説明

インターホン装置

【課題】 他の電子機器等に影響を及ぼすことがなく、容易に設置することができ、消費電力を低減することができるインターホン装置を提供する。
【解決手段】 通話装置Aと通話装置Bとの間で互いに音声信号を送受信することにより双方向の通話を可能としたインターホン装置において、通話装置A、Bは、空間に光信号6a、6bを発光する発光部4a、4bと、空間を介して光信号6b、6aを受光する受光部5a、5bと、マイク2a、2bからの音声信号を信号処理して発光部4a、4bに与え受光部5a、5bからの電気信号を音声信号に変換してスピーカ1a、1bに与える音声制御部7a、7bをそれぞれ備えるとともに、受光部5bの光信号6aの受光量に基づいて発光部4aの発光量を調整し、受光部5aの光信号6bの受光量に基づいて発光部4bの発光量を調整する発光量調整手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内に設置されるインターホン親機と室外に設置されるインターホン子機との間で音声信号を送受信することにより双方向の通話ができるようにしているインターホン装置に関するものであり、特に、容易に設置することができるインターホン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のインターホン装置には、室内に設置されるインターホン親機と室外に設置されるインターホン子機との間を伝送ケーブル等の信号線で接続し、この信号線を介して音声信号を送受信することにより双方向の通話ができるようにしているものが多い。また、光ファイバを伝送路に用いた光インターホンもある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭62―283727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、プライバシーの保護やセキュリティーの面から、また、機密保持や密閉性の維持というような面などから、インターホン装置が設置されていない家の玄関や部屋等に新たにインターホン装置を設置したいという要望がある。
【0004】
これは、例えば、インターホン装置が設置されていない家の玄関や部屋等の場合、来訪者のノックや呼びかけに対して室内にいる者が来訪者を確認するための返答をする際や、来訪者と会話をする際に、上記の面を考慮して玄関や部屋のドアを開けなければ、室内にいる者と来訪者はそのドア越しに会話をする必要があり、会話がしづらくなったり、場合によっては会話できないことがあったりするからである。
【0005】
しかしながら、インターホン装置が設置されていない家の玄関や部屋等に新たにインターホン装置を設置する場合、従来のインターホン装置は伝送ケーブル等の信号線や光ファイバーをその家や部屋の壁などに穴を開けて通す必要があり、設置工事が大がかりになるという問題があった。
【0006】
この場合、ワイヤレス方式で音声信号を伝送すれば、伝送ケーブル等の信号線や光ファイバーは不要となり、それらを通す工事は必要なくなるが、ワイヤレス方式として電波を用いる場合、発信される電波が周辺の電子機器に誤動作を発生させるなどの影響を及ぼす可能性があり、病院等の医療機器が設置されているところでは電波の発信はできないという規制もある。また、電波で音声信号を伝送するインターホン装置を近い位置に複数設置する場合には、それぞれのインターホン装置から発信される電波同士の干渉を防止しなければならず、それぞれのインターホン装置が発信する電波の周波数等の調整が必要であり、容易に設置できないという問題があった。
【0007】
また、ワイヤレス方式として光を用いる場合、即ち、音声信号を光信号に変換し、その光信号を光ファイバーなどを介さず空間を伝送する場合、光信号の受信状態はインターホン親機とインターホン子機の設置位置や、光信号が伝送される空間の状態によって変化する。
【0008】
例えば、インターホン親機とインターホン子機とが、いずれか一方の投光部と他方の受光部の光軸がずれた位置に設置されている場合、前記他方の受光部の受信する光信号の光量は、前記光軸が合っている場合に比して低減する。また、インターホン親機とインターホン子機との間に窓ガラス等の介在物が存在する場合、その介在物によって光信号は減衰する。
【0009】
そこで、予め、光信号の発光量をある程度多くなるように設定しておけば、上記のような場合であっても、光信号を伝送して通話することが可能となる可能性が高くなる。しかしながら、そのようにすると、大量の発光をさせるために消費電力が増大するという問題があった。特に、駆動電源として電池を使用しているインターホン装置の場合には、発光のための大きな消費電力で電池が急速に消耗してしまい、短時間で使用できなくなるという問題があった。
【0010】
従って、ワイヤレス方式として光を用いた従来のインターホン装置は、設置する場合にインターホン親機とインターホン子機の設置位置の調整や、発光量を適切な量に調整する調整作業が必要であり、容易に設置できないという問題があった。
【0011】
本発明は、上記の点に鑑み、他の電子機器等に影響を及ぼすことがなく、容易に設置することができ、消費電力を低減することができるインターホン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、第1の通話装置と第2の通話装置との間で互いに音声信号を送受信することにより双方向の通話を可能としたインターホン装置において、第1、第2の通話装置は、与えられた信号に基づいて空間に光信号を発光する発光部と、空間を介して受光した他方の通話装置の発光部が発光した光信号を電気信号に変換する受光部と、マイクからの音声信号を信号処理して前記発光部に与え前記受光部からの電気信号を音声信号に変換してスピーカに与える音声制御部とをそれぞれ備えるとともに、一方の通話装置の受光部の光信号の受光量に基づいて他方の通話装置の発光部の発光量を調整する発光量調整手段を備えるようにしたものである。
【0013】
この構成によれば、一方の通話装置のマイクからの音声信号が光信号に変換され、その光信号が前記一方の通話装置の発光部から他方の通話装置の受光部へ空間を介して光伝送され、前記他方の通話装置の音声制御部で音声信号に変換されて前記他方の通話装置のスピーカに与えられる。即ち、第1の通話装置と第2の通話装置との間で音声信号を空間を介した光伝送で送受信して双方向に通話をすることができる。従って、インターホン装置を設置する際に、第1の通話装置と第2の通話装置との間に音声信号を伝送するための伝送ケーブル等の信号線や光ファイバー等を設ける必要がなくなる。
【0014】
また、一方の通話装置の受光部の光信号の受光量に基づいて他方の通話装置の発光部の発光量が調整されるので、第1、第2の通話装置の発光部の発光量が適切な発光量に調整されることにより第1、第2の通話装置の発光のための消費電力が低減されるとともに、第1、第2の通話装置の設置状況に応じて第1、第2の通話装置の発光部の発光量を調整することなく、第1の通話装置と第2の通話装置との間で信号を安定して光伝送することができる。
【0015】
また、請求項2の発明は、第1の通話装置と第2の通話装置との間で互いに音声信号を送受信することにより双方向の通話を可能としたインターホン装置において、第1の通話装置は、与えられた信号に基づいて空間に第1の光信号を発光する第1の発光部と、空間を介して受光した第2の光信号を電気信号に変換する第1の受光部と、第1のマイクからの音声信号を信号処理して第1の発光部に与えるとともに第1の受光部からの電気信号を音声信号に変換して第1のスピーカに与える第1の音声制御部とを備え、第2の通話装置は、与えられた信号に基づいて空間に第2の光信号を発光する第2の発光部と、空間を介して受光した第1の光信号を電気信号に変換する第2の受光部と、第2のマイクからの音声信号を信号処理して第2の発光部に与えるとともに第2の受光部からの電気信号を音声信号に変換して第2のスピーカに与える第2の音声制御部とを備え、第1、第2の通話装置は、第2の受光部の第1の光信号の受光量に基づいて第1の発光部の発光量を調整し、第1の受光部の第2の光信号の受光量に基づいて第2の発光部の発光量を調整する発光量調整手段を備えるようにしたものである。
【0016】
この構成によれば、第1の通話装置の第1のマイクからの音声信号が第1の光信号に変換されて第1の発光部から第2の通話装置の第2の受光部へ空間を介して光伝送され、第2の通話装置の第2の音声制御部で音声信号に変換されて第2のスピーカに与えられる。また、第2の通話装置の第2のマイクからの音声信号が第2の光信号に変換されて第2の発光部から第1の通話装置の第1の受光部へ空間を介して光伝送され、第1の通話装置の第1の音声制御部で音声信号に変換されて第1のスピーカに与えられる。即ち、第1の通話装置と第2の通話装置との間で音声信号を空間を介した光伝送で送受信して双方向に通話をすることができる。従って、インターホン装置を設置する際に、第1の通話装置と第2の通話装置との間に音声信号を伝送するための伝送ケーブル等の信号線や光ファイバー等を設ける必要がなくなる。
【0017】
また、第2の通話装置の第2の受光部の第1の光信号の受光量に基づいて第1の通話装置の第1の発光部の発光量が調整され、第1の通話装置の第1の受光部の第2の光信号の受光量に基づいて第1の通話装置の第1の発光部の発光量が調整されるので、第1、第2の通話装置の発光部の発光量が適切な発光量に調整されることにより第1、第2の通話装置の発光のための消費電力が低減されるとともに、第1、第2の通話装置の設置状況に応じて第1、第2の通話装置の第1、第2の発光部の発光量を調整することなく第1の通話装置と第2の通話装置との間で信号を安定して光伝送することができる。
【0018】
また、請求項3の発明では、請求項2の発明において、第1の発光部は、第1の光信号を発光する第1の発光ダイオードと、与えられた信号に基づいて第1の発光ダイオードを駆動する第1の発光駆動部とを有し、第1の受光部は、受光した第2の光信号を電気信号に変換する第1の光電素子を有し、第2の発光部は、第2の光信号を発光する第2の発光ダイオードと、与えられた信号に基づいて第2の発光ダイオードを駆動する第2の発光駆動部とを有し、第2の受光部は、受光した第1の光信号を電気信号に変換する第2の光電素子を有するようにしている。
【0019】
この構成によれば、第1の発光駆動部に与えられた信号に基づく第1の光信号が第1の発光ダイオードから発光され、第2の光電素子で第1の発光ダイオードが発光した第1の光信号が電気信号に変換される。即ち、第1の発光部から第2の受光部へ信号が光伝送される。また、第2の発光駆動部に与えられた信号に基づく第2の光信号が第2の発光ダイオードから発光され、第1の光電素子で第2の発光ダイオードが発光した第2の光信号が電気信号に変換される。即ち、第2の発光部から第1の受光部へ信号が光伝送される。
【0020】
また、請求項4の発明では、請求項3の発明において、前記発光量調整手段は、第1の受光部に設けられ受光した第2の光信号の光量を電圧に変換する第1の光電セルと、第1の発光駆動部に設けられ与えられる調整指示に基づいて第1の発光ダイオードの発光量を調整する第1の発光量調整部と、第1の通話装置に設けられ発光量調整モードになったことを認識した場合に、第1の試験信号を生成して第1の発光駆動部に与え、そのときの第1の光電素子からの電気信号を変換した第2の比較結果信号が示す比較結果に基づいて第1の発光量調整部に調整指示を与えるとともに、第1の光電素子からの電気信号が第2の試験信号であると認識した場合には第1の光電セルからの電圧の値と第1の所定電圧値との比較結果を第1の比較結果信号として第1の発光駆動部に与える第1の処理装置と、第2の受光部に設けられ受光した第1の光信号の光量を電圧に変換する第2の光電セルと、第2の発光駆動部に設けられ与えられる調整指示に基づいて第2の発光ダイオードの発光量を調整する第2の発光量調整部と、第2の通話装置に設けられ発光量調整モードになったことを認識した場合に、第2の試験信号を生成して第2の発光駆動部に与え、そのときの第2の光電素子からの電気信号を変換した第1の比較結果信号が示す比較結果に基づいて第2の発光量調整部に調整指示を与えるとともに、第2の光電素子からの電気信号が第1の試験信号であると認識した場合には第2の光電セルからの電圧の値と第2の所定電圧値との比較結果を第2の比較結果信号として第2の発光駆動部に与える第2の処理装置とを有するようにしている。
【0021】
この構成によれば、第1の処理装置は発光量調整モードになったことを認識した場合に、第1の試験信号を生成して第1の発光駆動部に与えるので、第1の発光ダイオードから第1の試験信号としての第1の光信号が発光される。そして、その第1の試験信号としての第1の光信号を受光した第2の光電素子からの電気信号が第2の処理装置に与えられ、第2の処理装置はその電気信号が第1の試験信号であると認識して第2の光電セルからの電圧の値と第2の所定電圧値との比較結果を第2の比較結果信号として第2の発光駆動部に与えるので、第2の発光ダイオードから第2の比較結果信号としての第2の光信号が発光される。そして、その第2の比較結果信号としての第2の光信号を受光した第1の光電素子からの電気信号が第1の処理装置に与えられ、第1の処理装置はその電気信号を第2の比較結果信号に変換し第2の比較結果信号が示す比較結果に基づく調整指示を第1の発光量調整部に与える。そして、第1の発光量調整部は与えられた調整指示に基づいて第1の発光ダイオードの発光量を調整する。即ち、第2の光電セルからの電圧の値と第2の所定電圧値との比較結果に基づいて第1の発光ダイオードの発光量が調整される。
【0022】
また、第2の処理装置は発光量調整モードになったことを認識した場合に、第2の試験信号を生成して第2の発光駆動部に与えるので、第2の発光ダイオードから第2の試験信号としての第2の光信号が発光される。そして、その第2の試験信号としての第2の光信号を受光した第1の光電素子からの電気信号が第1の処理装置に与えられ、第1の処理装置はその電気信号が第2の試験信号であると認識して第1の光電セルからの電圧の値と第1の所定電圧値との比較結果を第1の比較結果信号として第1の発光駆動部に与えるので、第1の発光ダイオードから第1の比較結果信号としての第1の光信号が発光される。そして、その第1の比較結果信号としての第1の光信号を受光した第2の光電素子からの電気信号が第2の処理装置に与えられ、第2の処理装置はその電気信号を第1の比較結果信号に変換し第1の比較結果信号が示す比較結果に基づく調整指示を第2の発光量調整部に与える。そして、第2の発光量調整部は与えられた調整指示に基づいて第2の発光ダイオードの発光量を調整する。即ち、第1の光電セルからの電圧の値と第1の所定電圧値との比較結果に基づいて第2の発光ダイオードの発光量が調整される。
【0023】
また、請求項5の発明では、請求項4の発明において、第1の所定電圧値を、第1の光電素子が安定して動作するために必要な最低限の受光量を第1の光電セルの受光量に換算し、その受光量を与えられたときの第1の光電セルの出力電圧の値とし、第2の所定電圧値を、第2の光電素子が安定して動作するために必要な最低限の受光量を第2の光電セルの受光量に換算し、その受光量を与えられたときの第2の光電セルの出力電圧の値とするようにしている。
【0024】
このようにすれば、第1の発光ダイオードの発光量が第2の光電素子が安定して動作するために必要な最低限の受光量を得られる適切な発光量となるように調整されるようにできる。また、第2の発光ダイオードの発光量が第1の光電素子が安定して動作するために必要な最低限の受光量を得られる適切な発光量となるように調整されるようにできる。
【0025】
また、請求項6の発明では、請求項3〜請求項5の発明において、第1の発光ダイオードが発光する光の波長と第2の発光ダイオードが発光する光の波長とが異なるようにしている。このようにすれば、互いの光の干渉が防止されるので、第1の通話装置から第2の通話装置への信号の光伝送と第2の通話装置から第1の通話装置への信号の光伝送とを同時に行うことができる。
【0026】
また、請求項7の発明では、請求項6の発明において、第1、第2の発光ダイオードの一方の発光ダイオードが発光する光は、波長が8500オングストローム〜9500オングストロームの赤外光であり、他方の発光ダイオードが発光する光は、波長が6000オングストローム〜7500オングストロームの可視光であるようにしている。このようにすれば、互いの発光ダイオードの光の波長に差があるので、互いの光の干渉が確実に防止される。
【0027】
また、請求項8の発明では、請求項1〜請求項7の発明において、第1、第2の通話装置のそれぞれは、電池を駆動電源としている。この構成によれば、第1、第2の通話装置への電源供給のための配線が不要となる。
【0028】
また、請求項9の発明では、請求項8の発明において、第1、第2の通話装置のそれぞれは、待機中である場合に前記電池の電力を起動に必要な部分に供給する電源供給部を備えている。この構成によれば、第1、第2の通話装置の待機中の消費電力が低減され電池の消耗が抑えられる。
【0029】
また、請求項10の発明では、請求項1〜請求項9の発明において、第1、第2の通話装置は、同じ形状及び構造であるようにしている。この構成によれば、大量生産効果によりインターホン装置を低コスト化することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、第1の通話装置と第2の通話装置との間で互いに音声信号をワイヤレスの光伝送で送受信するので、他の電子機器等にその電子機器等を誤動作させてしまうような影響を及ぼすことなく双方向の通話を可能としたインターホン装置が実現できる。
【0031】
また、インターホン装置を設置する際に、第1の通話装置と第2の通話装置との間に音声信号を伝送するための伝送ケーブル等の信号線や光ファイバー等を設ける必要がないので、それらを家や部屋の壁などに穴を開けて通すというような大がかりな設置工事が不要となり、容易に設置することができるインターホン装置が実現できる。
【0032】
また、第1の発光ダイオードの発光量を第2の光電素子が安定して動作するために必要な最低限の受光量を得られる適切な発光量となるように調整し、また、第2の発光ダイオードの発光量を第1の光電素子が安定して動作するために必要な最低限の受光量を得られる適切な発光量となるように調整することが可能となるので、発光のための消費電力が低減されるとともに、インターホン装置を設置する場合に第1、第2の通話装置の設置位置の調整や、第1、第2の発光ダイオードの発光量を適切な量に調整する調整作業が不要となる。従って、消費電力が低減でき、容易に設置することができるインターホン装置が実現できる。
【0033】
また、第1の通話装置から第2の通話装置への信号の光伝送と第2の通話装置から第1の通話装置への信号の光伝送とを同時に行うことができるので、同時に通話をすることができるインターホン装置が実現できる。
【0034】
また、電池を駆動電源としているので、第1、第2の通話装置への電源供給のための配線が不要となり、さらに容易に設置することができるインターホン装置が実現できる。
【0035】
また、電力供給部により第1、第2の通話装置の待機中の消費電力が低減され電池の消耗が抑えられるので、インターホン装置の長時間の使用が可能となる。
【0036】
また、第1、第2の通話装置は、同じ形状及び構造であるようにすれば、大量生産効果によりインターホン装置を低コスト化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
一般的に、家の玄関や会社の会議室、応接室のような部屋のドアには、のぞき窓や、すりガラス、くもりガラス等をはめ込んだ窓が設けられている場合がある。また、玄関やそのような部屋には、ドアの近傍に採光用の窓が設けられている場合もある。本発明は、そのようなドアや窓に容易に設置して使用することができるインターホン装置を実現するものである。
【0038】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るインターホン装置の外観を示す斜視図である。図1に示すインターホン装置は、一対の通話装置A、Bから構成されている。通話装置Aと通話装置Bとは同じ形状及び構造であり、室内に設置されるいずれか一方がインターホン親機として使用され、室外に設置される他方がインターホン子機として使用される。
【0039】
通話装置Aは、通話装置Aの本体前面にスピーカ1a、マイク2a、ボタン3aを備え、背面に発光部4a、受光部5aを備えている。通話装置Bも同様に、通話装置Bの本体前面にスピーカ1b、マイク2b、ボタン3bを備え、背面に発光部4b、受光部5bを備えている。そして、通話装置Aと通話装置Bは、互いの背面同士が対向するように、また、ドアに設けられている光を透過する部分やドアの近傍に設けられている窓ガラス等(不図示)を挟んで室内外にそれぞれ配置されており、発光部4aから出射された光信号6aが受光部5bに入射され、発光部4bから出射された光信号6bが受光部5aに入射されるようになっている。
【0040】
図2は、図1に示すインターホン装置の電気的構成を示すブロック図である。説明の便宜上、図2において、図1と同一の部分には同一の符号を付している。
【0041】
通話装置Aは、スピーカ1a、マイク2a、ボタン3a、発光部4a、受光部5aと、通話装置Aの各部の制御及び音声制御を行う音声制御部7aと、電池11aと、電池11aの電力を音声制御部7aからの指示に基づいて通話装置Aの各部に供給する電源供給部10aと、マイク2aからの入力音声信号を増幅して音声制御部7aに与える増幅器9aと、音声制御部7aからの出力音声信号を増幅してスピーカ1aに与える増幅器8aとを備えている。
【0042】
また、通話装置Bは、スピーカ1b、マイク2b、ボタン3b、発光部4b、受光部5bと、通話装置Bの各部の制御及び音声制御を行う音声制御部7bと、電池11bと、電池11bの電力を音声制御部7bからの指示に基づいて通話装置Bの各部に供給する電源供給部10bと、マイク2bからの入力音声信号を増幅して音声制御部7bに与える増幅器9bと、音声制御部7bからの出力音声信号を増幅してスピーカ1bに与える増幅器8bとを備えている。
【0043】
図3は、図2に示すインターホン装置の通話装置A、Bの発光部、受光部、音声制御部のさらに詳細な電気的構成を示すブロック図である。図3において、図2と同一の部分には同一の符号を付している。
【0044】
通話装置Aの受光部5aは、光信号を電気信号に変換するNPN型のホトトランジスタQ1aと、受光量に比例した電圧を出力する光電セルQ2aとを有している。ホトトランジスタQ1aのエミッタはグランドに接続され、ホトトランジスタQ1aのコレクタには抵抗R1aを介して電源供給部10aからの電源電圧が与えられ、ホトトランジスタQ1aのコレクタ電圧が直流成分カット用のコンデンサC1aを介して音声制御部7aに与えられるようになっている。
【0045】
また、音声制御部7aは、光電セルQ2aの出力電圧をデジタルデータに変換するA/D(アナログ/デジタル)変換器12aと、A/D変換器12aからのデジタルデータを処理するCPU(Central Processing Unit)13aとを含む構成である。
【0046】
また、発光部4aは、発光ダイオードD1aと、音声制御部7aからの信号に基づいて発光ダイオードD1aを駆動する発光駆動部14aとで構成され、発光駆動部14aは、発光ダイオードD1aに流す電流量を変化させるなどして発光ダイオードD1aの発光量をCPU13aからの調整指示に基づいて調整する発光量調整部15aを有している。
【0047】
一方、通話装置Bの受光部5bは、光信号を電気信号に変換するNPN型のホトトランジスタQ1bと、受光量に比例した電圧を出力する光電セルQ2bとを有している。ホトトランジスタQ1bのエミッタはグランドに接続され、ホトトランジスタQ1bのコレクタには抵抗R1bを介して電源供給部10bからの電源電圧が与えられ、ホトトランジスタQ1bのコレクタ電圧が直流成分カット用のコンデンサC1bを介して音声制御部7bに与えられるようになっている。
【0048】
また、音声制御部7bは、光電セルQ2bの出力電圧をデジタルデータに変換するA/D変換器12bと、A/D変換器12bからのデジタルデータを処理するCPU13bとを含む構成である。
【0049】
また、発光部4bは、発光ダイオードD1bと、音声制御部7bからの信号に基づいて発光ダイオードD1bを駆動する発光駆動部14bとで構成され、発光駆動部14bは、発光ダイオードD1bに流す電流量を変化させるなどして発光ダイオードD1bの発光量をCPU13bからの調整指示に基づいて調整する発光量調整部15bを有している。
【0050】
次に、このような構成のインターホン装置の動作を説明する。先ず、通常の通話動作を説明する。尚、通話装置Aと通話装置Bとは同じ形状及び構造であり、室内に設置されるいずれか一方がインターホン親機として使用され、室外に設置される他方がインターホン子機として使用されるのであるが、以下の説明は、通話装置Aをインターホン親機、通話装置Bをインターホン子機として使用することとして行う。
【0051】
先ず、図1乃至図3に示すインターホン装置を設置した部屋に来訪者が訪れていないとき、即ち、通話装置A、Bがともに待機中のとき、通話装置A、Bはともにスタンバイモードとなり、このとき、通話装置Bの電源供給部10bは、ボタン3bの押下を音声制御部7bが認識するために必要な一部にのみ電力供給を行い、他の各部には電力供給が行わないようにして消費電力を低減し電池11bの消耗を防いでいる。
【0052】
また、通話装置Aの電源供給部10aも、受光部5aが光信号6bを受光したかどうかを音声制御部7aが認識するために必要な一部のみに電力供給を行い、他の各部には電力供給を行わないようにして消費電力を低減し電池11aの消耗を防いでいる。
【0053】
そして、来訪者が訪れ、室外にある通話装置Bのボタン3bが押下されると、音声制御部7bはこれを認識して、電源供給部10bに対して通話装置B全体に電源供給するよう指示を与える。これによりスタンバイモードが解除され、通話装置B全体が起動する。
【0054】
そして、音声制御部7bは呼出信号を生成し、さらにこれを変調した呼出変調信号を発光部4bの発光駆動部14bに与え、発光駆動部14bはこの呼出変調信号に基づいて発光ダイオードD1bを駆動して発光ダイオードD1bを発光させる。
【0055】
発光ダイオードD1bからの呼出変調信号である光信号6bは、受光部5aのホトトランジスタQ1aに入射され、ホトトランジスタQ1aはこの呼出変調信号である光信号6bを電気信号に変換して音声制御部7aに与える。音声制御部7aは、ホトトランジスタQ1aから電気信号が入力されたことを認識すると、電源供給部10aに対して通話装置A全体に電源供給するよう指示を与える。これによりスタンバイモードが解除され、通話装置A全体が起動する。
【0056】
そして、音声制御部7aは、ホトトランジスタQ1aからの電気信号を復調し、呼出信号であることを認識すると、スピーカ1aから、例えば「ピンポン」というような所定の呼出音を発音させるための呼出音信号を生成し、増幅器8aを介してスピーカ1aに与える。これにより、スピーカ1aから、例えば「ピンポン」というような所定の呼出音が発音され、室内にいる者は来訪者の存在を認識することができる。
【0057】
また、室内にいる者が、ボタン3aを押しながらマイク2aに向かって、例えば、「はい」或いは「どちらさまですか」というような応答を示す音声を発すると、マイク2aに入力された入力音声は入力音声信号に変換され、さらに増幅器9aで増幅されて音声制御部7aに与えられる。
【0058】
音声制御部7aは、増幅器9aからの入力音声信号を変調して発光部4aの発光駆動部14aに与え、発光駆動部14aはこの変調された入力音声信号に基づいて発光ダイオードD1aを駆動して発光ダイオードD1aを発光させる。
【0059】
発光ダイオードD1aからの変調された入力音声信号である光信号6aは、受光部5bのホトトランジスタQ1bに入射され、ホトトランジスタQ1bはこの変調された入力音声信号である光信号6aを電気信号に変換して音声制御部7bに与える。
【0060】
そして、音声制御部7bは、ホトトランジスタQ1bからの電気信号を元の入力音声信号に復調し、増幅器8bを介してスピーカ1bに与える。これにより、マイク2aに入力された、例えば、「はい」或いは「どちらさまですか」というような応答を示す音声がスピーカ1bから発音され、来訪者は室内にいる者の発した音声を認識することができる。
【0061】
また、来訪者が、ボタン3bを押しながらマイク2bに向かって、例えば、自分の姓名や用件を伝えるための音声を発すると、マイク2bに入力された入力音声は入力音声信号に変換され、さらに増幅器9bで増幅されて音声制御部7bに与えられる。
【0062】
音声制御部7bは、増幅器9bからの入力音声信号を変調して発光部4bの発光駆動部14bに与え、発光駆動部14bはこの変調された入力音声信号に基づいて発光ダイオードD1bを駆動して発光ダイオードD1bを発光させる。
【0063】
発光ダイオードD1bからの変調された入力音声信号である光信号6bは、受光部5aのホトトランジスタQ1aに入射され、ホトトランジスタQ1aはこの変調された入力音声信号である光信号6bを電気信号に変換して音声制御部7aに与える。
【0064】
そして、音声制御部7aは、ホトトランジスタQ1aからの電気信号を元の入力音声信号に復調し、増幅器8aを介してスピーカ1aに与える。これにより、マイク2bに入力された、例えば、来訪者の姓名や用件を伝えるための音声がスピーカ1aから発音され、室内にいる者は来訪者の発した音声を認識することができる。
【0065】
このようにして、来訪者と室内にいる者とが通話をすることができる。尚、ボタン3a、ボタン3bを押さずに通話できるようにすることも可能である。
【0066】
また、来訪者と室内にいる者とは、交互に通話をするのではなく、同時に通話をすることができる。この同時通話を実現するために、発光ダイオードD1aと発光ダイオードD1bの発光する光の波長は、互いの光の干渉を防止するために異なるものにしている。例えば、発光ダイオードD1aの発光する光は、波長が8500オングストローム〜9500オングストロームの赤外光にし、発光ダイオードD1bの発光する光は、波長が6000オングストローム〜7500オングストロームの可視光にすると良い。互いの発光ダイオードの光の波長に適度の差を設けることにより、互いの光の干渉を防ぐことができる。
【0067】
また、音声制御部7aは、ボタン3aが所定時間以上押下されない場合、且つ、マイク2aに前記所定時間以上音声入力がされない場合、且つ、受光部5aからの信号が前記所定時間以上入力されない場合には、電源供給部10aに指示を与え、受光部5aが光信号6bを受光したかどうかを音声制御部7bが認識するために必要な一部のみに電力供給を行い、他の各部には電力供給を行わないようにする。即ち、上記の場合には通話装置Aはスタンバイモードとなる。
【0068】
同様に、音声制御部7bは、ボタン3bが所定時間以上押下されない場合、且つ、マイク2bに前記所定時間以上音声入力がされない場合、且つ、受光部5bからの信号が前記所定時間以上入力されない場合には、電源供給部10bに指示を与え、ボタン3bの押下を音声制御部7bが認識するために必要な一部にのみ電力供給を行い、他の各部には電力供給を行わないようにする。即ち、上記の場合には通話装置Bはスタンバイモードとなる。
【0069】
次に、発光ダイオードD1a、D1bの発光量調整について説明するが、動作説明の前に、この発光ダイオードD1a、D1bの発光量調整を行う目的について説明する。
【0070】
通話装置A、Bは、図1に示すように、互いの背面を対向させて設置されるが、このとき、発光部4aの光軸と受光部5bの光軸とが同一直線上になるように、且つ、発光部4bの光軸と受光部5aの光軸とが同一直線上になるように設置されるとは限らない。尚、この光軸とは、発光部4a、受光部5a、発光部4b、受光部5bのそれぞれが有する光源、レンズ等の光学系の中心を連ねる直線のことをいう。
【0071】
例えば、通話装置A、Bが、図4に示すように設置される場合もある。図4は、図1に示す通話装置A、Bを、通話装置Aまたは通話装置Bの前面から見たときの発光部4a、受光部5a、発光部4b、受光部5bのそれぞれの位置を示す図である。
【0072】
このように設置されると、発光部4aの光軸と受光部5bの光軸とがずれてしまうので、ホトトランジスタQ1bの受光量は、発光部4aの光軸と受光部5bの光軸とが同一直線上になるように設置された場合に比して減少する。ホトトランジスタQ1bの受光量は、発光部4aの光軸と受光部5bの光軸とのずれが大きいほど、よりいっそう減少する。
【0073】
また、同様に、発光部4bの光軸と受光部5aの光軸とがずれてしまうので、ホトトランジスタQ1aの受光量は、発光部4bの光軸と受光部5aの光軸とが同一直線上になるように設置された場合に比して減少する。ホトトランジスタQ1aの受光量は、発光部4bの光軸と受光部5aの光軸とのずれが大きいほど、よりいっそう減少する。
【0074】
また、例えば、通話装置A、Bが、光の透過率が低いくもりガラスのような介在物を挟んで設置される場合もある。その場合、発光部4aの光軸と受光部5bの光軸が同一直線上になるように、且つ、発光部4bの光軸と受光部5aの光軸が同一直上になるように設置されたとしても、光信号がその介在物で減衰してしまい、ホトトランジスタQ1aの受光量、及びホトトランジスタQ1bの受光量は、前記介在物が無い場合、或いは、その介在物が光の透過率の高い透明ガラスのような介在物である場合に比して減少する。
【0075】
上記のような設置状況であっても、ホトトランジスタQ1aの受光量、及びホトトランジスタQ1bの受光量が所定の受光量以上となって、安定した光信号の伝送ができるようにするためには、発光ダイオードD1a、D1bの発光量を調整して増やせば良いが、そのような調整を通話装置A、Bの設置状況に応じていちいち行うのは面倒であるとともに作業時間もかかる。
【0076】
この場合、発光ダイオードD1a、D1bを最大限の光量で発光させるようにすれば、通話装置A、Bの設置状況に応じて発光量調整する必要はなくなるが、そのようにすると、常に最大限の光量での発光をするために消費電力が増大し、電池11a、11bが急速に消耗してしまうことになる。
【0077】
そこで、本実施形態のインターホン装置は、発光ダイオードD1a、D1bの発光量を通話装置A、Bの設置状況に応じた適切な発光量に自動的に調整するようにしている。以下に、この発光量調整の動作説明を行う。
【0078】
通話装置Aのボタン3aまたは通話装置Bのボタン3bのいずれかが、例えば、一定時間以上長押しされるなどの特殊な操作をされると、本実施形態のインターホン装置の発光量調整動作が開始する。尚、発光量調整動作を開始させるボタン等を別途設けるようにしても構わない。ここでは、通話装置Aのボタン3aが特殊な操作をされて発光量調整動作が開始したものとする。
【0079】
ボタン3aが発光量調整動作開始のための特殊な操作をされると、音声制御部7aはこれを認識して発光量調整モードとなり、音声制御部7a内のCPU13aは試験信号を生成し、さらにこれを変調した試験変調信号を発光部4aの発光駆動部14aに与える。発光駆動部14aは与えられた試験変調信号に基づいて発光ダイオードD1aを駆動して発光ダイオードD1aを発光させる。また、このとき、CPU13aは、発光駆動部14a内の発光量調整部15aに対して発光ダイオードD1aの発光量を最大にするよう調整指示を与える。
【0080】
発光ダイオードD1aからの試験変調信号である光信号6aは、受光部5bのホトトランジスタQ1bに入射されるとともに、その一部は光電セルQ2bにも入射される。ホトトランジスタQ1bは試験変調信号である光信号6aを電気信号に変換して音声制御部7bに与え、音声制御部7bはホトトランジスタQ1bからの電気信号を復調し、試験信号であることを認識して発光量調整モードとなる。
【0081】
発光量調整モードとなった音声制御部7bのCPU13bは、光電セルQ2bの出力電圧がA/D変換器12bでA/D変換されたデジタルデータの値と予めCPU13bに記憶されている基準値とを比較し、その比較結果を示す比較結果信号を変調して発光駆動部14bに与え、発光駆動部14bはこの変調された比較結果信号に基づいて発光ダイオードD1bを駆動して発光ダイオードD1bを発光させる。
【0082】
ここで、CPU13bに記憶されている基準値とは、ホトトランジスタQ1bが安定して動作するために必要な最低限の受光量を光電セルQ2bの受光量に換算し、その受光量を与えられたときの光電セルQ2bの電圧をA/D変換した値である。従って、前記デジタルデータの値が前記基準値よりも大きければ、ホトトランジスタQ1bは安定して動作するために必要な最低限の受光量を得ているということになる。尚、ホトトランジスタQ1bの受光量と光電セルQ2bの受光量とは比例関係にある。
【0083】
そして、ホトトランジスタQ1aはこの変調された比較結果信号である光信号6bを受光し電気信号に変換して音声制御部7aに与え、音声制御部7aは、ホトトランジスタQ1aからの電気信号を元の比較結果信号に復調する。そして、発光量調整モードとなっている音声制御部7aのCPU13aは、この比較結果信号が前記デジタルデータの値が前記基準値より大きいという比較結果を示すものである場合、発光駆動部14a内の発光量調整部15aに対して発光ダイオードD1aの発光量を下げるよう調整指示を与えて発光ダイオードD1aの発光量を減少させ、前記比較結果信号が前記デジタルデータの値と前記設定値とが等しいという比較結果を示すものである場合、発光量調整部15aに対して発光ダイオードD1aの発光量を現時点での発光量で固定するよう調整指示を与え、発光ダイオードD1aの発光量は固定される。
【0084】
このようにして、発光ダイオードD1aの発光量は、前記デジタルデータの値とCPU13bに記憶されている前記基準値とが等しくなるように、即ち、ホトトランジスタQ1bが安定して動作するために必要な最低限の受光量を得られる適切な発光量となるように調整される。
【0085】
次に、発光ダイオードD1bの発光量の調整動作に移行する。CPU13bは、発光ダイオードD1aの発光量調整終了をCPU13aからの光伝送による終了通知などにより認識すると、試験信号を生成し、さらにこれを変調した試験変調信号を発光部4bの発光駆動部14bに与える。発光駆動部14bは与えられた試験変調信号に基づいて発光ダイオードD1bを駆動して発光ダイオードD1bを発光させる。また、このとき、CPU13bは、発光駆動部14b内の発光量調整部15bに対して発光ダイオードD1bの発光量を最大にするよう調整指示を与える。
【0086】
発光ダイオードD1bからの試験変調信号である光信号6bは、受光部5aのホトトランジスタQ1aに入射されるとともに、その一部は光電セルQ2aにも入射される。
【0087】
発光量調整モードとなっている音声制御部7aのCPU13aは、光電セルQ2aの出力電圧がA/D変換器12aでA/D変換されたデジタルデータの値と予めCPU13aに記憶されている基準値とを比較し、その比較結果を示す比較結果信号を変調して発光駆動部14aに与え、発光駆動部14aはこの変調された比較結果信号に基づいて発光ダイオードD1aを駆動して発光ダイオードD1aを発光させる。
【0088】
ここで、CPU13aに記憶されている基準値とは、ホトトランジスタQ1aが安定して動作するために必要な最低限の受光量を光電セルQ2aの受光量に換算し、その受光量を与えられたときの光電セルQ2aの電圧をA/D変換した値である。従って、前記デジタルデータの値が前記基準値よりも大きければ、ホトトランジスタQ1aは安定して動作するために必要な最低限の受光量を得ているということになる。尚、ホトトランジスタQ1aの受光量と光電セルQ2aの受光量とは比例関係にある。
【0089】
そして、ホトトランジスタQ1bはこの変調された比較結果信号である光信号6aを受光し電気信号に変換して音声制御部7bに与え、音声制御部7bは、ホトトランジスタQ1bからの電気信号を元の比較結果信号に復調する。そして、発光量調整モードとなっている音声制御部7bのCPU13bは、この比較結果信号が前記デジタルデータの値が前記基準値より大きいという比較結果を示すものである場合、発光駆動部14b内の発光量調整部15bに対して発光ダイオードD1bの発光量を下げるよう調整指示を与えて発光ダイオードD1bの発光量を減少させ、前記比較結果信号が前記デジタルデータの値と前記設定値とが等しいという比較結果を示すものである場合、発光量調整部15bに対して発光ダイオードD1bの発光量を現時点での発光量で固定するよう調整指示を与え、発光ダイオードD1bの発光量は固定される。
【0090】
このようにして、発光ダイオードD1bの発光量は、前記デジタルデータの値とCPU13aに記憶されている前記基準値とが等しくなるように、即ち、ホトトランジスタQ1aが安定して動作するために必要な最低限の受光量を得られる適切な発光量となるように調整される。以上で、発光量調整動作が終了する。
【0091】
以上、説明したように、本実施形態によれば、室内外にそれぞれ設置される通話装置Aと通話装置Bとの間で音声信号をワイヤレスの光伝送で送受信するので、他の電子機器等にその電子機器等を誤動作させてしまうような影響を及ぼすことなく、室内外で双方向に通話をすることのできるインターホン装置が実現できる。
【0092】
また、通話装置Aの発光ダイオードD1aの光の波長と、通話装置Bの発光ダイオードD1bの光の波長とを異なるものにすることで互いの光の干渉を防ぎ、同時通話を可能としている。
【0093】
また、本実施形態のインターホン装置を設置する際には、通話装置Aと通話装置Bとの間に音声信号を伝送するための伝送ケーブル等の信号線や光ファイバー等を設ける必要がないので、それらを家や部屋の壁などに穴を開けて通すというような大がかりな設置工事が不要となる。さらに、通話装置A及び通話装置Bはいずれも駆動電源として電池を使用しているので、電源供給のための配線も不要となり、容易に設置することができるインターホン装置が実現できる。
【0094】
また、発光ダイオードD1a、D1bの発光量を、ホトトランジスタQ1a、Q1bが安定して動作するために必要な最低限の受光量を得られる適切な発光量に自動的に調整するようにしているので、通話装置A、Bが互いの投光部、受光部の光軸がずれた位置に設置された場合や、通話装置A、Bの間に透過性の介在物が存在する場合であっても、通話装置A、Bの設置位置の調整や発光ダイオードD1a、D1bの発光量を調整する調整作業をすることなく、安定して光信号を送受信することができる。また、これにより、発光のための消費電力が低減され電池の消耗が抑えられることにより、インターホン装置の長時間の使用が可能となる。
【0095】
また、通話装置Aと通話装置Bとは必ずしも同じ形状及び構造とする必要はないが、通話装置Aと通話装置Bとを同じ形状及び構造にすると、大量生産効果により低コスト化することが可能となる。
【0096】
また、図1に示すインターホン装置は、通話装置Aの発光部4aと受光部5aとの間、及び通話装置Bの発光部4bと受光部5bとの間に所定の距離が設けられているが、通話装置Aの発光部4aと受光部5a、及び通話装置Bの発光部4bと受光部5bとを近接した位置に設け、例えば、玄関用ドアののぞき窓のような小さい光伝送路を介して互いに光信号を送受信できるようにすることも可能である。
【0097】
また、図1に示すインターホン装置の通話装置A、Bの背面に磁石を設けると、通話装置A、Bを磁性体で構成されたドア等に固定したり、非磁性体で構成されたガラス等の部材であっても、互いの磁石の引きつけあう力を利用してその部材を挟みこむように固定したりすることが可能となり、インターホン装置の設置がよりいっそう容易になる。
【0098】
また、本実施形態は、音声信号のみを送受信するインターホン装置であるが、通話装置A、Bのいずれか一方にCCD等の撮像素子、他方に表示画面を設け、音声信号とともに前記撮像素子で撮像した画像の画像信号を送受信し、前記撮像素子で撮像した画像を表示画面でモニタしながら通話ができるモニタ機能付きのインターホン装置にすることも可能である。
【0099】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各部の構成等を適宜に変更して実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の一実施形態に係るインターホン装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインターホン装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示すインターホン装置のさらに詳細な電気的構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す一対の通話装置を一方の通話装置の前面から見たときの各発光部、受光部のそれぞれの位置を示す図である。
【符号の説明】
【0101】
1a スピーカ(第1のスピーカ)
1b スピーカ(第2のスピーカ)
2a マイク(第1のマイク)
2b マイク(第2のマイク)
3a、3b ボタン
4a 発光部(第1の発光部)
4b 発光部(第2の発光部)
5a 受光部(第1の受光部)
5b 受光部(第2の受光部)
6a 光信号(第1の光信号)
6b 光信号(第2の光信号)
7a 音声制御部(第1の音声制御部)
7b 音声制御部(第2の音声制御部)
8a、8b、9a、9b 増幅器
10a、10b 電源供給部
11a、11b 電池
12a、12b A/D変換器
13a CPU(第1の処理装置、発光量調整手段)
13b CPU(第2の処理装置、発光量調整手段)
14a 発光駆動部(第1の発光駆動部)
14b 発光駆動部(第2の発光駆動部)
15a 発光量調整部(第1の発光量調整部、発光量調整手段)
15b 発光量調整部(第2の発光量調整部、発光量調整手段)
A 通話装置(第1の通話装置)
B 通話装置(第2の通話装置)
C1a、C1b コンデンサ
D1a 発光ダイオード(第1の発光ダイオード)
D1b 発光ダイオード(第2の発光ダイオード)
Q1a ホトトランジスタ(第1の光電素子)
Q1b ホトトランジスタ(第2の光電素子)
Q2a 光電セル(第1の光電セル、発光量調整手段)
Q2b 光電セル(第2の光電セル、発光量調整手段)
R1a、R1b 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通話装置と第2の通話装置との間で互いに音声信号を送受信することにより双方向の通話を可能としたインターホン装置において、
第1、第2の通話装置は、与えられた信号に基づいて空間に光信号を発光する発光部と、空間を介して受光した他方の通話装置の発光部が発光した光信号を電気信号に変換する受光部と、マイクからの音声信号を信号処理して前記発光部に与え前記受光部からの電気信号を音声信号に変換してスピーカに与える音声制御部とをそれぞれ備えるとともに、一方の通話装置の受光部の光信号の受光量に基づいて他方の通話装置の発光部の発光量を調整する発光量調整手段を備えることを特徴とするインターホン装置。
【請求項2】
第1の通話装置と第2の通話装置との間で互いに音声信号を送受信することにより双方向の通話を可能としたインターホン装置において、
第1の通話装置は、与えられた信号に基づいて空間に第1の光信号を発光する第1の発光部と、空間を介して受光した第2の光信号を電気信号に変換する第1の受光部と、第1のマイクからの音声信号を信号処理して第1の発光部に与えるとともに第1の受光部からの電気信号を音声信号に変換して第1のスピーカに与える第1の音声制御部とを備え、
第2の通話装置は、与えられた信号に基づいて空間に第2の光信号を発光する第2の発光部と、空間を介して受光した第1の光信号を電気信号に変換する第2の受光部と、第2のマイクからの音声信号を信号処理して第2の発光部に与えるとともに第2の受光部からの電気信号を音声信号に変換して第2のスピーカに与える第2の音声制御部とを備え、
第1、第2の通話装置は、第2の受光部の第1の光信号の受光量に基づいて第1の発光部の発光量を調整し、第1の受光部の第2の光信号の受光量に基づいて第2の発光部の発光量を調整する発光量調整手段を備えることを特徴とするインターホン装置。
【請求項3】
第1の発光部は、第1の光信号を発光する第1の発光ダイオードと、与えられた信号に基づいて第1の発光ダイオードを駆動する第1の発光駆動部とを有し、
第1の受光部は、受光した第2の光信号を電気信号に変換する第1の光電素子を有し、
第2の発光部は、第2の光信号を発光する第2の発光ダイオードと、与えられた信号に基づいて第2の発光ダイオードを駆動する第2の発光駆動部とを有し、
第2の受光部は、受光した第1の光信号を電気信号に変換する第2の光電素子を有することを特徴とする請求項2に記載のインターホン装置。
【請求項4】
前記発光量調整手段は、
第1の受光部に設けられ受光した第2の光信号の光量を電圧に変換する第1の光電セルと、
第1の発光駆動部に設けられ与えられる調整指示に基づいて第1の発光ダイオードの発光量を調整する第1の発光量調整部と、
第1の通話装置に設けられ発光量調整モードになったことを認識した場合に、第1の試験信号を生成して第1の発光駆動部に与え、そのときの第1の光電素子からの電気信号を変換した第2の比較結果信号が示す比較結果に基づいて第1の発光量調整部に調整指示を与えるとともに、第1の光電素子からの電気信号が第2の試験信号であると認識した場合には第1の光電セルからの電圧の値と第1の所定電圧値との比較結果を第1の比較結果信号として第1の発光駆動部に与える第1の処理装置と、
第2の受光部に設けられ受光した第1の光信号の光量を電圧に変換する第2の光電セルと、
第2の発光駆動部に設けられ与えられる調整指示に基づいて第2の発光ダイオードの発光量を調整する第2の発光量調整部と、
第2の通話装置に設けられ発光量調整モードになったことを認識した場合に、第2の試験信号を生成して第2の発光駆動部に与え、そのときの第2の光電素子からの電気信号を変換した第1の比較結果信号が示す比較結果に基づいて第2の発光量調整部に調整指示を与えるとともに、第2の光電素子からの電気信号が第1の試験信号であると認識した場合には第2の光電セルからの電圧の値と第2の所定電圧値との比較結果を第2の比較結果信号として第2の発光駆動部に与える第2の処理装置と、
を有することを特徴とする請求項3に記載のインターホン装置。
【請求項5】
第1の所定電圧値を、第1の光電素子が安定して動作するために必要な最低限の受光量を第1の光電セルの受光量に換算し、その受光量を与えられたときの第1の光電セルの出力電圧の値とし、
第2の所定電圧値を、第2の光電素子が安定して動作するために必要な最低限の受光量を第2の光電セルの受光量に換算し、その受光量を与えられたときの第2の光電セルの出力電圧の値とすることを特徴とする請求項4に記載のインターホン装置。
【請求項6】
第1の発光ダイオードが発光する光の波長と第2の発光ダイオードが発光する光の波長とが異なることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載のインターホン装置。
【請求項7】
第1、第2の発光ダイオードの一方の発光ダイオードが発光する光は、波長が8500オングストローム〜9500オングストロームの赤外光であり、他方の発光ダイオードが発光する光は、波長が6000オングストローム〜7500オングストロームの可視光であることを特徴とする請求項6に記載のインターホン装置。
【請求項8】
第1、第2の通話装置のそれぞれは、電池を駆動電源としていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のインターホン装置。
【請求項9】
第1、第2の通話装置のそれぞれは、待機中である場合に前記電池の電力を起動に必要な部分に供給する電源供給部を備えていることを特徴とする請求項8に記載のインターホン装置。
【請求項10】
第1、第2の通話装置は、同じ形状及び構造であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載のインターホン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−33378(P2006−33378A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208844(P2004−208844)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】