説明

インストルメントパネル構造体

【課題】インパネ上面部の変形を好適に防止するインストルメントパネル構造体を提供する。
【解決手段】車両のインパネ10の上面部であるインパネ上面部11と、インパネ上面部11をその裏面から支持する第1支持パネル20及び第2支持パネル30と、第1支持パネル20に取り付けられ、第1支持パネル20を支持する支持ブラケット40と、を備えるインパネ構造体1である。第1支持パネル20には、係合突起24が形成され、支持ブラケット40には、係合突起24と係合する係合孔42が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インストルメントパネル構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大型のインストルメントパネル(以下「インパネ」と適宜略称する)を備えるミニバン等の車両が増加している。大型のインパネの上面部(以下、「インパネ上面部」とする)は、メータを上方から覆うフード部として機能するが、その長さは、セダン等に比べて車両の前後方向において、長くなっている。
ところが、インパネは、一般に、合成樹脂製であり、その内部にメータが収容される中空構造であるので、前後方向に長いインパネ上面部が、車両の使用に伴って変形し、垂れ下がる等の虞がある。
【0003】
そこで、インパネ上面部の裏面に支持部材を設け、この支持部材でインパネ上面部を支持する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−80763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、インパネ上面部と支持部材とが線状で当接し、支持部材が線状でインパネ上面部を支持するので、つまり、インパネ上面部が部分的に支持されるので、支持されない部分が垂れ下がる等の変形する虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、インパネ上面部の変形を好適に防止するインストルメントパネル構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、車両のインストルメントパネルの上面部であるインパネ上面部と、前記インパネ上面部をその裏面から支持する支持パネルと、前記支持パネルに取り付けられ、当該支持パネルを支持する支持ブラケットと、を備えることを特徴とするインストルメントパネル構造体である。
【0008】
このようなインストルメントパネル構造体によれば、インパネ上面部がその裏面から板状の支持パネルによって面で支持されているので、使用に伴ってインパネ上面部の全体が変形することは防止される。
【0009】
また、前記インストルメントパネル構造体において、前記支持パネルには、係合突起及び係合孔の一方が形成され、前記支持ブラケットには、前記一方と係合する前記係合突起及び前記係合孔の他方が形成されていることを特徴とする。
【0010】
このようなインストルメントパネル構造体によれば、支持パネルと支持ブラケットとを組み付ける場合、係合突起及び係合孔の一方と、係合突起及び係合孔の他方とが係合するので、支持パネルと支持ブラケットとの位置合わせが容易となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インパネ上面部の変形を好適に防止するインストルメントパネル構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係るインストルメントパネル構造体を車室から見た斜視図である。
【図2】本実施形態に係るインストルメントパネル構造体を左斜め前から見た斜視図である。
【図3】(a)は、本実施形態に係るインストルメントパネル構造体の側断面図で、図1のX1−X1線断面図であり、(b)はその要部拡大図である。
【図4】本実施形態に係るインストルメントパネル構造体の斜視図である。
【図5】本実施形態に係るインストルメントパネル構造体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
【0014】
≪インパネ構造体の構成≫
図1〜図3に示すように、本実施形態に係るインストルメントパネル構造体(以下、インパネ構造体1)は、インストルメントパネル(以下、インパネ10)と、第1支持パネル20と、第2支持パネル30と、支持ブラケット40と、を備えている。
【0015】
インパネ構造体1は、フロントガラスGが大きく傾斜したミニバン(車両)に搭載されており、インパネ10の上面部であるインパネ上面部11は、車両の前後方向において、長くなっている。また、インパネ10は、合成樹脂製であり、その内部にメータMが装着される中空部を有している。なお、メータMの車室側には、四角筒状のメータバイザNが装着される。
【0016】
<第1支持パネル、第2支持パネル>
図3〜図5に示すように、第1支持パネル20及び第2支持パネル30は、合成樹脂製であり、インパネ上面部11をその裏面(下面)から面で支持するものである。なお、図2〜図5では、分かり易くするため、第1支持パネル20及び第2支持パネル30の形状を簡単に記載している。
【0017】
第1支持パネル20は、インパネ上面部11の裏面に沿って略水平方向に延び、インパネ上面部11の裏面に当接しインパネ上面部11を支持する板状の水平部21と、水平部21の前端から略鉛直下向きに延びる鉛直部22とを備えている。
第2支持パネル30は、第1支持パネル20の前方に配置され、インパネ上面部11の裏面に沿って略水平方向に延び、インパネ上面部11の裏面に当接しインパネ上面部11を支持する板状の水平部31と、水平部31の後端から略鉛直下向きに延びる鉛直部32とを備えている。
【0018】
ただし、第1支持パネル20及び第2支持パネル30の形状は、図3〜図5に限定されず、例えば、第1支持パネル20等自体の剛性を高めるため、側断面視で波形としてもよいし、適宜にリブを設けてもよい。また、第1支持パネル20及び第2支持パネル30の上面に、複数のパッドを設け、このパッドを介して、インパネ上面部11を支持するようにしてもよい。
【0019】
第1支持パネル20の鉛直部22には、ナット23、23が埋設されており、第2支持パネル30の鉛直部32には、ナット33、33が埋設されている。そして、後記するボルトB1が、ナット23及びナット33に螺合されることで、支持ブラケット40と鉛直部22と鉛直部32とが共締めされ、第1支持パネル20と第2支持パネル30とが一体化し、一体化した水平部21及び水平部31が、インパネ上面部11を支持するようになっている。
【0020】
第1支持パネル20の鉛直部22の後面において、各ナット23の上方に、係合突起24(係合突起及び係合孔の一方)が形成されている。つまり、係合突起24とナット23とは縦に並んでいる。係合突起24は、支持ブラケット40の後記する係合孔42に差し込まれ、係合孔42と係合するものである。
【0021】
<支持ブラケット>
支持ブラケット40は、金属製であり、第1支持パネル20の後面に取り付けられ、第1支持パネル20及び第2支持パネル30を支持するものである。
【0022】
支持ブラケット40の上部には、ナット23及びナット33に螺合するボルトB1が挿通されるボルト孔41、41が形成されている。また、支持ブラケット40の上部において、各ボルト孔41の上方には、係合突起24と係合する係合孔42(係合突起及び係合孔の他方)が形成されている。つまり、係合孔42とボルト孔41とは縦に並んでいる。
【0023】
支持ブラケット40の下部には、ボルトB2、B2が挿通されるボルト孔43、43が形成されている。また、支持ブラケット40の下部において、ボルト孔43、43の左右外側には、係合孔44、44がそれぞれ形成されている。つまり、ボルト孔43と係合孔44とは、横に並んでいる。なお、係合孔44は、インパネ10の下部12の後面に形成された係合突起14と係合するようになっている。
【0024】
そして、ボルトB2が、インパネ10の下部12に埋設されたナット13に螺合されることで、支持ブラケット40がインパネ10の下部12に固定されるようになっている。
ここで、インパネ10の下部12は、第1ブラケット52及び第2ブラケット53、53を介して、車幅方向(左右方向)に延びる鋼製のステアリングハングビーム51(車体の一部)に固定されている(図2、図3参照)。
【0025】
具体的には、ステアリングハングビーム51の前面に、前斜め下に延びるように第1ブラケット52が溶接されており、第1ブラケット52の上面に、車幅方向において所定間隔をあけ、かつ、前斜め上に延びるように、第2ブラケット53、53が溶接されている。そして、ボルトB3によって、インパネ10の下部12と、各第2ブラケット53の上部とがそれぞれ締結されている。ただし、この他に例えば、第1ブラケット52と、第2ブラケット53、53とが、一体成形品である構成でもよい。
【0026】
すなわち、インパネ10の下部12は、ステアリングハングビーム51と一体化し、剛性の高いステアリングハングビーム51に安定して取り付けられている。そして、インパネ10の下部12に取り付けられた支持ブラケット40も、ステアリングハングビーム51に安定して取り付けられていることになる。
【0027】
≪インパネ構造体の作用効果≫
このようなインパネ構造体1によれば、次の作用効果を得る。
第1支持パネル20の水平部21と第2支持パネル30の水平部31とが、インパネ上面部11の裏面に当接し、インパネ上面部11が、その裏面全体から、第1支持パネル20の水平部21と、第2支持パネル30の水平部31とで面で支持されているので、インパネ上面部11の剛性は高くなっている。このようにインパネ上面部11全体が、第1支持パネル20及び第2支持パネル30によって面で支持されているので、車両の使用期間が長くなったとしても、インパネ上面部11全体が垂れ下がらず、凹み等の変形をすることはない。
【0028】
第1支持パネル20の係合突起24と、支持ブラケット40の係合孔42とが係合するので、第1支持パネル20と支持ブラケット40との位置合わせが容易となる。
また、ボルト孔41と係合孔42(ナット23と係合突起24)とは縦に並んでおり、ボルト孔43と係合孔44(ナット13と係合突起14)とは横に並んでいるので、支持ブラケット40を上下逆にして、第1支持パネル20及びインパネ10の下部12に取り付けること、つまり、誤って取り付けられることはない。
【0029】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば次のように変更できる。
例えば、第1支持パネル20に係合孔が形成され、支持ブラケット40に前記係合孔と係合する係合突起が形成された構成でもよい。
また、第1支持パネル20と第2支持パネル30とが一体成形された構成でもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 インパネ構造体(インストルメントパネル構造体)
10 インパネ(インストルメントパネル)
11 インパネ上面部
12 下部
20 第1支持パネル
24 係合突起(係合突起及び係合孔の一方)
30 第2支持パネル
40 支持ブラケット
42 係合孔(係合突起及び係合孔の他方)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のインストルメントパネルの上面部であるインパネ上面部と、
前記インパネ上面部をその裏面から支持する支持パネルと、
前記支持パネルに取り付けられ、当該支持パネルを支持する支持ブラケットと、
を備える
ことを特徴とするインストルメントパネル構造体。
【請求項2】
前記支持パネルには、係合突起及び係合孔の一方が形成され、
前記支持ブラケットには、前記一方と係合する前記係合突起及び前記係合孔の他方が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のインストルメントパネル構造体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−37405(P2011−37405A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189128(P2009−189128)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】