イエロートナー
【課題】帯電安定性、現像性が向上し、多数枚のプリントアウトを行っても安定した現像性、転写性を維持できるイエロートナーを提供すること。
【解決手段】結着樹脂、離型剤、極性樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と無機微粉体とを有するイエロートナーであって、前記着色剤としてC.I.Pigment Yellow 74を含有し、前記イエロートナーに対する微小圧縮試験において、復元率Z(25)が、40%以上80%以下の関係を満足し、前記イエロートナーにおける周波数100kHzで測定した温度30℃での誘電正接αが0.0010以上0.0030以下を満足することを特徴とする。
【解決手段】結着樹脂、離型剤、極性樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と無機微粉体とを有するイエロートナーであって、前記着色剤としてC.I.Pigment Yellow 74を含有し、前記イエロートナーに対する微小圧縮試験において、復元率Z(25)が、40%以上80%以下の関係を満足し、前記イエロートナーにおける周波数100kHzで測定した温度30℃での誘電正接αが0.0010以上0.0030以下を満足することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、及びトナージェット法の如き記録方法に用いられるイエロートナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真法は、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成後、前記潜像をトナーにより現像してトナー画像を形成し、紙の如き記録材(転写材)にトナー画像を転写させ、熱・圧力により記録材上にトナー画像を定着してプリント又は複写物を得るものである。
【0003】
近年、コンピュータ及びマルチメディアの発達により、オフィスから家庭まで幅広い分野で、更なる高速化や高精細フルカラー画像を出力する手段が要望されている。ヘビーユーザーには、多数枚の複写又はプリントを高速で行っても画質低下のない高耐久性を要求されている。一方で、スモールオフィスや家庭では、高画質な画像を得ると共に、様々な環境下での高耐久性が要望されている。しかし、高速化によってトナーへの負荷は大きくなり、トナー粒子の劣化により現像性や転写性の低下が発生しやすい。
【0004】
またカラー画像は、一般にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを適宜重ねて現像することにより形成されるため、各色のトナーには単色のときよりも高い現像特性が求められる。即ち、静電荷像を忠実に現像することができ、飛び散ることなく転写材に確実に転写され、容易に紙の如き転写材に定着されるトナーが求められている。
【0005】
一方、デジタルフルカラー複写機やプリンターにおいては、まず、色画像原稿をB(ブルー)、G(グリーン)、R(レッド)の各色フィルターで色分解する。その後、オリジナル画像に対応した20μm乃至70μmのドット径からなる潜像をY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各色現像剤を用い現像する。そのため、各色の現像剤中の着色剤が画質に大きな影響を与えることになる。
【0006】
塗料分野においてイエロー着色剤は、人間の感度に対し他色と同等の印象を与えるために、高隠蔽性、高着色力が求められ、一次粒子径の大きい着色剤が多く用いられてきた。一方、トナー分野においては、トナー中に添加される着色剤の重要な要素として、着色力のみならず、透明性が良好であること等が挙げられている。そのため、塗料分野で好んで用いられる一次粒子径の大きい着色剤は、これらの要素を同時に満たすことが難しく、これまでに様々な検討がなされてきている。
【0007】
イエロートナーにおいて透明性が良好であるためには、着色剤自体の一次粒子径が小さいこと、また、トナー中での着色剤平均粒子径が小さいことが重要である。しかしながら、着色剤の一次粒子径が小さいと、着色剤自体がトナー中で凝集してしまうといった弊害が起こりやすく、その場合、現像性の悪化や、トナーの光透過性の悪化によりOHP(オーバーヘッドプロジェクタ)透明性が悪くなる。こういった問題を解決するために、トナー中での着色剤の凝集を抑制し均一に分散させる工夫がなされてきた。
【0008】
一般的に粒子径の小さい着色剤粒子を含有するトナーは、着色力が低下しがちである。しかし特許文献1によると、カラーインデックスにおいてC.I.ピグメントイエロー74で示される顔料は、一次粒子径は小さいが強力な着色力を持つ。トナー粒子中の顔料の分散状態を良好なものとし、且つ、良好な透明性と共に十分な着色力を有することで、透明性及び着色力について優れたトナーが得られることが提案されている。しかしながら、この顔料を用いた場合、透明性を十分に満足させるトナーを得るには乳化凝集法によるトナーの製造方法のみに限定され、透明性、着色力及び現像性において優れた顔料を使いこなすまでに至っていない。
【0009】
また、トナー粒子の耐久性を向上させるためには、トナー1粒単位の耐久性を議論することが必要となり、トナー1粒単位の硬度(微小圧縮硬度)が有効な指標となる。トナー1粒単位の硬度(微小圧縮硬度)は、トナーの変形度合い(弾性・塑性)を示す。従って、接触転写のように圧がかかりトナーが変形し得る転写工程においては、トナーの微小圧縮硬度は、耐久性に加え、転写性に対しても有効な指標となり得る。
【0010】
例えば、微小圧縮試験の荷重−変位曲線が変曲点を有し、且つ、その変曲点の荷重が現像装置内で受ける負荷よりも大きいトナーを用いることにより、耐久性に優れ、定着工程では簡単に圧裂することで定着性を満足することが開示されている(特許文献2)。しかしながら、これらのトナーは、現像装置内の温度変化が起きた場合、装置内で受ける負荷によるトナーの耐久性が損なわれ、帯電特性が悪化する可能性がある。
【0011】
また、電子写真法を用いた複写装置やプリンターはより高速化、高画質化が求められ、装置のプロセススピードは加速する一方であるが、トナーへの負荷は大きくなり、トナー粒子の劣化による帯電性の低下により、現像性や転写性の低下が発生しやすい。そのため各環境で高精細なカラー画像を得るには、高帯電性を得ることが必要であり、トナーの誘電正接の値が重要となってくる。
【0012】
特許文献3にはブラックトナーとカラートナーの誘電正接を特定の範囲に規定することで現像性や転写性に優れたトナーを得ることが開示されている。確かに周波数100kHzにおけるトナーの誘電正接を規定することで、現像性や転写性は良好になる。しかし、より高速域でプリントアウトを行った場合、耐久性が悪化する傾向があり、更なるプリントアウトの高速化における現像性と転写性、耐久性向上に対応していくためには未だ不十分であり、更なる改善が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−228653号公報
【特許文献2】特開2005−300937号公報
【特許文献3】特開2006−078610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、帯電安定性、現像性が向上し、多数枚のプリントアウトを行っても安定した現像性、転写性を維持できるイエロートナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、結着樹脂、離型剤、極性樹脂及び着色剤を少なくとも含有するイエロートナー粒子と無機微粉体とを有するイエロートナーであって、
前記着色剤としてC.I.Pigment Yellow 74を含有し、
前記イエロートナーに対する微小圧縮試験において、測定温度25℃で、前記トナー1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで2.94×10-4Nの最大荷重をトナーにかけ終えたときに得られる変位量(μm)を変位量X1、前記最大荷重をかけ終えた後、前記最大荷重で0.1秒間放置して得られる変位量(μm)を最大変位量X2、前記0.1秒間放置後、除荷速度9.8×10-5N/secで除荷し、荷重が0となったときに得られる変位量(μm)を変位量X3、前記最大変位量X2と変位量X3との差を弾性変位量(X2−X3)とし、前記弾性変位量(X2−X3)の前記最大変位量X2に対する百分率[{(X2−X3)/X2}×100:復元率]をZ(25)(%)としたときに、Z(25)は、40%以上80%以下の関係を満足し、
前記トナーにおける周波数100kHzで測定した温度30℃での誘電正接tanδをαとしたときαは0.0010以上0.0030以下を満足することを特徴とするイエロートナーに関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、トナーに対する微小圧縮試験において、特定の荷重−変位曲線を有することで耐久性が向上し、周波数100kHzで測定したtanδの値が特定の範囲を有することで帯電性が向上する。これにより高速で多数枚のプリントアウトを行っても安定して高精細及び高画質の画像を出力し続けられる、高耐久性を有するイエロートナーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】トナー微小圧縮試験における荷重−変位曲線である。
【図2】トナーの誘電正接測定における温度−誘電正接曲線である。
【図3】本発明における超音波発振装置の一実施形態の拡大断面図である。
【図4】本発明における超音波発振装置の一実施形態のシステム図である。
【図5】本発明における超音波発振装置の一実施形態のシステム図である。
【図6】本発明における超音波発振装置の一実施形態の拡大断面図である。
【図7】本発明における超音波発振装置の一実施形態のシステム図である。
【図8】本発明における超音波発振装置の一実施形態のシステム図である。
【図9】本発明における高速回転する攪拌羽根と逆方向に高速回転するスクリーンを具備した攪拌装置の一実施形態の断面図である。
【図10】図9の拡大図である。
【図11】本発明における図9の攪拌装置を循環経路の中に組み込んだ一実施形態のシステム図である。
【図12】本発明における回転子、固定子を具備する分散装置と冷却手段とホールディングタンクと循環ポンプを使用した一実施形態のシステム図である。
【図13】図12の分散装置の断面図である。
【図14】図12中のA−A’線に沿うケーシング内の断面図である。
【図15】図12中のB−B’線に沿うケーシング内の断面図である。
【図16】分散装置における回転子の斜視図である。
【図17】分散装置における固定子の斜視図である。
【図18】本発明に係わるプロセスカートリッジの断面説明図である。
【図19】本発明の画像形成方法を実施する装置の一例の概略構成図である。
【図20】本発明における実施例39で用いた分散装置の一部断面図である。
【図21】図20の分散装置の要部略断面図である。
【図22】図20の分散装置の要部略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は結着樹脂、離型剤、極性樹脂及び着色剤を少なくとも含有するイエロートナー粒子と無機微粉体とを有するイエロートナーであって、前記着色剤としてC.I.Pigment Yellow 74を含有し、前記トナーに対する微小圧縮試験において、測定温度25℃で、前記トナー1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで2.94×10-4Nの最大荷重をトナーにかけ終えたときに得られる変位量(μm)を変位量X1、前記最大荷重をかけ終えた後、前記最大荷重で0.1秒間放置して得られる変位量(μm)を最大変位量X2、前記0.1秒間放置後、除荷速度9.8×10-5N/secで除荷し、荷重が0となったときに得られる変位量(μm)を変位量X3、前記最大変位量X2と変位量X3との差を弾性変位量(X2−X3)とし、前記弾性変位量(X2−X3)の前記最大変位量X2に対する百分率[{(X2−X3)/X2}×100:復元率]をZ(25)(%)としたときに、Z(25)は、40%以上80%以下の関係を満足し、前記トナーにおける周波数100kHzで測定した温度30℃での誘電正接tanδをαとしたとき、αは0.0010以上0.0030以下を満足することを特徴とする。
【0019】
本発明のイエロートナーの着色剤には、良好な透明性と共に十分な着色剤を有するという観点から、C.I.Pigment Yellow 74が用いられる。
【0020】
C.I.Pigment Yellow 74は、熱に弱く、粉砕法によるトナー製造法では、溶融混練時の温度において顔料の構造が変化し色相角の変動が生じる。これに対して構造が変化するほどの熱を必要としない水系媒体中でのトナー製造方法はC.I.Pigment Yellow 74を使用する場合には有利である。特に懸濁重合法は、昨今の現像性や定着性の高い要求に答えるためのトナー特性を発現しやすく好ましい。しかしながらC.I.Pigment Yellow 74は、水系中への分散性が良好な着色剤である。水系中への分散が良好である着色剤は、樹脂中への分散性が劣り、均一に存在することが出来ない。その結果、トナーの帯電性の低下や、現像部材への汚染による現像特性の低下を生じてしまう。さらに連続プリントにおいて、定着部材への汚染も併発し定着特性も悪化させてしまう。
【0021】
本発明者らは、C.I.Pigment Yellow 74を用い、トナーに対する微小圧縮試験において上記Z(25)の値と上記αの値を特定の範囲にした場合、C.I.Pigment Yellow 74の特徴である高着色力を維持しながら、高速で長期に渡ってプリントしても高精細及び高画質の画像を出力し続けられる、高耐久性を有するイエロートナーを得ることができることを見出した。
【0022】
上記Z(25)の値は、例えば、下記手法を用いることで上記関係を満足させることが可能であるがこれらに限定されない。
(1)トナー粒子を水系媒体中で製造する場合は、トナー粒子に後述する極性樹脂を含有させ、極性樹脂によるシェル層を形成させる。更に、前記極性樹脂は、コア層を形成する結着樹脂との相溶性を考慮して選定する。
(2)トナー粒子を水系媒体中でコア粒子を製造した後、極性樹脂を構成するモノマーを添加してシード重合することによりシェル層を形成する。
(3)コア粒子よりも体積平均粒子径が小さい極性樹脂微粒子をコア粒子に機械的に付着させる。或いは水系媒体中で体積平均粒子径が小さい極性樹脂微粒子をコア粒子に凝集により付着させ加熱により固着させる。
【0023】
上述した手法により、トナー粒子がコアシェル構造をとることで、最適な硬さのシェル層を有することができ耐久性が向上する。
【0024】
本発明におけるトナーに対する微小圧縮試験は、トナー1粒子に対して最大荷重2.94×10-4Nという従来の測定法と比較して小さな荷重をかけて評価を行うことでトナーの表面近傍の硬さ、復元率を測定するものである。
【0025】
即ち、本発明のトナーにおいて、Z(25)の値は測定温度25℃において最大荷重をかけた後に除荷した場合に、どの程度トナー表層がもとの状態に戻ろうとするかを表す指標である。Z(25)の値が40未満の場合、現像機装置内で受けるストレスによってトナーが変形しやすくなり、トナー中に外添剤が埋め込まれ現像性及び転写性が低下しやすい。一方、Z(25)の値が80を超えると、トナー表層近傍は変形しにくくなるため、トナー粒子表面に外添剤が付着しにくく、多数枚のプリントアウトを行うとトナー表面の外添剤が遊離しやすくなり、現像性や転写性が低下する傾向がある。
【0026】
一方、本発明のトナーにおいて、周波数100kHzで測定した温度30℃での誘電正接tanδをαとしたとき、αはトナーの帯電特性を意味する。αが0.0010より小さい場合、トナーの過帯電が促進され易くなるために画像濃度薄や濃度ムラ、遮蔽部材にトナーが蓄積することによるボタ落ちが発生しやすくなる。αが0.0030より大きい場合、トナーの帯電量の減衰が多くなり、トナー飛散やカブリの発生、転写性の悪化といった弊害を生じる。
【0027】
本発明のトナーの比誘電率及び誘電正接tanδは、トナー中に含有される顔料や荷電制御剤の種類、添加量、分散状態により変化させることが可能である。
【0028】
更に耐久性を向上させるためには、周波数100kHzで測定した温度60℃での誘電正接tanδをβとしたとき、ベータの値が0.0010以上0.0040以下であることが必要である。βは高温下での帯電特性を意味する。
【0029】
高温下で高速で多数枚プリントアウトしたとき、プリンター本体内は60℃付近まで温度が上昇する場合がある。このときβが0.0010より小さい場合、帯電量分布が広くなりすぎ、かぶりや飛散、画像濃度薄や現像剤担持体上のコート不良等の弊害を生じ、βが0.0040より大きい場合、高湿環境下でのトナー飛散やカブリの発生、転写性の悪化といった弊害を生じる。
【0030】
また、本発明のトナーは、前記微小圧縮試験において、測定温度50℃で、トナー1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで2.94×10-4Nの最大荷重をかけ終えたときに得られる変位量(μm)を変位量X’1、最大荷重をかけ終えた後、前記最大荷重で0.1秒間放置して得られる変位量(μm)を最大変位量X’2、0.1秒間放置後、除荷速度9.8×10-5N/secで除荷し、荷重が0となったときに得られる変位量(μm)を変位量X’3、最大変位量X’2と変位量X’3との差を弾性変位量(X’2−X’3)とし、弾性変位量(X’2−X’3)の最大変位量X’2に対する百分率[(X’2−X’3)/X’2×100:復元率]をZ(50)(%)としたときに、Z(50)が、10%以上55%以下の関係を満足することが好ましい。前記関係を満足することで、トナーが高温下でも適度な硬さをもち、耐久性が向上する。
【0031】
上記Z(50)は、例えば、懸濁重合法においては、極性樹脂やトナーの結着樹脂のガラス転移温度や重量平均分子量、或いは架橋剤の添加等を調節することで上記範囲を満たすことが可能である。
【0032】
次に、図1を参照しながら微小圧縮試験の測定方法について説明する。
【0033】
図1は微小圧縮試験で本発明のトナーを測定した際のプロファイル(荷重−変位曲線)であり、横軸はトナーが変形した変位量、縦軸はトナーにかけている荷重量を表している。
【0034】
本発明における微小圧縮試験は、(株)エリオニクス製 超微小硬度計ENT1100を用いた。使用圧子は20μm×20μm四方の平圧子を用いて測定した。図中の1−1は試験を始める前の最初の状態(原点)であり、最大荷重2.94×10-4Nに対し、9.8×10-5N/secの負荷速度で荷重を掛ける。最大荷重に到達直後は1−2の状態であり、このときの変位量をX1(μm)とする。1−2の状態で0.1秒間、その荷重で放置する。放置終了直後の状態が1−3を示しており、このときの最大変位量をX2(μm)とし、さらに最大荷重を経て9.8×10-5N/secの除荷速度で荷重を減らし、荷重が0 Nになったときが1−4の状態である。このときの変位量をX3(μm)とする。
【0035】
弾性変位量(X2−X3)の最大変位量X2に対する百分率(以下、復元率(%)とも称する)を示すZ(25)は{(X2−X3)/X2}×100として求めた。更にZ(50)の値は、トナーに対する微小圧縮試験において、測定温度50℃で測定することを除いて、上記Z(25)の測定方法と同様にして得られた最大変位量X’2及び変位量X’3から求められた値である。
【0036】
実際の測定は、セラミックセル上にトナーを塗布し、トナーがセラミックセル上に分散するようにエアーを吹き付けた後に、そのセラミックセルを超微小硬度計にセットして測定する。
【0037】
また、測定の際にはセラミックセルを温度制御が可能な状態にし、このセラミックセルの温度を測定温度とした。すなわちZ(25)はセルの温度を25℃として測定し、Z(50)はセルの温度を50℃として測定した。なお、セラミックセルの温度調整は、セラミックセルを超微小硬度計に設置し、セラミックセルが測定温度に到達してから10分以上放置した後、測定を開始した。
【0038】
測定は超微小硬度計に付帯する顕微鏡を覗きながら測定用画面(横幅:160μm 縦幅:120μm)にトナーが1粒子で存在しているもの選択した。変位量の誤差を極力無くすため、トナーの個数平均粒径D1の±0.20μmのものを選択して測定した。なお、測定用画面から任意のトナーを選択するが、測定画面上でのトナーの粒子径の測定手段は超微小硬度計ENT1100付帯のソフトを用いてトナー粒子の長径と短径を測定した。それらから求められるアスペクト比[(長径+短径)/2]の値がD1の±0.20μmとなるトナーを選択して測定した。
【0039】
測定データに関しては任意の粒子100個を選んで測定し、測定結果として得られたZ(25)及びZ(50)の平均値を求めた。
【0040】
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
【0041】
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
【0042】
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行った。
【0043】
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
【0044】
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
【0045】
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。また前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
【0046】
次に、誘電正接tanδの測定方法について説明する。
【0047】
4284AプレシジョンLCRメーター(ヒューレット・パッカード社製)を用いて、周波数100kHzにおける複素誘電率の測定値から誘電正接(tanδ=ε”/ε’)を算出する。
【0048】
トナーを0.5g秤量し、21560kPa(220kg/cm2)の荷重を1分間かけて、直径25mm,厚さ1mm以下(好ましくは0.5〜0.9mm)の円盤状の測定試料に成型する。この測定試料を直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着したARES(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)に装着する。その後、0.49N(50g)の荷重をかけた状態で周波数を一定として、温度30℃から毎分5℃の昇温速度で30秒毎に測定値を取り込みながら、温度140℃まで加熱する。これにより得られたトナーの温度−誘電正接曲線は、図2のような曲線となる。この曲線から30℃と60℃のtanδの値を読み取り、α、βの値を得た。
【0049】
本発明に用いられるトナー粒子の製造法は特に限定されるものではなく、従来のトナー製造方法により作製することが可能である。すなわち、混練、粉砕、分級工程を経てトナーを作製する粉砕法や、懸濁重合法、乳化重合法、懸濁造粒法の如き、水系媒体中で造粒する製造法で作製することが可能である。
【0050】
これらの中で、本発明の作用効果を発揮しやすいものとして、特に懸濁重合法が好ましい。この懸濁重合法においては、重合性単量体にワックス及び着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、帯電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて重合性単量体組成物とする。その後、この重合性単量体組成物を分散剤が含有する水系媒体中に適当な撹拌器を用いて分散し、そして重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。上記重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。上記トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、必要により流動性向上剤を混合し表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。
【0051】
また、本発明のイエロートナーは以下のいずれかの方法により重合性単量体組成物を混合して得られるものであることが好ましい形態である。
(1)重合性単量体に少なくとも着色剤を分散させ着色剤含有単量体を得る分散工程、重合性単量体に少なくとも樹脂を溶解させ樹脂含有単量体を得る溶解工程、得られた着色剤含有単量体と樹脂含有単量体とを混合し調整液を得る調整工程を有している。そして前記調整液を水系分散体に分散して重合性単量体組成物の粒子を生成する造粒工程を少なくとも有するトナー粒子の製造方法で得られるイエロートナーである。前記調整工程は、超音波発振装置を用いて行うことにより、前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合し調整液を得ることを特徴とする。
(2)前記調整工程が、液中において高速せん断力を有する攪拌装置で前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合し調整液を得ることを特徴とする製造方法で得られるイエロートナーである。前記攪拌装置は、高速回転する攪拌羽根と前記攪拌羽根の周囲に前記攪拌羽根と逆方向に高速回転するスクリーンによって形成される攪拌室とを備えている。そして前記攪拌室から調整液が噴出するように構成されていることにより前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合し調整液を得ることを特徴とする。
(3)前記調整工程が、複数のスリットを具備するリング状の突起が同心円上に多段に形成された回転子と同様の形状の固定子が一定間隔を保ち、相互に噛み合うように同軸上に設置された混合装置により調整液を得ることを特徴とする製造方法で得られるイエロートナーである。前記混合装置は装置内に前記調整液を導入と排出を繰り返して循環させ、前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合して調整液を得ることを特徴とする。
【0052】
重合性単量体に少なくとも着色剤を分散させた着色剤含有単量体と重合性単量体に少なくとも樹脂を溶解させた樹脂含有単量体を混合させて前記重合性単量体組成物を得る場合、前記超音波発振装置、攪拌装置及び混合装置を用いて行う。これにより前記重合性単量体組成物を得る工程における着色剤のピグメントショックを抑制し、かつ従来に比べ、極性樹脂や各種材料を均一に混合させ、更には着色剤を微細でかつ均一な状態に分散させることが可能となる。そして、そのようにして得られた重合性単量体組成物を用いて重合反応を行うことにより、トナー表面及び表面近傍の極性樹脂の存在状態から内部構造における着色剤の存在状態まで均一になりやすい。そのため、本発明のトナーの耐久性が向上し、部材汚染も生じづらくなるだけでなく、更には帯電性が高く、均一になりやすくなる。
【0053】
以下に本発明に好ましく使用される超音波発振装置について説明する。
【0054】
図3は超音波発振装置の拡大断面図、図4は装置本体を組み込んだシステム図である。
【0055】
図3について以下に説明する。
(1):超音波発振機、(2):超音波振動子、(3):超音波照射部である。
【0056】
図4について以下に説明する。
(11):分散タンク。
(12):溶解タンク。
(13):調整タンク、(13−1):送液ポンプ、(13−2):圧力計、(13−3):温度計、(13−4):撹拌装置、(13−5):背圧弁、(13−6):循環ラインである。
(14):超音波発振機、(14−1)超音波振動子、(14−2):上部に処理物の流入口を有し、下部に処理物の流出口を有する超音波処理室である。
【0057】
また、(11):分散タンク、(12):調整タンク、(13):溶解タンク、(14−2):超音波処理室は、ジャケット構造であるため、処理物の冷却・加熱が可能である。
【0058】
図5は、超音波装置が直列に2ケ設置されている。その他は、図4と同等の装置構成である。
【0059】
図6は本発明に使用可能な他の超音波発振装置の拡大断面図、図7は図6の超音波発振装置を組み込んだシステム図である。
【0060】
また、図4のシステムは本発明の一例であって、調整タンクは分散タンクまたは溶解タンクと兼用しても良い。その一例を図8に示す。
【0061】
以下に、更に詳細に説明する。
【0062】
図4は装置本体を組み込んだシステム図である。分散タンク(11)より、重合性単量体に少なくとも着色剤が分散している着色剤含有単量体を、溶解工程(12)より、重合性単量体に少なくとも樹脂が溶解している樹脂含有単量体を、調整タンク(13)内に投入する。撹拌装置(13−4)により撹拌を行ないながら、ポンプ(13−1)を運転し、循環ライン(13−6)、超音波処理室(14−2)内に処理物を循環させ、超音波発振装置を始動させる。また、超音波分散時は、調整タンク(13)及び超音波処理室(14−2)のジャケットにより、処理物は、任意の温度に調整される。
【0063】
本発明に用いられる超音波発振装置の形状の一例を、図3及び図6に示す。本発明に好ましく用いられる超音波発振装置は、図3の様に円周方向に同心円状の凸部を複数有している円柱状の構造を有する超音波を照射するための振動子を有していることである。この構造は、処理物が超音波処理室(14−2)内を通過する時、超音波照射部の段数に相当する回数分を超音波処理されるため、処理物の分散ムラが非常に少なく、均一でかつ従来に比べ短時間で所定の分散状態に達することができる。
【0064】
ついで、ポンプ(13−1)、超音波処理室(14−2)内の圧力を調節する背圧弁(13−5)により、循環量と超音波処理室(14−2)内の圧力を調整する。処理物中の微小な気泡は、振動子の動きに伴い、膨張と収縮を繰り返す。この時、真空状態近くまで、減圧され膨張した微小気泡が、再び加圧され、崩壊する時キャビテーションが生じる。このキャビテーションの効果は、圧力差が大きいほど有効であるため、超音波処理室(14−2)内の圧力は、最適な加圧状態に徴することが好ましい。すなわち、前記調整工程時の超音波処理室(14−2)内の圧力は、20kPa以上200kPa以下の範囲であることが好ましい。20kPa未満では、処理物(49)内に含まれる気泡の収縮、分裂にエネルギーが吸収されるため分散の効率が低下し好ましくない。200kPa超では、超音波発振装置が過負荷状態に陥りやすく、安全性および装置信頼性の面で好ましくない。
【0065】
前記調整工程時、前記超音波処理された処理物が、前記調整タンク内部へ再び排出される部分が、前記調整タンク内の処理物中に位置し、超音波処理された処理物が、気体を巻き込まずに処理物中に戻ることが好ましい。処理物の発泡は、超音波処理の効率を低下すると同時に、次工程である造粒工程においても、悪影響を与える。すなわち、調整液を水系分散体に分散して重合性単量体組成物の粒子を生成する造粒工程において、発泡により調整液中に気泡が混入していると、気泡の収縮・膨張に粒子生成のためのせん断力が吸収され、粒度分布のブロード化の原因になるため好ましくない。
【0066】
前記調整工程において、前記超音波発振装置1台当たりの出力をA(W)、前記超音波発振装置1台当たりの超音波照射部面積をB(cm2)とした時、A≧2000かつ、A/Bが25≦A/B≦70の範囲であることが好ましい。Aが2000未満では、量産機としてスケールが小さすぎるため、設置台数が多くなり、メンテナンス性の悪化及び設置スペース増加により、生産効率が低いため、好ましくない。A/Bが25未満では超音波のエネルギーが小さく、分散効率が悪く、70超ではエロージョンによる振動子の消耗が激しく、消耗に伴う出力の変化による、品質の振れの増大、及び製品へのコンタミネーションが大きく、好ましくない。
【0067】
前記調整工程において超音波処理される調整液量をC(kg)、超音波発振装置の合計出力をD(kW)とした時、50≦C/D≦200の範囲であることが好ましい。C/Dが200超の領域では、照射エネルギーが小さすぎるため、所望の分散レベルを達成するのが困難である。また、50未満では、分散状態が飽和傾向示し、過剰エネルギーとなるため、省エネ上好ましくない。
【0068】
本発明において、スケールUP時においては、超音波発振装置を、直列にもしくは並列に、もしくは直列かつ並列に複数個使用することにより、処理物への超音波の照射効率を低下することなく、大容量の処理にも対応できる。本発明において、特に好ましいのは、直列に複数個使用した場合であり、図5は、超音波発生装置を直列につないだ一例である。超音波装置を直列に複数個使用すると、処理物の超音波照射部における滞留時間が長くなる。その場合、超音波発振装置1ケで分散した場合に比べ、ワンパス当たりの分散レベルが高いため、再びピグメントショックを生じにくく、最終的な分散レベルが高くなる。
【0069】
また、本発明で使用される超音波発振装置の変換機部(高周波電力を機械振動に変換する)の冷却構造は、水冷式よりも空冷式が好ましい。防爆エリアにおいて、超音波発振装置を使用する場合、変換部の冷却を水冷により行うと、冷却水が漏れた場合、漏電の可能性があり、危険であるため、好ましくない。
【0070】
上記超音波発振装置の具体的なものとしては、ドクターヒールシャー社(ドイツ)から商品化されているUIPシリーズ等がある。この中で好ましくは、UIP1000,2000,4000,8000,16000等が超音波処理能力が大きく、量産化に対応しやすく好ましい。
【0071】
また、以下に本発明に好ましく用いられる高速せん断力を有する攪拌装置を図9、攪拌装置の拡大図を図10として説明する。また、上記攪拌装置を循環経路の中に組み込んだ分散システムを図11として図面にて説明する。但し、本発明に用いられる攪拌装置としては、これに限定されるものではない。
【0072】
図9・図10・図11において、1は高速回転する攪拌羽根、2は攪拌羽根1の周囲に該攪拌羽根1と逆方向に高速回転するスクリーン、3は攪拌羽根1とスクリーン2によって形成される攪拌室3、4は調製タンク、5はスクリーン2に設けられた吐出口、6はジャケット、7はホールディングタンク、8は攪拌翼、9は循環ポンプ、10は分散容器入口、11は吸入口、12は排出口、13は熱交換器、14は流量計、15は圧力調整弁、16は下部モーター、17は上部モーター、18は蓋体、19は支持筒、20は上部回転軸、21はメカニカルシール、22は上部ハウジング、23は仕切板、24は下部回転軸、25は圧力計、26は温度計である。
【0073】
(図9、図10の攪拌装置について)
調製タンク4内に、分散工程より重合性単量体に少なくとも着色剤が分散している着色剤含有単量体と溶解工程より重合性単量体に少なくとも樹脂が溶解している樹脂含有単量対を投入し調製液とする。前記調製液は、攪拌羽根1が攪拌室3における吐出口5の設けられた部分の内部にて高速回転することにより、この部分の内壁と羽根先との間の微小な間隙においてせん断力を受ける。更に、羽根先との間の微小隙間を介して逆方向に回転する攪拌室3の吐出口5が、羽根先の前を通過する毎に、両者の間で、調製液のせん断が行われる。
【0074】
そして、この吐出口5が攪拌羽根1の回転方向と逆方向に回転するものである為、両者の相対的な回転数を上げることができ、調製液へかかるせん断力を高めることができる。これにより、従来以上に、調製液の分散ムラが非常に少なく、均一な分散状態に達することができる。
【0075】
更に、攪拌室3における吐出口5の設けられた部分が、攪拌羽根1の回転方向と逆方向に回転するものである為、その回転に伴い流体の吐出位置が変化し、調製タンク4内で調製液が、良好に循環する。また、攪拌室3における吐出口に設けられた部分は、下方に向かうに従い、その径が小さくなるものである為、径の大きい上方部分では、回転の周速度が大きく、小さい下方部分においては回転の周速度が小さい。その結果、吐出口5からの流体の吐出に際して、流体に与えられる周方向の速度が、上下において異なるものとなり、この速度差の異なる流れによって、一層、調製液の循環が促進される。
【0076】
また、この流れが、吐出口5と微小隙間を置いて回転する攪拌羽根1の回転による吐出流に加わる為、更に早い吐出流が得られるものであり、より一層、全体の循環が促進される。このような良好な循環により、前述の微小隙間を調製液が通過する機会が増加し、分散ムラが減少させることができる。
【0077】
また、調製タンク4は、ジャケット構造になっており、ジャケット6内に冷却媒体を流すことにより、調製タンク内部のせん断により上昇した調製液の温度を低下させることが可能となる。
【0078】
(図11の攪拌システムについて)
ホールディングタンク7に投入され、敷設された攪拌翼8により混合された調製液は、循環ポンプ9を介して、調製タンク入口10より供給され、吸入口11へと導入される。次いで、吸入口11より導入された調製液は、前述の微小間隙を通過し、吐出口5より吐出される。吐出された調製液は、調製タンク4内を循環した後に、排出口12より排出され、熱交換器13を経由してホールディングタンク7へ戻る。ホールディングタンク7へ戻った調製液を再度、調製タンク入口10へ導入するという循環が繰り返される。攪拌装置とホールディングタンク7との間のサイクルの循環を繰り返すことで、均一且つ効率よく調製液の分散が行われる。ホールディングタンク7は、ジャケット構造であるため、処理物の冷却・加熱が可能である。
【0079】
また、処理流量は、循環経路中に設置された流量計14にて測定される。更に、圧力調整弁15により、背圧をかけることが可能である。背圧をかけることで、攪拌羽根1及びスクリーン2の回転によるキャビテーションの発生を抑制することが可能となり、一層、処理液に対してせん断力を付与することができる。これにより処理物を微細且つ均一に分散できる為、本発明においては、好適に背圧をかけることもできる。
【0080】
循環経路を用いた場合、上述の調製タンク4内の良好な循環に、攪拌装置とホールディングタンクとの間のサイクルの循環が加わる為、一層、均一且つ効率良く調製液の分散を行うことができ、本発明においては好ましく用いられる。
【0081】
上述の攪拌装置としては、例えば、クレアミクスWモーション(エム・テクニック社製)を好適に用いることができるが、この限りではない。
【0082】
本発明における攪拌装置の攪拌羽根及びスクリーンの周速とは、攪拌羽根及びスクリーンの最大径の周速である。
【0083】
また、先述した攪拌装置の攪拌羽根1の周速をE(m/s)、スクリーン2の周速をF(m/s)とすると、15≦E≦60 、15≦F≦60の範囲内で調製液の分散を行うことが好ましい。攪拌羽根1、スクリーン2がそれぞれ15より小さい場合、所望の分散レベルを達するのが困難である。また、それぞれが60を超える場合、分散状態が飽和傾向を示し、過剰エネルギーとなるため、省エネ上好ましくない。また、先述の冷却手段を用いて過剰な昇温を抑制する場合、冷却手段への負荷が増大してしまう為、好ましくない。
【0084】
更に、本発明においては、攪拌羽根1の周速をE、スクリーン2の周速をFとし、相対周速「E+F」(m/s)が40≦E+F≦80であることが、分散性及び装置負荷のバランスがとれる観点から好ましい。
【0085】
また以下に、本発明に好ましく用いられる回転子及び固定子を具備する混合装置を図面にて説明する。
【0086】
図12は、本発明に用いる回転子及び固定子を具備する混合装置を組み込んだシステムを示し、図13は、本発明に用いる混合装置の本体側面図を示す。図14、図15は、混合装置の本体断面図であり、それぞれ、図12中のA−A’断面図、図13中のB―B’断面図である。また、図16、図17は、それぞれ、混合装置の回転子の斜視図、固定子の斜視図を示す。
【0087】
以下、混合装置について具体的に説明する。
【0088】
図12において、ホールディングタンク8に、分散工程より重合性単量体に少なくとも着色剤が分散している着色剤含有単量体と溶解工程より重合性単量体に少なくとも樹脂が溶解している樹脂含有単量対を投入し調製液とする。投入された該調製液は、循環ポンプ10を介して、混合装置入口より供給され、混合装置においては、ケーシング2の内部に具備された、回転子25と固定子21のスリットを通過し、遠心方向に排出される。混合装置内を調製液が通過する際、回転子、固定子のスリットのずれにより生じる遠心方向への圧縮、吐出による衝撃と回転子、固定子間のせん断による衝撃により調製液は混合される。本発明で用いられる回転子と固定子の形状は、複数のスリットを具備するリング状の突起が同心円上に多段に形成された形状であり、一定の間隔を保ち、相互に噛み合うように同軸上に設置されていることが好ましい。
【0089】
回転子及び固定子が相互に噛み合うように設置された形状であることにより、ショートパスが軽減され、調製液の分散が十分に行える。また、回転子と固定子が同心円方向に交互に多段に存在することにより、調製液が遠心方向に進行する際に、多くのせん断・衝撃を受ける為、一層、分散レベルを高めることができる。ホールディングタンク8は、ジャケット構造であるため、処理物の冷却・加熱が可能である。
【0090】
本発明における回転子及び固定子の周速とは、回転子及び固定子の最大径の周速である。本発明においては、回転子25の周速をG(m/s)とすると、20≦G≦60で回転させ調製液を混合することが好ましい。より好ましくは、回転子の周速Gが30≦G≦40である。回転子の周速Gが20≦G≦60であれば、回転子及び固定子のスリットのずれにより生じる調製液の遠心方向への圧縮、吐出による衝撃と回転子、固定子間のせん断による衝撃が増し、高度な分散が達成される。これにより、従来以上に、調製液の分散ムラが非常に少なく、均一な分散状態に達することができる。
【0091】
回転子の周速Gが20m/sより小さい場合、遠心方向への圧縮、吐出による衝撃と回転子、固定子間のせん断による衝撃が低下し、所望の分散レベルを達するのが困難である。また、時間の経過に伴い、着色剤粒子が凝集するような分散安定性の悪い調製液が生じる場合が多い。また、回転子の周速Gが60m/sより大きい場合、回転子、固定子のスリットからの吐出時に大きな圧力損失が生じる為、十分な流量が確保できないだけでなく、着色剤等の固形物と重合性単量体が分離した状態になる場合がある為、好ましくない。
【0092】
上述の混合装置としては、例えば、キャビトロン(ユーロテック社製)を好適に用いることができるが、この限りではない。
【0093】
また、前記調整工程において、樹脂の含有量が重合性単量体100質量部に対して10質量部以上55質量部以下であることが好ましい。10質量部未満では、分散工程において作製した前記着色剤含有単量体と、溶解工程において作製した前記樹脂含有単量体とを、前記調整工程において混合した場合、前記調整液中にピグメントショックが生じにくい。生じた場合でも、公知の撹拌翼等のせん断力で、再分散可能であるレベルであるため、超音波装置を設置するメリットが少ない。55質量部超では、前記調整液の粘度が大幅に増加するため、配管中に調整液が残存しやすい。その結果、次工程である、調整液を水系分散体に分散して重合性単量体組成物の粒子を生成する造粒工程への、前記調整液の排出量の振れが大きくなり、重合性単量体組成物の粒子の粒度分布の振れが大きくなり、良品率が低下するため好ましくない。更には、付着の進行による配管の閉塞などの問題も懸念されるため好ましくない。
【0094】
以下に本発明で用いられる材料について説明する。
【0095】
本発明に用いられる結着樹脂としては、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル共重合体、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。上記結着樹脂の製造に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が挙げられる。前記ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。
【0096】
上記重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。
【0097】
スチレン;o−(m−,p−)メチルスチレン、m−(p−)エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアクリル酸エステル系単量体或いはメタクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミドの如きエン系単量体。
【0098】
これらは、単独、または、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−p139乃至192(John Wiley&Sons製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)を参考にして単量体を適宜混合して用いられる。
【0099】
また本発明のトナーにおいては、トナー粒子が極性樹脂を含有することも好ましい形態である。更に、前記極性樹脂の示差走査熱量測定(DSC)装置で測定されるガラス転移温度(Tg)が80℃以上120℃以下であることが好ましい。Tgを該範囲とすることでトナーの耐久性を更に高めることができる。本発明のトナーにおいて、Tgが80℃未満の場合、トナーの耐久性が低下する傾向にあり、Tgが120℃を超える場合、低温定着性が低下する傾向にある。
【0100】
上記Tgの測定は、示差走査熱量計(DSC測定装置)Q1000(TAインスツルメンツジャパン社製)を用い、ASTM D3418−82に準じて、以下の方法及び条件で測定した。
【0101】
<測定条件及び方法>
(1)モジュレーティッドモードを使用。
(2)温度20℃で5分間平衡を保つ。
(3)1.0℃/minのモジュレーションを使用し、温度140℃まで1℃/minで 昇温。
(4)温度140℃で5分間平衡を保つ。
(5)温度20℃まで降温。
【0102】
測定サンプルは約3mgを精密に秤量する。それをアルミニウム製のパン中に入れ、対照用に空のアルミパンを用い、測定範囲20乃至140℃の間で、昇温速度1℃/minで測定を行う。ここでいうガラス転移温度(Tg)は中点法で求める。
【0103】
本発明に用いられるトナー粒子を懸濁重合法により製造する場合には、調整工程に極性樹脂を添加することが好ましい。その場合、トナー粒子となる重合性単量体組成物と水系分散媒体の呈する極性のバランスに応じて、極性樹脂の存在状態を制御することができる。即ち、添加した極性樹脂をトナー粒子の表面に薄層のシェルを形成させたり、トナー粒子表面から中心に向け傾斜性をもって存在させたりすることが可能である。また、極性樹脂の添加により、コアシェル構造のシェル部分の強度を自由に制御することができる。そのため、トナーの耐久性と定着性を最適化することができる。
【0104】
極性樹脂の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以上30質量部以下である。1質量部未満ではトナー粒子中での極性樹脂の存在状態が不均一となりやすく、トナーの摩擦帯電分布がブロードになりやすい。一方、30質量部を超えるとトナー粒子の表面に形成される極性樹脂の薄層が厚くなり定着性が低下しやすくなる。
【0105】
本発明に用いられる極性樹脂としては、具体的には、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体が挙げられる。特に極性樹脂として、3,000以上50,000以下のピーク分子量を有するスチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体がトナー製造時の添加量を自由に制御できるので好ましい。また、極性樹脂として、スチレン−メタクリル酸共重合体、又はスチレン−アクリル共重合体を用いた場合、トナーの結着樹脂との相溶性がさらに良好になるため好ましい。その結果、トナー粒子表面から中心に向け傾斜性をもって存在しやすくなりコア層とシェル層との密着性が高まり、トナーの耐久性が向上する。
【0106】
上述のように、本発明のトナーの有する好ましい態様として以下の点が挙げられる。
・トナー粒子において、コアシェル構造が形成されていること。
・コア層とシェル層との密着性が高められていること。
・常温ではトナーの加圧時の外的要因に対する強靭性が大きいこと。
・トナーの加熱時にコア成分(特にワックス)がブリード性を有すること。
【0107】
トナー粒子のこれら特性は、現像特性、転写特性、及び定着特性に貢献しているものと思われる。
【0108】
本発明に用いられるワックス成分としては以下のものが挙げられる。
【0109】
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム如きの石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロップシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体;カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸の如き脂肪酸;酸アミドワックス;エステルワックス;硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックス。
【0110】
この中で特に、離型性に優れるという観点からエステルワックス及び炭化水素ワックスが好ましい。更に好ましくは、トータルの炭素数が同一の化合物が50乃至95質量%ワックスに含有されているものが、ワックス純度が高く現像性の観点で、本発明の効果を発現し易い。
【0111】
本発明においては、トナー粒子の機械的強度を高めると共に、トナーの結着樹脂の分子量を制御するために、結着樹脂を合成する時に架橋剤を用いてもよい。
【0112】
架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。以下の、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物等が例示できる。これらは、単独もしくは混合として使用できる。好ましい添加量としては、結着樹脂100質量部に対し0.001乃至15質量部である。
【0113】
本発明では、帯電制御や水系媒体中の造粒安定化を主目的として、スルホン酸基を側鎖に持つ高分子が用いられることが好ましい。その中で特にスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を含有する重合体又は共重合体を用いることが好ましい。
【0114】
上記重合体を製造するためのスルホン酸基を有する単量体として、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸が例示できる。
【0115】
本発明に用いられるスルホン酸基等を含有する重合体は、上記単量体の単重合体であっても構わないが、上記単量体と他の単量体との共重合体であっても構わない。上記単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系重合性単量体があり、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。
【0116】
単官能性重合性単量体としては以下の、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン系重合性単量体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトン等が例示出来る。
【0117】
多官能性重合性単量体としては以下の、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が例示できる。
【0118】
そして上記スルホン酸基等を有する重合体は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し0.01乃至5.0質量部を含有することが好ましい。より好ましくは、0.1乃至3.0質量部である。
【0119】
本発明のトナーにおいては、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子に混合して用いることも可能である。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
【0120】
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に摩擦帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
【0121】
上記荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、有機金属化合物、キレート化合物が挙げられる。モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類が挙げられる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
【0122】
一方、荷電制御剤として、トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
【0123】
本発明のトナーは、これら荷電制御剤を単独で或いは2種類以上組み合わせて含有することができる。
【0124】
これら荷電制御剤の中でも、本発明の効果を十分に発揮するためには、金属を含むサリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムが好ましい。最も好ましい荷電制御剤としては、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物である。
【0125】
荷電制御剤の好ましい配合量は、結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下、より好ましくは0.3質量部以上10質量部以下である。しかしながら、本発明のトナーには、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナーの層厚規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含ませる必要はない。
【0126】
本発明のトナーは、流動化剤として無機微粉体が外添されている。
【0127】
本発明のトナー粒子に外添する無機微粉体は、少なくともシリカ微粉体を含むことが好ましい。該シリカ微粉体の個数平均一次粒径は、4nm以上80nm以下であることが好ましい。本発明において個数平均一次粒径が上記範囲にあることで、トナーの流動性が向上すると共に、トナーの保存安定性も良好になる。
【0128】
上記無機微粉体の個数平均一次粒径は、次のようにして測定される。
【0129】
個数平均一次粒子径は、走査電子顕微鏡で観察し、視野中の100個の無機微粉体の粒子径を測定して平均粒子径を求める。
【0130】
また無機微粉体として、シリカ微粉体と酸化チタン、アルミナまたはそれらの複酸化物の微粉体を併用することができる。併用される無機微粉体としては、酸化チタンが好ましい。
【0131】
上記シリカ微粉体としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカの両者の微粉体が含まれる。該シリカとしては、表面及びシリカの内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO32-の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能である。シリカはそれらも包含する。
【0132】
無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の摩擦帯電の均一化のために添加される。無機微粉体を疎水化処理することによって、トナーの摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上等の機能を付与することができるので、疎水化処理された無機微粉体を用いることが好ましい。トナー粒子に外添された無機微粉体が吸湿すると、トナーとしての摩擦帯電量が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる。
【0133】
無機微粉体の疎水化処理の処理剤としては、以下のものが挙げられる。
【0134】
未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物。これらの如き処理剤は単独で或いは併用して用いても良い。
【0135】
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粉体が好ましい。より好ましくは、無機微粉体をカップリング剤で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理した疎水化処理無機微粉体が高湿環境下でもトナー粒子の摩擦帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上でよい。
【0136】
前述の懸濁重合による製造方法において、分散剤としては、公知の無機系及び有機系の分散剤を用いることができる。
【0137】
具体的には、無機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられる。
【0138】
一方、有機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
【0139】
また、分散剤として、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。この様な界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム。
【0140】
上記分散剤としては、無機系の難水溶性の分散剤が好ましく、しかも酸に可溶性である難水溶性無機分散剤を用いることが好ましい。
【0141】
また、本発明においては、難水溶性無機分散剤を用い、水系分散媒体を調製する場合に、これらの分散剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.2質量部以上2.0質量部以下であることが好ましい。また、本発明においては、重合性単量体組成物100質量部に対して300質量部以上3,000質量部以下の水を用いて水系分散媒体を調製することが好ましい。
【0142】
本発明において、上記のような難水溶性無機分散剤が分散された水系分散媒体を調製する場合には、市販の分散剤をそのまま用いて分散させてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散剤粒子を得るために、水の如き液媒体中で、高速撹拌下、上記難水溶性無機分散剤を生成させて水系分散媒体を調製してもよい。例えば、リン酸三カルシウムを分散剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することが挙げられる。
【0143】
上記懸濁重合法でトナーを製造する場合に本発明に用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。
【0144】
2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチル−パーオキシピバレートの如き過酸化物系重合開始剤。
【0145】
これらの重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には、上記重合性単量体100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下である。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に選定され、単独又は混合して使用される。
【0146】
次に本発明で用いられる画像形成方法について図18及び図19を用いて説明する。
【0147】
本願実施例で用いられる画像形成方法を含む、画像形成装置の構成を図18に示す。図19に示された画像形成装置は転写方式電子写真プロセスを用いたレーザビームプリンタである。特に、図19はタンデム型のカラーLBP(カラーレーザープリンタ)の断面図を示す。
【0148】
<プロセスカートリッジ>
図18は、本発明の画像形成方法を適用した画像形成装置に好適に用いることのできる、プロセスカートリッジ7(以下、「カートリッジ」ともいう。)の断面模式図である。
【0149】
カートリッジ7は、感光体ドラム1と、帯電手段2及びクリーニング手段6を備えたクリーナユニット50と、感光体ドラム1に形成された静電潜像を現像する現像手段4を有する現像ユニット4Aとを有する。クリーナユニット50を構成するクリーニング枠体31には、感光体ドラム1が軸受部材(不図示)を介して回転自在に取り付けられている。
【0150】
感光体ドラム1には、感光体ドラム1の外周面に設けられた感光層を一様に帯電させるための帯電ローラー2、転写後に感光体ドラム1上に残った現像剤(残留トナー)を除去するためのクリーニングブレード60が接触している。クリーニングブレード60によって感光体ドラム1表面から除去されたトナー(除去トナー)は、クリーニング枠体31に設けられた除去トナー収納室35に納められる。
【0151】
現像ユニット4Aは、トナーを収容する現像枠体45(45a、45b、45e)を有しており、現像ローラー40(矢印Y方向に回転)が軸受部材を介して回転自在に現像枠体45に支持されている。また、現像ローラー40と接触してトナー供給ローラー43(矢印Z方向に回転)とトナー規制部材44がそれぞれ設けられている。さらに現像枠体45には収容されたトナーを撹拌するとともにトナー供給ローラー43に搬送するためのトナー搬送機構42が設けられている。
【0152】
そして、現像ユニット4Aがクリーナユニット50に対して揺動自在に支持されている。すなわち、現像枠体45の両端に設けた結合穴47、48とクリーナユニット50のクリーニング枠体31両端に設けた支持穴(不図示)を合わせ、クリーナユニット50両端からピン(不図示)を差し込んでいる。
【0153】
また、支持穴を回転軸中心として現像ローラー40が感光体ドラム1に接触するように加圧バネ(不図示)によって現像ユニット4Aが常に付勢されている。
【0154】
現像時には、トナー容器41内に収納されたトナーがトナー攪拌機構42によってトナー供給ローラー43へ搬送される。トナー供給ローラー43が、現像ローラー40との摺擦によって現像ローラー40にトナーを供給し、現像ローラー40上にトナーを付着させる。現像ローラー40上に付着されたトナーは、現像ローラー40の回転にともなってトナー規制部材44のところに至る。そして、トナー規制部材44がトナーを規制して所定のトナー薄層を形成し、所望の帯電電荷量を付与する。現像ローラー40上で薄層化されたトナーは、現像ローラー40の回転につれて、感光体ドラム1と現像ローラー40とが接近した現像部に搬送される。そして、現像部において、電源(不図示)から現像ローラー40に印加した現像バイアスにより、感光体ドラム1の表面に形成されている静電潜像に付着して、潜像を現像化する。静電潜像の現像化に寄与せずに現像ローラー40の表面に残留したトナーは、現像ローラー40の回転にともなって現像枠体45内に戻される。そして、トナー供給ローラー43との摺擦部で現像ローラー40から剥離、回収される。回収されたトナーは、トナー攪拌機構42により残りのトナーと撹拌混合される。
【0155】
ここで現像ローラー40には弾性ローラーを用い、これを感光体ドラム1表面と接触させる方法を用いることができる。一般にトナー担持体と感光体が接触する現像方式においては、トナーの破損、変形が生じやすくなるが、本発明記載のトナーを用いた場合にはこうした変化を効果的に抑制することが出来るため、好ましい。
【0156】
トナー担持体と感光体が接触する現像方式では、トナーを介して感光体と感光体表面に対向する弾性ローラー間に働く電界によって現像が行われる。従って弾性ローラー表面或いは表面近傍が電位を持ち、感光体表面とトナー担持体表面の狭い間隙で電界を有する必要性がある。このため、弾性ローラーの弾性ゴムが中抵抗領域に抵抗制御されて感光体表面との導通を防ぎつつ電界を保つか、または導電性ローラーの表面層に薄層の絶縁層を設ける方法が利用できる。さらには、該導電性ローラー上に感光体表面に対向する側を絶縁性物質により被覆した導電性樹脂スリーブ或いは、絶縁性スリーブで感光体に対向しない側に導電層を設けた構成も可能である。また、トナー担持体として剛体ローラーを用い、感光体をベルトの如きフレキシブルな物とした構成も可能である。トナー担持体としてのローラーの抵抗値としては102乃至109Ω・cmの範囲が好ましい。
【0157】
トナー担持体の表面形状としては、その表面粗さRa(μm)を0.1乃至3.0となるように設定すると、高画質及び高耐久性を両立できる。該表面粗さRaはトナー搬送能力及びトナー帯電能力と相関する。該トナー担持体の表面粗さRaが3.0を超えると、該トナー担持体上のトナー層の薄層化が困難となるばかりか、トナーの帯電性が改善されないので画質の向上は望めない。3.0以下にすることでトナー担持体表面のトナーの搬送能力を抑制し、該トナー担持体上のトナー層を薄層化すると共に、該トナー担持体とトナーの接触回数が多くなるため、該トナーの帯電性も改善されるので相乗的に画質が向上する。一方、表面粗さRaが0.1よりも小さくなると、トナーコート量の制御が難しくなる。
【0158】
本発明において、トナー担持体の表面粗さRaは、日本工業規格(JIS)B06014.2.1項(改正年月日2001年1月20日、確認年月日2005年7月20日)に定める算術平均粗さである。本発明においては、表面粗さ測定器(小坂研究所社製サーフコーダSE3500)を用い、トナー担持体表面の任意の1点より、トナー担持体回転軸と平行となる方向に測定を行った。なお、カットオフ値は0.8mm、測定長さは2.5mm、測定速度は0.1mm/秒とした。
【0159】
図18の画像形成方法においては、トナー担持体は感光体の周速同方向に回転しているが、逆方向に回転していてもよい。その回転が同方向である場合、トナー担持体の周速を感光体の周速に対し1.05乃至3.0倍となるように設定することが好ましい。
【0160】
トナー担持体の周速が、感光体の周速に対し1.05倍未満であると、感光体上のトナーの受ける撹拌効果が不十分となり、良好な画像品質が望めない。また、周速比が3.0を超える場合には、機械的ストレスによるトナーの劣化やトナー担持体へのトナー固着が発生、促進され、好ましくない。
【0161】
トナー担持体が弾性ローラーである場合、表面に弾性層を有する構造のものが好ましく用いられる。該弾性ローラーに使用される弾性層の材料の硬度としては、30乃至60度(ASKER−C/荷重1kg)のものが好適に使用される。
【0162】
また、トナーコート量はトナー規制部材44により制御されるが、このトナー規制部材44はトナー層を介して現像ローラー40に接触している。この時のトナー規制部材44と現像ローラー40との接触圧は、線圧として0.05N/cm以上0.5N/cm以下が好ましい範囲である。
【0163】
尚、線圧とはトナー規制部材の長さ当たりに加えられる荷重のことであり、例えば1mの当接長さを有するトナー規制部材に1.2Nの荷重を加えて現像ローラーに接触させた場合、線圧は1.2N/mとなる。線圧が0.05N/cmよりも小さいとトナーコート量の制御に加え均一な摩擦帯電も難しくなり、カブリの悪化等の原因となる。一方、線圧が0.5N/cmよりも大きくなるとトナー粒子が過剰な負荷を受けるため、粒子の変形やトナー規制部材或いは現像ローラーへのトナーの融着等が発生しやすくなり、好ましくない。
【0164】
トナー規制部材44の自由端部はどのような形状でもよく、例えば断面形状が直線状のもの以外にも、先端近傍で屈曲したL字形状のものや、先端近傍が球状に膨らんだ形状のもの等が好適に用いられる。
【0165】
トナー規制部材としては、基材としてステンレス、鋼、リン青銅の如き金属弾性体を用い、スリーブ当接部に当る部位に樹脂を接着あるいはコーティング塗布したものが好適に用いられる。
【0166】
またさらに、トナー規制部材に直流電場及び/または交流電場を印加することによっても、トナーへのほぐし作用のため、均一薄層塗布性、均一帯電性がより向上し、充分な画像濃度の達成及び良質の画像を得ることができる。
【0167】
<画像形成装置>
図19は、本発明の画像形成方法を適用した画像形成装置の一例を示す断面模式図である。画像形成装置100は4個の画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdを縦方向に並設している。そして、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdには、各々、装着手段(不図示)によってプロセスカートリッジ7(7a、7b、7c、7d)が着脱可能に装着される。なお、マゼンタ色、シアン色、イエロー色、ブラック色の各カートリッジ7a、7b、7c、7dは同一構成である。
【0168】
本模式図では、画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdは、縦方向に僅かに傾斜して並設されているが、傾斜することなく縦方向に整列して設けてもよい。また、プロセスカートリッジ7は、図18に例示したものと同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0169】
各カートリッジ7(7a、7b、7c、7d)は、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)を備えている。感光体ドラム1は、駆動手段(不図示)によって、同図中、反時計回りに回転駆動される。感光体ドラム1の周囲には、その回転方向に従って順に以下の手段が設けられている。(A)感光体ドラム1表面を均一に帯電する帯電手段2(2a、2b、2c、2d)。(B)画像情報に基づいてレーザービームを照射し感光体ドラム1に静電潜像を形成するスキャナユニット3(3a、3b、3c、3d)。(C)静電潜像に現像剤(以下、「トナー」という。)を付着させてトナー像として現像する現像手段4(4a、4b、4c、4d)。(D)感光体ドラム1上のトナー像を記録媒体Sに転写させる転写装置5。(E)転写後の感光体ドラム1表面に残ったトナーを除去するクリーニング手段6(6a、6b、6c、6d)。
【0170】
ここで、感光体ドラム1と、プロセス手段である、帯電手段2、現像手段4、クリーニング手段6は、カートリッジ枠体により一体的に構成してカートリッジ化されカートリッジ7を構成している。
【0171】
感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)は、シリンダの外周面に感光層を設けて構成したものである。感光体ドラム1は、その両端部を支持部材によって回転自在に支持されている。そして、一方の端部に駆動モーター(不図示)からの駆動力が伝達されることにより、反時計周りに回転駆動される。
【0172】
上記感光体としては、a−Se、CdS、ZnO2、OPC、a−Siの様な光導電絶縁物質層を持つ感光体ドラムが好適に使用される。また、上記OPC感光体における有機系感光層の結着樹脂は、特に限定するものではない。中でもポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が特に、転写性に優れ、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくいため好ましい。
【0173】
帯電手段2(2a、2b、2c、2d)としては、接触帯電方式のものを使用している。帯電手段2は、ローラー状に形成された導電性ローラーである。このローラーを感光体ドラム1表面に当接させるとともに、このローラーに帯電バイアス電圧を印加する。これにより、感光体ドラム1表面を一様に帯電させる。
【0174】
帯電ローラーを用いた時の好ましいプロセス条件としては、ローラーの当接圧が線圧として0.05乃至5N/cmである。また印加電圧としては、直流電圧或いは直流電圧に交流電圧を重畳したものが好適に用いられる。直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いた時には、交流電圧=0.5乃至5dVpp、交流周波数=50Hz乃至5kHz、直流電圧=±0.2乃至±1.5kVであることが好ましい。また、直流電圧を用いた時には、直流電圧=±0.2乃至±5kVであることが好ましい。
【0175】
帯電ローラー以外の帯電手段としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、非接触のコロナ帯電に比べて、高電圧が不必要になり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。接触帯電手段としての帯電ローラー及び帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜を設けても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)などが適用可能である。
【0176】
スキャナユニット3(3a、3b、3c、3d)は、レーザーダイオード(不図示)によって画像信号に対応する画像光が、高速回転されるポリゴンミラー(不図示)及び結像レンズ(不図示)を介して帯電済みの感光体ドラム1表面を画像情報に応じ露光する。これによって、感光体ドラムに静電潜像を形成する。
【0177】
現像手段4(4a、4b、4c、4d)は、マゼンタ色、シアン色、イエロー色、ブラック色の各色のトナーを夫々収納したトナー容器41から構成され、トナー容器41内のトナーを送り機構42によってトナー供給ローラー43へ送り込む。
【0178】
前記トナー供給ローラー43は、図示時計方向に回転し、トナー担持体としての現像ローラー40へのトナーの供給、及び、静電潜像の現像化に寄与せず現像ローラー40上に残留したトナーのはぎとりを行う。
【0179】
現像ローラー40へ供給されたトナーは、現像ローラー40外周に圧接されたトナー規制部材44によって現像ローラー40(時計回り方向に回転)の外周に塗布され、且つ電荷を付与される。そして、潜像が形成された感光体ドラム1と対向した現像ローラー40に現像バイアスを印加する。そして、潜像に応じて感光体ドラム1上にトナー現像を行う。
【0180】
転写装置5には、すべての感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)に対向し、接するように循環移動する静電転写ベルト11が設けられている。この転写ベルト11は、駆動ローラー13、従動ローラー14a、14b、テンションローラー15に張架されていて、図中左側の外周面に記録媒体Sを静電吸着する。そして、転写ベルト11は、感光体ドラム1に記録媒体Sを接触させるべく循環移動する。これにより、記録媒体Sは転写ベルト11により転写位置まで搬送され、感光体ドラム1上のトナー像を転写される。
【0181】
この転写ベルト11の内側に当接し、4個の感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)に対向した位置に転写ローラー12(12a、12b、12c、12d)が並設される。これら転写ローラー12には、転写時にバイアスが印加されて、電荷が静電転写ベルト11を介して記録媒体Sに印加される。このとき生じた電界により、感光体ドラム1に接触中の記録媒体Sに、感光体ドラム1上のトナー像が転写される。
【0182】
給送部16は、画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdに記録媒体Sを給送搬送するものである。給送部16には、複数枚の記録媒体Sがカセット17に収納されている。画像形成時には給送ローラー18(半月ローラー)、レジストローラー19が画像形成動作に応じて駆動回転する。給送ローラー18は、カセット17内の記録媒体Sを1枚毎に分離給送した後、レジストローラー19に記録媒体S先端を突き当てて一旦停止させる。その後レジストローラー19は、転写ベルト11の回転と画像書出し位置の同期をとって、記録媒体Sを静電転写ベルト11へと給送する。
【0183】
定着部20は、記録媒体Sに転写された複数色のトナー画像を定着させるものである。そして、定着部20は、加熱ローラー21aと、これに圧接して記録媒体Sに熱及び圧力を与える加圧ローラー21bとを有する。即ち、感光体ドラム1に形成されたトナー像を転写された記録媒体Sは定着部20を通過する際に、加圧ローラー21bで搬送されるとともに、加熱ローラー21aによって熱及び圧力を与えられる。これによって複数色のトナー像が記録媒体S表面に定着される。
【0184】
画像形成の動作としては、カートリッジ7(7a、7b、7c、7d)が、画像形成タイミングに合わせて順次駆動される。そして、その駆動に応じて感光体ドラム1a、1b、1c、1dが、反時計回り方向に回転駆動される。そして、各々のカートリッジ7に対応するスキャナユニット3が順次駆動される。この駆動により、帯電ローラー2は感光体ドラム1の周面に一様な電荷を付与する。そして、スキャナユニット3は、その感光体ドラム1周面に画像信号に応じて露光を行って感光体ドラム1周面に静電潜像を形成する。現像手段4内の現像ローラー40は、静電潜像の低電位部にトナーを転移させて感光体ドラム1周面上にトナー像を形成(現像)する。
【0185】
最上流の感光体ドラム1の周面上に形成されたトナー像の先端が、転写ベルト11との対向点に回転搬送されてくるタイミングで、その対向点に記録媒体Sの印字開始位置が一致するようにレジストローラー19が回転し記録媒体Sを転写ベルト11へ給送する。
【0186】
記録媒体Sは吸着ローラー22と転写ベルト11とによって挟み込むようにして転写ベルト11の外周に圧接される。そして、転写ベルト11と吸着ローラー22との間に電圧を印加する。そして、誘電体である記録媒体Sと転写ベルト11の誘電体層に電荷を誘起して、記録媒体Sを転写ベルト11の外周に静電吸着させている。これにより、記録媒体Sは静電転写ベルト11に安定して吸着され、最下流の転写部まで搬送される。
【0187】
このように搬送されながら記録媒体Sは、各感光体ドラム1と転写ローラー12との間に形成される電界によって、各感光体ドラム1のトナー像を順次転写される。
【0188】
4色のトナー像を転写された記録媒体Sは、ベルト駆動ローラー13の曲率により静電転写ベルト11から曲率分離され、定着部20に搬入される。記録媒体Sは、定着部20で上記トナー像を熱定着された後、排紙ローラー23によって、排紙部24から画像面を下にした状態で本体外に排出される。
【実施例】
【0189】
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。しかし、これは本発明をなんら限定するものではない。以下にイエロートナー粒子の製造方法について記載する。実施例中及び比較例中の部および%は特に断りがない場合、全て質量基準である。
【0190】
〈実施例1〉
60℃に加温したイオン交換水900部にリン酸三カルシウム9部、10%塩酸11部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて攪拌し、pH5.2の水系媒体を調製した。
【0191】
また、下記の材料をプロペラ式攪拌装置にて100r/minで均一に溶解混合して樹脂含有単量体を調製した。
スチレン 13.5部
n−ブチルアクリレート 28.0部
極性樹脂1:スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体 (共重合比=80.85:2.50:1.65:15.0、Mp=19,700、Mw=7,900、Tg=96℃、酸価=12.0mgKOH/g、Mw/Mn=2.1)
20.0部
【0192】
また、下記処方をアトライターで分散し、着色剤含有単量体を得た。
・スチレン 58.5部
・C.I.ピグメントイエロー74 6.5部
・帯電制御剤ボントロンE−88(オリエント化学社製) 1.0部
・スルホン酸基含有重合体(FCA1001NS(藤倉化成製)) 1.0部
【0193】
次に、前記着色剤含有単量体と前記樹脂顔料単量体を混合して調整液を得た後、前記調整液を60℃に加温し、そこに融点が77℃の炭化水素ワックス(HNP−51,日本精蝋社製):8部を添加した。次いで、前記調整液内に図3に示すような超音波発振装置を導入し、超音波照射部より超音波を、調整液中に2時間照射しながら分散・混合を行った。なお、超音波を発振するに際しては、超音波出力をA、超音波照射部面積をBとした時、超音波出力Aを4.8kW、A/Bを60.0W/cm2に設定する。また、超音波処理される着色剤含有重合性単量体組成物をC(kg)、超音波発生装置の合計出力をD(kW)とした時、C/Dを58kg/kWに設定し分散・混合を行った。
【0194】
これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8.0部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃にてTK式ホモミキサーを用いて10,000r/minで30分間攪拌し、造粒した。
【0195】
その後、プロペラ式攪拌装置に移して100r/minで攪拌しつつ、70℃で5時間反応させた後、80℃まで昇温し、更に5時間反応を行い、トナー粒子を製造した。重合反応終了後、該粒子を含むスラリーを室温(25℃)まで冷却し、該懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
【0196】
次に、上記粒子を温度40℃にて12時間乾燥して着色粒子を得、前記着色粒子を風力分級することにより粒度を調整しトナー粒子1を得た。
【0197】
上記トナー粒子100部と、外添剤としてBET値が150m2/gであり、一次粒径が10nmの疎水性シリカ微粉体2.0部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合してイエロートナー(A)を得た。イエロートナー(A)の物性を表1に示す。
【0198】
〈実施例2〉
実施例1において、極性樹脂としてTgが76℃のスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−ブチルアクリレート共重合体(スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/ブチルアクリレート=83.85/2.50/1.65/12.00)を20.0部添加すること以外は同様の方法によりイエロートナー(B)を得た。イエロートナー(B)の物性を表1に示す。
【0199】
〈実施例3〉
実施例1において、樹脂含有単量体を調製する際に、スチレンの添加量を18.5部、n−ブチルアクリレートの添加量を23.0部に変更したこと以外は同様の方法によりイエロートナー(C)を得た。イエロートナー(C)の物性を表1に示す。
【0200】
〈実施例4〉
実施例1において、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体を5.0部添加すること以外は同様の方法によりイエロートナー(D)を得た。イエロートナー(D)の物性を表1に示す。
【0201】
〈実施例5〉
実施例1において、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体を25.0部添加、超音波を照射する時間を2.5時間に変更した以外は同様の方法によりイエロートナー(E)を得た。イエロートナー(E)の物性を表1に示す。
【0202】
〈実施例6〉
実施例5において、超音波出力Aを2.8kW、A/Bを35.0W/cm2、C/Dを100kg/kWに設定し2時間照射して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(F)を得た。イエロートナー(F)の物性を表1に示す。
【0203】
〈実施例7〉
実施例6において、超音波照射を1時間照射して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(G)を得た。イエロートナー(G)の物性を表1に示す。
【0204】
〈実施例8〉
実施例5において、超音波出力Aを5.2kW、A/Bを65.0W/cm2、C/Dを54kg/kWに設定し3時間照射して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(H)を得た。イエロートナー(H)の物性を表1に示す。
【0205】
〈実施例9〉
実施例6において、超音波照射を0.5時間照射して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(I)を得た。イエロートナー(I)の物性を表1に示す。
【0206】
〈実施例10〉
実施例7において、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体を5.0部添加すること以外は同様の方法によりイエロートナー(J)を得た。イエロートナー(J)の物性を表1に示す。
【0207】
〈実施例11〉
実施例7において、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体を25.0部添加すること以外は同様の方法によりイエロートナー(K)を得た。イエロートナー(K)の物性を表1に示す。
【0208】
〈実施例12〉
実施例8において、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体を20.0部添加すること以外は同様の方法によりイエロートナー(L)を得た。トナー(L)の物性を表1に示す。
【0209】
〈実施例13〉
実施例1において、調製工程に図6に示す超音波発振装置を導入し、超音波出力Aを5.6kW、A/Bを330.0W/cm2、C/Dを50kg/kWに設定し2時間照射して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(M)を得た。イエロートナー(M)の物性を表1に示す。
【0210】
〈実施例14〉
実施例1において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを30m/s、スクリーン2の周速Fを30m/sに設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(N)を得た。イエロートナー(N)の物性を表1に示す。
【0211】
〈実施例15〉
実施例2において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを30m/s、スクリーン2の周速Fを30m/sに設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(O)を得た。イエロートナー(O)の物性を表1に示す。
【0212】
〈実施例16〉
実施例3において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを30m/s、スクリーン2の周速Fを30m/sに設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(P)を得た。イエロートナー(P)の物性を表1に示す。
【0213】
〈実施例17〉
実施例4において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを30m/s、スクリーン2の周速Fを30m/sに設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(Q)を得た。イエロートナー(Q)の物性を表1に示す。
【0214】
〈実施例18〉
実施例5において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを30m/s、スクリーン2の周速Fを30m/sに設定し3時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(R)を得た。イエロートナー(R)の物性を表1に示す。
【0215】
〈実施例19〉
実施例6において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを20m/s、スクリーン2の周速Fを20m/sに設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(S)を得た。イエロートナー(S)の物性を表1に示す。
【0216】
〈実施例20〉
実施例7において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを20m/s、スクリーン2の周速Fを20m/sに設定し1時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(T)を得た。イエロートナー(T)の物性を表1に示す。
【0217】
〈実施例21〉
実施例8において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを60m/s、スクリーン2の周速Fを60m/sに設定し1時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(U)を得た。イエロートナー(U)の物性を表1に示す。
【0218】
〈実施例22〉
実施例9において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを15m/s、スクリーン2の周速Fを15m/sに設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(V)を得た。イエロートナー(V)の物性を表1に示す。
【0219】
〈実施例23〉
実施例10において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを20m/s、スクリーン2の周速Fを20m/sに設定し1時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(W)を得た。イエロートナー(W)の物性を表1に示す。
【0220】
〈実施例24〉
実施例11において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを20m/s、スクリーン2の周速Fを20m/sに設定し1時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(X)を得た。イエロートナー(X)の物性を表1に示す。
【0221】
〈実施例25〉
実施例12において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを60m/s、スクリーン2の周速Fを60m/sに設定し1時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(Y)を得た。イエロートナー(Y)の物性を表1に示す。
【0222】
〈実施例26〉
実施例13において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図9に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを30m/s、スクリーン2の周速Fを30m/sに設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(Z)を得た。イエロートナー(Z)の物性を表1に示す。
【0223】
〈実施例27〉
実施例1において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す混合装置を導入し、回転子の周速Gを32m/s、に設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AA)を得た。イエロートナー(AA)の物性を表1に示す。
【0224】
〈実施例28〉
実施例2において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す混合装置を導入し、回転子の周速Gを32m/s、に設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AB)を得た。イエロートナー(AB)の物性を表1に示す。
【0225】
〈実施例29〉
実施例3において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを32m/s、に設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AC)を得た。イエロートナー(AC)の物性を表1に示す。
【0226】
〈実施例30〉
実施例4において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを32m/s、に設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AD)を得た。イエロートナー(AD)の物性を表1に示す。
【0227】
〈実施例31〉
実施例5において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを60m/s、に設定し1時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AE)を得た。イエロートナー(AE)の物性を表1に示す。
【0228】
〈実施例32〉
実施例6において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを32m/s、に設定し1時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AF)を得た。イエロートナー(AF)の物性を表1に示す。
【0229】
〈実施例33〉
実施例7において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを32m/s、に設定し0.5時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AG)を得た。イエロートナー(AG)の物性を表1に示す。
【0230】
〈実施例34〉
実施例8において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを60m/s、に設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AH)を得た。イエロートナー(AH)の物性を表1に示す。
【0231】
〈実施例35〉
実施例9において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを20m/s、に設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AI)を得た。イエロートナー(AI)の物性を表1に示す。
【0232】
〈実施例36〉
実施例10において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを32m/s、に設定し0.5時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AJ)を得た。イエロートナー(AJ)の物性を表1に示す。
【0233】
〈実施例37〉
実施例11において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを32m/s、に設定し0.5時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AK)を得た。イエロートナー(AK)の物性を表1に示す。
【0234】
〈実施例38〉
実施例12において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを60m/s、に設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AL)を得た。イエロートナー(AL)の物性を表1に示す。
【0235】
〈実施例39〉
実施例1において、調整工程で超音波発振装置の変わりに図20乃至22に示したエム・テクニック株式会社製のクレアSS5を用いて着色剤含有重合性単量体組成物を得た以外は同様の方法によりイエロートナー(AM)を得た。イエロートナー(AM)の物性を表1に示す。
【0236】
図20は実施例39で用いた分散装置の一部断面図である。図21は図20に示す分散機又は混合機の要部略断面図である。この分散機または混合機は第1ホルダ11と第1ホルダ11の前方(上方)に配置された第2ホルダ21と第2ホルダ21と共に第1ホルダ11を覆うケース3と、混合液又は被造粒液を本装置に供給するポンプの如き供給機構Pと、接面圧力付与機構4とを備える。第1ホルダ11には、第1処理リング10と、回転軸50が設けられている。第1処理リング10(メイティングリング)は、金属製の環状体(図22に示す)であり、鏡面加工された第1処理面1を有している。回転軸50は、第1ホルダ11の中心にボルトの如き固定具51に固定されており、その端部が電動機の如き回転駆動装置5(回転駆動機構)と接続され、回転駆動装置5の駆動力を第1ホルダ11に伝えて、該第1ホルダ11を回転させる。第1処理リング10は、回転軸50と同心に第1ホルダ11前部(上部)に取り付けられ、回転軸50の回転にて、第1ホルダ11と一体となって回転する。第1処理面1は、第1ホルダ11から露出して、第2ホルダ21側に対向している。ケース3は、排出部32を備えた有底の容器であり、その内部空間30に、上記の第1ホルダ11を収容している。
【0237】
第2ホルダ21には、第2処理リング20と、混合液又は被造粒液の導入部22と、接面圧力付与機構4とが設けられている。第2処理リング20(コンプレッションリング)は、金属製の環状体であり、固定されており、鏡面加工された第2処理面2と、第2処理面2の内側に位置して当該第2処理面2に隣接する受圧面23(以下、離反用調整面23と呼ぶ。)とを有している。図示の通り、この離反用調整面23は、傾斜面で形成されている。第2処理面2に施す鏡面加工は、第1処理面1と同様の方法が採用される。また、第2処理リング20の素材についても、第1処理リング10と同様のものが採用される。離反用調整面23は、環状の第2処理リング20の内周面と隣接する。
【0238】
接面圧力付与機構4は、第1処理面1に対して第2処理面2を、圧接又は近接した状態に押圧するものであり、流体圧力(ポンプの如き供給機構により生じる混合液への圧力)により、両処理面1、2間を離反させる力との均衡によって、薄い流体膜を発生させる。言い換えれば、薄い流体膜は両処理用面1、2の間隔を微小間隔に保っている。
【0239】
具体的には、この実施携帯において接面圧力付与機構4は、収容部41と、収容部41の置く(最深部)に設けられたスプリング受容部42と、スプリング43と、エア導入部44とにて構成されている。
【0240】
収容部41は、収容部41内の第2処理リング20の位置を深く或いは浅く(上下に)変位することが可能なように、第2処理リング20が設置されている。スプリング43の一端は、スプリング受容部42の奥に当接し、スプリング43の他端は、収容部42内の第2処理リング20の前部(上部)と当接する。
【0241】
図20において、上記の通りエア導入部44から、加圧された空気の如き加圧ガスを収容部41内に導入している。このような空気の如き加圧ガスの導入により、収容部41と第2処理リング20との間を加圧室として、スプリング43と共に、空気圧を押圧力として第2処理リング20に与えることができる。
【0242】
接面圧力付与機構4は、上記の押圧力(接面圧力)の一部を供給し調整する他、変位調整機構と、緩衝機構とを兼ねている。詳しくは、接面圧力付与機構4は、変位調整機構として、始動時や運転中の軸方向への伸びや磨耗による軸方向変位にも、空気圧調整によって追従し、当初の押圧力を維持できる。また、接面圧力付与機構4は、上記の通り、第2処理リング20を変位可能に保持するフローティング機構を採用することによって、微振動や回転アライメントの緩衝機構としても機能するものである。
【0243】
また、接面圧力付与機構4は、収容部41内における第2処理リング20の上部と、収容部41の最上部との間に余裕があっても、スプリング43が第1処理面1と第2処理面2との間の隙間の幅の上限を規定する。接面圧力付与機構4は、第1処理面1と第2処理面2の規定を超える離反を抑止する離反抑止部として機能する。
【0244】
また、第1処理面1と第2処理面2とが当接していなくても、スプリング43が第1処理面1と第2処理面2との間の隙間の幅の下限を規定する。第1処理面1と第2処理面2の規定未満の近接を抑止する近接抑止部として機能する。
【0245】
この分散・混合装置を用いて、第1処理リングの回転数を8000rpmに設定し、エア導入部44に600kPaの圧縮空気を導入して第1処理リング10と第2処理リング20の間の面圧を調整後、調製液を導入部22を介してポンプを用いて分散機に導入し、2時間混合を実施した。
【0246】
〈比較例1〉
実施例1において、調製工程で超音波発振装置を使わずに、樹脂含有単量体を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(a)を得た。イエロートナー(a)の物性を表1に示す。
【0247】
〈比較例2〉
実施例1において、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体を10.0部添加し、調製工程で超音波発振装置を使わずに、着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(b)を得た。イエロートナー(b)の物性を表1に示す。
【0248】
〈比較例3〉
実施例1において、ジビニルベンゼンを1.0部添加し、調製工程で超音波発振装置を使わずに、着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(c)を得た。イエロートナー(c)の物性を表1に示す。
【0249】
〈比較例4〉
実施例1において、樹脂含有単量体を調製する際に、スチレンの添加量を25.5部、n−ブチルアクリレートの添加量を16.0部に変更し、超音波発振装置を使わずに着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(d)を得た。イエロートナー(d)の物性を表1に示す。
【0250】
〈比較例5〉
実施例1において、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体を5.0質量部添加し、調製工程で超音波発振装置を使わずに、着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(e)を得た。イエロートナー(e)の物性を表1に示す。
【0251】
【表1】
【0252】
以下に本発明の評価方法および評価基準について説明する。
【0253】
画像形成装置としては市販のレーザプリンタであるLBP−5400(キヤノン製)の改造機を用いた。
【0254】
評価機の改造点は以下のとおりである。
(1)評価機本体のギアおよびソフトウエアを変更することにより、プロセススピードが190mm/secとなるようにした。
【0255】
評価に用いるカートリッジはイエローカートリッジを用いた。すなわち、市販のイエローカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、本発明によるトナーを充填して評価を行った。なお、マゼンタ、シアン、ブラックの各ステーションにはそれぞれ製品トナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたマゼンタ、シアン、およびブラックカートリッジを挿入して評価を行った。
【0256】
<現像性に関する評価>
上記LBP−5400(キヤノン製)の改造機において、現像器に実施例及び比較例記載のトナーを200g充填したものを作り、高温高湿(温度30.0℃,湿度85%RH)環境下にて24時間放置する。この際、転写紙も同様に放置する。転写紙としてはXerox4200(ゼロックス社製)(75g/m2紙)を用いた。その後、高温高湿(温度30.0℃,湿度85%RH)環境下にて、1%の印字比率の画像を10000枚まで間歇モード(1枚印刷する毎に10秒間現像器を休止させ、再起動時の現像装置の予備動作でトナーの劣化を促進させるモード)でプリントアウトした。その際、初期と5000枚後耐久後と10000枚耐久後に以下の項目について画像評価を行った。
【0257】
(画像濃度)
画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。下記の基準A,BおよびCは使用上問題とならないレベルであるが、Dは使用上問題となるレベルである。
A:1.40以上
B:1.30以上1.40未満
C:1.20以上1.30未満
D:1.10以上1.20未満
【0258】
(カブリ)
カブリの評価方法は白地部分を有する画像を出力し、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度(反射率Ds(%))と転写紙の白色度(平均反射率Dr(%))の差から、カブリ濃度(%)(=Dr(%)−Ds(%))を算出し、耐久評価終了時の画像カブリを評価した。フィルターは、ブルーライトフィルターを用いた。下記の基準A,BおよびCは使用上問題とならないレベルであるが、Dは使用上問題となるレベルである。
A:0.5%未満
B:0.5%以上1.0%未満
C:1.0%以上1.5%未満
D:1.5%以上5.0%未満
【0259】
(転写性)
転写性の評価は初期と5000枚後及び初期と10000枚後耐久後の転写効率を測定することで行った。転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をE、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をDとし、近似的に以下の式で計算した。
【0260】
【数1】
【0261】
転写性の基準は上記により求めた転写効率を以下の基準に基づいて判断した。
A:非常に良好(97%以上)
B:良好 (94乃至97%未満)
C:実用可 (90乃至94%未満)
D:実用不可 (90%未満)
【0262】
転写効率は90%以上であれば問題のない画像である。
【0263】
(帯電均一性)
帯電均一性は以下に示す評価を行った。初期と5000枚後及び初期と10000枚後のカートリッジ内トナーの粒度分布測定を前述の重量平均粒径(D4)の測定方法に則って行い、得られた各々の重量平均粒径(D4)から下記式を基にその粒度変化率を算出して下記基準に基づいて評価を行った。
初期の重量平均粒径(D4)/5000枚後(又は10000枚後)の重量平均粒径(D4)×100=粒度変化率(%)
A:95≦粒度変化率(%)≦100
B:85≦粒度変化率(%)<95
C:75≦粒度変化率(%)<85
D:粒度変化率(%)<75
【0264】
Aが最もよく、Dが最も悪い。
【0265】
(帯電の立ち上がり)
トナーの帯電立ち上がりは、プリントの1枚目から20枚目までのベタのパッチ画像の濃度変化(マクベス反射濃度計で測定)で下記の基準で判断した。
A:濃度1.4に至るまでの枚数が5枚以下
B:濃度1.4に至るまでの枚数が6乃至10枚
C:濃度1.4に至るまでの枚数が11乃至20枚
D:濃度1.4に至るまでの枚数が21枚以上
(部材汚染)
部材汚染は、現像剤担持体表面へのトナーや外添剤の固着の様子と、得られた画像への影響を目視で観察して、以下の基準で評価した。
A:未発生(固着なし)
B:固着がやや発生しているものの、画像への影響は少ない
C:固着があり、これによる画像ムラが僅かに生じているが実用上は問題が少ない。
D:固着が多量にあり、これによる画像ムラが生じている。実用上にも問題がある。
【0266】
(トナー飛散による本体・カートリッジ内の汚染)
トナーの帯電性・流動性のバランスを評価するためにカートリッジ、本体内カートリッジ周辺のトナーによる汚れ具合を観察した。
A:カートリッジ、本体内カートリッジ周辺のトナーによる汚れが全く観察されない。
B:カートリッジに微量のトナーによる汚れが観察される。
C:カートリッジ、本体内カートリッジ周辺のトナーによる汚れが観察されるが、画像・ カートリッジの着脱には影響しない。
D:カートリッジ、本体内カートリッジ周辺がトナーによって著しく汚れ、画像・カート リッジの着脱にも悪影響が見られる。
【0267】
〔評価試験1乃至39、及び比較評価試験1乃至5〕
イエロートナー(A)乃至(AM)、及び、イエロートナー(a)乃至(e)について上記評価を実施した結果を表2に示す。
【0268】
【表2】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、及びトナージェット法の如き記録方法に用いられるイエロートナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真法は、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成後、前記潜像をトナーにより現像してトナー画像を形成し、紙の如き記録材(転写材)にトナー画像を転写させ、熱・圧力により記録材上にトナー画像を定着してプリント又は複写物を得るものである。
【0003】
近年、コンピュータ及びマルチメディアの発達により、オフィスから家庭まで幅広い分野で、更なる高速化や高精細フルカラー画像を出力する手段が要望されている。ヘビーユーザーには、多数枚の複写又はプリントを高速で行っても画質低下のない高耐久性を要求されている。一方で、スモールオフィスや家庭では、高画質な画像を得ると共に、様々な環境下での高耐久性が要望されている。しかし、高速化によってトナーへの負荷は大きくなり、トナー粒子の劣化により現像性や転写性の低下が発生しやすい。
【0004】
またカラー画像は、一般にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを適宜重ねて現像することにより形成されるため、各色のトナーには単色のときよりも高い現像特性が求められる。即ち、静電荷像を忠実に現像することができ、飛び散ることなく転写材に確実に転写され、容易に紙の如き転写材に定着されるトナーが求められている。
【0005】
一方、デジタルフルカラー複写機やプリンターにおいては、まず、色画像原稿をB(ブルー)、G(グリーン)、R(レッド)の各色フィルターで色分解する。その後、オリジナル画像に対応した20μm乃至70μmのドット径からなる潜像をY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各色現像剤を用い現像する。そのため、各色の現像剤中の着色剤が画質に大きな影響を与えることになる。
【0006】
塗料分野においてイエロー着色剤は、人間の感度に対し他色と同等の印象を与えるために、高隠蔽性、高着色力が求められ、一次粒子径の大きい着色剤が多く用いられてきた。一方、トナー分野においては、トナー中に添加される着色剤の重要な要素として、着色力のみならず、透明性が良好であること等が挙げられている。そのため、塗料分野で好んで用いられる一次粒子径の大きい着色剤は、これらの要素を同時に満たすことが難しく、これまでに様々な検討がなされてきている。
【0007】
イエロートナーにおいて透明性が良好であるためには、着色剤自体の一次粒子径が小さいこと、また、トナー中での着色剤平均粒子径が小さいことが重要である。しかしながら、着色剤の一次粒子径が小さいと、着色剤自体がトナー中で凝集してしまうといった弊害が起こりやすく、その場合、現像性の悪化や、トナーの光透過性の悪化によりOHP(オーバーヘッドプロジェクタ)透明性が悪くなる。こういった問題を解決するために、トナー中での着色剤の凝集を抑制し均一に分散させる工夫がなされてきた。
【0008】
一般的に粒子径の小さい着色剤粒子を含有するトナーは、着色力が低下しがちである。しかし特許文献1によると、カラーインデックスにおいてC.I.ピグメントイエロー74で示される顔料は、一次粒子径は小さいが強力な着色力を持つ。トナー粒子中の顔料の分散状態を良好なものとし、且つ、良好な透明性と共に十分な着色力を有することで、透明性及び着色力について優れたトナーが得られることが提案されている。しかしながら、この顔料を用いた場合、透明性を十分に満足させるトナーを得るには乳化凝集法によるトナーの製造方法のみに限定され、透明性、着色力及び現像性において優れた顔料を使いこなすまでに至っていない。
【0009】
また、トナー粒子の耐久性を向上させるためには、トナー1粒単位の耐久性を議論することが必要となり、トナー1粒単位の硬度(微小圧縮硬度)が有効な指標となる。トナー1粒単位の硬度(微小圧縮硬度)は、トナーの変形度合い(弾性・塑性)を示す。従って、接触転写のように圧がかかりトナーが変形し得る転写工程においては、トナーの微小圧縮硬度は、耐久性に加え、転写性に対しても有効な指標となり得る。
【0010】
例えば、微小圧縮試験の荷重−変位曲線が変曲点を有し、且つ、その変曲点の荷重が現像装置内で受ける負荷よりも大きいトナーを用いることにより、耐久性に優れ、定着工程では簡単に圧裂することで定着性を満足することが開示されている(特許文献2)。しかしながら、これらのトナーは、現像装置内の温度変化が起きた場合、装置内で受ける負荷によるトナーの耐久性が損なわれ、帯電特性が悪化する可能性がある。
【0011】
また、電子写真法を用いた複写装置やプリンターはより高速化、高画質化が求められ、装置のプロセススピードは加速する一方であるが、トナーへの負荷は大きくなり、トナー粒子の劣化による帯電性の低下により、現像性や転写性の低下が発生しやすい。そのため各環境で高精細なカラー画像を得るには、高帯電性を得ることが必要であり、トナーの誘電正接の値が重要となってくる。
【0012】
特許文献3にはブラックトナーとカラートナーの誘電正接を特定の範囲に規定することで現像性や転写性に優れたトナーを得ることが開示されている。確かに周波数100kHzにおけるトナーの誘電正接を規定することで、現像性や転写性は良好になる。しかし、より高速域でプリントアウトを行った場合、耐久性が悪化する傾向があり、更なるプリントアウトの高速化における現像性と転写性、耐久性向上に対応していくためには未だ不十分であり、更なる改善が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−228653号公報
【特許文献2】特開2005−300937号公報
【特許文献3】特開2006−078610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、帯電安定性、現像性が向上し、多数枚のプリントアウトを行っても安定した現像性、転写性を維持できるイエロートナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、結着樹脂、離型剤、極性樹脂及び着色剤を少なくとも含有するイエロートナー粒子と無機微粉体とを有するイエロートナーであって、
前記着色剤としてC.I.Pigment Yellow 74を含有し、
前記イエロートナーに対する微小圧縮試験において、測定温度25℃で、前記トナー1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで2.94×10-4Nの最大荷重をトナーにかけ終えたときに得られる変位量(μm)を変位量X1、前記最大荷重をかけ終えた後、前記最大荷重で0.1秒間放置して得られる変位量(μm)を最大変位量X2、前記0.1秒間放置後、除荷速度9.8×10-5N/secで除荷し、荷重が0となったときに得られる変位量(μm)を変位量X3、前記最大変位量X2と変位量X3との差を弾性変位量(X2−X3)とし、前記弾性変位量(X2−X3)の前記最大変位量X2に対する百分率[{(X2−X3)/X2}×100:復元率]をZ(25)(%)としたときに、Z(25)は、40%以上80%以下の関係を満足し、
前記トナーにおける周波数100kHzで測定した温度30℃での誘電正接tanδをαとしたときαは0.0010以上0.0030以下を満足することを特徴とするイエロートナーに関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、トナーに対する微小圧縮試験において、特定の荷重−変位曲線を有することで耐久性が向上し、周波数100kHzで測定したtanδの値が特定の範囲を有することで帯電性が向上する。これにより高速で多数枚のプリントアウトを行っても安定して高精細及び高画質の画像を出力し続けられる、高耐久性を有するイエロートナーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】トナー微小圧縮試験における荷重−変位曲線である。
【図2】トナーの誘電正接測定における温度−誘電正接曲線である。
【図3】本発明における超音波発振装置の一実施形態の拡大断面図である。
【図4】本発明における超音波発振装置の一実施形態のシステム図である。
【図5】本発明における超音波発振装置の一実施形態のシステム図である。
【図6】本発明における超音波発振装置の一実施形態の拡大断面図である。
【図7】本発明における超音波発振装置の一実施形態のシステム図である。
【図8】本発明における超音波発振装置の一実施形態のシステム図である。
【図9】本発明における高速回転する攪拌羽根と逆方向に高速回転するスクリーンを具備した攪拌装置の一実施形態の断面図である。
【図10】図9の拡大図である。
【図11】本発明における図9の攪拌装置を循環経路の中に組み込んだ一実施形態のシステム図である。
【図12】本発明における回転子、固定子を具備する分散装置と冷却手段とホールディングタンクと循環ポンプを使用した一実施形態のシステム図である。
【図13】図12の分散装置の断面図である。
【図14】図12中のA−A’線に沿うケーシング内の断面図である。
【図15】図12中のB−B’線に沿うケーシング内の断面図である。
【図16】分散装置における回転子の斜視図である。
【図17】分散装置における固定子の斜視図である。
【図18】本発明に係わるプロセスカートリッジの断面説明図である。
【図19】本発明の画像形成方法を実施する装置の一例の概略構成図である。
【図20】本発明における実施例39で用いた分散装置の一部断面図である。
【図21】図20の分散装置の要部略断面図である。
【図22】図20の分散装置の要部略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は結着樹脂、離型剤、極性樹脂及び着色剤を少なくとも含有するイエロートナー粒子と無機微粉体とを有するイエロートナーであって、前記着色剤としてC.I.Pigment Yellow 74を含有し、前記トナーに対する微小圧縮試験において、測定温度25℃で、前記トナー1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで2.94×10-4Nの最大荷重をトナーにかけ終えたときに得られる変位量(μm)を変位量X1、前記最大荷重をかけ終えた後、前記最大荷重で0.1秒間放置して得られる変位量(μm)を最大変位量X2、前記0.1秒間放置後、除荷速度9.8×10-5N/secで除荷し、荷重が0となったときに得られる変位量(μm)を変位量X3、前記最大変位量X2と変位量X3との差を弾性変位量(X2−X3)とし、前記弾性変位量(X2−X3)の前記最大変位量X2に対する百分率[{(X2−X3)/X2}×100:復元率]をZ(25)(%)としたときに、Z(25)は、40%以上80%以下の関係を満足し、前記トナーにおける周波数100kHzで測定した温度30℃での誘電正接tanδをαとしたとき、αは0.0010以上0.0030以下を満足することを特徴とする。
【0019】
本発明のイエロートナーの着色剤には、良好な透明性と共に十分な着色剤を有するという観点から、C.I.Pigment Yellow 74が用いられる。
【0020】
C.I.Pigment Yellow 74は、熱に弱く、粉砕法によるトナー製造法では、溶融混練時の温度において顔料の構造が変化し色相角の変動が生じる。これに対して構造が変化するほどの熱を必要としない水系媒体中でのトナー製造方法はC.I.Pigment Yellow 74を使用する場合には有利である。特に懸濁重合法は、昨今の現像性や定着性の高い要求に答えるためのトナー特性を発現しやすく好ましい。しかしながらC.I.Pigment Yellow 74は、水系中への分散性が良好な着色剤である。水系中への分散が良好である着色剤は、樹脂中への分散性が劣り、均一に存在することが出来ない。その結果、トナーの帯電性の低下や、現像部材への汚染による現像特性の低下を生じてしまう。さらに連続プリントにおいて、定着部材への汚染も併発し定着特性も悪化させてしまう。
【0021】
本発明者らは、C.I.Pigment Yellow 74を用い、トナーに対する微小圧縮試験において上記Z(25)の値と上記αの値を特定の範囲にした場合、C.I.Pigment Yellow 74の特徴である高着色力を維持しながら、高速で長期に渡ってプリントしても高精細及び高画質の画像を出力し続けられる、高耐久性を有するイエロートナーを得ることができることを見出した。
【0022】
上記Z(25)の値は、例えば、下記手法を用いることで上記関係を満足させることが可能であるがこれらに限定されない。
(1)トナー粒子を水系媒体中で製造する場合は、トナー粒子に後述する極性樹脂を含有させ、極性樹脂によるシェル層を形成させる。更に、前記極性樹脂は、コア層を形成する結着樹脂との相溶性を考慮して選定する。
(2)トナー粒子を水系媒体中でコア粒子を製造した後、極性樹脂を構成するモノマーを添加してシード重合することによりシェル層を形成する。
(3)コア粒子よりも体積平均粒子径が小さい極性樹脂微粒子をコア粒子に機械的に付着させる。或いは水系媒体中で体積平均粒子径が小さい極性樹脂微粒子をコア粒子に凝集により付着させ加熱により固着させる。
【0023】
上述した手法により、トナー粒子がコアシェル構造をとることで、最適な硬さのシェル層を有することができ耐久性が向上する。
【0024】
本発明におけるトナーに対する微小圧縮試験は、トナー1粒子に対して最大荷重2.94×10-4Nという従来の測定法と比較して小さな荷重をかけて評価を行うことでトナーの表面近傍の硬さ、復元率を測定するものである。
【0025】
即ち、本発明のトナーにおいて、Z(25)の値は測定温度25℃において最大荷重をかけた後に除荷した場合に、どの程度トナー表層がもとの状態に戻ろうとするかを表す指標である。Z(25)の値が40未満の場合、現像機装置内で受けるストレスによってトナーが変形しやすくなり、トナー中に外添剤が埋め込まれ現像性及び転写性が低下しやすい。一方、Z(25)の値が80を超えると、トナー表層近傍は変形しにくくなるため、トナー粒子表面に外添剤が付着しにくく、多数枚のプリントアウトを行うとトナー表面の外添剤が遊離しやすくなり、現像性や転写性が低下する傾向がある。
【0026】
一方、本発明のトナーにおいて、周波数100kHzで測定した温度30℃での誘電正接tanδをαとしたとき、αはトナーの帯電特性を意味する。αが0.0010より小さい場合、トナーの過帯電が促進され易くなるために画像濃度薄や濃度ムラ、遮蔽部材にトナーが蓄積することによるボタ落ちが発生しやすくなる。αが0.0030より大きい場合、トナーの帯電量の減衰が多くなり、トナー飛散やカブリの発生、転写性の悪化といった弊害を生じる。
【0027】
本発明のトナーの比誘電率及び誘電正接tanδは、トナー中に含有される顔料や荷電制御剤の種類、添加量、分散状態により変化させることが可能である。
【0028】
更に耐久性を向上させるためには、周波数100kHzで測定した温度60℃での誘電正接tanδをβとしたとき、ベータの値が0.0010以上0.0040以下であることが必要である。βは高温下での帯電特性を意味する。
【0029】
高温下で高速で多数枚プリントアウトしたとき、プリンター本体内は60℃付近まで温度が上昇する場合がある。このときβが0.0010より小さい場合、帯電量分布が広くなりすぎ、かぶりや飛散、画像濃度薄や現像剤担持体上のコート不良等の弊害を生じ、βが0.0040より大きい場合、高湿環境下でのトナー飛散やカブリの発生、転写性の悪化といった弊害を生じる。
【0030】
また、本発明のトナーは、前記微小圧縮試験において、測定温度50℃で、トナー1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで2.94×10-4Nの最大荷重をかけ終えたときに得られる変位量(μm)を変位量X’1、最大荷重をかけ終えた後、前記最大荷重で0.1秒間放置して得られる変位量(μm)を最大変位量X’2、0.1秒間放置後、除荷速度9.8×10-5N/secで除荷し、荷重が0となったときに得られる変位量(μm)を変位量X’3、最大変位量X’2と変位量X’3との差を弾性変位量(X’2−X’3)とし、弾性変位量(X’2−X’3)の最大変位量X’2に対する百分率[(X’2−X’3)/X’2×100:復元率]をZ(50)(%)としたときに、Z(50)が、10%以上55%以下の関係を満足することが好ましい。前記関係を満足することで、トナーが高温下でも適度な硬さをもち、耐久性が向上する。
【0031】
上記Z(50)は、例えば、懸濁重合法においては、極性樹脂やトナーの結着樹脂のガラス転移温度や重量平均分子量、或いは架橋剤の添加等を調節することで上記範囲を満たすことが可能である。
【0032】
次に、図1を参照しながら微小圧縮試験の測定方法について説明する。
【0033】
図1は微小圧縮試験で本発明のトナーを測定した際のプロファイル(荷重−変位曲線)であり、横軸はトナーが変形した変位量、縦軸はトナーにかけている荷重量を表している。
【0034】
本発明における微小圧縮試験は、(株)エリオニクス製 超微小硬度計ENT1100を用いた。使用圧子は20μm×20μm四方の平圧子を用いて測定した。図中の1−1は試験を始める前の最初の状態(原点)であり、最大荷重2.94×10-4Nに対し、9.8×10-5N/secの負荷速度で荷重を掛ける。最大荷重に到達直後は1−2の状態であり、このときの変位量をX1(μm)とする。1−2の状態で0.1秒間、その荷重で放置する。放置終了直後の状態が1−3を示しており、このときの最大変位量をX2(μm)とし、さらに最大荷重を経て9.8×10-5N/secの除荷速度で荷重を減らし、荷重が0 Nになったときが1−4の状態である。このときの変位量をX3(μm)とする。
【0035】
弾性変位量(X2−X3)の最大変位量X2に対する百分率(以下、復元率(%)とも称する)を示すZ(25)は{(X2−X3)/X2}×100として求めた。更にZ(50)の値は、トナーに対する微小圧縮試験において、測定温度50℃で測定することを除いて、上記Z(25)の測定方法と同様にして得られた最大変位量X’2及び変位量X’3から求められた値である。
【0036】
実際の測定は、セラミックセル上にトナーを塗布し、トナーがセラミックセル上に分散するようにエアーを吹き付けた後に、そのセラミックセルを超微小硬度計にセットして測定する。
【0037】
また、測定の際にはセラミックセルを温度制御が可能な状態にし、このセラミックセルの温度を測定温度とした。すなわちZ(25)はセルの温度を25℃として測定し、Z(50)はセルの温度を50℃として測定した。なお、セラミックセルの温度調整は、セラミックセルを超微小硬度計に設置し、セラミックセルが測定温度に到達してから10分以上放置した後、測定を開始した。
【0038】
測定は超微小硬度計に付帯する顕微鏡を覗きながら測定用画面(横幅:160μm 縦幅:120μm)にトナーが1粒子で存在しているもの選択した。変位量の誤差を極力無くすため、トナーの個数平均粒径D1の±0.20μmのものを選択して測定した。なお、測定用画面から任意のトナーを選択するが、測定画面上でのトナーの粒子径の測定手段は超微小硬度計ENT1100付帯のソフトを用いてトナー粒子の長径と短径を測定した。それらから求められるアスペクト比[(長径+短径)/2]の値がD1の±0.20μmとなるトナーを選択して測定した。
【0039】
測定データに関しては任意の粒子100個を選んで測定し、測定結果として得られたZ(25)及びZ(50)の平均値を求めた。
【0040】
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
【0041】
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
【0042】
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行った。
【0043】
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
【0044】
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
【0045】
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。また前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
【0046】
次に、誘電正接tanδの測定方法について説明する。
【0047】
4284AプレシジョンLCRメーター(ヒューレット・パッカード社製)を用いて、周波数100kHzにおける複素誘電率の測定値から誘電正接(tanδ=ε”/ε’)を算出する。
【0048】
トナーを0.5g秤量し、21560kPa(220kg/cm2)の荷重を1分間かけて、直径25mm,厚さ1mm以下(好ましくは0.5〜0.9mm)の円盤状の測定試料に成型する。この測定試料を直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着したARES(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)に装着する。その後、0.49N(50g)の荷重をかけた状態で周波数を一定として、温度30℃から毎分5℃の昇温速度で30秒毎に測定値を取り込みながら、温度140℃まで加熱する。これにより得られたトナーの温度−誘電正接曲線は、図2のような曲線となる。この曲線から30℃と60℃のtanδの値を読み取り、α、βの値を得た。
【0049】
本発明に用いられるトナー粒子の製造法は特に限定されるものではなく、従来のトナー製造方法により作製することが可能である。すなわち、混練、粉砕、分級工程を経てトナーを作製する粉砕法や、懸濁重合法、乳化重合法、懸濁造粒法の如き、水系媒体中で造粒する製造法で作製することが可能である。
【0050】
これらの中で、本発明の作用効果を発揮しやすいものとして、特に懸濁重合法が好ましい。この懸濁重合法においては、重合性単量体にワックス及び着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、帯電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて重合性単量体組成物とする。その後、この重合性単量体組成物を分散剤が含有する水系媒体中に適当な撹拌器を用いて分散し、そして重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。上記重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。上記トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、必要により流動性向上剤を混合し表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。
【0051】
また、本発明のイエロートナーは以下のいずれかの方法により重合性単量体組成物を混合して得られるものであることが好ましい形態である。
(1)重合性単量体に少なくとも着色剤を分散させ着色剤含有単量体を得る分散工程、重合性単量体に少なくとも樹脂を溶解させ樹脂含有単量体を得る溶解工程、得られた着色剤含有単量体と樹脂含有単量体とを混合し調整液を得る調整工程を有している。そして前記調整液を水系分散体に分散して重合性単量体組成物の粒子を生成する造粒工程を少なくとも有するトナー粒子の製造方法で得られるイエロートナーである。前記調整工程は、超音波発振装置を用いて行うことにより、前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合し調整液を得ることを特徴とする。
(2)前記調整工程が、液中において高速せん断力を有する攪拌装置で前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合し調整液を得ることを特徴とする製造方法で得られるイエロートナーである。前記攪拌装置は、高速回転する攪拌羽根と前記攪拌羽根の周囲に前記攪拌羽根と逆方向に高速回転するスクリーンによって形成される攪拌室とを備えている。そして前記攪拌室から調整液が噴出するように構成されていることにより前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合し調整液を得ることを特徴とする。
(3)前記調整工程が、複数のスリットを具備するリング状の突起が同心円上に多段に形成された回転子と同様の形状の固定子が一定間隔を保ち、相互に噛み合うように同軸上に設置された混合装置により調整液を得ることを特徴とする製造方法で得られるイエロートナーである。前記混合装置は装置内に前記調整液を導入と排出を繰り返して循環させ、前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合して調整液を得ることを特徴とする。
【0052】
重合性単量体に少なくとも着色剤を分散させた着色剤含有単量体と重合性単量体に少なくとも樹脂を溶解させた樹脂含有単量体を混合させて前記重合性単量体組成物を得る場合、前記超音波発振装置、攪拌装置及び混合装置を用いて行う。これにより前記重合性単量体組成物を得る工程における着色剤のピグメントショックを抑制し、かつ従来に比べ、極性樹脂や各種材料を均一に混合させ、更には着色剤を微細でかつ均一な状態に分散させることが可能となる。そして、そのようにして得られた重合性単量体組成物を用いて重合反応を行うことにより、トナー表面及び表面近傍の極性樹脂の存在状態から内部構造における着色剤の存在状態まで均一になりやすい。そのため、本発明のトナーの耐久性が向上し、部材汚染も生じづらくなるだけでなく、更には帯電性が高く、均一になりやすくなる。
【0053】
以下に本発明に好ましく使用される超音波発振装置について説明する。
【0054】
図3は超音波発振装置の拡大断面図、図4は装置本体を組み込んだシステム図である。
【0055】
図3について以下に説明する。
(1):超音波発振機、(2):超音波振動子、(3):超音波照射部である。
【0056】
図4について以下に説明する。
(11):分散タンク。
(12):溶解タンク。
(13):調整タンク、(13−1):送液ポンプ、(13−2):圧力計、(13−3):温度計、(13−4):撹拌装置、(13−5):背圧弁、(13−6):循環ラインである。
(14):超音波発振機、(14−1)超音波振動子、(14−2):上部に処理物の流入口を有し、下部に処理物の流出口を有する超音波処理室である。
【0057】
また、(11):分散タンク、(12):調整タンク、(13):溶解タンク、(14−2):超音波処理室は、ジャケット構造であるため、処理物の冷却・加熱が可能である。
【0058】
図5は、超音波装置が直列に2ケ設置されている。その他は、図4と同等の装置構成である。
【0059】
図6は本発明に使用可能な他の超音波発振装置の拡大断面図、図7は図6の超音波発振装置を組み込んだシステム図である。
【0060】
また、図4のシステムは本発明の一例であって、調整タンクは分散タンクまたは溶解タンクと兼用しても良い。その一例を図8に示す。
【0061】
以下に、更に詳細に説明する。
【0062】
図4は装置本体を組み込んだシステム図である。分散タンク(11)より、重合性単量体に少なくとも着色剤が分散している着色剤含有単量体を、溶解工程(12)より、重合性単量体に少なくとも樹脂が溶解している樹脂含有単量体を、調整タンク(13)内に投入する。撹拌装置(13−4)により撹拌を行ないながら、ポンプ(13−1)を運転し、循環ライン(13−6)、超音波処理室(14−2)内に処理物を循環させ、超音波発振装置を始動させる。また、超音波分散時は、調整タンク(13)及び超音波処理室(14−2)のジャケットにより、処理物は、任意の温度に調整される。
【0063】
本発明に用いられる超音波発振装置の形状の一例を、図3及び図6に示す。本発明に好ましく用いられる超音波発振装置は、図3の様に円周方向に同心円状の凸部を複数有している円柱状の構造を有する超音波を照射するための振動子を有していることである。この構造は、処理物が超音波処理室(14−2)内を通過する時、超音波照射部の段数に相当する回数分を超音波処理されるため、処理物の分散ムラが非常に少なく、均一でかつ従来に比べ短時間で所定の分散状態に達することができる。
【0064】
ついで、ポンプ(13−1)、超音波処理室(14−2)内の圧力を調節する背圧弁(13−5)により、循環量と超音波処理室(14−2)内の圧力を調整する。処理物中の微小な気泡は、振動子の動きに伴い、膨張と収縮を繰り返す。この時、真空状態近くまで、減圧され膨張した微小気泡が、再び加圧され、崩壊する時キャビテーションが生じる。このキャビテーションの効果は、圧力差が大きいほど有効であるため、超音波処理室(14−2)内の圧力は、最適な加圧状態に徴することが好ましい。すなわち、前記調整工程時の超音波処理室(14−2)内の圧力は、20kPa以上200kPa以下の範囲であることが好ましい。20kPa未満では、処理物(49)内に含まれる気泡の収縮、分裂にエネルギーが吸収されるため分散の効率が低下し好ましくない。200kPa超では、超音波発振装置が過負荷状態に陥りやすく、安全性および装置信頼性の面で好ましくない。
【0065】
前記調整工程時、前記超音波処理された処理物が、前記調整タンク内部へ再び排出される部分が、前記調整タンク内の処理物中に位置し、超音波処理された処理物が、気体を巻き込まずに処理物中に戻ることが好ましい。処理物の発泡は、超音波処理の効率を低下すると同時に、次工程である造粒工程においても、悪影響を与える。すなわち、調整液を水系分散体に分散して重合性単量体組成物の粒子を生成する造粒工程において、発泡により調整液中に気泡が混入していると、気泡の収縮・膨張に粒子生成のためのせん断力が吸収され、粒度分布のブロード化の原因になるため好ましくない。
【0066】
前記調整工程において、前記超音波発振装置1台当たりの出力をA(W)、前記超音波発振装置1台当たりの超音波照射部面積をB(cm2)とした時、A≧2000かつ、A/Bが25≦A/B≦70の範囲であることが好ましい。Aが2000未満では、量産機としてスケールが小さすぎるため、設置台数が多くなり、メンテナンス性の悪化及び設置スペース増加により、生産効率が低いため、好ましくない。A/Bが25未満では超音波のエネルギーが小さく、分散効率が悪く、70超ではエロージョンによる振動子の消耗が激しく、消耗に伴う出力の変化による、品質の振れの増大、及び製品へのコンタミネーションが大きく、好ましくない。
【0067】
前記調整工程において超音波処理される調整液量をC(kg)、超音波発振装置の合計出力をD(kW)とした時、50≦C/D≦200の範囲であることが好ましい。C/Dが200超の領域では、照射エネルギーが小さすぎるため、所望の分散レベルを達成するのが困難である。また、50未満では、分散状態が飽和傾向示し、過剰エネルギーとなるため、省エネ上好ましくない。
【0068】
本発明において、スケールUP時においては、超音波発振装置を、直列にもしくは並列に、もしくは直列かつ並列に複数個使用することにより、処理物への超音波の照射効率を低下することなく、大容量の処理にも対応できる。本発明において、特に好ましいのは、直列に複数個使用した場合であり、図5は、超音波発生装置を直列につないだ一例である。超音波装置を直列に複数個使用すると、処理物の超音波照射部における滞留時間が長くなる。その場合、超音波発振装置1ケで分散した場合に比べ、ワンパス当たりの分散レベルが高いため、再びピグメントショックを生じにくく、最終的な分散レベルが高くなる。
【0069】
また、本発明で使用される超音波発振装置の変換機部(高周波電力を機械振動に変換する)の冷却構造は、水冷式よりも空冷式が好ましい。防爆エリアにおいて、超音波発振装置を使用する場合、変換部の冷却を水冷により行うと、冷却水が漏れた場合、漏電の可能性があり、危険であるため、好ましくない。
【0070】
上記超音波発振装置の具体的なものとしては、ドクターヒールシャー社(ドイツ)から商品化されているUIPシリーズ等がある。この中で好ましくは、UIP1000,2000,4000,8000,16000等が超音波処理能力が大きく、量産化に対応しやすく好ましい。
【0071】
また、以下に本発明に好ましく用いられる高速せん断力を有する攪拌装置を図9、攪拌装置の拡大図を図10として説明する。また、上記攪拌装置を循環経路の中に組み込んだ分散システムを図11として図面にて説明する。但し、本発明に用いられる攪拌装置としては、これに限定されるものではない。
【0072】
図9・図10・図11において、1は高速回転する攪拌羽根、2は攪拌羽根1の周囲に該攪拌羽根1と逆方向に高速回転するスクリーン、3は攪拌羽根1とスクリーン2によって形成される攪拌室3、4は調製タンク、5はスクリーン2に設けられた吐出口、6はジャケット、7はホールディングタンク、8は攪拌翼、9は循環ポンプ、10は分散容器入口、11は吸入口、12は排出口、13は熱交換器、14は流量計、15は圧力調整弁、16は下部モーター、17は上部モーター、18は蓋体、19は支持筒、20は上部回転軸、21はメカニカルシール、22は上部ハウジング、23は仕切板、24は下部回転軸、25は圧力計、26は温度計である。
【0073】
(図9、図10の攪拌装置について)
調製タンク4内に、分散工程より重合性単量体に少なくとも着色剤が分散している着色剤含有単量体と溶解工程より重合性単量体に少なくとも樹脂が溶解している樹脂含有単量対を投入し調製液とする。前記調製液は、攪拌羽根1が攪拌室3における吐出口5の設けられた部分の内部にて高速回転することにより、この部分の内壁と羽根先との間の微小な間隙においてせん断力を受ける。更に、羽根先との間の微小隙間を介して逆方向に回転する攪拌室3の吐出口5が、羽根先の前を通過する毎に、両者の間で、調製液のせん断が行われる。
【0074】
そして、この吐出口5が攪拌羽根1の回転方向と逆方向に回転するものである為、両者の相対的な回転数を上げることができ、調製液へかかるせん断力を高めることができる。これにより、従来以上に、調製液の分散ムラが非常に少なく、均一な分散状態に達することができる。
【0075】
更に、攪拌室3における吐出口5の設けられた部分が、攪拌羽根1の回転方向と逆方向に回転するものである為、その回転に伴い流体の吐出位置が変化し、調製タンク4内で調製液が、良好に循環する。また、攪拌室3における吐出口に設けられた部分は、下方に向かうに従い、その径が小さくなるものである為、径の大きい上方部分では、回転の周速度が大きく、小さい下方部分においては回転の周速度が小さい。その結果、吐出口5からの流体の吐出に際して、流体に与えられる周方向の速度が、上下において異なるものとなり、この速度差の異なる流れによって、一層、調製液の循環が促進される。
【0076】
また、この流れが、吐出口5と微小隙間を置いて回転する攪拌羽根1の回転による吐出流に加わる為、更に早い吐出流が得られるものであり、より一層、全体の循環が促進される。このような良好な循環により、前述の微小隙間を調製液が通過する機会が増加し、分散ムラが減少させることができる。
【0077】
また、調製タンク4は、ジャケット構造になっており、ジャケット6内に冷却媒体を流すことにより、調製タンク内部のせん断により上昇した調製液の温度を低下させることが可能となる。
【0078】
(図11の攪拌システムについて)
ホールディングタンク7に投入され、敷設された攪拌翼8により混合された調製液は、循環ポンプ9を介して、調製タンク入口10より供給され、吸入口11へと導入される。次いで、吸入口11より導入された調製液は、前述の微小間隙を通過し、吐出口5より吐出される。吐出された調製液は、調製タンク4内を循環した後に、排出口12より排出され、熱交換器13を経由してホールディングタンク7へ戻る。ホールディングタンク7へ戻った調製液を再度、調製タンク入口10へ導入するという循環が繰り返される。攪拌装置とホールディングタンク7との間のサイクルの循環を繰り返すことで、均一且つ効率よく調製液の分散が行われる。ホールディングタンク7は、ジャケット構造であるため、処理物の冷却・加熱が可能である。
【0079】
また、処理流量は、循環経路中に設置された流量計14にて測定される。更に、圧力調整弁15により、背圧をかけることが可能である。背圧をかけることで、攪拌羽根1及びスクリーン2の回転によるキャビテーションの発生を抑制することが可能となり、一層、処理液に対してせん断力を付与することができる。これにより処理物を微細且つ均一に分散できる為、本発明においては、好適に背圧をかけることもできる。
【0080】
循環経路を用いた場合、上述の調製タンク4内の良好な循環に、攪拌装置とホールディングタンクとの間のサイクルの循環が加わる為、一層、均一且つ効率良く調製液の分散を行うことができ、本発明においては好ましく用いられる。
【0081】
上述の攪拌装置としては、例えば、クレアミクスWモーション(エム・テクニック社製)を好適に用いることができるが、この限りではない。
【0082】
本発明における攪拌装置の攪拌羽根及びスクリーンの周速とは、攪拌羽根及びスクリーンの最大径の周速である。
【0083】
また、先述した攪拌装置の攪拌羽根1の周速をE(m/s)、スクリーン2の周速をF(m/s)とすると、15≦E≦60 、15≦F≦60の範囲内で調製液の分散を行うことが好ましい。攪拌羽根1、スクリーン2がそれぞれ15より小さい場合、所望の分散レベルを達するのが困難である。また、それぞれが60を超える場合、分散状態が飽和傾向を示し、過剰エネルギーとなるため、省エネ上好ましくない。また、先述の冷却手段を用いて過剰な昇温を抑制する場合、冷却手段への負荷が増大してしまう為、好ましくない。
【0084】
更に、本発明においては、攪拌羽根1の周速をE、スクリーン2の周速をFとし、相対周速「E+F」(m/s)が40≦E+F≦80であることが、分散性及び装置負荷のバランスがとれる観点から好ましい。
【0085】
また以下に、本発明に好ましく用いられる回転子及び固定子を具備する混合装置を図面にて説明する。
【0086】
図12は、本発明に用いる回転子及び固定子を具備する混合装置を組み込んだシステムを示し、図13は、本発明に用いる混合装置の本体側面図を示す。図14、図15は、混合装置の本体断面図であり、それぞれ、図12中のA−A’断面図、図13中のB―B’断面図である。また、図16、図17は、それぞれ、混合装置の回転子の斜視図、固定子の斜視図を示す。
【0087】
以下、混合装置について具体的に説明する。
【0088】
図12において、ホールディングタンク8に、分散工程より重合性単量体に少なくとも着色剤が分散している着色剤含有単量体と溶解工程より重合性単量体に少なくとも樹脂が溶解している樹脂含有単量対を投入し調製液とする。投入された該調製液は、循環ポンプ10を介して、混合装置入口より供給され、混合装置においては、ケーシング2の内部に具備された、回転子25と固定子21のスリットを通過し、遠心方向に排出される。混合装置内を調製液が通過する際、回転子、固定子のスリットのずれにより生じる遠心方向への圧縮、吐出による衝撃と回転子、固定子間のせん断による衝撃により調製液は混合される。本発明で用いられる回転子と固定子の形状は、複数のスリットを具備するリング状の突起が同心円上に多段に形成された形状であり、一定の間隔を保ち、相互に噛み合うように同軸上に設置されていることが好ましい。
【0089】
回転子及び固定子が相互に噛み合うように設置された形状であることにより、ショートパスが軽減され、調製液の分散が十分に行える。また、回転子と固定子が同心円方向に交互に多段に存在することにより、調製液が遠心方向に進行する際に、多くのせん断・衝撃を受ける為、一層、分散レベルを高めることができる。ホールディングタンク8は、ジャケット構造であるため、処理物の冷却・加熱が可能である。
【0090】
本発明における回転子及び固定子の周速とは、回転子及び固定子の最大径の周速である。本発明においては、回転子25の周速をG(m/s)とすると、20≦G≦60で回転させ調製液を混合することが好ましい。より好ましくは、回転子の周速Gが30≦G≦40である。回転子の周速Gが20≦G≦60であれば、回転子及び固定子のスリットのずれにより生じる調製液の遠心方向への圧縮、吐出による衝撃と回転子、固定子間のせん断による衝撃が増し、高度な分散が達成される。これにより、従来以上に、調製液の分散ムラが非常に少なく、均一な分散状態に達することができる。
【0091】
回転子の周速Gが20m/sより小さい場合、遠心方向への圧縮、吐出による衝撃と回転子、固定子間のせん断による衝撃が低下し、所望の分散レベルを達するのが困難である。また、時間の経過に伴い、着色剤粒子が凝集するような分散安定性の悪い調製液が生じる場合が多い。また、回転子の周速Gが60m/sより大きい場合、回転子、固定子のスリットからの吐出時に大きな圧力損失が生じる為、十分な流量が確保できないだけでなく、着色剤等の固形物と重合性単量体が分離した状態になる場合がある為、好ましくない。
【0092】
上述の混合装置としては、例えば、キャビトロン(ユーロテック社製)を好適に用いることができるが、この限りではない。
【0093】
また、前記調整工程において、樹脂の含有量が重合性単量体100質量部に対して10質量部以上55質量部以下であることが好ましい。10質量部未満では、分散工程において作製した前記着色剤含有単量体と、溶解工程において作製した前記樹脂含有単量体とを、前記調整工程において混合した場合、前記調整液中にピグメントショックが生じにくい。生じた場合でも、公知の撹拌翼等のせん断力で、再分散可能であるレベルであるため、超音波装置を設置するメリットが少ない。55質量部超では、前記調整液の粘度が大幅に増加するため、配管中に調整液が残存しやすい。その結果、次工程である、調整液を水系分散体に分散して重合性単量体組成物の粒子を生成する造粒工程への、前記調整液の排出量の振れが大きくなり、重合性単量体組成物の粒子の粒度分布の振れが大きくなり、良品率が低下するため好ましくない。更には、付着の進行による配管の閉塞などの問題も懸念されるため好ましくない。
【0094】
以下に本発明で用いられる材料について説明する。
【0095】
本発明に用いられる結着樹脂としては、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル共重合体、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。上記結着樹脂の製造に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が挙げられる。前記ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。
【0096】
上記重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。
【0097】
スチレン;o−(m−,p−)メチルスチレン、m−(p−)エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアクリル酸エステル系単量体或いはメタクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミドの如きエン系単量体。
【0098】
これらは、単独、または、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−p139乃至192(John Wiley&Sons製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)を参考にして単量体を適宜混合して用いられる。
【0099】
また本発明のトナーにおいては、トナー粒子が極性樹脂を含有することも好ましい形態である。更に、前記極性樹脂の示差走査熱量測定(DSC)装置で測定されるガラス転移温度(Tg)が80℃以上120℃以下であることが好ましい。Tgを該範囲とすることでトナーの耐久性を更に高めることができる。本発明のトナーにおいて、Tgが80℃未満の場合、トナーの耐久性が低下する傾向にあり、Tgが120℃を超える場合、低温定着性が低下する傾向にある。
【0100】
上記Tgの測定は、示差走査熱量計(DSC測定装置)Q1000(TAインスツルメンツジャパン社製)を用い、ASTM D3418−82に準じて、以下の方法及び条件で測定した。
【0101】
<測定条件及び方法>
(1)モジュレーティッドモードを使用。
(2)温度20℃で5分間平衡を保つ。
(3)1.0℃/minのモジュレーションを使用し、温度140℃まで1℃/minで 昇温。
(4)温度140℃で5分間平衡を保つ。
(5)温度20℃まで降温。
【0102】
測定サンプルは約3mgを精密に秤量する。それをアルミニウム製のパン中に入れ、対照用に空のアルミパンを用い、測定範囲20乃至140℃の間で、昇温速度1℃/minで測定を行う。ここでいうガラス転移温度(Tg)は中点法で求める。
【0103】
本発明に用いられるトナー粒子を懸濁重合法により製造する場合には、調整工程に極性樹脂を添加することが好ましい。その場合、トナー粒子となる重合性単量体組成物と水系分散媒体の呈する極性のバランスに応じて、極性樹脂の存在状態を制御することができる。即ち、添加した極性樹脂をトナー粒子の表面に薄層のシェルを形成させたり、トナー粒子表面から中心に向け傾斜性をもって存在させたりすることが可能である。また、極性樹脂の添加により、コアシェル構造のシェル部分の強度を自由に制御することができる。そのため、トナーの耐久性と定着性を最適化することができる。
【0104】
極性樹脂の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以上30質量部以下である。1質量部未満ではトナー粒子中での極性樹脂の存在状態が不均一となりやすく、トナーの摩擦帯電分布がブロードになりやすい。一方、30質量部を超えるとトナー粒子の表面に形成される極性樹脂の薄層が厚くなり定着性が低下しやすくなる。
【0105】
本発明に用いられる極性樹脂としては、具体的には、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体が挙げられる。特に極性樹脂として、3,000以上50,000以下のピーク分子量を有するスチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体がトナー製造時の添加量を自由に制御できるので好ましい。また、極性樹脂として、スチレン−メタクリル酸共重合体、又はスチレン−アクリル共重合体を用いた場合、トナーの結着樹脂との相溶性がさらに良好になるため好ましい。その結果、トナー粒子表面から中心に向け傾斜性をもって存在しやすくなりコア層とシェル層との密着性が高まり、トナーの耐久性が向上する。
【0106】
上述のように、本発明のトナーの有する好ましい態様として以下の点が挙げられる。
・トナー粒子において、コアシェル構造が形成されていること。
・コア層とシェル層との密着性が高められていること。
・常温ではトナーの加圧時の外的要因に対する強靭性が大きいこと。
・トナーの加熱時にコア成分(特にワックス)がブリード性を有すること。
【0107】
トナー粒子のこれら特性は、現像特性、転写特性、及び定着特性に貢献しているものと思われる。
【0108】
本発明に用いられるワックス成分としては以下のものが挙げられる。
【0109】
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム如きの石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロップシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体;カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸の如き脂肪酸;酸アミドワックス;エステルワックス;硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックス。
【0110】
この中で特に、離型性に優れるという観点からエステルワックス及び炭化水素ワックスが好ましい。更に好ましくは、トータルの炭素数が同一の化合物が50乃至95質量%ワックスに含有されているものが、ワックス純度が高く現像性の観点で、本発明の効果を発現し易い。
【0111】
本発明においては、トナー粒子の機械的強度を高めると共に、トナーの結着樹脂の分子量を制御するために、結着樹脂を合成する時に架橋剤を用いてもよい。
【0112】
架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。以下の、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物等が例示できる。これらは、単独もしくは混合として使用できる。好ましい添加量としては、結着樹脂100質量部に対し0.001乃至15質量部である。
【0113】
本発明では、帯電制御や水系媒体中の造粒安定化を主目的として、スルホン酸基を側鎖に持つ高分子が用いられることが好ましい。その中で特にスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を含有する重合体又は共重合体を用いることが好ましい。
【0114】
上記重合体を製造するためのスルホン酸基を有する単量体として、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸が例示できる。
【0115】
本発明に用いられるスルホン酸基等を含有する重合体は、上記単量体の単重合体であっても構わないが、上記単量体と他の単量体との共重合体であっても構わない。上記単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系重合性単量体があり、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。
【0116】
単官能性重合性単量体としては以下の、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン系重合性単量体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトン等が例示出来る。
【0117】
多官能性重合性単量体としては以下の、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が例示できる。
【0118】
そして上記スルホン酸基等を有する重合体は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し0.01乃至5.0質量部を含有することが好ましい。より好ましくは、0.1乃至3.0質量部である。
【0119】
本発明のトナーにおいては、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子に混合して用いることも可能である。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
【0120】
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に摩擦帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
【0121】
上記荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、有機金属化合物、キレート化合物が挙げられる。モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類が挙げられる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
【0122】
一方、荷電制御剤として、トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
【0123】
本発明のトナーは、これら荷電制御剤を単独で或いは2種類以上組み合わせて含有することができる。
【0124】
これら荷電制御剤の中でも、本発明の効果を十分に発揮するためには、金属を含むサリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムが好ましい。最も好ましい荷電制御剤としては、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物である。
【0125】
荷電制御剤の好ましい配合量は、結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下、より好ましくは0.3質量部以上10質量部以下である。しかしながら、本発明のトナーには、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナーの層厚規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含ませる必要はない。
【0126】
本発明のトナーは、流動化剤として無機微粉体が外添されている。
【0127】
本発明のトナー粒子に外添する無機微粉体は、少なくともシリカ微粉体を含むことが好ましい。該シリカ微粉体の個数平均一次粒径は、4nm以上80nm以下であることが好ましい。本発明において個数平均一次粒径が上記範囲にあることで、トナーの流動性が向上すると共に、トナーの保存安定性も良好になる。
【0128】
上記無機微粉体の個数平均一次粒径は、次のようにして測定される。
【0129】
個数平均一次粒子径は、走査電子顕微鏡で観察し、視野中の100個の無機微粉体の粒子径を測定して平均粒子径を求める。
【0130】
また無機微粉体として、シリカ微粉体と酸化チタン、アルミナまたはそれらの複酸化物の微粉体を併用することができる。併用される無機微粉体としては、酸化チタンが好ましい。
【0131】
上記シリカ微粉体としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカの両者の微粉体が含まれる。該シリカとしては、表面及びシリカの内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO32-の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能である。シリカはそれらも包含する。
【0132】
無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の摩擦帯電の均一化のために添加される。無機微粉体を疎水化処理することによって、トナーの摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上等の機能を付与することができるので、疎水化処理された無機微粉体を用いることが好ましい。トナー粒子に外添された無機微粉体が吸湿すると、トナーとしての摩擦帯電量が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる。
【0133】
無機微粉体の疎水化処理の処理剤としては、以下のものが挙げられる。
【0134】
未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物。これらの如き処理剤は単独で或いは併用して用いても良い。
【0135】
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粉体が好ましい。より好ましくは、無機微粉体をカップリング剤で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理した疎水化処理無機微粉体が高湿環境下でもトナー粒子の摩擦帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上でよい。
【0136】
前述の懸濁重合による製造方法において、分散剤としては、公知の無機系及び有機系の分散剤を用いることができる。
【0137】
具体的には、無機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられる。
【0138】
一方、有機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
【0139】
また、分散剤として、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。この様な界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム。
【0140】
上記分散剤としては、無機系の難水溶性の分散剤が好ましく、しかも酸に可溶性である難水溶性無機分散剤を用いることが好ましい。
【0141】
また、本発明においては、難水溶性無機分散剤を用い、水系分散媒体を調製する場合に、これらの分散剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.2質量部以上2.0質量部以下であることが好ましい。また、本発明においては、重合性単量体組成物100質量部に対して300質量部以上3,000質量部以下の水を用いて水系分散媒体を調製することが好ましい。
【0142】
本発明において、上記のような難水溶性無機分散剤が分散された水系分散媒体を調製する場合には、市販の分散剤をそのまま用いて分散させてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散剤粒子を得るために、水の如き液媒体中で、高速撹拌下、上記難水溶性無機分散剤を生成させて水系分散媒体を調製してもよい。例えば、リン酸三カルシウムを分散剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することが挙げられる。
【0143】
上記懸濁重合法でトナーを製造する場合に本発明に用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。
【0144】
2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチル−パーオキシピバレートの如き過酸化物系重合開始剤。
【0145】
これらの重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には、上記重合性単量体100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下である。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に選定され、単独又は混合して使用される。
【0146】
次に本発明で用いられる画像形成方法について図18及び図19を用いて説明する。
【0147】
本願実施例で用いられる画像形成方法を含む、画像形成装置の構成を図18に示す。図19に示された画像形成装置は転写方式電子写真プロセスを用いたレーザビームプリンタである。特に、図19はタンデム型のカラーLBP(カラーレーザープリンタ)の断面図を示す。
【0148】
<プロセスカートリッジ>
図18は、本発明の画像形成方法を適用した画像形成装置に好適に用いることのできる、プロセスカートリッジ7(以下、「カートリッジ」ともいう。)の断面模式図である。
【0149】
カートリッジ7は、感光体ドラム1と、帯電手段2及びクリーニング手段6を備えたクリーナユニット50と、感光体ドラム1に形成された静電潜像を現像する現像手段4を有する現像ユニット4Aとを有する。クリーナユニット50を構成するクリーニング枠体31には、感光体ドラム1が軸受部材(不図示)を介して回転自在に取り付けられている。
【0150】
感光体ドラム1には、感光体ドラム1の外周面に設けられた感光層を一様に帯電させるための帯電ローラー2、転写後に感光体ドラム1上に残った現像剤(残留トナー)を除去するためのクリーニングブレード60が接触している。クリーニングブレード60によって感光体ドラム1表面から除去されたトナー(除去トナー)は、クリーニング枠体31に設けられた除去トナー収納室35に納められる。
【0151】
現像ユニット4Aは、トナーを収容する現像枠体45(45a、45b、45e)を有しており、現像ローラー40(矢印Y方向に回転)が軸受部材を介して回転自在に現像枠体45に支持されている。また、現像ローラー40と接触してトナー供給ローラー43(矢印Z方向に回転)とトナー規制部材44がそれぞれ設けられている。さらに現像枠体45には収容されたトナーを撹拌するとともにトナー供給ローラー43に搬送するためのトナー搬送機構42が設けられている。
【0152】
そして、現像ユニット4Aがクリーナユニット50に対して揺動自在に支持されている。すなわち、現像枠体45の両端に設けた結合穴47、48とクリーナユニット50のクリーニング枠体31両端に設けた支持穴(不図示)を合わせ、クリーナユニット50両端からピン(不図示)を差し込んでいる。
【0153】
また、支持穴を回転軸中心として現像ローラー40が感光体ドラム1に接触するように加圧バネ(不図示)によって現像ユニット4Aが常に付勢されている。
【0154】
現像時には、トナー容器41内に収納されたトナーがトナー攪拌機構42によってトナー供給ローラー43へ搬送される。トナー供給ローラー43が、現像ローラー40との摺擦によって現像ローラー40にトナーを供給し、現像ローラー40上にトナーを付着させる。現像ローラー40上に付着されたトナーは、現像ローラー40の回転にともなってトナー規制部材44のところに至る。そして、トナー規制部材44がトナーを規制して所定のトナー薄層を形成し、所望の帯電電荷量を付与する。現像ローラー40上で薄層化されたトナーは、現像ローラー40の回転につれて、感光体ドラム1と現像ローラー40とが接近した現像部に搬送される。そして、現像部において、電源(不図示)から現像ローラー40に印加した現像バイアスにより、感光体ドラム1の表面に形成されている静電潜像に付着して、潜像を現像化する。静電潜像の現像化に寄与せずに現像ローラー40の表面に残留したトナーは、現像ローラー40の回転にともなって現像枠体45内に戻される。そして、トナー供給ローラー43との摺擦部で現像ローラー40から剥離、回収される。回収されたトナーは、トナー攪拌機構42により残りのトナーと撹拌混合される。
【0155】
ここで現像ローラー40には弾性ローラーを用い、これを感光体ドラム1表面と接触させる方法を用いることができる。一般にトナー担持体と感光体が接触する現像方式においては、トナーの破損、変形が生じやすくなるが、本発明記載のトナーを用いた場合にはこうした変化を効果的に抑制することが出来るため、好ましい。
【0156】
トナー担持体と感光体が接触する現像方式では、トナーを介して感光体と感光体表面に対向する弾性ローラー間に働く電界によって現像が行われる。従って弾性ローラー表面或いは表面近傍が電位を持ち、感光体表面とトナー担持体表面の狭い間隙で電界を有する必要性がある。このため、弾性ローラーの弾性ゴムが中抵抗領域に抵抗制御されて感光体表面との導通を防ぎつつ電界を保つか、または導電性ローラーの表面層に薄層の絶縁層を設ける方法が利用できる。さらには、該導電性ローラー上に感光体表面に対向する側を絶縁性物質により被覆した導電性樹脂スリーブ或いは、絶縁性スリーブで感光体に対向しない側に導電層を設けた構成も可能である。また、トナー担持体として剛体ローラーを用い、感光体をベルトの如きフレキシブルな物とした構成も可能である。トナー担持体としてのローラーの抵抗値としては102乃至109Ω・cmの範囲が好ましい。
【0157】
トナー担持体の表面形状としては、その表面粗さRa(μm)を0.1乃至3.0となるように設定すると、高画質及び高耐久性を両立できる。該表面粗さRaはトナー搬送能力及びトナー帯電能力と相関する。該トナー担持体の表面粗さRaが3.0を超えると、該トナー担持体上のトナー層の薄層化が困難となるばかりか、トナーの帯電性が改善されないので画質の向上は望めない。3.0以下にすることでトナー担持体表面のトナーの搬送能力を抑制し、該トナー担持体上のトナー層を薄層化すると共に、該トナー担持体とトナーの接触回数が多くなるため、該トナーの帯電性も改善されるので相乗的に画質が向上する。一方、表面粗さRaが0.1よりも小さくなると、トナーコート量の制御が難しくなる。
【0158】
本発明において、トナー担持体の表面粗さRaは、日本工業規格(JIS)B06014.2.1項(改正年月日2001年1月20日、確認年月日2005年7月20日)に定める算術平均粗さである。本発明においては、表面粗さ測定器(小坂研究所社製サーフコーダSE3500)を用い、トナー担持体表面の任意の1点より、トナー担持体回転軸と平行となる方向に測定を行った。なお、カットオフ値は0.8mm、測定長さは2.5mm、測定速度は0.1mm/秒とした。
【0159】
図18の画像形成方法においては、トナー担持体は感光体の周速同方向に回転しているが、逆方向に回転していてもよい。その回転が同方向である場合、トナー担持体の周速を感光体の周速に対し1.05乃至3.0倍となるように設定することが好ましい。
【0160】
トナー担持体の周速が、感光体の周速に対し1.05倍未満であると、感光体上のトナーの受ける撹拌効果が不十分となり、良好な画像品質が望めない。また、周速比が3.0を超える場合には、機械的ストレスによるトナーの劣化やトナー担持体へのトナー固着が発生、促進され、好ましくない。
【0161】
トナー担持体が弾性ローラーである場合、表面に弾性層を有する構造のものが好ましく用いられる。該弾性ローラーに使用される弾性層の材料の硬度としては、30乃至60度(ASKER−C/荷重1kg)のものが好適に使用される。
【0162】
また、トナーコート量はトナー規制部材44により制御されるが、このトナー規制部材44はトナー層を介して現像ローラー40に接触している。この時のトナー規制部材44と現像ローラー40との接触圧は、線圧として0.05N/cm以上0.5N/cm以下が好ましい範囲である。
【0163】
尚、線圧とはトナー規制部材の長さ当たりに加えられる荷重のことであり、例えば1mの当接長さを有するトナー規制部材に1.2Nの荷重を加えて現像ローラーに接触させた場合、線圧は1.2N/mとなる。線圧が0.05N/cmよりも小さいとトナーコート量の制御に加え均一な摩擦帯電も難しくなり、カブリの悪化等の原因となる。一方、線圧が0.5N/cmよりも大きくなるとトナー粒子が過剰な負荷を受けるため、粒子の変形やトナー規制部材或いは現像ローラーへのトナーの融着等が発生しやすくなり、好ましくない。
【0164】
トナー規制部材44の自由端部はどのような形状でもよく、例えば断面形状が直線状のもの以外にも、先端近傍で屈曲したL字形状のものや、先端近傍が球状に膨らんだ形状のもの等が好適に用いられる。
【0165】
トナー規制部材としては、基材としてステンレス、鋼、リン青銅の如き金属弾性体を用い、スリーブ当接部に当る部位に樹脂を接着あるいはコーティング塗布したものが好適に用いられる。
【0166】
またさらに、トナー規制部材に直流電場及び/または交流電場を印加することによっても、トナーへのほぐし作用のため、均一薄層塗布性、均一帯電性がより向上し、充分な画像濃度の達成及び良質の画像を得ることができる。
【0167】
<画像形成装置>
図19は、本発明の画像形成方法を適用した画像形成装置の一例を示す断面模式図である。画像形成装置100は4個の画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdを縦方向に並設している。そして、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdには、各々、装着手段(不図示)によってプロセスカートリッジ7(7a、7b、7c、7d)が着脱可能に装着される。なお、マゼンタ色、シアン色、イエロー色、ブラック色の各カートリッジ7a、7b、7c、7dは同一構成である。
【0168】
本模式図では、画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdは、縦方向に僅かに傾斜して並設されているが、傾斜することなく縦方向に整列して設けてもよい。また、プロセスカートリッジ7は、図18に例示したものと同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0169】
各カートリッジ7(7a、7b、7c、7d)は、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)を備えている。感光体ドラム1は、駆動手段(不図示)によって、同図中、反時計回りに回転駆動される。感光体ドラム1の周囲には、その回転方向に従って順に以下の手段が設けられている。(A)感光体ドラム1表面を均一に帯電する帯電手段2(2a、2b、2c、2d)。(B)画像情報に基づいてレーザービームを照射し感光体ドラム1に静電潜像を形成するスキャナユニット3(3a、3b、3c、3d)。(C)静電潜像に現像剤(以下、「トナー」という。)を付着させてトナー像として現像する現像手段4(4a、4b、4c、4d)。(D)感光体ドラム1上のトナー像を記録媒体Sに転写させる転写装置5。(E)転写後の感光体ドラム1表面に残ったトナーを除去するクリーニング手段6(6a、6b、6c、6d)。
【0170】
ここで、感光体ドラム1と、プロセス手段である、帯電手段2、現像手段4、クリーニング手段6は、カートリッジ枠体により一体的に構成してカートリッジ化されカートリッジ7を構成している。
【0171】
感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)は、シリンダの外周面に感光層を設けて構成したものである。感光体ドラム1は、その両端部を支持部材によって回転自在に支持されている。そして、一方の端部に駆動モーター(不図示)からの駆動力が伝達されることにより、反時計周りに回転駆動される。
【0172】
上記感光体としては、a−Se、CdS、ZnO2、OPC、a−Siの様な光導電絶縁物質層を持つ感光体ドラムが好適に使用される。また、上記OPC感光体における有機系感光層の結着樹脂は、特に限定するものではない。中でもポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が特に、転写性に優れ、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくいため好ましい。
【0173】
帯電手段2(2a、2b、2c、2d)としては、接触帯電方式のものを使用している。帯電手段2は、ローラー状に形成された導電性ローラーである。このローラーを感光体ドラム1表面に当接させるとともに、このローラーに帯電バイアス電圧を印加する。これにより、感光体ドラム1表面を一様に帯電させる。
【0174】
帯電ローラーを用いた時の好ましいプロセス条件としては、ローラーの当接圧が線圧として0.05乃至5N/cmである。また印加電圧としては、直流電圧或いは直流電圧に交流電圧を重畳したものが好適に用いられる。直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いた時には、交流電圧=0.5乃至5dVpp、交流周波数=50Hz乃至5kHz、直流電圧=±0.2乃至±1.5kVであることが好ましい。また、直流電圧を用いた時には、直流電圧=±0.2乃至±5kVであることが好ましい。
【0175】
帯電ローラー以外の帯電手段としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、非接触のコロナ帯電に比べて、高電圧が不必要になり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。接触帯電手段としての帯電ローラー及び帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜を設けても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)などが適用可能である。
【0176】
スキャナユニット3(3a、3b、3c、3d)は、レーザーダイオード(不図示)によって画像信号に対応する画像光が、高速回転されるポリゴンミラー(不図示)及び結像レンズ(不図示)を介して帯電済みの感光体ドラム1表面を画像情報に応じ露光する。これによって、感光体ドラムに静電潜像を形成する。
【0177】
現像手段4(4a、4b、4c、4d)は、マゼンタ色、シアン色、イエロー色、ブラック色の各色のトナーを夫々収納したトナー容器41から構成され、トナー容器41内のトナーを送り機構42によってトナー供給ローラー43へ送り込む。
【0178】
前記トナー供給ローラー43は、図示時計方向に回転し、トナー担持体としての現像ローラー40へのトナーの供給、及び、静電潜像の現像化に寄与せず現像ローラー40上に残留したトナーのはぎとりを行う。
【0179】
現像ローラー40へ供給されたトナーは、現像ローラー40外周に圧接されたトナー規制部材44によって現像ローラー40(時計回り方向に回転)の外周に塗布され、且つ電荷を付与される。そして、潜像が形成された感光体ドラム1と対向した現像ローラー40に現像バイアスを印加する。そして、潜像に応じて感光体ドラム1上にトナー現像を行う。
【0180】
転写装置5には、すべての感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)に対向し、接するように循環移動する静電転写ベルト11が設けられている。この転写ベルト11は、駆動ローラー13、従動ローラー14a、14b、テンションローラー15に張架されていて、図中左側の外周面に記録媒体Sを静電吸着する。そして、転写ベルト11は、感光体ドラム1に記録媒体Sを接触させるべく循環移動する。これにより、記録媒体Sは転写ベルト11により転写位置まで搬送され、感光体ドラム1上のトナー像を転写される。
【0181】
この転写ベルト11の内側に当接し、4個の感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)に対向した位置に転写ローラー12(12a、12b、12c、12d)が並設される。これら転写ローラー12には、転写時にバイアスが印加されて、電荷が静電転写ベルト11を介して記録媒体Sに印加される。このとき生じた電界により、感光体ドラム1に接触中の記録媒体Sに、感光体ドラム1上のトナー像が転写される。
【0182】
給送部16は、画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdに記録媒体Sを給送搬送するものである。給送部16には、複数枚の記録媒体Sがカセット17に収納されている。画像形成時には給送ローラー18(半月ローラー)、レジストローラー19が画像形成動作に応じて駆動回転する。給送ローラー18は、カセット17内の記録媒体Sを1枚毎に分離給送した後、レジストローラー19に記録媒体S先端を突き当てて一旦停止させる。その後レジストローラー19は、転写ベルト11の回転と画像書出し位置の同期をとって、記録媒体Sを静電転写ベルト11へと給送する。
【0183】
定着部20は、記録媒体Sに転写された複数色のトナー画像を定着させるものである。そして、定着部20は、加熱ローラー21aと、これに圧接して記録媒体Sに熱及び圧力を与える加圧ローラー21bとを有する。即ち、感光体ドラム1に形成されたトナー像を転写された記録媒体Sは定着部20を通過する際に、加圧ローラー21bで搬送されるとともに、加熱ローラー21aによって熱及び圧力を与えられる。これによって複数色のトナー像が記録媒体S表面に定着される。
【0184】
画像形成の動作としては、カートリッジ7(7a、7b、7c、7d)が、画像形成タイミングに合わせて順次駆動される。そして、その駆動に応じて感光体ドラム1a、1b、1c、1dが、反時計回り方向に回転駆動される。そして、各々のカートリッジ7に対応するスキャナユニット3が順次駆動される。この駆動により、帯電ローラー2は感光体ドラム1の周面に一様な電荷を付与する。そして、スキャナユニット3は、その感光体ドラム1周面に画像信号に応じて露光を行って感光体ドラム1周面に静電潜像を形成する。現像手段4内の現像ローラー40は、静電潜像の低電位部にトナーを転移させて感光体ドラム1周面上にトナー像を形成(現像)する。
【0185】
最上流の感光体ドラム1の周面上に形成されたトナー像の先端が、転写ベルト11との対向点に回転搬送されてくるタイミングで、その対向点に記録媒体Sの印字開始位置が一致するようにレジストローラー19が回転し記録媒体Sを転写ベルト11へ給送する。
【0186】
記録媒体Sは吸着ローラー22と転写ベルト11とによって挟み込むようにして転写ベルト11の外周に圧接される。そして、転写ベルト11と吸着ローラー22との間に電圧を印加する。そして、誘電体である記録媒体Sと転写ベルト11の誘電体層に電荷を誘起して、記録媒体Sを転写ベルト11の外周に静電吸着させている。これにより、記録媒体Sは静電転写ベルト11に安定して吸着され、最下流の転写部まで搬送される。
【0187】
このように搬送されながら記録媒体Sは、各感光体ドラム1と転写ローラー12との間に形成される電界によって、各感光体ドラム1のトナー像を順次転写される。
【0188】
4色のトナー像を転写された記録媒体Sは、ベルト駆動ローラー13の曲率により静電転写ベルト11から曲率分離され、定着部20に搬入される。記録媒体Sは、定着部20で上記トナー像を熱定着された後、排紙ローラー23によって、排紙部24から画像面を下にした状態で本体外に排出される。
【実施例】
【0189】
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。しかし、これは本発明をなんら限定するものではない。以下にイエロートナー粒子の製造方法について記載する。実施例中及び比較例中の部および%は特に断りがない場合、全て質量基準である。
【0190】
〈実施例1〉
60℃に加温したイオン交換水900部にリン酸三カルシウム9部、10%塩酸11部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて攪拌し、pH5.2の水系媒体を調製した。
【0191】
また、下記の材料をプロペラ式攪拌装置にて100r/minで均一に溶解混合して樹脂含有単量体を調製した。
スチレン 13.5部
n−ブチルアクリレート 28.0部
極性樹脂1:スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体 (共重合比=80.85:2.50:1.65:15.0、Mp=19,700、Mw=7,900、Tg=96℃、酸価=12.0mgKOH/g、Mw/Mn=2.1)
20.0部
【0192】
また、下記処方をアトライターで分散し、着色剤含有単量体を得た。
・スチレン 58.5部
・C.I.ピグメントイエロー74 6.5部
・帯電制御剤ボントロンE−88(オリエント化学社製) 1.0部
・スルホン酸基含有重合体(FCA1001NS(藤倉化成製)) 1.0部
【0193】
次に、前記着色剤含有単量体と前記樹脂顔料単量体を混合して調整液を得た後、前記調整液を60℃に加温し、そこに融点が77℃の炭化水素ワックス(HNP−51,日本精蝋社製):8部を添加した。次いで、前記調整液内に図3に示すような超音波発振装置を導入し、超音波照射部より超音波を、調整液中に2時間照射しながら分散・混合を行った。なお、超音波を発振するに際しては、超音波出力をA、超音波照射部面積をBとした時、超音波出力Aを4.8kW、A/Bを60.0W/cm2に設定する。また、超音波処理される着色剤含有重合性単量体組成物をC(kg)、超音波発生装置の合計出力をD(kW)とした時、C/Dを58kg/kWに設定し分散・混合を行った。
【0194】
これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8.0部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃にてTK式ホモミキサーを用いて10,000r/minで30分間攪拌し、造粒した。
【0195】
その後、プロペラ式攪拌装置に移して100r/minで攪拌しつつ、70℃で5時間反応させた後、80℃まで昇温し、更に5時間反応を行い、トナー粒子を製造した。重合反応終了後、該粒子を含むスラリーを室温(25℃)まで冷却し、該懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
【0196】
次に、上記粒子を温度40℃にて12時間乾燥して着色粒子を得、前記着色粒子を風力分級することにより粒度を調整しトナー粒子1を得た。
【0197】
上記トナー粒子100部と、外添剤としてBET値が150m2/gであり、一次粒径が10nmの疎水性シリカ微粉体2.0部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合してイエロートナー(A)を得た。イエロートナー(A)の物性を表1に示す。
【0198】
〈実施例2〉
実施例1において、極性樹脂としてTgが76℃のスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−ブチルアクリレート共重合体(スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/ブチルアクリレート=83.85/2.50/1.65/12.00)を20.0部添加すること以外は同様の方法によりイエロートナー(B)を得た。イエロートナー(B)の物性を表1に示す。
【0199】
〈実施例3〉
実施例1において、樹脂含有単量体を調製する際に、スチレンの添加量を18.5部、n−ブチルアクリレートの添加量を23.0部に変更したこと以外は同様の方法によりイエロートナー(C)を得た。イエロートナー(C)の物性を表1に示す。
【0200】
〈実施例4〉
実施例1において、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体を5.0部添加すること以外は同様の方法によりイエロートナー(D)を得た。イエロートナー(D)の物性を表1に示す。
【0201】
〈実施例5〉
実施例1において、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体を25.0部添加、超音波を照射する時間を2.5時間に変更した以外は同様の方法によりイエロートナー(E)を得た。イエロートナー(E)の物性を表1に示す。
【0202】
〈実施例6〉
実施例5において、超音波出力Aを2.8kW、A/Bを35.0W/cm2、C/Dを100kg/kWに設定し2時間照射して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(F)を得た。イエロートナー(F)の物性を表1に示す。
【0203】
〈実施例7〉
実施例6において、超音波照射を1時間照射して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(G)を得た。イエロートナー(G)の物性を表1に示す。
【0204】
〈実施例8〉
実施例5において、超音波出力Aを5.2kW、A/Bを65.0W/cm2、C/Dを54kg/kWに設定し3時間照射して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(H)を得た。イエロートナー(H)の物性を表1に示す。
【0205】
〈実施例9〉
実施例6において、超音波照射を0.5時間照射して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(I)を得た。イエロートナー(I)の物性を表1に示す。
【0206】
〈実施例10〉
実施例7において、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体を5.0部添加すること以外は同様の方法によりイエロートナー(J)を得た。イエロートナー(J)の物性を表1に示す。
【0207】
〈実施例11〉
実施例7において、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体を25.0部添加すること以外は同様の方法によりイエロートナー(K)を得た。イエロートナー(K)の物性を表1に示す。
【0208】
〈実施例12〉
実施例8において、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体を20.0部添加すること以外は同様の方法によりイエロートナー(L)を得た。トナー(L)の物性を表1に示す。
【0209】
〈実施例13〉
実施例1において、調製工程に図6に示す超音波発振装置を導入し、超音波出力Aを5.6kW、A/Bを330.0W/cm2、C/Dを50kg/kWに設定し2時間照射して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(M)を得た。イエロートナー(M)の物性を表1に示す。
【0210】
〈実施例14〉
実施例1において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを30m/s、スクリーン2の周速Fを30m/sに設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(N)を得た。イエロートナー(N)の物性を表1に示す。
【0211】
〈実施例15〉
実施例2において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを30m/s、スクリーン2の周速Fを30m/sに設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(O)を得た。イエロートナー(O)の物性を表1に示す。
【0212】
〈実施例16〉
実施例3において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを30m/s、スクリーン2の周速Fを30m/sに設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(P)を得た。イエロートナー(P)の物性を表1に示す。
【0213】
〈実施例17〉
実施例4において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを30m/s、スクリーン2の周速Fを30m/sに設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(Q)を得た。イエロートナー(Q)の物性を表1に示す。
【0214】
〈実施例18〉
実施例5において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを30m/s、スクリーン2の周速Fを30m/sに設定し3時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(R)を得た。イエロートナー(R)の物性を表1に示す。
【0215】
〈実施例19〉
実施例6において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを20m/s、スクリーン2の周速Fを20m/sに設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(S)を得た。イエロートナー(S)の物性を表1に示す。
【0216】
〈実施例20〉
実施例7において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを20m/s、スクリーン2の周速Fを20m/sに設定し1時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(T)を得た。イエロートナー(T)の物性を表1に示す。
【0217】
〈実施例21〉
実施例8において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを60m/s、スクリーン2の周速Fを60m/sに設定し1時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(U)を得た。イエロートナー(U)の物性を表1に示す。
【0218】
〈実施例22〉
実施例9において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを15m/s、スクリーン2の周速Fを15m/sに設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(V)を得た。イエロートナー(V)の物性を表1に示す。
【0219】
〈実施例23〉
実施例10において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを20m/s、スクリーン2の周速Fを20m/sに設定し1時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(W)を得た。イエロートナー(W)の物性を表1に示す。
【0220】
〈実施例24〉
実施例11において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを20m/s、スクリーン2の周速Fを20m/sに設定し1時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(X)を得た。イエロートナー(X)の物性を表1に示す。
【0221】
〈実施例25〉
実施例12において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図11に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを60m/s、スクリーン2の周速Fを60m/sに設定し1時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(Y)を得た。イエロートナー(Y)の物性を表1に示す。
【0222】
〈実施例26〉
実施例13において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図9に示す攪拌装置を導入し、攪拌羽根1の周速Eを30m/s、スクリーン2の周速Fを30m/sに設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(Z)を得た。イエロートナー(Z)の物性を表1に示す。
【0223】
〈実施例27〉
実施例1において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す混合装置を導入し、回転子の周速Gを32m/s、に設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AA)を得た。イエロートナー(AA)の物性を表1に示す。
【0224】
〈実施例28〉
実施例2において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す混合装置を導入し、回転子の周速Gを32m/s、に設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AB)を得た。イエロートナー(AB)の物性を表1に示す。
【0225】
〈実施例29〉
実施例3において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを32m/s、に設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AC)を得た。イエロートナー(AC)の物性を表1に示す。
【0226】
〈実施例30〉
実施例4において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを32m/s、に設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AD)を得た。イエロートナー(AD)の物性を表1に示す。
【0227】
〈実施例31〉
実施例5において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを60m/s、に設定し1時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AE)を得た。イエロートナー(AE)の物性を表1に示す。
【0228】
〈実施例32〉
実施例6において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを32m/s、に設定し1時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AF)を得た。イエロートナー(AF)の物性を表1に示す。
【0229】
〈実施例33〉
実施例7において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを32m/s、に設定し0.5時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AG)を得た。イエロートナー(AG)の物性を表1に示す。
【0230】
〈実施例34〉
実施例8において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを60m/s、に設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AH)を得た。イエロートナー(AH)の物性を表1に示す。
【0231】
〈実施例35〉
実施例9において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを20m/s、に設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AI)を得た。イエロートナー(AI)の物性を表1に示す。
【0232】
〈実施例36〉
実施例10において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを32m/s、に設定し0.5時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AJ)を得た。イエロートナー(AJ)の物性を表1に示す。
【0233】
〈実施例37〉
実施例11において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを32m/s、に設定し0.5時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AK)を得た。イエロートナー(AK)の物性を表1に示す。
【0234】
〈実施例38〉
実施例12において、調製工程で超音波発振装置の変わりに図12に示す分散装置を導入し、回転子の周速Gを60m/s、に設定し2時間運転して着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(AL)を得た。イエロートナー(AL)の物性を表1に示す。
【0235】
〈実施例39〉
実施例1において、調整工程で超音波発振装置の変わりに図20乃至22に示したエム・テクニック株式会社製のクレアSS5を用いて着色剤含有重合性単量体組成物を得た以外は同様の方法によりイエロートナー(AM)を得た。イエロートナー(AM)の物性を表1に示す。
【0236】
図20は実施例39で用いた分散装置の一部断面図である。図21は図20に示す分散機又は混合機の要部略断面図である。この分散機または混合機は第1ホルダ11と第1ホルダ11の前方(上方)に配置された第2ホルダ21と第2ホルダ21と共に第1ホルダ11を覆うケース3と、混合液又は被造粒液を本装置に供給するポンプの如き供給機構Pと、接面圧力付与機構4とを備える。第1ホルダ11には、第1処理リング10と、回転軸50が設けられている。第1処理リング10(メイティングリング)は、金属製の環状体(図22に示す)であり、鏡面加工された第1処理面1を有している。回転軸50は、第1ホルダ11の中心にボルトの如き固定具51に固定されており、その端部が電動機の如き回転駆動装置5(回転駆動機構)と接続され、回転駆動装置5の駆動力を第1ホルダ11に伝えて、該第1ホルダ11を回転させる。第1処理リング10は、回転軸50と同心に第1ホルダ11前部(上部)に取り付けられ、回転軸50の回転にて、第1ホルダ11と一体となって回転する。第1処理面1は、第1ホルダ11から露出して、第2ホルダ21側に対向している。ケース3は、排出部32を備えた有底の容器であり、その内部空間30に、上記の第1ホルダ11を収容している。
【0237】
第2ホルダ21には、第2処理リング20と、混合液又は被造粒液の導入部22と、接面圧力付与機構4とが設けられている。第2処理リング20(コンプレッションリング)は、金属製の環状体であり、固定されており、鏡面加工された第2処理面2と、第2処理面2の内側に位置して当該第2処理面2に隣接する受圧面23(以下、離反用調整面23と呼ぶ。)とを有している。図示の通り、この離反用調整面23は、傾斜面で形成されている。第2処理面2に施す鏡面加工は、第1処理面1と同様の方法が採用される。また、第2処理リング20の素材についても、第1処理リング10と同様のものが採用される。離反用調整面23は、環状の第2処理リング20の内周面と隣接する。
【0238】
接面圧力付与機構4は、第1処理面1に対して第2処理面2を、圧接又は近接した状態に押圧するものであり、流体圧力(ポンプの如き供給機構により生じる混合液への圧力)により、両処理面1、2間を離反させる力との均衡によって、薄い流体膜を発生させる。言い換えれば、薄い流体膜は両処理用面1、2の間隔を微小間隔に保っている。
【0239】
具体的には、この実施携帯において接面圧力付与機構4は、収容部41と、収容部41の置く(最深部)に設けられたスプリング受容部42と、スプリング43と、エア導入部44とにて構成されている。
【0240】
収容部41は、収容部41内の第2処理リング20の位置を深く或いは浅く(上下に)変位することが可能なように、第2処理リング20が設置されている。スプリング43の一端は、スプリング受容部42の奥に当接し、スプリング43の他端は、収容部42内の第2処理リング20の前部(上部)と当接する。
【0241】
図20において、上記の通りエア導入部44から、加圧された空気の如き加圧ガスを収容部41内に導入している。このような空気の如き加圧ガスの導入により、収容部41と第2処理リング20との間を加圧室として、スプリング43と共に、空気圧を押圧力として第2処理リング20に与えることができる。
【0242】
接面圧力付与機構4は、上記の押圧力(接面圧力)の一部を供給し調整する他、変位調整機構と、緩衝機構とを兼ねている。詳しくは、接面圧力付与機構4は、変位調整機構として、始動時や運転中の軸方向への伸びや磨耗による軸方向変位にも、空気圧調整によって追従し、当初の押圧力を維持できる。また、接面圧力付与機構4は、上記の通り、第2処理リング20を変位可能に保持するフローティング機構を採用することによって、微振動や回転アライメントの緩衝機構としても機能するものである。
【0243】
また、接面圧力付与機構4は、収容部41内における第2処理リング20の上部と、収容部41の最上部との間に余裕があっても、スプリング43が第1処理面1と第2処理面2との間の隙間の幅の上限を規定する。接面圧力付与機構4は、第1処理面1と第2処理面2の規定を超える離反を抑止する離反抑止部として機能する。
【0244】
また、第1処理面1と第2処理面2とが当接していなくても、スプリング43が第1処理面1と第2処理面2との間の隙間の幅の下限を規定する。第1処理面1と第2処理面2の規定未満の近接を抑止する近接抑止部として機能する。
【0245】
この分散・混合装置を用いて、第1処理リングの回転数を8000rpmに設定し、エア導入部44に600kPaの圧縮空気を導入して第1処理リング10と第2処理リング20の間の面圧を調整後、調製液を導入部22を介してポンプを用いて分散機に導入し、2時間混合を実施した。
【0246】
〈比較例1〉
実施例1において、調製工程で超音波発振装置を使わずに、樹脂含有単量体を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(a)を得た。イエロートナー(a)の物性を表1に示す。
【0247】
〈比較例2〉
実施例1において、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体を10.0部添加し、調製工程で超音波発振装置を使わずに、着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(b)を得た。イエロートナー(b)の物性を表1に示す。
【0248】
〈比較例3〉
実施例1において、ジビニルベンゼンを1.0部添加し、調製工程で超音波発振装置を使わずに、着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(c)を得た。イエロートナー(c)の物性を表1に示す。
【0249】
〈比較例4〉
実施例1において、樹脂含有単量体を調製する際に、スチレンの添加量を25.5部、n−ブチルアクリレートの添加量を16.0部に変更し、超音波発振装置を使わずに着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(d)を得た。イエロートナー(d)の物性を表1に示す。
【0250】
〈比較例5〉
実施例1において、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体を5.0質量部添加し、調製工程で超音波発振装置を使わずに、着色剤含有重合性単量体組成物を調製した以外は同様の方法によりイエロートナー(e)を得た。イエロートナー(e)の物性を表1に示す。
【0251】
【表1】
【0252】
以下に本発明の評価方法および評価基準について説明する。
【0253】
画像形成装置としては市販のレーザプリンタであるLBP−5400(キヤノン製)の改造機を用いた。
【0254】
評価機の改造点は以下のとおりである。
(1)評価機本体のギアおよびソフトウエアを変更することにより、プロセススピードが190mm/secとなるようにした。
【0255】
評価に用いるカートリッジはイエローカートリッジを用いた。すなわち、市販のイエローカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、本発明によるトナーを充填して評価を行った。なお、マゼンタ、シアン、ブラックの各ステーションにはそれぞれ製品トナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたマゼンタ、シアン、およびブラックカートリッジを挿入して評価を行った。
【0256】
<現像性に関する評価>
上記LBP−5400(キヤノン製)の改造機において、現像器に実施例及び比較例記載のトナーを200g充填したものを作り、高温高湿(温度30.0℃,湿度85%RH)環境下にて24時間放置する。この際、転写紙も同様に放置する。転写紙としてはXerox4200(ゼロックス社製)(75g/m2紙)を用いた。その後、高温高湿(温度30.0℃,湿度85%RH)環境下にて、1%の印字比率の画像を10000枚まで間歇モード(1枚印刷する毎に10秒間現像器を休止させ、再起動時の現像装置の予備動作でトナーの劣化を促進させるモード)でプリントアウトした。その際、初期と5000枚後耐久後と10000枚耐久後に以下の項目について画像評価を行った。
【0257】
(画像濃度)
画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。下記の基準A,BおよびCは使用上問題とならないレベルであるが、Dは使用上問題となるレベルである。
A:1.40以上
B:1.30以上1.40未満
C:1.20以上1.30未満
D:1.10以上1.20未満
【0258】
(カブリ)
カブリの評価方法は白地部分を有する画像を出力し、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度(反射率Ds(%))と転写紙の白色度(平均反射率Dr(%))の差から、カブリ濃度(%)(=Dr(%)−Ds(%))を算出し、耐久評価終了時の画像カブリを評価した。フィルターは、ブルーライトフィルターを用いた。下記の基準A,BおよびCは使用上問題とならないレベルであるが、Dは使用上問題となるレベルである。
A:0.5%未満
B:0.5%以上1.0%未満
C:1.0%以上1.5%未満
D:1.5%以上5.0%未満
【0259】
(転写性)
転写性の評価は初期と5000枚後及び初期と10000枚後耐久後の転写効率を測定することで行った。転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をE、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をDとし、近似的に以下の式で計算した。
【0260】
【数1】
【0261】
転写性の基準は上記により求めた転写効率を以下の基準に基づいて判断した。
A:非常に良好(97%以上)
B:良好 (94乃至97%未満)
C:実用可 (90乃至94%未満)
D:実用不可 (90%未満)
【0262】
転写効率は90%以上であれば問題のない画像である。
【0263】
(帯電均一性)
帯電均一性は以下に示す評価を行った。初期と5000枚後及び初期と10000枚後のカートリッジ内トナーの粒度分布測定を前述の重量平均粒径(D4)の測定方法に則って行い、得られた各々の重量平均粒径(D4)から下記式を基にその粒度変化率を算出して下記基準に基づいて評価を行った。
初期の重量平均粒径(D4)/5000枚後(又は10000枚後)の重量平均粒径(D4)×100=粒度変化率(%)
A:95≦粒度変化率(%)≦100
B:85≦粒度変化率(%)<95
C:75≦粒度変化率(%)<85
D:粒度変化率(%)<75
【0264】
Aが最もよく、Dが最も悪い。
【0265】
(帯電の立ち上がり)
トナーの帯電立ち上がりは、プリントの1枚目から20枚目までのベタのパッチ画像の濃度変化(マクベス反射濃度計で測定)で下記の基準で判断した。
A:濃度1.4に至るまでの枚数が5枚以下
B:濃度1.4に至るまでの枚数が6乃至10枚
C:濃度1.4に至るまでの枚数が11乃至20枚
D:濃度1.4に至るまでの枚数が21枚以上
(部材汚染)
部材汚染は、現像剤担持体表面へのトナーや外添剤の固着の様子と、得られた画像への影響を目視で観察して、以下の基準で評価した。
A:未発生(固着なし)
B:固着がやや発生しているものの、画像への影響は少ない
C:固着があり、これによる画像ムラが僅かに生じているが実用上は問題が少ない。
D:固着が多量にあり、これによる画像ムラが生じている。実用上にも問題がある。
【0266】
(トナー飛散による本体・カートリッジ内の汚染)
トナーの帯電性・流動性のバランスを評価するためにカートリッジ、本体内カートリッジ周辺のトナーによる汚れ具合を観察した。
A:カートリッジ、本体内カートリッジ周辺のトナーによる汚れが全く観察されない。
B:カートリッジに微量のトナーによる汚れが観察される。
C:カートリッジ、本体内カートリッジ周辺のトナーによる汚れが観察されるが、画像・ カートリッジの着脱には影響しない。
D:カートリッジ、本体内カートリッジ周辺がトナーによって著しく汚れ、画像・カート リッジの着脱にも悪影響が見られる。
【0267】
〔評価試験1乃至39、及び比較評価試験1乃至5〕
イエロートナー(A)乃至(AM)、及び、イエロートナー(a)乃至(e)について上記評価を実施した結果を表2に示す。
【0268】
【表2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂、離型剤、極性樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と無機微粉体とを有するイエロートナーであって、
前記着色剤としてC.I.Pigment Yellow 74を含有し、
前記イエロートナーに対する微小圧縮試験において、測定温度25℃で、前記トナー1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで2.94×10-4Nの最大荷重をトナーにかけ終えたときに得られる変位量(μm)を変位量X1、前記最大荷重をかけ終えた後、前記最大荷重で0.1秒間放置して得られる変位量(μm)を最大変位量X2、前記0.1秒間放置後、除荷速度9.8×10-5N/secで除荷し、荷重が0となったときに得られる変位量(μm)を変位量X3、前記最大変位量X2と変位量X3との差を弾性変位量(X2−X3)とし、前記弾性変位量(X2−X3)の前記最大変位量X2に対する百分率[{(X2−X3)/X2}×100:復元率]をZ(25)(%)としたときに、Z(25)は、40%以上80%以下の関係を満足し、
前記トナーにおける周波数100kHzで測定した温度30℃での誘電正接tanδをαとしたときαは0.0010以上0.0030以下を満足することを特徴とするイエロートナー。
【請求項2】
前記イエロートナーの温度60℃における周波数100kHzで測定した誘電正接tanδをβとしたとき、βは0.0010以上0.0040以下を満足することを特徴とする請求項1に記載のイエロートナー。
【請求項3】
前記イエロートナーに対する微小圧縮試験において、測定温度50℃で、前記トナー1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで2.94×10-4Nの最大荷重をかけ終えたときに得られる変位量(μm)を変位量X’1、前記最大荷重をかけ終えた後、前記最大荷重で0.1秒間放置して得られる変位量(μm)を最大変位量X’2、前記0.1秒間放置後、除荷速度9.8×10-5N/secで除荷し、荷重が0となったときに得られる変位量(μm)を変位量X’3、前記最大変位量X’2と変位量X’3との差を弾性変位量(X’2−X’3)とし、前記弾性変位量(X’2−X’3)の前記最大変位量X’2に対する百分率[{(X’2−X’3)/X’2}×100:復元率]をZ(50)(%)としたときに、Z(50)が、10%以上55%以下の関係を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のイエロートナー。
【請求項4】
重合性単量体に少なくとも着色剤を分散させ着色剤含有単量体を得る分散工程、重合性単量体に少なくとも樹脂を溶解させ樹脂含有単量体を得る溶解工程、得られた着色剤含有単量体と樹脂含有単量体とを混合し調製液を得る調製工程、前記調製液を水系分散体に分散して重合性単量体組成物の粒子を生成する造粒工程を少なくとも有するトナー粒子の製造方法で得られるトナーであって、前記調製工程が、超音波発生装置により前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合し調製液を得ることを特徴とする製造方法で得られるトナー粒子を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のイエロートナー。
【請求項5】
前記超音波発生装置は、円柱の周方向に凸部を有する超音波を照射するための振動子を有しており、該凸部が、該円柱に対して同心円を形成する凸部であり、該振動子を振動させることによって、着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体を混合して調製液を得ることを特徴とする製造方法で得られるトナー粒子を有する請求項4に記載のイエロートナー。
【請求項6】
前記調製工程が、液中において高速せん断力を有する攪拌装置で前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合する工程であり、前記攪拌装置が、高速回転する攪拌羽根と前記攪拌羽根の周囲に前記攪拌羽根と逆方向に高速回転するスクリーンによって形成される攪拌室とを備えており、前記攪拌室から調製液が噴出するように構成されていることにより前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合し調製液を得ることを特徴とする製造方法で得られるトナー粒子を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のイエロートナー。
【請求項7】
前記攪拌装置が容器内に具備されており、前記容器へ前記調製液を導入−排出を繰り返して循環させ、所定時間混合を行うことにより、前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合して調製液を得ることを特徴とする製造方法で得られるトナー粒子を有する請求項6に記載のイエロートナー。
【請求項8】
前記調製工程が、複数のスリットを具備するリング状の突起が同心円上に多段に形成された回転子と同様の形状の固定子が一定間隔を保ち、相互に噛み合うように同軸上に設置された混合装置内に前記調整液を導入と排出を繰り返して循環させ、前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合して調製液を得ることを特徴とする製造方法で得られるトナー粒子を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のイエロートナー。
【請求項1】
結着樹脂、離型剤、極性樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と無機微粉体とを有するイエロートナーであって、
前記着色剤としてC.I.Pigment Yellow 74を含有し、
前記イエロートナーに対する微小圧縮試験において、測定温度25℃で、前記トナー1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで2.94×10-4Nの最大荷重をトナーにかけ終えたときに得られる変位量(μm)を変位量X1、前記最大荷重をかけ終えた後、前記最大荷重で0.1秒間放置して得られる変位量(μm)を最大変位量X2、前記0.1秒間放置後、除荷速度9.8×10-5N/secで除荷し、荷重が0となったときに得られる変位量(μm)を変位量X3、前記最大変位量X2と変位量X3との差を弾性変位量(X2−X3)とし、前記弾性変位量(X2−X3)の前記最大変位量X2に対する百分率[{(X2−X3)/X2}×100:復元率]をZ(25)(%)としたときに、Z(25)は、40%以上80%以下の関係を満足し、
前記トナーにおける周波数100kHzで測定した温度30℃での誘電正接tanδをαとしたときαは0.0010以上0.0030以下を満足することを特徴とするイエロートナー。
【請求項2】
前記イエロートナーの温度60℃における周波数100kHzで測定した誘電正接tanδをβとしたとき、βは0.0010以上0.0040以下を満足することを特徴とする請求項1に記載のイエロートナー。
【請求項3】
前記イエロートナーに対する微小圧縮試験において、測定温度50℃で、前記トナー1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで2.94×10-4Nの最大荷重をかけ終えたときに得られる変位量(μm)を変位量X’1、前記最大荷重をかけ終えた後、前記最大荷重で0.1秒間放置して得られる変位量(μm)を最大変位量X’2、前記0.1秒間放置後、除荷速度9.8×10-5N/secで除荷し、荷重が0となったときに得られる変位量(μm)を変位量X’3、前記最大変位量X’2と変位量X’3との差を弾性変位量(X’2−X’3)とし、前記弾性変位量(X’2−X’3)の前記最大変位量X’2に対する百分率[{(X’2−X’3)/X’2}×100:復元率]をZ(50)(%)としたときに、Z(50)が、10%以上55%以下の関係を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のイエロートナー。
【請求項4】
重合性単量体に少なくとも着色剤を分散させ着色剤含有単量体を得る分散工程、重合性単量体に少なくとも樹脂を溶解させ樹脂含有単量体を得る溶解工程、得られた着色剤含有単量体と樹脂含有単量体とを混合し調製液を得る調製工程、前記調製液を水系分散体に分散して重合性単量体組成物の粒子を生成する造粒工程を少なくとも有するトナー粒子の製造方法で得られるトナーであって、前記調製工程が、超音波発生装置により前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合し調製液を得ることを特徴とする製造方法で得られるトナー粒子を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のイエロートナー。
【請求項5】
前記超音波発生装置は、円柱の周方向に凸部を有する超音波を照射するための振動子を有しており、該凸部が、該円柱に対して同心円を形成する凸部であり、該振動子を振動させることによって、着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体を混合して調製液を得ることを特徴とする製造方法で得られるトナー粒子を有する請求項4に記載のイエロートナー。
【請求項6】
前記調製工程が、液中において高速せん断力を有する攪拌装置で前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合する工程であり、前記攪拌装置が、高速回転する攪拌羽根と前記攪拌羽根の周囲に前記攪拌羽根と逆方向に高速回転するスクリーンによって形成される攪拌室とを備えており、前記攪拌室から調製液が噴出するように構成されていることにより前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合し調製液を得ることを特徴とする製造方法で得られるトナー粒子を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のイエロートナー。
【請求項7】
前記攪拌装置が容器内に具備されており、前記容器へ前記調製液を導入−排出を繰り返して循環させ、所定時間混合を行うことにより、前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合して調製液を得ることを特徴とする製造方法で得られるトナー粒子を有する請求項6に記載のイエロートナー。
【請求項8】
前記調製工程が、複数のスリットを具備するリング状の突起が同心円上に多段に形成された回転子と同様の形状の固定子が一定間隔を保ち、相互に噛み合うように同軸上に設置された混合装置内に前記調整液を導入と排出を繰り返して循環させ、前記着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体とを混合して調製液を得ることを特徴とする製造方法で得られるトナー粒子を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のイエロートナー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−242564(P2011−242564A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113872(P2010−113872)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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