説明

インクジェット塗布装置及び方法

【課題】フィルム表面の塗布すべき目標位置を直接計測して補正し、インクジェット塗布ヘッドのノズル孔から正しい位置に液滴を射出することにより、フィルムの塗布品質が向上する。
【解決手段】巻出側フィルムロール2から巻き出されたフィルム1は、その塗布対象エリアが塗布部17で吸着テーブル10上に位置するように搬送される。インクジェット塗布ヘッドに隣接して撮像カメラを設置し、該塗布ヘッド15と該撮像カメラ19は設置位置が一体となって塗布ヘッドユニット部を形成し、塗布ヘッドユニットは吸着テーブルの上方において3次元的に移動可能なXYZ軸方向駆動手段によって移動し、塗布ヘッドによる塗布動作中に撮像カメラで次に塗布する位置を予め撮像し、撮像カメラによる撮像結果を画像処理手段で処理することによって当初設定された塗布位置とのずれ量を補正して、次に塗布する位置への塗布ヘッドを移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平滑な部材に対するインクジェット方式による液状材料の塗布において、撮像手段によって得たデータに画像処理を施すことで塗布すべき溝状の現状位置を算出し、次の塗布時に基準の位置とのずれ量を算出して塗布ヘッドの位置を補正移動することにより、精度良くインクジェット塗布する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式とは、気泡または圧電素子を利用したインクジェットヘッドから少量の液滴を高精度に吐出するものである。この液滴の高精度な吐出によって、対象とする部材に塗布する装置としたものが、インクジェット塗布装置である。高精細な塗布を実現できる装置として近年注目されてきており、紙への印刷に限らず、あらゆる産業分野でその適用可能性も探られており、既に実用化されているものもある。
【0003】
従来、ヘッドの射出状態の違いによる影響を無くす為に、基板にパターン塗布を行ない、その塗布ドットの位置ズレをカメラで計測して移動量を算出し、ヘッドを、XYθ方向に移動することにより、目標位置により近づくように補正を行ない、これにより、塗布ドット毎の位置バラツキを軽減して、均一でムラのない高品質なパネルを製造できるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−95690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクジェット塗布において塗布位置の精度を決める要素としては、大きく分けて二つある。第一点は、インクジェット塗布ヘッドのノズル孔からの液滴の射出方向による塗布ドット毎の位置バラツキである。第二点は、インクジェット塗布ヘッドのノズル孔が塗布すべき対象物の塗布位置にどの程度合致しているかということである。
【0006】
特許文献1に記載の技術では、第1点に対しては解決できるが、第2点に対しては対象とする部材の種類によっては十分に解決できない部分もある。
【0007】
以下では、塗布対象とする部材は、フレキシブルな積層フィルムであって、そのフィルム表面に長い溝状になったパターンが予め形成されている(以下では、この溝状パターンをスクライブという)。かかるスクライブはレーザ光などで形成されるものであるが、フレキシブルな材料であるため、レーザ光の照射位置誤差が発生する。
【0008】
また、塗布する箇所に位置決めした後に、一定間隔に設けた位置決め用のマークをカメラで撮像して認識し、塗布対象とする部材の位置決め状態を計測する手法も考えられる。しかし、塗布工程よりも前の工程でフィルムの加熱,冷却が行なわれるため、積層フィルムに膨張,収縮が発生し、位置決め用のマークの位置ずれが発生し、インクジェット方式の塗布ヘッドのノズル孔の位置が塗布すべき目標位置がずれてしまう問題が発生する。
【0009】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、フレキシブルな積層フィルムの表面の塗布すべき目標位置を補正して、インクジェット塗布ヘッドのノズル孔から正しい位置に液滴を射出することで、フィルムへの塗布品質を高めることができるようにしたインクジェット塗布装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、ロール状のフィルムを巻き出して搬送する上流側のガイドロールと、巻き出されたフィルムを吸着保持する吸着テーブルと、吸着テーブルに吸着保持されたフィルム上に液状の塗布材を塗布する塗布ヘッドと、塗布材が塗布されたフィルムを搬送してロール状に巻き取る下流側のガイドロールとからなるインクジェット塗布装置であって、塗布ヘッドに隣接して撮像カメラを設置し、塗布ヘッドと撮像カメラは設置位置が一体となって塗布ヘッドユニット部を形成し、塗布ヘッドユニットは該吸着テーブルの上方において3次元的に移動可能なXYZ軸方向駆動手段によって移動し、塗布ヘッドによる塗布動作中に撮像カメラで次に塗布する位置を予め撮像し、撮像カメラによる撮像結果を画像処理手段で処理することによって当初設定された塗布位置とのずれ量を補正して、次に塗布する位置への塗布ヘッドを移動させることを特徴とする。
【0011】
また、塗布ヘッドユニット部は複数組であり、XYZ軸方向駆動手段は、フィルムの幅方向となるY軸方向を共通化して全ての塗布ヘッドユニット部が動作し、フィルムの長手方向となるX軸方向と高さ方向となるZ軸方向については、塗布ヘッドユニット部ごとに個別に移動可能であることを特徴とする。
【0012】
さらに、フィルムの塗布位置には位置決め用マークを有しており、
巻き出されたフィルムを吸着保持した状態で位置決め用マークを撮像カメラによって撮像し、フィルムの吸着保持の位置ずれ量も合わせて補正して、次に塗布する位置への塗布ヘッドを移動させることを特徴とする。
【0013】
さらにまた、撮像カメラで予め撮像する塗布位置の形状が線状の溝形状断面であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フィルム表面の塗布すべき目標位置を直接計測して補正し、インクジェット塗布ヘッドのノズル孔から正しい位置に液滴を射出することにより、フィルムの塗布品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるインクジェット塗布装置及び方法の第1の実施形態での概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す塗布ヘッドの設置状況を上方から見た図である。
【図3】図1におけるフィルムを拡大して示す図である。
【図4】図1に示す第1の実施形態での塗布位置補正の制御部のブロック図である。
【図5】図1に示す塗布位置補正の一具体例を示すフローチャートである。
【図6】図1に示す第1の実施形態での塗布位置補正の一具体例を示す概略斜視図である。
【図7】図1に示す塗布位置補正での撮像画像の一具体例を示す図である。
【図8】図7に示す塗布位置補正のための撮像画像を用いた計測方法の一具体例を示す図である。
【図9】図7に示す塗布位置補正のための撮像画像を用いた計測方法の他の具体例を示す図である。
【図10】本発明によるインクジェット塗布装置及び方法の第2の実施形態における塗布位置補正の一具体例を示す斜視図である。
【図11】図10に示す塗布位置の補正処理の一連の流れ一具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0017】
なお、以下に説明する実施形態では、非シリコン系の半導体材料(例えば、CIGS薄膜)が施された太陽電池用のフィルムを塗布対象の一例として、このフィルム上にインクジェット方式の塗布ヘッドで電極材や絶縁材を塗布することにより、電極や絶縁膜などの膜形成を行なうようにするものとする。なお、CIGS薄膜は、Cu(銅),In(インジウム),Ga(ガリウム),Se(セレン)から成る半導体材料の薄膜であって、「CIGS」はこれら素材の頭文字を配列したものである。
【0018】
図1は本発明によるインクジェット塗布装置及び方法の第1の実施形態の概略構成を示す斜視図であって、1は太陽電池用の積層フィルム(以下、単に、フィルムという)、2は巻出側フィルムロール、3は巻取側フィルムロール、4,5はガイドロール、6,7は昇降ガイドロール、8,9は吸着バー、10は吸着テーブル、11は巻出側軸モータ、12は巻取側軸モータ、13,14はフィルム押えバー、15は塗布ヘッド、16は巻出部、17は塗布部、18は巻取部、19は撮影カメラである。
【0019】
また、図2は図1における塗布部17の構成を具体的に示す平面図であって、20はX軸駆動手段、21はZ軸駆動手段、22はY軸駆動手段、23はY軸ガントリ、24はY軸ステージであり、図1に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0020】
さらに、図3は図1におけるフィルム1の構成の一具体例を示す斜視図であって、25はポリイミドフィルム層、26はCIGS薄膜層、27はバッファ層、28は透明電極層、29はスクライブである。
【0021】
図1において、X軸方向に空間が巻出部16と塗布部17と巻取部19とに区分されており、巻出部16には、巻出側軸モータ11によって回転駆動される巻出側フィルムロール2や上流側のガイドロール4,昇降ガイドロール6,吸着バー8がX軸方向に順次配列されて設けられ、巻取部18には、下流側の吸着バー9,昇降ガイドロール7,ガイドロール5及び巻取側軸モータ12によって回転駆動される巻取側フィルムロール3がX軸方向に順次配列されて設けられている。また、塗布部17には、吸着テーブル10や塗布ヘッド15,フィルム押えバー13、14が設けられている。吸着バー8,9や吸着テーブル10は、真空ポンプを真空源として、真空パルブ30(図4)でフィルム1の吸着固定や固定解除を行なう。
【0022】
巻出部16において、巻出側フィルムロール2には、塗布部17で電極材や絶縁材の塗布対象となるフィルム1がロール状に巻き付けられている。また、このフィルム1は、この巻出側フィルムロール2から巻き出されて塗布部17を通り、巻取部18で巻取側フィルムロール3に巻き取られている。ここで、フィルム1の長さ方向がX軸方向、その幅方向がY軸方向、その面に垂直な方向がZ軸方向である。
【0023】
塗布部17では、フィルム1が吸着テーブル10によって真空吸着されて位置固定される。
【0024】
また、図2に示すように、インクジェット式の塗布ヘッド15はZ軸駆動手段21によって高さを個別に変えられる。このZ軸駆動手段21を備えた塗布ヘッド15は、撮影カメラ19と隣接固定して組み込まれ、一体となってヘッドユニット部を形成している。この塗布ヘッド15と撮影カメラ19との組は、さらにX軸駆動手段20によってX軸方向に移動でき、他の塗布ヘッド15と撮影カメラ19との組(カメラユニット部)との相対位置を変えながら位置ずれの補正が可能である。
【0025】
このカメラユニット部を形成する塗布ヘッド15と撮影カメラ19との組は、1組みであってもよいが、処理速度を向上させるには、複数組にする。ここでは、4組としており、これら4組は共通のY軸ガントリ23に固定され、Y軸ステージ24に沿って、フィルム1の塗布するスクライブ29(図3)の長手方向に平行なY軸方向に動作する。Y軸ガントリ23とY軸ステージ24から成るY軸駆動手段22は、サーボモータでボールネジを介して駆動してもよいし、リニアモータで駆動してもよい。
【0026】
このようにY軸ガントリ23に固定されたインクジェット式の塗布ヘッド15により、液状の電極材や絶縁材など(以下、これらをまとめて「塗布材」という)がフィルム1上に塗布されて電極や絶縁膜を形成していく。
【0027】
図1に戻って、塗布部17でフィルム1の所定の塗布対象エリアでの塗布材の塗布が終了すると、巻出側フィルムロール2からフィルム1が巻き出され、また、巻取側フィルムロール3にこのフィルム1が巻き取られ、次々に連続したフィルム1に塗布を繰り返していく。
【0028】
なお、塗布対象エリアとは、塗布部17でフィルム1上に1つの塗布ヘッド15が塗布すべきエリアを有ものであって、図2に示すように、複数の塗布ヘッド15が用いられる場合には、塗布部17で夫々の塗布ヘッド15毎に塗布対象エリアが設定されることになる。
【0029】
このフィルム1の次の塗布対象エリア(次に夫々の塗布ヘッド15が塗布する塗布対象エリア)が塗布部17で塗布材の塗布ができる位置に配置できるように、フィルム1が巻出側フィルムロール2側から巻取側フィルムロール3側に搬送されるが、このときには、巻出部16において、巻出側軸モータ11によって回転駆動される巻出側フィルムロール2から巻き出されたフィルム1は、ガイドローラ4と昇降ガイドローラ6とによって支持されるが、このとき、昇降ガイドローラ6が吸着テーブル10の吸着面よりも高い位置に上昇しており、また、巻出部16では、フィルム1が昇降ガイドローラ7とガイトローラ5とで支持されて巻取側フィルムロール3に巻き取られるが、このとき、昇降ガイドローラ7が吸着テーブル10の吸着面よりも高い位置に上昇しており、これにより、フィルム1は、吸着バー8,9や吸着テーブル10に接触することなく、X軸方向に移動する。
【0030】
このように、フィルム1が巻出部16側から巻取部18側に移送されるときには、昇降ガイドローラ6,7によってフィルム1が持ち上げられ、これにより、フィルム1が吸着テーブル7に接触することなく搬送されて、フィルム1の裏面に擦り傷が付くのを防止できるようにしている。
【0031】
このようにして、フィルム1が昇降ガイドローラ6,7によって吸着バー8,9や吸着テーブル10に接触しない状態で搬送され、フィルム1での次の塗布対象エリアが塗布部17に達すると、フィルム1の搬送が終了し、この塗布対象エリアの塗布部17でのX軸方向の位置決めがなされる。なお、この位置決めは、まず、巻取側フィルムロール3の巻取量を監視して、粗く位置調整する。
【0032】
また、巻取側軸モータ12にブレーキを掛けてフィルム1の巻取部18側を固定した状態にする。そして、これとともに、巻出側軸モータ11をフィルム1の巻き出しの回転方向とは逆回転方向にトルクを掛けた状態にすることで、フィルム1に一定の張力を付加した状態にする。
【0033】
これにより、フィルム1の搬送が終了しても、このフィルム1は、その長手方向(即ち、それが搬送されるX軸方向)にテンションが掛った状態に保持されることになり、フィルム1に弛みが生じない。
【0034】
かかる状態で、塗布部17では、昇降ガイドロール6,7が降下し、これによってフィルム1の下面を吸着保持する吸着バー8,9により、フィルム1は吸着テーブル10に吸着保持される。
【0035】
ここで、図3に示すように、フィルム1はポリイミドフィルム層25,CIGS薄膜層26,バッファ層27及び透明電極層28が順に積層された複数層の積層フィルムの構成をなしており、全体の厚さも同じく数10μm〜100μm程度である。かかるフィルム1の表面側に溝状の窪み部であるスクライブ29が設けられ、このスクライブ29に塗布材が塗布されて電極や絶縁膜が形成される。CIGS薄膜層26の膜厚は、数10μm〜100μm程度の薄い膜状であり、このCIGS薄膜層26が実質的な発電を行なう部分である。
【0036】
そして、スクライブ29は、透明電極層28及びバッファ層27が溝状になったものと、透明電極層28、バッファ層27に加えてCIGS薄膜層26まで含んで溝状になったものの2種類がある。溝状の凹部に材料をインクジェット塗布することで、スクライブ29は層内の導通や層間の導通をとっていくものである。大まかには、スクライブ29の溝幅は数10μm〜100μm程度であり、深さは数μm〜10μm程度である。
【0037】
図1に戻って、塗布ヘッド1は夫々、XY軸平面内での移動動作とZ軸方向(高さ方向)の移動動作が可能であり、夫々の塗布ヘッド1の下面には、フィルム1に向いたノズル孔が250個程度設けられており、ピエゾ駆動によって各ノズル孔から塗布材の液滴が押し出されてフィルム1上に点状で射出する。X軸駆動手段20やY軸駆動手段22(図2)によって塗布ヘッド1のノズルがXY軸平面内で移動して個別に塗布材を射出することにより、フィルム1の塗布面にあらゆるパターンで塗布材を精細に塗布することが可能となる。
【0038】
このようにして、塗布部17でフィルム1上の所定の塗布対象エリアでの塗布材の塗布が終了すると、巻出側フィルムロール2からフィルム1の巻き出しと巻取取側フィルムロール3へのフィルム1の巻き取りとが行なわれ、塗布部17で次々に連続したフィルム1上の各塗布対象エリアに対して塗布ヘッド15により塗布を繰り返していく。
【0039】
図4は図1における塗布位置補正の機能を持つインクジェット塗布装置の制御部の一構成例を示すブロック図であって、30は真空バルブ、31はレギュレータ、32はバルブユニット、33はエアシンリンダ、34はUSB(Universal Serial Bus)メモリ、35はハードディスク、36は制御ユニット、36aはマイクロコンピュータ、36bはデータ通信バス、36cは外部インターフェース、36dは塗布ヘッドコントローラ、36eは画像処理コントローラ、36fはモータコントローラ、37はモニタ、38はキーボード、36gxはX軸ドライバ、36gyはY軸ドライバ、36gzはZ軸ドライバであり、前出図面に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0040】
同図において、制御ユニット36は、マイクロコンピュータ36aと外部インターフェース36cと塗布ヘッドコントローラ36dと画像処理コントローラ36eとモータコントローラ36fとがデータ通信バス36bで接続された構成をなしている。
【0041】
制御ユニット36は、外部インターフェース36cを介して、エアシリンダ33などのエア駆動機器及び巻出側軸モータ11,巻取側軸モータ12や他のロール用モータを駆動制御し、また、吸着バー8,9(図1)や吸着テーブル10(図1)でフィルム1を真空吸着する際の真空源となる真空ポンプからの切り替えを行なう真空バルブ30も制御する。塗布ヘッドコントローラ36dは、制御ユニット36の制御を基に、塗布ヘッド15の各ノズル孔からの塗布材料の射出の有無やタイミングを制御する。画像処理コントローラ36eは、制御ユニット36の制御を基に、スクライブ29(図3)や後述の位置決めマーク38a、38b(図10,図11)を撮影カメラ19で撮像してその視野内での位置を画像処理によって算出するものである。モータコントローラ36fは、制御ユニット36の制御を基に、塗布ヘッド15に取り付けられたX軸駆動モータのX軸ドライバ36gxやY軸駆動モータのY軸ドライバ36gy,Z軸駆動モータのZ軸ドライバ36zhを夫々駆動制御する。
【0042】
塗布位置のずれ量補正やフィルム吸着固定位置のずれ量補正では、ズレ量は画像処理コントローラ36eで算出され、その結果をマイクロコンピュータ36aで換算して、モータコントローラ36fでの各モータの移動量に反映させる処理を行なう。そうして、塗布ヘッドコントローラ36dで、塗布ヘッド15のノズルから塗布材料を射出してフィルム1に塗布する。
【0043】
図5は図1に示す塗布ヘッド15によるフィルム1上の塗布対象エリアへの塗布材の塗布処理の一連の流れの一具体例を示すフローチャートである。以下では、1つの塗布ヘッドについて説明するが、複数の塗布ヘッドが使用される場合、他の塗布ヘッドについても同様である。
【0044】
同図において、全体の処理の流れは、ステップ110からステップ130までは一連の動作の初回に一度だけ実行し、ステップ140で判定処理を行ない、その判定結果に応じて、ステップ190で終了する処理、または、ステップ150からステップ180までを繰り返す処理となる。
【0045】
ステップ110では、塗布ヘッド15の横に取り付けた撮影カメラ19でフィルム1上の塗布対象エリアのスクライブ29を移動撮像する。ここで、この塗布対象エリア全体を一度に塗布できない場合には、かかる塗布対象エリアを複数のエリアに分割し(以下、かかるエリアを部分エリアという)、夫々の部分エリアを順番に塗布していく。以下では、塗布対象エリアがかかる部分エリア毎に塗布されるものとする。従って、撮像カメラ19による撮像は、塗布対象エリアでの部分エリアに対して行なわれる。
【0046】
ステップ120では、撮像した画像を画像処理し、撮影カメラ19の視野中心からのずれ量をもとに塗布時の補正値を算出する。ステップ130では、本来塗布すべき位置に補正値を反映して目標位置のX座標,Y座標を加算または減算し、塗布対象エリア上に正確に塗布ヘッド15を移動させる。
【0047】
ステップ140では、1つの塗布対象エリア全体の塗布が完了したか否かの判断を行ない、塗布が完了でなければ、次に説明するステップ150からステップ180までの塗布動作を各部分エリア毎に繰り返し、この塗布動作を繰り返し行なった後、1つの塗布対象エリア全体の塗布が完了であれば、ステップ190で塗布処理の終了となる。
【0048】
塗布対象エリア全体(即ち、この塗布対象エリアの全ての部分エリア)の塗布が完了でなければ、ステップ150で1つの部分エリアでの塗布動作を行なう。そして、この塗布動作と同時に、ステップ160において、塗布ヘッド15の横に取り付けた撮影カメラ19でフィルム1上の同じ塗布対象エリアでの次の部分エリア上のスクライブ29を移動撮像する。次に、ステップ170で、この塗布動作中に撮像した画像を画像処理し、撮影カメラ19の視野中心からのずれ量をもとにこの次の部分エリアで塗布するときの補正値を算出する。最後に、ステップ180で、本来の塗布すべき位置に先の補正値を加味し、次の部分エリア上に塗布ヘッド15を移動させる。以上により、塗布位置のずれ量が補正された状態で、順次の部分エリアでの塗布が可能となる。
【0049】
なお、ここで、部分エリアは複数本のスクライブ29を含むものであり、その数は通常数本(5本程度)とする。つまり、10本程度をグループとして扱い、このスクライブ29の1つのグループが1つの部分エリアに含まれるものであり、現在の塗布動作中に次の1グループ(即ち、次の部分エリア)の補正値を先取りして計測することになる。
【0050】
図6は以上の処理動作を具体的に示す斜視図であって、39a〜39cは撮像部、40a,40bは塗布部であり、前出図面に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0051】
同図において、撮像部39a〜39c,40a,40bは夫々、塗布ヘッド15に対する塗布対象エリアでの1つの部分エリアに相当するおおきさのエリアであって、撮像部39a〜39cは撮像カメラ19による撮像の対象となるエリアであり、塗布部40a,40bは塗布ヘッド15による塗布の対象となるエリアである。なお、ここでは、5本のスクライブ29を1グループとし、各部分エリアで1グループ分ずつのスクライブ29が含まれているものとする。
【0052】
図6(a)は図5のステップ110からステップ130までの処理動作を示すものであって、塗布対象エリアの最初の部分エリアが撮像部39aとなるものである。
【0053】
この撮像部39aにおいて、塗布ヘッド15の横に設置した撮影カメラ19でもって、最初の部分エリアでのスクライブ29を撮像し、その位置を求める。この撮像は、撮影カメラ19を、塗布ヘッド15とともに、Y軸方向に移動させることによって行なわれる。
【0054】
この撮像が終了し、次に、この最初の部分エリアで塗布を行なうために、塗布ヘッド15を最初に塗布対象となる部分エリアの方向(X軸方向)に移動させるが、この移動中、撮影カメラ19で撮像した撮像部39aとしての最初の部分エリアでのスクライブ29の撮像データを画像処理して、最初に塗布予定の部分エリア(即ち、撮像部39aとなった部分エリア)のスクライブ29の位置の補正値を算出し、この最初に塗布対象となる部分エリアで塗布を行なう際の塗布ヘッド15の移動中の位置の補正する補正データを求める。
【0055】
塗布ヘッド15がX軸方向に移動して、撮像部39aにあった最初の部分エリアを塗布開始する位置に達すると、図6(b)に示すように、この最初の部分エリアが塗布部40aとなり、2番目の部分エリアが次の撮像部39bとなる。かかる状態で塗布ヘッド15による塗布動作(図5のステップ150)を始めると、この塗布ヘッド15がY軸方向へ移動して塗布が行なわれるが、これとともに、上記のようにして得られた補正データにより、塗布ヘッド15のX軸方向の位置が調整され、これにより、塗布ヘッド15はこの最初の部分エリアのスクライブ29に沿って正しく塗布することになる。
【0056】
また、撮像部39bにおいて、撮影カメラ19で撮像部39bとしての2番目の部分エリアでのスクライブ29を撮像してその位置を求める。そして、この塗布部40aでの最初の部分エリアの塗布動作が終了し、塗布ヘッド15をこの2番目の部分エリアの方向(X軸方向)に移動させるが、その移動中、先に撮像部39bで撮影カメラ19で撮像した撮像データを画像処理して、次に塗布予定の2番目の部分エリアのスクライブ29の位置の補正値を算出し、この2番目の部分エリアで塗布を行なう際に移動する塗布ヘッド15の移動中の位置を補正する補正データを求める。かかる処理は、図5のステップ160からステップ180に該当する。
【0057】
塗布ヘッド15が次に塗布予定の2番目の部分エリアに達すると、図6(c)に示すように、2番目の部分エリアが塗布部41bとなり、さらに次の塗布対象となる3番目の部分エリアが撮像部39cとなる。そして、この2番目の部分エリアでの塗布動作では、塗布ヘッド15がY方向に移動して塗布が行なわれるが、上記のようにして得られた補正データにより、塗布ヘッド15のX軸方向の位置が調整され、これにより、塗布ヘッド15はこの2番目の部分エリアのスクライブ29に沿って正しく塗布することになる。
【0058】
以下、かかる一連の動作が各部分エリア毎に繰り返され、同じ塗布対象エリアでの全てのグループでの塗布が完了すれば、終了(図5のステップ190)となる。
【0059】
次に、図5のステップ120,ステップ170でのずれ量の算出方法を図6(b)及び図7〜図9を用いて説明する。この例では、特に、フィルム1の伸縮や位置決めの影響でX方向のずれ量が顕著となることから、X方向の補正を示す。
【0060】
ここでは、図6(b)のY2位置でスクライブ29を撮像した場合で説明する。線状となっているスクライブ29でのY方向の撮像位置は任意に設定できる。図8の例では、スクライブ29の中間点から算出するものである。この中間点は、図6(b)に示すように、塗布開始予定位置Y1からΔY12だけ離れた位置となる。
【0061】
図7はこのようにして撮影カメラ19で撮像した画像を示す図であって、41はカメラ視野である。
【0062】
同図において、この例では、断面が溝形状の3本のスクライブ29が撮影されている。スクライブ29の位置の算出にあたっては、撮影カメラ19のカメラ視野41内の中央部にウィンドウを設定し、左右と明るさが変化する点の位置を抽出して白部と黒部の境界を算出してもよい。あるいは、図8に示すように、閾値を設定して二値化処理によって、黒物体B1,B2,B3,B4とスクライブ29である白物体W1,W2,W3に分けてもよい。
【0063】
図8において、中間位置の白物体W2に着目して、カメラ視野41のY方向の中間となるLH線との交点を点N2とする。カメラ視野41のX方向,Y方向の中間点はLH線とカメラ視野41のX方向の中間となるLV線との交点である点C(即ち、カメラ視野41の中心点)であって、中心点Cと点N2との間のX方向の距離はΔX2である。中心点Cは設計上での白物体W2、即ち、スクライブ29の位置であり、X方向の距離ΔX2がフィルム1のX方向のずれ量である。また、スクライブ29は直線であるから、LH線と平行な仮想線とスクライブ29との交点を求め、スクライブ29上のこの交点と点N2との位置関係から、LV線に対する白物体W2の傾き角Δθ2を算出することができる。
【0064】
図6(b)から、スクライブ29でのY2位置でのずれ量ΔX2と傾き角Δθ2が算出できるので、塗布開始予定位置Y1のX方向のずれ量は、
ΔX2 + ΔY12・tan(Δθ2
として算出でき、この値を基に位置Y1でのX方向ずれ量を補正することができる。
【0065】
また、スクライブ29での塗布終了予定位置Y3のX方向ずれ量は、
ΔX2 + ΔY23・tan(Δθ2
として算出でき(但し、ΔY23はY2位置から塗布終了予定位置Y3までの距離)、同様に、この値から位置Y3でのX方向ずれ量を補正できる。他の途中の点におけるX方向ずれ量も同様に計算でき、その位置ずれを補正することができる。位置Y1,Y3が夫々塗布開始予定位置,塗布終了予定位置でない場合には、さらに、位置Y1と位置Y3との外側も同様に補正できるようになる。
【0066】
図8に示す例よりもさらにずれ量の算出精度を良くする他の方法を、図9で説明する。但し、図9において、41a,41bはカメラ視野であり、前出図面に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0067】
この方法は、スクライブ29の中間点1点ではなく、その上方と下方の2点から補正値を算出するものであり、図6(b)では、位置Y1と位置Y3の2点である。
【0068】
図9において、スクライブ29の塗布開始予定位置側の1つの位置をY1,塗布終了予定位置側の1つの位置をY3とし、カメラ視野41aは位置補正前の撮像カメラ19で位置Y1が中心点Cとなるように撮像したときのカメラ視野であり、カメラ視野41bは位置補正前の撮像カメラ19で位置Y3が中心点Cとなるように撮像したときのカメラ視野である。位置Y3での撮像は、位置Y1で撮像を終了したカメラ部19をY軸方向に位置Y3まで移動させて行なわれるものである。ここで、フィルム1の伸縮や位置決めの影響でX軸方向のずれ量が顕著であることから、カメラ視野41a,41bでの位置Y1,Y3は視野の中心点からX軸方向にずれることになる。なお、図9においては、その左側にカメラ視野41a,41bを夫々拡大して示している。
【0069】
撮影カメラ19で撮像したカメラ視野41a,41b夫々において、その画像から中間の白物体W2(スクライブ29)に着目して、撮影カメラ19のカメラ視野41a,41b夫々内のY方向の中間となるLH線とこの白物体W2の位置Y1,Y3側の交点を夫々点N1,N3とし、これらカメラ視野41a,41bの中心点Cから点N1,N3までのX方向の距離を夫々ΔX1,ΔX3とする。中心点Cは設計上でのスクライブ29の中心位置であるから、距離ΔX1,ΔX3がフィルム1の夫々の点でのX方向のずれ量となる。撮影カメラ19での撮像時に、位置Y1と位置Y3との2点間の距離である(ΔY12+ΔY23)の値は決まっていることから、ずれ量ΔX1,ΔX3を基にした位置X1,X3の位置も算出可能であり、塗布対象となるスクライブ29のY軸方向に対する傾き角Δθ13も算出することができる。
【0070】
同様にして、位置Y1と位置Y3との間の各位置でのX方向のずれ量を補正できるようになる。さらに、位置Y1と位置Y3の外側も、仮想線を想定して計算、補正することができるようになる。
【0071】
図8に示すY2位置1点で撮像した結果から傾き角Δθ2を求める場合には、撮影カメラ19の視野内のY方向で数mmであるの対して、図9に示す位置Y1と位置Y3との2点を撮像する場合には、これら2点間の距離が圧倒的に大きいことから、傾き値ΔθΙ3の精度が格段に向上する。
【0072】
図10は本発明によるインクジェット塗布装置及び方法の第2の実施形態における塗布状態を示す斜視図であって、42a,42bは位置決めマークであり、図1に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
【0073】
同図において、フィルム1の各塗布対象エリア毎に、その一方側に位置決めマーク42aが、その他方側に位置決めマーク42bが夫々設けられており、これを撮影カメラ19で撮影し、画像処理によって、塗布部に固定したフィルム1の全体の固定位置を把握する。これにより、フィルム1を巻き出した状態のずれ量が把握できるため、次に撮影カメラ19でスクライブ29を撮影するときに、カメラ視野のより中心よりにスクライブ29を撮影できることで、カメラ分解能も大きくでき、より正確な塗布位置への位置決めが可能となる。
【0074】
図11はこのときの処理手順を示すフローチャートであって、図5に対応するステップには、同一の符号をつけて重複する説明を省略する。
【0075】
同図において、図5に示した第1の実施形態における処理の流れとの違いは、処理の最初のステップとして、塗布ヘッドに取り付けた撮像カメラ19でフィルム1上の塗布対象エリアの前後に設けられた位置決めマーク42a,42bを撮像し、画像処理を行なってフィルム1全体のX軸方向の位置ずれ量を算出するステップ105の処理を追加したことである。このステップ105の処理により、第1の目的としては、Y方向のずれ量を補正するものであって、位置決めマーク42a,42bの位置からスクライブ29の端部のY方向の位置ずれを算出する。フィルム1内では、位置決めマーク42a,42bの位置とスクライブ29の位置との相対的な位置関係がほぼ一定であることを利用している。第2の目的としては、X方向のずれ量を補正するものである。これは、フィルム1の塗布部17(図2)での塗布対象エリアのX軸方向のずれ量が得られるものであり、同じ塗布対象エリアでの各部分エリアでのX軸方向のずれ量を補正するのに用いるものである。
【0076】
即ち、図5でのステップ130に代わってステップ135の処理が行なわれるが、このステップ135において、同じ塗布対象エリアでの最初の部分エリアに対して、ステッ120,130の処理によって得られた補正値にステップ105で得られた位置ずれ量を加味して、塗布ヘッド15の位置ずれを補正するものである。具体的には、塗布対象エリアで塗布動作を行なう場合、まず、ステップ105で得られたフィルム1全体のX方向の補正値を基に、塗布ヘッド15を正しく塗布対象エリアの位置に移動させ、この塗布対象エリアで塗布を行なうときに、その各部分エリアで図6(b),図8で得られた補正値や図9で得られた補正値を基に、塗布ヘッド15をスクライブ29に沿って移動させるものである。
【0077】
同様にして、同じ塗布対象エリアの2番目以降の部分エリアに対しても、図5に示すステップ180に代わってステップ185の処理が行なわれるものであって、このステップ185においても、ステッ160,170の処理によって得られた補正値にステップ105で得られた位置ずれ量を加味して、塗布ヘッド15の位置ずれを補正するものである。
【0078】
以上のように、スクライブ29の位置を撮像して、次に塗布すべき部分エリアのスクライブ29の位置ずれに対して、これを補正するように塗布ヘッド15の位置を補正することにより、インクジェット塗布ヘッドのノズル孔から正しい位置に液滴を射出できるようになり、フィルムの塗布品質が向上するが、これに加えて、フィルム全体の位置ずれを加味して補正することにより、塗布品質はさらに向上する。
【符号の説明】
【0079】
1 フィルム
2 巻出側フィルムロール
3 巻取側フィルムロール
4,5 ガイドロール
6,7 昇降ガイドロール
8,9 吸着バー
10 吸着テーブル
11 巻出側軸モータ
12 巻取側軸モータ
13,14 フィルム押えバー
15 塗布ヘッド
16 巻出部
17 塗布部
18 巻取部
19 撮影カメラ
20 X軸駆動手段
21 Z軸駆動手段
22 Y軸駆動手段
23 Y軸ガントリ
24 Y軸ステージ
25 ポリイミドフィルム層
26 CIGS薄膜層
27 バッファ層
28 透明電極層
29 スクライブ
30 真空バルブ
31 レギュレータ
32 バルブユニット
33 エアシンリンダ
34 USBメモリ
35 ハードディスク
36 制御ユニット
36a マイクロコンピュータ
36b データ通信バス
36c 外部インターフェース
36d 塗布ヘッドコントローラ
36e 画像処理コントローラ
36f モータコントローラ
37 モニタ
38 キーボード
36gx X軸ドライバ
36gy Y軸ドライバ
36gz Z軸ドライバ
37 モニタ
38 キーボード
39a〜39c 撮像部
40a,40b 塗布部
41,41a,41b カメラ視野

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状のフィルムを巻き出して搬送する上流側のガイドロールと、巻き出された該フィルムを吸着保持する吸着テーブルと、該吸着テーブルに吸着保持された該フィルム上に液状の塗布材を塗布する塗布ヘッドと、塗布材が塗布された該フィルムを搬送してロール状に巻き取る下流側のガイドロールとからなるインクジェット塗布装置において、
該塗布ヘッドに隣接して撮像カメラを設置し、該塗布ヘッドと該撮像カメラは設置位置が一体となって塗布ヘッドユニット部を形成し、
該塗布ヘッドユニットは、該吸着テーブルの上方において、3次元的に移動可能なXYZ軸方向駆動手段によって移動され、
該塗布ヘッドによる塗布動作中に該撮像カメラで次に塗布する位置を予め撮像し、
該撮像カメラによる撮像結果を画像処理手段で処理することによって当初設定された塗布位置とのずれ量を補正して、次に塗布する位置への該塗布ヘッドを移動させる
ことを特徴とするインクジェット塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェット塗布装置において、
前記塗布ヘッドユニット部は複数組であり、
前記XYZ軸方向駆動手段は、前記フィルムの幅方向となるY軸方向を共通化して全ての塗布ヘッドユニット部が動作し、前記フィルムの長手方向となるX軸方向と高さ方向となるZ軸方向については、塗布ヘッドユニット部毎に個別に移動可能である
ことを特徴とするインクジェット塗布装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のインクジェット塗布装置において、
前記フィルムの塗布位置には、位置決め用マークが設けられており、
巻き出された前記フィルムを吸着保持した状態で該位置決め用マークを前記撮像カメラによって撮像し、
該フィルムの吸着保持の位置ずれ量も合わせて補正して、次に塗布する位置への該塗布ヘッドを移動させる
ことを特徴とするインクジェット塗布装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のインクジェット塗布装置において、
前記撮像カメラで予め撮像する塗布位置の形状が線状の溝形状断面であることを特徴とするインクジェット塗布装置。
【請求項5】
ロール状のフィルムを巻き出して搬送する上流側のガイドロールと、巻き出された該フィルムを吸着保持する吸着テーブルと、該吸着テーブルに吸着保持された該フィルム上に液状の塗布材を塗布する塗布ヘッドと、塗布材が塗布された該フィルムを搬送してロール状に巻き取る下流側のガイドロールとからなるインクジェット塗布装置において、
該塗布ヘッドに隣接して撮像カメラを設置し、該塗布ヘッドと該撮像カメラは設置位置が一体となって塗布ヘッドユニット部を形成し、
該塗布ヘッドユニットは、該吸着テーブルの上方において、3次元的に移動可能なXYZ軸方向駆動手段によって移動され、
該XYZ軸方向駆動手段は、該フィルムの幅方向となるY軸方向を共通化して全ての塗布ヘッドユニット部が動作し、該フィルムの長手方向となるX軸方向と高さ方向となるZ軸方向については、該塗布ヘッドユニット部毎に個別に移動可能であり、
該フィルムの塗布位置には、位置決め用マークが設けられ、
巻き出された該フィルムを吸着保持した状態で該位置決め用マークを該撮像カメラによる撮像結果を画像処理手段で処理することによって該フィルムの吸着保持の位置ずれ量を算出し、
さらに、該塗布ヘッドによる塗布動作中に該撮像カメラで次に塗布する位置を予め撮像して該撮像カメラによる撮像結果を画像処理手段で処理することによって当初設定された塗布位置とのずれ量を算出し、
前記吸着保持の位置ずれ量と前記塗布位置ずれ量を共に補正して、次に塗布する位置への該塗布ヘッドを移動させる
ことを特徴とするインクジェット塗布方法。
【請求項6】
請求項5に記載のインクジェット塗布方法において、
前記設定された塗布位置とのずれ量を算出は、前記フィルムの長手方向の位置と前記フィルム上の塗布方向傾き値を基に算出することを特徴とするインクジェット塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−143390(P2011−143390A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8270(P2010−8270)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】