説明

インターホンシステム

【課題】 玄関子機に加えてWEBカメラを子機として設け、居室親機の機能を拡張することなく、玄関子機と通話中であっても、WEBカメラの映像や玄関子機の音声を記録できるインターホンシステムを提供する。
【解決手段】 WEBカメラ3と、WEBカメラ3の撮像映像データを蓄積するカメラサーバ4とを具備して、玄関子機1、居室親機2、WEBカメラ3、カメラサーバ4をLAN接続した。玄関子機1が呼出操作を受けると居室親機2に呼出信号を送出するのに加えてWEBカメラ3及びカメラサーバ4に起動信号を送出し、更に玄関子機1のマイクが収音した音をカメラサーバ4に送信し、カメラサーバは起動信号を受けてWEBカメラ3の撮像映像を記憶部に記録すると共に、玄関子機1が収音した音声を記録部に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1台の居室親機に対して玄関子機等の子機が複数接続されたインターホンシステムに関し、特に子機としてWEBカメラを備えたインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、1台の居室親機に対して玄関子機等の子機が複数接続されたインターホンシステムがある。例えば、特許文献1は集合住宅インターホンシステムであり、居室親機には住戸玄関に設置された玄関子機に加えて、集合玄関に設置された集合玄関機や管理室に設置された管理室親機等が接続されている。また、特許文献2ではドアホン子機に加えてWEBカメラが接続されている。
このような複数の子機が接続されたシステムでは、居室親機から複数の子機に対して同時に通信が可能であったり、通話或いは通信する子機を選択できるよう構成されており、特許文献1では居室親機が玄関子機と通話中となっている時に管理室親機から呼び出しが成されたら、メッセージを録音でき、通話終了後にメッセージを再生することで、通話することなく内容を認識できた。また、特許文献2では、WEBカメラの撮像映像も居室親機の選択操作により居室親機のモニタに表示できた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−208504号公報
【特許文献2】特開2004−135199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1インターホンシステムは、子機と通話中の居室親機は、同時に他の子機と接続して音声を録音することはできたが映像を録画することはできなかった。また、特許文献2のインターホンはドアホン子機を選択するようにWEBカメラを選択して、その撮像映像をモニタに表示させることはできたが、ドアホン子機の映像を表示している状態で、他のカメラの映像を録画したり見ることはできなかった。
しかし、特定の子機と通話状態或いは通信状態にあっても、防犯上の観点から他の子機カメラの撮像映像や音声を同時に確認できるようにしたいとする要望があり、そのような要求を満たすには居室親機を高機能化すれば可能であるがコスト高となる問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、玄関子機に加えてWEBカメラを接続した構成において、居室親機が玄関子機と通話中であっても、居室親機の機能を拡張することなくWEBカメラの映像や音声を平行して記録できるインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、玄関等住戸外に設置される玄関子機と、住戸内に設置される居室親機とを有し、玄関子機は居住者を呼び出して通話するための呼出手段及び通話手段を備えると共に、居室親機は呼び出しに応答するための通話手段を備えたインターホンシステムにおいて、WEBカメラと、WEBカメラの撮像映像データを蓄積するカメラサーバとを具備して、玄関子機及び居室親機は、通信ネットワークを介して互いに接続されると共にWEBカメラ及びカメラサーバと接続され、呼出操作を受けた玄関子機は、居室親機に呼出信号を送出するのに加えてカメラサーバ及びWEBカメラを起動する起動信号を送出する信号送信部と、起動信号に続いて玄関子機の通話手段が収音した音をカメラサーバに送信する音声送信部とを備え、カメラサーバは、起動信号を受けてWEBカメラの撮像映像を記録すると共に、玄関子機で収音した音声を記録する記録部及び記録制御部を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、玄関子機からの呼出操作を受けて、WEBカメラが撮像した映像と玄関子機で収音した音声とがカメラサーバに記録される。
よって、居室親機を介さず録画及び録音を実施するので、居室親機にWEBカメラと通信して録画する機能を設ける必要がなく、居室親機のコストアップを防止できる。加えて、居室親機の応答操作の有無に関わらず録画及び録音を行うので、利便性及び防犯性を向上できる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、玄関子機は、訪問者を撮像するための子機カメラを備え、信号送信部は、起動信号に引き続き子機カメラの撮像映像をカメラサーバに送出し、カメラサーバの記録制御部は、受信した子機カメラの撮像映像を記録部に記録することを特徴とする。
この構成によれば、玄関子機が撮像した映像もカメラサーバに録画される。よって、カメラサーバの記録を再生すれば訪問者の顔を確認することができ、不在時の訪問者を確認できる。また、応答した訪問者の記録も残るため、利便性及び防犯性を向上できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、居室親機は、映像を表示する表示部と、音声を報音する報音部と、カメラサーバが記録した映像を表示部に表示させると共に、カメラサーバが記録した音声を報音部で報音させる再生制御部及び再生操作部とを有することを特徴とする。
この構成によれば、居室親機の操作でカメラサーバに記録された映像及び音声を、居室親機において確認することができるので、カメラサーバを直接操作することなく記録された映像や音声を確認でき、利便性がよい。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の構成において、記録制御部は、記録する映像データと音声データのタイムスタンプの整合を図って記録することを特徴とする。
この構成によれば、WEBカメラの撮像映像と玄関子機の収音音声とが、時間ズレが発生しないよう記録される。よって、撮像機器と収音機器が異なる機器であっても、記録した映像と音声を一致させて再生でき、再生した際に違和感が生ずるようなことがない。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の構成において、玄関子機は、人物の接近を感知する人感センサを備え、人感センサが感知動作したら、呼出通知部が起動信号を送出することを特徴とする。
この構成によれば、人感センサが感知動作した場合も、WEBカメラの映像を録画し、玄関子機が収音した音声を録音するので、呼出ボタンを押さない不審者等の映像を音声と合わせて記録でき防犯機能が向上する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、玄関子機からの呼出操作を受けて、WEBカメラが撮像した映像と玄関子機で収音した音声とがカメラサーバに記録される。そのため、居室親機を介さず録画及び録音を実施でき、居室親機にWEBカメラと通信して録画する機能を設ける必要がなく、居室親機のコストアップを防止できる。加えて、居室親機の応答操作の有無に関わらず録画及び録音を行うので、利便性及び防犯性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るインターホンシステムの一例を示す構成図である。
【図2】玄関子機の回路ブロック図である。
【図3】居室親機の回路ブロック図である。
【図4】カメラサーバの回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係るインターホンシステムの一例を示すシステム構成図であり、玄関等戸外に設置される玄関子機1、住戸内に設置される居室親機2、戸外に設置されるWEBカメラ3、映像データや音声データを蓄積するカメラサーバ4を備え、これらの機器はHUB5を介したLANにより接続されている。
【0014】
玄関子機1は図2に示すように構成されている。図2は玄関子機1の回路ブロック図であり、居住者を呼び出すための呼出ボタン11、訪問者を撮像するためのカメラ12、居住者と通話するためのマイク及びスピーカを備えた通話部13、人物の接近を感知する人感センサ14、LANを介してTCP/IP等の汎用ネットワークプロトコルにより居室親機2等と通信するための子機通信インターフェース(子機通信IF)15等を備えている。
【0015】
居室親機2は図3に示すように構成されている。図3は居室親機2の回路ブロック図であり、呼び出しに応答するための通話ボタン21、訪問者と通話するためのマイク及びスピーカを備えた通話部22、玄関子機1のカメラ12が撮像した映像を表示するためのモニタ23、伝送された映像データをモニタ23に表示するために映像処理する映像処理部24、各種操作を行うための操作部25、居室親機を制御する親機CPU26、LANを介して玄関子機1等と通信するための親機通信インターフェース(親機通信IF)27等を備えている。
【0016】
カメラサーバ4は図4に示すように構成されている。図4はカメラサーバ4の回路ブロック図であり、映像データ及び音声データを記録する記録部41、記録する映像及び再生する映像のデータ処理を行う映像処理部42、記録する音声及び再生する音声のデータ処理を行う音声処理部43、カメラサーバ4を制御するサーバCPU44、LANを介してTCP/IP等の汎用ネットワークプロトコルによりWEBカメラ3等と通信するためのサーバ通信インターフェース(サーバ通信IF)45等を備えている。
【0017】
玄関子機1、WEBカメラ3、カメラサーバ4は、それぞれNTP等の時刻合わせ機能を有し、カメラサーバ4が記録する際、音声と映像のタイムスタンプの整合を図って記録される。
【0018】
このように構成されたインターホンシステムは次のように動作する。訪問者が玄関子機1の呼出ボタン11を操作して呼出操作を行なうと、子機通信IF15からHUB5を介して居室親機2に呼出信号が送信されると共に、WEBカメラ3とカメラサーバ4に対して起動信号が送信される。
また、呼出操作を受けた玄関子機1は、カメラ12と通話部13の図示しないマイクが起動し、カメラ12が撮像を開始して映像を出力すると共に、マイクが収音した音(音声)を出力する。こうして出力された映像データ及び音声データは、子機通信IF15がタイムスタンプを付加して、居室親機2及びカメラサーバ4に対して送信する。
【0019】
呼出信号を受けた居室親機2は、親機CPU26の制御により通話部22の図示しないスピーカから呼出音を報音し、受信した映像データをモニタ23に表示する。この呼出音を受けて、居住者により居室親機2の通話ボタン21が操作されると、居室親機2と玄関子機1との間で通話路が形成され、居住者はモニタ23に表示された映像で訪問者を確認しながら訪問者と通話を実施できる。
【0020】
一方、起動信号を受信したWEBカメラ3は撮像を開始し、タイムスタンプを付加した映像データをカメラサーバ4に対して送信する。また、起動信号を受信したカメラサーバ4は、サーバCPU44の制御により玄関子機1から伝送された映像データ及び音声データと、WEBカメラ3から伝送された映像信号とをタイムスタンプとともに受信し、それぞれのタイムスタンプが一致するように音声データと映像データとを一体化して記録部41に記録する。こうして、カメラサーバ4の記録動作は、居室親機2の応答操作の有無に関係なく行われ、予め設定した一定時間が経過したら記録動作を終了する。
【0021】
尚、「一体化」とは、音声データ及び映像データを一体として1つのファイル(記録部)に記録するのみでなく、受信したファイルのシーケンス番号等とタイムスタンプを比較して、再生時にそれぞれの音声信号及び映像信号がずれないようにインデックスファイルを作成する等の複数のファイルに記録する方法も含むものである。
また、WEBカメラ3を複数備えている場合は、玄関子機1から全てのWEBカメラ3に対して起動信号を送信することで、同様にカメラサーバ4において個々のWEBカメラの撮像映像を録画することが可能である。
【0022】
こうして記録した音声データ及び映像データの再生操作は、居室親機2の操作で行われる。具体的に、居室親機2の操作部25が所定の再生操作されると、居室親機2からカメラサーバ4に対して再生要求信号が送出される。この再生要求信号を受信したカメラサーバ4は、サーバCPU44が記録部41に記録した映像データ(操作部25で選択された一方の映像データ)及び音声データをタイムスタンプと共に取り出して、居室親機2へ送信する。
この映像データ及び音声データを入手した居室親機2は、親機CPU26の制御でモニタ23に映像が表示され、通話部22のスピーカから音声が報音される。このとき、親機CPU26は、映像と音声のタイムスタンプを一致させて再生制御する。
【0023】
一方、人感センサ14が感知動作した場合は次のように動作する。人感センサ14は不審者を検知する為に設けられ、タイマーを内蔵して一定時間に亘り人物の接近を検知し続けたら感知信号を出力する。感知信号が出力されたら、上記呼出操作を受けた場合と同様に子機通信IF15からWEBカメラ3、及びカメラサーバ4に対して起動信号が送出される。また通話部13のマイクが起動して収音した音声がカメラサーバ4に送信される。
【0024】
起動信号を受けたWEBカメラ3は、撮像を開始してその映像データをカメラサーバ4に送信する。そして、起動信号を受けたカメラサーバ4は、WEBカメラ3が撮像した映像データと、玄関子機1から送信された音声データとをタイムスタンプが一致するように一体化して記録部41に記録する。但し、呼出ボタン11の操作等でカメラサーバ4が既に記録を行っている場合は、新たな起動信号が送信されてもその信号は無視される。
【0025】
このように、玄関子機1からの呼出操作を受けて、WEBカメラ3が撮像した映像と玄関子機1で収音した音声とがカメラサーバ4に記録される。よって、居室親機2を介さず録画及び録音を実施するので、居室親機2にWEBカメラ3と通信して録画する機能を設ける必要がなく、居室親機2のコストアップを防止できる。加えて、居室親機2の応答操作の有無に関わらず録画及び録音を行うので、利便性及び防犯性を向上できる。
また、玄関子機1が撮像した映像もカメラサーバ4に録画されるので、カメラサーバ4の記録を再生すれば訪問者の顔を確認することができ、不在時の訪問者を確認できる。そして、応答した訪問者の記録も残るため、利便性及び防犯性を向上できる。
更に、居室親機2の操作でカメラサーバ4に記録された映像及び音声を、居室親機2において確認することができるので、カメラサーバ4を直接操作することなく、記録された映像や音声を確認でき、利便性がよい。
また、WEBカメラ3の撮像映像と玄関子機1の収音音声とが、時間ズレが発生しないよう記録されるため、撮像機器と収音機器が異なっても、記録した映像と音声は一致させて再生でき、再生した際に違和感が生ずるようなことがない。
また、人感センサ14が感知動作した場合も、WEBカメラ3の映像を録画し、玄関子機1が収音した音声を録音するので、呼出ボタン11を押さない不審者等の映像を音声と合わせて記録でき防犯機能が向上する。
【0026】
尚、上記実施形態では、同一の建物の内外に機器を配置しているが、これに限らず、例えばカメラサーバ4を遠隔地のデータセンターやプロバイダー内のサーバに設置することもできるし、カメラサーバ4の受信機能及び合成機能のみを室内に設置し、保管のためのストレージ部(記録部)のみをデータセンターやプロバイダー内のサーバに設置することもできる。さらには、WEBカメラ3とカメラサーバ4を別体としていたが、これらを一体としても良い。
また、カメラサーバ4自体にモニタ及びスピーカを設けて、記録した映像及び音声を再生できるよう構成しても良い。この場合、居室親機2にカメラサーバ4と通信する機能が無くても、記録映像や音声を再生して確認することが可能となる。
更に、それぞれの機器を有線接続しているが、無線LAN等の無線接続としても良い。
【符号の説明】
【0027】
1・・玄関子機、2・・居室親機、3・・WEBカメラ、4・・カメラサーバ、11・・呼出ボタン(呼出手段)、12・・カメラ、13・・通話部(通話手段)、14・・人感センサ、15・・子機通信IF(信号送信部、音声送信部)、22・・通話部(報音部)、23・・モニタ(表示部)、25・・操作部(再生操作部)、26・・親機CPU(再生制御部)、41・・記録部、44・・サーバCPU(記録制御部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関等戸外に設置される玄関子機と、住戸内に設置される居室親機とを有し、前記玄関子機は居住者を呼び出して通話するための呼出手段及び通話手段を備えると共に、前記居室親機は前記呼び出しに応答するための通話手段を備えたインターホンシステムにおいて、
WEBカメラと、前記WEBカメラの撮像映像データを蓄積するカメラサーバとを具備して、前記玄関子機及び前記居室親機は、通信ネットワークを介して互いに接続されると共に前記WEBカメラ及び前記カメラサーバと接続され、
呼出操作を受けた前記玄関子機は、前記居室親機に呼出信号を送出するのに加えて前記カメラサーバ及び前記WEBカメラを起動する起動信号を送出する信号送信部と、起動信号に続いて前記玄関子機の前記通話手段が収音した音を前記カメラサーバに送信する音声送信部とを備え、
前記カメラサーバは、前記起動信号を受けて前記WEBカメラの撮像映像を記録すると共に、前記玄関子機で収音した音声を記録する記録部及び記録制御部を備えたことを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記玄関子機は、訪問者を撮像するための子機カメラを備え、前記信号送信部は、前記起動信号に引き続き前記子機カメラの撮像映像を前記カメラサーバに送出し、前記カメラサーバの記録制御部は、受信した前記子機カメラの撮像映像を前記記録部に記録することを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記居室親機は、映像を表示する表示部と、音声を報音する報音部と、前記カメラサーバが記録した映像を前記表示部に表示させると共に、前記カメラサーバが記録した音声を前記報音部で報音させる再生制御部及び再生操作部とを有することを特徴とする請求項1又は2記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記記録制御部は、記録する映像データと音声データのタイムスタンプの整合を図って記録することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のインターホンシステム。
【請求項5】
前記玄関子機は、人物の接近を感知する人感センサを備え、前記人感センサが感知動作したら、前記呼出通知部が前記起動信号を送出することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のインターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−15626(P2012−15626A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147919(P2010−147919)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】