説明

イミノ糖ならびにブニヤウイルスおよびトガウイルス疾患を治療する方法

DNJ誘導体などのイミノ糖を利用して、ブニヤウイルス科またはトガウイルス科に属するウイルスによって、引き起こされる、または、これらのウイルスに関連する疾患または状態を、治療および/または予防する新規の方法が、提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に関する相互参照)
本出願は、2009年6月12日に出願された米国仮出願番号第61/186,614号から優先権を主張するもので、その全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、イミノ糖およびイミノ糖でウイルス疾患を治療する方法に関する。特に、ブニヤウイルス科またはトガウイルス科に属するウイルスによって、引き起こされる、または、これらのウイルスに関連する、疾患の治療および予防のためのイミノ糖の使用に関する。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態は、ブニヤウイルス科に属するウイルスによって、引き起こされる、または、このウイルスに関連する疾患または状態を、治療または予防する方法を提供する。この方法は、それを必要とする対象に式の化合物またはこれらの化合物の薬理学的に許容される塩を投与することを含む。
【化7】


ここで、Rは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のオキサアルキル基のいずれかが選択される。または、Rは、
【化8】


であり、
R1が、置換もしくは無置換のアルキル基である。
X1ー5は、H、NO2、N3またはNH2から自由に選択される。
Yは、不在か、または、カルボニル以外の置換または無置換のC1−アルキル基である。
そして、Zは、結合手またはNHから選択される。Zが結合手である場合には、Yは不在であり、そして、ZがNHである場合には、Yは、カルボニル以外の置換または無置換のC1−アルキル基である。
そして、W1−4は、水素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のハロアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、置換もしくは無置換のアロイル基、または、置換もしくは無置換のハロアルカノイル基から自由に選択される。
【0004】
別の実施形態は、トガウイルス科に属するウイルスによって、引き起こされる、または、このウイルスに関連する疾患または状態を、治療または予防する方法を提供する。この方法は、それを必要とする対象に式の化合物またはこれらの化合物の薬理学的に許容される塩を投与することを含む。
【化9】


ここで、Rは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のオキサアルキル基のいずれかが選択される。または、Rは、
【化10】


であり、
R1が、置換もしくは無置換のアルキル基である。
X1ー5は、H、NO2、N3またはNH2から自由に選択される。
Yは、不在か、または、カルボニル以外の置換または無置換のC1−アルキル基である。
そして、Zは、結合手またはNHから選択される。Zが結合手である場合には、Yは不在であり、そして、ZがNHである場合には、Yは、カルボニル以外の置換または無置換のC1−アルキル基である。
そして、W1−4は、水素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のハロアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、置換もしくは無置換のアロイル基、または、置換もしくは無置換のハロアルカノイル基から自由に選択される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1(A)−(E)は、以下のイミノ糖の化学式を示す。(A)N−ブチルデオキシノジリマイシン(NB−DNJまたはUV−1)。(B)N−ノニル dexoynojirimycin(NN−DNJまたはUV−2)。(C)N−(7−オキサデシル)デオキシノジリマイシン(N7−O−DNJまたはUV−3)。(D)N−(9−メトキシノニル)デオキシノジリマイシン(N9−DNJまたはUV−4)。(E)N−(N−{4'−アジド−2'−ニトロフェニル}−6−アミノヘキシル)デオキシノジリマイシン(NAP−DNJまたはUV−5)。
【図2】NN−DNJのための合成方法である。
【図3−1】図3A−図3Dは、N7−O−DNJの合成を示す。図3Aは、特に、N7−O−DNJへと導く一連の反応を示す。
【図3−2】図3A−図3Dは、N7−O−DNJの合成を示す。図3Bは、6−プロピルオキシ−1-ヘキサノールの調製を示す。図3Cは、6−プロピルオキシ−1−ヘキサナールの調製を示す。図3Dは、N7−O−DNJの合成を示す。
【図4】図4A−図4Cは、N−(9−メトキシノニル)デオキシノジリマイシンの合成に関する。図4Aは、特に、9−メトキシ−1ーノナノールの調製を示す。図4Bは、9−メトキシ−1−ノナナールの調製を示す。図4Cは、N−(9−メトキシノニル)デオキシノジリマイシンの合成を示す。
【図5】選択されたブニヤウイルス、リフトバレー熱ウイルス、RVFV、ならびに、トガウイルス(ベネズエラウマ脳炎ウイルス、VEEV)およびチクングニヤウイルス、CHIKVに対する、NB−DNJ、NN−DNJ、N7−O−DNJ、N9−DNJおよびNAP−DNJの生体外IC50(μm)データの表を示す。
【図6】リフトバレー熱ウイルス(RVFV)に対する用量反応曲線を示す。
【図7】ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)に対する用量反応曲線を示す。
【図8】Chikingunyaウイルス(CHIKV)に対する用量反応曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
特に明記しない限り、「a」または「an」は、「1つ以上である」ことを意味する。
【0007】
本明細書において、「ウイルス感染」という用語は、ウイルスが健康な細胞に侵入し、そして、細胞の再生機構を利用することによって、増加または複製して、最終的に細胞を溶解し、結果として、細胞死、ウイルス粒子の放出、および、新たに産生された子ウイルスによる他の細胞への感染をもたらす、病的な状態を言う。あるウイルスによる潜伏感染も、ウイルス感染によってもたらされうる結果である。
【0008】
本明細書において、「ウイルス感染を治療するまたは予防する」という用語は、特定のウイルスの複製を阻害すること、ウイルス伝播を阻害すること、または、ウイルスが宿主に定着するのを防止すること、および、ウイルス感染によって、引き起こされる疾患の症状を改善または緩和することを意味する。ウイルス量の減少、死亡率および/または罹患率の減少がある場合、治療は効果的であると考えられる。
【0009】
IC50またはIC90(阻害濃度50または90)は、それぞれ、ウイルス量の50%または90%の減少を達成するために使用される、イミノ糖などの治療剤の濃度である。
【0010】
本発明者は、デオキシノジリマイシン誘導体などの、あるイミノ糖がブニヤウイルス科またはトガウイルス科に属するウイルスに対して効果的となりえ、その結果、これらのイミノ糖がブニヤウイルス科またはトガウイルス科に属するウイルスによって、引き起こされる、または、これらのウイルスに関連する疾患または状態を、治療または予防するために有益でありうることを発見した。
【0011】
ブニヤウイルス科は、以下の属を含む。ハンタウイルス属、ナイロウイルス属、オルトブニヤウイルス属、フレボウイルス属、トスポウイルス属、テヌイウイルス属。これらの属のうち、節足動物および植物に感染できるだけであるトスポウイルスを除いて、すべて、脊椎動物に感染できる。
【0012】
ハンタウイルス属としては、以下のウイルスが挙げられる。アンデスウイルス(ANDV)、バヨウウイルス(BAYV)、ブラッククリークカナルウイルス(BCCV)、カノデルガジトウイルス(CADV)、Chocloウイルス(CHOV)、ドブラバ−ベオグラードウイルス(DOBV)、ハンターンウイルス(HNTV)、Isla Vistaウイルス(ISLAV)、ハバロフスクウイルス(KHAV)、ラグナネグラウイルス(LANV)、Muleshoeウイルス(MULV)、ニューヨークウイルス(NYV)、プロスペクトヒルウイルス(PHV)、プーマラウイルス(PMV)、リオマモレウイルス(RIOMV)、Rio Segundoウイルス(RIOSV)、ソウルウイルス(SEOV)、シンノンブレウイルス(SNV)、Thailandウイルス(THAIV)、トッタパラヤン(TPMV)、Topografovウイルス(TOPV)、ツラウイルス(TULV)、バカウウイルス。
【0013】
ナイロウイルス属としては、以下のウイルスが挙げられる。クリミア−コンゴ出血熱ウイルス、ジュグベウイルス(Dugbe Virus)、Qalyubウイルス、Sakhalinウイルス、デラガジカーン、ThiaforaウイルスおよびHughesウイルス。
【0014】
オルトブニヤウイルス属としては、ラクロスウイルス、カリフォルニア脳炎ウイルスおよびジェームズタウンキャニオンウイルスが挙げられる。
【0015】
フレボウイルス属としては、Alenquerウイルス、Chandiruウイルス、チャグレスウイルス、サシチョウバエ熱ナポリ型ウイルス、サシチョウバエ熱シチリア型ウイルス、サシチョウバエ熱トスカーナウイルス、リフトバレー熱ウイルスおよびプンタトロウイルスが挙げられる。
【0016】
ブニヤウイルス科に属するウイルスによって、引き起こされうる、または、これらのウイルスに関連しうる疾患および状態としては、ハンタウイルス感染、つまり、ハンターンウイルス、プーマラウイルス、ソウルウイルスおよびドブラバウイルスなどの、ハンタウイルス属のウイルスによって、引き起こされうる腎症候性出血熱(HFRS)、シンノンブレウイルス、アンデスウイルス、ニューヨークウイルス、バヨウウイルスおよびブラッククリークカナルウイルスなどの、ハンタウイルス属のウイルスによって、引き起こされうるハンタウイルス心肺症候群(HCPSまたはHPS)、プーマラウイルスによって、引き起こされうる流行性腎症、ソウルウイルスによって、引き起こされる出血熱、発汗症、ならびに、クリミア−コンゴ出血熱、ならびに、ラクロスウイルス、カリフォルニア脳炎ウイルスおよびジェームズタウンキャニオンウイルスなどの、オルトブニヤウイルス属のウイルスによって、引き起こされうるラクロス脳炎、カリフォルニア脳炎、ならびに、サシチョウバエ熱、リフトバレー熱が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
Togabiridae科としては、アルファウイルス属およびルビウイルス属が挙げられる。
【0018】
アルファウイルス属としては、以下のウイルスが挙げられる。シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、オニョンニョンウイルス、チクングニヤウイルス、マヤロウイルス、ロスリバーウイルス、バルマ森林ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルスおよびベネズエラウマ脳炎ウイルス。ルビウイルス属としては、風疹ウイルスが挙げられる。
【0019】
トガウイルス科に属するウイルスによって、引き起こされうる、または、これらのウイルスに関連しうる疾患および状態としては、シンドビス熱、オニョンニョン熱、チクングニヤ疾患、ロスリバー熱、バルマ森林ウイルス感染、東部ウマ脳炎、西部ウマ脳炎、ベネズエラウマ脳炎および風疹が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
イミノ糖は、以下の式の化合物とすることができる。
【化11】


W1−4は、水素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のハロアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、置換もしくは無置換のアロイル基、または、置換もしくは無置換のハロアルカノイル基から自由に選択される。
【0021】
いくつかの実施形態では、Rは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のオキサアルキル基から選択できる。
【0022】
いくつかの実施形態では、Rは、1個から16個の炭素原子、4個から12個の炭素原子、または、8個から10個の炭素原子を含んだ、置換または無置換のアルキル基および/または置換または無置換のオキサアルキル基とすることができる。「オキサアルキル」という用語は、アルキル誘導体を指す。この誘導体は、1個から5個、または、1個から3個、または、1個から2個の酸素原子を含有できる。「オキサアルキル」という用語には、ヒドロキシ末端およびメトキシ末端アルキル誘導体が含まれる。
【0023】
いくつかの実施形態では、Rは、(CH2)6OCH3、(CH2)6OCH2CH3、(CH2)6O(CH2)2CH3、(CH2)6O(CH2)3CH3、(CH2)2O(CH2)5CH3、(CH2)2O(CH2)6CH3および(CH2)2O(CH2)7CH3から選択されてもよいが、これらに限定されない。
【0024】
いくつかの実施形態では、Rは、分枝または非分枝、置換または無置換のアルキル基であってもよい。ある実施形態では、このアルキル基は、長鎖アルキル基でもよい。長鎖アルキル基は、C6−C20アルキル基、C8−C16アルキル基またはC8−C10アルキル基でもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、Rは、以下の式を有することができる。
【化12】


R1は、置換または無置換のアルキル基であり、X1ー5は、H、NO2、N3またはNH2から自由に選択され、Yは、不在か、または、カルボニル以外の置換または無置換のC1−アルキル基であり、そして、Zは、結合手またはNHから選択される。Zが結合手である場合には、Yは不在であり、そして、ZがNHである場合には、Yは、カルボニル以外の置換または無置換のC1−アルキル基である。
【0026】
いくつかの実施形態では、ZはNHであり、R1−Yは、C2−C20アルキル基またはC4−C12アルキル基またはC4−C10アルキル基などの、置換または無置換のアルキル基である。
【0027】
いくつかの実施形態では、X1はNO2で、X3はN3である。いくつかの実施形態では、X2、X4およびX5のそれぞれが、水素である。
【0028】
いくつかの実施形態では、イミノ糖は、米国特許出願公開第2007/0275998号で開示されたDNJ誘導体であり、その内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
いくつかの実施形態では、デオキシノジリマイシン誘導体は、図1に示される化合物の1つとなりうる。
【0030】
デオキシノジリマイシン誘導体を合成する方法は、例えば、米国特許第5,622,972号、第5,200,523号、第5,043,273号、第4,994,572号、第4,246,345号、第4,266,025号、第4,405,714号および第4,806,650号ならびに米国特許出願公開第2007/0275998号で開示され、その全てが参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
いくつかの実施形態では、イミノ糖は、無機または有機酸から誘導された塩という形となりうる。薬理学的に許容される塩、および、塩形態を調整するための方法は、例えば、Bergeその他(J.Pharm.Sci.66:1−18、1977)に開示される。適切な塩の例としては、以下の塩が挙げられるが、これらに限定されない。酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、蓚酸塩、ペクチン酸塩、パモ酸塩、ペルオキソ硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、琥珀酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、メシル酸塩、および、ウンデカン酸塩。
【0032】
いくつかの実施形態では、また、イミノ糖は、プロドラッグの形で用いられてもよい。6−リン酸化DNJ誘導体などの、DNJ誘導体のプロドラッグは、米国特許第5,043,273号および第5,103,008号で開示される。
【0033】
いくつかの実施形態では、イミノ糖は組成物の一部として利用されてもよく、この組成物は、更に、薬理学的に許容される担体および/または動物に組成物を送達するために有益な成分を含む。ヒトに組成物を送達するために有益な薬理学的に許容される多くの担体、および、牛などの他の動物に組成物を送達するために有益な成分が、従来技術において、公知である。本発明の組成物へのこのような担体および成分の追加は、十分に、従来技術における通常の技術レベルの範囲内である。
【0034】
いくつかの実施形態では、イミノ糖は、米国公開2008/0138351、2009年3月25日出願の米国出願第12/410,750号および2009年3月27日出願の米国仮出願第61/202,699号において、開示されるような、リポソーム組成物で利用されてもよい。
【0035】
DNJ誘導体などの、イミノ糖を、ウイルスによって、影響を及ぼされる細胞または動物に、投与可能である。イミノ糖は、ウイルスの形態形成を阻害することができ、または、動物を治療できる。治療により、動物のウイルス感染を軽減、緩和、または、減少させることができる。
【0036】
ブニヤウイルス科またはトガウイルス科に属するウイルスに感染されうる動物としては、鳥類、ならびに、霊長類、ヒト、齧歯動物、ヒツジおよびヤギなどの家畜動物、ウマ、シマウマおよびロバなどのウマ科の動物を含む哺乳類といった、脊椎動物、そして、無脊椎動物が挙げられる。
【0037】
細胞または動物に投与されるイミノ糖の量は、ブニヤウイルス科またはトガウイルス科に属するウイルスの形態形成を阻害するために効果的な量とすることができる。「阻害」という用語は、本明細書で使用するとき、イミノ糖がない場合に示される生物活動の、検出可能な減少および/または除去を、指すことができる。「効果的な量」という用語は、示された作用に到達するために必要なイミノ糖の量を指すことができる。「治療」という用語は、本明細書で使用するとき、個体において、症状を軽減または緩和すること、症状が悪化または進行するのを予防すること、原因因子の阻害または除去、ブニヤウイルス科またはトガウイルス科に属するウイルスに関係のある感染または疾患の、自由な個体での予防、を指すことができる。
【0038】
したがって、例えば、ウイルスによって、引き起こされる、または、ウイルスに関連した疾患の治療としては、感染性病原体の破壊、感染性病原体の成長もしくは成熟の阻害または成長もしくは成熟に対する干渉、および、感染性病原体の病理学的影響の無力化を挙げることができる。細胞または動物に投与できるイミノ糖の量は、投与に伴う利点を上回る任意の毒作用を誘起しない量であることが好ましい。
【0039】
薬学的組成物(医薬組成物(pharmaceutical composition))の活性成分の実際の投薬量レベルは、特定の患者に対する所望の治療反応に到達するために効果的な活性体(単数または複数)の量を投与するように、変化させてもよい。
【0040】
選択される投与レベルは、イミノ糖の活性度、投与経路、治療されている状態の厳しさ、ならびに、治療される患者の状態および以前の医療履歴に左右されうる。しかしながら、所望の治療効果に到達するのに必要な量より少ないレベルで化合物(単数または複数)の投与をスタートさせ、所望の効果に到達するまで、段階的に投薬量を増加させることは、当業者の技能の範囲内である。必要に応じて、効果的な1日量を、投与のために、例えば、1日当たり2回から4回の投与量といった、複数の投与量に分割してもよい。しかしながら、特定の患者のための特定の投与レベルは、体重、全体的な健康、食餌、投与時間および投与経路ならびに他の治療薬との組み合わせ、そして、治療されている状態または疾患の厳しさを含んだ、様々な要因次第となりうると理解できるであろう。成人のヒトの1日投与量は、体重10キログラム当たり、イミノ糖が、約1マイクログラムと約1グラムの間から、または、約10mgと100mgの間から、変動してもよい。当然、細胞または動物に投与しなければならないイミノ糖の量は、イミノ糖の分子量および投与経路といった、当業者に十分に理解される多数の要因に左右されうる。
【0041】
本発明の方法で有益な薬学的組成物は、経口固形剤、目薬、坐薬、エアロゾル、局所製剤または他の類似の製剤形態で、全身的に投与されてもよい。例えば、それは、散剤、錠剤、カプセル、トローチ剤、ゲル剤、水剤、浮遊液、シロップ剤などの物理的形態であってもよい。イミノ糖に加えて、このような薬学的組成物は、薬剤投与を強化および容易にすることで公知の、薬理学的に許容される担体および他の成分を含有してもよい。ナノ粒子、リポソーム再封入赤血球、および、免疫学に基づいた系などの、他の可能な製剤形態が、イミノ糖を投与するために用いられてもよい。このような薬学的組成物は、複数の経路で投与されてもよい。本明細書において、使用される用語「非経口」としては、皮下、静脈、動脈、クモ膜下、ならびに、注射および注入技術が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、薬学的組成物は、経口的に、局所的に、非経口的に、全身的に、または、肺経路により投与されてもよい。
【0042】
これらの組成物は、単回投与、または、異なる時間に投与される複数回投与で、投与されてもよい。組成物の阻害の効果はブニヤウイルス科またはトガウイルス科に属するウイルスに持続することになるので、ウイルスの増殖が遅延し、宿主細胞が最小限となるように、投与方式は調節されてもよい。例えば、動物は、週に1回本発明の組成物を投与されてもよく、この投与によって、ウイルスの増殖は1週間にわたって遅延し、宿主細胞の機能は、週に1回短期間だけ阻害される。
【0043】
本明細書において、説明される実施形態は、以下の実施例で更に図示されるが、これらに決して限定されるものではない。
【実施例】
【0044】
実施例1
〔N−ノニルDNJの合成〕
【表1】

【0045】
〔手順〕磁気撹拌機を備えた、50mLの1口丸底フラスコに、室温で、DNJ(500mg)、エタノール(100mL)、ノナナール(530mg)および酢酸(0.5mL)を充填した。反応混合物は、40℃ー45℃まで加熱されて、窒素によって、30分から40分間攪拌された。反応混合物は周囲温度に冷却され、Pd/Cが添加された。反応フラスコは、排気されて、バルーンの水素ガスと置換された。この工程は、3回、繰り返された。最後に、反応混合物は、一晩、周囲温度で攪拌された。反応の経過は、TLC(注1)により監視された。反応混合物は、セライトパッドで濾過され、エタノールで洗浄された。濾液は、粗生成物を得るために、真空下で濃縮された。粗生成物は、カラムクロマトグラフィ(230−400メッシュ、シリカゲル)により浄化された。カラムから生成物を溶出するために、ジクロロメタン中のメタノールの溶媒グラジエント(10%−25%)が用いられた。所望の生成物を含有しているすべてのフラクションが、集められて、純粋な生成物(420mg)を提供するために、真空下で濃縮された。薄層シリカゲルプレートを利用した薄層クロマトグラフィ(TLC)によって、反応の完了が、観察された。溶出剤、メタノール:ジクロロメタン=1:2。
【0046】
実施例2
〔N−7−オキサデシルDNJの合成〕
実施例2a
〔6−プロピルオキシ−1−ヘキサノールの合成〕
【表2】

【0047】
〔手順〕磁気撹拌機を備えた、500mLの1口丸底フラスコに、室温で、1,6−ヘキサンジオール(6.00g)、カリウムtert−ブトキシド(5.413g)を充填した。反応混合物は1時間攪拌されて、そして、1−ヨードプロパン(8.63g)が添加された。反応混合物は、70℃ー80°Cまで加熱されて、一晩攪拌された。反応の経過は、TLC(注1)により監視された。反応の完了後、水が、反応混合物に添加され、酢酸エチル(2×100mL)で抽出された。集められた有機層は、粗生成物を得るために、真空下で濃縮された。粗生成物を、ジクロロメタンに溶解し、水、そして、塩水で洗浄してから、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層は、粗生成物を得るために、真空下で濃縮された。粗生成物は、230−400メッシュのシリカゲルを利用したカラムクロマトグラフィによって、浄化された。カラムから生成物を溶出するために、ヘキサン中の酢酸エチルの溶媒グラジエント(10%−45%)が、用いられた。所望の純粋な生成物を含有しているすべてのフラクションは、集められて、純粋な6−プロピルオキシ−1−ヘキサノール(ロット番号D−1029−048、1.9g、25%)を提供するために、真空下で濃縮された、反応の完了が、薄層クロマトグラフィ(TLC)によって、観察された。(溶出剤:60%が酢酸エチルのヘキサン)。
【0048】
実施例2b
〔6−プロピルオキシ−1−ヘキサナールの調製〕
【表3】

【0049】
〔手順〕磁気撹拌機を備えた、50mLの1口丸底フラスコに、6−プロピルオキシ−1−ヘキサノール(1.0g)、PDC(4.7g)、ジクロロメタン(10mL)、セライト(1.0g)および酢酸ナトリウム(100mg)を充填した。反応混合物は、室温で、窒素によって、5分間、攪拌された。PDC(4.70g)が反応混合物に添加されて、一晩攪拌された。反応の経過は、TLC(注1)により監視された。反応の完了後、反応混合物が、カラム(230−400メッシュ、シリカゲル)に、直接供給された。カラムから生成物を溶出するために、酢酸エチル中のジクロロメタンの溶媒グラジエント(10%−20%)が、用いられた。所望の純粋な生成物を含有しているすべてのフラクションは、集められて、純粋な6−プロピルオキシ−1−ヘキサナール(ロット番号D−1029−050、710mg、71%)を提供するために、真空下で濃縮された。反応の完了が、薄層クロマトグラフィ(TLC)によって、観察された。(溶出剤:60%が酢酸エチルのヘキサン)。
【0050】
実施例2c
〔N−7−オキサデシルーDNJの合成〕
【表4】

【0051】
〔手順〕磁気撹拌機を備えた、50mLの1口丸底フラスコに、t室温(t room temperature)、DNJ(500mg)、エタノール(15mL)、6−プロピルオキシ−1−ヘキサナール(585mg)および酢酸(0.1mL)を充填した。反応混合物は、40℃ー45℃まで加熱されて、窒素によって、30分から40分間攪拌された。反応混合物は周囲温度に冷却され、Pd/Cが添加された。反応フラスコは、排気されて、バルーンの水素ガスと置換された。この工程は、3回、繰り返された。最後に、反応混合物は、一晩、周囲温度で攪拌された。反応の経過は、TLC(注1)により監視された。反応混合物は、セライトパッドで濾過され、エタノールで洗浄された。濾液は、粗生成物を得るために、真空下で濃縮された。粗生成物は、カラムクロマトグラフィ(230−400メッシュ、シリカゲル)により浄化された。カラムから生成物を溶出するために、ジクロロメタン中のメタノールの溶媒グラジエント(10%−40%)が用いられた。所望の生成物を含有しているすべてのフラクションは、集められて、純粋な生成物(ロット番号D−1029−052、840mg)を提供するために、真空下で濃縮された。反応の完了が、薄層クロマトグラフィ(TLC)によって、観察された。(溶出剤:50%がメタノールのジクロロメタン)。
【0052】
実施例3
〔N−(9−メトキシ)−ノニルDNJの合成〕
実施例3a
〔9−メトキシ−1−ノナノールの調製〕
【表5】

【0053】
〔手順〕磁気撹拌機および撹拌棒を備えた、500mLの1口丸底フラスコに、ジメチルスルホキシド(100mL)およびH2O(100mL)中の1,9−ノナンジオール(10.00g、62.3mmol)を、充填した。これに、H2O(10mL)の水酸化ナトリウム(5.0g、125.0mmol)の水溶液を、室温で、ゆっくりと添加した。水酸化ナトリウム添加の間、反応混合物の発生熱および温度は、40℃まで上昇した。
混合物は1時間攪拌され、そして、〜40℃に反応混合物の温度を維持しながら、硫酸ジメチル(16.52g、131mmol)が4分割して添加された。反応混合物は、一晩室温で、攪拌された。反応の経過は、TLC(注1)により監視された。TLC監視は、反応が25%の転化率であることを示した。この段階で、追加的な硫酸ジメチル(24.78g、196.44mmol)が添加され、結果として生じた混合物は、更に24時間、室温で、攪拌された。反応の完了後、11−13まで溶液のpHを調節するために、水酸化ナトリウム(10%の水溶液)が、反応混合物に添加された。混合物は、室温で、2時間攪拌されて、ジクロロメタン(3×100mL)で抽出された。一体化された有機物層は、H2O(200mL)、塩水(150mL)により洗浄され、無水硫酸ナトリウム(20g)で乾燥してから、濾過され、粗生成物(14g)を得るために、真空下で濃縮された。粗生成物は、250−400メッシュのシリカゲルを利用したカラムクロマトグラフィによって、浄化された。カラムから生成物を溶出するために、ヘキサン中の酢酸エチルの溶媒グラジエント(10%−50%)が、用いられた。所望の純粋な生成物を含有しているすべてのフラクションは、集められて、純粋な9−メトキシ−1−ノナノール(ロット番号D−1027−155、2.38g、21.9%)を提供するために、真空下で濃縮された。薄層シリカゲルプレートを利用した薄層クロマトグラフィ(TLC)によって、反応の完了が、観察された。溶出剤:60%が酢酸エチルのヘキサン。
【0054】
実施例3b
〔9−メトキシ−1−ノナナールの調製〕
【表6】

【0055】
〔手順〕磁気撹拌機および撹拌棒を備えた、50mLの1口丸底フラスコに、室温で、9−メトキシ−ノナノール(1.0g、5.9mmol)、ジクロロメタン(10mL)、モレキュラーシーブ(1.0g、3A)、酢酸ナトリウム(0.1g)を充填した。反応混合物は、室温で、窒素によって、5分間、攪拌された。反応混合物は、ピリジニウムジクロマート(4.7g、12.5mmol)を充填され、一晩攪拌された。反応の経過は、TLC(注1)により監視された。反応の完了後、反応混合物が、シリカゲル(〜15 g)の床により濾過された。粗化合物を得るために、濾液を真空下で蒸発した。粗化合物は、シリカゲルカラム(250−400のメッシュ、40g)を利用したカラムクロマトグラフィによって、浄化された。カラムから生成物を溶出するために、ヘキサン中の酢酸エチルの溶媒グラジエント(10%−50%)が、用いられた。所望の純粋な生成物を含有しているすべてのフラクションは、集められて、純粋な9−メトキシ−ノナナール(ロット番号D−1027−156、553mg、54.4%)を提供するために、真空下で濃縮された。薄層シリカゲルプレートを利用した薄層クロマトグラフィ(TLC)によって、反応の完了が、観察された。溶出剤:60%が酢酸エチルのヘキサン。
【0056】
実施例3c
〔N−(9−メトキシ)−ノニルDNJの合成〕
【表7】

【0057】
〔手順〕磁気撹拌機および撹拌棒を備えた、50mLの2口丸底フラスコに、室温で、DNJ(300mg、1.84mmol)、エタノール(20mL)、9−メトキシ−1−ノナナール(476mg、2.76mmol)を充填した。反応混合物は、窒素によって、5分から10分間攪拌されて、Pd/Cが、室温で添加された。反応混合物は、排気されて、バルーンを利用した水素ガスと置換された。この工程は3回繰り返され、そして、反応混合物が、室温で、大気水素により攪拌された。反応の経過は、TLC(注1)により監視された。反応混合物は、セライトの床で濾過され、エタノール(20mL)で洗浄された。濾液は、粗生成物を得るために、真空下で濃縮された。粗生成物は、250−400メッシュのシリカゲル(20g)を利用したカラムクロマトグラフィによって、浄化された。カラムから生成物を溶出するために、酢酸エチル中のメタノールの溶媒グラジエント(5%−25%)が、用いられた。所望の純粋な生成物を含有しているすべてのフラクションが、集められて、灰色がかった白色の固体を提供するために、真空下で濃縮された。この固体は、酢酸エチル(20mL)中ですりつぶされ、濾過されてから、白色固体[ロット番号D−1027−158(165.3mg、28.1%)を提供するために、高真空で乾燥させた。薄層シリカゲルプレートを利用した薄層クロマトグラフィ(TLC)によって、反応の完了が、観察された。(溶出剤:50%がメタノールのジクロロメタン)。
【0058】
実施例4
〔選択されたブニヤウイルスおよびトガウイルスの阻害〕
図5は、ブニヤウイルスであるリフトバレー熱ウイルス(RVFV)、ならびに、トガウイルスであるベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)およびチクングニヤウイルス(CHIKV)に対する、NB−DNJ、NN−DNJ、N7−O−DNJ、N9−DNJおよびNAP−DNJの生体外IC50(μm)データの表を示す。
【0059】
〔化合物〕以下の化合物の基準材は、0.5%の最終の最高DMSO濃度に、ジメチルスルホキシド(DMSO)で調製された。NB−DNJ、NN−DNJ、N7−O−DNJ、N9−DNJおよびNAP−DNJ。すべての化合物が、基準材から実験濃度まで希釈された。
【0060】
〔ウイルス〕リフトバレー熱ウイルス(ブニヤウイルス)MP12株、チクングニヤ(トガウイルス科)181/25株およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(トガウイルス科)TC−83株に対する阻害のために、化合物は、選別された。ウイルスストックは、改質イーグル培地(MEM、Sigma)を利用したベロ細胞での増殖により作成され、2%のウシ胎児血清、2mMのLグルタミン、100U/mlのペニシリン、100ug/mlのストレプトマイシンを補われ、標準プラークアッセイ(方法は下に示される)を利用して滴定された。利用されるまで、ウイルスストックは−80°Cで保存された。
【0061】
〔ウイルス収率減少アッセイ〕UV化合物の様々な濃度で培養された、ウイルス感染細胞から発生した上清サンプル上への標準プラークアッセイによって、ウイルス収率アッセイが、実行された。24穴細胞培養プレートは、2mMのLグルタミン、100U/mLのペニシリン/ストレプトマイシンおよび2%の熱不活性化ウシ胎児血清を補われたEarl’s salts(Sigma、セントルイス、MO)を有するMEM中の、ウシ胎児血清ベロ細胞(ATCC、マナサス、VA、ATCC番号CCL−81)が10%である1mLのMEMに、細胞が播種され、37℃で、24時間、または、〜80%の集密度まで培養された。培地は、2%のウシ胎児血清を補われた培地に置換され、利用される化合物の濃度を250uM(または125uM)として出発し、8つの希釈剤を利用して3通りに試験された。250uMまたは125uMで出発した化合物の希釈剤は、適切な穴に添加されて、37℃で、1時間、5%のCO2で温置される。1時間後に、培養ウイルスが、それぞれの穴に添加される。RVFVには4日、CHIKVには3日、そして、VEEウイルス感染には2日を必要とする。感染が完了したとき、上清は、滴定するために0.5mLのMCF管に収集および獲得された。
【0062】
RVFV MP12、CHIKV 181/25およびVEE TC−83を滴定するために、成長培地の80%が融合性ベロ細胞である12穴プレートが、利用された。ウイルスの上清は、10−3から10−8まで希釈されて、細胞に添加され(100uL)、5分−10分ごとに振盪しながら、1時間、37℃で培養された。ウイルス感染培地(100uL)は、吸引されて、2X MEM(5%のウシ胎児血清)と1:1に混合された1mLの予熱された2%の低融点アガロースに置換され、37℃で、6日間、5%のCO2で培養されて、その後、ニュートラルレッド染色によって、プラークが視覚化された。IC50は、結果として50%のウイルス阻害となる化合物の濃度として決定された。
【0063】
図6は、リフトバレー熱ウイルス(RVFV)に対する用量反応曲線を示す。図5のために開示されたような、ウイルス収率アッセイが実行された。RVFV MP12のウイルス阻害は、58μM、218μMおよび49μMのEC50を有する、化合物UV−2(NN−DNJ)、UV−3(N7−O−DNJ)およびUV−5(NAP−DNJ)に見られた。UV−2が、最も大きな濃度(250μM)で、細胞に毒性であった。化合物UV−1(NB−DNJ)およびUV−4(N9−DNJ)は、どちらも、250μM以上のEC50を有する。
【0064】
図7は、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)に対する用量反応曲線を示す。図5のために上で開示されたような、ウイルス収率アッセイが実行された。VEEウイルス阻害は、156μM、12μMおよび2μMのEC50を有する、化合物UV−1(NB−DNJ)、UV−2(NN−DNJ)およびUV−5(NAP−DNJ)に見られた。UV−2が、最も大きな濃度(250μM)で毒性であった。化合物UV−3(N7−O−DNJ)およびUV−4(N9−DNJ)は、どちらも、250μM以上のEC50を有する。
【0065】
図8は、Chikingunyaウイルス(CHIKV)に対する用量反応曲線を示す。ウイルス収率アッセイは、図5のように、実行された。チクングニヤウイルス阻害は、22μMのEC50を有する化合物UV−5(NAP−DNJ)に見られた。
UV−2(NN−DNJ)は、56μMのEC50を有する保護を示した。化合物UV−1(NB−DNJ)、UV−3(N7−O−DNJ)、UV−4(N9−DNJ)のすべてが、500μM以上のEC50を有する。
【0066】
上記の説明は特定の好ましい実施形態を言及しているが、本発明がこれら特定の実施形態に限定されないことは理解できるであろう。さまざまな修正が開示された実施形態に遂行されてもよく、そして、このような修正が、本発明の範囲内と意図されることが、当業者は予測できるであろう。
【0067】
本明細書において、引用された刊行物、特許出願および特許の全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブニヤウイルス科に属するウイルスによって引き起こされる、または、前記ウイルスに関連する疾患または状態を、治療または予防する方法であり、
それを必要とする対象に式の化合物またはこれらの化合物の薬理学的に許容される塩を投与すること、
【化1】


を含む方法であって、
Rは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のオキサアルキル基のいずれかが選択され、または、
Rは、
【化2】


であり、
R1が、置換もしくは無置換のアルキル基であり、
X1ー5が、H、NO2、N3またはNH2から自由に選択され、
Yが、不在か、または、カルボニル以外の置換または無置換のC1−アルキル基であり、
そして、Zが、結合手またはNHから選択され、Zが結合手である場合には、Yは不在であり、そして、ZがNHである場合には、Yは、カルボニル以外の置換または無置換のC1−アルキル基であり、
そして、W1−4が、水素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のハロアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、置換もしくは無置換のアロイル基、または、置換もしくは無置換のハロアルカノイル基から自由に選択される、
方法。
【請求項2】
Rが、C8−C16アルキル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
W1からW4の各々が水素である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物が、N−ノニル−デオキシノジリマイシン、または、これの薬理学的に許容される塩である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Rが、以下の式となる、請求項1に記載の方法。
【化3】

【請求項6】
W1からW4の各々が水素である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
X1がNO2で、X3がN3である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
X2、X4およびX5の各々が水素である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物が、N−(N−{4’−アジド−2’−ニトロフェニル}−6−アミノヘキシル)デオキシノジリマイシン、または、これの薬理学的に許容される塩である、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記対象が哺乳類である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記対象がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ウイルスが、アンデスウイルス、ハンターンウイルス、プーマラウイルス、ソウルウイルス、シンノンブレウイルス、ジュグベウイルス、クリミア−コンゴ出血熱ウイルス、ラクロスウイルスおよびリフトバレー熱ウイルスから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ウイルスが、フレボウイルス属に属する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ウイルスが、リフトバレー熱ウイルスである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記疾患または状態が、腎症候性出血熱、ハンタウイルス心肺症候群、流行性腎症、ソウルウイルスによって引き起こされる出血熱、発汗症、クリミア−コンゴ出血熱、ラクロス脳炎、サンチョウバエ熱およびリフトバレー熱から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記疾患または状態が、リフトバレー熱である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
トガウイルス科に属するウイルスによって引き起こされる、または、前記ウイルスに関連する疾患または状態を、治療または予防する方法であり、
それを必要とする対象に式の化合物またはこれらの化合物の薬理学的に許容される塩を投与すること、
【化4】


を含む方法であって、
Rは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のオキサアルキル基のいずれかが選択され、または、
Rは、
【化5】


であり、
R1が、置換もしくは無置換のアルキル基であり、
X1ー5が、H、NO2、N3またはNH2から自由に選択され、
Yが、不在か、または、カルボニル以外の置換または無置換のC1−アルキル基であり、
そして、Zが、結合手またはNHから選択され、Zが結合手である場合には、Yは不在であり、そして、ZがNHである場合には、Yは、カルボニル以外の置換または無置換のC1−アルキル基であり、
そして、W1−4が、水素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のハロアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、置換もしくは無置換のアロイル基、または、置換もしくは無置換のハロアルカノイル基から自由に選択される、
方法。
【請求項18】
Rが、C8−C16アルキル基である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
W1からW4の各々が水素である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物が、N−ノニル−デオキシノジリマイシン、または、これの薬理学的に許容される塩である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
Rが、以下の式となる、請求項17に記載の方法。
【化6】

【請求項22】
W1からW4の各々が水素である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
X1がNO2で、X3がN3である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
X2、X4およびX5の各々が水素である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が、N−(N−{4’−アジド−2’−ニトロフェニル}−6−アミノヘキシル)デオキシノジリマイシン、または、これの薬理学的に許容される塩である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記対象が哺乳類である、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記対象がヒトである、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記ウイルスが、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、オニョンニョンウイルス、チクングニヤウイルス、マヤロウイルス、ロスリバーウイルス、バルマ森林ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルスおよび風疹ウイルスから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記ウイルスが、アルファウイルス属に属する、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
前記ウイルスが、チクングニヤウイルスである、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
前記ウイルスが、ベネズエラウマ脳炎ウイルスである、請求項17に記載の方法。
【請求項32】
前記疾患または状態が、シンドビス熱、オニョンニョン熱、チクングニヤ疾患、ロスリバー熱、バルマ森林ウイルス感染、東部ウマ脳炎、西部ウマ脳炎、ベネズエラウマ脳炎および風疹から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項33】
前記疾患または状態が、チクングニヤ疾患である、請求項17に記載の方法。
【請求項34】
前記疾患または状態が、ウマ脳炎である、請求項17に記載の方法。
【請求項35】
前記疾患または状態が、ベネズエラウマ脳炎である、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−530061(P2012−530061A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515167(P2012−515167)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/038247
【国際公開番号】WO2010/144759
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(511266520)ユナイテッド セラピューティクス コーポレイション (6)
【出願人】(511301083)ザ チャンセラー,マスターズ アンド スカラーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ オックスフォード (6)
【Fターム(参考)】