説明

イオン注入イオン源、システム、および方法

【課題】新規なソース材料(特に、イオン注入プロセスにおいて新規なデカボランならびに水素化物およびダイマー含有化合物などの感熱性材料)を使用可能な、生産に値するイオンソースおよび方法を提供し、半導体ウェハの商業的なイオン注入において新規な範囲の性能を達成すること。
【解決手段】イオン注入システム用のイオン源(1)は、プロセスガスを生成する蒸発器(2)と、電子ビーム(32)を指向してイオン化封入物(16)内のプロセスガスをイオン化する電子源(12)と、ビームダンプ(11)と、イオン化チャンバ(5)と、イオンビームを取り出す抽出アパーチャ(37)とを含み、本発明の制御システムは、個々の蒸気またはガス分子が、主に該電子銃からの一次電子との衝突によってイオン化され得るように、該一次電子のエネルギーの制御を可能にする制御システムとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の序論)
本発明は、新規なソース材料(特に、イオン注入プロセスにおいて新規なデカボラン(B1014)、ならびに水素化物およびダイマー含有化合物などの感熱性材料)を使用可能な、生産に値するイオンソースおよび方法を提供し、半導体ウェハの商業的なイオン注入において新規な範囲の性能を達成するものである。本発明により、特に、相補的金属酸化物半導体(CMOS)製造において、製造される半導体デバイスをより浅く、より小さく、より高密度にすることができる。半導体デバイスの製造における新規な注入機器の動作を非常に向上させることができることに加えて、本発明により、この新規なイオンソースは、大きな資本コストを節約してイオン注入器の既存のフリートにレトロフィットすることが可能となる。本発明の実施形態は、独自にデカボランおよび他のドーパント材料(特にピュアイオンビーム)を注入し、これにより、製造設備の広範囲の必要性が満たされることが可能となる。新規な技術のコスト効率の高さに寄与する種々の新規の構造的、操作的およびプロセスの特徴は、産業の先行技術にさらに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
(背景)
周知のように、イオン注入は、集積回路(IC)の製造において重要な技術である。論理およびメモリICの製造において、イオンがシリコンまたはGaAsウェハに注入されて、トランジスタ接合を形成し、p−n接合のウェル領域をドープする。イオンのエネルギーを選択的に制御することにより、ターゲットウェハへのそれらの注入深さを選択的に制御することができ、これにより、イオン注入により導入されたドーパント濃度の3次元的な制御が可能となる。ドーパント濃度はトランジスタの電気的特性(ゆえに、ICの性能)を制御する。As、Ar、B、Be、C、Ga、Ge、In、N、P、SbおよびSiを含む多くのドーパント導入材料が使用されてきた。固体の元素の形態からなるこれらの種について、多くがガス状の分子形態(例えば、非常に高温で大量にイオン化可能なフッ化化合物)で得ることができる。イオン注入器は、ドーパント含有導入材料をイオン化し、目的のドーパントイオンを抽出し、ドーパントイオンを所望のエネルギーにまで加速し、所望でないイオン性種をフィルタ除去し、次いで、ウェハ上に衝突させるに適切なエネルギーで、目的のドーパントイオンをウェハに移送する製造ツールである。特定の元素の注入器中の存在(例えば、分離された元素であるフッ素)は、注入されたウェハに悪影響を与えるが、このような欠点にもかかわらず、微量のこのような混入物は多くの状況において、製造に値するスループット封入物を達成する目的で許容されてきた。現在得られるものより混入物のレベルを低くすることが望ましい。
【0003】
複雑な関係において、すべての多数の変数は、所与のイオン注入プロセスのための所望の注入プロファイルを達成するために制御される必要がある。すなわち、以下のものである。
【0004】
・ドーパント導入材料(例えば、BFガス)の性質
・ドーパントイオン種(例えば、B
・イオンエネルギー(例えば、5keV)
・イオンビームの化学的純度(例えば、<0.01%のエネルギー性混入物)
・イオンビームの等方性純度(例えば、113Inと115Inとの識別能力)
・イオンビームのエネルギー純度(例えば、<2%の半値における全幅:すなわち、FWHM)
・ウェハ上のビームの角度の広がりおよび空間度
・ウェハ上に注入されたすべての量(例えば、1015原子/cm
・量の均一性(例えば、全ウェハ表面積にわたる注入密度における±1%の変動)
これらの変数は、イオン注入によって製造されたトランジスタおよび他のデバイスの電気的性能、最小製造可能サイズ、および最大製造可能密度に影響を与える。
【0005】
典型的な市販のイオン注入器が図1に概略的に示される。輸送(すなわち、「アナライザー」)マグネット43を介してイオンソース42から伝播するイオンビームIが示される。ここで、イオンビームIは、イオンの質量−電荷比に従って、分散(横方向)面に沿って分離される。ビームの一部は、マグネット43によって、質量分解アパーチャ44上へ収束される。質量−電荷比イオンが下流へと進行するアパーチャのサイズ(横方向の寸法)は、ターゲットウェハ55に最終的に衝突するように決定される。ターゲットウェハ55は、典型的には、スピニングディスク45上に配置され得る。質量分解アパーチャ44が小さくなるほど、注入器の分解能Rは高くなる。ここで、R=M/ΔM(Mはイオンの通常の質量−電荷比であり、ΔMはアパーチャ44を通過した質量−電荷比の範囲である)である。ビーム電流通過アパーチャ44は、移動可能なファラデー検出器46でモニタされ得るが、ウェハの位置に到達するビーム電流の一部は、ディスク45の後部に位置する第2のファラデー検出器47でモニタされ得る。イオンソース42は高電圧へとバイアスされ、ガスの分布およびフィードスルー48を介したパワーを受ける。ソースハウジング49は、ソースポンプ50によって高真空に維持され、注入器の下流部分は、チャンバポンプ51によって同様に高真空に維持される。イオンソース42は、誘電ブラシ52によってソースハウジング49から電気的に隔離されている。イオンビームはイオンソース42から抽出され、抽出電極53によって加速される。最も単純なケース(ソースハウジング49、注入器マグネット43、およびディスク45が接地電位に維持される)では、抽出電極53の最終電極は接地電位にあり、イオンソースは正電圧Vに上げられる。ここで、ビームエネルギーE=qV(qはイオンあたりの電荷)である。この場合、イオンビームは、イオンエネルギーEでウェハ55に衝突する。シリアル注入器のような他の注入器では、イオンビームは静電スキャナまたは電磁スキャナによってウェハ一面を走査される。これは、ウェハを動かすための機械式走査システム、あるいは直交方向の走査を達成するために使用される別のこのような静電スキャナまたは電磁スキャナのいずれかを用いる。
【0006】
イオン注入の技術においてシステムの極めて重要な部品はイオン源である。図2は、市販されているイオン源、すなわち、「向上ベルナス(Enhanced
Bernas)」アーク放電イオン源の「標準的な」技術を図的に示す。このタイプの源は、一般的に、さまざまなイオン注入器の設計の基となっており、高電流、高エネルギー、中間の電流イオン注入器を含む。イオン源aは、取り付けフランジbを介してイオン注入器の真空システムに取り付けられる。イオン源aは、水を冷却するための真空フィードスルーと、熱電対と、ドーパントガス供給と、N冷却ガスと、電源とを含む。ドーパントガス供給cは、ガス(例えば、多くの所望なドーパント化学種のフッ化物)を、ガスがイオン化されるアークチャンバdに供給する。また、取り付けフランジの内部にデュアル蒸発器オーブンe、fが設けられ、そこで固体供給材料(例えば、As、SbおよびP)が気化され得る。オーブン、ガス供給および冷却ラインは、水冷却加工アルミニウムブロックg内に含まれる。水を冷却することにより、アルミニウムブロックgの温度暴走が制限され、その間、100℃から800℃で動作する蒸発器は活性であり、さらにイオン源が活性である場合にアークチャンバdによる放射加熱を相殺する。アークチャンバdはアルミニウムブロックgに取り付けられるが、アルミニウムブロックgと熱接触が乏しいように設計されている。イオン源aはアーク放電プラズマを使用し、これは、アークチャンバd内にとどまるホットフィラメントカソードhとアークチャンバdの内壁との間で一般的に狭く連続的な電気アーク放電を、規定されたチャンバ体積内で保持することによって作動することを意味する。そのアークは、存在するガスのイオンとともに散在された一次電子および二次電子の集合を含む狭いホットプラズマを生成する。このアークは一般的には300Wのエネルギーを越えて散逸され、アークチャンバdで放射によってのみ冷却されるので、そのようなベルナスイオン源におけるアークチャンバは作動の間800℃の温度に達し得る。
【0007】
ガスは低コンダクタンス通路を通ってアークチャンバdに導入され、カソードhとアークチャンバdとの間で放電された電子による電子衝撃を介して、同様に、アーク放電によって生成される多くの二次電子によってイオン化される。イオン化効率を向上させるために、実質的に均一な磁場iが、図1に示されるように、外部に配置された磁気コイル54によってカソードhと対陰極jとを結合する軸に沿って確立される。これは、アーク電子の閉じ込めを提供し、アーク電子の経路の長さが伸びる。アークチャンバd内で、カソードhに対向した端部に配置される対陰極j(「リペラー」と呼ばれることもある)は、一般的には、カソードhと同じ電位を保持し、磁場iによって閉じ込められたアーク電子をカソードhの方に跳ね返すように機能し、カソードhから、再び押し返され、その電子はらせん経路で繰返し移動する。このような閉じ込め電子の軌跡の結果、カソードhと対陰極jとの間のシリンドリカルプラズマカラムが生じる。プラズマカラム内のアークプラズマ密度は一般的に高く、立方センチメートル当たり1012のオーダーであり、これは、電荷交換相互作用によってプラズマカラム内の中性成分およびイオン化成分のさらなるイオン化を可能にする。また、抽出イオンの高い電流密度の生成を可能にする。イオン源aは、イオン注入器の加速電圧Vに等しい、グランドより高い(すなわち、ウェハ55の電位より高い)電位を保持する。ウェハ基板に衝突するイオンのエネルギーEは、E=qVによって与えられ、ここで、qは1つのイオンあたりの電荷である。
【0008】
そのような従来のベルナスアーク放電イオン源のカソードhは、一般的には、外部電源によって加熱される場合に、熱電子的に電子を放出するホットフィラメントまたは間接加熱カソードである。そのカソードhおよび対陰極は、一般的には、イオン源本体Vの電位より低い60Vと150Vとの間の電圧Vに保持される。アーク放電プラズマが開始されると、プラズマは、チャンバd内のカソードhの露出された表面に近接してシースを発生させる。このシースは、アークに対する熱電子的電子電流を効率的に抽出するように高い電場を提供する。高い放電電流(例えば、7Aまでの)は、この方法によって得られ得る。
【0009】
アークチャンバにおいて散逸された放電電力Pは、P=DVであり、一般的には、数百ワットである。このアークによって散逸された熱に加えて、ホットカソードhは、また、アークチャンバdの壁に電力を伝達する。したがって、アークチャンバdはドーパントアークプラズマの高温環境を提供し、これは、アークチャンバd内のガス圧を増加させ、ホットチャンバ壁上のドーパント材料の実質的な凝縮を防ぐことによって、冷環境に対するイオン効率を高める。
【0010】
ベルナスアーク放電イオン源の固体源蒸発器オーブンeまたはfが使用される場合、気化された材料は、狭い蒸発器供給kおよびlならびにプレナムmおよびnを通って実質的な圧力降下でアークチャンバdに供給される。プレナムは、アークチャンバdに気化された材料を拡散するように機能し、アークチャンバdとほとんど同じ温度である。アークチャンバによる蒸発器の放射熱負荷により、一般に蒸発器が、約200℃未満で内部に含まれる固体供給材料に対する安定な温度環境を提供することを防ぐ。したがって、一般的には、200℃より高い温度で気化させ、かつ、(一般的なベルナス源のイオンチャンバの壁の温度)800℃より高い温度で分解される固体ドーパント供給材料のみが、この方法によって首尾よく気化され、導入され得る。
【0011】
半導体のイオン注入において現在存在する極めて重要な問題は、商業的に所望な速度で低いエネルギー(例えば、1keV未満)においてドーパント種の実効的な注入を妨ぐように生成する価値があるイオン注入器が制限されていることである。低エネルギードーパントビームを使用する、ある極めて重要な用途は、CMOS製造におけるシャロウ(shallow)トランジスタ接合の形成である。最近の傾向によれば、IC毎により多くのトランジスタを収納するようにトランジスタのサイズが縮小されるにつれて、トランジスタはターゲットウェハの表面のより近くに形成される必要がある。これは、速度およびそれにより注入イオンのエネルギーを減らす必要があり、それにより、所望なシャロウレベルで堆積される。この点において最も重要な必要性は、低エネルギーボロン、p型ドーパントをシリコンウェハに注入することである。ボロン原子の質量は低いので、注入器を作動させるように設計された所与のエネルギーにおいて、より速い速度を有する必要があり、他のp型ドーパントより深くターゲットウェハに侵入する。したがって、他の種よりも低いエネルギーでボロンを注入する必要性がある。
【0012】
イオン注入器は、イオンビーム内の空間電荷に起因して、低エネルギーイオンビームを輸送する際には比較的非効率であり、エネルギーが低くなればなるほど、この問題は深刻になる。低エネルギービームにおける空間電荷によって、ビーム断面積(すなわち、ビーム「プロフィール」)は、イオンがビーム線に沿って進むにつれてより大きくなる(これを「ビームブローアップ」という)。ビームプロフィールがイオン注入器の輸送光学系用に設計されたプロフィールを超える場合、口径食によるビーム損失が生じる。例えば、500eVの輸送エネルギーの場合、現在用いられている多くのイオン注入器では、製造時に商業上の効率を得るに十分なボロンビーム電流を輸送することはできない。すなわち、注入ドーズ量が低いために、ウェハ処理量が低くなりすぎる。さらに、公知のイオン源は、ソース領域に印加される強磁場に依存している。この磁場はまた、注入器のビーム引き出し領域のある程度の範囲まで存在するので、このような低エネルギービームを偏向させ、ビームの放射特性を実質的に低減させる傾向にあり、この結果、さらに、注入器を通るビーム透過率を低減させ得る。
【0013】
低エネルギーボロン注入の問題を解決するためのアプローチが提案されている。このようなアプローチは、例えば、分子ビームイオン注入である。エネルギーEで原子Bイオンのイオン電流Iを注入する代わりに、デカボラン分子B10をエネルギー10×Eでイオン電流0.10×Iで注入する。2つの方法によって得られる注入深さおよびドーパント濃度(ドーズ)は、大きな潜在的な利点を有するものの、デカボラン注入技術を用いた場合には、一般に等しいことが分かっている。デカボランイオンの輸送エネルギーは、ドーズ量が等価なボロンイオンの輸送エネルギーの10倍であり、そのデカボランイオン電流は、ボロン電流の1/10倍であるので、ビームブローアップを生じる空間電荷が抑制され、その結果得られるビーム損失は、単原子ボロン注入に比べてはるかに低減する可能性があり得る。
【0014】
BFガスはBイオンを生成するために従来のイオン源で使用され得るが、デカボランイオンB10を生成するためには、デカボラン(B1014)を使用する必要がある。デカボランは、20℃で約1Torrの大きな蒸気圧を有し、100℃で融解し、350℃で分解する固体材料である。それゆえ、好適な昇華によって蒸発させるために、100℃以下で蒸発させる必要があり、分解しないようにするためには、デカボランを局所的な環境(イオン化チャンバの壁およびそのチャンバ内に含まれる構成要素)が350℃以下である生産に値するイオン源において処理する必要がある。さらに、B1014分子は非常に大きな分子であるので、アーク放電プラズマ内でこのB1014分子が電荷交換相互作用を受けた場合、ボロン元素またはジボラン(B)等のより小さな分子に容易に解離(フラグメント化)し得る。その結果、従来作動されてきたBernasアークプラズマ源は商業用の生産において採用され得ず、イオン化を主に一次電子の衝撃によって得る必要があるということが認識される。また、電流イオン源の蒸発器の、デカボランに必要な低温における動作は信頼できない。なぜなら熱イオン源から蒸発器まで熱が放射し、分子がその熱によって不安定になるためである。デカボラン蒸気が熱表面と相互作用するにつれて、蒸発器供給線kおよびlは、分解した蒸気から得られるボロン堆積物によって容易に塞がれてしまう可能性ある。従って、現在の製品に値する注入器イオン源は、デカボランイオン注入には使用できない。専門のデカボランイオン源を提供するために従来から行われてきた労力では、製品価値のある使用法の多くの要件を満たさない。
【0015】
より一般的には、この産業に共通する技術には、改良の余地のある多くの方法がある。本明細書中で提示される、新たな技術を組み込んだ際に有効であるコスト効率に優れるという特徴は、確立された技術にも同様に組み込んで適用することができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
本発明の種々の局面が、以下を効率的に行うように改良されたアプローチおよび方法を提供する。
・新規な蒸発器および蒸気送達システムを介したデカボランおよび他の感熱性材料を蒸発する
・蒸気の制御された低圧液滴フロー(例えば、デカボラン)をイオン源に送達する
・デカボランをB10の大きなフラグメントにイオン化する
・デカボランの熱散逸を防ぐ
・電荷交換およびB10の低エネルギー電子誘導性フラグメンテーションを制限する
・アークプラズマを使用することなくイオン源を動作させ、放射特性およびビーム純度を向上させ得る
・強印加磁場を使用することなくイオン源を動作させ、ビームの放射特性を向上させ得る
・アーク放電を使用することなく、イオン化チャンバを通って熱孤立ビームダンプへと直線をなす、外部で生成された広い指向性の電子ビームを取り入れることによって、電子衝撃イオン化を生成する新規なアプローチを使用する
・ウェハにボロンドーパントの生産に値するドーズ量を提供する
・他のドーパント、特に、新規な水素化物二量体含有熱感応性材料、および、インジウムまたはアンチモン含有熱感応性材料を用いた場合もまた使用することが可能なハードウェア設計を提供し、新規なソース設計の使用の経済効果および製品価値をさらに高め、多くの場合には、不純物の存在を低減する
・フィールドにおけるイオン注入器の設置基材のイオン光学系の要件を満たす
・外部の好適な距離にあるカソードを用い、イオン化チャンバおよび不純物を含まない材料から製造される引き出しアパーチャを提供することによって、遷移金属不純物のソースとしてのイオン源をなくす
・新たなイオン源を既存のBernasソースに基づくイオン注入器等のイオン源設計空間に組み込み得るか、そうでない場合には、他のイオン源設計を用いることができる
・オペレータにすでに馴染みのある、設置されたオペレータインターフェースおよび制御法の保持を可能にする改良設備に制御システムを用いる
・実質的に注入器が停止することなく、蒸発器内の固体の簡便な処理および補充を可能にする
・1つの設計を用いて、イオン化が生じる領域の寸法および強度を、常に注入器のビーム線およびプロセス要件に整合することを可能にする内部調整および制御技術を提供する
・新規なアプローチを提供し、半導体デバイス、特に、CMOSソース/ドレインおよび拡張物の将来的な製造を可能にする材料および動作条件を開始し、シリコンゲートにドーピングする
・概して、デカボランおよび他の多くのドーパント供給材料(このうち多くはイオン注入には新規な材料である)の生産に値するイオン化を達成する機能、関係および方法を提供し、製造能力の実質的な要件を満たす。
【0017】
本発明の実施形態は、新しいイオン注入システムの可能性を大きく前進させ、エンドユーザの現在の注入器にシームレスで、かつ、透明なアップグレードを提供することができる。
【0018】
特に、本発明の一局面は、現在のイオン注入技術に適合しており、本発明により構築されたイオン源がコストのかかる製造工場に組み込まれたイオン注入器の現状のフリートに取り付けられ得る。本発明の1実施形態は、(1)市販されている注入器の現状のイオン源のスペースに適合するように、構築され、サイズ調整され、配置され、(2)注入器の制御および認定された生産技術に変更を加えずに現状のイオン源制御器を物理的に配置され得るイオン源の新しい制御システムを用いる。
【0019】
本発明の一局面により、イオン注入器のイオン抽出システムに市販のイオン電流のレベルでイオンを提供し得るイオン源が提供され、イオン源は、イオン化体積を囲む壁により規定されるイオン化チャンバを含み、イオン化チャンバの側壁にはイオン抽出アパーチャがあり、アパーチャは、長さおよび幅がサイズ調整され、配置がされ、これによりイオン電流が抽出システムによりイオン化体積から抽出され得る。本発明は、イオン化チャンバを介して、電子銃の放射電圧に対して実質的に正電圧を維持されるビームダンプに、一次電子の直線状のビームを方向付けるイオン化チャンバに対応するように、構築され、サイズ調整され、配置された幅の広いビームを生成する電子銃を特徴とする。好適には、ビームダンプは、イオン化チャンバから断熱されるか、または、個別に冷却される。一次電子のビーム経路の軸は、アパーチャにほぼ隣接する方向に伸長し、電子ビームは、抽出アパーチャの幅方向に相当する方向に、抽出アパーチャとほぼ同じか、またはそれ以上の寸法を有し、蒸発器は、デカボラン蒸気等をイオン化体積に導入するするように配置され、制御システムは、一次電子のエネルギーを制御し得、その結果、蒸気の各分子が、大体において、電子銃からの一次電子と衝突することよりイオン化され得る。
【0020】
好適な実施形態において、電子銃は、イオン化チャンバの壁から断熱された支持部上に設けられている。
【0021】
本発明の別の局面により、市販のイオン電流のレベルでデカボランのイオンをイオン注入器のイオン抽出システムに提供し得るイオン源が提供され、イオン源は、イオン化体積を囲む壁により規定されるイオン化チャンバを含み、イオン化チャンバの側壁にはイオン抽出アパーチャがあり、イオン化チャンバは、抽出システムによりイオン化体積からイオン電流を抽出され得るように配置され、電子銃は、イオン化チャンバの外部にあり、イオン化チャンバの壁から断熱されるように配置され、イオン化チャンバを介して、電子銃の放射電圧に対して実質的に正電圧を維持されるビームダンプに、一次電子の広いビームを方向付けるイオン化チャンバに対応するようにサイズ調整され、配置され、ビームダンプは、イオン化チャンバの外部に位置し、イオン化チャンバから断熱され、一次電子のビーム経路は、イオン抽出アパーチャに隣接する方向に伸長し、通路は、選択された材料の蒸気または気体をイオン化体積に導入するように配置され、制御システムは、一次電子のエネルギーを制御し得、その結果、材料は、イオン化され得る。
【0022】
本発明の別の局面により、市販のイオン電流のレベルでイオンをイオン注入器のイオン抽出システムに提供し得るイオン源が提供され、イオン源は、イオン化体積を囲む壁により規定されるイオン化チャンバを含み、イオン化チャンバの側壁には抽出アパーチャがあり、イオン化チャンバは、抽出システムによりイオン化体積からイオン電流を抽出され得るように配置され、電子銃は、イオン化チャンバの外部にあり、イオン化チャンバの壁から断熱され、イオン化チャンバを介して、電子ビーム銃の放射電圧に対して実質的に正電圧を維持されるビームダンプに、一次電子の広いビームを方向付けるイオン化チャンバに対応して、構築され、サイズ調整され、配置され、電子ビーム銃は、電子光学要素に合わさられた所定のサイズの熱電子放出表面を含み、電子光学要素は、電子銃の放出表面のサイズに対応して、イオン化チャンバへのビームを拡大し、一次電子のビーム経路は、イオン抽出アパーチャに隣接する方向に伸長し、通路は、選択された材料の蒸気または気体をイオン化体積に導入し、制御システムは、一次電子のエネルギーを制御し得、その結果、材料は、イオン化され得る。
【0023】
本発明の上述の局面および他の局面の好適な実施形態は、1以上の以下の特徴を有する。
【0024】
蒸発器は、イオン化チャンバの最近接に位置するイオン源アセンブリに組み込まれて、高い伝導度により、イオン化チャンバと連絡しており、好適には、照準経路(sight path)に沿ってイオン化チャンバと連絡しており、20C〜200Cの範囲の一部または全てにわたって制御可能なように構築されている。
【0025】
ビームダンプは、イオン化チャンバに入射する電子ビームの断面積より大きい電子受容表面を有する。
【0026】
電子銃は、一様にコリメータされたビームを生成する。好ましくは、多くの例では、電子銃はイオン化チャンバを通過する間、一様にコリメートされる。
【0027】
ビームダンプは、動的冷却支持体(好ましくは、水冷支持体)に取り付けられる。
【0028】
電子銃は、動的冷却支持体(好ましくは、水冷支持体)に取り付けられる。
【0029】
電子銃のカソードは、イオン化チャンバから離れた位置に配置される。
【0030】
電子銃のカソードによって密閉された封入物は、専用真空ポンプによって排出される。
【0031】
イオン源電子銃は、選択されたパラメータのビームへの電子流を形成し、選択されたパラメータのビームは、一様な電子の散乱、抽出アパーチャに整合したプロファイルを含み、好ましくは、多くの場合、電子流はイオン化チャンバ内部のコリメートされたビーム内に存在する。
【0032】
電子銃は、電子銃のエミッタから少なくとも電子の大部分を抽出することが可能な高伝達電子抽出段を備える。この抽出段は、コリメータおよびさらなる電子光学素子へと続き、好ましい実施形態では、さらなる光学素子は、電子ズームレンズまたは電子光学素子を備え、これらの光学素子は、あるいは電子ビームのエネルギーおよび電子ビームの少なくとも1つの拡大パラメータ(好ましくは、電子ビームの線形倍率および角倍率の両方)を変化させる能力を有するように構成され、好ましい実施形態では、電子光学素子は、5以上のエレメントズームレンズを備える。
【0033】
このイオン源は、既存のイオン注入器、およびイオン注入器を設計するための元のイオン源によって一般的に組み込まれるスペースに取り付けられるように構成され、調整され、配置される。
【0034】
このイオン源は、イオン抽出アパーチャの開口部に整合したプロファイル(好ましくは、概して矩形断面である)を有するように構成かつ配置される。
【0035】
このイオン源の電子ビーム銃は、伸長された電子銃であり、特定の実施形態では、この電子銃の長さは、イオン化チャンンバ内のイオン化経路長の長さよりも長い。好ましくは、例えば、改良された取り付けに対して、伸長された電子銃の主方向は、イオンビームがイオン化チャンバから抽出される方向に概して平行に配置され、その方向でイオンビームはイオン化チャンバから抽出され、電子ミラーはイオン化された封入物を通過する横断方向に電子ビームをそらす。この実施形態および他の実施形態では、好ましくは、延長された電子ビーム銃のカソードは、イオン化チャンバを通過する電子ビームの最大断面積よりも小さい大きさの均一な放出表面であり、電子光学素子は、電子ビームがイオン化チャンバに入射する前に、電子ビームを拡張させるように配置される光学素子を備える。様々な実施形態では、光学素子のいくつかは、ミラーよりも前に配置されるか、またはミラーの下流に存在し、この光学素子は、角倍率および線形倍率を変化させるように構成される。好ましくは、これらの光学素子は、ビームの電子エネルギーの変化を可能にするズーム制御を備える。
【0036】
この制御システムは、ビームダンプの電流および強度を計測する回路を備える。
【0037】
このイオン源電子ビーム銃は、イオン化チャンバの壁に対して、約20〜300または500電子ボルトの電圧降下で動作するように構成される。好ましくは、デカボランをイオン化するために、電圧降下は20〜150電子ボルトであり、選択されたイオン注入種に二重電荷を与えるため、または、他の供給材料のイオン化条件を与えるために有用である。
【0038】
直接または間接的に加熱されたカソード有するベルナス(Bernas)アーク放電源とともに使用するために設計された既存のイオン注入器とともに使用するために、制御システムは、ベルナスアーク放電源のために使用されるスクリーンに対応する動作制御スクリーンを備え、変換器は、アーク電流制御信号を電子銃のための制御信号に効率的に変換する。
【0039】
イオン化チャンバは、蒸発器または温度制御デバイスと熱的に連続している。
【0040】
デカボランのための蒸発器は温度制御システムを備え、イオン化チャンバは、蒸発器と熱的に連続し、好ましくは、イオン化チャンバは、蒸発器と熱的に連続するヒートシンクを規定する導電ブロック内部に規定され、好ましくは、導電ブロックは、1以上の導電ガスケットを経由する蒸発器と熱的に連続し、導電ブロックは、蒸発器がアセンブリの残部から分離されるガスケットを備える。
【0041】
イオン化チャンバは、温度制御された取り付けブロックに対する熱伝達関係において配置される取り外し可能なブロック(好ましくは、取り外し可能なブロックは、グラファイト、炭化ケイ素、またはアルミニウムから構成される)によって規定される。
【0042】
イオン源は、イオン源をイオン注入器の筐体と接合するマウンティングフランジと、マウンティングフランジの内側に位置するイオン化チャンバーと、蒸発器とを備える。蒸発器は、マウンティングフランジから蒸発器を分離可能な少なくとも1つの遮断弁を介してマウンティングフランジの外側へ取り外し可能に搭載され、操作の間バルブを閉じた状態にすることにより蒸発器のチャージ体積が遮断されることが可能となる。好適には、直列に接続された2つの遮断弁が設けられ、1つは取り外された蒸発器ユニットと統合されて共に移動可能であり、1つはイオン源の残りの部分とともに残り、残りの部分を大気から遮断する。特定の好適な実施形態において、2つのそのような蒸発器が提供され、一方が稼動中に他方をチャージまたは点検の間休ませることが可能となり、または、イオン源のメンテナンスなしに2つの異なる材料を蒸発させることが可能となり、または、注入器の稼動が延長できるように更なる量の同じ材料を供給することが可能となる。
【0043】
イオン化チャンバーの対向する壁は、電子ビーム銃およびビームダンプにそれぞれ対応し、それらは電子ビーム銃からビームダンプへ運ばれる電子パスを介するポートを有する。ポート周辺の空間は、筐体に囲まれ、排気システムに接続される。
【0044】
イオン源は、イオン化のためのイオン化チャンバーに導入されることが可能であるアルシン、ホスフィン(phosphene)、ゲルマンおよびシランガス等の化合物を通すガス入り口を備える。
【0045】
例えば高電流機器において、イオン化チャンバーの抽出アパーチャは約50mm以上の長さおよび少なくとも3.5mmの幅であり、電子ビームの横断面積は少なくとも約30平方mmである。好適には、例えば高電流機器内のデカボランにおいて、ビームの横断面積は少なくとも約60平方mmである。中電流イオン注入器において好適には、抽出アパーチャは少なくとも15mmの長さおよび少なくとも1.5mmの幅であり、電子ビームの横断面積は少なくとも約15平方ミリメートルである。多くの中電流イオン注入器において、抽出アパーチャは、長さ20mm、幅2mmであり得、このような場合、電子ビームの横断面積は最小20平方mmまで縮小され得る。
【0046】
イオン注入システムは、一般設計体積を占める第1のイオン源およびそのような体積内に組み込まれて動作する上記の任意の新しいタイプの第2のイオン源に設計されるイオン注入器と、好適にはイオン化チャンバーから抽出されるイオンビームの方向と主な方向が平行になるように配置される細長い形の電子銃と、イオン化体積を通るように横断方向へ電子ビームを転送するように配置される電子ミラーとを備えるように提供される。イオン注入システムのこの実施形態および他の実施形態において、好適には、カソードは、イオン化チャンバーを通る電子ビーム経路の最大断面より小さいサイズであり、電子光学素子は、電子ビームをイオン化チャンバーに入る前に伸張するように配置される光学素子を含む。好適には、このような光学素子は電子エネルギーを様々に制御できるようにズーム制御を付随する。
【0047】
本発明はまた、デカボラン、ここで言及する水素化物、およびインジウム−、アンチモン−、ダイマー−を含む化合物を含む他の感温性材料をイオン化する様々な開示する特徴を有する装置を用いた方法で特徴付けられる。このような方法は上記の開示内容および下記の文言により開示される制御の様々な方法を用いることを含む。
【0048】
特に、本発明は、電子ビームを生成する工程、ビームを加速およびコリメートする工程、その横側面およびエネルギーを制御する工程、およびイオン化チャンバーが冷却されている間に所望のイオンを生成するためにイオン化チャンバーをビームが通るようにする工程を示す方法を含む。本発明はまた、例えば動作進行における供給材料の体積の減少を調整することのできる圧力制御または温度および圧力の両方の制御による蒸発器の気体生成物を制御する工程のみならず、固体材料を気化する工程、蒸発器の熱の制御システムを用いてイオン化チャンバーを冷却する工程を含む方法を含む。
【0049】
特定の局面において本発明の方法は、ガスまたは加熱蒸気を含む材料をイオン化体積を囲むチャンバーへ導入する工程と、抽出アパーチャを有するチャンバーと、電子の広いビームをアパーチャに隣接するイオン化体積を通す工程とを含むイオン注入の間にイオンを供給する工程により特徴付けられる。本発明の1つの局面において、広いビームは、チャンバーから熱的に分離されたビームダンプと整列し、電子のエネルギーが材料のイオン化のために選択される。別の局面において、電子ビームのエネルギーおよび大きさは、材料のイオン化のために電子ズーム光学素子を用いて制御される。別の局面において、ビームは形成され、電子のエネルギーは、電子を連続的に加速および減速することにより制御される。これらの局面の好適な実施形態において、広い電子ビームは、イオン化チャンバーから離れて熱的に分離された熱放射表面から放射される。放射表面からの電子は加速され、コリメートされ、イオン化チャンバーを通る前にビーム拡大光学素子を通り、デカボランの蒸発において、方法は、イオン化チャンバーへデカボラン蒸気を導入する工程と、デカボランをイオン化してデカボラン電流を生成するために広い電子ビームのパラメータを制御する工程と含む。または、方法は、所望の種類の水素化物をイオン化チャンバーに導入する工程と、水素化物をイオン化する工程とを含む。好適な実施形態において、水素化物はアルシンまたはホスフィン(phosphene)またはゲルマンまたはシランまたはジボランである。他の好適な方法において、インジウム含有化合物が用いられ、イオン化チャンバーにインジウム化合物蒸気を導入する工程と、インジウム化合物をイオン化してインジウムイオン電流を生成するために広い電子ビームのパラメータを制御する工程と含む。好適には、化合物はトリメチルインジウムである。さらに別の好適な方法において、アンチモンを含む化合物が用いられ、イオン化チャンバーにアンチモン化合物蒸気を導入する工程と、アンチモン化合物をイオン化してアンチモンイオン電流を生成するために広い電子ビームのパラメータを制御する工程と含む。好適には、化合物は酸化アンチモン(Sb)である。以下に示す他のダイマー含有コンパウンドもまたダイマーイオンおよびモノマーイオンの両方を生成するために用いることができる。種々の方法において、好適には、ビームダンプはイオン化体積を通過したあとに後に電子ビームを受取るために用いられ、ビームダンプのチャンバーからの熱的な分離および少なくともチャンバーの電位よりも高い電位を維持する工程を含む。
【0050】
ある例では、電子ビームを束縛するため(例えば、空間電荷効果(space−charge effects)を打ち消すため)に磁場が印加される。ある例では、一定の化合物に対して、好適に、電子を反発するアンチカソードとして作用するイオン化チャンバーの壁よりも実質的に低いポテンシャルにビームダンプ(dump)のポテンシャルを変更することによって、既述のプロセスが反射型のイオン化モードに転用される。一定の場合、本方法は、電子ビームに平行に磁場を印加する工程、または反射モードを動作させている間イオン化チャンバーの壁を継続して冷却する工程を含む。
【0051】
本発明は、また、既に存在するイオン注入器の入口(fleet)に新しいイオン源を逆に取り付ける方法であること、及び、元の場所に置かれたアークプラズマイオン源のオペレータインターフェースを用いてイオン源を制御する方法であることを特徴とする。
【0052】
また、本発明は、半導体デバイス、特に、CMOS製造における、奥行きの少ないソース/ドレイン及び拡張部分を形成し、並びにシリコンゲートをドーピングする半導体デバイスを形成するために記載された、イオン注入全体の、装置を用いたプロセス及び制御を管理する方法であることを特徴とする。
【0053】
加えて、本発明は、デュアルモードの動作のための方法および装置であることを特徴とし、正のポテンシャルでのビームダンプによって直線状にされたビームを有する幅が広い電子ビームモード及び反射型モードの双方は、その双方において、限定して与えられる磁場を必要に応じて使用することにより、ダンプが反発物(アンチカソード)に転化されるが、都合良く、冷却された壁によって、高い温度で解離する水素化物等の物質にイオン化するように管理される。
【0054】
ビームダンプに向けられた幅広い電子ビームを用いる方法において、一定の場合、本発明は、電子ビームを束縛するために磁場を印加することを特徴とする。
【0055】
本発明の他の局面に従うと、イオン源は、ガス、蒸気またはこれらのイオンを含むドーパントとしての給送物質に接触するために表面が露出されている部材を有するように提供される。その接触関係は、部材の表面温度が所望の動作範囲内でない場合には、液化もしくは分子解離が発生するようになっており、その部材は、温度が能動制御される第二の部材との関係において、熱伝導体として配置される。第二の部材の温度は、所与の温度の脱イオン水によりその部材を水冷することによって決定され得る。第二の部材は、制御システムに関連した熱電気の冷却ユニットに関連し得る。その制御システムは、上記動作範囲内の表面の温度を維持するように、このユニットを活性化し得る。ある場合では、冷却ユニットと共同して動作して、第二の部材をある温度に維持するように構成されるヒータエレメントが含まれる。一定の実施形態において、冷却ユニットは、部材の表面を対向面とする熱伝導性の界面を形成する表面を有する。一定の好適な実施形態では、伝導性ガスが、伝導経路内の界面の間隙に、ガス分子が熱を界面にわたって伝導により転移させるよう機能するような条件下で満たされる。好適には、伝導性ガスは、熱伝導が発生する少なくとも一つの表面中に形成されたチャネルに給送される。
【0056】
本発明は、また、蒸発器用の制御システムであることを特徴とし、この蒸発器は、イオン化チャンバー内の圧に関連する圧力に感度を有するイオン化ゲージを含む。
【0057】
本発明の他の局面は、電子のビームをイオン化チャンバーを通して、抽出アパーチャに隣接する領域内のイオン化ガスまたは蒸気に投影するように配置された加速−減速(accel−decel)電子銃を含むイオン源にある。
【0058】
本発明の好適な実施形態は、以下の特徴の一つ以上を有する。すなわち、
磁気コイルが、イオン化チャンバーの外側に配置されており、電子銃がコイルと同心状に取り付けられている。これにより、電子銃の出射軸は、電子をイオン化チャンバーおよびコイルに放射するように調節される。コイルはエネルギーが付与されると、磁場を与えて、電子ビームの電荷が拡張する空間を制限し、電子ビームは、イオン化チャンバーを通過する。
【0059】
電子銃カソードによって占められる容積は、専用の真空ポンプによって見積もられる。
【0060】
正電位におけるビームダンプは、イオン化チャンバーを通過するビームの電子を受け取るように調節される。
【0061】
加速−減速電子銃は、イオン化チャンバーの外側に配置され、電子銃の出射軸が取り付けられた電子銃が電子をイオン化チャンバーに出射するように配置される。
【0062】
加速−減速銃は、電子ズームレンズを有している。加速−減速銃は、少なくとも二つの要素を有する焦点合わせレンズに続く高速伝送抽出ステージ(high−transmission etraction stage)からなる。この二つの要素は、比較的短い、強力な焦点合わせレンズに続き、この強力な焦点合わせレンズは、イオン化チャンバーに入る電子ビームを減速させるように機能する。好適には、短いレンズは、複数の孔を有するレンズであり、それぞれが一つの孔を有する、連続する少なくとも2つの伝導性のプレートを含んでおり、プレート上の電位は、電子を減速するために、それぞれで値が下がる。
【0063】
電子銃のビーム減速ステージは、ビームの焦点をイオン化チャンバー内の電子ビームが通過する細長い孔の長さ方向の中央近傍の点に合わせる。
【0064】
本発明の他の局面及び詳細な特徴は、図面、以下の好適な実施形態の説明から、及び特許請求の範囲及び要約から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
(概略的な説明)
本発明の各種の局面を組み込んだイオンソースの実施形態は、i)蒸発器、ii)蒸発器バルブ、iii)ガス供給装置、iv)イオン化チャンバ、v)電子銃、vi)冷却される取り付けフレーム、およびvii)イオン引き出し口を含む。ガス状の供給物質を、イオン化チャンバに導入する手段と、固体の供給物質を蒸発させ、その蒸気をイオン化チャンバ内に導入する手段と、導入されたガス状の供給物質をイオン化チャンバ内でイオン化する手段と、イオンを抽出して、イオン化領域に隣接するイオン出口から生成する手段とが含まれる。さらに、出ていくイオンを加速し、集める手段が設けられる。新規なイオンソースの好適な実施形態において、蒸発器、蒸発器バルブ、ガス供給装置、イオン化チャンバ、電子銃、冷却される取り付けフレーム、およびイオン出口は、全て1つのアセンブリに集積される。これらの特徴について以下で説明する。
【0066】
蒸発器:蒸発器は、室温で比較的高い蒸気圧を有し、100℃未満の温度で蒸発する固体物質、例えば、デカボラン (B1014)およびTMI(トリメチルインジウム)を蒸発させることに適する。室温と100℃との間の温度範囲は、蒸発器が給水伝熱媒体に直接関連する実施形態によって、容易に適用されるが、他の好適な構成は、200℃までの範囲の大きな蒸気圧を生成する新規な物質に対応する。例えば、固体のデカボランは、20℃で約1Torrの蒸気圧を有する。半導体のイオン注入において、現在考えられている他のほとんどの注入種、例えば、As、P、Sb、B、C、Ar、N、Si、およびGeは、気体の形態で利用可能である。しかし、B10およびInは、気体では利用できないが、デカボランおよびTMIからの蒸気の中に存在し得る。本発明の実施形態による蒸発器は、それ自体がアルミニウムブロックで封入された閉路水浴によって完全に囲まれた、蒸発される固体物質を含む密閉されたるつぼが含まれる、機械加工されたアルミニウムブロックである。浴は、蒸発器に結合された閉ループ温度制御システムによって、はっきり定義された温度に維持される。閉ループ温度制御システムには、PID(比例積分微分)コントローラが組み込まれる。PIDコントローラは、ユーザのプログラマブル温度設定値を許容し、抵抗型加熱器(水浴と接触する加熱板に取り付けられる)を起動して、設定値を比較し、値をリードバックして抵抗型加熱器を流れる電流の適切な値を決定する熱電対リードバック回路を通じて、設定温度まで到達し、維持される。良好な温度安定性を確保するため、水冷熱交換器コイルが、水浴に浸漬され、浴から熱を連続的に奪い、このことによって、温度制御システムの制定時間が低減される。物理的に分離した加熱板と熱交換器コイルとの間の温度差は、対流電流の生成を通じて浴内の水の流れの混合を提供する。さらなる混合補助器具として、水浴において、回転する磁気ミキサーパドルが用いられ得る。このような温度制御システムは、20℃から100℃までの間で安定している。蒸発器からイオン化チャンバへのガスの流れは、蒸発器温度によって、高温になればなるほど流速が速くなるように決定される。
【0067】
蒸発器からイオン化チャンバへのガスの流れは、蒸発器の温度によって、より高い温度でより速い流速が達成されるように決定される。本発明の好適な実施形態によると、蒸発器は、るつぼとイオン化チャンバとの間の比較的コンダクタンスが高い経路を介して、イオン化チャンバと連絡する。これは、好適には、2つの部品の間に、比較的短い、大きい直径の見通しコンジットを組み込むことによって達成される。高コンダクタンスゲートバルブ(薄くされたハウジングを有する直径の大きいゲート)が、蒸発器とソース本体との間の流路において用いられて、コンダクタンスが制限されないようにされる。イオン化チャンバへの蒸気の伝達のため、高コンダクタンスを提供することによって、蒸発器内の圧力および必要とされる温度の変動は、従来の蒸発器よりも低くなる。
【0068】
本発明による一実施形態において、直径5mm、長さ20cmのコンジットを採用し、るつぼとイオン化チャンバとの間に約7×10−2L/sのコンダクタンスを提供することによって、比較的コンダクタンスが低い供給経路が達成される。イオン化チャンバの圧力が約4.5mTorrになるためには、蒸発器内の圧力が約2Torrになることが必要である。他の実施形態は、約3×10−1L/sのコンダクタンスを提供し、蒸発器内の圧力を0.5Torrにして、同じ物質の流速を達成し、同じイオン化チャンバ内の圧力4.5mTorrを達成する、直径8mmで同じ長さのコンジットを採用する。
【0069】
所与の温度での物質の静止した蒸気圧と、動作中のるつぼからの蒸気の発生および伝送の間の蒸発器るつぼにおける動的な圧力は、同じではない。概して、安定した状態の動的圧力は、静止した蒸気圧より低く、その程度は、構成の他の細部に加えて、蒸発器るつぼ内のソース物質の分布に依存する。本発明によると、コンダクタンスは、この効果を含むように大きくされる。さらに、ある好適な実施形態において、イオン化チャンバへの電子の入口、および出口があることによる、イオン化チャンバのソースハウジングの真空環境に対するさらなる開放性は、従来のBernas式ソースと比較して、約2倍の気体物質の流れを必要とする。概して、本発明によると、コンダクタンスが、約3×10−2〜3×10−1L/sの範囲内にあり、好ましくは、コンジットの長さは、30cm以上であり、直径は、約5mm以上であり、好ましい直径範囲は、5〜10mmの間であることが好ましい。これらの制限内で、従来の蒸発器よりもずっと低い温度で動作することが可能であり、流れをイオン化チャンバへと駆動するために圧力を上昇させるように大きく温度を上げる必要もない。従って、温度感受性物質は、保護され、幅広い範囲の物質が、比較的小さい範囲の温度で蒸発されることが可能になる。
【0070】
提示される蒸発器のいくつかの実施形態において、以下の指針に従う、蒸発器の構成は、20℃から100℃または200℃の温度で動作することを可能にする。蒸発器が高コンダクタンスであり、温度範囲が上記の通りであるとすると、適応され得る幅広い範囲の固体ソース物質には、比較的低融点のためイオン注入において以前は用いられなかった材料の一部が含まれることが分かった。(一般に、固体の形態の物質から蒸気を生成することが好ましい。)
るつぼ内の蒸発したガスの比較的低い圧力のみを用いることを可能にするさらなる利点は、所望のガスの質量の流れを確立するために、従来の設計と比較して、より少ない材料しか必要とされないことである。
【0071】
他の実施形態において、異なる蒸発器PID温度コントローラが採用される。繰り返すことができる、安定した流れを確立するために、蒸発器PID温度コントローラは、典型的には、市販のイオン注入器のソースハウジングに位置するイオン化タイプ圧力計の出力を受信して、ソースハウジングにおける大気圧より低い圧力を監視する。圧力計の出力が、イオンソースへのガスの流れに比例するので、出力は、PID温度コントローラへの制御入力として採用され得る。PID温度コントローラは、続いて、蒸発器の温度を上昇または減少させて、所望のゲージ圧が得られるまで、ソースへのガスの流れを増加または低減させ得る。
【0072】
従って、PIDコントローラの2つの有用な動作モード、すなわち、温度ベースのモード、および圧力ベースのモードが規定される。
【0073】
他の実施形態において、これらの2つのアプローチが組み合わされ、流量の短期の安定性は、温度プログラムのみによって達成されるが、流量の長期の安定性は、蒸発器の温度を圧力設定値を満たすように調節することによって、達成される。このような組み合わされたアプローチの利点は、蒸発器るつぼ内の固体の物質が消費されるにつれ、蒸発器温度は、蒸発器に対して向けられた物質の低減された表面積によって実現されるより小さい流速を補償するように、増加され得ることである。
【0074】
蒸発器の他の好適な実施形態において、流体伝熱媒体は用いられない。水浴ではなく、るつぼが、蒸発器の機械加工された本体と一体であり、加熱素子および冷却素子が、蒸発器のアルミニウムの壁に埋め込まれる。加熱素子は抵抗型加熱器またはオーム加熱器であり、冷却素子は、熱電(TE)冷却器である。また、蒸発器は、所望の蒸発器温度が、典型的には、室温より高いので、周囲に対する熱損失を防ぐため、熱的な絶縁体で覆われる。この実施形態において、加熱/冷却素子は、物質が、例えば、1片のアルミニウムを機械加工した蒸発器の壁に直接接触するので、直接、蒸発器の壁の温度を決定し、るつぼ内の物質の温度を決定する。以前に説明した実施形態において用いられる技術と同じPID温度コントローラ技術が用いられ得、蒸発器が、100℃より高い温度、好ましくは、約200℃までの温度に達することを可能にする。
【0075】
他の実施形態において、蒸発器は、2つの結合されているが、別々の部品、すなわち、蒸発器ハウジングおよびるつぼを含む。るつぼは、機械的にぴったりとはめ合わされた状態で、ハウジングに挿入される。るつぼと接触する蒸発器ハウジングの表面は、大気より低い圧力が加圧される伝導性ガスが導入される矩形の溝のパターンを含む。加圧されたガスは、るつぼと温度制御ハウジングとの間に、充分な熱伝導性を提供して、蒸発されるデカボランまたは他の固体供給物質に接触する、るつぼ表面の温度を制御する。この実施形態は、蒸発器が用いられる間、るつぼが容易に置き換えられることを可能にする。同じPID温度制御コントローラは、以前に説明した実施形態において用いられるコントローラと同じである。
【0076】
いくつかの好適な実施形態において、蒸発器は、高コンダクタンス経路を介して連絡しているイオン化チャンバに依然近傍したままで、イオンソースの主な取り付けフランジに対して、物理的に外部に位置し、取り外し可能に取り付けられ、蒸発器は、主な取り付けフランジを介して、真空系内に位置するイオン化チャンバと連絡する。
【0077】
いくつかの好適な実施形態において、イオンソースの残りの部分から独立して着脱可能な2つの蒸発器が設けられ、一方の蒸発器が用いられている間、他方の蒸発器が取り外されて、再装填され得るか、または、修理され得る。
【0078】
蒸発器バルブ:上記の蒸発器の実施形態において、蒸気は、蒸発器を出て、好ましくは、金属のシールまたは他の熱伝導性のシールが蒸発器とイオン化チャンバとの間に位置する、薄い高コンダクタンスゲートバルブに結合された開口部を介して、イオンソースの隣接するイオン化チャンバに入る。ゲートバルブは、蒸発器をイオン化チャンバから隔て、バルブが閉められている場合には蒸気が蒸発器から逃げないが、バルブが開けられている場合には、イオン化チャンバと蒸発器との間に、短い高コンダクタンスの見通し経路が確立されて、蒸気が自由にイオン化チャンバに入ることを可能にするために役立つ。バルブが閉じられた位置にある状態で、バルブが取り付けられた蒸発器は、るつぼに含まれる毒性のある蒸発器物質を放出することなく、イオンソースから除去され得る。その後、イオンソースは、以前は蒸発器バルブによって占められていた位置に、ブランクフランジを取り付けることによって密閉され得る。他の実施形態において、2つの独立バルブは、直列に設けられ、1つは、取り外し可能な蒸発器に関連付けられ、1つは、イオンソースの他の部品全てに関連付けられ、2つのバルブの間に切断界面が位置する。従って、システムの両方の部分は、大気から隔離され得、部品は、お互いから取り外される。結合されているバルブのうちの1つ(好ましくは、イオンソース本体を独立させるバルブ)は、バルブ本体内部に集積された、小さい、バルブが付けられたあら引きポートを有する。このポートは、バルブ本体とポートとの間のむだな空間に閉じこめられた空気を、2つのバルブが閉位置に合わせられた後に、あら引きポンプによって、引き出すことを可能にする。注入器のソースハウジングが真空下にある場合、蒸発器は、充填された後、バルブが閉じられた状態で、取り付けられ得る。注入器におけるイオンソースに取り付けられた閉じられたバルブに合わせられる。その後、蒸発器バルブは、開けられ得、蒸発器の封入物は(バルブ間のむだな空間に閉じこめられたガスとともに)、あら引きポートから引き出される。その後、ソースハウジングをのベントを要することなく、イオンソースバルブは開かれ得、この能力は、蒸発器の修理のために必要な注入器休止時間を大幅に低減する。他のシステムにおいて、上述したように、それぞれが2つの別個のバルブを直列に含む2つのこのような蒸発器は、並列に設けられて、異なる開始物質を蒸発させるために適するか、または、一方が修理または再装填されている間、他方が機能し得るように交互に用いられる。
【0079】
ガス供給:気体の供給物質で動作するために、イオン注入器は、典型的には、ガス分配システムに結合されたガスボトルを用いる。ガスは、密閉されたVCRまたはVCOばめを介してイオンソースに直接結合された金属ガス供給ラインを介して、イオンソースに供給される。これらのガスを利用するため、本発明のイオンソースの実施形態は、同様に、イオン化チャンバの内部に結合され、ガス分配システムに接続されるガスばめを有する。
【0080】
イオン化チャンバ:イオン化チャンバは、ソースに供給される中性ガスまたは蒸気が電子衝撃によってイオン化される領域を規定する。
【0081】
ある特定の好適な実施形態において、イオン化チャンバは、高コンダクタンス蒸発器バルブ(単数または複数)と、熱伝導性のあるガスケットを介して熱的または機械的に密接に接触している。高コンダクタンス蒸発器バルブは、同様に、蒸発器と、熱伝導性のあるガスケットを介して熱的に密接に接触している。これによって、イオン化チャンバの温度制御が、蒸発気との熱的な接触を介して提供されて、イオン化チャンバにおいて生成される熱が、チャンバの壁の温度を、デカボランまたは他の低温で蒸発する物質またはガスが分解され、解離し得る温度まで上昇させることを防ぐ。
【0082】
他の実施形態において、イオン化チャンバは、取り外し可能な部品(有用なことに、一部の例においては、通常、消耗品と置き換えられる)として、温度が制御された本体、例えば、従来の水冷媒体を有するか、または、1つ以上の電熱冷却器によって冷却される、温度が制御された固体金属ヒートシンクとの良好な熱伝導関係を維持する。
【0083】
後付けによる取り付けに適する好ましい実施形態におけるイオン化チャンバは、イオン化封入物、引き出し機能、目標の注入器が後付けされる性能と両立するイオン光学性能を提供するように、寸法が取られ、構成される。
【0084】
好適な実施形態において、イオン化チャンバは、矩形の形状をし、1片の機械加工されたアルミニウム、モリブデヌム、グラファイト、シリコンカーバイド、または、他の適切な熱伝導性のある物質である。ここで示される設計では、イオン化チャンバと流体伝送媒体とが接触しないので、ある例においては、イオン化チャンバおよび引き出し口は、容易に機械加工されるコストの低いグラファイト、またはシリコンカーバイドから独自に形成される。いずれも、遷移金属が注入の不純物となるおそれはない。同様に、低温(融点より下)の動作については、アルミニウム構成が有用に採用され得る。機械加工されたグラファイトまたはシリコンカーバイドの廃棄可能、かつ取替え可能なイオン化チャンバは、特に、本発明の特徴である。
【0085】
ある好適な実施形態におけるイオン化チャンバは、おおよそ、高さ7.5cm、幅5cm、深さ5cmであり、市販されているBernasアーク放電イオン化チャンバのサイズおよび形状に近似する。チャンバの壁の厚さは、約1cmである。従って、イオン化チャンバの外観は、中空の長方形の5つの辺を有する箱である。6つ目の辺は、引き出し口によって占められている。開口部は、Bernasアーク放電イオンソースの引き出し口と同様に延ばされ得、イオン引き出し光学系に対して適切な位置に位置し得る。イオン化チャンバに供給されるガスの適切な流量は、イオン化チャンバ内において、適切な供給ガス圧を維持するために充分になるように制御される。デカボランをはじめとするほとんどの材料について、イオン化チャンバ内の圧力は、0.5mTorrから5mTorrの間である場合、上記のシステムのイオン化効率は良好になる。ソースハウジング内の圧力は、イオン化チャンバ内の圧力に依存する。0.5mTorrまたは5mTorrのイオン化チャンバ圧力で、ソースハウジングに取り付けられるイオン計は、典型的には、市販のイオン注入器においてソースの圧力を監視するために用いられるが、それぞれ、約1×10−5Torrおよび1×10−4Torrと読まれる。この圧力を保つことを必要とする、蒸発器からの流量またはイオン化チャンバへのガス供給は、約1sccm〜10sccm(1分あたり標準体積(立方センチメートル))である。
【0086】
電子銃:イオン化チャンバ中のガスをイオン化するために、広範囲にわたり(broad)かつ概して平行のビームの電子銃(例えば、以下に示す例示的な図に示すような電子銃)を用いて、エネルギーが制御されかつ概して均一に分布した状態の電子をイオン化チャンバ中に導入する。本発明の一実施形態において、イオン化チャンバの一端に隣接しかつチャンバの外部となる場所に大電流電子銃を取り付けて、これにより、第一次エネルギー性(energetic)電子からなる有向ストリームを、開ポートを通じてイオン化チャンバ中に注入する。この際、注入方向は、矩形チャンバの長軸に沿って、細長いイオン抽出アパーチャに平行かつ隣接した方向において、行う。本発明の好適な実施形態において、第一次電子による分子のイオン化を行うための所望の電子エネルギーに等しい電圧を用いて、電子銃のカソードを、イオン化チャンバの電位よりも低い電位に保持する。イオン化チャンバの対向する壁部にそれぞれある2つのポートを提供して、電子ビームを通過させる。一方のポートは、上述したようなビームの入り口となるものであり、第2のポートは、イオン化チャンバからのビームの出口となるものである。電子ビームは、イオン化チャンバから出て行くと、イオン化チャンバのすぐ外側に配置されたビームダンプによって傍受される。このビームダンプは、電子入口ポイントとアライメントがとられ、好適には、イオン化チャンバの電位よりも幾分正方向の電位において保持される。この電子ビームのエネルギーおよび電流は、各範囲にわたって制御可能な様態で変化させることが可能であり、これにより、イオン化チャンバ中に導入される様々な供給物質と、エンドユーザのイオン注入プロセスに必要な特定のイオン電流とにおける特定のイオン化要件に対応する。
【0087】
特定の実施形態において、電子銃によって20eV〜500eVの範囲でプログラム可能な電子ビームエネルギーが得られるように、当該電子銃を構築する。
【0088】
このエネルギー範囲内の最低ビームエネルギーは、特定のイオン化閾値エネルギーを下回るガスまたは蒸気を選択的にイオン化する条件に適応し、これにより、中性(neutral)ガス化学種から生成される最終生成物イオンの種類を限定する。その一例として、B、B、または(用いられる電子衝撃エネルギーが高い場合にデカボランクラッキングパターン中に含まれる場合の多い他の低いオーダーのボランが著しく生成されることのない)B10イオンの生成がある。
【0089】
電子銃のエネルギー範囲内のビームエネルギーを高くして、荷電量が数倍になった(multiply−charged)イオン(例えば、AsH供給ガスからのAs++)の形成に対応する。半導体製造において用いられる様々な供給ガスからのイオン生成(例えば、デカボランからのB10の生成)のほとんどの場合、50eV〜150eVの電子ビームエネルギーを用いると良い結果が得られる。
【0090】
好適な実施形態において、電子銃の構成を、0.1mA〜500mAの注入電子ビーム電流範囲にわたって電子ビーム電流を選択することができるような構成にして、これにより、イオンソースから抽出されたイオン電流を注入要求に従って判定する。電子電流の制御は、閉ループ電子銃コントローラによって達成される。この閉ループ電子銃コントローラは、電子エミッタの温度および電子銃の抽出電位を調節して、所望の電子電流設定ポイントを維持する。電子エミッタまたはカソードは、熱電子放出によって電子を放出するため、高温においても動作する。カソードの加熱は、(カソード材料中に電流を通すことによって)直接的に行ってもよいし、または間接的に行っても良い。カソード加熱をカソードの下側に保持された熱フィラメントからの電子ボンバードメントによって行う方法は、当該分野において頻繁に行われている間接的な加熱技術である。カソードの構成成分を挙げると、タングステン、タンタル、6ホウ化ランタン(LaB)、または他の耐熱性の導電性材料がある。LaBを用いると、タングステンまたはタンタルの場合よりも低温において豊富な電子流を放出するという特定の利点が得られることが認識されている。以下にさらに説明するように、イオン化チャンバから熱分離された電子ビーム銃の好適な個別取り付けは、イオン化チャンバの冷却状態を保持する際、有利な要素である。
【0091】
先ず、以下に説明する第1の2つの実施形態において、冷却されたサポート上のイオン化チャンバに近接して取り付けられたカソードを有する電子ビーム銃を示す。この電子ビーム銃はチャンバ中に直接放出を行う。
【0092】
特定の実施形態において、細長く設計された電子銃(すなわち、ビームが横断するイオン化チャンバの長さよりも長いことの多い電子銃)を用いると、さらなる利点が得られる。その結果、銃の加熱されたカソードを、イオン化チャンバから大分離れた場所に配置して、イオン化チャンバから完全に熱絶縁することが可能となり、また、小型で高効率のカソードを電子望遠光学部品と共に用いて、所望の広範囲の電子ビームを達成し、ビーム断面(プロファイル)にわたって所望の電子密度を達成することが可能となる。ズームレンズを用いると、イオン化チャンバを横断する電子ビームの断面変化を選択されたアパーチャおよびビーム電流のサイズに整合させることが可能となるため、有利である。
【0093】
空間効率の良い有利な設計において、細長い電子銃を、イオンビームの抽出方向に対して平行に取り付けて、カソードをイオンソースの取り付けフランジの近隣またはさらにはその外側に配置し、カソードの他方の端部においてカソードを電子ビームミラーと関連付ける。この電子ビームミラーは、ビームを屈折させて、イオン化チャンバを横断させるものである。
【0094】
注入器の新規な設計では、空間に関する事前規定された制約がそれほど無く、上述した細長い電子ビーム銃は、比較的小さなエミッタ面と関連付けられたズームレンズとを備え、イオン化チャンバを横断する電子の方向と並んだ状態で構成することが可能であるため、屈折用ミラーは不要である。
【0095】
電流が高い場合の設計において、イオン化チャンバの横断方向とのアライメントがとられた加速−減速システムを用いると、複数の点において有利であり、イオン化チャンバを通過する電子フローを最大化させるために加速−減速システムを用いる場合、特に有利である。
【0096】
しかし、生成された電子ビームには、大きな断面エリアがある(すなわち、この電子ビームは、イオン化チャンバから自身とアライメントがとられたビームダンプへと横断するため、概して広範囲にわたる平行なビームである)。好適な実施形態において、イオン化チャンバ内の電子ビームは、概して矩形の断面(例えば、一実施形態におけるイオン化チャンバに注入されるときの断面は、およそ13mm×6mm)であり、これにより、高電流機器の比較的広い抽出アパーチャと整合するか、または、その矩形断面は、より細長いイオン抽出アパーチャと組み合わされて用いられる正方形の断面プロファイルをしている。直接注入の場合、電子光学部品の形状(例えば、電子銃のグリッドアパーチャおよびアノードアパーチャ。これらの電子銃は、例えば、どちらとも13mm×6mmであってもよい)によっても、または、カソードまたは電子エミッタの形状(これは、記載の第1の実施例の場合、グリッドおよびアノードアパーチャよりも幾分大きく、およそ15mm×9mmである)によっても、注入される電子ビームの形状を決定することが可能である。概して矩形の電子ビームプロファイルを生成することによって得られる利点としては、イオンソースから抽出された従来から所望されてきたイオンビームプロファイル(これもやはり矩形である)と整合する点がある。イオンビームの抽出元となる矩形の出口アパーチャは、多くの大電流注入器において高さがおよそ50mmであり、幅は3.5mmである;このような場合、電子ビーム(およびよって電子衝撃によって生成された電子ビーム)は、イオン化チャンバ内のおよそ64mm×13mmの出口アパーチャに対してプロファイルを提示することができる。エンドユーザにとって必要な場合、大きな出口アパーチャを用いて、より高い抽出電流を得ることができる。
【0097】
上述したように、好ましくは、イオン化チャンバの壁部において、従来から用いられているBernasイオンソースから出て行く電子ビームのために、電子入口ポートおよびアライメントがとられた電子出口ポートをどちらとも設ける。Bernasイオンソースにおいて、エネルギー性電子がエミッタによって生成され、典型的にはイオン化チャンバの内部に配置される。これらのエネルギー性電子は、チャンバ壁部に衝突して、「アーク放電」の基礎を形成する。その結果、イオン化チャンバ壁部の温度上昇の原因となる熱負荷が実質的に得られる。本発明では、イオン化電子(すなわち、エネルギー性電子または「第一次」電子)をイオン化チャンバから規定されたビームダンプへと送り、その際、ほとんどのチャンバ壁部は実質的に遮断されない。「第二次」電子(すなわち、供給ガスのイオン化によって生成される低エネルギー電子)は、イオン化チャンバのほとんどの壁部に到達することができるが、これらの「第二次」電子は低エネルギーの電子であるため、壁部への熱負荷は多くは得られない。このような第一次電子を通過横断させる機能によって、イオン化チャンバに導電性を持たせつつイオン化チャンバを冷却することが(例えば、蒸発器によってまたはイオン化チャンバが実質的に熱接触した状態で取り付けられた冷却ブロックによって)可能となり、その際、当該蒸発器または当該ブロックの温度コントローラには、大きな熱負荷を与えなくても良い。電子銃およびエネルギー性電子ビームによって生成される熱を避けるために、電子銃および電子ビームダンプを、熱絶縁された様式で取り付ける(電子銃および電子ビームダンプのいずれかまたは両方を、冷却された取り付けフレームの各水冷却部分上に取り付けるのが好ましい)。このフレームは、(例えば、高抵抗によって)動的に冷却された脱イオン化水であり、市販のイオン注入器において利用可能であることが多い。
【0098】
冷却された取り付けフレームおよびビームダンプ:冷却された取り付けフレームは、例えば、水冷却されたシート金属アセンブリであり、この上には、電子銃および電子ビームダンプを取り付けることが可能である。このフレームは2つの別個の機械的部分からなり、これにより、電子銃およびビームダンプに個別にバイアスをかけることが可能となる。これらの2つのコンポーネントをこのフレームに取り付けることにより、イオン化チャンバに対する熱負荷を実質的に無くすことが可能となる。このフレームにより、上記のようにして取り付けられたコンポーネントのための機械的枠組が得られ、さらには、このフレームおよび取り付けられたコンポーネントを電気絶縁碍子(standoff)上のイオンソースアセンブリへ取り付けることにより、これらをイオン化チャンバおよび蒸発器の電位と異なる電位に保持することも可能である。
【0099】
以下に説明する実施形態において、ビームダンプを別個に規定および絶縁する。好適には、ビームダンプをイオン化チャンバと直接接触しないようにして、イオン化チャンバ中の出口ポートを通る電子ビームをビームダンプによって傍受すると好ましい。ビームダンプの電位は、チャンバの壁部の電位よりも正の状態で維持することが容易に可能であり、これにより、第一次電子がビームダンプに与える衝撃によって解放される第二次電子を全て保持する。ビームダンプ電流の検出を、制御システムにおける用途および診断用途に用いることも可能である。また、多モードのイオンソースの場合、電気絶縁を行うことにより、ダンプ構造にかかる電圧を選択的に負にさせて、電子リペラー(対陰極)機能を行わせてもよい。以下、この点について説明する。
【0100】
しかし、別の構成において、別個に規定されたビームダンプを出口ポートと物理的に接触させることも可能であり、このような物理的接触は、(例えば、別個の素子を点接触させることにより)冷却されたビームダンプと出口ポートとの間の熱伝導を弱くするような様式で行われる。やはり熱伝導特性を有する電気絶縁を設けて、電圧差を維持しつつ、イオン化チャンバの壁部の大部分が加熱されるのを防ぐことが可能である。この実施形態によって得られる1つの利点は、イオン化チャンバからのソースガスの伝導が小さいため、ガスの使用量が少ないという点である。
【0101】
電子ビーム軸と中央チャンバ軸との間の非対称関係を用いることにより、イオン化チャンバからのイオンの抽出を容易化し、これにより、抽出アパーチャにより近接したイオン化サイトを見付ける。抽出されるイオンの通り道となるアパーチャプレート上にかかる電圧を残りのチャンバ壁部の電圧よりも低くした状態を維持することにより、イオンを抽出経路に引き寄せる。
【0102】
上述したようなデカボランの際に用いられるモード(例えば、BF供給ガスを用いたモード)と異なるモードにおいてイオンソースを用いる場合、「リフレックスジオメトリ」において電子ビームダンプにバイアスをかけて、イオン化チャンバに対して負の電位(例えば、カソード電位の電圧に近い電圧)にし、これにより、電子銃が放射した第一次電子をイオン化チャンバおよびカソード中に再度反射させ、その後再度反射させる(すなわち、このモードでは、ダンプ構造をビームダンプとしてではなく「リペラー」または対カソードとして機能させる)。イオンソースの外部にある一対の磁気コイルを用いて電子ビームの方向に沿って軸方向の磁界を確立して、カソードとビームダンプとの間を交互に反射する第一次電子ビームを閉じ込めることも可能である。この特長により、特定の所望のイオン生成物(例えば、BF供給ガスからのB)の生成効率を向上させることのできるイオンをある程度閉じ込めることも可能である。このようなリフレックスモードによる動作は、それ自体が当業者に公知であるが、本明細書では、このリフレックスモードによる動作を独自の多モードイオンソースの設計において達成しており、このような設計により、例えばデカボランイオンを効率的に生成することが可能である。
【0103】
新規な多モードイオンソースは、電子銃を備える。この電子銃は、上述したような目的のためのものであり、ソースハウジングおよびソースハウジングに収容されたイオン化チャンバと関連付けられた磁気コイル内において磁気コイルと同軸に配置される。
【0104】
(好適な実施形態の詳細な説明)
図3は、イオン源1の実施形態を略図で示す。蒸発器2は、環状の熱伝導性ガスケット4によって、蒸発器バルブ3に取り付けられる。蒸発器バルブ3は、同様に、取り付けフランジ7に取付けられる。この取り付けフランジ7は、さらなる環状の熱伝導性ガスケット6および6Aによって、イオン化チャンバ本体5に取り付けられる。これにより、熱伝導性エレメントを介する密接な関係によって、蒸発器、蒸発器バルブ、およびイオン化チャンバ本体5の間の有効な熱伝導が保証される。イオン化チャンバ5に取り付けられる取り付けフランジ7は、例えば、イオン源1をイオン注入器の真空ハウジング(図8を参照)に取り付けることを可能にし、イオン源に動力を供給するための電気的フィードスルー(図示せず)と、冷却のための水冷フィードスルー8および9とを含む。好適な実施形態において、水フィードスルー8および9は、冷却された取り付けフレーム10の中に水を循環させて、取り付けフレーム10を冷却させ、これにより、取り付け構成要素、電子ビームダンプ11、および電子銃12が冷却される。出口アパーチャプレート13は、金属ねじ(図示せず)によってイオン化チャンバ本体5の表面に取り付けられる。イオンの出口アパーチャプレート13のイオン化チャンバ本体5への熱伝導は、金属の伝導性環状シール14または熱伝導性ポリマーによって支援される。
【0105】
蒸発器バルブ3が開いた状態にある場合、蒸発器2からの蒸発したガスは、蒸発器バルブ3を通って入口チャネル15、そしてイオン化チャンバ16のオープン封入物(open volume)へと流れ得る。これらのガスは、電子銃12から電子ビームダンプ11へと搬送される電子ビームとの相互作用によってイオン化される。オープン封入物内で生成されるイオンは、出口アパーチャ37からイオン源を出ることができ、ここで、イオン注入器のイオンオプティクスによって収集かつ搬送される。
【0106】
蒸発器2の本体は、機械加工されたアルミニウムからなり、デカボラン19などの固体供給材料を含むるつぼ18を囲むウォーターバス17を収容する。ウォーターバス17は、抵抗加熱プレート20によって加熱され、熱交換器コイル21によって冷却されて、ウォーターバスを所望の温度に保持する。熱交換器コイル21は、水入口22および水出口23によって提供される脱イオン化水によって冷却される。加熱エレメントと冷却エレメントとの間の温度差は、水の対流混合(convective mixing)を提供し、磁気パドル攪拌器24は、蒸発器が動作中、ウォーターバス17を継続的に攪拌する。熱電対25は、るつぼ18の温度を継続的に監視して、PID蒸発器温度コントローラ(図示せず)に温度リードバックを提供する。イオン化チャンバ本体5は、アルミニウム、グラファイト、炭化珪素、またはモリブデンからなり、熱伝導によって蒸発器2の温度の付近で動作する。イオン源は、低温で蒸発する固体に加えて、ガスフィード26を通してガスを受け取り得、このガスフィード26は、入口チャネル27によってイオン化チャンバ16のオープン封入物に直接供給する。半導体のイオン注入のために、チャネル27によって提供される供給ガスは、AsH、PH、SbF、BF、CO、Ar、N、SiF、およびGeFを含み、重要な利点を提供する下記のGeH、SiH、およびBを含む。ガスフィード26を使用して供給ガスをインプットする場合、蒸発器バルブ3は閉鎖される。これらのガスが多数である場合、本発明の直線状の電子ビームによるイオン化は、中程度の量から少量(mid−to−low)のイオン電流を生成し、このイオン電流は、中程度の量から少量の分量の注入に有用である。より高い分量に関して、磁場を有する反射ジオメトリにモードを切り換えることが可能な実施形態が使用され得る。
【0107】
図3の蒸発器2または説明されるべき図3Aの蒸発器は、蒸発器バルブ3を閉鎖し、シール6(分割線D)においてユニットを取り除くことにより、イオン源1から取り外され得る。図3Bおよび図3Cを比較されたい。これは、るつぼ18内の固体供給材料を再注入するため、および、メンテナンス活動のために有用である。
【0108】
図3Dの実施形態において、2つのバルブ3および3aが連続して設けられ、バルブ3は、上記のように、取り除くことが可能な蒸発器28と持続的に関連し、バルブ3Aは、取り付けフランジ7と持続的に関連し、これらの2つのバルブの間に取り外し面Dが配置される。
【0109】
図3Aに示されるイオン源の実施形態において、蒸発器28のデザインは図3のデザインと異なり、イオン源の残りの部分は図3と同じである。蒸発器28において、ウォーターバスも水が供給される(water−fed)熱交換器もない。代わりに、図3のウォーターバス17によって占有される封入物は、蒸発器28の機械加工されたアルミニウム本体29によって占有される。抵抗加熱プレート20が蒸発器本体29と直接的に熱接触(thermal contact)して、本体29を伝導的に加熱する。熱電(TE)冷却器30が蒸発器本体29と直接的に熱接触して、伝導性による冷却を提供する。熱絶縁されたスリーブ31が蒸発器28を囲んで、蒸発器を周囲の温度から熱絶縁させる。所望であれば、いくつかの加熱プレート20およびTE冷却器30を蒸発器本体29内で分配して、より多くの伝導性加熱および冷却を行う動力が提供され得、かつ、より空間的に均一の温度がるつぼに提供され得る。この構成によって、蒸発器が、100度以上(最高約200度まで)の温度で動作することが可能になる。
【0110】
図3Bは、一連の蒸発器28、隔離バルブ3、およびイオン源1の連続的な取り付けフランジの大きさを増加させて、分離のために各フランジにアクセスすることを可能にする実施形態を示す。取り付けフランジ70は、組み立てられたイオン源をイオン源ハウジングへとボルト締めすることを可能にする(例えば、図8を参照)。取り付けフランジ7aは、分割線Dにおいて、蒸発器28およびそれに関連するバルブ3をフランジ7に取り付けることを可能にし、かつ、分離することを可能にする(図3Cを参照)。取り付けフランジ7bは、蒸発器の本体からバルブ3を分離して、蒸発器のメンテナンスおよび再注入を行うことを可能にする。
【0111】
図3Dの実施形態は、2つのバルブ3および3Aを有する。バルブ3は通常、蒸発器に取り付けられたままであり、バルブ3aは通常、イオン源取り付けフランジ7に取り付けられる。これらのバルブによって、分割線Dにおいて蒸発器を取り外す前に、蒸発器28およびイオン源1の両方を隔離することが可能になる。片方のバルブ3aの本体は、バルブ92によってラフニングコンジット91に接続されたラフニング通路90を含み、このラフニング通路90によって、バルブ間の空間が真空にされ、バルブ3を開放する際、このラフニング通路90によって、バルブ3aを開放する前に蒸発器が真空にされ得る。従って、蒸発器28の取り付けは、イオン源およびビームラインにおいて維持される真空に不利に影響する必要はない。
【0112】
通気管路93およびそれに関連するバルブ94は、メンテナンスを行う前に蒸発器内の真空の緩和を可能にし、再注入の後に蒸発器の排気かつガス放出を行って、蒸発器を使用する状態に整えるために用いられ得る。
【0113】
図3Eの実施形態は、上記の機能を有する蒸発器の二重構成を示す。金属ブロックヒートシンク5a内の蒸気通路15は、取り付けフランジ7の近傍で枝分かれし、分岐路15’は、それぞれの取り外し可能な蒸発器VAP1およびVAP2につながり、それぞれの蒸発器は、分割線Dにおいて分離可能な2つの分離バルブを有する。図9Bに関してより詳細に説明されるように、イオン化チャンバ本体5bは、個別に構築されたものであり、熱伝達の密接な関係として、温度制御された取り付けブロック5aに取り外し可能に取り付けられる。
【0114】
個別の冷却液通路66および67は、いわゆる噴出チューブを入れ子式に受け取り、この噴出チューブは、通路の終端に冷却された脱イオン化された水を中心的に伝導する。出現する冷却された水は、この時点で最大の効果を有し、取り付けブロック5aおよび冷却されたフレーム10のそれぞれの外側の領域において、この水は、噴出チューブの外部とチューブがある通路との間として規定される環状の空間を通って戻る。
【0115】
図3Fは、図3Aの蒸発器と同様の蒸発器を示すが、蒸発器の本体は、一体型のアルミニウム構成の代わりに、2つの、嵌合するが別個の構成要素(蒸発器ハウジング29およびるつぼ18)を有する。るつぼは、近接して機械的に適合して、ハウジング29内へと挿入される。るつぼと接触する蒸発器ハウジングの表面は、矩形の溝のパターンを含み、そのパターンの中に、加圧された(典型的には、減圧された)ガスが、ガス入口93を通って導入される。加圧されたガスは、るつぼ18と温度制御されたハウジング29との間に十分な熱伝導性を提供して、蒸発されるべきデカボランまたは他の固体供給材料19と接触するるつぼの表面65の温度を制御する。この実施形態によって、るつぼ18が、蒸発器の稼動中に簡単に置換されることが可能になる。ガスは、熱交換器21の周りの封入物にも供給されて、熱交換器21とハウジング29との間の熱伝導を促進する。熱交換器21は、水が供給されるコイルとして示されるが、代わりに、図3Aの冷却器30などのTE冷却器を含み得る。
【0116】
図4を参照すると、イオン源1の操作において、電子ビーム32が、カソード33から放出され、電子オプティクス34によって焦点を合わされて、分散された(好適に、かつ、概して、均一に分散された)電子を含む直線状の平行ビームが形成される。電子ビームは、イオンビームの軸方向の幅よりも、イオンビームの軸に垂直な幅がより広い。図4は、出口アパーチャプレート13が除去された状態のイオン源のジオメトリを示す。イオンビームの軸は、紙面から突き出る(図4Aを参照)。電子ビームとの中性ガスの相互作用によって生成されるイオンの分配は、概して、電子ビームの規定の外形に対応する。
【0117】
電子ビームは、イオン化チャンバ内の矩形の入口ポート35を通過し、イオン化チャンバ本体5内に規定されるオープン封入物16内の中性ガスと相互作用する。次いで、ビームは、イオン化チャンバ内の矩形の出口ポート36を直接通過し、ビームダンプ11によって遮断される。このビームダンプ11は、水によって冷却された取り付けフレーム10上に取り付けられる。ビームダンプ11は、電子銃に対して正電位に維持され、好適には、イオン化チャンバの壁に対してもわずかに正電位に維持される。熱いカソード33によって生成される熱負荷(heat load)と、電子ビーム32がビームダンプ11と衝突することにより生成される熱負荷とが実質的に大きいので、これらの熱負荷は、イオン化チャンバのオープン封入物16の外側に、中性ガスの分子およびイオンの解離を引き起こさないように配置される。これらのエレメントからイオン化チャンバへの唯一の熱負荷が適度な放射に限定されるため、イオン化チャンバは、蒸発器2(図3)への熱伝導によって有効に冷却され得るか、または、大規模な取り付けブロック5a(図3Eおよび図9B)への伝導によって有効に冷却され得る。従って、イオン化チャンバの全体の壁は、中性ガスの分子およびイオンの解離温度より下の温度に確実に維持され得る。デカボランに関して、この解離温度は、約350度である。プレート13内のイオン出口アパーチャ37(図4B、図5、および図6に示す)が、概して矩形のアパーチャであるため、概して均一に分散された電子の直線状の平行ビームによって、アパーチャの近傍で生成されたイオンの分配は、同様に均一であるべきである。デカボランおよび他の大きな分子のイオン化において、この実施形態によって、アークプラズマは維持されず、任意の主要な磁場閉じ込めによって封じ込めることなく、一次(エネルギー的に)電子による直接的な電子衝撃によるイオン化(direct electron−impact ionization)によって、ガスがイオン化される。このような磁場の欠如は、イオンと比較的冷たい二次電子との間の電荷交換(charge−exchange)の相互作用を制限する。なぜならば、イオンと比較的冷たい二次電子とが、アークプラズマ内にあるように強く拘束されていないからである(拘束された二次電子は、複数のイオン化を通して、対象となるイオンの減少を引き起こし得る)。デカボランイオンは、広範に分配された電子ビームパス内で生成される。これにより、当該分野で公知の他の従来のイオンソースと比較して、ローカルイオンの密度が減少される。
【0118】
磁場の欠如は、特に、低い(例えば、5keV)抽出エネルギーにおいて、抽出されたイオンビームの放射力を改善し得る。Bernasソースの場合のようなアークプラズマの欠如もまた、放射力を改善し得る。なぜならば、イオン化および抽出領域においてプラズマ電位が存在しないからである。(従来のプラズマベースのイオン源において、アークプラズマ電位の存在は、抽出される前のイオンに有効なランダムエネルギー成分を導入することが理解される。このランダムエネルギー成分は、抽出されたイオンビーム内の追加された角伝搬へと直接的に移動する。プラズマ電位φによる最大の角伝搬θは、θ=√2arcsin{φ/E}1/2によって表され、ここで、Eはビームエネルギーである。例えば、5eVのプラズマ電位および5keVのビームエネルギーに関して、θ=2.5degである。対照的に、直接的な電子衝撃によるイオン化によって生成されたイオンのランダムエネルギーは概して熱性であり、1eVよりはるかに少ない。)
図4Aは、イオン化チャンバ本体5のオープン封入物16内の電子出口ポート36と、その近傍にあるアパーチャプレート13内のイオン出口アパーチャ37との平面図を示す。イオン出口アパーチャ37を通って、イオン源1の外側にある静電抽出フィールド(extraction field)を貫通させることによって、イオンがイオン化チャンバから取り除かれることを可能にするため、電子ビーム32および電子出口ポート36は、出口アパーチャプレート13およびそのアパーチャ37に近接して配置される。例えば、イオン化領域の端部とイオン化抽出アパーチャとの間の6mmから9mmの分離は、効率よくイオンを抽出し得、この効率は、抽出アパーチャの幅が大きいほど向上する。選択される特定のパラメータによって、広範な平行電子ビーム32は、分散のため、および、電子ビーム32内の空間電荷の力(space charge force)のために、その矩形の外形を完全に保持し得ない。このようなデザインの選択によって、電子出口ポート26の大きさを適切に調整して、イオン化チャンバ本体5の壁全体によって大幅に妨害されることなく、電子ビームを通過させることを可能にする。従って、特定の有利な場合において、ポート36はポート35より大きく、その結果、少なくとも残りの電子ビームのほとんどを受け取りかつ通過させるように配列される。
【0119】
図4Bの実施形態は、個別に規定されたビームダンプ11’を示す。このビームダンプ11’は、その内部の電子を受け取る表面が、チャンバ本体5の周囲の端壁の内面と同一表面上にあるように、ポート36’内に適合するような大きさを調整され、かつ、形づくられる。ビームダンプ11’は、上記のように、冷却されたフレーム10の上に取り付けられ、このフレーム10によって冷却される。図示のように、クリアランス空間c(例えば、1mm)が、ビームダンプ構造とチャンバの壁との間に維持される。好適には、図示のように、この構造は、ラビリンスLの場合のように協同して形づくられて、イオン化チャンバの壁からのダンプ構造11’の熱隔離および電気隔離を維持すると同時に、ドーパントガスまたは蒸気の流出を制限し、ドーパントガスまたは蒸気の減少を防止すると同時に、ビームダンプ11’の電気隔離を維持する。
【0120】
図4Cの実施形態において、電気絶縁Zが、ビームダンプとイオン化チャンバの壁との間の空間を充填し、ドーパントガスまたは蒸気の減少を防止すると同時に、ビームダンプ11’の電気隔離を維持する。
【0121】
図4Dおよび図4Eを参照して、熱電性または水冷式のアウターハウジングHは、熱伝導および導電性材料のチャンバ規定部材5cが動作するためにぴったりと適合されて(close operational fit)取り外し可能に挿入される空間を規定する。ガス入口Gは、減圧(例えば、0.5トール〜5トール)の導電ガスを導入する。この減圧は、イオン化チャンバアセンブリを含む全イオン源ハウジング49内の起動真空の圧力Vよりも著しく高い。導電ガス(例えば、N、Ar、またはHe)は、インターフェースが動作真空V(operational vacuum)に露出されず、蒸発器およびプロセスガスに供給ラインから隔離された領域のチャンバとハウジングの整合面との間のインターフェースIに導入される。好適な実施形態において、冷却ガスは、アルミニウム製ブロックまたは冷却ハウジングを通って供給され、取り外し可能なイオン化チャンバとブロックまたはハウジングとの間、つまり、これらのインターフェースにおいて出入りし、アルミニウム製のブロックに機械加工された冷却チャネルへと出て行く。冷却チャネルは(例えば、1mm幅で0.1mmの深さの)線形溝の形を有し、この溝は、2つの接合コンポーネント間の著しい割合の表面領域を占める。この構造は、2つのコンポーネントの平坦な接合面(別々のイオン化チャンバの溝付きアルミニウム面および平坦な面)が互いに面で結合することを可能にする。単純なエラストマ製のOリングは、冷却チャネル溝を含む表面領域を取り囲み、このインターフェース内のプロセスガスまたは蒸気が通るための貫通接続および通路を含む領域から冷却チャネルの範囲内に留められたガスが隔離され、さらに、イオン化されたボリュームおよび真空ハウジングから冷却ガスを隔離することを保証する。インターフェースにおけるこれらの表面間の間隔と導電ガス圧は、導電ガス分子の平均自由行路がインターフェースにおいて向かい合った表面部分の間隔とほぼ同じ程度か、これよりも少ないように関係付けられる。
【0122】
導電ガス分子は、熱運動によって、インターフェースを横断してチャンバ壁から周囲の冷却ハウジングエレメントに熱を伝導する。チャンバ本体の固形材料とアウターハウジングエレメントの固形材料との間の実際の物理的接触の任意の領域は、同様に、伝導により冷却を促進する。ここで述べられる冷却する導電ガスのモードは、対流ガスの流れとは関係がないが、ガス分子がインターフェースに存在するかどうかにのみ依存することに留意すべきである。従って、他の実施形態においては、動作真空Vへの漏出を伴うアセンブリの端部におけるインターフェースの露出は、例えばKingによる米国特許第4,261,762号において記載されるように、半導体ウェハの冷却工程を考慮したケースとしてのみ容認され得るが、いくつかの実施形態において、上述のように、インターフェースにおいてシールを形成して、ガスを取込むようにインターフェースにおいて封止することが好適であり得る。
【0123】
他の実施形態において、イオン化チャンバアセンブリの冷却ハウジング、またはイオン源の他の構造の類似の側壁エレメントは、本明細書中で説明されるように、マウンテンフレーム10を冷却する方法で水冷される。いくつかの実施形態において、イオン化チャンバへの熱負荷に依存して、熱伝導性ガスケットを包含およびチャンバの整合面とハウジングエレメントとの間の物理点接触の領域に起因する熱伝導は、所望の温度範囲にチャンバを保持するのに十分であり、説明された導電ガス冷却の機能は利用されない。
【0124】
ここで述べられた伝熱の関係は、注入機のイオン源および他の構造的コンポーネントにも一般的に適用可能であることがわかる。従って、例えば、ガスインターフェースを通る伝熱の2W/cmよりも少ない伝熱を必要とする動作条件のために、蒸発器の温度は、使い捨てのルツボからインターフェースにおけるガス伝導を介して周囲のエレメントに熱が伝導されることによって制御され得る。図4Eにおいて示されるように、同様に、電子銃の表面、電子ビームダンプ、マウンテンフレームおよびアパーチャプレートは、導電ガスインターフェースを介して、説明された熱電性または水冷式ハウジング等の温度制御エレメントへの導体として利用され得る。
【0125】
図4Fおよび図5は、イオン化チャンバを通る幅広い異なった大きさの平行電子ビームを示す。これらのビームのプロファイルは、図4Fおよび図5の各イオン化チャンバの広いアパーチャおよび比較的狭いアパーチャのプロファイルに適合する。
【0126】
図6は、紙の平面に垂直に向けられたイオンビームの軸を有するイオン出口アパーチャプレート13を示す。出口アパーチャプレートの寸法は、本体5内のイオン化チャンバの寸法と適合し、高さ約7.6cm×幅5.1cmである。出口アパーチャプレートは開口部37を含み、この開口部は約5.1cmの高さs×1.3cmの幅rで、高電流注入器に適切であり、この端部における強電場を低減する面取り38を有する。この開口部は19mmの幅gおよび6mmの深さp、114平方mmの横断面領域を有する幅広い平行電子ビームと適合する。図5の実施形態のアパーチャは、類似の特徴を有するが、例えば、4mmの幅rの非常に狭い幅を有し、これは6mmの幅gと6mmの深さpの電子ビームと適合する。
【0127】
図7は、カソード33または電子エミッタの形状を示す。好適な実施形態において、この形状はプレーナ放出面を規定し、この面の寸法は、およそ長さ15mm×9mm×厚さ3mmである。示されるように、この放出面は、これを通る電流の通過によって直接的に加熱され得るか、または間接的に加熱され得、電流は、リード線40を介してフィラメント39を通って流れ、このフィラメントを加熱して熱電子41を放出する。当該分野において公知のように、フィラメント39をカソード33の電位より低い数百ボルトの電圧にバイアスすることによって、熱電子41は、エネルギー電子衝撃によりカソード33を加熱する。
【0128】
図8は、レトロフィットボリューム60の中の、図3Aによるイオン源を、前に組込まれたイオン注入器のアセンブリを図示し、図8Aは完全なイオン注入器を図示する。
【0129】
この特定の実施形態において、注入器は、本来ベルナスイオン源(Bernas ion source)のために設計されており、このベルナスイオン源が除去され、空のボリューム60に図3Aのイオン源が組込まれ、そのフランジ7はイオン源ハウジングフランジにボルトで留められることを除いては厄介なことは何もない。抽出電極53は、そのもとの位置に留まり、新しいイオン源は、アーク放電ベルナス源を示したのと同じ領域においてそのアパーチャ37を提供する。電磁コイル54は、例えば、所望ならば反射モードで動作するために、またはビームダンプ11へと進む電子のために遮蔽場(containment field)を付与するために利用可能な状態に留まることが示される。
【0130】
図9において示されるように、通常のガス接続は、ガスボックス70の供給ラック76におけるソース1、2、3および4からのドーバントガスが、入口コンジット74を介して連絡され、コンジット72を介して高真空システム78に排出されることが可能になるように作られる。
【0131】
(長いEビーム銃のレトロフィットの実施形態)
図9を参照して、拡張されたEビーム銃は、イオン化チャンバと独自な関わりを持つ。銃はズーム光学素子を有し、以下のコンポーネントを含む。すなわち、拡張ハウジング79、貫通接続80、取付けフランジ81および81’、カソード82、抽出ステージ83、視準レンズ84、ズームレンズ85、および90度の鏡を含む旋回ステージ87を含む。
【0132】
長い銃のハウジング79は、イオン源から入来するイオンビームの放射の方向Aと平行する軸A’に沿い、前に組込まれた注入器イオン源のレトロフィット空間60内に存在する。ハウジングは、貫通端子80から延び、イオン源の取付けフランジ7の外部に常駐し、真空ポンプ58を通過して取付けフランジ81’および主要イオン源取付けフランジ7において終端する。電子ビーム光学素子は、イオン源ブロック5と並んで、イオン化ボリューム16の電子入口ポート35を有する記録保管室内のポイントへと続く。
【0133】
貫通接続は、カソードおよび銃の他のステージの電力線および制御線に対する適切なフィッティング、および冷却されるハウジングのための少なくともカソードの近傍における冷却水の入口および出口を含む。代替的実施形態において、銃ハウジングの特殊冷却は用いられない。図9において示されるように、カソードが離れていることは、イオン化チャンバ5がカソードによって加熱されないことを保証し、必要な冷却が水冷式取付けフランジ等に伝導することによって達成されるため、蒸発器による保護または作業人員は必要でない。
【0134】
著しい原価能率および寸法能率(size efficiency)よって、カソード82は、イオン化ボリューム16を通過するべき、位置合わせされた最も大きく広い電子ビームのプロファイルの寸法よりも比較的小さい。カソードは、好適には抵抗加熱されるか、または間接的に加熱された(図7と関連して、上述されたプレート33等の)プレーナカソードエミッタプレートであり、ランタンヘキサボリード(LaB)、またはタンタル等の耐熱金属、またはタングステンからなり、電子の概して均一な流れを高圧電子抽出ステージに放出する。
【0135】
図9Aにおいて示されるように、図9のイオン源は、前に組込まれたイオン注入器の空いたボリューム60に後から取付けられる。イオン源のコンパクトな性質および構成は、主熱源、すなわちカソードをイオン化チャンバ16から離して、その熱が脆弱なドーパント分子の分解に寄与しないように配置する。図9Aおよび図9Bの場合、イオン化チャンバからの熱は蒸発器に伝導され、その温度制御によって制御される。
【0136】
動作中、カソード82の領域における真空ポンプ58は、イオン化チャンバ16から電子入口ポート35を介して漏出したバックストリーミングガス(back−streaming gas)を遮断する。これは遠隔カソード82を汚染から守るという重要な利点を有し、カソードの寿命をかなり延長することを可能にする。これは化学的に活性な種からの劣化に対して特に敏感である好適なLaBカソードの使用を可能にするために特に重要な特徴である。
【0137】
(水冷式ブロックおよび取り外し可能イオン化チャンバ)
図9B(図3Eも参照)の実施形態において、イオン化ボリューム16’は取り外し可能な末端モジュール5bによって規定される。このモジュールには、固体取付けブロック5aの端部における導電性熱接触が熱伝導シール6’’を介して取付けられる。
【0138】
取り外し可能にするために、導電性シール6’’は金属ねじを介してブロック5aの接合面および取り外し可能な末端モジュール5bを通ってねじ締めされる。この構造は、イオン化チャンバ16’を規定する部材5bがブロック5aから除去され、新しい部材と置換される。これは使い捨て構造の利点である。この構造は、さらに、異なった冷却、およびいくつかの場合においては、前の実施形態よりもイオン化チャンバ16’の壁を効率的に冷却することを可能にする。取り外し可能な部材の構造について、(安価であり、イオンビーム中のウェハに移動される場合、モリブデン、タングステンまたは他の金属よりも、注入されたウェハを傷つけにくい)アルミニウムに加えて、イオン化チャンバ部材5bおよび出口アパーチャプレート13は、有利にも、グラファイトまたはSiCを含み、これは、イオン源からの伝搬が原因のウェハの金属汚染の可能性を全部取除く。さらに、グラファイトおよびSiCの取り外し可能なイオン化チャンバは、廉価で形成され得、従って、保守中に廃棄され得、一体構造よりも安く交換される。
【0139】
別の実施形態において、ブロック5aおよびチャンバ本体5bの温度を導電性で制御するために、これらは接合する平滑面を有する。ブロックの表面は、ブロック5aとチャンバ本体5bとの間に導電性冷却ガスが入ることを可能にする、機械加工された冷却チャネルを含み、従って、このガスは真空のもとで取り入れられ、上記の図4Dおよび図4Eの説明により、(対流ではない)熱伝導によって熱を伝達する。注入されているウェハを冷却する異なった状態に対して用いられる冷却技術は、Kingの米国特許第4,261,762号を参照されたい。この場合、蒸気およびガスの通路におけるガスケットは、アルゴン等の導電性伝熱ガスとイオン化されるべきガスまたは蒸気との混合を回避する。
【0140】
示されるように、ブロック図5aは、図3Eのブロック自体の熱制御システムと関連するか、または図9Bにおいて示されるように、ビームダンプ11が取付けられたフレーム10を冷却する冷却システム24と関連する水路24aによって冷却される。固体部材による熱伝導に基づくことによって、水がイオン化チャンバの壁と接触することが回避され、水に接触すると都合の悪い、機械加工されたか成形された低コストのグラファイト等の材料のイオン化チャンバを組立てることを独自の方法で可能にする。カソードの遠隔位置およびその熱効果は、これらの取付け機能と結合して、イオン化チャンバの所望の冷却動作を達成する。
【0141】
(有利なEビーム銃の特徴)
長いEビームの特に好適な実施形態の特徴は図10において示され、抽出ステージ83は図11において極めて詳細に示される。抽出ステージ83は、円筒形の構成であり、カソード82、フィールド形成格子電極100、ウェーネル電極101、シリンダレンズ102および陽極103を含む。カソード電位Vに関連して、格子電位Vは例えば、−2V<V<+4Vに保たれ、および陽極電位V1は約200〜1000ボルトで陽極に保たれ、抽出ステージの出口における所望の電子エネルギーに依存する。ウェーネルおよびシリンダ電位VおよびVは各々調整され、そのレンズの充填(filling of lenses)を制限する抽出ステージによって電子の軌道を生成し、抽出ステージの出力における電子の軌道のビーム角を制限する。基本的に、抽出ステージの目的は、直接的に加熱されたカソードまたは間接的に加熱されたカソードのエミッタ表面から熱電子学的に放出された電子を収集すること、著しく活性化された電子のビームを所望の通常のプロファイル、図10において示された下流に配置された望遠レンズシステムのための良質のオブジェクトを提供する電子の分布および視準の均一度を有するビームに提供することである。このような調整は、本来、低エネルギー陽電子のために開発された抽出ステージに関する図12において示される(I.J.Rosenberg,A.H.WeissおよびK.F.Canterらの「Physical Review Letters44」1980年1139ページを参照)。これは本発明の部分として幅広い電子ビームを形成するために改変および使用される。Rosenbergらによって記載される本来の抽出ステージは、基本的に、100%の陽電子伝送ステージであり、拡張された直径10mmの陽電子エミッタのために設計された。本Eビーム銃において、抽出ステージは、例えば0.5の係数分小さくされ、格子電極100のアパーチャの直径5mmを有する直径5mmのカソード電子エミッタに対応し、電極電位の符号は反転され、電子の抽出にとって適切な構造を作る。この目盛係数を用いて、電子抽出ステージは約27mmの長さであり、シリンダレンズの直径は17.5mmである。
【0142】
図11において、典型的な寸法は以下のようであり得る。
【0143】
d=5mm 1=1.3mm
=9.5mm 1=2.3mm
=17.5mm 1=4.8mm
=9.5mm 1=18mm
ここで、V=−20〜300または−500Vの任意の範囲でありイオン化チャンバの電位Vchに比例する。Vに比例して、その後、他の電圧値は、例えば、
−2V<V<4V
0V<V<500V
50V<V<500V
200V<V1<1000V
の範囲であり得る。
【0144】
電子抽出ステージの他の実施形態もまた可能である。一実施形態において、カソード82の出射面が前進してグリッド100と同一平面となる。グリッドアパーチャによって提供されるフィールド整形は採用されない。この場合、グリッド100はカソード82と同一の電位に保持される。抽出ステージの他の好適な実施形態は、ピアスジオメトリーを取り入れる。ピアスジオメトリーにおいて、グリッドアパーチャはカソードと同一平面であるが、グリッドの形状は円錐形であり、側面は22.5度傾斜している。これは円錐角135度に対応する(J.R.Pierce、Theory and Design of Electron Beams、第2版、Van Nostrand、New York、1954を参照のこと)。この電極形状は好適には、カソードの高密度の周囲において電子空間電荷の影響を打ち消す。
【0145】
この好適な実施形態において、直径5ミリの円形熱イオンカソードプレートが加熱されて、0.2cmの出射面積を有する面から約200mA/cmの平均電子流密度を出射し、抽出ステージに40mAの電子流を送る。抽出ステージは、後段のレンズ系への注入ステージとして作用する。レンズ系は、コリメートレンズ84とそれに続くズームレンズ85とを含む。好適な実施形態において、これらのレンズは、直径17.5mm(「D])の薄壁金属シリンダを含み、これらのシリンダは互いに0.10Dに等しいギャップにより分離されている。このように分離されたシリンダに異なる電位が印加されると、ギャップにおいて強力な焦点フィールドが発生し、レンズ効果を生成する。
【0146】
図10を参照すると、コリメートレンズ84は非対称アインツェルレンズである。すなわち、コリメートレンズ84は、電圧V1、V12およびV3で長さ2D、1Dおよび2Dを有する3つの同軸シリンダからなる。V1は、V3とは等しくない(したがってアインツェルレンズは「非対称」である)。概して、各アインツェルレンズの3つのエレメント(トリプレット)は、単一の「厚い」レンズとして作用する。コリメートアインツェルレンズ84の場合、V2>V1であり、レンズ84は加速レンズとして作用する。V12は、焦点距離を調整するように、したがってトリプレットの倍率を調整するように変更される。レンズ84はさらに、電子ビームによるシリンダの過剰充填を制限するように作用する。電子ビームによるシリンダの過剰充填は、収差およびビーム損失を生成し得る。上述したように、コリメートレンズ84は、適切なビーム特性で、下流のズームレンズ85に物体を提示する。適切なビーム特性とは、ズームレンズ85がコリメートされた可変エネルギービームを生成することを可能にするに適切なビーム特性である。コリメートされた可変エネルギービームは、90度ミラー87に入る。
【0147】
電子光学において、ズームレンズは、物体および像の位置を同一に維持しながら電子ビームのエネルギーを変化させるという機能を達成する。典型的なズームレンズは、それぞれ電圧v1、v12およびv2に保持された直列同心円状中空金属管からなる、3エレメントレンズである。典型的には、中央のエレメントが第1および第3のエレメントよりもエネルギーとえば図18のレンズ84を参照のこと)。この場合、v1は、入射エネルギーを確立し、v2は出射エネルギーを確立する。割合(加速のためにはv2/v1、減速のためにはv1/v2)は「ズーム率」と呼ばれる。v1およびv2がある与えられた値である場合、中央のエレメントの電圧値v12は、レンズの焦点距離(およびしたがって、それぞれ物体および像の位置であるPおよびQ)を維持するように選択される。エネルギープのズームレンズは、限定されたエネルギー範囲(「ズーム範囲」)に亘ってエネルギーである。本発明において好適に用いられ、図13に示す5エレメントズームレンズ85は、この概念の延長線上にある。さらなるレンズエレメントを追加することにより、この複合型レンズは、3エレメントレンズと比較して以下の拡張された性能を提供する。
【0148】
1)拡大されたズーム範囲、たとえば20:1で動作され得る。これに対して、3エレメントレンズの場合は5:1である。
【0149】
2)角倍率を変更し得、「無限焦点モード」、すなわち、レンズに入射する電子の軌道が出射する軌道と平行となるように電圧を調整することによって、動作し得る。すなわち、レンズ出口には実際の焦点は存在しない。
【0150】
3)「望遠鏡」レンズとして動作し得る。「望遠鏡」レンズは、PおよびQの十分規定された値で実像を生成するが、線形倍率は可変である。たとえば、AEL1がAEL2よりも強力な焦点レンズ(焦点距離が短い)であるとき、M>1であり、AEL2がより強力な焦点レンズであるとき、M<1である。
【0151】
4)5エレメントレンズは、可変線形および角倍率を提供し、同時にズーム制御、すなわち、エネルギーおよび倍率の両方の変更を可能にする。
【0152】
たとえば、図13A〜図13Dを参照する。図13A〜図13Dは、2つの3エレメントレンズAEL1およびAEL2が縦に並んだ状態の5エレメントズームレンズを示す。概して、電子ビームは、上述したように、ズームレンズに入射するときとズームレンズから出射するときでは異なるエネルギーを有する。さらに、いくつかの動作モードを図示する。図13Aは、無限焦点モードを示す。無限焦点モードでは、電子ビームは、無限遠像に対応して、レンズから出射するときに十分コリメートされている。このモードは、図9、図9Bおよび図10を参照して述べた90度ミラー87などの回転ステージに入射する前に、ビームをコリメートするために有利である。このモードはさらに、所望のエネルギーを有する十分にコリメートされたビームをイオン化チャンバに注入し、それによりビームを細長い抽出アパーチャに対して実質的に平行に維持するためにも有利である。図13Bは、均一な倍率でビームの焦点が像に合わされている場合を示す。このモードは、高度なコリメーションが不要であり、物体の位置でのビーム特性の保存が像の位置で望まれる場合に望ましい。たとえば、ズームレンズが主に電子ビームのエネルギーを修正するために用いられている際に物体のディメンションがイオン化チャンバ内のビームプロファイルのサイズに適している場合である。図13Cは、ビームの焦点が物体よりも小さい像に合わされている場合を示す。このモードは、電子ビーム内の空間電荷力を打ち消すことが望まれるときに、ミラーまたはイオン化チャンバに電子ビームを注入し、それによりビームの過剰な拡大を防止するのに適している。たとえば、ビームを減速するためにズーム作用を採用する場合である。このモードはさらに、狭いイオン抽出アパーチャと関連して、たとえば中間または小流イオンインプランタ内で、狭い断面を有する電子ビームを生成するためにも有利である。図13Dは、ビームの焦点が物体よりも大きい像に合わされている場合を示す。このモードは、イオン化封入物への注入前に電子ビームを拡大し、それにより、大電流イオンインプランタ内の広いイオン抽出アパーチャの場合のように、大きい断面を有するイオン化領域を提供するために有利である。
【0153】
入力コリメートレンズ84に関連して、レンズ系は、本発明にとって十分である範囲よりも広い範囲に亘って、線形および角倍率、エネルギー、像の位置の制御を行うことができる。
【0154】
ズームレンズ85は、縦に並んだ2つの非対称なアインツェルレンズを含む。これらは、図10に示すアインツェルレンズ104および106、および図13に示すAEL1およびAEL2である。ズームレンズ85は、5エレメントレンズであり、中央の(第3の)エレメントは長さ3Dで、縦に並んだアインツェルレンズの各々のエレメントとして作用する。図13は、AEL1に対する物体と像(像はAEL2に対する物体である)を示し、AEL1に対する物体と像とは、無限遠最終像という結果になり、コリメートされた電子の軌道を生成する。ズームレンズ85は、そのエレメントの電圧を、AEL1の第2の焦点とAEL2の第1の焦点とが重複するように設定することにより、無限焦点レンズとして動作することができる。このモードにおいて、ズームレンズ85は望遠鏡であり、レンズに入射する平行な電子の軌道はレンズから出射する際も平行である。しかしV2>V3>V4である場合、ズームレンズは好適には、広いエネルギー範囲に亘って電子を減速させ、なおかつ、電圧差、すなわちV23およびV34が適切に調整された場合にはその望遠鏡特性を維持し得る。図11に示すタイプのポジトロンレンズ構造は、T.N.Horsky、Ph.D.論文、Brandeis University Dept. of Physics、Semiconductor Surface Structure Determination via Low Energy Positron Diffraction: Cleavage Faces of CdSe、UMIPub#9010666、第3章、1988に示されている。図14は上記論文からのものであり、減速動作モードの一例を示す。このモードにおいて、レンズエレメントの電位Vは運動エネルギー単位、すなわち運動エネルギー=e|(V−Vc)|で表される。ポジトロンビームは、1keVでズームレンズに入射し、AEL1を出ると(すなわちレンズエレメントV3内で)75eVのビームエネルギーに減速した。プロットは、V34がポジトロン最終ビームエネルギーの関数としてどのように変化してコリメートされた出力を維持し、5eV〜250eVという最終ビームエネルギー範囲を達成したかを示す。プロットは、ここで提示した同様の電子ビームレンズ構造で獲得可能なプロットを示す。
【0155】
新規な本実施形態において、コリメート電子レンズ84は、ズームレンズ85に関連して調整されて、線形倍率および最終電子ビームエネルギーを変化させる。したがって、図10に示すレンズ系を用いて、可変エネルギー、可変直径電子ビームが生成され得る。この場合、膨大な電子生成が加速ジオメトリーによって増大し、他方、減速ステージを用いることにより、ドーパントフィード材料、たとえばデカボランとの相互作用に適した、より低い最終電子エネルギーが達成されるという利点がある。
【0156】
イオン化チャンバブロック5のイオン化封入物16に入射する前に、図10の銃によって生成された電子ビームは90度回転する。回転ステージ87は、様々な公知の形態であり得、たとえば、2つの関連する同軸部分シリンダ(すなわち、ラジアルシリンダ分析器)を、それぞれ電子光学軸を屈曲させる腕部の内側および外側として形成したものであり得る。湾曲した軸の内側に位置する部分シリンダは、湾曲した軸の外側に位置する部分シリンダよりも正側の電位に維持される。これらは協働して、公知の電子路屈曲技術にしたがってビームを90度回転する。
【0157】
2つの平坦なまたは円筒状に湾曲したプレートによって規定されたミラー(すなわち、平行プレートまたは円筒ミラー分析器)であって、その軸がズーム軸に対して45度傾き、その結果、ミラーの出口で90度偏向するミラーもまた、改造封入物内のより小さい空間を占めるように用いられ得る。しかし現行では、上記のラジアルシリンダ分析器が採用されることが好適である。これにより、ビームが2次元的に変形してイオン化チャンバ5のイオン化空間16内の新しい路への通過が達成され、それにより高透過率を有する予め確立されたビームプロファイルが保存されるという利点が得られる。
【0158】
回転後、ビームは制限アパーチャ10’を通過する。制限アパーチャ10’は、好適には矩形であり、ビームは、電子の流入口35を介してイオン化チャンバ5に入る。制限アパーチャ10’は、イオン抽出アパーチャを置き換えることと連動して置換可能であるように構成されている。典型的には、イオン抽出アパーチャが広ければ広いほど、それに対応する選択された電子制限アパーチャ10’の寸法も大きい。
【0159】
空間電荷力は、低電子エネルギーで回転ミラーと共に動作して、電子ビームの制御に影響を与え得る。本発明によるとさらに、90度回転ミラーを有する、長いEビーム銃を用いる2つの異なるモードが提供される。これらの2つのモードが、空間電荷力による電子ビームの制御に対する影響をうまく処理する。
【0160】
Eビームモード1:ズーム系の減速性能が、前段のコリメートレンズの加速性能と共に用いられて、動作の加速−減速モードを提供する。たとえば、レンズ電圧は、系が、たとえばズーム系への入口での1keVから出口での100eVまでズームダウンするように調節される。ビームは減速により拡大するため、ビームの一部の電子は、ミラー内で失われ得る。しかし、これは、イオン化封入物16への小電流低エネルギー注入が望まれる場合には、容易に受け入れ可能である。たとえば、系は100eV以上のエネルギーにおいて5mA未満の電流で動作可能である。電子の最終エネルギーが上昇すると、電子流が増加する。この場合の電子ビームは、十分コリメートされ得、比較的小さい面積を有するビームダンプと整合され得る。
【0161】
Eビームモード2:この場合、電子は、Eビーム銃およびミラーに亘って高エネルギーで移送される。減速ステージ88は、ミラーの出口アパーチャとイオン化封入物16の入口との間に挟まれている。ビームは高エネルギーでコリメートされるため、電子光学部品は、有害な空間電荷の影響なく動作し、ミラーにサイズを合わされた十分にコリメートされたビームを送達する。
【0162】
ビームは、ミラーに続いてイオン化チャンバに入ると、突然減速する。電子の軌道が、次第に広がる円錐形状の封入物に閉じ込められるのに伴って、ビームは拡大する。この場合、たとえば20mA以上の電子流が得られ得る。電子の軌道は概して直線のままである。したがってビームが拡大すると、ビームは、モード1におけるよりも大きな面積のビームダンプ11によって遮られ得る。この場合、アパーチャのより近傍を通過するように広がる電子の軌道が、イオン化路に沿って、アパーチャからさらに広がる電子によってある程度オフセットされる。したがって、アパーチャに沿って取り出されたすべてのイオンが、アパーチャの長さ方向に沿って、受容不能なレベルまで密度を変化させる必要はない。この動作モードではビームダンプ面積が大きい(ビームダンプがイオン化チャンバの壁近傍にあるために気体の伝導が制限される)が、ビームダンプのサイズはそれでも、ある程度広がる電子路に整合するように決定される。その結果、ミラーからのEビームの実質的にすべての電子が、冷却されたビームダンプによって遮られる。
【0163】
細長い電子銃が、軸が整合した状態で、チャンバを通るイオン化路に取り付けられた(ミラーは採用されない)場合、ビームのミラー損失が回避され得、モード1におけると同様に生成されたコリメートされた電子ビームは、イオン化チャンバを介して、より大きな電子流に維持され得る。
【0164】
このような系の動作は、図4Dおよび図5に示すような異なる状況でイオンビームを生成するのに適した動作条件下で多くの利点を有する。系は、ビームダンプと整合する、異なるサイズプロファイルを有する大面積のビームを生成し得る。さらに、広範囲な好適な動作、たとえば15対1というズーム率に亘って、それぞれ異なる状況に適した異なる電子密度を生成し得る。比較的小さいカソードを用いることにより、価格効率、空間効率、および熱的利点が特に得られ、他方では、比較的広く且つエネルギー制御されたビームが達成される。系は、まず約20〜150eVの電子ビームエネルギーにおいてデカボランに対して有用であり、さらに多くの重要または新規な他の種に対しても有用である。たとえば300または500eVまでの異なるエネルギー領域によって、系が、すべての種(小さいが高度に純粋なビームのためのフッ素を含む)に対して広く且つ整合した電子ビームモードで動作することが可能になり得る。特別に構築されたマルチモードイオン化系においては、系は、閉じ込め磁界を用いて、いくつかの種(たとえば水素化物およびフッ化物)に対しては緩和イオン化モードに切り換えられ得る。系はさらに、二価に荷電された燐またはヒ素および三価に荷電された種を生成するように動作され得る。
【0165】
(大電流応用での電子注入)
いくつかのイオンインプラント応用においては、技術的に可能な最大イオン流に近づくイオン流を得ることが望まれる。これは、イオン化チャンバを横切る電子ビーム流の値に大きく依存する。なぜなら、生成されるイオン流は、この電子流の値にほぼ比例するからである。イオン化チャンバに注入される電子流は、電子銃光学部品およびイオン化チャンバ内の電子の軌道に作用する空間電荷力の影響によって制限される。空間電荷の制限内では、これらの力は、レンズによって生成される精密に焦点を合わされたビームのくびれの幅を増加させ得、さらに、くびれから下流に広がる際に、増加した角度の広がりをビームに導入し得る。
【0166】
直径Dおよび長さLを有する管内を移送され得る最大電子流は、ラジアンで表された角度α=D/Lで管の中央の点にビームの焦点を合わせることにより生成され得るという原理が関係するということをここに記しておく。このような場合、最大流は、
(1)Imax=0.0385V3/2α
によって与えられる。
【0167】
ここで、Imaxは、mAで測定された電子流であり、Vはボルトでの電圧であり、エネルギーE=eVの電子に対応する。E=eVにおいて、eは、電子電荷である。さらにこの例において、最小くびれ直径wは、w=0.43Dによって与えられる。α=15°とV=100Vとを式(1)に代入すると、Imax=10mAが得られる。α=5°およびV=1000Vを代入すると、Imax=106mAが得られる。
【0168】
αを、空間電荷力によって引き起こされた角度の広がりと解釈することにより、これらの例は、図18に示す新規な実施形態によって達成される利点を示す。図18に示す実施形態は、空間電荷によって限定されたビームを高エネルギーで移送し、所望のより低いエネルギーでの大きな注入電子流を達成する。
【0169】
図18の銃は、図10のものに類似であるが、以下の重要な相違点を有する。1)ズームレンズ85の代わりに、二重アパーチャレンズ88が採用されており、二重アパーチャレンズ88の終端はイオン化チャンバの流入口である。2)ミラー87は用いられておらず、銃はイオン化チャンバの長軸と同軸状に取り付けられている。これらの特徴を有する好適な実施形態において、レンズ充填を制限し、したがって収差によるビーム損失を制限するために、大きい直径(直径約2.5cm)を有する管が用いられる。コリメートレンズを用いて、イオン化チャンバへの注入用の最終の二重アパーチャレンズ(DAL)に所望のビーム特性を提示することにより、銃は短く保持されている。電子銃電圧(すべてカソード電圧Vに対してV、V、V、V1、V12)が、与えられた応用に適したビーム流、角度の広がり、およびビーム直径に関して最高の性能を提供するように調整可能であり、固定値、すなわちコリメートレンズ84の出口において750eV〜1250eVのビームエネルギーE(すなわち、E=e[V2−V])で動作する。したがって、図10の銃によって提供される広範囲なズーム性能は不要である。3エレメントコリメートレンズ84と組み合わされた四極抽出銃83が、電子ビーム特性を制御し適切に決定するに十分なフレキシビリティを提供する。そうするとDALは、強力に焦点を合わせる減速レンズとして作用する。その場合、イオン化チャンバ内の所望の電子エネルギーはE=e[Vch−V]によって与えられる。上記式においてVchは、イオン化チャンバ電位(Vchがアースレベルを示すとき、Vchはイオンビーム加速電位Vである)である。たとえば、E=1000eVであり且つE=100eVである場合、DALは10:1減速器である。
【0170】
DALのこの好適な設計において、DALは、2枚の平坦なプレートを含み、これら2枚のプレートは同一の直径D’を有する円形アパーチャを有する。プレート(厚み0.1D’)は、均一な距離D’/2によって分離されており、ガラス化されたグラファイト、シリコンカーバイド、またはアルミニウムによって構成され、アパーチャにビームが当たることによる遷移金属汚染を排除するようになっている。タンタル、モリブデンまたはステンレス鋼電極が用いられた場合には、アパーチャにビームが当たることがあり得る。たとえば、D’=1.2cm±0.6cmという値は、このレンズの有用な範囲のほとんどに対応する。重要なことは、DALの1枚のプレートがV2に固定され第2のプレートがVchに固定されているため、このレンズを追加してもさらなる電力供給は必要とされないということである。DALは、2つの有用な目的を達成する。1)電子ビームを、制御され十分に規定された様式で、興味の対象である特定のドーパント供給気体のイオン化効率を最大にするために必要な、選択されたEの値まで減速させることを達成する。2)空間電荷の影響を打ち消すために電子ビームの強力な焦点合わせを提供する。このような強力な焦点合わせがなければ、空間電荷の影響が、イオン化封入物内の電子の軌道の広がりを支配する。
【0171】
ここでさらなる利点として、管内の電子流を最大にするためには、ビームの焦点が管の長さ方向中心で合わされるべきだという原理の利点が認識される。本発明によると、空間電荷によって制限された電子ビームを、イオン化チャンバの無界封入物に注入した場合、ビームの焦点を封入物の長さ方向中心に合わせることにより、ビームの広がりが最小になる。図18によるイオン源の場合、公称焦点がDALの主平面から約4cmの距離に位置する。このための光学部品をより詳細に図18Aに示す。物体O’が上流レンズによってDALに提示され、この物体に対応する画像I’がDALによって生成される。このモデルに用いられる値は以下の通りである。V2/Vch=10、D’=1.27cm、物体距離P=4.8D’、画像距離Q=3D’、線形倍率M=1.0(E.HartingおよびF.H.Read、Electrostatic Lenses、Elsevier、New York、1976より)。したがって、本実施形態では、電子ビームの焦点は、DALの主平面から3.8cmであり、イオン化チャンバの長さ方向のほぼ中央にある像点に合わされる。この像点の位置は、レンズ率V2/Vchを変更すること、および/または物体の位置を変更することにより、他の動作パラメータに関連してイオン源の性能を最適にするように移動され得る。(たとえば、像はさらに下流に移動され得る。その場合、ビームの最小くびれ直径、すなわち、最小錯乱円がチャンバの中央近傍に位置する。)ビームの空間電荷の広がりの最大の度合いは、式(1)を以下のように再構成して用いることにより推定され得る。
【0172】
(2)D=5.1L Imax1/2−3/4
上記式において、Dは電子束によって遮られた直径であり、Lはイオン化チャンバの長さ(約7.6cm)である。Imax=20mAおよびV=100Vを代入するとD=5.5cmとなる。Imax=40mAおよびV=168Vを代入しても同じ結果となる。実際上は、イオン化チャンバ内の空間電荷の広がりは、イオン化封入物内に大量に存在する正に荷電されたイオンによって提供される空間電荷補償のために、式(2)による概算よりも小さい。図18および図18Aは、ビーム内の電子の大半を遮る拡大された電子流出口兼ビームダンプ36を採用している。ビームダンプ11とイオン化チャンバとの間の距離を小さく維持することにより、イオン化封入物から流出口36を介する気体の流出が少なくなり得る。
【0173】
イオン化チャンバおよびイオン抽出アパーチャのいくつかの利点もまた図18Aに示される。1)チャンバ壁に対向孔が設けられて、均一に平坦なプロファイルを維持するように薄いアパーチャプレートを受け取り、アパーチャプレート間に均一な電界を確立するようになっている。2)イオン抽出アパーチャ37’がチャンバ中央により近い位置に移動(約8mm、すなわちチャンバの幅の25%まで)することにより、抽出光学部品の抽出フィールドによるイオン除去がより効率的に行われ、且つ、イオン化封入物内のイオン路がより短くなる。イオン化封入物内のイオン路が短くなると、イオン−中性気体の衝突の可能性が低下し、その結果、電子の入口−出口軸の、チャンバ内の位置が非対称となる。3)イオン抽出アパーチャプレートが、イオン化チャンバに対して負の電圧V(−25V<V<0V)にバイアスされる。それによって、イオンのドリフト速度がさらに上昇し、したがって、得られたイオンビーム内の獲得可能な最大電流も増加する。
【0174】
図19〜図19Bの実施形態を参照すると、アパーチャプレートに対するバイアスは、プレートを窒化ボロンなどの絶縁材料によって形成し、イオンに曝される外表面および内表面をグラファイトなどの導電材料でコーティングし、導体を電気的にバイアスすることにより達成される。
【0175】
他の実施形態において、たとえば図19Cに示すように、絶縁スタンドオフを採用することにより、チャンバの電気的独立性を維持しながら、導電性の抽出アパーチャプレートをチャンバに接合する。この特徴を有する実施形態では、電気的に絶縁されたアパーチャプレートの端部の構成をイオン化チャンバの本体にインターフィットさせ(インボリュート設計)、図4Bを参照して上記したような迷路密閉効果を提供することにより、アパーチャプレート端部でのイオン化チャンバからの気体損失が最小にされ得る。
【0176】
図20A、図20Bおよび図20Cの実施形態によると、導電性アパーチャプレートインサートが、アパーチャプレートを適所に保持してインサートと電気的に接する電気的絶縁性フレームに取り付けられる。
【0177】
この実施形態は、実行されているインプラントのタイプの変更に応じた、アパーチャプレートの変更を容易にする。いくつかの実施形態においては、熱電冷却器がアパーチャプレートと連動して、アパーチャプレートが過剰に加熱されることを防止し得る。別の実施形態においては、アパーチャプレートを支持するために、冷却されたフレーム10の延長部または別体の冷却された取り付けフレームが採用される。
【0178】
(大電流源のレトロフィット実施形態)
図18Bは、図18および図18Aの実施形態を、レトロフィットされたインプランタのイオン源ハウジングに導入した場合を示す。好適には、電子銃が図示するように上部に取り付けられている。このジオメトリーを既存のインプランタに設置するために、新しいイオン源ハウジングが提供され、典型的なベルナスイオン源に関する考慮事項にしたがって構築され(所望であればベルナスイオン源を受け取ることができる)る。ただし、ハウジングは電子銃を受け取るように、上部が修正される。別の場合では、既存のイオン源ハウジングが、たとえば磁気コイル54を除去しハウジングの上部に真空口を挿入して、フランジが取り付けられた垂直電子銃アセンブリを受け取るように修正される。
【0179】
場合によっては外部軸方向磁界の設置が有用であるため、小さい磁気コイル対が提供される。これも図18Bに示す。ここに示すような電子銃が、空間効率の高い独自の協働的構成でコイルのうちの1つに同軸状に取り付けられる。
【0180】
これらの磁気コイルが付勢されると、得られる軸方向磁界は、主要電子ビーム(電子銃内およびイオン化チャンバ内の両方)を、より狭い断面に閉じ込めて、空間電荷による電子ビームプロファイルの広がりを減少させる。これにより、イオン化封入物に注入され得る有用な電子流の最大量が増加する。たとえば、70ガウスの磁束密度は、イオン化封入物内の100eVの電子を約1cmのカラム直径に閉じ込めるように作用する。この長さの電子銃の電子エミッタは、イオン化チャンバから遠いためにアーク放電を開始することはないが、外部磁界の強度によってはイオン化領域内に低密度プラズマを提供する。場合によっては、このプラズマを低い値に制御することにより、イオンとの二次的電子衝突によって引き起こされる複数のイオン化が、受容可能なレベルに制御され得る。さらに、場合によっては、低密度プラズマの存在が、イオン化領域の空間電荷の中和性を高め得、より高いイオンビーム流が実現されることを可能にし得るということが、認識される。
【0181】
マルチモード実施形態においては、図18Bに示す関係でより大きな磁石が採用されて、緩和モードで動作する場合またはベルナスアーク放電源を用いることが望まれる場合に、より大きい磁界が採用されることを可能にする。
【0182】
(汎用イオン源コントローラ)
本発明のイオン源用の汎用コントローラは、ユニークにも、ベルナスおよびフリーマンタイプなどのアーク放電イオン源と共に用いられるユーザインターフェースを採用する。図15は、ベルナスタイプのイオン源を動作させる典型的な制御システム200を示す。このような既存のマシンのオペレータは、オペレータインターフェース202(OI)を介してインプランタをプログラムする。オペレータインターフェース202(OI)は、選択的にコンピュータスクリーン上で見られる選択可能なグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の1セットである。インプランタの、いくつかのパラメータは、データを手動で入力するか、または特定のインプラントレシピを動作させる所望のパラメータを含む予め決められたインプラントレシピファイルをロードすることにより、OIから直接制御される。入手可能なGUIのセットは、真空システム、ウエハ処理、インプラントレシピの生成およびローディング、およびイオンビーム制御のための、コントロールおよび監視スクリーンを含む。
【0183】
多くのインプランタシステムにおいて、予め決められたイオン源パラメータのセットは、図15に示すOIのビーム制御スクリーンを介してプログラム可能である。図15に示すOIのビーム制御スクリーンは、アーク電流、アーク電圧、フィラメント電流限度、蒸発器温度の、ユーザアクセス可能な設定値を含む。これらの設定値に加えて、同じパラメータの実際の値(たとえば、電源の目盛りにより示される)が読まれ、制御システムによってオペレータに対してOI上に表示される。
【0184】
与えられたインプラント用のビームの初期設定に関連する多くの他のパラメータが、ビームスクリーンGUIを介してプログラムおよび/または表示されるが、オペレータのイオン源制御の一部であるとは考えられない。これらは、ビームエネルギー、ビーム流、所望のイオン量、抽出電極電圧、イオン源ハウジング内の真空レベルなどを含む。
【0185】
図15に示すように、専用のイオン源コントローラ204は、OIから入力値(設定値)を読み取って処理し、電源スタック206に適切なプログラム信号を提供し、さらに逆に電源から読み取った(リードバックした)ものをOIに提供する。図15に示す典型的な電源スタック206は、アーク用、フィラメント用および蒸発器ヒータ用の電源、すなわちそれぞれ電源208、210および212を含む。ソースマグネット電流用のプログラミングおよび電力生成は、スクリーンに提供され得るが、典型的には、現在設置されている装置の多くのマシン内でイオン源コントローラとは別に設けられている。
【0186】
図15aは、図15と同一のエレメントであるが、間接加熱カソード(IHC;indirectly heated cathode)を用いる種類のベルナス型イオン源用のエレメントを示す。図15aは、カソード電源211とそれからリードバックされた電圧および電流が追加されている以外は、図15と同一である。追加の電源は、IHC(間接加熱カソードエレメント)がフィラメントに対して正の高電圧に保持されているために必要である。この正の高電圧は電子衝撃によってIHCを加熱する。この際、IHCが、OIを介して提供されるアーク電流設定値に等しい電子流を出射するに十分な温度まで加熱する。アーク制御は、イオン源コントローラ内に含まれる閉ループ制御回路を介して達成される。
【0187】
図16は、本発明の電子ビームイオン源コントローラ220の機能的設計を示す。ビームダンプ36に向けられた電子銃からの電子流の制御は、コントローラ220内の閉ループサーボ回路によって達成される。閉ループサーボ回路は、電子エミッタ温度および電子銃グリッド電位を、所望の電子流設定値を維持するように調整する。コントローラ220は、典型的な既存のインプランタの制御ソフトウェアを実質的に変更することなく、インプランタに対して機能的にも機械的にもレトロフィット可能であるように設計されている。機械的レトロフィット可能性を達成するために、コントローラ電子部品220およびイオン源電源207は、気体ボックス内で、既存のベルナスイオン源コントローラ204および電源206に類似の物理的封入物を占める。インプランタの既存の制御ソフトウェアの完全性を保存するために、コントローラ220は、OI202からの既存の入力を受け入れ、且つ、OIによって予想された、リードバックされた値を提供するように構成されている。したがって、オペレータは、本発明のイオン源1をOIから、オペレータが長い間慣れてきた様式を変更することなく、プログラムし得る。この機能性は、コントローラ220内に含まれる設定変更可能な汎用変換器回路基板222によって達成される。設定変更可能な汎用変換器回路基板222は、OI202からのアナログまたはディジタル入力を受け入れ、これらの入力を、本発明のイオン源1の電子ビームを制御する適切なプログラム信号に変換する。この信号処理は、適切なディジタル−アナログ変換として、たとえば広く且つ整合された電子ビームイオン源がレトロフィットされる設置イオンインプランタのタイプおよび製造業者に依存して、16ビットディジタル−20ビットディジタル変換、アナログ−ディジタル変換、信号変換、およびスケールファクタによる信号の乗算を含む。同様にして、設定変更可能な汎用変換器222はその後、電子ビーム電源207によって提供されたリードバックされた信号を処理し、OIによって予想されたディジタルまたはアナログのフォーマットでOI220に報告し返す。設定変更可能な汎用変換器222はさらに、設置されたインプランタ制御システムによって必要とされる特定の数および種類の出力に沿うように、たとえば、ベルナス源とIHCベルナス源とを区別するように、設定変更可能である。これは、カソードの電圧および電流用の余分のリードバックチャネル、およびベルナスおよびフリーマンイオン源と比較して、カソード電流制限設定値用の異なるスケールファクタを必要とする。設定変更可能な汎用変換器222は、図16に示し、本発明のEビームイオン源内の直接加熱カソード電子銃については下の表IIにも示す、制御変数を置換することにより、このことを達成する。システムがIHCベルナス源に置き換わるようにレトロフィットする場合は、カソード電圧およびフィラメント電流に関するスクリーン内の2つの変数に、アノード電圧およびカソード加熱電流の最適値が割り当てられる。本発明によるレトロフィットEビームイオン源内で間接加熱電子源が用いられている場合には、そのカソード電圧および加熱フィラメント電流の値が、リストアップされた最適値に置換され得る。
【0188】
【表1】

【0189】
付加的な電子ビーム制御設定、例えば、図11に示すレンズ電圧の多く、に対して、ユーザは、OIを介してアクセスすることができないが、コントローラでプリセットしなければならない。これらの電圧設定のいくつかは、(パネルに取り付けられたメータにより視覚的なリードバック(visual read backs)を提供する)フロントパネル上のポテンンシオメータを介して手動でアクセスすることができる一方で、その他(例えば、ロングエクストラクションガン(long extraction gun)のVおよびV、ならびにズームレンズのV3およびV34)は、コントローラ電子装置内に常駐するファームウェアベースのルックアップテーブルにより自動的に設定される。
【0190】
一般に、Bernasソース、Freemanソース、およびIHC Bernasソースのアーク制御は、同様の手段、すなわち、イオンソースコントローラ内に格納された、オンボード閉ループ制御回路により達成される。現存するイオン注入器のイオンソースを本発明のイオンソースに物理的に改造するために、元々のイオンソースが注入器のソースハウジングから取り除かれ、電力ケーブルが取り除かれ、イオンソースコントローラ204および電源206または206’、すなわち、フィラメント電源、蒸発器電源、アーク電源、および(もしあれば)カソード電源が、注入器のガスボックスから取り除かれる。本発明の電子ビームイオンソース1が、注入器の改造封入物(retrofit volume)に挿入され、電子ビームイオンソースコントローラ220、および関連づけられた電源207が、ガスボックスの空けられた封入物内に挿入される。新たなケーブルのセットが接続される。イオンソースの所望の機械的構成が、注入器のソースハウジングへの設置の前に用意される。例えば、デカボランの生成には、大きなイオン化封入物を設けるために、幅が広いイオン抽出アパーチャ、および電子ガンの出口には大きな寸法の制限アパーチャが設置され得る。さらに、注入器が可変幅質量分解アパーチャ44を設けた場合、そのアパーチャの幅は、より大きな質量範囲のデカボランイオンを通すために広げられ得る。それ以外の場合、セットアップは、本文で説明した種々の特徴に応じて修正された従来の様式で進められる。
【0191】
たったいま説明した電子ビーム制御に加えて、温度制御機構が、蒸発器2に提供される。蒸発器は、コントローラ220内の閉ループ温度制御システムにより明確な温度に維持される。上記で説明したとおり、閉ループ温度制御システムは、当該分野で公知のPID(比例積分微分(Proportional Integral Differential))制御方法論を組み込んでいる。PIDコントローラは温度設定値を受け取り、(水槽(図3参照)と接するか、または蒸発器本体(図3A)の質量と伝熱関係にあるヒータープレートに取り付けられる)抵抗ヒーターを作動させ、抵抗ヒーターは、熱伝対リードバック回路により、その設定温度まで達し、それを維持する。回路は、設定値およびリードバック値を比較し、抵抗ヒーターを通過すべき電流の適切な値を判定する。良好な温度安定性を確保するために、水冷熱交換器コイル21が、水槽(図3の水冷蒸発器の場合)または(図3Aの固体金属蒸発器の実施形態の)熱電(TE)クーラー30内に浸されるか、もしくは熱交換器コイルが、(圧力ガスを利用して、図3Fにあるような種々の素子間の熱伝導を達成する蒸発器の実施形態の)伝熱ガスに覆われることにより、連続的にシステムから熱が取り除かれ、これによって温度制御システムの修正時間が低減される。このような温度制御システムは、20Cから200Cまで安定する。本実施形態では、蒸発器からイオン化チャンバへのガスの流れは、より高温では、より高い流量が達成されるように、蒸発器の温度により決定される。同様の温度制御システムが、図3Eまたは図9Bの伝導ブロック5aの温度を制御するために用いられ得る。
【0192】
先にも説明したように、別の実施形態では、異なる蒸発器PID温度コントローラが用いられる。繰り返し可能で安定した流れを確立するために、蒸発器PID温度コントローラは、市販のイオン注入器のソースハウジングに通常位置する、イオン化型圧力計の出力を受信することにより、ソースハウジング内の準大気圧を監視する。圧力計の出力は、イオンソース内へのガス流と比例するため、その出力は、PID温度コントローラへの制御入力として用いられる。PID温度コントローラは、所望のゲージ圧力が得られるまで、ソース内へのガス流を増減するために、続けて蒸発器の温度を上下させ得る。よって、PIDコントローラの2つの有効な動作モードは、温度ベース、および圧力ベースと定義される。
【0193】
図16Bを参照して、別の実施形態では、これら2つのアプローチは、蒸発器からの流量の短期的な安定性が温度プログラミングのみによって達成される一方で、流量の長期的な安定性がソフトウェアにより蒸発器温度を調整することにより、周期的にサンプリングされる圧力設定値を満たすことによって達成されるように、一意的に組み合わせられる。このような組み合わされたアプローチの利点は、固体の供給材料が気化により消費されるにつれて、ソースハウジング内の圧力計により検出された圧力に応じて、温度がソフトウェア制御によりゆっくりと上げられ、蒸発器に供給された材料の低減された表面積により実現されたより小さな流量を補償することである。図16Bでは、イオンソースハウジング内の圧力を監視するイオン化ゲージ300は、アナログ−デジタル変換器(ADC)に印加されるアナログ圧力信号のソースである。デジタル出力が、ソフトウェア制御下で、時間に対する圧力のドリフトを評価し、温度設定の漸進的な変化を導入し、圧力を最適な範囲で安定化させる、CPUに方向づけられる。
【0194】
図3および図3Aの実施形態では、イオン化チャンバの温度は、蒸発器の温度により制御される。図3E、図9Bおよび図18Bの実施形態の温度制御は、熱伝達媒体、または熱電クーラー、もしくはそれらの両方の使用により、金属ヒートシンクの温度を制御する、別個の温度検出および制御ユニットにより達成される。
【0195】
(予想されるイオン電流の計算)
この新たなイオンソース技術で達成され得るイオン電流生成のレベルは、非常に興味深い。イオンソースは、イオン化チャンバを通過する幅が広い電子ビームにより占められる封入物により規定される、明確な相当な大きさのイオン化領域内の活性がある一次電子による電子衝突イオン化を用いるため、そのイオン生成効率は、原子物理学の形式内で計算され得る。
【0196】
(3) I=I[1−exp{−nls}]
ここで、Iは衝突電子電流であり、Iは断面sを有する反応により影響される電子電流であり、nはイオン化封入物内の中性ガス分子の数密度であり、lは経路長である。この式は以下のように表わされる。
【0197】
(4) f=1−exp{−Lspl}
ここで、fはガスのイオン化をもたらす電子ビームの断片であり、Lは0C(=3.538×1016Torr−1cm−3)でのガス分子の1Torr当たりの密度数であり、sは1cm内の特定のガス種のイオン化断面であり、plは1Torr−cmにおける圧力−経路長プロダクトである。
【0198】
本発明者が認識する限りでは、デカボランイオンのピーク非解離イオン化断面は公になっていない。しかしながら、例えば、約1.3×10−15cmであることが公知であるヘキサン(C14)のピーク非解離イオン化断面と同様であろう。5cmの長さのイオンソース抽出アパーチャ、および2×10−3Torrのイオン化チャンバ圧に関して、式(2)は、f=0.37を算出する。これは、後述するこれらの計算の仮定の下で、電子電流内の電子の37%が、デカボラン分子との単一電子衝突によりデカボランイオンを生成することを意味する。イオン化封入物内で生成されたイオン電流(イオン/秒)は、
(5) Iion=fIel
と計算され得る。ここで、Iionはイオン電流であり、Ielはイオン化封入物を通過する電子電流である。イオンソースから抽出されたイオン電流の断片を最大化することによりイオンビームを形成するためには、電子ビームのプロファイルがイオン抽出アパーチャのプロファイルとほぼ幅が一致すること、およびイオンがアパーチャに近接する領域で生成されることが重要である。さらに、電子ビーム内の電子電流密度は、式(3)および(4)が考慮しない、多様なイオン化の可能性が大きくない程度に十分低く保たれるべきである。
【0199】
デカボランイオンのビームを発生するために必要とされる電子ビーム電流は、
(6) Iel=Iion/f
と計算され得る。
【0200】
以下の仮定がなされる。a)デカボランイオンは一次電子との単一衝突により生成される。b)ガス密度およびイオン密度の両方が、イオン−イオン電荷交換相互作用およびイオン−中性電荷交換相互作用が著しい度合いで発生しない程度に十分に低い(例えば、それぞれ、ガス密度<1014cm−3、およびイオン密度<1011cm−3)。c)生成された全てのイオンはビーム内に集められる。デカボランイオンの1mAのビームに関して、式(6)はIel=2.7mAを算出する。電子ビームガンは20mA/cmのオーダーの電子電流密度を生成するように構成され得るため、2.7mAの電子ビーム電流は、本願に記載の電子ビームガン設計で容易に達成可能であると思われる。
【0201】
イオン化封入物内の一次電子の密度nは、
(7) n=J/en
で求められる。ここで、eは電荷(=1.6×10−19C)であり、nは一次電子速度である。よって、図4Fに示すような比較的に広いイオン抽出アパーチャに対応する1cmの断面積の100eV、20mAの電子ビームに関して、式(7)はn≫2×1010cm−3を算出する。図5に示すような狭い抽出アパーチャに対して、0.4cmの断面積の100eV、20mAは、電子密度n≫5×1010cm−3を提供する。イオン化封入物内のイオン密度nはnと同じオーダーであり得るため、n<1011cm−3を予想することは妥当である。nおよびnが同様の大きさであると予想されるため、ある程度の電荷の中立性がイオン化電子ビームおよび反対電荷であるイオンにより、イオン化封入物内で達成されることは言及するに値する。この電荷の中立性の測定は、イオン化封入物内のクーロン力の補償に役立ち、より高い値のnおよびnを可能にし、かつイオン間の電荷交換相互作用を低減する。
【0202】
幅が広いコリメートされた電子ビームモードから、予想される抽出電流レベルを判定する際に重要なさらなる考慮点は、チャイルドラングミュア制限(Child−Langmuir limit)、すなわち、イオン注入器の抽出光学で利用され得る最大空間電荷制限イオン電流密度である。この制限は、いくぶん、注入器光学の設計に依存するが、以下のように有効に概算され得る。
【0203】
(8) Jmax=1.72(Q/A)1/23/2−2
ここで、JmaxはmA/cmで表わされ、Qはイオン電荷状態であり、Aは電子質量単位(amu)のイオン質量であり、UはkVで表わされる抽出電圧であり、dはcmで表わされるギャップ幅である。6mmの抽出ギャップから5kVで抽出された117amuでのB10に関して、式(6)はJmax=5mA/cmを算出する。イオン抽出アパーチャの面積が1cmであることをさらに仮定すると、上記の議論で詳述した抽出要件を優に越える、5keVでの5mAのB10のチャイルド−ラングミュア制限が推測される。
(幅が広いアライメントされたビーム電子ガンイオンソースに関するイオン抽出アパーチャの考慮点)
本発明の幅が広い電子ビームイオンソースに関して、通常、高電流Bernasアーク放電源とともに用いられるものよりも幅が広いイオン抽出アパーチャを用いることが可能であることが理解される。イオン注入器ビームラインは、質量分解アパーチャの下流で良好な透過効率を達成し、かつ特定された質量分解能R(≡M/ΔM、上記の議論を参照)を維持することの両方に対して適切なサイズの質量分解アパーチャ上に、抽出アパーチャを投影するように設計される。多くの高電流ビームラインの光学は単一の倍率を用いるため、収差がない場合、分解アパーチャ上に投影されるようなイオン抽出アパーチャの範囲は、概ね1対1である。すなわち、イオン抽出アパーチャと同じ幅の質量分解アパーチャが、そこに輸送される所与の質量対電荷比のイオンのほぼ全てのビーム電流を通過させる。低エネルギーでは、しかしながら、Bernasイオンソースの空間電荷力および漂遊電磁界は、アナライザマグネットにより分散された異なる質量対電荷比のイオンの隣接するビームの著しいオーバーラップを生じることにより、質量分解アパーチャに投影されるようなビームの拡大、および得られた質量分解能の劣化の両方を引き起こす。
【0204】
対照的に、本発明のイオンソースでは、抽出領域内に磁界がないこと、および例えば、ボロンに関係するデカボランに所望される低い全イオン電流レベルが、より低い収差のはるかに改善されビームエミッタンスを生じるように一意的に協働する。所与の質量分解アパーチャの寸法に対して、これは、より高いRを維持するとともに、質量分解アパーチャを通過するデカボランビームの予想し得る以上の高い透過率を生じる。それゆえ、幅がより広いイオン抽出アパーチャを組み込むことにより、ビーム光学の性能、または注入器の質量分解能を著しくは劣化させ得ない。実際、幅がより広いアパーチャでは、この新規なイオンソースの作用が増大され得る。1)幅がより広いアパーチャのより大きな開口のため、抽出電極の抽出フィールドが、イオン化チャンバのイオン化封入物内へとさらに浸透し、イオン抽出効率を改善し、2)比較的に容積が大きいイオン化領域の使用を可能にする。これらは共に働き合って、イオン生成を改善し、かつイオン化封入物内のイオンの必要とされる密度を低減し、多くの場合において、本発明のイオンソースを生産に値するものとする。
【0205】
しかしながら、注入器の抽出光学の性能にマイナスの影響を与えないように注意が必要であり得る。例えば、抽出アパーチャ幅wが抽出ギャプdに対して大きすぎる場合、式(8)の有効性は損なわれ得る。wが一般にd以下であるという好適な制約を加えることにより、d=6mmである上記の例に関して、6mmのアパーチャを全抽出イオン電流を増加する手段として用い得る。
【0206】
レトロフィットの取り付けに関して、多くの取り付けられたイオン注入器は種々の幅の質量分解アパーチャを特徴とするという利点も利用され得る。この種々の幅の質量分解アパーチャを用いて、質量分解アパーチャをより広く開けると、ウェハに運搬されるデカボランイオン電流がさらに増加する。多くの場合、はっきりした浅いp−n接合(水素化物の質量範囲によって生成される接合深度の変異が、注入後の焼なましの間、ホウ素拡散によって生成された接合場所での広がりに比べ小さいため)を達成するためにB10イオンの種々の水素化物を区別する必要がないことが実証されたため、質量範囲が分解アパーチャ分だけ越えて、イオンの発生量を増加させ得る。例えば、多くの例において、B10からB1012(約113原子質量単位から120原子質量単位)を越えることは、B10などの一つの水素化物を越えることに対するほど著しいプロセス衝撃を有さないため、より高い線量率が可能になる。したがって、16の質量分解能のうちのRの質量分解能を用いて、有害な影響を導入せずに上の例を達成し得る。調整可能な分解アパーチャを介してRを減少させると、イオンソース内に存在し得る他の種(例えば、AsおよびP)の不必要な相互汚染を導入しないように構成し得る。なぜならば、デカボランを流す間の質量範囲がこれらの種より相当高いからである。イオン化チャンバがIn(113および115原子質量単位)に曝されたイオンソースを動作する場合、適切にサイズ調整された分解アパーチャと共に、アナライザーの磁石を調整して、より高い質量のB10をまたはより低い質量Bの分子イオンさえをも越えさせ、Inがウェハに伝播されないことが保証され得る。
【0207】
さらに、広い電子ビームのイオンソースの所望の対象のイオン種が比較的高い濃度であり、そして、全抽出された電流(ビームの拡散(blow−up))を減少させる)に寄与する他の種が比較的低い濃度であるため、抽出された電流がBernasソースに比べて低い場合があるが、比較的高い率の抽出された電流がウェハに達し得、所望の場合、注入され得る。
【0208】
(水素化物供給ガスを用いる利点)
広い電子ビームのイオンソースが得られ得るビームの電流を、大きなイオン化断面を有する供給ガス種を用いることによって最大化し得ることが認識されている。デカボランは、多くの他の水素化物ガスと同様、このカテゴリーに入る。アークプラズマベースのイオンソース(例えば、向上したBernasソース)がBFなどのしっかりと結合された分子種を効率的に分離するが、アークプラズマベースのイオンソースは、例えば、デカボラン、ジボラン、ゲルマン、シランおよびトリメチルインジウムなどの水素化物を分解する傾向にあり、そして通常、これらの物質に対する生産価値はない。しかし、本発明により、これらの物質および他の水素化物(例えば、リンおよびアルシン)が本明細書において記載するイオンソースによく適した物質であり、(そして従来のフッ化物において直面したフッ素汚染の問題を提示しない)ことが認識される。したがって、説明したイオンソースの原理により、これらの物質を用いて以下に説明するCMOS用途でイオンビームを生成することは、本発明の別の重要な局面である。
【0209】
例えば、リン化物を考えられたい。リン化物は、ピークが約5×10−16cmであるイオン化断面を有する。上の計算から、式(6)は、6.2mAと広くコリメートされた電子ビーム電流がAsHイオンの1mAのイオン電流を生じることを示す。上述の他の水素化物および他の物質は、リン化物のイオン化断面に類似したイオン化断面を有する。したがって、上の仮定の下で、イオンソースは、7mAより低い電子ビーム電流を用いて、上にリストした種すべてに1mAを生成する。注入器の伝播が50%のみであるとさらに仮定すると、必要な最大電子ビーム電流は14mAであり、これは、上述の特定の実施形態に適用された現在の技術で利用可能な電子ビーム電流の範囲内に明らかにある。
【0210】
上述の説明に続いて、2.6mAほど高いイオン電流は、従来のイオン注入器の技術を用いた注入器を介して運搬され得る。本発明によって、例えば、本発明のイオンソース内に示された供給物質を用いて、以下の注入器を実現し得る。
低エネルギーホウ素:気化されたデカボラン(B1014
中間エネルギーホウ素:ガスジボラン(B
ヒ素:ガスアルシン(AsH
リン:ガスリン(PH
インジウム:気化されたトリメチルインジウムIn(CH
ゲルマニウム:ガスゲルマニウム(GeH
シリコン:ガスシラン(SiH
Inの以下のさらなる固体の結晶形態(これらのほとんどはイオン注入の際に通常使用されるような従来のイオンソースの気化器内で一定かつ信頼性高く生成され得る温度より低い気化器の温度を必要とする)は、本発明の気化器内でも用いられ得て、インジウムを帯びた蒸気:インジウムフッ化物(InF)、インジウムブロミド(InBr)、インジウムクロリド(InClおよびInCl)およびインジウム水酸化物{(In(OH))}を生成し得る。さらに、アンチモンビームは、本発明の気化器内に温度感受性の固体Sb、SbBrおよびSbClを用いて生成され得る。
【0211】
これらの物質の使用に加え、動作の無反射モードにおいて広く位置合わせされた電子ビームを用いる現在のイオンソースは、LOWにおいてBF、AsF、PF、GeFおよびSbFを含むフッ化ガスをイオン化し得るが、一つのイオン化の衝突を介して有用な原子イオン電流をイオン化し得る場合もある。獲得可能なイオンは、(複数の衝突を最小限にとどめることにより)より高いイオン純度を有し得、複数のイオン化を介してBernasソースによって生成されるより高い電流で達成される空間電荷より低い空間電荷の問題を有する。さらに、マルチモードの動作用に構築された本発明の実施形態において、すべての上述の実施形態は、反射ジオメトリーまたは大きな制限する磁界がなく、広く位置合わせされた電子ビームモードで達成され得、一方、反射ジオメトリーに切り換え、そして適切な磁界を用いることによって、アークプラズマのレベルを発展させると、より高い(しかし純度は低い)イオン電流をイオン化または獲得することがより困難な所定の供給物質における動作を向上させることが可能である。
【0212】
無反射モードと反射モードとを切り換えるために、ユーザは正の電圧(より広く位置合わせされた電子ビームモード)から電子銃の電圧に近づく負の電圧にビームダンプ構造を切り換える制御器を動作させる。負の電圧において、ビームダンプ構造は磁気コイル54も作動させるリペラ(対陰極)として機能する。コイルは、従来、Bernasイオンソース用に元々設計された注入器内にすでに存在し、このイオンソース内に現在のイオンソースがレトロフィットされ得る。したがって、現在のイオンソースのマルチモード版を変換して、(図4A〜図4Dにあるようにエミッターがイオン化封入物の近位にある電子短銃の場合)反射タイプのBernasソースに類似した様態で、アークプラズマ放電を用いて動作し得たり、またはエミッターがイオン化封入物から離れている場合、活動的なアーク放電が無いプラズマを用いて動作し得る。上述(そして図18、18aおよび18bにも記載される)実施形態において、既存の磁気コイルを取り外して、レトロフィットされた長い直接注入の電子銃のジオメトリと互換性を有する改変された磁気コイルを供し得る。これらの磁気コイルに電圧を印加すると、結果の軸磁界が一次電子ビーム(電子銃内およびイオン化チャンバ内の両方の一次電子ビーム)をより狭い断面に制限し得、これにより、空間電荷により電子ビームプロファイルの広がりが減少し、イオン化封入物内に注入され得る有用な電流の最大量が増加する。この実施形態の電子エミッターがイオン化チャンバから離れているため、電子エミッターはアーク放電を開始しないが、外部の磁界の強度に依存して、イオン化領域内に低密度のプラズマを提供する。プラズマ密度が十分に低い場合、イオンとの二次電子衝突によって誘導される複数のイオン化は有意ではない。しかし、低密度のプラズマの存在により、イオン化領域の空間電荷の中性度を向上させ、これにより、より高いビーム電流が実現され得る。
【0213】
(ダイマーを含む供給物質を用いる利点)
本発明の低温度の気化器は、すでに上述した物質に加え、低い融点が原因で、したがって200Cより低い温度での高い蒸気圧に起因して、現在利用可能な商用イオンソースにおいて信頼性をもって用いられ得ない他の温度感受性の固体ソースの物質を有利に用い得る。ドーパント要素(As、In、PおよびSb)のダイマーを含む固体が本明細書において提示されたイオンソースおよび方法において有用であることを認識した。いくつかの場合において、温度感受性のダイマーを含むコンポーネントの蒸気をイオン化チャンバ内で用いてモノマーイオンを生成する。他の場合、分解パターンにより、ダイマーイオンの生成が可能になる。ダイマーを含む酸化物の場合であっても、特定の場合には、酸素が排除しながら、ダイマー構造を保持することに成功し得る。これらの物質からダイマー注入器を用いると、ターゲット基板内に注入されたドーパントの線量率への目覚ましい改良を得ることが可能である。
【0214】
イオンソースからのイオン抽出を制限する空間電荷の影響を定量化する式(8)を展開することによって、分子の注入の場合、単原子の注入に対して、空間電荷によって導入される制限の緩和という長所を説明する以下の図は式(9)によって表され得る。
(9)Δ=n(V/V3/2(m/m−1/2
Δは質量mの分子コンポーネントを注入し、そして加速電位Vにおける質量mの原子の単原子の注入に対して、加速電位V1において対象のドーパントのnの原子を含ませることによって達成される線量率の相対的な改良である。単原子の注入として基板内の同じ注入深度を与えるようにVが調整された場合、式(9)はΔ=nまで減少する。ダイマーの注入(例えば、As対As)の場合、Δ=4である。したがって、線量率が四倍にまで増加することが、ダイマー注入を介して達成され得る。以下の表Iaは本発明に適用されるようなダイマー注入に適切な物質をリストする。
【0215】
【表2】

【0216】
モノマー注入が所望の場合、同じダイマー供給物質を有利に用いて、イオンソースの動作モードまたは動作のパラメータを調整すると、モノマーイオンの有用な濃度を生成する分子を十分に解体し得る。表Iaにリストした物質がドーピング用に高い率の対象の種を得るため、モノマードーパントイオンの有用なビーム電流が取得され得る。
【0217】
(CMOSイオン注入用途におけるイオンソースの使用)
この実施において、イオン注入を多くの処理工程において用いてCMOSデバイス(最前線および従来両方のCMOSデバイスアーキテクチャでのCMOSデバイス)を製造する。図17は、総称的なCMOSアーキテクチャを示し、トランジスタ構造の機能(R.SimontonおよびF.SinclairのApplications in CMOS Process Technology(Handbook of Ion Implantation Technology、J.F.Ziegler、Editor、North−Holland、ニューヨーク、1992年)からの機能)を製造する際に用いられる従来の注入用途を表示する。これらの表示された構造に対応する注入を以下の表Iにリストし、通常のドーパント種、イオンエネルギー、当該産業が2001年の生産に期待する線量の要件を示す。
【0218】
【表3】

【0219】
表Iにリストした注入に加え、最近の処理の展開は、ゲッタリングに対するC注入の使用、チャネリングを減少させる損傷した注入に対するGeまたはSiの使用、および中間電流InおよびSbの使用を含む。表Iから、ソース/ドレインの生成および拡大、ならびにポリシリコンゲートのドーピングを除くと、すべての他の注入は低いまたは中間の線量注入(すなわち、2×1012と1×1014cm−2との間の線量)しか必要でないことが明らかである。特定のウェハの突抜けを満たすのに必要なイオン電流が所望の注入された線量に対して量調整されるため、これらの低いそして中間の線量注入が、本発明の広く位置合わせされた電子ビームイオンソースを用いて、P、AsおよびBの1mAより低いイオンビーム電流を用いて高いウェハの突抜けで実行され得ることが明らかなようである。さらに、もちろん、本発明によって達成可能なデカボランイオン電流は、p−タイプのソース/ドレインおよび拡大ならびにポリシリコンゲートのp−タイプのドーピングを生成することを可能にする。
【0220】
したがって、上述の広く位置合わせされた電子ビームイオンソースにより、B1014、As、PおよびBまたはBの1mAのビーム電流を提供することによって、従来のイオン注入用途の大部分における高いウェハのスループットが可能になると考えられる。この電流範囲にGe、Si、SbおよびInを追加することも、本発明を用いて達成可能であり、これは表Iにリストされていないより最近の注入用途を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0221】
【図1】図1は、従来技術によるイオン注入器の概略図である。
【図2】図2は、Bernasアーク放電イオンソースの断面の概略図であり、図1の注入器が設計されたイオンソースを例示している。
【図3】図3は、本発明のイオンソースが蒸発器と関連付けられている実施形態の長手方向の断面図である。
【図3A】図3Aは、図3の一部と類似する断面図であり、蒸発器の別の実施形態を示す。
【図3B】図3Bは、図3Aの蒸発器の従来からの取り付けフランジを用いた取り外し可能なフィーチャを示す。
【図3C】図3Cは、蒸発器およびバルブをイオンソースから取り外す様子を示す。
【図3D】図3Dは、バルブを2つ設けた実施形態を示す。この実施形態において、これらの2つのバルブ間において蒸発器とイオンソースとを分離させることが可能である。
【図3E】図3Eは、デュアル蒸発器の実施形態を示す。
【図3F】図3Fは、蒸発器の別の実施形態を示す。この蒸発器は図3Aに類似するが、別個のるつぼを有し、蒸発器ハウジングとるつぼとの間および熱交換器とハウジングとの間にガス媒介伝導を有する点において異なる。
【図4】図4は、図3の線4−4で切った側部断面図である。
【図4A】図4Aは、図4の線4A−4Aで切った上面図である。
【図4B】図4Bは、図4に類似する図であり、別個に規定された電子ビームダンプの他の構成を示す。
【図4C】図4Cは、図4に類似する図であり、別個に規定された電子ビームダンプの他の構成を示す。
【図4D】図4Dは、図4に類似する側面図であり、使い捨ての内部イオン化チャンバを有する伝導冷却されたイオン化チャンバアセンブリを示す。
【図4E】図4Eは、図4Aに類似する上面図であり、使い捨ての内部イオン化チャンバを有する伝導冷却されたイオン化チャンバアセンブリを示す。
【図4F】図4Fは、広範囲にわたりかつ平行な電子ビームを3次元で表したものであり、これは、この電子ビームと、図3および図4の実施形態のイオン抽出アパーチャとの間の関係である。
【図5】図5は、図4Fと類似する図であり、これは、広範囲の電子ビームとイオン抽出アパーチャとの関係をより狭い寸法で示したものである。
【図6】図6は、図3のイオンソースのアパーチャプレートの前面図である。
【図7】図7は、間接過熱されたカソード構成を図示したものである。
【図8】図8は、図3〜図6のイオンソースを既存のイオン注入器のレトロフィット部分(retrofit volume)に取り付けた様子を示す。
【図8A】図8Aは、図8の注入器全体をより小さな縮尺で示したものである。
【図9】図9は、図8と類似し、細長い直角電子銃と角度付きミラーとを用いたイオンソースを示す。
【図9A】図9Aは注入器を示し、この注入器全体に、図9の実施形態をレトロフィットさせる。
【図9B】図9Bは、図9の一部に類似する図の縮尺を拡大した図であり、解体可能なイオン化チャンバを水冷却されたブロック上に直接取り付けた様子を示す。
【図10】図10は、図9の細長い電子銃の好適な実施形態の縮尺を大きくした側面図である。
【図11】図11は、図10の銃の抽出段の拡大図である。
【図12】図12は、図11の抽出段を通過する電子の軌跡を示す。
【図13】図13は、5素子ズームレンズの概略図である。
【図13A】図13Aは、図13のレンズシステムの様々な動作モードを示す。
【図13B】図13Bは、図13のレンズシステムの様々な動作モードを示す。
【図13C】図13Cは、図13のレンズシステムの様々な動作モードを示す。
【図13D】図13Dは、図13のレンズシステムの様々な動作モードを示す。
【図14】図14は、ズーム電圧線のプロットである。
【図15】図15は、従来のBernasアーク放電イオンソースのオペレータインターフェースの図である。
【図15A】図15Aは、Bernasソースの類似の図であり、このBernasソースは、間接的に加熱されたカソードを備える。
【図16】図16は、Bernasオペレータインターフェースを新規な構成可能なユニバーサルコントローラと組み合わせた図である。このユニバーサルコントローラは、本発明による広範囲なEビームイオンソースを制御する。
【図16A】図16Aは、図16の本発明の細長いEビームの実施形態のための制御システムに類似する図である。
【図16B】図16Bは、図3および図3Aの蒸発器のための温度制御システムの好適な実施形態の図である。
【図17】図17は、半導体デバイスの概略図であり、標準的なCMOSイオン注入アプリケーションを示す。
【図18】図18は、大電流電子銃をイオンソースの好適な実施形態に取り入れた様子の図であり、電子銃の光学軸とイオン化チャンバの長軸とを平行にしており、大まかな縮尺および異なる素子の動作電圧を示す。
【図18A】図18Aは、図18のイオンソースの電子光学部品を示し、ダブルアパーチャレンズの集束特性をオブジェクトポイントおよび画像ポイントによって示し、イオン化チャンバおよびビームダンプの詳細な機械的構造も示す。
【図18B】図18Bは、図18および図18Aのイオンソースを既存のイオン注入器中に取り付けた様子を示し、電子銃および磁気コイルの特殊な構成も示す。
【図19】図19は、アパーチャプレートの上面図を示す。このアパーチャプレートは、イオン化チャンバの残りの壁部の電圧に比例するバイアス電圧を受け取るようになっている。
【図19A】図19Aは、図19中の各線において切られた図であり、イオン化チャンバ内部に対面するアパーチャプレートの内面の側面図である。
【図19B】図19Bは、図19中の各線において切られた図であり、抽出光学部品に向けられた外面の側面図である。
【図19C】図19Cは、アパーチャプレートの端部の図であり、絶縁碍子によりアパーチャプレートをイオン化チャンバの本体に取り付けている様子を示す。
【図20A】図20Aは、別の実施形態のアパーチャ挿入プレートの内面の側面図である。
【図20B】図20Bは、別の実施形態のアパーチャ挿入プレートの外面の側面図である。
【図20C】図20Cは、図20Aおよび図20Bの挿入プレートの取り付け先である絶縁体フレームの側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のイオンビーム生成能力を提供する既存のイオン源と磁場源と質量分解アパーチャとを有するイオン注入器をアップグレードする方法であって、
該方法は、
(a)該既存のイオン源を除去するステップと、
(b)該既存のイオン源とは異なるイオンビーム生成能力を提供する別のイオン源に該既存のイオン源を置き換えるステップと
を包含する、方法。
【請求項2】
ステップ(a)は、
(a)クラスターイオンを生成しない既存のイオン源を除去すること
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)は、
(a)既存のベルナス型のイオン源を除去すること
を包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(a)は、
(a)既存のフリーマン型のイオン源を除去すること
を包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(b)は、
(b)前記既存のイオン源をクラスター生成イオン源に置き換えること
を包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(a)は、
(a)アーク放電型である前記既存のイオン源を除去すること
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(b)は、
(b)前記既存のイオン源を電子衝突イオン源に置き換えること
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(b)は、
(b)前記既存のイオン源をクラスターイオンを注入する電子衝突イオン源に置き換えること
を包含する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(b)は、
(b)前記既存のイオン源をデカボランクラスターイオンを注入するイオン源に置き換えること
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
既存のシングルモードのイオン源と磁場源と質量分解アパーチャとを有するイオン注入器をアップグレードする方法であって、
該方法は、
(a)該既存のシングルモードのイオン源を除去するステップと、
(b)該既存のシングルモードのイオン源を新たなデュアルモードのイオン源に置き換えるステップと
を包含する、方法。
【請求項11】
ステップ(b)は、
(b)前記既存のシングルモードのイオン源をノーマルモードと反射モードとを有するデュアルモードのイオン源に置き換えること
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
イオン注入装置のためのイオン源であって、
該イオン源は、
イオン化されるべきガスを提供する蒸発器であって、該イオン源に取り外し可能に取り付けられている蒸発器と、
該蒸発器とイオン化チャンバとの間に流体伝達を提供するコンジットと、
該コンジットから該蒸発器をアイソレートする1つ以上のバルブと、
該蒸発器と流体伝達するイオン化チャンバと、
該蒸発器からの該ガスをイオン化するエネルギー源と
を備えている、イオン源。
【請求項13】
前記イオン化チャンバは、前記イオン源に取り外し可能に取り付けられている、請求項12に記載のイオン源。
【請求項14】
イオン注入装置と共に用いるためのイオン源であって、
該イオン源は、
複数の側壁を定義するイオン化チャンバであって、該複数の側壁のうちの1つの少なくとも一部は、アパーチャプレートを定義し、かつ、イオンビームが該イオン化チャンバから抽出されることを可能にするイオン抽出アパーチャを含み、該アパーチャプレートは、少なくとも1つの導電面を含む、イオン化チャンバと、
その中にあるガスをイオン化する該イオン化チャンバの内部と流体伝達する電子源と、
該イオン化チャンバの該内部と流体伝達する供給ガス源と、
該少なくとも1つの導電面に電気的に結合されたバイアス電圧源と
を備えている、イオン源。
【請求項15】
前記アパーチャプレートは、電気的絶縁材料から形成されており、少なくとも1つの電気的導電面を定義するために電気的導電膜によって部分的に被覆されている、請求項14に記載のイオン源。
【請求項16】
前記複数の側壁のうちの1つを形成する電気的絶縁フレームをさらに備え、該フレームは、前記アパーチャプレートを支持するように構成されている、請求項14に記載のイオン源。
【請求項17】
前記電気的絶縁材料は、窒化ホウ素である、請求項15に記載のイオン源。
【請求項18】
前記電気的導電膜は、グラファイトである、請求項15に記載のイオン源。
【請求項19】
ステップ(b)は、
(b)前記既存のイオン源をアーク放電プラズマタイプのイオン源に置き換えること
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(b)は、
(b)前記既存のイオン源をアーク放電以外のプラズマイオン源に置き換えること
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(b)は、
(b)前記既存のイオン源を電子衝突モードまたはアーク放電モードにおいて選択的に動作するイオン源に置き換えること
を包含する、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8A】
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【図9】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14】
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【図15】
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【図15A】
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【図16】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【公開番号】特開2006−196465(P2006−196465A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55554(P2006−55554)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【分割の表示】特願2001−543753(P2001−543753)の分割
【原出願日】平成12年12月13日(2000.12.13)
【出願人】(502213379)セメクイップ, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】