インクジェットプリントヘッド及びこれを具備するインクジェットプリンタ
【課題】インクジェットプリントヘッドが提供される。
【解決手段】本発明によるインクジェットプリントヘッドは、流入するインクが圧力チャンバを通過してノズルを介して吐出されるインク流路を有する複数のヘッドセルが設けられるインクジェットヘッドプレートと、インクジェットヘッドプレートの上面に形成され、圧力チャンバに対応する位置に形成される圧電アクチュエータと、を含み、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が変更されて、複数のヘッドセルから吐出されるインクの吐出特性が均一になることができる。
【解決手段】本発明によるインクジェットプリントヘッドは、流入するインクが圧力チャンバを通過してノズルを介して吐出されるインク流路を有する複数のヘッドセルが設けられるインクジェットヘッドプレートと、インクジェットヘッドプレートの上面に形成され、圧力チャンバに対応する位置に形成される圧電アクチュエータと、を含み、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が変更されて、複数のヘッドセルから吐出されるインクの吐出特性が均一になることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリントヘッド及びこれを具備するインクジェットプリンタに関し、より詳細には、インクジェットプリントヘッドの全ヘッドセルのインク吐出速度または吐出量が均一なインクジェットプリントヘッド及びこれを具備するインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インクジェットプリントヘッドは、電気信号を物理的な力に変換して、小さなノズルを介してインクを微小液滴(droplet)の形で吐出する構造体である。このようなインクジェットプリントヘッドは、インクの吐出方式によっていくつかの種類に区分できるが、特に圧電体を使用してインクを吐出する圧電方式のインクジェットプリントヘッドが、近年産業用インクジェットプリンタ分野で広く使用されている。
【0003】
例えば、フレキシブルプリント回路基板(FPCB)上に金、銀などの金属を溶解して製造したインクを噴射して、回路パターンを直接形成するか、または産業グラフィックや液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)の製造及び太陽電池などに使用される。
【0004】
インクジェットプリントヘッドは、その用途によって異なる数のノズルで構成されてもよい。例えば96ノズル、256ノズルなどで構成され、各ノズルごとにインク流路が形成されて、それぞれのインク流路に供給されるインクは、各ノズルから微小液滴の形で吐出される。このとき、各ノズルのインク吐出特性は、液滴吐出速度や量が全ノズルにおいて均一でない現状である。
【0005】
このようなインク液滴の不均一な吐出特性の原因には、多数のノズルを介したインクの吐出時にインク流路内の圧力が急激に変わることから発生するクロストーク(crosstalk)の影響、インクジェットプリントヘッドのインク流路形成時の加工誤差や整列誤差、または隣接したヘッドセルの振動による影響などが挙げられる。
【0006】
このように、液滴吐出速度や量が全ノズルにおいて均一でない場合、印刷時にスワース(swath)間の境界にムラが発生し、液滴の吐出速度が減少すると液滴のモメンタムが弱くなって濡れ(wetting)が発生するなど、インク吐出特性が低下する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためのものであって 、その目的は、インクジェットプリントヘッドの多数のノズル全体で液滴の吐出速度や量が均一になるインクジェットプリントヘッド及びこれを具備するインクジェットプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、流入するインクが圧力チャンバを通過してノズルを介して吐出されるインク流路を有する複数のヘッドセルが設けられるインクジェットヘッドプレートと、インクジェットヘッドプレートの上面に形成され、圧力チャンバに対応する位置に形成される圧電アクチュエータと、を含み、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が変更されて、複数のヘッドセルから吐出されるインクの吐出特性が均一になることができる。
【0009】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、複数のヘッドセルは、インクジェットヘッドプレートの端部領域に形成される非均一領域のヘッドセルと、端部領域の内側に形成される均一領域のヘッドセルとを含み、非均一領域のヘッドセルは、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が均一領域のヘッドセルより大きく変更されてもよい。
【0010】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、複数のヘッドセルは、インクジェットヘッドプレートの端部領域に形成される非均一領域のヘッドセルと、端部領域の内側に形成される均一領域のヘッドセルとを含み、非均一領域のヘッドセルは、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、インクジェットヘッドプレートの中心部から端部に向かう方向に段階的に大きく変更されてもよい。
【0011】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、インクの吐出特性は速度偏差(△υi)であり、複数のヘッドセルは、速度偏差が0〜5%である均一領域のヘッドセルと、速度偏差が5%より大きい非均一領域のヘッドセルとを含み、非均一領域のヘッドセルは、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、速度偏差に比例して変更されてもよい。ここで、△υi=|υave−υi|/υave×100(υiはi番目ヘッドセルの吐出速度、υaveは全領域のヘッドセルの平均吐出速度)である。
【0012】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、インクの吐出特性は量偏差(△Vi)であり、複数のヘッドセルは量偏差が0〜5%である均一領域のヘッドセルと、量偏差が5%より大きい非均一領域のヘッドセルとを含み、非均一領域のヘッドセルは、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、量偏差に比例して変更されてもよい。ここで、△Vi=|Vave−Vi|/Vave×100(Viはi番目ヘッドセルの吐出されるインクの量、Vaveは全領域のヘッドセルの吐出されるインクの平均量)である。
【0013】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、非均一領域のヘッドセルの圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積は、均一領域のヘッドセルの圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積に対して20%以下で変更されることが好ましい。
【0014】
一方、本発明の別の実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、インク流入口を含む上部基板と、インク流入口に流入するインクが複数の圧力チャンバを通過して複数のノズルを介して吐出される流路が形成される下部基板と、下部基板の上面に、複数の圧力チャンバそれぞれに対応する位置に形成される複数の圧電アクチュエータと、を含み、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が変更されて、複数のノズルを介して吐出されるインクの吐出特性が均一になることができる。
【0015】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、インクジェットプリントヘッドは、インクジェットプリントヘッドの端部領域に位置する非均一領域と、端部領域の内側に配置される均一領域とを含み、非均一領域は圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が均一領域より大きく変更されることが好ましい。
【0016】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、インクジェットプリントヘッドは、インクジェットプリントヘッドの端部領域に位置する非均一領域と、端部領域の内側に配置される均一領域とを含み、非均一領域は、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、インクジェットプリントヘッドの中心部から端部に向かう方向に段階的に大きく変更されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、インクの吐出特性は速度偏差(△υi)であり、インクジェットプリントヘッドは、速度偏差が0〜5%である均一領域と、速度偏差が5%より大きい非均一領域とを含み、非均一領域は、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、速度偏差に比例して変更されることを特徴とする。ここで、△υi=|υave−υi|/υave×100(υiはi番目ノズルの吐出速度、υaveは全領域のノズルの平均吐出速度)である。
【0018】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、インクの吐出特性は量偏差(△Vi)であり、インクジェットプリントヘッドは、記量偏差が0〜5%である均一領域と、量偏差が5%より大きい非均一領域とを含み、非均一領域は、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、量偏差に比例して変更されることを特徴とする。ここで、△Vi=|Vave−Vi|/Vave×100(Viはi番目ノズルから吐出されるインクの量、Vaveは全領域のノズルから吐出されるインクの平均量)である。
【0019】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、非均一領域の圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積は、均一領域の圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積に対して20%以下で変更されることを特徴とする。
【0020】
一方、本発明によるインクジェットプリンタは、供給される印刷媒体の一面にインクを吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドの下部で印刷媒体を支持する支持部と、印刷媒体上でインクジェットヘッドの移動をガイドするキャリア部と、を含み、インクジェットヘッドは、流入するインクが圧力チャンバを通過してノズルを介して吐出されるインク流路を有する複数のヘッドセルが設けられるインクジェットヘッドプレートと、インクジェットヘッドプレートの上面に形成され、圧力チャンバに対応する位置に形成される圧電アクチュエータと、を含み、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が変更されて、複数のヘッドセルから吐出されるインクの吐出特性が均一になることを特徴とする。
【0021】
また、本発明によるインクジェットプリンタにおいて、複数のヘッドセルは、インクジェットヘッドプレートの端領部域に形成される非均一領域のヘッドセルと、端部領域の内側に形成される均一領域のヘッドセルとを含み、非均一領域のヘッドセルは、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、均一領域のヘッドセルより大きく変更されることを特徴とする。
【0022】
また、本発明によるインクジェットプリンタにおいて、複数のヘッドセルは、インクジェットヘッドプレートの端部領域に形成される非均一領域のヘッドセルと、端部領域の内側に形成される均一領域のヘッドセルとを含み、非均一領域のヘッドセルは、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積がインクジェットヘッドプレートの中心部から端部に向かう方向に段階的に大きく変更されることを特徴とする。
【0023】
また、本発明によるインクジェットプリンタにおいて、インクの吐出特性は速度偏差(△υi)であり、複数のヘッドセルは、速度偏差が0〜5%である均一領域のヘッドセルと、速度偏差が5%より大きい非均一領域のヘッドセルとを含み、非均一領域のヘッドセルは、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、速度偏差に比例して変更されることを特徴とする。ここで、△υi=|υave−υi|/υave×100(υiはi番目ヘッドセルの吐出速度、υaveは全領域のヘッドセルの平均吐出速度)である。
【0024】
また、本発明によるインクジェットプリンタにおいて、インクの吐出特性は量偏差(△Vi)であり、複数のヘッドセルは、量偏差が0〜5%である均一領域のヘッドセルと、量偏差が5%より大きい非均一領域のヘッドセルとを含み、非均一領域のヘッドセルは、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、量偏差に比例して変更されることを特徴とする。ここで、△Vi=|Vave−Vi|/Vave×100(Viはi番目ヘッドセルの吐出されるインクの量、Vaveは全領域のヘッドセルの吐出されるインクの平均量)である。
【0025】
また、本発明によるインクジェットプリンタにおいて、非均一領域のヘッドセルの圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積は、均一領域のヘッドセルの圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積に対して20%以下で変更されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によるインクジェットプリントヘッド及びこれを具備するインクジェットプリンタによると、インクジェットプリントヘッドの多数のノズル全体で液滴の吐出速度や量を均一にすることで、インク吐出特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの液滴吐出速度を示すグラフである。
【図4】比較例によるインクジェットプリントヘッドの液滴吐出速度を示すグラフである。
【図5】本発明の第2の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの分解斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの下部基板の平面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの分解斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの下部基板の平面図である。
【図9】(a)〜(d)は本発明の第4の実施形態によるインクジェットプリントヘッドによる液滴吐出量の変化を示すグラフである。
【図10】本発明によるインクジェットプリントヘッドを具備するインクジェットプリンタの構成を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。但し、本発明の思想は提示される実施形態に限定されず、本発明の思想を理解する当業者であれば、同一の思想の範囲内で他の構成要素を追加、変更、削除することなどによって、退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施形態を容易に提案できるはずであるが、これも本発明の思想の範囲内に含まれるのであろう。
【0029】
また、各実施形態の図面に示される同一の思想の範囲内の同一機能を有する構成要素は、同一または類似の参照符号を使用して説明する。
【0030】
一般にインクジェットプリントヘッドにおいて、各ノズルごとのインク吐出特性、例えば各ノズルの液滴吐出速度を測定して、最高速度と最低速度の差を平均速度で割って%で示した値、すなわち{(υmax−υmin)/υave}×100が一定の範囲、例えば0〜10%を超える場合、インク吐出特性が均一でないと判明されることができる。このようにインク吐出特性が均一でないと判明されたインクジェットプリントヘッドにおいて、以下で説明する本発明の実施形態のようにインクジェットプリントヘッドを構成することで、インク吐出特性を均一にすることができる。一方、インク吐出特性が均一であるかどうかを判明する基準は例示的なものであって、特にこのような範囲は、要求される条件及び設計仕様によって変更可能である。
【0031】
また、以下で説明する本発明の実施形態では、インクジェットプリントヘッドを構成する多数のヘッドセルを、液滴吐出速度の均一領域と非均一領域に区分して説明する。
【0032】
例えば、本発明によるインクジェットプリントヘッドを構成する多数のヘッドセルにおいて、各ヘッドセルの液滴吐出速度偏差(△υi)が0〜5%である領域を均一領域にし、それ以外のヘッドセルを非均一領域にしてもよい。速度偏差(△υi)は、式(1)によって導出することができる。
【0033】
[数1]
△υi=|υave-υi|/υave×100
【0034】
ここで、υiはi番ヘッドセルの吐出速度、υaveは全領域のヘッドセルの平均吐出速度を意味する。
【0035】
一方、インク吐出特性の均一領域と非均一領域に区分する基準は例示的なものであり、特に均一領域を決める液滴吐出速度偏差の範囲は、要求される条件及び設計仕様によって変更可能である。
【0036】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドを構成する多数のヘッドセルにおいて、各ヘッドセルの液滴吐出量偏差(△Vi)が0〜5%である領域を均一領域にし、それ以外のヘッドセルを非均一領域にしてもよい。量偏差(△Vi)は式(2)によって導出することができる。
【0037】
[数2]
△Vi=|Vave−Vi|/Vave×100
【0038】
ここで、Viはi番ヘッドセルの液滴の吐出量、Vaveは全領域のヘッドセルの液滴の平均吐出量を意味する。
【0039】
一方、インク吐出特性の均一領域と非均一領域に区分する基準は例示的なものであり、特に均一領域を決める液滴吐出量偏差の範囲は、要求される条件及び設計仕様によって変更可能である。
【0040】
図1は、本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの分解斜視図であり、図2は、本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの平面図であり、図3は、本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの液滴吐出速度を示すグラフである。図1及び図2を参照すると、本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、インク流路が形成される上部基板100及び下部基板200と、上部基板100の上面に形成される圧電アクチュエータ130とを含む。上部基板100と下部基板200とが組み合わされることでインクジェットヘッドプレートが構成される。インクジェットヘッドプレートには、複数のヘッドセルが設けられる。
【0041】
本実施形態では、インクジェットプリントヘッドの長さ方向の両側にそれぞれ位置する5個のヘッドセルを非均一領域のヘッドセルと設定している。但し、図1及び図2では、便宜上インクジェットプリントヘッドの長さ方向の左側に位置する5個のヘッドセル、すなわち1番〜5番ヘッドセルを非均一領域のヘッドセルとして示している。よって、これと対応してインクジェットプリントヘッドの長さ方向の右側に位置する5個のヘッドセル、すなわち92番〜96番ヘッドセル(256ノズルの場合、252番〜256番ヘッドセル)も非均一領域のヘッドセルである。
【0042】
しかし、非均一領域のヘッドセルの個数はこれに限定されるものではなく、式(1)及び(2)によって定まる均一領域のヘッドセル以外のヘッドセルを含んでもよく、そのほかに少なくとも2個以上のヘッドセルを含んでもよい。ここで、インクジェットプリントヘッドの長さ方向とは、インクジェットプリントヘッドの任意のヘッドセルから別のヘッドセルに向かう方向を意味する。
【0043】
上部基板100には、インクが流入するインク流入口110が形成される。下部基板200は、多数の圧力チャンバ230、インク流入口110を通して流入するインクを多数の圧力チャンバ230にそれぞれ移送するマニホールド210及び、インクを吐出する多数のノズル250を含む。マニホールド210と圧力チャンバ230の間には、インクが吐出される時に圧力チャンバのインクがマニホールドに逆流することを抑えるために、多数のリストリクタ220が形成されてもよい。複数のヘッドセルの各々は、リストリクタ220、圧力チャンバ230、ダンパ240、およびノズル250を含んで構成されるインク流路を有し、マニホールド210から流入されるインクをノズル250から吐出する。
【0044】
このとき、上部基板100は単結晶シリコン基板または二つのシリコン層の間に絶縁層が形成されたSOI基板からなってもよく、下部基板200も単結晶シリコン基板またはSOI基板からなってもよい。また、本発明はこれに限定されず、より多くの基板を使用してインク流路を構成してもよく、場合によっては一つの基板に具現してもよい。インク流路を形成する構成要素も例示的なものに過ぎず、要求される条件及び設計仕様によって様々な構成のインク流路が設けられることができる。
【0045】
圧電アクチュエータ130は、圧力チャンバ230に対応するように上部基板100の上部に形成され、圧力チャンバ230に流入したインクをノズル250に吐出するための駆動力を提供する。例えば、圧電アクチュエータ130は、共通電極の役割を果たす下部電極131、電圧の印加によって変形される圧電膜132及び駆動電極の役割を果たす上部電極133を含む。
【0046】
下部電極131は、上部基板100の全表面に形成されてもよく、一つの導電性金属物質からなってもよいが、チタン(Ti)と白金(Pt)からなる二つの金属薄膜層で構成されることが好ましい。下部電極131は、共通電極の役割だけでなく、圧電膜132と上部基板100の間の相互拡散を防止する拡散防止層の役割も果たす。圧電膜132は、下部電極131上に形成され、多数の圧力チャンバ230それぞれの上部に位置するように配置される。このような圧電膜132は、圧電物質、好ましくはPZT(Lead Zirconate Titanate)セラミック材料からなってもよい。上部電極133は、圧電膜132上に形成され、Pt、Au、Ag、Ni、Ti及びCuなどの物質のうち何れか一つの物質からなってもよい。
【0047】
圧電アクチュエータ130のうち非均一領域のヘッドセルの圧電アクチュエータPA1〜PA5は、上部電極の幅w1〜w5が外側に向かって大きくなるように形成される。すなわち、圧電アクチュエータPA5からPA1の方に上部電極の幅がw5からw1に大きくなるように形成される。このとき、圧電アクチュエータPA1〜PA5の圧電膜の幅も、上部電極に対応して大きくなるように形成されてもよい。圧電アクチュエータの上部電極または圧電膜の幅は、インクジェットプリントヘッドの長さ方向と平行な方向のサイズを意味する。
【0048】
本実施形態では多数のヘッドセルの吐出速度や吐出量のようなインク吐出特性を均一にするために、非均一領域のヘッドセルの圧電アクチュエータの上部電極の幅を調整しているが、これは例示的なものに過ぎず、上部電極の幅だけでなく、上部電極の長さを調整することもでき、圧電アクチュエータの水平断面の面積を調整したり圧電アクチュエータの体積を調整するなど、様々に設計されることができる。
【0049】
下記の表1は、本実施形態によるインクジェットプリントヘッドの圧電アクチュエータの上部電極の幅の増加量による平均速度の差を示している。
【0050】
【表1】
【0051】
表1は、96ノズルのインクジェットプリントヘッド、すなわちヘッドセルが96個である場合を想定し、インクジェットプリントヘッドにインクを充填しない状態で、圧電アクチュエータに電圧を印加し、LDV(Laser Droppler Velocity meter)を用いてアクチュエータの変形量に基づいて各セルの速度を算出したものである。
【0052】
表1において、セル番号は、インクジェットプリントヘッドの長さ方向の左側から順に付与されており、平均速度の差は、均一領域のヘッドセルである6番〜91番ヘッドセルの速度と非均一領域のヘッドセルである1番〜5番、92番〜96番ヘッドセルそれぞれの速度との差を均一領域ヘッドセルの速度に対する百分率(%)で示したものであり、上部電極の幅の増加量は、6番〜91番ヘッドセルの上部電極の幅と非均一領域のヘッドセルそれぞれの上部電極の幅との差を均一領域ヘッドセルの上部電極の幅に対する百分率(%)で示したものである。
【0053】
表1に示すように、本実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、均一領域のヘッドセルである6番〜91番ヘッドセルから外側に向かって、すなわち、5番から1番に向かって、そして92番から96番に向かって、圧電アクチュエータの上部電極の幅を2%ずつ増加させている。すなわち、5番ヘッドセルの上部電極PA5の幅w5は均一領域ヘッドセルである6番から91番ヘッドセルの上部電極の幅wより2%増加し、4番ヘッドセルの上部電極PA4の幅w4はwより4%増加するなどの構成になっている。したがって、最外側ヘッドセルである1番ヘッドセルと96番ヘッドセルは、6番〜91番ヘッドセルの上部電極の幅wより10%増加していることが分かる。
【0054】
本実施形態では、非均一領域のヘッドセルの上部電極の幅を均一領域のヘッドセルから外側に向かって2%ずつ増加させているが、これは例示的なものであり、上部電極の幅の増加量は、要求される条件及び設計仕様によって様々に変更してもよい。
【0055】
例えば、非均一領域のヘッドセルの上部電極の幅が1%ずつ増加してもよく、4%ずつ増加してもよい。また、式(1)及び(2)で求められた速度偏差や量偏差に比例して大きくなるように形成されてもよい。例えば、非均一領域のヘッドセルのうち6番ヘッドセルの速度偏差が6%であれば、6番ヘッドセルの上部電極の幅は均一領域のヘッドセルの上部電極の幅より6%大きく形成されてもよい。但し、このとき、非均一領域のヘッドセルの上部電極の幅の増加量は20%を超えないことが好ましい。これは、インクジェットプリントヘッドの大きさが限られているためである。
【0056】
表1に示すように、このように構成されたインクジェットプリントヘッドの非均一領域のヘッドセルの平均速度差は、均一領域のヘッドセルから外側に向かって増加している。これは、圧電アクチュエータの上部電極の幅が大きくなるほど、各ヘッドセルの圧電アクチュエータの変位も大きくなるためである。
【0057】
このように構成されたインクジェットプリントヘッドにインクを充填し、96個のヘッドセルの液滴吐出速度を測定して、図3のグラフに示している。図3を参照すると、非均一領域のヘッドセル、すなわち1番〜5番、92番〜96番ヘッドセルの液滴吐出速度が均一領域のヘッドセル、すなわち6番〜91番ヘッドセルの速度と同様に殆ど均一なプロファイルを示していることが分かる。
【0058】
図4は、比較例によるインクジェットプリントヘッドのインク充填状態での液滴吐出速度を示すグラフである。比較例によるインクジェットプリントヘッドは、全体ヘッドセルにおいて圧電アクチュエータの上部電極が同じ幅で形成されている。したがって、図4に示すように、インクジェットプリントヘッドの長さ方向の両側に位置するヘッドセルにおいて、液滴吐出速度が急激に低下していることが分かる。
【0059】
これに対して、本実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、図3に示すように、インクジェットプリントヘッドの長さ方向の両側に位置するヘッドセルにおいて、均一領域のヘッドセルの液滴吐出速度と同様に殆ど均一な吐出速度を示している。したがって、インクジェットプリントヘッドの全ヘッドセル領域で均一な吐出性能を示している。
【0060】
図5は、本発明の第2の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの分解斜視図であり、図6は、本発明の第2の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの下部基板の平面図である。
【0061】
図5及び図6に示すインクジェットプリントヘッドは、圧電アクチュエータの上部電極の幅が、非均一領域のヘッドセルと均一領域のヘッドセルにおいて等しく形成されるが、圧力チャンバの幅は、非均一領域のヘッドセルで均一領域のヘッドセルよりも大きく形成されることが、図1に示す本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの構成と相違する。よって、以下では説明の便宜上相違する構成について具体的に説明する。
【0062】
図5及び図6に示すように、本発明の第2の実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、圧力チャンバ230の幅が、非均一領域のヘッドセルで均一領域のヘッドセルよりも大きく形成されている。ここで、圧力チャンバの幅は、インクジェットプリントヘッドの長さ方向に平行な方向のサイズを意味する。
【0063】
本実施形態では、インクジェットプリントヘッドの長さ方向の両側にそれぞれ位置する5個のヘッドセルを非均一領域のヘッドセルと設定している。但し、図5及び図6では、便宜上インクジェットプリントヘッドの長さ方向の左側に位置する5個のヘッドセル、すなわち1番〜5番ヘッドセルを非均一領域のヘッドセルとして示している。したがって、これと対応するインクジェットプリントヘッドの長さ方向の右側に位置する5個のヘッドセル、すなわち92番〜96番ヘッドセル(256ノズルの場合、252番〜256番ヘッドセル)も非均一領域のヘッドセルである。
【0064】
しかし、非均一領域のヘッドセルの個数はこれに限定されるものではなく、式(1)によって決まる液滴吐出速度偏差や式(2)によって決まる液滴吐出量偏差の一定の範囲を均一領域のヘッドセルにし、それ以外のヘッドセルを非均一領域のヘッドセルとして含んでもよく、その他に少なくとも2個以上のヘッドセルを含んでもよい。
【0065】
本実施形態で、非均一領域のヘッドセルの圧力チャンバの幅の増加量も、本発明の第1の実施形態のように外側に向かって、圧力チャンバPC5から圧力チャンバPC1に向かう方向に、均一領域のヘッドセルの圧力チャンバの幅tより2%ずつ増加してもよく、最外側ヘッドセルの圧力チャンバPC1の幅の増加量が20%を超えない範囲で式(1)または(2)の速度偏差や量偏差に比例して増加してもよい。
【0066】
本実施形態のように、非均一領域のヘッドセルの圧力チャンバPC1〜PC5の幅t1〜t5が増加すると、圧力チャンバの体積が増加し、圧力チャンバに充填されるインクの量が増加するので、均一領域のヘッドセルと等しい駆動力が提供されても吐出される液滴にはより大きい力が作用して、結果的に均一領域のヘッドセルの吐出量と同様に均一になる。
【0067】
図7は、本発明の第3の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの分解斜視図であり、図8は、本発明の第3の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの下部基板の平面図である。
【0068】
図7及び図8に示すインクジェットプリントヘッドは、圧電アクチュエータの上部電極の幅は、非一領域のヘッドセルと均一領域のヘッドセルにおいて等しく形成されるが、圧力チャンバの長さは、非均一領域のヘッドセルで均一領域のヘッドセルよりも大きく形成される点で、図1に示す本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの構成と相違する。したがって、以下では説明の便宜上、相違する構成について具体的に説明する。
【0069】
図7及び図8に示すように、本発明の第3の実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、圧力チャンバ230の長さが、非均一領域のヘッドセルで均一領域のヘッドセルよりも大きく形成されている。ここで、圧力チャンバの長さは、圧力チャンバの幅と垂直な方向のサイズを意味する。
【0070】
本実施形態では、インクジェットプリントヘッドの長さ方向の両側にそれぞれ位置する5個のヘッドセルを非均一領域のヘッドセルにしている。但し、図7及び図8では、便宜上インクジェットプリントヘッドの長さ方向の左側に位置する5個のヘッドセル、すなわち1番〜5番ヘッドセルを非均一領域のヘッドセルとして示している。したがって、これと対応するインクジェットプリントヘッドの長さ方向の右側に位置する5個のヘッドセル、すなわち92番〜96番ヘッドセル(256ノズルの場合、252番〜256番ヘッドセル)も非均一領域のヘッドセルである。
【0071】
しかし、非均一領域のヘッドセルの個数はこれに限定されるものではなく、式(1)によって決まる液滴吐出速度偏差や、式(2)によって決まる液滴吐出量偏差の一定の範囲、例えば0〜5%を均一領域のヘッドセルにし、それ以外のヘッドセルを非均一領域のヘッドセルとして含んでもよく、そのほかに少なくとも2個以上のヘッドセルを含んでもよい。
【0072】
本実施形態で、非均一領域のヘッドセルの圧力チャンバの長さの増加量は、非均一領域の外側に向かって、すなわち圧力チャンバP5から圧力チャンバP1の方に向かって、均一領域のヘッドセルの圧力チャンバの長さlより2%ずつ増加してもよく、最外側ヘッドセルの圧力チャンバの長さl1の増加量が20%を超えない範囲で、設計仕様によって任意の増加量を決めてもよい。一方、式(1)または(2)の速度偏差や量偏差に比例して増加してもよい。
【0073】
本実施形態のように、圧力チャンバP1〜P5の長さl1〜l5が増加すると、圧力チャンバの体積が増加し、圧力チャンバに充填されるインクの量が増加するので、均一領域のヘッドセルと同様の駆動力が提供されても、吐出される液滴にはより大きい力が作用して、結果的に均一領域のヘッドセルの吐出量と同様に均一になる。
【0074】
以上、本発明の第2の実施形態及び第3の実施形態では、多数のヘッドセルの吐出速度や吐出量のようなインク吐出特性を均一にするために、圧力チャンバの幅または長さを調整する構成を示し説明しているが、これは例示的なものであり、圧力チャンバの幅と長さを両方とも含む水平断面の面積を調整するかまたは圧力チャンバの体積を調整することもできる。
【0075】
図9は、本発明の第4の実施形態によるインクジェットプリントヘッドによる液滴吐出量の変化を示すグラフである。
【0076】
図9に示すインクジェットプリントヘッドは、256個のヘッドセルで構成されており、液滴の吐出量プロファイルが図9の(a)のようなウエーブ状に現われる場合、圧電アクチュエータの上部電極の幅を用いて逆ウエーブ状に変化させて、図9の(b)のように吐出量を全体ヘッドセルにおいて均一にする。それ以外の構成は、図1に示す本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドと同様であるので、その構成についての詳細な説明は省略し、以下では、相違する部分を中心に説明することにする。
【0077】
図9の(a)に示すように液滴の吐出量プロファイルが現われる場合、図9の(b)に示すように、全体ヘッドセルの圧電アクチュエータにおいて上部電極の幅のプロファイルを吐出量プロファイルの逆ウエーブとして算出する。ここで、上部電極の幅のプロファイルを算出する方法は、例えば、各ヘッドセルにおいて吐出量偏差を式(2)によって求め、このように求められた量偏差に反比例するプロファイルを算出することで、調整される上部電極の幅のプロファイルを求めることができる。
【0078】
図9の(c)に示すように、このように求められた上部電極の幅のプロファイルWに基づいて各ヘッドセルの圧電アクチュエータの上部電極の幅wを調整すると、図9の(d)に示すように、全体ヘッドセルで均一な吐出量プロファイルVを得ることができる。
【0079】
本実施形態では、吐出量プロファイルVactの逆ウエーブを圧電アクチュエータの上部電極の幅に適用することを説明しているが、本発明はこれに限定されず、第2の及び第3の実施形態のように圧力チャンバの幅または長さに適用してもよく、吐出速度プロファイルの逆ウエーブを適用してもよい。
【0080】
本実施形態で、吐出量プロファイルVactの逆ウエーブを各ヘッドセルの圧電アクチュエータの上部電極の幅に適用すると、図9の(d)に示すように、吐出量プロファイルが全体ヘッドセルの領域で均一になる。
【0081】
図10は、本発明によるインクジェットプリントヘッドを具備するインクジェットプリンタの構成を概略的に示す図である。
【0082】
本発明によるインクジェットプリンタは、第1、第2及び第3の実施形態で説明したインクジェットプリントヘッドを具備するものであって、以下では説明の便宜上インクジェットプリントヘッドの構成についての詳細な説明は省略することにする。
【0083】
図10を参照すると、本発明によるインクジェットプリンタは、印刷媒体Mを供給する供給部(図示せず)、印刷媒体Mを支持する支持部10、印刷媒体Mの一面にインクを吐出するインクジェットプリントヘッド30及び、印刷媒体M上でインクジェットプリントヘッド30をガイドするキャリア部20を含む。
【0084】
インクジェットプリントヘッド30は、キャリア部20の垂直移動によって印刷媒体M上でインク吐出のための位置に移動し、キャリア部20の水平移動によって印刷媒体M上で配線や画像などの所定パターンを印刷する。このとき、印刷媒体Mは支持部10によって印刷時に安定的に支持されることができる。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施形態を詳しく説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該分野における通常の知識を有する者であればこれから様々な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということを理解できるであろう。例えば、本発明でインク流路が形成される基板を上部基板及び下部基板として説明しているが、これは例示的なものであって、一つの基板を使用するかまたは3枚以上の基板を使用してもよく、様々な種類の基板を使用してもよい。よって、本発明の技術的保護範囲は添付の特許請求の範囲によって定まるべきであろう。
【符号の説明】
【0086】
10 支持部
20 キャリア部
30 インクジェットプリントヘッド
100 上部基板
110 インク流入口
130 圧電アクチュエータ
200 下部基板
210 マニホールド
220 リストリクタ
230 圧力チャンバ
240 ダンパ
250 ノズル
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリントヘッド及びこれを具備するインクジェットプリンタに関し、より詳細には、インクジェットプリントヘッドの全ヘッドセルのインク吐出速度または吐出量が均一なインクジェットプリントヘッド及びこれを具備するインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インクジェットプリントヘッドは、電気信号を物理的な力に変換して、小さなノズルを介してインクを微小液滴(droplet)の形で吐出する構造体である。このようなインクジェットプリントヘッドは、インクの吐出方式によっていくつかの種類に区分できるが、特に圧電体を使用してインクを吐出する圧電方式のインクジェットプリントヘッドが、近年産業用インクジェットプリンタ分野で広く使用されている。
【0003】
例えば、フレキシブルプリント回路基板(FPCB)上に金、銀などの金属を溶解して製造したインクを噴射して、回路パターンを直接形成するか、または産業グラフィックや液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)の製造及び太陽電池などに使用される。
【0004】
インクジェットプリントヘッドは、その用途によって異なる数のノズルで構成されてもよい。例えば96ノズル、256ノズルなどで構成され、各ノズルごとにインク流路が形成されて、それぞれのインク流路に供給されるインクは、各ノズルから微小液滴の形で吐出される。このとき、各ノズルのインク吐出特性は、液滴吐出速度や量が全ノズルにおいて均一でない現状である。
【0005】
このようなインク液滴の不均一な吐出特性の原因には、多数のノズルを介したインクの吐出時にインク流路内の圧力が急激に変わることから発生するクロストーク(crosstalk)の影響、インクジェットプリントヘッドのインク流路形成時の加工誤差や整列誤差、または隣接したヘッドセルの振動による影響などが挙げられる。
【0006】
このように、液滴吐出速度や量が全ノズルにおいて均一でない場合、印刷時にスワース(swath)間の境界にムラが発生し、液滴の吐出速度が減少すると液滴のモメンタムが弱くなって濡れ(wetting)が発生するなど、インク吐出特性が低下する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためのものであって 、その目的は、インクジェットプリントヘッドの多数のノズル全体で液滴の吐出速度や量が均一になるインクジェットプリントヘッド及びこれを具備するインクジェットプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、流入するインクが圧力チャンバを通過してノズルを介して吐出されるインク流路を有する複数のヘッドセルが設けられるインクジェットヘッドプレートと、インクジェットヘッドプレートの上面に形成され、圧力チャンバに対応する位置に形成される圧電アクチュエータと、を含み、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が変更されて、複数のヘッドセルから吐出されるインクの吐出特性が均一になることができる。
【0009】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、複数のヘッドセルは、インクジェットヘッドプレートの端部領域に形成される非均一領域のヘッドセルと、端部領域の内側に形成される均一領域のヘッドセルとを含み、非均一領域のヘッドセルは、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が均一領域のヘッドセルより大きく変更されてもよい。
【0010】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、複数のヘッドセルは、インクジェットヘッドプレートの端部領域に形成される非均一領域のヘッドセルと、端部領域の内側に形成される均一領域のヘッドセルとを含み、非均一領域のヘッドセルは、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、インクジェットヘッドプレートの中心部から端部に向かう方向に段階的に大きく変更されてもよい。
【0011】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、インクの吐出特性は速度偏差(△υi)であり、複数のヘッドセルは、速度偏差が0〜5%である均一領域のヘッドセルと、速度偏差が5%より大きい非均一領域のヘッドセルとを含み、非均一領域のヘッドセルは、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、速度偏差に比例して変更されてもよい。ここで、△υi=|υave−υi|/υave×100(υiはi番目ヘッドセルの吐出速度、υaveは全領域のヘッドセルの平均吐出速度)である。
【0012】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、インクの吐出特性は量偏差(△Vi)であり、複数のヘッドセルは量偏差が0〜5%である均一領域のヘッドセルと、量偏差が5%より大きい非均一領域のヘッドセルとを含み、非均一領域のヘッドセルは、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、量偏差に比例して変更されてもよい。ここで、△Vi=|Vave−Vi|/Vave×100(Viはi番目ヘッドセルの吐出されるインクの量、Vaveは全領域のヘッドセルの吐出されるインクの平均量)である。
【0013】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、非均一領域のヘッドセルの圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積は、均一領域のヘッドセルの圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積に対して20%以下で変更されることが好ましい。
【0014】
一方、本発明の別の実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、インク流入口を含む上部基板と、インク流入口に流入するインクが複数の圧力チャンバを通過して複数のノズルを介して吐出される流路が形成される下部基板と、下部基板の上面に、複数の圧力チャンバそれぞれに対応する位置に形成される複数の圧電アクチュエータと、を含み、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が変更されて、複数のノズルを介して吐出されるインクの吐出特性が均一になることができる。
【0015】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、インクジェットプリントヘッドは、インクジェットプリントヘッドの端部領域に位置する非均一領域と、端部領域の内側に配置される均一領域とを含み、非均一領域は圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が均一領域より大きく変更されることが好ましい。
【0016】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、インクジェットプリントヘッドは、インクジェットプリントヘッドの端部領域に位置する非均一領域と、端部領域の内側に配置される均一領域とを含み、非均一領域は、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、インクジェットプリントヘッドの中心部から端部に向かう方向に段階的に大きく変更されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、インクの吐出特性は速度偏差(△υi)であり、インクジェットプリントヘッドは、速度偏差が0〜5%である均一領域と、速度偏差が5%より大きい非均一領域とを含み、非均一領域は、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、速度偏差に比例して変更されることを特徴とする。ここで、△υi=|υave−υi|/υave×100(υiはi番目ノズルの吐出速度、υaveは全領域のノズルの平均吐出速度)である。
【0018】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、インクの吐出特性は量偏差(△Vi)であり、インクジェットプリントヘッドは、記量偏差が0〜5%である均一領域と、量偏差が5%より大きい非均一領域とを含み、非均一領域は、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、量偏差に比例して変更されることを特徴とする。ここで、△Vi=|Vave−Vi|/Vave×100(Viはi番目ノズルから吐出されるインクの量、Vaveは全領域のノズルから吐出されるインクの平均量)である。
【0019】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドにおいて、非均一領域の圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積は、均一領域の圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積に対して20%以下で変更されることを特徴とする。
【0020】
一方、本発明によるインクジェットプリンタは、供給される印刷媒体の一面にインクを吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドの下部で印刷媒体を支持する支持部と、印刷媒体上でインクジェットヘッドの移動をガイドするキャリア部と、を含み、インクジェットヘッドは、流入するインクが圧力チャンバを通過してノズルを介して吐出されるインク流路を有する複数のヘッドセルが設けられるインクジェットヘッドプレートと、インクジェットヘッドプレートの上面に形成され、圧力チャンバに対応する位置に形成される圧電アクチュエータと、を含み、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が変更されて、複数のヘッドセルから吐出されるインクの吐出特性が均一になることを特徴とする。
【0021】
また、本発明によるインクジェットプリンタにおいて、複数のヘッドセルは、インクジェットヘッドプレートの端領部域に形成される非均一領域のヘッドセルと、端部領域の内側に形成される均一領域のヘッドセルとを含み、非均一領域のヘッドセルは、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、均一領域のヘッドセルより大きく変更されることを特徴とする。
【0022】
また、本発明によるインクジェットプリンタにおいて、複数のヘッドセルは、インクジェットヘッドプレートの端部領域に形成される非均一領域のヘッドセルと、端部領域の内側に形成される均一領域のヘッドセルとを含み、非均一領域のヘッドセルは、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積がインクジェットヘッドプレートの中心部から端部に向かう方向に段階的に大きく変更されることを特徴とする。
【0023】
また、本発明によるインクジェットプリンタにおいて、インクの吐出特性は速度偏差(△υi)であり、複数のヘッドセルは、速度偏差が0〜5%である均一領域のヘッドセルと、速度偏差が5%より大きい非均一領域のヘッドセルとを含み、非均一領域のヘッドセルは、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、速度偏差に比例して変更されることを特徴とする。ここで、△υi=|υave−υi|/υave×100(υiはi番目ヘッドセルの吐出速度、υaveは全領域のヘッドセルの平均吐出速度)である。
【0024】
また、本発明によるインクジェットプリンタにおいて、インクの吐出特性は量偏差(△Vi)であり、複数のヘッドセルは、量偏差が0〜5%である均一領域のヘッドセルと、量偏差が5%より大きい非均一領域のヘッドセルとを含み、非均一領域のヘッドセルは、圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積が、量偏差に比例して変更されることを特徴とする。ここで、△Vi=|Vave−Vi|/Vave×100(Viはi番目ヘッドセルの吐出されるインクの量、Vaveは全領域のヘッドセルの吐出されるインクの平均量)である。
【0025】
また、本発明によるインクジェットプリンタにおいて、非均一領域のヘッドセルの圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積は、均一領域のヘッドセルの圧力チャンバ及び圧電アクチュエータのうち少なくとも一つの面積に対して20%以下で変更されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によるインクジェットプリントヘッド及びこれを具備するインクジェットプリンタによると、インクジェットプリントヘッドの多数のノズル全体で液滴の吐出速度や量を均一にすることで、インク吐出特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの液滴吐出速度を示すグラフである。
【図4】比較例によるインクジェットプリントヘッドの液滴吐出速度を示すグラフである。
【図5】本発明の第2の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの分解斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの下部基板の平面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの分解斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの下部基板の平面図である。
【図9】(a)〜(d)は本発明の第4の実施形態によるインクジェットプリントヘッドによる液滴吐出量の変化を示すグラフである。
【図10】本発明によるインクジェットプリントヘッドを具備するインクジェットプリンタの構成を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。但し、本発明の思想は提示される実施形態に限定されず、本発明の思想を理解する当業者であれば、同一の思想の範囲内で他の構成要素を追加、変更、削除することなどによって、退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施形態を容易に提案できるはずであるが、これも本発明の思想の範囲内に含まれるのであろう。
【0029】
また、各実施形態の図面に示される同一の思想の範囲内の同一機能を有する構成要素は、同一または類似の参照符号を使用して説明する。
【0030】
一般にインクジェットプリントヘッドにおいて、各ノズルごとのインク吐出特性、例えば各ノズルの液滴吐出速度を測定して、最高速度と最低速度の差を平均速度で割って%で示した値、すなわち{(υmax−υmin)/υave}×100が一定の範囲、例えば0〜10%を超える場合、インク吐出特性が均一でないと判明されることができる。このようにインク吐出特性が均一でないと判明されたインクジェットプリントヘッドにおいて、以下で説明する本発明の実施形態のようにインクジェットプリントヘッドを構成することで、インク吐出特性を均一にすることができる。一方、インク吐出特性が均一であるかどうかを判明する基準は例示的なものであって、特にこのような範囲は、要求される条件及び設計仕様によって変更可能である。
【0031】
また、以下で説明する本発明の実施形態では、インクジェットプリントヘッドを構成する多数のヘッドセルを、液滴吐出速度の均一領域と非均一領域に区分して説明する。
【0032】
例えば、本発明によるインクジェットプリントヘッドを構成する多数のヘッドセルにおいて、各ヘッドセルの液滴吐出速度偏差(△υi)が0〜5%である領域を均一領域にし、それ以外のヘッドセルを非均一領域にしてもよい。速度偏差(△υi)は、式(1)によって導出することができる。
【0033】
[数1]
△υi=|υave-υi|/υave×100
【0034】
ここで、υiはi番ヘッドセルの吐出速度、υaveは全領域のヘッドセルの平均吐出速度を意味する。
【0035】
一方、インク吐出特性の均一領域と非均一領域に区分する基準は例示的なものであり、特に均一領域を決める液滴吐出速度偏差の範囲は、要求される条件及び設計仕様によって変更可能である。
【0036】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドを構成する多数のヘッドセルにおいて、各ヘッドセルの液滴吐出量偏差(△Vi)が0〜5%である領域を均一領域にし、それ以外のヘッドセルを非均一領域にしてもよい。量偏差(△Vi)は式(2)によって導出することができる。
【0037】
[数2]
△Vi=|Vave−Vi|/Vave×100
【0038】
ここで、Viはi番ヘッドセルの液滴の吐出量、Vaveは全領域のヘッドセルの液滴の平均吐出量を意味する。
【0039】
一方、インク吐出特性の均一領域と非均一領域に区分する基準は例示的なものであり、特に均一領域を決める液滴吐出量偏差の範囲は、要求される条件及び設計仕様によって変更可能である。
【0040】
図1は、本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの分解斜視図であり、図2は、本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの平面図であり、図3は、本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの液滴吐出速度を示すグラフである。図1及び図2を参照すると、本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、インク流路が形成される上部基板100及び下部基板200と、上部基板100の上面に形成される圧電アクチュエータ130とを含む。上部基板100と下部基板200とが組み合わされることでインクジェットヘッドプレートが構成される。インクジェットヘッドプレートには、複数のヘッドセルが設けられる。
【0041】
本実施形態では、インクジェットプリントヘッドの長さ方向の両側にそれぞれ位置する5個のヘッドセルを非均一領域のヘッドセルと設定している。但し、図1及び図2では、便宜上インクジェットプリントヘッドの長さ方向の左側に位置する5個のヘッドセル、すなわち1番〜5番ヘッドセルを非均一領域のヘッドセルとして示している。よって、これと対応してインクジェットプリントヘッドの長さ方向の右側に位置する5個のヘッドセル、すなわち92番〜96番ヘッドセル(256ノズルの場合、252番〜256番ヘッドセル)も非均一領域のヘッドセルである。
【0042】
しかし、非均一領域のヘッドセルの個数はこれに限定されるものではなく、式(1)及び(2)によって定まる均一領域のヘッドセル以外のヘッドセルを含んでもよく、そのほかに少なくとも2個以上のヘッドセルを含んでもよい。ここで、インクジェットプリントヘッドの長さ方向とは、インクジェットプリントヘッドの任意のヘッドセルから別のヘッドセルに向かう方向を意味する。
【0043】
上部基板100には、インクが流入するインク流入口110が形成される。下部基板200は、多数の圧力チャンバ230、インク流入口110を通して流入するインクを多数の圧力チャンバ230にそれぞれ移送するマニホールド210及び、インクを吐出する多数のノズル250を含む。マニホールド210と圧力チャンバ230の間には、インクが吐出される時に圧力チャンバのインクがマニホールドに逆流することを抑えるために、多数のリストリクタ220が形成されてもよい。複数のヘッドセルの各々は、リストリクタ220、圧力チャンバ230、ダンパ240、およびノズル250を含んで構成されるインク流路を有し、マニホールド210から流入されるインクをノズル250から吐出する。
【0044】
このとき、上部基板100は単結晶シリコン基板または二つのシリコン層の間に絶縁層が形成されたSOI基板からなってもよく、下部基板200も単結晶シリコン基板またはSOI基板からなってもよい。また、本発明はこれに限定されず、より多くの基板を使用してインク流路を構成してもよく、場合によっては一つの基板に具現してもよい。インク流路を形成する構成要素も例示的なものに過ぎず、要求される条件及び設計仕様によって様々な構成のインク流路が設けられることができる。
【0045】
圧電アクチュエータ130は、圧力チャンバ230に対応するように上部基板100の上部に形成され、圧力チャンバ230に流入したインクをノズル250に吐出するための駆動力を提供する。例えば、圧電アクチュエータ130は、共通電極の役割を果たす下部電極131、電圧の印加によって変形される圧電膜132及び駆動電極の役割を果たす上部電極133を含む。
【0046】
下部電極131は、上部基板100の全表面に形成されてもよく、一つの導電性金属物質からなってもよいが、チタン(Ti)と白金(Pt)からなる二つの金属薄膜層で構成されることが好ましい。下部電極131は、共通電極の役割だけでなく、圧電膜132と上部基板100の間の相互拡散を防止する拡散防止層の役割も果たす。圧電膜132は、下部電極131上に形成され、多数の圧力チャンバ230それぞれの上部に位置するように配置される。このような圧電膜132は、圧電物質、好ましくはPZT(Lead Zirconate Titanate)セラミック材料からなってもよい。上部電極133は、圧電膜132上に形成され、Pt、Au、Ag、Ni、Ti及びCuなどの物質のうち何れか一つの物質からなってもよい。
【0047】
圧電アクチュエータ130のうち非均一領域のヘッドセルの圧電アクチュエータPA1〜PA5は、上部電極の幅w1〜w5が外側に向かって大きくなるように形成される。すなわち、圧電アクチュエータPA5からPA1の方に上部電極の幅がw5からw1に大きくなるように形成される。このとき、圧電アクチュエータPA1〜PA5の圧電膜の幅も、上部電極に対応して大きくなるように形成されてもよい。圧電アクチュエータの上部電極または圧電膜の幅は、インクジェットプリントヘッドの長さ方向と平行な方向のサイズを意味する。
【0048】
本実施形態では多数のヘッドセルの吐出速度や吐出量のようなインク吐出特性を均一にするために、非均一領域のヘッドセルの圧電アクチュエータの上部電極の幅を調整しているが、これは例示的なものに過ぎず、上部電極の幅だけでなく、上部電極の長さを調整することもでき、圧電アクチュエータの水平断面の面積を調整したり圧電アクチュエータの体積を調整するなど、様々に設計されることができる。
【0049】
下記の表1は、本実施形態によるインクジェットプリントヘッドの圧電アクチュエータの上部電極の幅の増加量による平均速度の差を示している。
【0050】
【表1】
【0051】
表1は、96ノズルのインクジェットプリントヘッド、すなわちヘッドセルが96個である場合を想定し、インクジェットプリントヘッドにインクを充填しない状態で、圧電アクチュエータに電圧を印加し、LDV(Laser Droppler Velocity meter)を用いてアクチュエータの変形量に基づいて各セルの速度を算出したものである。
【0052】
表1において、セル番号は、インクジェットプリントヘッドの長さ方向の左側から順に付与されており、平均速度の差は、均一領域のヘッドセルである6番〜91番ヘッドセルの速度と非均一領域のヘッドセルである1番〜5番、92番〜96番ヘッドセルそれぞれの速度との差を均一領域ヘッドセルの速度に対する百分率(%)で示したものであり、上部電極の幅の増加量は、6番〜91番ヘッドセルの上部電極の幅と非均一領域のヘッドセルそれぞれの上部電極の幅との差を均一領域ヘッドセルの上部電極の幅に対する百分率(%)で示したものである。
【0053】
表1に示すように、本実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、均一領域のヘッドセルである6番〜91番ヘッドセルから外側に向かって、すなわち、5番から1番に向かって、そして92番から96番に向かって、圧電アクチュエータの上部電極の幅を2%ずつ増加させている。すなわち、5番ヘッドセルの上部電極PA5の幅w5は均一領域ヘッドセルである6番から91番ヘッドセルの上部電極の幅wより2%増加し、4番ヘッドセルの上部電極PA4の幅w4はwより4%増加するなどの構成になっている。したがって、最外側ヘッドセルである1番ヘッドセルと96番ヘッドセルは、6番〜91番ヘッドセルの上部電極の幅wより10%増加していることが分かる。
【0054】
本実施形態では、非均一領域のヘッドセルの上部電極の幅を均一領域のヘッドセルから外側に向かって2%ずつ増加させているが、これは例示的なものであり、上部電極の幅の増加量は、要求される条件及び設計仕様によって様々に変更してもよい。
【0055】
例えば、非均一領域のヘッドセルの上部電極の幅が1%ずつ増加してもよく、4%ずつ増加してもよい。また、式(1)及び(2)で求められた速度偏差や量偏差に比例して大きくなるように形成されてもよい。例えば、非均一領域のヘッドセルのうち6番ヘッドセルの速度偏差が6%であれば、6番ヘッドセルの上部電極の幅は均一領域のヘッドセルの上部電極の幅より6%大きく形成されてもよい。但し、このとき、非均一領域のヘッドセルの上部電極の幅の増加量は20%を超えないことが好ましい。これは、インクジェットプリントヘッドの大きさが限られているためである。
【0056】
表1に示すように、このように構成されたインクジェットプリントヘッドの非均一領域のヘッドセルの平均速度差は、均一領域のヘッドセルから外側に向かって増加している。これは、圧電アクチュエータの上部電極の幅が大きくなるほど、各ヘッドセルの圧電アクチュエータの変位も大きくなるためである。
【0057】
このように構成されたインクジェットプリントヘッドにインクを充填し、96個のヘッドセルの液滴吐出速度を測定して、図3のグラフに示している。図3を参照すると、非均一領域のヘッドセル、すなわち1番〜5番、92番〜96番ヘッドセルの液滴吐出速度が均一領域のヘッドセル、すなわち6番〜91番ヘッドセルの速度と同様に殆ど均一なプロファイルを示していることが分かる。
【0058】
図4は、比較例によるインクジェットプリントヘッドのインク充填状態での液滴吐出速度を示すグラフである。比較例によるインクジェットプリントヘッドは、全体ヘッドセルにおいて圧電アクチュエータの上部電極が同じ幅で形成されている。したがって、図4に示すように、インクジェットプリントヘッドの長さ方向の両側に位置するヘッドセルにおいて、液滴吐出速度が急激に低下していることが分かる。
【0059】
これに対して、本実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、図3に示すように、インクジェットプリントヘッドの長さ方向の両側に位置するヘッドセルにおいて、均一領域のヘッドセルの液滴吐出速度と同様に殆ど均一な吐出速度を示している。したがって、インクジェットプリントヘッドの全ヘッドセル領域で均一な吐出性能を示している。
【0060】
図5は、本発明の第2の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの分解斜視図であり、図6は、本発明の第2の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの下部基板の平面図である。
【0061】
図5及び図6に示すインクジェットプリントヘッドは、圧電アクチュエータの上部電極の幅が、非均一領域のヘッドセルと均一領域のヘッドセルにおいて等しく形成されるが、圧力チャンバの幅は、非均一領域のヘッドセルで均一領域のヘッドセルよりも大きく形成されることが、図1に示す本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの構成と相違する。よって、以下では説明の便宜上相違する構成について具体的に説明する。
【0062】
図5及び図6に示すように、本発明の第2の実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、圧力チャンバ230の幅が、非均一領域のヘッドセルで均一領域のヘッドセルよりも大きく形成されている。ここで、圧力チャンバの幅は、インクジェットプリントヘッドの長さ方向に平行な方向のサイズを意味する。
【0063】
本実施形態では、インクジェットプリントヘッドの長さ方向の両側にそれぞれ位置する5個のヘッドセルを非均一領域のヘッドセルと設定している。但し、図5及び図6では、便宜上インクジェットプリントヘッドの長さ方向の左側に位置する5個のヘッドセル、すなわち1番〜5番ヘッドセルを非均一領域のヘッドセルとして示している。したがって、これと対応するインクジェットプリントヘッドの長さ方向の右側に位置する5個のヘッドセル、すなわち92番〜96番ヘッドセル(256ノズルの場合、252番〜256番ヘッドセル)も非均一領域のヘッドセルである。
【0064】
しかし、非均一領域のヘッドセルの個数はこれに限定されるものではなく、式(1)によって決まる液滴吐出速度偏差や式(2)によって決まる液滴吐出量偏差の一定の範囲を均一領域のヘッドセルにし、それ以外のヘッドセルを非均一領域のヘッドセルとして含んでもよく、その他に少なくとも2個以上のヘッドセルを含んでもよい。
【0065】
本実施形態で、非均一領域のヘッドセルの圧力チャンバの幅の増加量も、本発明の第1の実施形態のように外側に向かって、圧力チャンバPC5から圧力チャンバPC1に向かう方向に、均一領域のヘッドセルの圧力チャンバの幅tより2%ずつ増加してもよく、最外側ヘッドセルの圧力チャンバPC1の幅の増加量が20%を超えない範囲で式(1)または(2)の速度偏差や量偏差に比例して増加してもよい。
【0066】
本実施形態のように、非均一領域のヘッドセルの圧力チャンバPC1〜PC5の幅t1〜t5が増加すると、圧力チャンバの体積が増加し、圧力チャンバに充填されるインクの量が増加するので、均一領域のヘッドセルと等しい駆動力が提供されても吐出される液滴にはより大きい力が作用して、結果的に均一領域のヘッドセルの吐出量と同様に均一になる。
【0067】
図7は、本発明の第3の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの分解斜視図であり、図8は、本発明の第3の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの下部基板の平面図である。
【0068】
図7及び図8に示すインクジェットプリントヘッドは、圧電アクチュエータの上部電極の幅は、非一領域のヘッドセルと均一領域のヘッドセルにおいて等しく形成されるが、圧力チャンバの長さは、非均一領域のヘッドセルで均一領域のヘッドセルよりも大きく形成される点で、図1に示す本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの構成と相違する。したがって、以下では説明の便宜上、相違する構成について具体的に説明する。
【0069】
図7及び図8に示すように、本発明の第3の実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、圧力チャンバ230の長さが、非均一領域のヘッドセルで均一領域のヘッドセルよりも大きく形成されている。ここで、圧力チャンバの長さは、圧力チャンバの幅と垂直な方向のサイズを意味する。
【0070】
本実施形態では、インクジェットプリントヘッドの長さ方向の両側にそれぞれ位置する5個のヘッドセルを非均一領域のヘッドセルにしている。但し、図7及び図8では、便宜上インクジェットプリントヘッドの長さ方向の左側に位置する5個のヘッドセル、すなわち1番〜5番ヘッドセルを非均一領域のヘッドセルとして示している。したがって、これと対応するインクジェットプリントヘッドの長さ方向の右側に位置する5個のヘッドセル、すなわち92番〜96番ヘッドセル(256ノズルの場合、252番〜256番ヘッドセル)も非均一領域のヘッドセルである。
【0071】
しかし、非均一領域のヘッドセルの個数はこれに限定されるものではなく、式(1)によって決まる液滴吐出速度偏差や、式(2)によって決まる液滴吐出量偏差の一定の範囲、例えば0〜5%を均一領域のヘッドセルにし、それ以外のヘッドセルを非均一領域のヘッドセルとして含んでもよく、そのほかに少なくとも2個以上のヘッドセルを含んでもよい。
【0072】
本実施形態で、非均一領域のヘッドセルの圧力チャンバの長さの増加量は、非均一領域の外側に向かって、すなわち圧力チャンバP5から圧力チャンバP1の方に向かって、均一領域のヘッドセルの圧力チャンバの長さlより2%ずつ増加してもよく、最外側ヘッドセルの圧力チャンバの長さl1の増加量が20%を超えない範囲で、設計仕様によって任意の増加量を決めてもよい。一方、式(1)または(2)の速度偏差や量偏差に比例して増加してもよい。
【0073】
本実施形態のように、圧力チャンバP1〜P5の長さl1〜l5が増加すると、圧力チャンバの体積が増加し、圧力チャンバに充填されるインクの量が増加するので、均一領域のヘッドセルと同様の駆動力が提供されても、吐出される液滴にはより大きい力が作用して、結果的に均一領域のヘッドセルの吐出量と同様に均一になる。
【0074】
以上、本発明の第2の実施形態及び第3の実施形態では、多数のヘッドセルの吐出速度や吐出量のようなインク吐出特性を均一にするために、圧力チャンバの幅または長さを調整する構成を示し説明しているが、これは例示的なものであり、圧力チャンバの幅と長さを両方とも含む水平断面の面積を調整するかまたは圧力チャンバの体積を調整することもできる。
【0075】
図9は、本発明の第4の実施形態によるインクジェットプリントヘッドによる液滴吐出量の変化を示すグラフである。
【0076】
図9に示すインクジェットプリントヘッドは、256個のヘッドセルで構成されており、液滴の吐出量プロファイルが図9の(a)のようなウエーブ状に現われる場合、圧電アクチュエータの上部電極の幅を用いて逆ウエーブ状に変化させて、図9の(b)のように吐出量を全体ヘッドセルにおいて均一にする。それ以外の構成は、図1に示す本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドと同様であるので、その構成についての詳細な説明は省略し、以下では、相違する部分を中心に説明することにする。
【0077】
図9の(a)に示すように液滴の吐出量プロファイルが現われる場合、図9の(b)に示すように、全体ヘッドセルの圧電アクチュエータにおいて上部電極の幅のプロファイルを吐出量プロファイルの逆ウエーブとして算出する。ここで、上部電極の幅のプロファイルを算出する方法は、例えば、各ヘッドセルにおいて吐出量偏差を式(2)によって求め、このように求められた量偏差に反比例するプロファイルを算出することで、調整される上部電極の幅のプロファイルを求めることができる。
【0078】
図9の(c)に示すように、このように求められた上部電極の幅のプロファイルWに基づいて各ヘッドセルの圧電アクチュエータの上部電極の幅wを調整すると、図9の(d)に示すように、全体ヘッドセルで均一な吐出量プロファイルVを得ることができる。
【0079】
本実施形態では、吐出量プロファイルVactの逆ウエーブを圧電アクチュエータの上部電極の幅に適用することを説明しているが、本発明はこれに限定されず、第2の及び第3の実施形態のように圧力チャンバの幅または長さに適用してもよく、吐出速度プロファイルの逆ウエーブを適用してもよい。
【0080】
本実施形態で、吐出量プロファイルVactの逆ウエーブを各ヘッドセルの圧電アクチュエータの上部電極の幅に適用すると、図9の(d)に示すように、吐出量プロファイルが全体ヘッドセルの領域で均一になる。
【0081】
図10は、本発明によるインクジェットプリントヘッドを具備するインクジェットプリンタの構成を概略的に示す図である。
【0082】
本発明によるインクジェットプリンタは、第1、第2及び第3の実施形態で説明したインクジェットプリントヘッドを具備するものであって、以下では説明の便宜上インクジェットプリントヘッドの構成についての詳細な説明は省略することにする。
【0083】
図10を参照すると、本発明によるインクジェットプリンタは、印刷媒体Mを供給する供給部(図示せず)、印刷媒体Mを支持する支持部10、印刷媒体Mの一面にインクを吐出するインクジェットプリントヘッド30及び、印刷媒体M上でインクジェットプリントヘッド30をガイドするキャリア部20を含む。
【0084】
インクジェットプリントヘッド30は、キャリア部20の垂直移動によって印刷媒体M上でインク吐出のための位置に移動し、キャリア部20の水平移動によって印刷媒体M上で配線や画像などの所定パターンを印刷する。このとき、印刷媒体Mは支持部10によって印刷時に安定的に支持されることができる。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施形態を詳しく説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該分野における通常の知識を有する者であればこれから様々な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということを理解できるであろう。例えば、本発明でインク流路が形成される基板を上部基板及び下部基板として説明しているが、これは例示的なものであって、一つの基板を使用するかまたは3枚以上の基板を使用してもよく、様々な種類の基板を使用してもよい。よって、本発明の技術的保護範囲は添付の特許請求の範囲によって定まるべきであろう。
【符号の説明】
【0086】
10 支持部
20 キャリア部
30 インクジェットプリントヘッド
100 上部基板
110 インク流入口
130 圧電アクチュエータ
200 下部基板
210 マニホールド
220 リストリクタ
230 圧力チャンバ
240 ダンパ
250 ノズル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入するインクが圧力チャンバを通過してノズルを介して吐出されるインク流路を有する複数のヘッドセルが設けられるインクジェットヘッドプレートと、
前記インクジェットヘッドプレートの上面に形成され、前記圧力チャンバに対応する位置に形成される圧電アクチュエータと
を含み、
前記圧力チャンバの群及び前記圧電アクチュエータの群のうち少なくとも一方において、少なくとも一部のものの面積が他のものの面積と異なり、前記複数のヘッドセルから吐出されるインクの吐出特性を均一にすることを特徴とするインクジェットプリントヘッド。
【請求項2】
前記複数のヘッドセルは、前記インクジェットヘッドプレートの端部領域に形成される非均一領域のヘッドセルと、前記端部領域の内側に形成される均一領域のヘッドセルとを含み、
前記非均一領域のヘッドセルは、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記均一領域のヘッドセルのものより大きく構成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項3】
前記複数のヘッドセルは、前記インクジェットヘッドプレートの端部領域に形成される非均一領域のヘッドセルと、前記端部領域の内側に形成される均一領域のヘッドセルとを含み、
前記非均一領域のヘッドセルは、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記インクジェットヘッドプレートの中心部から端部に向かう方向に段階的に大きくなるよう構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項4】
前記インクの吐出特性は速度偏差(△υi)であり、
前記複数のヘッドセルは、前記速度偏差が0〜5%である均一領域のヘッドセルと、前記速度偏差が5%より大きい非均一領域のヘッドセルとを含み、
前記非均一領域のヘッドセルは、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記速度偏差に比例して異なることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
(ここで、△υi=|υave−υi|/υave×100であって、υiはi番目ヘッドセルの吐出速度、υaveは全領域のヘッドセルの平均吐出速度)
【請求項5】
前記インクの吐出特性は量偏差(△Vi)であり、
前記複数のヘッドセルは前記量偏差が0〜5%である均一領域のヘッドセルと、前記量偏差が5%より大きい非均一領域のヘッドセルとを含み、
前記非均一領域のヘッドセルは、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記量偏差に比例して異なることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
(ここで、△Vi=|Vave−Vi|/Vave×100であって、Viはi番目ヘッドセルの吐出されるインクの量、Vaveは全領域のヘッドセルの吐出されるインクの平均量)
【請求項6】
前記非均一領域のヘッドセルの前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積は、前記均一領域のヘッドセルの前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積に対して120%以下であることを特徴とする請求項2から5のうち何れか一項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項7】
インク流入口を含む上部基板と、
前記インク流入口に流入するインクが複数の圧力チャンバを通過して複数のノズルを介して吐出される流路が形成される下部基板と、
前記下部基板の上面に、前記複数の圧力チャンバそれぞれに対応する位置に形成される複数の圧電アクチュエータと、
を含み、
前記複数の圧力チャンバ及び前記複数の圧電アクチュエータのうち少なくとも一方において、少なくとも一部のものの面積が他のものの面積と異なり、前記複数のノズルを介して吐出されるインクの吐出特性を均一にすることを特徴とするインクジェットプリントヘッド。
【請求項8】
前記インクジェットプリントヘッドは、前記インクジェットプリントヘッドの端部領域に位置する非均一領域と、前記端部領域の内側に配置される均一領域とを含み、
前記非均一領域は、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記均一領域のものより大きく構成されることを特徴とする請求項7に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項9】
前記インクジェットプリントヘッドは、前記インクジェットプリントヘッドの端部領域に位置する非均一領域と、前記端部領域の内側に配置される均一領域とを含み、
前記非均一領域は、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記インクジェットプリントヘッドの中心部から端部に向かう方向に段階的に大きくなるよう構成されることを特徴とする請求項7または8に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項10】
前記インクの吐出特性は速度偏差(△υi)であり、
前記インクジェットプリントヘッドは、前記速度偏差が0〜5%である均一領域と、前記速度偏差が5%より大きい非均一領域とを含み、
前記非均一領域は、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記速度偏差に比例して異なることを特徴とする請求項7から9の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
(ここで、△υi=|υave−υi|/υave×100であって、υiはi番目ノズルの吐出速度、υaveは全領域のノズルの平均吐出速度)
【請求項11】
前記インクの吐出特性は量偏差(△Vi)であり、
前記インクジェットプリントヘッドは、前記量偏差が0〜5%である均一領域と、前記量偏差が5%より大きい非均一領域とを含み、
前記非均一領域は、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記量偏差に比例して異なることを特徴とする請求項7から9の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
(ここで、△Vi=|Vave−Vi|/Vave×100であって、Viはi番目ノズルから吐出されるインクの量、Vaveは全領域のノズルから吐出されるインクの平均量)
【請求項12】
前記非均一領域は、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記均一領域の前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積に対して120%以下であることを特徴とする請求項8から11のうち何れか一項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項13】
供給される印刷媒体の一面にインクを吐出する、請求項1から6の何れか1項に記載のインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドの下部で前記印刷媒体を支持する支持部と、
前記印刷媒体上で前記インクジェットヘッドの移動をガイドするキャリア部と
を含むインクジェットプリンタ。
【請求項1】
流入するインクが圧力チャンバを通過してノズルを介して吐出されるインク流路を有する複数のヘッドセルが設けられるインクジェットヘッドプレートと、
前記インクジェットヘッドプレートの上面に形成され、前記圧力チャンバに対応する位置に形成される圧電アクチュエータと
を含み、
前記圧力チャンバの群及び前記圧電アクチュエータの群のうち少なくとも一方において、少なくとも一部のものの面積が他のものの面積と異なり、前記複数のヘッドセルから吐出されるインクの吐出特性を均一にすることを特徴とするインクジェットプリントヘッド。
【請求項2】
前記複数のヘッドセルは、前記インクジェットヘッドプレートの端部領域に形成される非均一領域のヘッドセルと、前記端部領域の内側に形成される均一領域のヘッドセルとを含み、
前記非均一領域のヘッドセルは、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記均一領域のヘッドセルのものより大きく構成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項3】
前記複数のヘッドセルは、前記インクジェットヘッドプレートの端部領域に形成される非均一領域のヘッドセルと、前記端部領域の内側に形成される均一領域のヘッドセルとを含み、
前記非均一領域のヘッドセルは、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記インクジェットヘッドプレートの中心部から端部に向かう方向に段階的に大きくなるよう構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項4】
前記インクの吐出特性は速度偏差(△υi)であり、
前記複数のヘッドセルは、前記速度偏差が0〜5%である均一領域のヘッドセルと、前記速度偏差が5%より大きい非均一領域のヘッドセルとを含み、
前記非均一領域のヘッドセルは、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記速度偏差に比例して異なることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
(ここで、△υi=|υave−υi|/υave×100であって、υiはi番目ヘッドセルの吐出速度、υaveは全領域のヘッドセルの平均吐出速度)
【請求項5】
前記インクの吐出特性は量偏差(△Vi)であり、
前記複数のヘッドセルは前記量偏差が0〜5%である均一領域のヘッドセルと、前記量偏差が5%より大きい非均一領域のヘッドセルとを含み、
前記非均一領域のヘッドセルは、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記量偏差に比例して異なることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
(ここで、△Vi=|Vave−Vi|/Vave×100であって、Viはi番目ヘッドセルの吐出されるインクの量、Vaveは全領域のヘッドセルの吐出されるインクの平均量)
【請求項6】
前記非均一領域のヘッドセルの前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積は、前記均一領域のヘッドセルの前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積に対して120%以下であることを特徴とする請求項2から5のうち何れか一項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項7】
インク流入口を含む上部基板と、
前記インク流入口に流入するインクが複数の圧力チャンバを通過して複数のノズルを介して吐出される流路が形成される下部基板と、
前記下部基板の上面に、前記複数の圧力チャンバそれぞれに対応する位置に形成される複数の圧電アクチュエータと、
を含み、
前記複数の圧力チャンバ及び前記複数の圧電アクチュエータのうち少なくとも一方において、少なくとも一部のものの面積が他のものの面積と異なり、前記複数のノズルを介して吐出されるインクの吐出特性を均一にすることを特徴とするインクジェットプリントヘッド。
【請求項8】
前記インクジェットプリントヘッドは、前記インクジェットプリントヘッドの端部領域に位置する非均一領域と、前記端部領域の内側に配置される均一領域とを含み、
前記非均一領域は、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記均一領域のものより大きく構成されることを特徴とする請求項7に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項9】
前記インクジェットプリントヘッドは、前記インクジェットプリントヘッドの端部領域に位置する非均一領域と、前記端部領域の内側に配置される均一領域とを含み、
前記非均一領域は、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記インクジェットプリントヘッドの中心部から端部に向かう方向に段階的に大きくなるよう構成されることを特徴とする請求項7または8に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項10】
前記インクの吐出特性は速度偏差(△υi)であり、
前記インクジェットプリントヘッドは、前記速度偏差が0〜5%である均一領域と、前記速度偏差が5%より大きい非均一領域とを含み、
前記非均一領域は、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記速度偏差に比例して異なることを特徴とする請求項7から9の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
(ここで、△υi=|υave−υi|/υave×100であって、υiはi番目ノズルの吐出速度、υaveは全領域のノズルの平均吐出速度)
【請求項11】
前記インクの吐出特性は量偏差(△Vi)であり、
前記インクジェットプリントヘッドは、前記量偏差が0〜5%である均一領域と、前記量偏差が5%より大きい非均一領域とを含み、
前記非均一領域は、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記量偏差に比例して異なることを特徴とする請求項7から9の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
(ここで、△Vi=|Vave−Vi|/Vave×100であって、Viはi番目ノズルから吐出されるインクの量、Vaveは全領域のノズルから吐出されるインクの平均量)
【請求項12】
前記非均一領域は、前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積が、前記均一領域の前記圧力チャンバ及び前記圧電アクチュエータのうち少なくとも一方の面積に対して120%以下であることを特徴とする請求項8から11のうち何れか一項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項13】
供給される印刷媒体の一面にインクを吐出する、請求項1から6の何れか1項に記載のインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドの下部で前記印刷媒体を支持する支持部と、
前記印刷媒体上で前記インクジェットヘッドの移動をガイドするキャリア部と
を含むインクジェットプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−63665(P2013−63665A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−265585(P2012−265585)
【出願日】平成24年12月4日(2012.12.4)
【分割の表示】特願2010−284341(P2010−284341)の分割
【原出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月4日(2012.12.4)
【分割の表示】特願2010−284341(P2010−284341)の分割
【原出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】
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