インストルメントパネルとエアバッグドアの接合方法
【課題】インストルメントパネルとエアバッグドアとをダイレクト射出成形法により接合する際に発生するゲートバリが、エアバッグの展開動作を妨げる抵抗部とならない接合構造体の接合方法を提供すること。
【解決手段】インストルメントパネル53R(53L)に貫通孔を含むエアバッグドア52Rを重ね、貫通孔にピンポイントゲート孔を対応させて、第1押え板をエアバッグドア52Rに重ねて、ピンポイントゲート孔を介して溶融樹脂を貫通孔に射出して、ゲートバリ56bを含む樹脂製リベット57でインストルメントパネル53R(53L)とエアバッグドア52R(52L)を接合して、予備接合構造体60Aを形成する。次に、予備接合構造体60Aに重ねた第2押え板5を用いて、ピンポイントゲート孔5Gを介して溶融樹脂をノズル1Nから射出して、予備接合構造体60Aの上面のゲートバリ56bを溶融樹脂で覆って形成した接合構造体を形成する。
【解決手段】インストルメントパネル53R(53L)に貫通孔を含むエアバッグドア52Rを重ね、貫通孔にピンポイントゲート孔を対応させて、第1押え板をエアバッグドア52Rに重ねて、ピンポイントゲート孔を介して溶融樹脂を貫通孔に射出して、ゲートバリ56bを含む樹脂製リベット57でインストルメントパネル53R(53L)とエアバッグドア52R(52L)を接合して、予備接合構造体60Aを形成する。次に、予備接合構造体60Aに重ねた第2押え板5を用いて、ピンポイントゲート孔5Gを介して溶融樹脂をノズル1Nから射出して、予備接合構造体60Aの上面のゲートバリ56bを溶融樹脂で覆って形成した接合構造体を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製リベットによる接合方法に関し、さらに詳細には、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形による射出成形用樹脂によって、車輌にエアバッグを装着する際、インストルメントパネル(以下適宜「インパネ」と略す。)とエアバッグドアとを、射出成形で得られる樹脂製リベットにより接合する接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7の(a)、(b)は、一般のエアバッグ機構100を説明するための概略断面図である。図7(a)に示されるように、エアバッグ機構100は、エアバッグ51、エアバッグドア52R、52L、インパネ53、インパネドア53R、53L及びインフレータ54を含む。
【0003】
図7の(a)に示されるように、大きな衝撃を車輌が受けると、インフレータ54から発生したガスによりエアバッグ51が膨張し、エアバッグドア52R、52Lとインパネドア53R、53Lを押し開ける。そして、図7の(b)に示すように、エアバッグ51は、さらに大きく膨張しバルーン状に展開して、運転手、搭乗者等の身体に当接して運転手、搭乗者の移動を拘束する。
【0004】
この際、エアバッグドア52R、52Lとインパネドア53R、53Lとは一定の強度で接合されている必要がある。また、エアバッグドア52R、52Lと、インパネドア53R、53L以外の部分についても固着させる必要もある。しかし、本願明細書では、説明の便宜のため、エアバッグドア52R、52Lとインパネドア53R、53Lとの接合方法について説明する。
【0005】
図8から図11は、インパネドア53R、53Lと、エアバッグドア52R、52Lとを接合する従来の方法を説明する図面である。これらの図面を参照しながら、インパネドア53R、53Lとエアバッグドア52R、52Lとを接合する従来の方法を以下に説明する。
図8に示すように、インパネドア53R、53Lの上にエアバッグドア52R、52Lを重ねて、押え板55で押えた状態で、エアバッグドア52R、52Lに貫通して開けられている多数の孔52Hと、押え板(第1押え板)55に設けられた、ピンポイントゲート孔55Gと、が対応するように配置して、凹部55Hに、ピンポイントゲート方式のダイレクト成形装置の射出ユニット56(以下「射出ユニット56」と略す)のノズル56Nの先端部を嵌合する。
【0006】
図8に示すように、押え板55の凹部55Hの断面形状は、上半分は、ノズル56Nの先端部の外部形状すなわち半球形状に対応して形成され、かつ、下半分は、樹脂製リベット57のフランジ57Fの形状に形成され、凹部55Hの上半分と下半分との間にピンポイントゲート孔55Gが形成されている。このように、凹部55Hの空間形状は、鼓(つづみ)状に形成されている。
【0007】
さらに、図9に示されるように、順次、射出ユニット56からピンポイントゲート孔55Gを通じて溶融樹脂を射出し、溶融樹脂が硬化すると、樹脂製リベット57がインパネドア53R、53Lに接合することによって、インパネドア53R、53Lの上にエアバッグドア52R、52Lが接合される。最後に、押え板55を取り外し、図10(a)に示されるような接合構造体60Aを得る。接合構造体60Aは樹脂製リベット57によって一体に形成されており、樹脂製リベット57の頂上にゲートバリ56bが突出した状態で形成されている。
【0008】
なお、特許文献1は、上記の従来技術と同様な溶融樹脂をノズルから射出して、二枚の基材を重ね合わせて溶融結合する内容を開示する。しかし、特許文献1に示した技術は、単に二枚の基材の結合に関するものであり、溶融樹脂が通るノズルに残るゲートバリが他に及ぼす不具合、すなわち本願のようなエアバッグに及ぼす不具合については何ら言及するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−231181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来の接合方法によれば、以下の不具合が発生するおそれがあった。この不具合を、図10乃至12を参照しながら以下説明する。
図10の(a)は、従来のインパネドア53R、53Lとエアバックドア52R、52Lを樹脂製リベット57で接合した接合構造体60Aの断面図である。図10の(b)は、図10の(a)の一部拡大図であり、樹脂製リベット57のフランジ57Fの一部を示す。このフランジ57Fの頂面にゲートバリ(若しくはゲート残り)56bが突出するように形成されている。
ゲートバリ56bは、射出ユニット56を含む押え板55を、樹脂製リベット57から取り外した後、押え板55のピンポイントゲート孔55Gに対応する箇所に形成され、図11及び図12に示されるように、インパネドア53R、53Lに接合したエアバッグドア52R、52Lの内面にエアバック51の表面が当接するため、エアバック51がバルーン状に展開するときにエアバッグ51の表面が樹脂製リベット57のゲートバリ56bに当接して抵抗部となり、エアバック51の展開動作を阻害してしまう。
【0011】
そこで、本発明は、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形によってピンポイントゲート孔から溶融樹脂を射出して、重ね合わされたインパネドアとエアバッグドアとを樹脂製リベットによって接合する方法において、エアバッグの展開動作を阻害するゲートバリによる弊害をなくす方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の態様)
以下、本発明の態様を示し、それらについて説明する。なお、(1)項、(2)項が、請求項1、請求項2に対応する。
(1)インストルメントパネルと、エアバッグドアとを、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形によって接合して接合構造体を得るための接合方法であって、前記インストルメントパネルに、複数の貫通孔が明けられている前記エアバッグドアを重ね合わせ、該エアバッグドアに、前記貫通孔と同軸状に明けられた第1ピンポイントゲート孔を形成した第1押え板を重ね合わせ、前記第1ピンポイントゲート孔に、ダイレクト射出成形ユニットの射出ノズルを位置決めし、該射出ノズルから溶融樹脂を前記第1ピンポイントゲート孔と貫通孔に射出し、該射出した前記溶融樹脂を前記インストルメントパネルに溶着しながら前記ピンポイントゲート孔と貫通孔内で硬化させて、樹脂製リベットで接合した予備接合構造体を形成し、次に、予備接合構造体の複数の樹脂製リベットの上端面に形成された第1ゲートバリのうち、隣接する2本の第1ゲートバリ間の中間部に複数の第2ピンポイントゲート孔を形成した第2押え板を位置決めして、前記射出ノズルを第2押え板の第2ピンポイントゲート孔に位置合わせし、前記射出ノズルから第2押え板の第2ピンポイントゲート孔に樹脂を射出して硬化させて、第1ゲートバリと第1ゲートバリ間の中間部を溶融樹脂で被覆して、新たに形成された第2ゲートバリを有する接合構造体を、第2ゲートバリの先端が前記接合構造体の上面から突出しないように形成することを特徴とするインストルメントパネルとエアバッグドアとの接合方法。
【0013】
エアバッグの展開機構では、上述したように、インパネドアとエアバッグドアとを同時に開くようにするために、双方をピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形によって接合する必要がある。しかし、この従来の射出成形による接合方法ではゲートバリが発生する。ゲートバリをこのままにしておくと、エアバッグの展開動作時に、ゲートバリがエアバッグに接触し、その展開を妨げる。
【0014】
本項によれば、、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形によって、上記ゲートバリとゲートバリ間の中間部を溶融樹脂で被覆してこのとき新たに発生するゲートバリは、接合構造体の上面から突出しないようにした。このようにして、上記山部の高さが、上記谷に新たに発生するゲートバリよりも高くする。すなわち、本項によれば、上記設定により、エアバッグの展開動作時に、新たに形成したゲートバリはエアバッグに接触することがなくなりゲートバリがエアバッグ展開時の抵抗部とならない。
【0015】
(2)インストルメントパネルと、エアバッグドアとを、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形によって接合して接合構造体を得るための接合方法であって、前記インストルメントパネルに、複数の貫通孔が明けられている前記エアバッグドアを重ね合わせ、該エアバッグドアに、ピンポイントゲート孔が隣接する二つの貫通孔の中間部に位置決めされるように、ピンポイントゲート孔と前記二つの貫通孔に通じる溝を形成した押え板を重ね合わせ、射出ノズルから溶融樹脂を前記ピンポイントゲート孔と溝を介して貫通した射出して、該射出した溶融樹脂を、前記インストルメントパネルに固着させ、かつ、前記ピンポイントゲート孔、貫通孔及び溝内で硬化させて、前記二つの貫通孔のそれぞれに樹脂製リベットを形成すると共にこの樹脂製リベットの間を硬化させた溶融樹脂で連結して、前記二つの樹脂製リベットの中間部にゲートバリを有する接合構造体を、該ゲートバリの先端が前記接合構造体の上面から突出しないように形成することを特徴とするインストルメントパネルとエアバッグドアとの接合方法。
【0016】
本項は、(1)項と異なり、押え板は1枚のみであり、かつ、押え板の形状、特にキャビティの形状に特徴がある。すなわち、押え板の下面には、エアバッグドアに形成されている複数の貫通孔に対応した位置に樹脂製リベットのフランジを形成するためのキャビティがあり、隣接する二つのキャビティの双方は溝で連通されている。この隣接するキャビティの中間地点の溝に向けてピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形用の射出ノズルからピンポイントゲート孔を通じて溶融樹脂を射出する。そうすると、溶融樹脂によって、溝を通じて隣接する二つのキャビティが埋められ、射出された樹脂が硬化することで、インストルメントパネルとエアバッグドアとが接合される。このとき、ゲートバリは、上記の二つのキャビティを埋め尽くした樹脂からなる二つのフランジの谷間にあり、従来のように、ゲートバリがエアバッグの展開動作時の抵抗とならない。また、(2)項では、押え板が1枚で足り、かつ、射出成形の工数も減るため、製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形による樹脂製リベットを用いた接合方法によって、車両のインストルメントパネルとエアバッグドアとを接合する際、エアバッグの展開動作を妨げる抵抗部となるゲートバリを形成することなく、当該接合を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る接合方法を説明するための部分拡大断面図である。
【図2】第1実施形態に係る接合方法を説明するための概略断面図である。
【図3】第1実施形態の接合構造体を説明するための概略断面図である。
【図4】第1実施形態の接合構造体を説明するための概略断面図である。
【図5】第1実施形態の接合構造体とエアバッグとの当接状態を説明するための概略断面図である。
【図6】第2実施形態に係る接合方法を説明する部分拡大断面図(a)と、接合構造体とエアバッグとの当接状態を説明するための概略断面図(b)である。
【図7】エアバッグ機構の作動初期(a)と作動後(b)の状態を示す概略断面図である。
【図8】従来の接合方法を説明するための概略拡大断面図である。
【図9】従来の接合方法を説明するための概略断面図である。
【図10】従来の接合方法によって接合された接合構造体を、(a)全体図と(b)部分拡大図で示す概略断面図である。
【図11】従来の接合方法によって接合された接合構造体とエアバッグとの当接状態を示す概略断面図である。
【図12】図11の部分拡大概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る接合方法を、図1から図5を参照して説明する。第1実施形態に係る接合方法は、従来の接合方法を適用した後に、さらに新たな接合方法を追加・適用する接合方法である。
図1は、第1実施形態に係る接合方法を説明するための部分拡大断面図である。
第1実施形態に係る接合方法では、まず、図10に示された従来の接合構造体(予備接合構造体)60Aを準備する。
次に、図1に示されるように、接合構造体60Aの上面から上方に突出している2本のゲートバリ56b、56bの間に、新たなピンポイントゲート孔付き押え板5のピンポイントゲート孔5Gを位置決めさせるように、押え板5を載置した後、押え板5のピンポイントゲート孔5Gに射出ユニット1の射出ノズル1Nを配置する。その後、射出ノズル1Nから溶融樹脂を射出して、ゲートバリ56b、56bを完全に覆うように、すなわちゲートバリ56b、56bを完全に被覆して、かつ既に形成されている樹脂製リベット57のフランジ57Fを覆う新たな樹脂部2rを形成する。
【0020】
次に、図2に示されるようにして、隣接する2本のゲートバリ56b、56bの間に新たな樹脂部2rを連続して形成する。この際、新たに射出成形した樹脂部2rが硬化しないうちに、これらに隣接する2本のゲートバリ56b、56bの間に新たな樹脂部2rを形成することが好ましい。このようにして、樹脂部2r同士が面方向に一体化された接合構造体60(図3)が形成される。
【0021】
以上、第1実施形態に係る接合方法によれば、図4から分かるように、接合構造体60とエアバッグ51とを当接させた場合、新たな樹脂部2rを形成することにより、新たに発生したゲートバリ2bの高さhがその周りの樹脂部2rの高さHよりも常に低く形成される。その結果、図5から分かるように、いずれのゲートバリ56b、2bもエアバッグ51の表面に接触することがなくなるので、エアバッグ51が展開動作する際の抵抗部となる部分がなくなる。
なお、第1実施形態に係る接合方法は、既に作製されている図10に示される接合構造体60Aの上面から突出するバリ56bを、後発的になくすことができる。
【0022】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態に係る接合方法を、図6(a)、(b)を参照しながら説明する。第2実施形態に係る接合方法は、第1実施形態の接合方法とは異なり、従来の接合方法を適用することなく新たな押え板を用いる接合方法である。
【0023】
図6(a)は、第2実施形態に係る接合方法を説明するための部分拡大断面図である。図6(a)から分かるように、第2実施形態に係る接合法では、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形による樹脂製リベットを用いた接合方法において、図6(a)に示す押え板6のみを用いる接合方法である。
【0024】
押え板6は、一方の片面(図6(a)では下面。「第1面」と称する)に、略円錐形状のキャビティ7(樹脂製リベットとなる)が隣接して形成されており、さらに、隣り合う二つのキャビティ7、7の間は一定深さの溝8で連結されている。射出ノズル1Nから押え板6のピンポイントゲート孔6Gを介して溶融樹脂が溝8に供給されると、溝8を介して、キャビティ7、7に溶融樹脂が流入する。また、押え板6の他方の面(図6(a)では上面。「第2面」と称する)には、射出ユニット1の射出ノズル1Nの輪郭形状に対応する形状を持つ略半球状の凹部9が形成されている。この略半球状の凹部9の底部中央に、貫通孔、即ちピンポイントゲート孔6Gが設けられ、第1面の溝8に第2面の凹部9に配置した射出ノズル1Nから押え板6のピンポイントゲート孔6Gを介して溶融樹脂が流入する。
【0025】
第2実施形態に係る接合方法では、エアバッグドア52R,52Lの隣接する二つの貫通孔52Hの中間に押え板6のピンポイントゲート孔6Gを位置決めするように、エアバックドア52R(52L)とインパネ53R(53L)の上に押え板6を重ね合わせ配置する。
そして、射出ノズル1Nから押え板6のピンポイントゲート孔6Gに溶融樹脂を射出する。そうすると、溶融樹脂は溝8を通じてエアバッグドア52R(52L)の上面に沿って左右両側に向かって流れ、最後は溶融樹脂は隣接するキャビティ7、7と、貫通孔52Hの空間を埋める。その結果、溶融樹脂はエアバックドア52R(52L)とインパネドア53R(53L)の表面に溶着して樹脂製リベット57を介して、エアバックドア52R(52L)とインパネドア53R(53L)とが接合される。
【0026】
溶融樹脂が硬化した後、押え板6を取り外すと、図6(b)に示されるように、押え板6のピンポイントゲート孔6Gに相当する部分のゲートバリ2b´が残存している。しかし、ゲートバリ2b´は、このゲートバリ2b´の両脇にゲートバリ2b´の高さよりも高い樹脂製リベット57のフランジ部2r´が形成されているため、エアバッグ51が作動した際に、エアバッグ51が一定の衝撃によって膨張した場合でも、ゲートバリ2b´はエアバッグ51に当接することがなく、フランジ部2r´の頂面がエアバッグ51に当接するため、エアバッグ51がゲートバリ2b´によって損傷することがない。この点、第2実施形態においても、図5を参照して説明した、第1実施形態の接合方法と同様な効果が得られる。
【0027】
なお、第2実施形態に係る接合方法では、フランジ部2r´とゲートバリ2b´の高さの差はエアバック51の膨張時に、ゲートバリ2b´がエアバック51に当接しないように設定しておくことが好ましい。さらに、第2実施形態に係る接合方法では、樹脂製リベット57のフランジ部2r´の頂面はエアバック51の膨張時にエアバック51が損傷しないように比較的平らな若しくは曲率が大きな曲面を有するように形成することが好ましい。
【0028】
以上、第2実施形態に係る接合方法によれば、1枚の押え板6のみを用いることによってインパネドア53R、53L(インストルメントパネル)とエアバッグドア52R、52Lとを接合することができるため、第1実施形態に係る接合方法と同様に従来のようにゲートバリに起因する不具合が解決できるばかりでなく、工程数が減り、同時に製造コストを削減することができる。
【0029】
尚、本発明は、上記の第1及び第2実施形態に係る接合方法に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0030】
1N:射出ノズル、2b、2b´、56b:ゲートバリ、5、6:押え板、5G、6G:ピンポイントゲート孔、52R、52L:エアバッグドア、53R、53L:インストルメントパネル、60:接合構造体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製リベットによる接合方法に関し、さらに詳細には、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形による射出成形用樹脂によって、車輌にエアバッグを装着する際、インストルメントパネル(以下適宜「インパネ」と略す。)とエアバッグドアとを、射出成形で得られる樹脂製リベットにより接合する接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7の(a)、(b)は、一般のエアバッグ機構100を説明するための概略断面図である。図7(a)に示されるように、エアバッグ機構100は、エアバッグ51、エアバッグドア52R、52L、インパネ53、インパネドア53R、53L及びインフレータ54を含む。
【0003】
図7の(a)に示されるように、大きな衝撃を車輌が受けると、インフレータ54から発生したガスによりエアバッグ51が膨張し、エアバッグドア52R、52Lとインパネドア53R、53Lを押し開ける。そして、図7の(b)に示すように、エアバッグ51は、さらに大きく膨張しバルーン状に展開して、運転手、搭乗者等の身体に当接して運転手、搭乗者の移動を拘束する。
【0004】
この際、エアバッグドア52R、52Lとインパネドア53R、53Lとは一定の強度で接合されている必要がある。また、エアバッグドア52R、52Lと、インパネドア53R、53L以外の部分についても固着させる必要もある。しかし、本願明細書では、説明の便宜のため、エアバッグドア52R、52Lとインパネドア53R、53Lとの接合方法について説明する。
【0005】
図8から図11は、インパネドア53R、53Lと、エアバッグドア52R、52Lとを接合する従来の方法を説明する図面である。これらの図面を参照しながら、インパネドア53R、53Lとエアバッグドア52R、52Lとを接合する従来の方法を以下に説明する。
図8に示すように、インパネドア53R、53Lの上にエアバッグドア52R、52Lを重ねて、押え板55で押えた状態で、エアバッグドア52R、52Lに貫通して開けられている多数の孔52Hと、押え板(第1押え板)55に設けられた、ピンポイントゲート孔55Gと、が対応するように配置して、凹部55Hに、ピンポイントゲート方式のダイレクト成形装置の射出ユニット56(以下「射出ユニット56」と略す)のノズル56Nの先端部を嵌合する。
【0006】
図8に示すように、押え板55の凹部55Hの断面形状は、上半分は、ノズル56Nの先端部の外部形状すなわち半球形状に対応して形成され、かつ、下半分は、樹脂製リベット57のフランジ57Fの形状に形成され、凹部55Hの上半分と下半分との間にピンポイントゲート孔55Gが形成されている。このように、凹部55Hの空間形状は、鼓(つづみ)状に形成されている。
【0007】
さらに、図9に示されるように、順次、射出ユニット56からピンポイントゲート孔55Gを通じて溶融樹脂を射出し、溶融樹脂が硬化すると、樹脂製リベット57がインパネドア53R、53Lに接合することによって、インパネドア53R、53Lの上にエアバッグドア52R、52Lが接合される。最後に、押え板55を取り外し、図10(a)に示されるような接合構造体60Aを得る。接合構造体60Aは樹脂製リベット57によって一体に形成されており、樹脂製リベット57の頂上にゲートバリ56bが突出した状態で形成されている。
【0008】
なお、特許文献1は、上記の従来技術と同様な溶融樹脂をノズルから射出して、二枚の基材を重ね合わせて溶融結合する内容を開示する。しかし、特許文献1に示した技術は、単に二枚の基材の結合に関するものであり、溶融樹脂が通るノズルに残るゲートバリが他に及ぼす不具合、すなわち本願のようなエアバッグに及ぼす不具合については何ら言及するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−231181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来の接合方法によれば、以下の不具合が発生するおそれがあった。この不具合を、図10乃至12を参照しながら以下説明する。
図10の(a)は、従来のインパネドア53R、53Lとエアバックドア52R、52Lを樹脂製リベット57で接合した接合構造体60Aの断面図である。図10の(b)は、図10の(a)の一部拡大図であり、樹脂製リベット57のフランジ57Fの一部を示す。このフランジ57Fの頂面にゲートバリ(若しくはゲート残り)56bが突出するように形成されている。
ゲートバリ56bは、射出ユニット56を含む押え板55を、樹脂製リベット57から取り外した後、押え板55のピンポイントゲート孔55Gに対応する箇所に形成され、図11及び図12に示されるように、インパネドア53R、53Lに接合したエアバッグドア52R、52Lの内面にエアバック51の表面が当接するため、エアバック51がバルーン状に展開するときにエアバッグ51の表面が樹脂製リベット57のゲートバリ56bに当接して抵抗部となり、エアバック51の展開動作を阻害してしまう。
【0011】
そこで、本発明は、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形によってピンポイントゲート孔から溶融樹脂を射出して、重ね合わされたインパネドアとエアバッグドアとを樹脂製リベットによって接合する方法において、エアバッグの展開動作を阻害するゲートバリによる弊害をなくす方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の態様)
以下、本発明の態様を示し、それらについて説明する。なお、(1)項、(2)項が、請求項1、請求項2に対応する。
(1)インストルメントパネルと、エアバッグドアとを、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形によって接合して接合構造体を得るための接合方法であって、前記インストルメントパネルに、複数の貫通孔が明けられている前記エアバッグドアを重ね合わせ、該エアバッグドアに、前記貫通孔と同軸状に明けられた第1ピンポイントゲート孔を形成した第1押え板を重ね合わせ、前記第1ピンポイントゲート孔に、ダイレクト射出成形ユニットの射出ノズルを位置決めし、該射出ノズルから溶融樹脂を前記第1ピンポイントゲート孔と貫通孔に射出し、該射出した前記溶融樹脂を前記インストルメントパネルに溶着しながら前記ピンポイントゲート孔と貫通孔内で硬化させて、樹脂製リベットで接合した予備接合構造体を形成し、次に、予備接合構造体の複数の樹脂製リベットの上端面に形成された第1ゲートバリのうち、隣接する2本の第1ゲートバリ間の中間部に複数の第2ピンポイントゲート孔を形成した第2押え板を位置決めして、前記射出ノズルを第2押え板の第2ピンポイントゲート孔に位置合わせし、前記射出ノズルから第2押え板の第2ピンポイントゲート孔に樹脂を射出して硬化させて、第1ゲートバリと第1ゲートバリ間の中間部を溶融樹脂で被覆して、新たに形成された第2ゲートバリを有する接合構造体を、第2ゲートバリの先端が前記接合構造体の上面から突出しないように形成することを特徴とするインストルメントパネルとエアバッグドアとの接合方法。
【0013】
エアバッグの展開機構では、上述したように、インパネドアとエアバッグドアとを同時に開くようにするために、双方をピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形によって接合する必要がある。しかし、この従来の射出成形による接合方法ではゲートバリが発生する。ゲートバリをこのままにしておくと、エアバッグの展開動作時に、ゲートバリがエアバッグに接触し、その展開を妨げる。
【0014】
本項によれば、、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形によって、上記ゲートバリとゲートバリ間の中間部を溶融樹脂で被覆してこのとき新たに発生するゲートバリは、接合構造体の上面から突出しないようにした。このようにして、上記山部の高さが、上記谷に新たに発生するゲートバリよりも高くする。すなわち、本項によれば、上記設定により、エアバッグの展開動作時に、新たに形成したゲートバリはエアバッグに接触することがなくなりゲートバリがエアバッグ展開時の抵抗部とならない。
【0015】
(2)インストルメントパネルと、エアバッグドアとを、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形によって接合して接合構造体を得るための接合方法であって、前記インストルメントパネルに、複数の貫通孔が明けられている前記エアバッグドアを重ね合わせ、該エアバッグドアに、ピンポイントゲート孔が隣接する二つの貫通孔の中間部に位置決めされるように、ピンポイントゲート孔と前記二つの貫通孔に通じる溝を形成した押え板を重ね合わせ、射出ノズルから溶融樹脂を前記ピンポイントゲート孔と溝を介して貫通した射出して、該射出した溶融樹脂を、前記インストルメントパネルに固着させ、かつ、前記ピンポイントゲート孔、貫通孔及び溝内で硬化させて、前記二つの貫通孔のそれぞれに樹脂製リベットを形成すると共にこの樹脂製リベットの間を硬化させた溶融樹脂で連結して、前記二つの樹脂製リベットの中間部にゲートバリを有する接合構造体を、該ゲートバリの先端が前記接合構造体の上面から突出しないように形成することを特徴とするインストルメントパネルとエアバッグドアとの接合方法。
【0016】
本項は、(1)項と異なり、押え板は1枚のみであり、かつ、押え板の形状、特にキャビティの形状に特徴がある。すなわち、押え板の下面には、エアバッグドアに形成されている複数の貫通孔に対応した位置に樹脂製リベットのフランジを形成するためのキャビティがあり、隣接する二つのキャビティの双方は溝で連通されている。この隣接するキャビティの中間地点の溝に向けてピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形用の射出ノズルからピンポイントゲート孔を通じて溶融樹脂を射出する。そうすると、溶融樹脂によって、溝を通じて隣接する二つのキャビティが埋められ、射出された樹脂が硬化することで、インストルメントパネルとエアバッグドアとが接合される。このとき、ゲートバリは、上記の二つのキャビティを埋め尽くした樹脂からなる二つのフランジの谷間にあり、従来のように、ゲートバリがエアバッグの展開動作時の抵抗とならない。また、(2)項では、押え板が1枚で足り、かつ、射出成形の工数も減るため、製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形による樹脂製リベットを用いた接合方法によって、車両のインストルメントパネルとエアバッグドアとを接合する際、エアバッグの展開動作を妨げる抵抗部となるゲートバリを形成することなく、当該接合を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る接合方法を説明するための部分拡大断面図である。
【図2】第1実施形態に係る接合方法を説明するための概略断面図である。
【図3】第1実施形態の接合構造体を説明するための概略断面図である。
【図4】第1実施形態の接合構造体を説明するための概略断面図である。
【図5】第1実施形態の接合構造体とエアバッグとの当接状態を説明するための概略断面図である。
【図6】第2実施形態に係る接合方法を説明する部分拡大断面図(a)と、接合構造体とエアバッグとの当接状態を説明するための概略断面図(b)である。
【図7】エアバッグ機構の作動初期(a)と作動後(b)の状態を示す概略断面図である。
【図8】従来の接合方法を説明するための概略拡大断面図である。
【図9】従来の接合方法を説明するための概略断面図である。
【図10】従来の接合方法によって接合された接合構造体を、(a)全体図と(b)部分拡大図で示す概略断面図である。
【図11】従来の接合方法によって接合された接合構造体とエアバッグとの当接状態を示す概略断面図である。
【図12】図11の部分拡大概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る接合方法を、図1から図5を参照して説明する。第1実施形態に係る接合方法は、従来の接合方法を適用した後に、さらに新たな接合方法を追加・適用する接合方法である。
図1は、第1実施形態に係る接合方法を説明するための部分拡大断面図である。
第1実施形態に係る接合方法では、まず、図10に示された従来の接合構造体(予備接合構造体)60Aを準備する。
次に、図1に示されるように、接合構造体60Aの上面から上方に突出している2本のゲートバリ56b、56bの間に、新たなピンポイントゲート孔付き押え板5のピンポイントゲート孔5Gを位置決めさせるように、押え板5を載置した後、押え板5のピンポイントゲート孔5Gに射出ユニット1の射出ノズル1Nを配置する。その後、射出ノズル1Nから溶融樹脂を射出して、ゲートバリ56b、56bを完全に覆うように、すなわちゲートバリ56b、56bを完全に被覆して、かつ既に形成されている樹脂製リベット57のフランジ57Fを覆う新たな樹脂部2rを形成する。
【0020】
次に、図2に示されるようにして、隣接する2本のゲートバリ56b、56bの間に新たな樹脂部2rを連続して形成する。この際、新たに射出成形した樹脂部2rが硬化しないうちに、これらに隣接する2本のゲートバリ56b、56bの間に新たな樹脂部2rを形成することが好ましい。このようにして、樹脂部2r同士が面方向に一体化された接合構造体60(図3)が形成される。
【0021】
以上、第1実施形態に係る接合方法によれば、図4から分かるように、接合構造体60とエアバッグ51とを当接させた場合、新たな樹脂部2rを形成することにより、新たに発生したゲートバリ2bの高さhがその周りの樹脂部2rの高さHよりも常に低く形成される。その結果、図5から分かるように、いずれのゲートバリ56b、2bもエアバッグ51の表面に接触することがなくなるので、エアバッグ51が展開動作する際の抵抗部となる部分がなくなる。
なお、第1実施形態に係る接合方法は、既に作製されている図10に示される接合構造体60Aの上面から突出するバリ56bを、後発的になくすことができる。
【0022】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態に係る接合方法を、図6(a)、(b)を参照しながら説明する。第2実施形態に係る接合方法は、第1実施形態の接合方法とは異なり、従来の接合方法を適用することなく新たな押え板を用いる接合方法である。
【0023】
図6(a)は、第2実施形態に係る接合方法を説明するための部分拡大断面図である。図6(a)から分かるように、第2実施形態に係る接合法では、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形による樹脂製リベットを用いた接合方法において、図6(a)に示す押え板6のみを用いる接合方法である。
【0024】
押え板6は、一方の片面(図6(a)では下面。「第1面」と称する)に、略円錐形状のキャビティ7(樹脂製リベットとなる)が隣接して形成されており、さらに、隣り合う二つのキャビティ7、7の間は一定深さの溝8で連結されている。射出ノズル1Nから押え板6のピンポイントゲート孔6Gを介して溶融樹脂が溝8に供給されると、溝8を介して、キャビティ7、7に溶融樹脂が流入する。また、押え板6の他方の面(図6(a)では上面。「第2面」と称する)には、射出ユニット1の射出ノズル1Nの輪郭形状に対応する形状を持つ略半球状の凹部9が形成されている。この略半球状の凹部9の底部中央に、貫通孔、即ちピンポイントゲート孔6Gが設けられ、第1面の溝8に第2面の凹部9に配置した射出ノズル1Nから押え板6のピンポイントゲート孔6Gを介して溶融樹脂が流入する。
【0025】
第2実施形態に係る接合方法では、エアバッグドア52R,52Lの隣接する二つの貫通孔52Hの中間に押え板6のピンポイントゲート孔6Gを位置決めするように、エアバックドア52R(52L)とインパネ53R(53L)の上に押え板6を重ね合わせ配置する。
そして、射出ノズル1Nから押え板6のピンポイントゲート孔6Gに溶融樹脂を射出する。そうすると、溶融樹脂は溝8を通じてエアバッグドア52R(52L)の上面に沿って左右両側に向かって流れ、最後は溶融樹脂は隣接するキャビティ7、7と、貫通孔52Hの空間を埋める。その結果、溶融樹脂はエアバックドア52R(52L)とインパネドア53R(53L)の表面に溶着して樹脂製リベット57を介して、エアバックドア52R(52L)とインパネドア53R(53L)とが接合される。
【0026】
溶融樹脂が硬化した後、押え板6を取り外すと、図6(b)に示されるように、押え板6のピンポイントゲート孔6Gに相当する部分のゲートバリ2b´が残存している。しかし、ゲートバリ2b´は、このゲートバリ2b´の両脇にゲートバリ2b´の高さよりも高い樹脂製リベット57のフランジ部2r´が形成されているため、エアバッグ51が作動した際に、エアバッグ51が一定の衝撃によって膨張した場合でも、ゲートバリ2b´はエアバッグ51に当接することがなく、フランジ部2r´の頂面がエアバッグ51に当接するため、エアバッグ51がゲートバリ2b´によって損傷することがない。この点、第2実施形態においても、図5を参照して説明した、第1実施形態の接合方法と同様な効果が得られる。
【0027】
なお、第2実施形態に係る接合方法では、フランジ部2r´とゲートバリ2b´の高さの差はエアバック51の膨張時に、ゲートバリ2b´がエアバック51に当接しないように設定しておくことが好ましい。さらに、第2実施形態に係る接合方法では、樹脂製リベット57のフランジ部2r´の頂面はエアバック51の膨張時にエアバック51が損傷しないように比較的平らな若しくは曲率が大きな曲面を有するように形成することが好ましい。
【0028】
以上、第2実施形態に係る接合方法によれば、1枚の押え板6のみを用いることによってインパネドア53R、53L(インストルメントパネル)とエアバッグドア52R、52Lとを接合することができるため、第1実施形態に係る接合方法と同様に従来のようにゲートバリに起因する不具合が解決できるばかりでなく、工程数が減り、同時に製造コストを削減することができる。
【0029】
尚、本発明は、上記の第1及び第2実施形態に係る接合方法に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0030】
1N:射出ノズル、2b、2b´、56b:ゲートバリ、5、6:押え板、5G、6G:ピンポイントゲート孔、52R、52L:エアバッグドア、53R、53L:インストルメントパネル、60:接合構造体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネルと、エアバッグドアとを、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形によって接合して接合構造体を得るための接合方法であって、
前記インストルメントパネルに、複数の貫通孔が明けられている前記エアバッグドアを重ね合わせ、該エアバッグドアに、前記貫通孔と同軸状に明けられた第1ピンポイントゲート孔を形成した第1押え板を重ね合わせ、前記第1ピンポイントゲート孔に、ダイレクト射出成形ユニットの射出ノズルを位置決めし、該射出ノズルから溶融樹脂を前記第1ピンポイントゲート孔と貫通孔に射出し、該射出した前記溶融樹脂を前記インストルメントパネルに溶着しながら前記ピンポイントゲート孔と貫通孔内で硬化させて、樹脂製リベットで接合した予備接合構造体を形成し、次に、該予備接合構造体の複数の樹脂製リベットの上端面に形成された第1ゲートバリのうち、隣接する2本の第1ゲートバリ間の中間部に複数の第2ピンポイントゲート孔を形成した第2押え板を位置決めして、前記射出ノズルを第2押え板の第2ピンポイントゲート孔に位置合わせし、前記射出ノズルから第2押え板の第2ピンポイントゲート孔に樹脂を射出して硬化させて、第1ゲートバリと第1ゲートバリ間の中間部を溶融樹脂で被覆して、新たに形成された第2ゲートバリを有する接合構造体を第2ゲートバリの先端が前記接合構造体の上面から突出しないように形成することを特徴とするインストルメントパネルとエアバッグドアとの接合方法。
【請求項2】
インストルメントパネルと、エアバッグドアとを、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形によって接合して接合構造体を得るための接合方法であって、
前記インストルメントパネルに、複数の貫通孔が明けられている前記エアバッグドアを重ね合わせ、該エアバッグドアに、ピンポイントゲート孔が隣接する二つの貫通孔の中間部に位置決めされるように、ピンポイントゲート孔と前記二つの貫通孔に通じる溝を形成した押え板を重ね合わせ、射出ノズルから溶融樹脂を前記ピンポイントゲート孔と溝を介して貫通孔に射出して、該射出した溶融樹脂を、前記インストルメントパネルに固着させ、かつ、前記ピンポイントゲート孔、貫通孔及び溝内で硬化させて、前記二つの貫通孔のそれぞれに樹脂製リベットを形成すると共に、この樹脂製リベットの間を硬化させた溶融樹脂を連結して、前記二つの樹脂製リベットの中間部にゲートバリを有する接合構造体を形成して、該ゲートバリの先端が前記接合構造体の上面から突出しないように形成することを特徴とするインストルメントパネルとエアバッグドアとの接合方法。
【請求項1】
インストルメントパネルと、エアバッグドアとを、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形によって接合して接合構造体を得るための接合方法であって、
前記インストルメントパネルに、複数の貫通孔が明けられている前記エアバッグドアを重ね合わせ、該エアバッグドアに、前記貫通孔と同軸状に明けられた第1ピンポイントゲート孔を形成した第1押え板を重ね合わせ、前記第1ピンポイントゲート孔に、ダイレクト射出成形ユニットの射出ノズルを位置決めし、該射出ノズルから溶融樹脂を前記第1ピンポイントゲート孔と貫通孔に射出し、該射出した前記溶融樹脂を前記インストルメントパネルに溶着しながら前記ピンポイントゲート孔と貫通孔内で硬化させて、樹脂製リベットで接合した予備接合構造体を形成し、次に、該予備接合構造体の複数の樹脂製リベットの上端面に形成された第1ゲートバリのうち、隣接する2本の第1ゲートバリ間の中間部に複数の第2ピンポイントゲート孔を形成した第2押え板を位置決めして、前記射出ノズルを第2押え板の第2ピンポイントゲート孔に位置合わせし、前記射出ノズルから第2押え板の第2ピンポイントゲート孔に樹脂を射出して硬化させて、第1ゲートバリと第1ゲートバリ間の中間部を溶融樹脂で被覆して、新たに形成された第2ゲートバリを有する接合構造体を第2ゲートバリの先端が前記接合構造体の上面から突出しないように形成することを特徴とするインストルメントパネルとエアバッグドアとの接合方法。
【請求項2】
インストルメントパネルと、エアバッグドアとを、ピンポイントゲート方式のダイレクト射出成形によって接合して接合構造体を得るための接合方法であって、
前記インストルメントパネルに、複数の貫通孔が明けられている前記エアバッグドアを重ね合わせ、該エアバッグドアに、ピンポイントゲート孔が隣接する二つの貫通孔の中間部に位置決めされるように、ピンポイントゲート孔と前記二つの貫通孔に通じる溝を形成した押え板を重ね合わせ、射出ノズルから溶融樹脂を前記ピンポイントゲート孔と溝を介して貫通孔に射出して、該射出した溶融樹脂を、前記インストルメントパネルに固着させ、かつ、前記ピンポイントゲート孔、貫通孔及び溝内で硬化させて、前記二つの貫通孔のそれぞれに樹脂製リベットを形成すると共に、この樹脂製リベットの間を硬化させた溶融樹脂を連結して、前記二つの樹脂製リベットの中間部にゲートバリを有する接合構造体を形成して、該ゲートバリの先端が前記接合構造体の上面から突出しないように形成することを特徴とするインストルメントパネルとエアバッグドアとの接合方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−56233(P2012−56233A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203030(P2010−203030)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(308039838)テクノハマ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(308039838)テクノハマ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
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