説明

インクセット及びインクメディアセット、並びにインクカートリッジ、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法

【課題】普通紙のみならず水吸収性の少ない印刷用塗工紙においてもカラーブリードが改善され、消泡性及び吐出安定性に優れたインクセット及びインクメディアセット等の提供。
【解決手段】少なくとも顔料、第1及び第2の水溶性有機溶剤、界面活性剤、オキシエチレンβーナフチルエーテルの特定な誘導体、並びに水を含有するインクを2種以上組み合わせてなり、第1の水溶性有機溶剤と、第2の水溶性有機溶剤との質量比(第1:第2)が1:1.1〜1:1.9であり、第1の水溶性有機溶剤がグリセリンであり、第2の水溶性有機溶剤が、エチレングリコール等であるインクセットとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクセット及びインクメディアセット、並びに該インクセットを用いたインクカートリッジ、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式を用いたインクジェットプリンタは、小型で価格が安く、カラー化が容易であることから、急速に普及している。近年では、高画質な記録物を高速で印字することが求められており、この要求に答えるために、インクジェット記録方式に用いるインクは、様々な特性を満たしていなければならない。特に高速印字する場合には記録用メディア上でのインクのカラーブリードを抑制することや吐出安定性を維持することが重要である。この場合、吐出安定性が悪くなるのはノズル内でインクが乾燥してしまうことや、インクが泡だってしまうことが主な要因でありこれを改善することが必要となる。
【0003】
そこで、本願出願人は、普通紙のみならず水吸収性の劣る塗工紙においてもカラーブリードが発生しないインクセットとして、ブラックインクとブラックインク以外のカラーインクで異なる水溶性有機溶剤を使用し、カラーインクの水溶性有機溶剤の表面張力がブラックインクの表面張力よりも高いインクセットについて提案している(特許文献1参照)。
しかし、この提案では、表面張力の差異はカラーブリードに影響を与えるものの、カラーブリードや彩度と、吐出安定性とを両立させる水溶性有機溶剤の組み合わせと配合比については開示されていない。
【0004】
また、本願出願人は、分散剤として下記一般式(1)で表される化合物を含み、画像鮮明性、吐出安定性、インク保存性などに優れたインクについて提案している(特許文献2参照)。
【化5】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アリル基、及びアラルキル基のいずれかを表す。Lは、0〜7の整数を表す。nは、20〜200の整数を表す。
【0005】
インクに含まれる水溶性有機溶剤は、通常、保湿性と画像の彩度を向上させるために使用されており、前記特許文献2では、本発明で使用される水溶性有機溶剤が用いられているが、どの水溶性有機溶剤が保湿性に有効なものであり、またどの水溶性有機溶剤が画像の彩度向上に有効なものかは示されていない。
また、特許文献3には、インク吸収性が少ないか、又はインク吸収性のない記録用メディアに対してカラーブリードの生じないインクジェット記録方法が提案されている。しかし、この提案では、紫外線照射を利用しているため使用できるインク構成が制限され、インクジェット記録装置が複雑になり、コスト高を招くという問題がある。
【0006】
したがって普通紙のみならず水吸収性の少ない印刷用塗工紙においてもカラーブリードが改善され、消泡性及び吐出安定性に優れたインクセット及びインクメディアセットは未だ提供されていないのが現状である。
【0007】
【特許文献1】特開2007−146135号公報
【特許文献2】特開2006−45436号公報
【特許文献3】特開2007−136988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、普通紙のみならず水吸収性の少ない印刷用塗工紙においてもカラーブリードが改善され、消泡性及び吐出安定性に優れたインクセット及びインクメディアセット、並びに該インクセットを用いたインクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインクカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも顔料、2種以上の水溶性有機溶剤、界面活性剤、下記一般式(1)で表される化合物、及び水を含有するインクを2種以上組み合わせてなるインクセットであって、
前記2種以上の水溶性有機溶剤が、第1の水溶性有機溶剤と、第2の水溶性有機溶剤とからなり、これらの質量比(第1:第2)が1:1.1〜1:1.9であり、
前記第1の水溶性有機溶剤がグリセリンであり、
前記第2の水溶性有機溶剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、及び1,2,6−ヘキサントリオールから選択される少なくとも1種であることを特徴とするインクセットである。
【化6】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アリル基、及びアラルキル基のいずれかを表す。Lは、0〜7の整数を表す。nは、20〜200の整数を表す。
<2> 界面活性剤が、下記一般式(2)で表される化合物である前記<1>に記載のインクセットである。
【化7】

ただし、前記一般式(2)中、mは0〜10の整数、nは0〜40の整数を表す。
<3> 界面活性剤が、下記一般式(3)で表される化合物である前記<1>に記載のインクセットである。
【化8】

ただし、前記一般式(3)中、Rfはフッ素含有基を表す。mは1〜25の整数を表し、nは1〜4の整数を表し、pは1〜4の整数を表す。
<4> 各インクの粘度差(最大粘度−最小粘度)が、0〜0.8mPa・sである前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクセットである。
<5> 各インクの25℃における粘度が6mPa・s〜20mPa・sである前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクセットである。
<6> インクセットにおける各インクが、マゼンタインク、シアンインク、イエローインク、及びブラックインクの少なくともいずれかである前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクセットである。
<7> 記録用メディアに画像記録するのに用いられ、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の該記録用メディアへの転移量が4ml/m〜26ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の該記録用メディアへの転移量が5ml/m〜29ml/mである前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクセットである。
<8> インクセットと、記録用メディアとからなるインクメディアセットにおいて、
前記インクセットが、少なくとも顔料、2種以上の水溶性有機溶剤、界面活性剤、下記一般式(1)で表される化合物、及び水を含有するインクを2種以上組み合わせてなり、
前記2種以上の水溶性有機溶剤が、第1の水溶性有機溶剤と、第2の水溶性有機溶剤とからなり、これらの質量比(第1:第2)が1:1.1〜1:1.9であり、
前記第1の水溶性有機溶剤がグリセリンであり、
前記第2の水溶性有機溶剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、及び1,2,6−ヘキサントリオールから選択される少なくとも1種であり、
前記記録用メディアが、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の該記録用メディアへの転移量が4ml/m〜26ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の該記録用メディアへの転移量が5ml/m〜29ml/mであることを特徴とするインクメディアセットである。
【化9】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アリル基、及びアラルキル基のいずれかを表す。Lは、0〜7の整数を表す。nは、20〜200の整数を表す。
<9> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクセットの各インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<10> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクセットの各インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<11> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクセットの各インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を形成するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<12> 記録用メディア上に、前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクジェットインクを用いて記録された画像を有してなることを特徴とするインク記録物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、普通紙のみならず水吸収性の少ない印刷用塗工紙においてもカラーブリードが改善され、消泡性及び吐出安定性に優れたインクセット及びインクメディアセット、並びに該インクセットを用いたインクカートリッジ、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(インクセット)
本発明のインクセットは、インクを2種以上組み合わせてなり、該インクは、少なくとも顔料、2種以上の水溶性有機溶剤、界面活性剤、下記一般式(1)で表される化合物、及び水を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0012】
前記インクセットは、記録用メディアに画像記録するのに用いられ、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の該記録用メディアへの転移量が4ml/m〜26ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の該記録用メディアへの転移量が5ml/m〜29ml/mであることが好ましい。なお、動的走査吸液計で測定した記録用メディアへの転移量については、インクメディアセットにおいて説明する。
【0013】
−一般式(1)で表される化合物−
本発明で使用されるインクの着色剤としての顔料は、下記一般式(1)で示される化合物で分散されている。このように下記一般式(1)で示される化合物を分散剤として用いることにより、平均粒径が小さく、保存安定性に優れた水系顔料分散体、及び水系顔料インクを得ることができる。
【化10】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アリル基、及びアラルキル基のいずれかを表す。Lは、0〜7の整数を表す。nは、20〜200の整数を表す。
【0014】
前記一般式(1)において、nは、20〜200の整数であり、20〜100が好ましく、30〜50がより好ましい。前記nが、20未満であると、分散安定性が低下する傾向があり、平均粒径が大きい顔料を含むインクとなるため満足な彩度が得られないことがあり、200を超えると、インクの粘度が高くなり、インクジェット記録方式での記録が困難になることがある。
このように親水基としてポリオキシエチレン基を含むことにより、顔料表面の電荷を良好に維持することができる。
における炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、などが挙げられる。
におけるアラルキル基としては、例えばベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジルなどが挙げられる。
前記一般式(1)で表される化合物としては、ポリオキシエチレン(n=20)β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレン(n=60)β−ナフチルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテルが特に好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物の含有量は、質量基準で、前記インクにおける顔料1に対して0.1〜2.0が好ましく、0.1〜1.0がより好ましい。該含有量範囲において、平均粒径の小さいインクを提供できる。前記含有量が0.1未満であると、顔料の分散が不十分となることがあり、2.0を超えると、インクの粘度が高すぎてインクジェット方式での記録が困難になることがある。
【0015】
−水溶性有機溶剤−
本発明では、2種類以上の水溶性有機溶剤を使用し、前記2種以上の水溶性有機溶剤が、第1の水溶性有機溶剤と、第2の水溶性有機溶剤とからなり、これらの質量比(第1:第2)が1:1.1〜1:1.9である。
前記第1の水溶性有機溶剤がグリセリンであり、第2の水溶性有機溶剤がエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、及び1,2,6−ヘキサントリオールから選択される少なくとも1種である。
【0016】
前記水溶性有機溶剤が、前記のものであることにより、インクの乾燥によるノズル詰まり、即ち吐出安定性の悪化の防止、及び形成画像の彩度を向上させる上で優れた効果が得られる。詳しくは、前記第1の水溶性有機溶剤がグリセリンであることで、吐出安定性を向上できる。特にプリンタヘッドをキャッピングせず開放状態で一定時間放置した後でもノズル詰まりを防止できる。前記第2の水溶性有機溶剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、及び1,2,6−ヘキサントリオールから選択される少なくとも1種であることにより、浸透性を上げると共に、顔料を記録用メディア表面にとどめることでカラーブリードをなくし、画像の彩度が高い印字画像を得られる。
前記質量比(第1:第2)が1:1.1〜1:1.9であることにより、吐出安定性が高く、更に水吸収性の少ない、無機顔料が塗工された印刷用塗工紙においてもカラーブリードを改善できる。前記質量比において第2の水溶性有機溶剤が1.1より少ない場合はカラーブリードが発生してしまうことがある。一方、1.9より多い場合はノズルを開放状態に設置した後の再起動時に目詰まりが発生し、また泡が発生し易く消泡性が悪いので高い吐出安定性が得られないことがある。なお、第2の水溶性有機溶剤を2種以上用いる場合には、それらの合計量を第2の水溶性有機溶剤量とする。
【0017】
−界面活性剤−
前記界面活性剤をインクに含有させることによって、ノニオン系分散剤を用いて得られた顔料微粒子の安定性を阻害することなく、インクの紙への濡れ性を向上させることにより、発色性が高く、にじみの少ない画像が得られる。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、フッ素系界面活性剤が好ましく、例えばパーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物、下記一般式(2)で表される化合物、下記一般式(3)で表される化合物、などが挙げられる。これらの中でも、発色性が良好であり信頼性が高い点から、下記一般式(2)で表される化合物、下記一般式(3)で表される化合物が特に好ましい。
【化11】

ただし、前記一般式(2)中、mは0〜10の整数、nは0〜40の整数を表す。
【化12】

ただし、前記一般式(3)中、Rfはフッ素含有基を表す。mは1〜25の整数を表し、nは1〜4の整数を表し、pは1〜4の整数を表す。
Rfのフッ素含有基としては、例えばCF、CFCFなどが挙げられる。
【0018】
前記界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えばS−144、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);FC−170C、FC−430、フロラード−FC4430(いずれも、住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300(いずれも、Dupont社製);FT−250、251(いずれも、株式会社ネオス製)、などが挙げられる。これらの中でも、Dupont社製のFSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300が良好な印字品質、保存性を提供でき好ましい。これらノニオン系のフッ素系界面活性剤である前記界面活性剤は、1種単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0019】
前記界面活性剤のインク中への添加量としては、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましい。前記添加量が、0.1質量%未満であると、浸透性の向上に顕著な効果がないことがあり、10質量%を超えると、高温下で保存した時に粘度上昇、凝集等が起こり、信頼性が悪化することがある。
前記一般式(2)及び(3)で表される化合物は発色性がよく信頼性も高いが、インク中に前記一般式(1)で現される化合物と共に含有すると非常に泡立ち易く消泡性も悪いために、インクジェットプリンタのヘッド内で起泡して吐出安定性を悪化させてしまうので使用が困難だった。しかし、前記2種以上の水溶性有機溶剤を上述の質量比で含むことで、消泡性を改善することができた。
【0020】
−顔料−
前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機顔料、及び有機顔料のいずれであってもよい。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックなどが好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
【0021】
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。
前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。
前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、などが挙げられる。
前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
【0022】
前記着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用のもの、カラー用のもの、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
前記カーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒径が、15nm〜40nm、BET法による比表面積が、50〜300m/g、DBP吸油量が、40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜9を有するものが好ましい。
前記カーボンブラックとしては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(いずれも、三菱化学株式会社製);Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(いずれも、コロンビア社製);Regal400R、同330R、同660R、Mogul L、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(いずれも、キャボット社製);カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(いずれも、デグッサ社製)、などが挙げられる。
【0023】
前記カラー用のものとして、イエローインクに使用できる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー2、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー75、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー180、などが挙げられる。
マゼンタインクに使用できる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばC.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド48(Ca)、C.I.ピグメントレッド48(Mn)、C.I.ピグメントレッド57(Ca)、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット19、などが挙げられる。
シアンインクに使用できる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばC.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:34、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー63、C.I.ピグメントブルー66;C.I.バットブルー4、C.I.バットブルー60、などが挙げられる。
また、本発明で使用する各インクに含有される顔料は、本発明のために新たに製造されたものでも使用可能である。
なお、イエロー顔料としてピグメントイエロー74、マゼンタ顔料としてピグメントレッド122、ピグメントバイオレッド19、シアン顔料としてピグメントブルー15を用いることにより、色調、耐光性が優れ、バランスの取れたインクを得ることができる。
【0024】
前記顔料の前記インク中における含有量は、0.1質量%以上、50.0質量%以下が好ましく、0.1質量%以上、20.0質量%以下がより好ましい。
前記顔料の平均粒径(D50)は、150nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。なお、本発明における顔料の平均粒径は、23℃、55%RHの環境において、日機装株式会社製マイクロトラックUPAで動的光散乱法により測定した値を示す。これはノズルプレートに付着したインク中の顔料の粗大粒子量を減らすことにより、ワイピング時にインク中の粗大粒子の摩擦により撥インク層を損傷することを防止するからである。また、印字画像部の顔料粒子の乱反射を防ぎ、かつ濃度均一な印字画像を提供できるからである。
【0025】
前記顔料は、上記一般式(1)で表される化合物で水中で分散させて水系顔料分散体として使用される。該水系顔料分散体は、例えば以下の方法によって作製することができる。最初に顔料と分散剤との比率を決定する。それは、顔料と水との混合物をサンドミル、ロールミル、ビーズミル、ナノマイザー、ホモジナイザー等の公知の分散機で分散しながら、分散剤を徐々に添加して、粒径が小さくなると同時に最も粘度の小さくなった比率に決定する。なお、ビーズミルで分散する場合に、泡の発生を抑制するために少量の消泡剤を添加することが好ましい。顔料平均粒径については、分散機へ入れるビーズの大きさや分散時間などによって制御することが可能であり、平均粒径を150nm以下にするには、ビーズは0.05〜1.0mm、分散時間は1〜100時間/Lで分散すればよい。
【0026】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
前記消泡剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばシリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点でシリコーン系消泡剤が好ましい。
前記防腐防黴剤としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて任意の物質を使用することができる。該pH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物;水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、などが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、などが挙げられる。
【0027】
本発明のインクセットにおける各インクは、顔料、2種以上の水溶性有機溶剤、界面活性剤、上記一般式(1)で表される化合物、水と、更に必要に応じてその他の成分を添加し、20℃〜30℃で1〜3時間攪拌して製造する。前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
【0028】
本発明のインクセットにおける各インクの粘度は、25℃で、6mPa・s〜20mPa・sが好ましく、6mPa・s〜15mPa・sがより好ましい。前記粘度が20mPa・sを超えると、吐出安定性の確保が困難になることがある。
各インクの粘度差(最大粘度−最小粘度)が0〜0.8mPa・sであることが好ましい。前記粘度差が0.8mPa・sを超えると、色間でインクジェットへッドから吐出するインク量が大きく異なってしまい、良好な画像が得られないことがある。
【0029】
本発明のインクセットは、各種分野において好適に使用することができ、インクジェット記録方式による画像記録装置(プリンタ等)において好適に使用することができ、例えば、印字又は印字前後に被記録用紙及び前記インクジェットインクを50℃〜200℃で加熱し、印字定着を促進する機能を有するもののプリンタ等に使用することもでき、以下の本発明のインクメディアセット、本発明のインクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法に特に好適に使用することができる。
【0030】
(インクメディアセット)
本発明のインクメディアセットは、本発明の前記インクセットと、記録用メディアとからなる。
【0031】
<記録用メディア>
前記記録用メディアは、例えば支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
【0032】
前記記録用メディアにおいては、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける本発明の前記インクセットの各インクの前記記録用メディアへの転移量は、4〜15ml/mであり、6〜14ml/mが好ましい。また、純水の前記記録用メディアへの転移量は、4〜26ml/mが好ましく、8〜25ml/mがより好ましい。
前記接触時間100msでの前記インク及び純水の転移量が少なすぎると、ビーディングが発生しやすくなることがあり、多すぎると、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。
動的走査吸液計で測定した接触時間400msにおける本発明の前記インクセットの各インクの前記記録用メディアへの転移量は、7〜20ml/mであり、8〜19ml/mが好ましい。また、純水の前記記録用メディアへの転移量は、5〜29ml/mが好ましく、10〜28ml/mがより好ましい。
前記接触時間400msでの転移量が少なすぎると、乾燥性が不十分であるため、拍車
痕が発生しやすくなることがあり、多すぎると、ブリードが発生しやすく、乾燥後の画像
部の光沢が低くなりやすくなることがある。
【0033】
ここで、前記動的走査吸収液計(dynamic scanning absorptometer;DSA,紙パ技協誌、第48巻、1994年5月、第88〜92頁、空閑重則)は、極めて短時間における吸液量を正確に測定できる装置である。前記動的走査吸液計は、吸液の速度をキャピラリー中のメニスカスの移動から直読する、試料を円盤状とし、この上で吸液ヘッドをらせん状に走査する、予め設定したパターンに従って走査速度を自動的に変化させ、1枚の試料で必要な点の数だけ測定を行う、という方法によって測定を自動化したものである。紙試料への液体供給ヘッドはテフロン(登録商標)管を介してキャピラリーに接続され、キャピラリー中のメニスカスの位置は光学センサで自動的に読み取られる。具体的には、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、純水又はインクの転移量を測定した。接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量は、それぞれの接触時間の近隣の接触時間における転移量の測定値から補間により求めることができる。測定は23℃、50%RHで行った。
【0034】
−支持体−
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材繊維主体の紙、木材繊維及び合成繊維を主体とした不織布のようなシート状物質などが挙げられる。
前記紙としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材パルプ、古紙パルプなどが用いられる。前記木材パルプとしては、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、NBSP、LBSP、GP、TMPなどが挙げられる。
前記古紙パルプの原料としては、財団法人古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。具体的には、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙等のプリンタ用紙;PPC用紙等のOA古紙;アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙等の塗工紙;上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートン等の非塗工紙、などの紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記古紙パルプは、一般的に、以下の4工程の組み合わせから製造される。
(1)離解は、古紙をパルパーにて機械力と薬品で処理して繊維状にほぐし、印刷インキを繊維より剥離する。
(2)除塵は、古紙に含まれる異物(プラスチックなど)及びゴミをスクリーン、クリーナー等により除去する。
(3)脱墨は、繊維より界面活性剤を用いて剥離された印刷インキをフローテーション法、又は洗浄法で系外に除去する。
(4)漂白は、酸化作用や還元作用を用いて、繊維の白色度を高める。
前記古紙パルプを混合する場合、全パルプ中の古紙パルプの混合比率は、記録後のカール対策から40%以下が好ましい。
【0036】
前記支持体に使用される内添填料としては、例えば、白色顔料として従来公知の顔料が用いられる。前記白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等のような白色無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等のような有機顔料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記支持体を抄造する際に使用される内添サイズ剤としては、例えば、中性抄紙に用いられる中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)、アルキルケテンダイマー(AKD)、石油樹脂系サイズ剤などが挙げられる。これらの中でも、中性ロジンサイズ剤又はアルケニル無水コハク酸が特に好適である。前記アルキルケテンダイマーは、そのサイズ効果が高いことから添加量は少なくて済むが、記録用紙(メディア)表面の摩擦係数が下がり滑りやすくなるため、インクジェット記録時の搬送性の点からは好ましくない場合がある。
【0038】
−塗工層−
前記塗工層は、顔料及びバインダー(結着剤)を含有してなり、更に必要に応じて、界面活性剤、その他の成分を含有してなる。
前記顔料としては、無機顔料、もしくは無機顔料と有機顔料を併用したものを用いることができる。
前記無機顔料としては、例えば、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、非晶質シリカ、チタンホワイト、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クロライトなどが挙げられる。これらの中でも、カオリンは光沢発現性に優れており、オフセット印刷用の用紙に近い風合いとすることができる点から特に好ましい。
前記カオリンには、デラミネーテッドカオリン、焼成カオリン、表面改質等によるエンジニアードカオリン等があるが、光沢発現性を考慮すると、粒子径が2μm以下の割合が80質量%以上の粒子径分布を有するカオリンが、カオリン全体の50質量%以上を占めていることが好ましい。
前記カオリンの添加量は、前記塗工層の全顔料100質量部に対し50質量部以上が好ましい。前記添加量が50質量部未満であると、光沢度において十分な効果が得られないことがある。前記添加量の上限は特に制限はないが、カオリンの流動性、特に高せん断力下での増粘性を考慮すると、塗工適性の点から、90質量部以下がより好ましい。
前記有機顔料としては、例えば、スチレン−アクリル共重合体粒子、スチレン−ブタジエン共重合体粒子、ポリスチレン粒子、ポリエチレン粒子等の水溶性ディスパージョンがある。これら有機顔料は2種以上が混合されてもよい。
前記有機顔料の添加量は、前記塗工層の全顔料100質量部に対し2質量部〜20質量部が好ましい。前記有機顔料は、光沢発現性に優れていることと、その比重が無機顔料と比べて小さいことから、嵩高く、高光沢で、表面被覆性の良好な塗工層を得ることができる。前記添加量が2質量部未満であると、前記効果がなく、20質量部を超えると、塗工液の流動性が悪化し、塗工操業性の低下に繋がることと、コスト面からも経済的ではない。
前記有機顔料には、その形態において、密実型、中空型、ドーナツ型等があるが、光沢発現性、表面被覆性及び塗工液の流動性のバランスを鑑み、平均粒子径は0.2μm〜3.0μmが好ましく、より好ましくは空隙率40%以上の中空型が採用される。
【0039】
前記バインダーとしては、水性樹脂を使用するのが好ましい。
前記水性樹脂としては、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の少なくともいずれかが好適に用いられる。前記水溶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコールの変性物;ポリウレタン;ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、四級化したビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムの共重合体等のポリビニルピロリドンの変性物;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等セルロース;カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースの変性物;ポリエステル、ポリアクリル酸(エステル)、メラミン樹脂、又はこれらの変性物、ポリエステルとポリウレタンの共重合体等の合成樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、又は各種変性澱粉、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、インク吸収性の観点から、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルとポリウレタンの共重合体、などが特に好ましい。
【0040】
前記水分散性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリビニルエーテル、シリコーン−アクリル系共重合体、などが挙げられる。また、メチロール化メラミン、メチロール化尿素、メチロール化ヒドロキシプロピレン尿素、イソシアネート等の架橋剤を含有してよいし、N−メチロールアクリルアミドなどの単位を含む共重合体で自己架橋性を持つものでもよい。これら水性樹脂の複数を同時に用いることも可能である。
前記水性樹脂の添加量は、前記顔料100質量部に対し、2質量部〜100質量部が好ましく、3質量部〜50質量部がより好ましい。前記水性樹脂の添加量は前記記録用メディアの吸液特性が所望の範囲に入るように決定される。
【0041】
前記着色剤として水分散性の着色剤を使用する場合には、カチオン性有機化合物は必ずしも配合する必要はないが、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択使用することができる。例えば、水溶性インク中の直接染料や酸性染料中のスルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等と反応して不溶な塩を形成する1級〜3級アミン、4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、ポリマーなどが挙げられ、これらの中でも、オリゴマー又はポリマーが好ましい。
【0042】
前記カチオン性有機化合物としては、例えば、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ジメチルアミン・アンモニア・エピクロルヒドリン縮合物、ポリ(メタクリル酸トリメチルアミノエチル・メチル硫酸塩)、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物、ポリ(ジアリルアミン塩酸塩・二酸化イオウ)、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリ(アリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩)、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド・塩化アンモニウム・尿素・ホルムアルデヒド縮合物、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・二酸化イオウ)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・ジアリルアミン塩酸塩誘導体)、アクリルアミド・ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合物、アクリル酸塩・アクリルアミド・ジアリルアミン塩酸塩共重合物、ポリエチレンイミン、アクリルアミンポリマー等のエチレンイミン誘導体、ポリエチレンイミンアルキレンオキサイド変性物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ポリアリルアミン塩酸塩等の低分子量のカチオン性有機化合物と他の比較的高分子量のカチオン性有機化合物、例えば、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)等とを組み合わせて使用するのが好ましい。併用することにより、単独使用の場合よりも画像濃度を向上させ、フェザリングが更に低減される。
前記カチオン性有機化合物のコロイド滴定法(ポリビニル硫酸カリウム、トルイジンブルー使用)によるカチオン当量は3〜8meq/gが好ましい。前記カチオン当量がこの範囲であれば上記乾燥付着量の範囲で良好な結果が得られる。
ここで、前記コロイド滴定法によるカチオン当量の測定に当たっては、カチオン性有機化合物を固形分で0.1質量%となるように蒸留水で希釈し、pH調整は行わないものとする。
前記カチオン性有機化合物の乾燥付着量は、0.3〜2.0g/mが好ましい。前記カチオン性有機化合物の乾燥付着量が0.3g/m未満であると、充分な画像濃度向上やフェザリング低減の効果が得られないことがある。
【0043】
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アニオン活性剤、カチオン活性剤、両性活性剤、非イオン活性剤のいずれも使用することができる。これらの中でも、非イオン活性剤が特に好ましい。前記界面活性剤を添加することにより、画像の耐水性が向上するとともに、画像濃度が高くなり、ブリーディングが改善される。
前記非イオン活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙られる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ソルビトール、ショ糖などが挙げられる。また、エチレンオキサイド付加物については、水溶性を維持できる範囲で、エチレンオキサイドの一部をプロピレンオキサイドあるいはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドに置換したものも有効である。置換率は50%以下が好ましい。前記非イオン活性剤のHLB(親水性/親油性比)は4〜15が好ましく、7〜13がより好ましい。
前記界面活性剤の添加量は、前記カチオン性有機化合物100質量部に対し、10質量部以下が好ましく、0.1質量部〜1.0質量部がより好ましい。
【0044】
前記塗工層には、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、更に必要に応じて、その他の成分を添加することができる。該その他の成分としては、アルミナ粉末、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加剤が挙げられる。
前記塗工層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記支持体上に塗工層液を含浸又は塗布する方法により行うことができる。前記塗工層液の含浸又は塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレス、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなど各種塗工機で塗工することができる。これらの中でも、コストの点から、抄紙機に設置されているコンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレスなどで含浸又は付着させ、オンマシンで仕上げる方法が好ましい。
【0045】
前記塗工層液の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固形分で、0.5〜20g/mが好ましく、1〜15g/mがより好ましい。前記付着量が、0.5g/m未満であると、インクを十分吸収することができないためインクがあふれて文字滲みが生じてしまうことがあり、20g/mを超えると、紙の風合いが損なわれ、折り曲げづらくなったり、筆記具で書き加えづらくなるなどの不具合が生じてしまうことがある。
前記含浸又は塗布の後、必要に応じて乾燥させてもよく、この場合の乾燥の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100〜250℃程度が好ましい。
前記記録用メディアは、更に支持体の裏面にバック層、支持体と塗工層との間、また、支持体とバック層間にその他の層を形成してもよく、塗工層上に保護層を設けることもできる。これらの各層は単層であっても複数層であってもよい。
前記記録用メディアは、吸液特性が上記本発明の範囲であれば、インクジェット記録用メディアの他、市販のオフセット印刷用コート紙、グラビア印刷用コート紙などであってもよい。
【0046】
前記記録用メディアの坪量は、50〜250g/mであることが好ましい。50g/m未満であると、コシがないために搬送経路の途中で記録用メディアが詰まってしまうなどの搬送不良が生じやすいことがあり、250g/mを超えると、コシが大きくなりすぎるため搬送経路の途中にある曲線部で記録用メディアが曲がりきれず、やはり記録用メディアが詰まってしまうなどの搬送不良が生じやすい。
【0047】
(インクカートリッジ)
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記インクセットにおける各インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で
形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
【0048】
次に、インクカートリッジについて、図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1は、本発明のインクカートリッジの一例を示す図であり、図2は図1のインクカートリッジ200のケース(外装)も含めた図である。
インクカートリッジ200は、図1に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図2に示すように、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
【0049】
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記インクセットの各インクを収容し、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いることができ、また、後述する本発明のインクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いるのが特に好ましい。
【0050】
(インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段などを有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含んでなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、刺激発生工程、制御工程などを含んでなる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
【0051】
−インク飛翔工程及びインク飛翔手段−
前記インク飛翔工程は、本発明の前記インクセットの各インクに、刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録用メディア上に画像を形成する工程である。
前記インク飛翔手段は、本発明の前記インクセットの各インクに、刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録用メディア上に画像を形成する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インクジェットヘッド、などが挙げられる。
【0052】
前記インクジェットヘッドとして、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、あるいは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などいずれの場合も含まれる。
【0053】
前記刺激は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
【0054】
前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト、などが挙げられ、具体的には、例えば、圧電素子等の圧電アクチュエーター、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエーター、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエーター、静電力を用いる静電アクチュエーター、などが挙げられる。
【0055】
前記インクの飛翔の態様としては、特に制限はなく、前記刺激の種類等に応じて異なり、例えば、前記刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内の前記インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを例えばサーマルヘッド等を用いて付与し、該熱エネルギーにより前記インクに気泡を発生させ、該気泡の圧力により、該記録ヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記記録ヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。
【0056】
前記飛翔させる前記インクの液滴は、その大きさとしては、例えば、3pl〜40plとするのが好ましく、その吐出噴射の速さとしては5m/s〜20m/sとするのが好ましく、その駆動周波数としては1kHz以上とするのが好ましく、その解像度としては300dpi以上とするのが好ましい。なお、前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0057】
次に、本発明において使用されるインクジェット記録装置について、一例を挙げて説明する。
図3に示すインクジェット記録装置は、装置本体101と、装置本体101に装着した用紙を装填するための給紙トレイ102と装置本体101に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103とを備えている。そして装置本体101の上カバー111の上面は略平坦な面であり、装置本体101の前カバーの前面112が上面に対して斜め後方に傾斜し、この傾斜した前面112の下方側に、前方(手前側)に突き出した排紙トレイ103及び給紙トレイ102を備えている。更に、前面112の端部側には、前面112から前方側に突き出し、上カバー111よりも低くなった箇所にインクカートリッジ装填部104を有し、このインクカートリッジ装填部104の上面に操作キーや表示器などの操作部105を配置している。このインクカートリッジ装填部104にはインクカートリッジの脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。
【0058】
装置本体101内には図4、図5に示すように、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド131とステー132とでキャリッジ133を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モーターによって、図5のキャリッジ走査方向に移動走査する。
【0059】
キャリッジ133にはイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のインク滴を吐出する4個のインクジェットヘッドからなる記録ヘッド134を複数のインク吐出口を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。 記録ヘッド134を構成するヘッドとしては、圧電素子等の圧電アクチュエーター、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエーター、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエーター、静電力を用いる静電アクチュエーターなどをインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0060】
また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。このサブタンク135に、インク供給チューブ(不図示)を介して、インクカートリッジ装填部104に装填されたインクカートリッジからインクが補充供給される。
【0061】
一方、給紙トレイ102の用紙積載部(圧板)141上に積載した用紙142を給紙するための給紙部として、用紙積載部(圧板)141から用紙142を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)143及び給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備え、この分離パッド144は給紙コロ143側に付勢されている。
【0062】
そして、この給紙部から給紙された用紙142を記録ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、用紙142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる用紙142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンターローラ152と、略鉛直上方に送られる用紙142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とを備えている。また搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156を備えている。
【0063】
ここで、搬送ベルト151は、無端状ベルトであり、搬送ローラ157とテンションローラ158との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向に周回するように構成されている。この搬送ベルト151は、例えば,抵抗制御を行っていない純粋な厚み40μm程度の樹脂材、例えば、ETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。また、搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材161を配置している。更に、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とを備え、排紙ローラ172の下方に排紙トレイ103を備えている。
【0064】
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
【0065】
次に、インクジェットヘッドについて説明する。
図6は本発明を適用したインクジェットヘッドの要素拡大図、図7はインクジェットヘッドのチャンネル間方向の要部拡大断面図である。
【0066】
このインクジェットヘッドは、図示を省略しているインク供給口(図6の表面方向から奥方向(紙の裏面方向)に向かってインクを供給する)と共通液室12となる彫り込みを形成したフレーム10と、流体抵抗部21、加圧液室22となる彫り込みとノズル41に連通する連通口23を形成した流路板20と、ノズル41を形成するノズル板30と、凸部61、ダイヤフラム部62及びインク流入口63を有する振動板60と、振動板60に接着層70を介して接合された積層圧電素子50と、該積層圧電素子50を固定しているベース40を備えている。ベース40はチタン酸バリウム系セラミックからなり、積層圧電素子50を2列配置して接合している。
【0067】
積層圧電素子50は、厚み10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層51と、厚み数μm/1層の銀・パラジウム(AgPd)からなる内部電極層52とを交互に積層している。内部電極層52は両端で外部電極53に接続する。積層圧電素子50はハーフカットのダイシング加工により櫛歯上に分割され、1つ毎に駆動部56と支持部57(非駆動部)として使用する(図7参照)。
2つの外部電極53のうち一方(図の表面方向又は奥方向(紙の裏面方向)で内部電極層52の一端に連なる)の外側端はハーフカットのダイシング加工で分割されるように、切り欠き等の加工により長さを制限しており、これらは複数の個別電極54となる。他方はダイシングでは分割されずに導通しており、共通電極55となる。
駆動部の個別電極54にはFPC 80が半田接合されている。また、共通電極55は積層圧電素子50の端部に電極層を設けて回し込んでFPC 80のGnd電極に接合している。FPC 80には図示しないドライバICが実装されており、これにより駆動部56への駆動電圧印加を制御している。
【0068】
振動板60は、薄膜のダイヤフラム部62と、このダイヤフラム部62の中央部に形成した駆動部56となる積層圧電素子50と接合する島状凸部(アイランド部)61と、図示を省略している支持部に接合する梁を含む厚膜部と、インク流入口63となる開口を電鋳工法によるNiメッキ膜を2層重ねて形成している。ダイヤフラム部の厚みは3μm、幅は35μm(片側)である。
この振動板60の島状凸部61と積層圧電素子50の可動部56、振動板60とフレーム10の結合は、ギャップ材を含んだ接着層70をパターニングして接着している。
【0069】
流路板20はシリコン単結晶基板を用いて、流体抵抗部21、加圧液室22となる彫り込み、及びノズル41に対する位置に連通口23となる貫通口をエッチング工法でパターニングした。エッチングで残された部分が加圧液室22の隔壁24となる。また、このヘッドではエッチング幅を狭くする部分を設けて、これを流体抵抗部21とした。
【0070】
ノズル板30は金属材料、例えば電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成したもので、インク滴を飛翔させるための微細な吐出口であるノズル41を多数形成している。このノズル41の内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい)に形成している。また、このノズル41の径はインク滴出口側の直径で20μm〜35μmである。また各列のノズルピッチは150dpiとした。
【0071】
このノズル板30のインク吐出面(ノズル表面側)は、撥インク層90を設けている。本発明ではフッ素系界面活性剤を含有したインクに対しても十分な撥インク性を保持するために、この撥インク層はシリコーン樹脂を含む構造体で構成されている。シリコーン樹脂を含む構造体とは、シリコーン樹脂単独、又は他の樹脂、金属等の構成成分との混合により構成されたものであり、例えば、シリコーン樹脂微粒子がフッ素樹脂中に分散されたもの、シリコーン樹脂とポリプロピレンの混錬物、シリコーン樹脂とNiの共析めっき等が挙げられる。シリコーン樹脂の溶出を抑えるには、シリコーン樹脂と他の構成成分との混合体がより効果的である。
【0072】
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、記録信号に応じて駆動部56に駆動波形(10V〜50Vのパルス電圧)を印加することによって、駆動部56に積層方向の変位が生起し、振動板60を介して加圧液室22が加圧されて圧力が上昇し、ノズル41からインク滴が吐出される。
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室22内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧液室22内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、インクタンクから供給されたインクは共通液室12に流入し、共通液室12からインク流入口63を経て流体抵抗部21を通り、加圧液室22内に充填される。
流体抵抗部21は、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果がある反面、表面張力による再充填(リフィル)に対して抵抗になる。流体抵抗部を適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れ、次のインク滴吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くできる。
【0073】
<インク記録物>
前記インク記録物は、記録用メディア上に本発明の前記インクセットの各インクを用いて形成された画像を有してなる。
前記記録用メディアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明のインクメディアセットにおける前記記録用メディアが特に好ましい。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
【実施例】
【0074】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0075】
(製造例1)
<顔料分散液(a)の作製>
・C.I.ピグメントブルー15:3(大日本精化株式会社製、シアニンブルーA−292)・・・15質量部
・下記一般式(1)で表される化合物(ポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテル)・・・12質量部
【化13】

ただし、前記一般式(1)中、L=0、nは40を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社KDL型、メディア:直径0.3mmのジルコニアボール使用)で循環分散して顔料分散液(a)を得た。
【0076】
<インク(1)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・12質量部
・ジエチレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化14】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0077】
(製造例2)
<顔料分散液(b)の作製>
・C.I.ピグメントレッド122(大日本インキ化学工業株式会社製、FASTOGEN SUPER MAGENTA RG)・・・15質量部
・下記一般式(1)で表される化合物(ポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテル)・・・10質量部
【化15】

ただし、前記一般式(1)中、L=0、nは40を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社KDL型、メディア:直径0.3mmのジルコニアボール使用)で循環分散して顔料分散液(b)を得た。
【0078】
<インク(2)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・12質量部
・ジエチレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化16】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0079】
(製造例3)
<顔料分散液(c)の作製>
・C.I.ピグメントイエロー74(大日本精化株式会社製、イエローNo.43)・・・15質量部
・下記一般式(1)で表される化合物(ポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテル)・・・10質量部
【化17】

ただし、前記一般式(1)中、L=0、nは40を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社KDL型、メディア:直径0.3mmのジルコニアボール使用)で循環分散して顔料分散液(c)を得た。
【0080】
<インク(3)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・12質量部
・ジエチレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化18】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0081】
(製造例4)
<インク(4)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・12質量部
・エチレングリコール・・・16.8質量部
・界面活性剤としてのポリオキシアルキレン誘導体(炭素数が10〜15)・・・2質量部
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後に上記の顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0082】
(製造例5)
<インク(5)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・12質量部
・エチレングリコール・・・16.8質量部
・界面活性剤としてのポリオキシアルキレン誘導体(炭素数が10〜15)・・・2質量部
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記の顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0083】
(製造例6)
<インク(6)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・12質量部
・エチレングリコール・・・16.8質量部
・界面活性剤としてのポリオキシアルキレン誘導体(炭素数が10〜15)・・・2質量部
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記の顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0084】
(製造例7)
<インク(7)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・5質量部
・トリエチレングリコール・・・6質量部
・下記一般式(3)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化19】

ただし、前記一般式(3)中、RfはCFCFを表す。mは2、nは4、pは4を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びトリエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0085】
(製造例8)
<インク(8)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・5質量部
・トリエチレングリコール・・・6.5質量部
・下記一般式(3)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化20】

ただし、前記一般式(3)中、RfはCFCFを表す。mは2、nは4、pは4を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びトリエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0086】
(製造例9)
<インク(9)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・5質量部
・トリエチレングリコール・・・6.5質量部
・下記一般式(3)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化21】

ただし、前記一般式(3)中、RfはCFCFを表す。mは2、nは4、pは4を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びトリエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記の顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0087】
(製造例10)
<インク(10)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・プロピレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化22】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びプロピレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0088】
(製造例11)
<インク(11)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・プロピレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化23】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びプロピレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0089】
(製造例12)
<インク(12)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・プロピレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化24】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びプロピレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0090】
(製造例13)
<インク(13)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・ジプロピレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化25】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジプロピレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0091】
(製造例14)
<インク(14)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・ジプロピレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化26】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジプロピレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0092】
(製造例15)
<インク(15)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・ジプロピレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化27】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジプロピレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0093】
(製造例16)
<インク(16)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・トリプロピレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化28】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びトリプロピレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0094】
(製造例17)
<インク(17)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・トリプロピレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化29】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びトリプロピレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0095】
(製造例18)
<インク(18)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・トリプロピレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化30】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びトリプロピレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0096】
(製造例19)
<インク(19)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,3−ブタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化31】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,3−ブタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0097】
(製造例20)
<インク(20)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,3−ブタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化32】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,3−ブタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0098】
(製造例21)
<インク(21)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,3−ブタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化33】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,3−ブタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0099】
(製造例22)
<インク(22)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・2,3−ブタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化34】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び2,3−ブタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0100】
(製造例23)
<インク(23)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・2,3−ブタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化35】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び2,3−ブタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0101】
(製造例24)
<インク(24)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・2,3−ブタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化36】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び2,3−ブタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0102】
(製造例25)
<インク(25)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,4−ブタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化37】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,4−ブタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0103】
(製造例26)
<インク(26)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,4−ブタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化38】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,4−ブタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0104】
(製造例27)
<インク(27)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,4−ブタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化39】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,4−ブタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0105】
(製造例28)
<インク(28)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・3−メチル−1,3−ブタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化40】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び3−メチル−1,3−ブタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0106】
(製造例29)
<インク(29)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・3−メチル−1,3−ブタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化41】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び3−メチル−1,3−ブタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0107】
(製造例30)
<インク(30)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・3−メチル−1,3−ブタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化42】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び3−メチル−1,3−ブタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0108】
(製造例31)
<インク(31)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,5−ペンタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化43】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,5−ペンタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0109】
(製造例32)
<インク(32)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,5−ペンタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化44】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,5−ペンタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0110】
(製造例33)
<インク(33)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,5−ペンタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化45】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,5−ペンタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0111】
(製造例34)
<インク(34)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・テトラエチレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化46】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びテトラエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0112】
(製造例35)
<インク(35)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・テトラエチレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化47】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びテトラエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0113】
(製造例36)
<インク(36)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・テトラエチレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化48】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びテトラエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0114】
(製造例37)
<インク(37)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,6−ヘキサンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化49】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,6−ヘキサンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0115】
(製造例38)
<インク(38)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,6−ヘキサンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化50】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,6−ヘキサンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0116】
(製造例39)
<インク(39)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,6−ヘキサンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化51】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,6−ヘキサンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0117】
(製造例40)
<インク(40)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・2−メチル−2,4−ペンタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化52】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び2−メチル−2,4−ペンタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0118】
(製造例41)
<インク(41)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・2−メチル−2,4−ペンタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化53】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び2−メチル−2,4−ペンタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0119】
(製造例42)
<インク(42)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・2−メチル−2,4−ペンタンジオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化54】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び2−メチル−2,4−ペンタンジオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0120】
(製造例43)
<インク(43)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・ポリエチレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化55】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びポリエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0121】
(製造例44)
<インク(44)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・ポリエチレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化56】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びポリエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記の顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0122】
(製造例45)
<インク(45)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・ポリエチレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化57】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びポリエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0123】
(製造例46)
<インク(46)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,2,4−ブタントリオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化58】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,2,4−ブタントリオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0124】
(製造例47)
<インク(47)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,2,4−ブタントリオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化59】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,2,4−ブタントリオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0125】
(製造例48)
<インク(48)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,2,4−ブタントリオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化60】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,2,4−ブタントリオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0126】
(製造例49)
<インク(49)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,2,6−ヘキサントリオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化61】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,2,6−ヘキサントリオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0127】
(製造例50)
<インク(50)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,2,6−ヘキサントリオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化62】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,2,6−ヘキサントリオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0128】
(製造例51)
<インク(51)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・1,2,6−ヘキサントリオール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化63】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及び1,2,6−ヘキサントリオール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0129】
(製造例52)
<インク(52)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・ジエチレングリコール・・・15質量部
・下記一般式(3)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化64】

ただし、前記一般式(3)中、RfはCFCFを表す。mは2、nは4、pは4を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0130】
(製造例53)
<インク(53)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・ジエチレングリコール・・・15質量部
・下記一般式(3)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化65】

ただし、前記一般式(3)中、RfはCFCFを表す。mは2、nは4、pは4を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0131】
(製造例54)
<インク(54)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・15質量部
・ジエチレングリコール・・・15質量部
・下記一般式(3)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化66】

ただし、前記一般式(3)中、RfはCFCFを表す。mは2、nは4、pは4を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0132】
(製造例55)
<インク(55)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・エチレングリコール・・・20質量部
・下記一般式(3)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化67】

ただし、前記一般式(3)中、RfはCFCFを表す。mは2、nは4、pは4を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0133】
(製造例56)
<インク(56)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・エチレングリコール・・・20質量部
・下記一般式(3)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化68】

ただし、前記一般式(3)中、RfはCFCFを表す。mは2、nは4、pは4を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0134】
(製造例57)
<インク(57)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・エチレングリコール・・・20質量部
・下記一般式(3)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化69】

ただし、前記一般式(3)中、RfはCFCFを表す。mは2、nは4、pは4を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0135】
(製造例58)
<インク(58)の作製>
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・8質量部
・トリエチレングリコール・・・24質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化70】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びトリエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0136】
(製造例59)
<インク(59)の作製>
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・8質量部
・トリエチレングリコール・・・24質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化71】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びトリエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(b)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0137】
(製造例60)
<インク(60)の作製>
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・8質量部
・トリエチレングリコール・・・24質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化72】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びトリエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(c)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0138】
(製造例61)
<顔料分散液(61)の作製>
シアン顔料としてC.I.ピグメントシアン15:3を低温プラズマ処理しカルボン酸基を導入した顔料を作製した。これをイオン交換水に分散したものを、限外濾過膜にて脱塩濃縮して顔料濃度15質量%の顔料分散液(d)とした。
<インク(R)の作製>
・顔料分散液(d)・・・5質量部
・アクリル樹脂微粒子(アクアブリッド4720、ダイセル化学工業株式会社製)・・・4質量部
・グリセリン・・・7質量部
・3−メチル−1,3−ブタンジオール・・・21質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・1質量部
【化73】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記処方のインクを調製し、pHが9になるように水酸化リチウム10質量%水溶液にて調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
【0139】
(製造例62)
<顔料分散液(e)の作製>
顔料分散液(d)のC.I.ピグメントシアン15:3の代わりに、C.I.ピグメントレッド122を用いた。上記の例と同様に、得られた表面改質された着色顔料は水性媒体中で攪拌時に容易に分散された。
<インク(62)の作製>
・顔料分散液(e)・・・8質量部
・アクリル樹脂微粒子(アクアブリッド4720、ダイセル化学工業株式会社製)・・・3.2質量部
・グリセリン・・・7質量部
・3−メチル−1,3−ブタンジオール・・・21質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・1質量部
【化74】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記処方のインクを調製し、pHが9になるように水酸化リチウム10質量%水溶液にて調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
【0140】
(製造例63)
<顔料分散液(f)の作製>
顔料分散液(d)と同様に、表面改質されたイエロー顔料を調製したが、C.I.ピグメントシアン15:3の代わりにC.I.ピグメントイエロー128を用いた。上記の例と同様に、得られた表面改質された着色顔料は水性媒体中で攪拌時に容易に分散された。
<インク(63)の作製>
・顔料分散液(f)・・・5.0質量部
・アクリル樹脂微粒子(アクアブリッド4720、ダイセル化学工業株式会社製)・・・4.0質量部
・グリセリン・・・7質量部
・3−メチル−1,3−ブタンジオール・・・21質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・1質量部
【化75】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記処方のインクを調製し、pHが9になるように水酸化リチウム10質量%水溶液にて調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
【0141】
(製造例64)
<顔料分散液(g)の作製>
顔料分散液(a)において、一般式(1)で表される化合物の代わりに、ポリオキシエチレンオクチルエーテル12質量部を用いた以外は、同様にして、顔料分散液(g)を得た。
<インク(64)の作製>
・顔料分散液(g)・・・40質量部
・グリセリン・・・12質量部
・トリプロピレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化76】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記処方のインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びトリプロピレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(g)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0142】
(製造例65)
<顔料分散液(h)の作製>
顔料分散液(b)において、一般式(1)で表される化合物の代わりに、ポリオキシエチレンオクチルエーテル10質量部を用いた以外は同様にして、顔料分散液(h)を得た。
<インク(65)の作製>
・顔料分散液(h)・・・40質量部
・グリセリン・・・12質量部
・トリプロピレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化77】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記処方のインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びトリプロピレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(h)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0143】
(製造例66)
<顔料分散液(i)の作製>
顔料分散液(c)において、一般式(1)で表される化合物の代わりに、ポリオキシエチレンオクチルエーテル10質量部を用いた以外は同様にして、顔料分散液(i)を得た。
<インク(66)の作製>
・顔料分散液(i)・・・40質量部
・グリセリン・・・12質量部
・トリプロピレングリコール・・・19.2質量部
・下記一般式(2)で表される界面活性剤・・・2質量部
【化78】

ただし、前記一般式(2)中、mは2、nは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、インクを得た。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びトリプロピレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(i)を添加し、1時間撹拌してインクを作製した。
【0144】
−支持体の作製−
下記配合の0.3質量%スラリーを長網抄紙機で抄造し、坪量79g/mの支持体を作製した。なお、抄紙工程のサイズプレス工程で、酸化澱粉水溶液を固形分付着量が片面当り、1.0g/mになるように塗布した。
・広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)・・・80質量部
・針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)・・・20質量部
・軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−121、奥多摩工業株式会社製)・・・10質
量部
・硫酸アルミニウム・・・1.0質量部
・両性澱粉(商品名:Cato3210、日本NSC株式会社製)・・・1.0質量部
・中性ロジンサイズ剤(商品名:NeuSize M−10、ハリマ化成株式会社製)・・・0.3質量部
・歩留まり向上剤(商品名:NR−11LS、ハイモ社製)・・・0.02質量部
【0145】
−記録用メディア1の作製−
顔料としての粒子径2μm以下の割合が97質量%のクレー70質量部、平均粒子径1.1μmの重質炭酸カルシウム30質量部、接着剤としてのガラス転移温度(Tg)が−5℃のスチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン7質量部、リン酸エステル化澱粉0.7質量部、及び助剤としてのステアリン酸カルシウム0.5質量部を加え、更に水を加えて固形分濃度60質量%の塗工液を調製した。
得られた塗工液を、上記作製した支持体に片面当り固形分付着量が8g/mになるように、ブレードコーターを用いて両面塗工し、熱風乾燥後、段スーパーカレンダー処理を行い、「記録用メディア1」を作製した。
【0146】
−記録用メディア2−
グラビア印刷用コート紙(商品名:スペースDX、坪量=56g/m、日本製紙株式会社製)
【0147】
−記録用メディア3−
オフセットコート紙(商品名:オーロラコート、坪量=104.7g/m、日本製紙株式会社製)
【0148】
<動的走査吸液計による純水の転移量の測定>
記録用メディア1〜3について、動的走査吸液計(型式:KS350D、協和精工株式会社製)を用いて、純水の吸収曲線を測定した。吸収曲線は、転移量(mL/m)と接触時間の平方根√(ms)でプロットして一定の傾きを持つ直線とし、内挿により一定時間後の純水の転移量の値を測定した。なお、測定は23℃、50%RHの環境条件で行った。結果を表1に示す。
【0149】
【表1】

【0150】
(実施例1〜17及び比較例1〜6)
−インクセット−
下記表2−1及び表2−2に示すように、各インク及び記録用メディア1〜2を組み合わせたインクセットについて、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表2−1及び表2−2に示す。
【0151】
<インクの粘度の測定>
各インクの粘度は、R−500型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、コーン1°34’×R24、60rpm、3分間後の条件により、25℃で測定した。
【0152】
<泡立ち試験>
25℃の環境下で、作製した各インクを試験管(内径10mm、全長160mm)に5ml入れ、10秒間で30回上下に振とうし、静置5分間後の泡高さを以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
A:泡高さが3cm未満
B:泡高さが3cm以上、6cm未満
C:泡高さが6cm以上
【0153】
<吐出安定性試験>
作製した各インクを図3〜5にて示したインクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO G707)に表1に示す組み合わせで充填し、以下の方法で吐出安定性を評価した。即ち、23℃、50%RH環境下でプリンタヘッドをキャッピングせず開放状態で一定時間放置し、その後、以下の印刷パターンチャートを20,000枚印字後、吐出不良の有無を以下の基準で評価した。なお、印刷パターンは、画像領域中、印字面積が、紙面全面積中、各色印字面積が5%であるチャートを前記プリンタの普通紙はやいモードで印字した。
〔評価基準〕
A:3時間放置後、不吐出のノズルが5個未満かつクリーニングで不吐出のノズルが全て回復する
B:2時間放置後、不吐出のノズルが5個未満かつクリーニングで不吐出のノズルが全て回復する
C:1時間放置後、不吐出のノズルが5個未満かつクリーニングで不吐出のノズルが全て回復する
【0154】
<カラーブリードの評価>
作製した各インクを図3〜5にて示したインクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO G707)に表2−1及び表2−2に示す組み合わせで充填し、マゼンタ地にイエロー文字を印字してカラーブリードの程度を目視で観察し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
A:ブリードの発生無く鮮明な印刷である
B:かすかにブリードの発生が認められる
C:文字の輪郭がはっきりしないほどにじみが発生している
【0155】
【表2−1】

【0156】
【表2−2】

【0157】
(実施例1、4、18、19及び比較例7〜8)
−インクメディアセット−
下記表3に示すように各インク及び記録用メディアを組み合わせたインクメディアセットについて、上記実施例1〜17及び比較例1〜6と同様にして、諸特性を評価した。結果を表3に示す。
【0158】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明のインクセット及びインクメディアセットは、普通紙のみならず水吸収性の少ない、無機顔料が塗工された印刷用塗工紙においてもカラーブリードが改善され、消泡性及び吐出安定性に優れ、高品位の画像が得られるので、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に好適に用いることができる。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】図1は、本発明のインクカートリッジの一例を示す概略図である。
【図2】図2は、図1のインクカートリッジのケースも含めた概略図である。
【図3】図3は、本発明のインクジェット記録装置の斜視説明図である。
【図4】図4は、本発明のインクジェット記録装置の全体構成を説明する概略構成図である。
【図5】図5は、本発明のインクジェットヘッドの一例を示す概略拡大図である。
【図6】図6は、本発明のインクジェットヘッドの一例を示す要素拡大図である。
【図7】図7は、本発明のインクジェットヘッドの一例のチャンネル間方向の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0161】
10 フレーム
20 流路板
30 ノズルプレート
40 ベース
50 積層圧電素子
60 振動板
70 接着層
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
144 分離パッド
151 搬送ベルト
152 再度カウンターローラ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 デンションローラ
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
200 インクカートリッジ
201 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジ外装

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも顔料、2種以上の水溶性有機溶剤、界面活性剤、下記一般式(1)で表される化合物、及び水を含有するインクを2種以上組み合わせてなるインクセットであって、
前記2種以上の水溶性有機溶剤が、第1の水溶性有機溶剤と、第2の水溶性有機溶剤とからなり、これらの質量比(第1:第2)が1:1.1〜1:1.9であり、
前記第1の水溶性有機溶剤がグリセリンであり、
前記第2の水溶性有機溶剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、及び1,2,6−ヘキサントリオールから選択される少なくとも1種であることを特徴とするインクセット。
【化1】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アリル基、及びアラルキル基のいずれかを表す。Lは、0〜7の整数を表す。nは、20〜200の整数を表す。
【請求項2】
界面活性剤が、下記一般式(2)で表される化合物である請求項1に記載のインクセット。
【化2】

ただし、前記一般式(2)中、mは0〜10の整数、nは0〜40の整数を表す。
【請求項3】
界面活性剤が、下記一般式(3)で表される化合物である請求項1に記載のインクセット。
【化3】

ただし、前記一般式(3)中、Rfはフッ素含有基を表す。mは1〜25の整数を表し、nは1〜4の整数を表し、pは1〜4の整数を表す。
【請求項4】
各インクの粘度差(最大粘度−最小粘度)が、0〜0.8mPa・sである請求項1から3のいずれかに記載のインクセット。
【請求項5】
各インクの25℃における粘度が6mPa・s〜20mPa・sである請求項1から4のいずれかに記載のインクセット。
【請求項6】
インクセットにおける各インクが、マゼンタインク、シアンインク、イエローインク、及びブラックインクの少なくともいずれかである請求項1から5のいずれかに記載のインクセット。
【請求項7】
記録用メディアに画像記録するのに用いられ、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の該記録用メディアへの転移量が4ml/m〜26ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の該記録用メディアへの転移量が5ml/m〜29ml/mである請求項1から6のいずれかに記載のインクセット。
【請求項8】
インクセットと、記録用メディアとからなるインクメディアセットにおいて、
前記インクセットが、少なくとも顔料、2種以上の水溶性有機溶剤、界面活性剤、下記一般式(1)で表される化合物、及び水を含有するインクを2種以上組み合わせてなり、
前記2種以上の水溶性有機溶剤が、第1の水溶性有機溶剤と、第2の水溶性有機溶剤とからなり、これらの質量比(第1:第2)が1:1.1〜1:1.9であり、
前記第1の水溶性有機溶剤がグリセリンであり、
前記第2の水溶性有機溶剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、及び1,2,6−ヘキサントリオールから選択される少なくとも1種であり、
前記記録用メディアが、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の該記録用メディアへの転移量が4ml/m〜26ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の該記録用メディアへの転移量が5ml/m〜29ml/mであることを特徴とするインクメディアセット。
【化4】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アリル基、及びアラルキル基のいずれかを表す。Lは、0〜7の整数を表す。nは、20〜200の整数を表す。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載のインクセットの各インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項10】
請求項1から7のいずれかに記載のインクセットの各インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項11】
請求項1から7のいずれかに記載のインクセットの各インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を形成するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−138118(P2009−138118A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316716(P2007−316716)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】