説明

イオン注入のためのフィードバック制御としてのイオン励起発光(IIL)の使用

【課題】検出されたイオン励起発光をフィードバックとして用いるイオン注入システム。
【解決手段】このイオン注入システムは、ウエハ、分光器、光検出器、イオン源発生器を含み、イオン源発生器は、ウエハにイオンを注入するように構成され、光検出器は、ウエハ上及びウエハ外の両方のイオン励起発光を検出するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、半導体処理システムのためのイオン注入装置に関し、より詳しくは、発光現象をフィードバック制御として用いて半導体基板のイオン注入を最適化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業において、超大規模集積回路(VLSI)からなるマイクロプロセッサの製造及び処理のために、イオン注入装置が使用される。イオン注入は、エネルギーが付与されて加速された帯電原子又は分子(正イオン又は負イオン)を半導体基板に衝突させることによって、半導体ウエハにドーパントを添加する処理である。イオン注入の1つの目的は、所望の原子種を半導体ウエハのようなターゲット材料に均一に導入することである。
【0003】
線量のウエハ表面全体に亘る高精度の均一性を測定及び/又は獲得することは、通常、ウエハ表面上をイオンビームで走査することによって達成される。ウエハの表面がビームによって均一に「塗り潰される」ことを確実にするためには、通常、ウエハ全域に亘る注入線量の均一性を許容範囲に保持するために、ビーム電流やビーム走査の滞留時間等をフィードバック制御することが必要とされる。従来の手段では、例えばイオンビームがウエハ上に直接存在している間に、ビーム電流を直接測定することは殆ど不可能であり、実用的な方法は、ビーム電流の間接的な監視のみである。
【0004】
イオン注入システムにおいて、典型的な間接ビーム電流測定法として使用されるのは、ファラデーカップである。ファラデーカップシステムは、例えば、イオンビーム電流を測定するために使用され、金属製の「カップ」によりイオン性粒子を遮って補足するものである。イオビームは、通常、イオンビームがウエハを横切って通り過ぎたときに、イオンビームの経路中に配置されたファラデーカップを用いて測定される。イオンビームがカップに衝突すると、ビームからカップに電荷が転移し、その結果として生じる電荷は、カップに衝突するイオン数を示す同等の電流に変換される。このようにして、イオンビームがウエハを横切って前後に走査されているときに、ウエハが感受する注入電流を測定し、必要な場合には調整することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した方法にはいくつかの問題がある。ビームを監視できる速さは、システムがウエハを走査する速度に依存して決定され、それは、いくつかのシステムの場合、例えば約10〜20ミリ秒毎である。イオンビームをファラデーカップにより測定しても、ウエハの表面上で実際に生じていることは知り得ない。例えば、イオンビームは、電気的グリッチの間に所定の時間(例えば、1マイクロ秒)だけ中断されるが、イオンビームが「ウエハ上に」ある間にこの中断が生じた場合、ファラデーカップシステムでは検出できない。
【0006】
加えて、多くの場合、チャンバー内には背景ガスが存在するという問題がある。イオンビームが背景ガス分子に衝突すると、その分子がイオンから電荷を引き出してイオンを中性化してしまう。その結果、この「イオン」は電荷を有していない状態で移動を続けることになる(「高速原子」となる)。したがって、この高速原子がウエハに注入されてウエハの特性を変化させる可能性があるにも関わらず、電荷を検出するものであるファラデーカップは、この高速原子には応答せず、それを検出しない。
【0007】
したがって、このような問題を軽減するシステム及び方法が存在することが望ましく、半導体のイオン注入において、線量の均一性を判別するための改善された方法及びシステムに対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、先行技術の限界を克服するものである。以下に、本発明のいくつかの態様の基本的な理解のために、本発明の簡単な要約を呈示する。この要約は、本発明の全範囲に亘る概要ではない。また、この要約は、本発明の主要な又は決定的な概念を明示するものでも、本発明の範囲を定めるものでもなく、後述するより詳細な説明の導入として、本発明のいくつかの概念を簡単に呈示することを目的とするものである。
【0009】
本発明は、基板へのイオン注入を実施している間の、イオン線量の均一性を最適化するためのシステム及び方法に関する。全ての表面が高エネルギーイオンの衝突により発光する(光子を放出する)ことは、周知の事実である。本発明は、イオンビームがウエハ及び/又は走査アームに衝突するときに取得される発光信号をフィードバック信号として使用して、線量及び圧力補償等のイオンビームのパラメーターを制御するものである。発光現象の光学応答は非常に高速であり、材料によっては、マイクロ秒のオーダー又はそれ以内である。本発明は、ファラデーカップではなく、あるいは、ファラデーカップとともに、ウエハをターゲットとして使用して、イオンビーム及びウエハ表面上におけるウエハとの相互作用の実時間情報を得るものである。
【0010】
イオン励起発光(IIL:Ion Induced Luminescence)は、良く理解されている物理過程であり、イオン励起発光の放射波長は、ターゲット材料及び衝突するイオンビームに関連するピーク特性を有する。初期の電子顕微鏡で一般的に用いられたシンチレーション検出器は、この発光原理に基づいている。本発明の一態様によれば、ウエハの材料特性の特定及び/又は材料分析を容易にすることもできる。イオン励起発光信号に固有の特徴を適切に解釈することにより有用な情報が得られ、現在のイオン注入法で発生する注入誤差を補正することが可能となる。イオン注入が実施されているウエハは、例えば、シリコン、フォトレジスト、酸化物、及び、金属等の複数の材料を有し、これらの複数の材料に対してイオンビームが照射される場合があるが、このようなウエハは、イオン注入ビームのサイズの観点から見れば、ウエハ表面に亘って均一と見なすことができる。イオンビームが衝突する材料に応じて、それぞれの材料からの発光は固有の特性を有しており、その波長が特定される。これによって、例えば、ウエハ表面上の材料分析を実施することができる。本発明の別の態様によれば、システムを、例えば、フォトレジストの炭化度を検知するために十分な感度を有するものとすることができる(注入線量監視)。O及びH等の背景ガスが存在する場合、Si−OH、Si−O、又は、Si―Hがイオン励起発光信号の非常に高いピークを形成することにより、イオン励起発光信号を使用してシリコンの損傷度を検出することができる。例えば、Si−Oは、約390nmに強いIILピークを有し、Si−OHは、約460nmに強いピークを有する。
【0011】
本発明の別の態様では、イオン励起発光信号を使用して、圧力の補償及び/又はガス放出作用の測定を実施することができる。大抵の場合、ウエハ表面の少なくとも50パーセントの領域は、所定のイオン注入処理の間、フォトレジスト(有機材料)によって覆われている。大部分の有機材料は、高いイオン励起発光効率を有しているが、大部分の有機材料のイオン励起発光効率は、基板表面に供給される線量の増大につれて低下し、この低下を、全注入線量の指標とすることができる。この信号を監視することによって、直前の線量の不均一性を補償するために、注入線量信号を制御用電子装置にフィードバックすることができる。例えば、未損傷フォトレジストと被損傷フォトレジストの特性ピークの比率を比較することにより、全線量変動の正確な測定値を得ることができる。IIL情報を使用して、例えば、再注入(re-paint)状況の間のグリッチのような「実時間の注入誤差」を監視、検出、及び修正することが可能となる。
【0012】
イオン励起発光の応答時間は、大部分の無機材料では10−12−10−8秒のオーダーであり、有機材料では10−9−10−7秒のオーダーであるため、本発明の別の態様によれば、現在の監視システムよりも高速の応答時間を有する信号を使用することができる。例えば光電子増倍管のような、高ゲインかつ低ノイズの光検出器を容易に使用することができ、それによって、低ビーム電流における正確かつ高速な検知時間を達成することが可能となる。上述したように、ファラデーカップの応答時間はミリ秒の範囲にあり、本発明における応答時間は、現在の方法よりも何桁も高速にすることができる。
【0013】
上述した目的及び関連する目的を達成するために、本発明は、以下に詳細に説明され、また、添付特許請求の範囲に特に明示された特徴を含むものである。添付図面及び図面の説明には、本発明の特定の例示的な態様及び実施形態が詳細に記載されているが、これらは、本発明の原理を使用可能な様々な態様のごく一部を示すものである。本発明の他の態様、利点、及び新規な特徴は、以下に記載した本発明の詳細な説明を図面と共に考慮することによって、明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、イオン注入を使用して半導体を製造及び処理するときに、イオン励起発光を用いるシステム及び方法に関する。詳しくは、本発明に係るシステム及び方法は、イオン注入システムに関連する1つ又は複数の作動基準に基づいて最適化された方法を提供するものである。以下、図面を参照して本発明を説明するが、以下の説明を通じて同様の構成要素を参照する際には同様の参照符号を使用する。尚、本発明の様々な態様についての以下の説明は例示的なものであり、本発明を限定するものではない。又、説明を目的として、本発明の完全な理解に供するための多くの特定の詳細事項が記載されているが、本発明が、これらの特定の詳細事項を用いることなく実現可能であることは、当業者にとって明らかである。
【0015】
図1には、本発明の1つの例示的な実施態様に従って、例示的なハイブリッド走査型単葉式イオン注入システム100が示されている。このシステムは、イオンビーム110を第1走査方向に走査し、基板105を直交する低速走査方向に走査するように動作可能なものである。上述したように、本発明の様々な態様は、任意の種類のイオン注入装置に関連させて実現することができる。このようなイオン注入装置には、図1に示す例示的なシステム100が含まれるが、この例に限定されるものではない。例示したイオン注入システム100は、ターミナル112、ビームライン・アセンブリー114、及び、エンドステーション116を含み、エンドステーションは、イオンビーム110が加工物の位置にまで導かれる処理チャンバーを形成する。ターミナル112内のイオン源120は、イオン源チャンバーからイオンを引き出すための1つ又は複数の引出電極(図示は省略する)を含み、それによって、引き出されたイオンビーム110は、ビームライン・アセンブリーに向かって導かれる。
【0016】
ビームライン・アセンブリー114は、例えば、ビームガイド130を含み、このビームガイドは、イオン源120付近の入口、及び、分解開口部132を備えた出口を有する。ビームライン・アセンブリー114は、また、質量分析装置134を含み、質量分析装置は、引き出されたイオンビーム119を受け入れるとともに、適切な運動量又は運動量範囲を有するイオン(例えば、所望の質量範囲を有するように質量分析されたイオンビーム110)のみが分解開口部132を通じて通過するように、双極子磁界を発生する。走査システムは、例えば、イオンビーム110を第1走査方向に走査するものであり、静電システム、磁気システム、及び、機械的システム等とすることができる。次いで、ビーム110は、全走査角におけるビームを平行にする平行化システムを通過する。ビーム110は、次いで、エンドステーション116に関連する加工物走査システム136上の基板105に供給される。ビームライン・アセンブリーに関連させて、例えば、加工物走査システム136上に支持される基板105へのビーム経路に沿ってイオンビーム110が輸送される際に、イオンビーム110を維持かつ拘束するための様々なビーム形成/整形構造体(図示は省略する)を更に設けることもできる。
【0017】
図1に示すエンドステーション116は、例えば、排気された処理チャンバーを備えた「順次式」エンドステーションであってもよく、このエンドステーション内には、単一の基板105(例えば、半導体ウエハ、ディスプレイパネル、及び、他の加工物等)が、イオンを注入するためのビーム経路に沿って支持されている。但し、上記エンドステーションの代わりにバッチ式又は他の種類のエンドステーションを使用することも可能であり、これらのエンドステーションは、本発明の範囲に含まれる。本発明の別の態様によれば、システム100は、高速走査方向及び略直交する低速走査方向の両方向に走査することが可能な加工物走査システムを含むものであってもよい。本発明の更に別の態様によれば、システム100は、両方のイオンビーム軸を、電気的作用及び磁気的作用のいずれか一方又は両方の組合せにより走査するシステムを含むものであってもよい。このように走査された全てのイオンビーム110又は走査されないイオンビーム110は、本発明の範囲に含まれる。
【0018】
図2には、本発明の別の態様に従って、イオン励起発光をフィードバック制御として用いるイオン注入装置の概念的なブロック図が示されている。図示されたイオンビーム注入システムでは、イオンビームが、固定された処理チャンバー204に対して第1走査方向(例えば、水平方向)に走査され、加工物202が、固定された処理チャンバー204に対して低速走査方向(例えば、垂直方向)に移動する。例えば、加工物走査システム200は、可動ステージ206を含み、基板202はこの可動ステージ上に配置される。この加工物走査システムにおいて、イオンビーム208は、例えば、レンズ228を通して第1走査方向軸に沿って基板202を走査するように動作可能であり、ウエハ202は、イオンビーム208に対して略直交する低速走査軸に沿って移動可能なものである。第1走査速度軸(例えば、「第1走査速度方向」ともいう)に沿ったビームの所定の速度は、例えば、低速走査軸(「低速走査方向」ともいう)に沿った基板の速度よりも大幅に高速とするものであってもよい。この場合、高速走査線は水平に現れる。低速走査速度が高速走査速度に対して増大すると、高速走査線が「傾く」場合がある。簡便のため、高速走査速度軸に沿ったビームの速度を「高速走査速度」ともいい、低速走査軸に沿った基板の速度を「低速走査速度」ともいう。但し、いずれの軸方向の速度も広範囲の値に調整可能であり、例えば、この例における高速走査速度を、低速走査軸に対して適用することもできることは、当業者にとって明らかである。
【0019】
図2には、イオン注入装置212内に、ウエハ202の表面を直接見込むように配置された広帯域光検出器210が示されている。光検出器210は、イオン注入チャンバー212内に直接配置するものであってもよく、又は、光検出器210を、光ファイバー又はビームを画像化するために必要な複数の光ファイバーからなる光ファイバー・アレーとし、イオン励起発光の光子220をイオン注入チャンバー212から外部の検出器216に導くものであってもよい。イオン励起発光の放射強度は、イオンビームの電流密度の関数である。ビーム208がウエハ202を走査するときに光信号の強度を監視し、検出器210からの信号を、走査用又はビーム制御用電子装置(コントローラー)218へフィードバックするために使用して、ビームグリッチの検出、ビーム電流変動の検出、ビームの不安定性の検出、表面元素の特定、及び、ビーム断面分布(ビームプロファイル)の検出等を実施することができる。次いで、これらの情報を使用して、ウエハ202の全線量が低かった領域にイオンを再注入(repaint)又は修正注入(touchup)すること、及び、実時間で注入線量を変動させること等を実施することができる。イオン励起発光の立ち上がり時間は、大部分の無機材料については10−12〜10−8秒のオーダーであり、有機材料については10−9〜10−7秒のオーダーである。
【0020】
加えて、走査アーム206、及び、ウエハ202の外縁部等の上に、既知のシンチレーター材料を配置することもできる。シンチレーター材料を使用することにより、走査の間に、既知のシンチレーター材料の基準信号に対してウエハのイオン励起発光信号220を較正することができる。既知のシンチレーター材料には、二酸化シリコン、不純物添加二酸化シリコン、酸化アルミニウム、バリウム、鉛、ビスマス、フッ化鉛、フッ化バリウム、ハロゲン化セシウム、フッ化リチウム、ゲルマニウム酸ビスマス、1つ又は複数の不飽和炭素結合を含む有機シンチレーター材料、1つ又は複数の発色団を含む有機シンチレーター材料、ポリビニルトルエン、ポリアミド、及び、パラ・ターフェニル等が含まれる。
【0021】
本発明の更に別の実施形態では、注入装置に少量の反応性ガス(H及びO等)を追加するか、又は、追加することなく、光光検出器210とともに分光器222を使用することができる。分光器222は、例えば、モーション・コントローラー226によって制御されるx−yステージ224上に配置され、これによって、特定波長の信号の検出が可能となる。例えば、検出器210を、Si−OHの特性放射ピークである約460nmに設定することができ、イオン注入処理の間にSi−OHが形成されることが予測されるため、検出器210を、ウエハ上の全線量の検出器として機能させることができる。注入の間にSi−OHのピークを監視することによって、例えば、全線量の補正又は修正を実施することができる。別の例では、390nmにおけるSi−Oの特性ピークの、460nmにおけるSi−OHの特性ピークに対する相対的な高さを監視するものであってもよい。これらの2つのピークの比率を比較することによって、イオンビーム電流の変動の影響を低減することができる。
【0022】
例えば、図2Aには、イオンビームが照射されたSiOサンプルからのIIL信号が示されている。全線量が増大すると、390nmのピークは減少し、それに伴って460nmのピークが増大する。これによって、例えば、再注入処理の間のイオン源のグリッチによる巨視的レベルの不均一性の補正を実施することができる。あるいは、分光器222を、フォトレジスト中のC−C又はC=Cのピークを検出するように設定するものであってもよく、これによってレジストの炭化度についての情報が得られるため、上述した例と同様に、全注入線量の検出器として機能する。このような比較作業は、全体的なシステムの一部であるマイクロプロセッサーで実行することができる。イオン損傷によって基板202のスペクトル応答が変化することも予測されるため、この変化を使用して、ウエハ292の線量を適正に保持するための全線量監視を実施することも考えられる。例えば、図2Bに示すように、フォトレジストのような有機材料からのIIL信号強度は、全イオン線量が増大するにつれて減少し、システムは、IIL強度を監視することにより、全注入線量を測定することができる。上述したような材料の監視態様は、全て、本発明の範囲に含まれる。
【0023】
本発明の更に別の例示的な実施形態では、図3に示すように、光検出器を撮像検出器として使用することができる。例えば、相補型金属酸化物半導体(CMOS)撮像検出器、及び電荷結合素子(CCD)アレー等を、ウエハ上で検出されるIILビーム302を検出、撮像、及び保存可能な撮像センサーとして使用することができる。CMOS検出器は、例えば、低コストの撮像装置の市場において一般的なものであり、一方、電荷結合素子アレーは、比較的高性能の撮像装置向けのものである。典型的なCCDアレーは、例えば、結合された画素アレー上に画像が投射され、特定の位置において測定又は検出された光の強度に比例する電荷が各画素に累積される。2次元(2D)CCDアレーは、画像全体を保持するものであり、例えば、デジタルカメラ、デジタルビデオレコーダー、望遠鏡、及び、暗視装置等で使用されている。CCDアレーが画像を検出すると、各画素は、制御回路によって、各画素の電荷を隣接する画素に転送するように制御される。アレー中の最後の画素は、その電荷を増幅器に供給し、増幅器は、電荷を電圧に変換する。この過程を繰り返すことにより、制御回路は、アレーの全電荷を変動する電圧に変換し、この変動する電圧は、サンプリングされ、デジタル化された画像としてメモリーに保存される。次いで、保存された画像を、例えば、プリンター、ビデオディスプレー、又はストレージ・デバイスに転送することができる。
【0024】
ビーム302のデジタル画像から、ビームサイズ、ビーム形状、及び、ビーム電流密度等の情報を得ることができる。このような情報は、イオンビームの設定又は調整において、所望のビーム断面分布、所望のビームの中心位置決め又は位置決めを達成するため、及び、断面分布におけるビーム電流密度の制御において使用することができる。ビームの2次元の光強度「画像」から、ビームの均一性に関する情報が得られ、この情報を使用して、注入の不均一性により発生するビームのホットスポットを示すビームの任意の非対称性及びコマ歪等を調整及び補正することができる。
【0025】
図4は、本発明の1つ又は複数の態様を示すものである。イオン励起発光によりイオン注入のためのフィードバック制御を実施し、加工物又はウエハ402を、位置420にほぼ停留するイオンビーム410を横切って選択的に前後に移動するように制御することにより、「ウエハ全体に亘る均一性の向上」が達成できる。このような注入は、有利なことに、イオンビームに対する加工物の相対的な位置の関数として実施できる。ビーム断面分布を監視して、十分だが過剰ではない程度の重なりが得られるように走査パラメーターを調整し、加工物及び/又はビームを最適化された方法で走査することによって、均一性及びスループットを改善することができる。本発明の利点は、例えば、図4と図6(後述する)に図示された相違点を参照することによって、理解されるであろう。図4には、加工物402が、位置420において加工物402を覆う例示的な第1の走査404と第2の走査406とともに示されている。
【0026】
イオンビーム410を、例えば水平又は「X」走査経路416に沿って前後に走査することにより、全体的な走査パターンを作成し、この走査パターンをマイクロプロセッサー又はCPUのメモリーに保存することができる。ここで、水平走査経路416は、加工物412上の走査部分とウエハ402の両端側の過走査部分414の両方に相当する。言い換えれば、過走査部分414は、ビーム410がウエハ402を通り過ぎ、従って加工物402への注入が実施されていないときに走査される部分である。ビームが第1走査経路416に沿って往復走査する間に、加工物及び/又はビームを、垂直又は「Y」走査経路418に沿って移動させることもできる。全体的な走査パターンは、それが加工物402の最広幅部分を覆うために十分大きくなるように、加工物402の最広幅部分を考慮する限りにおいて、加工物402のサイズ及び/又は形状とは独立に選択することができる。したがって、走査パターン内、特に、加工物402の最広幅部分以外の領域内に、相当の過走査部分が存在する場合がある。走査がウエハ402を通り過ぎた位置においては、例えばファラデーカップによりビームを検出することができる。
【0027】
本発明の1つ又は複数の態様によれば、ほぼ固定された又は停留するイオンビーム410によって発生する重なり408をイオン励起発光によって判別することに関連して、加工物402の走査を制御することが容易になる。図示された例では、第1走査経路416に沿った各往復走査404、406の間に、第2軸418に沿って1ステップの増分だけ加工物を割り送り(index)することができる。上述したようにビームパターン302を分析することによって、本発明の1つ又は複数の態様に従って、重なり408を制御することができる。このようにイオン注入を調整することによって、イオンの分布を、現在のシステムで通常得られるものよりも均一にすることができる。加工物及び/又はビームを走査する走査方法には多くの組合せが存在し、そのような組合せは、全て本発明の範囲に含まれる。
【0028】
図5は、本発明の別の1つ又は複数の態様を示す。ウエハの均一性は、位置520にほぼ停留するイオンビーム510を横切るように、加工物又はウエハ502を機械的に前後に移動することによって確保することができる。停留イオンビーム510を横切るウエハ502の各走査について、走査アーム(図示は省略する)上に装着されたウエハプラットフォーム524の割り送り及び速度等を確保することにより、加工物502を最適化された方法で走査することで、イオン注入の均一性が改善される。図5には、プラットフォーム524を、軸516に沿って停留ビーム502を横切るように右から左に移動することによって、走査504が実施されたウエハ502が示されている。この走査504は、例えば、ウエハ502外の位置から開始し、ウエハ上に進行し、ウエハ外の位置に至る。次いで、ウエハプラットフォームを、軸518に沿って垂直上方に、所定の距離だけ割り送りする。次いで、ウエハプラットフォームを、軸516に沿って左から右に、走査又は移動する。
【0029】
所定の位置520におけるビームパターン510を、例えば、マイクロプロセッサー又はCPUに保存されたパターンと比較することができる。図6に示すビームパターン510は、例えば、イオンビームの走査が重なり合っておらず、したがって、ウエハ502上に適正に注入されていない領域が存在することを示している。例えば、これらの走査パラメーターを使用して、より適切なステップサイズを維持するようにイオンビームの移動を調整することができる。
【0030】
本発明の1つ又は複数の態様によれば、走査プラットフォーム524及びウエハ502の外縁部等の上に付着した既知のシンチレーター材料522に関連して、加工物502の制御を容易にすることができる。図示された例では、加工物502は、第1走査経路114に沿った各往復走査504、506の間に、第2又は低速走査経路118に沿って1ステップの増分だけ割り送りされている。例えば、プラットフォーム524の走査506の間、光検出器は、ウエハの右端526でシンチレーター材料522を検出し、ウエハの左端528で再び検出する。既知のシンチレーター材料522は、既知の特性波長を有しており、これを使用してイオン注入システムを較正することができる。加えて、システムは、シンチレーター材料522のデータを使用して、イオンビームが基板502上にある時と基板502から外れている時とを特定することができる。このようにしてイオン注入を調整することにより、イオンの分布を、現在のシステムで得られるものよりも均一にすることが可能となる。
【0031】
図7は、本発明の一態様に従って、イオン励起発光信号を用いて圧力及び/又はガス放出作用の補償をするための方法の例を示すフローチャートである。説明の便宜のため、図7に示す方法は、一連のステップとして図示及び説明されているが、本発明は、そのようなステップの図示された順序によって限定されるものではなく、図示及び説明したものとは異なる順序で生じるステップ、及び/又は、他のステップと同時に生じるステップがあってもよい。また、本発明に従う方法を実施するために、必ずしも全てのステップが必要なわけではない。
【0032】
図7に例示する方法は、ステップ710から開始し、ここで、イオンビームを、高速走査方向に沿ってウエハを横切るように走査することができる。イオンビームは、正イオンビームであっても、負イオンビームであってもよいが、説明を簡潔にするため、以下の手順では、正イオンビームに関連させて説明する。
【0033】
イオンビームの衝突時にウエハから放射されるイオン励起発光は、ステップ720において、例えば、光検出器及び/又は分光器によって検出することができる。光検出器には、例えば、光ファイバー、光電子増倍管、広帯域光検出器、赤外光検出器、CCDアレー、相補型金属酸化物半導体撮像検出器、紫外光検出器、可視光検出器、フォトダイオード、金属−半導体−金属構造半導体、フォトレジスター、及び、フォトトランジスター等が含まれる。
【0034】
ステップ730において、例えば、マイクロプロセッサー及び/又はCPUを使用して、実際のイオン励起発光と予測されるイオンビーム信号とを比較することができる。加えて、システムは、放射特性(例えば、波長及びウエハの温度等)を検査することにより、例えば、ウエハ上でグリッチが発生したか否か等を判別することができる。グリッチが発生した実際の時間は、現在のシステムでは数十秒の単位で測定されるのに対して、マイクロ秒以下の範囲で測定することができる。
【0035】
ステップ740において、ビームがウエハ外の位置に移動したときに、例えば、IILビーム電流を、ファラデーカップを使用して測定されたビーム電流と比較することによって、ビームを再較正することができる。このようにして、圧力又はガス放出作用を補償するようにシステムを調整することができる。
【0036】
図8は、本発明の一態様に従って、ターゲットウエハ又は基板の表面付近のイオン励起発光を監視することによって、イオン注入の間に発生するグリッチを軽減する方法800を示すフローチャートである。この方法800は、例えば、単葉式及び/又はバッチ式イオン注入システムで実施することができる。
【0037】
方法800及びその変形例は、本発明の他の図を参照することによって、より良く理解されるであろう。また、方法800及びその説明により、本発明の上述した他の態様の理解も促進されるであろう。
【0038】
説明の便宜のため、図8に示す方法は、順次的に実行されるように図示及び説明されているが、本発明は、図示された順序によって限定されるものではなく、図示及び説明したものとは異なる順序で生じる局面、及び/又は、他の局面と同時に生じる局面があってもよい。また、本発明に従う方法を実施するために、必ずしも全ての特徴が必要なわけではない。
【0039】
方法800は、ブロック805で開始し、ここで、イオンビームが準備される。イオンビームは、典型的には、イオン源、質量分析装置、及びビームライン・アセンブリーを含むイオン注入システムの一部として準備することができる。イオンビームには、例えば炭素汚染物のような汚染物が含まれる場合があり、これによってターゲットデバイスが損傷及び/又は改質を被る可能性がある。このような汚染物は、通常のファラデーカップシステムでは検出されないが、本発明によれば、このような汚染物を検出することが可能となる。イオンビームは、選択されたビーム電流を備え、選択されたエネルギーの1つ又は複数の選択されたドーパントを含む。イオン注入は、第1走査方向にウエハを横切るようにビームを走査することにより実施される。
【0040】
ブロック810において、所定の時間間隔をおいて、及び、連続的に等の処理特性に従って、イオン励起発光を検出することができる。例えば、複数の波長の光からなるイオン励起発光を、第1走査方向に沿って連続的に検出することができる。検出器は、例えば、処理チャンバー内で予め定められた応答時間を得るように選択されており、ブロック815において、検出された信号と予測される信号を比較することができる。信号の予測は、与えられたウエハの分子結合、及び、使用されるイオン線量等の予測に基づいて実施することができる。
【0041】
ブロック820において、コントローラー及び/又はマイクロプロセッサーは、実際の光検出器信号と予測される信号との相違が所定の値を超えた時の発生時間を記録することができる。予測される信号と異なる信号の発生は、グリッチ、ウエハ上の汚染物、注入処理に放出されたチャンバー内の汚染物、及び、汚染されたガス源等を要因とするものである可能性がある。例えば、システムは、光検出器及び分光器等によって検出された波長に基づいて、どんな汚染物が存在しているかを判別することができる。
【0042】
ブロック825において、イオンビームが第1方向の高速走査でウエハの端部から外れた位置に移動したときに、ファラデーカップを使用してイオンビームを再較正することができる。ブロック830において、ビームを略直交する方向に割り送りすることができ、ブロック805から825の処理を、第2の高速走査方向に走査されるイオンビームに対して繰り返すことができる。
【0043】
この方法は、ブロック835に進行し、ここで、ウエハ全体を走査し、注入したか否かを判別することができる。ブロック835において、ウエハ全体が走査されていなかった場合、この方法はブロック840に進行し、例えば1ステップの増分だけ、低速走査方向にウエハを移動することができる。その後、この方法は、ブロック805に進行し、処理が継続される。別の例では、ブロック835において、ウエハ全体を走査又は注入したか否かを判別することができ、その結果、ブロック845に進行する。ブロック845において、グリッチが発生したか否かに関する判別を実施することができる。グリッチが発生していた場合、処理はブロック850に進行し、ここで、例えば、ウエハのグリッチが発生した領域にイオンの再注入を実施することができる。この処理は、ブロック845又は850で終了する。
【0044】
以上、本発明を特定の態様及び実施形態に関連させて図示及び説明してきたが、本明細書及び添付された図面の理解に基づいて、当業者が同等な変更及び修正に想至し得ることは理解されるであろう。特に、上述した構成要素(アセンブリー、デバイス、回路等)によって実行される種々の機能に関して、そのような構成要素を説明するために使用された用語(「手段」に対する参照を含む)は、特に明示されない限り、ここに示された本発明の例示的な実施形態において特定の機能を実行する上述した構成要素のその機能を実行する(すなわち、機能的に同等である)任意の構成要素に、たとえ開示された構成に構造的に同等でなくても、相当するものである。加えて、本発明の特定の特徴がいくつかの態様のうちの1つのみに関連して開示された場合であっても、所定の又は特定の用途のために望ましくかつ有利であるように、そのような特徴を他の態様の1つ又はそれ以上の特徴と組み合わせることもできる。更に、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「有する(have)」、「有している(having)」という用語は、及びそれらの変化形が発明の詳細な説明又は請求項で使用されている範囲に関して、これらの用語が、用語「含んでいる(comprising)」と同様な意味で包含的なものであることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明の一態様に従う例示的なイオン注入システムを示す平面図である。
【図2】図2は、本発明の別の態様に従う例示的なイオン注入システムを示すブロック図である。
【図2A】図2Aは、水素イオンの衝突に曝されるSiO材料について、波長に対してIIL信号の相対強度を示すグラフである。本発明の一態様に従って、サンプルへの衝突に伴い390nmにおけるSi−Oのピークはしだいに低下し、460nmにおけるSi−OHのピークに取って代わられる。
【図2B】図2Bは、全線量に対して、有機ポリマーからのIIL信号の規格化された強度を示す。本発明の更に別の態様に従って、IIL信号は、線量が増大し、ポリマーがイオン損傷を受けるのに伴って減少する。
【図3】図3は、本発明の別の例示的な態様従うイオンビームの線量を示す例示的な平面図である。
【図4】図4は、本発明の別の例示的な態様に従うイオン注入システムを示す上面図である。
【図5】図5は、本発明の更に別の例示的な態様に従う別の例示的なイオン注入システムにおける、イオン注入システムのビーム走査の上面図である。
【図6】図6は、本発明の別の態様に従う別の例示的なイオン源注入システムにおける、イオンビームの上面図である。
【図7】図7は、本発明の別の例示的な態様に従うイオン注入システムのイオンビームを最適化するための例示的な方法を示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明の更に別の態様に従って、走査システムを最適化するための例示的な方法を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出されたイオン励起発光信号をフィードバック制御として用いるイオン注入システムであって、
ウエハと、
イオン励起発光を検出し、該イオン励起発光に関連する信号を発生するように構成された光検出器と、
前記ウエハにイオンを注入するように構成されたイオン源発生器と、
前記ウエハ上及び前記ウエハ外のいずれか一方又は両方で検出されたイオン励起発光信号を使用し、前記検出されたイオン励起発光信号をフィードバックとして使用して、前記イオン源発生器に関連するイオンビームのパラメーターを制御するように構成されたコントローラーと、
を含むことを特徴とするイオン注入システム。
【請求項2】
前記光検出器は、光ファイバー、光ファイバー・アレー、光電子増倍管、広帯域光検出器、赤外光検出器、CCDアレー、相補型金属酸化物半導体撮像検出器、紫外光検出器、深紫外光検出器、可視光検出器、フォトダイオード、金属−半導体−金属構造半導体、フォトレジスター、及び、フォトトランジスターのうちの1つ又は複数を含むことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項3】
前記検出されたイオン励起発光信号は、1つ又は複数のレンズ又はレンズ要素により前記光検出器上に収集されて画像化されることを特徴とする請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項4】
前記コントローラーは、更に、前記検出されたイオン励起発光信号を解釈し、その解釈に関連する判定を導くように構成され、前記判定は、前記ウエハ上の汚染物、前記ウエハの化学的性質、及び前記ウエハの化学的組成を含むことを特徴とする請求項2に記載のイオン注入システム。
【請求項5】
前記コントローラーは、更に、分光器、1つ又は複数の光学フィルター、及びグレーティング・モノクロメーターのうちの1つ又は複数を使用して、前記検出されたイオン励起発光信号の特定の波長を識別するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のイオン注入システム。
【請求項6】
前記コントローラーは、更に、前記検出されたイオン励起発光信号に基づいて、走査の過剰な重なり、走査の過少な重なり、走査の最適な重なりのうちの少なくとも1つ又は複数を判別するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のイオン注入システム。
【請求項7】
前記コントローラーは、更に、Si−OH、Si−O、Si−H、不飽和炭素結合、発色団、C−Cピーク、C=Cピーク、レジストの炭化度、Siの損傷度を含む前記検出されたイオン励起発光により、前記ウエハの1つ又は複数の特性ピークを監視するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のイオン注入システム。
【請求項8】
前記コントローラーは、更に、Si−OH、Si−O、Si−H、不飽和炭素結合、発色団、C−Cピーク、C=Cピーク、レジストの炭化度、Siの損傷度を含む前記検出されたイオン励起発光により、少なくとも2つの特性ピークの比率を測定するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のイオン注入システム。
【請求項9】
前記イオンビームのパラメーターは、イオンビーム電流、イオンビーム直径、イオンビーム密度、2次元のイオンビーム断面分布、イオンビーム位置、イオンビームエネルギーを含むことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項10】
ウエハのイオン注入を定めるためのデバイスであって、
ウエハにイオンを注入するために構成されたイオンビーム源と、
ウエハから放射されるイオン励起発光を検出し、該イオン励起発光に関連する信号を発生するために構成された光検出器と、
前記光検出器の信号を監視し、前記ウエハの位置を調整し、及び、前記イオンビーム源を調整してイオン注入チャンバー内の圧力及びガス放出作用を補償するために構成されたマイクロプロセッサー及びタイミング回路と、
を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項11】
前記光検出器は、更に、光ファイバー、光電子増倍管、広帯域光検出器、赤外光検出器、CCDアレー、紫外光検出器、可視光検出器、フォトダイオード、フォトダイオード・アレー、外部検出器、金属−半導体構造物、フォトレジスター、及び、フォトトランジスターを含むことを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記光検出器の入力から少なくとも1つの予め定められた波長帯域の放射照度をフィルタリングする、少なくとも1つのフィルター又は分光器を更に含むことを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
基板のイオン注入の均一性を最適化するための方法であって、
前記基板を、スポット状イオンビームを横切るように第1走査方向及び略直交する第2走査方向に沿って通過させる段階と、
前記基板から放射されるイオン励起発光を検出する段階と、
前記基板から放射される前記イオン励起発光と、前記基板外で測定されたビーム電流又は前記基板の外縁部上で測定されたビーム電流とを比較する段階と、
前記基板の外縁部から離れた位置で実際に測定された前記基板上のビーム電流を、前記基板外で測定されたビーム電流又は前記基板の外縁部上で測定されたビーム電流又はイオン励起発光信号に基づいて再較正する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記イオン注入は、所望のイオンビーム電流、イオンビーム直径、ビーム走査滞留時間、低速走査方向に沿ってイオンビームを横切る通過回数、前記基板の注入されるイオンの所望の線量、前記基板の低速走査方向の速度を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
イオン励起発光信号を既知のシンチレーター材料信号に対して較正するように構成された前記既知のシンチレーター材料を、前記基板の外縁部又は前記基板のプラットフォーム又はその両方に付着する段階を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記既知のシンチレーター材料は、バリウム、鉛、ビスマス、フッ化鉛、フッ化バリウム、ハロゲン化セシウム、フッ化リチウム、ゲルマニウム酸ビスマス、二酸化シリコン、不純物添加二酸化シリコン、酸化アルミニウム、不純物添加酸化アルミニウム、1つ又は複数の不飽和炭素結合を含む有機シンチレーター材料、1つ又は複数の発色団を含む有機シンチレーター材料、ポリビニルトルエン、ポリアミド、パラ・ターフェニルを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
基板のイオン注入の均一性を最適化する方法であって、
基板を、停留するイオンビームを横切るように第1方向に沿って移動させる段階と、
イオン励起発光に関連する信号を発生するように構成された光検出器を使用して、前記基板から放射されるイオン励起発光を検出する段階と、
イオン励起発光信号と予測されるビームパラメーターとを比較する段階と、
ファラデー検出器を含むビーム電流測定デバイス及びイオンビームに関連する外部信号を発生するように構成されたイオンビーム測定デバイスを使用して、前記停留イオンビームが前記基板外の位置にあるときの実際のビーム電流を再較正する段階と、
前記基板を、略直交する第2方向に移動させる段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
1つ又は複数の実験データ、又は、コントローラーに保存されたサンプルデータ及び処理方法に基づいて予測されるイオンビーム断面分布に基づいて、イオンビーム断面分布が定められることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
所望のイオン注入の最大の不均一性は、基板全体に亘って標準偏差の0.1%よりも小さいことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
検出されたイオン励起発光信号を用いるイオン注入システムであって、
ウエハと、
イオンビームがウエハ上又はウエハ外又はその両方に存在する間に、イオン励起発光信号を検出するように構成された1つ又は複数の光検出器と、を含み、
コントローラーは、イオンビームの不安定性に関連する前記イオン励起発光信号に基づいて、イオンビームの不安定性のデータを検査及び検出し、前記イオンビームの不安定性のデータを使用して、イオンビームが不安定な期間に発生したイオン注入線量の誤差を補正するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項21】
イオンビームの不安定性が検出された場合、その後、前記イオンビームを消灯し、前記イオンビームの不安定性が特定されたウエハ位置をマイクロプロセッサーに記録し、前記イオンビームを再安定化し、次いで、前記イオンビームを、前記イオンビームの不安定性が特定されたウエハ位置に戻し、前記イオンビームを点灯して、前記イオンビームを、前記ウエハの検出された前記イオンビームの不安定性を補正するために必要な領域上を移動させることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
イオンビームの均一性を定めるための方法であって、
イオンビーム電流を選択する段階と、
イオンビームを移動させることにより、第1方向に沿ったウエハのイオン注入を実施する段階と、
光検出器を使用して前記ウエハから放射される励起光を検出する段階と、
前記光検出器により検出された前記励起光と予測される励起光とを比較する段階と、
前記光検出器により検出された前記励起光と前記予測される励起光との相違が所定の値を越えたときの時間を記録する段階と、
第1ファラデーカップによる測定を使用して、前記第1方向の端部で前記イオンビーム電流を再較正する段階と、
前記イオンビームを、第2の略直交方向に1ステップ分だけ移動させる段階と、
180°反転された第1方向に沿って、前記ウエハのイオン注入を実施する段階と、
前記ウエハから放射される前記励起光を検出する段階と、
前記光検出器により検出された前記励起光と前記予測される励起光とを比較する段階と、
前記光検出器により検出された前記励起光と前記予測される励起光が所定の値を越えて相違したときの時間を記録する段階と、
第2ファラデーカップによる測定を使用して、前記180°反転された第1方向である第2方向の端部で前記イオンビーム電流を再較正する段階と、
前記基板から放射される前記励起光に基づいて、電圧グリッチが発生したか否かを判別する段階と、
前記電圧グリッチが発生した場合、前記電圧グリッチが発生した間の時間又はウエハ位置又はその両方を記録する段階と、
前記イオンビームを、前記第2の略直交方向に前記1ステップ分だけ移動させる段階と、
前記ウエハが完全に注入されたか否かを判別する段階と、
必要な場合、前記電圧グリッチが発生した前記ウエハ位置を再注入する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
前記励起光は、可視光、紫外光、及び赤外光を含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記励起光の波長は、約200ナノメートルから約800ナノメートルの範囲であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記励起光の波長は、約200ナノメートルから約1ミリメートルの範囲であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記電圧グリッチが検出された場合、前記電圧グリッチの間に欠落した前記ウエハ位置の再注入の前に、前記イオンビーム電流を一時的にオフにして前記イオンビーム電流を再安定化することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記ウエハが移動するか又は前記イオンビームが移動するか又はその両方であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項28】
2次元のイオンビーム断面分布を測定及び制御するための方法であって、
イオンビームを、ウエハ、基板、又は専用に設けられた撮像領域上に位置決めする段階と、
発生したイオン励起発光信号を撮像検出器上で画像化する段階と、
前記発生したイオン励起発光信号を、ビーム断面分布、ビーム位置、ビーム形状、及びビーム電流密度のうちの1つ又は複数を補正するためのビーム調整アルゴリズムに対して、それぞれの調整サイクルのためにフィードバックする段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
ウエハ全体に亘る均一性を最大化し、ビームの利用率を最適化するために、前記イオン励起発光信号の前記画像化された情報を使用して、走査速度、走査の重なり度、過走査パラメーターを設定又は制御する段階を更に含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記イオン励起発光信号の検出器は、CCDアレー及びCMOS撮像検出器を含む固体撮像検出器であることを特徴とする請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−186801(P2008−186801A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−313583(P2007−313583)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(500266634)アクセリス テクノロジーズ インコーポレーテッド (101)
【Fターム(参考)】