説明

インクジェット記録装置及び清掃方法

【課題】中間転写体上に残留したインクや異物を効率よく確実に除去するとともに消耗品等のコストをかけないインクジェット記録装置及び清掃方法を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置10は、印字部12から付与されたインクによって中間転写ドラム14画像を形成し、中間転写ドラム14に形成された画像は転写ローラ18を用いて記録媒体16に転写される。転写終了後、第1にクリーニングブレード20によって中間転写ドラム14の付着物が除去され、第1のクリーニングブレード20の付着物は溝22内に設けられた第2のクリーニングブレード24によって除去される。印字部12直下の吐出領域においてヘッドから溝22に向けて予備吐出を実行し、第2のクリーニングブレード24の付着物はヘッドから吐出されたインクによって溝22の内部に流され、溝22内のインクは回収トレイ26へ排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録装置及び清掃方法に係り、特に中間転写方式を用いたインクジェット記録装置において消耗品等のコストをかけずに中間転写体上に残留するインクや異物の除去を行う中間転写体の清掃技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置には、記録ヘッドから吐出したインクによって中間転写体上に画像を形成した後に、中間転写体上の画像を記録媒体に転写する中間転写方式がある。中間転写方式では、記録媒体の全面に余白なしに画像が記録される全面画像印字を行う場合には、記録媒体に対応する領域の外側にも画像が形成されるので、記録媒体への転写後に中間転写体にインクが残留することがある。また、転写時の押圧不足などによって記録媒体に転写されずに中間転写体上にインクが残留することもあり得る。このような残留インクの存在は次に形成される画像品質に影響を及ぼす恐れがあるので、次の画像を形成する前に中間転写体から除去する必要がある。一般に、中間転写体上の異物を除去する方法として、ブレードやウエブなどの払拭部材によって中間転写体上の異物を拭き取る方法や、洗浄液を用いて中間転写体を洗浄する方法が用いられている。
【0003】
引用文献1には、転写ドラムの外周にらせん状に設けられた誘導溝に沿って、転写ドラム表面の液体を転写ドラムの端部に移動させ、該端部に設けられた溝を介して回収槽に回収する転写型インクジェット記録装置が記載されている。
【0004】
また、引用文献2には、インク吐出部の片側に、該インク吐出部の側面と微小な隙間をおいて隣接する位置にプレート部材33が設けられたインクジェット記録手段を備えたインクジェット記録装置において、インク吐出部にクリーニングブレードを摺擦させてインク吐出部の清掃を行う際に、クリーニングブレードとプレート部材の先端部が接触して、クレーニングブレードに付着したインクや異物がプレート部材の先端部によって除去されることが記載されている。
【特許文献1】特開平5−261903号公報
【特許文献2】特開平8−39828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ブレードを用いて中間転写体を払拭する方法では、ブレードに異物が蓄積してしまうので、定期的にブレードに付着した異物を回収し該ブレードの清掃を行う必要が生じる。ブレードを清掃する方法には上記引用文献2のような方法が考えられるが、引用文献2にはブレードから除去した異物を回収する方法についての開示がなく、プレート部材や隙間にたまった異物やインクが画像に落下して画像品質を低下させる懸念がある。特に、溶媒の蒸発で高粘度になったインクや、もともと高い粘度を持つインクを用いる場合にはプレート部材の先端部にインクが残留しやすく、該残留インクが画像上に落下することやブレードに再付着するといった不具合も考えられる。
【0006】
ウエブを用いて中間転写体を払拭する方法では、ウエブが消耗品であるためコストアップになるといった問題があり、洗浄液を用いて中間転写体を洗浄する方法では、洗浄液の回収が必要になるとともに洗浄液が消耗品となってしまう。
【0007】
引用文献1には、除去ローラと転写ドラムの間にたまったインクが誘導溝のエッジ部に保持される旨の記載があるが、除去ローラや転写ドラムに汚れが付着している場合や、粘度の高いインクを用いる場合、高速印字を行うなどにより転写ドラムの回転速度が速い場合などには、誘導溝のエッジ部でインクが保持されない現象が起きて、該溶媒が転写ドラムに再付着する恐れがある。即ち、除去ローラと転写ローラとの間に形成されたメニスカス状態のインクの一部が除去ローラを超えて転写ドラムに残留し、その後打滴されたインクと混合されてしまい画像品質劣化の原因となり得る。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、中間転写体上に残留したインクや異物を効率よく確実に除去するとともに消耗品等のコストをかけないインクジェット記録装置及び清掃方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係るインクジェット記録装置は、インク液滴を吐出するヘッドと、前記ヘッドから吐出されたインクによって画像形成領域に画像が形成される中間転写体と、前記中間転写体を所定の移動方向に移動させる移動手段と、前記中間転写体の画像形成面に形成された画像を記録媒体に転写する転写手段と、前記ヘッドの前記移動方向の上流側に前記中間転写体の前記移動方向と直交する幅方向に設けられ、前記中間転写体の画像形成面に接触して前記中間転写体に付着した付着物を払拭除去する第1のクリーニング手段と、前記中間転写体の画像形成面に前記中間転写体の幅方向に対して所定の角度α(但し、0<α<90度)をなす方向に沿って設けられ、前記第1のクリーニング手段の前記移動方向と直交する方向の長さに対応し、前記中間転写体の幅方向の一方の端部に開口部を有する第1の溝と、前記第1のクリーニング手段の前記移動方向と直交する方向の長さにわたり前記第1の溝の形成方向に沿って前記第1の溝の内部に設けられ、前記第1のクリーニング手段と接触して前記第1のクリーニング手段に付着した付着物を除去する第2のクリーニング手段と、前記ヘッドから前記第2のクリーニング手段に向けて予備吐出を実行し、前記第2のクリーニング手段に付着した付着物を前記第1の溝の内部へ流すように前記ヘッドのインク吐出を制御する吐出制御手段と、前記ヘッドの前記移動方向の下流側に設けられ、前記第2のクリーニング手段によって除去され前記第1の溝に溜まった付着物を前記第1の溝の開口部から回収する回収手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、第1のクリーニング手段に第2のクリーニング手段を接触させて第1のクリーニング手段に付着した付着物を除去するとともに、第2のクリーニング手段に向けて予備吐出を実行して第2のクリーニング手段に付着した付着物を第1の溝の内部へ流し、更に、第1の溝の内部に溜まった付着物を中間転写体の外の回収手段に回収するように構成されるので、第1のクリーニング手段から除去された付着物は第2のクリーニング手段及び溝を介して回収手段へ効率よく回収される。また、予備吐出によってヘッドから吐出されたインク液滴を用いて第2のクリーニング手段に付着した付着物を第1の溝内に流すので、第2のクリーニング手段から第1のクリーニング手段への付着物の再付着が防止されるとともに、第2のクリーニング手段を清掃する際に消耗品を発生しない。
【0011】
第1のクリーニング手段は、中間転写体の全幅に対応する長さを有する1つの払拭部材を備える態様が好ましい。また、中間転写体の全幅よりも短い長さを有する短尺の払拭部材を中間転写体の全幅にわたって並べてもよいし、短尺の払拭部材を中間転写体の全幅にわたって走査させてもよい。
【0012】
第2のクリーニング手段は、第1のクリーニング手段の前記移動方向と直交する方向(即ち、第1のクリーニング手段の長手方向)の長さに対応する長さを有する1つの払拭部材を備える態様が好ましい。また、第1のクリーニング手段の長手方向の長さよりも短い長さを有する短尺の払拭部材を第1のクリーニング手段の長手方向の全長にわたって並べてもよいし、短尺の払拭部材を第1のクリーニング手段に長手方向の全長にわたって走査させてもよい。
【0013】
第1の溝の開口部に開閉部材を備え、第1の溝内に溜まったインクを回収手段へ排出するときに開口部を開くように開閉部材を制御する開閉制御手段を備える態様が好ましい。
【0014】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第1の溝は、前記中間転写体の画像形成領域配設面から略垂直方向に沿って略直線状に形成され、底面に凹部を有するストレート部と、前記ストレート部と連通し前記ストレート部の形成方向と略直交する方向に形成されるアンダーカット部と、を含む構造を有し、前記中間転写体の移動中は前記第1の溝内のインクを前記凹部及び前記アンダーカット部に保持することを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、中間転写体の移動中には、第1の溝内のインクはアンダーカット部に保持されるので、第1の溝の液漏れが防止される。請求項2に係る発明は、ドラム形状を有する中間転写体を用い、第1の溝が回動する態様において特に効果を発揮する。
【0016】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項2記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第1の溝は、前記ストレート部の内壁面に規制板が設けられることを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、ストレート部に規制板を設けることで、第1の溝内のインクがストレート部に沿って逆流して液漏れが発生することを防止できる。
【0018】
規制板を第1の溝の内側に傾けて配設する態様が好ましい。
【0019】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1、2又は3記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第1の溝は、底面に前記第1の溝の形成方向と直交する方向の幅よりも小さい幅を有する第2の溝が設けられることを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、第1の溝内のインクは毛細管力によって第2の溝に保持されるので、第1の溝の液漏れを防止することができる。
【0021】
第2の溝は、第1の溝の形成方向と平行方向に形成してもよいし、第1の溝の形成方向に対して所定の角度をなす方向に形成してもよい。また、異なる方向に形成された複数の溝を組み合わせてもよい。
【0022】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第1のクリーニング手段を前記中間転写体の画像形成領域配設面に押圧して変形させる付勢手段を備え、前記第1の溝の前記移動方向の長さdと前記第1のクリーニング手段の前記中間転写体との接触部分の前記移動方向の長さdとの関係が、d>dを満たすことを特徴とする。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、第1のクリーニング手段を弾性変形させて中間転写体画像形成面に接触させることで、第1のクリーニング手段を確実に中間転写体に接触させることができる。また、第1の溝の前記移動方向の長さdと第1のクリーニング手段の前記中間転写体との接触部分の前記移動方向の長さdとの関係が、d>dを満たすことで、第1のクリーニング手段が弾性変形から復帰して第1の溝内に確実に入り込むことができ、第1のクリーニング手段と第2のクリーニング手段とを確実に接触させることができる。
【0024】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第1のクリーニング手段は、前記第1の溝の形成方向に対して所定の角度傾けて形成されることを特徴とする。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、第1のクリーニング手段を第1の溝の形成方向(即ち、第2のクリーニング手段の配設方向)に対して斜めに配置することで、第1のクリーニング手段の一方の端部から他方の端部に向かって順に第2のクリーニング手段を接触させることができるので、第1のクリーニング手段の拭き残しが防止できる。
【0026】
また、上記目的を達成するための方法発明を提供する。即ち、請求項7に係る清掃方法は、ヘッドから吐出されたインクによって中間転写体の画像形成領域に画像を形成する画像形成工程と、前記中間転写体を所定の移動方向に移動させる移動工程と、前記中間転写体の画像形成領域に形成された画像を記録媒体に転写する転写工程と、前記ヘッドの前記移動方向の上流側に前記中間転写体の前記移動方向と直交する幅方向に設けられる第1のクリーニング手段を前記中間転写体の画像形成面に接触させて、前記中間転写体に付着した付着物を払拭除去する第1のクリーニング工程と、前記中間転写体の画像形成面に前記中間転写体の幅方向に対して所定の角度α(但し、0<α<90度)をなす方向に沿って設けられ、前記第1のクリーニング手段の前記移動方向と直交する方向の長さに対応し、前記中間転写体の幅方向の一方の端部に開口部を有する第1の溝の形成方向に沿って前記第1の溝の内部に設けられ、前記第1のクリーニング手段の前記移動方向と直交する方向の長さに対応する長さを有する第2のクリーニング手段を前記第1のクリーニング手段と接触させて前記第1のクリーニング手段に付着した付着物を除去する第2のクリーニング工程と、前記ヘッドから前記第2のクリーニング手段に向けてインク液滴を吐出させて、前記第2のクリーニング手段に付着した付着物を前記第1の溝の内部へ流す予備吐出工程と、前記ヘッドの前記移動方向の下流側に設けられる回収手段を用いて、前記第2のクリーニング手段によって除去され前記第1の溝に溜まった付着物を前記第1の溝の開口部から回収する回収工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、第1のクリーニング手段に第2のクリーニング手段を接触させて第1のクリーニング手段に付着した付着物を除去するとともに、第2のクリーニング手段に向けて予備吐出を実行して第2のクリーニング手段に付着した付着物を第1の溝の内部へ流し、更に、第1の溝の内部に溜まった付着物を中間転写体の外の回収手段に回収するように構成されるので、第1のクリーニング手段から除去された付着物は第2のクリーニング手段及び溝を介して回収手段へ効率よく回収される。また、予備吐出によってヘッドから吐出されたインク液滴を用いて第2のクリーニング手段に付着した付着物を第1の溝内に流すので、第2のクリーニング手段から第1のクリーニング手段への付着物の再付着が防止されるとともに、第2のクリーニング手段を清掃する際に消耗品発生しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0029】
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置10の全体構成を示す概略図である。同図に示すように、インクジェット記録装置10は、KCMYの各色に対応するインクジェットヘッド(以下、ヘッドと記載する。)12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、ヘッド12K,12C,12M,12Yから吐出されたインクによりカラー画像が形成される画像形成領域(図1中不図示、図7に符号30で図示)を外周面に有する中間転写ドラム14(中間転写体)と、中間転写ドラム14との間に記録媒体16を挟み込んで記録媒体16を押圧し、画像形成領域に形成された画像を記録媒体16に転写する転写ローラ18と、記録媒体16に画像を転写した後に印字部12によるインク吐出が行われるまでに中間転写ドラム14の表面に残留するインクや、記録媒体16と接触する際に付着した紙粉などの付着物を払拭除去する第1のクリーニングブレード20と、を備えて構成される。また、中間転写ドラム14の回動経路上の相対位置(印字部12等の他の部材との相対位置)を検出する位置検出手段21を備えている。
【0030】
印字部12は、中間転写ドラム14の外周面の移動方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)イエロー(Y)の各色に対応したインクを吐出するヘッドが順に配置されている。中間転写ドラム14を所定の方向に回動させながら各ヘッド12K,12C,12M,12Yから各色インクを順に吐出して、中間転写ドラム14の画像形成領域にカラー画像を形成し得る。
【0031】
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンダなどライト系のインクを吐出するヘッドを追加する構成も可能である。
【0032】
図2に示すように、印字部12の各ヘッド12K,12C,12M、12Yは、中間転写ドラム14の最大幅(中間転写ドラム14の移動方向と略直交する方向の最大長さ)を超えず、画像形成領域(図1中不図示、図7に符号30で図示)の幅に対応する長さ(例えば、画像形成領域の幅と同一長さ)にわたって複数のノズルが配列されたライン型ヘッドで構成されている。このように、中間転写ドラム14の全幅をカバーするフルライン型のヘッド12K,12C,12M、12Yによれば、各ヘッド12K,12C,12M、12Yと中間転写ドラム14とを相対的に1回走査させる動作を1回行うことで(即ち、1回の副走査で)、中間転写ドラム14の画像形成領域の全域にわたって画像を形成することができる。これにより、ヘッドが中間転写ドラム14の幅方向に往復動作するシリアル型ヘッドを用いる場合に比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0033】
中間転写ドラム14の材質は、アルミニウムやステンレスなどの金属材料を用いてもよいし、ゴムなど弾性部材を用いてもよい。また、金属ドラムの表面にゴムなどの弾性部材を貼り合わせて構成してもよい。即ち、中間転写ドラム14は、インクジェットヘッドから吐出されたインクの定着性や転写時に要求される転写性などの物性によって様々な材質を適宜選択可能である。
【0034】
第1のクリーニングブレード20は、中間転写ドラム14の表面と確実に接触するように中間転写ドラム14の表面に付勢されたときに弾性変形する(例えば、略L字状や略J字状に変形する、図9参照)所定の弾性を有する部材が適用される。第1のクレーニングブレード20にはゴムや熱可塑性エラストマーなどの弾性部材が好適に用いられる。
【0035】
図1には、中間転写ドラム14の外周部に設けられた検出片21Aを光学センサ21Bで検出する位置検出手段21を例示したが、中間転写ドラム14を回動させるモータ(図1中不図示、図6に符号88で図示)にエンコーダを取り付けて、該エンコーダからの出力信号に基づいて中間転写ドラムの回動経路上の位置を検出するように構成してもよい。また、図1には複数の検出片を代表して符号21Aで図示したが、中間転写ドラム14の画像形成位置、転写位置などの処理が実行される位置に対応して多数の検出片が設けられている。
【0036】
中間転写ドラム14が図1における半時計回り方向(矢印線Aで図示)に回動し、印字部12の直下のインク吐出領域に画像形成領域が到達すると、印字部12から付与されるインク液滴により該画像形成領域に所望の画像が形成される。中間転写ドラム14の回動に応じて転写ローラ18が配設される転写領域に画像形成済みの画像形成領域が移動すると、画像形成領域の移動に同期して中間転写ドラム14と転写ローラ18との間に記録媒体16をはさみ込み、転写ローラ18により記録媒体16を中間転写ドラム14の画像に押し付けて該画像が記録媒体16へ転写される。
【0037】
記録媒体16には、被画像形成媒体、被記録媒体、受像媒体などと呼ばれる媒体を含み、ノンコート紙、アート紙などのコート紙、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロビレン)等の樹脂フイルム、布、その他材質や形状(シート媒体や連続媒体)を問わず、様々な媒体を適用可能である。
【0038】
記録媒体16への転写実行後、中間転写ドラム14の画像形成領域には記録媒体16に移動せずに中間転写ドラムの表面にインクが残留することがある。特に縁なし印字(全面画像印字)では画像形成領域の外側にもインクが付着することがある。また、紙粉、ゴミ、ほこりなどの付着物が中間転写ドラム14の表面に付着することがあり得る。このような付着物は、中間転写ドラム14の回動経路上における転写ローラ18と印字部12との間に配設された第1のクリーニングブレード20によって払拭除去される。
【0039】
中間転写ドラム14には、画像形成領域の後続位置に中間転写ドラム14の回動軸方向(中間転写ドラム14の移動方向と略直交する方向)と所定の角度(図7に示す角度α)をなす方向に沿って外周面(表面)に開口部22Aを有する溝22(第1の溝)が設けられている。また、溝22の内部には第1のクリーニングブレード20と接触して第1のクリーニングブレード20に付着している付着物を払拭除去する第2のクリーニングブレード24が設けられている。
【0040】
中間転写ドラム14が所定の回動方向に回動して画像形成領域が第1のクリーニングブレード20の配設領域を通過すると、中間転写ドラム14の画像形成領域及びその周辺に付着する付着物が第1のクリーニングブレード20により除去される。更に中間転写ドラム14が回動し第1のクリーニングブレード20の配設領域に溝22(第2のクリーニングブレード24)が到達すると、第1のクリーニングブレード20と第2のクリーニングブレード24が接触して、第1のクリーニングブレード20に付着した付着物が第2のクリーニングブレード24によって除去される。
【0041】
第2のクリーニングブレード24は、第1のクリーニングブレード20に付着した付着物をかき落とすために第1のクリーニングブレードよりも高い剛性を有し、且つ、インク耐食性に優れたステンレスなどの金属材料やセラミックなどの材料が好適に用いられる。
【0042】
また、第2のクリーニングブレード24の第1のクリーニングブレードとの接触面に細い溝が形成される態様も好ましい。即ち、第2のクリーニングブレード24の第1のクリーニングブレードとの接触面が第1のクリーニングブレード20と接触したときに、毛細管力によって第1のクリーニングブレード20に付着しているインクを第2のクリーニングブレード24に移動させることができるとともに、第2のクリーニングブレード24に第1クリーニングブレードから移動させたインクを保持することができる。なお、溝を形成する代わりに第2のクリーニングブレード24の少なくとも第1のクリーニングブレード20との接触部分に多孔質セラミックなどの多孔質部材を備える態様も好ましい。
【0043】
このようにして、第1のクリーニングブレード20に付着した付着物が第2のクリーニングブレード24によってかき落とされた後に、更に中間転写ドラム14が回動し、第2のクリーニングブレード24が印字部12の直下の吐出領域に到達すると、ヘッド12K,12C,12M,12Yのうち少なくとも何れか1つのヘッドから第2のクリーニングブレード24に向けて予備吐出が実行され、予備吐出により吐出されたインクによって第2のクリーニングブレードに付着した付着物は溝22の底面に流される。
【0044】
即ち、第2のクリーニングブレード24に付着する汚れは印字部12から付与されるインクの液体成分で洗い流す。これは、第2のクリーニングブレード24に付着しているインクは高粘度化或いは固体化していることが考えられるので、このような高粘度化(固体化)したインクを流動化させることを目的としている。
【0045】
更に、中間転写ドラムが回動し、溝22が回収トレイ26の配設位置に到達すると、中間転写ドラム14が一旦停止して溝22に溜まったインクや付着物が回収トレイ26に回収される。回収トレイ26は中間転写ドラム14の外部に固定され、印字部12の後段の中間転写ドラム14の回動軸方向(幅方向)の一方の端部の近傍に配設されている。図1では、溝22の開口部22Aが鉛直上向きになる印字部12による吐出領域から中間転写ドラム14を半時計回り方向に略90°回動させた溝22の開口部22Aが水平方向を向く位置を回収トレイ26の配設位置とする態様を例示する。
【0046】
上述したように、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置10は、中間転写ドラム14を所定の方向へ回動させながら、中間転写ドラム14への画像形成、記録媒体16への画像転写、第1のクリーニングブレード20よる中間転写ドラム14の外周面の付着物除去、第2のクリーニングブレードによる第1クリーニングブレードの付着物除去、予備吐出による第2のクリーニングブレードの付着物除去、溝22に溜まったインクの回収の各工程が順に実行される。
【0047】
〔記録ヘッドの構造の説明〕
次に、記録ヘッド12K,12C,12M、12Yの構造について詳細に説明する。各記録ヘッド12K,12C,12M、12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
【0048】
図3(a) はヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図3(b) はヘッド50の他の構造例を示す平面透視図である。また、図3(c) はヘッド50の他の構造例を示す平面透視図である。
【0049】
本例のヘッド50は、図3(a) 〜(c)に示すように、インクの液滴が出されるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリックス状に配置させた構造を有し、これにより見かけ上のノズルピッチの高密度化を達成している。
【0050】
即ち、本実施形態におけるヘッド50は、図3(a),(b) に示すように、インク液滴を吐出する複数のノズル51が主走査方向(移動方向と略直交するヘッド50の長手方向)に沿って、中間転写ドラム14の画像記録領域の幅に対応する長さにわたって配列された1列以上のノズル列を有するフルラインヘッドである。
【0051】
また、図3(c) に示すように、ノズル51が2次元に配列された短尺のヘッド50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、中間転写ドラム14の画像記録領域の全幅に対応する長さとしてもよいし、図示は省略するが短尺のヘッドを直線状につなぎ合わせてもよい。
【0052】
図3(a)〜(c)示すように、各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給口54が設けられている。また、各圧力室52は供給口54を介して共通液室(図3(a)〜(c)には不図示、図4に符号55で図示)と連通されている。
【0053】
図4に示すように、圧力室52の天面を構成し共通電極と兼用されている加圧板56には個別電極57を備えた圧電素子58が接合されており、個別電極57と共通電極(加圧板56)との間に駆動電圧を印加することによって圧電素子58が変形して、ノズル51からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路55から供給口54を介して新しいインクが圧力室52に供給される。
【0054】
かかる構造を有する多数のノズル51を図3(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンでマトリクス状に配列させた構造になっている。主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってノズル51を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなる。
【0055】
即ち、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。以下、説明の便宜上、ヘッド50の長手方向(主走査方向)に沿って各ノズル51が一定の間隔(ピッチP)で直線状に配列されているものとして説明する。
【0056】
なお、中間転写ドラム14の画像形成領域の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、中間転写ドラム14の画像形成領域の幅方向(中間転写ドラム14の画像形成領域の移動方向と直交する方向)に1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るラインを印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
【0057】
特に、図3(a)〜(c)に示すようなマトリクス配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。一方、上述した中間転写ドラム14の画像形成領域を印字部12に対して移動することによって、上述した主走査で形成された1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るラインの印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
【0058】
即ち、中間転写ドラム14の画像形成領域の幅方向に1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るラインを印字するようなノズル駆動を主走査といい、前記主走査で形成された1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るラインの印字を繰り返し行うことを副走査という。
【0059】
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータの変形によってインクを飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク液滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
【0060】
また、本実施形態では、中間転写ドラム14の画像形成領域の全幅に対応する長さのノズル列を少なくとも1列以上備えたライン型ヘッドを例示したが、中間転写ドラム14の画像形成領域の幅方向に走査しながら中間転写ドラム14の画像形成領域の幅方向の画像記録を行い、中間転写ドラム14の画像形成領域の幅方向と直交する方向に記録媒体を移動させて記録媒体の全面にわたって画像記録を行うシリアル型ヘッドを適用してもよい。
【0061】
〔供給系の説明〕
次に、インクジェット記録装置10の供給系の概略構成について説明する。図5はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。
【0062】
インク供給タンク60はインクを供給するための基タンクである。インク供給タンク60の形態には、インクの残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインクの種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インクの種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。
【0063】
上述したように、インク供給タンク60とヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。
【0064】
なお、ヘッド50の近傍又はヘッド50と一体にサブタンク(不図示)を設ける構成も好ましい。サブタンクは、圧力室52や共通流路55の内圧変動を防止するダンパ効果及びリフィルを改善する機能を有する。
【0065】
サブタンクにより共通流路55内圧を制御する態様には、大気開放されたサブタンクとヘッド50内の圧力室52との水頭圧の差により圧力室52内の内圧を制御する態様や、密閉されたサブタンクに接続されたポンプによりサブタンク及び圧力室52の内圧を制御する態様などがあり、何れの態様を適用してもよい。
【0066】
〔ヘッドのメンテナンスの説明〕
図5に示すように、インクジェット記録装置10にはノズル51の乾燥防止又はノズル51近傍の液体の粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64が設けられ、ノズル51が形成されるノズル形成面(インク吐出面)のクリーニング(ワイピング)を行うための手段としてブレード66が設けられている。
【0067】
キャップ64やブレード66を含むメンテナンスユニットは、不図示の移動機構によってヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置からヘッド50下方の位置に移動される。
【0068】
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によってヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、ヘッド50(ヘッド50のノズル形成面)に密着させることにより、ノズル形成面をキャップ64で覆い、ノズル形成面がキャップ64によって保護される。
【0069】
印字中または待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、ノズル51の近傍のインク粘度が上昇した場合、その劣化インクを排出すべく予備吐出(パージ、空吐出、つば吐き)が行われる。詳細は後述するが、本例に示すインクジェット記録装置10では中間転写ドラム14の外周面に設けられた溝22に向けて予備吐出が行われる。もちろん、図5に示すキャップ64をインク吐出面に当接させて行う予備吐出や、中間転写ドラム14の画像形成領域にインクを吐出する予備吐出を適宜兼用することも可能である。
【0070】
詳細は後述するが、溝22へインクを吐出する予備吐出を実行する際には、中間転写ドラム14の外周面に設けられた溝22の位置を検出し、溝22を印字部12の直下の吐出領域へ移動させるように中間転写ドラム14を回動させる。また、溝22内のインク量を判断し、溝22内のインク量が予め設定されたしきい値を超える場合には、溝22内のインクを排出トレイに排出した後に予備吐出が実行される。
【0071】
また、ヘッド50内のインクに気泡が混入した場合、ヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67でノズル51からインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。この吸引動作は、初期の吐出ヘッドへの液体の装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。
【0072】
ブレード66は、ノズル形成面に当接させながら移動してノズル形成面の汚れを除去する払拭手段として機能し、硬質ゴムなどの弾性部材が好適に用いられる。即ち、ブレード66は所定の強度(剛性)及び所定の弾力性を有し、その表面は吐出ヘッドから吐出される様々な液体をはじく所定の撥水性能を有している。ブレード66はノズル形成面に付着した液体(固まってノズル形成面に固着した液体)やその他の異物を払拭除去可能な部材で構成される。
【0073】
また、図5には図示しないが、インクジェット記録装置10のヘッドメンテナンス機構(ヘッドメンテナンス手段)には、該ブレード66を上下方向に移動させてノズル形成面に接触させる/接触させない(非接触)を切り換えるブレード上下機構(不図示)や、ブレード66に付着した異物を除去する清掃部材が備えられている。
【0074】
〔制御系の説明〕
次に、本例に示すインクジェット記録装置10の制御系について説明する。図6はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。
【0075】
インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、メモリ74、中間転写ドラム回動制御部76、転写制御部77、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、汚れカウンタ83、ヘッドドライバ84等を備えている。
【0076】
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信する画像入力手段として機能するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0077】
ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦メモリ74に記憶される。メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0078】
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、メモリ74、中間転写ドラム回動制御部76、転写制御部77、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、メモリ74等の記憶素子の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
【0079】
システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されるROMを備える態様も好ましい。前記ROMは書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。
【0080】
メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。また、システムコントローラ72は、図1に示す中間転写ドラム14の回動機構や、転写ローラ18の押圧制御機構、記録媒体16の移動機構などを制御する制御信号を生成する。
【0081】
中間転写ドラム回動制御部76は、システムコントローラ72からの指示にしたがって中間転写ドラム14の回動機構の駆動源となるモータ88を駆動するドライバー(駆動回路)が含まれる。即ち、位置検出手段21の検出信号に基づいて中間転写ドラム14の位置が判断され、中間転写ドラム14の位置に応じて印字、パージなどの各種処理が実行される。
【0082】
例えば、印字を行う場合には、位置検出手段21から得られる検出信号に基づいてシステムコントローラ72により中間転写ドラム14の画像形成領域の位置が判断され、画像形成領域を印字部12の直下の吐出領域に移動させるように中間転写ドラム14の回動が制御される。また、溝22や中間転写ドラム14の画像形成領域に予備吐出が行われる場合には、位置検出手段21から得られる検出信号に基づいてシステムコントローラ72が溝22或いは画像形成領域の位置を判断し、システムコントローラ72から送られる制御信号により溝22或いは画像形成領域を印字部12の直下の吐出領域に移動させるように中間転写ドラム14の回動が制御される。
【0083】
転写制御部77は、中間転写ドラム14の画像形成領域の移動に対応して中間転写ドラム14と転写ローラ18との間に記録媒体16を供給する制御を行うとともに、記録媒体16を中間転写ドラム14に押圧するタイミングの制御及び圧力の制御を行う。即ち、システムコントローラ72により中間転写ドラム14の画像形成領域が転写ローラ18の位置する転写領域に到達したと判断されると、システムコントローラ72から送られる制御信号に基づいて記録媒体16の供給機構を動作させて転写領域に記録媒体16が供給される。
【0084】
また、システムコントローラ72により記録媒体16の先端部が転写ローラ18に到達したと判断されると、転写ローラ18の押圧可変機構(図1の上下方向に転写ローラ18を移動させる機構)を動作させて、記録媒体16を所定の圧力で中間転写ドラム14に押圧して中間転写ドラム14の画像形成領域に形成された画像が記録媒体16へ転写される。
【0085】
ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって印字部12の温度調節用のヒータや中間転写ドラム14の画像形成領域に形成された画像の仮定着を行うヒータ、画像が転写された後の記録媒体16を加熱して画像を定着させるヒータなどを含むヒータ89を制御するブロックである。
【0086】
プリント制御部80はヘッド50の各ノズル51に対応した圧電素子58(図4参照)を駆動するための駆動信号波形を生成する駆動波形生成部を含んで構成され、該駆動波形生成部にて生成された駆動信号波形はヘッドドライバ84に供給される。なお、駆動波形生成部から出力される信号は、デジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。
【0087】
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ482に一時的に格納される。なお、図6において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0088】
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、メモリ74に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの多値の画像データがメモリ74に記憶される。
【0089】
インクジェット記録装置10では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、メモリ74に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られドットパターンに変換される。
【0090】
即ち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部80で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ82に蓄えられる。この色別ドットデータは、ヘッド50のノズルからインクを吐出するためのKCMY打滴データに変換され、印字されるインク吐出データが確定する。
【0091】
ヘッドドライバ84は、プリント制御部80(駆動波形生成部)から与えられるインク吐出データ及び駆動信号波形に基づき、印字内容に応じてヘッド50の各ノズル51に対応する圧電素子58を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ84には記録ヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0092】
こうして、ヘッドドライバ84から出力された駆動信号がヘッド50に加えられることによって、該当するノズル51からインクが吐出される。中間転写ドラム14の移動速度に同期してヘッド50からのインク吐出を制御することにより、中間転写ドラム14上に画像が形成される。
【0093】
上記のように、プリント制御部80における所要の信号処理を経て生成されたインク吐出データ及び駆動信号波形に基づき、ヘッドドライバ84を介して各ノズルからのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0094】
予備吐出を実行する場合には、ノズル51内の増粘インクや圧力室52内の気泡を確実に排出させるべく、各圧力室の容積に相当するインク吐出量に対応する駆動信号が圧電素子58に印加される。なお、予備吐出により溝22内に吐出されたインク量は予備吐出量情報として不図示のカウンタによって積算され、この予備吐出量情報はシステムコントローラ72により適宜読み出される。
【0095】
図6に示す汚れカウンタ83は、中間転写ドラム14から記録媒体16へ転写されずに中間転写ドラム14に残留したインク量をカウントするカウンタであり、印字部12から中間転写ドラム14へインクが付与されたときにカウントアップされる。中間転写ドラム14に残留するインク量は、(印字部から付与したインク量)−(記録媒体16に転写されたインク量)により求められる。印字部から付与したインク量は画像データ(ドットデータ)から算出され、記録媒体16に転写されたインク量は記録媒体16の大きさと印字面積から求められる。なお、印字面積は図示しないスキャナ等の読取装置を用いて当該印字領域を読み取り、その読取結果から求められる。
【0096】
プログラム格納部90には、インクジェット記録装置10の制御プログラムが格納され、システムコントローラ72はプログラム格納部に格納されている種々の制御プログラムを適宜読み出し、制御プログラムを実行する。
【0097】
〔中間転写ドラムの詳細構造〕
次に、図1に示す中間転写ドラム14の詳細構造について説明する。図7は、中間転写ドラム14の構造を示す斜視図である。
【0098】
図7に示すように、中間転写ドラム14には回動軸方向(中間転写ドラム14の移動方向と直交する方向)と角度αをなす方向に沿って画像形成領域30(図7には、画像形成領域の一部を斜線ハッチで図示)を避けて、中間転写ドラム14の外周面に開口部22A、側面に開口部22Bを有する溝22が設けられている。
【0099】
溝22は、中間転写ドラム14の外周面の画像形成領域30の後段に設けられるとともに、ヘッド50の中間転写ドラム14の移動方向と直交する幅(ヘッド50の中間転写ドラム14の回動軸方向に沿う方向の長さ)に対応する長さを有している。図7にはヘッド50の幅(即ち、画像形成領域の幅)よりも長く形成された溝22を例示している。
【0100】
また、溝22の一方の端部は中間転写ドラム14の一方の側面(回動軸方向の一方の端部)14Aに達し、溝22は開口部22B側の端部に向かって低くなる傾斜構造を有している。中間転写ドラム14の一方の側面14Aに設けられる溝22の開口部22Bには、開閉部材(図7中不図示、図8に符号32で図示)が具備され、該開閉部材は溝22が回収トレイ26の配設位置に達して停止すると開き、溝22に溜まったインクや付着物は開閉部材の面を通過して回収トレイ26へ流れ、所定の時間経過すると開閉部材は開口部22Bを閉じ、中間転写ドラム14が回動して溝22の開口部22Bは回収トレイ26の配設位置から移動する。
【0101】
即ち、図8に示すように、回収トレイ26の配設位置に溝22の開口部22Bが到達すると中間転写ドラム14が停止し、溝22の中間転写ドラム14の側面14Aに設けられる開閉部材32が中間転写ドラム14の外側に倒れるように開放され、該開閉部材32の先端部が回収トレイ26の内部に入り込む。このように開閉部材32は溝22内のインクを回収トレイ26に導く部材として機能し、溝22内に溜まっているインクが溝22の傾斜に沿って図7に矢印線で図示するB方向に移動し、更に、溝22の中間転写ドラム14の側面14A側の開口部22Bから開閉部材32を介して回収トレイ26内に導かれる。
【0102】
図9には、第1のクリーニングブレード20と第2のクリーニングブレード24との配置関係を拡大して図示する。また、図10は図9を中間転写ドラム14の側面から見た断面図である。図9に示すように、溝22は中間転写ドラム14の回転軸方向と角度αをなす方向に沿って形成され、溝22の形成方向と直交方向(溝22の短手方向)の幅はdである。
【0103】
第1のクリーニングブレード20は、中間転写ドラム14の外周面を常に摺擦する状態を保つために、中間転写ドラム14の外周面に向けて付勢されL字状またはJ字状に弾性変形した状態が維持されている。この状態における第1のクリーニングブレード20の中間転写ドラム14との接触部分の短手方向の長さはdである。この長さdを有する接触部分が第2のクリーニングブレード24との接触部分になる。図9及び図10に示す溝22の短手方向の幅dと、第1のクリーニングブレード20の接触部分の短手方向の長さdと、の関係が、d>dを満たすように溝22及び第1のクリーニングブレード20を構成することで、第1のクリーニングブレード20の弾性変形からの回復により、第1のクリーニングブレード20の接触部分は溝22の内部に入り込むことができ、第1のクリーニングブレード20と、溝22内に配設される第2のクリーニングブレード24とを確実に接触(当接)させることが可能になる。
【0104】
図9には、中間転写ドラム14のヘッド50の幅方向に対応する長さを有する長尺の1つのブレードにより第1のクリーニングブレード20を構成する態様を示したが、短尺ブレードを中間転写ドラム14のヘッド50の全幅にわたって複数に並べる態様や、短尺のブレードをヘッド50の幅方向に沿って走査させる態様を適用してもよい。
【0105】
また、図9には第2のクリーニングブレード24として、第1のクリーニングブレード20の長手方向の長さに対応する長尺のブレードを1つだけ備える態様を示したが、短尺ブレードを第1のクリーニングブレードの長手方向の全長にわたって複数の並べる態様や、短尺のブレードを第1のクリーニングブレードの長手方向に沿って走査させる態様を適用してもよい。
【0106】
また、図11に示すように、第1のクリーニングブレード20と第2のクリーニングブレード24とを平行に配置せずに傾けて配設する態様も好ましい。即ち、中間転写ドラム14の回動軸方向と角度α’(但し、α’≠α)だけ第1のクリーニングブレード20の長手方向を傾けて配設してもよい。なお、図11に示す態様においても溝22の短手方向の幅dと、第1のクリーニングブレード20の接触部分の短手方向の長さdとの関係は、d>d’を満たすように、第1のクリーニングブレード20及び第2のクリーニングブレード24が構成されている。
【0107】
図11に示すように、第1のクリーニングブレード20と第2のクリーニングブレード24とを傾けて配置することで、第1のクリーニングブレード20の一方の端部から他方の端部に向かって第2のクリーニングブレード24が順に接触してゆくので、第1のクリーニングブレード20の長手方向の全長にわたって第2のクリーニングブレード24を確実に接触させることができる。また、第1のクリーニングブレード20の変形が部分的なので、変形から復元するときの反発力が小さくなり、中間転写ドラム14の駆動負荷を小さくできるので、中間転写ドラム14を駆動するモータの小型化などのコストダウンとなる。
【0108】
ここで、図9〜図11に図示した、中間転写ドラム14の回動軸方向と溝22の形成方向とのなす角度α、中間転写ドラム14の回動軸と第1のクリーニングブレード20の長手方向とのなす角度α’溝22の短手方向の長さd、図9に示す第1のクリーニングブレード20の中間転写ドラム14の外周面との接触部分の短手方向の長さd、図11に示す中間転写ドラム14の回動軸に対して傾けて配置された第1のクリーニングブレード20の中間転写ドラム14の外周面との接触部分の短手方向の長さd’の数値(範囲)例を挙げると、0.5°<α<20°、0.5°<α‘<20°(但し、α’≠α)、5mm<d<15.0mm、0.5mm<d<5.0mm、0.5mm<d’<5.0mm(但し、d>d’)である。
【0109】
図12は、溝22の内部の詳細構造を示す断面図(図1の破線で囲まれた部分の拡大図)である。図12に示すように、溝22の内部には、第2のクリーニングブレード24が溝22の形成方向に沿って設けられるとともに、溝22内に溜まったインクが開口部22Aから外部に流出することを妨げるための規制板40,42及び溝22の内部にインク等を保持する凹部44,46,48が設けられている。
【0110】
規制板40,42は、溝22の形成方向には溝22の全長をカバーする長さを有し、溝22の内側に向けて傾斜して配設されている。開口部22Aから溝22内へ流入したインクは、規制板40,42の図12における上側面を伝って規制板40,42と第2のクリーニングブレード24との間の空間を通って溝22に内部に流れ込む。一方、溝22の内部のインクが溝22の内壁面に沿って溝22の外部に流出しようとしても、規制板40,42の図12における下側面に衝突してインクの流れが遮断されるので、溝22の内部のインクが開口部22Aから外部に流出することが防止される。
【0111】
図13には、第2のクリーニングブレード24の平面形状を示す。図13に示すように、第2のクリーニングブレード24の図12における左右方向の側面には、長手方向に沿って複数の穴100、101が設けられている。第2のクリーニングブレード24に設けられる穴は、符号100で示す端部24Aの設けられる半円形状でもよいし、符号101で示す円形状でもよい。第2のクリーニングブレード24に設けられた穴100及び穴101を介して、図12における第2のクリーニングブレード24の左右方向に溝22内のインクが移動することができる。
【0112】
溝22は、開口部22Aから中間転写ドラム14の回動中心に向かって略直線状に形成されたストレート部22Cと、該ストレート部22Cと略直交方向に形成されたアンダーカット部22Dと、を持ち、その断面形状は図12に示すように略L字形状を有している。溝22のストレート部22Cの底面にはインク溜まりとなる凹部44が設けられ、アンダーカット部22Dとストレート部22Cとの境界22E近傍の幅はアンダーカット部22Dの最大幅よりも狭く形成され、アンダーカット部22Dは境界22E近傍よりも幅が広い構造を有し、アンダーカット部22Dにはインク溜まりとなる凹部46、48が設けられている。なお、凹部44,46,48は、溝22の形成方向には溝22の全長をカバーする長さを有している。
【0113】
第2のクリーニングブレード24は、その先端部が中間転写ドラム14の外周面よりhだけ低くなるように配設されるとともに、インク吐出方向(鉛直方向)と角度βをなすよう配設される。第2のクリーニングブレード24の先端部を溝22の開口部22Aから突出させないことで、第2のクリーニングブレード24の先端部がヘッド12K,12C,12M,12Yの吐出面と干渉することを防止できる。溝22の開口部22Aが設けられる中間転写ドラム14の外周面と第2のクリーニングブレード24の先端部とのクリアランスhを0.1mm〜2.0mmとする態様が好ましい。
【0114】
なお、第2のクリーニングブレード24の先端部を中間転写ドラム14の外周面より突出させなくても、第1のクリーニングブレード20は弾性変形からの回復によって、先端部が溝22の内部に入り込む結果、第2のクリーニングブレード24と接触可能である。
【0115】
第2のクリーニングブレード24をインク吐出方向(溝22の開口部22Aから中間転写ドラム14の回動中心に向かう方向)から第2のクリーニングブレード24の第1のクリーニングブレードとの接触面と反対側に角度βだけ傾けることで、第2のクリーニングブレード24の第1のクリーニングブレードとの接触面に付着した付着物にヘッド50から吐出させたインクを確実に付与することができる。なお、角度βを大きくすると第1のクリーニングブレードとの接触圧力を高めることができなくなるので、角度βは0.5°<β<45°の範囲とする態様が好ましい。
【0116】
なお、図12には、第2のクリーニングブレード24の全体をインク吐出方向に対して角度β傾ける態様を例示したが、第2のクリーニングブレード24をインク吐出方向に対して平行に配設し、第2のクリーニングブレードのインクが当たる面をインクの吐出方向に対して傾斜させる傾斜面としてもよい。
【0117】
〔清掃制御の説明〕
次に、本例に示すインクジェット記録装置10における中間転写ドラム及び第1、第2のクリーニングブレードの清掃制御(以下、単に清掃制御と記載する。)について詳述する。
【0118】
図14は、当該清掃制御の流れを示すフローチャートである。なお、図14にフローチャートを示す清掃制御は、インクジェット記録装置10の印字の全体制御の一部として機能し、図14に示すフローチャートには印字制御の一部が含まれている。
【0119】
本例に示す清掃制御(印字制御)が開始されると(ステップS10)、中間転写ドラム14への印字指示に対応して、図6に示す汚れカウンタ83のカウンタ値Yがリセットされる(ステップS12)。
【0120】
汚れカウンタ83は、先に説明したように中間転写ドラム14の外周面の汚れ量を監視するカウンタである。ここでいう汚れ量とは、記録媒体16に転写されずに中間転写ドラム14に残留したインク量を算出したものである。ここでいう中間転写ドラム14に残留したインクには、画像形成領域に残留したインクだけでなく、画像形成領域の周辺に飛び散ったインクなども含まれる。なお、周囲の環境条件(温度、湿度など)からインク溶媒の蒸発量を予測し、蒸発量に応じた補正係数を乗じて補正処理を施す態様が好ましい。
【0121】
次に、記録媒体16への画像印字が実行される。即ち、先ず、中間転写ドラム14及び印字部12等のイニシャライズが実行され、中間転写ドラム14を回動させてデフォルト位置に停止させる。中間転写ドラム14の位置は、図1に示す位置検出手段によって検出され、図6に示すシステムコントローラ72によって位置検出手段21の検出結果から中間転写ドラム14の位置が判断される。なお、イニシャライズ工程では、ヘッド50のイニシャライズ処理(例えば、予備吐出)が実行されるとともに、インクジェット記録装置10の各部のイニシャライズ処理(各種カウンタ、メモリのリセット等)が実行される。
【0122】
次に、中間転写ドラム14をデフォルト位置から回動させる(ステップS14)。その後、中間転写ドラム14の画像形成領域30が印字部12の直下の吐出領域に到達すると、印字部12から付与されたインクによって画像形成領域30に画像が形成される。更に、中間転写ドラム14を回動させて溝22が印字部12の直下の吐出領域に到達すると、予備吐出を実行するか否かが判断される。ヘッド50が予備吐出を実行する条件を満たす場合(特定のノズルが規定時間以上インク吐出を行っていない場合や、ヘッド50の内部に気泡が検出された場合など)には、溝22に向けて予備吐出が実行される。
【0123】
印字部12から付与されたインクによって画像形成領域30に画像が形成され、転写ローラ18が配設される転写領域に画像形成領域30が到達すると、これに同期して記録媒体16が転写ローラ18と中間転写ドラム14との間に供給され、画像形成領域30に形成された画像が記録媒体16に転写され、所望の画像が記録媒体16に印字される(ステップS16)。
【0124】
即ち、図14のステップS16に示す印字工程には、中間転写ドラム14への画像形成工程、転写ローラ18による記録媒体16への転写工程が含まれている。
【0125】
記録媒体16への転写工程が終了すると、更に中間転写ドラム14は回動され、第1のクリーニングブレード20の配設位置において、中間転写ドラム14の外周面に付着したインクを含む付着物が第1のクリーニングブレード20により払拭除去される。
【0126】
図15には、第1のクリーニングブレード20を用いて中間転写ドラム14の外周面がクリーニングされる第1のクリーニング工程が実行されている状態を模式的に図示する。図15では、図1に図示した一部の部材を省略し、要部のみを図示している。
【0127】
図15に示すように、第1のクリーニングブレード20は中間転写ドラム14の外周面を所定の圧力で押圧し弾性変形するように付勢されるので、中間転写ドラム14の外周面に付着したインク等の付着物は確実に除去される。
【0128】
更に中間転写ドラム14を回動させて、第2のクリーニングブレード24を内部に備えた溝22が第1のクリーニングブレード20の配設位置に到達すると、第1のクリーニングブレード20に付着した付着物が第2のクリーニングブレード24によって除去される。図16(a)には、第2のクリーニングブレードを用いて第1のクリーニングブレード20をクリーニングする第2のクリーニング工程が実行されている状態を模式的に図示する。また、図16(b)には、図16(a)における中間転写ドラム14と第1のクリーニングブレード20との接触部分を拡大して図示する。
【0129】
図16(a),(b)に示すように、第1のクリーニングブレード20は、弾性変形から復元して先端部(中間転写ドラム14から除去した付着物が付着している部分)が溝22に内部に入り込み該先端部は第2のクリーニングブレード24と当接する。第1のクリーニングブレード20と第2のクリーニングブレード24が当接した状態で中間転写ドラム14を回動させると、第1のクリーニングブレード20に付着した付着物4が第2のクリーニングブレード24によってかき落とされる。
【0130】
また、第1クリーニングブレード20は溝22の中間転写ドラム14の移動方向の上流側の角部(図16(a),(b)における右側の角部)にも接触するので、この溝22の角部でも第1のクリーニングブレード20に付着した付着物がかき落とされる。したがって、溝22の第2のクリーニングブレード24の裏側(中間転写ドラム14の移動方向上流側)にも第1のクリーニングブレード20からかき落とされた付着物(図16(b)に符号49’で図示)が溜められる。
【0131】
また、記録媒体16への1回の印字が終了すると、当該1回の印字における汚れ量が算出されるとともに汚れカウンタの値Yがカウントアップされ(ステップS18)、ステップS20に進む。
【0132】
ステップS20では、汚れカウンタの値Yが予め決められている設定値を超えているか否かが判定され(ステップS20)、汚れカウンタ値Yが設定値以下の場合、即ち、第2のクリーニングブレード24に付着している付着物が極わずかの状態では(NO判定)、ステップS22に進む。
【0133】
ステップS22では次の印字データがあるか否かが判断され、次の印字データがない場合には(NO判定)、溝22が印字部12の直下の吐出領域に位置するように中間転写ドラム14を回動させる。溝22が吐出領域に到達すると、中間転写ドラム14を停止させる直前に第2のクリーニングブレードの付着物に向けて予備吐出が実行される(ステップS24)。図17には、第2のクリーニングブレード24に向けて予備吐出が行われる予備吐出工程が実行されている状態を模式的に図示する。
【0134】
予備吐出工程によって溝22内に吐出されたインク及び第1のクリーニングブレード20から除去されたインクを含む付着物は、溝22のアンダーカット部22D(凹部46)に溜められる。図17では、予備吐出されたインク及び第1のクリーニングブレード20から除去されたインク(付着物)をドットハッチで図示する。
【0135】
溝22に溜まったインクを排出するためには、ある程度の量の低粘度のインク(溶媒成分の揮発によって高粘度化していないインク)が必要になるので、第2のクリーニングブレード24に向けて行われる予備吐出は、中間転写ドラム14の停止直前(即ち、溝22内のインクの排出直前)に行われることが好ましい。なお、予備吐出を行う際には、中間転写ドラム14を一旦停止させると、第2のクリーニングブレード24における着弾位置が正確になるのでより好ましい。
【0136】
ステップS24の予備吐出工程が終了すると、中間転写ドラム14を回動させて溝22を回収トレイ26が位置する回収位置に移動し、該中間転写ドラム14を該回収位置に停止させる(ステップS26)。図18には、溝22を横向きにして回収位置に停止した中間転写ドラム14を図示する。
【0137】
図18に示すように、溝22が横向き(開口部22Bが水平方向に向く状態)に中間転写ドラム14を停止させると、溝22のアンダーカット部22D(凹部46及び凹部48)に溝22内のインク(ドットハッチで図示)が移動する。なお、図18における第2のクリーニングブレード24の上側にあるインクも、第2のクリーニングブレード24に設けられた穴100、101(図13参照)を介して下側に移動する。
【0138】
この状態で、開口部22Bを開閉する開閉部材32を開き(図8参照)、溝22内に溜まったインクを回収トレイ26へ回収し(ステップS26)、当該清掃処理は終了される(ステップS28)。
【0139】
即ち、次の印字データがない場合には、第2のクリーニングブレード24を清掃するとともに、溝22内のインクをすべて排出して当該清掃制御を終了するように、中間転写ドラム14の回動及び開閉部材32による溝22の開口部22Bの開閉が制御される。
【0140】
一方、ステップS22において、次の印字データがある場合には(YES判定)、ステップS16に戻り、次の画像印字が実行される。
【0141】
また、ステップS20において、汚れカウンタ83の値Yが設定値を超えたと判断されると(YES判定)、溝22へのパージ総量が規定値1以下であるか否が判断される(ステップS30)。即ち、第2のクリーニングブレード24が付着物で汚れている場合には、予備吐出によって第2のクリーニングブレード24の清掃が可能であるか否かが判断される。
【0142】
ステップS30において、パージ総量が規定1を超えている場合、即ち、予備吐出によって第2のクリーニングブレードの付着物が除去されている場合には(NO判定)、ステップS22に進む。
【0143】
ヘッド50の予備吐出は、第2のクリーニングブレード24の付着物除去以外の目的でも実行され、例えば、中間転写ドラム14への非画像形成時等にも各ノズルの使用状況に応じて適宜実行される。予備吐出が実行されていれば第2のクリーニングブレード24の付着物は除去されるので、目的によらず全ての予備吐出による総パージ量が規定1以上であれば第2のクリーニングブレード24の付着物は除去されていることになる。また、溝22の容積は1回のパージ量に比べて十分に大きいので、溝22内のインクの回収を行うことなく数回の予備吐出が可能である。
【0144】
一方、ステップS30において、パージ総量が規定1以下場合には(YES判定)、第2のクリーニングブレード24が汚れていると判断され、溝22を印字部12直下の吐出領域に移動させた後に、第2のクリーニングブレード24に向けて予備吐出が実行される(ステップS32)。即ち、図14におけるステップS30では、規定1で示す基準値を用いて第2のクリーニングブレード24の汚れをパージ総量に基づいて判断している。
【0145】
ステップS32において予備吐出が実行されると、溝22内へのパージ総量が規定2以下であるか否かが判断される(ステップS34)。ステップS34において、溝22へのパージ総量が規定2を超える場合には(YES判定)、中間転写ドラム14を回動させて図18に示す溝22が横向きの状態で停止させて、溝22内のインクを回収トレイ26へ排出する(ステップS36)。即ち、規定2は溝22が保持可能なインク量の基準値であり、溝22内へのパージ総量がこの規定2の値を超える場合には、速やかに溝22内のインクを溝22の外部に排出するように制御される。また、ステップS30における規定1とステップS32における規定2とは、規定1<規定2の関係を有している。
【0146】
溝22内のインクが回収トレイ26に回収されると、次の印字データが有るか否かが判断され(ステップS38)、次の印字データがない場合には(NO判定)、当該清掃制御は終了され、次の印字データがある場合には(YES判定)、ステップS16に進み、次の印字が実行される。また、ステップS34において、溝22への総パージ量が規定2以下の場合には(YES判定)、ステップS38に進み、次の印字データが有るか否かが判断される。
【0147】
即ち、溝22内のインク量が保持可能な限界量に達していないときには、溝22内のインクを排出せずに次の画像の印字が行われる。溝22内にインクを収容したまま中間転写ドラム14が回動し転写領域に溝22が到達すると、図19に示すように、溝22の中間転写ドラム14の外周面に設けられる溝22の開口部22Aは鉛直下向きになる。しかし、溝22の内部にあるインクはアンダーカット部22Dの凹部48に移動して保持されるので、溝22の開口部22Aから外部に漏れることはない。
【0148】
溝22内のインク量は、中間転写ドラム14から除去されたインク量と予備吐出により溝22内に吐出されたインク量との総和であるが、中間転写ドラム14から除去されたインク量に比べて予備吐出により溝22内に吐出されたインク量が圧倒的に多いので、本例では予備吐出によって溝22内に吐出されたインク量に基づいて溝22内のインク量が判断される。
【0149】
図20(a)〜(d)には、中間転写ドラム14の回動と溝22の内部にあるインクの挙動との関係を示す。図20(a)〜(d)にドットハッチで図示する部分は溝22内のインクを示している。
【0150】
図20(a)には、ヘッド50から予備吐出が行われる中間転写ドラム14の位置における状態を示す。図20(a)に示す状態では、溝22内のインクはストレート部22C(図12参照)の底面の凹部44及びアンダーカット部22D(図12参照)の凹部46に蓄えられる。
【0151】
図20(b)には、回収トレイ26の配設位置近傍に溝22が位置する状態を示す。図20(a)に示す状態から図20(b)に示す状態になると、凹部44内のインクは、第2のクリーニングブレード24の穴100、101を通ってアンダーカット部22D(凹部46及び凹部48)に移動する。
【0152】
図20(c)には、溝22が転写領域近傍に位置する状態を示す。図20(c)に示す状態では、溝22の開口部22Aが鉛直下向きになるが、溝22内のインクはアンダーカット部22Dの凹部48に移動して保持され、開口部22Aからのインク漏れが防止される。仮に、中間転写ドラム14の回動中の振動等により凹部48からインクが飛び出したとしても、規制板42によってインクの流路が遮断されるので、規制板42を超えてインク漏れが発生することが防止される。
【0153】
図20(d)には、溝22が第1のクリーニングブレード20(図20(d)では、図示省略、図1等参照)の配設位置近傍に位置する状態を示す。図20(c)に示す状態から図20(d)に示す状態に遷移する際に、アンダーカット部22D(凹部48)内のインクは、第2のクリーニングブレード24の穴100、101を通って凹部44へ移動する。
【0154】
図20(d)に示す状態では、インクが規制板40と凹部44との間に移動して保持されるので、開口部22Aからインク漏れが発生することが防止される。
【0155】
即ち、図20(a)〜(d)に示すように、本例に示すインクジェット記録装置10は溝22内にインクが存在する状態で中間転写ドラム14が回動しても、中間転写ドラム14の外周面に設けられた溝22の開口部22Aからインク漏れが起こることなく、溝22内のインクは溝22内に保持されたまま、中間転写ドラム14を回動させることができる。
【0156】
また、本例に示す清掃制御では当該清掃制御を終了する際には必ず予備吐出により第2のクリーニングブレード24が清掃されるとともに、予備吐出により溝22内に溜まったインクが回収トレイ26に排出され、溝22内はインクが存在しない状態となる。
【0157】
〔変形例〕
次に、本実施形態に係る変形例について説明する。上述した実施形態では、中間転写ドラム14に溝22(第2のクリーニングブレード24)を1つだけ具備する態様を例示したが、複数の溝を具備する態様も可能である。図21には、溝22の中間転写ドラム14をはさんで反対側(中間転写ドラム14の回動中心を中心として180°回転した回転対称位置)に溝22’を設ける態様を示す。 図21に示す態様によれば、例えば、インクと反応してインクを硬化させる処理液を用いる2液系のインクジェット記録装置において、インクを収容する溝と処理液を収容する溝を分けることで、溝内でインクと処理液が反応してインクが硬化することを防止できる。
【0158】
また、溝を複数設けることで、予備吐出タイミングの自由度が大きくなるとともに、第1のクリーニングブレード20が各溝内の第2のクリーニングブレード24により頻繁に清掃されるので、好ましい。
【0159】
更に、2つの溝を中間転写ドラム14の回動中心を中心として180°回転対称位置に配置し、2つの回収トレイを中間転写ドラム14の回動中心を中心として180°回転対称位置に配置する(例えば、図1に示す回収トレイ26の位置と中間転写ドラム14をはさんで反対側にもう1つの回収トレイを配置する)と、2つの溝から同時に液体を回収することができる。
【0160】
図22(a),(b)には、溝22の形状(アンダーカット部22Dの形状)の変形例を示す。図22(a)に示す断面形状が半円状のアンダーカット部22D’に比べて、図22(b)に示す断面形状が略正方形のアンダーカット部22D”はインク収容体積が大きくなり、より好ましい。なお、中間転写ドラム14に溝22を形成するには、金属アルミニウムの押し出し材や樹脂成型により作製することが好ましい。
【0161】
図23には、溝22の底面に、溝22の形成方向と略平行方向に幅が50μm〜500μm程度の細い溝200,202,204(第2の溝)を設ける態様を示す。このように溝22の幅よりも更に細い溝を設けることで、中間転写ドラム14が任意の位置にあっても毛細管力により溝22内にインクを保持することができ、インクが溝22から流れ落ちることが防止される。
【0162】
図23には、溝22の形成方向に沿って細い溝200,202,204を備える態様を例示したが、細い溝200,202,204の形成方向は溝22とある角度をなす方向でもよい。また、異なる方向に沿って形成された複数種類の溝を組み合わせてもよい。
【0163】
上記の如く構成されたインクジェット記録装置10によれば、中間転写ドラム14の外周面に、中間転写ドラム14の回動(移動)方向と略直交する幅方向の長さに対応する溝22を備え、溝22の内部には第1のクリーニングブレード20と接触して、第1のクリーニングブレードに付着した付着物を除去する第2のクリーニングブレード24を具備し、第1のクリーニングブレード20を清掃した後に、第2のクリーニングブレード24に向けて予備吐出を行い、第2のクリーニングブレードに付着した付着物を予備吐出のインクにより洗い流すように構成されるので、第1、第2のクリーニングブレードは付着物が付着していない状態が維持される。
【0164】
また、溝22内のインクを回収する回収トレイ26を中間転写ドラム14の側面の近傍に備え、溝22内に予備吐出されたインク量に基づいて回収トレイ26の配設位置に溝22を移動させて、溝22内のインクを回収トレイ26に排出するので、溝22の内部からインクが溢れることを防止できる。
【0165】
本実施形態では、中間転写体の一態様としてドラム形状を例示したが、本発明の適用範囲はドラム形状に限定されず、ベルト形状や平板形状など様々な形状の中間転写体を用いることができる。
【0166】
以上、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置及び清掃方法について詳細に説明したが、本発明は以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の基本構成図
【図2】図1に示したインクジェット記録装置の印字周辺の要部平面図
【図3】ヘッドの構造例を示す平面透視図
【図4】ヘッドの立体構造を示す断面図
【図5】図1に示すインクジェット記録装置のインク供給系の構成を示す要部ブロック図
【図6】図1に示すインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図
【図7】図1に示す中間転写ドラムの構造を示す斜視図
【図8】溝から回収トレイにインクを排出する状態を示す概念図
【図9】図1に示す第1、第2のクリーニングブレード及び溝の詳細構造を示す斜視図
【図10】図9の断面図
【図11】図9の平面図
【図12】図1に示す第2のクリーニングブレードの詳細構造を示す断面図
【図13】図1に示す第2のクリーニングブレードの詳細構造を示す平面図
【図14】本発明の実施形態に係る清掃制御の流れを示すフローチャート
【図15】第1のクリーニング工程を説明する図
【図16】第2のクリーニング工程を説明する図
【図17】予備吐出工程を説明する図
【図18】回収工程を説明する図
【図19】溝の開口部が鉛直下向きの状態を説明する図
【図20】中間転写ドラムの回動による溝内のインクの挙動を説明する図
【図21】図1に示す溝の配置の変形例を説明する図
【図22】図1に示す溝の形状の変形例を説明する図
【図23】図1に示す溝の構造の変形例を説明する図
【符号の説明】
【0168】
10…インクジェット記録装置、12…印字部、12K,12C,12M,12Y,50…ヘッド、14…中間転写ドラム、16…記録媒体、18…転写ローラ、20…第1のクリーニングブレード、22,22’…溝、22C…ストレート部、22D…アンダーカット部、24…第2のクリーニングブレード、26…回収トレイ、30…画像形成領域、32…開閉部材、40,42…規制板、44,46,48…凹部、72…システムコントローラ、76…中間転写ドラム回動制御部、77…転写制御部、80…プリント制御部、83…汚れカウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク液滴を吐出するヘッドと、
前記ヘッドから吐出されたインクによって画像形成領域に画像が形成される中間転写体と、
前記中間転写体を所定の移動方向に移動させる移動手段と、
前記中間転写体の画像形成面に形成された画像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記ヘッドの前記移動方向の上流側に前記中間転写体の前記移動方向と直交する幅方向に設けられ、前記中間転写体の画像形成面に接触して前記中間転写体に付着した付着物を払拭除去する第1のクリーニング手段と、
前記中間転写体の画像形成面に前記中間転写体の幅方向に対して所定の角度α(但し、0<α<90度)をなす方向に沿って設けられ、前記第1のクリーニング手段の前記移動方向と直交する方向の長さに対応し、前記中間転写体の幅方向の一方の端部に開口部を有する第1の溝と、
前記第1のクリーニング手段の前記移動方向と直交する方向の長さにわたり前記第1の溝の形成方向に沿って前記第1の溝の内部に設けられ、前記第1のクリーニング手段と接触して前記第1のクリーニング手段に付着した付着物を除去する第2のクリーニング手段と、
前記ヘッドから前記第2のクリーニング手段に向けて予備吐出を実行し、前記第2のクリーニング手段に付着した付着物を前記第1の溝の内部へ流すように前記ヘッドのインク吐出を制御する吐出制御手段と、
前記ヘッドの前記移動方向の下流側に設けられ、前記第2のクリーニング手段によって除去され前記第1の溝に溜まった付着物を前記第1の溝の開口部から回収する回収手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記第1の溝は、前記中間転写体の画像形成領域配設面から略垂直方向に沿って略直線状に形成され、底面に凹部を有するストレート部と、
前記ストレート部と連通し前記ストレート部の形成方向と略直交する方向に形成されるアンダーカット部と、
を含む構造を有し、
前記中間転写体の移動中は前記第1の溝内のインクを前記凹部及び前記アンダーカット部に保持することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記第1の溝は、前記ストレート部の内壁面に規制板が設けられることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記第1の溝は、底面に前記第1の溝の形成方向と直交する方向の幅よりも小さい幅を有する第2の溝が設けられることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記第1のクリーニング手段を前記中間転写体の画像形成領域配設面に押圧して変形させる付勢手段を備え、
前記第1の溝の前記移動方向の長さdと前記第1のクリーニング手段の前記中間転写体との接触部分の前記移動方向の長さdとの関係が、d>dを満たすことを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記第1のクリーニング手段は、前記第1の溝の形成方向に対して所定の角度傾けて形成されることを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
ヘッドから吐出されたインクによって中間転写体の画像形成領域に画像を形成する画像形成工程と、
前記中間転写体を所定の移動方向に移動させる移動工程と、
前記中間転写体の画像形成領域に形成された画像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記ヘッドの前記移動方向の上流側に前記中間転写体の前記移動方向と直交する幅方向に設けられる第1のクリーニング手段を前記中間転写体の画像形成面に接触させて、前記中間転写体に付着した付着物を払拭除去する第1のクリーニング工程と、
前記中間転写体の画像形成面に前記中間転写体の幅方向に対して所定の角度α(但し、0<α<90度)をなす方向に沿って設けられ、前記第1のクリーニング手段の前記移動方向と直交する方向の長さに対応し、前記中間転写体の幅方向の一方の端部に開口部を有する第1の溝の形成方向に沿って前記第1の溝の内部に設けられ、前記第1のクリーニング手段の前記移動方向と直交する方向の長さに対応する長さを有する第2のクリーニング手段を前記第1のクリーニング手段と接触させて前記第1のクリーニング手段に付着した付着物を除去する第2のクリーニング工程と、
前記ヘッドから前記第2のクリーニング手段に向けてインク液滴を吐出させて、前記第2のクリーニング手段に付着した付着物を前記第1の溝の内部へ流す予備吐出工程と、
前記ヘッドの前記移動方向の下流側に設けられる回収手段を用いて、前記第2のクリーニング手段によって除去され前記第1の溝に溜まった付着物を前記第1の溝の開口部から回収する回収工程と、
を含むことを特徴とする清掃方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−80731(P2008−80731A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−265494(P2006−265494)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】