説明

イオン交換膜の製造方法

【課題】特定の方向に裂け易いという問題が解決され、更に、膜強度が高いばかりか、膜抵抗の低いイオン交換膜を製造する方法を提供することにある。
【解決手段】縦横の配向強度の異なる多孔質樹脂シートの複数枚が積層された積層シートを基材シートとして含み、該積層シートを構成している多孔質樹脂シートのそれぞれの空隙部にイオン交換樹脂が充填されている構造を有しているイオン交換膜の製造方法において、イオン交換基導入可能な官能基又はイオン交換基を有する単量体、架橋性単量体及び重合開始剤を含有する重合性組成物を用意し、複数枚の前記多孔質樹脂シートが、隣接する多孔質樹脂シートの高配向強度方向が交差するようにして重ね合わせられ、且つ各多孔質樹脂シートの空隙部に前記重合性組成物が充填された構造のイオン交換膜前駆体を作製し、前記イオン交換膜前駆体を加圧しながら、前記重合性組成物を、前記多孔質樹脂シートの融点よりも低い温度で重合する工程を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦横の配向強度の異なる多孔質樹脂シートの複数枚が積層された積層シートを基材シートとして含むイオン交換膜の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン交換膜は、製塩や食品分野における脱塩工程などで利用される電気透析用や、燃料電池の電解質膜として工業的に利用されている。このようなイオン交換膜は、補強材としての機能を有する基材シートが芯材としてイオン交換樹脂中に設けられた構造を有しており、これにより一定の膜強度が保持されている。
【0003】
従来、上記の基材シートとして多孔質樹脂シートが使用されたイオン交換膜が知られている。このような形態のイオン交換膜では、基材である多孔質樹脂シート中の空隙部にイオン交換樹脂が充填されており、この結果、膜抵抗が低いという利点がある。この多孔質樹脂シートとしては、一般にポリテトラフルオロエチレンや高分子量ポリエチレン樹脂等の薄膜が使用されているが、多孔質化による強度低下を回避するために、この薄膜は通常1軸方向あるいは2軸方向に延伸されている。
【0004】
延伸されている多孔質樹脂シートは、延伸方向(或いは延伸度が大きい方向)に高い分子配向を有している為、このような多孔質樹脂シートを基材シートとするイオン交換膜は、一方向(延伸方向)に裂け易いという欠点があり、また膜強度もそれほど高くないものである。
【0005】
上記のような問題が解決されたイオン交換膜として、特許文献1には、直交する2方向で強度異方性がある多孔質樹脂シートの2枚以上を積層した積層シートを基材シートとして用いたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−4500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されているイオン交換膜は、2枚以上の強度異方性がある多孔質樹脂シートを最大強度方向が異なるように積層された積層シートが基材シートとして使用されているため、一方向に膜が裂け易いという欠点が解消され、また、膜強度も向上している。しかしながら、膜抵抗が高いという欠点が新たに生じている。このため、電気透析等の用途に用いた場合、高電圧を必要とする等の問題が生じてしまい、更なる改善が求められている。
【0008】
従って、本発明の目的は、特定の方向に裂け易いという問題が解決され、更に、膜強度が高いばかりか、膜抵抗の低いイオン交換膜を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、基材シートとして多孔質樹脂シートの積層シートを用いたイオン交換膜の製造方法について検討した結果、該積層シートを形成する際の多孔質樹脂シートの接合手段が膜抵抗に大きな影響を与え、例えば、熱融着を用いずに多孔質樹脂シートを接合した時には膜抵抗が大きく低下するという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明によれば、縦横の配向強度の異なる多孔質樹脂シートの複数枚が積層された積層シートを基材シートとして含み、該積層シートを構成している多孔質樹脂シートのそれぞれの空隙部にイオン交換樹脂が充填されている構造を有しているイオン交換膜の製造方法において、
イオン交換基導入可能な官能基又はイオン交換基を有する単量体、架橋性単量体及び重合開始剤を含有する重合性組成物を用意する工程、
複数枚の前記多孔質樹脂シートが、隣接する多孔質樹脂シートの高配向強度方向が交差するようにして重ね合わせられ、且つ各多孔質樹脂シートの空隙部に前記重合性組成物が充填された構造のイオン交換膜前駆体を作製する工程、
前記イオン交換膜前駆体を加圧しながら、前記重合性組成物を、前記多孔質樹脂シートの融点よりも低い温度で重合する重合工程、
を含むことを特徴とするイオン交換膜の製造方法が提供される。
【0011】
本発明の製造方法においては、前記重合性組成物の単量体成分として、イオン交換基を導入可能な官能基を有する単量体を用いた場合には、前記重合工程の後、該重合性組成物の重合体にイオン交換基を導入する工程を設けることにより、最終製品であるイオン交換膜が得られる。
【0012】
また、本発明の製造方法においては、以下の態様が好ましい。
(1)複数枚の前記多孔質樹脂シートのそれぞれに対して、その空隙部に前記重合性組成物を充填した後、これら多孔質樹脂シートを重ね合わせて前記イオン交換膜前駆体を作製すること。
(2)前記重合性組成物の重合を40乃至130℃の範囲で行うこと。
(3)複数枚の前記多孔質樹脂シートとして、それぞれ長尺シートを使用し、且つ該長尺シートのそれぞれに対応して専用の原反ローラを用意し、
各長尺シートのそれぞれを、専用の前記原反ローラに巻き付けて保持し、
巻き取りローラを用いて各原反ローラから各長尺シートを重ね合わせた状態で巻き取ると共に、
各長尺シートが各原反ローラから前記巻き取りローラに移動する間に、各長尺シートを前記重合性組成物と接触せしめて、各長尺シートの空隙部に前記重合性組成物を充填することにより、前記巻き取りローラに巻き取られた状態の前記イオン交換膜前駆体を得、
巻き取られた前記イオン交換膜前駆体について、加圧及び前記重合性組成物の重合が行われること。
(4)各長尺シートの空隙部への前記重合性組成物の充填が行われた後に、前記巻き取りローラ上で、前記長尺シートの重ね合わせが行われること。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法により得られるイオン交換膜は、基材シートとして、縦横の配向強度の異なる多孔質樹脂シートが高配向強度方向が交差するようにして積層された積層シートを含んでいる。従って、公知のイオン交換膜と同様、耐引き裂き性等の機械的特性に異方性がなく、特定方向に引き裂かれ易いという問題は解決されており、また、膜強度も高い。
【0014】
また、本発明の製造方法において、最も重要な特徴は、イオン交換樹脂を形成するための重合性組成物が重ね合された多孔質樹脂シートの空隙部に充填された状態での加圧(圧着)下で重合が行われる点にある。即ち、このようにして重合を行うことにより、重合性組成物(イオン交換樹脂)が接合剤として機能し、多孔質樹脂シート同士がしっかりと接合され、しかも、積層シート中の各多孔質樹脂シートの内部を厚み方向に貫通するようにイオン交換樹脂が形成され、多孔質樹脂シートの接合界面を跨ぐ様にして連続してイオン交換樹脂が積層シート内を延びている。この結果、この方法により得られるイオン交換膜の膜抵抗は極めて低いものとなる。
【0015】
例えば、熱融着等の手段により、重ね合わされた多孔質樹脂シートを接合して基材シートとなる積層シートを形成すると、多孔質樹脂シート内の空隙が潰れてしまったり、多孔質樹脂シートの接合界面で該空隙が閉塞されてしまう。このため、仮にイオン交換樹脂用の重合性組成物を多孔質樹脂シートの空隙部に充填した状態で、多孔質樹脂シート同士の熱融着を行ったとしても、多孔質樹脂シートの界面でほとんどの空隙部が閉じられてしまい、その後の重合により形成されるイオン交換樹脂は、多孔質樹脂シートの界面で分断され、この結果、得られるイオン交換膜の膜抵抗は増大してしまう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のイオン交換膜の製造方法の実施に採用される製造プロセスの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<イオン交換膜の構造>
本発明の製造方法により製造されるイオン交換膜は、複数枚の多孔質樹脂シートが積層された積層シートを基材シートとして有するものであり、この基材シート(積層シート)を形成している各多孔質樹脂シートの空隙にイオン交換樹脂が充填された構造を有している。
【0018】
積層シート及び多孔質樹脂シート;
上記の積層シートの形成に用いる多孔質樹脂シートは延伸されており、延伸方向に分子配向しており、この配向方向に対して高い引っ張り強度を有しているものである。このような多孔質樹脂シートは、延伸により、隣接する多孔質樹脂シートの高配向強度方向(延伸された方向)が交差するように積層されて、基材シートとなる積層シートが形成されている。即ち、このような積層シートからなる基材シートでは、全体として、縦横、何れの方向に対しても高い引っ張り強度を示し、これにより、イオン交換膜の高強度化が実現されると同時に、配向方向に沿って引き裂かれ易いという欠点が回避されている。即ち、分子配向された樹脂シートでは、この配向方向(延伸方向)に沿って引き裂かれ易いという性質を有しているが、高配向強度方向が交差するように積層されているため、配向方向に沿っての引き裂きが有効に防止されるようになっている。
尚、この多孔質樹脂シートとしては、配向方向に対する高強度化を最大限に活かすために、通常、一軸延伸されたもの(例えば、延伸倍率が2倍以上)が使用されるが、縦横方向での配向強度を異にする限りにおいて、二軸延伸されたものを使用することは可能である。
【0019】
隣接する多孔質樹脂シートの高配向強度方向の交差角度は多孔質樹脂シートの積層枚数に応じて適宜変更することができるが、一般にはその交差角度が90±45度となるように設定される(即ち、高配向強度方向が互い違いとなるように積層される)。勿論、高配向強度方向(延伸方向)が均等に分布するように積層することも可能であり、例えば、3枚の多孔質樹脂シートを積層する場合、上記の交差角度が120度(60度)となるように積層することもできる。
【0020】
また、この多孔質樹脂シートは、表裏を連通する微細孔を多数有するものであり、その空隙率は、一般に20〜90%、特に30〜70%の範囲であることが好ましい。この空隙率が小さ過ぎると、空隙内にイオン交換樹脂を十分充填することが困難となり、更に、単位容積あたりのイオン交換樹脂量が少なくなり十分なイオン交換能が発揮されず、その結果、膜抵抗が高くなってしまうおそれがある。一方、空隙率が高すぎると、単位容積あたりのイオン交換樹脂量が多くなり、実用に供した場合、イオン交換樹脂の膨潤収縮によって、寸法安定性を欠き、機械的強度も低下する傾向がある。
【0021】
多孔質樹脂シートを構成する樹脂素材としては、実質的にイオン交換基を有していない熱可塑性樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−オレフィン重合体等の塩化ビニル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルエーテル)等のフッ素系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂;エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘプテン等のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体等を例示することができる。一般的には、成形性、配向性、コスト等の観点から、特にポリエチレンが好ましい。
【0022】
このような多孔質樹脂シートは、例えば、延伸後に除去可能な添加剤(例えばパラフィンや各種無機粉末)が上記熱可塑性樹脂に配合された樹脂組成物を用いての押し出し成形等により樹脂シートを成形し、熱可塑性樹脂の軟化点以上、融点未満の温度で延伸成形し、得られた延伸成形シートから上記添加剤を除去することにより得られる。延伸シートからの添加剤の除去は、例えば、溶剤による抽出、酸による溶解等、公知の方法が特に制限無く実施される。
【0023】
また、多孔質樹脂シートの厚みは、その積層枚数やイオン交換膜の厚みに応じて、適宜の範囲にあればよいが、一般的には5乃至200μm程度であればよい。
【0024】
イオン交換樹脂;
多孔質樹脂シートの空隙内に充填されるイオン交換樹脂は、公知のものでよく、例えば、炭化水素系又はフッ素系の樹脂に、イオン交換能を発現させるイオン交換基、具体的には、陽イオン交換基或いは陰イオン交換基を導入したものである。
【0025】
前記炭化水素系の樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が、また、フッ素系の材質としては、パーフルオロカーボン系樹脂等が挙げられる。
また、イオン交換基は、水溶液中で負又は正の電荷となり得る官能基であり、陽イオン交換基の場合には、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等が挙げられ、一般的に、強酸性基であるスルホン酸基が好適である。また、陰イオン交換基の場合には、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基、ピリジル基、イミダゾール基、4級ピリジニウム基等が挙げられ、一般的に、強塩基性である4級アンモニウム基や4級ピリジニウム基が好適である。
【0026】
上記のようなイオン交換基を有するイオン交換樹脂は、前述した積層シートからなる基材シートの空隙率や該イオン交換樹脂に導入されているイオン交換基の量に応じて適宜のイオン交換容量(例えば、0.1乃至4.0meq/g程度)となるような量でイオン交換膜中に存在する。
【0027】
<イオン交換膜の製造>
本発明において、上記のような構造を有するイオン交換膜は、上記イオン交換樹脂を形成するための重合性組成物を用意し(重合性組成物調製工程)、複数枚の前記多孔質樹脂シートが重ね合わされ且つ該多孔質樹脂シートの空隙部に該重合性組成物が充填された構造のイオン交換膜前駆体を作製し(イオン交換膜前駆体作製工程)、加圧下で重合性組成物の重合を行い(重合工程)、更に必要に応じて、重合工程で得られた重合体(イオン交換樹脂前駆体)にイオン交換基を導入すること(イオン交換基導入工程)により製造される。
【0028】
1.重合性組成物調製工程;
イオン交換基を形成するための重合性組成物は、上述したイオン交換基を導入し得る官能基(交換基導入用官能基)を有する単量体又はイオン交換基を有する単量体(以下、これらの単量体を「基本単量体成分」と呼ぶことがある)、架橋単量体及び重合開始剤を含有するものであり、これらの成分を混合することにより調製される。
【0029】
交換基導入用官能基を有する単量体及びイオン交換基を有する単量体は、イオン交換樹脂を製造するために、従来から使用されているもので良い。
【0030】
例えば、陽イオン交換基導入用官能基を有する単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、α−ハロゲン化スチレン類等を挙げることができる。
陰イオン交換基導入用官能基を有する単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、クロロメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
【0031】
陽イオン交換基を有する単量体としては、α−ハロゲン化ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸系単量体、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸等のカルボン酸系単量体、ビニルリン酸等のホスホン酸系単量体、それらの塩類およびエステル類等を挙げることができる。
また、陰イオン交換基を有する単量体としては、ビニルベンジルトリメチルアミン、ビニルベンジルトリエチルアミン等のアミン系単量体、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の含窒素複素環系単量体、それらの塩類及びエステル類を挙げることができる。
【0032】
尚、上記のような単量体として、イオン交換基を有する単量体を用いた場合には、後述する重合工程が完了した段階で目的とするイオン交換膜が得られるが、イオン交換基導入用官能基を有する単量体を用いた場合には、重合工程後にイオン交換基導入工程を実施することにより、目的とするイオン交換膜を得ることができる。
【0033】
また、架橋性単量体は、イオン交換樹脂を緻密化し、膨潤抑止性や膜強度等を高めるために使用されるものであり、特に制限されるものでは無いが、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、ブタジエン、クロロプレン、ジビニルビフェニル、トリビニルベンゼン類、ジビニルナフタリン、ジアリルアミン、ジビニルピリジン等のジビニル化合物が挙げられる。
このような架橋性単量体は、一般に、前述した基本単量体成分100重量部に対して、0.1〜50重量部が好ましく、さらに好ましくは1〜40重量部である。
【0034】
更に、上述した交換基導入用官能基を有する単量体、イオン交換基を有する単量体及び架橋性単量体の他に、必要に応じて、これらの単量体と共重合可能な他の単量体を添加しても良い。こうした他の単量体としては、例えば、スチレン、アクリロニトリル、メチルスチレン、アクロレイン、メチルビニルケトン、ビニルビフェニル等が用いられる。
【0035】
重合開始剤としては、従来公知のものが特に制限されること無く使用される。具体的には、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパ−オキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物が用いられる。
このような重合開始剤は、基本単量体成分100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、更に好ましくは0.5〜10重量部である。
【0036】
上述した各種成分を含有する重合性組成物には、粘度を調整するために、必要に応じてマトリックス樹脂を配合することもできる。
このようなマトリックス樹脂としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブチレン等の飽和脂肪族炭化水素系ポリマー、スチレンーブタジエン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリ塩化ビニル、或いは、これらに、各種のコモノマー(例えばビニルトルエン、ビニルキシレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、α−ハロゲン化スチレン、α,β,β´−トリハロゲン化スチレン等のスチレン系モノマーや、エチレン、ブチレン等のモノオレフィンや、ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィンなど)を共重合させたものなどを使用することができる。
これらのマトリックス樹脂は、重合性組成物が、垂れ等を生じることなく、多孔質樹脂シートの空隙部に速やかに充填保持し得るような粘度となるような量で使用される。
【0037】
2.イオン交換膜前駆体作製工程;
上記の重合性組成物は、複数枚の多孔質樹脂シートのそれぞれについて、その空隙部に充填し、空隙部に重合性組成物が充填された多孔質樹脂シートを重ね合わせることによりイオン交換膜前駆体を得る。
【0038】
重合性組成物を多孔質樹脂シートの空隙部に充填する方法は、特に制限されないが、一般には、重合性組成物中に多孔質樹脂シートを浸漬する方法や、重合性組成物を多孔質樹脂シートに塗布、スプレーする等の方法が採用される。
【0039】
また、複数枚の多孔質樹脂シートの重ね合わせは、既に述べたように、隣り合う多孔質樹脂シートの高配向強度方向が所定の角度(例えば、90度)で交差するようにして行われる。
尚、この重ね合わせは、各多孔質樹脂シートの空隙部に重合性組成物を充填した後に行われるのが一般的であるが、複数枚の多孔質樹脂シートを重ね合わせた後に多孔質樹脂シートの空隙部への重合性組成物の充填を行うことも可能である。
【0040】
3.重合工程;
上記のようにして、多孔質樹脂シートの空隙部への重合性組成物の充填及び多孔質樹脂シートの重ね合わせを行って得られるイオン交換膜前駆体は加圧下での重合工程に供される。即ち、基本単量体成分としてイオン交換基を有する単量体が使用されている場合には、この工程の完了により目的とするイオン交換膜が得られる。また、基本成分として、交換基導入用官能基を有する単量体を用いた場合には、この工程の完了後に、イオン交換基の導入が必要となる。
【0041】
本発明においては、重ね合わされた多孔質樹脂シートを熱融着等により接合せず、イオン交換膜前駆体中の重合性組成物(各多孔質樹脂シートの空隙部に充填されている重合性組成物)を加圧下で重合せしめることにより、イオン交換樹脂(或いはその前駆体樹脂)の形成と同時に、重ね合わされた多孔質樹脂シートの接合一体化(基材シートの形成)が行われる。即ち、この工程では、重ね合わされている多孔質樹脂シートの熱融着が行われず、加圧により多孔質樹脂シートの界面に存在している余剰の重合性組成物が多孔質樹脂シートの空隙部の中に押し込まれた状態で重合が行われるため、該多孔質樹脂シートの界面或いはその内部において、空隙が閉じられることが無く、この結果、重ね合わされている多孔質樹脂シートの上面から下面に連続した形でイオン交換樹脂(或いはその前駆体樹脂)が形成されることとなり、多孔質樹脂シートの界面での剥離が生じることなく、重合性組成物の重合により得られた樹脂が接合剤となって、重ね合わされた多孔質樹脂シートの接合一体化(基材シートの形成)が行われるわけである。
【0042】
イオン交換膜前駆体の加圧及び重合は、多孔質樹脂シートの界面での剥離が生じないように行えばよく、例えば、イオン交換前駆体(重ね合わされた多孔質樹脂シート)を離型性フィルムで挟み込んで加圧を行い、この状態で加熱により重合を行うのが良い。
【0043】
離型性フィルムとしては、重合に耐え得る耐熱性を有し、且つ重合後に容易に引き剥がせるものが使用される。例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等や、ポリ乳酸など生分解性樹脂、あるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂からなるフィルムを挙げることができ、係るフィルムは2軸延伸されていてもよい。
即ち、上記のフィルムの中から、重合性組成物中の単量体成分の種類に応じて適宜なものを選択して離型性フィルムとして使用すればよい。特に、耐熱性及び剥離性の点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルムが最も好適である。
【0044】
加圧圧力は、一般に、0.1乃至1.0MPa程度でよい。
【0045】
重合温度は、多孔質樹脂シートの融点よりも低い温度とし、該多孔質樹脂シートの配向が損なわれない温度であればよいが、一般的には、40乃至130℃の範囲がよい。即ち、係る温度範囲に加熱して重合を行うことにより、多孔質樹脂シートの一部が重合性組成物中に溶解し、この状態で重合が行われることとなり、この結果、多孔質樹脂シートの接合強度を高めることができ、膜強度を一層向上させることができる。
尚、重合時間は、重合温度等によっても異なるが、一般には、3乃至20時間程度である。
【0046】
4.イオン交換基導入工程;
先に述べたように、重合組成物中の基本単量体成分として、イオン交換基を有する単量体を用いた場合には、上記の重合工程によりイオン交換樹脂が形成され、この段階で目的とするイオン交換膜が得られるが、基本単量体成分として、交換基導入用官能基を有する単量体を用いた場合には、上記の重合工程で得られる樹脂はイオン交換基を有していないため、重合工程後にイオン交換基の導入を行う必要がある。
【0047】
イオン交換基の導入は、それ自体公知の方法で行われ、例えば、陽イオン交換膜を製造する場合には、スルホン化、クロルスルホン化、ホスホニウム化、加水分解等の処理により行われ、陰イオン交換膜を製造する場合には、アミノ化、アルキル化等の処理により行われる。
【0048】
以上のようにして製造されるイオン交換膜は、基材シートが高配向強度方向が交差するようにして積層された積層シートから形成されているため、膜強度が高いばかりか、特定の方向に引き裂かれ易いという欠点は有効に解消されている。また、膜中のイオン交換樹脂は、基材シートの上面から下面に連続して延びている部分を多く含み、従って、膜抵抗が小さいという利点を有している。
係るイオン交換膜は、剥離性フィルムを引き剥がした状態で使用に供される。
【0049】
<好適な製造プロセス>
上述した製造方法は、多孔質樹脂シートとして適度な大きさに裁断されたものを使用して実施することもできるし、ローラに巻かれた長尺シートを用いて実施することもできる。工業的には、ローラに巻かれた長尺シートを多孔質樹脂シートとして用いることが生産性の上で有利である。
図1には、このような長尺シートを用いてイオン交換膜を製造するプロセスの一例が示されている。
【0050】
図1において、原反ローラ1aには長尺の多孔質樹脂シート10aが巻回され、原反ローラ1bには長尺多孔質樹脂シート10bが巻回されている。これら原反ローラ1a、1bに巻回されている多孔質樹脂シート(以下、単に「長尺シート」と呼ぶ)10a、10bは、適宜、テンションローラ或いは送りローラを介して巻き取りローラ3により巻き取られながら重ね合わされる。この場合、長尺シート10a、10bは、重ね合わされた時に高配向強度方向が所定の角度(例えば90度)で交差するように原反ローラ1a、1bに巻回されている。
【0051】
原反ローラ1aと巻き取りローラ3との間には重合性組成物が収容されている浸漬槽5aが設けられており、原反ローラ1bと巻き取りローラ3との間には重合性組成物が収容されている浸漬槽5bが設けられている。即ち、長尺シート1aは浸漬槽5aで重合性組成物に浸漬され、該シート1aの空隙部に重合性組成物が充填されて巻き取りローラ3により巻き取られ、長尺シート1bは浸漬槽5bで重合性組成物に浸漬され、該シート1bの空隙部に重合性組成物が充填されて巻き取りローラ3により巻き取られる。
【0052】
また、原反ローラ7には、離型性フィルム20が巻回されて保持されており、この離型性フィルム20は、巻き取りローラ3に対面して配置されている圧ローラ9を介して巻き取りローラ3に巻き取られるようになっている。
【0053】
即ち、巻き取りローラ3には、重合性組成物が充填された長尺シート10a、10bが重ね合わされ、離型性フィルム20で挟まれ且つ加圧された状態で巻回されている。このことから理解されるように、巻き取りローラ3には、イオン交換膜前駆体が離型性フィルム20で挟持され且つローラ圧により加圧された状態で保持されていることとなる。
【0054】
上記の巻き取りローラ3を所定の重合装置(例えば加熱オーブン)中に導入し、該装置内で重合性組成物を所定温度に加熱して重合が行われる。従って、重合組成物中の基本単量体成分として、イオン交換基を有する単量体を用いた場合には、重合装置内での重合により、目的とするイオン交換膜が得られる。また、基本単量体成分として、交換基導入用官能基を有する単量体を用いた場合には、上記の重合後、更に、イオン交換基の導入処理が行われ、目的とするイオン交換膜が得られる。
【0055】
上記のように、長尺シートを多孔質樹脂シートとして使用すれば連続的に効率よくイオン交換膜を得ることができる。
また、図1の例では、2枚の長尺シート10a、10bが使用されているが、更に、多数枚の長尺シートを用いることも可能であり、この場合には、長尺シートの枚数に応じた数の原反ローラと重合性組成物が収容されている浸漬槽とを設ければよい。更に、図1の例では長尺シート10a、10bが、異なる浸漬槽5a、5bで重合組成物中に浸漬されているが、重合性組成物が収容されている浸漬槽の数を一つとし、この浸漬槽中で重合性組成物中への浸漬と同時に長尺シート10a、10bの重ね合わせを行うことも可能である。
【実施例】
【0056】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例、比較例に示す多孔質樹脂シートおよびイオン交換膜の特性は以下の方法により測定した。
【0057】
膜抵抗;
白金黒電極を有する2室セル中にイオン交換膜を挟み、イオン交換膜の両側に0.5mol/L−NaCl溶液を満たし、交流ブリッジ(周波数1000サイクル/秒)により25℃における電極間の抵抗を測定し、該電極間抵抗とイオン交換膜を設置しない場合の電極間抵抗との差により膜抵抗を求めた。上記測定に使用するイオン交換膜は、予め0.5mol/LNaCl溶液中で平衡にしたものを用いた。
【0058】
イオン交換膜の機械強度;
ミューレン破裂試験機(東洋精機製)により、JIS−P8112に準拠して破裂強度を測定した。
【0059】
<実施例1>
まず、ポリエチレンよりなる多孔質樹脂シートを、TD方向へ2.5倍で一軸延伸し、母材となる多孔質樹脂シート(厚み36μm、空隙率48%)を得た。
次に、下記処方により、各成分を混合して重合性組成物を調製した。
クロルメチルスチレン 90重量部
ジビニルベンゼン 10重量部
過酸化ベンゾイル 3重量部
スチレンオキサイド 3重量部
この重合性組成物500gを、1000mlのガラス容器に入れ、ここに基材シートとなる多孔質樹脂シートを2枚浸漬して、多孔質樹脂シートの空隙に重合体組成物を充填した。
【0060】
続いて、多孔質樹脂シートの一方を重合性組成物中から取り出し、100μmのポリエステルフィルム上に配置し、該多孔質樹脂シートの他方を単量体組成物中から取り出し、先に配置した多孔質樹脂シートに対して延伸方向が直交するように積層して2層の多孔質樹脂シートからなる積層シートを得た。
得られた積層シートの上にポリエステルフィルムを積層し、ロールのタッチ圧力が0.05kgf/cmで加圧した後、0.4MPaの窒素加圧下、80℃で5時間加熱重合した。得られたイオン交換樹脂前駆体膜を、30%トリメチルアミン水溶液10部、水5部、アセトン5部よりなるアミノ化浴中、室温で5時間反応せしめて、4級アンモニウム型陰イオン交換膜を得た。
得られた陰イオン交換膜の膜抵抗、破裂強度の測定結果を表1に示す。
【0061】
<実施例2>
重合性組成物の処方を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして延伸した多孔質樹脂シートに充填し、加圧下で積層、加熱重合し、イオン交換樹脂前駆体膜を得た。
スチレン 90重量部
ジビニルベンゼン 10重量部
過酸化ベンゾイル 3重量部
【0062】
得られたイオン交換樹脂前駆体膜を、98%濃硫酸と濃度90%以上のクロルスルホン酸の1:1(重量比)の混合物中に40℃で60分間浸漬し、スルホン酸型陽イオン交換膜を得た。得られた陰イオン交換膜の膜抵抗、破裂強度の測定結果を表1に示す。
【0063】
<実施例3>
多孔質樹脂シートの延伸倍率を2倍とした以外はすべて実施例1と同様にして、陰イオン交換膜を調製し、膜抵抗、破裂強度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0064】
<実施例4>
多孔質樹脂シートの延伸倍率を3倍とした以外はすべて実施例1と同様にして、陰イオン交換膜を調製し、膜抵抗、破裂強度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0065】
<比較例1>
積層後の加圧を行わなかったこと以外はすべて実施例1と同様にして陰イオン交換膜を調製したところ、得られた陰イオン交換膜には、界面の剥離がみられ、膜を得ることができなかった。
【0066】
<比較例2>
実施例1と同様の多孔質樹脂シートを、予め0.05kgf/cm、120℃の条件で熱プレスにより融着し、一体化した強度異方性がある多孔質樹脂シートを作製した。該多孔質樹脂シートに、実施例1と同様の重合性組成物を充填した。以降の操作はすべて実施例1と同様にして陰イオン交換膜を調製し、膜抵抗および破裂強度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
表1に示すとおり、実施例1〜4ではいずれも膜抵抗が低く、引裂き強度が大きく、かつ強度異方性がないイオン交換膜を得ることができた。
これに対し比較例1では、界面の剥離が生じており、良好な膜を得ることができなかった。また、比較例2では、界面剥離がなく強度異方性はないものの、膜抵抗が大きく増加していた。
【符号の説明】
【0069】
1a、1b:多孔質樹脂シート原反ローラ
3:巻取りローラ
5a、5b:重合性組成物浸漬槽
7:剥離性フィルム原反ローラ
9:圧ローラ
10a、10b:多孔質樹脂の長尺シート
20:離型性フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦横の配向強度の異なる多孔質樹脂シートの複数枚が積層された積層シートを基材シートとして含み、該積層シートを構成している多孔質樹脂シートのそれぞれの空隙部にイオン交換樹脂が充填されている構造を有しているイオン交換膜の製造方法において、
イオン交換基導入可能な官能基又はイオン交換基を有する単量体、架橋性単量体及び重合開始剤を含有する重合性組成物を用意する工程、
複数枚の前記多孔質樹脂シートが、隣接する多孔質樹脂シートの高配向強度方向が交差するようにして重ね合わせられ、且つ各多孔質樹脂シートの空隙部に前記重合性組成物が充填された構造のイオン交換膜前駆体を作製する工程、
前記イオン交換膜前駆体を加圧しながら、前記重合性組成物を、前記多孔質樹脂シートの融点よりも低い温度で重合する重合工程、
を含むことを特徴とするイオン交換膜の製造方法。
【請求項2】
前記重合性組成物の単量体成分として、イオン交換基を導入可能な官能基を有する単量体が使用され、前記重合工程の後、該重合性組成物の重合体にイオン交換基を導入する工程を有する請求項1に記載のイオン交換膜の製造方法。
【請求項3】
複数枚の前記多孔質樹脂シートのそれぞれに対して、その空隙部に前記重合性組成物を充填した後、これら多孔質樹脂シートを重ね合わせて前記イオン交換膜前駆体を作製する請求項1または2に記載のイオン交換膜の製造方法。
【請求項4】
前記重合性組成物の重合を40乃至130℃の範囲で行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のイオン交換膜の製造方法。
【請求項5】
複数枚の前記多孔質樹脂シートとして、それぞれ長尺シートを使用し、且つ該長尺シートのそれぞれに対応して専用の原反ローラを用意し、
各長尺シートのそれぞれを、専用の前記原反ローラに巻き付けて保持し、
巻き取りローラを用いて各原反ローラから各長尺シートを重ね合わせた状態で巻き取ると共に、
各長尺シートが各原反ローラから前記巻き取りローラに移動する間に、各長尺シートを前記重合性組成物と接触せしめて、各長尺シートの空隙部に前記重合性組成物を充填することにより、前記巻き取りローラに巻き取られた状態の前記イオン交換膜前駆体を得、
巻き取られた前記イオン交換膜前駆体について、加圧及び前記重合性組成物の重合が行われる請求項1乃至4の何れかに記載のイオン交換膜の製造方法。
【請求項6】
各長尺シートの空隙部への前記重合性組成物の充填が行われた後に、前記巻き取りローラ上で、前記長尺シートの重ね合わせが行われる請求項5に記載のイオン交換膜の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−21099(P2012−21099A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161017(P2010−161017)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(503361709)株式会社アストム (46)
【Fターム(参考)】