説明

インクジェット記録装置

【課題】ケーシングの内側面にインクが堆積するのを抑制できるインク供給用ポンプを備えたインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】制御部81は、シリンダー13とピストン15とにより囲まれる空間Sの体積を小さくする方向にピストン15を移動させてインクを押圧して記録ヘッド45に送液するように駆動機構61を制御した後、空間Sの体積を大きくする方向にピストン15を移動させてインクタンク43からシリンダー13内にインクを補給するように駆動機構61を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給用ポンプを備えたインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置における記録ヘッドは、インクを吐出する複数のノズルを有している。この記録ヘッドでは、ノズルにおいてインクが増粘してノズルが目詰まりすることがあるので、ノズルからインクを強制的に吐出させてノズルに詰まった増粘インク、異物、気泡などを排出させる吐出回復動作(パージ動作)が実行される。
【0003】
特許文献1には、上記吐出回復動作時にインクを強制的に吐出させるための手段としてシリンジポンプを用いた記録液供給装置が開示されている。この記録液供給装置では、ピストンを引き動作させてシリンダー内を負圧にしてインクタンクからシリンダー内にインクを吸い込み、この吸い込んだインクをピストンの押し動作によって加圧しシリンダーから押し出して記録ヘッドへ供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−144710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシリンジポンプのようにピストンによってインクを押圧してシリンダーとピストンとにより囲まれる空間にあるインクを押し出すポンプの場合、インクの送液後には前記空間の体積が小さくなる。インク送液前に前記空間を形成していたシリンダーの内側面のうち、インクの送液後に前記空間の外に位置することとなった内側面には、少量のインクが付着して残存することがある。この残存したインクは時間の経過とともに前記内側面において増粘し、これが繰り返されると前記内側面にインクが堆積することがある。
【0006】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ケーシングの内側面にインクが堆積するのを抑制できるインク供給用ポンプを備えたインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のインクジェット記録装置は、インク供給用ポンプと、インクタンクと、第1流路と、記録ヘッドと、第2流路と、制御手段とを備えている。前記インク供給用ポンプは、インクを収容可能なケーシングとこのケーシング内のインクを押圧する押圧手段とを有し、この押圧手段によりインクを押圧することによってインクを送液可能である。前記インクタンクは、インクを貯留する。前記第1流路は、前記インクタンクと前記インク供給用ポンプとを連結している。前記記録ヘッドは、前記インク供給用ポンプからインクが供給される。前記第2流路は、前記インク供給用ポンプと前記記録ヘッドとを連結している。前記制御手段は、前記押圧手段を制御する。この制御手段は、前記ケーシング内のインクを押圧して前記第2流路を通じて前記記録ヘッドに送液するように前記押圧手段を制御した後、前記インクタンクから前記ケーシング内にインクを補給して前記ケーシング内のインクが予め定められた量になるように前記押圧手段を制御する。
【0008】
この構成では、前記吐出回復動作時などにインク供給用ポンプから記録ヘッドにインクを送液して記録ヘッドのノズルからインクを強制的に吐出させた後、制御手段は、前記インクタンクから前記ケーシング内にインクを補給して前記ケーシング内のインクが予め定められた量になるように前記押圧手段を制御する。すなわち、インク送液後には、ケーシング内のインク量が所定量になるようにインクが補給されるので、ケーシングの内側面の所定範囲がインクによって濡れた状態を維持できる。これにより、ケーシングの内側面においてインクが増粘して堆積するのを抑制することができる。
【0009】
具体的には、例えば前記押圧手段は、前記ケーシングの内側面に摺接しながら移動可能な可動部材と、この可動部材を移動させる駆動手段とを有する形態が例示できる。この場合、前記制御手段は、前記ケーシングと前記可動部材とにより囲まれる空間の体積を小さくする方向に前記可動部材を移動させてインクを押圧して前記記録ヘッドに送液するように前記駆動手段を制御した後、前記空間の体積を大きくする方向に前記可動部材を移動させて前記インクタンクから前記ケーシング内にインクを補給するように前記駆動手段を制御する。
【0010】
このように可動部材がケーシングの内側面に摺接しながら移動するタイプのポンプでは、インクが前記内側面において乾燥して増粘すると、この増粘したインクによってピストンとシリンダーとの間の摩擦抵抗が増加するので、次回のインク送液時にポンプが円滑に動作しにくくなることがある。本構成では、インク送液後には、ケーシング内のインク量が所定量になるようにインクが補給されるので、前記内側面におけるインクの堆積が抑制され、ピストンとシリンダーとの摩擦抵抗が増加するのを抑制できる。これにより、ポンプの円滑な動作を維持できる。
【0011】
さらに具体的には、前記インク供給用ポンプとしては、例えばシリンジポンプが挙げられる。この場合、前記ケーシングは、筒状のシリンダーであり、前記可動部材は、前記ケーシング内に挿入された状態で押し動作及び引き動作が可能なピストンである。
【0012】
このシリンジポンプの場合、シリンダーの内側面が外気に晒されやすいので、インクの増粘が進行しやすい。したがって、本発明は、シリンジポンプを使用する場合に特に有効である。
【0013】
また、前記第2流路は、開閉可能な弁、又は前記記録ヘッド側から前記インク供給用ポンプ側への流れを規制する逆止弁を有しているのが好ましい。
【0014】
この構成では、インク送液後に、記録ヘッドからインク供給用ポンプにインクが逆流するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、ケーシングの内側面においてインクが増粘して堆積するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態にかかるインクジェット記録装置の要部を示す構成図である。
【図2】前記インクジェット記録装置におけるインク供給用シリンジ及びその駆動機構を示す正面図である。
【図3】前記インクジェット記録装置における吐出回復動作時の制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】(a)〜(c)は、前記吐出回復動作を示す断面図である。
【図5】従来の吐出回復動作時の制御後のインク供給用シリンジを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態にかかるインクジェット記録装置について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
<インクジェット記録装置の主要部の構造>
図1に示すインクジェット記録装置41は、外部のコンピュータから受信した画像情報に基づいて記録媒体(例えば用紙)に画像を形成可能なインクジェットプリンタである。この記録装置41は、図略の筐体内に、インク供給用シリンジ11、このシリンジ11のピストン15を押し動作及び引き動作させる駆動手段としての駆動機構61、記録ヘッド45、この記録ヘッド45に供給するインクを貯留するインクタンク43、記録ヘッド45に供給されたインクのうちノズルから吐出されずに記録ヘッド45から排出されるインクを回収する廃インクタンク47、送液管31〜34、制御部81などが収容されている。なお、廃インクタンク47に回収されたインクは、再びインクタンク43に戻すようにしてもよい。
【0019】
記憶ヘッド45は、例えばブラック、シアン、マゼンダ及びイエローの各色に対応したものがそれぞれ前記筐体内に配設されているが、図1ではそのうちの一つについてのみ示している。したがって、各色の記録ヘッド45に対してインクタンク43、インク供給用シリンジ11、廃インクタンク47などがそれぞれ設けられている。
【0020】
図2に示すように、インク供給用シリンジ11は、シリンダー13と、ピストン15と、インク吸込流路17と、インク押出流路21とを備えている。
【0021】
シリンダー13は、円筒形状の胴部13aと、この胴部13aの下端に設けられた底板13bと、胴部13aの上端に設けられた天板13cとを有する中空部材であり、長手方向が上下方向に沿って配置される。天板13cの中央には開口部13dが設けられている。
【0022】
ピストン15は、シリンダー13の中空内に挿入されており、このシリンダー13に沿って押し動作及び引き動作が可能である。このピストン15は、下方への前記押し動作時及び上方への前記引き動作時にシリンダー13の内側面と摺接する摺動部15aと、この摺動部15aから上方に延設され、開口部13dから前記シリンダー13の外部に突出する棒状部15bと、この棒状部15bの上端に設けられたフランジ部15cとを有している。棒状部15bは、シリンダー15の天板13cによって前記押し動作時及び引き動作時の横ぶれが抑制されている。
【0023】
摺動部15aの下面とこの下面よりも下方に位置するシリンダー13の内面とによって空間Sが形成されている。摺動部15aは、扁平な円盤形状を有し、例えば合成ゴムなどの弾性部材により形成されている。この摺動部15aの外径は、シリンダー13の内径とほぼ同じかあるいはわずかに大きい。これにより、ピストン15の押し動作時及び引き動作時に、空間Sに貯められたインクが摺動部15aとシリンダー13の内面との間を通じて摺動部15aよりも上方に漏れ出すのを抑制できる。
【0024】
シリンダー13の底板13bには、下方に延びる円筒部13e及び円筒部13fが設けられている。円筒部13eの内部には上下方向に延びて空間Sに連通する貫通口が形成されており、この貫通口がインク吸込流路17として機能する。すなわち、このインク吸込流路17は、ピストン15の引き動作によって空間Sにインクが吸い込まれる経路となる。また、円筒部13fの内部には上下方向に延びて空間Sに連通する貫通口が形成されており、この貫通口がインク押出流路21として機能する。すなわち、このインク押出流路21は、ピストン15の押し動作によって空間Sからインクが押し出される経路となる。
【0025】
送液管31は、インクタンク43とシリンダー13の円筒部13eとを接続している。送液管32は、シリンダー13の円筒部13fと記録ヘッド45とを接続している。送液管34は、記録ヘッド45と廃インクタンク47とを接続している。送液管31はインクタンク43の下面に設けられた図略のインク出口に接続されている。送液管33は、送液管31と送液管32をバイパスしている。
【0026】
送液管31には、インク供給用シリンジ11側からインクタンク43側への流れを規制する逆止弁51が配設されている。送液管32には、記録ヘッド45側からインク供給用シリンジ11側への流れを規制する逆止弁が配設されている。送液管33,34には電磁弁55,57がそれぞれ配設されている。これにより、送液管33,34は、電磁弁55,57によって流路が開閉可能である。送液管33は、吐出回復動作時以外の通常印字時などにインクタンク43から記録ヘッド45にインクを送液する場合に使用される。
【0027】
図2に示すように、駆動機構61は、回転軸63aを有するモータ63と、回転軸63aに接続され、表面に雄ねじを有するねじ軸65と、回転軸63aとねじ軸65とを連結するカップリング67と、ねじ軸65が挿通され、内面に雌ねじが形成された貫通口を有するボールねじ部71と、このボールねじ部71の上下方向の移動を規制するとともにねじ軸65を支持する支持部材68,69とを有している。
【0028】
ボールねじ部71は、ねじ軸65に螺合された部分から略水平方向に延設されており、その端部に、上下に並ぶ一対の挟持片71a,71bを有している。これらの挟持片71a,71bは、ピストン15のフランジ部15cを上下から挟むようにフランジ部15cに固定されている。これにより、モータ63が駆動すると、支持部材68,69の間でボールねじ部71が上下に移動してピストン15を押し動作又は引き動作させることができる。
【0029】
インクタンク43内には、貯留されたインクの他、上部に空気も存在している。インクタンク43内のインクの液面は、記録ヘッド43の下面に設けられているノズルの下端よりも低くなるように調整されている(水頭差)。
【0030】
制御部81は、中央処理装置(CPU)、プログラムなどのデータが記憶されているメモリ(ROM)、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するためのメモリ(RAM)などで構成されている。この制御部81は、駆動機構61、電磁弁51,53,55,57などの動作を制御する。
【0031】
<インクジェット記録装置の動作>
次に、インクジェット記録装置41の記録ヘッド45の吐出回復動作について説明する。図3は、吐出回復動作時の制御の流れを示すフローチャートである。図4(a)〜(c)は、前記吐出回復動作を示す断面図である。
【0032】
通常の印字モードにおいては、電磁弁55が開いた状態に制御され、送液管33、又は送液管33と送液管32を通じてインクタンク43から記録ヘッド45へインクが供給される。
【0033】
吐出回復動作の命令が出されると、制御部81は、ステップS1において電磁弁55を閉じる。これにより、送液管33は遮断される。また、前回の吐出回復動作において記録ヘッド45へのインク送液後には、シリンダー13内の空間Sに所定量のインクが補給されている。例えば、図4(a)に示すように、シリンダー13の底板13bからピストン15の摺動部15aまでの距離がh1となるようにインクが補給された状態にある。
【0034】
ついで、ステップS2において、制御部81は、駆動機構61を制御してモータ63を一方側に回転させてピストン15を押し動作させる。図4(b)に示すように、ピストン15が押し動作されると、インク供給用シリンジ11の空間S内のインクは、インク押出流路21を通じて空間Sから押し出される。空間Sから押し出されたインクは、送液管32を通じて記録ヘッド45に供給され、記録ヘッド45の下面の複数のノズルから吐出される。
【0035】
押し出されるインクの量は、ピストン15の押し下げ量を調整することによって適宜調整可能である。また、ノズルにおけるインクの吐出圧は、例えばピストン15の押し下げ速度を変えることによって調整できる。
【0036】
ノズルからインクが吐出された後には、記録ヘッド45の下面に付着したインクを拭き取るワイプ動作を行う。すなわち、制御部81は、図略のワイプ部材を記録ヘッド45に沿って移動させることにより、記録ヘッド45の下面に付着したインクを拭き取るようにワイプ部材を制御する。
【0037】
次に、ステップS4,S5において、制御部81は、インクタンク43からシリンダー13内にインクを補給してシリンダー13内のインクが予め定められた所定量になるように駆動機構61を制御する。このステップS4,S5は、ステップS3の拭き取り動作の直後に実施するか、又はステップS3の拭き取り動作の後、シリンダー13の内側面に付着しているインクの増粘が実質的に進行していない短時間のうちに実施するのが好ましい。
【0038】
まず、ステップS4において、制御部81は、駆動機構61を制御してモータ63を他方側に回転させてピストン15を引き動作させる。すなわち、制御部81は、空間Sの体積を大きくする方向にピストン15を移動させてインクタンク43からシリンダー13内にインクを補給する。ピストン15が引き動作されると、インクタンク43のインクが送液管31及びインク吸込流路17を通じて空間Sに吸い込まれる。
【0039】
次に、ステップS5において、制御部81は、空間Sのインク量が前記メモリに予め記憶されている所定量に達した時点で駆動機構61を停止させる。例えば図4(c)に示すように、シリンダー13の底板13bからピストン15の摺動部15aまでの距離がh3となるようにピストン15が所定の位置(ホームポジション)に移動してインクが補給される。この距離h3は、一定の値であってもよく、複数の値が前記メモリに記憶されていてこれらの値から選択してもよい。距離h3が一定値の場合には、距離h1と距離h3は同じ値となる。
【0040】
ついで、ステップS6において、制御部81は電磁弁55を開いて吐出回復動作を終了する。上記の一連の動作が終了した後、制御部81は、例えば、通常の印字モードを実行したり、休止モードに切り替えたりする制御を行う。
【0041】
なお、上記のように記録ヘッド45へのインク供給後にインクの補給を行わない従来のインクジェット記録装置では、図5に示すように、インク送液前に前記空間を形成していたシリンダー13の内側面のうち、インクの送液後に前記空間の外に位置することとなった内側面には、少量のインク又はインクから顔料が除かれた透明の液体が付着して残存することがある。この残存したインクなどの付着物は時間の経過とともに前記内側面において増粘して堆積物Aとなることがある。
【0042】
以上説明したように本実施形態では、インク供給用ポンプとしてのインク供給用シリンジ11は、インクを収容可能なケーシングとこのケーシング内のインクを押圧する押圧手段とを有している。本実施形態では、ケーシングとしてシリンダー13を用い、押圧手段としてピストン15と駆動機構61とを用いている。この押圧手段によりインクを押圧することによってインクが送液される。そして、制御部81は、前記ケーシング内のインクを押圧して送液管32(第2流路)を通じて記録ヘッド45に送液した後、インクタンク43から前記ケーシング内にインクを補給して前記ケーシング内のインクが予め定められた量になるように前記押圧手段を制御する。
【0043】
すなわち、本実施形態では、インク送液後には、ケーシング内のインク量が所定量になるようにインクが補給されるので、ケーシングの内側面がインクによって濡れた状態を維持することができる。これにより、ケーシングの内側面においてインクが増粘して堆積するのを抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態では、インク送液後には、ケーシング内のインク量が所定量になるようにインクが補給されるので、前記内側面におけるインクの堆積が抑制され、ピストンとシリンダーとの摩擦抵抗が増加するのを抑制できる。これにより、ポンプの円滑な動作を維持できる。
【0045】
さらに、本実施形態では、前記ケーシングが筒状のシリンダーであり、前記可動部材が前記ケーシング内に挿入された状態で押し動作及び引き動作が可能なピストンである。このシリンジポンプの場合、シリンダーの内側面が外気に晒されやすいので、インクの増粘が進行しやすいが、本実施形態の構成を有していることにより、インクの増粘を効果的に抑制できる。
【0046】
また、第2流路としての送液管32は、記録ヘッド45側からインク供給用シリンジ11側への流れを規制する逆止弁53を有しているので、インク送液後に、記録ヘッド45からインク供給用シリンジ11にインクが逆流するのを防止することができる。
【0047】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、ピストンの押し動作及び引き動作が上下方向に沿って行われる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、ピストンが鉛直方向に対して傾斜した方向、水平方向などの方向に沿って行われてもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、シリンダーが円筒形状である場合を例に挙げて説明したが、他の形状であってもよい。
【0049】
また、前記実施形態では、ワイプ部材によって記録ヘッド45の下面が拭き取られた直後にシリンダーへのインクの補給を行っているが、前記拭き取り動作よりも前にインクの補給を行ってもよい。拭き取り動作よりも前にインクの補給を行う場合には、このインク補給のステップは、例えば図3のステップS2が実行された直後、又はステップS2の後、シリンダー13の内側面に付着しているインクの増粘が実質的に進行していない短時間のうちに実施されるのが好ましい。
【0050】
また、前記実施形態では、送液管31,32に逆止弁51,53を設けた場合を例示したが、逆止弁に変えて電磁弁などの開閉可能な弁を設けてもよい。
【0051】
また、送液管31と送液管32をバイパスする送液管33は省略することもできる。
【0052】
また、前記実施形態では、インク供給用ポンプとしてシリンジポンプを用いた場合を例示したが、これに限定されない。インク供給用ポンプとしては、ケーシングとその内部に摺接する可動部材との間にできる空間を体積変化させることによって液体をインク吸込部から吸い込み、インク押出部から押し出すことができる他の容積式ポンプを用いることもできる。また、ケーシング内に圧縮空気を送り込むことが可能な押圧手段を備え、この圧縮空気によってケーシング内のインクを押圧することによってインクを送液可能なポンプを用いることもできる。
【符号の説明】
【0053】
11 インク供給用シリンジ
13 シリンダー
13a 胴部
13e,13f 円筒部
15 ピストン
15a 摺動部
15b 棒状部
15c フランジ部
17 インク吸込流路
21 インク押出流路
31,33 送液管
41 インクジェット記録装置
43 インクタンク
45 記録ヘッド
51,53 逆止弁
55,57 電磁弁
61 駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容可能なケーシングとこのケーシング内のインクを押圧する押圧手段とを有し、この押圧手段によりインクを押圧することによってインクを送液可能なインク供給用ポンプと、
インクを貯留するインクタンクと、
前記インクタンクと前記インク供給用ポンプとを連結する第1流路と、
前記インク供給用ポンプからインクが供給される記録ヘッドと、
前記インク供給用ポンプと前記記録ヘッドとを連結する第2流路と、
前記押圧手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記ケーシング内のインクを押圧して前記第2流路を通じて前記記録ヘッドに送液するように前記押圧手段を制御した後、前記インクタンクから前記ケーシング内にインクを補給して前記ケーシング内のインクが予め定められた量になるように前記押圧手段を制御する、インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記押圧手段は、前記ケーシングの内側面に摺接しながら移動可能な可動部材と、この可動部材を移動させる駆動手段とを有し、
前記制御手段は、前記ケーシングと前記可動部材とにより囲まれる空間の体積を小さくする方向に前記可動部材を移動させてインクを押圧して前記記録ヘッドに送液するように前記駆動手段を制御した後、前記空間の体積を大きくする方向に前記可動部材を移動させて前記インクタンクから前記ケーシング内にインクを補給するように前記駆動手段を制御する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記ケーシングは、筒状のシリンダーであり、
前記可動部材は、前記ケーシング内に挿入された状態で押し動作及び引き動作が可能なピストンである、請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記第2流路は、開閉可能な弁、又は前記記録ヘッド側から前記インク供給用ポンプ側への流れを規制する逆止弁を有している、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−136470(P2011−136470A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297472(P2009−297472)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】