説明

イオン交換体、浄化装置および浄化方法

【課題】新たな不純物を被処理済液に流出することがなく、また、被処理液中の不純物の除去を高温で行い被処理液の冷却操作に伴う熱損失の軽減を図ることができるイオン交換体、浄化装置および浄化方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係るイオン交換体は、下記一般式(1)
[化1]
一般式:L2+3+(OH)(OH2x+3y・nHO (1)
(式中、L2+はMg2+、Ca2+およびZn2+から選ばれる2価金属カチオンであり、M3+はFe3+、Al3+およびMn3+から選ばれる3価金属カチオンであり、xおよびyは、0<x、0<y、x+y=8を満たす数であり、nは0≦nを満たす数である)
で表される複水酸化物からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般産業、原子力発電プラントや火力発電プラントにおける水処理技術に係り、特に原子力発電所の炉水の浄化装置、浄化方法および前記浄化装置に用いられるイオン交換体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般産業の廃液中や、原子力発電プラントまたは火力発電プラントの炉水中に不純物として存在するイオンを分離回収する技術としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換システムが知られている。
【0003】
しかし、イオン交換樹脂を用いたイオン交換システムは、被処理液が高温になるとイオン交換樹脂の交換基が外れ、交換性能が大幅に低下するため、高温条件で使用できない。このため、イオン交換樹脂を用いたイオン交換システムを用いて被処理液を処理する場合は、イオン交換システムに導入する前に被処理液を冷却する必要があり、被処理液の冷却や再加熱に多量のエネルギーが必要になる。
【0004】
そこで、高温のまま被処理液中に不純物として存在する陽イオンを分離回収する技術が提案されている。たとえば、特許第4418884号公報(特許文献1)には、ニオブ酸カリウムをイオン交換体としたイオン成分除去システムが記載されている。このイオン成分除去システムによれば、200℃程度の高温水中に含まれるコバルトイオンの除去が可能であるため、被処理液の冷却や再加熱に多量のエネルギーを必要としない。
【0005】
また、特許文献1のイオン成分除去システム以外の、被処理液中に不純物として存在する陰イオンを分離回収する技術として、モノサルフェート(3CaO・Al・CaSO・12HO)、エトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)、ハイドロタルサイト(Mg・Al(OH)16・CO・nHO, n:自然数)等のイオン交換体を用いることが知られている。これらのイオン交換体によれば、硫酸イオンや炭酸イオンが交換体となり、被処理液中の陰イオンを吸着することができる。
【0006】
さらに、特許第4337411号公報(特許文献2)には、マグネシウム、亜鉛、ニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上とアルミニウムとで生成するハイドロタルサイト焼成物をケイ素、チタン、ジルコニウムからなる群から選ばれる1種以上の金属酸化物で被覆した無機陰イオン交換体が記載されている。この無機陰イオン交換体によれば、吸湿性が少なく且つ陰イオン交換性能に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4418884号公報
【特許文献2】特許第4337411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1のイオン交換体で除去可能なイオンはコバルトイオン等の陽イオンのみであり、陰イオンを除去することはできない。しかも、特許文献1のイオン交換体を用いると、高温水中で使用すると本交換体に含まれるカリウムが処理済液に流出し、カリウムが新たな不純物となるおそれがある。
【0009】
また、上記のモノサルフェート、エトリンガイト、ハイドロタルサイト等のイオン交換体を用いる場合は、イオン交換体から流出した硫酸イオンや炭酸イオンが処理済液中に含まれるおそれがある。
【0010】
さらに、特許文献2に記載された無機陰イオン交換体等のイオン交換体を用いる場合は、高温水中でイオン交換体から硫酸イオンや炭酸イオン、金属や有機物等が流出し、処理済液の新たな不純物となるおそれがある。
【0011】
本発明は、上述の事情を考慮してなされたものであり、新たな不純物を被処理済液に流出することがなく、また、被処理液中の不純物の除去を高温で行い被処理液の冷却操作に伴う熱損失の軽減を図ることができるイオン交換体、浄化装置および浄化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、炭酸型ハイドロタルサイト化合物の二酸化炭素を水酸化物イオンに置換した形態の無機系イオン交換体を用いると、新たな不純物を流出することなく高温条件で被処理液中の不純物を除去することが可能であることを見出してなされたものである。
すなわち、本発明のイオン交換体は、上記課題を解決するためのものであり、下記一般式(1)
[化1]
一般式:L2+3+(OH)(OH2x+3y・nHO (1)
【0013】
(式中、L2+はMg2+、Ca2+およびZn2+から選ばれる2価金属カチオンであり、M3+はFe3+、Al3+およびMn3+から選ばれる3価金属カチオンであり、xおよびyは、0<x、0<y、x+y=8を満たす数であり、nは0≦nを満たす数である)
で表される複水酸化物からなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の浄化装置は、上記課題を解決するためのものであり、被処理液が導入されるとともに処理済液を排出する筐体と、この筐体内に配置されるイオン交換体とを備え、このイオン交換体は、前記イオン交換体であることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の浄化方法は、上記課題を解決するためのものであり、前記浄化装置を用いた浄化方法であって、脱塩処理温度が350℃以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のイオン交換体、浄化装置および浄化方法によれば、新たな不純物を流出することなく被処理液中の不純物を除去することできる。
【0017】
また、本発明のイオン交換体、浄化装置および浄化方法によれば、被処理液中の不純物の除去を高温で行うことができるため、原子力発電所の復水浄化装置等の浄化装置において、冷却操作に伴う熱損失の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るイオン交換体の模式的な断面図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るイオン交換体の模式的な断面図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係るイオン成分除去システムの模式的な断面図。
【図4】本発明の第4の実施形態に係るイオン成分除去システムの模式的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[イオン交換体]
本発明のイオン交換体には、一般式(1)で表される複水酸化物のみからなるものと、この複水酸化物の表面が特定のニオブ酸粒子で被覆されたものとがある。前者の一般式(1)で表される複水酸化物のみからなるものを第1の実施形態として説明し、後者の複水酸化物の表面が特定のニオブ酸粒子で被覆されたものを第2の実施形態として説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
本発明の第1実施形態に係るイオン交換体は、下記一般式(1)で表される複水酸化物からなる。
【0021】
[化2]
一般式:L2+3+(OH)(OH2x+3y・nHO (1)
【0022】
式(1)中、L2+はMg2+、Ca2+およびZn2+から選ばれる2価金属カチオンである。これらの2価金属カチオンの中ではMg2+がイオン交換能が高いため好ましい。
【0023】
式(1)中、M3+はFe3+、Al3+およびMn3+から選ばれる3価金属カチオンである。これらの3価金属カチオンの中ではAl3+がイオン交換能が高いため好ましい。
【0024】
式(1)中、xおよびyは、0<x、0<y、x+y=8を満たす数である。
このうち、xは、好ましくは3≦x≦7、さらに好ましくは5.5≦x≦6.5である。xがこの範囲内にあると、イオン交換能が高いため好ましい。
【0025】
また、yは、y=8−xと表される。このため、yは、好ましくは1≦x≦5、さらに好ましくは1.5≦x≦2.5である。yがこの範囲内にあると、イオン交換能が高いため好ましい。
【0026】
式(1)中、nは0≦nを満たす数である。このうち、nは、好ましくは0≦n≦5、さらに好ましくは0≦n≦2である。nがこの範囲内にあると、イオン交換能が高いため好ましい。
【0027】
式(1)で表される複水酸化物は、層状化合物であり、層間に存在するOHが陰イオン交換反応を行うことにより、被処理液中の不純物陰イオンを除去する。
【0028】
式(1)で表される複水酸化物は、たとえば、水に、MgAl(OH)16CO・2HO等の原料と、NaOH水溶液等のOH含有化合物とを添加して得られた原料混合物を、オートクレーブで加熱して反応生成物を得、この反応生成物をろ別、乾燥することにより生成することができる。原料混合物の加熱条件としては、たとえば、120℃〜180℃で2時間〜20時間保持すればよい。
【0029】
式(1)で表される複水酸化物は、通常、原料から生成した時点では粉末状である。このため、イオン交換体は複水酸化物の粉末をそのまま用いた場合は通常粉末状になる。
【0030】
しかし、本発明のイオン交換体は、形や大きさを揃えた成型体とすると、ハンドリングや浄化装置内でのイオン交換反応の制御が容易であるため好ましい。成型体の形状としては、たとえば、略球状等が挙げられる。イオン交換体が成型体であると、ハンドリングや浄化装置内でのイオン交換反応の制御が容易であるため好ましい。
【0031】
また、イオン交換体が略球状の成型体であると、表面に角がなく表面の反応性が均一であることから、ハンドリングや浄化装置内でのイオン交換反応の制御がより容易であるともに比較的流動性があり破損し難いためさらに好ましい。
【0032】
イオン交換体は、たとえば、複水酸化物の粉末をゴム型等の型に充填し、CIP(冷間静水圧成形)法、HP(ホットプレス)法、HIP(熱間静水圧成形)法等を用いて成型することにより、略球状等の成型体とすることができる。
【0033】
イオン交換体が略球状である場合、イオン交換体の直径は、好ましくは0.5mm〜5mm、さらに好ましくは0.5mm〜2mmである。イオン交換体の直径がこの範囲内にあると、ハンドリングや浄化装置内でのイオン交換反応の制御が容易になる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るイオン交換体の模式的な断面図である。図1に示すように、イオン交換体1は、略球状の複水酸化物粒子11からなる。
【0034】
<効果>
本実施形態のイオン交換体1によれば、被処理液中の不純物陰イオンがイオン交換反応によりイオン交換体1の表面に吸着されるため、新たな不純物を流出することなく被処理液中の不純物を除去することできる。
【0035】
また、本実施形態のイオン交換体1によれば、被処理液中の不純物陰イオンの除去を高温で行うことができるため、原子力発電所の復水浄化装置等の浄化装置において、冷却操作に伴う熱損失の軽減を図ることができる。
【0036】
(第2の実施形態)
本発明の第2実施形態に係るイオン交換体は、第1実施形態に係るイオン交換体を構成する複水酸化物粒子の表面がさらに特定のニオブ酸粒子で被覆されたものである。
【0037】
図2は、本発明の第2の実施形態に係るイオン交換体の模式的な断面図である。図2に示すように、イオン交換体1Aは、略球状の複水酸化物粒子11の表面が、特定のニオブ酸粒子からなるニオブ酸層12で被覆されたものになっている。
【0038】
図2に第2の実施形態として示したイオン交換体1Aは、図1に第1の実施形態として示したイオン交換体1に比較して、複水酸化物粒子11の表面にニオブ酸層12がさらに設けられること以外は同じである。このため、第2の実施形態として示したイオン交換体1Aと、第1の実施形態として示したイオン交換体1との間で同じ構成である複水酸化物粒子11については、説明を省略する。
イオン交換体1Aを構成するニオブ酸層12は、下記一般式(2)
【0039】
[化3]
一般式:HNb17・pHO (2)
(式中、pは0以上の数である)
で表される六ニオブ酸、または下記一般式(3)
【0040】
[化4]
一般式:HNbO・qHO (3)
(式中、qは0以上の数である)
【0041】
で表されるニオブ酸からなるニオブ酸粒子が、複水酸化物粒子11の表面に固着したものである。
【0042】
式(2)中、pは0≦pを満たす数である。このうち、pは、好ましくは0≦p≦2、さらに好ましくは0≦p≦1である。pが大きすぎると、イオン交換能が低下しやすい。
【0043】
式(3)中、qは0≦qを満たす数である。このうち、qは、好ましくは0≦q≦2、さらに好ましくは0≦q≦1である。qが大きすぎると、イオン交換能が低下しやすい。
【0044】
式(2)または(3)で表されるニオブ酸は、層状化合物であり、層間に存在するHが陽イオン交換反応を行うことにより、被処理液中の不純物陽イオンを除去する。
【0045】
ニオブ酸層12を構成するニオブ酸粒子は、複水酸化物粒子11の表面に多数固着される。複水酸化物粒子11の表面に多数固着されるニオブ酸粒子は粒子の大きさが略同じになっている。このため、イオン交換体1Aは、巨視的にみると、複水酸化物粒子11の表面に、多数のニオブ酸粒子からなる緻密なニオブ酸層12が形成されているようにも見える。
【0046】
しかし、イオン交換体1Aの表面を微視的にみると、ニオブ酸層12を構成するニオブ酸粒子は、複水酸化物粒子11の表面の一部が露出するように固着されている。このため、イオン交換体1Aが被処理液と接触した場合には、被処理液は、ニオブ酸層12を構成するニオブ酸粒子と、複水酸化物粒子11との両方でイオン交換され、ニオブ酸粒子の表面と複水酸化物粒子11の表面とに吸着されるようになっている。
【0047】
ニオブ酸層12を構成するニオブ酸粒子の粒径や、ニオブ酸層12の厚さは特に限定されない。ニオブ酸粒子の粒径は、たとえば、1μm〜50μmとすることができる。また、ニオブ酸層12の厚さは、たとえば、10μm〜1000μmとすることができる。
【0048】
ニオブ酸層12は、たとえば、複水酸化物粒子11とニオブ酸(HNbO)とを水に投入して原料混合物を得、この原料混合物をオートクレーブで加熱して反応生成物を得、この反応生成物をろ別、乾燥することにより、生成することができる。原料混合物の加熱条件としては、たとえば、120℃〜180℃で2時間〜20時間保持すればよい。
【0049】
図2では、イオン交換体1Aおよび複水酸化物粒子11が共に略球状になっている。略球状のイオン交換体1Aは、図1に示すような略球状に成型された複水酸化物粒子11を用い、この複水酸化物粒子11とニオブ酸(HNbO)とを水に投入して原料混合物を調製することにより、製造することができる。
【0050】
なお、図2には、略球状のイオン交換体1Aを示したが、本発明のイオン交換体1Aは略球状以外の形状であってもよい。たとえば、複水酸化物粒子11として、略球状以外の形状の成形体を用いたり、成型していない複水酸化物粉末をそのまま用いたりし、これらの複水酸化物粒子11の表面にニオブ酸層12を形成することにより、イオン交換体1Aを複水酸化物粒子11の形状に相似する形状にすることができる。
【0051】
ただし、イオン交換体1Aが略球状等の成型体であると、第1の実施形態として示したイオン交換体1と同様の理由により好ましい。また、イオン交換体1Aが略球状であると、第1の実施形態として示したイオン交換体1と同様の理由によりさらに好ましい。
【0052】
イオン交換体1Aが略球状である場合、イオン交換体1Aの直径は、好ましくは0.5mm〜5mm、さらに好ましくは1mm〜3mmである。イオン交換体1Aの直径がこの範囲内にあると、ハンドリングや浄化装置内でのイオン交換反応の制御が容易になる。
【0053】
なお、イオン交換体1Aの直径を上記範囲内にするため、複水酸化物粒子11は、直径が、イオン交換体1Aの直径からニオブ酸層12の厚さ分を差し引いた大きさになるように調製する。
【0054】
ニオブ酸層12を構成するニオブ酸粒子は、200℃以上の高温液体中において、新たな不純物を流出することなしに、被処理液中に含まれるコバルトイオン等の陽イオンの吸着およびイオン交換を可能にするものである。
【0055】
<効果>
第2の実施形態として示すイオン交換体1Aによれば、図1に第1の実施形態として示されたイオン交換体1と同様の効果に加え、200℃以上の高温液体中において、新たな不純物を流出することなしに、被処理液中に含まれるコバルトイオン等の陽イオンを除去することができる。
【0056】
また、第2の実施形態として示すイオン交換体1Aによれば、第1の実施形態として示されたイオン交換体1よりも高温の200℃以上で被処理液中の陽イオンを除去することができる。このため、第2の実施形態のイオン交換体1Aによれば、原子力発電所の復水浄化装置等の浄化装置において、第1の実施形態として示されたイオン交換体1を用いる場合に比べて冷却操作に伴う熱損失の軽減をより図ることができる。
【0057】
なお、図2に第2の実施形態として示したイオン交換体1Aでは、複水酸化物粒子11が略球状になっているが、本発明のイオン交換体1Aを構成する複水酸化物粒子11の形状は略球状以外の形状であってもよい。たとえば、イオン交換体1Aを構成する複水酸化物粒子11の形状は、成型していない複水酸化物粉末の粒子の形状や略球状以外の成形体の形状であってもよい。
【0058】
[浄化装置]
本発明の浄化装置について図面を参照して説明する。
【0059】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態に係る浄化装置(イオン成分除去システム)の模式的な断面図である。
【0060】
図3に示すように、第3の実施形態に係る浄化装置20は、被処理液43が導入されるとともに処理済液44を排出する筐体21と、この筐体21内に配置されるイオン交換体1Aとを備える。
【0061】
筐体21は、断面矩形の筒状体であり、内部に、イオン交換体1Aが配置される空間である脱塩部24を備える。イオン交換体1Aは、通常、脱塩部24内に充填される。
【0062】
なお、図3に示す筐体21は、断面形状が矩形である。しかし、本発明の筐体21は内部にイオン交換体1Aを配置可能なものであればよく、筐体21の断面形状は、矩形に限定されるものでない。たとえば、筐体21の断面形状は、矩形以外の多角形状や円状であってもよい。
【0063】
また、筐体21には、長手方向の一方の端部に被処理液供給ライン33が接続されるとともに、長手方向の他方の端部に処理済液排出ライン34が接続される。被処理液供給ライン33は、浄化装置20の筐体21に被処理液43を導入するラインであり、処理済液排出ライン34は、浄化装置20から処理済液44を排出するラインである。
【0064】
これにより、浄化装置20は、被処理液供給ライン33から筐体21内に導入された被処理液43を、筐体21内の脱塩部24でイオン交換体1Aによりイオン交換処理した後、処理後の清浄な処理済液44を処理済液排出ライン34に排出する、いわゆる流通式のイオン成分除去システムになっている。
【0065】
なお、浄化装置20は流通式のイオン成分除去システムであるため、被処理液43の脱塩部24での反応時間は、被処理液43の脱塩部24での滞留時間に略一致する。このため、浄化装置20で被処理液43をイオン交換処理する際は、脱塩部24での滞留時間を適切に設定する。
【0066】
筐体21の側面外部には、ヒータ29が設けられる。ヒータ29は、筐体21内、すなわち、脱塩部24内の被処理液43の温度を調整する。
【0067】
<作用>
浄化装置20の作用について説明する。
はじめに、浄化装置20の脱塩部24内にイオン交換体1Aを充填しておく。
次に、浄化装置20外部の被処理液供給ライン33から、浄化装置20の脱塩部24内に被処理液43を導入する。
【0068】
ここで、被処理液43とは、除去対象となるイオンを含む液を意味する。被処理液43としては、イオンを含む水溶液もしくは有機溶媒、またはこれらの混合溶液が挙げられる。有機溶媒としては、たとえば、エタノールが挙げられる。
【0069】
被処理液43がイオンを含む水溶液である場合は、除去対象となるイオンは、たとえばH、OH以外のイオンとなる。また、被処理液43がイオンを含む有機溶媒である場合は、除去対象となるイオンは、たとえば全てのイオンとなる。
【0070】
脱塩部24では、被処理液43中の不純物陰イオンおよび不純物陽イオンが、イオン交換によりイオン交換体1Aの表面に吸着する。このため、脱塩部24から排出される処理済液44は不純物イオンが低い清浄な液となる。
【0071】
なお、上記のようにイオン交換体1Aの表面には、ニオブ酸層12のニオブ酸粒子のみでなく、複水酸化物粒子11の表面も露出している。このため、被処理液43中の不純物陰イオンは複水酸化物粒子11の表面に吸着されるとともに複水酸化物粒子11内でイオン交換され、不純物陽イオンはニオブ酸層12のニオブ酸粒子の表面に吸着されるとともにニオブ酸粒子内でイオン交換される。
【0072】
被処理液43の脱塩部24での反応時間は、被処理液43の脱塩部24の滞留時間に略一致する。このため、所定の滞留時間を満たすように被処理液43の導入量を適宜調整する。
【0073】
また、必要により、ヒータ29を稼働させて被処理液43の温度を調整する。イオン交換体1Aは高温になるほどイオン交換速度が上昇しやすい。このため、被処理液43を高い温度で脱塩処理する場合は、イオン交換効率が高くなり、イオン交換体1Aの充填量を減らすことが可能になる。
【0074】
被処理液43の脱塩処理温度としては、被処理液43が原子力発電プラントまたは火力発電プラントの炉水である場合、通常350℃以下、好ましくは200℃〜350℃、さらに好ましくは250℃〜350℃である。
【0075】
脱塩処理温度がこの温度範囲であると、イオン交換性能が高く脱塩が効率的に行われる。なお、イオン交換体1Aは、高い温度領域でも不純物を溶出しないため、350℃以下のような高温領域で脱塩処理をすることが可能になっている。
【0076】
脱塩部24で所定の滞留時間を経た後、浄化装置20から処理済液排出ライン34に排出された処理済液44は、被処理液43中の不純物イオンがイオン交換体1Aの表面に吸着されるとともに、イオン交換体1Aから不純物が溶出されることもないため、除去対象となるイオンが実質的に除去された清浄な液体となる。
【0077】
<効果>
浄化装置20によれば、被処理液中の不純物陰イオンおよび不純物陽イオンがイオン交換反応によりイオン交換体1の表面に吸着されるため、新たな不純物を流出することなく被処理液中の不純物を除去することできる。
【0078】
また、浄化装置20によれば、被処理液中の不純物陰イオンおよび不純物陽イオンの除去を高温で行うことができるため、原子力発電所の復水浄化装置等の浄化装置において、冷却操作に伴う熱損失の軽減を図ることができる。
【0079】
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態に係る浄化装置(イオン成分除去システム)の模式的な断面図である。
【0080】
図4に示すように、第4の実施形態として示した浄化装置20Aは、図3に第3の実施形態として示した浄化装置20と同様に、被処理液43が導入されるとともに処理済液44を排出する筐体21と、この筐体21内の脱塩部24に配置されるイオン交換体1Aとを備える。
【0081】
図4に第4の実施形態として示した浄化装置20Aは、図3に第3の実施形態として示した浄化装置20に比較して、筐体21の内部空間が隔膜22、23により脱塩部24と第1の濃縮部25と第2の濃縮部26と区画された点、および筐体21の壁面に第1の電極27と第2の電極28とが設けられた点以外は同じである。
【0082】
このため、図4に第4の実施形態として示した浄化装置20Aと、図3に第3の実施形態として示した浄化装置20とで同じ構成に同じ符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
【0083】
浄化装置20Aでは、筐体21の内部空間が、隔膜22、23により、被処理液43が脱塩処理される脱塩部24と、脱塩された陰イオンが濃縮される第1の濃縮部25と、脱塩された陽イオンが濃縮される第2の濃縮部26と、に区画される。
【0084】
脱塩部24と、第1の濃縮部25と、第2の濃縮部26とは、隔膜22または23を介して実質的に完全に区画される。具体的には、断面形状の矩形の筐体21は、隔膜22または23により、図4中の上下方向に3分割されており、中間部分に脱塩部24、脱塩部24の図中上方に第1の濃縮部25、脱塩部24の図中下方に第2の濃縮部26が設けられる。
【0085】
イオン交換体1Aは脱塩部24に配置される。イオン交換体1Aは、通常、脱塩部24内に充填される。
【0086】
隔膜22としては、陰イオンを透過させるが陽イオンを透過させない膜である陰イオン交換膜が用いられる。陰イオン交換膜の種類は特に限定されないが、200℃以上、好ましくは200℃〜400℃の耐熱性を有するものが好ましい。
【0087】
隔膜23としては、陽イオンを透過させるが陰イオンを透過させない膜である陽イオン交換膜が用いられる。陽イオン交換膜の種類は特に限定されないが、200℃以上、好ましくは200〜400℃の耐熱性を有するものが好ましい。
【0088】
第1の濃縮部25は、陰イオンが濃縮される空間である。第1の濃縮部25では、脱塩部24から隔膜22を透過して浸入した不純物陰イオンが濃縮される。
【0089】
脱塩部24の被処理液43中の不純物陰イオンは、第1の電極27および第2の電極28への電圧の印加で与えられた駆動力等により、隔膜22を透過して第1の濃縮部25に浸入する。第1の濃縮部25では、不純物陰イオンが濃縮された不純物陰イオン濃縮排液45が作製される。
【0090】
第2の濃縮部26は、陽イオンが濃縮される空間である。第2の濃縮部26では、脱塩部24から隔膜23を透過して浸入した不純物陽イオンが濃縮される。
【0091】
脱塩部24の被処理液43中の不純物陽イオンは、第1の電極27および第2の電極28への電圧の印加で与えられた駆動力等により、隔膜23を透過して第2の濃縮部26に浸入する。第2の濃縮部26では、不純物陽イオンが濃縮された不純物陽イオン濃縮排液46が作製される。
【0092】
浄化装置20Aでは、第1の濃縮部25に隣接する筐体21の壁面に設けられた第1の電極27と、第2の濃縮部26に隣接する筐体21の壁面に設けられた第2の電極28と、を備える。
【0093】
第1の電極27は、脱塩部24中の陰イオンを隔膜22を透過して第1の濃縮部25側に移動させるための電極であり、陽極として用いる。第2の電極28は、脱塩部24中の陽イオンを隔膜23を透過して第2の濃縮部26側に移動させるための電極であり、陰極として用いる。第1の電極27および第2の電極28には、図示しない電源により電圧が印加される。
【0094】
筐体21は、長手方向の一方の端部に被処理液供給ライン33が接続される。被処理液供給ライン33は、浄化装置20の筐体21に被処理液43を導入するラインである。
【0095】
また、筐体21は、長手方向の他方の端部に、処理済液排出ライン34と、不純物陰イオン濃縮排液排出ライン35と、不純物陽イオン濃縮排液排出ライン36と、が接続される。
【0096】
処理済液排出ライン34は、浄化装置20から処理済液44を排出するラインである。不純物陰イオン濃縮排液排出ライン35は、浄化装置20から不純物陰イオン濃縮排液45を排出するラインである。不純物陽イオン濃縮排液排出ライン36は、浄化装置20から不純物陽イオン濃縮排液46を排出するラインである。
【0097】
上記構成により、浄化装置20Aは、被処理液供給ライン33から筐体21内に導入された被処理液43を、筐体21内の脱塩部24でイオン交換体1Aによりイオン交換処理した後、処理後の清浄な処理済液44を処理済液排出ライン34に排出するとともに、不純物陰イオン濃縮排液45および不純物陽イオン濃縮排液46を排出する、流通式のイオン成分除去システムになっている。
【0098】
<作用>
浄化装置20Aの作用について説明する。
はじめに、浄化装置20Aの脱塩部24内にイオン交換体1Aを充填しておく。
次に、浄化装置20A外部の被処理液供給ライン33から、浄化装置20Aの脱塩部24内に被処理液43を導入する。
【0099】
脱塩部24内では、図3に第3実施形態として示した浄化装置20と同様にして、被処理液43中の不純物陰イオンおよび不純物陽イオンが、イオン交換によりイオン交換体1Aの表面に吸着する。このため、イオン交換体1Aに接触した被処理液43は、不純物イオンが低い清浄な液となる。
【0100】
また、浄化装置20Aでは、第1の電極27と第2の電極28とに電圧が印加されるため、被処理液43中の不純物陰イオンおよび不純物陽イオン、ならびにイオン交換体1Aに吸着した不純物陰イオンおよび不純物陽イオンは、電気泳動により、第1の濃縮部25または第2の濃縮部26に移動する。
【0101】
具体的には、被処理液43中またはイオン交換体1Aに吸着した不純物陰イオンは、隔膜22を透過して、第1の濃縮部25に移動し、不純物陰イオンが濃縮された不純物陰イオン濃縮排液45となる。
【0102】
さらに、被処理液43中またはイオン交換体1Aに吸着した不純物陽イオンは、隔膜23を透過して、第2の濃縮部26に移動し、不純物陽イオンが濃縮された不純物陽イオン濃縮排液46となる。
【0103】
このように、浄化装置20Aでは、イオン交換体1Aの表面に吸着した不純物陰イオンおよび不純物陽イオンの除去と、電気泳動と隔膜22、23とを用いた被処理液43からの不純物陰イオンおよび不純物陽イオンの除去との両方が行われるため、被処理液43の効率の高い脱塩処理と、イオン交換体1Aのイオン交換性能の再生とが可能になる。
【0104】
第1の濃縮部25で得られた不純物陰イオン濃縮排液45は第1の濃縮部25から不純物陰イオン濃縮排液排出ライン35に排出される。また、第2の濃縮部26で得られた不純物陽イオン濃縮排液46は第2の濃縮部26から不純物陽イオン濃縮排液排出ライン36に排出される。
【0105】
このように、浄化装置20Aでは、浄化装置20と同様のイオン交換体1Aによる脱塩部24内の被処理液43の脱塩処理に加え、さらに被処理液43のさらなる電気脱塩とイオン交換体1Aに吸着した不純物イオンの脱着とが行われる。このため、脱塩部24から排出される処理済液44は、浄化装置20で排出される処理済液44よりも、イオン交換体1Aから不純物がより溶出されにくくなり、除去対象となるイオンがより除去された清浄な液体となる。また、電気脱塩の際にイオン交換体1Aはイオン交換性能が再生される。
【0106】
<効果>
浄化装置20Aによれば、浄化装置20と同様の効果を奏することに加え、浄化装置20を用いる場合に比べて、被処理液中の不純物をより除去することできる。
【0107】
また、浄化装置20Aによれば、イオン交換体1Aに吸着した不純物イオンの脱着によりイオン交換体1Aのイオン交換性能を再生することが可能になる。
【0108】
なお、図3に第3の実施形態として示した浄化装置20、および図4に第4の実施形態として示した浄化装置20Aでは、イオン交換体として、第2の実施形態として示したイオン交換体1Aを用いた例を示した。しかし、本発明の浄化装置20および20Aでは、イオン交換体1Aに代えて、第1の実施形態として示したイオン交換体1を用いてもよい。
【0109】
浄化装置20および20Aにおいて、イオン交換体1Aに代えてイオン交換体1を用いる場合、イオン交換体1Aを用いる場合に比べて、不純物陽イオンの除去性能が低下しやすい。しかし、イオン交換体1を用いる場合は、イオン交換体にかかるコストを大きく低下させることができる。
【0110】
また、図4に第4の実施形態として示した浄化装置20Aでは、断面形状の矩形の筐体21が、隔膜22または23により、図4中の上下方向に3分割され、上から順番に第1の濃縮部25、脱塩部24および第2の濃縮部26が1個ずつ設けられた例を示した。
【0111】
しかし、本発明の浄化装置20Aでは、第1の濃縮部25、脱塩部24および第2の濃縮部26の順番に配置されたユニットが、筐体21内に複数個設けられていてもよい。このようにユニットが、筐体21内に複数個設けられる場合、第1の電極27および第2の電極28のいずれかまたは両方が1個以上設けられていてもよい。
【0112】
また、図4に第4の実施形態として示した浄化装置20Aでは、筐体21が断面形状矩形の例を示したが、筐体21は筒状体であればよく、断面形状は特に限定されない。たとえば、筐体21の断面は、円状、楕円状や矩形以外の多角形状であってもよい。
【0113】
さらに、図4に第4の実施形態として示した浄化装置20Aでは、筐体21内が、隔膜22または23により、図4中の上下方向に3分割され、上から順番に第1の濃縮部25、脱塩部24および第2の濃縮部26が1個ずつ設けられた例を示した。
【0114】
しかし、本発明の浄化装置20Aでは、筐体21内の第1の濃縮部25、脱塩部24および第2の濃縮部26の順番に配置されたユニットが、筐体21の断面方向からみてスパイラル状に配置されていてもよい。
【0115】
具体的には、断面円状の筐体21を用い、筐体21の外周に陰極である第2の電極28を配置するとともに筐体21の断面方向中心部に陽極である第1の電極27を配置し、隔膜22、23を筐体21内に筐体21の断面方向からみて第1の電極27を中心としてスパイラル状に配置し、筐体21の外周近傍から被処理液43を導入し、筐体21の中心部分から処理済液44を排出するように構成してもよい。
【0116】
[浄化方法]
本発明の浄化方法は、上記浄化装置20または20Aを用いる浄化方法である。この浄化方法は、浄化装置20または20Aの作用の欄で述べたことと同じであるため、説明を省略する。
【実施例】
【0117】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されて解釈されるものではない。
【0118】
(実施例1)
[イオン交換体の作製]
水にMgAl(OH)16CO・2HOとNaOH水溶液とを添加して得られた混合物をオートクレーブにて150℃、10時間保持した。その後冷却し、オートクレーブ内の反応生成物を含むスラリーを遠心分離器で固液に分離した。上澄み液を捨てた後、沈殿物を110℃の電気炉に入れて乾燥させたところ、粉末のイオン交換体(MgAl(OH)(OH)18・2HO)が得られた。
【0119】
[イオン交換体の評価]
密閉可能な6mlのバッチ容器中に、イオン交換体0.48gと、被処理液として0.1M塩化ナトリウム水溶液2.2mlとを投入し、280℃で18時間反応させた(試料No.1)。反応終了後、バッチ容器中の水溶液を処理済液として取り出し、処理済液の塩化物イオンClの濃度を測定した。
【0120】
また、0.1M塩化ナトリウム水溶液2.2mlに代えて0.1M硫酸ナトリウム水溶液2.2mlを用いた以外は試料No.1と同様にして反応させ(試料No.2)、処理済液の硫酸イオンSO2−の濃度を測定した。
測定結果を表1に示す。
【0121】
【表1】

【0122】
表1に示すように、試料No.1の処理済液では被処理液中の塩化物イオンが34%除去され、試料No.2の処理済液では被処理液中の硫酸イオンが57%除去されることがわかった。
また、試料No.1、2共に、処理済液にはMgやAlは検出されなかった。
このように本実施例のイオン交換体を用いると不純物を溶出することなく高温水中の陰イオンを除去できることがわかった。
【0123】
(実施例2)
[イオン交換体の作製]
実施例1で得られた粉末のイオン交換体(MgAl(OH)(OH)18・2HO)とニオブ酸(HNbO)とを1:7の重量比で混ぜた後、水に投入して原料混合物を得、この原料混合物をオートクレーブに入れて150℃で10時間保持した。その後冷却し、オートクレーブ内の反応生成物を含むスラリーをろ過した。ろ滓を110℃の電気炉に入れて乾燥させたところ、MgAl(OH)(OH)18・2HO粒子の表面がHNbO粒子で被覆された粒子からなる、粉末状のイオン交換体が得られた。
図1にニオブ酸で被膜された粉末のイオン交換体の模式図を示す。
【0124】
[イオン交換体の評価]
密閉可能な6mlのバッチ容器中に、イオン交換体0.55gと、被処理液として0.1M塩化ナトリウム水溶液2.2mlとを投入し、280℃で18時間反応させた(試料No.3)。反応終了後、バッチ容器中の水溶液を処理済液として取り出し、処理済液の塩化物イオンClおよびナトリウムイオンNaの濃度を測定した。
測定結果を表1に示す。
【0125】
表1に示すように、試料No.3の処理済液では被処理液中の塩化物イオンが34%除去されるとともに、ナトリウムイオンが40%除去されることがわかった。
また、処理済液にはMgやAlは検出されなかった。
このように本実施例のイオン交換体を用いると不純物を溶出することなく高温水中の陰イオン(Cl)と陽イオン(Na)とを除去できることがわかった。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
1、1A イオン交換体
11 複水酸化物粒子
12 ニオブ酸層
20、20A イオン成分除去装置(浄化装置)
21 筐体
22 隔膜(陰イオン交換膜)
23 隔膜(陽イオン交換膜)
24 脱塩部
25 第1の濃縮部
26 第2の濃縮部
27 第1の電極(陽極)
28 第2の電極(陰極)
29 ヒータ
33 被処理液供給ライン
34 処理済液排出ライン
35 不純物陰イオン濃縮排液排出ライン
36 不純物陽イオン濃縮排液排出ライン
43 被処理液
44 処理済液
45 不純物陰イオン濃縮排液
46 不純物陽イオン濃縮排液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
[化1]
一般式:L2+3+(OH)(OH2x+3y・nHO (1)
(式中、L2+はMg2+、Ca2+およびZn2+から選ばれる2価金属カチオンであり、M3+はFe3+、Al3+およびMn3+から選ばれる3価金属カチオンであり、xおよびyは、0<x、0<y、x+y=8を満たす数であり、nは0≦nを満たす数である)
で表される複水酸化物からなることを特徴とするイオン交換体。
【請求項2】
前記イオン交換体の表面が、
下記一般式(2)
[化2]
一般式:HNb17・pHO (2)
(式中、pは0以上の数である)
で表される六ニオブ酸、または下記一般式(3)
[化3]
一般式:HNbO・qHO (3)
(式中、qは0以上の数である)
で表されるニオブ酸、からなるニオブ酸粒子で被覆されたことを特徴とする請求項1に記載のイオン交換体。
【請求項3】
直径0.5mm〜5mmの略球状であることを特徴とする請求項1または2に記載のイオン交換体。
【請求項4】
被処理液が導入されるとともに処理済液を排出する筐体と、
この筐体内に配置されるイオン交換体とを備え、
このイオン交換体は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン交換体であることを特徴とする浄化装置。
【請求項5】
前記筐体の内部空間は、隔膜により、前記被処理液が脱塩処理される脱塩部と、脱塩された陽イオンが濃縮される第1の濃縮部と、脱塩された陰イオンが濃縮される第2の濃縮部と、に区画されるとともに、
前記第1の濃縮部に隣接して設けられた第1の電極と、
前記第2の濃縮部に隣接して設けられた第2の電極と、を備え、
前記イオン交換体は前記脱塩部に配置されることを特徴とする請求項4に記載の浄化装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の浄化装置を用いた浄化方法であって、脱塩処理温度が350℃以下であることを特徴とする浄化方法。
【請求項7】
前記被処理液がイオンを含む水溶液もしくは有機溶媒、またはこれらの混合溶液であることを特徴とする請求項6に記載の浄化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−61407(P2012−61407A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207097(P2010−207097)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】