説明

インターホンシステム

【課題】安価で確実に地震情報を取得することができるとともに、遠方にいる家族や外出中の家族からの安否確認が容易におこなうことができるインターホンシステムを提供する。
【解決手段】玄関子機と、居室親機と、地震情報をネットワーク網を介して受信し、玄関子機及び居室親機が設置された地域における震度、発生までの時間等の地域地震情報を算出する地震情報解析装置と、地震情報解析装置から送信された地域地震情報を各住戸に無線送信するための基地局から構成され、玄関子機は、基地局から無線送信された地域地震情報、又は近隣にある他の玄関子機から転送された当該地域地震情報を受信する無線受信部と、受信部で受信した地域地震情報を近隣の他の玄関子機へ無線送信する無線送信部とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホンシステムに係わり、特に戸建の住宅においても確実に地震情報を取得するとともに家族が安否確認できることを可能としたインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震情報を取得するに当たり、各家庭においてインターネット経由で取得することができ、これをもとに警報報知をおこなうとともにホームネットワークに接続された家電の制御をおこなうことができるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-165965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、戸建の家庭において地震情報を取得するに当たっては、各個人が地震情報の提供を受けるための契約を結び、機器の準備やインターホン等の環境を整える必要があった。
また、地震発生時に近所の住人の安否を確認したいと思った場合、電話や実際に家に行き安否確認をする方法が考えられるが、災害により電話が使用できなくなっていたり、また、家屋倒壊などで確認が困難になる虞もある。さらに、留守などで不在の場合もあるため、正確な安否確認できないことも考えられる。
【0005】
本発明はこの点に鑑みて提案されたもので、安価で確実に地震情報を取得することができるとともに、遠方にいる家族や外出中の家族からの安否確認が容易におこなうことができるインターホンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるインターホンシステムは、門扉、または玄関に設置された玄関子機と、玄関子機からの呼出音に対して応答し通話を行う居室親機と、地震が発生したとき気象庁等の緊急地震速報配信機関から送信された地震情報を、ネットワーク網を介して受信し、玄関子機及び居室親機が設置された地域における震度、発生までの時間等の地域地震情報を算出する地震情報解析装置と、地震情報解析装置から送信された地域地震情報を各住戸に無線送信するための基地局から構成され、玄関子機は、基地局から無線送信された地域地震情報、又は近隣にある他の玄関子機から転送された当該地域地震情報を受信する無線受信部と、受信部で受信した地域地震情報を近隣の他の玄関子機へ無線送信する無線送信部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の第2の態様であるインターホンシステムは、請求項1において、居室親機は、玄関子機を介して地域地震情報を重複して受信した場合は最初の地域地震情報を有効とし、他の地域地震情報を無効なものとして削除するよう制御する親機CPUを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第3の態様であるインターホンシステムは、請求項1又は請求項2において、居室親機は、玄関子機で受信した地域地震情報、又は近隣にある他の玄関子機から転送された最初の地域地震情報を報知する報知部を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第4の態様であるインターホンシステムは、請求項1乃至請求項3何れかにおいて、居室親機は、地震情報を出力した後、安否情報を入力する入力手段を備え、入力手段により入力された当該安否情報を玄関子機の無線送信部を介して基地局へ送信し、基地局は、安否情報を記憶する安否情報記憶部を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第5の態様であるインターホンシステムは、請求項1乃至請求4何れかにおいて、居室親機において留守時に設定する留守設定がなされた場合、地震情報を出力した後、安否情報を入力するモードに移行すると、玄関子機の無線送信部から留守設定した端末情報を付加した留守設定情報を当該玄関子機前の無線送信部を介して基地局へ送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、基地局にて受信された地震情報は各住戸に無線送信されるため、玄関子機で容易に受信することができるとともに、受信できない場合でも受信できた他の玄関子機から無線送信されるため、確実に地震情報を取得することができる。
請求項2の発明によれば、地震情報を重複して受信した場合には、最も早く受信した地震情報をもとに動作し、その後に受信した地震情報を破棄することにより、発報までのタイムラグを防止することができる。
請求項3の発明によれば、居室親機で地震情報を報知することができるので居住者はより早く避難を開始することができる。
請求項4の発明によれば、地震情報を受信した後、安否情報を基地局に送信することができるので、地域全体で住人の安否を把握することができる。
請求項5の発明によれば、地震情報を受信したとき留守である情報を登録することができるので、居住者が不在であっても自動的に不在情報が付加された安否情報を送信することができるので、管理者や遠方にいる家族に余計な心配をかけなくて済む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る実施形態であるインターホンシステムのシステム構成図である。
【図2】本発明に係る実施形態であるインターホンシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明によるインターホンシステムを適用した好ましい形態の実施例について、図を参照して説明する。
図1は本実施例に係るインターホンシステムのシステム構成図であり、地震が発生したとき各地域に地震発生を通知する気象庁等の緊急地震速報配信機関1と、当該緊急地震速報配信機関からの地震情報を、ネットワーク網NTを介して受信し、地域における震度、地震到達までの時間等の地域地震情報を算出する地震情報解析装置2と、地震情報解析装置近傍にある各住戸A〜Eに対して地域地震情報を無線送信する基地局3とから構成されている。なお、基地局3には、後述する居室親機から安否情報が通知されたとき、当該安否情報を記憶するための安否情報記憶部31を備えている。
【0014】
また、各住戸A〜Eにはそれぞれ玄関子機10及び居室親機20が設置されている。
この玄関子機10及び居室親機20は、図2のブロック図に示すように、来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタン101、来訪者が居住者と通話するためのマイク102、スピーカ103及び音響部104、来訪者の映像を撮像するカメラ105及び撮像した映像を居室親機20に送信するための映像処理部106、居室親機20から送信された情報を基地局3又は他の玄関子機10へ送信するための無線送信部107、基地局3又は他の玄関子機から送信された地震情報を受信する無線受信部108、居室親機20と通信するための子機IF109、玄関子機10の各部を制御する子機CPU110を有している。
【0015】
居室親機20は、来訪者からの呼び出しに応答して通話するための通話ボタン201、来訪者と通話するためのマイク202、スピーカ203及び音響部204、玄関子機10のカメラ105で撮像された映像を出画するためのモニタ205及び映像処理部206、安否確認をおこなうための確認ボタン207、安否確認時に安否確認情報に付加される居室IDが記憶された居室ID記憶部208、不在時に設定する不在設定部209、安否確認時に予め登録された通知先に安否情報を送信するための転送先情報記憶部210、受信した地域地震情報を記憶するための地域地震情報記憶部211、玄関子機10と通信するための親機IF212、居室親機20の各部を制御するための親機CPU213から構成されている。
【0016】
このように構成されたインターホンシステムについて、以下、動作を説明する。
まず、インターホンの動作として、玄関子機10の呼出ボタン101を押下して居住者を呼び出し、居室親機20のモニタ205で来訪者を確認して通話ボタンを操作し、玄関子機10のマイク102、スピーカ103と居室親機20のマイク202、スピーカ203間で通話をすることについては、従来と同様であるので説明を省略し、ここでは地震が発生した場合の動作について詳述する。
【0017】
ある地点で地震が発生すると、緊急地震速報配信機関1がその地震を検知し、震源地、震度等の測定結果を収集する。この測定結果はネットワーク網NTを介して地震情報解析装置2へと送信される。地震情報解析装置2では、震源地から当該地震情報解析装置が備えられた地点までの距離などから震度及びS波が到達するまでの時間を計算する。この計算結果は地域地震情報として基地局3に送信され、基地局3では、この地域地震情報を無線信号に変換して各住戸へと送信する。
【0018】
そして、地域地震情報は玄関子機10の無線受信部108を介して子機CPU110にて受信され、子機IF109を介して居室親機20に転送される。居室親機20では親機IF212を介して親機CPU213にて受信され、地域地震情報の内容を映像処理部206を介してモニタ205にて表示するとともに、音響部204を介してスピーカ203にて報知される。なお、この地域地震情報は、地域地震情報記憶部211に記憶される。モニタ205又はスピーカ203による報知内容としては「あと8秒で震度4の地震が到達します。注意してください」のような注意喚起がなされることになる。
【0019】
また、子機CPU110は、地域地震情報を受信すると無線送信部107から同じ内容の地地域震情報を送信し、他の住戸が基地局3からの無線信号が受信できない場合の予備信号として送信される。この予備信号は地域地震情報の無線信号と同様な経路で子機CPU10に送信されるが、子機CPU10は、地域地震情報記憶部211の情報を読み出し当該予備信号を受信する前に基地局3からの無線信号又は他の住戸からの予備信号を受信している場合には、これを無効と判断して破棄するよう制御する。これにより、居室親機20側でタイムラグの大きい情報に変わることなく精度の高い地域地震情報を報知することが可能となる。
居住者は、このように報知された地域地震情報から、S波が到達するまでの間に避難したり火を消すなどの対応をおこなう。
【0020】
地域地震情報が受信されなくなった居室親機20では、親機CPU213の制御により、安否確認モードに移行し、予め居室親機20内に記憶した安否情報を確認する旨の表示を映像処理部206を介してモニタ205に表示する。表示内容の例示としては「安否確認をおこないます。このメッセージを確認したら“確認ボタン”を操作してください」がなされる。これを確認した居住者が無事であれば確認ボタン207を操作する。親機CPU213は確認ボタン207が操作されたことを検出して、居室ID記憶部208に記憶された居室ID情報を付加した安否情報を親機IF212を介して玄関子機10に送信し、子機IF109を介して子機CPU110で受信する。
【0021】
子機CPU110では、安否情報を無線送信部107を制御して基地局3に送信する。基地局3では、この受信した安否情報を安否情報記憶部31にて記憶する。この情報が各住戸から送信されるため地域全体の安否を確認することができる。
また、居住者が留守の場合には、予め居室親機20の不在設定209にて不在設定がなされており、親機CPU213の制御により安否確認モードに移行した際には、自動的に居室ID記憶部208に記憶された居室ID情報を付加した安否情報を基地局に送信する。この安否情報には、不在設定がなされている旨の情報が付加されているため、住戸に人がいないことを確認することができる。
なお、上記実施例において、安否情報は各住戸から直接基地局3へ送信しているが、地域地震情報と同様に他の住戸の玄関子機10でも受信され、最終的に基地局3へ送信されるようにしてもよい。この場合、各住戸の玄関子機10の無線送信部107はそれぞれ基地局3へ送信するが、基地局3において、住戸の安否情報が重複した場合には、後で受信した安否情報を削除する制御がおこなわれることになる。
また、遠方にいる家族等に安否情報を送信したい場合には居室親機20の転送先情報記憶部210に予め送信先の情報、例えばe-mailアドレス等を登録しておくと、親機CPU213の制御により別途接続されている通信ネットワークを介して上述の安否情報(不在設定情報も含む)をメール等で送信することができる。
【符号の説明】
【0022】
1・・・ 緊急地震速報配信機関
2・・・ 地震情報解析装置
3・・・ 基地局
31・・・ 安否情報記憶部
10・・・ 玄関子機
102・・・ マイク
103・・・ スピーカ
107・・・ 無線送信部
108・・・ 無線受信部
20・・・ 居室親機
202・・・ マイク
203・・・ スピーカ
205・・・ モニタ
207・・・ 確認ボタン
208・・・ 居室ID記憶部
209・・・ 不在設定部
210・・・ 転送先情報記憶部
NT・・・ ネットワーク網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
門扉、または玄関に設置された玄関子機と、前記玄関子機からの呼出音に対して応答し通話を行う居室親機と、地震が発生したとき気象庁等の緊急地震速報配信機関から送信された地震情報を、ネットワーク網を介して受信し、前記玄関子機及び前記居室親機が設置された地域における震度、発生までの時間等の地域地震情報を算出する地震情報解析装置と、前記地震情報解析装置から送信された地域地震情報を各住戸に無線送信するための基地局から構成され、
前記玄関子機は、前記基地局から無線送信された地域地震情報、又は近隣にある他の玄関子機から転送された当該地域地震情報を受信する無線受信部と、前記受信部で受信した前記地域地震情報を近隣の他の玄関子機へ無線送信する無線送信部とを備えたことを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記居室親機は、前記玄関子機を介して前記地域地震情報を重複して受信した場合は最初の地域地震情報を有効とし、他の地域地震情報を無効なものとして削除するよう制御する親機CPUを備えたことを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記居室親機は、前記玄関子機で受信した地域地震情報、又は近隣にある他の玄関子機から転送された最初の地域地震情報を報知する報知部を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記居室親機は、地震情報を出力した後、安否情報を入力する入力手段を備え、前記入力手段により入力された当該安否情報を前記玄関子機の無線送信部を介して前記基地局へ送信し、
前記基地局は、前記安否情報を記憶する安否情報記憶部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか1項記載のインターホンシステム。
【請求項5】
前記居室親機において留守時に設定する留守設定がなされた場合、地震情報を出力した後、安否情報を入力するモードに移行すると、前記玄関子機の無線送信部から留守設定した端末情報を付加した留守設定情報を当該玄関子機前の無線送信部を介して前記基地局へ送信することを特徴とする請求項1乃至請求項4何れか1項記載のインターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−138871(P2012−138871A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291647(P2010−291647)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】