説明

インクジェット記録用水性インク、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置

【課題】 浸透性および蒸発特性に優れたインクジェット記録用水性インクを提供する。
【解決手段】 本発明のインクジェット記録用水性インクは、着色剤、水、浸透剤および界面活性剤を含むインクジェット記録用水性インクであって、前記浸透剤が、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル(A)を含み、前記界面活性剤が、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤(B)を含み、前記(A)と前記(B)との重量比(B/A)が、0.10以上であり、吐出される前記インクの一液滴量を22pL〜28pLの範囲に設定し、普通紙に1ドット線を印字した場合、前記1ドット線の線幅が、115μm〜135μmとなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用水性インク、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット印刷の分野では、普通紙印字において、レーザー印刷並みの印字速度の高速化が求められている。印字速度の高速化を達成するための一つの方法として、普通紙における印字ドット数を減らし、インクの浸透性を高める方法があげられる。
【0003】
前記インクの浸透性は、前記インクに、浸透剤を添加することで高めることができる。例えば、前記浸透剤として、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル(DEGHE)を用いたインクが提案されている(特許文献1〜8)。
【0004】
【特許文献1】特開平1−266173号公報
【特許文献2】特開平3−14881号公報
【特許文献3】特開平4−153279号公報
【特許文献4】特開平8−67840号公報
【特許文献5】特開平11−166144号公報
【特許文献6】特開平11−256087号公報
【特許文献7】特開平11−181341号公報
【特許文献8】国際特許WO00/04103号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記インクに前記DEGHEを多量に添加すると、前記インクの蒸発特性が悪化し、前記インクの固化、着色剤の沈殿、凝集、ひいてはインクジェットヘッドのノズルが目詰まりしやすくなることで、不吐出を生じる原因となる。さらに、前記DEGHEは、水溶性が低いため、充分な浸透力を得るために必要な量をインク中に添加できないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、浸透性および蒸発特性に優れたインクジェット記録用水性インクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のインクジェット記録用水性インクは、
着色剤、水、浸透剤および界面活性剤を含むインクジェット記録用水性インクであって、
前記浸透剤が、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル(DEGHE;(A))を含み、
前記界面活性剤が、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩からなる群から選択される少なくとも一種の界面活性剤(B)を含み、
前記(A)と前記(B)との重量比(B/A)が、0.10以上であり、吐出される前記インクの一液滴量を22pL〜28pLの範囲に設定し、普通紙に1ドット線を印字した場合、前記1ドット線の線幅が、115μm〜135μmとなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明者等は、一連の研究で、インクジェット記録用水性インクにおいて、浸透剤として前記DEGHE(A)を用い、かつ、前記特定の4種類の界面活性剤のうち、少なくとも一種の界面活性剤(B)を含ませ、さらに、前記重量比(B/A)を、0.10以上に設定した。これにより、前記(A)の前記インク中での溶解性が高まり、インクの高い浸透性および良好な蒸発特性を達成できることを見出し、本発明に至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において、「普通紙」とは、例えば、ノートやレポート用紙などに用いられている上質紙や、コーティングがなされていないコピー用紙など、表面に特殊な加工や塗布処理がなされていない紙のことをいう。前記普通紙としては、例えば、Hammermill社製の「Laser Print」;M−real社製の「DATE COPY紙」;XEROX社製の「4200」、「Business」および「Recycled Supreme」;富士ゼロックスオフィスサプライ(株)製の「4200DP PAPER」;(株)リコー製の「マイペーパー」;富士通コワーコ(株)製の「オフィス用紙W」;等があげられる。本発明においては、インクの浸透性の評価のために普通紙を用いているに過ぎず、被記録媒体を普通紙に限定するものではない。
【0010】
本発明において、「インクの撥水性」とは、例えば、前記インクがインクカートリッジ壁面に接した場合、前記インクカートリッジ壁面(表面)にはじかれる前記インクの性質を意味する。前記撥水性が高いほど、前記インクが前記カートリッジ壁面に付着しにくくなる。前記DEGHEを用いたインクは、撥水性が低いため、インクカートリッジ壁面にインクが付着しやすく、インク残量を外側から確認できないという問題およびインクが無駄になるという問題を生じる場合がある。これに対し、本発明のインクは、例えば、後述のように、前記(B)として、特に、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を選択し、前記重量比(B/A)を、0.20以上とすることで、撥水性に優れたものとすることができる。
【0011】
本発明のインクジェット記録用水性インクにおいて、前記インク全量に対する前記(A)の配合量((A)割合)は、3重量%未満であることが好ましい。前記(A)割合を3重量%未満とすることで、前記インクの蒸発特性を、より好適なものにすることができる。前記(A)割合は、より好ましくは、1重量%〜3重量%未満である。前記(A)割合を1重量%〜3重量%未満とすることで、前記インクの浸透性を、より好適なものにすることができる。前記(A)割合は、さらに好ましくは、1重量%〜2.5重量%である。
【0012】
本発明のインクジェット記録用水性インクにおいて、前記(B)が、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩であり、前記重量比(B/A)が、0.20以上であることが好ましい。これにより、撥水性に優れたインクを得ることができる。前記重量比(B/A)は、0.25以上であることがより好ましい。
【0013】
本発明のインクカートリッジは、インクジェット記録用水性インクを含むインクカートリッジであって、前記インクが、本発明のインクジェット記録用水性インクであることを特徴とする。
【0014】
本発明のインクカートリッジは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合合成樹脂(AES樹脂)およびポリスチレン(PS)からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂で形成されていることが好ましく、特に、ポリプロピレン(PP)で形成されていることが好ましい。
【0015】
本発明のインクジェット記録装置は、インクカートリッジおよびインク吐出手段を含み、前記インクカートリッジ中のインクが、前記インク吐出手段から吐出されるインクジェット記録装置であって、前記インクカートリッジが本発明のインクカートリッジであることを特徴とする。
【0016】
つぎに、本発明のインクジェット記録用水性インクについて詳細に説明する。本発明のインクジェット記録用水性インク(以下、単に「インク」と言うことがある)は、着色剤、水、浸透剤および界面活性剤を含む。
【0017】
前記着色剤は、特に限定されず、顔料または染料のいずれであってもよい。また、前記着色剤として、顔料および染料を混合して用いてもよい。
【0018】
前記顔料は、限定されず、例えば、カーボンブラック、無機顔料および有機顔料等が使用できる。前記カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等があげられる。前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄系無機顔料およびカーボンブラック系無機顔料等をあげることができる。前記有機顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ顔料、酸性染料型レーキ顔料等の染料レーキ顔料;ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック昼光蛍光顔料等があげられる。また、その他の顔料であっても水相に分散可能なものであれば使用できる。これら顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、6および7;C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、15、16、17、55、73、74、75、83、93、94、95、97、98、114、128、129、138、150、151、154、180、185および194;C.I.ピグメントオレンジ31および43;C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、12、15、16、48、48:1、53:1、57、57:1、112、122、123、139、144、146、149、166、168、175、176、177、178、184、185、190、202、221、222、224および238;C.I.ピグメントバイオレット196;C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、22および60;C.I.ピグメントグリーン7および36等があげられる。
【0019】
前記顔料は、自己分散型顔料を含んでもよい。前記自己分散型顔料は、例えば、顔料粒子の表面にカルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン基等の親水性官能基およびそれらの塩の少なくとも一種が、直接または多価の基を介して化学結合により導入されていることによって、分散剤を使用しなくても水に分散可能なものである。
【0020】
前記自己分散型顔料は、限定されず、例えば、特開平8−3498号公報、特表2000−513396号公報等に記載の方法によって表面処理された自己分散型顔料を用いることができる。前記自己分散型顔料は、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「CAB−O−JET(登録商標)200」、「CAB−O−JET(登録商標)250」、「CAB−O−JET(登録商標)260」、「CAB−O−JET(登録商標)270」、「CAB−O−JET(登録商標)300」および「CAB−O−JET(登録商標)700」;オリエント化学工業(株)製の「BONJET(登録商標)BLACK CW−1」、「BONJET(登録商標)BLACK CW−2」および「BONJET(登録商標)BLACK CW−3」;東洋インキ製造(株)製の「LIOJET(登録商標)WD BLACK 002C」;等があげられる。
【0021】
前記自己分散型顔料の原料として用いることができる顔料は、限定されず、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。また、前記表面処理を行うのに適した無機顔料としては、例えば、三菱化学(株)製の「MA8」および「MA100」;デグサ社製の「カラーブラックFW200」;等のカーボンブラックがあげられる。
【0022】
前記インク全量に対する前記顔料の配合量(顔料割合)は、限定されず、例えば、所望の光学濃度または色彩等により、適宜決定できる。前記顔料割合は、例えば、0.1重量%〜20重量%であり、好ましくは、1重量%〜10重量%であり、より好ましくは、2重量%〜8重量%である。前記顔料は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0023】
前記染料は、限定されず、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料等があげられる。前記染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック、C.I.ダイレクトブルー、C.I.ダイレクトレッド、C.I.ダイレクトイエロー、C.I.ダイレクトオレンジ、C.I.ダイレクトバイオレット、C.I.ダイレクトブラウン、C.I.ダイレクトグリーン、C.I.アシッドブラック、C.I.アシッドブルー、C.I.アシッドレッド、C.I.アシッドイエロー、C.I.アシッドオレンジ、C.I.アシッドバイオレット、C.I.ベーシックブラック、C.I.ベーシックブルー、C.I.ベーシックレッド、C.I.ベーシックバイオレットおよびC.I.フードブラック等があげられる。前記C.I.ダイレクトブラックとしては、例えば、C.I.ダイレクトブラック17、19、32、51、71、108、146、154および168等があげられる。前記C.I.ダイレクトブルーとしては、例えば、C.I.ダイレクトブルー6、22、25、71、86、90、106および199等があげられる。前記C.I.ダイレクトレッドとしては、例えば、C.I.ダイレクトレッド1、4、17、28、83および227等があげられる。前記C.I.ダイレクトイエローとしては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー12、24、26、86、98、132および142等があげられる。前記C.I.ダイレクトオレンジとしては、例えば、C.I.ダイレクトオレンジ34、39、44、46および60等があげられる。前記C.I.ダイレクトバイオレットとしては、例えば、C.Iダイレクトバイオレット47および48等があげられる。前記C.I.ダイレクトブラウンとしては、例えば、C.I.ダイレクトブラウン109等があげられる。前記C.I.ダイレクトグリーンとしては、例えば、C.I.ダイレクトグリーン59等があげられる。前記C.I.アシッドブラックとしては、例えば、C.I.アシッドブラック2、7、24、26、31、52、63、112および118等があげられる。前記C.I.アシッドブルーとしては、例えば、C.I.アシッドブルー9、22、40、59、93、102、104、117、120、167、229および234等があげられる。前記C.I.アシッドレッドとしては、例えば、C.I.アシッドレッド1、6、32、37、51、52、80、85、87、92、94、115、180、256、289、315および317等があげられる。前記C.I.アシッドイエローとしては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、17、23、25、29、42、61および71等があげられる。前記C.I.アシッドオレンジとしては、例えば、C.I.アシッドオレンジ7および19等があげられる。前記C.I.アシッドバイオレットとしては、例えば、C.I.アシッドバイオレット49等があげられる。前記C.I.ベーシックブラックとしては、例えば、C.I.ベーシックブラック2等があげられる。前記C.I.ベーシックブルーとしては、例えば、C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、24、25、26、28および29等があげられる。前記C.I.ベーシックレッドとしては、例えば、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14および37等があげられる。前記C.I.ベーシックバイオレットとしては、例えば、C.I.ベーシックバイオレット7、14および27等があげられる。前記C.I.フードブラックとしては、例えば、C.I.フードブラック1および2等があげられる。これらの染料は、例えば、鮮明性、水溶性および安定性等の特性に優れる。
【0024】
前記インク全量に対する前記染料の配合量(染料割合)は、限定されず、例えば、0.1重量%〜20重量%であり、好ましくは、1重量%〜10重量%であり、より好ましくは、2重量%〜8重量%である。前記染料は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0025】
前記水は、イオン交換水または純水であることが好ましい。前記インク全量に対する前記水の配合量(水割合)は、所望のインク特性等に応じて適宜決定される。前記水割合は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
【0026】
前記浸透剤は、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル(DEGHE;(A))を含む。前記浸透剤は、例えば、被記録媒体表面上でのインクの乾燥速度を調整する。前記(A)の配合量((A)割合)は、前述のとおりである。
【0027】
前記界面活性剤は、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩からなる群から選択される少なくとも一種の界面活性剤(B)を含む。
【0028】
前記アルキルスルホン酸塩としては、例えば、一般式(1)で表される化合物があげられる。
【化1】

一般式(1)において、Rは、炭素原子数が10〜18の直鎖アルキル基であり、Mは、カウンターイオンとして、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンまたはトリエタノールアミンイオンである。
【0029】
一般式(1)において、前記Rは、炭素原子数が12〜16の直鎖アルキル基であることが好ましく、前記Mは、カウンターイオンとして、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンであることが好ましい。
【0030】
前記アルキルスルホン酸塩は、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、ライオン(株)製の「サンノール(登録商標)LM−1130」;花王(株)製の「エマール(登録商標)0」および「エマール(登録商標)TD」;三洋化成工業(株)製の「サンデッド(登録商標)LMN」;等があげられる。
【0031】
前記アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、例えば、下記式(2)で表される化合物があげられる。
【0032】
【化2】

一般式(2)において、Rは、炭素原子数が10〜18の直鎖アルキル基であり、Mは、カウンターイオンとして、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンまたはトリエタノールアミンイオンである。
【0033】
一般式(2)において、前記Rは、炭素原子数が12〜16の直鎖アルキル基であることが好ましく、前記Mは、カウンターイオンとして、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンであることが好ましい。
【0034】
前記アルキルベンゼンスルホン酸塩は、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、花王(株)製の「ネオペレックス(登録商標)G−25」;ライオン(株)製の「ライポン(登録商標)LH−200」;東邦化学工業(株)製の「ルノックス(登録商標)S−100」;日本乳化剤(株)製の「ニューコール 220L(65)」;等があげられる。
【0035】
前記アルキルカルボン酸塩としては、例えば、下記式(3)で表される化合物があげられる。
【0036】
【化3】

一般式(3)において、Rは、炭素原子数が10〜18の直鎖アルキル基であり、Mは、カウンターイオンとして、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンまたはトリエタノールアミンイオンである。
【0037】
一般式(3)において、前記Rは、炭素原子数が12〜16の直鎖アルキル基であることが好ましく、前記Mは、カウンターイオンとして、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンであることが好ましい。
【0038】
前記アルキルカルボン酸塩は、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、花王(株)製の「FR−15」、「FR−25」、「フレークマルセル(登録商標)」シリーズおよび「KSソープ」等があげられる。
【0039】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、例えば、一般式(4)で表される化合物があげられる。
【化4】

一般式(4)において、Rは、炭素原子数10〜18の直鎖アルキル基であり、xは、1〜4であり、Mは、カウンターイオンとして、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンまたはトリエタノールアミンイオンである。
【0040】
一般式(4)において、前記Rは、炭素原子数が12〜16の直鎖アルキル基であることが好ましく、前記xは、1〜3であることが好ましく、前記Mは、カウンターイオンとして、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンであることが好ましい。特に、前記Mを、カウンターイオンとして、ナトリウムイオンとすれば、より撥水性に優れたインクを得ることができる。
【0041】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、三洋化成工業(株)製の「ビューライト(登録商標)NA−25S」および「サンデッド(登録商標)EN」;花王(株)製の「エマール(登録商標)327」および「エマール(登録商標)20C」;ライオン(株)製の「サンノール(登録商標)NL−1430」;等があげられる。
【0042】
本発明のインクジェット記録用水性インクは、本発明の効果を損なわない範囲で、前記(B)以外の界面活性剤を含んでもよい。前記(B)以外の界面活性剤は、1種類だけ用いてもよいし、2種類以上用いてもよい。
【0043】
本発明のインクジェット記録用水性インクは、さらに、湿潤剤を含むことが好ましい。前記湿潤剤は、例えば、インクジェットヘッドの先端部におけるインクの乾燥を防止する。
【0044】
前記湿潤剤は、限定されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン等のケトン;ジアセトンアルコール等のケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;ポリアルキレングリコール、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;2−ピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等があげられる。前記ポリアルキレングリコールは、限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等があげられる。前記アルキレングリコールは、限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等があげられる。これらの中でも、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好適である。これらの湿潤剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0045】
前記インク全量に対する前記湿潤剤の配合量(湿潤剤割合)は、制限されず、例えば、0重量%〜95重量%であり、好ましくは、10重量%〜80重量%であり、より好ましくは、10重量%〜50重量%である。
【0046】
本発明のインクジェット記録用水性インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等があげられる。前記粘度調整剤は、限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等があげられる。
【0047】
本発明のインクジェット記録用水性インクは、例えば、着色剤、水、浸透剤および界面活性剤と、必要に応じて他の添加成分とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルタ等で不溶解物を除去することにより調製できる。
【0048】
前述のとおり、本発明のインクジェット記録用水性インクは、浸透剤として前記DEGHE(A)が用いられ、かつ、前記特定の4種類の界面活性剤のうち少なくとも一種の界面活性剤(B)を含み、さらに、前記重量比(B/A)が、0.10以上である。これにより、本発明のインクジェット記録用水性インクでは、インクジェットヘッドのノズルから吐出される前記インクの一液滴量を22pL〜28pLの範囲に設定し、普通紙に1ドット線を印字した場合の、前記1ドット線の線幅が、115μm〜135μmという高い浸透性が達成される。さらに、本発明のインクジェット記録用水性インクでは、蒸発特性が優れることは、前述のとおりである。前記重量比(B/A)の上限値は、特に制限されないが、例えば、1である。
【0049】
つぎに、本発明のインクカートリッジについて説明する。前述のとおり、本発明のインクカートリッジは、インクジェット記録用水性インクを含むインクカートリッジであって、前記インクが、本発明のインクジェット記録用水性インクであることを特徴とする。本発明のインクカートリッジの本体としては、例えば、従来公知のものを使用できる。
【0050】
図1に、本発明のインクカートリッジの一例を示す。本例のインクカートリッジには、前記界面活性剤(B)が、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩であり、前記重量比(B/A)が、0.20以上である本発明のインクジェット記録用水性インクが充填されている。図1(A)は、使用開始前(インクジェット記録装置に搭載される前)のインクカートリッジ2aを示し、図1(B)は、インクジェット記録装置のキャリッジ5に搭載された使用途中のインクカートリッジ2aを示す。同図に示すように、本発明のインクカートリッジ2aには、撥水性に優れた本発明のインクジェット記録用水性インクが充填されているので、インクカートリッジ2a壁面にインク30が付着しにくく、インク残量を外側から確認しやすくなり、また、インクを無駄にすることがなくなる。
【0051】
前記インクカートリッジは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ABS樹脂、AES樹脂、ポリスチレン(PS)等の樹脂で形成されていることが好ましく、ポリプロピレン(PP)で形成されていることが特に好ましい。
【0052】
つぎに、本発明のインクジェット記録装置について説明する。本発明のインクジェット記録装置は、インクカートリッジおよびインク吐出手段を含み、前記インクカートリッジ中のインクが、前記インク吐出手段から吐出されるインクジェット記録装置であって、前記インクカートリッジが本発明のインクカートリッジであることを特徴とする。これを除き、本発明のインクジェット記録装置の構成は、例えば、従来公知のインクジェット記録装置と同様であってもよい。
【0053】
図2に、本発明のインクジェット記録装置の一例の構成を示す。図示のとおり、このインクジェット記録装置1は、4つのインクカートリッジ2と、インクジェットヘッド3と、ヘッドユニット4と、キャリッジ5と、駆動ユニット6と、プラテンローラ7と、パージ装置8とを主要な構成部材として含む。
【0054】
前記4つのインクカートリッジ2は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のインクを、それぞれ1色ずつ含む。例えば、前記4つのインクカートリッジ2が、本発明のインクカートリッジである。前記インクジェットヘッド3は、記録紙等の被記録媒体Pに印字を行う。前記ヘッドユニット4は、前記インクジェットヘッド3を備えている。前記キャリッジ5には、前記4つのインクカートリッジ2および前記ヘッドユニット4が搭載される。前記駆動ユニット6は、前記キャリッジ5を直線方向に往復移動させる。前記プラテンローラ7は、前記キャリッジ5の往復方向に延び、前記インクジェットヘッド3と対向して配置されている。
【0055】
前記駆動ユニット6は、キャリッジ軸9と、ガイド板10と、2つのプーリ11および12と、エンドレスベルト13とを含む。前記キャリッジ軸9は、前記キャリッジ5の下端部に配置され、前記プラテンローラ7と平行に延びている。前記ガイド板10は、前記キャリッジ5の上端部に配置され、前記キャリッジ軸9と平行に延びている。前記2つのプーリ11および12は、前記キャリッジ軸9と前記ガイド板10との間であって、前記キャリッジ軸9の両端部に配置されている。前記エンドレスベルト13は、前記2つのプーリ11および12の間に掛け渡されている。
【0056】
このインクジェット記録装置1において、前記プーリ11がキャリッジモータ101の駆動により正逆回転されると、前記プーリ11の正逆回転に伴って、前記エンドレスベルト13に接合されている前記キャリッジ5が、前記キャリッジ軸9および前記ガイド板10に沿って、直線方向に往復移動する。
【0057】
前記被記録媒体Pは、このインクジェット記録装置1の側方又は下方に設けられた給紙カセット(図示せず)から給紙される。前記被記録媒体Pは、前記インクジェットヘッド3と、前記プラテンローラ7との間に導入される。すると、前記被記録媒体Pに、前記インクジェットヘッド3から吐出されるインクにより所定の印字がなされる。前記被記録媒体Pは、その後、前記インクジェット記録装置1から排紙される。図2においては、前記被記録媒体Pの給紙機構及び排紙機構の図示を省略している。
【0058】
前記パージ装置8は、前記プラテンローラ7の側方に設けられ、前記ヘッドユニット4がリセット位置(この例においては、前記パージ装置8の上部)にある時に、前記インクジェットヘッド3と対向するように配置されている。前記パージ装置8は、パージキャップ14と、ポンプ15およびカム16と、インク貯留部17とを含む。前記パージキャップ14は、前記ヘッドユニット4が前記リセット位置にある時に、前記インクジェットヘッド3の複数のノズル(図示せず)を覆う。前記ポンプ15は、前記カム16の駆動により前記インクジェットヘッド3の内部に溜まる気泡等を含んだ不良インクを吸引する。これにより、前記インクジェットヘッド3の回復が図られる。前記吸引された不良インクは、前記インク貯留部17に貯められる。
【0059】
前記パージ装置8の前記プラテンローラ7側の位置には、前記パージ装置8に隣接してワイパ部材20が配設されている。前記ワイパ部材20は、へら状に形成されており、前記キャリッジ5の移動に伴って、前記インクジェットヘッド3のノズル形成面を拭うものである。図2において、キャップ18は、インクの乾燥を防止するため、印字が終了すると前記リセット位置に戻される前記インクジェットヘッド3の複数のノズルを覆うものである。
【0060】
この例のインクジェット記録装置1においては、前記4つのインクカートリッジ2は、1個のキャリッジ5に搭載されている。ただし、本発明は、これに限定されない。本発明のインクジェット記録装置において、前記4つのインクカートリッジは、複数のキャリッジに搭載されていてもよい。また、前記インクカートリッジは、前記キャリッジには搭載されず、インクジェット記録装置内に配置、固定されていてもよい。この態様においては、例えば、前記インクカートリッジと、前記キャリッジに搭載された前記ヘッドユニットとが、チューブ等により連結され、前記インクカートリッジから前記ヘッドユニットに前記インクが供給される。
【0061】
本発明のインクジェット記録装置は、図2に示したシリアル型インクジェット記録装置であってもよいし、ライン型インクジェット記録装置であってもよい。前記ライン型インクジェット記録装置とは、記録紙等の被記録媒体の幅以上の印刷幅を持つライン型インクジェットヘッドを含み、インクジェットヘッドを固定した状態で前記被記録媒体の幅方向の印刷を一括して行うことができるインクジェット記録装置である。これに対し、前記シリアル型インクジェット記録装置は、図2に示したように、インクジェットヘッド自体が前記被記録媒体表面の幅方向に移動しながら印字を行う。前記ライン型インクジェット記録装置は、同時に印刷できる印刷幅が広いため、前記シリアル型インクジェット記録装置と比較して、格段に印刷速度が速い。本発明の前記インクジェット記録用水性インクおよびインクカートリッジは、インクの浸透性に優れるため、前記ライン型インクジェット記録装置に用いることで、効率のよいインクジェット記録を実現可能である。
【実施例】
【0062】
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例および比較例によってなんら限定ないし制限されない。
【0063】
[実施例1〜18および比較例1〜21]
実施例1〜12、実施例16〜18、比較例1および比較例5〜21については、インク組成成分(表1および表2)のうち、「CAB−O−JET(登録商標)300」を除く成分を、均一に混合しインク溶媒を得た。つぎに、「CAB−O−JET(登録商標)300」に前記インク溶媒を徐々に加え、均一に混合した。その後、得られた混合物を東洋濾紙(株)製のセルロースアセテートタイプメンブレンフィルタ(孔径3.00μm)でろ過することで、インクを得た。なお、「CAB−O−JET(登録商標)300」を用いていない実施例13〜15および比較例2〜4のインクについては、全成分を均一に混合した後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製の親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)タイプメンブレンフィルタ(孔径0.20μm)でろ過することで調製した。
【0064】
実施例および比較例のインクについて、(a)浸透性評価、(b)前記(A)の溶解性評価、(c)撥水性評価、(d)蒸発特性評価および(e)総合評価を、下記の方法により行った。
【0065】
(a)浸透性評価
ブラザー工業(株)製のインクジェットプリンタ搭載デジタル複合機DCP−350Cを使用して、一液滴量を22pL〜28pLの範囲に設定し、実施例および比較例のインクを用いて普通紙上に、解像度600dpiで1ドット線を印字した。前記1ドット線の線幅を、QEA社製のパーソナルIASにより測定し、下記評価基準に従って評価した。前記普通紙として、XEROX社製の「Business」、XEROX社製の「Recycled Supreme」、(株)リコー製の「マイペーパー」、富士通コワーコ(株)製の「オフィス用紙W」およびHammermill社製の「LASER PRINT」の5種類を用いて評価したが、いずれの普通紙を用いても同様の評価結果が得られた。
【0066】
浸透性評価 評価基準
A:前記線幅が、115μm〜135μmであった。
C(1):前記線幅が、115μm未満であった。
C(2):前記線幅が、135μmを超えた。
【0067】
(b)前記(A)の溶解性評価
実施例および比較例の着色剤成分(顔料固形分または染料)を除いた溶液を作製し、前記溶液20gを、それぞれ、ガラス製の瓶に入れ密封した後、50℃の条件下で3時間、恒温槽中に静置した。ついで、恒温槽中から取り出した直後の前記溶液を撹拌し、前記溶液の透明性を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
【0068】
前記(A)の溶解性評価 評価基準
A:前記溶液が、無色透明であった。
C:前記溶液が、白濁していた。
【0069】
(c)撥水性評価
図3(A)に示すように、実施例および比較例のインク30に、それぞれ、PP、PE、ABS樹脂、AES樹脂およびPSのいずれかの試験片40(縦70mm×横15mm×厚み4mm)を、全体積の半分程度まで浸漬させた。ついで、図3(B)に示すように、前記試験片40を、直立状態で前記インク30から取り出してから20秒経過後、前記試験片40の浸漬させた部分の表面に付着している前記インク30の量(付着インク量)を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
【0070】
撥水性評価 評価基準
S:付着インク量が、試験片の浸漬させた部分の表面積の3割以下であった。
A:付着インク量が、試験片の浸漬させた部分の表面積の3割を超え、8割未満であった。
B:付着インク量が、試験片の浸漬させた部分の表面積の8割以上であった。
【0071】
(d)蒸発特性評価
実施例および比較例のインク5gを、それぞれ、ガラス製の開放瓶(口径:20.2mm)に注入した。その開放瓶を温度60℃、相対湿度40%の恒温槽中に、24時間ごとに測定した際の重量変化が、24時間前と比較して±0.01g以下となるまで保存した。前記保存後、前記開放瓶内のインクの状態を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
【0072】
蒸発特性評価 評価基準
A:開放瓶に傾斜や振動を付与すると、インクが流動した。
C:開放瓶に傾斜や振動を付与しても、インクが流動しなかった。
【0073】
(e)総合評価
実施例および比較例のインクについて、前記(a)〜(d)の結果から、下記評価基準に従って総合評価を行った。
【0074】
総合評価 評価基準
S:撥水性評価がSであり、残りの評価結果がすべてAであった。
A:すべての評価結果がAであった。
B:評価結果のいずれかにBがあったが、Cはなかった。
C:評価結果のいずれかにCがあった。
【0075】
実施例のインク組成および評価結果を表1に示す。また、比較例のインク組成および評価結果を表2に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
表1に示すとおり、実施例1〜9のインクは、浸透性評価、前記(A)の溶解性評価および蒸発特性評価の結果が良好であった。また、前記界面活性剤(B)が、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩であり、前記重量比(B/A)が、0.20である実施例10のインクは、浸透性評価、前記(A)の溶解性評価、撥水性評価および蒸発特性評価のすべての結果が良好であった。さらに、前記界面活性剤(B)が、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩であり、前記重量比(B/A)が、0.25以上である実施例11〜18のインクは、浸透性評価、前記(A)の溶解性評価および蒸発特性評価の結果が良好であり、かつ撥水性評価結果が特に優れていた。一方、表2に示すとおり、比較例1〜4のインクは、浸透性評価および撥水性評価の結果が劣っていた。また、比較例5のインクは、浸透性評価の結果が劣っていた。そして、比較例6のインクは、浸透性評価(浸透性が過剰)および蒸発特性評価の結果が劣っていた。さらに、前記重量比(B/A)が0.10未満である比較例7〜17のインクは、前記(A)の溶解性評価および撥水性評価の結果が劣っていた。さらに、前記(A)を含まない比較例18および19のインクは、前記(A)の代わりに配合したトリエチレングリコール−n−ブチルエーテルまたはジプロピレングリコール−n−プロピルエーテルによって、蒸発特性評価結果が劣っていた。さらに、前記(A)を含まない比較例20および21のインクは、前記(A)の代わりに配合したトリエチレングリコール−n−ブチルエーテルまたはジプロピレングリコール−n−プロピルエーテルによって、浸透性評価結果が劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上のように、本発明のインクジェット記録用水性インクは、浸透性および蒸発特性に優れたものである。本発明のインクジェット記録用水性インクの用途は、限定されず、各種のインクジェット記録に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明のインクカートリッジの一例を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明のインクジェット記録装置の構成の一例を示す概略斜視図である。
【図3】図3は、本発明の一実施例における撥水性評価方法について説明するための図である。
【符号の説明】
【0081】
1 インクジェット記録装置
2、2a インクカートリッジ
3 インクジェットヘッド
4 ヘッドユニット
5 キャリッジ
6 駆動ユニット
7 プラテンローラ
8 パージ装置
9 キャリッジ軸
10 ガイド板
30 インクジェット記録用水性インク
40 試験片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、水、浸透剤および界面活性剤を含むインクジェット記録用水性インクであって、
前記浸透剤が、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル(A)を含み、
前記界面活性剤が、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩からなる群から選択される少なくとも一種の界面活性剤(B)を含み、
前記(A)と前記(B)との重量比(B/A)が、0.10以上であり、吐出される前記インクの一液滴量を22pL〜28pLの範囲に設定し、普通紙に1ドット線を印字した場合、前記1ドット線の線幅が、115μm〜135μmとなることを特徴とするインクジェット記録用水性インク。
【請求項2】
前記インク全量に対する前記(A)の配合量が、3重量%未満である請求項1記載のインクジェット記録用水性インク。
【請求項3】
前記(B)が、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩であり、前記重量比(B/A)が、0.20以上である請求項1または2記載のインクジェット記録用水性インク。
【請求項4】
前記重量比(B/A)が、0.25以上である請求項3記載のインクジェット記録用水性インク。
【請求項5】
インクジェット記録用水性インクを含むインクカートリッジであって、前記インクが、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項6】
前記インクカートリッジが、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合合成樹脂およびポリスチレンからなる群から選択される少なくとも一種の樹脂で形成されている請求項5記載のインクカートリッジ。
【請求項7】
前記インクカートリッジが、ポリプロピレンで形成されている請求項6記載のインクカートリッジ。
【請求項8】
インクカートリッジおよびインク吐出手段を含み、前記インクカートリッジ中のインクが、前記インク吐出手段から吐出されるインクジェット記録装置であって、前記インクカートリッジが、請求項5〜7のいずれか一項に記載のインクカートリッジであることを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−77278(P2010−77278A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247115(P2008−247115)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】