インターホン装置
【課題】 発振器、例えば水晶振動子が安価なものでも時計機能の精度を改善できて、正確な現在時刻を取得できること。
【解決手段】 発振器から生成されるクロックをカウントし、該クロックを所定数カウントすることにより所定の単位時間を計時したとして、該所定の単位時間を現在時刻情報に加算して現在時刻情報を取得更新する時計機能を有する内部時計部を備えたインターホン装置において、操作部の操作入力によって、前記内部時計部の時計機能の精度を補正する時計機能精度補正手段を備えたことを特徴とする。
【解決手段】 発振器から生成されるクロックをカウントし、該クロックを所定数カウントすることにより所定の単位時間を計時したとして、該所定の単位時間を現在時刻情報に加算して現在時刻情報を取得更新する時計機能を有する内部時計部を備えたインターホン装置において、操作部の操作入力によって、前記内部時計部の時計機能の精度を補正する時計機能精度補正手段を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インターホンシステムが示されている。このインターホンシステムは、住戸内に設けられたインターホン装置としてのインターホン親機に内部時計部(カレンダークロック)が設けられている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般的に、内部時計部は、固有周波数(例えば、32kHz)で発振する水晶振動子(発振器の一例)を内蔵しており、そのクロックを所定数(この場合は、32,000回)カウントすることにより、所定の単位時間としての1秒を判別する。そして、単位時間を時刻情報に加算して現在時刻情報を取得更新する構成であり、これによって、時計機能を有することができる。
【特許文献1】特開平5−174280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水晶振動子が製品規格基準通りの発振周波数(例えば、32kHz)であれば、時計機能は問題ないが、一般的に、水晶振動子は、個体間によって、その発振周波数が基準から多少の誤差を生じている。そのため、その発振周波数の基準からのずれによって、正確な現在時刻とのずれが生じてしまい、時計機能の精度に問題があった。このように正確な現在時刻とのずれが生じた場合として、操作入力によって正確な現在時刻を入力して時刻修正することもできる。しかし、水晶振動子の発振周波数の誤差が解消されないため、その発振周波数の基準からのずれによって、正確な現在時刻よりも進むものはいつでも進み、遅れるものはいつでも遅れてしまうので、頻繁に時刻修正操作を行わなければならなかった。また、より精度を求めようとすると、高価な水晶振動子が必要となり、高価になってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、発振器、例えば水晶振動子が安価なものでも時計機能の精度を改善できて、正確な現在時刻を取得できるインターホン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、発振器から生成されるクロックをカウントし、該クロックを所定数カウントすることにより所定の単位時間を計時したとして、該所定の単位時間を現在時刻情報に加算して現在時刻情報を取得更新する時計機能を有する内部時計部を備えたインターホン装置において、操作部の操作入力によって、前記内部時計部の時計機能の精度を補正する時計機能精度補正手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、前記時計機能精度補正手段は、前記所定の単位時間の計時基準となる前記クロックのカウント数を変更することを特徴とする。
【0008】
また、時計機能精度補正解除キーの操作入力によって、前記時計機能精度補正手段によってなされた前記内部時計部の時計機能の精度補正を解除して、該時計機能の精度を初期状態に戻す時計機能精度補正解除手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、該インターホン装置又は該インターホン装置に接続された他の装置でイベントが発生したときに、該発生したイベントと、前記内部時計部の時計機能によって取得更新された現在時刻情報と、該時計機能の精度補正がされているか否かを示す時計機能精度補正情報と、を有するイベントログを記憶するイベントログ記憶部と、該イベントログを表示する表示部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明は、発振器から生成されるクロックをカウントし、該クロックを所定数カウントすることにより所定の単位時間を計時したとして、該所定の単位時間を現在時刻情報に加算して現在時刻情報を取得更新する時計機能を有する内部時計部を備えたインターホン装置において、操作部の操作入力によって、前記内部時計部の時計機能の精度を補正する時計機能精度補正手段を備えたので、時計機能の精度を改善できて、正確な現在時刻を取得でき、また、従来のように頻繁に時刻修正操作を行う必要がなくなる。このように、住居人による時計機能精度補正の操作によって、容易に時計機能の精度を改善することができるので、発振器、例えば水晶振動子として安価なものも使用することができる。
【0011】
また、前記時計機能精度補正手段は、前記所定の単位時間の計時基準となる前記クロックのカウント数を変更するので、所定の単位時間という時間間隔で現在時刻を補正でき、いつでも正確な現在時刻とのずれが生じなくなる。
【0012】
また、時計機能精度補正解除キーの操作入力によって、前記時計機能精度補正手段によってなされた前記内部時計部の時計機能の精度補正を解除して、該時計機能の精度を初期状態に戻す時計機能精度補正解除手段を備えたので、時計機能の精度補正後に内部時計部によって取得される現在時刻、及びその時間進行状況が、住居人が所望した通りでない場合には、簡単な操作で時計機能を初期状態に戻すことができる。特に、時計機能精度補正解除キーをインターホン装置の筐体内部に設けるようにすると、住居人が意図しない時計機能精度補正解除操作が行われることがなくなる。
【0013】
また、該インターホン装置又は該インターホン装置に接続された他の装置でイベントが発生したときに、該発生したイベントと、前記内部時計部の時計機能によって取得更新された現在時刻情報と、該時計機能の精度が補正されているか否かを示す時計機能精度補正情報と、を有するイベントログを記憶するイベントログ記憶部と、該イベントログを表示する表示部とを備えたので、住居人は、イベントが発生した時刻と、そのときに時計機能の精度が補正されていたか否かを確認することができ、後々、時刻の正確性を検証する際に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施例である戸建向けインターホンシステムの構成を示すブロック図である。
【0015】
図1において、10は住戸内に配置されたインターホン親機(インターホン装置の一例)、50は住戸の玄関等の戸外に配置されたインターホン子機(他の装置の一例)であり、インターホン親機10とインターホン子機50とは音声線L1、映像線L2を介して接続されている。
【0016】
インターホン子機50において、51は呼出ボタン、52は呼出回路、53はマイクとスピーカ(図示せず)を有する通話回路であり、これら部材51、52、53は音声線L1に接続されている。60はCCDセンサ、61はCCDセンサ60によって撮像された映像情報を変調する変調回路、58はインターホン親機10から供給される電源を受給して、CCDセンサ60及び変調回路61に電源を供給する内部電源回路である。変調回路61は、撮像された映像情報を映像線L2上に送出する。
【0017】
つぎに、インターホン親機10において、11は切替回路、12はマイクとスピーカ(図示せず)を有する通話回路、13は呼出検出回路であり、切替回路11は、一端が音声線L1に接続され、他端が通話回路12又は呼出検出回路13に選択的に切換接続される接点を有し、接点の他端は、常時は呼出検出回路13に接続されている。
【0018】
14は時計補正モードスイッチ14a、テンキー14b、カーソルキー14c、実行キー14d、時計機能精度補正解除キー14e等の各種ボタンを有する操作部であり、時計機能精度補正解除キー14eは、住居人の意図しない操作が行われることがないように、インターホン親機10の筐体内部に設けられている。
【0019】
15は水晶振動子15a(発振器の一例)を内蔵する内部時計部である。内部時計部15は、水晶振動子15aから生成されるクロックをカウントし、該クロックを所定数カウントすることにより所定の単位時間を計時したとして、該所定の単位時間を現在時刻情報に加算して現在時刻情報を取得更新する時計機能を有し、所定の単位時間の計時基準となるクロックの基準カウント数(初期状態のカウント数)を記憶する基準カウント数記憶部15b、現在時刻情報を記憶する現在時刻情報記憶部15c、補正カウント数を記憶する補正カウント数記憶部15dを有する。補正カウント数記憶部15dには、初期状態では補正カウント数は記憶されていないが、時計機能精度補正モード(後述する)によって算出されて記憶され、補正カウント数は、基準カウント数に代わって、所定の単位時間の計時基準となる。なお、基準カウント数記憶部15bはROM、現在時刻情報記憶部15c及び補正カウント数記憶部15dは、EEPROM又はRAM等によって構成されている。
【0020】
16はインターホン親機全体を制御すると共に、時計機能精度補正手段、及び時計機能精度補正解除手段でもある制御部であり、内部時計部15から出力される現在時刻情報を記憶する現在時刻情報記憶部16a、及び内部時計部15の時計機能の精度補正がされているか否かを示す時計機能精度補正情報を記憶する時計機能精度補正情報記憶部16bを内蔵している。また、制御部16は、該インターホン親機10又は該インターホン親機10に接続された他の装置(例えば、インターホン子機50)でイベントが発生したときに、該発生したイベントと、このときの現在時刻情報と時計機能精度補正情報とを有するイベントログを記憶するイベントログ記憶部16cを内蔵している。なお、制御部16はマイコン等によって構成され、また、これら記憶部16a、16b、16cは、RAM、EEPROM等より構成される。また、20はインターホン子機50からの呼出信号を受けたときに映像線L2上に電源を供給する電源供給回路、22は変調された映像情報を復調する復調回路、23は現在時刻、イベントログ等を表示する表示部である。
【0021】
内部時計部15は、発振周波数として、例えば32kHzを基準に規格製造された水晶振動子15aを内蔵しており、そのため初期状態では、基準カウント数記憶部15bには、所定の単位時間としての1秒の計時基準となる基準カウント数として、32,000回を記憶している。内部時計部15は、水晶振動子15aから生成されるクロックをカウントし、該クロックを基準カウント数としての所定数(この場合は32,000回)カウントすると、現在時刻情報記憶部15cに記憶されている現在時刻情報に所定の単位時間(この場合は、1秒)を加算して、現在時刻情報を書き換え更新すると共に、取得更新した現在時刻情報を制御部16に出力する。制御部16は、現在時刻情報を入力すると、この現在時刻情報を最新の現在時刻情報として現在時刻情報記憶部16aに書き換え記憶すると共に、更に、表示部23に出力して、その現在時刻情報を表示させるので、住居人は現在時刻を知ることができるようになっている。
【0022】
しかしながら、従来例で示したように、水晶振動子15aの発振周波数は基準発振周波数から多少のずれがあるため、このインターホン親機10においては、時計機能精度補正手段によって、内部時計部15の時計機能の精度を補正することで、時計機能の精度を改善できて、正確な現在時刻を取得できるようになっている。
【0023】
次に、この時計機能の精度を補正する動作について説明する。まず、住居人が時計補正モードスイッチ14aを操作する。すると、その操作入力によって、制御部16は、時計補正モードを実行し、表示部23に例えば、「1・現在時刻修正モード、2・時計機能精度補正モード」を表示させる。これは、いずれかの時計補正モードを選択させるための表示である。住居人が、テンキー14bの操作によって、「1・現在時刻修正モード」、又は「2・時計機能精度補正モード」を選択して、さらに実行キー14dを操作することによって、制御部16は、選択されたいずれかの時計補正モードを実行する。
【0024】
「1・現在時刻修正モード」は、現在時刻を修正するものであり、一般的に行われているものである。「1・現在時刻修正モード」を実行する場合、制御部16は、まず、現在時刻情報記憶部16aに記憶されている最新の現在時刻情報、例えば、「19時23分28秒」を表示部23に表示させる。住居人は、カーソルキー14cで変更したい時刻表示部分(数字部分)を選択し、テンキー14bで変更したい時刻(数字)を入力する。すると、制御部16によって、その部分の時刻表示が変更表示される。このようにして、変更したい時刻に修正完了したら、住居人は実行キー14dを操作する。すると、制御部16よって、その変更した時刻情報が補正信号(現在時刻修正信号)として内部時計部15に出力され、内部時計部15は、その時刻情報を現在時刻情報として現在時刻情報記憶部15cに書き換え記憶する。これにより、現在時刻の修正が完了する。
【0025】
次に、「2・時計機能精度補正モード」は、以下に説明するように、内部時計部15の時計機能の精度を補正することで、時計機能の精度を改善できるため、前記「1・現在時刻修正モード」のような、時刻修正操作を頻繁に行う必要がなくなり、有用である。
【0026】
「2・時計機能精度補正モード」を実行する場合、制御部16は、まず、表示部23に、時計機能の計時速度を変更させるための表示として、例えば、「時間進行を、○○日あたり○○秒○○する」を表示させる(所定時間に対する調整時間の遅早の設定)。ここで、「○○日」の「○○」は、所定時間の設定としての入力項目Aであり、「○○秒」の「○○」は、調整時間の設定としての入力項目Bであり、これらは、テンキー14bによって所定の数字を入力する項目である。また、「○○する」の「○○」は、遅早の設定としての入力項目Cであり、ここには、「1・早く」及び「2・遅く」が表示されていて、これらは、テンキー14bによって所定の数字に対応した表示部分を選択する項目である。
【0027】
住居人は、例えば、入力項目Aで「30」、入力項目Bで「30」をテンキー14bによって入力し、入力項目Cで「1・早くする」をテンキー14bによって選択して、実行キー14dを操作する。つまり、「時間進行を、30日あたり30秒早くする」ように選択したものとする。
【0028】
すると、制御部16によって、時計機能の計時速度を変更するため、以下のような計算処理が行われる。なお、ここで示す計算処理では、所定の単位時間の計時基準となるクロックのカウント数を変更することによって、時計機能の計時速度を変更するようにしているので、基準カウント数の代わりに所定の単位時間の計時基準となる、クロックの補正カウント数を計算している。
(A)入力項目Cとして、「1・早くする」を選択した場合。
補正カウント数X[回]=基準カウント数記憶部15bに記憶されている基準カウント数Y[回]×入力項目A[秒に換算]×1/(入力項目A[秒に換算]−入力項目B[秒])。
上記のように、「時間進行を、30日あたり30秒早くする」を選択した場合は、補正カウント数X[回]=32,000[回]×912,000[秒]×1/(912,000[秒]−30[秒])=32,001[回]。
(B)入力項目Cとして、「2・遅くする」を選択した場合。
補正カウント数X[回]=基準カウント数記憶部15bに記憶されている基準カウント数Y[回]×入力項目A[秒に換算]×1/(入力項目A[秒に換算]+入力項目B[秒])。
例えば、「時間進行を、30日あたり30秒遅くする」を選択した場合は、補正カウント数X[回]=32,000[回]×912,000[秒]×1/(912,000[秒]+30[秒])=31,999[回]。
【0029】
なお、「2・時計機能精度補正モード」が実行されたときに、制御部16が基準カウント数要求信号を出力し、これを入力した内部時計部15が基準カウント数記憶部15bに記憶されている基準カウント数を出力し(基準カウント数出力信号)、これを入力した制御部16が内蔵のRAM等に記憶するので、制御部16は、基準カウント数記憶部15bに記憶されている基準カウント数Yを取得できて、上記計算処理を行うことができるようになっている。
【0030】
このようにして、計算処理が完了したら、制御部16は、時計機能精度補正情報記憶部16bに記憶されている補正フラグ(時計機能精度補正情報の一例)をオフ(初期状態)からオンにすると共に、制御部16よって、補正カウント数Xが補正信号(時計機能精度補正信号)として内部時計部15に出力され、内部時計部15は、その補正カウント数Xを補正カウント数記憶部15dに記憶する。これにより、以降、内部時計部15は、補正カウント数記憶部15dに補正カウント数Xが記憶されていることにより、所定の単位時間の計時基準となるクロックのカウント数として基準カウント数Yの代わりに補正カウント数Xを用いて、水晶振動子15aから生成されるクロックを、所定数としての32,001回カウントすると、現在時刻情報記憶部15cに記憶されている現在時刻情報に所定の単位時間(この場合は、1秒)を加算して、現在時刻情報を書き換え更新するようになる。これによって、時計機能の計時速度を変更でき、つまり、内部時計部15の時計機能の精度を補正することで、時計機能の精度を改善できて、正確な現在時刻を取得できる。
【0031】
なお、時計機能の計時速度を変更させるための表示について、「時間進行を、○○日あたり○○秒○○する」としたのは、この表示内容にすることによって、住居人は実際の生活の中で感覚として体感している時計機能のずれに合わせて、時計機能の計時速度を変更することができるというメリットがあるためであるが、例えば、「時間進行を、現在よりも○○%○○(「早く」又は「遅く」)する」などのその他の表示であってもよい。また、「時間進行を、○○日あたり○○秒○○する」の表示における「○○日」の入力項目Aを所定の日数、例えば、「30日」と固定して、入力項目B及びCのみを居住者に入力させるようにしてもよく、このようにすることで、上記計算処理が簡素化される。
【0032】
なお、このようにして、時計機能の計時速度を変更することができるが、内部時計部15によって取得され、表示部23に表示される現在時刻、及びその時間進行状況が、住居人が所望した通りでない場合には、何度も時計機能の精度補正の操作を行うことが考えられ、これにより最悪の場合、時計機能の精度を実際の時間進行近傍に戻すことができなくなることが考えられる。そのため、このインターホン親機10は、時計機能の精度補正状態を解除することができるようにしている。つまり、住居人はインターホン親機10の筐体の扉を開けて、筐体内部に設けられている時計機能精度補正解除キー14eを操作する。すると、その操作入力がなされた制御部16は、時計機能精度補正情報記憶部16bに記憶されている補正フラグを初期状態のオフに戻すと共に、補正解除信号(時計機能精度補正解除信号)が内部時計部15に出力され、これを入力した内部時計部15は、補正カウント数記憶部15dに記憶されている補正カウント数Xを消去する。これにより、以降、内部時計部15は、補正カウント数記憶部15dに補正カウント数Xが記憶されていないことにより、再び初期状態、つまり、所定の単位時間の計時基準となるクロックのカウント数として基準カウント数Yを用いて、現在時刻情報を書き換え更新するようになる。住居人は、再び時計機能の精度補正を行いたい場合は、上記した時計機能の精度補正の操作入力を行えばよい。
【0033】
以上のように、インターホン親機10は、時計機能精度補正手段によって、正確な現在時刻を取得できる構成であるため、内蔵のイベントログ記憶部16cを各種のイベントログ用メモリとして用いるようにして、イベント発生時の正確な時刻を住居人が知ることができるようになっている。
【0034】
例えば、呼出入力ログ機能について、インターホン通話動作とともに説明する。まず、インターホン子機50において、来訪者が呼出ボタン51をオン操作すると、その操作を呼出回路52が検出し、呼出信号を音声線L1上に出力する。すると、インターホン親機10は、呼出検出回路13が呼出信号を検出して、制御部16に呼出入力を行う。その呼出入力によって、制御部16は、イベントログ記憶部16cの呼出入力ログ記憶領域に、現在時刻情報記憶部16aに記憶されている現在時刻情報、及び時計機能精度補正情報記憶部16bに記憶されている補正フラグ状態(オンオフ状態)を関連付けて記憶させる。また、内部音響(図示せず)から呼出音を鳴動させて、住居人を呼び出す。
【0035】
また、制御部16は呼出入力によって、電源供給回路20を起動させて映像線L2上に電源を供給する。これにより、インターホン子機50は、内部電源回路58がインターホン親機10からの電源を受給し、CCDセンサ60及び変調回路61に電源を供給するので、CCDセンサ60によって来訪者が撮像され、その映像情報が変調回路61で変調されて、映像線L2上に送出されるので、インターホン親機10においては、インターホン子機50からの映像情報が復調回路22を介して制御部16に入力されるので、制御部16は、先程記憶した現在時刻情報及び補正フラグ状態に関連付けてその映像情報を、イベントログ記憶部16cの呼出入力ログ記憶領域に記憶して、呼出入力ログの保存が完了する。なお、インターホン子機50からの映像情報は復調回路22を介して表示部23にも表示される。
【0036】
そして、住居人によって操作部14の通話ボタン(図示せず)がオン操作されれば、制御部16は、切替回路11における接点の他端を通話回路12側に切換接続するので、音声線L1を介して、インターホン親機10の通話回路12とインターホン子機50の通話回路53とによるインターホン通話が可能となるので、住居人は、来訪者の映像を見ながら、インターホン通話を行うことが可能となる。
【0037】
後々、住居人が呼出入力ログを確認したい場合は、操作部14の呼出入力ログ確認スイッチ(図示せず)を操作することによって、制御部16がイベントログ記憶部16cの呼出入力ログ記憶領域を参照して、呼出入力ログとしての映像情報とそれに関連付けられた現在時刻情報及び補正フラグ状態とを表示部23に表示することができる。また、複数の呼出入力ログが記憶されている場合は、例えば、カーソルキー14cを操作することによって、表示されるログを切り換えることができる。
【0038】
また、インターホン親機10は、火災センサ(他の装置の一例)を接続してその発報を検出する火災検出機能、防犯センサ(他の装置の一例)を接続してその発報を検出する防犯検出機能、コールセンサ(他の装置の一例)を接続してその発報を検出するコール検出機能を備えており、それらセンサの発報を検出したときに、制御部16は、イベントログ記憶部16cの対応する火災ログ記憶領域、防犯ログ記憶領域又はコールログ記憶領域に、現在時刻情報及び補正フラグ状態を記憶させる。そして、後々、住居人がそれらログを確認したい場合は、操作部14の対応する各種スイッチ(図示せず)を操作すると、制御部16によって、上記呼出入力ログ機能と同様の動作がなされることによって、対応するセンサが発報したときの時刻情報及び補正フラグ状態を表示部23に表示することができる。
【0039】
上記実施例においては、発振器として水晶振動子を用いて説明したが、例えば、インターホン親機10には、その各部(回路)に電源を供給するために商用電源が入力されているので、その商用電源の周波数に同期した電源パルスを生成し出力する電源パルス発生回路を発振器として用い、又は、マイコンである制御部16の動作用クロック回路を発振器として用いるようにし、そして、基準カウント数記憶部15bには、これら採用される発振器に対応して、所定の単位時間の計時基準となるクロックの基準カウント数を記憶するようにしてもよい。
【0040】
上記実施例においては、内部時計部15に基準カウント数記憶部15bと補正カウント数記憶部15dを備えることによって、時計機能の精度補正状態を解除して、時計機能の精度を初期状態に戻せるようにしたが、初期状態に戻す必要がなければ、補正カウント数記憶部15dを削除して、補正カウント数Xは、基準カウント数記憶部15bに記憶されている基準カウント数Yに対して上書き記憶するようにしてもよい。
【0041】
上記実施例においては、前記時計機能精度補正手段は、所定の単位時間の計時基準となるクロックのカウント数として、1秒の計時基準となるクロックのカウント数を変更したが、所定の単位時間としては、内部時計部15における所定の単位時間に合わせてあればよく、例えば、より短い0.1秒ならば、内部時計部15の時計機能をより精度よく補正することができる。
【0042】
また、これとは別に、所定の単位時間の計時基準となるクロックのカウント数は変更することなく、制御部16は、住居人によってなされた時計機能の変更計時速度に合わせて、入力される現在時刻情報を適宜補正した上で、表示部23に表示するなどして、住居人の所望する時間進行となるようにしてもよい。つまり、住居人が「時間進行を、30日あたり30秒早くする」ように選択したとすれば、制御部16は、1日の経過によって、内部時計部15からの現在時刻情報に1秒を加算したものを現在時刻として表示部23に表示し、また、その変更した時刻情報を補正信号(現在時刻修正信号)として内部時計部15に出力する。内部時計部15は、その時刻情報を現在時刻情報として現在時刻情報記憶部15cに書き換え記憶する。これによって、住居人の所望する時間進行となるようにすることができる。
【0043】
なお、上記実施例においては、機能的にわかりやすく説明するために、内部時計部15と制御部16とを別体として説明したが、一体としてもよい。
【0044】
また、上記実施例においては、戸建向けのインターホンシステムを用いて説明したが、管理室に配置される管理室インターホン、集合玄関に配置されるロビーインターホン、及び管理室インターホンとロビーインターホンとインターホン親機との間での通話制御等を行う通話制御装置とを備えた集合住宅向けのインターホンシステムに適用してもよい。この場合、時計機能精度補正手段を有するインターホン装置としては、インターホン親機に限らず、管理室インターホン、ロビーインターホンであってもよい。そして、イベントログ機能としては、呼出操作ログ機能を追加することができ、呼出操作をした時の正確な時刻を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】戸建向けインターホンシステムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0046】
10 インターホン親機、11 切替回路、12 通話回路、13 呼出検出回路、14 操作部、14a 時計補正モードスイッチ、14b テンキー、14c カーソルキー、14d 実行キー、14e 時計機能精度補正解除キー、15 内部時計部、15a 水晶振動子、15b 基準カウント数記憶部、15c 現在時刻情報記憶部、15d 補正カウント数記憶部、16 制御部、16a 現在時刻情報記憶部、16b 時計機能精度補正情報記憶部、16c イベントログ記憶部、20 電源供給回路、22 復調回路、23 表示部、50 インターホン子機、51 呼出ボタン、52 呼出回路、53 通話回路、58 内部電源回路、60 CCDセンサ、61 変調回路、L1 音声線、L2 映像線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インターホンシステムが示されている。このインターホンシステムは、住戸内に設けられたインターホン装置としてのインターホン親機に内部時計部(カレンダークロック)が設けられている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般的に、内部時計部は、固有周波数(例えば、32kHz)で発振する水晶振動子(発振器の一例)を内蔵しており、そのクロックを所定数(この場合は、32,000回)カウントすることにより、所定の単位時間としての1秒を判別する。そして、単位時間を時刻情報に加算して現在時刻情報を取得更新する構成であり、これによって、時計機能を有することができる。
【特許文献1】特開平5−174280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水晶振動子が製品規格基準通りの発振周波数(例えば、32kHz)であれば、時計機能は問題ないが、一般的に、水晶振動子は、個体間によって、その発振周波数が基準から多少の誤差を生じている。そのため、その発振周波数の基準からのずれによって、正確な現在時刻とのずれが生じてしまい、時計機能の精度に問題があった。このように正確な現在時刻とのずれが生じた場合として、操作入力によって正確な現在時刻を入力して時刻修正することもできる。しかし、水晶振動子の発振周波数の誤差が解消されないため、その発振周波数の基準からのずれによって、正確な現在時刻よりも進むものはいつでも進み、遅れるものはいつでも遅れてしまうので、頻繁に時刻修正操作を行わなければならなかった。また、より精度を求めようとすると、高価な水晶振動子が必要となり、高価になってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、発振器、例えば水晶振動子が安価なものでも時計機能の精度を改善できて、正確な現在時刻を取得できるインターホン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、発振器から生成されるクロックをカウントし、該クロックを所定数カウントすることにより所定の単位時間を計時したとして、該所定の単位時間を現在時刻情報に加算して現在時刻情報を取得更新する時計機能を有する内部時計部を備えたインターホン装置において、操作部の操作入力によって、前記内部時計部の時計機能の精度を補正する時計機能精度補正手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、前記時計機能精度補正手段は、前記所定の単位時間の計時基準となる前記クロックのカウント数を変更することを特徴とする。
【0008】
また、時計機能精度補正解除キーの操作入力によって、前記時計機能精度補正手段によってなされた前記内部時計部の時計機能の精度補正を解除して、該時計機能の精度を初期状態に戻す時計機能精度補正解除手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、該インターホン装置又は該インターホン装置に接続された他の装置でイベントが発生したときに、該発生したイベントと、前記内部時計部の時計機能によって取得更新された現在時刻情報と、該時計機能の精度補正がされているか否かを示す時計機能精度補正情報と、を有するイベントログを記憶するイベントログ記憶部と、該イベントログを表示する表示部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明は、発振器から生成されるクロックをカウントし、該クロックを所定数カウントすることにより所定の単位時間を計時したとして、該所定の単位時間を現在時刻情報に加算して現在時刻情報を取得更新する時計機能を有する内部時計部を備えたインターホン装置において、操作部の操作入力によって、前記内部時計部の時計機能の精度を補正する時計機能精度補正手段を備えたので、時計機能の精度を改善できて、正確な現在時刻を取得でき、また、従来のように頻繁に時刻修正操作を行う必要がなくなる。このように、住居人による時計機能精度補正の操作によって、容易に時計機能の精度を改善することができるので、発振器、例えば水晶振動子として安価なものも使用することができる。
【0011】
また、前記時計機能精度補正手段は、前記所定の単位時間の計時基準となる前記クロックのカウント数を変更するので、所定の単位時間という時間間隔で現在時刻を補正でき、いつでも正確な現在時刻とのずれが生じなくなる。
【0012】
また、時計機能精度補正解除キーの操作入力によって、前記時計機能精度補正手段によってなされた前記内部時計部の時計機能の精度補正を解除して、該時計機能の精度を初期状態に戻す時計機能精度補正解除手段を備えたので、時計機能の精度補正後に内部時計部によって取得される現在時刻、及びその時間進行状況が、住居人が所望した通りでない場合には、簡単な操作で時計機能を初期状態に戻すことができる。特に、時計機能精度補正解除キーをインターホン装置の筐体内部に設けるようにすると、住居人が意図しない時計機能精度補正解除操作が行われることがなくなる。
【0013】
また、該インターホン装置又は該インターホン装置に接続された他の装置でイベントが発生したときに、該発生したイベントと、前記内部時計部の時計機能によって取得更新された現在時刻情報と、該時計機能の精度が補正されているか否かを示す時計機能精度補正情報と、を有するイベントログを記憶するイベントログ記憶部と、該イベントログを表示する表示部とを備えたので、住居人は、イベントが発生した時刻と、そのときに時計機能の精度が補正されていたか否かを確認することができ、後々、時刻の正確性を検証する際に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施例である戸建向けインターホンシステムの構成を示すブロック図である。
【0015】
図1において、10は住戸内に配置されたインターホン親機(インターホン装置の一例)、50は住戸の玄関等の戸外に配置されたインターホン子機(他の装置の一例)であり、インターホン親機10とインターホン子機50とは音声線L1、映像線L2を介して接続されている。
【0016】
インターホン子機50において、51は呼出ボタン、52は呼出回路、53はマイクとスピーカ(図示せず)を有する通話回路であり、これら部材51、52、53は音声線L1に接続されている。60はCCDセンサ、61はCCDセンサ60によって撮像された映像情報を変調する変調回路、58はインターホン親機10から供給される電源を受給して、CCDセンサ60及び変調回路61に電源を供給する内部電源回路である。変調回路61は、撮像された映像情報を映像線L2上に送出する。
【0017】
つぎに、インターホン親機10において、11は切替回路、12はマイクとスピーカ(図示せず)を有する通話回路、13は呼出検出回路であり、切替回路11は、一端が音声線L1に接続され、他端が通話回路12又は呼出検出回路13に選択的に切換接続される接点を有し、接点の他端は、常時は呼出検出回路13に接続されている。
【0018】
14は時計補正モードスイッチ14a、テンキー14b、カーソルキー14c、実行キー14d、時計機能精度補正解除キー14e等の各種ボタンを有する操作部であり、時計機能精度補正解除キー14eは、住居人の意図しない操作が行われることがないように、インターホン親機10の筐体内部に設けられている。
【0019】
15は水晶振動子15a(発振器の一例)を内蔵する内部時計部である。内部時計部15は、水晶振動子15aから生成されるクロックをカウントし、該クロックを所定数カウントすることにより所定の単位時間を計時したとして、該所定の単位時間を現在時刻情報に加算して現在時刻情報を取得更新する時計機能を有し、所定の単位時間の計時基準となるクロックの基準カウント数(初期状態のカウント数)を記憶する基準カウント数記憶部15b、現在時刻情報を記憶する現在時刻情報記憶部15c、補正カウント数を記憶する補正カウント数記憶部15dを有する。補正カウント数記憶部15dには、初期状態では補正カウント数は記憶されていないが、時計機能精度補正モード(後述する)によって算出されて記憶され、補正カウント数は、基準カウント数に代わって、所定の単位時間の計時基準となる。なお、基準カウント数記憶部15bはROM、現在時刻情報記憶部15c及び補正カウント数記憶部15dは、EEPROM又はRAM等によって構成されている。
【0020】
16はインターホン親機全体を制御すると共に、時計機能精度補正手段、及び時計機能精度補正解除手段でもある制御部であり、内部時計部15から出力される現在時刻情報を記憶する現在時刻情報記憶部16a、及び内部時計部15の時計機能の精度補正がされているか否かを示す時計機能精度補正情報を記憶する時計機能精度補正情報記憶部16bを内蔵している。また、制御部16は、該インターホン親機10又は該インターホン親機10に接続された他の装置(例えば、インターホン子機50)でイベントが発生したときに、該発生したイベントと、このときの現在時刻情報と時計機能精度補正情報とを有するイベントログを記憶するイベントログ記憶部16cを内蔵している。なお、制御部16はマイコン等によって構成され、また、これら記憶部16a、16b、16cは、RAM、EEPROM等より構成される。また、20はインターホン子機50からの呼出信号を受けたときに映像線L2上に電源を供給する電源供給回路、22は変調された映像情報を復調する復調回路、23は現在時刻、イベントログ等を表示する表示部である。
【0021】
内部時計部15は、発振周波数として、例えば32kHzを基準に規格製造された水晶振動子15aを内蔵しており、そのため初期状態では、基準カウント数記憶部15bには、所定の単位時間としての1秒の計時基準となる基準カウント数として、32,000回を記憶している。内部時計部15は、水晶振動子15aから生成されるクロックをカウントし、該クロックを基準カウント数としての所定数(この場合は32,000回)カウントすると、現在時刻情報記憶部15cに記憶されている現在時刻情報に所定の単位時間(この場合は、1秒)を加算して、現在時刻情報を書き換え更新すると共に、取得更新した現在時刻情報を制御部16に出力する。制御部16は、現在時刻情報を入力すると、この現在時刻情報を最新の現在時刻情報として現在時刻情報記憶部16aに書き換え記憶すると共に、更に、表示部23に出力して、その現在時刻情報を表示させるので、住居人は現在時刻を知ることができるようになっている。
【0022】
しかしながら、従来例で示したように、水晶振動子15aの発振周波数は基準発振周波数から多少のずれがあるため、このインターホン親機10においては、時計機能精度補正手段によって、内部時計部15の時計機能の精度を補正することで、時計機能の精度を改善できて、正確な現在時刻を取得できるようになっている。
【0023】
次に、この時計機能の精度を補正する動作について説明する。まず、住居人が時計補正モードスイッチ14aを操作する。すると、その操作入力によって、制御部16は、時計補正モードを実行し、表示部23に例えば、「1・現在時刻修正モード、2・時計機能精度補正モード」を表示させる。これは、いずれかの時計補正モードを選択させるための表示である。住居人が、テンキー14bの操作によって、「1・現在時刻修正モード」、又は「2・時計機能精度補正モード」を選択して、さらに実行キー14dを操作することによって、制御部16は、選択されたいずれかの時計補正モードを実行する。
【0024】
「1・現在時刻修正モード」は、現在時刻を修正するものであり、一般的に行われているものである。「1・現在時刻修正モード」を実行する場合、制御部16は、まず、現在時刻情報記憶部16aに記憶されている最新の現在時刻情報、例えば、「19時23分28秒」を表示部23に表示させる。住居人は、カーソルキー14cで変更したい時刻表示部分(数字部分)を選択し、テンキー14bで変更したい時刻(数字)を入力する。すると、制御部16によって、その部分の時刻表示が変更表示される。このようにして、変更したい時刻に修正完了したら、住居人は実行キー14dを操作する。すると、制御部16よって、その変更した時刻情報が補正信号(現在時刻修正信号)として内部時計部15に出力され、内部時計部15は、その時刻情報を現在時刻情報として現在時刻情報記憶部15cに書き換え記憶する。これにより、現在時刻の修正が完了する。
【0025】
次に、「2・時計機能精度補正モード」は、以下に説明するように、内部時計部15の時計機能の精度を補正することで、時計機能の精度を改善できるため、前記「1・現在時刻修正モード」のような、時刻修正操作を頻繁に行う必要がなくなり、有用である。
【0026】
「2・時計機能精度補正モード」を実行する場合、制御部16は、まず、表示部23に、時計機能の計時速度を変更させるための表示として、例えば、「時間進行を、○○日あたり○○秒○○する」を表示させる(所定時間に対する調整時間の遅早の設定)。ここで、「○○日」の「○○」は、所定時間の設定としての入力項目Aであり、「○○秒」の「○○」は、調整時間の設定としての入力項目Bであり、これらは、テンキー14bによって所定の数字を入力する項目である。また、「○○する」の「○○」は、遅早の設定としての入力項目Cであり、ここには、「1・早く」及び「2・遅く」が表示されていて、これらは、テンキー14bによって所定の数字に対応した表示部分を選択する項目である。
【0027】
住居人は、例えば、入力項目Aで「30」、入力項目Bで「30」をテンキー14bによって入力し、入力項目Cで「1・早くする」をテンキー14bによって選択して、実行キー14dを操作する。つまり、「時間進行を、30日あたり30秒早くする」ように選択したものとする。
【0028】
すると、制御部16によって、時計機能の計時速度を変更するため、以下のような計算処理が行われる。なお、ここで示す計算処理では、所定の単位時間の計時基準となるクロックのカウント数を変更することによって、時計機能の計時速度を変更するようにしているので、基準カウント数の代わりに所定の単位時間の計時基準となる、クロックの補正カウント数を計算している。
(A)入力項目Cとして、「1・早くする」を選択した場合。
補正カウント数X[回]=基準カウント数記憶部15bに記憶されている基準カウント数Y[回]×入力項目A[秒に換算]×1/(入力項目A[秒に換算]−入力項目B[秒])。
上記のように、「時間進行を、30日あたり30秒早くする」を選択した場合は、補正カウント数X[回]=32,000[回]×912,000[秒]×1/(912,000[秒]−30[秒])=32,001[回]。
(B)入力項目Cとして、「2・遅くする」を選択した場合。
補正カウント数X[回]=基準カウント数記憶部15bに記憶されている基準カウント数Y[回]×入力項目A[秒に換算]×1/(入力項目A[秒に換算]+入力項目B[秒])。
例えば、「時間進行を、30日あたり30秒遅くする」を選択した場合は、補正カウント数X[回]=32,000[回]×912,000[秒]×1/(912,000[秒]+30[秒])=31,999[回]。
【0029】
なお、「2・時計機能精度補正モード」が実行されたときに、制御部16が基準カウント数要求信号を出力し、これを入力した内部時計部15が基準カウント数記憶部15bに記憶されている基準カウント数を出力し(基準カウント数出力信号)、これを入力した制御部16が内蔵のRAM等に記憶するので、制御部16は、基準カウント数記憶部15bに記憶されている基準カウント数Yを取得できて、上記計算処理を行うことができるようになっている。
【0030】
このようにして、計算処理が完了したら、制御部16は、時計機能精度補正情報記憶部16bに記憶されている補正フラグ(時計機能精度補正情報の一例)をオフ(初期状態)からオンにすると共に、制御部16よって、補正カウント数Xが補正信号(時計機能精度補正信号)として内部時計部15に出力され、内部時計部15は、その補正カウント数Xを補正カウント数記憶部15dに記憶する。これにより、以降、内部時計部15は、補正カウント数記憶部15dに補正カウント数Xが記憶されていることにより、所定の単位時間の計時基準となるクロックのカウント数として基準カウント数Yの代わりに補正カウント数Xを用いて、水晶振動子15aから生成されるクロックを、所定数としての32,001回カウントすると、現在時刻情報記憶部15cに記憶されている現在時刻情報に所定の単位時間(この場合は、1秒)を加算して、現在時刻情報を書き換え更新するようになる。これによって、時計機能の計時速度を変更でき、つまり、内部時計部15の時計機能の精度を補正することで、時計機能の精度を改善できて、正確な現在時刻を取得できる。
【0031】
なお、時計機能の計時速度を変更させるための表示について、「時間進行を、○○日あたり○○秒○○する」としたのは、この表示内容にすることによって、住居人は実際の生活の中で感覚として体感している時計機能のずれに合わせて、時計機能の計時速度を変更することができるというメリットがあるためであるが、例えば、「時間進行を、現在よりも○○%○○(「早く」又は「遅く」)する」などのその他の表示であってもよい。また、「時間進行を、○○日あたり○○秒○○する」の表示における「○○日」の入力項目Aを所定の日数、例えば、「30日」と固定して、入力項目B及びCのみを居住者に入力させるようにしてもよく、このようにすることで、上記計算処理が簡素化される。
【0032】
なお、このようにして、時計機能の計時速度を変更することができるが、内部時計部15によって取得され、表示部23に表示される現在時刻、及びその時間進行状況が、住居人が所望した通りでない場合には、何度も時計機能の精度補正の操作を行うことが考えられ、これにより最悪の場合、時計機能の精度を実際の時間進行近傍に戻すことができなくなることが考えられる。そのため、このインターホン親機10は、時計機能の精度補正状態を解除することができるようにしている。つまり、住居人はインターホン親機10の筐体の扉を開けて、筐体内部に設けられている時計機能精度補正解除キー14eを操作する。すると、その操作入力がなされた制御部16は、時計機能精度補正情報記憶部16bに記憶されている補正フラグを初期状態のオフに戻すと共に、補正解除信号(時計機能精度補正解除信号)が内部時計部15に出力され、これを入力した内部時計部15は、補正カウント数記憶部15dに記憶されている補正カウント数Xを消去する。これにより、以降、内部時計部15は、補正カウント数記憶部15dに補正カウント数Xが記憶されていないことにより、再び初期状態、つまり、所定の単位時間の計時基準となるクロックのカウント数として基準カウント数Yを用いて、現在時刻情報を書き換え更新するようになる。住居人は、再び時計機能の精度補正を行いたい場合は、上記した時計機能の精度補正の操作入力を行えばよい。
【0033】
以上のように、インターホン親機10は、時計機能精度補正手段によって、正確な現在時刻を取得できる構成であるため、内蔵のイベントログ記憶部16cを各種のイベントログ用メモリとして用いるようにして、イベント発生時の正確な時刻を住居人が知ることができるようになっている。
【0034】
例えば、呼出入力ログ機能について、インターホン通話動作とともに説明する。まず、インターホン子機50において、来訪者が呼出ボタン51をオン操作すると、その操作を呼出回路52が検出し、呼出信号を音声線L1上に出力する。すると、インターホン親機10は、呼出検出回路13が呼出信号を検出して、制御部16に呼出入力を行う。その呼出入力によって、制御部16は、イベントログ記憶部16cの呼出入力ログ記憶領域に、現在時刻情報記憶部16aに記憶されている現在時刻情報、及び時計機能精度補正情報記憶部16bに記憶されている補正フラグ状態(オンオフ状態)を関連付けて記憶させる。また、内部音響(図示せず)から呼出音を鳴動させて、住居人を呼び出す。
【0035】
また、制御部16は呼出入力によって、電源供給回路20を起動させて映像線L2上に電源を供給する。これにより、インターホン子機50は、内部電源回路58がインターホン親機10からの電源を受給し、CCDセンサ60及び変調回路61に電源を供給するので、CCDセンサ60によって来訪者が撮像され、その映像情報が変調回路61で変調されて、映像線L2上に送出されるので、インターホン親機10においては、インターホン子機50からの映像情報が復調回路22を介して制御部16に入力されるので、制御部16は、先程記憶した現在時刻情報及び補正フラグ状態に関連付けてその映像情報を、イベントログ記憶部16cの呼出入力ログ記憶領域に記憶して、呼出入力ログの保存が完了する。なお、インターホン子機50からの映像情報は復調回路22を介して表示部23にも表示される。
【0036】
そして、住居人によって操作部14の通話ボタン(図示せず)がオン操作されれば、制御部16は、切替回路11における接点の他端を通話回路12側に切換接続するので、音声線L1を介して、インターホン親機10の通話回路12とインターホン子機50の通話回路53とによるインターホン通話が可能となるので、住居人は、来訪者の映像を見ながら、インターホン通話を行うことが可能となる。
【0037】
後々、住居人が呼出入力ログを確認したい場合は、操作部14の呼出入力ログ確認スイッチ(図示せず)を操作することによって、制御部16がイベントログ記憶部16cの呼出入力ログ記憶領域を参照して、呼出入力ログとしての映像情報とそれに関連付けられた現在時刻情報及び補正フラグ状態とを表示部23に表示することができる。また、複数の呼出入力ログが記憶されている場合は、例えば、カーソルキー14cを操作することによって、表示されるログを切り換えることができる。
【0038】
また、インターホン親機10は、火災センサ(他の装置の一例)を接続してその発報を検出する火災検出機能、防犯センサ(他の装置の一例)を接続してその発報を検出する防犯検出機能、コールセンサ(他の装置の一例)を接続してその発報を検出するコール検出機能を備えており、それらセンサの発報を検出したときに、制御部16は、イベントログ記憶部16cの対応する火災ログ記憶領域、防犯ログ記憶領域又はコールログ記憶領域に、現在時刻情報及び補正フラグ状態を記憶させる。そして、後々、住居人がそれらログを確認したい場合は、操作部14の対応する各種スイッチ(図示せず)を操作すると、制御部16によって、上記呼出入力ログ機能と同様の動作がなされることによって、対応するセンサが発報したときの時刻情報及び補正フラグ状態を表示部23に表示することができる。
【0039】
上記実施例においては、発振器として水晶振動子を用いて説明したが、例えば、インターホン親機10には、その各部(回路)に電源を供給するために商用電源が入力されているので、その商用電源の周波数に同期した電源パルスを生成し出力する電源パルス発生回路を発振器として用い、又は、マイコンである制御部16の動作用クロック回路を発振器として用いるようにし、そして、基準カウント数記憶部15bには、これら採用される発振器に対応して、所定の単位時間の計時基準となるクロックの基準カウント数を記憶するようにしてもよい。
【0040】
上記実施例においては、内部時計部15に基準カウント数記憶部15bと補正カウント数記憶部15dを備えることによって、時計機能の精度補正状態を解除して、時計機能の精度を初期状態に戻せるようにしたが、初期状態に戻す必要がなければ、補正カウント数記憶部15dを削除して、補正カウント数Xは、基準カウント数記憶部15bに記憶されている基準カウント数Yに対して上書き記憶するようにしてもよい。
【0041】
上記実施例においては、前記時計機能精度補正手段は、所定の単位時間の計時基準となるクロックのカウント数として、1秒の計時基準となるクロックのカウント数を変更したが、所定の単位時間としては、内部時計部15における所定の単位時間に合わせてあればよく、例えば、より短い0.1秒ならば、内部時計部15の時計機能をより精度よく補正することができる。
【0042】
また、これとは別に、所定の単位時間の計時基準となるクロックのカウント数は変更することなく、制御部16は、住居人によってなされた時計機能の変更計時速度に合わせて、入力される現在時刻情報を適宜補正した上で、表示部23に表示するなどして、住居人の所望する時間進行となるようにしてもよい。つまり、住居人が「時間進行を、30日あたり30秒早くする」ように選択したとすれば、制御部16は、1日の経過によって、内部時計部15からの現在時刻情報に1秒を加算したものを現在時刻として表示部23に表示し、また、その変更した時刻情報を補正信号(現在時刻修正信号)として内部時計部15に出力する。内部時計部15は、その時刻情報を現在時刻情報として現在時刻情報記憶部15cに書き換え記憶する。これによって、住居人の所望する時間進行となるようにすることができる。
【0043】
なお、上記実施例においては、機能的にわかりやすく説明するために、内部時計部15と制御部16とを別体として説明したが、一体としてもよい。
【0044】
また、上記実施例においては、戸建向けのインターホンシステムを用いて説明したが、管理室に配置される管理室インターホン、集合玄関に配置されるロビーインターホン、及び管理室インターホンとロビーインターホンとインターホン親機との間での通話制御等を行う通話制御装置とを備えた集合住宅向けのインターホンシステムに適用してもよい。この場合、時計機能精度補正手段を有するインターホン装置としては、インターホン親機に限らず、管理室インターホン、ロビーインターホンであってもよい。そして、イベントログ機能としては、呼出操作ログ機能を追加することができ、呼出操作をした時の正確な時刻を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】戸建向けインターホンシステムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0046】
10 インターホン親機、11 切替回路、12 通話回路、13 呼出検出回路、14 操作部、14a 時計補正モードスイッチ、14b テンキー、14c カーソルキー、14d 実行キー、14e 時計機能精度補正解除キー、15 内部時計部、15a 水晶振動子、15b 基準カウント数記憶部、15c 現在時刻情報記憶部、15d 補正カウント数記憶部、16 制御部、16a 現在時刻情報記憶部、16b 時計機能精度補正情報記憶部、16c イベントログ記憶部、20 電源供給回路、22 復調回路、23 表示部、50 インターホン子機、51 呼出ボタン、52 呼出回路、53 通話回路、58 内部電源回路、60 CCDセンサ、61 変調回路、L1 音声線、L2 映像線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振器から生成されるクロックをカウントし、該クロックを所定数カウントすることにより所定の単位時間を計時したとして、該所定の単位時間を現在時刻情報に加算して現在時刻情報を取得更新する時計機能を有する内部時計部を備えたインターホン装置において、
操作部の操作入力によって、前記内部時計部の時計機能の精度を補正する時計機能精度補正手段を備えたことを特徴とするインターホン装置。
【請求項2】
前記時計機能精度補正手段は、前記所定の単位時間の計時基準となる前記クロックのカウント数を変更することを特徴とする請求項1記載のインターホン装置。
【請求項3】
時計機能精度補正解除キーの操作入力によって、前記時計機能精度補正手段によってなされた前記内部時計部の時計機能の精度補正を解除して、該時計機能の精度を初期状態に戻す時計機能精度補正解除手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のインターホン装置。
【請求項4】
該インターホン装置又は該インターホン装置に接続された他の装置でイベントが発生したときに、該発生したイベントと、前記内部時計部の時計機能によって取得更新された現在時刻情報と、該時計機能の精度補正がされているか否かを示す時計機能精度補正情報と、を有するイベントログを記憶するイベントログ記憶部と、該イベントログを表示する表示部とを備えたことを特徴とする請求項1〜3に記載のインターホン装置。
【請求項1】
発振器から生成されるクロックをカウントし、該クロックを所定数カウントすることにより所定の単位時間を計時したとして、該所定の単位時間を現在時刻情報に加算して現在時刻情報を取得更新する時計機能を有する内部時計部を備えたインターホン装置において、
操作部の操作入力によって、前記内部時計部の時計機能の精度を補正する時計機能精度補正手段を備えたことを特徴とするインターホン装置。
【請求項2】
前記時計機能精度補正手段は、前記所定の単位時間の計時基準となる前記クロックのカウント数を変更することを特徴とする請求項1記載のインターホン装置。
【請求項3】
時計機能精度補正解除キーの操作入力によって、前記時計機能精度補正手段によってなされた前記内部時計部の時計機能の精度補正を解除して、該時計機能の精度を初期状態に戻す時計機能精度補正解除手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のインターホン装置。
【請求項4】
該インターホン装置又は該インターホン装置に接続された他の装置でイベントが発生したときに、該発生したイベントと、前記内部時計部の時計機能によって取得更新された現在時刻情報と、該時計機能の精度補正がされているか否かを示す時計機能精度補正情報と、を有するイベントログを記憶するイベントログ記憶部と、該イベントログを表示する表示部とを備えたことを特徴とする請求項1〜3に記載のインターホン装置。
【図1】
【公開番号】特開2007−3240(P2007−3240A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181142(P2005−181142)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】
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