説明

インクジェット記録装置および記録ヘッドの回復処理方法

【課題】画像の記録に寄与しないインクを記録ヘッドの吐出口から吐出させる予備吐出を効果的に実施して、インクの吐出性能を良好に維持することができるインクジェット記録装置および記録ヘッドの回復処理方法を提供する。
【解決手段】記録ヘッド内のインクの温度を第1の温度に上げてから第1の予備吐出(K1)を行い、その後、そのインクの温度が第1の温度よりも低い第2の温度に下がったときに、第2の予備吐出(K2)を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出可能な記録ヘッドを用いて画像を記録するインクジェット記録装置、および、その記録ヘッドにおけるインクの吐出性能を良好に維持するための回復処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェット記録装置においては、記録ヘッドの吐出口からのインク吐出を正常に保つための回復処理が実施されている。その回復処理により、記録ヘッド内の増粘したインクや微細な気泡等を排出したり、吐出口が形成された面に付着した異物やインクミスト等を除去することができる。これらの回復処理としては、後述するような吸引動作、予備吐出動作、ワイピング動作、および加熱動作等が知られている。
【0003】
特に、記録ヘッドの吐出口内に気泡が生じた場合には、画像の記録時にインクの不吐出、吐出方向のズレ、吐出量の減少などのインクの吐出異常が発生するおそれがある。このような現象は、例えば、記録ヘッドをインクジェット記録装置に装着する際に微小な振動や衝撃が加わったとき、および記録ヘッドを落下させてしまったときなどに起きることがある。このような場合、従来より行われている回復処理においては、まず、吸引動作により記録ヘッドの吐出口から気泡を吸い出し、その後、予備吐出動作を行う。
【0004】
予備吐出動作とは、画像の記録に関与しないインクを記録媒体以外の所定の場所に吐出して、記録ヘッドの吐出口から、インクと気泡を排出する動作である。上述したような吸引動作後の予備吐出動作は、その吸引動作時に生じた混色インクを除去することを目的としている。吸引動作とは、ポンプ等によって発生された負圧を利用して、記録ヘッドの吐出口から、インクや気泡を吸い出す動作である。一般的な吸引動作においては、記録ヘッドの吐出口をキャッピングした状態のキャップ内に負圧を導入することにより、記録ヘッド内のインクや気泡が吐出口からキャップ内に吸引排出される。特開昭63−224958号公報には、記録ヘッドにおける吐出口の形成面に弾性のキャップを押し付けて、一旦、キャップ内の圧力を高めた後に、キャップ内を大気に解放してから、キャップ内に負圧を導入して吸引動作を行なう方法が記載されている。
【0005】
しかし、このように記録ヘッドの吐出口から気泡などを吸引除去する吸引動作を行なうためには、負圧ポンプなどの吸引機構が必要となり、装置全体の複雑化、および高価格化を招くおそれがある。また、写真調などの高細精な画像を記録するためには、インクの吐出量がより少ない記録ヘッドが必要となり、このような記録ヘッドは、吐出口に連通するインク流路などの断面積が小さくなるため、インクの流路抵抗が増大する。したがって、このような記録ヘッドに対して吸引動作を行なうためには、吐出口から気泡を吸引除去するために充分なインクの流速が得られるように、キャップ内に導入する負圧をかなり高める必要がある。また、このように吸引力を高めた場合には、吐出口から吸引排出される廃インクの量が増大して、その分、使用可能なインク量の減少を招くおそれがある。
【0006】
特許文献1には、回復処理として加熱動作を行なうことが記載されている。その加熱動作においては、発熱素子を用いて、吐出口に連通する個別のインク流路内のインクを沸騰させる。これにより、その個別のインク流路に連通する共通液室に付着した気泡を膨張させて、その気泡を共通液室からインク供給室に排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−160384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような加熱動作は、吸引動作のように装置全体の複雑化、高価格化、廃インクの増大を招くことはないものの、吐出口の先端部に位置する気泡に対する除去効果が低かった。
【0009】
本発明の目的は、画像の記録に寄与しないインクを記録ヘッドの吐出口から吐出させる予備吐出を効果的に実施して、インクの吐出性能を良好に維持することができるインクジェット記録装置および記録ヘッドの回復処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のインクジェット記録装置は、吐出口からインクを吐出可能な記録ヘッドを用いて、画像を記録するインクジェット記録装置において、前記記録ヘッド内のインクの温度を検出する検出手段と、前記記録ヘッド内のインクを加熱するための加熱手段と、を備え、前記記録ヘッド内のインクの温度を前記加熱手段によって第1の温度まで加熱させてから、画像の記録に寄与しないインクを前記吐出口から吐出させる第1の予備吐出を行い、その後、前記記録ヘッド内の温度が第1の温度よりも低い第2の温度まで下がったときに、画像の記録に寄与しないインクを前記吐出口から吐出させる第2の予備吐出を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明の記録ヘッドの回復処理方法は、吐出口からインクを吐出可能な記録ヘッドを用いて画像を記録するインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドのインクの吐出性能を良好に維持するための回復処理方法であって、前記記録ヘッド内のインクの温度を第1の温度まで加熱させてから、画像の記録に寄与しないインクを前記吐出口から吐出させる第1の予備吐出を行い、その後、前記記録ヘッド内の温度が第1の温度よりも低い第2の温度まで下がったときに、画像の記録に寄与しないインクを前記吐出口から吐出させる第2の予備吐出を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記録ヘッド内のインクの温度を第1の温度に上げてから第1の予備吐出を行い、その後、そのインクの温度が第1の温度よりも低い第2の温度に下がったときに、第2の予備吐出を行なうことにより、予備吐出を効果的に実施することができる。この結果、記録装置全体の構成の複雑化、高価格化、廃インクの増大を招くことなく、吐出口の先端部に位置する気泡に対する除去効果を高めて、インクの吐出性能を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるインクジェット記録装置の概略斜視図である。
【図2】図1のインクジェット記録装置における制御系のブロック構成図である。
【図3】図1におけるヘッドカートリッジの斜視図である。
【図4】図3における記録ヘッドの吐出口の配置形態の説明図である。
【図5】図4における吐出口部分の拡大断面図である。
【図6】図5における吐出口部分に泡が発生したときの拡大断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における加熱回復処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】図7中の加熱シーケンスを説明するためのフローチャートである。
【図9】図7中の加熱保持シーケンスを説明するためのフローチャートである。
【図10】(a),(b),および(c)は、それぞれ、図7中の予備吐出K1における吐出周波数、吐出発数、および回復効果の関係の説明図である。
【図11】図7中の予備吐出K2における吐出周波数、吐出発数、および回復効果の関係の説明図である。
【図12】図7中の予備吐出K1における吐出発数、回復効果、および加熱保持時間の関係の説明図である。
【図13】(a)は、図7中の予備吐出K1における吐出発数、回復効果、および加熱設定温度の関係の説明図、(b)は、図7中の予備吐出K2における吐出周波数、吐出発数、および冷却設定温度の関係の説明図である。
【図14】本発明の第2の実施形態において用いる記録ヘッドの吐出口の配置形態の説明図である。
【図15】図14における吐出口部分の拡大断面図である。
【図16】本発明の第2の実施形態における予備吐出K1の吐出量、吐出発数、および回復効果の関係の説明図である。
【図17】本発明の第3の実施形態において用いる記録ヘッドの吐出口の配置形態の説明図である。
【図18】本発明の第3の実施形態における加熱シーケンスを説明するためのフローチャートである。
【図19】本発明の第3の実施形態における加熱保持シーケンスを説明するためのフローチャートである。
【図20】本発明の第4の実施形態における加熱回復処理を説明するためのフローチャートである。
【図21】図20中のワイピング動作の説明図である。
【図22】本発明の第4の実施形態における予備吐出K2の吐出周波数、吐出発数、および回復効果の関係の説明図である。
【図23】本発明の第5の実施形態における回復処理を説明するためのフローチャートである。
【図24】本発明の第5の実施形態における回復処理の回復効果の説明図である。
【図25】加熱保持シーケンスにおける記録ヘッドの温度変化を説明する図である。
【図26】(a)から(g)は、それぞれ、加熱保持シーケンスの各ステップにおける記録ヘッド内の泡の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1から図13は、本発明の第1の実施形態を説明するための図である。以下、本発明の第1の実施形態を(記録装置の機械的な構成)、(記録装置の制御系の構成)(インクジェットカートリッジの構成)、および(回復処理)に分けて説明する。
【0015】
(記録装置の機械的な構成)
図1は、本発明を適用可能なシリアル型のインクジェット記録装置の概略斜視図である。シリアル型のインクジェット記録装置は、インクジェット記録ヘッド102の記録走査と、記録媒体Pの搬送動作と、を繰り返すことによって、記録媒体Pに画像を記録する。記録走査は、記録ヘッド102を矢印Xの主走査方向に移動させながら、その記録ヘッド102の吐出口からインクを吐出する動作(主走査)である。搬送動作は、記録媒体Pを主走査方向と交差(本例の場合は、直交)する矢印Yの副走査方向へ搬送する動作(副走査)である。本例の記録ヘッド102は、インクタンクと共にヘッドカートリッジ101を構成している。そのインクタンクは、シアン、マゼンタ、イエローの染料インクを個別に収容し、記録ヘッド102は、それらのインクを複数の吐出口から吐出可能である。
【0016】
103は、不図示の駆動モータの駆動力によって回転する搬送ローラである。この搬送ローラ103は、これに対向する補助ローラ104と共に記録媒体Pを挟持しつつ、後述のキャリッジの往復動作に応じて間欠的に回転する。これにより、記録媒体Pが一定量毎に副走査方向に搬送される。105は、搬送ローラ103側へ記録媒体Pを給送するための一対の給紙ローラである。この一対の給紙ローラ105は、記録媒体Pを挟持しつつ回転することにより、搬送ローラ103および補助ローラ104と共に記録媒体Pを副走査方向へ搬送する。
【0017】
106は、ヘッドカートリッジ101を着脱可能に保持するキャリッジである。このキャリッジ106は、キャリッジモータの駆動力により、主走査方向に延在するように配置されたガイドシャフト107に沿って、往復移動される。またキャリッジ106は、記録動作を行っていないとき、あるいは記録ヘッド102の回復処理を行うときには、図1中破線で示すホームポジションhにて待機する。
【0018】
記録動作の開始命令が入力されたときに、記録動作の開始前にホームポジションhに待機しているキャリッジ106が主走査方向に移動しつつ、ヘッドカートリッジ101の記録ヘッド102が複数の吐出口からインクを吐出して、記録動作を行う。一走査分の記録データに基づく記録動作が終了すると、キャリッジ106は元のホームポジションに戻る。その後、次の記録データに基づいて、キャリッジ106が再び主走査方向に移動しつつ記録動作を行う。
【0019】
(記録装置の制御系の構成)
図2は、インクジェット記録装置の制御系のロック構成図である。
【0020】
図2において、メインバスライン2005には、画像入力部2003、画像信号処理部2004、および中央制御部CPU2000などのソフト系の処理手段が接続されている。さらに、メインバスライン2005には、操作部2006、回復系制御回路2007、ヘッド温度制御回路2014、ヘッド駆動制御回路2015、キャリッジ駆動制御回路2016、記録媒体の搬送制御回路2017などのハード系の処理手段が接続されている。
【0021】
CPU2000は、ROM2001とRAM2002を有する。ROM2001には、画像入力部2003、画像信号処理部2004、ヘッド駆動制御回路2015等の各デバイスを制御するためのプログラムが格納されている。RAM2002は、各種データを処理するためのワークエリアとして機能する。CPU2000は、ROM2001に格納されているプログラムにしたがって、メインバスライン2005を介して、画像入力部2003、画像信号処理部2004、およびヘッド駆動制御回路2015等の各デバイスを制御する。
【0022】
画像入力部2003には、インクジェット記録装置に接続される不図示の外部機器(例えば、ホストコンピュータ、デジタルカメラ)から転送される画像データが入力される。画像信号処理部2004は、CPU2000の制御の下において、画像入力部2003に入力された画像データを2値化処理(ドットパターン設定処理)して、2値画像データを生成する。
【0023】
ヘッド駆動制御回路2015は、CPU2000の制御の下において、記録ヘッド102の吐出口からインクを吐出させるための記録素子(吐出エネルギー発生素子)を駆動制御する。詳しくは、ヘッド駆動制御回路2015は、画像信号処理部2004において生成された2値画像データに基づいて、記録素子を駆動する。これにより、2値画像データが示す画像が記録媒体に記録されることになる。本例においては、記録素子として電気熱変換素子(ヒータ)を用いる場合について説明する。しかし、記録素子は電気熱変換素子に限られるものではなく、例えば、圧電素子(ピエゾ素子)などを用いることもできる。
【0024】
回復系制御回路2007は、ROM2001に格納されている回復処理を行うためのプログラムにしたがって、回復系モータ2008を駆動することにより、インクジェット記録装置の回復処理のための動作(回復動作)を制御する。回復系モータ2008は、回復系制御回路2007からの制御信号に基づいて、記録ヘッド102と対向可能な位置に設けられたクリーニングブレード2009とキャップ2010を駆動する。
【0025】
記録ヘッド102は、その記録ヘッドを加熱することができる発熱素子が設けられた基板を有する。この基板には、記録ヘッド102の温度を測定するためのダイオードセンサ2012が設けられている。また、実用的な構成で記録ヘッド102内のインクの温度を測定することは困難であるため、ダイオードセンサ2012により測定した記録ヘッド温度でインク温度を代用している。ヘッド温度制御回路2014は、ダイオードセンサ2012により得られたヘッド温度に基づいて、インクを吐出するための記録素子(吐出エネルギー発生素子)の駆動を制御することにより、記録ヘッド102の温度を調整する。
【0026】
(ヘッドカートリッジの構成)
図3は、ヘッドカートリッジ101の斜視図である。図4は、そのヘッドカートリッジ101を構成する記録ヘッド102における吐出口501の配置を説明するための概念図であり、図3中の矢印IV方向から見た記録ヘッド102の吐出口501部分の拡大図に対応する。図4においては、約5plの体積のインク滴を吐出する8つの吐出口によって、吐出口列401が形成されている。
【0027】
図5は、吐出口501部分の断面図であり、その吐出口501は、紙面の裏面側から表面側に向かってインクを吐出する。本例の吐出口501は、5plのインク滴を吐出可能な開口面積、具体的には、直径16.4μmの円形に形成されている。各吐出口501に連通する発泡室502やインク流路503の寸法、および各発泡室502内に位置する電気熱変換素子(ヒータ)505の寸法は、吐出口501の寸法に合わせて調整されている。インクの吐出エネルギー発生素子としての電気熱変換素子505は、吐出口501と対向するように発泡室502内に備えられている。その電気熱変換素子505を発熱駆動して発泡室502内のインクを発泡させることにより、その発泡エネルギーを利用して、吐出口501からインクを吐出することができる。
【0028】
具体的に、発泡室502の幅は29μm、インク流路503の幅は22.5μmである。電気熱変換素子505は、19.4×21.6μmの長方形に形成されている。共通液室504内には、不図示のインク供給口からインクが供給される。共通液室504内に供給されたインク中のゴミをトラップする等の目的のために、共通液室504内には柱状のノズルフィルタ506が設けられている。ヘッドカートリッジ101を構成する記録ヘッド102は、その吐出口501を塞ぐように保護テープ(不図示)が貼られた状態で物流に供される。
【0029】
(回復処理)
図6は、発泡室502に異常な泡601が発生したときの模式図である。
【0030】
異常な泡601は、記録ヘッド102をインクジェット記録装置に装着する際に微小な振動や衝撃が加わったとき、および記録ヘッド102を落下させてしまったときなどに発生する。ヘッドカートリッジ101を高さ60cmの机から落としたときに、そのヘッドカートリッジ101が受ける衝撃を測定したところ、それは、およそ加速度100Gであった。泡601が発生した場合には、インクの不吐出を招くおそれがある。
【0031】
図7は、インクの吐出状態を回復させるための回復処理として加熱回復処理を行なうときの手順を説明するためのフローチャートである。回復処理は、新たな記録ヘッドに交換されたとき、記録ヘッドの脱着が行われたとき、泡601の発生によりインクの不吐出が確認された場合等に行われる。インクの不吐出を検出するにあたっては、ユーザの所定操作に応じてテストパターンを記録することで検出してもよいし、予備吐出の時の吐出状態を光学センサで読み取ることにより検出してもよい。
【0032】
ステップ701にて加熱回復処理を開始し、まずは、ステップ702にて加熱シーケンスを実行して、記録ヘッド102を第1の温度(加熱設定温度)まで加熱する。その後、ステップ703にて加熱保時シーケンスを実行し、一定時間(加熱保持時間)だけ、記録ヘッド102の温度を第1の温度に保つ。本例の場合、その加熱保持時間は5秒である。その後、ステップ704において記録ヘッド102の加熱を停止し、その直後に、第1の温度にある記録ヘッド102からインクを予備吐出させる(ステップ705)。予備吐出は、電気熱変換素子505を発熱駆動することによって、画像の記録に寄与しないインクを吐出口501から吐出させる回復処理である。ステップ705における予備吐出、つまり、第1の温度にある記録ヘッド102からのインクの予備吐出は、以下、「予備吐出K1」または「第1の予備吐出」ともいう。
【0033】
次に、ダイオードセンサ2012によって記録ヘッド102の温度を取得しながら、第2の温度(冷却設定温度)まで記録ヘッド102を冷却する(ステップ706)。そして、記録ヘッド102が第2の温度まで冷却されたときに、ステップ707において記録ヘッド102の冷却を停止し(ステップ707)、その第2の温度にある記録ヘッド102からインクを予備吐出させる(ステップ708)。ステップ708における予備吐出、つまり、第2の温度にある記録ヘッド102からのインクの予備吐出は、以下、「予備吐出K2」または「第1の予備吐出」ともいう。この予備吐出K2を実行した後、加熱回復処理を終了する(ステップ709)。
【0034】
本例において、第2の温度(冷却設定温度)は50℃であり、記録ヘッド102の自然放熱を利用して50℃まで冷ます。また、冷却手段を用いて記録ヘッド102を積極的に冷却する場合には、ステップ707において、その冷却手段による冷却を停止させる。
【0035】
ここで、加熱回復処理において泡601が除去される過程を図25および図26を用いて説明する。図25は、図7のフローチャートに示す回復処理を行った際の記録ヘッド102の温度変化を示すグラフである。図26(a)から(g)は、発泡室502に異常な泡601が複数個発生したときに、図7のフローチャートの各ステップにおける泡601の様子を表す図である。
【0036】
図26(a)は、図25の加熱回復処理開始時の泡601の様子である。ここでは、601a、601b、601cの大きさの異なる3個の泡が発生している。図26(b)は、図25の加熱シーケンス時の泡601の様子である。記録ヘッド102が第1の温度(加熱設定温度)まで加熱されることで、泡601は601a、601b、601cは発泡室502内で拡大し、インク流路503にまで拡がっていく。図26(c)は、さらに加熱を続けたときの泡601の様子である。加熱停止までの間に泡はさらに拡大し、ノズルフィルタ506との隙間を抜けて共通液室504内にまで拡大する。
【0037】
図26(d)は、加熱停止前までに泡601aのみが除去された様子を表す。元々サイズの大きかった泡601aは共通液室504に移動することで発泡室502から完全に除去されたが、601b、601cは加熱停止前までには除去されなかったことを表している。図26(e)は、図25の加熱停止後すぐに予備吐出K1を行ったときの、泡601b、601cの様子である。予備吐出K1を行う前に残っていた泡601b、601cのうち、泡601bのみが予備吐出K1によって除去されたが、泡601cは除去されなかったことを表す。つまり、泡601cは、加熱のみで除去できるほど大きいサイズの泡でないものの、加熱することによって予備吐出K1で排出できない程度にまで拡大したことになる。逆に、泡601bは、元々サイズが小さかったので加熱後も然程サイズが拡大せず、予備吐出K1で排出できたのである。
【0038】
図26(f)は、図25の冷却によって、記録ヘッド102を第2の温度(冷却設定温度)まで冷ましたときの、泡601cの様子である。予備吐出K1を行っても残っていた泡601cは、冷却によって図25(a)に示した元のサイズよりもはるかに小さくなる。図26(g)は、小さくなった泡601cが、図25の予備吐出K2によって完全に除去されたことを表す。
【0039】
このように、サイズの大きい泡601aが加熱のみで除去でき、予備吐出K1でサイズの小さい泡601bが除去でき、それでも残った泡601cのが冷却によって元のサイズよりも縮小し予備吐出K2で完全に除去することができる。
【0040】
図8は、図7中の加熱シーケンス(ステップ702)を説明するためのフローチャートである。本例の加熱シーケンスにおいては、電気熱変換素子505に短い駆動パルスを印加することによって、記録ヘッド102の温度HTを第1の温度(加熱設定温度)T1まで上げる。以下、このように電気熱変換素子505に短パルスを加えて記録ヘッド102を加熱する動作を「短パルス加熱」ともいう。また本例においては、第1の温度(加熱設定温度)T1を90℃としている。
【0041】
ステップ801にて加熱シーケンスを開始し、ステップ802にてループカウンタCを”0”にリセットし、ステップ803にて、ダイオードセンサ2012を用いて記録ヘッド102の温度(以下、「ヘッド温度」という)HTを取得する。そしてステップ804にて、ヘッド温度HTと加熱設定温度T1とを比較する。ヘッド温度HT<加熱設定温度T1の条件を満たすときはステップ805へ進み、また、それを満たさないときは加熱シーケンスを終了する(ステップ809)。
【0042】
ステップ805では短パルス加熱を実行し、短パルスを電気熱変換素子505に加えて、それを発熱させる。本例において、その駆動条件は、短パルスのパルス幅が0.3μs、駆動周波数は30kHzであり、電気熱変換素子を所定時間(本例の場合は、270ms)駆動させることにより実行する。その後、ステップ806にて所定時間(本例の場合は、30ms)待機してから、ステップ807にて、ループカウンタCの値と、所定の最大カウント値Cmaxと、を比較する。そして、C>Cmaxの条件を満たしたときには加熱シーケンスを終了し(ステップ809)、また、それを満たさないときは、ループカウンタCの値を”1”だけカウントアップ(ステップ808)してからステップ803に戻る。
【0043】
図9は、図7中の加熱保持シーケンス(ステップ703)を説明するためのフローチャートである。本例において、記録ヘッド102の温度を加熱設定温度に保つ加熱保持時間は、5秒である。
【0044】
ステップ901にて加熱保持シーケンスを開始し、ステップ902にて加熱保持タイマーTを”0”にリセットしてから、ステップ903にて加熱保持タイマーTをスタートさせる。そしてステップ904にて、ダイオードセンサ2012を用いてヘッド温度HTを取得し、ステップ905にて、ヘッド温度HTと加熱保持設定温度T2とを比較する。加熱保持設定温度T2は、記録ヘッド102を一定時間保持するときの温度であり、図7においては加熱設定温度T1と同じ第1の温度として説明した。本例の場合、加熱保持設定温度T2は加熱設定温度T1と同じ90℃である。それらの設定温度T1,T2は、異なる温度であってもよい。
【0045】
ヘッド温度HT<加熱保持設定温度T2の条件を満たしたときはステップ906へ進み、ステップ805と同じ駆動条件で、所定時間(本例の場合は、80ms)の短パルス加熱を実行する。また、その条件を満たさないときはステップ907へ進み、短パルス加熱を所定時間(本例の場合は、0秒)休止する。
【0046】
その後、ステップ908にて所定時間(本例の場合は、30ms)待機してから、ステップ807にて、加熱保持タイマーTの値と、所定の加熱保持時間Tcと、を比較する。そして、T>Tcの条件を満たしたときには加熱保持シーケンスを終了し(ステップ910)、また、それを満たさないときはステップ904に戻る。
【0047】
図7の加熱回復処理による記録ヘッド102のインク吐出性能の回復効果について確認を行った。
【0048】
図6のように泡601が生じている記録ヘッド102に対して、図7の加熱回復処理を行なった。その泡601は、吐出口列401を形成する8個の吐出口501の内、記録ヘッド102が受ける衝撃の程度に応じて、1つから8つ発生している。このような記録ヘッド102に対して加熱回復処理を行なった後、記録ヘッド102のインク吐出性能の回復効果を確認するために、所定のパターンを記録した。その記録パターンとしては、その記録結果から、各吐出口501のインクの吐出、不吐出、およびヨレ(吐出方向のずれ)などが確認できるパターンを用いた。
【0049】
図10は、図7中のステップ705の予備吐出K1において、インクを予備吐出するときの吐出周波数と、その予備吐出するインクの吐出数(吐出発数)と、を異ならせたときの記録ヘッド102の回復効果の確認結果を表す。この場合、図7中のステップ708の予備吐出K2においては、インクを予備吐出するときの吐出周波数を15kHzの一定とし、その予備吐出するインクの吐出発数を45000発の一定とした。図10中の「○」は、吐出口501に発生した泡601が全て除去されて、インクの吐出性能が回復したことを意味する。図10中の「×」は、吐出口501に発生した泡601が全ては除去されず、インクの吐出性能が回復しなかったことを意味する。
【0050】
図10(a)は、予備吐出K1の吐出周波数を、記録で用いる吐出周波数と等しい15kHzとした場合の確認結果である。図10(b),(c)は、予備吐出K1の吐出周波数を20kHz,30kHzとした場合の確認結果である。これらの結果から、予備吐出K1の吐出発数が0発では記録ヘッドの吐出性能は回復しないものの、その吐出発数を増やすことによって回復効果が上がることが確認できた。
【0051】
このように本例においては、インクを吐出するための電気熱変換素子(発熱素子)を加熱手段として用いて、記録ヘッドを第1の温度である90℃まで加熱し、記録ヘッドの温度を第1の温度に5秒間保持する。そして、その第1の温度の記録ヘッドによって予備吐出K1を行なってから、その第1の温度よりも低い第2の温度である50℃まで自然放熱により記録ヘッドを冷却する。そして、その第2の温度の記録ヘッドによって予備吐出K2を行う。
【0052】
次に、(1)第1の温度における予備吐出K1の条件、(2)第2の温度における予備吐出K2の条件、(3)過熱保持時間、および(4)加熱設定温度について説明する。
(1)第1の温度における予備吐出K1の条件について
図10(a),(b),(c)のように、図7中のステップ705における予備吐出K1の吐出周波数と吐出発数を異ならせた。この場合、図7中のステップ708の予備吐出K2においては、前述したように、インクを予備吐出するときの吐出周波数を15kHzの一定とし、その予備吐出するインクの吐出発数を45000発の一定とした。
【0053】
図10(a)のように、吐出周波数15KHzの予備吐出K1においては、記録ヘッドの吐出性能を回復させるために45000発の吐出発数が必要であった。しかし、図10(b)の吐出周波数20KHzの予備吐出K1においては、回復に必要な吐出発数は20000発であった。また、図10(c)の吐出周波数30KHzの予備吐出K1においては、回復に必要な吐出発数は5000発であった。このように、予備吐出K1の吐出周波数を上げることによって、より少ない吐出発数でも回復効果が向上することが確認できた。
【0054】
このように、第1の温度である90℃の記録ヘッドにより予備吐出K1を行い、その際の吐出周波数を記録動作時の吐出周波数(15KHz)よりも高くすることにより、より少ない吐出発数によっても吐出口の先端部にある気泡の除去効果を高めることができた。
【0055】
(2)第2の温度における予備吐出K2の条件について
図11のように、図7中のステップ708における予備吐出K2の吐出周波数と吐出発数を異ならせた。この場合、図7中のステップ705の予備吐出K1においては、吐出周波数を15kHzの一定とし、インクの吐出発数を45000発の一定とした。
【0056】
図6のように泡601が生じている記録ヘッド102に対して、図7の加熱回復処理を行なった。その泡601は、吐出口列401を形成する8個の吐出口501の内、記録ヘッド102が受ける衝撃の程度に応じて、1つから8つ発生している。このような記録ヘッド102に対して加熱回復処理を行なった後、記録ヘッド102のインク吐出性能の回復効果を確認するために、所定のパターンを記録した。その記録パターンとしては、その記録結果から、各吐出口501のインクの吐出、不吐出、およびヨレ(吐出方向のずれ)などが確認できるパターンを用いた。
【0057】
図11中の「○」は、吐出口501に発生した泡601が全て除去されて、インクの吐出性能が回復したことを意味する。図11中の「×」は、吐出口501に発生した泡601が全ては除去されず、インクの吐出性能が回復しなかったことを意味する。
【0058】
図11の結果から、予備吐出K2においても予備吐出K1と同様に、インクの吐出発数が多い方が回復効果が高いことが分かる。しかし、吐出周波数に関しては、予備吐出K1の場合とは逆に、記録動作時の吐出周波数(15KHz)以下の方が回復効果が高いことが分かる。
【0059】
このように、第2の温度である50℃の記録ヘッドにより予備吐出K2を行い、その際の吐出周波数を記録動作時の吐出周波数以下(15KHz以下)とすることにより、より少ない吐出発数によっても吐出口の先端部にある気泡の除去効果を高めることができた。
【0060】
(3)保持時間について
上記(1),(2)においては、図7の加熱保持シーケンス(ステップ703)における加熱保持時間Tcを5秒とした。ここでは図12のように、その加熱保持時間Tcと、図7中のステップ705における予備吐出K1の吐出発数を異ならせた。この場合、図7中のステップ705における予備吐出K1の吐出周波数は15kHzの一定とし、図7中のステップ708における予備吐出K2の吐出発数を45000発の一定とした。
【0061】
図6のように泡601が生じている記録ヘッド102に対して、図7の加熱回復処理を行なった。その泡601は、吐出口列401を形成する8個の吐出口501の内、記録ヘッド102が受ける衝撃の程度に応じて、1つから8つ発生している。このような記録ヘッド102に対して加熱回復処理を行なった後、記録ヘッド102のインク吐出性能の回復効果を確認するために、所定のパターンを記録した。その記録パターンとしては、その記録結果から、各吐出口501のインクの吐出、不吐出、およびヨレ(吐出方向のずれ)などが確認できるパターンを用いた。
【0062】
図12中の「○」は、吐出口501に発生した泡601が全て除去されて、インクの吐出性能が回復したことを意味する。図12中の「×」は、吐出口501に発生した泡601が全ては除去されず、インクの吐出性能が回復しなかったことを意味する。
【0063】
図12の結果から、加熱保持時間Tcが長い程、少ない吐出発数によっても回復効果が上がることが分かる。
【0064】
このように、第1の温度の90℃まで記録ヘッドを加熱した後、その第1の温度を保持する時間(加熱保持時間Tc)を長くとってから予備吐出K1を行うことにより、より少ない吐出発数によっても吐出口の先端部にある気泡の除去効果を高めることができた。さらに、予備吐出K1の吐出周波数を高くすることにより、より少ない吐出発数でも回復効果を高めることができた。
【0065】
(4)設定温度について
上記(1),(2),(3)においては、第1の温度である加熱設定温度(T1,T2)を90℃とし、第2の温度である冷却設定温度を50℃とした。ここでは、図13(a)のように、第1の温度である加熱設定温度と予備吐出K1の吐出発数を異ならせ、また図13(b)のように、第2の温度である冷却設定温度と予備吐出K2の吐出発数を異ならせた。
【0066】
図6のように泡601が生じている記録ヘッド102に対して、図7の加熱回復処理を行なった。その泡601は、吐出口列401を形成する8個の吐出口501の内、記録ヘッド102が受ける衝撃の程度に応じて、1つから8つ発生している。このような記録ヘッド102に対して加熱回復処理を行なった後、記録ヘッド102のインク吐出性能の回復効果を確認するために、所定のパターンを記録した。その記録パターンとしては、その記録結果から、各吐出口501のインクの吐出、不吐出、およびヨレ(吐出方向のずれ)などが確認できるパターンを用いた。
【0067】
図13中の「○」は、吐出口501に発生した泡601が全て除去されて、インクの吐出性能が回復したことを意味する。図13中の「×」は、吐出口501に発生した泡601が全ては除去されず、インクの吐出性能が回復しなかったことを意味する。
【0068】
まず、図13(a)のように、第1の温度と予備吐出K1の吐出発数を異ならせた場合について説明する。この場合には、予備吐出K1の吐出周波数は15kHzの一定とした。また、第2の温度は50℃の一定とし、予備吐出K2の吐出周波数および吐出発数は、それぞれ15kHzおよび45000発の一定とした。
【0069】
図13(a)の結果から、第1の温度が90℃のときは、インクの吐出性能を回復させるために、予備吐出K1の吐出発数として45000発が必要であった。第1の温度が100℃のときは、必要とされる予備吐出K1の吐出発数を20000発と少なくすることができ、逆に、第1の温度が80℃のときは、必要とされる予備吐出K1の吐出発数が60000発と多くなった。
【0070】
このように、予備吐出K1を行なうときの第1の温度が高く、予備吐出K2を行なうときの第2の温度との差分が大きくなる程、予備吐出K1の吐出発数が少なくても回復効果を高めることができた。
【0071】
次に、図13(b)のように、第2の温度と予備吐出K2の吐出発数を異ならせた場合について説明する。この場合には、予備吐出K2の吐出周波数は15kHzの一定とした。また、第1の温度は90℃の一定とし、予備吐出K1の吐出周波数および吐出発数は、それぞれ15kHzおよび45000発の一定とした。
【0072】
図13(b)の結果から、第2の温度が50℃のときは、インクの吐出性能を回復させるために、予備吐出K2の吐出発数として45000発が必要であった。第2の温度が40℃のときは、必要とされる予備吐出K2の吐出発数を20000発と少なくすることができ、逆に、第2の温度が60℃のときは、必要とされる予備吐出K2の吐出発数が60000発と多くなった。
【0073】
このように、予備吐出K2を行なうときの第2の温度が低く、予備吐出K1を行なうときの第1の温度との差分が大きくなる程、予備吐出K2の吐出発数が少なくても回復効果を高めることができた。
【0074】
これらの図13(a),(b)の結果から、吐出口の先端部にある気泡の除去効果を高める上において、次のように第1,第2の温度を設定することが有効であることが分かった。すなわち、第1の温度をより高くして予備吐出K1を行ない、また第2の温度をより低くして予備吐出K2を行なって、第1,第2の温度の差を大きくすることにより、予備吐出K1,K2の吐出発数を少なくしても記録ヘッドの回復効果を高めることができる。
【0075】
(第2の実施形態)
前述した第1の実施形態における記録ヘッド102は、図4に示すように、約5plのインク滴を吐出可能な8つの吐出口501によって吐出口列401が形成された構成であった。
【0076】
図14は、本実施形態における記録ヘッド102の説明図である。約5pl(第1の体積)のインク滴を吐出可能な8つの吐出口(第1の吐出口)501によって吐出口列401が形成され、約2pl(第2の体積)のインク滴を吐出可能な8つの吐出口(第2の吐出口)1501によって吐出口列1401が形成されている。
【0077】
図15は、吐出口列1401部分の断面図であり、吐出口1501は、紙面の裏面側から表面側に向かってインクを吐出する。吐出口1501は、2plのインク滴を吐出可能な開口面積、具体的には、直径10.4μmの円形に形成されている。各吐出口1501に連通する発泡室1502やインク流路1503の寸法、および各発泡室1502内に位置する電気熱変換素子(ヒータ)1505の寸法は、吐出口1501の寸法に合わせて調整されている。インクの吐出エネルギー発生素子としての電気熱変換素子1505は、吐出口1501と対向するように発泡室1502内に備えられている。その電気熱変換素子1505を発熱駆動して発泡室1502内のインクを発泡させることにより、その発泡エネルギーを利用して、吐出口1501からインクを吐出することができる。
【0078】
具体的に、発泡室1502の幅は22μm、インク流路2503の幅は11μmである。電気熱変換素子1505は、13×22.4μmの長方形に形成されている。共通液室1504内には、不図示のインク供給口からインクが供給される。共通液室1504内に供給されたインク中のゴミをトラップする等の目的のために、共通液室1504内には柱状のノズルフィルタ1506が設けられている。
【0079】
本実施形態においても前述した実施形態と同様に、泡601が生じている記録ヘッド102に対して図7の加熱回復処理を行なって、記録ヘッドの吐出性能の回復の程度を確認した。その記録ヘッド102の吐出口501には図6のように泡601が生じており、同様に、吐出口1501にも泡が生じている。吐出口1501における泡は、吐出口501における泡601と同様に、吐出口列1401を形成する8個の吐出口1501の内、記録ヘッド102が受ける衝撃の程度に応じて、1つから8つ発生している。このような記録ヘッド102に対して加熱回復処理を行なった後、記録ヘッド102のインク吐出性能の回復効果を確認するために、所定のパターンを記録した。その記録パターンとしては、その記録結果から、各吐出口501,1501のインクの吐出、不吐出、およびヨレ(吐出方向のずれ)などが確認できるパターンを用いた。
【0080】
本実施形態においては、図16のように、図7中のステップ705の予備吐出K1において、吐出量が5plの吐出口501、および吐出量が2plの吐出口1501からのインクの吐出発数を異ならせて、記録ヘッド102の吐出性能の回復の程度を確認した。予備吐出K1において、吐出口501,1501からのインクの吐出発数は同一とした。また、図7中のステップ708の予備吐出K2において、吐出周波数は15kHzの一定とし、インクの吐出発数は45000発の一定とした。
【0081】
図16中の「○」は、吐出口501,1501に発生した泡が全て除去されて、インクの吐出性能が回復したことを意味する。図12中の「×」は、それらの泡が全ては除去されず、インクの吐出性能が回復しなかったことを意味する。
【0082】
図16の結果から、予備吐出K1の吐出発数が”0”ではインクの吐出性能は回復せず、その吐出発数を増やすことによって回復効果が上がることが確認できた。
【0083】
また、約5plのインクを吐出する吐出口501に関しては、その吐出性能を回復させるために、予備吐出K1の吐出発数として45000発が必要であった。一方、約2plのインクを吐出する吐出口1501に関しては、その吐出性能を回復させるのに、予備吐出K1の吐出発数として100000発が必要であった。このことから、吐出口の内径が小さい程、吐出性能の回復に必要な吐出発数が多くなることが分かった。
【0084】
このように、第1の温度のときに行なう予備吐出K1において、大径の吐出口501からのインクの吐出発数を小径の吐出口1501からのインクの吐出発数よりも少なくすることにより、吐出口の内径に合った最適な吐出発数を設定することができる。つまり、大径の吐出口に対しては、小径の吐出口よりも少ない吐出発数によっても、その吐出口の先端部にある気泡の除去効果を高めることができる。
【0085】
(第3の実施形態)
前述した第1および第2の実施形態における記録ヘッドは、インクの吐出エネルギー発生素子(記録素子)として電気熱変換素子(発熱素子)を用いている。しかし、記録素子として圧電素子(ピエゾ素子)などを用いてもよく、その場合には、記録ヘッド内のインクの温度を上げるための発熱素子を別に備えていればよい。
【0086】
本実施形態における記録ヘッド102においては、図17のように、記録素子とは別に保温ヒータ1702が設けられている。図17においては、5plのインクを吐出可能な8つの吐出口501によって吐出口列401が形成されており、その吐出口列401を取り囲むように保温ヒータ1702が設けられている。保温ヒータ1702によるインクの加熱は、「保温ヒータ加熱」ともいう。
【0087】
本実施形態においても前述した実施形態と同様に、図7の加熱回復処理を行なって記録ヘッドの吐出性能の回復の程度を確認した。
【0088】
図7の加熱回復処理は、図6のように泡601が生じている記録ヘッド102に対して行なった。その泡601は、吐出口列401を形成する8個の吐出口501の内、記録ヘッド102が受ける衝撃の程度に応じて、1つから8つ発生している。このような記録ヘッド102に対して加熱回復処理を行なった後、記録ヘッド102のインク吐出性能の回復効果を確認するために、所定のパターンを記録した。その記録パターンとしては、その記録結果から、各吐出口501のインクの吐出、不吐出、およびヨレ(吐出方向のずれ)などが確認できるパターンを用いた。
【0089】
図18は、図7中のステップ702の加熱シーケンスを説明するためのフローチャートである。図18中のステップ1801〜1804および1806〜1809は、前述した実施形態における図8中のステップ801〜804およびプ806〜809と同じである。図7中のステップ1805においては、保温ヒータ1702による保温ヒータ加熱を実行する。つまり、保温ヒータ1702を所定時間発熱させて、記録ヘッド内のインクを加熱する。
【0090】
図19は、図7中のステップ703の加熱保持シーケンスを説明するためのフローチャートである。図19中のステップ1901〜1905および1908〜1910は、前述した実施形態における図9中のステップ901〜905および908〜910と同じである。図9中のステップ1906においては、保温ヒータ1702を発熱させて保温ヒータ加熱を実行し、ステップ1907においては、保温ヒータ1702による保温ヒータ加熱を休止する。
【0091】
このように本実施形態においては、インクを加熱するための加熱手段として、インクを吐出させるための記録素子とは異なる保温ヒータを用いることにより、前述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
(第4の実施形態)
本実施形態においては、第1から第3の実施形態における図7の加熱回復処理に代えて、図20の加熱回復処理を行う。
【0093】
図20中のステップ2001〜2007は、図7中のステップ701〜707と同じである。図20中のステップ2008においては、予備吐出K2と同時にワイピング動作を行う。
【0094】
図21は、ステップ2008の動作を説明するための模式図である。図21は、図1の+y方向からヘッドカートリッジ101を見た図であり、ヘッドカートリッジ101はホームポジションhにある。ステップ2008において、ヘッドカートリッジ101は、記録ヘッド102から予備吐出K1を行ないながら、記録動作時の速度よりも遅い速度(例えば、5インチ/秒)で+x方向に移動する。その際、ホームポジションhに備わる弾性部材のブレード2009に、記録ヘッド102を接触させることにより、図21のように、そのブレード2009が記録ヘッド102における吐出口の形成面をワイピングする。そのワイピングの際には、記録ヘッド102に対してブレード2009を移動させてもよい。
【0095】
本実施形態においては、ステップ2002の加熱シーケンス、およびステップ2003の加熱保持シーケンス2003として、前述した図8および図9のシーケンスを実行する。
【0096】
本実施形態においては、図20の加熱回復処理を行なって記録ヘッドの吐出性能の回復の程度を確認した。
【0097】
図20の加熱回復処理は、図6のように泡601が生じている記録ヘッド102に対して行なった。その泡601は、吐出口列401を形成する8個の吐出口501の内、記録ヘッド102が受ける衝撃の程度に応じて、1つから8つ発生している。このような記録ヘッド102に対して加熱回復処理を行なった後、記録ヘッド102のインク吐出性能の回復効果を確認するために、所定のパターンを記録した。その記録パターンとしては、その記録結果から、各吐出口501のインクの吐出、不吐出、およびヨレ(吐出方向のずれ)などが確認できるパターンを用いた。
【0098】
図22のように、図20中のステップ2008における予備吐出K2の吐出周波数と吐出発数を異ならせた。この場合、図20中のステップ2005の予備吐出K1においては、吐出周波数を15kHzの一定とし、インクの吐出発数を45000発の一定とした。
【0099】
図22中の「○」は、吐出口501に発生した泡601が全て除去されて、インクの吐出性能が回復したことを意味する。図22中の「×」は、吐出口501に発生した泡601が全ては除去されず、インクの吐出性能が回復しなかったことを意味する。
【0100】
図22の結果と、前述した実施形態における図11の結果とを比較した。
【0101】
図11の結果においては、予備吐出K2の吐出周波数が15KHzのときに記録ヘッドの回復に必要なインクの吐出発数は、45000発であった。しかし、図22の結果においては、予備吐出K2の吐出周波数15KHzのときに回復に必要な吐出発数は、500発であった。
【0102】
また、図11の結果においては、予備吐出K2の吐出周波数が30KHzのときに、吐出発数が45000発でも回復させるには不充分であった。しかし、図22の結果においては、予備吐出K2の吐出周波数30KHzのときに、吐出発数が3000発でも回復させることができた。
【0103】
このように予備吐出K2と同時にワイピングを行うことにより、吐出口先端に残留する泡の一部を除去することができるため、インクの吐出発数が少なくても回復効果が向上することが確認できた。また、1回のワイピング動作時に、吐出周波数が15KHzの予備吐出K2によって500発のインクを吐出する。したがって、吐出周波数が30KHzの予備吐出K2においては、1回のワイピング動作時に1000発のインクを吐出し、これを3回繰り返すことによって吐出発数を3000発としている。
【0104】
本実施形態においては、前述したように、ステップ2002の加熱シーケンス、およびステップ2003の加熱保持シーケンス2003として、前述した図8および図9のシーケンスを実行する。しかし、前述した図18と図19のシーケンスを実行しても同様の効果を得ることができる。
【0105】
このように、第2の温度における予備吐出K2と同時に、ワイピング動作を行うことにより、吐出口の先端部にある気泡の除去効果を高めることができた。
【0106】
(第5の実施形態)
以上の実施形態においては、吸引回復処理を行うための吸引ポンプを備えていない構成について説明した。本実施形態においては、そのような吸引ポンプを備えた構成に対する適用例ついて説明する。また、本実施形態において用いる記録ヘッドは、図4の記録ヘッド102とする。
【0107】
図23は、図6のように泡601が発生したことによるインクの不吐出が確認された場合に、本実施形態において実行する回復処理を説明するためのフローチャートである。
【0108】
ステップ2301にて回復処理を開始し、ステップ2302にて、泡601に起因するインクの不吐出があるか否かを判定する。インクの不吐出がないときは、ステップ2306にて回復処理を終了する。その不吐出があるときは、ステップ2303において、吐出口501を塞ぐインクの固着に起因するインクの不吐出があるか否かを判定する。その不吐出がないときは、ステップ2304において加熱回復処理を実行してから、ステップ2306にて回復処理を終了する。その不吐出があるときは、ステップ2305において吸引回復処理を実行してから、ステップ2306にて回復処理を終了する。
【0109】
ステップ2304において実行する加熱回復処理は、前述した第1〜第3の実施形態における図7の加熱回復処理、または第4の実施形態における図20の加熱回復処理である。
【0110】
ステップ2305において実行する吸引回復処理は、画像の記録に寄与しないインクを吐出口501から外部に吸引排出させるための回復処理である。すなわち、キャップ2010(図2参照)によって記録ヘッド102をキャッピングして吐出口501を密閉し、そのキャッピング状態のキャップ2010内に、吸引ポンプを用いて発生させた負圧を導入する。これにより、記録ヘッド内のインクと共に、吐出口501内に発生した泡601、および吐出口501の周辺に付着した増粘インクなどがキャップ2010内に吸引排出される。
【0111】
このようにキャップ2010内にインクを吸引排出した後は、キャップ2010を記録ヘッド102から離して開放状態としてから、そのキャップ2010に溜まったインクを排出するため、空吸引動作を実行する。また、吸引回復処理後に、記録ヘッド102における吐出口501の形成面(吐出口形成面)をブレード2009(図21参照)によってワイピングすることにより、その吐出口形成面に付着したインクを除去して、インクの吐出状態を良好に維持することができる。
【0112】
いま、記録ヘッド102には、8つの吐出口501の内、6つの吐出口501に泡601が存在し、2つの吐出口501にそれを塞ぐインクの固着があったとする。このような記録ヘッド102に対して図23の回復処理を行い、その回復処理後に、記録ヘッド102のインク吐出性能の回復効果を確認するために、所定のパターンを記録した。その記録パターンとしては、その記録結果から、各吐出口501のインクの吐出、不吐出、およびヨレ(吐出方向のずれ)などが確認できるパターンを用いた。
【0113】
図24は、本実施形態において、ステップ2304の加熱回復処理を実行したときと、ステップ2305の吸引回復処理を実行したときと、における回復処理の効果の確認結果を表す。
【0114】
図24中の値は、下式によって表される回復率であり、回復処理によって、インクの不吐出状態の吐出口が吐出可能な状態に回復した割合である。
回復率=(回復処理によって回復した吐出口の数/回復処理前の不吐出の吐出口の数)
【0115】
図24においては、泡601による不吐出の回復率と、インクの固着による不吐出の回復率と、それらの回復率の合計と、が表されている。回復処理前においては、前述したように、泡601による不吐出の吐出口501の数が”6”であり、インクの固着による不吐出の吐出口501の数が”2”である。
【0116】
図24の結果から、ステップ2304の加熱回復処理を行った場合、泡601による不吐出の6つの吐出口501に対する回復率は、6/6の100%であった。しかし、吐出口501を塞ぐインクの固着による不吐出の2つの吐出口501に対する回復率は、0/2の0%であった。一方、ステップ2305の吸引回復処理を行った場合、泡601による不吐出の6つの吐出口501に対する回復率は、6/6の100%であった。しかも、吐出口501を塞ぐインクの固着による不吐出の2つの吐出口501に対する回復率も、2/2の100%であった。
【0117】
吐出口501を塞ぐインクの固着による不吐出の2つの吐出口501に対しては、ステップ2304の加熱回復処理を何度繰り返しても回復させることはできなかった。
【0118】
このように本実施形態においては、泡601による不吐出の吐出口に加えて、吐出口を塞ぐインクの固着による不吐出の吐出口が存在する場合には、ステップ2304の加熱回復処理は行わず、ステップ2305の吸引回復処理を行う。これにより、効率的に不吐出の吐出口を回復させることができる。
【0119】
吐出口を塞ぐインクの固着が発生する状況としては、例えば、記録ヘッドを記録装置本体に長期間装着していないとき、および、記録装置本体に装着されている記録ヘッドがキャップ2010によってキャッピングされないまま長期間放置されたときなどがある。
【0120】
このように本実施形態においては、インクジェット記録装置に備えた吸引ポンプを用いて吐出口からインクを吸引排出する吸引回復処理と、加熱回復処理と、を選択的に実行する。これにより、吐出口を塞ぐインクの固着による不吐出の吐出口があるときにも、吐出口に対する回復効果を高めることができる。
【0121】
(他の実施形態)
本発明は、吐出口からインクを吐出可能な記録ヘッドを用いて、画像を記録する種々のインクジェット記録装置に対して、広く適用することができる。したがって、インクジェット記録装置は、図1のようなシリアルスキャンタイプのみに特定されず、記録ヘッドの移動を伴わずに画像を記録するフルラインタイプであってもよい。
【0122】
また、記録ヘッド内のインクの温度を検出するための検出手段は、記録ヘッド内のインクの温度に対応する記録ヘッドの温度を検出するものであってもよく、記録ヘッド内のインクの温度を直接検出するものであってもよい。要は、記録ヘッド内のインクの温度が実質的に検出できればよい。また、記録ヘッド内のインクを加熱するための加熱手段は、記録ヘッド内のインクを直接的または間接的に加熱可能な構成を採ることができる。
【0123】
また、記録ヘッドは、大きさが異なる少なくとも2種類の吐出口を備えてもよく、第1の予備吐出において吐出するインクの吐出数は、それらの吐出口の大きさに応じて異ならせることができる。
【0124】
記録ヘッド内のインクの温度を第1の温度まで加熱させてから第1の予備吐出を行い、その後、記録ヘッド内の温度が第2の温度まで下がったときに第2の予備吐出を行うための制御機能の全てまたは一部は、記録装置側またはホスト装置側に備えることができる。例えば、その制御機能の全てまたは一部を記録装置側のCPU2000が果たすことができる。また、その制御機能の全てまたは一部は、記録画像を記録装置に供給するためのホスト装置によって果たすこともできる。
【符号の説明】
【0125】
101 ヘッドカートリッジ
102 記録ヘッド
2000 CPU
2001 ROM
2002 RAM
2007 回復系制御回路
2014 ヘッド温度制御回路
2015 ヘッド駆動制御回路
2016 キャリッジ駆動制御回路
K1 第1の予備吐出
K2 第2の予備吐出

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出口からインクを吐出可能な記録ヘッドを用いて、画像を記録するインクジェット記録装置において、
前記記録ヘッド内のインクの温度を検出する検出手段と、
前記記録ヘッド内のインクを加熱するための加熱手段と、
を備え、
前記記録ヘッド内のインクの温度を前記加熱手段によって第1の温度まで加熱させてから、画像の記録に寄与しないインクを前記吐出口から吐出させる第1の予備吐出を行い、その後、前記記録ヘッド内の温度が第1の温度よりも低い第2の温度まで下がったときに、画像の記録に寄与しないインクを前記吐出口から吐出させる第2の予備吐出を行う
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記記録ヘッドは、インクを吐出させるためのエネルギー発生素子として電気熱変換素子を備え、
前記加熱手段は、前記電気熱変換素子を発熱させることによって前記記録ヘッド内のインクを加熱する
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記記録ヘッドは、インクを吐出させるためのエネルギー発生素子とは別の発熱素子を備え、
前記加熱手段は、前記発熱素子を発熱させることによって前記記録ヘッド内のインクを加熱する
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記第1の予備吐出においてインクを吐出するときの吐出周波数は、画像を記録するためにインクを吐出するときの吐出周波数よりも高いことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記第2の予備吐出においてインクを吐出するときの吐出周波数は、画像を記録するためにインクを吐出するときの吐出周波数以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記第2の予備吐出において吐出するインクの吐出数は、前記第1の予備吐出において吐出するインクの吐出数よりも少ないことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記記録ヘッドは、第1の吐出口と、前記第1の吐出口よりも小さい第2の吐出口と、を備え、
前記第1の予備吐出において吐出するインクの吐出数は、前記第1および第2の吐出口の大きさに応じて異なる
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記第1の吐出口は第1の体積のインクを吐出し、
前記第2の吐出口は、前記第1の体積よりも小さい第2の体積のインクを吐出する
ことを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記第1の予備吐出において、前記第1の吐出口から吐出するインクの吐出数は、前記第2の吐出口から吐出するインクの吐出数よりも少ないことを特徴とする請求項7または8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記記録ヘッド内の温度を前記加熱手段によって前記第1の温度まで加熱した後に、前記第1の温度を一定時間保持してから、前記第1の予備吐出を行うことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
第2の予備吐出において、前記吐出口からのインクの吐出と同時に、前記吐出口が形成された前記記録ヘッドの吐出口形成面をワイピングすることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
画像の記録に寄与しないインクを前記吐出口から外部に吸引排出させるための吸引回復手段を備えることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
吐出口からインクを吐出可能な記録ヘッドを用いて画像を記録するインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドのインクの吐出性能を良好に維持するための回復処理方法であって、
前記記録ヘッド内のインクの温度を第1の温度まで加熱させてから、画像の記録に寄与しないインクを前記吐出口から吐出させる第1の予備吐出を行い、
その後、前記記録ヘッド内の温度が第1の温度よりも低い第2の温度まで下がったときに、画像の記録に寄与しないインクを前記吐出口から吐出させる第2の予備吐出を行う
ことを特徴とする記録ヘッドの回復処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−255542(P2009−255542A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33110(P2009−33110)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】