状とほぼ同形状とされており、上ケース10を下ケース12に嵌合することにより、下ケース12に上ケース10が固着されると共に、上ケース10の切欠部10cに3個の光放出窓12aがそれぞれ嵌入されて外部に臨むようになる。また、反射凹部12bの各斜面を凸レンズ状に膨出させて反射光を収束して導光路12iに導くようにしても良い。
【0012】
次に、下ケース12に形成されたリング状溝部12f内に嵌入されるパッキン15の詳細構成を図19ないし図21に示す。図19はパッキン15の構成を示す平面図であり、図20はパッキン15の構成を示す正面図であり、図21はパッキン15の構成を示す側面図である。
これらの図に示すパッキン15は、シリコンゴム等の弾性を有する材質で形成されており、リング部15aとケーブル保持部15bとから構成されている。リング部15aは、下ケース12における本体部12hの上面に形成されているリング状溝部12fとほぼ同形状とされており、このリング部15aに連接してほぼ円筒形のケーブル保持部15bが形成されている。ケーブル保持部15bを貫通する貫通孔15d内にはケーブル11が挿通されて保持され、ケーブル保持部15bの外周面には2本のリング状突出部15cが形成されている。このパッキン15では、リング部15aを下ケース12に形成されているリング状溝部12f内に嵌入すると共に、引出孔12eにケーブル保持部15bを嵌入する。これにより、2本のリング状突出部15cがそれぞれ引出孔12eに形成されている半リング状の2本の溝部内に嵌入されるようになる。
【0013】
次に、上ケース10と下ケース12からなるアンテナケース内に収納されるアンテナ部14の構成を図7ないし図9に示す。図7はアンテナ部14の構成を示す平面図であり、図8はアンテナ部14の構成を示す正面図であり、図9はアンテナ部14の構成を示す断面図で示す正面図である。
これらの図に示すように、アンテナ部14は放射素子とされる一対の摂動素子22aが対角に形成された方形の金属板からなるアンテナ板22と、アンテナ板22に所定間隔離隔して対面して設けられている金属板からなるアース板23と、アンテナ板22とアース板23とを所定間隔離隔して保持する所定の誘電率を有する絶縁性のスペーサ24から構成されている。送受信信号を導出するケーブル11の芯線11aはアンテナ板22の接続孔22cにハンダ付けされ、アース導体である編組線11cはアース板23の下面に突出している1対の抱持片23eで保持されると共に電気的に接続されている。
【0014】
ここで、アンテナ板22の詳細構成を図22,図23に示す。図22はアンテナ板22の構成を示す平面図であり、図23はアンテナ板22の構成を示す正面図である。
これらの図に示すように、金属板を方形に加工して形成されているアンテナ板22の対角の頂点が面取りされて一対の摂動素子22aが形成されている。また、ほぼ中央部に円形と矩形を組み合わせた取付孔22bが形成されている。さらに、この取付孔22bを挟んで両側に接続孔22cと位置決め孔22dとがそれぞれ形成されている。この接続孔22cにケーブル11の芯線11aがハンダ付けされる。
【0015】
次に、アース板23の詳細構成を図24ないし図26に示す。図24はアース板23の構成を示す平面図であり、図25はアース板23の構成を示す正面図であり、図26はアース板23の構成を示す側面図である。
これらの図に示すように、アース板23は金属板を加工してほぼ方形に加工されたアース板本体23aを備え、アース板本体23aのほぼ中央部に円形と矩形を組み合わせた挿着孔23cが形成されている。アース板本体23aの四隅は面取りされている。また、挿着孔23cの右側には挿通孔23dが形成されており、挿通孔23d側の辺との間に1対の抱持片23eが下面から突出して形成されるよう折曲されている。この1対の抱持片23eをカシメ加工することによりケーブル11の編組線11cが保持されて、ケーブル11のアースがアース板23に接続されるようになる。このケーブル11の芯線11aを被覆している絶縁体11bが挿通孔23d内を挿通して、芯線11aはアース板23に対して絶縁されるようになる。さらに、抱持片23eが形成されている辺を除く3辺から下向きに折曲された細長い折曲片23bが形成されている。
【0016】
次に、スペーサ24の詳細構成を図27ないし図29に示す。図27はスペーサ24の構成を示す平面図であり、図28はスペーサ24の構成を示す正面図であり、図29はD−D線で切断した断面図である。
これらの図に示すように、ポリアセタール等の樹脂により成形されて所定の誘電率を有するスペーサ24は中央部のスペーサ本体24aとスペーサ本体24aの右側に延伸して形成された円筒状部を先端に有する給電線保持片24dと、左側に延伸して形成されたT字状の延伸部24hとから構成されている。スペーサ本体24aのほぼ中央部には、円形の貫通孔24cが形成されており、貫通孔24cの上部において上面から上方へ延伸する断面L字状の第1L字状保持部24bが形成されていると共に、貫通孔24cの下部において下面から下方へ延伸する断面L字状の第2L字状保持部24eが形成されている。第1L字状保持部24bと第2L字状保持部24eとは、L字状の先端方向がそれぞれ外を向くように形成されている。給電線保持片24dの円筒状の先端部には挿通孔24fが形成されていると共に、円筒状の下端の外径が若干細径とされてリング状リブ24gが形成されている。また、T字状の延伸部24hの先端部の所定位置にほぼ円形の突起片24iが突出するよう形成されている。
【0017】
このような構成のスペーサ24をアース板23上に載置して第2L字状保持部24eをアース板23の挿着孔23c内に挿通し、スペーサ24を挿着孔23cにおける矩形とされている側へスライドさせる。すると、第2L字状保持部24eのL字状とした部位の下面とスペーサ本体24aの下面との間にアース板23における挿着孔23cの矩形とされている部位の周辺が挟持されると共に、給電線保持片24dにおけるリング状リブ24gがアース板23に形成されている挿通孔23d内に嵌着されるようになる。これにより、アース板23がスペーサ24に位置決めされて固着されるようになる。次いで、この状態のスペーサ24上にアンテナ板22を載置して、アンテナ板22の取付孔22b内に第1L字状保持部24bを挿通し、スペーサ24を取付孔22bにおける矩形とされている側へスライドする。すると、第1L字状保持部24bのL字状とした部位の下面とスペーサ本体24aの上面との間にアンテナ板22における取付孔22bの矩形とされている部位の周辺が挟持されると共に、延伸部24hにおける突起片24iがアンテナ板22に形成されている位置決め孔22d内に嵌着されるようになる。これにより、アース板23が固着されているスペーサ24にアンテナ板22が位置決めされて固着されるようになる。
【0018】
この組立によりアンテナ部14が組み立てられるようになり、このアンテナ部14にケーブル11を配置して、ケーブル11の絶縁体11bを絶縁性のアース板23の挿通孔23dに嵌挿された給電線保持片24dの挿通孔24f内に挿通して、芯線11aをアンテナ板22の接続孔22cに挿通する。そして、芯線11aを接続孔22cにハンダ付けしてケーブル11をアンテナ板22に電気的に接続する。この場合、芯線11aをアンテナ板22にハンダ付けする際に芯線11aが熱くなって絶縁体11bが溶けても、給電線保持片24dのリング状リブ24gの作用により芯線11aはアース板23から絶縁されるようになる。次いで、ケーブル11の編組線11cを抱持片23eをカシメ加工して保持することにより、図7ないし図9に示すアンテナ部14が構成されるようになる。
【0019】
図5および図6に戻り、下ケース12に形成されている壁部12gの上に図7ないし図9に示す構成のアンテナ部14を載置すると、アース板23の下面が壁部12gの上端面に当接すると共に、3箇所に形成されている折曲片23bの内面が壁部12gの外側面に接触するようになる。また、下ケース12のリング状溝部12f内にはパッキン15のリング部15aが嵌入されると共に、引出孔12eにケーブル保持部15bが嵌入されており、ケーブル保持部15bの貫通孔15d内にケーブル11が挿通される。この状態において、下ケース12の上から上ケース10を下ケース12のほぼ半ばまで嵌入されるように嵌合する。この嵌合した状態が図5および図6に示す状態となり、上ケース10に形成されている切欠部10cに下ケース12に形成されている光放出窓12aに嵌着される。さらに、上ケース10に形成されている壁部10eの下端がリング状溝部12fに嵌入されているパッキン15のリング部15aの上面を圧接すると共に、アンテナ部14におけるアース板23の折曲片23bの外面に壁部10eの内周面が当接するようになる。これにより、アース板23の3辺に形成されている折曲片23bが、上ケース10に形成されている壁部10eと下ケース12に形成されている壁部12gとで挟持されるようになり、アンテナ部14が収納部10dに固着されて収納されるようになる。
【0020】
また、上ケース10に形成されている引出孔10bにパッキン15のケーブル保持部15bが嵌入するようになって、ケーブル保持部15bにより上ケース10の引出孔10bと下ケース12の引出孔12eとは水密に固着されるようになる。この場合、上記したように上ケース10の壁部10eの下端がパッキン15のリング部15aの上面を圧接しているので、アンテナ部14が収納されている収納部10dは水密に保たれるようになる。このように本発明にかかるアンテナ装置1は水密構造となされている。
【0021】
ところで、アンテナ装置1から導出されたケーブル11は車内に設置されているETC車載器に接続されている。そして、図5および図6に示すようにアンテナ部14の下面には発光ダイオード(LED)16が設けられており、LED16はETC車載器にETCカードが挿入されていて、そのETCカードがETC車載器に正常に読み込まれた場合にインジケータとして点灯する。LED16が点灯すると、その光が下ケース12に形成されている矩形状の凸部12cを透過して四角錐状の反射凹部12bの各斜面で反射される。反射された光は3方向に形成されている導光路12iを伝播して上ケース10の切欠部10cから突出している3箇所の光放出窓12aの波型の端面で散乱されて放出される。また、反射されてケーブル11の引出孔12eの方向へ伝播された光は引出孔12eの端面から放出される。このように、本発明にかかるアンテナ装置1は矩形状とされたアンテナ装置1の各側面からインジケータとされるLED16の光が放出されることから、アンテナ装置1の取付方向によらずインジケータの光を確認することができる。そして、上記したようにアンテナ装置1は水密構造とされていることから、本発明にかかるアンテナ装置1はオートバイ等に最適のETCアンテナとすることができる。
【0022】
次に、本発明のアンテナ装置1における下ケース12の他の構成を図30および図31に示す。図30は他の構成とされた下ケース32の構成を断面図で示す側面図であり、図31は他の構成とされた下ケース32の構成を示す分解組立図である。
これらの図に示す下ケース32は、本体部32hと、本体部32hのほぼ中央に嵌合された反射部32cとから構成されている。本体部32hおよび反射部32cは、アクリル樹脂やポリカーボネイトなどの透明の樹脂を成形して形成されている。下ケース32における本体部32hの上面のほぼ中央には矩形状の所定深さの嵌合凹部32jが形成されており、この嵌合凹部32jに図31に示すように、嵌合凹部32jとほぼ同形状の外形を有する矩形状の反射部32cが嵌合される。反射部32cの下面には4角錐状の反射凹部32bが形成されている。この反射部32cが嵌合凹部32jに嵌合された際に、反射部32cの側面の3方に連接する導光路32iが突出して本体部32hの上面に形成されており、3本の導光路32iの先端にはそれぞれ光放出窓32aが形成されている。光放出窓32aの先端面は波形に形成されて放出される光が散乱されるようになされている。また、導光路32iおよび光放出窓32aが形成されていない側面にはケーブル11を導出する引出孔32eが形成されている。なお、ケーブル11を覆うパッキン15の外周面に嵌合する半リング状の2本の溝部が引出孔32eに形成されている。
【0023】
本体部32hの上面には矩形状とされたパッキン15が嵌入されるリング状溝部32fが形成されており、さらに、リング状溝部32fの内側の面から立ち上がっているリング状の壁部32gが形成されている。また、本体部32hの上面のほぼ中央に形成されている嵌合凹部32jに嵌合されている反射部32cにおける4角錐の反射凹部32bの各斜面で光が反射され、反射された光は3方向に設けた導光路32iを伝搬していき光放出窓32aからそれぞれ放射されるようになる。また、引出孔32e方向に伝搬された光は引出孔32eの端面から放出されるようになる。この下ケース32における本体部32hの外周形状は、上ケース10の内周形状とほぼ同形状とされており、上ケース10を下ケース32に嵌合することにより、下ケース32に上ケース10が固着されると共に、上ケース10の切欠部10cに3個の光放出窓32aがそれぞれ嵌入されて外部に臨むようになる。また、反射凹部32bの各斜面を凸レンズ状に膨出させて反射光を収束して導光路32iに導くようにしても良い。
【0024】
このように、下ケース32を本体部32hと、そのほぼ中央に嵌合された反射凹部32bを有する反射部32cとから構成することにより、4角錐状の反射凹部32bが閉空間で形成されるようになって、アンテナ装置1に雨水等がかかっても反射凹部32b内に雨水が浸入しないようになる。前記した下ケース12においては反射凹部12bが露出しているため雨水が反射凹部12bの斜面に付着することがあるが、反射凹部12bの斜面に雨水が付着すると反射効率が低下する。しかし、下ケース32においては閉空間とされた反射凹部32bの斜面に雨水が付着することを防止することができることから、アンテナ装置1に雨水等がかかっても反射凹部32bの反射効率は低下することなく光放出窓32aから放出される光を確実に視認することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上説明した本発明にかかるアンテナ装置において、下ケースが有する反射凹部の形状は4角錐に限らず、多角錐とすることができる。この場合、多角錐の各斜面に対応して複数の導光路と、導光路の先端に光放出窓が形成される。また、本発明にかかるアンテナ装置はETCアンテナに限ることはなく、オートバイや車両等に搭載するGPSやVICSのアンテナに適用することができる。
また、下ケースが有している多角錐状の反射凹部の斜面に金属メッキ等を施すことにより、反射凹部の斜面に汚れや雨水が付着しても反射凹部の斜面の反射効率が低下することを防止できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の構成を示す正面図である。
【図3】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の構成を示す側面図である。
【図4】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の構成を示す背面図である。
【図5】本発明にかかるアンテナ装置の構成をほぼ中央で切断した断面図で示す側面図である。
【図6】本発明にかかるアンテナ装置の構成をほぼ中央で切断した断面図で示す正面図である。
【図7】本発明のアンテナ装置におけるアンテナ部の構成を示す平面図である。
【図8】本発明のアンテナ装置におけるアンテナ部の構成を示す正面図である。
【図9】本発明のアンテナ装置におけるアンテナ部の構成を断面図で示す正面図である。
【図10】本発明のアンテナ装置における上ケースの構成を示す平面図である。
【図11】本発明のアンテナ装置における上ケースの構成を示す正面図である。
【図12】本発明のアンテナ装置における上ケースの構成を示すA−A線で切断した断面図である。
【図13】本発明のアンテナ装置における上ケースの構成を示す背面図である。
【図14】本発明のアンテナ装置における上ケースの構成を示すB−B線で切断した断面図である。
【図15】本発明のアンテナ装置における下ケースの構成を示す平面図である。
【図16】本発明のアンテナ装置における下ケースの構成を示す正面図である。
【図17】本発明のアンテナ装置における下ケースの構成を示す背面図である。
【図18】本発明のアンテナ装置における下ケースの構成を示すC−C線で切断した断面図である。
【図19】本発明のアンテナ装置におけるパッキンの構成を示す平面図である。
【図20】本発明のアンテナ装置におけるパッキンの構成を示す正面図である。
【図21】本発明のアンテナ装置におけるパッキンの構成を示す側面図である。
【図22】本発明のアンテナ装置におけるアンテナ板の構成を示す平面図である。
【図23】本発明のアンテナ装置におけるアンテナ板の構成を示す正面図である。
【図24】本発明のアンテナ装置におけるアース板の構成を示す平面図である。
【図25】本発明のアンテナ装置におけるアース板の構成を示す正面図である。
【図26】本発明のアンテナ装置におけるアース板の構成を示す側面図である。
【図27】本発明のアンテナ装置におけるスペーサの構成を示す平面図である。
【図28】本発明のアンテナ装置におけるスペーサの構成を示す正面図である。
【図29】本発明のアンテナ装置におけるスペーサの構成を示すD−D線で切断した断面図である。
【図30】本発明のアンテナ装置における下ケースの他の構成例を断面図で示す側面図である。
【図31】本発明のアンテナ装置における下ケースの他の構成を示す分解組立図である。
【符号の説明】
【0027】
1 アンテナ装置、10 上ケース、10a ケーブル引出部、10b 引出孔、10c 切欠部、10d 収納部、10e 壁部、11 ケーブル、11a 芯線、11b 絶縁体、11c 編組線、12 下ケース、12a 光放出窓、12b 反射凹部、12c 凸部、12d 孔部、12e 引出孔、12f リング状溝部、12g 壁部、12h 本体部、12i 導光路、14 アンテナ部、15 パッキン、15a リング部、15b ケーブル保持部、15c リング状突出部、15d 貫通孔、22 アンテナ板、22a 摂動素子、22b 取付孔、22c 接続孔、22d 位置決め孔、23 アース板、23a アース板本体、23b 折曲片、23c 挿着孔、23d 挿通孔、23e 抱持片、24 スペーサ、24a スペーサ本体、24b 第1L字状保持部、24c 貫通孔、24d 給電線保持片、24e 第2L字状保持部、24f 挿通孔、24g リング状リブ、24h 延伸部、24i 突起片、32 下ケース、32a 光放出窓、32b 反射凹部、32c 反射部、32e 引出孔、32f リング状溝部、32g 壁部、32h 本体部、32i 導光路、32j 嵌合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ矩形状とされ、下面のほぼ中央に多角錐状の反射凹部が形成されており、前記多角錐状の反射凹部に対応する側面の複数箇所に光放出窓がそれぞれ形成されている透明の樹脂製とされている下ケースと、
該下ケースの上部に嵌合されて内部に収納空間を形成する上ケースと、
該上ケースと前記下ケースとにより形成された収納空間に収納され、下面に発光手段が設けられているアンテナ部とを備え、
前記発光手段が点灯された際に、該発光手段からの光が前記反射凹部で反射されて前記光放出窓からそれぞれ外部へ放出されるようにしたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記下ケースの前記反射凹部に対応する上面の箇所に突部が形成されていると共に、前記光放出窓に光を導く導光路が前記突部に連接されてそれぞれ突出するよう形成されていることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナ部は、カードが装着可能な外部の処理装置の送受信アンテナとされており、前記処理装置に正常に前記カードが装着されている際に、前記発光手段が発光するようにされていることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記アンテナ部は、摂動素子が形成されている平板状のアンテナ板と、該アンテナ板と所定の間隙を持って対向して配置される平板状のアース板と、前記アンテナ素子と前記アース板との間に配置される所定の誘電率を有するスペーサとからなるパッチアンテナであって、
前記アンテナ板には取付孔が形成されていると共に前記アース板には挿着孔が形成されており、前記スペーサの一面から突出して形成されている第1L字状保持部が前記取付孔の周囲を挟持することにより、前記アンテナ板が前記スペーサに固着され、前記スペーサの他面から突出して形成されている第2L字状保持部が前記挿着孔の周囲を挟持することにより、前記アース板が前記スペーサに固着されていることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記下ケースは、ほぼ矩形状とされ上面のほぼ中央に嵌合凹部が形成されている本体部と、下面に多角錐状の反射凹部が形成され前記本体部の前記嵌合凹部に嵌合されている反射部とにより構成されていることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2009−44477(P2009−44477A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207490(P2007−207490)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000227892)日本アンテナ株式会社 (176)
【Fターム(参考)】