説明

インクジェットプリンタおよび画像記録方法

【課題】インクジェットプリンタにおいて、短い駆動周期にて質の高いドットを形成する。
【解決手段】インクジェットプリンタでは、画像記録中において、記録用紙上に大ドットを形成する際に、駆動信号として、基本波形70から第2吐出パルス721および第1吐出パルス713が選択される。中ドットを形成する際に、第1微振動パルス711および第1吐出パルス713が選択される。小ドットを形成する際に、第3吐出パルス722が選択される。液滴の非吐出時に、第2微振動パルス712が選択される。これにより、第1微振動パルス711の波形を調整することにより、第1吐出パルス713を大ドットおよび中ドットの形成に用いて駆動周期を短くしつつ、各サイズのドットを高い質にて形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物上に画像を記録するインクジェットプリンタ、および、インクジェットプリンタにおいて実行される画像記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の吐出口を有するヘッド部を対象物に対して相対的に移動しつつ、各吐出口からのインクの微小な液滴の吐出を制御することにより画像を記録するインクジェットプリンタが従来より用いられている。インクジェットプリンタでは、例えばヘッド部の吐出口近傍に設けられる圧電素子に吐出パルスを入力することにより、液滴が吐出される。特許文献1では、一印刷周期毎に出力される駆動信号を、第1パルス、第2パルス、第3パルスおよび第4パルスの4つの駆動パルスから構成し、いずれか1つの駆動パルス、または、複数の駆動パルスを適宜選択することにより、記録紙上の記録ドット径を可変に制御して多階調印刷を行う手法が開示されている。
【0003】
なお、特許文献2では、ノズルからチャネル内のインクを吐出させない程度にノズル内のメニスカスを微振動させる微振動信号を、画像データの有無に係わらず、全チャネルに対して連続して印加するとともに、画像データに応じて、該微振動信号と組み合わせてインク吐出信号を生成することにより、常に高品位な画像を信頼性高く記録する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−81012号公報
【特許文献2】特開2005−212411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、画像を高速に記録することが求められており、駆動信号をヘッド部に入力する周期が短くなっている。これに伴い、駆動信号において液滴を吐出させる吐出パルスの波形にも制限が生じており、一の吐出パルスのみにて所望のサイズのドットを形成することが困難となる場合がある。複数の吐出パルスの組合せにより、所望のサイズのドットを形成することも行われているが、各サイズのドットを複数の吐出パルスにより形成すると、駆動信号に含まれる吐出パルスの数が多くなって駆動信号が長くなってしまい、画像記録の高速化に対応できなくなる。非吐出時に微振動パルスを含む駆動信号を生成する場合、画像の高速記録を実現しつつ各サイズのドットを適切に形成する駆動信号を得ることはさらに困難となる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、短い駆動周期にて質の高いドットを形成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、インクジェットプリンタであって、吐出口からインクの液滴を対象物に向けて吐出することにより、少なくとも1つのサイズにてドットを前記対象物上に形成する記録部と、所定の走査方向へと前記対象物を前記記録部に対して相対的に移動する走査機構と、前記対象物の前記記録部に対する相対移動に並行して、液滴の吐出動作を指示する信号を前記記録部に順次与える制御部とを備え、前記制御部からの指示に従って、基本波形に含まれる複数の波形要素の一部が選択されることにより、液滴の吐出動作に用いられる駆動信号が生成され、前記複数の波形要素が、液滴の吐出動作に用いられる吐出パルスと、前記吐出パルスよりも前に位置する複数の微振動パルスとを含み、前記対象物上にドットを形成しない時に、前記複数の微振動パルスの少なくとも一部である第1微振動パルス群が選択されることにより、前記記録部にて非吐出動作が行われ、前記少なくとも1つのサイズに含まれる一のサイズのドットの形成時に、前記複数の微振動パルスの少なくとも一部である第2微振動パルス群、および、前記吐出パルスが選択されることにより、前記吐出口から液滴を吐出する吐出動作が行われ、前記第1微振動パルス群と前記第2微振動パルス群との波形が異なる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、前記複数の微振動パルスが2つの微振動パルスであり、前記第1微振動パルス群が一方の微振動パルスであり、前記第2微振動パルス群が他方の微振動パルスである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、前記複数の微振動パルスが2つの微振動パルスであり、前記第1微振動パルス群が前記2つの微振動パルスであり、前記第2微振動パルス群が前記2つの微振動パルスのうちの1つである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、前記複数の微振動パルスが2つの微振動パルスであり、前記第2微振動パルス群が前記2つの微振動パルスであり、前記第1微振動パルス群が前記2つの微振動パルスのうちの1つである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、前記基本波形が、並行する2つの波形要素列にて構成され、前記複数の微振動パルスが、一方の波形要素列に含まれる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のインクジェットプリンタであって、前記一方の波形要素列が、前記複数の微振動パルス、および、前記吐出パルスである第1吐出パルスを含み、他方の波形要素列が、前記複数の微振動パルスと並行する第2吐出パルスを含む。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のインクジェットプリンタであって、前記他方の波形要素列が、前記第2吐出パルスの後に第3吐出パルスを含み、前記記録部から大ドット用の液滴が吐出される際に、前記第2吐出パルスおよび前記第1吐出パルスを含み、前記第3吐出パルスを含まない駆動信号が生成され、前記記録部から中ドット用の液滴が吐出される際に、前記複数の微振動パルスの少なくとも一部および前記第1吐出パルスを含み、前記第2吐出パルスおよび前記第3吐出パルスを含まない駆動信号が生成され、前記記録部から小ドット用の液滴が吐出される際に、前記第3吐出パルスを含み、前記第1吐出パルスおよび前記第2吐出パルスを含まない駆動信号が生成される。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載のインクジェットプリンタであって、前記記録部が複数の吐出口を有し、前記複数の吐出口が、前記走査方向に垂直な方向に関して対象物上の記録領域の幅全体に亘って並ぶ。
【0015】
請求項9に記載の発明は、インクジェットプリンタにおいて実行される画像記録方法であって、前記インクジェットプリンタが、吐出口からインクの液滴を対象物に向けて吐出することにより、少なくとも1つのサイズにてドットを前記対象物上に形成する記録部を備え、前記画像記録方法が、a)所定の走査方向へと前記対象物を前記記録部に対して相対的に移動する工程と、b)前記対象物の前記記録部に対する相対移動に並行して、液滴の吐出動作を指示する信号を前記記録部に順次入力する工程とを備え、基本波形に含まれる複数の波形要素の一部が選択されることにより、液滴の吐出動作に用いられる駆動信号が生成され、前記複数の波形要素が、液滴の吐出動作に用いられる吐出パルスと、前記吐出パルスよりも前に位置する複数の微振動パルスとを含み、画像記録中において、前記対象物上にドットを形成しない時に、前記複数の微振動パルスの少なくとも一部である第1微振動パルス群が選択されることにより、前記記録部にて非吐出動作が行われ、前記少なくとも1つのサイズに含まれる一のサイズのドットの形成時に、前記複数の微振動パルスの少なくとも一部である第2微振動パルス群、および、前記吐出パルスが選択されることにより、前記吐出口から液滴を吐出する吐出動作が行われ、前記第1微振動パルス群と前記第2微振動パルス群との波形が異なる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、非吐出時の微振動パルス群とは波形の異なる微振動パルス群を用いて吐出動作を行うことにより、短い駆動周期にて質の高いドットを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】インクジェットプリンタの構成を示す図である。
【図2】ヘッド部の底面図である。
【図3】インクジェットプリンタの機能構成を示すブロック図である。
【図4】基本波形を示す図である。
【図5】大ドット用の駆動信号を示す図である。
【図6】中ドット用の駆動信号を示す図である。
【図7】小ドット用の駆動信号を示す図である。
【図8】非吐出時の駆動信号を示す図である。
【図9】画像を記録する動作の流れを示す図である。
【図10】中ドット用の他の駆動信号を示す図である。
【図11】非吐出時の他の駆動信号を示す図である。
【図12】他の基本波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明の一の実施の形態に係るインクジェットプリンタ1の構成を示す図である。インクジェットプリンタ1は、本体10および本体10に接続されるコンピュータ5を備える。本体10は、インクの微小な液滴を記録用紙9に向けて吐出する記録部2、記録部2の下方((−Z)側)にて図1中の(−Y)方向へと記録用紙9を移動する紙送り機構3、並びに、記録部2および紙送り機構3に接続される制御部4を備える。
【0019】
紙送り機構3は、図示省略のモータに接続された2つのベルトローラ31、および、2つのベルトローラ31に掛けられたベルト32を有する。連続紙である記録用紙9の各部位は(+Y)側のベルトローラ31の上方に設けられたローラ33を介してベルト32上へと導かれて保持され、ベルト32と共に記録部2の下方を通過して(−Y)側へと移動する。また、紙送り機構3のベルトローラ31にはエンコーダ34(図3参照)が設けられる。以下の説明では、記録部2の記録用紙9に対する相対的な移動方向(Y方向)を走査方向という。なお、紙送り機構3では、環状のベルト32の内側において記録部2に対向する位置に吸引部を設け、ベルト32に微小な吸引孔を形成することにより、ベルト32上において記録用紙9が吸引吸着により保持されてもよい。
【0020】
記録部2には、複数(本実施の形態では4個)のヘッド部23を有するヘッドユニット21が設けられる。複数のヘッド部23はそれぞれC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の色のインクを吐出し、Y方向に配列される。
【0021】
図2は1つのヘッド部23の一部を示す底面図であり、図2では記録用紙9の記録部2に対する走査方向(すなわち、Y方向)を縦向きに図示している。各ヘッド部23の底面には、走査方向に垂直かつ記録用紙9に沿う方向(図1中のX方向であり、記録用紙9の幅に対応する方向であるため、以下、「幅方向」ともいう。)に複数の吐出口241が一定のピッチにて配列形成される。なお、幅方向に一定のピッチであれば、吐出口241は直線状に配列される必要はない。
【0022】
ヘッド部23には各吐出口241に対して圧電素子232(図3参照)が設けられており、圧電素子232を駆動することにより吐出口241からインクの液滴が記録用紙9に向けて吐出される。実際には、圧電素子232の駆動を制御することにより、異なる量の液滴を吐出口241から吐出することが可能となっており、記録用紙9上に小さいサイズのドット、中間的なサイズのドット、および、大きなサイズのドット(以下、それぞれ「小ドット」、「中ドット」および「大ドット」という。)が形成可能である。複数の吐出口241は幅方向に関して記録用紙9上の記録領域の幅全体に亘って並んでおり、インクジェットプリンタ1では、記録用紙9が記録部2の下方を一回通過するのみで(いわゆる、ワンパスにて)画像記録が短時間にて完了する。
【0023】
また、図1の記録部2は、ヘッドユニット21を幅方向に移動するヘッド移動機構22を備える。ヘッド移動機構22には幅方向に細長い環状のタイミングベルト222が設けられ、モータ221がタイミングベルト222を回転することにより、ヘッドユニット21が幅方向に滑らかに移動する。インクジェットプリンタ1における非記録時には、ヘッド移動機構22はヘッドユニット21を所定の退避位置へと配置し、退避位置において各ヘッド部23の複数の吐出口241が蓋部材にて閉塞され、吐出口241近傍のインクが乾燥して吐出口241が詰まることが防止される。
【0024】
図3はインクジェットプリンタ1の機能構成を示すブロック図である。制御部4は、ヘッド移動機構22および紙送り機構3の駆動制御を行う駆動機構制御部41、紙送り機構3のエンコーダ34からのエンコーダ信号が入力されるとともにヘッド部23の吐出口241からの液滴の吐出のタイミングを制御するタイミング制御部42、インターフェイス(I/F)を介してコンピュータ5から入力される記録対象の元画像データからヘッド部23用の描画データを生成する画像データ処理部43、ヘッド部23に接続されるとともに描画データに基づいてヘッド部23の制御を行うヘッド制御部44、並びに、制御部4の全体制御を担う全体制御部45を備える。なお、図3では図示の便宜上1つのヘッド部23のみを示しているが、実際には、ヘッド制御部44から複数のヘッド部23に信号が入力される。以下、1つのヘッド部23に着目して説明を行うが、他のヘッド部23においても同様の処理が行われる。ヘッド部23は記録部2の一部であることから、ヘッド部23の構造、ヘッド部23の動作およびヘッド部23への信号入力は、記録部2の構造、記録部2の動作および記録部2への信号入力でもある。
【0025】
ヘッド部23では、複数の吐出口241のそれぞれの圧電素子232に対して駆動回路231が設けられており、液滴の吐出動作を指示する信号が、ヘッド制御部44から各駆動回路231に順次入力される。なお、図3では、1つの駆動回路231および圧電素子232のみを図示している。
【0026】
図4は、ヘッド制御部44にて生成される基本波形70を示す図である。図4の上段および下段のそれぞれにおいて、縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示す。基本波形70は2つの波形要素列71,72から構成され、図4の上段の波形要素列71および下段の波形要素列72が並行して生成される。上段の波形要素列71は3つのパルス711,712,713から構成され、これらのパルスの期間に符号811,812,813を付している。下段の波形要素列72は2つのパルス721,722から構成され、これらのパルスの期間に符号821,822を付している。期間813の開始時刻と期間822の開始時刻とは一致する。パルスの開始位置および終了位置での電圧は、一定の基準電圧である。
【0027】
各パルスは圧電素子232に一連の動作の少なくとも一部を行わせるものである。上段のパルス713および下段のパルス721,722は、液滴の吐出動作に用いられ、単独で吐出口241から液滴を吐出することができる程度の大きさを有する。以下、これらのパルスを「第1吐出パルス713」、「第2吐出パルス721」、「第3吐出パルス722」と呼ぶ。上段のパルス711,712は、原則として単独では液滴を吐出することができない程度の微小なパルスであり、以下、「第1微振動パルス711」、「第2微振動パルス712」と呼ぶ。微振動パルスは、吐出パルスよりも基準電圧との差の最大値が小さい。
【0028】
ヘッド制御部44は基本波形70およびパルスを選択する制御信号を駆動回路231に繰り返し与え、駆動回路231にてパルスを選択することにより、対応する圧電素子232に駆動信号が繰り返し与えられる。このように、基本波形70の長さは駆動回路231の駆動周期に相当する。具体的には、ヘッド制御部44から駆動回路231に波形要素列71,72が繰り返し与えられ、並行して、選択するパルスに対して「1」、非選択のパルスに対して「0」を付与する制御信号も駆動回路231に与えられる。駆動回路231では、2つの波形要素列71,72から「1」に対応するパルスを抽出して合成し、駆動信号を生成する。
【0029】
例えば、大ドット用の液滴(複数の液滴の集合であってもよい。)を吐出する駆動回路231には、2つの波形要素列71,72が入力されるとともに、図4の下段の波形要素列72に対して期間821の間だけ「1」を示す制御信号が入力される。これにより、波形要素列72から第2吐出パルス721のみが抽出される。上段の波形要素列71に対しては、期間813の間だけ「1」を示す制御信号が入力され、波形要素列71から第1吐出パルス713が抽出される。その結果、駆動回路231では、図5に示すように、第2吐出パルス721および第1吐出パルス713を順に有する駆動信号が生成され、この駆動信号が対応する圧電素子232に入力される。
【0030】
吐出口241では、第2吐出パルス721に対応する液滴の吐出動作が先行して行われ、続いて、第1吐出パルス713に対応する液滴の吐出動作が行われ、記録用紙9上に大ドットが形成される。なお、第2吐出パルス721に対応する液滴の個数および第1吐出パルス713に対応する液滴の個数は、それぞれ1つとは限らない。
【0031】
中ドット用の液滴を吐出する駆動回路231には、2つの波形要素列71,72が入力されるとともに、図4の上段の波形要素列71に対して期間811,813の間だけ「1」を示す制御信号が入力され、下段の波形要素列72に対しては、いずれの期間も「0」を示す制御信号が入力される。これにより、図6に示すように、波形要素列71から第1微振動パルス711および第1吐出パルス713のみが抽出された駆動信号が生成される。図6中の期間811と期間813との間のパルスが選択されない期間では、基準電圧が維持される。吐出口241では、第1微振動パルス711により液面が微振動した後に第1吐出パルス713に対応する液滴の吐出動作が行われ、記録用紙9上に中ドットが形成される。
【0032】
小ドット用の液滴を吐出する駆動回路231には、2つの波形要素列71,72が入力されるとともに、図4の上段の波形要素列71に対していずれの期間も「0」を示す制御信号が入力され、下段の波形要素列72に対しては、期間822の間だけ「1」を示す制御信号が入力される。これにより、図7に示すように、波形要素列72から第3吐出パルス722のみが抽出された駆動信号が生成される。吐出口241では、第3吐出パルス722に対応する液滴の吐出動作が行われ、記録用紙9上に小ドットが形成される。
【0033】
基本波形70の1周期の間に液滴の吐出を行わない駆動回路231には、2つの波形要素列71,72が入力されるとともに、図4の上段の波形要素列71に対して期間812の間だけ「1」を示す制御信号が入力され、下段の波形要素列72に対しては、いずれの期間も「0」を示す制御信号が入力される。これにより、図8に示すように、波形要素列71から第2微振動パルス712のみが抽出された駆動信号が生成される。期間812以外では、基準電圧が維持される。吐出口241では、非吐出動作として、第2微振動パルス712による液面の微振動のみが行われる。微振動により、吐出口241近傍におけるインクの硬化が防止される。
【0034】
以上のように、圧電素子232を駆動する最終的な駆動信号は、駆動回路231にて生成されるが、ヘッド制御部44からの基本波形および制御信号は駆動信号と等価であることから、実質的にヘッド制御部44がヘッド部23の駆動回路231に駆動信号を与えていると捉えられてもよい。
【0035】
図9は、インクジェットプリンタ1が記録用紙9上に画像を記録する動作の流れを示す図である。インクジェットプリンタ1が画像記録を実行する際には、まず、駆動機構制御部41がヘッド移動機構22を駆動することにより図1のヘッドユニット21が退避位置からX方向の所定の記録位置へと移動する。続いて、紙送り機構3を駆動することにより記録用紙9の連続的な移動が開始される(ステップS11)。記録用紙9の記録部2に対する相対移動に並行して、図3のヘッド制御部44が液滴の吐出動作を指示する基本波形70および制御信号をヘッド部23に順次入力する。これにより、基本波形70に含まれる複数の波形要素の一部が選択され、液滴の吐出動作に用いられる駆動信号が駆動回路231にて生成されて圧電素子232に与えられ、インクの吐出が繰り返し行われる(ステップS12)。
【0036】
詳細には、大ドット、中ドット、小ドットまたは非吐出を指示する制御信号が各駆動回路231に入力されて保持される。一方、記録用紙9が走査方向に所定の距離だけ移動する毎に、エンコーダ34からの出力に基づいてタイミング制御部42により吐出タイミング信号が生成される。ヘッド部23では、吐出タイミング信号に同期して、複数の駆動回路231が、基本波形から制御信号に従って波形要素を選択して駆動信号を生成し、圧電素子232に与える。これにより、複数の吐出口241にてインクの吐出動作が所望のタイミングで行われる。そして、画像記録が行われる間、上記動作が高速に繰り返し行われる。
【0037】
以上のようにして、記録対象の元画像データが示す画像の全体が記録用紙9上に記録されると、記録用紙9の移動が停止され、インクジェットプリンタ1による画像記録動作が完了する(ステップS13)。
【0038】
ところで、インクジェットプリンタ1では、大ドット用の駆動信号では、第2吐出パルス721および第1吐出パルス713が用いられ、中ドット用の駆動信号では、第1吐出パルス713が用いられる。したがって、仮に、中ドットを形成する際に第1吐出パルス713のみが用いられる場合、中ドット用の第1吐出パルス713の波形は、大ドットを形成する場合と中ドットを形成する場合の双方を考慮して決定される必要がある。しかし、画像記録速度の高速化に伴い、基本波形に様々な制約が生じ、適切な中ドットを形成するための第1吐出パルス713の波形の決定が困難となる。
【0039】
これに対し、インクジェットプリンタ1では、中ドットを形成する際に第1吐出パルス713に加えて第1微振動パルス711を使用するため、第1微振動パルス711の波形、すなわち、高さ、幅、位置等を調整することにより、適切な中ドットを形成する駆動信号を容易に得ることができる。小ドットの形成には、大ドットおよび中ドットの形成に使用しない第3吐出パルス722が用いられるため、第3吐出パルス722の波形の決定は容易である。加えて、第1微振動パルス711は、非吐出時の第2微振動パルス712から独立しているため、適切な中ドットを形成する駆動信号をさらに容易に得ることができる。なお、第1微振動パルス711が非吐出時に利用され、第2微振動パルス712が中ドットの形成時に利用されてもよい。
【0040】
図10は、中ドットを形成する際の駆動信号の他の例を示す図である。大ドット、小ドットおよび非吐出用の駆動信号は、図5、図7および図8と同様である。図10では、中ドットを形成する際に、基本波形70から第1微振動パルス711、第2微振動パルス712および第1吐出パルス713が選択される。この場合においても、第1微振動パルス711の波形を調整することにより、第1吐出パルス713を大ドットの形成および中ドットの形成に用いつつ、大ドットおよび中ドットの双方を適切に形成することができる。
【0041】
図11は、非吐出時の駆動信号の他の例を示す図である。大ドット、中ドットおよび小ドット用の駆動信号は、図5ないし図7と同様である。図11では、非吐出時に、基本波形70から第1微振動パルス711および第2微振動パルス712が選択される。この場合においても、第1微振動パルス711の波形を調整することにより、第1吐出パルス713を大ドットの形成および中ドットの形成に用いつつ、大ドットおよび中ドットの双方を適切に形成することができる。また、第2微振動パルス712を調整することにより、非吐出時の動作も適切なものとすることができる。
【0042】
図5ないし図8並びに図10および図11のいずれにおいても、基本波形70において、2つのみの微振動パルス711,712(ただし、後述する吐出パルスの後の補助微振動パルスを除く。)が利用されることにより、駆動周期を短く抑えつつ、質の高い各サイズのドット形成が実現される。基本波形70が2つの波形要素列71,72により構成されるため、駆動周期を大幅に短くすることができる。さらに、微振動パルスは期間が短いため、2つの微振動パルス711,712を一方の波形要素列71のみに含めることにより、駆動周期を短くすることができる。
【0043】
特に、一方の波形要素列71が2つの微振動パルス711,712および1つの吐出パルス713のみから構成され、他方の波形要素列72が2つの吐出パルス721,722のみから構成されるため、短い駆動周期にて質の高い大ドット、中ドットおよび小ドットを形成することができ、かつ、適切な非吐出動作を行うことができる。より一般的には、2つの波形要素列に含まれる吐出パルスの数が異なる場合、吐出パルスの数が少ない波形要素列に複数の微振動パルスを含ませることにより、駆動周期を短くすることができる。
【0044】
短い基本波形は、高速に画像記録を行うインクジェットプリンタに適しており、ワンパスにて画像記録を行うインクジェットプリンタに特に適している。
【0045】
図12は基本波形70の他の例を示す図である。図12に示す基本波形70は、1つの波形要素列73である。基本波形70は、第1微振動パルス731、第2微振動パルス732、第1吐出パルス733、第2吐出パルス734、第3吐出パルス735および補助微振動パルス736を順に有する。これらのパルスの期間に符号831〜836を付す。駆動信号としては、例えば、大ドット用の駆動信号が生成される際に、第1吐出パルス733、第2吐出パルス734および補助微振動パルス736が選択される。中ドット用の駆動信号が生成される際には、第1微振動パルス711、第2吐出パルス734および補助微振動パルス736が選択される。小ドット用の駆動信号が生成される際には、第3吐出パルス735および補助微振動パルス736が選択される。非吐出時の駆動信号が生成される際には、第2微振動パルス732のみが選択される。
【0046】
これにより、図4に示す基本波形70の場合と同様に、中ドットを形成する際に第2吐出パルス734に加えて第1微振動パルス731を使用するため、大ドットを適切に形成するとともに、中ドットを適切に形成する駆動信号を容易に得ることができる。加えて、第1微振動パルス731は、非吐出時の第2微振動パルス732から独立しているため、適切な中ドットを形成する駆動信号をさらに容易に得ることができる。その結果、短い駆動周期にて質の高いドットを形成することができる。また、補助微振動パルス736により、液滴吐出後の吐出口241における液面の残留振動を抑制することができ、次の吐出動作を安定して行うことができる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0048】
上記インクジェットプリンタ1では、大ドットの形成、中ドットの形成、小ドットの形成、および、ドットの非形成を指示する4値の指示値(4つのドット階調値のいずれか)がヘッド制御部44からヘッド部23に入力されるが、ヘッド部23により、4種類以上のサイズのドットが形成可能とされ、5値以上の指示値がヘッド部23に入力されてもよい。逆に、2種類、例えば、大ドットおよび中ドットのみが形成される3値の指示値がヘッド部23に入力されてもよい。この場合、例えば、上記実施の形態において小ドット用の第3吐出パルスが省かれる。さらに、1つのサイズのドットのみが記録用紙9上に形成されてもよい。この場合、記録用紙9上にドットを形成しない時に選択される微振動パルスと、ドット形成時に選択される微振動パルスとが異なるものとされる。このように、ヘッド部23は、少なくとも1つのサイズのドットを記録用紙9上に形成するものであればよい。
【0049】
上記実施の形態において、吐出パルスの前に存在する微振動パルスの個数は3以上であってもよい。非吐出時に少なくとも1つの微振動パルスが当該複数の微振動パルスから選択され、一のサイズのドットが形成される際に吐出パルス、および、当該吐出パルスの前に配置される少なくとも1つの微振動パルスが複数の微振動パルスから選択される。このとき、非吐出時の少なくとも1つの微振動パルスを「第1微振動パルス群」と呼び、ドット形成時の少なくとも1つの微振動パルスを「第2微振動パルス群」と呼ぶと、第1微振動パルス群と第2微振動パルス群とが同一でない、すなわち、これらの微振動パルス群の波形が異なることにより、駆動周期を短くしつつ、ドット形成時の駆動信号を容易に適切なものとすることができる。換言すれば、短い駆動周期にて質の高いドットを形成することができる。もちろん、非吐出時の駆動信号も容易に適切なものとすることができる。その結果、高い質にて画像を高速に記録することができる。
【0050】
図5ないし図8に示す動作例では、上記複数の微振動パルスが2つの微振動パルスであり、第1微振動パルス群が一方の微振動パルスであり、第2微振動パルス群が他方の微振動パルスである場合に対応する。図5、図10、図7および図8に示す動作例では、上記複数の微振動パルスが2つの微振動パルスであり、第1微振動パルス群が一方の微振動パルスであり、第2微振動パルス群が両方の微振動パルスである場合に対応する。図5、図6、図7および図11に示す動作例では、上記複数の微振動パルスが2つの微振動パルスであり、第1微振動パルス群が両方の微振動パルスであり、第2微振動パルス群が一方の微振動パルスである場合に対応する。
【0051】
基本波形に、吐出パルスに先行する複数の微振動パルスが設けられる場合において、非吐出時の微振動パルスの個数は、吐出時の微振動パルスの個数に対して多くても、少なくても、同一でもよい。また、いずれの場合においても、基本波形は1つの波形要素列であっても2つの波形要素列から構成されてもよい。
【0052】
基本波形が2つの波形要素列から構成される場合、その一方のみに吐出パルス(正確には、微振動パルスと共に用いられる吐出パルス)の前に複数の微振動パルスが位置することにより、駆動周期を短くすることができる。さらに、一方の波形要素列が、複数の微振動パルスおよび第1吐出パルスを含み、他方の波形要素列が、当該複数の微振動パルスと時間に関して並行する第2吐出パルスを含むことにより、駆動周期を効率よく短くすることができる。もちろん、基本波形が1つの波形要素列であっても、2つの波形要素列から構成される場合であっても、基本波形に含まれる複数の波形要素において、複数の微振動パルスは、微振動パルスと共に用いられる吐出パルス(上記実施の形態では第1吐出パルス)の前に位置しなければならない。
【0053】
また、上記実施の形態では吐出パルスとして第1ないし第3吐出パルスが設けられるが、他の吐出パルスや他の補助微振動パルスが基本波形にさらに含められてよい。基本波形が2つの波形要素列から構成され、4値の指示値が駆動回路231に入力される場合の好ましい動作を一般的に表現すると、ヘッド部23から大ドット用の液滴が吐出される際に、第2吐出パルスおよび第1吐出パルスを含み、第3吐出パルスを含まない駆動信号が生成され、中ドット用の液滴が吐出される際に、複数の微振動パルスの少なくとも一部および第1吐出パルスを含み、第2吐出パルスおよび第3吐出パルスを含まない駆動信号が生成され、小ドット用の液滴が吐出される際に、第3吐出パルスを含み、第1吐出パルスおよび第2吐出パルスを含まない駆動信号が生成される。
【0054】
なお、微振動パルスおよび吐出パルスとドットのサイズとの関係はさらに多様に変形されてよく、例えば、小ドットを形成する際に少なくとも1つの微振動パルスと第3吐出パルスが利用されてもよい。第3吐出パルスが中ドット用に用いられ、第1吐出パルスが小ドット用に用いられてもよい。大ドット用の駆動信号は、少なくとも1つの微振動パルスおよび1つのみの吐出パルスを含むものであってもよい。いずれの場合であっても、いずれか1つのサイズのドットを形成する際に、非吐出時とは波形の異なる微振動パルス群が利用される。
【0055】
ヘッド制御部44の機能の一部または全部が、ヘッド部23に設けられてもよい。逆に、駆動回路231の機能の一部または全部が、ヘッド部23の外部に設けられてもよい。
【0056】
上記実施の形態でに例示した微振動パルスは、上に凸となる波形であるが、これは例示にすぎず、例えば、下に凸となる波形や上下に振動する波形であってもよい。
【0057】
インクジェットプリンタ1では、走査機構である紙送り機構3により記録用紙9がヘッド部23に対して走査方向に移動するが、ヘッド部23をY方向に移動する走査機構が設けられてもよい。また、記録用紙9がローラにて保持され、当該ローラを回転するモータにより記録用紙9がヘッド部23に対して走査方向に移動してもよい。このように、記録用紙9をヘッド部23に対して相対的に走査方向に移動する走査機構は様々な構成にて実現可能である。
【0058】
インクジェットプリンタは、枚葉の記録用紙に画像を記録するものであってもよい。例えば、ステージ上に記録用紙を保持するインクジェットプリンタにおいて、幅方向に関して、複数の吐出口が配列される幅が記録用紙の記録領域よりも狭く、ヘッド部を走査方向および幅方向に記録用紙に対して相対的に移動する走査機構が設けられる。そして、ヘッド部がインクを吐出しつつ走査方向に相対移動(主走査)し、記録用紙の端部へと到達した後に幅方向に所定距離だけ相対移動(副走査)し、その後、ヘッド部がインクを吐出しつつ直前の主走査とは逆向きに相対移動する。このように、上記インクジェットプリンタでは、ヘッド部が記録用紙に対して走査方向に主走査するとともに、主走査が完了する毎に、幅方向に間欠的に副走査することにより、記録用紙の全体に画像が記録される。ただし、画像を高速に記録するという観点では、非吐出パルスを液滴の吐出に用いる上記手法は、記録用紙9がヘッド部23の下方を一回通過するのみで画像記録が完了する、いわゆるワンパス方式のインクジェットプリンタ1に採用されることが好ましい。
【0059】
各ヘッド部23では、X方向に対して傾斜した水平線上に複数の吐出口が配列されてもよい。また、各ヘッド部23における複数の吐出口の配列は千鳥状であってもよい。
【0060】
インクジェットプリンタ1における画像記録の対象物は、記録用紙9以外にプラスチック等にて形成される板状またはフィルム状の基材等であってもよい。
【0061】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0062】
1 インクジェットプリンタ
2 記録部
3 紙送り機構
4 制御部
9 記録用紙
70 基本波形
71,72 波形要素列
241 吐出口
711 第1微振動パルス
712 第2微振動パルス
713 第1吐出パルス
721 第2吐出パルス
722 第3吐出パルス
S11〜S13 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタであって、
吐出口からインクの液滴を対象物に向けて吐出することにより、少なくとも1つのサイズにてドットを前記対象物上に形成する記録部と、
所定の走査方向へと前記対象物を前記記録部に対して相対的に移動する走査機構と、
前記対象物の前記記録部に対する相対移動に並行して、液滴の吐出動作を指示する信号を前記記録部に順次与える制御部と、
を備え、
前記制御部からの指示に従って、基本波形に含まれる複数の波形要素の一部が選択されることにより、液滴の吐出動作に用いられる駆動信号が生成され、
前記複数の波形要素が、液滴の吐出動作に用いられる吐出パルスと、前記吐出パルスよりも前に位置する複数の微振動パルスとを含み、
前記対象物上にドットを形成しない時に、前記複数の微振動パルスの少なくとも一部である第1微振動パルス群が選択されることにより、前記記録部にて非吐出動作が行われ、
前記少なくとも1つのサイズに含まれる一のサイズのドットの形成時に、前記複数の微振動パルスの少なくとも一部である第2微振動パルス群、および、前記吐出パルスが選択されることにより、前記吐出口から液滴を吐出する吐出動作が行われ、
前記第1微振動パルス群と前記第2微振動パルス群との波形が異なることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、
前記複数の微振動パルスが2つの微振動パルスであり、
前記第1微振動パルス群が一方の微振動パルスであり、前記第2微振動パルス群が他方の微振動パルスであることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項3】
請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、
前記複数の微振動パルスが2つの微振動パルスであり、
前記第1微振動パルス群が前記2つの微振動パルスであり、前記第2微振動パルス群が前記2つの微振動パルスのうちの1つであることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項4】
請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、
前記複数の微振動パルスが2つの微振動パルスであり、
前記第2微振動パルス群が前記2つの微振動パルスであり、前記第1微振動パルス群が前記2つの微振動パルスのうちの1つであることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項5】
請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、
前記基本波形が、並行する2つの波形要素列にて構成され、
前記複数の微振動パルスが、一方の波形要素列に含まれることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項6】
請求項5に記載のインクジェットプリンタであって、
前記一方の波形要素列が、前記複数の微振動パルス、および、前記吐出パルスである第1吐出パルスを含み、
他方の波形要素列が、前記複数の微振動パルスと並行する第2吐出パルスを含むことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項7】
請求項6に記載のインクジェットプリンタであって、
前記他方の波形要素列が、前記第2吐出パルスの後に第3吐出パルスを含み、
前記記録部から大ドット用の液滴が吐出される際に、前記第2吐出パルスおよび前記第1吐出パルスを含み、前記第3吐出パルスを含まない駆動信号が生成され、
前記記録部から中ドット用の液滴が吐出される際に、前記複数の微振動パルスの少なくとも一部および前記第1吐出パルスを含み、前記第2吐出パルスおよび前記第3吐出パルスを含まない駆動信号が生成され、
前記記録部から小ドット用の液滴が吐出される際に、前記第3吐出パルスを含み、前記第1吐出パルスおよび前記第2吐出パルスを含まない駆動信号が生成されることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のインクジェットプリンタであって、
前記記録部が複数の吐出口を有し、
前記複数の吐出口が、前記走査方向に垂直な方向に関して対象物上の記録領域の幅全体に亘って並ぶことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項9】
インクジェットプリンタにおいて実行される画像記録方法であって、
前記インクジェットプリンタが、吐出口からインクの液滴を対象物に向けて吐出することにより、少なくとも1つのサイズにてドットを前記対象物上に形成する記録部を備え、
前記画像記録方法が、
a)所定の走査方向へと前記対象物を前記記録部に対して相対的に移動する工程と、
b)前記対象物の前記記録部に対する相対移動に並行して、液滴の吐出動作を指示する信号を前記記録部に順次入力する工程と、
を備え、
基本波形に含まれる複数の波形要素の一部が選択されることにより、液滴の吐出動作に用いられる駆動信号が生成され、
前記複数の波形要素が、液滴の吐出動作に用いられる吐出パルスと、前記吐出パルスよりも前に位置する複数の微振動パルスとを含み、
画像記録中において、
前記対象物上にドットを形成しない時に、前記複数の微振動パルスの少なくとも一部である第1微振動パルス群が選択されることにより、前記記録部にて非吐出動作が行われ、
前記少なくとも1つのサイズに含まれる一のサイズのドットの形成時に、前記複数の微振動パルスの少なくとも一部である第2微振動パルス群、および、前記吐出パルスが選択されることにより、前記吐出口から液滴を吐出する吐出動作が行われ、
前記第1微振動パルス群と前記第2微振動パルス群との波形が異なることを特徴とする画像記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−75405(P2013−75405A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216091(P2011−216091)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】