説明

イミダゾール誘導体およびそれを用いた有機電子素子

【課題】安定で効率的な有機電子素子用材料およびそれを用いた有機電子素子を提供する。
【解決手段】第1電極、第2電極、および前記第1電極と第2電極との間に配置された1層以上の有機物層を含む有機電子素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は化学式1の化合物を含む有機電子素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規構造のイミダゾール誘導体およびそれを用いた有機電子素子に関するものである。
【0002】
本出願は2005年7月22日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2005−0066731号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
本明細書における有機電子素子とは、正孔および/または電子を用いた電極と有機物との間での電荷交流を必要とする素子のことを意味する。有機電子素子は動作原理によって大きく2種類に分類される。一つは、外部の光源から素子に流入した光子によって有機物層で励起子(exiton)が形成され、この励起子が電子と正孔に分離し、この電子と正孔とが各々異なる電極に伝えられて電流源(電圧源)として用いられる形態の電子素子である。もう一つは、2つ以上の電極に電圧または電流を加えて、電極と界面を成す有機物半導体に正孔および/または電子を注入し、注入された電子と正孔によって動作する形態の電子素子である。
【0004】
有機電子素子の例としては、有機発光素子、有機太陽電池、有機感光体(OPC)ドラム、有機トランジスタなどが挙げられ、これらは全て素子の駆動のために正孔の注入また輸送物質、電子の注入または輸送物質、または発光物質を必要とする。以下では主に有機発光素子について具体的に説明するが、上記有機電子素子では正孔の注入または輸送物質、電子の注入または輸送物質、または発光物質が類似する原理によって作用する。
【0005】
一般に、有機発光現象とは有機物質を用いて電気エネルギーを光エネルギーに転換させる現象のことをいう。有機発光現象を用いる有機発光素子は、通常陽極と陰極およびこの間に有機物層を含む構造を有する。ここで、有機物層は有機発光素子の効率と安定性を高めるために、それぞれ異なる物質で構成された多層の構造からなる場合が多く、例えば正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などからなり得る。このような有機発光素子の構造において2つの電極の間に電圧を印加すれば、陽極では正孔が、陰極では電子が有機物層に注入され、注入された正孔と電子とが結合する時に励起子が形成され、この励起子が再び基底状態に落ちる時に光が発生する。このような有機発光素子は、自発光、高輝度、高効率、低い駆動電圧、広い視野角、高いコントラスト、高速応答性などの特性を有することが知られている。
【0006】
有機発光素子で有機物層として用いられる材料は、機能によって、発光材料と電荷輸送材料、例えば正孔注入材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、電子注入材料などに分類され得る。また、発光材料は、発光色によって青色、緑色、赤色発光材料と、より良い天然色を実現するために必要な黄色および橙色発光材料に区分することができる。一方、発光材料として1つの物質のみ用いる場合、分子間の相互作用により、最大発光波長が長波長に移動して色純度が落ちたり、発光減衰効果で素子の効率が減少したりする問題が生じるため、色純度の増加とエネルギーの転移による発光効率を増加させるために発光材料としてホスト/ドーパント系を用いることができる。
【0007】
有機発光素子が前述したような優れた特徴を十分に発揮するためには、素子内の有機物層を成す物質、例えば正孔注入物質、正孔輸送物質、発光物質、電子輸送物質、電子注入物質などが安定で効率的な材料によりなることが先行しなければならないが、未だ安定で効率的な有機発光素子用有機物層材料の開発が十分行われていない状態であり、したがって新たな材料の開発が要求されつつある。このような材料開発の必要性は前述した他の有機電子素子においても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許出願第10−2005−0066731号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、新規構造のイミダゾール誘導体を明らかにし、また、この化合物が有機発光素子をはじめとする有機電子素子で正孔注入、正孔輸送、電子注入および輸送の役割および/または発光の役割をすることができるという事実を明らかにした。
そこで、本発明は新規構造のイミダゾール誘導体およびそれを用いた有機電子素子を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1電極、第2電極、および前記第1電極と第2電極との間に配置された1層以上の有機物層を含む有機電子素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は下記化学式1の化合物を含む有機電子素子を提供する。
【0011】
【化1】

【0012】
前記化学式1において、
〜R10は、各々独立してまたは同時に水素、置換されたまたは非置換のアルキル基、置換されたまたは非置換のアルコキシ基、置換されたまたは非置換のアルケニル基、置換されたまたは非置換のアリール基、置換されたまたは非置換のアリールアミン基、置換されたまたは非置換の複素環基、置換されたまたは非置換の脂肪族環基、置換されたまたは非置換のシリコン基、置換されたまたは非置換のホウ素基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、ハロゲン基、アミド基、エステル基からなる群から選択され、ここでこれらは互いに隣接する基と脂肪族または複素環を形成することができる。
【0013】
また、本発明は下記化学式2と表示されるイミダゾール誘導体を提供する:
【0014】
【化2】

【0015】
前記化学式2において、
〜R10は、各々独立してまたは同時に水素、置換されたまたは非置換のアルキル基、置換されたまたは非置換のアルコキシ基、置換されたまたは非置換のアルケニル基、置換されたまたは非置換のアリール基、置換されたまたは非置換のアリールアミン基、置換されたまたは非置換の複素環基、置換されたまたは非置換の脂肪族環基、置換されたまたは非置換のシリコン基、置換されたまたは非置換のホウ素基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、ハロゲン基、アミド基、エステル基からなる群から選択され、ここで、これらは互いに隣接する基と脂肪族または複素環を形成することができるが、但しR〜R10がともに水素ではない。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施状態に係る有機発光素子の構造を例示する図である。
【図2】本発明に係る化学式1−3の化合物のMSスペクトルを示す図である。
【図3】本発明に係る化学式1−21の化合物のMSスペクトルを示す図である。
【図4】本発明に係る化学式1−21の化合物のUVスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
前記化学式1の化合物の立体構造は、下記の図に示すようにAとB部分に分けて考えることができる。
【0018】
【化3】

【0019】
A部分は、ナフタレン基がイミダゾール基と接合環を成しており、アントラセン構造のように全体的に平面構造を有して青色に発光する。代表的に、前記化学式1のうちのRとRが2−ナフチル基で、B部分のRが水素である化合物の場合、すなわちアントラセンより5角形の芳香族複素環をさらに1つ含む場合、その化合物の吸収スペクトルのλmaxは360nmで、化合物のバンドギャップは2.95eVであった。このような事実から、前記A部分と表示されるコアは、アントラセンより長波長で若干移動した青色発光帯であることを予測することができる。
【0020】
また、イミダゾール基は、有機発光素子で電子注入および/または輸送物質または発光物質の置換基として多く用いられるものであって、電子注入または輸送や発光の役割に重要な影響を及ぼすことが知られている。したがって、イミダゾール基と接合環を成す構造を有する前記化学式1のA部分は、相変らずイミダゾール基の性質を有するため、電子注入および伝達が容易なn−typeの性質を有する。ここで、n−type性質とは、一般的にLUMO準位によって伝導特性を有し、電子形成による陰イオン特性を有する性質のことを意味する。
【0021】
例えば、前記化学式1の構造のうちのRおよびRが2−ナフチル基で置換され、B部分のRが水素である化合物の場合、HOMO値が5.8eV〜6.0eVで比較的に低いエネルギー準位を有するものと測定された。また、前記化合物のLUMO値は2.9eV〜3.1eVと測定された。このようなHOMOおよびLUMO値は、前記化合物が有機発光素子で電子輸送を効率的に行うことができるのみならず、電子輸送層物質として用いられる場合、正孔注入層および正孔輸送層から注入されて輸送された正孔が反対側の電極である陰極まで注入されて素子の安定性を減少させる現象を防げるホールブロッキング(hole−blocking)の役割もすることができる可能性を示している。
【0022】
また、前記化学式1の構造は、R〜R10に多様な置換体を導入することができる。したがって、化学式1の構造に、正孔に安定した置換体であるアリールアミン基や、共役(conjugation)長が適切に調節された置換体を導入することにより、化学式1の化合物のエネルギー準位またはエネルギーバンドギャップを多様に調節することができる。このように多様な置換体が導入されてエネルギー準位が調節された化学式1の化合物は、電子注入および輸送物質としてのみならず、正孔注入、正孔輸送、および発光物質として用いることができる。本発明では、前記化学式1の化合物のうちの置換基によって適切なエネルギー準位を有する化合物を選択して、有機発光素子をはじめとする有機電子素子に用いることにより、駆動電圧が低く光効率の高い素子を実現することができる。
【0023】
また、化学式1のうちのR〜R10に多様な置換基が導入されることによって化合物構造内のpi−pi相互作用が減少し、これによって平たい構造の物質が有するエキシマー(eximer)やエキシプレックス(exciplex)の形成を抑制する効果を有することができる。
【0024】
前記化学式1または化学式2の置換基についてより詳細に説明すれば次の通りである。
前記化学式1または化学式2のR〜R10のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基は、炭素数1〜30であることが好ましい。
【0025】
前記化学式1または化学式2のR〜R10のアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ビフェニル基、ピレニル基、ペリレン基などがあるが、これらだけに限定されるものではない。
【0026】
前記化学式1または化学式2のR〜R10のうちのアリールアミン基の例としては、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、カルバゾール、トリフェニルアミン基などがあるが、これらだけに限定されるものではない。
【0027】
前記化学式1または化学式2のR〜R10のうちの複素環基の例としては、ピリジル基、ビピリジル基、アクリジル基、チオフェン基、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、またはキノリニルなどがあるが、これらだけに限定されるものではない。
前記化学式1または化学式2のR〜R10のうちのハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素がある。
【0028】
本発明において、化学式1または化学式2のR〜R10が他の置換基によって置換される場合、これら置換基はアルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアミン基、複素環基、および脂肪族環基からなる群から選択されることが好ましい。前記化学式1または化学式2の化合物は、前記のような置換基を有する場合、置換基の種類によって前述したコア構造の物性が変わらない。
【0029】
前記化学式1または化学式2において、
およびRは、ともに水素ではなく、各々水素、置換されたまたは非置換のアルケニル基、置換されたまたは非置換のアリール基、置換されたまたは非置換のアリールアミン基、および置換されたまたは非置換の複素環基からなる群から選択され、
〜Rは、各々水素、ニトリル基、置換されたまたは非置換のアリール基、置換されたまたは非置換のアリールアミン基、置換されたまたは非置換の複素環基からなる群から選択され、
〜R10は、各々水素、ニトリル基、アルキル基、置換されたまたは非置換のアルケニル基、置換されたまたは非置換のアリール基、置換されたまたは非置換のアリールアミン基、および置換されたまたは非置換の複素環基からなる群から選択されることが好ましい。
【0030】
前記化学式1または化学式2において、
およびRは、アルケニル基、アリール基、アリールアミン基、および複素環基からなる群から選択され、
〜Rは水素であり、
〜R10は、水素、ニトリル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアミン基、および複素環基からなる群から選択されることが好ましい。
次は化学式1または化学式2の化合物の具体的な例であるが、本発明の範囲はこれらだけに限定されるものではない。
【0031】
【化4】

【0032】
【化5】

【0033】
【化6】

【0034】
【化7】

【0035】
【化8】

【0036】
【化9】

【0037】
【化10】

【0038】
【化11】

【0039】
前述した本発明に係る化合物は下記のように製造され得る。
例えば、前記化学式1または化学式2の化合物は、
a)置換されたまたは非置換の2,3−ジハロゲン−1,4−ナフトキノンと置換されたまたは非置換のオルソ−アミノピリジン誘導体とを反応させるステップと、
b)前記a)ステップで得らえた化合物のケトン基をアルコールに転換させて、ジアルコール化合物を製造するステップと、
c)前記b)ステップで得られたジアルコール化合物を還元させて、ナフタレン基を生成するステップとを含む方法によって製造され得る。
【0040】
また、前記化学式1または2の化合物は、
a)置換されたまたは非置換の2,3−ジハロゲン−1,4−ナフトキノンと置換されたまたは非置換のオルソ−アミノピリジン誘導体とを反応させるステップと、
b)前記a)ステップで得られた化合物のナフトキノン基を還元させて、ナフタレン基を生成するステップと、
c)前記b)ステップで得られた化合物のRとRが置換されなければならない位置に各々臭素(Br)を導入するステップと、
d)ボロン酸またはホウ酸塩を用い、前記c)ステップで得られた化合物のうちのブロモ基が導入された位置に置換基を導入するステップとを含む方法によって製造され得る。
前記方法において、前記c)ステップの臭素の導入ステップは、クロロホルム、酢酸、DMF(ジメチルホルムアミド)などの溶媒下で化合物をNBS(N−bromosuccinimide)またはBrと反応させることによって行われ得る。
前記化学式1または化学式2の化合物の製造方法についてより具体的に説明すれば次の通りである。
【0041】
一実施状態において、本発明の化合物は下記反応式1によって次のように製造され得る。出発物質として置換および非置換された2,3−ジクロロまたはジブロモ1,4−ナフトキノンと置換されたまたは非置換のオルソ−アミノピリジン化合物とを用いることができる。置換および非置換されたオルソ−アミノピリジン化合物は、例えば下記化学式の化合物であり得るが、これらだけに限定されるものではない。
【0042】
【化12】

【0043】
前記式において、Xは、水素、置換されたまたは非置換のアルキル基、置換されたまたは非置換のアルコキシ基、置換されたまたは非置換のアルケニル基、置換されたまたは非置換のアリール基、置換されたまたは非置換のアリールアミン基、置換されたまたは非置換の複素環基、置換されたまたは非置換の脂肪族環基、置換されたまたは非置換のシリコン基、置換されたまたは非置換のホウ素基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、ハロゲン基、アミド基、エステル基からなる群から選択される。前記Xは2つ以上存在することができ、この場合これらは互いに異なり得る。
前記出発物質を用い、下記反応式1によって化合物Bを製造することができる。
【0044】
【化13】

【0045】
前記反応式1において、XおよびYは、各々水素、置換されたまたは非置換のアルキル基、置換されたまたは非置換のアルコキシ基、置換されたまたは非置換のアルケニル基、置換されたまたは非置換のアリール基、置換されたまたは非置換のアリールアミン基、置換されたまたは非置換の複素環基、置換されたまたは非置換の脂肪族環基、置換されたまたは非置換のシリコン基、置換されたまたは非置換のホウ素基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、ハロゲン基、アミド基、エステル基からなる群から選択される。前記XおよびYは各々2つ以上存在することができ、この場合XまたはYは互いに異なり得る。
【0046】
次に、ブロモ基を有するRまたはR置換体をt−BuLiまたはn−BuLiおよびTHFの存在下、前記化合物Bと反応させてRおよびR置換基を有するジアルコール化合物を製造することができる。次に、この化合物をKI、NaHPO・HOおよび酢酸で反応させることにより、RおよびR置換基を有する化学式1の化合物を製造することができる。このような反応は、例えば下記反応式2のように示すことができる。
【0047】
【化14】

【0048】
前記反応式2において、XおよびYは、各々水素、置換されたまたは非置換のアルキル基、置換されたまたは非置換のアルケニル基、置換されたまたは非置換のアリール基、置換されたまたは非置換の複素環基、置換されたまたは非置換の脂肪族環基、置換されたまたは非置換のシリコン基からなる群から選択される。前記XおよびYは各々2つ以上存在することができ、この場合XまたはYは互いに異なり得る。また、前記反応式2において、Rは化学式1または2のうちのRまたはRであって、水素、置換されたまたは非置換のアルキル基、置換されたまたは非置換のアルコキシ基、置換されたまたは非置換のアルケニル基、置換されたまたは非置換のアリール基、置換されたまたは非置換のアリールアミン基、置換されたまたは非置換の複素環基、置換されたまたは非置換の脂肪族環基、置換されたまたは非置換のシリコン基、置換されたまたは非置換のホウ素基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、ハロゲン基、アミド基、エステル基からなる群から選択され、好ましくは置換されたまたは非置換のアリール基、置換されたまたは非置換のアリールアミン基、置換されたまたは非置換の複素環基、置換されたまたは非置換のアルケニル基である。前記反応式2で、RとRは互いに異なり得るが、同一の置換基であることが好ましい。
本発明のまた他の実施状態において、本発明の化合物は次の通り製造され得る。まず、前記反応式1のように製造された化合物Bを下記反応式3によって反応させて、化合物FおよびGを製造することができる。
【0049】
【化15】

【0050】
前記反応式3において、XおよびYは反応式1について定義した通りである。
一方、下記反応式4によってボロン酸化合物である化合物Eを製造することができる。
【0051】
【化16】

【0052】
前記反応式4において、Rは、置換されたまたは非置換のアルキル基、置換されたまたは非置換のアルケニル基、置換されたまたは非置換のアリール基、置換されたまたは非置換の複素環基、置換されたまたは非置換の脂肪族環基からなる群から選択され、Mはハロゲンである。
次に、鈴木カップリング(Suzuki coupling)を用いて化合物Eと前記化合物Gとを下記反応式5によって反応させることにより、本発明の化合物を製造することができる。
【0053】
【化17】

【0054】
前記反応式5において、R、XおよびYは、反応式1、反応式2、および反応式4で定義した通りである。前記反応式5において、Rは化学式1または化学式2のうちのRまたはRであって、RとRは互いに異なり得、好ましくは同一の置換基である。
本発明の有機電子素子は、前述した化合物を用いて1層以上の有機物層を形成することを除いては、通常の有機電子素子の製造方法および材料によって製造され得る。以下では有機発光素子について例示する。
【0055】
本発明の一実施状態における有機発光素子は、第1電極と第2電極、およびこの間に配置された有機物層を含む構造からなり得、前述した本発明に係る化合物を有機発光素子の有機物層のうちの1層以上に用いることを除いては、通常の有機発光素子の製造方法および材料を用いて製造され得る。本発明に係る有機発光素子の構造は図1に例示している。
例えば、本発明に係る有機発光素子は、スパッタリング(sputtering)や電子ビーム蒸発(e−beam evaporation)のようなPVD(physical vapor deposition)方法を用い、基板上に金属または伝導性を有する金属酸化物またはこれらの合金を蒸着させて陽極を形成し、その上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層を含む有機物層を形成した後、その上に陰極として用いることのできる物質を蒸着させて製造することができる。このような方法以外、基板上に陰極物質から有機物層、陽極物質を順次蒸着させて有機発光素子を作ることもできる(国際特許出願公開第2003/012890号参照)。
【0056】
前記有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層などを含む多層構造であり得るが、これに限定されず単層構造でもあり得る。また、前記有機物層は、多様な高分子素材を用いて蒸着法でない溶媒処理、例えばスピンコーティング、ディップコーティング、ドクターブレード、スクリーン印刷、インクジェット印刷、または熱転写法などの方法によってさらに少ない数の層に製造することができる。
【0057】
前記陽極物質としては、通常有機物層への正孔注入が円滑になれるように仕事関数の大きい物質が好ましい。本発明で用いられる陽極物質の具体的な例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などのような金属またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などのような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbのような金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](PEDT)、ポリピロール、およびポリアニリンのような伝導性高分子などがあるが、これらだけに限定されるものではない。
【0058】
前記陰極物質としては、通常有機物層への電子注入が容易になるように仕事関数の小さい物質であることが好ましい。陰極物質の具体的な例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ、および鉛のような金属またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO/Alのような多層構造物質などがあるが、これらだけに限定されるものではない。
【0059】
正孔注入物質としては、低い電圧で陽極から正孔がよく注入され得る物質として、正孔注入物質のHOMO(highest occupied molecular orbital)が陽極物質の仕事関数と周辺有機物層のHOMOとの間であることが好ましい。正孔注入物質の具体的な例としては、金属ポルフィリン、オリゴチオフェン、アリールアミン系列の有機物、ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン、キナクリドン系列の有機物、ペリレン系列の有機物、アントラキノン、およびポリアニリンとポリチオフェン系列の伝導性高分子などがあるが、これらだけに限定されるものではない。
【0060】
正孔輸送物質としては、陽極や正孔注入層から正孔が伝送されて発光層に移すことのできる物質であって、正孔に対する移動性の大きい物質が適している。具体的な例としては、アリールアミン系列の有機物、伝導性高分子、および共役部分と非共役部分が共にあるブロック共重合体などがあるが、これらだけに限定されるものではない。
【0061】
発光物質としては、正孔輸送層と電子輸送層から正孔と電子が各々輸送されて結合させることによって可視光線領域の光を発する物質であって、蛍光や燐光に対する量子効率の良い物質が好ましい。具体的な例としては、8−ヒドロキシ−キノリンアルミニウム錯体(Alq);カルバゾル系列化合物;二量体化スチリル化合物;BAlq;10−ヒドロキシベンゾキノリン−金属化合物;ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、およびベンゾイミダゾール系列の化合物;ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)系列の高分子;スピロ化合物;ポリフルオレン、ルブレンなどがあるが、これらだけに限定されるものではない。
【0062】
電子輸送物質としては、陰極から電子がよく注入されて発光層に移すことのできる物質であって、電子に対する移動性の大きい物質が適している。具体的な例としては、8−ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alqを含む錯体;有機ラジカル化合物;ヒドロキシフラボン−金属錯体などがあるが、これらだけに限定されるものではない。
【0063】
本発明に係る有機発光素子は、用いられる材料によって前面発光型、後面発光型または両面発光型であり得る。
【0064】
本発明に係る化合物は、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタなどをはじめとする有機電子素子においても有機発光素子に適用されるのと類似する原理によって作用することができる。
【0065】
以下、製造例および実験例によって本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明は下記製造例および実験例によってその範囲が限定されるものではない。
【実施例1】
【0066】
化学式1−3の化合物の製造
1. 化合物3Bの製造
【0067】
【化18】

【0068】
2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン(2,3−dichloro−1,4−naphthoquinone、2.5g、8.0mmol)および2−アミノピリジン(2−aminopyridine、1.0g、10.7mmol)をエタノール(EtOH、11ml)に溶かして4時間加熱攪拌した。それ以上精製せず、次に反応物に酢酸(acetic acid、40ml)を入れて2時間加熱攪拌した。常温にまで温度を下げて生成された沈殿物を濾過して分離し、前記化合物3B(X,Y=H、1.5g、収率65%)を得た。
MS[M+H]=249
【0069】
2. 化合物3Cの製造
【0070】
【化19】

【0071】
2−ブロモナフタレン(2−bromonaphthalene、14.8mmol、3.06g)を無水テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、140ml)に溶かした。次に、−78℃に温度を下げてヘキサンに1.7Mで溶けているt−BuLi(t−butyl lithium、17.7mmol、10.4ml)を注射器によって徐々に添加した後1時間攪拌した。そこに、前記1で製造した化合物3B(X,Y=H)(5.9mmol、1.48g)を添加した後、常温にまで温度を上げて5時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム溶液で反応を終結させた後、テトラヒドロフラン(20ml×2)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後、減圧濾過した。濾過液を減圧して溶媒を除去した後、トルエン(20ml)に入れて2時間加熱攪拌した。常温にまで温度を下げた後、沈殿物を減圧濾過して前記化合物3C(1.63g、収率56%)を得た。
MS[M+H]=505
【0072】
3. 化学式1−3の化合物の製造
【0073】
【化20】

【0074】
化合物3C(X,Y=H、R=ナフタレン、3.2mmol、1.63g)、ヨウ化カリウム(KI、9.6mmol、1.61g)および次リン酸塩ナトリウム(NaHPO・HO、19.3mmol、2.05g)を酢酸(acetic acid、32ml)に入れて5時間加熱攪拌した。常温にまで温度を下げた後、沈殿物を減圧濾過した。沈殿物をテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、20ml)に入れて、1N水酸化ナトリウム溶液(1N NaOH solution、20ml)を加えた後、1時間攪拌した。テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、20ml×2)で抽出した後、無水硫酸マグネシウム(MgSO)で水分を除去して濾過した。濾過された溶液を減圧下で溶媒を除去して化学式1−3の化合物(2.0g、収率80%)を得た。
MS[M+H]=471
【実施例2】
【0075】
化学式1−3の化合物の他の製造方法
1.化合物3E(反応式4の化合物EでR=2−ナフチル基)の製造
2−ブロモナフタレン(1.3g、6.27mmol)、塩化パラジウム(PdCl、33.4mg、0.19mmol)、トリフェニルホスフィン(PPh、0.38mmol、98.6mg)をジオキサン(dioxane、20ml)に入れた後、トリエチルアミン(NEt、18.8mmol、2.62ml)と4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(4,4,5,5−tetramethyl−1,3,2−dioxaborolane、9.4mmol、1.36ml)を添加した。80℃にまで温度を上げた後、6時間攪拌した。常温にまで温度を下げて、水と塩水(brine)とを添加した後、エチルエーテル(ethyl ether、20ml×2)で抽出した。無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧濾過し、減圧下で溶媒を除去した。生成された化合物3E(反応式4の化合物EでR=2−ナフチル基)を再結晶によって得た。
2.化合物3F(反応式3の化合物FでX,Y=H)の製造
活性化した亜鉛(Zinc、20g)に蒸溜水(165ml)、水酸化ナトリウム(NaOH、24.8g)、および化合物B(X,Y=H)(12.1mmol、3.0g)を入れて24時間加熱攪拌した。常温にまで温度を下げてセルライトによって濾過させた後、ジクロロメタン(dichloromethane)(50ml×3)で抽出した後、無水硫酸マグネシウムで水分を除去して減圧濾過した。濾過液を減圧下で溶媒を除去した後、エチルエーテルとヘキサンで再結晶化して、化合物3F(X,Y=H、1.5g、収率58%)を得た。
3.化合物3G(反応式3の化合物GでX,Y=H)の製造
化合物F(X,Y=H、6.9mmol、1.5g)とNBS[N−bromosuccinimide(17.2mmol、3.1g)]をジメチルホルムアミド(DMF、70ml)に入れた後、常温で40分間攪拌した。生成された沈殿物を減圧濾過して、化合物3G(X,Y=H、2g、収率77%)を得た。
4.化学式1−3の化合物の製造
パラジウムアセテート(Pd(OAc)、0.3mmol、68mg)、トリフェニルホスフィン(PPh、0.6mmol、158mg)、化合物3E(6.6mmol)、3リン酸カリウム(KPO、18mmol、3.82g)をテトラヒドロフラン(THF、20ml)に入れて、化合物3G(9mmol、3.38g)を添加した。80℃にまで温度を上げて24時間攪拌した後、常温にまで温度を下げた後、再結晶して所望する化学式1−3の化合物を得た。
【実施例3】
【0076】
化学式1−18の化合物の製造
1.化合物18B−1の製造
【0077】
【化21】

【0078】
2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン(2,3−dichloro−1,4−naphthoquinone、5g、15.9mmol)および2−アミノ−5−ブロモピリジン(2−amino−5−bromopyridine、5.47g、31.6mmol)をエタノール(EtOH、100ml)に入れて16時間加熱攪拌した。常温にまで反応温度を下げて4N HCl溶液50mLを反応溶液に添加した後、5時間加熱攪拌した。常温にまで温度を下げた後、沈殿物を濾過し、水で十分洗浄した後に乾燥させて、前記化合物18B−1の酢酸塩(5.4g、収率88.6%)を得た。
MS[M+H]=327(Br×1)
【0079】
2. 化合物18B−2の製造
【0080】
【化22】

【0081】
前記化合物18B−1の酢酸塩をそれ以上精製せず、化合物18B−1の酢酸塩(4g、12.2mmol)を2−ナフチルボロン酸(2.1g、12.2mmol)、Pd(PPh(0.7g、0.61mmol)、2M KCO溶液100mLおよびTHF溶液100mLと共に16時間加熱攪拌した。室温にまで反応温度を下げた後、形成された固体を濾過し、水、エタノールで十分洗浄した後に乾燥して、中間体化合物である前記化合物18B−2(3.74g、収率82%)を得た。
MS[M+H]=375
【0082】
3.化合物18C(反応式2の化合物CのうちのX=2−ナフチル基、Y=H、R=2−ナフチル基)の製造
【0083】
前記実施例1の2において化合物3Bの代わりに前記2で製造した化合物18B−2を用いることを除いては、前記実施例1の2と同一方法によって化合物18Cを製造した(5.48g、収率87%)。
MS[M+H]=631
【0084】
4. 化学式1−18の化合物の製造
【0085】
【化23】

【0086】
前記実施例1の3において化合物3Cの代わりに前記3で製造した化合物18Cを用いることを除いては、前記製造例1の3と同一方法によって化学式1−18の化合物(4.3g、収率83%)を製造した。
MS[M+H]=597
【実施例4】
【0087】
化学式1−21の化合物の製造
【0088】
1. 化合物21B−1の製造
【0089】
【化24】

【0090】
前記実施例3の2において2−ナフチルボロン酸の代わりに4−ホルミルフェニルボロン酸を用いることを除いては、前記実施例3の2と同一方法によって化合物21B−1を得た。
MS[M+H]=353
【0091】
2. 化合物21B−2の製造
【0092】
【化25】

【0093】
前記化合物21B−1の化合物(3.9g、11mmol)、N−フェニル−1,2−フェニレンジアミン(2g、11mmol)およびN、N−ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)60mLを混合して、160℃で10時間加熱した。減圧下で溶媒を除去した後、エタノール100mLを入れて攪拌して、黄色の固体である前記化合物21B−2(3.4g、収率56%)を得た。
MS[M+H]=517
【0094】
3. 化合物21Cの製造
【0095】
【化26】

【0096】
前記実施例1の2において化合物3Bの代わりに前記2で製造した化合物21B−2を用いたことを除いては、前記実施例1の2と同一方法によって化合物21Cを製造した(4.8g、収率92%)。
MS[M+H]=673
【0097】
4. 化学式1−21の化合物の製造
【0098】
【化27】

【0099】
前記実施例1の3において化合物3Cの代わりに前記3で製造した化合物21Cを用いたことを除いては、前記実施例1の3と同一方法によって化学式1−21の化合物(2.7g、収率67%)を製造した。
MS[M+H]=739
【0100】
実験例1:
【0101】
ITO(indium tin oxide)が1500Å厚さで薄膜コーティングされたガラス基板を洗剤を溶かした蒸溜水に入れて超音波で洗浄した。この時、洗剤としてはフィッシャー社(Fischer Co.)の製品を用い、蒸溜水としてはミリポア社(Millipore Co.)の製品のフィルタによって2次濾過した蒸溜水を用いた。ITOを30分間洗浄した後、蒸溜水で2回繰り返し超音波洗浄を10分間進行した。蒸溜水の洗浄が終わった後、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノールの溶剤で超音波洗浄をして乾燥させた後、プラズマ洗浄機に輸送させた。また、酸素プラズマを用いて前記基板を5分間洗浄した後、真空蒸着器に基板を輸送させた。
【0102】
このように準備したITO透明電極の上にヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン(hexanitrile hexaazatriphenylene)を500Å厚さで熱真空蒸着して正孔注入層を形成した。その上に正孔を輸送する物質であるNPB(400Å)を真空蒸着した後、発光層でAlq化合物を300Å厚さで真空蒸着した。
【0103】
【化28】

【0104】
前記発光層上に前記実施例1で製造した化学式1−3の化合物を200Å厚さで真空蒸着して、電子注入および輸送層を形成した。前記電子注入および輸送層上に、順次5Å厚さでフッ化リチウム(LiF)と2500Å厚さのアルミニウムとを蒸着して陰極を形成した。
【0105】
前記過程において、有機物の蒸着速度は1Å/secを維持し、フッ化リチウムは0.2Å/sec、アルミニウムは3〜7Å/secの蒸着速度を維持した。
【0106】
上記で製造された有機発光素子に6.6Vの順方向電界を加えた結果、50mA/cmの電流密度で1931 CIE color coordinate基準でx=0.33、y=0.56に該当する緑色光が観察され、7.16Vの順方向電界を加えた結果、100mA/cmの電流密度で2.7cd/Aの緑色光が観察された。
【0107】
実験例2:
【0108】
前記実験例1のように準備したITO電極の上にヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン(500Å)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)(400Å)、および前記実施例1で製造した化学式1−3の化合物(200Å)、Alq(300Å)を順次熱真空蒸着して、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層を順次形成した。前記電子輸送層上に順次12Å厚さのフッ化リチウム(LiF)と2000Å厚さのアルミニウムとを蒸着して陰極を形成し、有機発光素子を製造した。
【0109】
上記で製造した有機発光素子に5.6Vの順方向電界を加えた結果、50mA/cmの電流密度で1931 CIE color coordinate基準でx=0.18、y=0.24に該当する青色光が観察され、9.96Vの順方向電界を加えた結果、100mA/cmの電流密度で2.1cd/Aの青色光が観察された。
【0110】
実験例3:
【0111】
前記実験例1のように準備したITO電極の上にヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン(500Å)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)(400Å)、Alq(300Å)、および前記実施例3で製造した化学式1−21の化合物(200Å)を順次熱真空蒸着して、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層を順次形成した。前記電子輸送層上に順次12Å厚さのフッ化リチウム(LiF)と2000Å厚さのアルミニウムとを蒸着して陰極を形成し、有機発光素子を製造した。
【0112】
上記で製造した有機発光素子に6.3Vの順方向電界を加えた結果、50mA/cmの電流密度で1931 CIE color coordinate基準でx=0.32、y=0.55に該当する緑色光が観察され、8.65Vの順方向電界を加えた結果、100mA/cmの電流密度で4.6cd/Aの緑色光が観察された。
前記実験例1〜3の条件および結果を表1に示す。
【0113】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の化合物は、新規化合物であって、有機発光素子をはじめとする有機電子素子で正孔注入、正孔輸送、発光、または電子注入および/または輸送の役割をすることができ、適切なドーパントと共に発光ホストとしての役割もすることができる。本発明の化合物を有機発光素子をはじめとする有機電子素子に適用することにより、素子の効率、駆動電圧、安定性の面で優れた効果を達成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極、第2電極、および前記第1電極と第2電極との間に配置された1層以上の有機物層を含む有機電子素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は下記化学式1の化合物を含む有機電子素子:
【化1】

前記化学式1において、
〜R10は、各々独立してまたは同時に水素、置換されたまたは非置換のアルキル基、置換されたまたは非置換のアルコキシ基、置換されたまたは非置換のアルケニル基、置換されたまたは非置換のアリール基、置換されたまたは非置換のアリールアミン基、置換されたまたは非置換の複素環基、置換されたまたは非置換の脂肪族環基、置換されたまたは非置換のシリコン基、置換されたまたは非置換のホウ素基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、ハロゲン基、アミド基、エステル基からなる群から選択され、ここでこれらは互いに隣接する基と脂肪族または複素環を形成することができる。
【請求項2】
前記有機物層は電子注入および輸送層を含み、前記電子注入および輸送層が前記化学式1の化合物を含む、請求項1に記載の有機電子素子。
【請求項3】
前記有機物層は発光層を含み、前記発光層が前記化学式1の化合物を含む、請求項1に記載の有機電子素子。
【請求項4】
前記有機物層は正孔輸送層を含み、前記正孔輸送層が前記化学式1の化合物を含む、請求項1に記載の有機電子素子。
【請求項5】
前記有機物層は電子注入および輸送と発光を同時に行う層を含み、前記層が前記化学式1の化合物を含む、請求項1に記載の有機電子素子。
【請求項6】
前記有機電子素子は、有機発光素子、有機太陽電池、有機感光体(OPC)、および有機トランジスタからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の有機電子素子。
【請求項7】
下記化学式2で表されるイミダゾール誘導体:
【化2】

前記化学式2において、
〜R10は、各々独立してまたは同時に水素、置換されたまたは非置換のアルキル基、置換されたまたは非置換のアルコキシ基、置換されたまたは非置換のアルケニル基、置換されたまたは非置換のアリール基、置換されたまたは非置換のアリールアミン基、置換されたまたは非置換の複素環基、置換されたまたは非置換の脂肪族環基、置換されたまたは非置換のシリコン基、置換されたまたは非置換のホウ素基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、ハロゲン基、アミド基、エステル基からなる群から選択され、ここでこれらは互いに隣接する基と脂肪族または複素環を形成することができるが、但しR〜R10がともに水素ではない。
【請求項8】
およびRは、ともに水素ではなく、各々水素、置換されたまたは非置換のアルケニル基、置換されたまたは非置換のアリール基、置換されたまたは非置換のアリールアミン基、および置換されたまたは非置換の複素環基からなる群から選択され、
〜Rは、各々水素、ニトリル基、置換されたまたは非置換のアリール基、置換されたまたは非置換のアリールアミン基、置換されたまたは非置換の複素環基からなる群から選択され、
〜R10は、各々水素、ニトリル基、アルキル基、置換されたまたは非置換のアルケニル基、置換されたまたは非置換のアリール基、置換されたまたは非置換のアリールアミン基、および置換されたまたは非置換の複素環基からなる群から選択される、請求項7に記載のイミダゾール誘導体。
【請求項9】
およびRは、アルケニル基、アリール基、アリールアミン基、および複素環基からなる群から選択され、
〜Rは水素であり、
〜R10は、水素、ニトリル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアミン基、および複素環基からなる群から選択される、請求項7に記載のイミダゾール誘導体。
【請求項10】
前記化学式2の化合物が、下記構造式からなる群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載のイミダゾール誘導体。
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【請求項11】
a)置換されたまたは非置換の2,3−ジハロゲン−1,4−ナフトキノンと置換されたまたは非置換のオルソ−アミノピリジン誘導体とを反応させるステップと、
b)前記a)ステップで得らえた化合物のケトン基をアルコールに転換させて、ジアルコール化合物を製造するステップと、
c)前記b)ステップで得られたジアルコール化合物を還元させて、ナフタレン基を生成するステップとを含む、請求項7に記載のイミダゾール誘導体の製造方法。
【請求項12】
a)置換されたまたは非置換の2,3−ジハロゲン−1,4−ナフトキノンと置換されたまたは非置換のオルソ−アミノピリジン誘導体とを反応させるステップと、
b)前記a)ステップで得られた化合物のナフトキノン基を還元させて、ナフタレン基を生成するステップと、
c)前記b)ステップで得られた化合物のRとRが置換されなければならない位置に各々臭素(Br)を導入するステップと、
d)ボロン酸またはホウ酸塩を用い、前記c)ステップで得られた化合物のうちのブロモ基が導入された位置に置換基を導入するステップとを含む、請求項7に記載のイミダゾール誘導体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−233887(P2011−233887A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94278(P2011−94278)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【分割の表示】特願2007−542935(P2007−542935)の分割
【原出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】