説明

イオン注入器電極

【課題】イオン注入器の性能を向上させる。
【解決手段】イオン注入器の性能を向上させることができるように、減速電極の1つ以上の開口部が
成形されている複数の電極を備える減速レンズアセンブリを有するイオン注入器が提供される。一実施形態において、電極開口部は、概して楕円形状であり、該開口部を通過するビームの形状と概して一致する。別の態様においては、軸セグメントは、開口部の中心から該セグメントの端部における中間点まで該開口部の長さの40%伸びている。該中心から該中間点までの各点で測定した該開口部の平均幅は、該開口部の最大幅よりも実質的に小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「Ion Impranter Electrodes」と題され、2003年10月17日に出願された出願番号第10/688,072号の特許出願の一部継続出願であり、本出願の譲受人に譲渡されている。
【0002】
[0001]本発明は、電子デバイス製作において半導体ウェーハなどのイオン基板にイオンを注入するためのイオン注入器に関し、特に、商業規模でウェーハを処理することができるイオン注入器に関する。
【背景技術】
【0003】
[0002]イオン注入技術は、集積回路の製造で採用されるプロセスの1つとして、半導体材料の事前に画成された領域において、これらの領域を所定の濃度の不純物原子でドープすることによって電気輸送特性を修正するために広く使用される。この技術は概して、事前に選択されたイオン種のビームを発生させることと、該ビームをターゲット基板に向けることとを伴う。イオン注入の深さはとりわけ、基板でのイオンビームのエネルギに左右される。単一のウェーハ上のデバイスの密度が大きくなり、かつ個々のデバイスの横方向寸法が超大規模集積回路(ULSI)に関して小さくなると、例えば約0.2keV〜10keVの低エネルギイオンを使用して浅い接合を形成するイオン注入器の性能はますます有用になる。同時に、商業的イオン注入において、できるだけ短時間に個々のウェーハを処理できるということもまたしばしば有用である場合もある。多くの用途において、短縮された処理時間は、大きなイオンビーム電流を提供することによって実現される。しかし、空間電荷効果により、低エネルギで大電流イオンビームを輸送するのは、多くの場合困難である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】米国特許第5,932,882号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0003]米国特許第5,932,882号は、イオンビームが高エネルギで輸送されて、ビームが基板に当たる直前により低いエネルギに減速される一従来技術について説明している。本参照のイオン注入器は、イオン源を含むイオンビーム発生器と、該源からイオンを抽出して、イオンビームを形成する抽出電極アセンブリとを備える。抽出電極アセンブリは、イオンビームが成形されるアパーチャを通常有する1つ以上の電極を備える。該イオンビーム発生器に隣接するマグネットは、該イオンビームの質量に従って該ビームイオンを空間分解する。飛行管は、該ビームを輸送エネルギで輸送し、基板ホルダーは、ビームイオンが注入される基板を保持する。減速レンズアセンブリに減速電位を印加するように、該飛行管と該基板ホルダーとの間に接続された減速電位発生器は、ビームイオンを所望の注入エネルギまで減速させる。該飛行管と該基板ホルダーとの間に設置された該減速レンズアセンブリは、該イオンビームが通る開口部を通常有する複数の電極を備える。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0004]イオン注入器の性能を向上させることができるやり方で、減速電極の1つ以上の開口部が成形される複数の電極を備える減速レンズアセンブリを有するイオン注入器が提供される。一実施形態において、電極開口部は、概して、楕円形であり、該開口部を通過するビームの形状に概して適合する。幾つかの用途においては、楕円形状または同様の形状は、イオン注入器の減速電極アセンブリの開口電極により発射された、または、他の方法で該開口電極に影響される電界の異常を低減することができると考えられている。
【0007】
[0005]例示的な一実施形態において、開口部は、中心点を画成する周辺部を有する。長手方向軸は、該中心と、該周辺部の対向端部における2つの端点とを通る。該開口部の最大長は、それら周辺部の端点の間の軸に沿って測定される。また、横軸も、該中心点と、該開口部の対向端における2つの周辺部中点とを通る。該開口部の最大幅は、それらの周辺部側点の間の横軸に沿って測定される。
【0008】
[0006]一実施形態において、上記開口部の幅は、各開口部端点に対して、側部中点における横軸に沿って測定される最大幅の点から単調に減少する。別の態様においては、該開口部の平均幅は、該開口部の最大幅よりも小さい。より詳細な実施形態においては、軸セグメントは、該開口部の中心から該セグメントの端部における中間点まで、該開口部の長さの40%伸びている。該中心から該中間点までの各点において測定された該開口部の平均幅は、該開口部の最大幅よりも実質的に小さい。例示した実施形態において、このセグメントの該点に沿って測定したときの該開口部の平均幅は、特定のレンズ素子の適用により、20〜100mmの範囲である。これらの長さも、機械寸法で測ってもよい。
【0009】
[0007]楕円形と同様である開口部形状が、ビーム伝送を増大させ、電極電界の異常を低減し、あるいは、他の利点をもたらす可能性があることが認識されている。例えば、一実施形態において、細長い開口部を非楕円形とすることができるが、それでも該開口部の幅は、楕円形の開口部の場合と同様に、側部中点から各開口部端点まで単調に減少する。また、該開口部の中心から1つのセグメントの端部における中間点まで該開口部の長さの40%の長さを有する軸セグメントの各点で測定した該開口部の平均幅は、該開口部の最大幅よりも実質的に小さい。
【0010】
[0008]また別の実施形態においては、非円形で、細長くない開口部も、イオン注入器の性能を向上させると考えられる。例えば、部分的に正方形状であり、かつ4つの徐々に丸くなる角を有する開口部。この実施形態において、該開口部の幅は、側部中部における横軸に沿って測定した最大幅から各開口部端点まで単調に減少する。また、該開口部中心から、セグメントの端部における中間点までの該開口部の長さの40%の長さを有する軸セグメントの各点で測定した該開口部の平均幅は、該開口部の最大幅よりも実質的に小さい。また別の実施形態は、円形開口部を有してもよい。
【0011】
[0009]本発明に対して追加的な態様がある。そのため、先行のものは、本発明の幾つかの実施形態および態様の単に概要であることを理解すべきである。本発明の追加的な実施形態および態様を以下に言及する。更に、開示した実施形態に対する多数の変更を、本発明の趣旨または範囲を逸脱することなく実行することができることを理解すべきである。そのため、先行の要約は、本発明の範囲を限定することを意図していない。そうではなく、本発明の範囲は、添付請求項およびそれらの等価物によって判断すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】減速電極の従来の開口部の概略図である。
【図2】本発明の実施形態による電極を採用することができるイオン注入器の一実施例の概略図を示す。
【図3】図2の減速レンズ電極アセンブリの概略電気図である。
【図4】図2および図3に示す接地電極の概略正面図を示す。
【図5】図4の電極の開口部の概略図である。
【図6】減速電極の開口部の代替の実施形態の概略図である。
【図7】減速電極の開口部の、別の代替の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[00010]次に、本発明の実施形態の実施例を、図面を参照して説明する。
【0014】
[00011]一実施形態によるイオン注入器を図2に符号1で概して指し示す。イオン注入器1は、イオンからなるビームを発生するイオンビーム発生器3を備える。該イオンビーム発生器に隣接するマグネット5は、該ビームイオンをその質量に従って空間分解する。分析マグネット5に隣接して配置されたイオン選択器7は、ターゲット基板に注入されるイオン種を選択し、該マグネットによって該ビームイオンから既に空間分解されている他のイオンを拒絶するのに使用される。イオン選択器7に隣接して配置された減速レンズ電極アセンブリ9は、イオンの速度を遅らせることにより、注入前のイオンビームの最終的なエネルギを制御する。イオン選択器7と電極アセンブリ9との間に位置決めされたスクリーニングアセンブリは、電極アセンブリ9からイオン選択器7への電極の貫通を低減する。電極アセンブリ9から離間された支持体またはホルダー11は、ビームイオンが注入されるターゲット基板12を支持する。注入装置1は、ウェーハのバッチまたは単一のウェーハシステムに注入するバッチシステムとすることができる。電極アセンブリ9と基板支持体11との間に配置されたプラズマフラッド発生器13は、電子および他の荷電粒子を、該ターゲット面の近くのイオンビームに導入して、該ビームとウェーハ表面を中和する。基板支持体11の下流に位置決めされたイオンビーム収集器14は、線量測定のためのビームストップおよびイオン電流検出器として機能する。
【0015】
[00012]図3〜図7について説明すると、減速レンズ電極アセンブリ9は、プリフォーカシング開口プレート電極60と、第1の開口プレート電極60の開口部62を通過するビーム146のビームイオンのための集束フィールドを提供する、開口プレート電極60に隣接して設置されたフィールド電極または集束電極61とを備える。フィールド電極61は、概して円形の対称性を有し、上記スクリーニングアセンブリのプレート電極60の出口開口部62に隣接してかつ該開口部と実質的に同軸に開口部63を画成する。代替の実施形態においては、該電極は、円形以外の形状を有してもよく、また、ビーム操縦を可能にするために、互いにオフセットされていてもよく、または、互いに対してよじれていてもよい。該減速レンズアセンブリは更に、該ターゲットの電位にある開口接地プレート電極65を備える。この実施形態において、該ターゲットは、接地電位に維持されている。他の電位を利用してもよいことは当然認識される。接地プレート電極65は、ビーム146に対して概して直角に配置されており、該イオンビームが通ることができる別の開口部67を画成し、この別の開口部67は、フィールド電極開口部63に隣接して配置されている。該電極を、該ビームに対しておよび互いに他の位置に配置してもよいことが認識されている。
【0016】
[00013]以下に詳細に説明するように、減速電極60、61および65の1つ以上の開口部62、63および67は、それぞれ、イオン注入器1の性能を向上させることができるように成形することができる。例えば、図4および図5は、接地プレート電極65の開口部67の正面を概略的な形態で示す。図示の実施形態において、開口部67は、概して楕円形状であり、開口部67を通過するビーム146の形状に概して一致する。対照的に、従来の減速電極の開口部は、図1に概略的に描くように、多くの場合、概して矩形状であったと考えられる。
【0017】
[00014]楕円形または同様の形状が、上記減速アセンブリ電極を介したビームの透過を増加させると共に、良好なビーム透過を維持できることが本発明者等によって見出されている。更に、楕円形または同様の形状が、イオン注入器の減速電極アセンブリの電極内の上記開口部内および該開口部間の電界の詳細な形態に関連する該ビームの異常を低減することができると考えられる。
【0018】
[00015]フィールド電極61およびプレート電極65に形成された開口部63および67は、それぞれ、それらの開口部における該ビームの断面積よりも大きく形成されている。該イオンビームは、電極61、65を実質的にクリップすることなく、まっすぐ通過することができ、また、実質的にほとんどのまたは全ての該ビームを透過させることができる。所定の質量のイオン、および開口部63、67の各々と、分析マグネット5との間の距離に対して、該ビームの断面積は、該イオンビーム発生器およびマグネットの光学系、該マグネットの分解能および質量分解スリットの幅等の要素に依存し、該要素の各々は、減速装置およびターゲット基板における該ビームの断面積を制御するのに使用することができる。幾つかの用途においては、1つ以上の上記電極の開口部が、該ビームの断面積よりも小さいことが適切であることが認識されている。
【0019】
[00016]図示の実施形態において、フィールド電極61および接地電極65に形成されたビーム開口部は、該ビームの断面形状に良好に一致するように細長くなっている。それに伴って、電極65の開口部67の長さLは、図5に示すように、開口部67の幅Wよりも大きい。「長さ」という用語は、本明細書中で使用する場合、該開口部の伸長方向における寸法を指し、また、「幅」という用語は、該伸長方向に垂直な方向における寸法を指す。一実施形態において、フィールド電極61のビーム開口部63および開口されたプレート電極65のビーム開口部67は、約90mm長の寸法と、約.85の幅と長さの比とを有する。適した楕円形開口部の別の実施例は、約.75の幅と長さの比と共に、70mm長に近い寸法を有する。0.2〜1または.5〜1程度の範囲内の幅と長さの比は、各用途の詳細により、多くの用途に適していると考えられる。伸長方向は、垂直方向、水平方向または他の方向とすることができ、また、上記開口部は、横長にしてもよいことを認識すべきである。従って、0.2〜1.5程度の範囲の幅と長さの比が、多くの用途に適している。
【0020】
[00017]図5の実施形態において、開口部67は、中心点Cを画成する周辺部70を有する。長手方向軸Hは、中心Cと、周辺部70の対向端部における2つの開口部端点E1およびE2とを通過する。開口部67の最大長Lは、開口部端点E1と開口部端点E2との間で軸Hに沿って測定される。また、横軸Tは、中心点Cと、開口部67の両側における2つの開口部中間点M1およびM2とを通過する。開口部67の最大幅Wは、側部中間点M1と側部中間点M2との間で該軸Tに沿って測定される。
【0021】
[00018]上記開口部の幅は、(側部中間点M1、M2間で横軸Tに沿って測定された最大幅W0を有する)中心点Cから、各開口部端点E1、E2まで単調に減少することが分かっている。加えて、該開口部の平均幅は、開口部67の最大幅W0よりも小さい。図示の実施形態において、軸セグメントは、開口部中心Cから該セグメントの端部における中間点l1まで、開口部67の長さLの40%伸びている。中間点l1で測定した場合の開口部67の幅は、幅W1で指し示されている。中心Cと中間点l1との間で軸Hに沿って第2の中間点l2で測定した場合の開口部67の幅は、幅W2で指し示されている。中心Cから中間点l1の各点で測定した開口部67の平均幅は、開口部67の最大幅W0よりも実質的に小さい。種々の実施形態において、このセグメントの点に沿って測定した場合の該開口部の平均幅は、通常、例えば、その用途により、最大幅の50〜98%とすることができる。
【0022】
[00019]対照的に、図1は、概して矩形状であるが、角K1等の角においてわずかに丸みがある従来の減速電極開口部72を示す。この細長い開口部72は、中心点C、長手方向軸H、横軸T、長手方向軸Hに沿った開口部端点E1、E2および横軸Tに沿った開口部中点M1、M2を画成する。軸セグメントは、開口部中心Cから、該セグメントの端部における中間点l1まで開口部72の長さLの40%伸びている。中間点l1で測定した場合の開口部72の幅は、幅W1で指し示されている。中心Cと中間点l1との間で軸Hに沿って第2の中間点l2で測定した場合の開口部72の幅は、幅W2で指し示されている。開口部72のこれらの幅W0、W1およびW2は、実質的に等しい。実際には、中心Cから中間点l1までの各点で測定した開口部72の平均幅は、開口部72の最大幅W0に実質的に等しい。
【0023】
[00020]楕円形と同様である開口部形状は、ビームの透過を増し、上記電極の電界の異常を低減し、あるいは、他の利点をもたらす可能性があることが認識されている。例えば、一実施形態において、中心点C、長手方向軸H、横軸T、開口部端点E1、E2および開口部中間点M1、M2を画成する細長い開口部74(図6)は、非楕円形とすることができるが、それにもかかわらず、該開口部の幅は、(想像線で示す)開口部67の場合と同様に、側部中間点M1、M2から各開口部端点E1、E2まで単調に減少する。
【0024】
[00021]また、軸セグメントは、開口部中心Cから、該セグメントの端部における中間点l1まで該開口部74の長さLの40%伸びている。中間点l1で測定した場合の開口部74の幅は、幅W1で指し示されている。中心Cと中間点l1との間で該軸Hに沿って第2の中間点l2で測定した場合の開口部74の幅は、幅W2で指し示されている。中心Cから中間点l1まで、各点で測定された開口部74の平均幅は、開口部74の最大幅W0よりも実質的に小さい。
【0025】
[00022]幾つかの用途においては、電極開口部62、63および67のうちのいずれかは、(それらの開口部は、本明細書において説明および請求したように、楕円形または他の形状とすることができるが)例えば、約75mmの径を有する概して円形とすることができる。他の用途においては、減速電極60の開口部62は、特定の用途により、幾つかの実施形態に対してイオン注入器の性能を向上させると考えられている非円形の細長くない開口部の一実施例を提供する。例えば、図7に示す実施形態において、開口部62は、部分的に正方形状であり、4つの徐々に丸くなる角を有する。この形状の開口部は、接地プレート電極65が、例えば、85×65等のより小さい縦横比を有する用途に適している。
【0026】
[00023]図7の開口部62は、中心点Cを画成する。第1の軸Hは、中心Cを通り、2つの開口部端点E1およびE2において、2つの対向側部S1、S2と直交する。開口部62の長さLは、開口部端点E1と開口部端点E2との間で軸Hに沿って測定される。また、直交する横軸Tは、中心点Cと、開口部67の対向側部S3、S4における2つの開口部中間点M1およびM2とを通る。開口部62の最大幅Wは、開口部中間点M1と、開口部中間点M2との間で軸Tに沿って測定され、図7の実施例において80mmである開口部62の長さLと実質的に等しい。徐々に丸くなる角は、例えば、約20mmの半径を有することができる。該開口部は、概して正方形である必要はないが、例えば、本明細書で説明したような平均開口部幅を提供できる丸みのある角を有する、概して矩形状等の他の形状を有することができる。
【0027】
[00024]開口部62の幅が、側部中点M1、M2で横軸Tに沿って測定した最大幅W0から各開口部端点E1、E2まで単調に減少することが分かる。加えて、該開口部の平均幅は、開口部62の最大幅W0よりも小さい。図示の実施形態において、軸セグメントは、開口部中心Cから該セグメントの端部における中間点l1まで、開口部62の長さLの40%伸びている。中間点l1で測定した場合の開口部62の幅は、幅W1で指し示されている。中心Cと中間点l1との間で軸Hに沿って第2の中間点l2で測定した場合の開口部62の幅は、幅W2で指し示されている。中心Cから中間点l1まで、各点で測定した開口部62の平均幅は、開口部62の最大幅W0よりも実質的に小さい。
【0028】
[00025]図4〜図7の実施形態において、開口部62、63、67および74は、それぞれ、上述した各軸周りに対称的である。加えて、開口部67、74の各々の幅は、側部中間点M1、M2から各開口部端点E1、E2まで単調に減少する。しかし、対称的ではない、あるいは、単調に減少する幅を有しない他の開口部も、説明された実施形態による改良されたイオン注入器の説明を提供できることが認識されている。例えば、比較的鋭い角が減らされ、またはなくされるように、比較的滑らかに変化する幅を有する細長い開口部は、イオン注入器の性能を向上させると考えられる。
【0029】
[00026]一実施形態において、最後の開口電極65に形成された開口部67は、フィールド電極61で生じる電界からビーム中和装置13の強化されたスクリーニングを提供できるように、長さLおよび幅Wの両方とも、フィールド電極61の開口部63(例えば、95×80mm)よりも小さい(例えば、85×65mm)。該フィールド電極と最後の開口されたプレート電極65との間の開口部幅のわずかな縮小は、該フィールド電極と最後の開口された電極との間の開口部高さのわずかな縮小よりも大きい。米国特許第5,932,882号に記載されているのと同様に、上記イオンビームが上記質量分解スリットを通過する際、該ビームは、該ビームが、空間電荷効果により、垂直方向に伸びるときより速いレートで横方向に拡がる傾向があるように、鉛筆状の断面形態を有している。該開口部の幅の間のより大きな縮小は、該イオンビームの幅の全域で横方向の集束力を強めて、この方向におけるより高い拡大レートの影響を弱める。最後の開口されたプレート電極65およびフィールド電極61のビーム開口部構造は、減速レンズの集束容量を増やすので、該ビームの適切な集束を提供するのに必要な、該フィールド電極の該第1のおよび最後の開口された電極に対する電位を低減することができ、それにより、該フィールド電極開口部を通過する際に、該輸送エネルギよりも高く、該イオンビームにより一時的に達せられるエネルギが低減される。このことも、残留ガス原子との電荷交換によりこの領域で作成された高速中性粒子のエネルギを低減する。
【0030】
[00027]フィールド電極61、プレート電極65およびプリフォーカシング電極60の直径は、この実施例において、それぞれ、約250mm、200mmおよび225mmである。該電極は、それぞれ、グラファイトまたは他の適した材料から作ることができる。
【0031】
[00028]図示の実施形態において、イオンビーム発生器3は、その正面に形成された出口開口部を有するアークチャンバを含むイオン源を備える。抽出電極アセンブリ20は、該出口開口部から離間されている(例えば、2つまたは3つ等の)多数の電極を含む。抽出アセンブリ20は、該アークチャンバからイオンを抽出して、イオンビームを形成する。該アークチャンバの該出口開口部に近接している該抽出電極は、該ビーム発生器より前の電子が該アークチャンバに流れることを防ぐ抑制電極として機能する。
【0032】
[00029]質量分析マグネット5の2つの極の間に位置決めされた飛行管は、ビーム発生器3からイオンビームを受取る。該イオンビームの輸送エネルギは、該飛行管と該イオン源との間の電位差の関数である。この特定の実施形態において、該分析マグネットの磁界強度および該マグネットを通るイオンビームのエネルギは、適切な質量および荷電状態を有するイオンが、イオン選択器7、電極アセンブリ9およびプラズマフラッド発生器13を通る上記ウェーハへの経路に対して約90度それているように選ばれる。それに応じて、該飛行管は、該分析マグネットの出口開口部が該マグネットの入口開口部に対して直角になる状態で構成されている。
【0033】
[00030]イオン選択器7は、上記ビームに沿って互いに距離を隔てて離間されており、かつ共同して、上記ターゲット基板に注入される、正確な質量および荷電状態のイオンを選択すると共に、分析マグネット5を通過する他の空間分解されたイオンを受け入れない一連の開口部を画成する一連の個別の素子を備える。この特定の実施形態において、イオン選択器7は、該マグネットから出てくる不必要なイオン種のほとんどを受け入れないプレート電極と、選択されたイオン種のみを通す可変幅質量分解スリットを一緒に画成する一組の素子と、該イオンビームの高さを画成する別の素子とを備える。しかし、質量分解素子の数およびそれらの構造は変えてもよい。
【0034】
[00031]上記イオン選択器アセンブリは、上記飛行管の一部を形成し、かつ上記マグネットと電極アセンブリ9との間に配置されているチャンバ内に収容されている。上記質量分解チャンバを含む該飛行管は、それによって該ビームが上記イオンビーム発生器から電極アセンブリ9へ輸送される手段を提供する。該質量分解チャンバの壁は、ビームラインの方向に伸び、概して円筒形の外皮を画成する部分と、該ビームラインと直角に配置されたプレート開口部を構成し、かつ該ビームがそこを通ることができる開口部を画成する、該円筒形部分に隣接する横断面部分であって、該開口部が、イオン選択器7の最後の素子に隣接している横断面部分とを備える。該横断面部分は、イオン選択器7を、該イオン選択器の下流から生じる電界からスクリーニングする静電スクリーンを形成する。
【0035】
[00032]この特定の実施形態においては、上記チャンバを空にする真空ポンプに接続されている真空ポートが、上記分析マグネット5の近傍の該チャンバ壁に形成されている。別の実施形態では、この真空ポートが省略されている。スクリーニングアセンブリは、電極アセンブリ9から上記出口開口部を介した上記質量分解チャンバ内への電界の貫通を低減するために、該質量分解チャンバの該出口開口部と、電極アセンブリ9との間に位置決めされている。該スクリーニングアセンブリは、円筒形電極と、電界画成プレート電極とを備える。該スクリーニングアセンブリの開口されたプレート電極は、イオン選択器7の下流で生成された電界からの、更に、特にフィールド電極61で生じる電界からの、イオン選択器7のさらなるスクリーニングを提供できるように、減速レンズ60の第1の素子の上流に設置されている。この特定の実施形態においては、追加的なスクリーニングプレート電極が、該減速レンズの第1の素子60から上流へ伸びるスタンドオフに取付けられている。
【0036】
[00033]上記スクリーニングアセンブリの円筒形電極は、上記質量分解チャンバの出口開口部と、および該質量分解チャンバ壁の横断面部分(または下流端部)に隣接して位置決めされかつ該横断面部分に接続された一端部と同軸に配列されている。該スクリーニングアセンブリの円筒形電極は、該質量分解チャンバの下流に伸びており、追加的なスクリーニングを提供できるように、かつ減速レンズ60の第1の電極の取付けを可能にするために、その下流に形成された内側に伸びる径方向フランジを有してもよい。開口部62を含む開口されたプレート電極60は、該スクリーニングシリンダの下流端部に取付けられている。後者も該追加的なスクリーニングプレート電極を囲む。この実施形態において、該スクリーニングアセンブリシリンダ、減速レンズ60の第1の素子およびスクリーニングアセンブリプレート電極は全て、上記飛行管に電気的に接続されている。該飛行管とターゲットチャンバは、イオン発生システムおよび該飛行管と同様に、絶縁体で分離されている。
【0037】
[00034]使用しても使用しなくてもよい上記スクリーニングアセンブリの電界画成プレート電極は、その中心に開口部が形成された円形プレートを備える。該電界画成プレート電極は、該スクリーニングアセンブリの円筒形電極内に取付けられ、かつ該円筒形電極によって支持されており、また、(このことは変更してもよいが)該円筒形電極の端部間の中ほどで、ビーム軸と直角に位置決めされている。該スクリーニングアセンブリ電極の開口部は、楕円形、矩形状または正方形とすることができ、一実施形態においては、電極アセンブリ9に向かって外側に徐々に先細になってもよい。この実施例において、該開口部は、正方形であり、約60mmの幅を有する。該スクリーニングアセンブリの円筒形電極および電界画成プレート電極は、それぞれ、グラファイトまたは他の適した材料で作ることができる。
【0038】
[00035]この実施形態において、プラズマインジェクター13は、ターゲットの近傍で、低エネルギの電子およびイオンをイオンビームに導入するプラズマフラッドシステムを備える。該プラズマフラッドシステムは、該イオンビームが、プレート電極開口部67からそこを通ってターゲット基板12へ達することができ、該イオンビーム付近で該プラズマフラッドシステムからの電子を維持し、かつ該プレート電極開口部と上記ウェーハとの間のイオンビームの部分をそれた電界からスクリーニングする導管または閉じ込め管を含む。発生器13の開口されたプレート電極は、該閉じ込め管の内部のフィールド電極61からの電界からの追加的なスクリーニングを提供できるように、減速アセンブリ9の開口されたプレート電極に隣接して、該閉じ込め管の上流に位置決めされている。
【0039】
[00036]この実施形態において、上記イオン注入器は更に、上記イオン源にバイアスをかけるイオン源の電圧源と、抑制電極にバイアスをかける抑制電極の電圧減と、上記飛行管にバイアスをかける飛行管の電圧源175と、上記質量分解チャンバと、上記スクリーニングアセンブリと、抽出アセンブリ20の適切な電極とを備える。フィールド電極の電圧源177は、フィールド電極61にバイアスをかける。減速レンズアセンブリ9における第1の電極を形成するプリフォーカシング電極60は、電圧源175によって、飛行管の電位に維持される。一実施形態において、フィールド電極61は、電極60よりもよりマイナスの電位にバイアスされる。
【0040】
[00037]プラズマフラッドの電圧源は、上記電子閉じ込め電極およびプラズマフラッド発生器13の開口されたスクリーニングプレート電極にバイアスをかける。この実施形態において、上記減速レンズの開口されたプレート電極65、ターゲット基板ホルダー11および基板12は、接地電位に維持され、これは、該ターゲット基板の取り扱いを容易にし、該ターゲット支持アセンブリを単純化し、他の電極にとって都合のよい基準電位として作用する。
【0041】
[00038]次に、イオンを低エネルギで注入するように上記イオン注入器を作動させる方法を、単に例示を目的として特定の実施例に関して説明する。イオン注入エネルギは、基板12と上記イオン源との間の電位差によって決まる。該基板が接地電位に維持されている場合、上記イオン源の電圧源は、アースに対して、所望のイオン注入エネルギに相当する量だけ正にバイアスされる。例えば、2keVの注入の場合、該イオン源の電圧源は、+2keVにバイアスされる。該イオンビームの抽出エネルギとも呼ばれる、分析マグネット5および上記質量分解チャンバを通る該イオンビームの輸送エネルギは、該イオン源と上記飛行管との電位差によって決まり、これは、該飛行管の電圧源によって制御される。従って、例えば、該イオンビームを該飛行管を介して10keVのエネルギで輸送するために、該飛行管は、該イオン源に対して−10keV、または、アースに対して−8keVにバイアスされる。該イオンビームは、実質的に一定のエネルギで、該分析マグネットを通って輸送され、該イオンビーム中の異なるイオン種は、それらの質量および荷電状態に従って、該マグネットによって空間分解される。空間分解されたビームは、上記質量分解チャンバ内に入り、そこで、該ビームはまず、分析マグネット5に近接して、イオン選択器7のプレート電極によって画成された、事前に画成されている開口部を通過する。このプレート電極は、空間分解されたビームに対する粗い第1段フィルタとして作用し、該注入に必要のない該空間分解されたイオン種の一部を遮断する。分析マグネット5から離間されており、ビームラインに沿って互いに軸方向に配置されている上記第2および第3の素子は、可変幅質量分解スリットを画成し、その位置は、フィルタリングされたビームから注入すべきイオン種を選択するために、該ビームラインと直角の方向に変更することができる。
【0042】
[00039]一実施例として、BF3を供給材料として用いるボロン注入においては、上記分析マグネットを出てくる空間分解されたビームは、BF2、BF、BおよびFイオンを含んでもよく、該分子およびボロンイオンは、ボロン10Bおよび11Bのいずれかのアイソトープを含むことになる。従って、ボロン11の注入の場合、事前に画成された素子135および質量分解素子は、11Bを除いて全てのイオン種を除去することになる。
【0043】
[00040]上記ビームが上記質量分解チャンバを横断する際、該ビームのエネルギは、一定に、この実施例において、10keVに維持されている。この10keVの質量分解されたビームは、該質量分解チャンバの出口開口部を通り、上記スクリーニングアセンブリを通って、電極アセンブリ9に達する。
【0044】
[00041]電極61は、上記質量分解チャンバの電位、すなわち、電極60の電位よりもよりマイナスである電位にバイアスされている。フィールド電極61に印加される電位の大きさは、接地されたプレート電極65の最後の開口部67の領域に静電集束電界を確立するのに十分である。−3keV〜−30keVの電位(この範囲外の電圧を用いることもできるが)および好ましくは、プレート電極65の電位に対して−25keVは、最後のレンズ開口部67に所要の集束電界を確立して、該ビームイオンを、最後のレンズ開口部67と上記ターゲット基板との間のビーム内に維持するのに十分である。
【0045】
[00042]この実施例において、上記質量分解されたビームがフィールド電極61に近づく際、該ビームは、上記イオン源とフィールド電極61の電位差によって実質的に画成されるエネルギに対して、10keVの輸送(抽出)エネルギよりも高く一時的に加速される。該ビームは、フィールド電極開口部63を通過した後、フィールド電極開口部63と最後の開口部67との間のギャップ内で、実質的に所要の注入エネルギまで減速される。同時に、最終的な集束力が、スクリーニングアセンブリの開口部プレート60と該減速レンズのプレート電極65との間の領域およびちょうど越えた領域内で、該イオンビームに加えられる。
【0046】
[00043]上記イオンビームは、最後のレンズ開口部67と上記ターゲット基板との間の領域に入っていく。この領域において、該イオンビームは、実質的に所要の注入エネルギで該基板へ輸送される。今の低速ビームの膨張は、プラズマフラッドシステム13により、該ビームに低エネルギの電子を過剰に入れることにより最小化される。該プラズマフラッドシステムは、イオン注入時の、該ターゲット基板の表面帯電も最小化する。
【0047】
[00044]プロセスチャンバを空にできるように、真空ポンプに結合されている真空ポートが、該プロセスチャンバの壁に形成されている。該真空ポートの開口は、比較的大きく、注入中に該ターゲットの近くでポンピングを最適化するために、該ターゲット基板の領域において、ビームラインと平行に伸びている。減速レンズアセンブリは、特に、フィールド電極61と第2の開口されたプレート電極60との間の領域において、該レンズの内部をより効率的に空にできるように、該プロセスチャンバの真空出口ポートの直前に設置されており、このことは、該イオンビームの速い中性粒子および高エネルギ汚染物の生成のさらなる最小化を促進する。
【0048】
[00045]それに伴って、図3に示す減速レンズアセンブリは、該レンズ内の空間を、残留ガス圧力を最小化するように、またそれにより、該注入エネルギよりも高いエネルギの中性粒子を含む中性粒子の生成を最小化するように、効率的に空にできるように、構成および構築されている。
【0049】
[00046]図示の実施形態において、ビーム幅のプロファイルは、該ビームが分析マグネット5から減速レンズアセンブリを通ってターゲット基板12に達する際に、該ビームラインに沿って変化する。該マグネットの光学系は、上記質量分解素子によって画成された質量分解スリットで、該イオンビームを狭い焦点にさせる。該イオンビームが、該質量分解スリットを通り、該質量分解チャンバおよび追加的なスクリーニングプレート電極の開口部を通過するにつれて、該ビーム幅は徐々に拡大する。該ビームが、電極60のビーム開口部62に近づくにつれて、フィールド電極61と開口されたプレート電極60との間の電界は、輸送エネルギよりも高く加速されているイオンビームに最初に力を加える。
【0050】
[00047]上記イオンビームがフィールド電極61を通過して、フィールド電極61と最後の開口されたプレート電極65との間のギャップに入る際に、該ビームは、所望の注入エネルギに減速され、また、それらの電極間の電界は、該ビーム幅が狭くなって、最後の開口されたプレート電極65のビーム開口部67を通過するように、該イオンビームに集束力を加える。最終的に、該イオンビームは、該スクリーニングプレート電極のビーム開口部を介して中和装置13の電子閉じ込め管を通過して上記基板に達する。
【0051】
[00048]再び図11について説明すると、減速レンズアセンブリ9、プラズマフラッドシステム13およびターゲット基板支持体11は全て、上記質量分解チャンバに隣接して位置決めされ、かつ該質量分解チャンバの前端部に形成された開口部を介して該質量分解チャンバと連通しているプロセスチャンバ内に収容されている。該質量分解チャンバの前端壁と開口されたプレート電極60との間のスクリーニングシリンダは、該イオンビームを該プロセスチャンバ内のそれた電界からスクリーニングする。該質量分解チャンバ壁は、該プロセスチャンバの壁の一部を構成する電気的絶縁部材により、該プロセスチャンバ壁から電気的に絶縁されている。ビームライン(飛行管)は、同様に上記イオン源から絶縁されている。
【0052】
[00049]円筒形フランジを、最後の開口されたプレート電極65からフィールド電極61に向かって軸方向に伸ばすために設けてもよい。該円筒形フランジおよび第1の開口されたプレート電極65は、該イオンビームおよびフィールド電極61の周りにシールドを形成して、フィールド電極61と最後の開口されたプレート電極65との間に印加された電位差によって確立された電界を閉じ込めることができ、それにより、ターゲット基板12の近くの荷電粒子が上流のフィールド電極61へ流れるのを防ぎ、また同時に、該イオンビームを、該プロセスチャンバ内に存在するそれた電界からスクリーニングすることができ、該チャンバ内のそれた電界は、該イオンビームの荷電バランスを何らかの方法でひっくり返して、ビーム電流の損失を引き起こす可能性がある。
【0053】
[00050]フィールド電極61は、上記フランジが、フィールド電極61の外周部を囲むように、該フランジの内側に設置することができる。この実施形態において、フィールド電極61は、上記円筒形スクリーニングフランジ内に取付けられており、また、フィールド電極61の周辺に径方向に位置決めされている複数のスタンドオフを介して該円筒形スクリーニングフランジによって支持されている。該フィールド電極および上記最後の開口されたプレート電極アセンブリは、複数の柱状体によって、該プロセスチャンバ壁に取付けられている。この実施形態において、該円筒形スクリーニングフランジは、フィールド電極61の上流面を越えて最小距離伸びている。
【0054】
[00051]他の実施形態においては、上記開口されたプレートまたは電極および集束またはフィールド電極は、何らかの適した形状および構造を有してもよく、また、各々は、1つ以上の個々の電極を備えてもよい。例えば、上記接地電極は、円筒形またはリング状の電極を含んでもよい。別の実施形態においては、該接地電極および上記プラズマフラッドガイド管は、単一の電極を備えてもよく、または、一緒に電気的に接続してもよい。別の実施形態においては、該接地電極は、該接地電極を、上記ターゲット基板の電位とは異なる電位にバイアスできるように配列してもよい。
【0055】
[00052]別の実施形態において、上記集束またはフィールド電極は、上記飛行管の延長部分を備えてもよく、また、実質的に該飛行管の電位とすることができる。この実施形態において、該飛行管と上記第1の開口されたプレートまたは減速電極間の電位差は、集束力を該減速ゾーン内のイオンビームに加えるのに十分であるべきである。該減速電極の上流で、該飛行管内で、かつ該飛行管の電位よりも低い電位でバイアスされた追加的な電極は、失われる電子が該減速電極に向かうのを防ぐように提供するべきである。
【0056】
[00053]本発明の様々な実施形態の上記の説明を、例示および説明の目的のために提示してきた。これは、包括的にしようとするものではなく、あるいは、開示された正確な形態に本発明を限定しようとするものでもない。上記の教示に照らして、多くの変更例および変形例が可能である。本発明の範囲が、この詳細な説明によって限定されないことが意図されている。
【符号の説明】
【0057】
1…イオン注入器、3…イオンビーム発生器、5…マグネット、7…イオン選択器、9…減速レンズ電極アセンブリ、12…ターゲット基板、13…プラズマフラッド発生器、60…プリフォーカシング開口プレート電極、61…フィールド電極、62…開口部、63…開口部、65…開口接地プレート電極、67…開口部、146…ビーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンビームを生成する、イオン注入器のための減速レンズアセンブリ用電極において、
周辺部と、中心と、軸とを有する非円形開口部であって、電極体に対する電位の印加に応答して、前記開口部の近傍に電場を生成して、前記開口部を通過するビームのイオンを減速させて収束させるための非円形開口部を画成する電極体であって、前記軸は、前記中心を通り前記軸に沿った前記開口部の長さを画成し、前記軸が、前記開口部の中心から前記軸に沿って前記開口部の周辺部の方へ伸びており、かつ前記開口部の長さの20〜40%の範囲の長さを有する第1の軸セグメントを備え、前記軸セグメントに沿った点で測定した前記開口部の平均幅が、前記開口部の中心で測定した前記開口部の幅よりも小さく、前記開口部内で中心にあるときイオンビームの断面形状より前記開口部の周辺部が大きく、前記開口部の周辺部が前記断面形状と実質的に適合する電極体を備える、電極。
【請求項2】
前記非円形開口部は、前記電極体に対する電位の印加に応答して、前記非円形開口部の近傍に電場を生成して、減速レンズアセンブリの電極の矩形開口部を通る対応するビームの伝送と比べて、前記減速レンズアセンブリの前記電極の前記非円形開口部を通るビームの伝送を増加させて、さらに、減速レンズアセンブリにおける前記対応する電極の前記矩形開口部の前記電場内での収差と比べて、前記減速レンズアレイの前記電極の前記非円形開口部の前記電場内での収差を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記開口部は、楕円形に形成された開口部であり、前記電極は、前記減速レンズアセンブリにおけるグラウンド電極及びフィールド電極の内の一つであることを特徴とする請求項1に記載の電極。
【請求項4】
前記軸セグメントに沿った点で測定した前記開口部の平均幅が、前記開口部の中心で測定した前記開口部の幅の50〜98%の範囲内である、請求項1に記載の電極。
【請求項5】
前記軸セグメントに沿った点で測定した前記開口部の幅が、前記開口部の中心から前記軸セグメントの端部まで単調に減少し、
前記開口部が、最大幅および最大長さを有し、前記開口部の最大幅と前記開口部の最大長さとの比が、0.2〜1.5の範囲内である、請求項1に記載の電極。
【請求項6】
材料物質を半導体に注入するイオンビームを形成する方法であって、
イオンビームを、減速レンズアセンブリの電極の電極体の非円形開口部の中心を通過させるステップであって、前記開口部が、周辺部と、中心と、軸とを有し、前記軸が、前記中心を通りかつ前記軸に沿って前記開口部の長さを画成し、前記軸が、前記軸に沿って、前記開口部の中心から前記開口部の周辺部の方へ伸びており、かつ前記開口部の長さの20〜40%の範囲の長さを有する第1の軸セグメントを備え、前記軸セグメントに沿った点で測定した前記開口部の平均幅が、前記開口部の中心で測定した前記開口部の幅よりも小さく、前記開口部内で中心にあるときイオンビームの断面形状より前記開口部の周辺部が大きく、前記開口部の周辺部が前記断面形状と実質的に適合している、ステップを含む減速レンズアセンブリの電極を用いてイオンビームのイオンを減速させて収束させるステップを備え、
前記イオンを減速させて収束させるステップは、前記電極体に電位を印加して、前記開口部の近傍に電界を生成し、前記イオンビームの少なくとも幾つかのイオンの速度を変化させるステップであって、前記電界が、前記開口部の形状の関数である特性を有するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記イオンビームを、減速レンズアセンブリの前記非円形開口部に通過させるステップは、さらに、減速レンズアセンブリの電極の矩形開口部を通る対応するビームの伝送と比べて、前記減速レンズアセンブリの前記電極の前記非円形開口部を通るビームの伝送を増加させることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記イオンを減速させて収束させるステップはさらに、減速レンズアセンブリにおける対応する電極の矩形開口部の前記電場内での収差と比べて、前記減速レンズアレイの前記電極の前記非円形開口部の前記電場内での収差を小さくすることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記軸セグメントに沿った点で測定した前記開口部の平均幅が、前記開口部の中心で測定した前記開口部の幅の50〜98%の範囲内である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記軸セグメントに沿った点で測定した前記開口部の幅が、前記開口部の中心から前記軸セグメントの端部まで単調に減少し、前記開口部が、最大幅および最大長さを有し、前記開口部の最大幅と前記開口部の最大長さとの比が0.2〜1.5の範囲内である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記開口部が楕円形であり、前記電極は、前記減速レンズアセンブリにおけるグラウンド電極及びフィールド電極の内の一つである、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記減速レンズアセンブリの開口部のプリフォーカシング電極の開口部に前記イオンビームを通過させるステップを備え、前記プリフォーカシング電極の前記開口部は、4つの側部と、各々が2つの隣接する前記側部をつなぐ4つの角とを有し、各角が丸みのある形状である、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記4つの側部が、各々等しい長さである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
材料物質を半導体に注入するイオン注入器であって、
少なくとも1つの半導体を保持するように適合されたホルダーと、
イオンビームを発生するように適合されたイオンビーム発生器と、
前記半導体への注入前の前記イオンビームのエネルギを制御するように適合された減速レンズアセンブリであって、前記アセンブリが、周辺部と、中心と、軸とを有する非円形開口部であって、電極体に対する電位の印加に応答して、前記開口部の近傍に電場を生成して、前記開口部を通過するビームのイオンを減速させて収束させるための非円形開口部を画成するボディを有する電極を含み、前記軸が、前記中心を通りかつ前記軸に沿った前記開口部の長さを画成し、前記軸が、前記前記軸に沿って、前記開口部の中心から前記開口部の周辺部の方へ伸びており、かつ前記開口部の長さの20〜40%の範囲の長さを有する第1の軸セグメントを備え、前記軸セグメントに沿った点で測定した前記開口部の平均幅が、前記開口部の中心で測定した前記開口部の幅よりも小さく、前記イオンビームが前記開口部の中心を通過するように前記発生器に対して前記開口部が配置され、前記開口部内で中心にあるときイオンビームの断面形状より前記開口部の周辺部が大きく、前記開口部の周辺部が前記断面形状と実質的に適合している減速レンズアセンブリと、
を備えるイオン注入器。
【請求項15】
前記開口部が細長く、前記軸セグメントに沿った点で測定した前記開口部の平均幅が、前記開口部の中心で測定した前記開口部の幅の50〜98%の範囲内であり、前記軸セグメントに沿った点で測定した前記開口部の幅が、前記開口部の中心から前記軸セグメントの端部まで単調に減少し、
前記開口部が、最大幅および最大長さを有し、前記開口部の最大幅と前記開口部の最大長さとの比が、0.2〜1.5の範囲内である、請求項14に記載のイオン注入器。
【請求項16】
前記非円形開口部は、前記電極体に対する電位の印加に応答して、前記非円形開口部の近傍に電場を生成して、減速レンズアセンブリの電極の矩形開口部を通る対応するビームの伝送と比べて、前記減速レンズアセンブリの前記電極の前記非円形開口部を通るビームの伝送を増加させることを特徴とする請求項14に記載のイオン注入器。
【請求項17】
前記非円形開口部は、前記電極体に対する電位の印加に応答して、前記非円形開口部の近傍に電場を生成して、減速レンズアセンブリにおける対応する電極の矩形開口部の前記電場における収差と比べて、前記減速レンズアレイの前記電極の前記非円形開口部の前記電場における収差を小さくすることを特徴とする請求項14に記載のイオン注入器。
【請求項18】
前記開口部は、楕円形に形成された開口部であり、前記電極は、前記減速レンズアセンブリにおけるグラウンド電極及びフィールド電極の内の一つであることを特徴とする請求項14に記載のイオン注入器。
【請求項19】
前記減速レンズアセンブリは、4つの側部と、各々が2つの隣接する前記側部をつなぐ4つの角とを有し、各角が丸みのある形状である前記開口部を持つグラウンド電極を含むことを特徴とする請求項14に記載のイオン注入器。
【請求項20】
前記4つの側部が、各々等しい長さである、請求項19に記載のイオン注入器。
【請求項21】
イオン注入器のための減速レンズアセンブリ用電極において、
周辺部と、中心と、軸とを有する楕円形開口部であって、電極体に対する電位の印加に応答して、前記開口部の近傍に電場を生成して、前記開口部を通過するビームのイオンを減速させて収束させるための非円形開口部を画成する電極体であって、前記軸が、前記中心を通り前記軸に沿って前記開口部の長さを画成し、前記軸が、前記軸に沿って、前記開口部の中心から前記開口部の周辺部の方へ伸びており、かつ前記開口部の長さの20〜40%の範囲の長さを有する第1の軸セグメントを備え、前記軸セグメントに沿った点で測定した前記開口部の平均幅が、前記開口部の中心で測定した前記開口部の幅の50〜98%の範囲内であり、前記軸セグメントに沿った点で測定した前記開口部の幅が、前記開口部の中心から前記軸セグメントの端部まで単調に減少し、前記開口部が、最大幅および最大長さを有し、前記開口部の最大幅と前記開口部の最大長さとの比が、0.2〜1.5であり、前記開口部内で中心にあるときイオンビームの断面形状より前記開口部の周辺部が大きく、前記開口部の周辺部が前記断面形状と実質的に適合している電極体
を備える、電極。
【請求項22】
前記開口部の最大幅と前記開口部の最大長さとの比が、約0.85である、請求項21に記載の電極。
【請求項23】
前記開口部の最大幅と前記開口部の最大長さとの比が、約0.75である、請求項21に記載の電極。
【請求項24】
前記非円形開口部は、前記電極体に対する電位の印加に応答して、前記非円形開口部の近傍に電場を生成して、減速レンズアセンブリの電極の矩形開口部を通る対応するビームの伝送と比べて、前記減速レンズアセンブリの前記電極の前記非円形開口部を通るビームの伝送を増加させて、さらに、減速レンズアセンブリにおける対応する電極の前記矩形開口部の前記電場内での収差と比べて、前記減速レンズアレイの前記電極の前記非円形開口部の前記電場内での収差を小さくすることを特徴とする請求項21に記載の電極。
【請求項25】
前記開口部は、楕円形に形成された開口部であり、前記電極は、前記減速レンズアセンブリにおけるグラウンド電極及びフィールド電極の内の一つであることを特徴とする請求項21に記載の電極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−216491(P2011−216491A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128895(P2011−128895)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【分割の表示】特願2006−535648(P2006−535648)の分割
【原出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】