説明

アンモニアガスコンプレッサ用転がり軸受

【課題】アンモニアガスに晒されても性能低下がほとんど無く信頼性が高いアンモニアガスコンプレッサ用転がり軸受を提供する。
【解決手段】単列円筒ころ軸受は、外周面に軌道面を有する内輪1と、内輪1の軌道面に対向する軌道面を内周面に有する外輪2と、これらの軌道面間に転動自在に配された複数の転動体3と、これらの軌道面間に転動体3を保持する保持器4と、を備えている。保持器4は、ポリエーテルエーテルケトンとガラス繊維とを含有する樹脂組成物で構成されており、ガラス繊維の含有量は樹脂組成物の20質量%以上40質量%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアガスを冷媒として使用するコンプレッサに組み込まれる転がり軸受(以降においては、アンモニアガスコンプレッサ用転がり軸受と記すこともある)に関する。
【背景技術】
【0002】
空調機や冷凍機に使用されるコンプレッサにおいては、環境に配慮して、自然冷媒への切り替えが進んでいる。自然冷媒の一つであるアンモニアガスは、オゾン破壊係数と地球温暖化係数とがいずれもゼロと、環境に極めて優しい。よって、アンモニアガスコンプレッサの用途は、業務用大型冷凍冷蔵システム,高効率ヒートポンプチラー等にも広まりつつある。
【0003】
コンプレッサに組み込まれる転がり軸受の種類は、主に円筒ころ軸受とアンギュラ玉軸受であるが、コンプレッサの実使用温度の上限である80℃を考慮して、転がり軸受にはガラス繊維を強化繊維材として含有するポリアミド66樹脂組成物からなる保持器が組み込まれている場合が多い。
しかしながら、ポリアミド66は、一般のコンプレッサの冷媒として用いられる代替フロン等によって化学的に劣化することはないが、アンモニアによって分子構造中に存在するアミド結合が侵され分子が切断されるため、強度低下が発生するおそれがあった。
【0004】
そこで、アンモニアガスコンプレッサ用転がり軸受に組み込まれる保持器の材料には、アンモニアに対して優れた耐性を有する直鎖状ポリフェニレンサルファイドが採用されていた。すなわち、直鎖状ポリフェニレンサルファイドにガラス繊維を強化繊維材として含有させた樹脂組成物で、保持器が構成されていた。このガラス繊維は、断面形状が円形且つ平均繊維径が13μmの一般的なガラス繊維である。
【特許文献1】特開2002−242940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、直鎖状ポリフェニレンサルファイドはポリアミド66に比べて靱性が低いので、転がり軸受の組み立て時のポケットに転動体を圧入する際に、圧入しにくかったり保持器に割れが生じたりするという問題点があった。そのため、ポリアミド66の場合はガラス繊維の含有量は一般的に25質量%であるが、直鎖状ポリフェニレンサルファイドの場合は若干低い20質量%とし、樹脂組成物の引張伸びを2.3%以上として靱性を確保していた。
【0006】
ところが、ガラス繊維の含有量が低いため、ポリアミド66樹脂組成物からなる保持器と比べると、機械的強度が若干低かった。そのため、直鎖状ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物からなる保持器が組み込まれた転がり軸受は、ポリアミド66樹脂組成物からなる保持器が組み込まれた転がり軸受と比べて信頼性が若干低く、信頼性の向上が望まれていた。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、アンモニアガスに晒されても性能低下がほとんど無く信頼性が高いアンモニアガスコンプレッサ用転がり軸受を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1のアンモニアガスコンプレッサ用転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪及び前記外輪の間に前記転動体を保持する保持器と、を備え、アンモニアガスを冷媒として使用するコンプレッサに組み込まれる転がり軸受において、前記保持器は、ポリエーテルエーテルケトンとガラス繊維とを含有する樹脂組成物で構成されており、前記ガラス繊維の含有量は前記樹脂組成物の20質量%以上40質量%以下であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る請求項2のアンモニアガスコンプレッサ用転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪及び前記外輪の間に前記転動体を保持する保持器と、を備え、アンモニアガスを冷媒として使用するコンプレッサに組み込まれる転がり軸受において、前記保持器は、直鎖状ポリフェニレンサルファイドとガラス繊維とを含有する樹脂組成物で構成されており、前記ガラス繊維は断面形状が円形且つ平均繊維径が6μm以上8μm以下のもの又は異形断面を有するものであり、前記ガラス繊維の含有量は前記樹脂組成物の15質量%以上30質量%以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアンモニアガスコンプレッサ用転がり軸受は、アンモニアガスに晒されても性能低下がほとんど無く信頼性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係るアンモニアガスコンプレッサ用転がり軸受の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係るアンモニアガスコンプレッサ用転がり軸受の一実施形態である単列円筒ころ軸受の構造を示す部分縦断面図である。また、図2は、図1の円筒ころ軸受に組み込まれた保持器の斜視図である。
図1の単列円筒ころ軸受は、外周面に軌道面を有する内輪1と、内輪1の軌道面に対向する軌道面を内周面に有する外輪2と、これらの軌道面間に転動自在に配された複数の転動体(円筒ころ)3と、これらの軌道面間に転動体3を保持する保持器4と、を備えている。
【0011】
保持器4は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又は直鎖状ポリフェニレンサルファイド(L−PPS)とガラス繊維とを含有する樹脂組成物で構成されている。ポリエーテルエーテルケトン及び直鎖状ポリフェニレンサルファイドは、アンモニアに対する耐性を有しているので、アンモニアガスに晒されても保持器4に強度低下が生じるおそれはほとんどない。また、ポリエーテルエーテルケトン及び直鎖状ポリフェニレンサルファイドは、優れた耐熱性を有しているので、コンプレッサの実使用温度の上限である80℃で使用されたとしても問題ない。さらに、ポリエーテルエーテルケトン及び直鎖状ポリフェニレンサルファイドは熱可塑性樹脂であるので、保持器4を射出成形法で製造することができる。
【0012】
この樹脂組成物に使用するガラス繊維の種類及び含有量は、熱可塑性樹脂の種類によって異なる。まず、ポリエーテルエーテルケトンの場合について説明する。ポリエーテルエーテルケトンは、直鎖状ポリフェニレンサルファイドよりも高靱性,高強度であるので、一般的な保持器材料であるポリアミド66樹脂組成物の場合と同程度の量(25質量%)のガラス繊維を含有させても、樹脂組成物の引張伸びは十分なレベル(2.3%以上)となる。よって、保持器のポケットに転動体を圧入する際に、圧入しにくかったり保持器に割れが生じることはほとんどない。
【0013】
保持器のポケットに転動体を圧入する際の保持器の破損を防止するとともに、ガラス繊維の含有量が25質量%であるポリアミド66樹脂組成物の引張強度(155〜165MPa)と同等以上の引張強度とするためには、ガラス繊維の含有量を樹脂組成物の20質量%以上40質量%以下とする必要がある。ガラス繊維の含有量が20質量%未満であると、引張強度を前述したポリアミド66樹脂組成物の引張強度と同等以上とすることが困難となるおそれがある。一方、40質量%超過であると、引張強度は高くなるものの、引張伸びが不十分(2.3%未満)となるおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、ガラス繊維の含有量は、樹脂組成物の25質量%以上35質量%以下とすることがより好ましい。
【0014】
次に、ポリエーテルエーテルケトン樹脂組成物に使用するガラス繊維について説明する。ガラス繊維の種類は特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂の強化繊維材として一般的に使用されている通常のガラス繊維を問題なく使用することができる。例えば、断面形状が円形且つ平均繊維径が10μm以上13μm以下のもので、樹脂との接着性を考慮して、カップリング剤(例えばシランカップリング剤)で表面処理されているものである。ただし、より少量の含有量で十分な引張強度を得るとともに十分な引張伸びを確保するためには、断面形状が円形且つ平均繊維径が6μm以上8μm以下のものや、異形断面を有するものがより好ましい。これらの特殊なガラス繊維を用いれば、前述の一般的なガラス繊維を同量用いた場合と比べて、樹脂組成物の引張強度を10〜20%向上させることができる。
【0015】
前者の細いガラス繊維は、前記一般的なガラス繊維と比べると、樹脂中に同一の質量比で含有させた場合に、樹脂の極性部分(例えばエーテル結合)に作用するガラス繊維の本数が多くなる。よって、樹脂組成物の引張強度,衝撃強度等の機械的強度が高くなる。また、含有されるガラス繊維の本数が多くなることによって、ガラス繊維全体の表面積が大きくなるので、それに伴ってガラス繊維の表面に吸着しているカップリング剤の量も増加し、樹脂の極性部分への作用点も増える。
【0016】
また、後者の異形断面のガラス繊維としては、断面形状が繭形又は長円形で、異形比(横と縦の比)が1.5以上5以下のものがあげられる。異形比が1.5未満であると、機械的強度を向上させる作用が低くなり、5超過であると、扁平形状が大きすぎてガラス繊維を安定して製造することが困難となる。このような不都合がより生じにくくするためには、異形比が2以上4以下のものがより好ましい。
【0017】
異形断面のガラス繊維の短径は、5μm以上12μm以下であることが好ましい。短径が5μm未満であると、製造時に破損する場合が多く、低コストで安定した品質を有するガラス繊維を製造することが難しくなるおそれがある。一方、短径が12μm超過であると、異形断面を考えると径が太すぎて、成形品中でガラス繊維の分散不良が発生するおそれがある。
【0018】
異形断面を有するガラス繊維は、繊維一本一本の強度が強いので、樹脂組成物の成形時に破損しにくい。そのため、断面形状が円形のガラス繊維に比べて、成形後のガラス繊維の長さが長くなる。それにより、樹脂中に同一の質量比で含有させた場合に、引張強さ,衝撃強度等の機械的強度が高くなる。また、異形断面を有することにより、ガラス繊維の長手方向の補強効果に加えて、長手方向と直交する方向の補強効果も若干得られるため、成形品の異方性が低下する。それにより、ガラス繊維の配向による引張強度,寸法変化のバラツキが小さくなるため、均一な物性を要求される保持器の材料として最適である。そして、保持器の内外径の真円度が向上するとともに、表面にヒケが生じにくくなる。さらに、異形断面を有するガラス繊維は、断面が扁平形状であるため、成形品の表面で荷重を受ける確率が高くなり、保持器が部分的に高面圧になるような用途で使用されても摩耗が発生しにくい。
【0019】
次に、直鎖状ポリフェニレンサルファイドの場合について説明する。直鎖状ポリフェニレンサルファイドは、ポリアミド66に比べて靱性が低いので、保持器のポケットに転動体を圧入する際に保持器の破損が生じにくいような引張伸び(2.3%以上)を確保しつつ、ガラス繊維の含有量が25質量%であるポリアミド66樹脂組成物の引張強度(155〜165MPa)と同等以上の引張強度とするためには、前述の断面形状が円形且つ平均繊維径が6μm以上8μm以下のガラス繊維や、異形断面を有するガラス繊維を用いる必要がある。
【0020】
そして、直鎖状ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物中のガラス繊維の含有量は、樹脂組成物の15質量%以上30質量%以下とする必要がある。ガラス繊維の含有量が15質量%未満であると、引張強度を前述したポリアミド66樹脂組成物の引張強度と同等以上とすることが困難となるおそれがある。一方、30質量%超過であると、引張強度は高くなるものの、引張伸びが不十分(2.3%未満)となるおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、ガラス繊維の含有量は、樹脂組成物の15質量%以上25質量%以下とすることがより好ましい。
【0021】
ポリエーテルエーテルケトン樹脂組成物及び直鎖状ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物に使用するガラス繊維は、これらの熱可塑性樹脂との接着性を向上させるために、カップリング剤で表面処理されていることが好ましい。カップリング剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、片末端にエポキシ基,アミノ基等の官能基を有するシランカップリング剤や、エポキシ樹脂,ウレタン樹脂を主成分とするサイジング剤があげられる。このようなカップリング剤によりガラス繊維と熱可塑性樹脂との接着性が向上するため、ガラス繊維の補強効果が向上する。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、強化繊維材としてガラス繊維を使用したが、ガラス繊維の一部を、チタン酸カリウムウィスカー等のウィスカー状物や炭素繊維に置き換えてもよい。また、樹脂組成物に着色剤等を添加してもよい。
【0022】
さらに、本実施形態においては、アンモニアガスコンプレッサ用転がり軸受の例として単列の円筒ころ軸受をあげて説明したが、複列の円筒ころ軸受にも本発明を適用可能であることは勿論である。さらに、本発明は、円筒ころ軸受以外の他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、深溝玉軸受,図3に示すようなアンギュラ玉軸受(図4は、アンギュラ玉軸受に組み込まれた保持器の斜視図である),自動調心玉軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
【0023】
〔実施例〕
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。熱可塑性樹脂とガラス繊維とからなる樹脂組成物(組成は表1を参照)を射出成形して、ASTM D638に規定された引張試験片を製造した。
【0024】
【表1】

【0025】
ここで、実施例1〜4及び比較例1,2の樹脂組成物に使用した熱可塑性樹脂及びガラス繊維について説明する。実施例1の直鎖状ポリフェニレンサルファイドは、クレハ株式会社製のフォートロンKPS T2020に使用されているベース樹脂であり、熱安定剤は含まれていない。また、実施例1のガラス繊維は、日本電気硝子株式会社製のT−790DEであり、断面形状が円形で平均繊維径が6.5μmのものである。そして、このガラス繊維には、アミノ系シランカップリング剤による表面処理とエポキシ系サイジング剤による表面処理とが施されている。
【0026】
実施例2の直鎖状ポリフェニレンサルファイドは、実施例1の場合と同様である。また、実施例2のガラス繊維は、日東紡績株式会社製のCSG3PA−820であり、断面形状が長円形で短径7μm、異形比4のものである。そして、このガラス繊維には、アミノ系シランカップリング剤による表面処理とウレタン系サイジング剤による表面処理とが施されている。
実施例3の樹脂組成物はビクトレックス・エムシー社製のPEEK450GL30であり、熱安定剤は含まれていない。この樹脂組成物に使用されているガラス繊維は、断面形状が円形で平均繊維径が13μmのものである。そして、このガラス繊維には、アミノ系シランカップリング剤による表面処理とウレタン系サイジング剤による表面処理とが施されている。
【0027】
実施例4のポリエーテルエーテルケトンは、ビクトレックス・エムシー社製のPEEK450Gであり、熱安定剤は含まれていない。また、実施例4のガラス繊維は、実施例2の場合と同様である。
比較例1の樹脂組成物は宇部興産株式会社製のUBEナイロン2020GU550であり、銅系の熱安定剤が含まれている。この樹脂組成物に使用されているガラス繊維は、断面形状が円形で平均繊維径が10μmのものである。そして、このガラス繊維には、アミノ系シランカップリング剤による表面処理とウレタン系サイジング剤による表面処理とが施されている。
【0028】
比較例2の樹脂組成物はクレハ株式会社製のフォートロンKPS T2020であり、熱安定剤は含まれていない。この樹脂組成物に使用されているガラス繊維は、断面形状が円形で平均繊維径が13μmのものである。そして、このガラス繊維には、アミノ系シランカップリング剤による表面処理とエポキシ系サイジング剤による表面処理とが施されている。
これらの樹脂組成物からなる引張試験片について引張試験を行い、引張強度及び引張伸びを測定した。さらに、引張試験片を130℃のアンモニアガス中に800時間放置する処理を行った後に、同様に引張試験を行って引張強度を測定した。初期の引張強度及び引張伸び並びに前記処理後の引張強度を、表1に併せて示す。
【0029】
比較例1はポリアミド66樹脂組成物であるので、アンモニアガス中への放置によって引張強度が大幅に低下した。これに対して、実施例1〜4はアンモニアに対して優れた耐性を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂組成物及び直鎖状ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物であるので、アンモニアガス中への放置による引張強度の低下は僅かであった。
【0030】
また、実施例1,2は、一般的な保持器材料である比較例1のポリアミド66樹脂組成物よりもガラス繊維の含有量が少ないが、異形断面のガラス繊維や平均繊維径の小さいガラス繊維を使用したことで高強度化が図られているため、比較例1よりも引張強度が高かった。
さらに、実施例3は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂組成物であるため、通常のガラス繊維を使用しても比較例1と同等の引張強度を有しており、実施例4のように異形断面のガラス繊維を使用することにより、さらに高強度化が図られている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るアンモニアガスコンプレッサ用転がり軸受の一実施形態である単列円筒ころ軸受の構造を示す部分縦断面図である。
【図2】図1の円筒ころ軸受に組み込まれた保持器の斜視図である。
【図3】本発明に係るアンモニアガスコンプレッサ用転がり軸受の別の実施形態であるアンギュラ玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。
【図4】図3のアンギュラ玉軸受に組み込まれた保持器の斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 内輪
2 外輪
3 転動体
4 保持器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪及び前記外輪の間に前記転動体を保持する保持器と、を備え、アンモニアガスを冷媒として使用するコンプレッサに組み込まれる転がり軸受において、
前記保持器は、ポリエーテルエーテルケトンとガラス繊維とを含有する樹脂組成物で構成されており、前記ガラス繊維の含有量は前記樹脂組成物の20質量%以上40質量%以下であることを特徴とするアンモニアガスコンプレッサ用転がり軸受。
【請求項2】
内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪及び前記外輪の間に前記転動体を保持する保持器と、を備え、アンモニアガスを冷媒として使用するコンプレッサに組み込まれる転がり軸受において、
前記保持器は、直鎖状ポリフェニレンサルファイドとガラス繊維とを含有する樹脂組成物で構成されており、前記ガラス繊維は断面形状が円形且つ平均繊維径が6μm以上8μm以下のもの又は異形断面を有するものであり、前記ガラス繊維の含有量は前記樹脂組成物の15質量%以上30質量%以下であることを特徴とするアンモニアガスコンプレッサ用転がり軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−97645(P2009−97645A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270563(P2007−270563)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】