説明

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法

【課題】高速な記録を行う場合に発生する、インク吐出による記録ヘッドの昇温に起因する吐出量増加を低減し、この吐出量増加による記録領域の主走査方向と同一方向の濃度ムラの低減、および画質劣化を低減する。
【解決手段】記録ヘッド101の走査領域を、走査方向に複数のカウントエリア、および記録エリアに分割し、カウントエリア内の記録ドット数をカウントするカウント手段または工程と、カウントしたドット数を保持する保持手段または工程と、カウントしたドット数に応じて次記録エリア内の画像データを変更する手段または工程とを具備し、主走査方向に画像データを変更して画像形成する記録方法または記録装置であって、画像データは階調を表現する画像の単位がクラスター型面積階調で構成されている画像データであって、画像データを変更する際に、画像データのクラスターが集中している(外周部)領域から優先的に変更する手段または工程を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関し、特にインクジェットヘッドを往復走査させてプリント用紙などの被プリント物に往復プリントを行うインクジェットプリント方法およびその装置に関する。詳しくは、記録領域の走査方向に生じる濃度ムラを低減することが可能なインクジェット記録装置および画像データ補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンター、複写機、ファクシミリ等において画像等のプリント手段として用いられる記録装置、あるいはコンピューターやワードプロセッサー等を含む複合電子機器やワークステーション等のプリント出力機器として用いられる記録装置は、画像情報(文字情報等すべての出力情報を含む)に基づいて用紙やプラスチック薄板等の被記録材(以下、記録媒体とも言う)に画像等を記録するように構成されている。
【0003】
このような記録装置は、その記録方法により、インクジェット方式、ワイヤドット方式、サーマル方式、レーザービーム方式等に分けることができる。このうち、インクジェット方式の記録装置(以下、インクジェット記録装置と言う)は、記録ヘッドを含む記録手段から被記録材にインクを吐出して記録を行うものであり、他の記録方式に比べて高精細化が容易でしかも高速で静粛性に優れ、かつ安価であるという、種々の利点を有している。一方、近年では、カラー画像などのカラー出力の重要性も高まり、銀塩写真に匹敵する高画質のカラーインクジェット記録装置も数多く開発されている。
【0004】
このようなインクジェット記録装置においては、記録速度向上のため、複数の記録素子を集積配列してなる記録ヘッドとして、インク吐出口及び液路を複数集積したものを用い、さらにカラー対応として、複数個の上記記録ヘッドを備えたものが一般的である。
【0005】
プリンターの記録方式としては様々な方式が知られているが、用紙等の記録媒体に非接触記録が可能である、カラー化が容易である、静粛性に富む、等の理由でインクジェット方式が近年特に注目されており、又その構成としては所望される記録情報に応じてインクを吐出する記録ヘッドを装着すると共に用紙等の記録媒体の送り方向と直角な方向に往復走査しながら記録を行うシリアル記録方式が安価で小型化が容易などの点から一般的に広く用いられている。
【0006】
最近では、このようなインクジェットプリンターの高性能化が著しく、レーザビームプリンター並みに高速な記録速度が実現されている。また、パソコンの処理速度の高性能化、インターネットなどの普及により、カラー画像に対する記録速度の高速化の欲求もますます増大してきている。
【0007】
インクジェット方式のうち、バブルジェット(登録商標)記録方式(BJ方式)は、発熱体によりインクを急激に加熱、気化させ、発生した気泡の圧力によりインク液滴をオリフィスから吐出させる方式である。このような構造を有するバブルジェット(登録商標)方式の記録ヘッドにおいて発生した気泡は、周囲のインクによって冷却され、気泡内のインクの蒸気が凝縮して液体に戻るため、ついには消滅する。一方、吐出により消費されたインクは、インクを貯留するインクタンクからインク供給路を介して充填(リフィル)される。
【0008】
図1は、このようなインクジェット記録ヘッド101のノズルの配置例を示す図であり、異なるインクの吐出が可能なように複数のノズル列102を持つ。各ノズル列102はインク供給路105の左側に偶数の吐出列、右側には奇数の吐出列が配列されている。インクはインク供給路105から各ノズル103に対応して設けられたインク流路104を介して供給される。
【0009】
図2は上記記録ヘッドを用いて紙面上に記録(以下、単に記録ともいう)を行うための装置主要部の構成を示したものである。同図において、201はインクジェットカートリッジ(記録手段)である。これらは、4色のカラーインク、すなわち黒、シアン、マゼンタ及びイエローのインクがそれぞれ貯留されたインクタンクとそれぞれのインクに対応した記録ヘッド202とにより構成されている。
【0010】
203は紙送りローラ(副走査手段)であり、補助ローラ204と共に記録紙Pを挟持しながら図の矢印の方向に回転し、記録紙PをY方向に間欠的に搬送する。また、205は一対の給紙ローラであり、記録紙の給紙を行う。一対のローラ205は、ローラ203及び204と同様、記録紙Pを挟持して回転するが、紙送りローラ203よりもその回転速度を低くすることによって記録紙に張力を発生させ、撓みのない搬送を可能としている。
【0011】
206は4つのインクジェットカートリッジ201を支持しつつ、前記Y方向と直交する主走査方向へと往復移動(以下、走査またはスキャンとも言う)を行うキャリッジ(主走査手段)である。このキャリッジ206は記録ヘッドによる記録動作が行われていないとき、あるいは記録ヘッド202の回復処理などが行われているときに図の破線で示した位置のホームポジションhに待機する。
【0012】
そして、記録開始前にホームポジションhにあるキャリッジ206は、記録開始命令があると、X方向に走査しながら、記録ヘッド202のN(Nは任意の整数)個のノズルにより、紙面上にN/1200インチの幅の記録を行う。紙面端部までの記録が終了するとキャリッジは元のホームポジションhに戻り、再びX方向への記録のための走査を行う。この最初の記録が終了してから2回目の記録が始まる前に、紙送りローラ203が矢印方向へ回転することによりN/1200インチの幅だけのY方向への紙送りを行う。
【0013】
このようにしてキャリッジ206の1走査ごとに、記録ヘッド202によるN/1200インチの幅の記録と紙送りを繰り返し行うことにより、例えば一頁分の記録を完成することができる。なお、このような記録モードを1パス記録モードという。
【0014】
また、インクジェット記録装置に用いられる別の記録モードとしてはマルチパス記録モードがある。このマルチパス記録モードとは、同一の記録領域に対し、複数回に分けて重ね打ちを行うことにより記録を完成させる記録モードであり、そのパス数が多いほど画質が向上することは一般的に知られている。
【0015】
なお、ここではキャリッジの往動時にのみ記録動作を行う片方向記録の場合を示しているが、より高速な記録を実施する場合はキャリッジの往動、復動のいずれにおいても記録動作を行う双方向記録が用いられることが一般的である。
【0016】
そもそもインクジェット記録方式を用いて画像を形成する際、同一の駆動パルスを発熱体に連続して印加するとヒータの連続加熱によるヘッドの温度上昇により濃度ムラが発生することが知られている。この濃度ムラに関してはあとで詳細に説明する。
【0017】
そのため、インクジェット記録方式において高画質記録を行うには、この濃度ムラを低減させることが重要である。この低減手段としては一般的に吐出量を均一に制御する手段あるいは、記録データを補正する手段が提案されている。また、前述のマルチパス記録を用いること、あるいは記録速度の低下という弊害はあるものの走査速度の低下も濃度ムラを低減させる手段ととして公知の技術である。
【0018】
記録ヘッドの吐出量は同一の駆動パルスを発熱体に印加する場合、発熱体近辺のインクの温度に依存する。そこで、インクの温度管理を行う必要が生じるが、実用上困難であるため、インク温度の代用として記録ヘッドの温度を管理することで記録ヘッドの吐出量を制御する技術が普及している。
【0019】
たとえば、特許文献1にはヘッド内部にヘッドの温度を検知するためのセンサを配置してこのセンサの出力を検出手段であるMPU(CPU)でモニタして、温度が上昇するとヒータ駆動のパルス信号をパルス幅を可変する等して、ヒータの加熱時間を短くしてヘッドの温度上昇を抑制し、インクの吐出量を一定にする制御方法(PWM制御)が提案されている。
【0020】
しかしながら、センサはヘッド近傍に取り付けられており、記録ヘッドの駆動によるノイズのため正確な出力をMPU(CPU)でモニタできないため、正確な温度制御ができず吐出量制御が十分でないという問題があった。
【0021】
これに対して、記録ヘッドに温度センサを設ける構成以外に、検出した温度出力の増幅機構や検出結果のノイズ対策等の手法を用いる提案もされているがコストアップを招くことから、温度センサの信頼性を考慮して、記録する画像データにより記録ヘッドの温度を推測する手法が提案され、この手法を代用または兼用する提案がなされている。
【0022】
たとえば、記録データから温度推定する手法として次記録走査を行う前に、画像バッファ等のメモリ領域に一主走査分の画像データを一旦格納し、その画像バッファ内の有効データ数をカウントして、そのカウント結果からヘッド駆動のパルス信号のパルス幅を変更する制御を行い次記録走査を行う方法が知られている。
【0023】
さらに、特許文献2および特許文献3に開示されているように記録装置もしくはインクジェットヘッドの周辺の温度をセンサ等で取得する手段と、インクジェットヘッドに単位時間当たりに投入される熱量からインクジェットヘッドの昇温を推定する手段とによりインクジェットヘッドの温度を取得する方式が知られている。
【0024】
また近年では、記録速度の高速化に伴う吐出周波数の増大および一ノズル列当たりのノズル数の増大により、従来の温度推定方法よりも高精度な手法を用いることが強く要望されてきている。
【0025】
温度推定の高精度化は温度推定演算の時間間隔を短くすることで達成されるが、演算時間の間隔を短くした分、記録装置本体の演算負荷が増加するため、演算手段であるMPU(CPU)の高性能化の必要が生じるか、あるいはスループットの低下が生じることになる。
【0026】
この問題に対して特許文献3では、記録ヘッドの駆動条件から高精度で演算負荷の少ない温度推定方法として記録ヘッドの温度を推定し、この推定温度に応じて前述のPWM制御を実施することでより正確に吐出量制御を行う手法が開示されている。
【0027】
具体的には、記録ヘッドの駆動条件から記録ヘッドに蓄積される投入熱量に変換し、前記録走査までのインクジェットヘッドの熱蓄熱分より単位時間経過による放熱後の蓄熱分を演算し、熱時定数ごとに記録ヘッド蓄熱分を記憶し、各投入熱量と放熱後の熱量を加算することで、記録ヘッドの昇温を演算するものである。
【0028】
一方特許文献4では、特に大判プリンター向けに画像データからリアルタイムに温度推定、吐出量制御する手法として、画像データの中から有効データをカウントし、そのカウント値が所定の値に達した場合、ヘッド駆動のパルス信号の幅を変更する手法、あるいは記録データを所定量間引くことでデータ補正して記録する手法が提案されている。
【0029】
さらに近年では記録速度の高速化とともに記録画像の画質向上に対する要求も非常に強く、これらの要求を両立させるべくインク液滴サイズをより小さくし、かつノズル密度を向上させた記録ヘッドを用いて、高精細に画像の記録が可能なプリンターの開発が進められている。
【特許文献1】特開平5−31905号公報
【特許文献2】特開平5−208505号公報
【特許文献3】特開平7−125216号公報
【特許文献4】特開平8−156258号公報
【特許文献5】米国特許第4723129号明細書
【特許文献6】米国特許第4740796号明細書
【特許文献7】米国特許第4463359号明細書
【特許文献8】米国特許第4345262号明細書
【特許文献9】米国特許第4558333号明細書
【特許文献10】米国特許第4459600号明細書
【特許文献11】特開昭59−123670号公報
【特許文献12】特開昭59−138461号公報
【特許文献13】特開昭54−56847号公報
【特許文献14】特開昭60−71260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
このインク液滴サイズの小さい記録ヘッドにより記録を行う場合、記録領域を被覆すべきインクドットの数がその記録領域の大きさに大きく影響してくる。単純に液滴サイズが1/2の場合について説明すると、同一の記録領域を記録するために配置すべきドット数は図3のように縦横方向それぞれ2倍、総数としては従来の4倍を配置する必要があり、記録ヘッドのノズル数、およびノズル密度が同一で吐出周波数が同等の場合当然のことながら記録速度は著しく低下することになる。
【0031】
このような液滴サイズの小さい記録ヘッドを用いて従来並みの記録速度を維持するために、記録ヘッド自体の性能を向上させる手段として、ノズル数を増加させ記録幅を増加させる方法、インク液滴の吐出周波数を高速化する方法、また記録領域の記録時間の短縮化として主走査ごとの記録速度の高速化、マルチパス記録時のパス数を低下させる等による画像形成方法の改良が必要とされる。
【0032】
記録ヘッドのインク吐出周波数向上により一回の走査にかかる記録時間が短縮されるため、その走査中のインク吐出にともなう記録ヘッドの温度上昇が増大し、吐出量の増加を招く。さらに、液滴サイズの小型化により記録領域内へ記録するインクドット数も増大するため更なる吐出量増加につながる。
【0033】
このため、これまで以上に1回の記録走査内におけるヘッド温度上昇は増大しており、その結果これまで以上の吐出量の増加によって走査ごとに記録領域の濃度ムラが発生する。
【0034】
また、パス数の低下による高速記録を行う場合も、一回の走査において吐出されるインクドットの数はパス数に応じて増加する。この場合も同様に、記録ヘッドの昇温による吐出量増加によって記録領域の濃度ムラが発生する。当然ながらインクの高速吐出とパス数の低下をともに実施した場合、その影響は非常に大きなものとなる。
【0035】
一方で、記録速度の高速化により温度センサによるヘッド温度の検出は応答性の点で能力が不足し、記録データからの温度推定手段による手段においても、吐出周波数の高速化による一吐出タイミング内での最大パルス幅が縮小するため、パルス幅の変更可能範囲おける吐出量の制御可能範囲も狭くなっており制御能力が十分とは言えない状況になっている。
【0036】
前記のような1パス記録モードで高速なインク吐出による記録を双方向記録方式で行うと、各走査ごとに記録された領域全体が主走査方向と同一な方向に濃度分布をもって記録される。
【0037】
具体的には、図4のように、各走査ごとにバンド状の濃度ムラが発生し、特に記録領域の両端部に顕著に発生する。
【0038】
図5は前記1パス記録モードの任意の一主走査により同一階調のベタ画像を記録した場合の記録領域の状態と、そのときの記録ヘッドの温度と吐出量の関係を示す模式図である。
【0039】
図5において、記録ヘッドの主走査方向の記録に伴いヘッド温度が図5(B)のように上昇し、この温度上昇にともなって吐出量も図5(C)のように増加することがわかる。結果として図5(A)のように主走査方向と同一方向に濃度ムラが発生する。
【0040】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、記録ヘッドからインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、高速な記録を行う場合において発生するインク吐出による記録ヘッドの昇温に起因した吐出量増加を低減し、この吐出量増加による記録領域の主走査方向と同一方向の濃度ムラの低減、および画質劣化の低減が可能なインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0041】
上記目的を達成するため、本発明はインクを吐出する複数の記録素子部を有する記録ヘッドを用いて、記録ヘッドを被記録媒体に対し当該記録素子の配列方向とは異なる方向に走査させながら画像データに基づいて画像を形成し完成させるインクジェット記録装置またはインクジェット記録方法において、
前記記録ヘッドの走査領域を、走査方向に複数のカウントエリア、および記録エリアに分割し、カウントエリア内の記録ドット数をカウントするカウント手段または工程と、カウントしたドット数を保持する保持手段または工程と、カウントしたドット数に応じて次記録エリア内の画像データを変更する手段または工程とを具備し、主走査方向に画像データを変更して画像形成する記録装置または記録方法であって、
画像データは階調を表現する画像の単位がクラスター型面積階調で構成されている画像データであって、画像データを変更する際に、画像データのクラスターが集中している(外周部)領域から優先的に変更する手段または工程を備えたことを特徴としている。
【0042】
さらに本発明は、前述のインクジェット記録装置または記録方法において、画像データは階調を表現する画像の単位が分散型面積階調で構成されている画像データであって、画像データを変更する際に、画像データの集中している(外周部)領域から優先的に変更する手段または工程を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、記録ヘッドからインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、高速な記録を行う場合において発生する、インク吐出による記録ヘッドの昇温による吐出量増加を低減し、この吐出量増加による記録領域の主走査方向と同一方向の濃度ムラを低減し、画質劣化を低減させることが可能となり、さらにコストアップを招く事もないインクジェット記録方法および記録装置が提供可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
図6は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。なお、本実施形態のインクジェット記録装置の機械的構成は図2に示したものと同様とする。
【0045】
図6において、CPU600はメインバスライン605を介して装置各部の制御及びデータ処理を実行する。すなわち、CPU600は、ROM601に格納されるプログラムに従い、ヘッド駆動制御回路615、キャリッジ駆動制御回路616などをはじめとする後述の各部の制御及びデータ処理を行う。RAM602はこのCPU600によるデータ処理等のワークエリアとして用いられている。
【0046】
また、この外の記憶装置としては、不図示のハードディスク等がある。画像入力部603はホスト装置とのインターフェースを有し、ホスト装置から入力した画像を一時的に保持する。画像信号処理部604は、色変換、2値化、マスク処理等を行うデータ変換部618、以降示すデータ処理を実行するデータ補正部619を備える。操作部606はキー等を備え、これによりオペレータによる制御入力等を可能にする。回復系制御回路607ではRAM602に格納される回復処理プログラムに従って予備吐出等の回復動作を制御する。すなわち、回復系モータ608は、記録ヘッド613とこれに対向離間するクリーニングブレード609、キャップ610、及び吸引ポンプ611などを駆動する。また、ヘッド駆動制御回路615は、記録ヘッド613のインク吐出用電気熱変換体の駆動を制御し、通常、予備吐出や記録のためのインク吐出を記録ヘッド613に行わせる。さらに、キャリッジ駆動制御回路616及び紙送り制御回路617も同様にプログラムに従い、キャリッジの移動及び紙送りをそれぞれ制御する。また、記録ヘッド613のインク吐出用の電気熱変換体が設けられている基板には、保温ヒータが設けられており、記録ヘッド内のインク温度を所望設定温度に加熱調整することができる。又、サーミスタ612は、同様に上記基板に設けられているもので、記録ヘッド内のインクの実質的な温度を測定するためのものである。サーミスタ612も同様に、基板ではなく外部に設けられていても良く、また記録ヘッドの周囲近傍に設けられていても良い。
【0047】
以上の装置構成に基づき、本発明の第1、第2の実施形態を詳細に説明する。
【0048】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。この第1の実施形態に用いる記録ヘッドは、図1に示した前述の記録ヘッドと同一のノズル配列を有しており、各ノズルの構成も従来と同様である。また、この第1の実施形態では、装置構成として図2で示した従来技術と同様の構成とし、同一の記録領域に対して1回の主記録走査を双方向で行って画像を完成させる1パス記録を行うものとなっており、この点も上記従来技術にて示したものと同様である。
【0049】
また、2値化された画像データとしては階調を表現する画像の単位がクラスター型面積階調で構成されている画像データを使用するものである。
【0050】
インクジェット記録ヘッドの吐出量を決定する要因として、吐出部のインク温度(記録ヘッドの温度で代用できる場合がある)がある。図7は駆動パルス条件を固定した場合における吐出量の温度依存性を示す模式図である。同図の曲線Aに示すように、記録ヘッド温度TH(この場合はスタティックな温度特性なので吐出部のインク温度と等しい)の増加に対して吐出量Vd は直線的に増加する。この直線の傾きを温度依存係数と定義すると、温度依存係数は
T=ΔVdT/ΔTH(pl/℃・ドット)となる。この係数KTは駆動条件によらず、ヘッドのインク物性等によって定まる。図7において他の記録ヘッドの場合を同様に曲線B、Cに示す。
【0051】
本実施形態1は、上述したインク温度変動による吐出量の変動を記録する画像データのドット総数を変更する画像補正を用いて記録媒体上の記録濃度が一定となるよう制御するものであり、画像データの補正方法として、2値化されたデータを補正するものである。具体的には、前述の図6で示した装置制御ブロック内の画像信号処理部604内のデータ補正部619によって処理が行われており、このデータ処理部619で行われる処理を詳細に説明していく。
【0052】
図8は、本実施形態で用いられる、記録ドット数をカウントするためのカウントエリアおよび記録データのドット数を変更する記録エリアの概念を模式的に説明する図である。図8では説明をわかりやすくするため、ドットカウントエリアに対し記録エリアを同一のサイズとなるよう設定してあり、本発明において以降の説明はすべてこの設定を用いるものとする。
【0053】
さらに、本実施形態1において記録領域全体をl=L回の走査により記録を行う場合、第l回目の走査において記録ヘッド102の一主走査分の記録データ、すなわち(ノズル数)×(走査方向の1行の画素数)分のデータは図9に示すようにノズル配列方向(紙送り方向)にn個、走査方向にm個に分割され、それぞれが同数の画素を含んだ縦N個×横M個のカウントエリアに分割される。
【0054】
具体的には、本実施形態1では256個のノズルをもつヘッドを用いる場合において、縦方向(ノズル配列方向)について256個のノズルをN=1として分割し、横方向(走査方向)については記録幅8インチをM=10個に分割する。また、記録解像度は1200dpiとすると記録幅は9600画素(=8×1200dpi)であり、各カウントエリアサイズは縦256×横960とし、横方向を単純に全記録幅の1/10に設定した。カウントエリア内の各画素について、吐出“1”あるいは非吐出“0”のデータを対応させるものとする。
【0055】
また、各カウントエリアにおけるカウント結果として、横方向のm番目、縦方向のn番目のカウントエリアの吐出“1”のデータのみをカウントして得られるそのエリアの液滴吐出回数をドットカウント値E(m、n)、縦方向のn番目の各カウントエリアにおける液滴吐出回数の横方向の積算液滴吐出回数を積算ドットカウント値Sm(m、n)、記録開始から直前の走査までの記録による積算液滴吐出回数の総数を総ドットカウント値Sa(l−1)、各記録エリアごとに算出される補正量をH(m、n)であらわすものとする。
【0056】
具体的に示すと、Sm(3、1)で示される値は、図9において、縦方向に1番目のカウントエリアの横方向5番目のカウントエリアまでのドットカウント値であるE(1、1)からE(3、1)を加算した和であり、Sa(3)は、各走査における横方向の全カウントエリアの積算ドットカウント値であるSm(10、1)を記録開始から第3回目の走査まで加算した和をあらわし、H(1、1)は横方向の1番目、縦方向の1番目の記録エリアにおける記録データ補正量(ドット数)をあらわしている。
【0057】
図10は、本実施形態1において各走査ごとに行われる記録データのドット数をカウントする処理と、カウントした結果をもとに記録データを補正するための処理を示すフローチャートである。
【0058】
各走査ごとに本処理が起動され、まず、ステップS100で処理に係る注目カウントエリアE(m、n)をm=1、n=1、l=1として定め、また、Sm(1、1)〜Sm(M、N)、Sa(0)〜Sa(L)の値を格納する例えばレジスタ等のメモリ領域を初期化する。
【0059】
ステップS101では、第l回目の記録データのデータ先頭位置にカウントエリアのカウント開始先頭位置を一致させる。
【0060】
ステップS102では、横方向第1番目の全カウントエリアm=1、n=1の値で特定される注目カウントエリアにおけるデータ“1”の数をカウントし、そのカウントエリアのドットカウント値をE(1、1)とし、メモリ領域に一時格納する。
【0061】
ステップS103では、注目しているカウントエリアが横方向1番目かどうかすなわち走査方向の先頭位置かどうかを判断する。注目しているカウントエリアが横方向1番目の場合ステップS104へ、それ以外の場合はステップS105へ進む。
【0062】
ステップS104では、記録開始から直前の走査の記録までで吐出した総ドットカウント値Sa(0)(この時点では、第1回目の記録走査すなわちl=1なので直前の吐出はないため0回である)のカウントデータを元に、吐出量増加による濃度上昇予測値を演算し、横方向第1番目の記録エリアm=1、n=1の値で特定されるエリアの記録データの補正量H(1、1)を算出し、この記録エリア内のカウント値と同一値であるE(1、1)に算出された補正量H(1、1)を演算したカウント値を新たなE(1、1)とする。
【0063】
ステップS106では、横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)の値に上記で求めたE(1、1)を加算し、新たなSm(1、1) の値としてその対応するメモリ領域に格納する。
【0064】
ステップS107、S108では、横方向第1番目の記録エリア内の記録データに対し前記補正量H(1、1)に相当する補正を実施し、記録エリア内の記録データ数を変更する。
【0065】
まずステップS107において記録データの補正対象を選択する。補正対象の選択は、記録エリア内の記録データのパターン解析を実施し、対象とするデータの選択を行う。
【0066】
次にステップS108ではS107で選択された記録データの変更を行う。記録データの変更はデータ“1”の部分を補正量に相当する数値分“0”に変更する。
【0067】
さらにステップS109ではm<M(=10)を判断し、m<Mであればmの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを記録走査方向に1つずらす。(ステップS110)
次に、m=2としてステップS102からステップS110の処理を繰り返し、記録エリア内の記録データの補正を実施する。
【0068】
まずステップS102で、横方向第2番目の注目カウントエリアのドットカウント値をE(2、1)とし、メモリ領域に一時格納する。
【0069】
ステップS103では、注目しているカウントエリアが横方向2番目であるのでステップS105へ進む。
【0070】
ステップS105では、前記2種類のカウント値E(1、1)、Sm(1、1)および、記録開始から直前の走査の記録までで吐出した総ドットカウント値Sa(0)(l=1なので直前の吐出はないため0回である)の3種類のカウントデータを元に、吐出量増加による濃度上昇予測値を演算し、横方向第2番目の記録エリアm=2、n=1の値で特定されるエリアの記録データの補正量H(2、1)を算出し、この記録エリア内のカウント値と同一値であるE(2、1)に算出された補正量H(2、1)を演算したカウント値を新たなE(2、1)とする。
【0071】
次のステップS106では、前回の横方向の積算ドットカウント値Sm(1、1)に上記で求めたE(2、1)を加算し、新たな横方向の積算ドットカウント値Sm(2、1) の値としてその対応するメモリ領域に格納する。
【0072】
ステップS107、S108では、横方向第2番目の記録エリア内の記録データに対し前記補正量H(2、1)に相当する補正を実施し、記録エリア内の記録データ数を変更する。
【0073】
まずステップS107において記録データの補正対象を選択する。補正対象の選択は、記録エリア内の記録データのパターン解析を実施し、対象とするデータの選択を行う。
【0074】
次にステップS108ではS107で選択された記録データの変更をデータ“1”の部分を補正量に相当する数値分“0”に変更する。
【0075】
さらにステップS109ではm<M(=10)を判断し、m<Mであればmの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを記録走査方向に1つずらす。(ステップS110)
以降同様にステップS102からステップS110の処理を全てのm(1〜M)について繰り返し対応する記録エリア内の記録データの補正を実施する。
【0076】
次にステップS111において、横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)の値、(この時点ではSm(10、1)と一致)を新たな総ドットカウント値Sa(l)、(この時点ではl=1)としメモリ領域に格納するとともに、補正されたデータを記録ヘッドに転送し、この記録動作と同時に次の主走査分の記録データに対する補正処理を開始する。
【0077】
ステップS112では、l<Lを判断し、l<Lであればlの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを縦方向に1つずらす。(ステップS113)
ステップS114では、前走査においてカウントされた値のうち、注目カウントエリア内のカウント値E(m、n)および横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)が一時的に格納されているメモリを0に初期化する。
【0078】
以降ステップS101からからステップS114までの処理を繰り返すことで記録データのカウントと補正処理を順次実施しながら補正された記録データに基づいて記録ヘッドよりインクを吐出させ画像を完成させる。
【0079】
次に、本実施形態1で用いている記録データの補正手法について詳細に説明する。
【0080】
本実施形態1では画像データの補正方法として、ドット集中型クラスターからなる画像データに対してそのパターン解析を実施(S107)し、パターン解析結果に基づき補正対象データの決定を行う。このとき補正対象データは、ドット集中型クラスターの周辺部に相当するデータの中から選択される。そして、S108おいて選択された記録データの補正が行われる。
【0081】
図11、図12は記録データの記録ドット数を減らす場合の処理を示す図である。
【0082】
まず記録データ内のクラスターの集中度合いを判断(集合体の検出)し、その集合体の周辺部を検出する。具体的には記録データに対しエッジ検出を行い、集合体のサイズ(ドット数)と周辺画素位置の特定を行う。図11は記録エリア内の任意の領域の記録データに対しクラスター集合体の検出と、その集合体のエッジ検出を行ったとときの模式図である。
【0083】
例えば記録データのドット総数が100000ドット、補正量として減らすドット数が2000ドットと算出された場合、パターン解析により集合体のサイズ(ドット数)および個数とその周辺画素位置の特定画行われる。次に集合体のサイズの大きいものから順に周辺部のデータ値を“1”から“0”に変更する。この処理をドット数が2000ドットになるまで繰り返す。データを変更する集合体としては、20個以上のデータ“1”からなる集合体を対象とし、集合体のサイズに応じて周辺部を変更する数が異なるように設定してある。集合体のサイズが20から50までは1個、51から100までは2個、101から200までは5個、201から300までは10個、というようにサイズに応じて変更する個数が大きくなるよう設定している。
【0084】
図12は図11で示した記録エリア内の領域の一部における記録データの変更前後の状態を示す図であり、記録データの集合体の周辺部のデータが変更されている。
【0085】
以上説明したように、本実施形態1によれば、記録ヘッドノズルの査方向の記録データを、複数エリアに分割しこれらのエリアごとに吐出データの数をカウントし、このカウントした吐出データのDUTYに応じて記録エリアの吐出ドット数を変更して記録を行うことにより、横方向(主走査方向)に生じるの吐出量増加に起因した濃度ムラをそのものを低減することが可能であり、記録エリア内のデータ密集部から優先してデータ補正を実施することにより画質劣化も低減させることが可能となる。
【0086】
本実施形態1において記録データの補正方法において、2値データを補正する手法の一例としてデータの密集しているクラスター集合体から優先して補正するようにしたが、データの補正対象の選択方法としてはこれに限定されるものではない。
【0087】
例えば、一般的な補正手法であるパターンマスクを用いた手法があげられる。
【0088】
あらかじめ算出された補正量から減らすドット数の割合を計算し、あらかじめデータ“0”とデータ“1”が所定の比率に設定されたマスクパターンを用意し、その中からもっとも近いパターンを選択し記録データにマスクすることで記録データを間引く処理を実施する方法である。
【0089】
この場合、記録データの“0”、“1”に関係なくデータをマスクして間引くため補正後の画像が若干劣化するが装置コストを低減させる効果が高いので、装置コストと画質を考慮して適用することは可能である。
【0090】
本実施形態1においてはカウントエリアの数として、横方向に10個を設定した場合を説明したが、このカウントエリアの数としては記録ヘッドの温度上昇特性や、液滴サイズに応じて任意の分割数に設定することが可能である。
【0091】
たとえば図13に示したようにカウントエリアの分割数、サイズを走査ごとに異ならせるようにしても良いし、図14に示したようにカウントエリアのサイズを異ならせるように設定しても良い。また、カウントエリアのサイズが等しい場合でも図15のように走査ごとに各エリアの境界位置が異なるように設定しても良い。
【0092】
さらに、本実施形態1では、カウントエリアのサイズとそれに対応する記録エリアのサイズが等しい場合について説明したが、たとえば図16で示すようにカウントエリアと記録エリアのサイズが異なる場合においても十分適用可能である。この場合、カウントエリアによりカウントされたデータをもとに記録エリア内の画像データ補正をする場合、どちらかのエリアが重複して補正処理がされるため、境界部分での補正効果の向上が可能である。
【0093】
さらに本実施形態1において画像データの補正量の算出方法としては、対象カウントエリア内のドットカウント数、横方向の積算ドットカウント数、記録開始から直前の走査の記録までで吐出した総ドットカウント数の3種類のカウント結果を元に補正量の算出を行うようにしたが、補正量の算出方法は、算出精度と装置コストを考慮したうえで最適なものを選択することが望ましい。
【0094】
また、補正のタイミングについても本実施形態1のように、一主走査分の記録データすべてに対する補正を実施してから記録動作を開始する方法について説明したが、当然これに限られるものではなく、たとえば複数走査分のデータを常に先行して処理しておくような方法や、記録データの補正終了と同時にヘッドへ転送しリアルタイムに記録を実施する手法を用いることも可能であり、記録時の記録速度、カウントエリアサイズ、ノズル数といった条件に応じて最適な手法を用いることが望ましい。
【0095】
さらに本実施形態1において、記録モードとして記録ヘッド102による全ヘッド幅の記録と紙送りを繰り返し行うことにより画像を完成させる、いわゆる1パス記録モードにより記録する場合について説明したが、別の記録モードとしては用いられるマルチパス記録モードに適用することも可能である。このマルチパス記録モードに適用する場合は、同一の記録領域に対し、複数回に分けて重ね打ちを行うことにより記録を完成させること、そもそも各走査当たりの記録ドット数が少ないことなどの条件を考慮して各パスにおける記録データの補正量を算出することが望ましい。
【0096】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。この実施形態2に用いる記録ヘッドは、実施形態1に示した記録ヘッドと同一のノズル配列を有しており、各ノズルの構成も同様である。
【0097】
また、装置構成および画像の記録方法も実施形態1で示したものと同様である。
【0098】
この記録ヘッドのヘッド温度と吐出量の関係は図7の曲線Bで示したようになっており、実施形態1よりもヘッド温度に対して吐出量増加量が多い特性をもつヘッドを用いている。
【0099】
本実施形態2では、実施形態1と同様に吐出量の変動を記録する画像データのドット総数を変更する方法用いており、画像データとして階調を表現する画像の単位がクラスター型面積階調で構成されている画像データを使用し、補正方法も同様に2値化されたデータを変更する方法を用いている。
【0100】
実施形態1と異なる点として、補正するデータの選択においてノズルの使用頻度を考慮して選択する手法を用いるものである。
【0101】
以上の構成に基づき、本実施形態2では、ヘッドの256個のノズルについて所定数のエリアに分割して用いる場合について図を参照して説明する。
【0102】
図9は、本実施形態1と同様に記録領域全体をl=L回の走査により記録を行う場合について各カウントエリアサイズを縦256×横960と設定したものである。カウントエリア内の各画素について、吐出“1”あるいは非吐出“0”のデータを対応させるものとする。
【0103】
各カウント値および積算値は実施形態1と同様に、E(m、n)、Sm(m、n)、Sa(l−1)、H(m、n)であらわされる。
【0104】
図10は実施形態1と同様に各走査ごとに行われる記録データのドット数をカウントする処理と、カウントした結果をもとに記録データを補正するための処理等を示すフローチャートである。
【0105】
各走査ごとに本処理が起動され、まず、ステップS100で処理に係る注目カウントエリアE(m、n)をm=1、n=1、l=1として定め、また、Sm(1、1)〜Sm(M、N)、Sa(0)〜Sa(L)の値を格納する例えばレジスタ等のメモリ領域を初期化する。
【0106】
ステップS101では、第l回目の記録データのデータ先頭位置にカウントエリアのカウント開始先頭位置を一致させる。
【0107】
ステップS102では、横方向第1番目の全カウントエリアm=1、n=1の値で特定される注目カウントエリアにおけるデータ“1”の数をカウントし、そのカウントエリアのドットカウント値をE(1、1)とし、メモリ領域に一時格納する。
【0108】
ステップS103では、注目しているカウントエリアが横方向1番目かどうかすなわち走査方向の先頭位置かどうかを判断する。注目しているカウントエリアが横方向1番目の場合ステップS104へ、それ以外の場合はステップS105へ進む。
【0109】
ステップS104では、記録開始から直前の走査の記録までで吐出した総ドットカウント値Sa(0)(この時点では、第1回目の記録走査すなわちl=1なので直前の吐出はないため0回である)のカウントデータを元に、吐出量増加による濃度上昇予測値を演算し、横方向第1番目の記録エリアm=1、n=1の値で特定されるエリアの記録データの補正量H(1、1)を算出し、この記録エリア内のカウント値と同一値であるE(1、1)に算出された補正量H(1、1)を演算したカウント値を新たなE(1、1)とする。
【0110】
ステップS106では、横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)の値に上記で求めたE(1、1)を加算し、新たなSm(1、1) の値としてその対応するメモリ領域に格納する。
【0111】
ステップS107、S108では、横方向第1番目の記録エリア内の記録データに対し前記補正量H(1、1)に相当する補正を実施し、記録エリア内の記録データ数を変更する。
【0112】
まずステップS107において記録データの補正対象を選択する。補正対象の選択は、記録エリア内の記録データのパターン解析を実施し、対象とするデータの選択を行う。
【0113】
次にステップS108ではS107で選択された記録データの変更を行う。記録データの変更はデータ“1”の部分を補正量に相当する数値分“0”に変更することで実施している。
【0114】
さらにステップS109ではm<M(=10)を判断し、m<Mであればmの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを記録走査方向に1つずらす。(ステップS110)
次に、m=2としてステップS102からステップS110の処理を繰り返し、記録エリア内の記録データの補正を実施する。
【0115】
まずステップS102で、横方向第2番目の注目カウントエリアのドットカウント値をE(2、1)とし、メモリ領域に一時格納する。
【0116】
ステップS103では、注目しているカウントエリアが横方向2番目であるのでステップS105へ進む。
【0117】
ステップS105では、前記2種類のカウント値E(1、1)、Sm(1、1)および、記録開始から直前の走査の記録までに吐出した総ドットカウント値Sa(0)(l=1なので直前の吐出はないため0回である)の3種類のカウントデータを元に、吐出量増加による濃度上昇予測値を演算し、横方向第2番目の記録エリアm=2、n=1の値で特定されるエリアの記録データの補正量H(2、1)を算出し、この記録エリア内のカウント値と同一値であるE(2、1)に算出された補正量H(2、1)を演算したカウント値を新たなE(2、1)とする。
【0118】
次のステップS106では、前回の横方向の積算ドットカウント値Sm(1、1)に上記で求めたE(2、1)を加算し、新たな横方向の積算ドットカウント値Sm(2、1) の値としてその対応するメモリ領域に格納する。
【0119】
ステップS107、S108では、横方向第2番目の記録エリア内の記録データに対し前記補正量H(2、1)に相当する補正を実施し、記録エリア内の記録データ数を変更する。
【0120】
まずステップS107において記録データの補正対象を選択する。補正対象の選択は、記録エリア内の記録データのパターン解析を実施し、対象とするデータの選択を行う。
【0121】
次にステップS108ではS107で選択された記録データの変更をデータ“1”の部分を補正量に相当する数値分“0”に変更することで実施している。
【0122】
さらにステップS109ではm<M(=10)を判断し、m<Mであればmの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを記録走査方向に1つずらす。(ステップS110)
以降同様にステップS102からステップS110の処理を全てのm(1〜M)について繰り返し対応する記録エリア内の記録データの補正を実施する。
【0123】
次にステップS111において、横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)の値、(この時点ではSm(10、1)と一致)を新たな総ドットカウント値Sa(l)、(この時点ではl=1)としメモリ領域に格納するとともに、補正されたデータを記録ヘッドに転送し、この記録動作と同時に次の主走査分の記録データに対する補正処理を開始する。
【0124】
ステップS112では、l<Lを判断し、l<Lであればlの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを縦方向に1つずらす。(ステップS113)
ステップS114では、前走査においてカウントされた値のうち、注目カウントエリア内のカウント値E(m、n)および横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)が一時的に格納されているメモリを0に初期化する。
【0125】
以降ステップS101からからステップS114までの処理を繰り返すことで記録データのカウントと補正処理を順次実施しながら補正された記録データに基づいて記録ヘッドよりインクを吐出させ画像を完成させる。
【0126】
次に、本実施形態2で用いている記録データの補正手法について詳細に説明する。
【0127】
本実施形態2では実施形態1と同様に、画像の単位がクラスター型面積階調からなる2値画像データに対してそのパターン解析を実施し、パターン解析結果に基づき補正対象データを決定している。
【0128】
このとき補正対象データの決定は、記録エリア内のデータから各ノズルの使用頻度を算出し、使用頻度の高いノズルのデータを優先し、その中でも画像の周辺部から順に変更するよう設定している。
【0129】
図17、図18は本実施形態2において記録データの記録ドット数を減らす場合の処理を示す図である。
【0130】
図17は記録エリアの任意の領域の記録データに対しノズルごとのドットカウント値の算出を行ったときの模式図である。
【0131】
例えば、記録データのドット総数が80000ドット、補正量として減らすドット数が2750ドットと算出された場合、同時に記録データのノズルごとのドットカウント値が算出される。次にドットカウント値の大きいものから順に記録データ値を“1”から“0”に変更する。この処理をドット数が2750ドットになるまで繰り返す。このとき走査方向に対し変更するデータの決定方法として、変更位置をデータ“1”が複数連続している部分の端部に位置するデータとしている。すなわち記録データの周辺部に相当するデータである。
【0132】
さらに変更する個数の割り振りを、ドットカウント値の大きい順に1番目から5番目のノズルは100個のデータ“1”をデータ“0”に変更し、ドットカウント値の6番目から10番目のノズルは90個のデータを変更し、ドットカウント値の11番目から15番目のノズルは80個のデータを変更し、ドットカウント値の16番目から20番目のノズルは70個のデータを変更し、・・・、ドットカウント値の46番目から50番目のノズルは10個のデータを変更し、ドットカウント値の51番目以降のノズルは変更しないよう設定している。ノズルごとに上記の個数に到るまでデータの変更を繰り返す。
【0133】
図18は本実施形態2における記録エリア内の領域の一部における記録データの変更前後の状態を示す図であり、記録データの使用頻度の高いノズルのデータが変更されている。
【0134】
以上説明したように、本実施形態2によれば、記録ヘッドノズルの査方向の記録データを、複数エリアに分割しこれらのエリアごとに吐出データの数をカウントし、このカウントした吐出データのDUTYに応じて記録エリアの吐出ドット数を変更して記録を行うことにより、横方向(主走査方向)に生じるの吐出量増加に起因した濃度ムラをそのものを低減することが可能であり、記録エリア内のデータの集中した領域から優先して補正を実施することで画質劣化の低減され、さらに使用頻度の高いノズルの記録データから優先してデータ補正を実施することにより使用頻度も分散されノズル寿命の長期化が可能となる。
【0135】
本実施形態2における記録データの補正方法として、実施形態1で示した手法と使用頻度の高いノズルの記録データから優先して補正する方法とを併用しているが、もちろんこれらの方法に限られるものではない。画質劣化を低減可能でかつたの効果を持つ手法であれば、いずれの方法も適用可能である。
【0136】
また、実施形態1と同様に一般的な補正手法であるパターンマスクを用いた手法を適用するも可能である。
【0137】
さらに実施形態1同様に、カウントエリアの分割数、サイズ等装置のコスト、記録ヘッドの温度上昇特性や、液滴サイズなどの条件に応じて最適な設定することが望ましい。
【0138】
その他、本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすものである。
【0139】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0140】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書,米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基いた構成としても本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録を確実に効率よく行うことができるようになるからである。
【0141】
さらに、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのような記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0142】
加えて、上例のようなシリアルタイプのものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。また、本発明の記録装置の構成として、記録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げることができる。
【0143】
また、搭載される記録ヘッドの種類ないし個数についても、例えば単色のインクに対応して1個のみが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数のインクに対応して複数個数設けられるものであってもよい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるかいずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。さらに加えて、以上説明した本発明実施例においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もしくは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよい。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。このような場合のインクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0144】
さらに加えて、本発明インクジェット記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0145】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
【実施例1】
【0146】
本実施例1に用いる記録ヘッドは、図1に示した前述の記録ヘッドと同一のノズル配列を有しており、各ノズルの構成も従来と同様である。また、この実施例1では、上記従来技術にて示したものと同様に、同一の記録領域に対して1回の主記録走査(パス)を行って画像を完成させるいわゆる1パス記録を行うものとなっている。具体的には各ノズルが1200dpi(約21.2μm)ピッチで256ノズル配列されている。
【0147】
本実施例1に用いる記録装置は図2に示した前述の記録装置と同一の構成を有している。
【0148】
図2において、201はインクジェットカートリッジ(記録手段)である。これらは、4色のカラーインク、すなわち黒、シアン、マゼンタ及びイエローのインクがそれぞれ貯留されたインクタンクとそれぞれのインクに対応した記録ヘッド102とにより構成されている。
【0149】
203は紙送りローラ(副走査手段)であり、補助ローラ204と共に記録紙Pを挟持しながら図の矢印の方向に回転し、記録紙PをY方向に間欠的に搬送する。また、205は一対の給紙ローラであり、記録紙の給紙を行う。一対のローラ205は、ローラ203及び204と同様、記録紙Pを挟持して回転するが、紙送りローラ203よりもその回転速度を低くすることによって記録紙に張力を発生させ、撓みのない搬送を可能としている。
【0150】
206は4つのインクジェットカートリッジ201を支持しつつ、前記Y方向と直交する主走査方向へと往復移動(以下、走査またはスキャンとも言う)を行うキャリッジ(主走査手段)である。このキャリッジ206は記録ヘッドによる記録動作が行われていないとき、あるいは記録ヘッド202の回復処理などが行われているときに図の破線で示した位置のホームポジションhに待機する。
【0151】
次に、本実施例1で用いる1パス記録モードについて説明する。
【0152】
1パス記録において、記録開始前にホームポジションhにあるキャリッジ206は、記録開始命令があると、X方向に移動しながら、まず記録ヘッド202によって、紙面上に256/1200インチ(約5.42mm)の幅の記録を行う。そして、紙面端部までの記録が終了するとキャリッジ206は減速しながら停止し、再びX方向への記録のために移動を行う。この最初の記録が終了してから第2回目の走査が始まる前までに、紙送りローラ203は矢印方向へ回転し、Y方向に沿って256/1200インチの幅だけ紙送りを行う。第2回目の走査以降も記録ヘッド102の全ノズル幅256/1200インチの幅(約5.42mm)の幅の記録を行う。そして、全ての記録領域は各色の記録ヘッドの1回の走査によって記録データを記録することにより完成する。
【0153】
各インク滴は、3.0±0.5plで吐出されるよう駆動した。色材を含有するインクとしては、市販のインクジェットプリンターPIXSUS860i(キヤノン株式会社製)用のインクを用いた。
【0154】
被プリント材としてはA4サイズインクジェット用普通紙(スーパーホワイトペーパー、SW−101:キヤノン株式会社製)を用意した。
【0155】
プリントヘッドおよびプリント方法についてさらに詳述すると、駆動速度として、インク滴の吐出駆動周波数を30kHzとした。プリントする画像としてグラフィック画像が存在する画像1を用意した。画像のサイズは、以下のサイズである。
【0156】
<画像1>
グラフィック画像:8インチ×10インチ
図19は、この画像1の紙面上での画像配置イメージを模式的に示したものである。
【0157】
さらに本実施例1は、画像データとして階調を表現する画像の単位がクラスター型面積階調で構成されている画像データを使用し、補正方法も同様に2値化されたデータを変更する方法を用いている。
【0158】
図11、図12は本実施例1における記録データを変更する場合の補正前後のデータ状態を模式的に示す図である。
【0159】
例えば、記録データのドット総数が100000ドット、補正量として減らすドット数が1000ドットと算出された場合、検出された記録データの集合体のサイズとエッジの位置に基づいて集合体のサイズの大きいものから順に周辺部のデータ値を“1”から“0”に変更する。このときデータを変更する集合体としては、20個以上のデータ“1”からなる集合体を対象としサイズが20から100までは1個、101から200までは5個、201から300までは10個、というようにサイズに応じて変更する個数が大きくなるよう設定している。
【0160】
次に、図20に実施例1で用いる、記録ドット数をカウントするためのカウントエリアの概念を模式的に説明する図を示す。
【0161】
本実施例1において記録領域全体をl=48回の走査により記録を行うことになり、ヘッド102の一主走査分の記録データ、すなわち(ノズル数)×(走査方向の1行の画素数)分のデータについて記録ヘッド102の256個のノズルを縦方向(ノズル列方向)には分割せず、横方向(走査方向)については記録幅8インチを10個に分割する。記録解像度は1200dpiとすると記録幅は9600画素(=8×1200)であり各カウントエリアサイズは縦256×横960と設定した。カウントエリア内の各画素について、吐出“1”あるいは非吐出“0”のデータを対応させるものとする。
【0162】
各カウント値および積算値として、E(m、n)は横方向m番目のカウントエリアの吐出“1”のデータのみをカウントして得られるそのエリアのドットカウント値、横方向のカウントエリアの積算液滴吐出回数を積算ドットカウント値Sm(m、n)、記録幅すべての横方向における積算液滴吐出回数の総数を総ドットカウント値Sa(l−1)、各記録エリアごとに算出される補正量をH(m、n)であらわすものとする。
【0163】
図10は、本実施例1において各走査ごとに行われる記録データのドット数をカウントする処理と、カウントした結果をもとに記録データを補正するための処理等を示すフローチャートである。
【0164】
各走査ごとに本処理が起動され、まず、ステップS100で処理に係る注目カウントエリアE(m、n)をm=1、n=1、l=1として定め、また、Sm(1、1)〜Sm(M、N)、Sa(0)〜Sa(L)の値を格納するメモリ領域であるレジスタを初期化する。
【0165】
ステップS101では、第l回目の記録データのデータ先頭位置にカウントエリアのカウント開始先頭位置を一致させる。
【0166】
ステップS102では、横方向第1番目のカウントエリアにおけるデータ“1”の数をカウントし、そのカウントエリアのドットカウント値をE(1、1)とし、レジスタに格納する。
【0167】
このとき、E(1、1)=100000ドットであった。
【0168】
ステップS103では、注目しているカウントエリアが横方向1番目かどうかすなわち走査方向の先頭位置かどうかを判断する。注目しているカウントエリアが横方向1番目の場合ステップS104へ、それ以外の場合はステップS105へ進む。
【0169】
ステップS104では、記録開始から直前の走査の記録までで吐出した総ドットカウント値Sa(0)(この時点では、第1回目の記録走査すなわちl=1なので直前の吐出はないため0回である)のカウント回数を元に、吐出量増加による濃度上昇予測値を演算し、横方向第1番目の記録エリアの記録データの補正量H(1、1)を算出し、この記録エリア内のカウント値と同一値であるE(1、1)に算出された補正量H(1、1)を演算したカウント値を新たなE(1、1)とする。
【0170】
このとき算出された補正量H(1、1)=0ドットであり、新たなカウント値として
E(1、1)=100000ドット(=100000−0)となった。
【0171】
ステップS106では、横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)の値に上記で求めたE(1、1)を加算し、新たなSm(1、1)の値としてその対応するレジスタに格納する。
【0172】
Sm(1、1)=E(1、1)=100000ドットとなる。
【0173】
ステップS107、S108では、横方向第1番目の記録エリア内の記録データに対し前記補正量H(1、1)に相当する補正を実施し、記録エリア内の記録データ数を変更する。記録データの変更はデータ“1”の部分を補正量に相当する数値分“0”に変更することで実施するが、このときの補正量H(1、1)=0ドットであるのでデータの変更は行わない。
【0174】
さらにステップS109ではm>M(=10)を判断し、m<Mであればmの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを記録走査方向に1つずらす。(ステップS110)
次に、m=2としてステップS102からステップS110の処理を繰り返し、記録エリア内の記録データの補正を実施する。
【0175】
まずステップS102で、横方向第2番目の注目カウントエリアのドットカウント値をE(2、1)とし、レジスタに格納する。
【0176】
このときE(2、1)=80000ドットであった。
【0177】
ステップS103で注目しているカウントエリアが横方向2番目であるのでステップS105へ進み、ステップS105では、前記2種類のカウント値E(1、1)、Sm(1、1)および、記録開始から直前の走査の記録までで吐出した総ドットカウント値Sa(0)(l=1なので直前の吐出はないため0回である)の3種類のカウントデータを元に、吐出量増加による濃度上昇予測値を演算し、横方向第2番目の記録エリアの記録データ補正量H(2、1)を算出し、この記録エリア内のカウント値と同一値であるE(2、1)に算出された補正量H(2、1)を演算したカウント値を新たなE(2、1)とする。
【0178】
このとき算出された補正量H(2、1)=2000ドットであり、新たなカウント値として
E(2、1)=78000ドット(=80000−2000)となった。
【0179】
次のステップS106では、前回の横方向の積算ドットカウント値Sm(1、1)に上記で求めたE(2、1)を加算し、新たな横方向の積算ドットカウント値Sm(2、1)の値としてその対応するレジスタに格納する。
【0180】
Sm(2、1)=178000ドット(=100000+78000)となった。
【0181】
ステップS107、S108では、横方向第2番目の記録エリア内の記録データに対し前記補正量H(2、1)に相当する補正を実施し、記録エリア内の記録データ数を変更する。
【0182】
まずステップS107において記録データの補正対象を選択する。補正対象の選択は、前述のパターン解析を実施し、対象とするデータの選択を行う。
【0183】
次にステップS108ではS107で選択された記録データの変更をデータ“1”の部分を補正量に相当する数値分“0”に変更することで実施する。
【0184】
具体的には、記録データのドットカウント数がE(2、1)=80000ドット、補正量として減らすドット数がH(2、1)=2000ドットと算出され、同時にパターン解析により記録データの集合体のサイズと個数、およびエッジ位置の特定を行う。次にこの補正量H(2、1)に相当する値まで集合体のサイズの大きいものから順に周辺部のデータ値を“1”から“0”に変更する。(図12)
さらにステップS109ではm>M(=10)を判断し、m<Mであればmの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを記録走査方向に1つずらす。(ステップS110)
以降同様にステップS102からステップS110の処理を全てのm(1〜M)について繰り返し対応する記録エリア内の記録データの補正を実施する。
【0185】
次にステップS111において、横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)の値、(この時点ではSm(10、1)と一致)を新たな総ドットカウント値Sa(1)、(この時点ではl=1)としレジスタに格納するとともに、補正されたデータを記録ヘッドに転送し、この記録動作と同時に次の一主走査分の記録データに対する補正処理を開始する。
【0186】
Sa(1)=Sm(10、1)=9050000ドットであった。
【0187】
ステップS112では、l>Lを判断し、l<Lであればlの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを縦方向に1つずらす。(ステップS113)
ステップS114では、前回の走査においてカウントされた値のうち、注目カウントエリア内のカウント値E(m、n)および横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)が一時的に格納されているレジスタを0に初期化する。
【0188】
以降ステップS101からからステップS114までの処理を全ての全記録走査回数である48回まで繰り返すことで記録データのカウントと補正処理を順次実施しながら補正された記録データに基づいて記録ヘッドよりインクを吐出させ画像を完成させた。
【0189】
このようにして形成された画像1は、画像の全体に視認されるような濃度差、両端付近での濃度ムラがなく画質劣化のない良好な画像品質を得ることができた。
【実施例2】
【0190】
本実施例2に用いる記録ヘッドは、実施例1と同様に図1に示した前述の記録ヘッドと同一のノズル配列を有しており、各ノズルが1200dpi(約21.2μm)ピッチで256ノズル配列されており構成も同様である。また、1パスによる記録方法、および記録装置の構成も同様である。さらに実施例1と同様に、各インク滴は、3.0±0.5plで吐出されるよう駆動した。色材を含有するインクとしては、市販のインクジェットプリンターPIXSUS860i(キヤノン株式会社製)用のインクを用いた。
【0191】
被プリント材としてはA4サイズインクジェット専用普通紙(スーパーホワイトペーパー、SW−101:キヤノン株式会社製)を用意した。
【0192】
プリントヘッドおよびプリント方法についてさらに詳述すると、駆動速度として、インク滴の吐出駆動周波数を30kHzとした。プリントする画像は、写真が存在するグラフィック画像である画像2を用意した。画像のサイズは、以下のサイズである。
【0193】
<画像2>
グラフィック画像:8インチ×6インチ
図21は、この画像2の紙面上での画像配置イメージを模式的に示したものである。
【0194】
本実施例2は、実施例1と同様に画像データとして階調を表現する画像の単位がクラスター型面積階調で構成されている画像データを使用し、補正方法も実施例1と同様に2値化されたデータを変更する方法を用いている。実施例1と異なる点として、補正するデータの選択手法としてノズルの使用頻度を考慮して選択している。補正対象データの決定は、記録エリア内のデータから各ノズルの使用頻度を算出し、使用頻度の高いノズルのデータを優先して変更するよう設定している。
【0195】
図17、図18は本実施例2において記録データを変更する処理を模式的に示す図である。
【0196】
図17は記録エリア内の任意の領域の記録データに対しノズルごとのドットカウント値の算出を行ったときの模式図である。
【0197】
例えば、記録データのドット総数が100000ドット、補正量として減らすドット数が2750ドットと算出された場合、同時に記録データのノズルごとのドットカウント値が算出される。次にドットカウント値の大きいものから順に記録データ値を“1”から“0”に変更する。この処理をドット数が2750ドットになるまで繰り返す。このとき走査方向に対し変更するデータの決定方法として、変更位置をデータ“1”が複数連続している部分の端部に位置するデータとしている。すなわち記録データの周辺部に相当するデータである。
【0198】
さらに変更する個数の割り振りを、ドットカウント値の大きい順に1番目から5番目のノズルは100個のデータ“1”のをデータ“0”に変更し、ドットカウント値の6番目から10番目のノズルは90個のデータを変更し、ドットカウント値の11番目から15番目のノズルは80個のデータを変更し、ドットカウント値の16番目から20番目のノズルは70個のデータを変更し、・・・、ドットカウント値の46番目から50番目のノズルは10個のデータを変更し、ドットカウント値の51番目以降のノズルは変更しないよう設定している。ノズルごとに上記の個数に到るまでデータの変更を繰り返す。
【0199】
図18は本実施例2における記録エリア内の領域の一部における記録データの変更前後の状態を示す図であり、記録データの使用頻度の高いノズルのデータが変更されている。
【0200】
次に、図22に実施例2で用いる記録ドット数をカウントするためのカウントエリアの概念を模式的に説明する図を示す。
【0201】
本実施例2において記録領域全体をl=29回の走査により記録を行うことになり、ヘッド102の一主走査分の記録データ、すなわち(ノズル数)×(走査方向の1行の画素数)分のデータについて記録ヘッド102の256個のノズルを縦方向(ノズル列方向)に分割せず、横方向(走査方向)については記録幅8インチを10個に分割する。記録解像度は1200dpiとすると記録幅は9600画素(=8×1200)であり、各カウントエリアサイズは縦256×横960と設定した。カウントエリア内の各画素について、吐出“1”あるいは非吐出“0”のデータを対応させる。
【0202】
各カウント値および積算値は実施例1と同様に、E(m、n)、Sm(m、n)、Sa(l−1)、H(m、n)であらわされる。
【0203】
図10は、実施例1と同様に本実施例2において各走査ごとに行われる記録データのドット数をカウントする処理と、カウントした結果をもとに記録データを補正するための処理等を示すフローチャートである。
【0204】
各走査ごとに本処理が起動され、まず、ステップS100で処理に係る注目カウントエリアE(m、n)をm=1、n=1、l=1として定め、また、Sm(1、1)〜Sm(M、N)、Sa(1)〜Sa(L)の値を格納するメモリ領域であるレジスタを初期化する。
【0205】
ステップS101では、第l回目の記録データのデータ先頭位置にカウントエリアのカウント開始先頭位置を一致させる。
【0206】
ステップS102では、横方向第1番目のカウントエリアにおけるデータ“1”の数をカウントし、そのカウントエリアのドットカウント値をE(1、1)とし、レジスタに格納する。
【0207】
このとき、E(1、1)=100000ドットであった。
【0208】
ステップS103では、注目しているカウントエリアが横方向1番目かどうかすなわち走査方向の先頭位置かどうかを判断する。注目しているカウントエリアが横方向1番目の場合ステップS104へ、それ以外の場合はステップS105へ進む。
【0209】
ステップS104では、記録開始から直前の走査の記録までで吐出した総ドットカウント値Sa(0)(この時点では、第1回目の記録走査すなわちl=1なので直前の吐出はないため0回である)のカウント回数を元に、吐出量増加による濃度上昇予測値を演算し、横方向第1番目の記録エリアの記録データの補正量H(1、1)を算出し、この記録エリア内のカウント値と同一値であるE(1、1)に算出された補正量H(1、1)を演算したカウント値を新たなE(1、1)とする。
【0210】
このとき算出された補正量H(1、1)=0ドットであり、新たなカウント値として
E(1、1)=100000ドット(=100000−0)となった。
【0211】
ステップS106では、横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)の値に上記で求めたE(1、1)を加算し、新たなSm(1、1) の値としてその対応するレジスタに格納する。
【0212】
Sm(1、1)=E(1、1)=100000ドットとなる。
【0213】
ステップS107、S108では、横方向第1番目の記録エリア内の記録データに対し前記補正量H(1、1)に相当する補正を実施し、記録エリア内の記録データ数を変更する。記録データの変更はデータ“1”の部分を補正量に相当する数値分“0”に変更することで実施するが、このときの補正量H(1、1)=0ドットであるのでデータの変更は行わない。
【0214】
さらにステップS109ではm>M(=10)を判断し、m<Mであればmの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを記録走査方向に1つずらす。(ステップS110)
次に、m=2としてステップS102からステップS110の処理を繰り返し、記録エリア内の記録データの補正を実施する。
【0215】
まずステップS102で、横方向第2番目の注目カウントエリアのドットカウント値をE(2、1)とし、レジスタに格納する。
【0216】
このときE(2、1)=80000ドットであった。
【0217】
ステップS103で注目しているカウントエリアが横方向2番目であるのでステップS105へ進み、ステップS105では、前記2種類のカウント値E(1、1)、Sm(1、1)および、記録開始から直前の走査の記録までで吐出した総ドットカウント値Sa(0)(l=1なので直前の吐出はないため0回である)の3種類のカウントデータを元に、吐出量増加による濃度上昇予測値を演算し、横方向第2番目の記録エリアの記録データ補正量H(2、1)を算出し、この記録エリア内のカウント値と同一値であるE(2、1)に算出された補正量H(2、1)を演算したカウント値を新たなE(2、1)とする。
【0218】
このとき算出された補正量H(2、1)=2750ドットであり、新たなカウント値として
E(2、1)=77250ドット(=80000−2750)となった。
【0219】
次のステップS106では、前回の横方向の積算ドットカウント値Sm(1、1)に上記で求めたE(2、1)を加算し、新たな横方向の積算ドットカウント値Sm(2、1)の値としてその対応するレジスタに格納する。
【0220】
Sm(2、1)=177250ドット(=100000+77250)となった。
【0221】
ステップS107、S108では、横方向第2番目の記録エリア内の記録データに対し前記補正量H(2、1)に相当する補正を実施し、記録エリア内の記録データ数を変更する。
【0222】
まずステップS107において記録データの補正対象を選択する。補正対象の選択は、前述のパターン解析を実施し、対象とするデータの選択を行う。
【0223】
次にステップS108ではS107で選択された記録データの変更をデータ“1”の部分を補正量に相当する数値分“0”に変更することで実施する。
【0224】
具体的には、記録データのドットカウント数がE(2、1)=80000ドット、補正量として減らすドット数がH(2、1)=2750ドットと算出され、同時にノズルごとのドットカウント値を算出しデータ変更ノズルの特定を行う。次にこの補正量H(2、1)に相当する値までドットカウント値の大きいものから順にデータの値を“1”から“0”に変更する。このとき走査方向に対し変更するデータの決定方法は連続するデータ端部の位置を変更した。(図18)
さらにステップS109ではm>M(=10)を判断し、m<Mであればmの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを記録走査方向に1つずらす。(ステップS110)
以降同様にステップS102からステップS110の処理を全てのm(1〜M)について繰り返し対応する記録エリア内の記録データの補正を実施する。
【0225】
次にステップS111において、横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)の値、(この時点ではSm(10、1)と一致)を新たな総ドットカウント値Sa(l)、(この時点ではl=1)としレジスタに格納するとともに、補正されたデータを記録ヘッドに転送し、この記録動作と同時に次の一主走査分の記録データに対する補正処理を開始する。
【0226】
Sa(1)=Sm(10、1)=9050000ドットであった。
【0227】
ステップS112では、l>Lを判断し、l<Lであればlの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを縦方向に1つずらす。(ステップS113)
ステップS114では、前回の走査においてカウントされた値のうち、注目カウントエリア内のカウント値E(m、n)および横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)が一時的に格納されているレジスタを0に初期化する。
【0228】
以降ステップS101からからステップS114までの処理を全ての全記録走査回数である29回まで繰り返すことで記録データのカウントと補正処理を順次実施しながら補正された記録データに基づいて記録ヘッドよりインクを吐出させ画像を完成させた。
【0229】
このようにして形成された画像2は、画像の全体に視認されるような濃度差、両端付近での濃度ムラがなく画質劣化のない良好な画像品質を得ることができた。
【実施例3】
【0230】
さらに実施例3として実施例1と同様の構成において2値画像データの形式がクラスター型面積階調でなく分散型面積階調で形成された画像パターンを用いた場合の一例を示す。
【0231】
本実施例3に用いる記録ヘッドは、実施例1と同様に図1に示した前述の記録ヘッドと同一のノズル配列を有しており、各ノズルが1200dpi(約21.2μm)ピッチで256ノズル配列されており構成も同様である。また、1パスによる記録方法、および記録装置の構成も同様である。さらに実施例1と同様に、各インク滴は、3.0±0.5plで吐出されるよう駆動した。色材を含有するインクとしては、市販のインクジェットプリンターPIXSUS860i(キヤノン株式会社製)用のインクを用いた。
【0232】
被プリント材としてはA4サイズインクジェット専用普通紙(スーパーホワイトペーパー、SW−101:キヤノン株式会社製)を用意した。
【0233】
プリントヘッドおよびプリント方法についてさらに詳述すると、駆動速度として、インク滴の吐出駆動周波数を30kHzとした。プリントする画像は、実施例1と同様にグラフィック画像である画像1を用意した。画像のサイズは、以下のサイズである。
【0234】
<画像1>
グラフィック画像:8インチ×10インチ
記録データの補正方法についても実施例1と同様に記録データのパターン解析を実施し、検出された記録データの集合体のサイズとエッジの位置に基づいて集合体のサイズの大きいものから順に周辺部のデータ値を“1”から“0”に変更する。
【0235】
図20に実施例1と同様に実施例3で用いる、記録ドット数をカウントするためのカウントエリアおよび記録データのドット数を変更する記録エリアの概念を模式的に説明する図を示す。
【0236】
本実施例3において記録領域全体の分割方法、分割数ともに実施例1と同様に設定した。
【0237】
各カウント値および積算値は実施例1と同様に、E(m、n)、Sm(m、n)、Sa(l−1)、H(m、n)であらわされる。
【0238】
図10は実施例1、2と同様に本実施例3において各走査ごとに行われる記録データのドット数をカウントする処理と、カウントした結果をもとに記録データを補正するための処理等を示すフローチャートである。
【0239】
各走査ごとに本処理が起動され、まず、ステップS100で処理に係る注目カウントエリアE(m、n)をm=1、n=1、l=1として定め、また、Sm(1、1)〜Sm(M、N)、Sa(1)〜Sa(L)の値を格納するメモリ領域であるレジスタを初期化する。
【0240】
ステップS101では、第l回目の記録データのデータ先頭位置にカウントエリアのカウント開始先頭位置を一致させる。
【0241】
ステップS102では、横方向第1番目のカウントエリアにおけるデータ“1”の数をカウントし、そのカウントエリアのドットカウント値をE(1、1)とし、レジスタに格納する。
【0242】
このとき、E(1、1)=130000ドットであった。
【0243】
ステップS103では、注目しているカウントエリアが横方向1番目かどうかすなわち走査方向の先頭位置かどうかを判断する。注目しているカウントエリアが横方向1番目の場合ステップS104へ、それ以外の場合はステップS105へ進む。
【0244】
ステップS104では、記録開始から直前の走査の記録までで吐出した総ドットカウント値Sa(0)(この時点では、第1回目の記録走査すなわちl=1なので直前の吐出はないため0回である)のカウント回数を元に、吐出量増加による濃度上昇予測値を演算し、横方向第1番目の記録エリアの記録データの補正量H(1、1)を算出し、この記録エリア内のカウント値と同一値であるE(1、1)に算出された補正量H(1、1)を演算したカウント値を新たなE(1、1)とする。
【0245】
このとき算出された補正量H(1、1)=0ドットであり、新たなカウント値として
E(1、1)=130000ドット(=100000−0)となった。
【0246】
ステップS106では、横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)の値に上記で求めたE(1、1)を加算し、新たなSm(1、1) の値としてその対応するレジスタに格納する。
【0247】
Sm(1、1)=E(1、1)=130000ドットとなる。
【0248】
ステップS107、S108では、横方向第1番目の記録エリア内の記録データに対し前記補正量H(1、1)に相当する補正を実施し、記録エリア内の記録データ数を変更する。記録データの変更はデータ“1”の部分を補正量に相当する数値分“0”に変更することで実施するが、このときの補正量H(1、1)=0ドットであるのでデータの変更は行わない。
【0249】
さらにステップS109ではm>M(=10)を判断し、m<Mであればmの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを記録走査方向に1つずらす。(ステップS110)
次に、m=2としてステップS102からステップS110の処理を繰り返し、記録エリア内の記録データの補正を実施する。
【0250】
まずステップS102で、横方向第2番目の注目カウントエリアのドットカウント値をE(2、1)とし、レジスタに格納する。
【0251】
このときE(2、1)=90000ドットであった。
【0252】
ステップS103で注目しているカウントエリアが横方向2番目であるのでステップS105へ進み、ステップS105では、前記2種類のカウント値E(1、1)、Sm(1、1)および、記録開始から直前の走査の記録までで吐出した総ドットカウント値Sa(0)(l=1なので直前の吐出はないため0回である)の3種類のカウントデータを元に、吐出量増加による濃度上昇予測値を演算し、横方向第2番目の記録エリアの記録データ補正量H(2、1)を算出し、この記録エリア内のカウント値と同一値であるE(2、1)に算出された補正量H(2、1)を演算したカウント値を新たなE(2、1)とする。
【0253】
このとき算出された補正量H(2、1)=10000ドットであり、新たなカウント値として
E(2、1)=80000ドット(=90000−10000)となった。
【0254】
次のステップS106では、前回の横方向の積算ドットカウント値Sm(1、1)に上記で求めたE(2、1)を加算し、新たな横方向の積算ドットカウント値Sm(2、1)の値としてその対応するレジスタに格納する。
【0255】
Sm(2、1)=210000ドット(=130000+80000)となった。
【0256】
ステップS107、S108では、横方向第2番目の記録エリア内の記録データに対し前記補正量H(2、1)に相当する補正を実施し、記録エリア内の記録データ数を変更する。
【0257】
まずステップS107において記録データの補正対象を選択する。補正対象の選択は、前述のパターン解析を実施し、対象とするデータの選択を行う。
【0258】
次にステップS108ではS107で選択された記録データの変更をデータ“1”の部分を補正量に相当する数値分“0”に変更することで実施する。
【0259】
具体的には、記録データのドットカウント数がE(2、1)=90000ドット、補正量として減らすドット数がH(2、1)=10000ドットと算出され、同時にパターン解析により記録データの集合体のサイズと個数、およびエッジ位置の特定を行う。次にこの補正量H(2、1)に相当する値まで集合体のサイズの大きいものから順に周辺部のデータ値を“1”から“0”に変更する。(図23)
実施例1と異なり画像データが分散型面積階調で形成されていることから、データを変更する集合体としては、10個以上のデータ“1”からなる集合体を対象とするようにした。さらに集合体のサイズの差がない場合は、走査方向の先頭から順に変更するよう設定した。
【0260】
さらにステップS109ではm>M(=10)を判断し、m<Mであればmの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを記録走査方向に1つずらす。(ステップS110)
以降同様にステップS102からステップS110の処理を全てのm(1〜M)について繰り返し対応する記録エリア内の記録データの補正を実施する。
【0261】
次にステップS111において、横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)の値、(この時点ではSm(10、1)と一致)を新たな総ドットカウント値Sa(l)、(この時点ではl=1)としレジスタに格納するとともに、補正されたデータを記録ヘッドに転送し、この記録動作と同時に次の一主走査分の記録データに対する補正処理を開始する。
【0262】
Sa(1)=Sm(10、1)=9850000ドットであった。
【0263】
ステップS112では、l>Lを判断し、l<Lであればlの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを縦方向に1つずらす。(ステップS113)
ステップS114では、前回の走査においてカウントされた値のうち、注目カウントエリア内のカウント値E(m、n)および横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)が一時的に格納されているレジスタを0に初期化する。
【0264】
以降ステップS101からからステップS114までの処理を全ての全記録走査回数である48回まで繰り返すことで記録データのカウントと補正処理を順次実施しながら補正された記録データに基づいて記録ヘッドよりインクを吐出させ画像を完成させた。
【0265】
このようにして形成された画像1は、画像の全体に視認されるような濃度差、両端付近での濃度ムラがなく画質劣化のない良好な画像品質を得ることができた。
【実施例4】
【0266】
さらに実施例4として実施例2と同様の構成において2値画像データの形式がクラスター型面積階調でなく分散型面積階調で形成された画像パターンを用いた場合の別の一例を示す。
【0267】
本実施例4に用いる記録ヘッドは、実施例2と同様に図1に示した前述の記録ヘッドと同一のノズル配列を有しており、各ノズルが1200dpi(約21.2μm)ピッチで256ノズル配列されており構成も同様である。また、1パスによる記録方法、および記録装置の構成も同様である。さらに実施例2と同様に、各インク滴は、3.0±0.5plで吐出されるよう駆動した。色材を含有するインクとしては、市販のインクジェットプリンターPIXSUS860i(キヤノン株式会社製)用のインクを用いた。
【0268】
被プリント材としてはA4サイズインクジェット専用普通紙(スーパーホワイトペーパー、SW−101:キヤノン株式会社製)を用意した。
【0269】
プリントヘッドおよびプリント方法についてさらに詳述すると、駆動速度として、インク滴の吐出駆動周波数を30kHzとした。プリントする画像は、実施例2と同様に写真が存在するグラフィック画像である画像2を用意した。画像のサイズは、以下のサイズである。
【0270】
<画像2>
グラフィック画像:8インチ×6インチ
記録データの補正方法についても実施例2と同様に記録データのパターン解析を実施し、補正対象データの決定は記録エリア内のデータから各ノズルの使用頻度を算出し、使用頻度の高いノズルのデータを優先して変更する方法を用いている。
【0271】
図22に実施例2と同様に実施例4で用いる、記録ドット数をカウントするためのカウントエリアおよび記録データのドット数を変更する記録エリアの概念を模式的に説明する図を示す。
【0272】
本実施例4において記録領域全体の分割方法、分割数ともに実施例2と同様に設定した。
【0273】
各カウント値および積算値は実施例2と同様に、E(m、n)、Sm(m、n)、Sa(l−1)、H(m、n)であらわされる。
【0274】
図10は、他の実施例と同様に各走査ごとに行われる記録データのドット数をカウントする処理と、カウントした結果をもとに記録データを補正するための処理等を示すフローチャートである。
【0275】
各走査ごとに本処理が起動され、まず、ステップS100で処理に係る注目カウントエリアE(m、n)をm=1、n=1、l=1として定め、また、Sm(1、1)〜Sm(M、N)、Sa(0)〜Sa(L)の値を格納するメモリ領域であるレジスタを初期化する。
【0276】
ステップS101では、第l回目の記録データのデータ先頭位置にカウントエリアのカウント開始先頭位置を一致させる。
【0277】
ステップS102では、横方向第1番目のカウントエリアにおけるデータ“1”の数をカウントし、そのカウントエリアのドットカウント値をE(1、1)とし、レジスタに格納する。
【0278】
このとき、E(1、1)=80000ドットであった。
【0279】
ステップS103では、注目しているカウントエリアが横方向1番目かどうかすなわち走査方向の先頭位置かどうかを判断する。注目しているカウントエリアが横方向1番目の場合ステップS104へ、それ以外の場合はステップS105へ進む。
【0280】
ステップS104では、記録開始から直前の走査の記録までで吐出した総ドットカウント値Sa(0)(この時点では、第1回目の記録走査すなわちl=1なので直前の吐出はないため0回である)のカウント回数を元に、吐出量増加による濃度上昇予測値を演算し、横方向第1番目の記録エリアの記録データの補正量H(1、1)を算出し、この記録エリア内のカウント値と同一値であるE(1、1)に算出された補正量H(1、1)を演算したカウント値を新たなE(1、1)とする。
【0281】
このとき算出された補正量H(1、1)=0ドットであり、新たなカウント値として
E(1、1)=80000ドット(=800000−0)となった。
【0282】
ステップS106では、横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)の値に上記で求めたE(1、1)を加算し、新たなSm(1、1) の値としてその対応するレジスタに格納する。
【0283】
Sm(1、1)=E(1、1)=80000ドットとなる。
【0284】
ステップS107、S108では、横方向第1番目の記録エリア内の記録データに対し前記補正量H(1、1)に相当する補正を実施し、記録エリア内の記録データ数を変更する。記録データの変更はデータ“1”の部分を補正量に相当する数値分“0”に変更することで実施するが、このときの補正量H(1、1)=0ドットであるのでデータの変更は行わない。
【0285】
さらにステップS109ではm>M(=10)を判断し、m<Mであればmの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを記録走査方向に1つずらす。(ステップS110)
次に、m=2としてステップS102からステップS110の処理を繰り返し、記録エリア内の記録データの補正を実施する。
【0286】
まずステップS102で、横方向第2番目の注目カウントエリアのドットカウント値をE(2、1)とし、レジスタに格納する。
【0287】
このときE(2、1)=70000ドットであった。
【0288】
ステップS103で注目しているカウントエリアが横方向2番目であるのでステップS105へ進み、ステップS105では、前記2種類のカウント値E(1、1)、Sm(1、1)および、記録開始から直前の走査の記録までで吐出した総ドットカウント値Sa(0)(l=1なので直前の吐出はないため0回である)の3種類のカウントデータを元に、吐出量増加による濃度上昇予測値を演算し、横方向第2番目の記録エリアの記録データ補正量H(2、1)を算出し、この記録エリア内のカウント値と同一値であるE(2、1)に算出された補正量H(2、1)を演算したカウント値を新たなE(2、1)とする。
【0289】
このとき算出された補正量H(2、1)=4000ドットであり、新たなカウント値として
E(2、1)=66000ドット(=70000−4000)となった。
【0290】
次のステップS106では、前回の横方向の積算ドットカウント値Sm(1、1)に上記で求めたE(2、1)を加算し、新たな横方向の積算ドットカウント値Sm(2、1)の値としてその対応するレジスタに格納する。
【0291】
Sm(2、1)=146000ドット(=80000+66000)となった。
【0292】
ステップS107、S108では、横方向第2番目の記録エリア内の記録データに対し前記補正量H(2、1)に相当する補正を実施し、記録エリア内の記録データ数を変更する。
【0293】
まずステップS107において記録データの補正対象を選択する。補正対象の選択は、前述のパターン解析を実施し、対象とするデータの選択を行う。
【0294】
次にステップS108ではS107で選択された記録データの変更をデータ“1”の部分を補正量に相当する数値分“0”に変更することで実施する。
【0295】
具体的には、記録データのドットカウント数がE(2、1)=70000ドット、補正量として減らすドット数がH(2、1)=4000ドットと算出され、同時にノズルごとのドットカウント値を算出しデータ変更ノズルの特定を行う。次にこの補正量H(2、1)に相当する値までドットカウント値の大きいものから順にデータの値を“1”から“0”に変更する。このとき走査方向に対し変更するデータの決定方法は連続するデータの端部の位置を変更した。(図24)
実施例2と異なり画像データが分散型面積階調で形成されていることから、特定されたノズルにおいて10個以上のデータ“1”が連続する場合を変更対象とするようにした。
【0296】
さらにステップS109ではm>M(=10)を判断し、m<Mであればmの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを記録走査方向に1つずらす。(ステップS110)
以降同様にステップS102からステップS110の処理を全てのm(1〜M)について繰り返し対応する記録エリア内の記録データの補正を実施する。
【0297】
次にステップS111において、横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)の値、(この時点ではSm(10、1)と一致)を新たな総ドットカウント値Sa(l)、(この時点ではl=1)としレジスタに格納するとともに、補正されたデータを記録ヘッドに転送し、この記録動作と同時に次の一主走査分の記録データに対する補正処理を開始する。
【0298】
Sa(1)=Sm(10、1)=8650000ドットであった。
【0299】
ステップS112では、l>Lを判断し、l<Lであればlの値について1だけインクリメントし、カウントエリアを縦方向に1つずらす。(ステップS113)
ステップS114では、前回の走査においてカウントされた値のうち、注目カウントエリア内のカウント値E(m、n)および横方向の積算ドットカウント値Sm(m、n)が一時的に格納されているレジスタを0に初期化する。
【0300】
以降ステップS101からからステップS114までの処理を全ての全記録走査回数である29回まで繰り返すことで記録データのカウントと補正処理を順次実施しながら補正された記録データに基づいて記録ヘッドよりインクを吐出させ画像を完成させた。
【0301】
このようにして形成された画像1は、画像の全体に視認されるような濃度差、両端付近での濃度ムラがなく画質劣化のない良好な画像品質を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0302】
【図1】本発明のインクジェット記録ヘッド吐出口の配置例を示す模式図である。
【図2】本発明の記録ヘッドを用いて紙面上に記録を行うための記録装置主要部の構成を示した図である。
【図3】本発明における液滴サイズによる記録領域を被覆すべきインクドットの数を模式的に示す図である。
【図4】本発明において従来の1パス記録モードで高速なインク吐出による記録を行った際の記録状態を模式的に示す図である。
【図5】本発明において1パス記録モードの任意の1スキャンにより記録濃度の異なる同一階調のベタ画像を記録した場合の記録領域の状態と、そのときの記録ヘッドの記録位置とヘッド温度および吐出量の変化の関係を示す模式図である。
【図6】本発明の実施形態にかかる記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の施形態にかかる図7は駆動パルス条件を固定した場合における吐出量の温度依存性を示す模式図である。
【図8】本発明の実施形態1で用いられる記録ドット数をカウントするためのカウントエリアおよび記録データのドット数を変更する記録エリアの概念を模式的に説明する図である。
【図9】本発明の実施形態1で用いられる、記録ドット数をカウントするためのカウントエリアおよび記録データのドット数を変更する記録エリアの分割状態を模式的に説明する図である。
【図10】本発明の実施形態1において各走査ごとに行われる記録データのドット数をカウントする処理と、カウントした結果をもとに記録データを補正するための処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態1において記録エリア内の任意の領域の記録データに対しクラスター集合体の検出と、その集合体のエッジ検出を行ったとときの模式図である。
【図12】本発明の実施形態1において記録エリア内の領域の一部における記録データの変更前後の状態を示す図である。
【図13】本発明において別なカウントエリアの分割方法として、分割数、サイズを走査ごとに異ならせるように設定した場合の、カウントエリアおよび記録データのドット数を変更する記録エリアの分割状態を模式的に説明する図である。
【図14】本発明において別なカウントエリアの分割方法として、分割サイズを走査内で異ならせるように設定した場合の、カウントエリアおよび記録データのドット数を変更する記録エリアの分割状態を模式的に説明する図である。
【図15】本発明において別なカウントエリアの分割方法として、走査ごとにカウントエリアおよび記録エリアの境界位置をずらすように設定した場合のカウントエリアおよび記録データのドット数を変更する記録エリアの分割状態を模式的に説明する図である。
【図16】本発明においてカウントエリアと記録エリアのサイズが異なるよう設定した場合の、カウントエリアおよび記録データのドット数を変更する記録エリアの分割状態を模式的に説明する図である。
【図17】本発明の実施形態2において記録エリアの任意の領域の記録データに対しノズルごとのドットカウント値の算出を行ったときの模式図である。
【図18】本発明の実施形態2における記録エリア内の領域の一部における記録データの変更前後の状態を示す図である。
【図19】本発明の実施例1で用いる画像1の紙面上での画像配置イメージを模式的に示したものである。
【図20】本発明の実施例1で用いられる、記録ドット数をカウントするためのカウントエリアの概念を模式的に説明する図である。
【図21】本発明の実施例2で用いる画像2の紙面上での画像配置イメージを模式的に示したものである。
【図22】実施例2で用いられる記録ドット数をカウントするためのカウントエリアの概念を模式的に説明する図である。
【図23】本発明の実施例3における記録エリア内の領域の一部における記録データの変更前後の状態を示す図である。
【図24】本発明の実施例4における記録エリア内の領域の一部における記録データの変更前後の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0303】
101 記録ヘッド
102 記録ヘッドのインク吐出口(ノズル列)
103 インク吐出口
104 インク流路
105 インク供給路
201 インクジェットカートリッジ
202 記録ヘッド
203 紙送りローラ
204 補助ローラ
205 給紙ローラ
206 キャリッジ
600 CPU
601 ROM
602 RAM
603 画像入力部
604 画像信号処理部
605 メインバスライン
606 操作部
607 回復系制御回路
608 回復系モータ
609 クリーニングブレード
610 キャップ
611 吸引ポンプ
612 サーミスタ
613 記録ヘッド
614 ヘッド温度制御回路
615 ヘッド駆動制御回路
616 キャリッジ駆動回路
617 紙搬送制御回路
618 データ変換部
619 データ補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する複数の記録素子部を有する記録ヘッドを用いて、記録ヘッドを被記録媒体に対し当該記録素子の配列方向とは異なる方向に走査させながら画像データに基づいて画像を形成し完成させるインクジェット記録方法において、
前記記録ヘッドの走査領域を、走査方向に複数のカウントエリア、および記録エリアに分割し、カウントエリア内の記録ドット数をカウントするカウント工程と、カウントしたドット数を保持する保持工程と、カウントしたドット数に応じて次記録エリア内の画像データを変更する工程とを具備し、主走査方向に画像データを変更して画像形成する記録方法であって、
画像データは階調を表現する画像の単位がクラスター型面積階調で構成されている画像データであって、画像データを変更する際に、画像データのクラスターが集中している(外周部)領域から優先的に変更する工程を備えたことを特徴とする、インクジェット記録方法。
【請求項2】
インクを吐出する複数の記録素子部を有する記録ヘッドを用いて、記録ヘッドを被記録媒体に対し当該記録素子の配列方向とは異なる方向に走査させながら画像データに基づいて画像を形成し完成させるインクジェット記録装置において、
前記記録ヘッドの走査領域を、走査方向に複数のカウントエリア、および記録エリアに分割し、カウントエリア内の記録ドット数をカウントするカウント手段と、カウントしたドット数を保持する保持手段と、カウントしたドット数に応じて次記録エリア内の画像データを変更する手段とを具備し、主走査方向に画像データを変更して画像形成する記録装置であって、
画像データは階調を表現する画像の単位がクラスター型面積階調で構成されている画像データであって、画像データを変更する際に、画像データのクラスターが集中している(外周部)領域から優先的に変更する手段を備えたことを特徴とする、インクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項1に記載のインクジェット記録方法において、
画像データは階調を表現する画像の単位が分散型面積階調で構成されている画像データであって、画像データを変更する際に、画像データの集中している(外周部)領域から優先的に変更する工程を備えたことを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項4】
請求項2に記載のインクジェット記録装置において、
画像データは階調を表現する画像の単位が分散型面積階調で構成されている画像データであって、画像データを変更する際に、画像データの集中している(外周部)領域から優先的に変更する手段を備えたことを特徴とする、インクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−260220(P2008−260220A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104973(P2007−104973)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】