説明

インクジェット方式を利用したオフセット印刷方法およびそれによる印刷体

【課題】 インクジェット方式によるオフセット印刷方法およびそれによる印刷体。
【解決手段】 UVインキを使用したインクジェットにより平面原板にUVインキ画像を印刷する第1工程と、前記UVインキ画像を印刷しながら、または印刷直後にUVまたは電子ビームによる照射を行いUVインキ画像を半乾燥状態とする第2工程と、該半乾燥状態のUVインキ画像を弾性ブランケット表面に写しとる第3工程と、該弾性ブランケットに写しとった前記UVインキ画像を被印刷体にオフセット印刷する第4工程と、前記オフセット印刷されたUVインキ画像を乾燥定着する工程とを有し、前記UVインキは、第1工程における粘度が30℃にて3〜100mPaS、第2工程における粘度が、標準UVインキ25℃にて0.1〜300PaS相当粘度であるオフセット印刷方法、およびそれによる印刷体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、インクジェット方式を利用したオフセット印刷法、およびそれによる印刷体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷技術は世紀以前より連綿と引き継がれて発達してきたが、近年特にIC技術の発展と共に、コンピュータ時代に則した印刷法としてインクジェット方式による印刷法が発達し、各種の複写器等に用いられるようになってきた。
また、このインクジェット方式の内でも、必要時のみにインキを噴射するオンデマンド方式のものは、刻々の画面情報により噴射条件を制御し印刷するものであり、印刷画像そのものの情報ばかりでなく、印刷すべき被印刷体の形状の変化情報をも同時にコントロールすることも可能であり、曲面への印刷方式としても極めて有望なもと思われる。
【0003】
しかしながら、この印刷精度の良いインクジェット方式も現時点ではその印刷対象は、主として紙や繊維であり、これを印刷対象が広範囲に亘る一般的なオフセット印刷に適用するためには多くの問題点が潜在している。特に、印刷インキ、すなわち一般的なオフセット印刷に適するような性状をも加味されたインクジェット用のインキについては、オフセット印刷とインクジェットにおけるインキの要求性能が異なっているため、その選択が難しく、これを解決すべく色々な研究が行われている。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開平10−235989号公報
【0004】
また、一方近年のインクジェット方式では、その画質を向上させるために最大解像度が増され、これに対応するためにインキの噴射粒子を極限に小さくすることが要求されている。このためインクジェット方式に使用されるインキは、一般には水性タイプの、しかも助剤としてエチレングリコール等の界面活性剤を含くむ極めて粘度の低い(0.1〜1Poise程度)、浸透性の高いものを要求されており、益々一般的なオフセット印刷用インキ性能とのギャップが開く傾向となっている。
【0005】
一方、被印刷体の少なくとも印刷されるべき面が、ゴムやプラスチックや金属等の多種に亘るオフセット印刷の場合は、インキには、その印刷表面に十分定着することが必要となり、また平面原版からオフセット用の平面や曲面の印刷用弾性ブランケットにより中間転写され、さらに、その中間転写されたものを最終の被印刷物に転写定着させるという、複数の条件を満たす性状が必要であり、現在のインクジェット方式用のインキや被印刷体の紙や繊維を対象とした材料、表面条件にとっては、必ずしもこれに適しているとは言えない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、インクジェット方式も、これをオフセット印刷に適用するためには多くの問題点が潜在している。特に、使用する印刷インキの問題は重要であり、インクジェットのヘッドチップにおいて保持タンクよりキャビティを圧出してインキをノズルより噴出させる工程では、その容量と時間系との兼ね合いから使用インキは極めて粘性の低いものが要求される、一方、平版原板より、中間のブランケット(または、パッド)への転写、さらに最終印刷体への印刷転写、定着が好ましい状態で移行できることが要求されることとなり、この相反する条件を満足する形での印刷インキ仕様、印刷方法がこのポイントとなり、その好ましいものの実現が強く求められていた。
本願発明は、これらの要求に応えるものとして、基本的に従来の原版製作工程、設備を大幅に変更することなしに、極めて容易で、且つ、経済的なインクジェットを利用したオフセット印刷方法、およびそれによる印刷体を提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のオフセット印刷方法は、
1)UVインキを使用したインクジェットにより平面原板にUVインキ画像を印刷する第1工程と、前記UVインキ画像を印刷しながら、または印刷直後にUVまたは電子ビームによる照射を行いUVインキ画像を半乾燥状態とする第2工程と、該半乾燥状態のUVインキ画像を弾性ブランケット表面に写しとる第3工程と、該弾性ブランケットに写しとった前記UVインキ画像を被印刷体にオフセット印刷する第4工程と、オフセット印刷されたUVインキ画像を乾燥定着する工程とを有するものである。
【0008】
2)上述1)において、前記弾性ブランケットを、平面弾性ブランケットとしたものであり、
3)上述1)において、前記弾性ブランケットを、曲面弾性ブランケットまたはロール状弾性ブランケットとしたものであり、
4)上述1)〜3)において、前記第1工程におけるUVインキは、粘度が30℃にて3〜100mPaSであり、
5)上述1)〜3)において、前記第2工程における半乾燥状態のUVインキの粘度が、標準UVインキ25℃にて0.1〜300PaS相当粘度であり、
6)上述1)〜5)において、前記第2工程におけるUVインキへの照射条件を、出力Wが0.1〜0.5KW/cm、照射時間tが0.5〜5secとし、前記印刷されたUVインキ画像が半乾燥状態となる条件としたものであり、
7)上述1)〜5)において、前記第2工程におけるUVまたは電子ビームの照射条件は、実用的尺度として通常のUVインキによる印刷画像の乾燥照射条件の1/2〜1/3としたものであり、
8)上述1)〜7)において、前記弾性ブランケット材料をシリコーンラバーとしたものであり、
9)上述1)〜8)において、前記インクジェットに使用するインキを導電性インキまたは有機ELを含むインキとしたものである。
【0009】
また、本願発明の印刷体は、
10)上述1)〜9)のいずれかに記載のインクジェット方式を利用したオフセット印刷方法により表面印刷されたものであり、
11)上述の10)において、前記印刷体を自動車部品としたものであり、
12)上述の10)において、前記印刷体を自動車用のハンドルまたは内外装部材としたものであり、
13)上述の10)において、前記印刷体を電子機器の外装部材または内装部材としたものであり、
14)上述の13)において、前記電子機器の外装部材を携帯電話器の外装部材としたものであり、
15)上述の13)において、前記電子機器の内装部材が電気回路を構成するものであり、
16)上述の13)において、前記印刷体を装飾品としたものであり、
17)上述の13)において、前記装飾品をメガネフレームとしたものであり、
18)上述の10)において、前記印刷体をアンテナとしたものであり、
19)上述の10)において、前記印刷体を有機EL体としたものであり、
20)上述の10)において、前記印刷体を電磁波シールド体としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、印刷原板にインクジェット方式による画像を印刷原版としオフセット印刷による曲面等を有する被印刷体に印刷することを可能としたものであり、これにより平面を初め曲面への多様性に富む印刷画像を印刷する印刷方法を提供することができ、従来に比較して精密な多様性に富む印刷体を提供し得るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、上記のごとく、印刷精度と印刷の多様性に著しい向上が見られるインクジェット方式印刷による印刷原板を利用してオフセット印刷をするものであり、ポイントはインクジェット印刷とオフセット印刷に各求められる好ましい印刷インキ性状にある。
本発明人は、紫外線硬化型インキ(以下、UVインキという)を使用し、所定の条件を設定することにより、上記インクジェット方式を利用したオフセット印刷が容易に、且つ経済的になし得るとの知見を得たものである。
【0012】
図1は、本願発明の印刷方法の内容を示す工程流れ図である。
OP1は、インクジェット方式による平面原版への印刷画像作成工程、OP2は、OP1による原版上への画像印刷をしながら、または印刷直後にUVランプまたは電子ビーム照射により前記印刷画像のUVインキを半乾燥(半硬化)する半乾燥(半硬化)処理工程、OP3は、前記印刷原版に施された半乾燥(半硬化)印刷画像を弾性ブラケットに写しとる転写処理工程、OP4は、印刷画像を写しとった弾性ブランケットを移動し被印刷体へ前記画像を印刷するオフセット印刷工程、OP5は、オフセット印刷された印刷画像のUVインキを乾燥定着させる乾燥定着処理工程である。
【0013】
図2は、図1に記載の各工程を実際作業として説明するための説明図である。
図3は、図2が円筒状形状を有する弾性ブランケットの場合の説明図であるのに対して、被印刷体が曲面を有する場合で、その被印刷体曲面に対応した曲面により構成された曲面弾性ブランケットの場合の説明図である。
すなわち、図2は被印刷体2が平面または平面的曲面であり、また弾性ブランケット5が円筒状であり、弾性ブランケットによる画像インキの転写は弾性ブランケット5の転動により行なわれる場合を示している。また、図3は、その被印刷体20が曲面を有する場合である。
図において、1は印刷原版、2は被印刷体、20は曲面を有する被印刷体、3はインクジェット印刷装置、31は、インクジェット印刷装置およびそれに連動する照射硬化装置のための送り装置(動力部は省略されている)、4はインクジェット装置と連動し所定の照射条件にて照射するUVランプまたは電子ビームの照射硬化装置、5は円筒状弾性ブランケット、50は曲面弾性ブランケット、51は該円筒状弾性ブランケットの原版上より被印刷体への移動軌跡、501は該曲面弾性ブランケットの原版上より被印刷体への移動軌跡、502は原版における画像を原版より加圧転写する状態を示す曲面弾性ブランケット、503は曲面を有する被印刷体上での曲面弾性ブランケットによる被印刷曲面体への印刷状態を示す曲面弾性ブランケット、6はUVインキ定着装置(1)、60はUVインキ定着装置(2)、61はUVインキ定着装置(1)の支持送り装置(イ)、601はUVインキ定着装置(2)の支持送り装置(ロ)、Bはセッティングベース、B1はUVインキ定着用ベースである。
【0014】
図4は、インクジェットに使用した場合のUVインキの粘度による適応性(噴射確度)、及び弾性ブランケットに対するUVインキの粘度による転写効率(転写確度)を実験した1例を示す、横軸を対数で表した線図である。前者はコンピュータインプットデータに対する画像精度を、また後者はシリコンゴム平面ブランケットに対する転写精度を比較測定した。
図において、AはインクジェットにおけるUVインキ粘度と噴射精度(確度)の関係、BはUVインキ粘度と弾性ブランケットへの転写効率(確度)との関係を示す。
後者の適正粘度範囲は前者の適応粘度範囲の102 〜104 オーダーの倍率差があり、後者の適応範囲の巾は前者に較べて可成り広く採り得ることがわかる。
【0015】
以下、本発明の内容を詳述する。
予めセッティングベースB上に移動可能に印刷原版1をセットする。印刷原版1はアルミ合金製の薄平板であり、「ガラ受けシート」とよばれる、UVインキとの保持性、親和性に富むシート材を使用することもできる。
インクジェット印刷機3は、通常のラインヘッドチップを有し、ノズル密度20〜150npi程度のものが好ましく、コンピュータ制御により画像を作成する。
通常のインクジェット方式の印刷では、主として水性の低粘度インキを使用しているが、本発明では、特に所定粘度を有する比較的乾燥硬化時間の遅いUVインキを使用するところに特徴がある。
【0016】
インクジェット印刷機3に供給するUVインキとしては、各メーカーで色々な種類のものを市場に出しているが、本発明においては実験の結果、所定粘度が30℃にて3〜100mPaSとなるように調整されることが望ましい。アクリレ−ト系光重合性樹脂をベースとするが、比較的光重合開始剤の少ない、また粘度を下げるためのレジューサーを10%以下で添加した2液型のもを使用することが好ましい。
本発明では、通常のインクジェット印刷機3に使用するインキには、即乾性を要求されるのに対し、工程中においてUVインキが半乾燥(半硬化)状態を維持する条件を或る所定時間ゆっくり与えられることが必要である。
【0017】
また、本発明の第2のポイントは、インクジェット印刷機3による印刷をしながら、または印刷直後に、該UVインキを弾性ブランケット5、50への保持性また原版よりの離型性にバランスの採れた形の半乾燥(半硬化)状態のインキ性状にするところにある。
すなわち、インクジェット印刷機3のヘッドチップより噴射されるインキの仕様は、それを弾性パッドに転写する場合のインキ仕様とは異なり、これは一義的には粘度の差をもってその仕様差に適用することができる。
【0018】
前記のごとく、UVインキは半乾燥(半硬化)状態を維持する条件を、或る所定時間ゆっくりと与えられることが必要であるところから、UVインキ自体の性状を光重合開始剤を減らす等により調整すること、また、インクジェットによる原版印刷後のUVまたは電子ビームによる乾燥(硬化)のための照射条件をゆるやかなものとすることが好ましい。
【0019】
実験の結果、実用的には弾性ブランケット5、50、特にはシリコーンラバー製弾性ブランケットの表面への転写可能なUVインキの粘度限界は、実験の結果より0.1PaS以上、300PaS以下であることがわかった。0.1PaS未満ではインキにじみによる版の汚れが生じ、また300PaSを越えると弾性ブランケット表面への精度ある転写が難しくなる。
したがって、半乾燥(半硬化)状態におけるUVインキの相当粘度は、0.1PaS以上、300PaS以下とすることが望ましい。
また、実際の作業条件においては、実用的尺度として、UVまたは電子ビームの照射条件を、通常のUVインキによる印刷画像の乾燥照射条件の約1/2〜1/3程度とすることにより半乾燥(半硬化)状態を得ることができる。
【0020】
半乾燥(硬化)状態を安定的に得るためには、乾燥(硬化)のためのUVまたは電子ビームの照射エエネルギを絞ることが必要である。出願人の多くの実用試験の結果、送り速度V0.5cm/secで照射条件は、出力Wが0.1〜0.5KW/cm、照射時間tが0.5〜5secとして選択することにより、前記印刷されたUVインキ画像が安定的に半乾燥状態となる知見を得た。基本的には、比較的に出力Wを小さくするか、照射距離を離すことにより照射時間tを多くとることを可能とし、半乾燥(半硬化)状態をより安定的に得ることができる。
【0021】
図1のOP3の工程により、インクジェットにより印刷され、即、半乾燥(硬化)状態にされた画像を原版より弾性ブランケットに転写する。またOP4において、弾性ブランケット5、50を原版1上から被印刷体2上に移動軌跡51、501を経て移動し、被印刷体2、20に印刷する。
弾性ブランケット5、50およびこの間のUVインキの仕様については、本出願人の出願になる特開平10−235989号「インクジェット方式によるオフセット印刷方法」、特許第3166069号「曲面への印刷方法」を参考にすることができる。
【0022】
図1、OP5において被印刷体に印刷されたUVインキは、UVまたは電子ビーム6,60により乾燥定着される。この場合実作業的には、OP1〜4のタイミングとOP5のタイミングの差が生じるため、印刷された被印刷体をセッティングベースBより別途UVインキ定着用ベースB1に移すことにより、バランスの採れたUVまたは電子ビーム6,60による乾燥定着を得ることができる。勿論、セッティングベースB上において乾燥定着することを妨げるものではない。
【0023】
本発明のインクジェットに使用するインキを、上記インキ仕様条件を逸脱しない範囲で導電性インキまたは有機ELを含むインキとすることができる。導電性インキまたは有機ELを含むインキを使用することにより、被印刷体に印刷された印刷画像を電磁波エネルギー処理装置、特にアンテナや電磁波遮断用部材に使用することができる。また、IC用の配線基盤へ適用することもできる。
この場合、最終印刷画像における電磁粉体の仕様については、本出願人の出願になる特開2004−055566号、特開2003−306792号の内容を準用することができる。
【実施例1】
【0024】
被印刷体:200mm×200mm×1mm ポリプロピレン板
弾性ブランケット:材料 シリコーンゴム
円筒型弾性ブランケット 70mmφ(芯金20mmφ)×250mm(L)
印刷原版:300mm×300mm×1mm Al合金(表面粗さ1.5s)
印刷画像:線幅0.5±0.02mm、格子間隔5±0.3mm標準格子模様
インクジェット印刷機:SONY DPPdpp−MP1ヘッドチップ搭載
UVインキ:東洋インキ インクジェット用FDSSシリーズ(色彩193赤)
移動速度V;5mm/sec
印刷機:水平移動式3ステージ型ブランケット印刷機(SHUHO−3型)
半乾燥(半硬化)条件:
照射ランプ;メタルハライドランプ1.5KW
照射距離H;50mm
移動速度V;5mm/sec
乾燥定着条件:
照射ランプ;メタルハライドランプ3KW(M03−L31)
照射距離H;200mm
照射時間t;1sec
【0025】
インクジェット印刷機3により印刷原板1上に、移動速度Vを5mm/secとして上記印刷画像を印刷した。また、インクジェット印刷機に連動するメタルハライドランプ(1.5KW)4により印刷即後に半乾燥(半硬化)処理を行った。当初照射距離Hを30mmとしたが乾燥(硬化)され過ぎて転写が思わしくないため、50mmとした。円筒型弾性ブランケット5による転写を確認後、被印刷体2上にオフセット印刷した。乾燥定着後印刷画像面を目視およびLupe(倍率×20)により印刷状態を観察した。
結果、印刷原版よりの転写はほぼ完璧に転写されており、また、被印刷体へのオフセット印刷も十分なものであることを確認した。
【実施例2】
【0026】
被印刷体:50mmR ×底面80mmφ×高さ20mm ポリプロピレン椀状体
弾性ブランケット:
曲面弾性ブランケット; 材料 シリコーンゴム
底面120mmφ×高さ37mm×主曲率半径100mmR×偏芯量20mm
×頂部20mmR(有効底面90mmφ×有効高さ22mm)椀状錘体
印刷原版:200mm×200mm×1mm Al合金(表面粗さ1.5s)
印刷画像:線幅0.5±0.02mm、格子間隔5±0.3mm標準格子模様
インクジェット印刷機:SONY DPPdpp−MP1ヘッドチップ搭載
UVインキ;東洋インキ インクジェット用FDSSシリーズ(色彩193赤)
移動速度V;5mm/sec
印刷機:水平移動式3ステージ型ブランケット印刷機(SHUHO−3型)
半乾燥(半硬化)条件:
照射ランプ;メタルハライドランプ1.5KW
照射距離H;50mm
移動速度V;5mm/sec
乾燥定着条件:
照射ランプ;メタルハライドランプ1.0KW×4
照射距離H;200mm
照射時間t;1sec
【0027】
インクジェット印刷機3により印刷原板1上に、移動速度V5mm/secにて上記印刷画像を印刷した。インクジェット印刷機に連動するメタルハライドランプ(1.5KW)4により印刷即後に半乾燥(半硬化)処理を行った。照射距離Hは50mmとした。
曲面弾性ブランケット50による転写を確認後、被印刷体20上に移動軌跡501により移動しオフセット印刷した。印刷された被印刷体20をセティングベースBよりUVインキ定着用ベースB1に移し、UVインキ定着装置(2)60により上記乾燥定着条件により乾燥定着処理を行った。
UVインキの乾燥定着後印刷画像面を目視およびLupe(倍率×20)により印刷状態を観察した。
結果、印刷原版よりの転写も十分に転写されており、また、被印刷体へのオフセット印刷精度も十分なものであることを確認した。
【0028】
なお、上記実施例1および2は実施例の各1例を示すものであり、各仕様についてはこれに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本願発明のインクジェット方式を利用したオフセット印刷法は、一般的な曲面をゆうする被印刷体への印刷を精度良く、且つ経済的に行うことを可能とし、IC関連機器、自動車用部品、装飾品等広範囲の被印刷体への適用が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の印刷方法の内容を示す工程流れ図である。
【図2】図1における、各工程を実際作業として説明するための説明図である。
【図3】被印刷体が曲面を有し、曲面弾性ブランケットを使用した場合の説明図である。
【図4】UVインキの粘度によるインクジェット適応性(噴射確度)、及び弾性ブランケットへの転写効率(転写確度)の関係を示す線図である。
【符号の説明】
【0031】
1 印刷原版、2 被印刷体、20 曲面を有する被印刷体、3 インクジェット印刷装置、31 インクジェット印刷装置およびそれに連動する照射硬化装置のための送り装置(動力部は省略されている)、4 UVランプまたは電子ビームの照射硬化装置、5 円筒状弾性ブランケット、50 曲面弾性ブランケット、51 円筒状弾性ブランケットの原版上より被印刷体への移動軌跡、501 該曲面弾性ブランケットの原版上より被印刷体への移動軌跡、502 加圧転写状態を示す曲面弾性ブランケット、503 印刷状態を示す曲面弾性ブランケット、6 UVインキ定着装置(1)、60 UVインキ定着装置(2)、61 UVインキ定着装置(1)の支持送り装置(イ)、601 UVインキ定着装置(2)の支持送り装置(ロ)、B セッティングベース、B1 UVインキ定着用ベース、 OP1 インクジェット方式による平面原版への印刷画像作成工程、OP2 UVインキの半乾燥(半硬化)処理工程、OP3 弾性ブラケットへの転写処理工程、OP4 被印刷体へのオフセット印刷工程、OP5 UVインキの乾燥定着工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式を利用したオフセット印刷方法であって、UVインキを使用したインクジェットにより平面原板にUVインキ画像を印刷する第1工程と、前記UVインキ画像を印刷しながら、または印刷直後にUVまたは電子ビームによる照射を行いUVインキ画像を半乾燥状態とする第2工程と、該半乾燥状態のUVインキ画像を弾性ブランケット表面に写しとる第3工程と、該弾性ブランケットに写しとった前記UVインキ画像を被印刷体にオフセット印刷する第4工程と、前記オフセット印刷されたUVインキ画像を乾燥定着する工程とを有することを特徴とするインクジェット方式を利用したオフセット印刷方法。
【請求項2】
前記弾性ブランケットが、平面弾性ブランケットであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット方式を利用したオフセット印刷方法。
【請求項3】
前記弾性ブランケットが、曲面弾性ブランケットまたはロール状弾性ブランケットであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット方式を利用したオフセット印刷方法。
【請求項4】
前記第1工程におけるUVインキは、粘度が30℃にて3〜100mPaSであること特徴とする請求項1乃至3項に記載のインクジェット方式を利用したオフセット印刷方法。
【請求項5】
前記第2工程における半乾燥状態のUVインキの粘度が、標準UVインキ25℃にて0.1〜300PaS相当粘度であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット方式を利用したオフセット印刷方法。
【請求項6】
前記第2工程におけるUVインキの照射条件は、出力Wが0.1〜0.5KW/cm、照射時間tが0.5〜5secであり、前記印刷されたUVインキ画像が半乾燥状態となる条件であることを特徴とする求項1乃至5項に記載のインクジェット方式を利用したオフセット印刷方法。
【請求項7】
前記第2工程におけるUVまたは電子ビームの照射条件は、実用的尺度として通常のUVインキによる印刷画像の完全乾燥照射条件の1/2〜1/3であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット方式を利用したオフセット印刷方法。
【請求項8】
前記弾性ブランケット材質はシリコーンラバーであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクジェット方式を利用したオフセット印刷方法。
【請求項9】
前記インクジェットに使用するインキが導電性インキまたは有機ELを含むインキであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインクジェット方式を利用したオフセット印刷方法。
【請求項10】
前記請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット方式を利用したオフセット印刷方法により表面印刷された印刷体。
【請求項11】
前記印刷体が自動車部品であることを特徴とする請求項10に記載の印刷体。
【請求項12】
前記印刷体が自動車用のハンドルまたは内外装部材であることを特徴とする請求項10に記載の印刷体。
【請求項13】
前記印刷体が電子機器の外装部材または内装部材であることを特徴とする請求項10に記載の印刷体。
【請求項14】
前記電子機器の外装部材が携帯電話器の外装部材であることを特徴とする請求項13に記載の印刷体。
【請求項15】
前記電子機器の内装部材が電気回路を構成するものであることを特徴とする請求項13に記載の印刷体。
【請求項16】
前記印刷体が装飾品であることを特徴とする請求項10に記載の印刷体。
【請求項17】
前記装飾品がメガネフレームであることを特徴とする請求項16に記載の印刷体。
【請求項18】
前記印刷体がアンテナであることを特徴とする請求項10に記載の印刷体。
【請求項19】
前記印刷体が有機EL体であることを特徴とする請求項10に記載の印刷体。
【請求項20】
前記印刷体が電磁波シールド体であることを特徴とする請求項10に記載の印刷体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−130725(P2006−130725A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320420(P2004−320420)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(000145378)株式会社秀峰 (32)
【Fターム(参考)】