説明

イオン注入システム

【課題】イオン注入システムを提供する。
【解決手段】イオン注入システムは、イオンビーム生成器、質量分離装置、ホルダー装置、及び、第一検出器を含む。イオンビーム生成器は第一イオンビームを生成する。質量分離装置は、第一イオンビーム中から、必要なイオンを含む第二イオンビームを分離する。ホルダー装置は少なくとも一つの基板を固定する。ホルダー装置、及び、第一検出器は、第二イオンビームに相対して、第一方向に沿って相対往復移動して、基板、及び、第一検出器を第二イオンビームの投射領域に通過させる。第一検出器は、第二イオンビームの関連パラメータを取得する。上述のシステムは、イオン注入実行時、イオンビームの関連パラメータを取得して、システムが、直ちに、製造パラメータを調整して、好ましいイオン注入効果を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン注入システムに関するものであって、特に、イオン注入時、イオンビームパラメータを検出するイオン注入システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
集積回路工程中、イオン注入システムは、不純物を半導体材料中に注入するように設定される。イオン注入工程は、必要な不純物元素をイオン化すると共に、必要な質量/電荷比のイオンを選択し、最後に、選択されるイオンを、基板、例えば、半導体ウェハを対象にし、不純物元素を基板に注入する。
イオン注入工程中、注入される不純物元素の量は精確に制御されなければならない。従来のイオン注入工程は、まず、検出器により、イオンビームの関連パラメータ、例えば、イオンビームの密度等を検出し、検出器により測定されたパラメータに基づいて、システムパラメータを調整して、イオンビームの関連パラメータを必要な設定値してから、基板をイオンビームの投射領域に配置して、イオンを注入する。イオン注入期間中、イオンビームの関連パラメータが得られないので、従来のイオン注入システムは、イオン注入時に、製造パラメータを調整して、イオンビームの関連パラメータを制御することができない。
よって、どのようにして、イオン注入期間に、イオンビームの関連パラメータを取得し、製造パラメータ調整の基準とするかが課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、イオン注入システムを提供し、上述の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はイオン注入システムを提供し、イオン注入実行時、イオンビームの投射領域を通過する検出器を含み、イオンビームの関連パラメータを取得する。よって、本発明のシステムは、検出器により取得されたイオンビームの関連パラメータに基づいて、即時にシステムの製造パラメータを調整し、好ましいイオン注入効果を獲得する。
本発明の一つの実施例によるイオン注入システムは、イオンビーム生成器、質量分離装置、ホルダー装置、および、第一検出器を含む。イオンビーム生成器は第一イオンビームを生成する。質量分離装置は第一イオンビームの下流に設置され、第一イオンビーム中から、必要なイオンを含む第二イオンビームを分離する。ホルダー装置は第二イオンビームの下流に設置され、少なくとも一つの基板を固定する。ホルダー装置、及び、第二イオンビームは、第一方向に沿って相対往復移動して、基板が第二イオンビームの投射領域を通過できるようにする。第一検出器も第二イオンビームに相対して往復移動すると共に、第二イオンビームの投射領域を通過して、第二イオンビームの関連パラメータを取得する。
【発明の効果】
【0005】
本発明のシステムは、第一検出器により取得されたイオンビームの関連パラメータに基づいて、システムの製造パラメータを調整する、又は、異常を検出して、直ちに工程を中止し、好ましいイオン注入効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一つの実施例によるイオン注入システムを示す図である。
【図2】本発明の一つの実施例によるイオン注入システムのイオンビームのスキャン領域、基板、及び、第一検出器の間の相対位置を示す図である。
【図3】本発明の別の実施例によるイオン注入システムのイオンビームのスキャン領域、基板、及び、第一検出器の間の相対位置を示す図である。
【図4】本発明の一つの実施例によるイオン注入システムの第一検出器、及び、ホルダー装置の設置方式を示す図である。
【図5】本発明の別の実施例によるイオン注入システムの第一検出器、及び、ホルダー装置の設置方式を示す図である。
【図6】本発明の別の実施例によるイオン注入システムを示す図である。
【図7a】本発明の別の実施例によるイオン注入システムのイオンビームのスキャン領域、基板、及び、第一検出器の間の相対位置を示す図である。
【図7b】本発明の別の実施例によるイオン注入システムのイオンビームのスキャン領域、基板、及び、第一検出器の間の相対位置を示す図である。
【図7c】本発明の別の実施例によるイオン注入システムのイオンビームのスキャン領域、基板、及び、第一検出器の間の相対位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1を参照すると、本発明の一つの実施例によるイオン注入システム1は、イオンビーム生成器11、質量分離装置12、ホルダー装置(holder device)13、及び、第一検出器14aを含む。イオンビーム生成器11は第一イオンビーム111を生成する。例えば、イオンビーム生成器11は、プラズマ室中のイオン源気体を、アーク放電又は類似のものにより生じる電子衝撃により電離することにより、プラズマを生成する。続いて、プラズマ室中からイオンを抽出して、第一イオンビーム111を形成する。質量分離装置12は第一イオンビーム111の下游に設置され、第一イオンビーム111中から、必要なイオンを含む第二イオンビームを分離する112。例えば、質量分離装置12は、磁場を用いて、必要な質量/電荷比率のイオンを、第一イオンビーム111の経路から離す。質量分離装置12は、シールド121により、不要なイオンを遮断し、必要なイオンを通過させて、第二イオンビーム112を形成する。一つの実施例中、第二イオンビーム112はリボン形状(ribbon−shaped)、又は、ガウス分布状(gaussian−shaped)である。
ホルダー装置13は第二イオンビーム112の下流に設置され、少なくとも一つの基板を固定する100。一つの実施例中、基板100は半導体ウェハである。ホルダー装置13、及び、第二イオンビーム112は、第一方向に沿って、相対往復移動して、基板100が、第二イオンビーム112の投射範囲を往復通過できるようにする。即ち、第二イオンビーム112は、基板100全体をスキャンすることができる。一つの実施例中、ホルダー装置13と駆動装置15は接続される。駆動装置15は、ホルダー装置13を駆動して、第一方向に沿って、第二イオンビーム112に相対して往復移動して、基板100が第二イオンビーム112の投射範囲を往復通過できるようにする。好ましくは、駆動装置15は、ホルダー装置13を駆動して、第二方向に沿って移動して、第二イオンビーム112が、基板100全体をスキャンできるようにする。一つの実施例中、第一方向、及び、第二方向は、実質上、互いに垂直で、第二イオンビーム112が、左右方向と上下方向に沿って、スキャン基板100をスキャンできるようにする。注意すべきことは、基板100の第一方向に沿った移動経路は直線、又は、弧線であることである。このほか、同中心点(isocentric)でスキャンする時、第二方向は、基板がある平面に平行である。又は、非アイソセンターでスキャンする時、第二方向と基板がある平面との間にある角度で傾斜する。
第一検出器14aは第二イオンビーム112に相対して往復移動し、且つ、第二イオンビーム112の投射領域を通過する。一つの実施例中、第一検出器14aと基板100は一緒に移動する。よって、第一検出器14aは、第二イオンビーム112の関連パラメータを取得することができる。例えば、第二イオンビーム112の関連パラメータは、ビーム電流、平行度、入射角度、イオンビーム密度、電荷センサー応答、イオン輪郭形状又は上述の組合である。第一検出器14aは、第二イオンビーム112の投射領域を通過するので、第一検出器14aの検出領域の短軸は、第二イオンビーム112の投射領域より小さいが、完全な第二イオンビーム112の関連パラメータを取得することができる。つまり、第二イオンビーム112の関連パラメータを取得するのに影響しない前提下で、第一検出器14aの第一方向に沿った長さは大幅に縮減する。一つの実施例中、第一検出器14aはファラデーカップ(Faraday Cup)である。
図2を参照すると、一つの実施例中、第二イオンビーム112はガウス分布状である。これは、第二イオンビーム112の投射領域300中、その中央領域のイオンビーム密度が、辺縁領域のイオンビーム密度より大きいことを意味する。同じイオン注入濃度を得るため、基板100、及び、第一検出器14aは、第二イオンビーム112aの投射領域300を通過しなければならない。第二イオンビーム112のスキャン領域200は、基板100面積より大きいので、基板100の周囲に設置され、第二イオンビーム112のスキャン領域200内にある第一検出器14aは、イオン注入実行時、第二イオンビーム112の関連パラメータを得ることができる。第二イオンビーム112が、基板100の同じ領域までスキャンする時、イオン注入システム1は、直ちに、製造パラメータを調整して、前回のスキャン結果を補償し、好ましいイオン注入効果を得る。注意すべきことは、複数の第一検出器14aを基板100両側に設置して、単一のスキャン経路の首尾とスキャンし終わるときに第二イオンビーム112の関連パラメータを取得することである。
図3を参照すると、一つの実施例中、ホルダー装置13は複数の基板100を固定し、第一検出器14aは複数の基板100の間に設置される。同時に、複数の基板100にイオン注入工程を実行して、イオンビームの利用率を改善することができる。複数の基板100の間に設置される第一検出器14aは、イオン注入実行時、イオンビームの関連パラメータを提供して、後続の補償を促進する。
一つの実施例中、図1では、第一検出器14aはホルダー装置13に固定されているが、これに限定されない。図4に示されるように、第一検出器14aはホルダー装置13と一緒に作動する;又は、図5に示されるように、ホルダー装置13と別に作動する。例えば、第一検出器14aは、第一方向に沿って移動して、第二イオンビーム112の関連パラメータを取得し、ホルダー装置13は、開始位置、又は、基板の搭載位置で維持できる。
再度、図1を参照すると、一つの実施例中、本発明のイオン注入システム1は、第二イオンビーム112の下流に設置される第二検出器14bを含む。例えば、第二検出器14bはホルダー装置13の後端に設置される。ホルダー装置13が第二イオンビーム112の経路上にない時、第二検出器14bは、すぐ、第二イオンビーム112の関連パラメータを取得して、第二イオンビーム112を調整する基準とする。別の例では、スキャン時、第二検出器14bは、第一検出器14aにより遮断されない一部の第二イオンビーム112の関連パラメータを得ることができる。一つの実施例中、第二検出器14bの検出領域141は、第二イオンビーム112の投射領域より大きい。注意すべきことは、イオンビーム生成器11から第二検出器14bのイオン移動経路は、真空容器(図示しない)により包まれ、且つ、イオン注入期間中、一定程度の真空環境で維持する。
図6を参照すると、本発明の別の実施例によるイオン注入システム1aは、質量分離装置12とホルダー装置13との間に設置されるスキャン装置16を含む。スキャン装置16は、第二イオンビーム112を偏向させて、第二イオンビーム112が、左右方向と上下方向に沿って、基板100をスキャンすることができるようにする。又は、別の状況下で、イオン注入システム1aは、さらに、駆動装置15を含む。この時、スキャン装置16は、左右方向に沿って、第二イオンビーム112を偏向させ、駆動装置15はホルダー装置13を駆動して、上下方向に移動させる。第二イオンビーム112、及び、ホルダー装置13間の相対移動により、第二イオンビーム112は、左右方向と上下方向に沿って、基板100を完全にスキャンすることができる。例えば、図7a、7b、及び、7cを参照すると、第二イオンビーム112は、領域W2で、左右方向に沿って、基板100をスキャンすると同時に、基板100が、領域W1で、上下方向に沿って移動する。よって、第二イオンビーム112のスキャン領域は、図7c中に示されるスキャン領域200に等しい。図7cに示されるスキャン領域200から分かるように、ガウス分布状のイオンビームで二次元スキャンする状況下で、第一検出器14aの長さが、イオンビームの投射高度を被覆するのに十分である、又は、一次元スキャンの状況下で、第一検出器14aの長さが、第二イオンビーム中の興味のある領域の高度を被覆し、且つ、この領域が基板100の尺寸を被覆するだけで、第二イオンビーム112の関連パラメータが完全に取得できる。
本発明のイオン注入システムは、イオン注入実行時、イオンビームの投射領域を通過する第一検出器を含み、イオンビームの関連パラメータを取得する。よって、本発明のシステムは、第一検出器により取得されたイオンビームの関連パラメータに基づいて、即時にシステムの製造パラメータを調整する、又は、異常を検出して、直ちに工程を中止し、好ましいイオン注入効果を得る。
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0008】
1 イオン注入システム
1a イオン注入システム
100 基板
11 イオンビーム生成器
111 第一イオンビーム
112 第二イオンビーム
12 質量分離装置
121 シールド
13 ホルダー装置
14a 第一検出器
14b 第二検出器
141 検出領域
15 駆動装置
16 スキャン装置
200 スキャン領域
300 投射領域
W1、W2 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン注入システムであって:
第一イオンビームを生成するイオンビーム生成器;
前記第一イオンビームの下流に設置されて、前記第一イオンビーム中から、必要なイオンを含む第二イオンビームを分離する質量分離装置;
前記第二イオンビームの下流に設置され、少なくとも一つの基板を固定し、前記第二イオンビームと共に、第一方向に沿って相対往復移動して、前記基板を前記第二イオンビームの投射領域に通過させるホルダー装置;及び
前記第二イオンビームに相対して往復移動すると共に、前記第二イオンビームの前記投射領域を通過して、前記第二イオンビームの関連パラメータを取得する第一検出器、
を含むことを特徴とするイオン注入システム。
【請求項2】
前記第一検出器の検出領域の短軸は、前記第二イオンビームの前記投射領域より小さいことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項3】
前記第一検出器の検出領域の長軸は、前記基板の尺寸より大きいか等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載のイオン注入システム。
【請求項4】
前記第一検出器は、前記基板周囲に設置されることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載のイオン注入システム。
【請求項5】
前記ホルダー装置は複数の前記基板を固定し、且つ、前記第一検出器は、前記複数の基板の間に設置されることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載のイオン注入システム。
【請求項6】
前記第一検出器と前記ホルダー装置は、離れて設置されて、前記第一検出器と前記ホルダー装置が、前記第一方向に沿って移動、又は、独立して作動することを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載のイオン注入システム。
【請求項7】
前記第二イオンビームは、リボン状又はガウス分布状であることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか一項に記載のイオン注入システム。
【請求項8】
前記第二イオンビームの関連パラメータは、ビーム電流、平行度、入射角度、イオンビーム密度、電荷センサー応答、イオン輪郭形状又は上述の組合を含むことを特徴とする請求項1から7のうちいずれか一項に記載のイオン注入システム。
【請求項9】
前記基板は半導体ウェハを含むことを特徴とする請求項1から8のうちいずれか一項に記載のイオン注入システム。
【請求項10】
さらに:
前記ホルダー装置と連接され、前記ホルダー装置を駆動して、前記第一方向に沿って往復移動させる駆動装置を含むことを特徴とする請求項1から9のうちいずれか一項に記載のイオン注入システム。
【請求項11】
前記駆動装置は、さらに、前記ホルダー装置を駆動して、第二方向に沿って移動させ、前記第二方向と前記基板がある平面は平行であるか、又は、一つの角度で傾斜していることを特徴とする請求項10に記載のイオン注入システム。
【請求項12】
さらに:
前記質量分離装置、及び、前記ホルダー装置の間に設置され、前記第二イオンビームを偏向させて、前記基板を往復通過させるスキャン装置を含むことを特徴とする請求項1から9のうちいずれか一項に記載のイオン注入システム。
【請求項13】
さらに:
前記ホルダー装置と連接し、前記ホルダー装置を駆動して、第二方向に沿って移動させ、前記第二方向と前記基板がある平面は平行であるか、又は、角度傾斜している駆動装置を含むことを特徴とする請求項12に記載のイオン注入システム。
【請求項14】
さらに:
前記第二イオンビームの下流に設置され、前記第二イオンビームの前記関連パラメータを取得する第二検出器を含むことを特徴とする請求項1から13のうちいずれか一項に記載のイオン注入システム。
【請求項15】
前記第二検出器は、スキャン期間中、前記第一検出器と実質上、同時に作動すると共に、前記第一検出器と相補して、前記第一検出器により遮断されない一部の前記第二イオンビームの関連パラメータを得ることを特徴とする請求項14に記載のイオン注入システム。
【請求項16】
前記第二検出器の検出領域は、前記第二イオンビームの前記投射領域より大きいことを特徴とする請求項14に記載のイオン注入システム。
【請求項17】
前記第一検出器は、前記ホルダー装置に固定されることを特徴とする請求項1から16のうちいずれか一項に記載のイオン注入システム。
【請求項18】
前記第一検出器は、取り外し可能な方式で、前記ホルダー装置に接続されることを特徴とする請求項1から16のうちいずれか一項に記載のイオン注入システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【公開番号】特開2012−234815(P2012−234815A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−103408(P2012−103408)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(512112677)漢辰科技股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】