説明

インターフェースコネクタ、及びインターフェースコネクタを構成する中間体の製造方法

【課題】 簡易に形成でき、幅方向大きさを調節でき、容易に配設でき、信号を確実に導通させるインターフェースコネクタを提供する。
【解決手段】 分割体1Bの本体部1は、第1インターフェース部5A、第2インターフェース部5B、中間インターフェース部6aの3層にて形成し、第1及び第2インターフェース部5A、5Bによって中間インターフェース部6aを挟持する。中間インターフェース部6aは複数の略板状の中間体6を複数並べて構成し、中間体6の基板本体部10は、正面に、両端の被接触部12、12同士を電気的に接続する略並行の導線部13が積層され、さらに絶縁層、導電層を積層する。一部の導線部13の両端部近傍に、絶縁層が形成されていない非絶縁部を設ける。非絶縁部が設けられた導線部13はグラウンド用導線部13aに形成し、非絶縁部が設けられていない導線部13は信号用導線部13bに形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の電気部品と第2の電気部品との間に配設されて、前記第1及び第2の電気部品を電気的に接続するインターフェースコネクタ、及びインターフェースコネクタを構成する中間体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICパッケージ等の電気部品の製造工程中、電流導通試験等の検査工程においては、ICパッケージを収容したICソケットをソケットボード(第1の電気部品)に収容し、このソケットボードと、テスタ等を配設した回路基板(第2の電気部品)とを、インピーダンスの整合を取りつつ、ノイズを低減化した状態で接続する必要がある。
【0003】
従来は、上記検査工程において、ソケットボード上の端子と回路基板上の端子との間を同軸ケーブル等によって接続されていた。一方、従来、同軸ケーブルの代わりに、絶縁材料の基板に貫通した複数の孔部に複数の信号導通用のシグナルピンと複数の接地用のグランドピンとを貫挿して配設し、シグナルピンによって信号伝達が行われ、このシグナルピンの周りを離隔して取り囲むように設けられ、いわゆる同軸効果が生じるように構成されたICソケットが知られている(例えば、特許文献1参照)。このICソケットの構成をインターフェースコネクタに適用することも考えられる。
【特許文献1】特表平8−504997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ソケットボード上の端子と回路基板上の端子との間を同軸ケーブル等によって接続する構成によれば、ソケットボードと回路基板とにそれぞれ形成された微小な電極部に微小な同軸ケーブルを接続しなければならない。そして、電極部の数が多い場合、接続しなければならない同軸ケーブルの本数は膨大になり、接続作業は非常に煩雑なものとなる。このため、作業者に過大な負荷をかけ、かつ接続不良に起因する信号の導通不良が生じ易いという問題がある。また、上記特許文献1に記載されたICソケットをインターフェースコネクタに適用すれば、接続作業の煩雑さは同軸ケーブルを用いた場合ほどではなくなるものの、上記特許文献1のICソケットは、本体部(ボディ)に挿通孔(スルーホール)が設けられ、その挿通孔(スルーホール)にシグナルピン(信号路部材)やグランドピン(接地ピン)を圧入する構成としているため、圧入時にピン(信号路部材、接地ピン)が折れ曲がる虞があり、本体部(ボディ)に対するピン(信号路部材、接地ピン)の着脱が容易ではなく、ICソケットの形成作業が困難になり、ピンの折れ曲がりによる信号の導通不良が生じ易いという問題がある。特にソケットボードと回路基板との間隔を広くとらねばならない場合、シグナルピンやグランドピンを長くしなければならず、かかる場合のシグナルピンやグランドピンを圧入する作業の困難さは特に顕著になる。また、上記特許文献1のICソケットは、幅方向大きさ(対向するソケットボードと回路基板の直線距離方向の大きさ。以下同じ。)が固定化されてしまうので、ソケットボードと回路基板との間隔を自由に調整できなくなるとい問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、簡易に形成でき、ソケットボード等の第1の電気部品と回路基板等の第2の電気部品との間隔に応じて幅方向大きさを調節でき、第1の電気部品と第2の電気部品との間に容易に配設でき、信号を確実に導通させることができるインターフェースコネクタ、及びインターフェースコネクタを構成する中間体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、第1の電気部品と第2の電気部品との間に配設されて、前記第1及び第2の電気部品を電気的に接続するインターフェースコネクタにおいて、前記第1の電気部品側に配設され、該第1の電気部品の電極部に接触される複数の導電性の第1接触子が、板状に形成された絶縁性の接触子収容部に収容された第1インターフェース部と、前記第2の電気部品側に配設され、該第2の電気部品の電極部に接触される複数の導電性の第2接触子が、板状に形成された絶縁性の接触子収容部に収容された第2インターフェース部と、該第2インターフェース部及び前記第1インターフェース部の間に着脱自在に配設され、前記第1インターフェース部の前記第1接触子及び前記第2インターフェース部の前記第2接触子を電気的に接続する中間インターフェース部とを有する本体部を備え、該中間インターフェース部は、前記第1、第2インターフェース部を接続する方向に延びる略板状の中間体が複数並べられて構成され、該中間体は絶縁性を有する基板本体部に前記第1、第2接触子間を電気的に接続する導線部が設けられたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記導線部は、電流導通時に接地電位となるグラウンド用導線部と、電流導通時に信号電流を導通させる信号用導線部とであることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成に加え、前記導線部は、前記基板本体部に積層形成され、前記導線部の表面に積層された絶縁層と、該絶縁層の表面に積層された導電層とを有し、前記導線部のうち一部は前記導電層と電気的に接続させて前記グラウンド用導線部に形成されるとともに、該グラウンド用導線部に形成された前記導線部以外の前記導線部は前記信号用導線部に形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の構成に加え、前記第1インターフェース部及び前記第2インターフェース部の前記中間インターフェース部に面する側において、該中間インターフェース部を固定する固定部が設けられたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一つに記載の構成に加え、前記本体部は略円環状に形成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一つに記載の構成に加え、前記本体部は、同一形状を複数組み合わせると略円環状となる形状の組立て可能な分割体によって形成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか一つに記載のインターフェースコネクタを構成する前記中間体の製造方法であって、前記基板本体部の一方面の一端側から他端側にかけて複数の導電性の部材を略並行に配設し複数の導線部を形成する導線部形成工程と、前記複数の導線部のうち一部の前記導線部の両端部にマスキングを施すマスキング工程と、前記導線部の表面に絶縁体を積層し絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記マスキングを除去し前記導線部の両端部を露出させるマスキング除去工程と、前記絶縁層及び前記露出した前記導線部の両端部の表面に導電体を積層し導電層を形成する導電層形成工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、インターフェースコネクタの本体部を第1インターフェース部、第2インターフェース部、中間インターフェース部の3層によって形成し、中間インターフェース部を第1インターフェース部、第2インターフェース部と着脱自在としたことにより、使用する状況に応じて一の中間インターフェース部を他の中間インターフェース部に置き換えることができる。この結果、幅方向大きさの異なる中間インターフェース部を複数用意しておけば、中間インターフェース部を適宜置き換えることで、第1インターフェース部と第2インターフェース部とを共用しながら、第1の電気部品と第2の電気部品の間隔に応じてインターフェースコネクタの幅方向大きさを変えることができ、第1の電気部品と第2の電気部品との間隔に拘わらずインターフェースコネクタを第1の電気部品及び第2の電気部品との間に容易に配設できて、配設作業が容易化する。
【0014】
また、請求項1に記載の発明によれば、中間インターフェース部は、両絶縁部材を接続する方向に延びる略板状の中間体が複数並べられて構成され、中間体においては絶縁性を有する基板本体部の表面に、第1インターフェース部に収容された第1接触子と第2インターフェース部に収容された第2接触子とを電気的に接続する導線部が設けられたことにより、信号を導通させる導線部を、略板状の中間体の表面に複数まとめた状態で簡易に形成できる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、前記導線部は、電流導通時に接地電位となるグラウンド用導線部と、電流導通時に信号電流を導通させる信号用導線部とであることにより、複数の導線部のうちの一部の導線部を接地電位にした状態で他の一部の導線に信号電流を導通させることができる。これにより、中間インターフェース部及びインターフェースコネクタ全体に同軸状態を形成できるので、インターフェースコネクタによって第1の電気部品と第2の電気部品とを電気的に接続して信号電流を導通させた際のノイズの発生を抑止し、良好な信号導通状態を形成するとともに、インピーダンスの異なる第1の電気部品と第2の電気部品との間でのインピーダンスを調節し、信号の反射の抑止を図り両者の電気的導通状態を良好にすることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、導線部は基板本体部に積層形成され、導線部のうちの一部は導電層と電気的に接続させてグラウンド用導線部に形成されるとともに、グラウンド用導線部に形成された導線部以外の導線部は信号用導線部に形成されたことにより、基板本体部上への導線部の配設や、導線部グラウンド用導線部を接地電位とするための構成や、信号用導線部を絶縁体で被覆するための構成を、積層膜を形成する工程によって基板本体部上に形成できる。これにより、第1の電気部品と第2の電気部品との間を同軸状態に接続する電気部品用コネクタを一層簡易に形成できる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、第1インターフェース部及び第2インターフェース部の中間インターフェース部に面する側において、中間インターフェース部を固定する固定部が設けられたことにより、接触部と基板部とを電気的導通を保った状態に固定でき、接続状態を安定させることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、本体部は略円環状に形成されていることにより、円筒形に形成され外周部に電流の導通部分を設けた第1の電気部品及び第2の電気部品に対し支障なく電流を導通させることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、インターフェースコネクタの本体部は、同一形状を複数組み合わせると略円環状となる形状の組立て可能な分割体によって形成されたことにより、本体部の一部に形成された接続部同士を組み合わせて同一形状の本体部を組立てることで略円環状のインターフェースコネクタを形成できるので、円環状又は円板状に形成され外周部に電流の導通部分を設けた第1の電気部品及び第2の電気部品に対し支障なく電流を導通させることができる。また、分割体を、組立てて略円環状を形成する形状に形成したことにより、各分割体の形状を小型化することができ、インターフェースコネクタの製造設備を小型化できる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、基板上に薄膜を形成するときとほぼ同様の工程によって導線部、絶縁層、導電層を形成することができるので、インターフェースコネクタを構成する中間体を容易に形成することができる。また、導線部の両端部の一部に導電層が接触した状態で積層されて、電流導通時に接地電位となるグラウンド用導線部を形成し、中間体を容易に同軸状態に形成することができ、ノイズの発生を抑止してインピーダンスを調節できる中間体を容易に形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1乃至図8には、この発明の実施の形態を示す。
【0023】
まず構成を説明すると、図1中符号1Aは表面実装式のインターフェースコネクタで、このインターフェースコネクタ1Aは、集積半導体回路(IC)のパッケージ品であるICパッケージ50の性能試験を行うために、このICパッケージ50を収容したICソケット40を中央部に収容したソケットボード30(第1の電気部品)と、IC試験装置側の回路基板(第2の電気部品)60との電気的接続を図るものである。
【0024】
ICソケット40は、ICパッケージ50を収容する収容面にマトリクス状に配設された複数の導電性のパッケージ側端子(図示せず)を備え、各パッケージ側端子(図示せず)と、ソケットボード30との当接面に複数配設されたボード側端子(図示せず)とは導線により電気的に接続されている。
【0025】
ソケットボード30は、直径約440ミリメートル程度の円板状に形成されており、上面略中央部の収容部31には、ボード側端子(図示せず)の当接部分に位置して複数の端子(図示せず)が設けられ、この端子(図示せず)には、ソケットボード30の上面に放射状に配設された導線の一端部が接続されている。導線の他端部はソケットボード30の外周部近傍でソケットボード30の上下面に貫通した導電性の導通部材(図示せず)に接続されている。導通部材(図示せず)の端部は、ソケットボード30の下面にて電極部(図示せず)を形成する。
【0026】
回路基板60もソケットボード30と同様に直径約440ミリメートル程度の円板状に形成されている。回路基板60の下面にはテスタ等の試験器具を接続するためのコネクタ(図示せず)が配設され、上面にはコネクタ(図示せず)と導線等によって接続された電極部(図示せず)が設けられている。
【0027】
インターフェースコネクタ1Aの本体部1は、略円環状に形成されており、外径は、ソケットボード30及び回路基板60と略同一径の直径約440ミリメートル程度である。
【0028】
このインターフェースコネクタ1Aの本体部1は、図2に示すとおり、同一形状を複数組み合わせると略円環状となる形状の分割体1Bを複数並べた状態に配設して形成されている。なお、図2は分割体1Bを4個を並べて円環の4分の1の本体部1を形成した状態を示しているが、実際のインターフェースコネクタ1Aの本体部1は、組立て可能な分割体1Bを16個並べて、略円環状に形成されている。
【0029】
分割体1Bは、図3に示すとおり、正面視における両側部(図3における左側及び右側)が直線に、両端部(図3における上側及び下側)は略弧状に、それぞれ形成されている。具体的には、一端側は、仮想軸1C(図2参照)を中心とする半径約220ミリメートルの円周の約16分の1と略同一の弧状に形成され、他端部は、仮想軸1Cを中心とする半径約170ミリメートル円周の約16分の1と略同一の弧状に形成され、一側部、及び他側部は仮想軸1C(図2参照)を中心とする円を16等分する直線と略同一の直線状に形成されている。分割体1Bの正面視における一側部(図3の右側)には、第1嵌合片2a、第2嵌合片2bが側方に向けて突設され、他側部(図3の左側)における第1嵌合片2a、第2嵌合片2bの略対称位置は、第1嵌合片2a及び第2嵌合片2bが当接する被嵌合部3に形成されている。第1嵌合片2a、第2嵌合片2bの略中央部にはそれぞれ1個ずつねじ孔4a、4bが貫通形成され、被嵌合部3におけるねじ孔4a、4bの略対称位置には、一対のねじ孔4c、4dが貫通形成されている。
【0030】
本体部1は、図4に示すとおり、平面視における一端側(図4の上側)に第1インターフェース部5A、他端側(図4の下側)に第2インターフェース部5Bをそれぞれ備えている。
【0031】
それらの第1インターフェース部5A、第2インターフェース部5Bにおいて、接触子収容部5、5は、樹脂等の成形が容易で非導電性の素材によって形成され、複数本の第1接触子7A、7A、及び複数本の第2接触子7B、7B・・・をそれぞれ収容している。第1接触子7A、7A、・・・及び第2接触子7B、7B、・・・は略棒状であり、第1接触子7A、第2接触子7Bのそれぞれは、中央部分に導電性と弾性とを併有する部材にて形成した弾性部7aを設け、この弾性部7aの両端に先端が尖った金属製の細長い棒状部材が配設され、一方側が挟持端子部7b、他方側が接触端子部7cに形成されている。
【0032】
第1接触子7A、7A、・・・は第1インターフェース部5Aの接触子収容部5中に、第2接触子7B、7B、・・・は第2インターフェース部5Bの接触子収容部5中に、それぞれ挟持端子部7b、及び接触端子部7cの向きを揃えた状態で略マトリクス状に配設され、挟持端子部7b、接触端子部7cの先端部はそれぞれ接触子収容部5の両端に形成された孔部5a、5bからそれぞれ外部に突出している。突出した挟持端子部7b群、及び接触端子部7c群により、第1インターフェース部5A、及び第2インターフェース部5Bのそれぞれの接触子収容部5の正面視において、第1接触子7A、7A・・・、及び第2接触子7B、7B、・・・の配設状態と略同様の略マトリクス状が形成されている(図3参照)。
【0033】
第1インターフェース部5A及び第2インターフェース部5Bの接触子収容部5、5において、接触端子部7cが突出した面はそれぞれ外方を向いて本体部1の一端面(一方面)及び他端面(他方面)を形成し、ソケットボード30、及び回路基板60に電気的に接続される収容部8、8に形成されている。
【0034】
また、第1インターフェース部5Aの接触子収容部5、及び第2インターフェース部5Bの接触子収容部5において、挟持端子部7bが突出した面には、図5に示す通り突起部9a、9a・・・が複数突設されている。一対の突起部9a、9aの間において略凹状に陥没した部分は、固定部9bに形成されている。この固定部9bは、仮想軸1C(図2参照)を中心とした仮想径線1D、1D・・・(図2参照)に沿って均一の間隔で略放射状に複数併設されており、それぞれの固定部9bには、中間インターフェース部6aが、被接触部12(図4、図5参照)を第1接触子7A及び第2接触子7Bの挟持端子部7bにそれぞれ当接させて固定されている。
【0035】
この中間インターフェース部6aは略円環状であって、第1、第2インターフェース部5A、5Bを接続する方向に延びる略板状の中間体6が複数並べられて構成されている。
【0036】
中間体6は、図6に示すとおり、略板状の基板本体部10を備え、この基板本体部10はガラスエポキシ樹脂等の非導電性の材料によって形成されている。基板本体部10の両端部においては、一端部及び他端部の対称位置に、複数の突状部11、11・・・が両端方向に突設されており、隣接する突状部11、11の間には、第1接触子7A及び第2接触子7Bを配設したとき接触端子部7cの先端部が接触する位置に、正面視略U字状に陥没し、被接触部12に形成されている。被接触部12の表面は、金、白金等の導電性の薄膜によって被覆されている。
【0037】
基板本体部10の正面側の表面には、一端部から他端部にかけて、複数の導線部13、13・・・が略並行に複数配設されている。これらの導線部13、13・・・は、被接触部12の表面と同様、金、白金等、導電性の部材によって形成された薄膜であり、基板本体部10上に積層されている。
【0038】
基板本体部10の表面及び導線部13の表面には、絶縁層14が配設されている。この絶縁層14は非導電性の樹脂等によって形成された薄膜であって、基板本体部10の表面及び導線部13の表面の略全面にわたって配設されている。ただし、一部の導線部13(この実施の形態においては両側の導線部13、13、及び両側から数えてそれぞれ7つ目に位置する導線部13、13)の両端部近傍には、絶縁層14が形成されていない非絶縁部15が設けられている。
【0039】
絶縁層14及び非絶縁部15の表面には、導電層16が配設されている。この導電層16は、被接触部12や導線部13と同様に、金、白金等、導電性の材料によって形成された薄膜であり、絶縁層14及び非絶縁部15の表面に積層されている。導線部13のうち、非絶縁部15が設けられた部分の導線部13は導電層16と電気的に接続されており、この導線部13はグラウンド用導線部13aに形成されている。一方、非絶縁部15が設けられていない部分の導線部13は、信号用導線部13bに形成されている。
【0040】
グラウンド用導線部13a、信号用導線部13b、絶縁層14、導電層16により、同軸効果(後述)が奏される。グラウンド用導線部13a及び信号用導線部13bの長さや、絶縁層14及び導電層16の厚さ等は、同軸効果(後述)によってソケットボード30と回路基板60とのインピーダンスマッチングが図れるように構成されている。
【0041】
導電層16の表面には、被覆層17が配設されている。この被覆層17は、絶縁層14と同様に非導電性の樹脂等によって形成された薄膜であって、導電層16の略全面にわたって配設されている。
【0042】
次に、この実施の形態の作用について説明する。
【0043】
まず、この実施の形態の中間体6の製造方法について説明する。
【0044】
ガラスエポキシ樹脂等の材料を射出成形等によって略板状に形成して、図6に示す形状の基板本体部10を形成する。この基板本体部10の両端部には、複数の突状部11、11・・・を対称位置に突設するとともに、隣接する突状部11、11の間に正面視略U字状に陥没形成された被接触部12を設ける。
【0045】
形成された基板本体部10の正面側には、一端側の突状部11から他端側の対称位置に存在する突状部11にかけてマスキングを施し、マスキング後の基板本体部10の正面側には金、白金等の薄膜を被覆する。マスキングを除去すると、図6乃至図8に示す通り、被接触部12、12、・・・の表面に導電性の被覆が形成されるとともに、正面側には、両端部の被接触部12、12同士にかけて、複数の導線部13、13・・・が略並行に形成される(導線部形成工程)。
【0046】
被接触部12表面の被覆及び導線部13が形成されたのち、基板本体部10の正面側には、両側の導線部13、13、及び両側から数えてそれぞれ7つ目に位置する導線部13、13の両端部近傍にマスキングを施す(マスキング工程)。マスキング後、基板本体部10の正面側には非導電性の樹脂によって被覆を施し、この被覆によって絶縁層14を形成する(絶縁層形成工程)。絶縁層14の形成後、マスキングを除去すると、マスキング除去部分の導線部13が表出して非絶縁部15が形成される(マスキング除去工程)。非絶縁部15が設けられていない導線部13は、信号用導線部13bに形成される。
【0047】
絶縁層14及び非絶縁部15が形成されたのち、基板本体部10の正面側には、金、白金等の導電性の材料によって被覆を施し、この被覆により導電層16を形成する(導電層形成工程)。非絶縁部15の導線部13は導電層16と電気的に接続されてグラウンド用導線部13aに形成される。
【0048】
導電層16の表面には、非導電性の樹脂等によって被覆し、この被覆により被覆層17が形成される。
【0049】
このように、グラウンド用導線部13aを接地電位とするための構成や、信号用導線部13上に絶縁体による絶縁層14で被覆するための構成を、積層膜を形成する工程によって基板本体部10上に形成できるので、中間体6を簡易に形成することができる。
【0050】
次に、この実施の形態の分割体1B及びインターフェースコネクタ1Aの組立方法及び使用方法について説明する。
【0051】
非導電性の樹脂等により、複数本の第1接触子7A、7A、・・・を挟持端子部7b、及び接触端子部7cの向きを揃えた状態で接触子収容部5に略マトリクス状に収容した第1インターフェース部5Aを形成する。同様に、複数本の第2接触子7B、7B、・・・を接触子収容部5に収容した第2インターフェース部5Bを形成する。
【0052】
形成した第1インターフェース部5A、及び第2インターフェース部5Bを、それぞれの挟持端子部7b群が突出した面を対向させる。第1インターフェース部5A、及び第2インターフェース部5Bにおいて、接触子収容部5の挟持端子部7b群が突出した側には固定部9bが複数形成されており、この固定部9bにそれぞれ中間体6を嵌挿する。固定部9bに嵌挿された中間体6の両端部は、図4及び図5に示す通り、被接触部12が、第1接触子7Aの挟持端子部7b及び第2接触子7Bの挟持端子部7bにそれぞれ当接した状態で、第1インターフェース部5Aと第2インターフェース部5Bとの間に固定される。第1、第2接触子7A、7Bの挟持端子部7b、7bの端部の面積は被接触部12の面積よりも小さいので、挟持端子部7b、7bの端部は確実に被接触部12に接触する。
【0053】
第1インターフェース部5A及び第2インターフェース部5Bの全ての固定部9bに中間体6が固定されると、図3に示す分割体1Bが完成する。
【0054】
分割体1Bを複数用意したのち、一方の分割体1Bの一側部と他方の分割体1Bの他側部とを隣接させ、一方の分割体1Bの第1嵌合片2a、第2嵌合片2bを他方の分割体1Bの被嵌合部3に嵌合して、互いのねじ孔4aとねじ孔4c、ねじ孔4bとねじ孔4dの位置を合わせる。ねじ孔4aとねじ孔4c、ねじ孔4bとねじ孔4dの位置が合った状態で、ねじ孔4aとねじ孔4c、及びねじ孔4bとねじ孔4dにそれぞれねじ(図示せず)を螺合してふたつの分割体1B、1Bを組立てる。同様にして、分割体1Bを4個組立てると、略円環状の外周4分の1が形成され(図2)、分割体1Bを16個組立てると、略円環状のインターフェースコネクタ1Aが形成される。
【0055】
ソケットボード30の収容部31にはICパッケージ50を収容したICソケット40を収容し、このソケットボード30とIC試験装置側の回路基板60との間にインターフェースコネクタ1Aを配設すると、第1接触子7A、第2接触部7Bの弾性部7aの弾性力によって挟持端子部7bが基板本体部10の被接触部12に、第1接触子7Aの接触端子部7cがソケットボード30の電極部(図示せず)に、第2接触子7Bの接触端子部7cが回路基板60の電極部(図示せず)にそれぞれ圧着され、ソケットボード30と回路基板60とが電気的に接続される。第1接触子7Aの接触端子部7c、及び第2接触子7Bの接触端子部7cの端部の面積は、ソケットボード30の電極部(図示せず)や回路基板60の電極部(図示せず)の面積よりも小さいので、各接触端子部7c、7cは確実にソケットボード30の電極部(図示せず)や回路基板60の電極部(図示せず)に圧着される。
【0056】
回路基板60にICパッケージ50の性能試験用の高周波信号が供給されると、信号は回路基板60からインターフェースコネクタ1Aを介してソケットボード30に供給され、かかる信号はソケットボード30からICソケット40、さらにICパッケージ50に供給される。インターフェースコネクタ1Aにおいては、中間体6にグラウンド用導線部13aと信号用導線部13bとが設けられているので、電流導通時にはグラウンド用導線部13aが接地電位となるとともに、信号用導線部13bがソケットボード30と回路基板60との間に信号を導通させる。この状態において、信号用導線部13bは抵抗、グラウンド用導線部13aは主として誘導性リアクタンス、絶縁層14は主として容量性リアクタンスをそれぞれ形成する。即ち、この状態において中間体6は、信号用導線部13bは同軸ケーブルの芯線と、グラウンド用導線部13aが同軸ケーブルの外部導体と、絶縁層14が同軸ケーブルの絶縁体と実質的に同一となる同軸効果(coaxial effect)を奏する。中間体6が同軸効果を奏することにより、インターフェースコネクタ1Aは、ソケットボード30と回路基板60とのインピーダンスの調整と信号の反射の抑止を図り、ソケットボード30と回路基板60との電気的導通状態を良好にする。
【0057】
以上、この実施の形態においては、インターフェースコネクタ1Aを構成する分割体1Bの本体部1を、第1インターフェース部5A、第2インターフェース部5B、中間インターフェース部6aの3層によって形成し、中間インターフェース部6aを第1インターフェース部5A、第2インターフェース部5Bと着脱自在としたことにより、使用する状況に応じて一の中間インターフェース部6aを他の中間インターフェース部6aに置き換えることができる。この結果、幅方向大きさの異なる中間インターフェース部6aを複数用意しておけば、中間インターフェース部6aを適宜置き換えることで、第1インターフェース部5Aと第2インターフェース部5Bとを共用しながらソケットボード30と回路基板60との間隔に応じてインターフェースコネクタ1Aの幅方向大きさを変えることができ、また、インターフェースコネクタ1Aの配設作業が容易化する。
【0058】
また、この実施の形態においては、中間インターフェース部6aは、第1インターフェース部5A、第2インターフェース部5Bを接続する方向に延びる略板状の中間体6が複数並べられて構成され、中間体6おいては絶縁性を有する基板本体部10の表面に、第1インターフェース部5Aに収容された第1接触子7Aと第2インターフェース部5Bに収容された第2接触子7Bとを電気的に接続する導線部13が設けられたことにより、信号を導通させる導線部13を略板状の中間体6の表面に複数まとめた状態で簡易に形成できる。また、中間体6の着脱によって中間インターフェース部6aの幅方向大きさを変えることができる。
【0059】
また、インターフェースコネクタ1Aは、組み合わせると略円環状を形成する形状の本体部1を有する分割体1Bを、複数組み合わせて形成することにより、各分割体1Bの形状を小型化することができる。
【0060】
なお、上記実施の形態においては、分割体1Bを複数組み合わせて略円環状のインターフェースコネクタ1Aを形成したが、インターフェースコネクタを略円環状に形成し、一のインターフェースコネクタのみによってソケットボード30と回路基板60とを電気的に接続できる構成としてもよい。かかる構成とすることにより、ソケットボード30と回路基板60とを電気的に接続させるために分割体同士を組み合わせるような作業の煩雑さを解消するとともに複数のインターフェースコネクタ同士の組み合わせ状態の不具合等のトラブルを回避し、ソケットボード30と回路基板60とを一層簡易かつ確実に同軸状態に接続することが可能になる。
【0061】
上記実施の形態は例示であり、本発明が上記実施の形態に限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この実施の形態のインターフェースコネクタの平面図である。
【図2】同インターフェースコネクタを形成する分割体の一部正面図である。
【図3】この実施の形態の分割体の正面図である。
【図4】同上分割体の側面図である。
【図5】同上分割体のA−A部分を拡大した正面図である。
【図6】この実施の形態の中間体の斜視図である。
【図7】同上中間体のB−B断面図である。
【図8】同上中間体の(a)C−C断面図、及び(b)D−D断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1A・・・インターフェースコネクタ
1B・・・分割体
1・・・本体部
5A・・・第1インターフェース部
5B・・・第2インターフェース部
5・・・接触子収容部
6a・・・中間インターフェース部
6・・・中間体
7A・・・第1接触子
7B・・・第2接触子
9b・・・固定部
10・・・基板本体部
13・・・導線部
13a・・・グラウンド用導線部
13b・・・信号用導線部
14・・・絶縁層
15・・・被絶縁部
16・・・導電層
30・・・ソケットボード
60・・・回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電気部品と第2の電気部品との間に配設されて、前記第1及び第2の電気部品を電気的に接続するインターフェースコネクタにおいて、
前記第1の電気部品側に配設され、該第1の電気部品の電極部に接触される複数の導電性の第1接触子が、板状に形成された絶縁性の接触子収容部に収容された第1インターフェース部と、
前記第2の電気部品側に配設され、該第2の電気部品の電極部に接触される複数の導電性の第2接触子が、板状に形成された絶縁性の接触子収容部に収容された第2インターフェース部と、
該第2インターフェース部及び前記第1インターフェース部の間に着脱自在に配設され、前記第1インターフェース部の前記第1接触子及び前記第2インターフェース部の前記第2接触子を電気的に接続する中間インターフェース部とを有する本体部を備え、
該中間インターフェース部は、前記第1、第2インターフェース部を接続する方向に延びる略板状の中間体が複数並べられて構成され、該中間体は絶縁性を有する基板本体部に前記第1、第2接触子間を電気的に接続する導線部が設けられたことを特徴とするインターフェースコネクタ。
【請求項2】
前記導線部は、電流導通時に接地電位となるグラウンド用導線部と、電流導通時に信号電流を導通させる信号用導線部とであることを特徴とする請求項1に記載のインターフェースコネクタ。
【請求項3】
前記導線部は、前記基板本体部に積層形成され、
前記導線部の表面に積層された絶縁層と、該絶縁層の表面に積層された導電層とを有し、
前記導線部のうち一部は前記導電層と電気的に接続させて前記グラウンド用導線部に形成されるとともに、
該グラウンド用導線部に形成された前記導線部以外の前記導線部は前記信号用導線部に形成されることを特徴とする請求項2に記載のインターフェースコネクタ。
【請求項4】
前記第1インターフェース部及び前記第2インターフェース部の前記中間インターフェース部に面する側において、該中間インターフェース部を固定する固定部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載のインターフェースコネクタ。
【請求項5】
前記本体部は略円環状に形成されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載のインターフェースコネクタ。
【請求項6】
前記本体部は、同一形状を複数組み合わせると略円環状となる形状の組立て可能な分割体によって形成されたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載のインターフェースコネクタ。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一つに記載のインターフェースコネクタを構成する前記中間体の製造方法であって、
前記基板本体部の一方面の一端側から他端側にかけて複数の導電性の部材を略並行に配設し複数の導線部を形成する導線部形成工程と、
前記複数の導線部のうち一部の前記導線部の両端部にマスキングを施すマスキング工程と、
前記導線部の表面に絶縁体を積層し絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
前記マスキングを除去し前記導線部の両端部を露出させるマスキング除去工程と、
前記絶縁層及び前記露出した前記導線部の両端部の表面に導電体を積層し導電層を形成する導電層形成工程とを備えたことを特徴とするインターフェースコネクタを形成する中間体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−57241(P2007−57241A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−239502(P2005−239502)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】