説明

イオン化生成チューブ及びこれを備えるイオン化生成装置

【課題】イオン化チューブ及びこれを備えるイオン化生成装置の提供。
【解決手段】本発明のイオン化生成チューブは、中空のチューブ構造を有するものであって、チューブはセラミック及び放射性物質の混合によって形成され、放射性物質はチューブの長さ方向全体にわたって分布する。よって、本発明に係るイオン化生成チューブは、アルファ粒子が放出される面積を増加させることができるため、イオン化率を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン化生成チューブ及びこれを備えるイオン化生成装置に関し、特に、チューブを通過する気体のイオン化効率を高めることが可能なイオン化生成チューブ及びこれを備えるイオン化生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性物質、例えばポロニウム(polonium)210はアルファ粒子(alpha particle)を放出しながら安定な状態の鉛(206Pb)に壊変する。このようなアルファ粒子は一般に空気中で約3インチ(inch)程度の距離を移動することができ、他の中性子(neutron)又はベータ粒子(beta particle)と比較して非常に小さい透過力(penetrating power)及び極めて大きな運動エネルギーを有する。ところが、このようなアルファ粒子は、非常に膨大な量のイオンを生成することができるため、静電気の除去に広く使われている。
【0003】
アルファ粒子は、2つの陽子(proton)及び2つの中性子から構成されており、電子(electron)は含まないため、全体的に正電荷を帯びている。このように正電荷を帯びるアルファ粒子は、物質を通過しながら周囲にある原子から電子を除去し、これにより周辺の原子がイオン化される。
【0004】
このように、アルファ粒子を用いたイオン化装置は、物体の表面に残存する静電気を除去するために使用される。静電気は、非伝導性物質の表面に電荷(electrical charge)を蓄積することにより発生するものであって、カメラレンズ又はデジタルイメージセンサーの表面に無駄な異物(粉塵など)を付着させる。よって、静電気のある物体の表面へ、アルファ粒子を用いたイオン化装置を用いてイオン化気体を供給すると、静電気を除去することができる。アルファ粒子を用いたイオン化装置は、気体を対象の表面に供給するために、気体圧縮機又はファン(fan)などと結合している。
【0005】
アルファ粒子を用いたイオン化装置は、自動車排気ガスなどの汚染空気を中和する目的でも用いられている。アルファ粒子は、汚染空気中に含まれている黒鉛、二酸化炭素(CO)及び一酸化炭素(CO)粒子と衝突してイオン化することによりこれらの粒子を中和するため、触媒を用いて黒鉛を主に中和する従来の煤煙低減装置と比較して優れた効果を有する利点がある。
【0006】
アルファ粒子を用いたイオン化装置は、所望の場所にイオン化気体を供給するための放射線ガン(radioactive gun)の形で使用されている。図1は従来の放射線を用いたイオン化装置の概略断面図である。
【0007】
図1を参照すると、従来のイオン化装置は、高圧及び高速の空気をフィードライン(feed line)3を介して中空の円筒形カートリッジ(cylindrical cartridge)1に供給する。円筒形カートリッジ1は、両端部が開放されており、その内周面にはイオン化放射線源5が設けられている。イオン化放射線源5は、一般に、アルファ粒子を放出するポロニウム210を含む金属箔(metal foil)でできている。このようなイオン化放射線源5は、円筒形カートリッジ1を通過する空気をイオン化する。イオン化空気は、ノズル4を介して噴射され、それにより静電気を除去する。
【0008】
図2は従来のイオン化装置のイオン化放射線源5の断面図である。図2を参照すると、従来のイオン化放射線源5は放射性物質としてのポロニウム210が他の金属で取り囲まれている構造を取っていることが分かる。よって、放射性物質としてのポロニウム210は限られた部分にのみ位置していることが分かるが、このため従来のイオン化装置はイオン化率が10%であって効率が低いという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的はイオン化率が高いイオン化生成チューブ及びこれを備えるイオン化生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある観点に係るイオン化生成チューブは、中空のチューブ構造を有するものであって、チューブはセラミック及び放射性物質の混合によって形成され、放射性物質はチューブの長さ方向全体にわたって分布する。
【0011】
本発明の他の観点に係るイオン化生成チューブは、中空のチューブ構造を有するものであって、内周面及び外周面を含み、内周面及び/又は外周面には放射性層がチューブの長さ方向に形成されている。
【0012】
本発明に係るイオン化生成チューブは、次の特徴を一つ又はそれ以上備えることができる。例えば、放射性物質は、モナザイト(monazite)を含むトリウム系列(Thorium Series)、ウラニウム系列(Uranium Series)、アクチニウム系列(Actinium Series)、ネプツニウム系列(Neptunium Series)であってもよい。放射性物質は、内周面及び外周面の少なくとも一つにコーティングされることによって形成できる。
【0013】
本発明のある観点に係るイオン化生成装置は、前述したような構成を有するイオン化生成チューブを含む。
【0014】
イオン化生成装置は多数のイオン化生成チューブを含み、イオン化生成チューブは互いに接触するように配置されてもよく、一定の間隔で配置されてもよく、或いは重畳するように配置されてもよい。
【0015】
本発明のある観点に係るイオン化チューブの製造方法は、セラミック粒子の粉末を形成する段階と、前記粉末と放射性物質との混合物を形成した後、攪拌する段階と、前記混合物を成形してチューブ状の成形体を形成する段階と、前記成形体を焼結する段階とを含んでなる。放射性物質はセラミック物質100重量部に対して1〜60重量部が添加できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上述した問題点を解決するためのものであって、イオン化率が高いイオン化生成チューブ及びこれを備えるイオン化生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】放射線を用いた従来のイオン化装置の断面図である。
【図2】従来のイオン化装置のイオン化放射線源の断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係るイオン化生成チューブの斜視図である。
【図4】本発明の他の実施例に係るイオン化生成チューブの断面図である。
【図5】本発明の一実施例に係る多数のイオン化生成チューブを円形に配置した状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施例に係る多数のイオン化生成チューブを四角形に配置した状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施例に係るイオン化生成チューブを重畳するように配置した状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施例に係るイオン化生成チューブの配置状態を示す斜視図である。
【図9】図8のA−A線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明には多様な変形を加えることができ、様々な実施例を有することができるが、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態について限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変形、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。本発明を説明するにあたり、関連した公知の技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を乱すおそれがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0019】
本出願で使用する用語は、特定の実施例を説明するために使用されるもので、本発明を限定しようとするものではない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするもので、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせの存在又は付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0020】
別途定義しない限り、技術的又は科学的な用語を含むここで使用される全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されるものと同じ意味を持っている。一般に使用される辞典に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施例を詳細に説明する。添付図面を参照して説明するにあたり、図面番号を問わず、同一又は対応の構成要素は同一の参照符号を付し、これについての重複説明は省略する。
【0022】
図3は本発明の一実施例に係るイオン化生成チューブ100の斜視図、図4は本発明の他の実施例に係るイオン化生成チューブ200の断面図である。
【0023】
図3を参照すると、本発明の一実施例に係るイオン化生成チューブ100は、一定の長さ及び厚さを有する中空の管(pipe)状である。イオン化生成チューブ100は内周面及び外周面を有する。イオン化生成チューブ100の内部には空気などの気体が通過する。
【0024】
本実施例に係るイオン化生成チューブ100は、円形の横断面を持つが、本発明はこれに限定されるものではなく、楕円形や四角形などの多様な形状の横断面を持ってもよい。イオン化生成チューブ100の長さ及び直径も様々に変更できる。
【0025】
本実施例に係るイオン化生成チューブ100は、セラミックと放射性物質との混合物を用いて形成できる。すなわち、セラミックと放射性物質とを混合した後、これを焼結などの方法によって中空のイオン化生成チューブ100を生産することができる。セラミックと放射性物質との混合過程で、放射性物質は混合物全体にわたって均一に分布し、このような混合物を用いてイオン化生成チューブ100を製造するため、チューブ全体にわたって均一に放射性物質が分布できる。したがって、従来のようにイオン化生成チューブ100の一部にのみ放射性物質が分布するのではなく、チューブ100全体にわたって放射性物質が分布するため、チューブ100を通過する気体との接触面積が増加してイオン化率が増加する。
【0026】
イオン化生成チューブ100に含まれるセラミックは、高温条件であっても作動するセラミックが使用できる。例えば、セラミック物質は、シリカ29.8重量%、アルミナ68.2重量%、酸化第2鉄0.4重量%、チタン1重量%、石灰0.1重量%、マグネシア0.1重量%、及びアルカリ0.4重量を含むことができる。勿論、セラミックは石英などのその他の物質が必要に応じて使用できる。
【0027】
放射性物質はモナザイト(monazite)又はトリウム(Thorium)を含むことができる。モナザイトは、セリウム(Ce)、ランタンジウム(La)、ネオジウム(Nd)などの希土類元素の酸化物を30〜60%含有したリン酸塩鉱物であって、酸素・窒素と結合して酸化物・窒化物となり、約500℃でハロゲン・硫黄と反応し、フッ化水素酸以外に発煙塩酸、王水によく溶ける特徴がある。モナザイトは、遠赤外線放射率が0.93であり、陰イオンは精製の際に20,000〜90,000個/ccを発生する。モナザイトは、半減期が55.6秒と非常に短いトリウム又はトリウム220(Th−220)を含む。トリウムは一般にトリウム232(Th−232)であってもよい。
【0028】
放射性物質は、モナザイトを含むトリウム系列(Thorium Series)、ウラニウム系列(Uranium Series)、アクチニウム系列(Actinium Series)、ネプツニウム系列(Neptunium Series)でありうる。
【0029】
イオン化生成チューブ100で使用できる放射性物質としては、モナザイト又はトリウム以外にも、トーライト(Thorite)、トリアン石(Thorianite)、ブランネル石(Brannerite)、セリアナイト(Cerianite)、ロパライト(Loparite)、ポリミグナイト(Polymignite)、ブリトライト(Britholite)、グレイアイト(Grayite)、ハットナイト(Huttonite)などがある。
【0030】
イオン化生成チューブ100は、粉砕されたセラミック粒子と放射性物質との混合物によって形成される。セラミック粒子は、よく精製された原料に水、有機物としてのバインダー、潤滑剤などを加えて所定の時間混合した後、ボールミル(ballmill)を用いて、所望の粒子サイズ及び粒子分布などを有するように粉砕する。粉砕されたセラミックに放射性物質を混合した後、瞬間的に熱風で乾燥させて顆粒状の粉末を形成する造粒(granulation)工程を行う。造粒工程では主にスプレードライによって顆粒状の粉末が形成され、スプレードライは、よく混合された内部(scullery)を熱風で瞬間乾燥させて比較的一定の形状と大きさの球状粉末を生成する。
【0031】
このようなセラミック粉末に放射性物質を混合した後、攪拌器を用いてミックスすることにより、セラミックと放射性物質との混合物を生成する。セラミック粉末100重量部に対する放射性物質の混合割合は60重量部以下であることが好ましく、少なくとも1重量部以上でなければならない。
【0032】
スプレードライされた放射性物質とセラミックとの混合物をイオン化生成チューブと同じモールドに入れた後、圧力を加え、イオン化生成チューブと同じ形状を有する成形体を作る。成形の方法としては乾式プレス(dry press)、冷間静水圧プレス(Cold Isostatic Pressing、CIP)、スリップキャスト(Slip Casting)、押し出し成形(Extrusion)、射出成形(injection molding)などがある。特に、射出成形は熱によってプラスチック状態になったセラミックボディを高い圧力でダイを通過させて成形する方法であり、押し出し成形は可塑形有機バインダーが含まれたセラミック粉末に高圧力を加えて金型を介して押し出す方法である。押し出し成形及び射出成形はいずれもダイの出口の形状によって円形又は四角形のチューブを形成することができる。
【0033】
このように形成された成形体を、焼結する前に、一次加工を介して最終製品に近接した形状にする。セラミックは、一般に、焼結後の硬度及び強度が高いため、焼結後には加工が難しい。よって、形状が複雑な部位、或いは焼結後に加工を行うことができない部位を焼結前に旋盤又はフライス加工(milling)などの各種工作機械を用いて加工し、複雑な形状の製品を作ることができる。円形のイオン化生成チューブ100は旋盤によって加工できる。四角形又は複雑な形状のイオン化生成チューブ100は、フライス盤(milling machine)又は自動化旋盤(CNC)によって加工できる。この際、成形体自体が粉末の結合状態であるから、クラック又はチッピング(chipping)に注意して取り扱い、加工ストレスにより焼結の際にクラック及び物性低下が生じないようにしなければならない。
【0034】
一次加工された成形体は、1600℃以上の高温で焼結して混合された有機物を分解し、粒子間の気孔を除去して組織を緻密化し、粒子を成長させる。焼結方法としては、常圧焼結法、加圧焼結法、熱間静水圧焼結法、反応焼結法などがある。常圧焼結法は、成形体に外部圧力を加えることなく焼結させる方法であって、焼結を容易かつ緻密に行うために、原料の粒径を小さくし且つ多量の焼結助剤(additive)を添加することができる。加圧焼結法(hot pressing)は、極めて少量の焼結助剤で加圧によって高密度で焼結させる方法であって、常圧焼結法に比べて緻密な構造を形成することができる。熱間静水圧焼結法(hot-isostatic pressing)は、等方加圧成形と焼結を同時に行って加圧成形の欠点を補完するための方法であって、原料粉末を鉄、モリブデン、白金などのカプセル型に入れ、圧力媒体としてアルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)などの不活性ガスを用いて、外部から等方的に加圧しながら加熱する方法である。反応焼結法(reaction sintering)は化学反応を起こすと同時に焼結を行う方法である。
【0035】
焼結の後には、精密な製品及び優れた表面を得るために、ダイヤモンドなどを用いて研削加工又は表面加工を行うことができる。
【0036】
前述したような方法によって製造されたイオン化生成チューブ100には、空気、アルゴン又は窒素などの気体が流入できる。イオン化生成チューブ100に流入した気体は、イオン化生成チューブ100に含有された放射性物質から放出されるアルファ粒子によってイオン化される。
【0037】
前述したイオン化生成チューブ100は、直径が一定なものを例示したが、イオン化生成チューブが設置される装置の条件に応じて、長さ方向に沿って直径が異なりうる。例えば、イオン化生成チューブ100を介して噴射される気体の速度を増加するために、イオン化生成チューブ100の出口の直径を入口に比べて小さくすることができる。
【0038】
図4は本発明の他の実施例に係るイオン化生成チューブ200の断面を例示した図である。
【0039】
図4を参照すると、本発明の他の実施例に係るイオン化生成チューブ200は、内周面と外周面に、それぞれ放射性物質からなる放射性層220が形成されていることを特徴とする。放射性層220は、放射性物質をコーティングすることにより形成されてもよく、放射性物質を金属箔状にした後、これを内周面及び外周面に付着させることにより形成されてもよい。本実施例に係るイオン化生成チューブ200は、外周面及び内周面に放射性層220が形成されているため、チューブ200の内部及び外部を通る気体をイオン化することができる。
【0040】
本実施例では、イオン化生成チューブ200の内周面及び外周面の両方ともに放射性層220を形成したが、必要に応じて、内周面及び外周面のいずれか一方にのみ放射性層220を形成してもよい。
【0041】
図5は多数のイオン化生成チューブ100を円形に配置した状態を示す斜視図、図6は多数のイオン化生成チューブ100を四角形に配置した状態を示す斜視図である。
【0042】
多数のイオン化生成チューブ100は、イオン化装置の特性に応じて、図5に示すように円形に配置してもよく、図6に示すように四角形に配置してもよい。このように、多様な形態の配置を形成するために、まず、複数のイオン化生成チューブ100を互いに接するように括った後、所望の断面の形状に長さ方向に切断することができる。図5はイオン化生成チューブ100の束を円形に切断した場合に該当し、図6はイオン化生成チューブ100の束を四角形に切断した場合に該当する。
【0043】
このように多数が互いに接するように配置されたイオン化生成チューブ100は、通過する気体との接触面積を増加させることができるため、イオン化率を高めることができるという利点がある。
【0044】
図7はイオン化生成チューブ100を重畳させて配置した状態を示す図である。
【0045】
図7を参照すると、大径のイオン化生成チューブ240の内部には小径のイオン化生成チューブ260が収容されている。よって、大径のイオン化生成チューブ240の内部を通過する気体は、小径のイオン化生成チューブ260の内周面及び外周面と接触しながらイオン化される。よって、直径の異なるイオン化生成チューブが図7のように重畳している場合、大径のイオン化生成チューブ240の内周面と小径のイオン化生成チューブ260の内周面及び外周面を介してアルファ粒子が放出されるように構成することができる。
【0046】
多数のイオン化生成チューブ100は、図8及び図9に示すように、一定の間隔で互いに離隔するように配置できる。図8は多数のイオン化生成チューブ100の他の配置構造を示す斜視図、図9はイオン化生成チューブ100の断面図である。
【0047】
図8及び図9を参照すると、同一の長さ及び直径を有する複数のイオン化生成チューブ100が互いに一定の間隔で配置されている。このようなイオン化生成チューブ100は、シリンダー150の内部に収容されている。よって、シリンダー150の内部を通過する気体は、イオン化生成チューブ100の内周面及び外周面と接触しながら、放出されるアルファ粒子によってイオン化される。勿論、シリンダー150の内周面にもアルファ粒子が放出できるように放射性物質を形成することができる。
【0048】
このように、多数のイオン化生成チューブ100が互いに接せずに離隔して位置するように配置することにより、気体とイオン化生成チューブ100との接触面積を増加させることができ、イオン化率を高めることができる。
【0049】
図5〜図8に例示した多数のイオン化生成チューブ100は、イオン化生成装置の空気圧縮機(図示せず)又はファン(図示せず)などと連結されて気体の供給を受けることができる。多数のイオン化生成チューブ100はスプレーガン又は送風機などと連結されて対象の表面に噴射できる。
【0050】
イオン化生成化チューブ100、200を含むイオン化生成装置は、半導体ウェハーなどから粉塵などの異物を除去するために使用されるか、或いは自動車などの煤煙低減装置として使用できる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施例を参照して説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、下記特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱することなく、本発明に多様な修正及び変更を加え得ることを理解することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空のチューブであって、
前記チューブはセラミック及び放射性物質の混合によって形成され、
前記放射性物質は前記チューブの長さ方向全体にわたって分布し、
前記放射性物質は、モナザイト(monazite)を含むトリウム系列(Thorium Series)、ウラニウム系列(Uranium Series)、アクチニウム系列(Actinium Series)、及びネプツニウム系列(Neptunium Series)のいずれか一つである、イオン化生成チューブ。
【請求項2】
中空のチューブであって、
前記チューブは内周面及び外周面を含み、
前記内周面及び/又は前記外周面には放射性層が前記チューブの長さ方向全体にわたって形成されており、
前記放射性物質は、モナザイト(monazite)を含むトリウム系列(Thorium Series)、ウラニウム系列(Uranium Series)、アクチニウム系列(Actinium Series)、及びネプツニウム系列(Neptunium Series)のいずれか一つである、イオン化生成チューブ。
【請求項3】
中空のチューブであって、
前記チューブは、セラミック及び放射性物質を混合した後、焼結する過程で形成され、
前記放射性物質は前記チューブの長さ方向全体にわたって分布し、
前記放射性物質は希土類元素の酸化物及びトリウム220(Th−220)又はトリウム232(Th−232)を含有したリン酸塩鉱物としてのモナザイトを含む、イオン化生成チューブ。
【請求項4】
前記放射性物質が前記内周面及び前記外周面の少なくとも一つにコーティングされていることを特徴とする、請求項2に記載のイオン化生成チューブ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のイオン化生成チューブを複数含み、前記複数のイオン化生成チューブが束にされている、イオン化生成装置。
【請求項6】
前記複数のイオン化生成チューブが互いに接触するように配置されていることを特徴とする、請求項5に記載のイオン化生成装置。
【請求項7】
前記複数のイオン化生成チューブが一定の間隔で配置されていることを特徴とする、請求項5に記載のイオン化生成装置。
【請求項8】
前記複数のイオン化生成チューブが重畳するように配置されていることを特徴とする、請求項5に記載のイオン化生成装置。
【請求項9】
セラミック粒子の粉末を形成する段階と、
前記粉末と放射性物質の混合物を形成した後、攪拌する段階と、
前記混合物を成形してチューブ状の成形体を形成する段階と、
前記成形体を焼結する段階と、を含んでなる、イオン化チューブの製造方法。
【請求項10】
前記放射性物質をセラミック物質100重量部に対して1〜60重量部添加することを特徴とする、請求項9に記載のイオン化チューブの製造方法。
【請求項11】
前記セラミック粒子の粉末を形成する段階が、
セラミック粒子を粉砕する段階と、
前記粉砕されたセラミック粒子と放射性物質を混合した後、瞬間的に熱風で乾燥させて顆粒状の粉末を形成する造粒工程を行ってセラミック粒子の粉末を生成する段階と、を含んでなることを特徴とする、請求項9に記載のイオン化チューブの製造方法。
【請求項12】
前記成形体を形成し、一次加工を行って形状を最終製品に近接した形状に変形させた後、前記成形体を焼結することを特徴とする、請求項11に記載のイオン化チューブの製造方法。
【請求項13】
前記放射性物質が、
希土類元素の酸化物及びトリウム220(Th−220)又はトリウム232(Th−232)を含有したリン酸塩鉱物としてのモナザイトを含むことを特徴とする、請求項9に記載のイオン化チューブの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−506249(P2013−506249A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530770(P2012−530770)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/KR2010/006300
【国際公開番号】WO2011/037350
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(512073666)エンバイロ コリア カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】ENVIRO KOREA CO., LTD.
【Fターム(参考)】