説明

インクジェットプリンタ

【課題】ユーザが所望する頻度に応じてメンテナンス動作がされることにより、ユーザが許容できない程度の印字不良の発生は抑制しつつ、インクの消耗を抑制できるインクジェットプリンタを提供すること。
【解決手段】多機能周辺装置1によれば、ユーザ操作に基づいてパージ処理が実行された回数に応じて、パージ間隔を決定することにより、ユーザの所望するパージ処理実行の頻度に応じたパージ間隔を決定することができる。そして、前回パージ処理の実行後、決定されたパージ間隔が経過した場合には、パージ処理が自動的に実行され、インクの吐出状態が回復される。よって、ユーザが所望する頻度に応じてパージ処理がされ、ユーザが許容できない程度の印刷不良の発生は抑制しつつ、パージ処理実行回数を可能な限り減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットプリンタに関し、特に、ユーザが所望する頻度に応じてメンテナンス動作がされることにより、ユーザが許容できない程度の印字不良の発生は抑制しつつ、インクの消耗を抑制できるインクジェットプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数個のインク吐出口が形成された印刷ヘッドからインクを吐出して、記録紙に印刷を行うインクジェットプリンタが実用化されている。このインクジェットプリンタでは、印刷ヘッドの使用中に内部に気泡が発生したり、インク吐出口の表面にインクが付着するなどして、インクの吐出不良を起こすことがある。また、プリンタを長時間使用せずに放置した場合にも、インク吐出口にインク詰まりが生じ、吐出不良を起こしてしまう。吐出不良のある状態で印刷を行うと、印刷不良を起こすので、かかる場合には、良好な吐出状態に回復させるため、パージ処理が行われる。このパージ処理は、印刷ヘッドに吸引キャップを被して密閉した後、ポンプにより負圧を発生させて印刷ヘッド内部のインクを吸引したり、或いは、印刷処理時の吐出力よりも大きな吐出力でインクを吐出させる処理である。よって、かかるパージ処理を実行することにより、インクの吐出状態を回復することができるのである。
【0003】
このパージ処理は、例えば、所定時間毎に自動的に実行される(例えば、特許文献1参照)。印刷不良が発生することがないように短めに設定された所定時間毎に自動的にパージ処理を実行することにより、常に良好な印刷状態を保つことができる。
【特許文献1】特開2001−341325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザの性格や使用用途によっては、多少の印刷不良は許容できる場合がある。それにも関わらず、従来のインクジェットプリンタでは、常に良好な印刷状態が保たれるよう、短めに設定された定期パージ間隔に従ってパージ処理が自動的に実行されていた。パージ処理ではインクが多量に吐出または吸引されるので、頻繁なパージ処理によりインクの消耗が早まり、不経済であるという問題点があった。
【0005】
このような問題点は、ファクシミリ機能を備えたインクジェットプリンタでは特に顕著である。ファクシミリ機能を備えたインクジェットプリンタでは、ファクシミリデータを常時受信できるように、常に電源が投入されていることが多いので、パージ処理を所定時間毎に自動的に行うこととすると、パージ処理実行回数が必然的に多くなる。その結果、ユーザの意図とは関係なくインクのみが徐々に消耗するので、印刷品質よりも経済性を重視する性格のユーザには不満が生じるおそれがあった。
【0006】
一方、インク消耗を抑制するために、単にパージ処理の実行頻度を減少させると、許容できないような印刷不良発生の確率が高まるという問題点があった。許容できないような印刷不良が発生すると、ユーザの性格によっては印刷のやり直しが必要となる。その結果、記録紙が無駄に使用され、不経済である。
【0007】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、ユーザが所望する頻度に応じてメンテナンス動作がされることにより、ユーザが許容できない程度の印字不良の発生は抑制しつつ、インクの消耗を抑制できるインクジェットプリンタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、請求項1記載のインクジェットプリンタは、1又は複数個のインク吐出口を備え、そのインク吐出口からインクを吐出して印刷媒体に対して印刷を行う印刷ヘッドと、その印刷ヘッドのインク吐出口からインクを吐出または吸引してインクの吐出状態を回復させるメンテナンス手段とを備えたものであって、ユーザの操作に基づいて前記メンテナンス手段にメンテナンス動作をさせる任意動作手段と、その任意動作手段により所定時間内にメンテナンス動作がされた回数をカウントする任意動作回数カウント手段と、その任意動作回数カウント手段によりカウントされた回数に応じて、メンテナンス動作の実行間隔を決定する間隔決定手段と、前記メンテナンス手段によるメンテナンス動作後の経過時間が、前記間隔決定手段により決定された実行間隔を超えると、前記メンテナンス手段にメンテナンス動作をさせる自動動作手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載のインクジェットプリンタは、請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、現在の時刻を計時する現在時刻計時手段と、前記メンテナンス手段によりメンテナンス動作の行われたメンテナンス時刻を記憶するメンテナンス時刻記憶手段と、前記現在時刻計時手段により計時される現在の時刻が、前記メンテナンス時刻記憶手段に記憶されたメンテナンス時刻に前記間隔決定手段により決定された実行間隔を加算した時刻を超えることに基づいて、前記メンテナンス手段によるメンテナンス動作後の経過時間が、前記間隔決定手段により決定された実行間隔を超えると判断する判断手段とを備え、前記自動動作手段は、前記判断手段により、前記メンテナンス手段によるメンテナンス動作後の経過時間が前記間隔決定手段により決定された実行間隔を超えると判断されると、前記メンテナンス手段にメンテナンス動作をさせることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載のインクジェットプリンタは、請求項1または2に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記間隔決定手段は、前記任意動作回数カウント手段によりカウントされた回数が多いほど、メンテナンス動作の実行間隔として短い間隔を決定することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載のインクジェットプリンタは、請求項1から3のいずれかに記載のインクジェットプリンタにおいて、前記自動動作手段は、前記間隔決定手段によりメンテナンス動作の実行間隔が決定されるまでは、前記メンテナンス手段によるメンテナンス動作後の経過時間が、予め定められた初期間隔を超えることに基づいて、前記メンテナンス手段にメンテナンス動作をさせるものであり、前記間隔決定手段は前記初期間隔と同じ又は前記初期間隔よりも短い間隔を、メンテナンス動作の実行間隔として決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のインクジェットプリンタによれば、任意動作回数カウント手段により、所定時間内に、ユーザの操作に基づいてされたメンテナンス動作の回数がカウントされる。ここで、所定時間内にユーザ操作に基づいてされたメンテナンス動作の回数は、ユーザが所望するメンテナンス動作実行の頻度を反映する。頻繁なメンテナンス動作を所望するユーザの場合、頻繁なメンテナンス動作を所望しないユーザに比較して、ユーザ操作に基づくメンテナンス動作の回数が多くなることが予想されるからである。したがって、任意動作回数カウント手段によりカウントされた回数に応じて、メンテナンス動作の実行間隔を決定することにより、ユーザの所望するメンテナンス動作実行の頻度に応じたメンテナンス動作の実行間隔を決定することができる。そして、印刷ヘッドのインク吐出口からインクを吐出または吸引するメンテナンス動作の実行後、決定された実行間隔が経過した場合には、再びメンテナンス動作が実行され、インクの吐出状態が回復される。よって、ユーザが所望するメンテナンス動作実行の頻度に応じた実行間隔が経過すると、インク吐出状態の回復動作が自動的に行われるので、ユーザが所望する頻度に応じてメンテナンス動作がされ、ユーザが許容できない程度の印刷不良の発生は抑制しつつ、メンテナンス動作回数を可能な限り減少させ、インクの消耗を抑制できるという効果がある。
【0013】
請求項2記載のインクジェットプリンタによれば、請求項1記載のインクジェットプリンタの奏する効果に加え、現在時刻計時手段により計時される現在の時刻が、メンテナンス時刻記憶手段に記憶されたメンテナンス時刻に間隔決定手段により決定された実行間隔を加算した時刻を超えることに基づいて、前記メンテナンス手段によるメンテナンス動作後の経過時間が、前記間隔決定手段により決定された実行間隔を超えると判断されると、再びメンテナンス動作が実行され、インクの吐出状態が回復される。よって、ユーザが所望するメンテナンス動作実行の頻度に応じた実行間隔が経過すると、インク吐出状態の回復動作が自動的に行われるので、ユーザが所望する頻度に応じてメンテナンス動作がされ、ユーザが許容できない程度の印刷不良の発生は抑制しつつ、メンテナンス動作回数を可能な限り減少させ、インクの消耗を抑制できるという効果がある。
【0014】
請求項3記載のインクジェットプリンタによれば、請求項1または2に記載のインクジェットプリンタの奏する効果に加え、任意動作回数カウント手段によりカウントされた回数が多いほど、メンテナンス動作の実行間隔として短い間隔が決定されるので、任意動作回数カウント手段によりカウントされた回数が多いユーザ、すなわち、印刷不良を許容しない性格であるため頻繁なメンテナンス動作を所望するユーザに対しては、メンテナンス動作の実行間隔として短い間隔が決定されるので、ユーザが印刷不良を許容しない性格である場合には、メンテナンス動作が頻繁に行われ、ユーザが許容できない程度の印刷不良の発生を抑制することができる。その結果、ユーザが許容できない程度の印刷不良の発生を抑制することができるという効果がある。一方、任意動作回数カウント手段によりカウントされた回数が少ないユーザ、すなわち、印刷不良を許容する性格であるため頻繁なメンテナンス動作を所望しないユーザに対しては、メンテナンス動作の実行間隔として長い間隔が決定されるので、メンテナンス動作回数を可能な限り減少させることができる、その結果、インクの消耗が抑制されるという効果がある。
【0015】
請求項4記載のインクジェットプリンタによれば、請求項1から3のいずれかに記載のインクジェットプリンタの奏する効果に加え、自動動作手段は、間隔決定手段によりメンテナンス動作の実行間隔が決定されるまでは、メンテナンス手段によるメンテナンス動作後の経過時間が、予め定められた初期間隔を超えることに基づいて、メンテナンス手段にメンテナンス動作をさせるので、間隔決定手段によりメンテナンス動作の実行間隔が決定されるまでの間も、メンテナンス手段によるメンテナンス動作が自動的に行われる。よって、パージ処理では回復不可能なインク吐出不良が生じることが抑制されるという効果がある。これに対し、メンテナンス動作が自動的に行われない場合は、メンテナンス動作不実行の状態が継続されて、インク吐出口におけるインクの乾燥が進行し、メンテナンス動作ではインク吐出状態が回復できなくなるおそれがあるのである。
【0016】
また、間隔決定手段は前記初期間隔と同じ又は前記初期間隔よりも短い間隔を、メンテナンス動作の実行間隔として決定する。すなわち、初期間隔はメンテナンス動作の実行間隔として最長の間隔に相当する。よって、間隔決定手段によりメンテナンス動作の実行間隔が決定されるまでの間は、最長の実行間隔(初期間隔)に従って、最低限の頻度でメンテナンス動作がされる。このように、自動動作手段により、最低限の頻度でメンテナンス手段によるメンテナンス動作がされている間に、ユーザの操作に基づいてメンテナンス動作がされた場合、ユーザは、最低限以上の頻度でのメンテナンス動作を所望していることが予想される。したがって、任意動作回数カウント手段によりカウントされた回数に応じて、初期間隔と同じまたは初期間隔よりも短いメンテナンス動作の実行間隔を決定することにより、ユーザの所望するメンテナンス動作実行の頻度に応じたメンテナンス動作の実行間隔を決定することができる。よって、ユーザが所望する頻度に応じてメンテナンス動作がされ、ユーザが許容できない程度の印刷不良の発生は抑制しつつ、メンテナンス動作回数を可能な限り減少させることができ、インクの消耗が抑制されるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例である多機能周辺装置1の斜視図である。この多機能周辺装置1は、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、及び、ビデオプリンタ機能などの各種の機能を備えており、これらの機能の実行時に行われる印刷のために、フルカラー印刷が可能なインクジェットプリンタ26を搭載している。
【0018】
図1に示すように、多機能周辺装置1の装置本体2は箱状体に形成され、その上面前部には操作パネル3が配設されている。操作パネル3には、「0」〜「9」の数字ボタン3aや、スタートボタン3b、パージボタン3cなどの各種のボタンが設けられており、これらのボタンを押下することにより、各種の操作が行われる。なお、ユーザはパージボタン3cを押下することにより、後述する印刷ヘッド65(図2参照)のノズルからインクを吸引し、インクの吐出状態を回復するパージ処理(請求項のメンテナンス動作に相当)の実行を指示することができる。
【0019】
操作パネル3の後部には、液晶(LCD)ディスプレイ6が設けられ、多機能周辺装置1の設定状態や各種の操作メッセージなどが必要に応じて表示される。なお、多機能周辺装置1が待機状態にある場合には、操作パネル3を介して設定された現在時刻が、このLCDディスプレイ6に表示される。
【0020】
LCDディスプレイ6の後部には、ファクシミリ機能時に相手ファクシミリ装置51へ送信されるファクシミリ原稿や、コピー機能時に複写されるコピー原稿が、積層載置可能な原稿載置部4が設けられている。この原稿載置部4に載置された各種の原稿は、装置本体2内部へ搬送され、スキャナ19によって、その原稿の表面に描かれた画像が読み取られる。画像の読み取られた原稿は、更に搬送され、操作パネル3の下方に設けられた原稿排出部9へ積層可能に排出される。
【0021】
原稿載置部4の後部には、カセット挿嵌部5が設けられている。このカセット挿嵌部5には、複数枚の記録紙Pを積層収納可能な用紙カセットが着脱可能に取り付けられる(図示せず)。記録紙Pは、カセット挿嵌部5に装着された用紙カセットから供給され、後述するインクジェットプリンタ26によって印刷に使用された後、原稿排出部9の下方に設けられた記録紙排出部10から排出される。記録紙排出部10の右下方部には、隣接してビデオ信号入力端子7が設けられている。このビデオ信号入力端子7に接続されたビデオカメラ等から出力されるビデオ信号(画像データ)は、多機能周辺装置1の内部へ取り込まれ、フルカラー印刷可能なインクジェットプリンタ26によってフルカラーで印刷される。
【0022】
図2は、多機能周辺装置1の装置本体2内部に収納されるインクジェットプリンタ26の斜視図である。このインクジェットプリンタ26は、印刷ヘッド65を矢印A及び反矢印A方向へ移動させて印刷を行うシリアルプリンタである。
【0023】
インクジェットプリンタ26のフレーム63には、記録紙Pを搬送するためのプラテンローラ61が回転可能に取着されており、このプラテンローラ61と平行にガイドロッド62がフレーム63に固着されている。ガイドロッド62上には、印刷ヘッド65を搭載したキャリッジ66が記録紙Pの搬送方向と直交する方向に移動可能に支持されている。このキャリッジ66は、フレーム63の一側に設けられたキャリッジモータ67によって回転される駆動プーリ68と従動プーリ69間に掛け渡されたベルト70を介して、ガイドロッド62に沿ってプラテンローラ61と平行に移動される。
【0024】
キャリッジ66に搭載される印刷ヘッド65は、4色のインクタンク65a〜65dを備えており、各インクタンク65a〜65dには、図2の左から順に、ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4色のインクが充填されている。これら4色のインクは、印刷ヘッド65に設けられた複数個のノズル(インク吐出口)から吐出され、記録紙Pにフルカラーの印刷が行われる。各インクタンク65a〜65dはそれぞれ個別に着脱可能にされており、インクの不足したインクタンク65a〜65dのみを個別に取り替えることができるように構成されている。
【0025】
フレーム63の他側(図2の左側)には、インクの吐出状態を回復させる回復機構71が設けられている。回復機構71は、印刷ヘッド65の全ノズルを一度に密閉する吸引キャップ72を備え、その吸引キャップ72の裏面には、該吸引キャップ72を印刷ヘッド65の方向へ突出させる突出部材73が取着されている。突出部材73の一端は、円弧状に形成された突出レバー74の表面に当接され、かかる突出レバー74が図2の状態から矢印B方向へ移動されると、突出部材73とともに吸引キャップ72が印刷ヘッド65の方向へ突出される。よって、キャリッジ66を図2の一点鎖線の位置へ移動した後、突出レバー74を矢印B方向へ移動させることにより、吸引キャップ72を印刷ヘッド65のノズル部分に被せて密閉することができる。
【0026】
この突出レバー74の矢印B及び反矢印B方向への移動は、パージモータ75により回転されるカム体76によって行われる。このカム体76の回転は、図示しない吸引ポンプをも駆動する。吸引ポンプは、吸引キャップ72の非吸引面に接続された吸引チューブ77を介して吸引動作を行うパージ処理を実行するためのものであり、印刷ヘッド65に吸引キャップ72が被せられた状態で吸引ポンプが作動されると、印刷ヘッド65のノズルからインクが吸引され、インクの吐出状態が回復される。なお、このパージ処理は、ユーザによりパージボタン3c(図1参照)が押下されること、或いは、前回のパージ処理からの経過時間が、後述するパージ間隔を超えることに基づいて実行される。
【0027】
図3は、多機能周辺装置1の電気的構成を示したブロック図である。多機能周辺装置1は、ファクシミリユニットFUおよびプリンタユニットPUの2つのユニットがインターフェイス30により相互に接続されて形成されている。ファクシミリユニットFUは、CPU11、ROM12、RAM13、EEPROM14、ネットワーク・コントロール・ユニット(以下、「NCU」と称する)15、モデム16、符号器17、復号器18、スキャナ19、操作パネル3、LCDディスプレイ6、ビデオ信号入力端子7、原稿センサ8、計時回路28を備えており、これらはファクシミリ制御回路20を介して相互に接続されている。
【0028】
CPU11は、NCU15を介して送受信される各種の信号に基づいて、ファクシミリ制御回路20に接続された各部を制御し、ファクシミリ動作などを実行するものである。また、図4〜図7のフローチャートで示す処理を実行するプログラムなどの各種プログラムを実行する。ROM12は、図4〜図7のフローチャートで示す処理を実行するプログラムを始め、この多機能周辺装置1で実行される各種の制御プログラムを記憶する書換不能なメモリである。
【0029】
RAM13は各種のデータを記憶するための書換可能なメモリであり、マニュアルパージ回数カウンタ13aと、インターバルカウンタ13bとを備える。マニュアルパージ回数カウンタ13aは、所定時間T4内にユーザ操作に基づくパージ処理(マニュアルパージ処理)が実行された回数をカウントするためのカウンタである。後述する初回起動処理(図5参照)において、ユーザ操作に基づくパージ処理が実行されるとマニュアルパージ回数カウンタ13aの値に「1」加算される。また、マニュアルパージ回数カウンタ13aの値は、所定時間T4毎に「0」にクリアされる。
【0030】
インターバルカウンタ13bは、後述する初回起動処理(図5参照)において、所定時間T4を計時するためのカウンタである。このインターバルカウンタ13bの値は、後述する初回起動処理(図5参照)の開始時に「0」にクリアされ、所定のタイミング毎に、前回更新時からの経過時間が加算されて更新される。すなわち、インターバルカウンタ13bの値は、前回クリア時からの経過時間を示すこととなる。そして、インターバルカウンタ13bは、その値が所定時間T4を超えるとクリアされ、再び経過時間の加算が開始される。
【0031】
EEPROM14は書換可能な不揮発性のメモリであり、このEEPROM14に記憶されたデータは、多機能周辺装置1の電源オフ後も保持される。EEPROM14にはパージ時刻メモリ14aと、パージ間隔メモリ14bとが設けられる。パージ時刻メモリ14aには前回行われたパージ処理の時刻(日付けを含む)が記憶される。パージ間隔メモリ14bには、パージ間隔(パージ処理の実行間隔)が記憶される。パージ時刻メモリ14aに記憶された、前回パージ処理が行われた時刻からの経過時間が、パージ間隔メモリ14bに記憶されたパージ間隔を超えると、パージ処理が自動的に実行される。
【0032】
NCU15は電話網(電話回線52)に対するダイヤル信号の送出や、電話網(電話回線52)からの呼出信号の応答等の動作を行うものである。モデム16は、NCU15を介して、画像データを変調及び復調し、相手ファクシミリ装置51へ伝送すると共に、伝送制御用の各種手順信号を送受信するためのものである。符号器17は、スキャナ19により読み取られた原稿の画像データなどを圧縮するために符号化するものであり、復号器18は、受信されたファクシミリデータなどの符号化されたデータを復号化するものである。スキャナ19は、原稿載置部4から装置内部へ挿入された原稿の画像を読み取るためのものである。原稿センサ8は、原稿載置部4に原稿が載置されているか否か、即ち、原稿の有無を検出するセンサである。
【0033】
計時回路28は現在時刻(日付けを含む)を計時する回路であり、多機能周辺装置1の電源オフ後も現在時刻の計時を継続するために、駆動用の電池28aを備えている。この計時回路28への現在時刻の初期設定は、操作パネル3を介して行われる。計時回路28により計時される現在時刻は、多機能周辺装置1の待機時、即ち、各動作機能の停止時に、LCDディスプレイ6に出力されて時計表示が行われる。また、この計時回路28の現在時刻はパージ処理の実行後に読み出されて、EEPROM14のパージ時刻メモリ14aに書き込まれる。
【0034】
なお、ファクシミリユニットFUは、NCU15、電話回線52を介して、相手ファクシミリ装置51と接続されている。
【0035】
プリンタユニットPUは、演算装置であるCPU21と、CPU21により実行される制御プログラム等を記憶するROM22と、CPU21の実行時に参照および更新される各種のワークメモリや印刷用のデータを記憶するプリントメモリ等を備えたRAM23と、パーソナルコンピュータ(以下「PC」と称す)53が接続されるパソコン用インターフェイス24と、印刷用の文字等のベクトルフォントを記憶するキャラクタジェネレータ(以下「CG」と称す)25と、前記したインクジェットプリンタ26とを備えている。これらはプリンタ制御回路27を介して相互に接続されている。なお、図3においては、インクジェットプリンタ26の構成として、印刷ヘッド65、キャリッジモータ67、パージモータ75のみを図示し、他の構成の図示は省略する。パソコン用インターフェイス24は、例えば、セントロニクス規格に準拠したパラレルインターフェイスであり、多機能周辺装置1は、このインターフェイス24に接続されたケーブル54を介して、PC53とデータの送受信が可能にされている。
【0036】
図4を参照して、上記のように構成された多機能周辺装置1のファクシミリユニットFUで実行される初回起動処理について説明する。図4は、多機能周辺装置1のファクシミリユニットFUで実行される初回起動処理のフローチャートである。この初回起動処理は、多機能周辺装置1の工場出荷後、ユーザにより初めて電源が投入された場合に実行される処理である。
【0037】
まず、パージ間隔メモリ14bにパージ間隔T3(特許請求の範囲に記載の初期間隔に相当)を書き込む(S2)。このパージ間隔T3は、パージ間隔メモリ14bに書き込まれるパージ間隔として予め定められた最長の値である。後述するS14,S18の処理で説明するように、前回実行されたパージ処理からの経過時間がパージ間隔メモリ14bに書き込まれたパージ間隔を超えると、パージ処理が自動的に実行される。よって、初回起動処理の開始時において、パージ間隔メモリ14bに予め最長のパージ間隔T3を書き込むことにより、後述するマニュアルパージ処理(S12)によりパージ間隔が決定されるまでの間は、最長のパージ間隔T3に従って、パージ処理が自動的に行われる。
【0038】
次に、初期導入パージを実行する(S4)。なお、このS4の処理において、ファクシミリユニットFUのCPU11(図3参照)は、プリンタユニットPUのCPU21にパージ処理実行命令を送信する。パージ処理実行命令を受信したプリンタユニットPUのCPU21は、ROM22に格納された制御プログラムに従って、パージ処理を実行させる。これにより、インクタンク65a〜65dから印刷ヘッド65のノズルへのインクの充填が行われ、印刷ヘッド65がインクを吐出可能となる。
【0039】
次に、計時回路28(図3参照)により計時される現在時刻を読み出し、パージ時刻メモリ14aに書き込む(S6)。これにより、パージ処理が行われた時刻がパージ時刻メモリ14aに記憶される。
【0040】
次に、インターバルカウンタ13bの値を「0」にクリアする(S8)。そして、マニュアルパージ処理の実行が指示されたか否かを判断する(S10)。これは、パージボタン3c(図1参照)を押下するという操作がユーザによりされたか否かに基づいて判断される。
【0041】
ユーザ操作に基づくパージ処理(マニュアルパージ処理)の実行が指示された場合(S10:Yes)、後述するマニュアルパージ実行処理(図6参照)を実行する(S12)。
【0042】
一方、ユーザ操作に基づくパージ処理の実行が指示されない場合(S10:No)、前回のパージ処理後の経過時間が、パージ間隔メモリ14bに記憶されたパージ間隔を超えたか否かを判断する(S14)。具体的には、計時回路28により計時される現在の時刻が、パージ時刻メモリ14aに記憶される前回パージ処理が実行された時刻に、パージ間隔メモリ14aに記憶されたパージ間隔を加算して得られる時刻を超えたか否かを判断する。前回のパージ処理後の経過時間が、パージ間隔メモリ14bに記憶されたパージ間隔を未だ超えない場合(S14:No)、カウント制御処理(図5参照)を実行し(S16)、S10の処理に戻る。
【0043】
図5を参照して、カウント制御処理について説明する。図5は、カウント制御処理のフローチャートである。カウント制御処理は、マニュアルパージ回数カウンタ13aによりカウントされるマニュアルパージ処理の実行回数を、所定時間T4(例えば、T4=50日)毎にクリアするための処理である。
【0044】
まず、計時回路28(図3参照)を参照することにより、インターバルカウンタ13bの前回更新時からの経過時間を取得し、その取得した経過時間を、インターバルカウンタ13bの値に加算し、インターバルカウンタ13bの値を更新する(S161)。なお、インターバルカウンタ13bの値が「0」にクリアされてから、最初にS161の処理が行われる場合は、インターバルカウンタ13bの値が「0」にクリアされてからの経過時間が、インターバルカウンタ13bの値に加算される。すなわち、インターバルカウンタ13bの値は、前回クリア時からの経過時間を示す値である。
【0045】
次に、インターバルカウンタ13bの値が所定時間T4を超えたか否かを判断する(S162)。インターバルカウンタ13bの値が所定時間T4を超えていない場合(S162:No)、カウント制御処理(S16)を終了し、S10(図4参照)の処理に戻る。
【0046】
一方、インターバルカウンタ13bの値が所定時間T4を超えると(S162)、マニュアルパージ回数カウンタ13aによりカウントされたマニュアルパージ処理実行回数をクリアする(S164)。そして、インターバルカウンタ13bの値をクリアし(S166)、S10(図4参照)の処理に戻る。
【0047】
上記カウント制御処理(S16)によれば、マニュアルパージ回数カウンタ13aおよびインターバルカウンタ13bの値を所定時間T4毎にクリアできる。
【0048】
図4に戻り説明する。このようにしてS10〜S16の処理を繰り返すうちに、計時回路28により計時される現在の時刻が、パージ時刻メモリ14aに記憶される前回パージ処理が実行された時刻に、パージ間隔メモリ14aに記憶されたパージ間隔を加算して得られる時刻を超えることに基づいて、パージ処理後の経過時間がパージ間隔を超えると判断されると(S14:Yes)、パージ処理を実行する(S18)。なお、このS18の処理において、ファクシミリユニットFUのCPU11(図3参照)は、プリンタユニットPUのCPU21にパージ処理実行命令を送信する。パージ処理実行命令を受信したプリンタユニットPUのCPU21は、ROM22に格納された制御プログラムに従って、パージ処理を実行する。S18におけるパージ処理は、パージ処理後の経過時間に基づいて自動的に実行される自動パージ処理である。
【0049】
自動パージ処理を実行した後は、計時回路28(図3参照)により計時される現在時刻を読み出し、パージ時刻メモリ14aに書き込む(S20)。これにより、パージ処理が行われた時刻が記憶される。
【0050】
なお、後述するマニュアルパージ実行処理(S12、図6参照)において説明するように、ユーザ操作に基づいてパージ処理の実行が指示された場合に、マニュアルパージの実行回数に応じたパージ間隔が決定され、その決定されたパージ間隔に従ってパージ処理が自動的に実行される。一方、マニュアルパージ実行処理(S12)によりマニュアルパージの実行回数に応じたパージ間隔が決定されるまでの間は、S2の処理においてパージ間隔メモリ14bに予め格納された最長のパージ間隔T3に従って、パージ処理が自動的に実行される。ここで、パージ間隔T3は、印刷ヘッド65のインク吐出口が乾燥することがあるものの、その間隔内にパージ処理を実行すれば、インク吐出状態を回復することができる間隔として予め実験的に定められた値である(例えば、T3=50日)。換言すれば、前回パージ処理をしてからの経過時間が最長のパージ間隔T3を超えてもパージ処理を実行せず、パージ処理不実行を継続した場合、インク吐出口におけるインクの乾燥が進行し、パージ処理ではインク吐出状態が回復不能となるおそれがある間隔である。本実施例によれば、マニュアルパージ実行処理(S12)により、マニュアルパージの実行回数に応じたパージ間隔が決定されるまでの間は、パージ間隔メモリ14bに格納された最長のパージ間隔T3に従って、必要最低限のパージ処理が自動的に実行されるので、パージ処理では回復不可能なインク吐出不良が生じることが抑制される。
【0051】
自動パージ処理が実行され、そのパージ処理が行われた時刻がパージ時刻メモリ14aに書き込まれると(S20)、S10に戻り処理を繰り返す。このようにして処理を繰り返すうちにユーザ操作に基づいてマニュアルパージ処理の実行が指示されると(S10:Yes)、マニュアルパージ実行処理(S12)に移行する。
【0052】
図6を参照して、マニュアルパージ実行処理(S12)について説明する。図6はマニュアルパージ実行処理を示すフローチャートである。マニュアルパージ実行処理は、ユーザ操作に基づくパージ処理の実行が指示された場合に実行される処理であって、パージ処理を実行すると共に、マニュアルパージ処理の実行回数に応じたパージ間隔を決定する処理である。
【0053】
なお、上述のように、マニュアルパージ処理の実行回数に応じたパージ間隔が決定されるまでの間は、最長のパージ間隔T3に従って最低限の自動パージ処理が実行される。ここで、最低限の自動パージ処理では、回復不可能なインク吐出不良の発生は防止されるものの、軽微な印字不良が発生するおそれがある。印字不良が発生した場合であっても、その印字不良を許容する性格のユーザであれば、インク節約の観点から、マニュアルパージ処理の実行を指示しないことが予想される。これに対し、印刷結果を見てその印字不良を許容できない几帳面な性格のユーザは、最低限の自動パージ処理のみでは足りず、パージボタン3cを押下することにより、マニュアルパージ処理の実行を指示することが予想される。したがって、本実施例のマニュアルパージ実行処理(S12)においては、マニュアルパージ処理が実行された回数が所定回数以上となった場合には、その回数に応じて、最初に設定されたパージ間隔T3よりも短いパージ間隔を決定することとした。これにより、ユーザの所望するパージ処理実行の頻度に応じたパージ間隔を決定することができる。
【0054】
マニュアルパージ実行処理においては、まず、パージ処理を実行する(S122)。なお、このS122の処理において、ファクシミリユニットFUのCPU11(図3参照)は、プリンタユニットPUのCPU21にパージ処理実行命令を送信する。パージ処理実行命令を受信したプリンタユニットPUのCPU21は、ROM22に格納された制御プログラムに従って、パージ処理を実行する。S122におけるパージ処理は、ユーザ操作によりパージ処理実行の指示がなされたことに基づいて実行されるマニュアルパージ処理である。次に、計時回路28(図3参照)により計時される現在時刻を読み出し、パージ時刻メモリ14aに書き込む(S124)。
【0055】
次に、マニュアルパージ回数カウンタ13a(図3参照)の値に「1」加算する(S126)。次に、マニュアルパージ回数カウンタ13aの値が「6」より大であるか否かを判断する(S128)。マニュアルパージ回数カウンタ13aの値が「6」より大である場合(S128:Yes)、すなわち、所定時間T4内にユーザ操作に基づくパージ処理がされた回数が7回以上であった場合、ユーザの所望するパージ処理実行の頻度は非常に高いことが判断できる。よって、最初に設定されたパージ間隔T3よりも短く、最短のパージ間隔T1(例えば、T1=30日)をパージ間隔メモリ14bに書き込む(S134)。
【0056】
マニュアルパージ回数カウンタ13aの値が「6」以下である場合(S128:No)、マニュアルパージ回数カウンタ13aの値が「3」より大であるか否かを判断する(S130)。マニュアルパージ回数カウンタ13aの値が「3」より大である場合(S130:Yes)、すなわち、所定時間T4内にユーザ操作に基づくパージ処理がされた回数が4回以上6回以下であった場合、ユーザの所望するパージ処理実行の頻度は、比較的高いことが判断できる。よって、最初に設定されたパージ間隔T3よりも短く、且つ最短のパージ間隔T1よりも長いパージ間隔T2(例えば、T2=40日)をパージ間隔メモリ14bに書き込む(S136)。
【0057】
マニュアルパージ回数カウンタ13aの値が、「3」以下である場合(S130:No)、すなわち、所定時間T4内にユーザ操作に基づくパージ処理がされた回数が3回以下であった場合、ユーザの所望するパージ処理実行の頻度は低いことが判断できる。よって、最初に設定されたパージ間隔T3と同じ最長のパージ間隔T3をパージ間隔メモリ14bに書き込む(S132)。
【0058】
このようにして、所定時間T4内にマニュアルパージ処理がされた回数に応じてパージ間隔が決定されると、マニュアルパージ実行処理(S12)を終了し、S10の処理(図4参照)に戻る。そして、その後は、決定されたパージ間隔に従って、パージ処理が自動的に実行される。
【0059】
マニュアルパージ実行処理(S12)によれば、カウントされたマニュアルパージ処理実行回数が多いほど、短いパージ間隔が決定されるので、マニュアルパージ処理実行回数が多いユーザ、すなわち、印刷不良を許容しない性格であるため頻繁なパージ処理を所望するユーザに対しては、短いパージ間隔が決定される。そして、マニュアルパージ実行処理によりパージ間隔が決定された後は、決定されたパージ間隔に従ってパージ処理が自動的に実行されるので、ユーザが印刷不良を許容しない性格である場合には、短いパージ間隔に従ってパージ処理が頻繁に行われる。その結果、ユーザが性格的に許容できない程度の印刷不良の発生を抑制することができ、印刷の再実行が抑制され、経済的である。一方、マニュアルパージ処理実行回数が少ないユーザ、すなわち、印刷不良を許容する性格であるため頻繁なパージ処理を所望しないユーザに対しては、長いパージ間隔が決定されるので、パージ処理回数を可能な限り減少させることができる、その結果、インクの消耗が抑制され、経済的である。
【0060】
なお、EEPROM14のパージ間隔メモリ14bに記憶されたパージ間隔は、多機能周辺装置1の電源オフ後も保持される。よって、多機能周辺装置1の初回電源投入時に、初回起動処理(図4参照)において決定され、パージ間隔メモリ14bに記憶されたパージ間隔は、多機能周辺装置1の2回目以降の電源投入時にも利用される。
【0061】
図7を参照して、多機能周辺装置1において実行される定期パージ処理を説明する。図7は、定期パージ処理を示すフローチャートである。図7に示す定期パージ処理は、多機能周辺装置1において2回目以降の電源投入がされることに基づいて開始される処理であって、前回パージ処理からの経過時間がパージ間隔を超えたことに基づいて、自動的にパージ処理を実行する処理である。
【0062】
まず、前回のパージ処理後の経過時間が、パージ間隔メモリ14bに記憶されたパージ間隔を超えたか否かを判断する(S22)。具体的には、計時回路28により計時される現在の時刻が、パージ時刻メモリ14aに記憶される前回パージ処理が実行された時刻に、パージ間隔メモリ14aに記憶されたパージ間隔を加算して得られる時刻を超えたか否かを判断する。前回のパージ処理後の経過時間が、パージ間隔メモリ14bに記憶されたパージ間隔を未だ超えない場合(S22:No)、待機する。
【0063】
そして、計時回路28により計時される現在の時刻が、パージ時刻メモリ14aに記憶される前回パージ処理が実行された時刻に、パージ間隔メモリ14aに記憶されたパージ間隔を加算して得られる時刻を超えることに基づいて、パージ処理後の経過時間がパージ間隔を超えると判断されると(S22:Yes)、パージ処理を実行する(S24)。なお、S24におけるパージ処理は、パージ処理後の経過時間に基づいて自動的に実行される自動パージ処理である。
【0064】
自動パージ処理を実行した後は、計時回路28(図3参照)により計時される現在時刻を読み出し、パージ時刻メモリ14aに書き込む(S26)。これにより、パージ処理が行われた時刻が記憶される。パージ時刻メモリ14aに時刻が書き込まれた後は、S22に戻り、処理を繰り返す。
【0065】
本実施例の多機能周辺装置1によれば、ユーザ操作に基づいてパージ処理が実行された回数に応じて、パージ間隔を決定することにより、ユーザの所望するパージ処理実行の頻度に応じたパージ間隔を決定することができる。そして、前回パージ処理の実行後、決定されたパージ間隔が経過した場合には、パージ処理が自動的に実行され、インクの吐出状態が回復される。よって、ユーザが所望する頻度に応じてパージ処理がされ、ユーザが許容できない程度の印刷不良の発生は抑制しつつ、パージ処理実行回数を可能な限り減少させることができる。その結果、印刷の再実行が抑制されると共に、インクの消耗が抑制され、経済的である。
【0066】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0067】
例えば、本実施例では、マニュアルパージ処理が実行された回数をカウントする所定時間T4は、最長のパージ間隔T3と等しい50日とされていたが、所定時間T4の具体的値は、必ずしも、最長のパージ間隔T3と等しい値にされなくても良い。
【0068】
また、本実施例では、初回起動処理(図5参照)は、多機能周辺装置1の工場出荷後、ユーザにより初めて電源が投入されたときに実行される処理として説明したが、例えば、初回起動処理を定期的に行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施例である多機能周辺装置の斜視図である。
【図2】図1の多機能周辺装置の装置本体内部に収納されるインクジェットプリンタの斜視図である。
【図3】多機能周辺装置の電気的構成を示したブロック図である。
【図4】多機能周辺装置のファクシミリユニットFUで実行される初回起動処理のフローチャートである。
【図5】多機能周辺装置のファクシミリユニットFUで実行されるカウント制御処理のフローチャートである。
【図6】多機能周辺装置のファクシミリユニットFUで実行されるマニュアルパージ実行処理のフローチャートである。
【図7】多機能周辺装置のファクシミリユニットFUで実行される定期パージ処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1 多機能周辺装置(インクジェットプリンタ)
14a パージ時刻メモリ(メンテナンス時刻記憶手段)
28 計時回路(現在時刻計時手段)
65 印刷ヘッド
71 回復機構(メンテナンス手段)
S14 判断手段
S18 自動動作手段
S22 判断手段
S24 自動動作手段
S126 任意動作回数カウント手段
S128,S130 間隔決定手段の一部
S132,S134,S136 間隔決定手段の一部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数個のインク吐出口を備え、そのインク吐出口からインクを吐出して印刷媒体に対して印刷を行う印刷ヘッドと、その印刷ヘッドのインク吐出口からインクを吐出または吸引してインクの吐出状態を回復させるメンテナンス手段とを備えたインクジェットプリンタにおいて、
ユーザの操作に基づいて前記メンテナンス手段にメンテナンス動作をさせる任意動作手段と、
その任意動作手段により所定時間内にメンテナンス動作がされた回数をカウントする任意動作回数カウント手段と、
その任意動作回数カウント手段によりカウントされた回数に応じて、メンテナンス動作の実行間隔を決定する間隔決定手段と、
前記メンテナンス手段によるメンテナンス動作後の経過時間が、前記間隔決定手段により決定された実行間隔を超えると、前記メンテナンス手段にメンテナンス動作をさせる自動動作手段とを備えたことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
現在の時刻を計時する現在時刻計時手段と、前記メンテナンス手段によりメンテナンス動作の行われたメンテナンス時刻を記憶するメンテナンス時刻記憶手段と、
前記現在時刻計時手段により計時される現在の時刻が、前記メンテナンス時刻記憶手段に記憶されたメンテナンス時刻に前記間隔決定手段により決定された実行間隔を加算した時刻を超えることに基づいて、前記メンテナンス手段によるメンテナンス動作後の経過時間が、前記間隔決定手段により決定された実行間隔を超えると判断する判断手段とを備え、
前記自動動作手段は、前記判断手段により、前記メンテナンス手段によるメンテナンス動作後の経過時間が前記間隔決定手段により決定された実行間隔を超えると判断されると、前記メンテナンス手段にメンテナンス動作をさせることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記間隔決定手段は、前記任意動作回数カウント手段によりカウントされた回数が多いほど、メンテナンス動作の実行間隔として短い間隔を決定することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記自動動作手段は、前記間隔決定手段によりメンテナンス動作の実行間隔が決定されるまでは、前記メンテナンス手段によるメンテナンス動作後の経過時間が、予め定められた初期間隔を超えることに基づいて、前記メンテナンス手段にメンテナンス動作をさせるものであり、
前記間隔決定手段は前記初期間隔と同じ又は前記初期間隔よりも短い間隔を、メンテナンス動作の実行間隔として決定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−152579(P2007−152579A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−346912(P2005−346912)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】