説明

インク組成物及び画像形成方法。

【課題】インクジェット法に適用した場合の吐出性に優れ、記録した画像の耐溶剤性及び定着性に優れたインク組成物を提供すること。
【解決手段】(a)下記一般式(1)で表される化合物と、(b)水とを含む、インク組成物。


(一般式(1)において、Tは炭素数3〜40の多価チオール化合物のチオール基から水素原子をn個除いた残基を表し、Xp1は、下記一般式(P−1)で表される基を有する重合体部位を表し、nは3〜12の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク組成物及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データ信号に基づき、紙などの記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、インクジェット方式がある。
【0003】
インクジェット方式による画像の記録に用いられるインク組成物のなかでも、活性エネルギー線硬化型水性インクは、画像の印画、記録媒体に印画適性を付与するための前処理、印画された画像の保護・装飾の後処理などに好適に使用でき、また、水を主成分とすることから安全性に優れ、低粘度化によって高密度インクジェット記録への適用が可能になるなど、多くの優れた特徴、可能性を有する技術である。
例えば特許文献1には、重合性物質及び重合開始剤が水溶性である例として、特定のマレイミド構造を有する活性エネルギー線重合性物質を含むインク組成物が記載されている。
また、特許文献2には、一分子中に3〜10個のメルカプト基を有する化合物を含む、水系顔料分散剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−119449号公報
【特許文献2】特開2008−222843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、形成した画像の耐溶剤性に関しては何ら検討がなされておらず、まだ改良の余地がある。又、画像のべたつきにくさである定着性に関しても依然改良の余地がある。
また、特許文献2には、定着性、耐溶剤性及び吐出性に関しては何ら記載されていない。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、インクジェット法により画像を記録した場合の吐出性に優れ、記録した画像の溶剤に対する耐久性である耐溶剤性及び定着性に優れたインク組成物を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
項1.(a)下記一般式(1)で表される化合物と、(b)水とを含む、インク組成物。
【0008】
【化1】

【0009】
一般式(1)において、Tは炭素数3〜40の多価チオール化合物のチオール基から水素原子をn個除いた残基を表し、Xp1は、下記一般式(P−1)で表される基を有する重合体部位を表し、nは3〜12の整数である。
【0010】
【化2】

【0011】
一般式(P−1)において、R及びRは各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。*は重合体部位中における結合位置を表す。
【0012】
項2.前記Tが、下記一般式(T−1)で表される、項1に記載のインク組成物。
【0013】
【化3】

【0014】
一般式(T−1)において、Lはアルキレン基を表す。Lは、単結合又はアルキレン基を表し、Qは単結合、−NH−、−CO−、−CONH−又は−COO−を表す。Mは、多価アルコールの水酸基から水素原子をn個除いた残基を表す。nは3〜12の整数を表す。**はXp1と結合する位置を表す。
【0015】
項3.前記重合体部位Xp1が、下記一般式(Xp1−1)で表される繰り返し単位を含む、項1又は項2に記載のインク組成物。
【0016】
【化4】

【0017】
一般式(Xp1−1)において、R及びRは各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成していてもよい。Rは水素原子又はメチル基を表す。Zは単結合、−COO−*、又は−CONR−*を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、*はXとの結合位置を表す。Xは2価の有機基を表す。
【0018】
項4.前記重合部位Xp1が、更に親水性基を有する繰り返し単位を含む、項1〜項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
項5.前記親水性基が、アミド基、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルコール性水酸基、ポリアルキレンオキシ構造を有する基、カルボキシル基又はスルホ基である、項4に記載のインク組成物。
項6.インク組成物に対する(a)化合物の含有量が、2〜20質量%である、項1〜項5のいずれか1項に記載のインク組成物。
項7.前記(a)化合物の重量平均分子量が3,000〜50,000である、項1〜項6のいずれか1項に記載のインク組成物。
項8.更に(c)着色剤を含有する、項1〜項7のいずれか1項に記載のインク組成物。
項9.インク組成物に対する(b)水の含有量が、30〜70質量%である、項1〜項8のいずれか1項に記載のインク組成物。
項10.更に水溶性有機溶剤を含む、項1〜項9のいずれか1項に記載のインク組成物。
項11.前記水溶性有機溶剤が、2−ピロリドン又はγ―ブチロラクトンである、項10に記載のインク組成物。
項12.更に重合性化合物を含む、項1〜項11のいずれか1項に記載のインク組成物。
項13.インクジェット記録用である項1〜項12のいずれか1項に記載のインク組成物。
項14.項1〜項13のいずれか1項に記載のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、前記付与したインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程とを含む、画像形成方法。
項15.前記インク付与工程がインクジェット法による、項14に記載の画像形成方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、インクジェット法に適用した場合の吐出性に優れ、記録した画像の耐溶剤性及び定着性に優れたインク組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[インク組成物]
本発明のインク組成物は、(a)下記一般式(1)で表される化合物(以下、単に「(a)化合物」ともいう。)と、(b)水とを含むことを特徴とする。
【0021】
【化5】

【0022】
一般式(1)において、Tは炭素数3〜40の多価チオール化合物のチオール基から水素原子をn個除いた残基を表し、Xp1は、下記一般式(P−1)で表される基を有する重合体部位を表し、nは3〜12の整数である。
【0023】
【化6】

【0024】
一般式(P−1)において、R及びRは各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。*は重合体部位中における結合位置を表す。
【0025】
なお、本明細書中において「〜」とは、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0026】
以下、本発明のインク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)について詳細に説明する。
【0027】
<(a)一般式(1)で表される化合物>
本発明に用いられるインク組成物は、(a)一般式(1)で表される化合物を含む。
【0028】
【化7】

【0029】
一般式(1)において、Tは炭素数3〜40の多価チオール化合物のチオール基から水素原子をn個除いた残基を表し、Xp1は、下記一般式(P−1)で表される基を有する重合体部位を表し、nは3〜12の整数である。
【0030】
【化8】

【0031】
一般式(P−1)において、R及びRは各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。*は結合位置を表す。
【0032】
一般式(1)において、Tは炭素数3〜40の多価チオール化合物のチオール基から水素原子をn個除いた残基を表す。本発明における多価チオールとは、価数が3以上、即ち、分子中にチオール基(−SH基)を3つ以上有する化合物を指し、3〜12価の多価チオールであることが好ましく、3〜8価の多価チオールであることが更に好ましく、3〜6価の多価チオールであることが特に好ましい。本発明の多価チオールとしては、炭素数3〜40の飽和又は不飽和炭化水素鎖(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数3〜20)を有し、かつチオール基(−SH基)を3つ以上有する化合物が好ましい。前記飽和又は不飽和炭化水素鎖は、−O−、−S−、−N−、−C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)−、−NHCO−、−COO−、−NHCOO−、−CONH−又は−NHCO−を鎖中に有していてもよい。前記飽和又は不飽和炭化水素鎖は、直鎖構造であっても、分岐していても、環を形成していてもよい。
【0033】
前記炭素数3〜40の多価チオールとしては、炭素数3〜30が更に好ましく、炭素数3〜20が特に好ましい。前記nとしては、3〜12の整数であり、3〜8の整数であることが更に好ましく、3〜6の整数であることが特に好ましい。
【0034】
前記一般式(1)における多価チオールは、置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
【0035】
前記一般式(1)における多価チオールが有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基(メチル基、エチル基等)、炭素数6〜16のアリール基(フェニル基、ナフチル基等)、水酸基、アミノ基、カルボキシル基(アセトキシ基等)、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、炭素数1〜6のアシルオキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、ハロゲン原子(塩素、臭素等)、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等)、シアノ基、炭酸エステル基(t−ブチルカーボネート等)、などが挙げられる。尚、置換基を有していてもよいときの置換基が有する炭素数は、前述の多価チオールの炭素数の数に含めないものとする。
【0036】
本発明における多価チオール化合物のチオール基から水素原子をn個除いた残基としては、例えば下記一般式(T−1)又は(T−2)で表される多価チオールが挙げられる。
【0037】
【化9】

【0038】
一般式(T−1)において、Lはアルキレン基を表す。Lは、単結合又はアルキレン基を表し、Qは単結合、−NH−、−CO−、−CONH−又は−COO−を表す。Mは、多価アルコールの水酸基から水素原子をn個除いた残基を表す。nは3〜12の整数を表す。**はXp1と結合する位置を表す。
【0039】
前記一般式(T−1)中のLは単結合又はアルキレン基を表し、単結合が好ましい。
【0040】
前記一般式(T−1)中のL及びLで表されるアルキレン基としては、炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜5が更に好ましく、炭素数1〜4が特に好ましい。前記アルキレン基の具体例としては、メチレン基等が挙げられる。これらの基は置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
【0041】
前記一般式(T−1)中のQは単結合、−NH−、−CO−、−CONH−、−NHCO−又は−COO−を表し、−CO−が好ましい。
【0042】
前記一般式(T−1)中のMが多価アルコールの水酸基から水素原子をn個除いた残基である場合の多価アルコールとしては、価数が3以上、即ち、分子中に水酸基を3つ以上持つアルコールであれば限定はない。前記多価アルコールは、分子中に、−CO−,−NHCO−、−O−、複素環又はベンゼン環を含んでいても良い。又、前記多価アルコールは、分子中に脂環構造を有していてもよい。前記多価アルコールは、炭素数3〜20が好ましく、3〜18が更に好ましく、3〜15が特に好ましい。前記多価アルコールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。前記多価アルコールの水酸基から水素原子をn個除いた残基におけるnとしては、3〜12の整数であり、3〜8であることが更に好ましく、3〜6であることが特に好ましい。
【0043】
前記多価アルコールが含んでいてもよい複素環としては、単環であることが好ましく、5員環または6員環の複素環化合物から水素原子をn´個除いた残基であることが好ましい。前記n´としては、3〜12の整数が好ましく、3〜8の整数が更に好ましく、3〜6の整数が特に好ましい。複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子又は酸素原子が好ましく、窒素原子が更に好ましい。前記複素環化合物は、複数(好ましくは3つ)のヘテロ原子を有していてもよく、この場合、ヘテロ原子は互いに同じであっても異なっていてもよい。前記複素環化合物の具体例としては、トリアジン又はイソシアヌル酸などが挙げられる。
【0044】
前記一般式(T−1)中のL、L、Q及びMの好ましい組み合わせとしては、Lがアルキレン基であり、Lが単結合であり、Qが−CO−であり、Mが炭素数3〜20の多価アルコールの水酸基から水素原子をn個除いた残基である組み合わせが好ましい。
【0045】
前記一般式(T−1)で表される多価チオール化合物のチオール基から水素原子をn個除いた残基の具体例としては、例えば、下記例示化合物(1)〜(16)等が挙げられ、これらの中でも例示化合物(14)〜(16)が好ましい。尚、下記例示化合物中、**はXp1との結合位置を表す。
【0046】
【化10】

【0047】
【化11】



【0048】
【化12】

【0049】
【化13】

【0050】
【化14】

【0051】
【化15】

【0052】
一般式(T−2)において、Mは、各々独立に、複素環化合物から水素原子がm個除かれた残基、又はベンゼン環を含む化合物から水素原子がm個除かれた残基を表す。L11及びL12は、各々独立に、単結合又はアルキレン基を表す。Qは単結合、−NH−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−NHCOO−、−OCO−又は−COO−を表す。mは3〜12の整数を表す。**はXp1と結合する位置を表す。
【0053】
前記一般式(T−2)中のL11は、単結合又はアルキレン基を表し、単結合が好ましい。
【0054】
前記一般式(T−2)中のL12は、単結合又はアルキレン基を表し、アルキレン基が好ましい。
【0055】
前記一般式(T−2)中のL11及びL12で表されるアルキレン基としては、炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜5が更に好ましく、炭素数1〜4が特に好ましい。前記アルキレン基の具体例としては、メチレン基等が挙げられる。これらの基は置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
【0056】
前記一般式(T−2)中のQは単結合、−NH−、−CO−、−CONH−又は−COO−を表し、単結合又は−CONH−が好ましい。
【0057】
前記一般式(T−2)中のMで表されるベンゼン環を含む化合物から水素原子がm個除かれた残基におけるベンゼン環としては、1以上のベンゼン環を有する基であれば限定的ではないが、好ましくはベンゼン環である。具体的には、ベンゼン等が挙げられる。前記ベンゼン環は置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
【0058】
前記一般式(T−2)中のMで表される複素環化合物から水素原子がm個除かれた残基における複素環化合物としては、単環であることが好ましく、5員環または6員環の複素環化合物であることが好ましい。前記mとしては、3〜12の整数が好ましく、3〜8の整数が更に好ましく、3〜6の整数が特に好ましい。複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子又は酸素原子が好ましく、窒素原子が更に好ましい。複素環化合物は、複数(好ましくは3つ)のヘテロ原子を有していてもよく、この場合、ヘテロ原子は互いに同じであっても異なっていてもよい。前記複素環化合物の具体例としては、トリアジン又はイソシアヌル酸、ピランなどが挙げられる。前記複素環化合物は、置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していることが好ましい。前記有していてもよい置換基としては、一級アミノ基(−NH)が好ましく挙げられる。
【0059】
前記一般式(T−2)中のL11、L12、Q及びMの好ましい組み合わせとしては、L11、L12及びQが単結合である組み合わせ、L11がアルキレン基であり、Qが−NHCO−又は−OCO−であり、L12が単結合である組み合わせ、L11がアルキレン基であり、L12及びQが単結合である組み合わせが好ましい。
【0060】
前記一般式(T−2)中のmは3〜12の整数を表し、3〜8が好ましく、3〜6が更に好ましい。
【0061】
前記一般式(T−2)で表される多価チオール化合物のチオール基から水素原子をn個除いた残基としては、例えば、下記例示化合物(18)〜(25)を挙げることができる。尚、下記例示化合物中、**はXp1との結合位置を表す。
【0062】
【化16】

【0063】
【化17】

【0064】
前記一般式中の前記Tとしては、特に好ましくは、一般式(T−1)で表される多価チオール化合物のチオール基から水素原子をn個除いた残基である。
【0065】
前記一般式(1)中のXp1は、下記一般式(P−1)で表される基を有する重合体部位である。前記重合体部位は、重合体の主鎖末端において、前記一般式(1)におけるT(炭素数3〜40の多価チオール化合物のチオール基から水素原子をn個除いた残基)と結合していることが好ましい。
【0066】
【化18】

【0067】
一般式(P−1)において、R及びRは各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。*は重合体部位中における結合位置を表す。
【0068】
及びRは各々独立炭素数1〜4のアルキル基を表し、炭素数1〜2(メチル基、エチル基)が好ましく、炭素数1(メチル基)であることが特に好ましい。これらの基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を表す。あるいは、R及びRは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。
【0069】
式(P−1)において、R及びRは置換基を有していても、置換基を有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
【0070】
本発明のXp1における式(P−1)で表される基の具体例を下記に示す。本発明はこれらに限定されない。
【0071】
【化19】

【0072】
【化20】

【0073】
また、前記Xp1(重合体部位)は下記式(Xp1−1)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0074】
【化21】

【0075】
一般式(Xp1−1)において、R及びRは各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成していてもよい。Rは水素原子又はメチル基を表す。Zは単結合、−COO−*、又は−CONR−*を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、*はXとの結合位置を表す。Xは2価の有機基を表す。
【0076】
式(Xp1−1)において、R及びRは各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。式(Xp1−1)におけるR及びRは、既述の式(P−1)におけるR及びRとして例示したものと(好ましい範囲も含めて)同様である。
【0077】
式(Xp1−1)において、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rはメチル基であることが好ましい。
【0078】
式(Xp1−1)において、Zは単結合、−COO−*、又は−CONR−*を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、*はXとの結合位置を表す。Zは−COO−*であることが好ましい。
また、前記−CONR−*におけるRは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基を表す。Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基、即ち、メチル基、又は、エチル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。なお、Rは置換基を有していても、置換基を有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
【0079】
式(Xp1−1)において、Xは2価の有機基を表す。2価の有機基としては、アルキレン基であることが好ましい。前記アルキレン基は直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよい。また、アルキレン基中には、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、アリーレン基が存在していてもよい。Xがアルキレン基である場合の炭素数は2〜20であることが好ましく、炭素数2〜12であることがより好ましく、炭素数2〜8であることがさらに好ましい。
【0080】
式(Xp1−1)において、R及びRは各々独立に炭素数1〜2のアルキル基であり、Rはメチル基であり、Zは−COO−であり、Xは炭素数2〜12のアルキレン基であることが好ましい。
【0081】
前記(a)化合物における式(Xp1−1)の繰り返し単位の含有量は5質量%〜90質量%であることが好ましく、10質量%〜90質量%であることがさらに好ましく、30質量%〜90質量%であることが特に好ましい。
【0082】
上記式(Xp1−1)で表される構造は、下記一般式(Xp1−1´)で表される単量体を重合して得られるものである。
【0083】
【化22】

【0084】
一般式(Xp1−1´)におけるR、R、R、Z及びXは、既述の式(Xp1−1)における定義と(好ましい範囲も含めて)同様である。
【0085】
式(Xp1−1´)で表される単量体の好ましい例としては以下の化合物(Xp1−1´−1)〜(Xp1−1´−11)を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0086】
【化23】

【0087】
【化24】

【0088】
【化25】

【0089】
本発明における上記単量体(Xp1−1´−1)〜(Xp1−1´−11)は、例えば特開昭52−988号公報、特開平4−251258号公報等に記載の方法を参考に製造できる。
【0090】
一般式(P−1)で表される基を有する重合体部位は、更に親水性基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
【0091】
本発明の(a)化合物は、水溶性、又は、水分散性であることが好ましく、水溶性であることがさらに好ましい。(a)化合物の1gを30mlの水で溶解、又は、分散できることが好ましく、20mlの水で溶解、又は、分散できることがより好ましく、10mlの水で溶解、又は、分散できることが特に好ましい。
【0092】
ここで親水性基とは、(a)化合物の親水性を高める機能を有する基であれば、ノニオン性親水性基でもよいし、アニオン性もしくはカチオン性のようなイオン性親水性基のいずれも使用することができ、限定はない。
【0093】
なお、Xp1中の親水性基の個数に限定はないが、その数は、親水性基の種類、重合体(a)化合物の分子量等に応じて、適宜選択される。
【0094】
本発明で用いられるノニオン性親水性基としては、限定はないが、例えば、窒素原子又は酸素原子を含む複素環化合物から水素原子を1個除いた残基、アミド基、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルコール性水酸基及びポリアルキレンオキシ構造を有する基等のノニオン性親水性基;
カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基又は4級アンモニウム基等のイオン性親水性基;
が挙げられる。前記イオン性親水性基は塩を形成していてもよい。
これらの中でも、アミド基、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルコール性水酸基、ポリアルキレンオキシ構造を有する基、カルボキシル基又はスルホ基が好ましく、アルコール性水酸基、カルボキシル基又はスルホ基が更に好ましい。
【0095】
前記窒素原子又は酸素原子を含む複素環化合物としては、γ―ブチロラクトン等のラクトン類、2−ピロリドン、エチレンウレア等の環状ウレア類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル類、12−クラウン−4等のクラウンエーテル類が挙げられる。
【0096】
前記アミド基としては、限定的ではないが、例えば、下記式(1a-1)で表される基が好ましく挙げられる。
【0097】
【化26】

【0098】
式(1a-1)中、R1a及びR1bは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。R1a及びR1bは互いに結合して4〜6員環を形成していてもよい。*は結合位置を表す。
【0099】
前記式(1a-1)におけるR1a及びR1bは、各々独立に水素原子又はアルキル基を表す。前記R1a及びR1bにおけるアルキル基としては、直鎖または分岐のアルキル基を表し、−COO−結合、−O−結合、又は−NH−結合を含んでいても良い。前記アルキル基は、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。R1a及びR1bは、互いに結合して4〜6員環を形成していてもよい。これらの基は置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。前記R1a及びR1bで表されるアルキル基の具体例としては、メチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0100】
式(1a-1)において、R1a及びR1bが有していてもよい置換基としては、水酸基等が好ましい。
【0101】
前記アルキル置換カルバモイル基としては、カルバモイル基のNに結合する水素原子がアルキル基で置換されたモノアルキルカルバモイル基、又は、カルバモイル基のNに結合する2つの水素原子がアルキル基で置換されたジアルキルカルバモイル基が挙げられる。具体的には、下記式(1a-2)で表される基が好ましく挙げられる。
【0102】
【化27】

【0103】
式(1a-2)中、R2a及びR2bは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。R2a及びR2bは互いに結合して4〜6員環を形成していてもよい。*は結合位置を表す。
【0104】
前記式(1a-2)におけるR2a及びR2bは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。前記R2a及びR2bにおけるアルキル基としては、直鎖または分岐のアルキル基を表し、−O−結合、−COO−結合、−C(=O)―結合を含んでいても良い。前記アルキル基は、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。R2a及びR2bは互いに結合して4〜6員環を形成していてもよい。前記R2a及びR2bで表されるアルキル基の具体例としては、限定的ではないが、メチレン基、エチレン基等が挙げられる。これらの基は置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
【0105】
式(1a-2)において、R2a及びR2bが有していてもよい置換基としては、炭素数1〜2のアルコキシ基、水酸基等が好ましい。
【0106】
前記ポリアルキレンオキシ構造を有する基としては、限定的ではないが、例えば、下記式(1a-3)で表される基が好ましく挙げられる。
【0107】
【化28】

【0108】
式(1a-3)中、R3aはアルキレン基を表し、R3bは水素原子又はアルキル基を表す。n3は、4〜50の整数を表す。複数存在するR3aは各々同一であっても異なっていてもよい。*は結合位置を表す。
【0109】
前記式(1a-3)におけるR3aはアルキレン基を表す。前記R3aで表されるアルキレン基としては、直鎖、分岐または環状のアルキレン基を表し、−O−結合又は−COO−結合を含んでいてもよい。前記アルキレン基は、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。式(1a-3)の基において複数存在するR3aは、各々同一であっても異なっていても良く、同一であることが好ましい。これらの基は置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。R3aで表されるアルキレン基の具体例としては、エチレン基等が挙げられる。
【0110】
前記式(1a-3)におけるR3aが有していてもよい置換基としては、炭素数1〜2のアルコキシ基、水酸基等が好ましい。
【0111】
前記式(1a-3)におけるR3bは水素原子又はアルキル基を表す。前記R3bで表されるアルキル基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。R3bで表されるアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基等が挙げられる。
【0112】
前記式(1a-3)におけるn3は、4〜50の整数を表し、4〜40がより好ましく、5〜30が更に好ましい。
【0113】
前記イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基又は4級アンモニウム基)の塩としては、イオン性親水性基の金属塩やオニウム塩が挙げられ、特に好ましくは、アルカリ金属塩(Li、Na、K等)又はオニウム塩である。
【0114】
前記イオン性親水性基のオニウム塩としては、アンモニウム塩や、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられ、アンモニウム塩であることが好ましい。具体例としては、カルボキシル基のテトラアルキルアンモニウム塩、カルボキシル基のトリアルキルアリールアンモニウム塩等が挙げられ、カルボキシル基のテトラアルキルアンモニウム塩であることが好ましい。アンモニウム塩を形成するアルキル基としては炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、アリール基としてはフェニル基が好ましい。
【0115】
一般式(P−1)で表される基を有する重合体部位が、更に親水性基を有する繰り返し単位を有する場合、前記親水性基を有する繰り返し単位は下記一般式(Xp1−2)で表されることが好ましい。
【0116】
【化29】

【0117】
一般式(Xp1−2)において、Rcyは水素原子またはメチル基を表す。Zは−COO−*、−CONRdy−*または単結合を表し、Rdyは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rは単結合、アルキレン基、アリーレン基及びアラルキレン基からなる群から選ばれる基を表す。Aは親水性基を表す。なお、*はRに結合する位置を表す。
【0118】
一般式(Xp1−2)において、Rcyは水素原子またはメチル基を表す。
【0119】
一般式(Xp1−2)において、Zは−COO−*、−CONRdy−*または単結合を表し、−COO−*であることが好ましい。なお、*はRに結合する位置である。Rdyは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基を表す。Rdyは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基、即ち、メチル基、又は、エチル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。なお、Rdyは置換基を有していても、置換基を有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
【0120】
前記Rdyが有していてもよい置換基としては、炭素数6〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I等)等が挙げられる。
【0121】
一般式(Xp1−2)において、Rは単結合またはアルキレン基、アリーレン基及びアラルキレン基からなる群から選ばれる基を表し、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基又は炭素数7〜20のアラルキレン基であることが好ましい。これらの基は置換基を有していても、置換基を有していなくてもよい。また、これらの基の中には、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合が存在していてもよい。一般式(Xp1−2)において、Rは単結合であることが好ましい。
【0122】
前記Rが有していてもよい置換基としては、炭素数6〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I等)等が挙げられる。
【0123】
が炭素数1〜20のアルキレン基である場合、前記アルキレン基は直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよい。Rがアルキレン基である場合の炭素数は2〜12であることがより好ましく、炭素数2〜8であることがさらに好ましい。Rのアルキレン基の具体例としては、−CH−、−C−、−C(CH−CH−、−CHC(CHCH−、−C12−、−C(C)C−、C1836−、1,4−trans−シクロヘキシレン基、−C−OCO−C−、−C−OCO−、−C−O−C10−、−CH−O−C(C11)−、−C−CONH−C−、−C−OCONH−C12−、−CH−OCONHC1020−、−CHCH(OH)CH−等を挙げることができる。
【0124】
が炭素数6〜20のアリーレン基である場合、前記アリーレン基の炭素数は6〜18であることが好ましく、6〜14であることがさらに好ましく、6〜10であることが特に好ましい。Rのアリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、−C−CO−C−、ナフチレン基等を挙げることができる。
【0125】
が炭素数7〜20のアラルキレン基である場合、前記アラルキレン基の炭素数は7〜18であることが好ましく、7〜14であることがさらに好ましく、7〜10であることが特に好ましい。アラルキレン基の具体例としては、−C−C−、−C−C−C−、−CH−C−C−C−、−C−OCO−C−等を挙げることができる。
【0126】
前記一般式(Xp1−2)中のAで表される親水性基としては、既述の親水性基と好ましい範囲も含めて同様である。
【0127】
前記一般式(Xp1−2)で表される親水性基を有する繰り返し単位を有する場合、前記(P−1)で表される基を有する重合体部位Xp1における式(Xp1−2)で表される繰り返し単位の含有量は、(a)化合物に対し、1〜90質量%であることが好ましく、30〜90質量%が更に好ましく、40〜90質量%が特に好ましい。
【0128】
上記一般式(Xp1−2)で表される構造は、下記式(Xp1−2´)で表される単量体を重合して得ることができる。
【0129】
【化30】

【0130】
式(Xp1−2´)において、Rcy、Z、R、Aは前記式(Xp1−2)における定義と好ましい範囲も含めて同様である。
【0131】
式(Xp1−2´)で表される単量体の好ましい例としては以下の化合物(Xp1−2´−1)〜(Xp1−2´−27)を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0132】
【化31】

【0133】
【化32】

【0134】
【化33】

【0135】
【化34】

【0136】
【化35】

【0137】
本発明における上記式(Xp1−2´)で表される繰り返し単位を与える例示化合物(Xp1−2´−1)〜(Xp1−2´−27)は、市販の化合物若しくは、一般的に知られている公知慣用の方法により製造することができる。
【0138】
本発明の一般式(P−1)で表される基を有する重合体部位Xp1は、上述の化合物に加えて、さらに他の単量体成分を重合体として用いることができる。式(Xp1−1´)で表される単量体および式(Xp1−2´)で表される単量体と共重合し得るその他の単量体としては、スチレン、p−メトキシスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、p−スルファモイルフェニル(メタ)アクリルアミドが挙げられ、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜8のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。なお、上記以外の公知のモノマーを、必要に応じて使用することもできる。
【0139】
一般式(P−1)で表される基を有する重合体部位Xp1は、ビニル重合体の他、ポリウレタン類、ポリエステル類、ポリエチレンイミン類等の種々の高分子構造をとることができるが、インク組成物の吐出性や製造適性からビニル重合体であることが好ましい。
【0140】
本発明における(a)化合物は、前記の式(Xp1−1´)又は(Xp1−2´)で表される単量体を連鎖移動剤として公知の重合方法により重合し、必要に応じて酸性基をアルカリ金属の水酸化物等により中和することにより得ることができ、例えば、特開昭52−988号公報、特開昭55−154970号公報、Langmuir 18巻14号5414〜5421頁(2002年)等に記載の重合方法準じた方法で製造することができる。
【0141】
(a)化合物は、分子量(分子量分布を有するものに関しては、重量平均分子量)2,000〜100,000であることが好ましく、重量平均分子量2,000〜80,000が更に好ましく、3,000〜50,000が特に好ましい。
【0142】
なお重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Sup
erHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。
【0143】
(a)化合物のインク組成物中における含有量としては、0.1〜40質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%がさらに好ましい。
【0144】
(a)化合物の具体例として、以下に示す(A−1)〜(A−22)を示す。
【0145】
【表1】

【0146】
(式(1)中のTで表される多価チオール化合物のチオール基から水素原子をn個除いた残基)
下記(14)〜(16)における、**はXp1と結合する位置を表す。
【0147】
【化36】

【0148】
(式(1)中のXp1で表される重合体部位)
【0149】
【化37】

【0150】
【化38】

【0151】
【化39】

【0152】
<(b)水>
本発明のインク組成物は水を含有する。
(b)水としては、不純物を含まないイオン交換水、蒸留水などを用いることが好ましい。
本発明のインク組成物における水の含有量は、10〜97質量%であることが好ましく、30〜95質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。
【0153】
<その他の添加剤>
本発明のインク組成物には、必須成分である(a)化合物、(b)水に加えて、本発明の効果を損なわない限りにおいて、公知の添加剤を併用することができる。以下、インク組成物に使用しうる添加剤について説明する。
【0154】
(水溶性有機溶剤)
本発明のインク組成物は、主たる溶剤として水を含有するが、目的に応じて、溶剤中に、さらに、水溶性有機溶剤を併用することが好ましい。
ここで水溶性有機溶剤とは、25℃の水に対する溶解度が10質量%以上である有機溶剤をいう。
【0155】
本発明で用いることのできる水溶性有機溶剤としては、例えば、下記のものが挙げられる。
・アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、
・多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール、2−メチルプロパンジオール等)、
・多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、
・アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、
・アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、
・複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチレンウレア等)、
・スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、
・スルホン類(例えば、スルホラン等)、
・その他(尿素、アセトニトリル、アセトン等)
【0156】
好ましい水溶性有機溶剤としては、多価アルコールエーテル類、複素環類が挙げられ、これらを併用して使用することが好ましい。多価アルコールエーテル類では、いわゆるグリコールエーテル類が好ましく、具体的には、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルが好ましく、2−ジプロピレングリコールモノメチルエーテルが更に好ましい。複素環類としては、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンウレア等が好ましく、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが特に好ましい。特に沸点の高い溶剤は好ましく用いることができ、常圧での沸点が120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。
【0157】
水溶性有機溶剤は、単独もしくは複数を併用しても良い。水溶性有機溶剤のインク組成物中の添加量としては、総量で1〜60質量%であり、好ましくは2〜35質量%である。
【0158】
(着色剤(C))
本発明のインク組成物は、着色剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる着色剤としては、特に制限はなく、顔料、水溶性染料、分散染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用することができる。この中でも、着色剤としては、顔料を含むことがより好ましい。
【0159】
《顔料》
【0160】
インク組成物の顔料分散物に含まれていてもよい顔料は、一般に用いられる有機顔料、無機顔料、さらには、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。通常、市販されている顔料はいずれも使用でき、さらに、市販の顔料分散体や表面処理剤などで予め処理された顔料、例えば、顔料を分散媒としての不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
【0161】
本発明に用いうる有機顔料及び無機顔料としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエロー等)、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー219の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエロー等)、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー166の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料、C.I.ピグメントイエロー120(ベンズイミダゾロンイエロー)C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー194等の如きアセトロン顔料等が挙げられる。
【0162】
赤あるいはマゼンタ色を呈するものとしては、例えば、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド6等の如きB−ナフトール顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B等)、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド48(B−オキシナフト酸レーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッド等)、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド242の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)、C.I.ピグメントレッド172(エリスロシンレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド224の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド208の如きナフトロン顔料、C.I.ピグメントレッド247の如きナフトールAS系レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド256、C.I.ピグメントレッド268、C.I.ピグメントレッド269の如きナフトールAS顔料、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド27の如きジケトピロロピロール顔料等が挙げられる。
【0163】
青あるいはシアン色を呈する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
【0164】
緑色を呈する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)、C.I.ピグメントグリーン10等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ2、C.I.ピグメントオレンジ3、C.I.ピグメントオレンジ5の如きΒ−ナフトール顔料、C.I.ピグメントオレンジ4、C.I.ピグメントオレンジ22、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ74等の如きナフトールAS顔料、C.I.ピグメントオレンジ61等の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントオレンジ43等の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントオレンジ15、C.I.ピグメントオレンジ16等の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49等の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ62、C.I.ピグメントオレンジ60、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ72等の如きアセトロン顔料、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34等の如きピラゾロン顔料、が挙げられる。
茶色を呈する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン32等のナフトロン顔料などが挙げられる。
【0165】
黒色を呈する顔料としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、C.I.ピグメントブラック1(アニリンブラック)等の如きインダジン顔料、C.I.ピグメントブラック31、C.I.ピグメントブラック32の如きペリレン顔料等が挙げられる。
白色顔料としては、例えば、塩基性炭酸鉛(2PbCOPb(OH)、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。白色顔料に使用される無機粒子は単体でも良いし、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等の酸化物や有機金属化合物、有機化合物との複合粒子であっても良い。
【0166】
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、さらに、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
【0167】
白色以外の顔料は、平均粒径が小さいほど発色性に優れるため、本発明の顔料分散物を白色以外の顔料分散物に適用する場合であれば、顔料分散物に含有される顔料の平均粒径は、0.01μm〜0.4μm程度であることが好ましく、さらに好ましくは0.02μm〜0.3μmの範囲である。また、顔料の最大粒径は、3μm以下、好ましくは1μm以下がより好ましい。顔料の粒径は、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件の設定などにより調整することができる。また、本発明の顔料分散物を、白色のインク組成物などに適用しうる白色の顔料分散物として調製する場合であれば、顔料分散物に含有される顔料の平均粒径は、充分な隠蔽性を与える観点から、0.05μm〜1.0μm程度であることが好ましく、さらに好ましくは0.1μm〜0.4μm程度である。白色の顔料分散物とする場合についても、顔料の最大粒径は、3μm以下、好ましくは1μm以下であることが好ましい。
【0168】
《水溶性染料》
本発明に用いることができる水溶性染料としては、例えば酸性染料や直接染料が挙げられる。酸性染料、直接染料は、可溶化基として、酸性基をもつ構造となっている。酸性基としては、スルホン酸基およびその塩、カルボン酸基およびその塩、リン酸基およびその塩が挙げられる。酸性基の数はひとつでも複数でもよく、組み合わせでもよい。水溶性染料が含有する発色団の化学構造としては、アゾ系、フタロシアニン系、トリフェニルメタン系、キサンテン系、ピラゾロン系、ニトロ系、スチルベン系、キノリン系、メチン系、チアゾール系、キノンイミン系、インジゴイド系、ローダミン系、アントラキノン系、アンスラキノン系のものなどが挙げられる。
以下に限定されるものではないが、好ましい油溶性染料の具体例としては、例えば、C.I.アシッドイエロー19、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドブルー62、C.I.アシッドオレンジ10、C.I.アシッドブルー83、C.I.アシッドブラック01、C.I.ダイレクトイエロー44、C.I.ダイレクトイエロー142、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトブルー15、C.I.ダイレクトブルー25、C.I.ダイレクトブルー249、C.I.ダイレクトレッド81、C.I.ダイレクトレッド9、C.I.ダイレクトレッド31、C.I.ダイレクトブラック154、C.I.ダイレクトブラック17等が挙げられる。
【0169】
(分散染料)
また、本発明においては、分散染料を用いることもできる。
分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99、100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9等が挙げられる。
【0170】
本発明に用いることができる着色剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0171】
着色剤のインク組成物中における含有量は、インク組成物全体の質量に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましい。
【0172】
(分散剤)
着色剤として顔料を用いる場合には、顔料粒子を調製する際に、必要に応じて顔料分散剤を用いてもよく、用いることのできる顔料分散剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩を挙げることができる。
【0173】
また、本発明のインク組成物には、自己分散顔料を用いることもできる。本発明でいう自己分散顔料とは、分散剤なしで分散が可能な顔料を指し、特に好ましくは、表面に極性基を有している顔料粒子である。
【0174】
本発明でいう表面に極性基を有する顔料粒子とは、顔料粒子表面に直接極性基で修飾させた顔料、あるいは有機顔料母核を有する有機物で直接に又はジョイントを介して極性基が結合しているもの(以下、顔料誘導体という)をいう。
極性基としては、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、燐酸基、硼酸基、水酸基が挙げられるが、好ましくはスルホン酸基、カルボン酸基であり、更に好ましくは、スルホン酸基である。
【0175】
このような表面に極性基を有する顔料粒子を得る方法としては、例えば、WO97/48769号公報、特開平10−110129号公報、特開平11−246807号公報、特開平11−57458号公報、同11−189739号公報、特開平11−323232号公報、特開2000−265094公報等に記載の顔料粒子表面を適当な酸化剤で酸化させることにより、顔料表面の少なくとも一部に、スルホン酸基もしくはその塩といった極性基を導入する方法が挙げられる。具体的には、カーボンブラックを濃硝酸で酸化したり、カラー顔料の場合は、スルフォランやN−メチル−2−ピロリドン中で、スルファミン酸、スルフォン化ピリジン塩、アミド硫酸などで酸化することにより調製することができる。これらの反応で、酸化が進みすぎ、水溶性となってしまった物は除去、精製することにより、顔料分散体を得ることができる。また、酸化によりスルフォン酸基を表面に導入した場合は、酸性基を必要に応じて、塩基性化合物を用いて中和してもよい。
【0176】
そのほかの表面に極性基を有する顔料粒子を得る方法としては、特開平11−49974号公報、特開2000−273383公報、同2000−303014公報等に記載の顔料誘導体をミリングなどの処理で顔料粒子表面に吸着させる方法、特願2000−377068、同2001−1495、同2001−234966に記載の顔料を顔料誘導体と共に溶剤で溶解した後、貧溶剤中で晶析させる方法等を挙げることができ、いずれの方法でも容易に、表面に極性基を有する顔料粒子を得ることができる。
【0177】
顔料表面における極性基は、フリーでも塩の状態でも良いし、あるいはカウンター塩を有していても良い。カウンター塩としては、例えば、無機塩(リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ニッケル、アンモニウム)、有機塩(トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ピリジニウム、トリエタノールアンモニウム等)が挙げられ、好ましくは1価の価数を有するカウンター塩である。
【0178】
(界面活性剤)
本発明のインク組成物には、界面活性剤を添加することができる。好ましく使用される界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
【0179】
また、本発明においては、高分子界面活性剤も用いることができ、以下の水溶性樹脂が、好ましい高分子界面活性剤として挙げられる。水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等を挙げることができる。
【0180】
(ラテックス)
本発明のインク組成物には、ラテックスを添加することができる。本発明に用いうるラテックスとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、シリコン−アクリル共重合体およびアクリル変性フッ素授脂等のラテックスが挙げられる。ラテックスは、乳化剤を用いてポリマー粒子を分散させたものであっても、また乳化剤を用いないで分散させた所謂ソープフリーラテックスであってもよい。乳化剤としては界面活性剤が多く用いられるが、スルホン酸基、カルボン酸基等の水に可溶な基を有するポリマー(例えば、可溶化基がグラフト結合しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量体とから得られるポリマー)を用いることも好ましい。
【0181】
本発明のインク組成物において、ラテックスを用いる場合、その添加量は、固形分添加量で0.1質量%以上、20質量%以下となるように添加されることが好ましく、ラテックスの固形分添加量を0.5質量%以上、10質量%以下とすることが特に好ましい。
【0182】
(水性ポリマー)
本発明のインク組成物には、(a)化合物と異なる水性ポリマーを添加することができる。 水性ポリマーの好ましい例としては、ゼラチン、ガゼイン、若しくはアルブミンなどのたんぱく質類、アラビアゴム、若しくはトラガントゴムなどの天然ゴム類、サボニンなどのグルコシド類、アルギン酸及びアルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、若しくはアルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、若しくはエチルヒドロキシルセルロースなどのセルロース誘導体や、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、及び酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。
【0183】
(重合開始剤)
本発明の水性インク組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で重合開始剤を含有しても良い。重合開始剤は水溶性であることが好ましく、水溶性の程度としては、25℃において蒸留水に0.5質量%以上溶解することが好ましく、1質量%以上溶解することが好ましく、3質量%以上溶解することが特に好ましい。また、光重合開始剤としては、非水溶性の重合開始剤を分散した光重合開始剤も用いることができる。
本発明では、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキシド類からなる群より選択される重合開始剤を用いることが好ましい。市販品で入手可能な重合開始剤としては、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル]−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンのような水溶性の光重合開始剤や、[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド]の水分散物のような疎水性光重合開始剤を用いることができる。
【0184】
(増感色素)
本発明においては、公知の増感色素を併用することができ、増感色素を併用することが好ましい。溶解性としては蒸留水に対して室温において、0.5質量%以上溶解するものが好ましく、1質量%以上溶解するものがより好ましく。3質量%以上溶解するものが特に好ましい。また、増感度色素としては、非水溶性の重合開始剤を分散した光重合開始剤も用いることができる。
【0185】
併用しうる公知の増感色素の例としては、N−[2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアルミウムクロリド、ベンゾフェノン、チオキサントン、アントラキノン誘導体及び3−アシルクマリン誘導体、ターフェニル、スチリルケトン及び3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ショウノウキノン、エオシン、ローダミン及びエリスロシンや、これらを水溶化した変性体やこれらの分散体などが挙げられる。また、特開2010−24276号広報に記載の一般式(i)で表される化合物や、特開平6−107718号広報に記載の一般式(I)で表される化合物も、好適に使用できる。
【0186】
(重合性化合物)
本発明のインク組成物は、重合性化合物を含有しても良い。重合性化合物は、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する水溶性の化合物であれば、どのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。特定重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。好ましくは2種以上併用して用いることが好ましい。
【0187】
本発明で用いられる重合性化合物は、室温において蒸留水に2質量%溶解するものであるが、15質量%溶解することが好ましく、任意の割合で水と均一に混合するものがとくに好ましい。
【0188】
重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらのエステル類、およびそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン、ビニルエーテル、アリルエーテル等が挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステル、塩が好ましい。これらの重合性化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0189】
本発明で用いることができる重合性化合物は水溶性を付与するために、ポリ(エチレンオキシ)鎖、ポリ(プロピレンオキシ)鎖、あるいはイオン性基(例えばカルボキシル基、スルホ基など)を有することが好ましい。ポリ(エチレンオキシ)鎖、ポリ(プロピレンオキシ)鎖、を有する場合はエチレンオキシ、プロピレンオキシのユニットの数は1〜10の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜5の範囲である。
【0190】
本発明に係るインクには、上述した各構成要素に加えて、必要に応じて、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤、固体湿潤剤、シリカ微粒子等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号および特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤等を挙げることができる。
【0191】
インク組成物中の重合性化合物の含有量は、0〜30質量%が好ましく、0〜20質量%が更に好ましい。
【0192】
<インク組成物の調製方法>
本発明に係るインク組成物の調製方法としては、特に制限はなく、各成分を、ボールミル、遠心ミル、遊星ボールミルなどの容器駆動媒体ミル、サンドミルなどの高速回転ミル、撹拌槽型ミルなどの媒体撹拌ミル、ディスパーなどの簡単な分散機により撹拌、混合し、分散させることにより調製することができる。各成分の添加順序については任意である。好ましくは、アゾ顔料、高分子分散剤及び有機溶剤をプレミックスした後に分散処理し、得られた分散物を樹脂と有機溶剤とともに混合する。この場合、添加時や添加後、スリーワンモーター、マグネチックスターラー、ディスパー、ホモジナイザーなどの簡単な撹拌機にて均一に混合する。ラインミキサーなどの混合機を用いて混合してもよい。また、分散粒子をより微細化するために、ビーズミルや高圧噴射ミルなどの分散機を用いて混合してもよい。また、顔料や高分子分散剤の種類によっては、顔料分散前のプレミックス時に樹脂を添加するようにしてもよい。
【0193】
本発明のインク組成物は、25℃における表面張力が20〜40mN/mであることが好ましい。表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用い、25℃の条件下で測定されるものである。また、粘度は、1〜40mPa・sが好ましく、3〜30mPa・sがより好ましい。インク組成物の粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYOCO.LTD製)を用い、25℃の条件下で測定されるものである。
【0194】
本発明者らは、(a)化合物と、(b)水とを含むことで、本発明の効果が得られることを見出した。このメカニズムに関しては、明らかになっていないが、本発明者らは以下のように推察する。
即ち、(a)化合物は、一分子中に3以上の(P−1)で表される重合体部位を有することで、ポリマー鎖の運動性が高くなるため、架橋効率を向上させていると考えられる。この結果、定着性等の効果が向上すると推察される。又、(P−1)で表される重合体部位を有することにより、星型構造を形成することが出来、(a)化合物の慣性半径が、直鎖状の重合体に比較して小さくなる。この結果、粘度が低下し、吐出性が向上していると推察される。尚、上記メカニズムは推察であり、本発明は上記メカニズムに限定されるものではない。
【0195】
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法は、前記インク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、前記付与したインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程とを含むことを特徴とする。これらの工程を行うことで、記録媒体上に定着したインク組成物による画像が形成される。
【0196】
(インク付与工程)
以下、本発明の画像形成方法における、インク付与工程について説明する。本発明におけるインク付与工程は、前記インク組成物を記録媒体上に付与する工程であれば限定されない。
【0197】
本発明の画像形成方法に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明の画像形成方法における記録媒体へのインク組成物の吐出を実施することができる。
【0198】
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、加熱手段を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、さらに好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
【0199】
本発明のインク組成物は、吐出されるインク組成物を一定温度にすることが望ましいことから、インクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが好ましい。一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。すなわち、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物の流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0200】
上記のインクジェット記録装置を用いて、インク組成物の吐出はインク組成物を好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃に加熱して、インク組成物の粘度を、好ましくは3〜15mPa・s、より好ましくは3〜13mPa・sに下げた後に行うことが好ましい。特に、本発明のインク組成物として、25℃におけるインク組成物の粘度が50mPa・s以下であるものを用いると、良好に吐出が行えるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。
【0201】
吐出時のインク組成物の温度は一定であることが好ましく、インク組成物の温度の制御幅は、より好ましくは設定温度の±5℃、更に好ましくは設定温度の±2℃、最も好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
【0202】
本発明において、記録媒体としては、特に限定されず、支持体や記録材料として公知の記録媒体を使用することができる。記録媒体としては、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。中でも、本発明のインク組成物は密着性に優れるため、記録媒体として非吸収性記録媒体に対して好適に使用することができ、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン等のプラスチック基材が好ましく、ポリ塩化ビニル樹脂基材がより好ましく、ポリ塩化ビニル樹脂シート又はフィルムがさらに好ましい。
【0203】
(照射工程)
以下、本発明の画像形成方法における、照射工程について説明する。本発明における照射工程は、前記記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する工程であれば限定されない。本発明のインク組成物に活性エネルギー線を照射することで、インク組成物中の化合物の架橋反応が進行し、画像を定着させ、印画物の耐溶剤性等を向上させることが可能となる。この照射工程により、(a)化合物の架橋反応が起こり、インク組成物中に下記一般式(5)の架橋構造が形成される。
【0204】
【化40】

【0205】
式(5)中、R、R、Ra’及びRb’は各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRは互いに結合して4〜6員環を形成してもよい。Ra’及びRb’は互いに結合して4〜6員環を形成してもよい。R及びRは、好ましい範囲も含めて、式(P−1)に記載されたものと同様である。Ra’は好ましい範囲も含めて式(P−1)に記載されたRと同様である。Rb’は好ましい範囲も含めて式(P−1)に記載されたRと同様である。
【0206】
前記照射工程で用いることができる活性エネルギー線としては、紫外線(以下、UV光とも称する)、可視光腺、電子線等をあげることができ、UV光を使用することが好ましい。
【0207】
UV光のピーク波長は、必要に応じて用いられる増感色素の吸収特性にもよるが、例えば、200〜405nmであることが好ましく、250〜405nmであることがより好ましく、250〜390nmであることが更に好ましい。
【0208】
UV光は、露光面照度が、例えば、10mW/cm〜2,000mW/cm、好ましくは、20mW/cm〜1,000mW/cmで照射されることが適当である。
【0209】
UV光源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、水銀ランプ、メタルハライドランプやUV蛍光灯が広く知られている。また、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用であり、LED(UV−LED)、LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、UV光源として期待されている。
【0210】
本発明のインク組成物は、このようなUV光に、例えば、0.01秒間〜120秒間、好ましくは、0.1秒間〜90秒間照射されることが適当である。
照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査する方式や、駆動を伴わない別光源によって行われ、駆動を伴わない別光源によって行われる方式が好ましい。活性エネルギー線の照射は、インク着弾、熱定着後、一定時間(例えば、0.01秒間〜60秒間、好ましくは、0.01秒間〜30秒間、より好ましくは、0.01秒間〜15秒間)をおいて行われることになる。
【0211】
(加熱乾燥工程)
記録媒体上に吐出されたインク組成物は、加熱手段により(b)水および必要に応じて併用される水溶性有機溶剤が蒸発されることにより定着されることが好ましい。吐出された本発明のインク組成物に熱を加え、定着する工程について説明する。
加熱手段としては、(b)水および必要に応じて併用される水溶性有機溶剤を乾燥させることができればよく、限定されないが、ヒートドラム、温風、赤外線ランプ、熱オーブン、ヒート版加熱などを使用することができる。
加熱温度は、40℃以上が好ましく、40℃〜150℃程度がより好ましく、40℃〜80℃程度が更に好ましい。 なお、乾燥/加熱時間は、用いるインク組成物の組成・印画速度を加味して適宜設定することができる。
加熱により定着された前記溶剤型インク組成物は、必要に応じ、活性エネルギー線を照射して、さらに光定着することができる。UV光による定着をすることが好ましい。
【実施例】
【0212】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0213】
実施例、比較例で使用した顔料分散物、インク組成物の素材を以下に示す。
【0214】
<ポリマー分散剤D−1の合成>
攪拌機、冷却管を備えた500mlの三口フラスコにメチルエチルケトン44gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン25gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.43g、ベンジルメタクリレート30g、メタクリル酸5g、及びメチルメタクリレート15gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン1gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.21gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥し、ポリマー分散剤D−1を43g得た。
得られた樹脂の組成は、H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は42,000であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)に記載の方法により酸価を求めたところ、65.4mgKOH/gであった。
【0215】
<樹脂被覆顔料の分散物の調製>
(樹脂被覆シアン顔料分散物(C))
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブルーA220、大日精化(株)製)10部と、上記ポリマー分散剤D−1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1mol/L NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆シアン顔料の分散物(C)を得た。
【0216】
(樹脂被覆マゼンタ顔料分散物(M))
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、顔料として用いたフタロシアニンブルーA220の代わりに、Chromophthal Jet Magenta DMQ(ピグメント・レッド122、BASF・ジャパン社製)を用いた以外は上記と同様にして樹脂被覆マゼンタ顔料の分散物(M)を得た。
【0217】
(樹脂被覆イエロー顔料分散物(Y))
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、顔料として用いたフタロシアニンブルーA220の代わりに、Irgalite Yellow GS(ピグメント・イエロー74、BASF・ジャパン社製)を用いた以外は上記と同様にして樹脂被覆イエロー顔料の分散物(Y)を得た。
【0218】
(樹脂被覆ブラック顔料分散物(K))
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、顔料として用いたフタロシアニンブルーA220の代わりに、顔料分散体CAB−O−JETTM 200(カーボンブラック、CABOT社製)を用いた以外は上記と同様にして樹脂被覆ブラック顔料の分散物(K)を得た。
【0219】
<(a)化合物>
【0220】
下記構造の(a)化合物を、特開昭52−988号公報および特開2009−138172号公報を参考に合成を行った。
【0221】
【表2】

【0222】
(式(1)中のTで表される多価チオール)
下記(14)〜(16)における、**はXp1と結合する位置を表す。
【0223】
【化41】

【0224】
(式(1)中のXp1で表される重合体部位)
【0225】
【化42】

【0226】
<水溶性有機溶剤>
・2−ピロリドン(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)
・γ−ブチロラクトン(和光純薬株式会社製)
【0227】
<比較化合物>
(比較化合物B−1)
比較化合物B−1は、特開昭52−988号公報および特開2009−138172号公報を参考に合成を行った。
【0228】
【化43】

【0229】
(比較化合物B−2)
(B−2)は特開2008−146018を参考に合成を行った。
【0230】
【化44】

【0231】
(比較化合物B−3)
(B−3)は、特開2007−119449を参考に合成を行った。
【0232】
【化45】

【0233】
<重合開始剤>
表3における重合開始剤は、イルガキュア 2959 (BASF・ジャパン製)を表す。
【0234】
<重合性化合物((a)化合物以外の重合性化合物)>
表3における重合性化合物は、NKエステルA−400 (ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、Mn 400、新中村化学社製)を表す。
【0235】
<界面活性剤>
表3における界面活性剤は、Glide 100(Tego Chemical Service社製)を表す。
【0236】
<増感剤>
表3における増感剤は、増感剤(S−1)(「N−[ヒドロキシ―3−(3,4−ジメチル―9−オキソ―9H−チオキサンテン―2−イルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアミニウム・クロリド」(シグマ・アルドリッチ社製))を表す。
【0237】
実施例及び比較例で使用する化合物のうち、製造元の記載のない化合物は、公知の方法、又は、公知の方法を応用し、合成した。
【0238】
<インク組成物の調製>
得られた分散物(C分散物、M分散物、Y分散物、K分散物)を用い、下記の表3に示す組成の実施例1〜11、及び比較例1〜4のインク組成物を、ミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて2,500回転/分にて撹拌して、それぞれ調製した。得られたインク組成物は、プラスチック製のディスポーザブルシリンジに詰め、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製の孔径5μmフィルタ(ミリポア社製のMillex−SV、直径25mm)にて濾過して完成インクとした。
【0239】
得られたインクをRK PRINT COAT INSTRUMENTS社製 Kハンドコーター KハンドコーターのNo.2バーを用いて、塩化ビニルシート(エイブリィ・デニソン社製、AVERY 400 GLOSS WHITE PERMANENT)に12μmの厚みで塗布した。さらに60度で3分間水分を乾燥した。
得られた塗膜を用いて、以下の定着性の評価を行った。評価結果は表3に示す。
【0240】
<定着性評価>
得られた塗膜をDeep UVランプ(ウシオ電機(株)製、SP−7)で1000mJ/cmのエネルギーとなる条件で露光した。膜表面の定着度合いを触診にて評価した。べたつきが残る場合は、べたつきが無くなるまで露光を繰り返し、べたつきがなくなるまでの露光量により定着性を評価した。
A:1回の露光でべたつきが無くなる
B:2〜3回の露光でべたつきが無くなる
C:4〜5回の露光でべたつきが無くなる
D:6回以上露光してもべたつきが無くならない
【0241】
得られた各インク組成物及び定着性の評価で作製した印画物を使用し、耐溶剤性の評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0242】
<耐溶剤性評価>
前述の定着性の評価で得られた塗膜を、更にDeep UVランプ(ウシオ電機(株)製、SP−7)で8000mJ/cmのエネルギーとなる条件で露光した。8000mJ/cmのエネルギー条件で露光した印画物の表面をイソプロピルアルコールを含浸した綿棒にてこすり、以下の基準で評価した。
A:10回以上こすっても、画像に変化が認められなかった。
B:5〜9回のこすりで、画像の濃度が低下した。
C:2〜4回のこすりで、画像の濃度が低下した。
D:1回こすっただけで、画像の濃度が著しく低下した。
【0243】
<吐出性評価>
インクジェット記録装置として、市販のインクジェットプリンタ(ローランド ディー.ジー.社製SP−300V)を用意した。得られた各インク組成物を上記インクジェットプリンタに装填し、塩化ビニルシート(エイブリィ・デニソン社製、AVERY 400 GLOSS WHITE PERMANENT)にヘッドから、30分間吐出し、ベタ画像及び細線を記録した。吐出停止後、得られた画像を5分間放置した。その後、再び、ベタ画像及び細線を記録して得られた画像(5cm×5cm)を観察した。観察した画像を下記の評価基準に従って目視により評価した。
A:抜けの発生等によるドット欠けの発生が認められず、良好な画像が得られた。
B:抜けの発生等によるドット欠けの発生がわずかに認められたが、実用上支障をきたさない程度であった。
C:抜けの発生等によるドット欠けの発生があり、実用に耐えない画像であった。
D:吐出ができなかった。
【0244】
【表3】



【0245】
※表中、「−」は含有しないことを表す。
※※表中、数値の単位は質量部を表す。
【0246】
前記表3に示すように、本発明における実施例では、定着性、耐溶剤性及び吐出性のいずれにおいても優れた効果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記一般式(1)で表される化合物と、
(b)水とを含む、インク組成物。
【化1】


(一般式(1)において、Tは炭素数3〜40の多価チオール化合物のチオール基から水素原子をn個除いた残基を表し、Xp1は、下記一般式(P−1)で表される基を有する重合体部位を表し、nは3〜12の整数である。)
【化2】


(一般式(P−1)において、R及びRは各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。*は重合体部位中における結合位置を表す。)
【請求項2】
前記Tが、下記一般式(T−1)で表される、請求項1に記載のインク組成物。
【化3】


(一般式(T−1)において、Lはアルキレン基を表す。Lは、単結合又はアルキレン基を表し、Qは単結合、−NH−、−CO−、−CONH−、−NHCO−又は−COO−を表す。Mは、多価アルコールの水酸基から水素原子をn個除いた残基を表す。nは3〜12の整数を表す。**はXp1と結合する位置を表す。)
【請求項3】
前記重合体部位Xp1が、下記一般式(Xp1−1)で表される繰り返し単位を含む、請求項1又は請求項2に記載のインク組成物。
【化4】


(一般式(Xp1−1)において、R及びRは各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成していてもよい。Rは水素原子又はメチル基を表す。Zは単結合、−COO−*、又は−CONR−*を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、*はXとの結合位置を表す。Xは2価の有機基を表す。)
【請求項4】
前記重合部位Xp1が、更に親水性基を有する繰り返し単位を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項5】
前記親水性基が、アミド基、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルコール性水酸基、ポリアルキレンオキシ構造を有する基、カルボキシル基又はスルホ基である、請求項4に記載のインク組成物。
【請求項6】
インク組成物に対する(a)化合物の含有量が、2〜20質量%である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項7】
前記(a)化合物の重量平均分子量が3,000〜50,000である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項8】
更に(c)着色剤を含有する、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項9】
インク組成物に対する(b)水の含有量が、30〜70質量%である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項10】
更に水溶性有機溶剤を含む、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項11】
前記水溶性有機溶剤が、2−ピロリドン又はγ―ブチロラクトンである、請求項10に記載のインク組成物。
【請求項12】
更に重合性化合物を含む、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項13】
インクジェット記録用である請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項14】
請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、
前記付与したインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程とを含む、画像形成方法。
【請求項15】
前記インク付与工程がインクジェット法による、請求項14に記載の画像形成方法。

【公開番号】特開2012−201829(P2012−201829A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68833(P2011−68833)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】