説明

インジウム組成物

【課題】電子デバイスの熱界面材料として熱発生デバイスに結合して用いられるインジウム金属およびその合金の電気化学的な析出のための改善されたインジウム組成物及びインジウム組成物で製造した物品の提供。
【解決手段】イミダゾールなどの窒素含有化合物を共重合化合物とするエピハロヒドリンコポリマーを水素抑制剤化合物として含む1以上のインジウムイオン源からなる組成物、および該組成物から基体上にインジウム金属を電気化学的に析出させて製造した物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インジウム金属およびインジウム合金の電気化学的析出のためのインジウム組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、インジウム金属およびインジウム合金の電気化学的析出のための1以上の水素抑制化合物を含むインジウム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水の電気分解による水素の発生と同時にインジウム金属の析出が起こるので、インジウム金属の電気化学的析出は困難である。水素の発生はカソードの電流効率を損なわせ、インジウム金属の低い析出速度、ならびに望ましくない粗く粉末状のインジウム金属析出またはインジウム析出が行われない結果をもたらす。
【0003】
しかし、インジウムはその独特の物理的な特性のため多くの産業において非常に望ましい金属である。例えばそれは、容易に変形して2つの嵌合部品の間の微細構造内に装填される程に十分な柔軟性があり、低い溶融温度(156℃)及び高い熱伝導率(〜82W/m°K)を有する。かかる特性は、インジウムを電子産業および関連産業における様々な使用を可能にする。
【0004】
例えば、インジウムおよびその合金は熱界面材料(TIM)として用いることができる。TIMは、例えば集積回路(IC)およびアクティブ半導体デバイス(例えばマイクロプロセッサ)などの電子デバイスを、その動作温度限界を超過することから保護するために重要である。それらは過剰な熱障壁を形成することなく熱発生デバイス(例えば、シリコン半導体)のヒートシンクまたはヒートスプレッダ(例えば、銅およびアルミニウム成分)への結合を可能にする。また、TIMはヒートシンクの他の部品または全体的に熱抵抗路を構成するヒートスプレッダ積層体の組み立てに用いることができる。
【0005】
効率的な熱路の形成はTIMの重要な特性である。熱路はTIMを通る有効熱伝導率の観点から説明することができる。TIMの有効熱伝導率は、TIMとヒートスプレッダの間の界面の熱伝導率の完全性、ならびにTIMの(固有の)バルク熱伝導率に主として依存する。また、特定の用途に応じて、様々な他の特性、例えば、2種の材料を接合するときの熱膨張応力を緩和する能力(「コンプライアンス」ともいう)、熱サイクルの間に安定で機械的にしっかりとした接合を形成する能力、湿度および温度変化に対して敏感でないこと、製造の実現可能性およびコストも、TIMにとって重要である。
【0006】
TIMとして、さまざまな種類の材料、例えば、熱グリース、熱ゲル、接着剤、エラストマー、熱パッド、および相変化物質が使用されている。前述のTIMは多くの半導体デバイスに対し十分であったが、半導体デバイスの性能向上によりそれらのTIMは不十分なものになってきた。現在の多くのTIMの熱伝導率は5W/m°Kを超えず、多くは1W/m°K未満である。しかし、15W/m°Kを超える有効熱伝導率を有する熱界面を形成するTIMが現在必要とされている。
【0007】
前述のTIMの代替は、低い溶融温度を有し且つ高い熱伝導率を有する金属、半田、およびそれらの合金である。また、例えばインジウムなどの金属TIMは、リフローの際に好ましい半田付け特性または濡れ特性を示すことができ、これは低い熱界面抵抗を容易にする。リフローの間、半田および基体は加熱され、半田は溶融して表面張力によって濡れ、局部的に表面を合金化する。界面は、しばしばバルクTIM金属には劣るがポリマー系TIMよりも良好な熱特性を有する金属間金属または相互拡散金属からなる。多くの場合、金属TIMは信頼性の高い熱界面を形成するためにリフローが行われる。しかし、金属TIMは、TIMと、半導体およびヒートシンク部品との熱膨張(CTE)の係数間の差が比較的大きく、コンプライアンスを欠くため、いくつかの用途では故障が発生しうる。インジウム金属は少なくとも低い溶融点を有し且つTIMとしての用途に強く望まれている熱伝導率を有する。
【0008】
TIMのためのインジウムの例はSreeramらの米国特許第6,653,741号に開示されている。インジウムは、半田用のバインダー材料として使用される。Sreeramに記載されている半田材料は、本質的な酸素ゲッター成分が一般に水性メッキと相溶性がないので、メッキには適さない。さらに、半田ペーストは一般に高レベルの汚染物質を含有し、これは半田系TIMの熱性能を低下させ得る。
【特許文献1】米国特許第6,653,741号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
インジウムの他の用途の例は、電子デバイス中の頂部層としておよび下地層としてスズおよびスズ合金からのホイスカーの形成を防止することである。これはシマウチらの米国特許第4,959,278号に開示される。ホイスカーは電子デバイスにおいて短絡をもたらし、デバイスの機能不全を生じさせうる。ホイスカー形成は、金属部品(例えばこれに限定されるものではないが、リードフレームなど)の応力と歪みの点に典型的に発生する。金属部品の形状が変更され、電子装置の他の部品と機械的及び電気的に接触すると、応力または歪み点は、スズ、スズ合金、または他の金属の金属結晶またはホイスカーを形成し得る。したがって、インジウムは電子デバイスにとって非常に望ましい金属であり、インジウム金属およびその合金の電気化学的な析出のための改善されたインジウム組成物が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、組成物は1以上のインジウムイオン源および1以上のエピハロヒドリンコポリマーを含む。
【0011】
他の態様において、方法は、1以上のインジウムイオン源および1以上のエピハロヒドリンコポリマーを含む組成物の提供、および基体上へのインジウムの電気化学的析出を含む。
【0012】
さらに他の態様において、物品は、第1面上でベースに結合されたダイを含み、第1面の反対側のダイの第2面がインジウムまたはその合金からなる熱界面材料を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
該インジウム組成物は安定であり、インジウム金属およびインジウム合金析出を提供し、その析出は緻密であり、すなわち気泡がなく、平滑で均一な厚さ分布であり、エッジ欠陥(すなわちメッキされた基体面で厚い析出成長)があった場合でも少ない。エピハロヒドリンコポリマーはインジウム金属およびインジウム合金の析出の過程において水素ガスの生成を抑制し、したがって所望のインジウム金属およびインジウム合金の析出物の形成を可能にする。インジウム金属は低い溶融点と高い熱伝導率を有するので、インジウム金属は多くの電子デバイスにおける熱界面材料としての使用に非常に好適である。さらに、インジウム金属は2つの嵌合材料の界面でのCTE不整合によって引き起こされる歪みを散逸させ、このこともインジウム金属のTIMとしての使用を望ましくしている。さらに、インジウム組成物から電気化学的に析出されたインジウム金属およびインジウム合金は、ホイスカーの形成を防止または抑制するための下地として使用することができる。インジウム組成物から電気化学的に析出されたインジウム金属およびインジウム金属合金は、電気的接続を提供するための半田バンプとして使用することもできる。
【0014】
本明細書を通して用いられる以下の略語は文脈が明らかに他を示していない限り以下の意味を有する。℃=摂氏度、°K=ケルビン度、GPa=ギガパスカル、g=グラム、mg=ミリグラム、L=リットル、m=メートル、A=アンペア、dm=デシメートル、μm=ミクロン=マイクロメートル、ppm=百万分の1部、ppb=10億分の1部、mm=ミリメートル、M=モル、MEMS=マイクロエレクトロメカニカルシステム、TIM=熱界面材料、CTE=熱膨張係数、IC=集積回路、およびEO=エチレンオキシド。
【0015】
用語「析出する」および「メッキする」は本明細書の中で互換的に用いられる。本明細書を通して用いられる用語「下地」は、基体とスズもしくはスズ合金層または他の好適な金属もしくは金属合金層との間に配置された金属層またはコーティングを指す。用語「コポリマー」は2種以上の異なるモノマーから構成される化合物である。全ての量は他に特記しない限り重量パーセントであり、すべての比は重量比である。すべての数値の範囲は境界値を含み、それらの数値範囲が論理的に合計100%までに制限される場合を除いて、任意の順序で組み合わせ可能である。
【0016】
組成物は水性環境に溶解可能である1以上のインジウムイオン源を含む。かかる源としては、アルカンスルホン酸および芳香族スルホン酸のインジウム塩、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびトルエンスルホン酸などのアルカンスルホン酸および芳香族スルホン酸のインジウム塩;スルファミン酸の塩;硫酸塩類;インジウムの塩化物および臭化物塩;硝酸塩類;水酸化塩類;酸化インジウム;カルボン酸のインジウム塩、例えばフルオロホウ酸塩類、クエン酸、アセト酢酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、グリコール酸、マロン酸、ヒドロキシアミン酸、イミノ二酢酸、サリチル酸、グリセリン酸、琥珀酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酪酸などのカルボン酸のインジウム塩;アミノ酸のインジウム塩、例えばアルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グリシン、グルタミン、ロイシン、リシン、トレオニン、イソロイシン、およびバリンなどのアミノ酸のインジウム塩が挙げられるがこれらに制限されない。典型的には、インジウムイオン源は、硫酸、スルファミン酸、アルカンスルホン酸、芳香族スルホン酸、およびカルボン酸の1種以上のインジウム塩である。さらに典型的には、インジウムイオン源は、硫酸およびスルファミン酸の1種以上のインジウム塩である。
【0017】
インジウムの水溶性塩は、所望の厚さのインジウム析出を提供するのに十分な量において組成物に含まれる。典型的には、水溶性インジウム塩は組成物中に含まれて、組成物中で5g/L〜70g/L、または例えば10g/L〜60g/L、または例えば15g/L〜30g/Lの量のインジウム(3)イオンを提供する。
【0018】
インジウム組成物に含まれる緩衝剤または導電性塩は、0〜5のpH、典型的に0.5〜3、さらに典型的に1〜1.5のpHを与える1以上の酸であり得る。かかる酸としては、アルカンスルホン酸類、アリールスルホン酸類、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸など、スルファミン酸、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ホウフッ化水素酸、ホウ酸、カルボン酸類、例えばクエン酸、アセト酢酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、グリコール酸、マロン酸、ヒドロキサム酸、イミノ二酢酸、サリチル酸、グリセリン酸、琥珀酸、リンゴ酸、酒石酸、およびヒドロキシ酪酸など、アミノ酸類、例えばアルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グリシン、グルタミン、ロイシン、リシン、トレオニン、イソロイシン、およびバリンなどが挙げられるがこれらに制限されない。1以上の酸に対応する塩を用いることもできる。典型的に、1以上のアルカンスルホン酸、アリールスルホン酸、およびカルボン酸を緩衝剤または導電性塩として用いることができる。さらに典型的に、1以上のアルカンスルホン酸およびアリールスルホン酸またはそれらの対応する塩が用いられる。
【0019】
組成物の所望のpHを提供するために十分な量の緩衝剤または導電性塩が用いられる。典型的に、緩衝剤または導電性塩は、組成物の5g/L〜50g/L、または例えば10g/L〜40g/L、または例えば15g/L〜30g/Lの量で用いられる。
【0020】
インジウム組成物中には、インジウム金属析出の過程における水素ガスの形成を抑制する1以上の水素抑制剤が含まれる。
水素抑制剤は、水素ガスを同時に発生することなくインジウム金属を析出させることができるように、水素ガスの源である水分解の電位をよりカソード電位に向かわせる化合物である。これはカソードでのインジウム析出の電流効率を高め、平滑で均一な外観のインジウム層の形成を可能にし、また、多くの従来のインジウム電気化学浴よりも厚いインジウム層の形成を可能にする。この工程は当該技術分野および文献で周知のサイクリックボルタンメトリー(CV)検査を用いて示すことができる。典型的には、1以上の水素抑制剤を含まない水性インジウム電気化学浴は、粗く不均一な外観のインジウム析出物を形成する。それらの析出物は電子デバイスの用途に適さない。多くの場合それらの浴からはインジウム析出物は形成されない。
【0021】
水素抑制剤はエピハロヒドリンコポリマーである。エピハロヒドリンにはエピクロロヒドリンとエピブロモヒドリンが包含される。典型的には、エピクロロヒドリンのコポリマーが用いられる。かかるコポリマーはエピクロロヒドリンまたはエピブロモヒドリンと、窒素、硫黄、酸素原子またはそれらの組み合わせを含む1以上の有機化合物との水溶性重合生成物である。
【0022】
エピクロロヒドリンと共重合可能な窒素含有有機化合物は、これらに制限されないが、
(1)脂肪鎖アミン、
(2)少なくとも2つの反応性窒素部を有する非置換ヘテロ環式窒素化合物、および
(3)少なくとも2つの反応性窒素部を有し、およびアルキル基、アリール基、ニトロ基、ハロゲン、およびアミノ基から選択される1〜2置換基を有する置換ヘテロ環式窒素化合物を含む。
【0023】
脂肪鎖アミンには、これらに制限されないが、ジメチルアミン、エチルアミン、メチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、イソオクチルアミン、ノニルアミン、イソノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミントリデシルアミン、およびアルカノールアミンが包含される。
【0024】
少なくとも2つの反応性窒素部を有する非置換ヘテロ環式窒素化合物には、これらに限定されないが、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、テトラゾール、ピリダジン、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、および1,3,4−チアジアゾールが包含される。
【0025】
少なくとも2つの反応性窒素部を有し、および1〜2置換基を有する置換ヘテロ環式窒素化合物には、これらに制限されないが、ベンズイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1,3−ジメチルイミダゾール、4−ヒドロキシ−2−アミノイミダゾール、5−エチル−4−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニルイミダゾリン、および2−トリルイミダゾリンが包含される。
【0026】
典型的には、イミダゾール、ピラゾール、イミダゾリン、1,2,3−トリアゾール、テトラゾール、ピリダジン、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、および1,3,4−チアジアゾール、およびそれらの誘導体であって、メチル、エチル、フェニル、およびアミノ基から選択される1または2置換基を組み込んだ誘導体がエピハロヒドリンコポリマーの形成に用いられる。
【0027】
エピハロヒドリンコポリマーのいくつかは、例えばRascing GmbH,Ludwigshafen GermanyおよびBASF,米国ミシガン州ワイアンドットなどから商業的に入手可能であり、または文献に開示された方法によって製造することができる。商業的に入手可能なイミダゾール/エピクロロヒドリンコポリマーの例はBASFから得られるLugalvan(商標)IZEである。
【0028】
エピハロヒドリンコポリマーは、エピハロヒドリンを上述の窒素、硫黄、または酸素含有化合物と任意の好適な反応条件下で反応させて形成することができる。例えば、1つの方法において、両方の材料を好適な濃度で共通溶媒体に溶解し、例えば、45〜240分間その中で反応させる。反応の水性溶液の化学生成物は、溶媒を蒸発させることによって単離させ、次いで水体に加え、これはインジウム塩が溶解されると電気メッキ溶液として働くる。他の方法において、これらの2つの材料を水中に置き、絶え間なく激しく攪拌しながらそれらが反応して水に溶解するまで60℃に加熱する。
【0029】
広範囲の反応化合物とエピハロヒドリンとの比率を用いることができ、例えば0.5:1〜2:1などを用いることができる。典型的に、この比率は0.6:1〜2:1、さらに典型的に比率は0.7〜1:1、最も典型的に比率は1:1である。
【0030】
さらに、反応生成物は電気メッキ組成物がインジウム塩の添加によって完成される前に1以上の試薬とさらに反応させることができる。したがって、前述の生成物はアンモニア、脂肪族アミン、ポリアミン、およびポリイミンの少なくとも1つの試薬とさらに反応させることができる。典型的に、試薬は、アンモニア、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタアミンおよび少なくとも150の分子量を有するポリエチレンイミンの少なくとも1つであるが、本明細書に記載された定義と一致する他の化学種を用いることができる。反応は攪拌しながら水中で行うことができる。
【0031】
例えば、エピクロロヒドリンの反応生成物と、上述の窒素含有有機化合物および1以上のアンモニア、脂肪族アミン、およびアリールアミン、またはポリイミンから選択される試薬との間の反応を行うことができ、例えば、30℃〜60℃の温度で、例えば45〜240分間行うことができる。窒素含有化合物−エピクロロヒドリン反応の反応生成物と試薬とのモル比は、典型的に1:0.3〜1である。
【0032】
エピハロヒドリンコポリマーは組成物に5g/L〜100g/Lの量で含まれる。典型的に、エピハロヒドリンコポリマーは組成物に10g/L〜80g/Lの量で含まれ、さらに典型的にそれらは20g/L〜70g/Lの量で含まれ、最も典型的に30g/L〜60g/Lの量で含まれる。
【0033】
電気メッキ条件および基体にあわせて組成物を作るために、任意選択的な添加剤を組成物に含むこともできる。それらの任意選択的な添加剤には、これらに限定されないが、1以上の界面活性剤、キレート剤、平滑剤、抑制剤(キャリア)、1以上の合金性金属および他のインジウム電気化学的配合に用いられる通常の添加剤が包含される。
【0034】
組成物の他の成分と相溶性である任意の界面活性剤を用いることができる。典型的には、界面活性剤は発泡性の低いまたは非発泡性の界面活性剤である。それらの界面活性剤には、これらに限定されないが、非イオン性界面活性剤、例えば12モルのEOを含有するエトキシル化ポリスチレン化フェノール、5モルのEOを含有するエトキシル化ブタノール、16モルのEOを含有するエトキシル化ブタノール、8モルのEOを含有するエトキシル化ブタノール、12モルのEOを含有するエトキシル化オクタノール、12モルのEOを含有するエトキシル化オクチルフェノール、エトキシル化/プロポキシル化ブタノール、13モルのEOを含有するエトキシル化β−ナフトール、10モルのEOを含有するエトキシル化β−ナフトール、10モルのEOを含有するエトキシル化ビスフェノールA、13モルのEOを含有するエトキシル化ビスフェノールA、30モルのEOを含有する硫酸化エトキシル化ビスフェノールA、及び8モルのEOを含有するエトキシル化ビスフェノールAなどが包含される。それらの界面活性剤は通常の量で含まれる。典型的に、それらは組成物に0.1g/L〜20g/L、または例えば0.5g/L〜10g/Lの量で含まれる。それらは、商業的に入手することができ、文献で開示された方法から調製することができる。
【0035】
他の界面活性剤には、これらに制限されないが、アルキルジエチレントリアミン酢酸および第四級アンモニウム化合物およびアミンなどの両性界面活性剤が挙げられる。それらの界面活性剤は当技術分野において周知であり、多くが商業的に入手可能である。それらは通常の量で用いることができる。典型的に、それらは組成物に0.1g/L〜20g/L、または例えば0.5g/L〜10g/Lの量で含まれる。典型的には、使用される界面活性剤は第四級アンモニウム化合物である。
【0036】
キレート剤としては、例えばマロン酸および酒石酸などのカルボン酸、例えばクエン酸およびリンゴ酸などのヒドロキシカルボン酸およびそれらの塩が挙げられるがこれらに制限されない。また、より強いキレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などを用いることもできる。キレート剤は単独でまたは複数のキレート剤の組み合わせで用いることができる。例えば、様々な量の比較的強いキレート剤、例えばEDTAなどを様々な量の1以上の弱いキレート剤、例えばマロン酸、クエン酸、リンゴ酸、および酒石酸と組み合わせて使用し、電気メッキ用に可能なインジウム量を制御することができる。キレート剤は通常の量で使用することができる。典型的には、キレート剤は0.001M〜3Mの量で使用することができる。
【0037】
平滑剤にはポリアルキレングリコールエーテルが包含されるがこれに制限されない。かかるエーテルには、これらに限定されないが、ジメチルポリエチレングリコールエーテル、ジ−ターシャリーブチルポリエチレングリコールエーテル、ポリエチレン/ポリプロピレンジメチルエーテル(混合された、またはブロックコポリマー)、およびオクチルモノメチルポリアルキレンエーテル(混合された、またはブロックコポリマー)が包含される。それらの平滑剤は、通常の量で含まれる。典型的にそれらの平滑剤は100ppb〜500ppbの量で含まれる。
【0038】
抑制剤としては、フェナントロリン及びそのフェナントロリン誘導体、例えば1,10−フェナントロリンなど、トリエタノールアミンおよびその誘導体、例えばトリエタノールアミンラウリルスルフェート、ラウリルスルフェートナトリウムおよびエトキシ化アンモニウムラウリルスルフェートなど、ポリエチレンイミンおよびその誘導体、例えばヒドロキシプロピルポリエンイミン(HPPEI−200)など、およびアルコキシ化ポリマーが挙げられるがこれらに制限されない。それらの抑制剤はインジウム組成物中に通常の量で含まれる。典型的に、抑制剤は200ppm〜2000ppmの量で含まれる。
【0039】
1以上の合金性金属としては、これらに限定されないが、アルミニウム、ビスマス、セリウム、銅、金、マグネシウム、銀、スズ、チタン、ジルコニウム、および亜鉛が挙げられる。典型的には、合金性金属は、銀、ビスマス、およびスズである。合金性金属はインジウム組成物に水溶性金属塩として加えることができる。それらの水溶性金属塩は周知である。多くは商業的に入手可能であり、または文献の記載から調製することができる。水溶性金属塩は、1重量%〜5重量%、または例えば2重量%〜4重量%の合金性金属を有するインジウム合金を形成するのに十分な量がインジウム組成物に加えられる。典型的には、インジウム組成物には、インジウム合金が1重量%〜3重量%の合金性金属を形成するような量で水溶性金属塩が加えられる。
【0040】
1以上の合金性金属をインジウムへ添加するとインジウムの特性を変化させることができる。3重量%以下の合金性金属の量は、TIMの高温腐食抵抗性および濡れ性とシリコンチップなどの基体への結合性を向上することができる。さらに、銀、ビスマス、及びスズなどの合金性金属はインジウムと低融点の共晶を形成することができる。合金性金属は、インジウム組成物中に0.01g/L〜15g/L、または例えば0.1g/L〜10g/L、または例えば1g/L〜5g/Lなどの量で含むことができる。
【0041】
インジウム組成物はインジウム金属層またはインジウム合金層を基体上に析出させるのに用いることができる。インジウム金属析出物の純度は合金性金属が含まれない限り99重量%以上に高くすることができる。層の厚さはインジウム金属層またはインジウム合金層の機能に応じて変化させることができる。一般に、厚さは、0.1μm以上、または例えば1μm〜400μm、または例えば10μm〜300μm、または例えば20μm〜250μm、または例えば50μm〜200μmなどの範囲とすることができる。典型的には、インジウム金属層およびインジウム合金層は150μm〜200μmの範囲である。
【0042】
基体上にインジウム金属およびインジウム合金を析出するために用いられる装置は通常のものである。通常の電極を用いることができる。典型的には溶解性電極が用いられる。さらに典型的には、溶解性インジウム電極がアノードとして用いられる。インジウム金属でメッキされる基体はカソードまたは作用電極である。必要な場合は、任意の好適な参照電極を用いることができる。典型的に、参照電極は塩化銀/銀電極である。電流密度は0.5A/dm〜30A/dm、または例えば1A/dm〜25A/dm、または例えば10A/dm〜20A/dmなどの範囲であり得る。
【0043】
インジウム金属電解析出の過程におけるインジウム組成物の温度は30℃〜80℃の範囲である。典型的には、温度は40℃〜80℃の範囲である。
【0044】
インジウム組成物は、電子デバイスのための、磁界デバイスのためのおよび超伝導MRIのための部品をはじめとする様々な基体上にインジウム金属またはインジウム合金を析出するために用いることができる。また、インジウム組成物は、インジウム金属またはインジウム合金半田バンプを様々な基体、例えばシリコンまたはGaAsウェーハなどの上に通常の光画像形成方法により電気化学的に析出するのに用いることができる。
【0045】
例えば、インジウム組成物は、電子デバイス用部品上にインジウム金属またはインジウム合金を電気化学的に析出して、これらに限定されないが、例えばIC、半導体デバイスのマイクロプロセッサ、MEMS、および光電子デバイス用部品などの、TIMとして機能させるのに用いることができる。それらの電子部品は、プリント配線板および密封されたチップ規模及びウェーハレベルのパッケージに含まれることができる。そのようなパッケージは、典型的には、ベース基体と蓋の間に形成されて、密封された、囲まれた容積を含み、電子デバイスが囲まれた容積中に配置されている。パッケージは、収容されたデバイスをパッケージ外部の大気の汚染および水蒸気から保護すること、および封じ込めることを提供する。パッケージ中の汚染と水蒸気の存在は、例えば金属部品の腐食ならびに光電子デバイスおよび他の光学部品の場合の光学的な損失などの問題を引き起こし得る。低い融点温度(156℃)および高い熱伝導性(約82W/m°K)は、TIMとしての使用にインジウム金属を非常に望ましいものにする特性である。
【0046】
インジウムTIMはプロセッシングダイ(すなわち樹脂封止シリコンチップ)からの熱を取り除き、熱を蓋/ヒートシンクへ伝達する。また、インジウムTIMは、電子デバイス中で互いに結合された異なる材料間のCTEの不整合に起因する応力を取り去る。インジウムは29ppm/℃の熱膨張係数を有するが、シリコンおよび銅はそれぞれ3および17である。インジウムの弾性係数は10GPaであり、より硬いシリコンと銅の弾性係数はそれぞれ50および130である。
【0047】
一実施形態において、インジウム金属層またはインジウム合金層は、プロセッシングダイ基体の表面に電気化学的に析出されてTIMとして機能し、ヒートシンクはインジウム金属層またはインジウム合金層手段によってプロセッシングダイに結合される。ヒートシンクは、例えばニッケル被覆銅、シリコンカーバイド、またはアルミニウムなどの従来の材料とすることができる。プロセッシングダイはインジウム金属層または合金層の反対側のプロセッシングダイ側にある半田バンプ手段によってプリント配線板ベースまたはセラミックベースに結合することができる。半田バンプは例えばスズまたはスズ合金などの通常の材料または電子産業に用いられる他の通常の材料から構成することができる。また、半田バンプは上述の組成物から電気化学的に析出されたインジウム金属またはインジウム合金とすることができる。
【0048】
他の実施形態において、インジウム金属層またはインジウム合金層をプロセッシングダイ基体の表面に電気化学的に析出させて、TIMとして機能させること、並びにプロセッシングダイを被覆し、ダイとインジウム金属層もしくは合金層の上に配置される凹状蓋(すなわち、頂部に垂直の連続的な側部を備える頂部部分)として機能させることができる。蓋は通常の設計(すなわち、矩形または楕円形)を有することができ、銅または銅合金などの通常材料とすることができる。インジウムまたは合金層は蓋をダイに結合する。プロセッシングダイは半田バンプ手段によってプリント配線板ベースまたはセラミックベースに結合される。凹状蓋の側部の底面の半田バンプは蓋をプリント配線板ベースまたはセラミックベースに結合する。
【0049】
他の実施形態において、インジウム金属層またはインジウム合金層をヒートスプレッダの表面に電気化学的に析出させて、TIMとして機能させることができる。ヒートスプレッダおよび蓋は、例えば銅、銅合金、シリコンカーバイドなどの従来材料、または例えばアルミニウム拡散シリコンカーバイドなどの金属とセラミックの複合材などとすることができる。インジウム金属層またはインジウム合金層は蓋をダイに結合する。
【0050】
さらに他の実施形態において、インジウム金属層をプロセッシングダイ基体の表面に電気化学的に析出させて、TIMとして機能させること、およびプロセッシングダイを被覆し、ダイとインジウム金属層の上に配置される凹状蓋(すなわち、頂部に垂直の連続的な側部を備える頂部部分)として機能させることができる。蓋は通常の設計(すなわち、矩形または楕円形)を有することができ、通常の材料とすることができる。インジウム層は蓋をダイに結合する。プロセッシングダイは半田バンプ手段によってプリント配線板ベースまたはセラミックベースに結合される。凹状蓋の側部の底面の半田バンプは蓋をプリント配線基体またはセラミック基体に結合する。第2のインジウム金属層は、蓋の頂部に電気化学的に析出させて第2のTIMとして機能させることができ、ヒートシンクは第2インジウム金属層手段によって蓋の頂部に結合される。
【0051】
インジウムおよびインジウム合金をプロセッシングダイ基体およびヒートスプレッダ上に析出させることに加えて、インジウムおよびインジウム合金を蓋上に析出させることができる。
【0052】
TIMのためのインジウム金属層または合金層の厚さは変化することができる。典型的には、層は230μm以下である。さらに典型的に、層は50μm〜230μm、または例えば100μm〜220μm、または例えば140μm〜210μmの範囲である。
【0053】
TIMに加えて、インジウム組成物は基体上に下地層を電気化学的に析出させて電子デバイスのホイスカーの形成を防止するのに用いることができる。基体としては、これらに限定されないが、電気または電子構成要素または部品、例えば半導体チップを搭載するためのフィルムキャリア、プリント回路板、リードフレーム、接点または端子などの接触要素、および良好な外観と高い動作信頼性を必要とするメッキされた構造部材などが挙げられる。
【0054】
インジウム金属は、ホイスカーの形成を防止または抑制するスズまたはスズ合金頂部層の下地層として用いることができる。スズまたはスズ合金層が、例えば電気または電子部品を構成する銅または銅合金などの金属材料上に析出されるとき、ホイスカーをしばしば形成する。ホイスカーは電子デバイスの機能不全を招く電気的短絡を生じることが知られる。さらに、インジウムと他の金属間の界面でのCTE不整合の歪みの散逸は、金属層間の接着を向上させる。典型的には、インジウム下地層の厚さは0.1μm〜10μmまたは例えば0.5μm〜5μmである。スズまたはスズ合金層は通常の厚さである。
【0055】
以下の実施例は本発明をさらに説明するが、本発明の範囲を限定する意図するものではない。
【実施例】
【0056】
実施例1(比較)
以下の水性インジウム電気化学的組成物を調製した。
【0057】
【表1】

【0058】
電気化学的にインジウム金属を析出するための装置は通常の商業的に入手可能な電解槽であった。
【0059】
インジウムの電気化学的組成物はpH3および60℃の温度に保った。組成物をインジウム金属電気メッキの間連続して攪拌した。カソード電流密度は10A/dmに保ち、インジウム析出速度は20秒間で1μmであった(23mg/A)。
【0060】
図1は60%未満のカソード効率でインジウム金属を被覆した作用電極の写真を示す。写真は通常の35mmレンズカメラで撮影した。写真に示したように析出はスポンジ状の外観を有し、インジウム金属の不均一な析出を有していた。それらの析出は例えばTIMおよび下地層などの電子デバイスの部品として不適切である。スポンジ状で不均一な表面は電子デバイスの熱伝導と電流が非効率的になり得、デバイスの故障を招きうる。スポンジ状で不均一な表面はインジウム金属の析出の過程において水素ガスの発生とインジウム組成物中の有機添加剤の分解に起因するものと考えられた。
【0061】
実施例2
以下の水性インジウム電気化学的組成物を調製した。
【0062】
【表2】

【0063】
インジウム金属を電気メッキする装置は通常の商業的に入手可能な電解槽である。
【0064】
インジウム電気メッキ組成物のpHはインジウム金属析出の過程において1〜1.2に保った。組成物の温度は電気メッキの過程において60℃に保った。電気メッキ組成物をインジウム金属の析出の過程において連続して攪拌した。電気メッキをしている間を通して、電流密度を10A/dmに保ち、インジウム金属は作用電極上に20秒間で1μm析出した(23mg/A)。インジウム組成物は安定に保たれ、すなわち、電気メッキをしている間に目に見える混濁は無かった。インジウム金属析出はインジウム金属層が作用電極上に200μm析出するまで継続した。
【0065】
図2はインジウム金属で被覆された作用電極の写真を示す。写真に示したようにインジウム金属の析出は平滑な外観を有し、析出は均一であった。したがって、イミダゾール−エピクロロヒドリンコポリマーを有するインジウム電気化学的組成物は、比較のインジウム組成物に比べてインジウム金属析出を改善した。
【0066】
それらの平滑で均一な析出は、例えばTIMおよび下地層などの電子デバイスの部品として非常に望ましい。平滑で均一な表面は、インジウムがTIMとして用いられるとき、プロセッサダイからヒートシンクへの熱の伝達を効率的にすることができる。
【0067】
実施例3
エピハロヒドリンコポリマーが当該技術分野で既知の通常の方法で調製されたイミダゾリン−エピクロロヒドリンコポリマーであることを除いて、上記実施例2に述べた方法を繰り返す。イミダゾリン−エピクロロヒドリンコポリマーを含むインジウム組成物は、インジウム電気メッキの過程において水素ガスの形成を抑制し、図2に示すような作用電極上の平滑で均一なインジウム金属層の析出が期待される。また、この組成物から析出されたインジウム下地層は、40℃以上の温度および少なくとも95%相対湿度で少なくとも1ヶ月の貯蔵の後、ホイスカー形成の防止または少なくとも抑制することが期待される。
【0068】
実施例4
エピハロヒドリンコポリマーが当該技術分野で既知の通常の方法で調製された1,2,3−トリアゾール−エピクロロヒドリンコポリマーであることを除いて、上記実施例2に述べた方法を繰り返す。1,2,3−トリアゾール−エピクロロヒドリンコポリマーを含むインジウム組成物は、インジウム電気メッキの過程における水素ガスの形成を抑制し、図2に示すような作用電極上の平滑で均一なインジウム金属層の析出が期待される。また、この組成物から析出されたインジウム下地層は、40℃以上の温度および少なくとも95%相対湿度で少なくとも1ヶ月の貯蔵の後、ホイスカー形成の防止または少なくとも抑制することが期待される。
【0069】
実施例5
エピハロヒドリンコポリマーが当該技術分野で既知の通常の方法で調製されたピリダジン−エピブロモヒドリンコポリマーであることを除いて、上記実施例2に述べた方法を繰り返す。ピリダジン−エピブロモヒドリンコポリマーを含むインジウム組成物は、インジウム電気メッキの過程において水素ガスの形成を抑制し、図2に示したような作用電極上の平滑で均一なインジウム金属層の析出が期待される。また、この組成物から析出されたインジウム下地層は、40℃以上の温度および少なくとも95%相対湿度で少なくとも1ヶ月の貯蔵の後、ホイスカー形成の防止または少なくとも抑制することが期待される。
【0070】
実施例6
エピハロヒドリンコポリマーが当該技術分野で既知の通常の方法で調製された2−メチルイミダゾール−エピブロモヒドリンコポリマーであることを除いて、上記実施例2に述べた方法を繰り返す。2−メチルイミダゾール−エピブロモヒドリンコポリマーを含むインジウム組成物は、インジウム電気メッキの過程における水素ガスの形成を抑制し、図2に示したような作用電極上の平滑で均一なインジウム金属層の析出が期待される。また、この組成物から析出されたインジウム下地層は、40℃以上の温度および少なくとも95%相対湿度で少なくとも1ヶ月の貯蔵の後、ホイスカー形成の防止または少なくとも抑制することが期待される。
【0071】
実施例7
インジウム電気化学的組成物がさらに2重量%の硫酸スズを含むことを除いて、上記実施例2に述べた方法を繰り返す。電流密度は30秒間10A/dmに保ち、インジウム/スズ金属合金はインジウム電極上に析出される。該電気化学的組成物は、電気メッキの過程において安定さを保ち、サイクリックボルタンメトリー分析によって析出の過程において検出可能な水素発生のないことが期待される。インジウム/スズ合金層は平滑で均一な外観を示すことが期待される。
【0072】
実施例8
インジウム電気化学的組成物がさらに2重量%の硫酸亜鉛を含むことを除いて、実施例2に述べた方法を繰り返す。電流密度は20分間10A/dmに保ち、インジウム/亜鉛金属合金はインジウム電極上に析出される。電気化学的組成物は、安定さを保ち、サイクリックボルタンメトリー分析によって合金の析出の過程における検出可能な水素発生のないことが期待される。インジウム/亜鉛合金層は平滑で均一な外観を示すことが期待される。
【0073】
実施例9
インジウム電気化学的組成物がさらに1重量%の硫酸銅五水和物を含むことを除いて、実施例2に述べた方法を繰り返す。電流密度は40分間5A/dmに保ち、インジウム/銅金属合金はインジウム電極上に析出される。該電気化学的組成物は、安定さを保ち、サイクリックボルタンメトリー分析によって合金の析出の過程において検出可能な水素発生のないことが期待される。インジウム/銅合金層は平滑で均一な外観を示すことが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は、インジウム電解質から低い効率で基体上に電気メッキされたインジウムの写真である。
【図2】図2は、本発明のインジウムで4ン改質組成物から基体上に電気メッキされたインジウムの写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のインジウムイオン源および1以上のエピハロヒドリンコポリマーを含む組成物。
【請求項2】
前記エピハロヒドリンコポリマーがエピハロヒドリンと1以上の窒素含有有機化合物を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記窒素含有化合物が、イミダゾール、イミダゾールの誘導体、イミダゾリン及びイミダゾリンの誘導体から選択される、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
1以上の合金性金属をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
(a)1以上のインジウムイオン源および1以上のエピハロヒドリンコポリマーを含む組成物を提供すること;および、
(b)基体上にインジウム金属を電気メッキすること;
を含む方法。
【請求項6】
前記組成物が1以上の合金性金属をさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記インジウム金属層が0.1μm以上の厚さを有する、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記基体がプロセッシングダイ、蓋、およびヒートスプレッダから選択される、請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記基体が金属、金属合金、セラミック、並びに金属とセラミックとの複合体から選択される、請求項5記載の方法。
【請求項10】
第1面上で基体に結合されたダイであって、ダイの第1面と反対側の第2面がインジウム金属またはインジウム合金からなる熱界面材料を含むダイを含む物品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−163460(P2008−163460A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−320698(P2007−320698)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】