説明

インキ組成物

【課題】原材料の精製等を必要とせず、低コストで、印字濃度が高く、かつ、滲みの少ない卵殻印刷用インクジェットインキを提供することにある。
【解決手段】(a) 厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラ、かつ/または、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラと、(b)
食品添加物である非水溶性溶媒からなることを特徴とするインキ組成物により、原材料の精製等を必要とせず、滲みが小さく、ゆで卵製造時の色の溶出や、卵白への色の浸透がなく、かつ、印字濃度の高い卵殻印刷用インクジェットインキを提供する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品パッケージ等、食品関連の印刷全般を行うインキ、特に卵殻表面にマーキングを行うのに適したインクジェットインキ組成物、およびこれを用いた卵殻表面へのマーキング方法、ならびにマーキングした卵に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの産業分野で環境問題が叫ばれている。特に食品関連分野では食 品そのものは勿論のこと、その製造環境、物流体制、包装、品質保証にまで環境対応の要求が増大している。食品のなかでも生鮮食品である卵については品質保証期限の明記が義務付けられており、パッケージに製造年月日や品質保証期限を印刷したり、別途紙に印刷したりしたものを添付するような方法が採られている。
【0003】
パッケージに製造年月日や品質保証期限を印刷したり、別途紙に印刷したりしたものを添付するような方法では、一般家庭の冷蔵庫等のように、一旦パッケージから取り出してしまうと、卵1個1個の製造年月日や品質保証期限がわからなくなるという問題があり、これらの情報を卵殻に直に印刷することが行われはじめている。
【0004】
卵殻への印刷方法としては、高速かつ非接触で卵殻破損の危険のないインクジェット方式が好ましく、インキとしては、用途の性質上、全ての構成成分が、水、食品、食品添加物、食品添加物と同等と評価できる安全性であるものであることが必須条件である。さらに、ゆで卵製造時に色が溶出したり、卵白に色が浸透したりしないことが好ましい。
【0005】
これらの条件を満足するインキとして、例えば、特開2000−191969号、特開2000−297239号において精製した鉄クロロフィリンナトリウム、精製した銅クロロフィリンナトリウム、または、精製したクロロフィリンナトリウムから選択される少なくとも一種および水を含むインクジェットインキが開示されているが、これら組成物の作製には精製に時間とコストを費やし、印字濃度は必ずしも満足できる濃さのものではなかった。さらに、溶液型インキであるため、卵殻の様な多孔質な表面上では滲みが大きいという問題も抱えている。
【0006】
以上に述べたように、卵殻印刷用のインクジェットインキとしては、原材料の精製 等を必要とせず、滲みが小さく、煮沸条件下での色抜けがなく、かつ、印字濃度の高いものの出現が望まれているのである。
【特許文献1】特開2000−191969号公報
【特許文献2】特開2000−297239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、原材料の精製等を必要とせず、滲みが小さく、ゆで卵製造時の色の溶出や、卵白への色の浸透がなく、かつ、印字濃度の高い卵殻印刷用インクジェットインキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、 (a) 厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラ、かつ/または、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラと、(b)
食品添加物である非水溶性溶媒を必須成分とすることを特徴とするインキ組成物を提供するに至った。
【発明の効果】
【0009】
本発明のインキは、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラ以外の全ての構成成分が、食品、食品添加物の何れかに属するものであり、卵殻へのインクジェット印刷をはじめとした食品関連分野で、高範囲への利用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
すなわち、本発明は、 (a) 厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラ、かつ/または、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラと、(b)
食品添加物である非水溶性溶媒からなることを特徴とするインキ組成物、および該インキ組成物をインクジェット印刷用に調整した、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラを除く全ての構成成分が食品添加物、食品、の何れかに属するものであることを特徴とするインクジェットインキを用いてインクジェット方式により印刷することを特徴とする卵殻への印刷方法、および該印刷方法により印刷された卵に関するものである。
【0011】
溶液型のインキは、卵殻の様な多孔質な表面上では滲みが大きく、この滲み性を改良すべく、発明者らは食品添加物である油溶性染料を食品添加物である水溶性溶剤中で微細な粒子とする乳化状態のインキを調整することを考案した。しかし、乳化タイプのインキよりもさらに耐滲み性、印字濃度の改良を目指し、検討を続けた結果、顔料分散型のインキが上記条件を満足させるに最も相応しいとの結論に達し、本発明を考案するに至った。
【0012】
本発明の、(a) 成分の厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラ、かつ/または、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラ、(b)
食品添加物である非水溶性溶媒を必須成分とすることを特徴とするインキ組成物とは、(a) 成分の厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラ、かつ/または、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラを(b)
成分の食品添加物である非水溶性溶媒に、(c)成分の食品添加物から選ばれた1種、または2種以上の分散剤を用いて分散させたものであり、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラを除く全ての構成成分が食品添加物、食品、の何れかに属するものであることを特徴とする、卵殻印刷等の食品に関わる印刷に用いることを目的として調製されたものであり、コンティニュアス、オンデマンド何れの方式に対しても対応可能なインクジェットインキを調製することが可能である。
【0013】
以下に本発明を更に詳細に説明する。
本発明インキ組成物(a)成分の厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラ、かつ/または、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラについて説明する。
【0014】
ベンガラとは、三二酸化鉄(Fe)の慣用名であり、古来より用いられている赤色顔料である。本発明インキ組成物(a)成分の厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラとは、安全性が実証または確認されるもの、使用により消費者に利点を与えるもの、食品を美化し、魅力を増すものといった条件を満足し、かつ、食品添加物と指定するに当たり設定された安全性に関わる規格を満足するものである。
【0015】
一方、本発明インキ組成物(a)成分の米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラとは、米国食品医薬品局(FDA)が、食品添加物と指定するに当たり設定された安全性に関わる規格を満足するものである。
【0016】
本発明、(a) 成分の厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラ、かつ、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラは、平均粒径250nm以下が好ましく、平均粒径150nm以下がより好ましい。平均粒径が250nmを超えるとインキ液中で顔料が沈降するという危険性が高くなり、好ましくない。
【0017】
本発明インキ組成物(a)成分の厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラを具体的に説明すると、120TK、130TK(以上戸田工業株式会社.製)等を挙げることができる。一方、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラを具体的に説明するとSicotrans
Red L2715D、 Sicotrans Red L2816、 Sicotrans Red L2817、 Sicotrans Red L2818、
Sicotrans Red K2819、 Sicotrans Red L2915D、 Sicotrans Red L2915(以上製BASFジャパン製)等を挙げることができる。
【0018】
本発明(a) 成分の厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラ、および、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラ厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラは、これらのなかから単独、あるいは、2種以上を併用することが出来る。
【0019】
本発明インキ組成物(a)成分の食品添加物であるベンガラは、合計で最終インキ中に0.5〜15重量%の範囲で含まれることが好ましく、最終インキ中に1〜12重量%の範囲で含まれることが特に好ましい。含有量が0.5重量%未満だと、印字濃度が不十分であり、含有量が15重量%より大きくなると、インキ粘度が高くなり、通常のインクジェット印刷装置では印刷が不能となったり、ベンガラが沈降し易くなったり、インキの分散安定性が低下したり等の問題が発生し易くなる。
【0020】
本発明インキ組成物(b) 成分の食品添加物である非水溶性溶媒成分とは、本発明インキ組成物(a)成分の厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラ、および、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラを分散させることのできる液体であり、厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」、天然添加物として使用実績が認められ品目が確定している「既存添加物」、「天然香料」や「一般飲食物添加物」の何れかに属するもののうち、インキの粘度規格に適合するものであれば、単独でも、または、2種以上を混合して用いてもよい。
【0021】
本発明インキ組成物(b) 成分の食品添加物である非水溶性溶媒を具体的に説明すると、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、ナフサ、流動パラフィン等が挙げられる。また、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、ナフサ、流動パラフィン、および、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、エイコサンを2種以上混合したもの等をインキ粘度に適合する範囲で混合したものも用いることができ、流動パラフィン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、ナフサ、流動パラフィン、および、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、エイコサン等の高沸点溶媒は、インキの保湿剤としても機能するので低粘度のインキ組成物についても、少量添加することが好ましい。
【0022】
本発明インキ組成物(c) 成分の食品添加物である分散剤について詳しく説明する。本発明インキ組成物(c) 成分の食品添加物である分散剤とは、(a) 成分の厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラ、かつ/または、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラを、(b)成分の食品添加物である非水溶性溶媒成分中に分散させる際に用いる分散剤であり、厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」、天然添加物として使用実績が認められ品目が確定している「既存添加物」、「天然香料」や「一般飲食物添加物」の何れかに属するものであり、このなかから選ばれた1種、または、2種以上の分散剤の併用が可能である。
【0023】
本発明インキ組成物(c) 成分の食品添加物である分散剤の総添加量は、(a) 成分の厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラ、かつ/または、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラに対して好ましくは10〜1000重量%、より好ましくは50〜800重量%である。食品添加物である分散剤の添加量が10重量%以下になると、十分な分散状態が得られにくくなり、添加量が1000重量%を超えると、分散体の粘度が著しく増大し、インキとしての使用が不可能となる。
【0024】
本発明インキ組成物(c) 成分の食品添加物である分散剤を具体的に説明すると、ソルビタントリオレート、ソルビタンセスキオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ショ糖ベヘニン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ステアリン酸プロピレングリコールエステル、ラウリン酸プロピレングリコールエステル、ジステアリン酸プロピレングリコールエステル、ジオレイン酸プロピレングリコールエステル、ジラウリン酸プロピレングリコールエステル、ジイソステアリン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、グリセリン一酢酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン二酢酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ステアリルモノグリセリジルクエン酸エステル、コハク酸モノグリセリド、トリアセチングリセリン酒石酸酢酸脂肪酸エステル(混合物)、コハク酸モノグリセリド、グリセロール架橋デンプン、ステアリルモノグリセリジルクエン酸エステル、レシチン(卵黄レシチン、植物レシチン、分別レシチン、ステアロイル乳酸カルシウムレシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチン)、サポニン(キラヤ抽出物、ダイズサポニン、チャ種子サポニン、エンジュサポニン、酵素処理ダイズサポニン、ビートサポニン、キラヤ抽出物(タイプ1)、キラヤ抽出物(タイプ2))、胆汁末、オオムギ殻皮抽出物、植物性ステロール、スフィンゴ脂質、動物性ステロール、トマト糖脂質、ユッカフォーム抽出物等が挙げられる。
【0025】
本発明インキ組成物は、(a) 厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラ、かつ/または、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラ、(b)
食品添加物である非水溶性溶媒、(c)食品添加物である分散剤を混合、ビーズミル、かつ/または、ロールで分散させることにより得られる。
【0026】
(c)の食品添加物である分散剤は、(b) の食品添加物である非水溶性溶剤に溶解して分散を行うこともできる。
【0027】
本発明インキ組成物には、必要に応じて、dl−α−トコフェロール、d-α-トコフェロール、(d-β-トコフェロール、d-γ-トコフェロール)、ミックストコフェロール、抽出トコフェロール、グアヤク脂等の食品添加物や、食用油の様な食品を、(b)の食品添加物である溶剤の粘度調整剤や、保湿剤として添加することが出来る。
【0028】
本発明インキ組成物をインクジェット用途で用いる場合には、ヘッド性能に合致した性状に調製する必要がある。性状はヘッド毎に異なるが、一般的に、粘度を<20mPasとすることが好ましく、<15mPasとすることがより好ましい。粘度調整には食品添加物である非水溶性溶剤で減粘を行うことができる。
【実施例】
【0029】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また文章中「部」とあるのは、重量部を示すもので「%」は特に断わりのない限り重量基準である。
【0030】
(実施例1) 米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラ(BASFジャパン製:Sicotrans
Red L2817)10.0部、食品添加物であるオクタン79.0部、食品添加物であるショ糖ステアリン酸エステル界面活性剤(第一工業製薬製:DKエステルSS,HLB=19)5.0部、食品添加物であるソルビタンセスキオレート界面活性剤(第一工業製薬製:ソルゲン30V,HLB=4.3)1.0部と、食品添加物であるレシチン5.0部を粒径0.3mmのジルコニアビーズとともに容器に仕込み、ペイントシェーカーにて3時間分散を行った後、6000回転で30分遠心分離を行い、保留粒子径1.0μmのガラス繊維濾紙(東洋濾紙製:GA−100)で濾過し、インキ組成物1を得た。
【0031】
(実施例2) 米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラ(BASFジャパン製:Sicotrans
Red L2817)10.0部、食品添加物であるオクタン70.0部、食品添加物である流動パラフィン(松村石油研究所製:モレスコホワイトP−500)9部、食品添加物であるショ糖ステアリン酸エステル界面活性剤(第一工業製薬製:DKエステルSS,HLB=19)5.0部、食品添加物であるソルビタンセスキオレート界面活性剤(第一工業製薬製:ソルゲン30V,HLB=4.3)1.0部と、食品添加物であるレシチン5.0部を粒径0.3mmのジルコニアビーズとともに容器に仕込み、ペイントシェーカーにて3時間分散を行った後、6000回転で30分遠心分離を行い、保留粒子径1.0μmのガラス繊維濾紙(東洋濾紙製:GA−100)で濾過し、インキ組成物2を得た。
【0032】
(実施例3) 米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラ(BASFジャパン製:Sicotrans
Red L2817)10.0部、食品添加物であるオクタン40.0部、食品添加物である流動パラフィン(松村石油研究所製:モレスコホワイトP−40)39部、食品添加物であるショ糖ステアリン酸エステル界面活性剤(第一工業製薬製:DKエステルSS,HLB=19)5.0部、食品添加物であるソルビタンセスキオレート界面活性剤(第一工業製薬製:ソルゲン30V,HLB=4.3)1.0部と、食品添加物であるレシチン5.0部を粒径0.3mmのジルコニアビーズとともに容器に仕込み、ペイントシェーカーにて3時間分散を行った後、6000回転で30分遠心分離を行い、保留粒子径1.0μmのガラス繊維濾紙(東洋濾紙製:GA−100)で濾過し、インキ組成物3を得た。
【0033】
(比較例1) イオン交換樹脂により脱イオン化を行った脱イオン水540部を60℃に加温し、食品添加物である食用青色1号(アイゼン保土ヶ谷製:食用青色1号)18.0部、食品添加物であるクチナシ黄色素(理研ビタミン製:リケカラークチナシ−20(粉末))4.5部、食品添加物であるソルビタンセスキオレート界面活性剤(第一工業製薬製:ソルゲン30V,HLB=4.3)22.5部、食品添加物であるショ糖ステアリン酸エステル分散剤(第一工業製薬製:DKエステルF−160,HLB=15)15.0部、食品添加物であるトリポリリン酸カリウム0.4部を溶解させた後、保留粒子径1.0μmのガラス繊維濾紙(東洋濾紙製:GA−100)で濾過し、インキ組成物4を得た。
【0034】
(比較例2) 食品添加物であるCuクロロフィル(日本葉緑素製:クロロンGA)18.0部と、食品添加物であるパプリカ色素(理研ビタミン製:リケカラーパプリカ240R(G))4.5部、食品添加物であるソルビタンセスキオレート界面活性剤(第一工業製薬製:ソルゲン30V,HLB=4.3)22.5部、食品添加物であるオクタン540部を40℃に加温、溶解した後、保留粒子径1.0μmのガラス繊維濾紙(東洋濾紙製:GA−100)で濾過し、インキ組成物5を得た。
【0035】
実施例1〜3、および、比較例1〜2で調製したインキ組成物1〜5について、インクジェットプリンターを用いて卵に印字テストを行い、滲み性のチェックを行うとともに、印字後の卵を茹で、熱湯中でのインキの溶出、卵白へのインキの浸透を評価した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラ、かつ/または、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラと、(b)
食品添加物である非水溶性溶媒を必須成分とすることを特徴とするインキ組成物。
【請求項2】
成分の厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラ、かつ/または、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラを、(b)成分の食品添加物である非水溶性溶媒に分散させることを特徴とする請求項1記載のインキ組成物。
【請求項3】
(a) 成分の厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した「指定添加物」の規格を満足する、食品添加物であるベンガラ、かつ/または、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラを、(b)成分の食品添加物である非水溶性溶媒に分散させる際に用いる分散剤(c)が食品添加物から選ばれた界面活性剤1種、または2種以上であることを特徴とする、請求項1〜2に記載のインキ組成物。
【請求項4】
米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラ以外の全ての構成成分が、食品添加物、食品、の何れかに属するものであることを特徴とする、請求項1〜3に記載のインキ組成物。
【請求項5】
請求項1〜4に記載のインキ組成物をインクジェット印刷用に調整した、米国食品医薬品局(FDA)が、食品分野での使用を許可するに当たり設定した規格値を満足し、米国で食品関連分野での使用が認められているベンガラ以外の全ての構成成分が食品添加物、食品、の何れかに属するものであることを特徴とする、インクジェットインキ。
【請求項6】
請求項5記載のインクジェットインキを用いてインクジェット方式により印刷することを特徴とする卵殻への印刷方法。
【請求項7】
請求項6記載の印刷方法で印刷された卵。

【公開番号】特開2007−106913(P2007−106913A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299816(P2005−299816)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(591075467)冨士色素株式会社 (24)
【Fターム(参考)】