説明

インドリノン誘導体の懸濁液製剤を含むカプセル医薬投薬形態

本発明は活性物質3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩を含む懸濁液製剤、前記懸濁液製剤を含むカプセル医薬投薬形態、前記懸濁液製剤の調製方法、前記懸濁液製剤を含む前記カプセルの調製方法及び完成カプセルのための包装材料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は活性物質3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩を含む懸濁液製剤、前記懸濁液製剤を含むカプセル医薬投薬形態、前記懸濁液製剤の調製方法、前記懸濁液製剤を含む前記カプセルの調製方法及び完成カプセルのための包装材料に関する。
【背景技術】
【0002】
或る種の薬理学上活性な物質はそれらを普通の投与形態に製剤化することを困難にする生物医薬特性及び/又は物理化学的性質を有し得る。このような物質は単一担体賦形剤と混合され、又は幾つかの成分から構成される複雑な担体媒体と混合された、溶液又は懸濁液として、親油性又は親水性担体系中の液体形態で都合良く投与し得る。軟質ゼラチンカプセル中のこのような液体製剤のカプセル化はこのような薬理学上活性な物質を投与する非常に好都合な方法を潜在的に与える。
【0003】
溶液
溶液をベースとする系を製剤化するために、担体は活性物質を溶解する必要がある。低吸収性の薬物の改良された胃腸(GI)吸収は胆汁酸の存在下で薬物の溶解速度を増すことにより達成され得る。胃腸道内で、胆汁塩は、生物学的洗剤(これらはリン脂質と混合された場合に熱力学的に安定な混合ミセルを生成する)として挙動する。多くの場合、製剤化の選択は溶媒能により制限され、その他の場合には薬物が脂質製剤に充分に可溶性ではないであろう。
担体媒体は胃中でエマルション又はミクロエマルションを自然に生成するように設計されてもよく、それにより薬理学上活性な物質の吸収を促進する。これらの系は自己(ミクロ)乳化薬物送出系(SEDDS又はSMEDDS)として普通知られている。それらは正確に調製される必要があり、組成におけるわずかな変化でさえもがその系を不可逆的に乱さずに、またその有益な性質を損なわずに許容され得ない。例えば、活性物質がカプセル製剤の可溶化特性の変化の結果として沈殿し得る。この沈殿プロセスは不可逆的であり、患者の投薬不足をもたらし得る。カプセル製剤の乳化特性がまた変化され、投与後に、エマルションが胃中に生成されないかもしれない。結果として、薬理学上活性な物質が正確に、又は再現性良く吸収されないかもしれない。
【0004】
懸濁液
懸濁液は熱力学的に不安定な多相系を呈するため、種々の特性がこれらの系の発生中に考慮される必要がある。懸濁液製剤の物理的安定性が粒子成長の予想からだけでなく、潜在的な多形(これは異なる溶解性を有し得る)の再結晶の予想又は沈降物のケーキングにより関連される沈降の予想から確実にされる必要がある。これらの因子は投薬形態からの活性物質の放出に影響するかもしれず、それ故、製品の貯蔵寿命中の患者の暴露の程度を変化させるかもしれない。それ故、単一担体賦形剤又は担体系中の活性物質の溶解性は物理的に安定な系の前提条件ではないであろう。
親油性担体系
親油性賦形剤は化学的に不安定な物質を保護するために水分バリヤー系として普通使用される。この目的のために、種々の脂肪又はワックスが固体投薬形態又はそれらの製造中間体に適用されて周囲の水蒸気又は酸素の移行を防止し、活性物質の化学安定性を改良し得る。親油性バインダーへの薬物のホットメルト封入体が同様に水分との接触を防止し得る。固体疎水性系は崩壊しにくいので、これらの系における薬物放出は、低粘度の液体脂質製剤中の薬物放出とは対照的に、遅延される。この遅延された薬物放出は変性された薬物送出系の活性物質の特定のプラスマプロフィールにより反映される (Ritschel W.ら, Die Tablette, 2002, 第2編, ECV, Aulendorf, p. 267f)。それ故、液体系の粘度が重要なパラメーターであり、適切な薬物放出を確実にするために慎重に調節される必要がある。
実際に、親油性製剤又は“脂質”製剤は広範囲の性質を有する多様なグループの製剤である。これらは純粋なトリグリセリド油から混合グリセリド、親油性界面活性剤、親水性界面活性剤及び水溶性補助溶媒に至る範囲の、最大5種類の賦形剤のブレンドから生じる。
【0005】
品質の評価
製剤の性能はその相対的な生物学的利用能を測定することにより、即ち、その生物学的利用能を活性物質の水溶液の生物学的利用能と比較することにより評価し得る。系が溶解速度に関してではなく、薬物透過性に関して、匹敵する生物学的利用能を示す場合、活性物質のプレ全身(pre-systemic)又は全身代謝が全身暴露を決めるであろう。こうして、(脂質)懸濁液はまた生理条件内の活性物質の適切な溶解性のために患者の満足な暴露を示し得る。
【0006】
3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩は、特に癌疾患、免疫疾患もしくは免疫成分を伴なう症状、又は線維症の治療のための、有益な薬理学的性質を有する革新的な物質である。
この物質の化学構造が式(I)として以下に示される。
式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
この物質がWO 01/27081に塩基として記載され、モノエタンスルホン酸塩形態としてWO 2004/013099 に記載され、免疫疾患又は免疫成分を伴なう症状の治療のためのその使用についてWO 2004/017948に記載され、癌疾患の治療におけるその使用についてWO 2004/096224 に記載され、線維症の治療におけるその使用についてWO 2006/067165に記載され、またその他の塩形態としてWO 2007/141283に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は上記薬物物質について、化学安定性だけでなく、治療に適応された所望の用量範囲に対する生物学的利用能要件をも満足する経口医薬投薬形態、及びその製品に適した包装材料を得ることである。このような特定の医薬投薬形態はこの薬物物質についての先行技術から知られていない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の対象は活性物質3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩の懸濁液を含む、前記活性物質の製剤である。
本発明の更なる対象は、活性物質の懸濁液が担体、増粘剤そして必要により滑剤/可溶化剤を含む3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩の粘稠な懸濁液である上記製剤である。
【0011】
本発明の更なる対象は、担体がグリセロール、アセチル化モノグリセリド、トウモロコシ油グリセリド、カプリル酸-カプリン酸トリグリセリド、中間鎖長トリグリセリド、中間鎖長部分グリセリド、カプリル酸/カプリン酸/リノール酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/コハク酸トリグリセリド、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、オレイン酸エチル、グリセロールモノ/ジオレエート、グリセロールモノリノレート、マクロゴールグリセロールカプリロカプレート、マクロゴールグリセロールリノレート、オレイン酸、液体又は半固体の低粘度/中間粘度のポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600)、ポリオキシルヒマシ油、ポリオキシル水添ヒマシ油、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、精製された動物由来の油、精製大豆油、精製植物油、ソルビタンモノステアレート、トリアセチン、クエン酸トリエチル、又はこれらの混合物から選ばれる上記製剤である。
【0012】
本発明の好ましい実施態様において、担体は脂質(親油性)担体である。
本発明の好ましい実施態様において、担体は下記の脂質(親油性)担体から選ばれる:アセチル化モノグリセリド、トウモロコシ油グリセリド、中間鎖長トリグリセリド、中間鎖長部分グリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/リノール酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/コハク酸トリグリセリド、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、オレイン酸エチル、グリセロールモノ/ジオレエート、グリセロールモノリノレート、マクロゴールグリセロールカプリロカプレート、マクロゴールグリセロールリノレート、オレイン酸、ポリオキシルヒマシ油、ポリオキシル水添ヒマシ油、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、精製された動物由来の油、精製大豆油、精製植物油、ソルビタンモノステアレート、又はこれらの混合物。
【0013】
本発明の更なる対象は増粘剤が高度に粘稠な半固体、又は固体のポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレン1000〜20000)、好ましくはポリエチレングリコール1000〜6000、好ましくはポリエチレングリコール4000、又はオレオゲル生成賦形剤(例えば、コロイドシリカもしくはベントナイト)、或いは高粘度の親油性もしくは両親媒性賦形剤(例えば、蜜蝋、グリセロールモノステアレート、水添植物油、部分水添植物油又は硬質脂肪)から選ばれる上記製剤である。
本発明の好ましい実施態様において、増粘剤はオレオゲル生成賦形剤(例えば、コロイドシリカもしくはベントナイト)、或いは高粘度の親油性もしくは両親媒性賦形剤(例えば、蜜蝋、グリセロールモノステアレート、水添植物油、部分水添植物油又は硬質脂肪)から選ばれる。
更に好ましい実施態様において、製剤は更に滑剤/可溶化剤を含む。
本発明の更なる対象は滑剤/可溶化剤がレシチンから選ばれる上記製剤である。
【0014】
本発明の更なる対象は中間鎖長トリグリセリド、硬質脂肪及びレシチン中の、3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩の粘稠な懸濁液を含む上記製剤である。
本発明の更なる対象はラウロイルマクロゴールグリセリド、リノレオイルマクロゴールグリセリド、マクロゴールグリセロールカプリロカプレート、マクロゴールグリセロールリノレート、オレオイルマクロゴールグリセリド、ポリオキシルヒマシ油、ポリオキシル水添ヒマシ油、ポリソルベート及びプロピレングリコールモノラウレートのような一種以上のマクロゴールグリセロール及び/又は可溶化剤を更に含む上記製剤である。
本発明の更なる対象はマクロゴールグリセロールがマクロゴールグリセロールヒドロキシステアレート又はマクロゴールグリセロールリシノレートから選ばれる、上記製剤である。
本発明の更なる対象はカプセル製剤が上記製剤を含むことを特徴とする、カプセルシェル及びカプセル製剤を含むカプセルである。
本発明の更なる対象はカプセルが軟質ゼラチンカプセルであることを特徴とする、上記カプセルである。
【0015】
本発明の更なる対象はカプセルシェルがグリセロールを可塑剤として含むことを特徴とする、上記カプセルである。
本発明の更なる対象はカプセル製剤が上記製剤を含むこと及びカプセルが必要によりシーリング又はバンディングにより、硬質ゼラチン若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル、ポリビニルアルコールポリマーカプセル又はプルランカプセルであることを特徴とする、カプセルシェル及びカプセル製剤を含むカプセルである。
本発明の更なる対象は薬物としての使用のための先に特定された製剤又は先に特定されたカプセルである。
本発明の更なる対象は抗増殖活性を有する医薬組成物としての使用のための先に特定された製剤又は先に特定されたカプセルである。
本発明の更なる対象は癌疾患、免疫疾患又は免疫成分を伴なう症状、及び線維症から選ばれた疾患又は症状の治療のための先に特定された製剤又は先に特定されたカプセルである。
【0016】
本発明の更なる対象は癌疾患、免疫疾患又は免疫成分を伴なう症状、及び線維症から選ばれた疾患又は症状の治療のための薬物を調製するための先に特定された製剤又は先に特定されたカプセルの使用である。
本発明の更なる対象は有効量の先に特定された製剤又は先に特定されたカプセルを患者に毎日1回又は数回経口投与することを特徴とする、癌疾患、免疫疾患又は免疫成分を伴なう症状、及び線維症から選ばれた疾患又は症状を治療及び/又は予防する方法である。
本発明の更なる対象は体重1kg当り0.1mgから20mgまでの活性物質、好ましくは体重1kg当り0.5mgから4mgまでの活性物質の用量範囲の使用のための先に特定された製剤又は先に特定されたカプセルである。
本発明の更なる対象は一つ以上の先に特定されたカプセルを含む、カプセルの包装に適したガラス容器又は可撓性/硬質プラスチック容器である。
本発明の更なる対象は一つ以上の先に特定されたカプセルを含む、カプセルの包装に適したアルミニウムパウチ又は二重ポリバッグである。
本発明の更なる対象は必要によりアルミニウムパウチの過剰包装(オーバーパッケージング)とともに、一つ以上の先に特定されたカプセルを含む、カプセルの包装に適したプラスチック(例えば、PVC、PVDC又はアクラー(登録商標))ブリスターである。
本発明の更なる対象は一つ以上の先に特定されたカプセルを含む、カプセルの包装に適したアルミニウムブリスターである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】軟質ゼラチンカプセル(A)及び脂質懸濁液製剤(B)についての異なる相対湿度条件(r.H.、単位%)下の水分収着(Dm、単位%)による質量獲得を示す。
【図2】軟質ゼラチンカプセルの経時(分)のin-vitro溶解挙動(溶解の%)に関する、使用されるレシチン量の効果を示す:(A)好ましい量の30%レシチン、(B)好ましい量の75%のレシチン、(C)好ましい量の90%のレシチン、(D)好ましい量のレシチン(100%に等しい)、(E)好ましい量の200%のレシチン、(F)0%のレシチン。
【図3】軟質ゼラチンカプセルの経時(分)のin-vitro溶解挙動(溶解の%)に関する、硬質脂肪の融解範囲の効果を示す:(A)33℃-40℃の融解範囲、(B)40℃-44℃の融解範囲。
【図4】活性物質の水溶液(S)対種々の担体系(P1、P2及びP3)についての24時間にわたってラットで試験された絶対生物学的利用能(BA、単位%)の比較を示す。誤差バーは標準偏差を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
驚くことに、中間鎖長トリグリセリド、硬質脂肪及びレシチン中の、3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩の粘稠な懸濁液を含む液体製剤を含む軟質ゼラチンカプセルは、薬物物質3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩による治療に適応された所望の用量範囲に適切な生物学的利用能要件を満足することがわかった。この液体製剤はその活性物質の脂質懸濁液からなる。
脂質懸濁液を含むこのような軟質ゼラチンカプセルの利点は製剤への水とり込みが非常に起こりそうもないことである。その投薬形態は三つの異なる区画、即ち、(a)親水性カプセルシェル及び(b)疎水性担体系(その中で、活性物質のわずかに吸湿性の粉末(c)が懸濁されている)に分けられる。周囲水分のために、水の含量がこれらの異なる区画内で変化し得る。平衡状態に達するまで、それが拡散により移行するであろう。含水量は薬物製品の種々の性質、例えば、活性物質の化学安定性(主として加水分解による)又はカプセルシェルの弾性に影響し得る。本系中の水とり込みは主としてカプセルシェル中である。これは水蒸気収着実験(図1に示される)だけでなく、カプセルの軟化との質量獲得の相関関係により示され得る。水とり込みは更に薬物物質の化学安定性に影響しない。これは、例えば、70℃で1ヶ月の応力安定性研究により、そして本発明の系についての長期(3年)及び促進(6ヶ月)安定性研究結果により確かめられる。
更に、これらの研究は密包装材料中で貯蔵された場合に本発明のカプセルについて質量増加又は粘着問題がないことを示していた。従って、このようなカプセルに推奨される包装は、例えば、alu/aluブリスター及びHDPEびんである。
【0019】
一般に、軟質ゼラチンカプセルはゼラチン、一種以上の可塑剤、特にグリセロール、必要により更なる補助材料(例えば、染料、着色剤顔料、矯味矯臭剤、糖、オリゴ糖又は多糖)からつくられたカプセルシェル並びに溶媒、アジュバント及び一種以上の薬理学上活性な物質を含むカプセル製剤(又はカプセル充填物)を有する。本明細書に使用されるゼラチンという用語は欧州薬局方におけるような未変性ゼラチンだけでなく、変性ゼラチン、例えば、コハク酸処理ゼラチンを含む。
既に前記されたように、本発明は活性物質3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩の脂質懸濁液製剤に関する。
本発明の好ましい実施態様において、活性物質3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩の脂質懸濁液製剤は、脂質担体、増粘剤及び滑剤/可溶化剤中の3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩の粘稠な懸濁液を含む。
本発明の更に好ましい実施態様において、3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩の量は脂質懸濁液製剤の1〜90質量%の範囲内、好ましくは10〜50質量%の範囲内で含まれる。
上記物理安定性の問題、例えば、再結晶又は粒子成長を避けるために、活性物質は担体に完全に不溶性であり、又は溶解される必要がある。親油性、親水性及び両親媒性の賦形剤並びに混合物の溶解性スクリーニングが本発明の脂質懸濁液を製剤化するための種々の潜在的な担体を明らかにした。本発明の脂質懸濁液のためのこれらの脂質担体の選択が本発明の更なる対象を表す。
【0020】
従って、好ましい実施態様において、活性物質3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩に適した担体又は担体成分は、アセチル化モノグリセリド、トウモロコシ油グリセリド、オレイン酸エチル、グリセロールモノ/ジオレエート、グリセロールモノリノレート、マクロゴールグリセロールカプリロカプレート、マクロゴールグリセロールリノレート、中間鎖長部分グリセリド、中間鎖長トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/リノール酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/コハク酸トリグリセリド、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、オレイン酸、ポリオキシルヒマシ油、ポリオキシル水添ヒマシ油、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、精製された動物由来の油、精製大豆油、精製植物油、ソルビタンモノステアレート、トリアセチン、クエン酸トリエチル、又はこれらの混合物である。
安定性の問題、例えば、活性物質の加水分解は親水性担体成分によっても引き起こされるかもしれない。それ故、親水性ポリエチレングリコールをベースとする担体系は一般に一層疎水性の担体、例えば、脂質担体よりも劣る安定性を示すであろう。
本発明によれば、最も好ましい脂質担体は中間鎖長トリグリセリドである。それは脂質懸濁液製剤の1〜90質量%の範囲内、好ましくは10〜70質量%の範囲内で含まれる。好適な中間鎖長トリグリセリドは市販製品ミグリオール812(登録商標)、ミグリオール810(登録商標)、ミグリオール818(登録商標)、ミグリオール829(登録商標)又はミグリオール840(登録商標)であってもよい。
【0021】
増粘剤は懸濁液の粘度を調節する。それは懸濁液系を安定化し、最適の加工を確実にし、特に含量一様性又は溶解挙動に関するかぎり、適切なカプセル品質を保証する。好ましい実施態様において、本発明に使用されるのに適した増粘剤はオレオゲル生成賦形剤(例えば、コロイドシリカもしくはベントナイト)、又は高粘度の親油性もしくは両親媒性の賦形剤(例えば、蜜蝋、グリセロールモノステアレート、水添植物油、部分水添植物油もしくは硬質脂肪)である。
本発明によれば、最も好ましい増粘剤は硬質脂肪である。それは好ましくは懸濁液製剤の1〜30質量%の範囲内、最も好ましくは10〜30質量%の範囲内で含まれる。最適の硬質脂肪は30℃〜44℃の融解範囲、最も好ましくは33℃〜40℃の融解範囲を有する。好適な市販の製品はゲルシアー(登録商標)33/01、ウィテプソール(登録商標)W35又はソフチサン(登録商標)378である。硬質脂肪に最適の融解範囲の決定は図3に示されるように、経時のin-vitro溶解挙動に関する硬質脂肪の融解範囲の効果の測定により行ない得る。
レシチンは軟質ゼラチンカプセル中の担体系として一般的な賦形剤である。それはカプセル化中に高度に濃縮された懸濁液の滑剤として使用され、ダクト及びポンプの閉塞を防止し、カプセル化製剤の高い質量一様性を確実にする。更にレシチンは界面活性剤として作用し、これがin-vitro溶解試験中の製剤-液滴の分布だけでなく、薬物吸収のためのin-vivoの分布を改良し得る。更に、それはまた活性物質結晶の湿潤を改良し得る。好適なレシチンは市販製品トプシチン(登録商標)であってもよい。
驚くことに、或る含量までのレシチンは完成カプセルの溶解挙動を改良するのに有益であることがわかった。過剰量は、図2に示されるように、in-vitro溶解試験中に付加的な利益を示さない。
本発明の好ましい実施態様において、レシチンの量は脂質懸濁液製剤の0.1〜10質量%の範囲内、最も好ましくは0.25〜2.5質量%の範囲内で含まれる。
【0022】
別の実施態様において、本発明は中間鎖長トリグリセリド、硬質脂肪、レシチン及び一種以上のマクロゴールグリセロール、例えば、マクロゴールグリセロール-ヒドロキシステアレート(例えば、名称ヨームルギン(登録商標)HRE40PHとして販売される)又はマクロゴールグリセロール-リシノレート(また、ポリオキシルヒマシ油として知られており、例えば、名称クレモフォー(登録商標)EL、クレモフォー(登録商標)RH40又はヨームルギン(登録商標)RO35PHとして販売される)中の、3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩の粘稠な懸濁液を含む、活性物質3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩の脂質懸濁液製剤に関する。
本発明の好ましい実施態様において、一種以上のマクロゴールグリセロールの量は脂質懸濁液製剤の0.1〜50質量%の範囲内、最も好ましくは0.3〜10質量%の範囲内で含まれる。
3種の担体系(以下に記載される親水性P3、親油性P1及び界面活性剤を含む新油性P2半固体懸濁液製剤)が非臨床研究で生物学的利用能について試験され、それらの全てが活性物質3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩の経口投薬形態に適した選択肢であると同定された。
しかしながら、生物学的利用能の理由のために、図4に示された結果から明らかであるように、中間鎖長トイグリセリド、硬質脂肪及びレシチン中の3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩の粘稠な懸濁液を含む脂質(親油性)懸濁液製剤が好ましい。
それ故、図4は本発明の活性物質の水溶液(S)対種々の担体系(P1、P2及びP3)についての24時間にわたってラットで試験された絶対生物学的利用能(BA、%)の比較の結果を示す。その実験は以下に記載される。
下記の表は試験された担体系(半固体懸濁液製剤)の組成を示す。
【0023】
【表1】

【0024】
* 100%に向けての量のわずかなずれが丸め誤差(rounding error)により生じられるかもしれない。
半固体懸濁液が硬質ゼラチンカプセル(カプスゲル、no. Y0303490)に充填される。夫々のカプセルは製剤約15〜20mgを含む。カプセルが強制飼養と同様の特別な装置でラットに適用される。比較のために、0.5%ナトロソール250HXを含む水溶液が強制飼養により適用される。絶対生物学的利用能の計算のために、ラットの追加のグループが5%のグルコース溶液(水溶液(S))に溶解された化合物を静脈内投薬される。1グループ当たり5匹の雄のハン・ウィスターラット(系統: CrlGlxBrlHan:WI)が使用される。血液サンプリング時間は投薬後0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、24時間であり、血漿が有効化HPLC/MS/MS方法により分析される。血漿レベルから、曲線下の時間曲線面積(AUC)が線形台形規則により計算される。経口製剤の用量標準化AUCが絶対生物学的利用能の計算のために静脈内製剤の用量標準化AUCにより割られる。図4に示された実験の結果からわかるように、生物学的利用能は水溶液(S:11%)及び活性物質の種々の担体系(P1:14%、P2:10%及びP3:10%)について同様であるが、個体間の変化(生物学的利用能の標準偏差)は水溶液(S)及び担体系(P1)の方が担体系(P2)及び(P3)よりも小さく(2.8及び4.1対7.4及び7.1)、溶液(S)に対する試験された製剤(P1、P2及びP3)での実用的に完全な相対生物学的利用能が示されるが、担体系(P2)及び(P3)における一層高い変化が示される。
【0025】
更に、本発明はカプセル製剤(又はカプセル充填物)が前記された脂質懸濁液製剤を含むことを特徴とする、カプセルシェル及びカプセル製剤(又はカプセル充填物)からなるカプセル医薬投薬形態に関する。カプセル医薬投薬形態は軟質ゼラチンカプセル、硬質ゼラチンカプセル又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル、ポリビニルアルコールポリマーカプセル又はプルランカプセルであってもよい。
硬質ゼラチンカプセル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル、ポリビニルアルコールポリマーカプセル又はプルランカプセルの場合、カプセル中の充填物が更にシール又はバンディングされてもよい。
本発明の好ましい実施態様において、カプセルはカプセル製剤(又はカプセル充填物)が前記された脂質懸濁液製剤を含むことを特徴とする、ゼラチン、一種以上の可塑剤そして必要により更なる補助材料を含むカプセルシェル、及びカプセル製剤(又はカプセル充填物)からなる軟質ゼラチンカプセルである。
本発明のカプセル医薬投薬形態、特に軟質ゼラチンカプセルは、好適なガラス容器もしくは可撓性/硬質プラスチック容器(好ましくは非PVC材料をベースとする)、又は必要によりアルミニウムのオーバーパッケージング(アルミニウムパウチ)つきのプラスチック(例えば、PVC、PVDC又はアクラー(登録商標))ブリスター、或いは、例えば、PA/Al/PVCの下部ホイル及びアルミニウム蓋ホイル(後者は最高の水保護を与える)からなるアルミニウムブリスター中に貯蔵されてもよい。それ故、容器は本発明のカプセル医薬投薬形態、特に軟質ゼラチンカプセルに特別な保護を与えるように、例えば、それらを光、酸素又は水から保護するように設計されてもよい。可撓性プラスチック容器は追加の保護(例えば、追加のアルミニウムパッケージングの形態で)を含んでもよい。
【0026】
本発明のカプセル医薬投薬形態は文献から知られているカプセルの通常の製造方法により調製されてもよい。本発明の軟質ゼラチンカプセルは文献から知られている軟質ゼラチンカプセルの通常の製造方法、例えば、Swarbrick, Boylann, Encyclopedia of pharmaceutical technology, Marcel Dekker, 1990, 2巻, pp 269 ff 又はLachmann ら, "The Theory and Practice of Industrial Pharmacy", 第2編, 404-419頁, 1976に記載された、“回転ダイ操作”、又は、例えば、Jimerson R. F.ら,“現在の軟質ゼラチンカプセル”, Drug Dev. Ind. Pharm., 12巻, 8-9号, 1133-44頁, 1986に記載されたようなその他の操作により調製されてもよい。
脂質懸濁液製剤は文献から知られている製剤の通常の製造方法により、即ち、均一にされた懸濁液を得るために成分を前もって決められた温度で前もって決められた順序で混合することにより調製されてもよい。
また、脂質懸濁液製剤は実施例10に記載された操作(これはまた本発明の対象である)に従って調製されてもよい。
本発明の活性物質の脂質懸濁液製剤、それを含む完成軟質ゼラチンカプセル及び完成軟質ゼラチンカプセルの包装のための包装材料が以下の実施例及び図面により示される。実施例は純粋に例示として利用され、限定と見なされるべきではない。
【実施例】
【0027】
担体系(製剤)、軟質ゼラチンカプセル、包装材料、及び活性物質の脂質懸濁液製剤の調製のための製造方法の実施例
全ての実施例における活性物質は3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩である。
【0028】
[実施例1]
脂質をベースとする担体系
【0029】
【表2】

*100%に向けての量のわずかなずれは丸め誤差により生じられるかもしれない。
【0030】
[実施例2]
付加的な界面活性剤を含む脂質をベースとする担体系
【0031】
【表3】

*100%に向けての量のわずかなずれは丸め誤差により生じられるかもしれない。
【0032】
[実施例3]
親水性担体系
【0033】
【表4】

*100%に向けての量のわずかなずれは誤差を丸めることにより生じられるかもしれない。
【0034】
[実施例4]
活性物質50mgを含む軟質ゼラチンカプセル
【0035】
【表5】

*数値は遊離塩基のラベルされた量に等しいエタンスルホン酸塩の量(乾燥基準)を表す。
【0036】
[実施例5]
活性物質100mgを含む軟質ゼラチンカプセル
【0037】
【表6】

*数値は遊離塩基のラベルされた量に等しいエタンスルホン酸塩の量(乾燥基準)を表す。
【0038】
[実施例6]
活性物質125mgを含む軟質ゼラチンカプセル
【0039】
【表7】

*数値は遊離塩基のラベルされた量に等しいエタンスルホン酸塩の量(乾燥基準)を表す。
【0040】
[実施例7]
活性物質150mgを含む軟質ゼラチンカプセル
【0041】
【表8】

*数値は遊離塩基のラベルされた量に等しいエタンスルホン酸塩の量(乾燥基準)を表す。
【0042】
[実施例8]
活性物質200mgを含む軟質ゼラチンカプセル
【0043】
【表9】

*数値は遊離塩基のラベルされた量に等しいエタンスルホン酸塩の量(乾燥基準)を表す。
【0044】
[実施例9]
上記実施例4〜8の軟質ゼラチンカプセルの包装のための包装材料はガラス容器、可撓性/硬質プラスチック容器又は必要によりアルミニウムパウチ内の、PVC/PVDCブリスター、或いはalu/aluブリスターであってもよい。
[実施例10]
【0045】
以下に、活性物質の脂質懸濁液製剤の調製のための製造方法及びカプセル化方法を記載する。
a:硬質脂肪及び中間鎖長トリグリセリドの一部を加工ユニット中で予備混合する。続いてレシチン、中間鎖長グリセリドの残部及び活性物質を添加する。その懸濁液を混合し、均一にし、脱気し、最後に篩分けて製剤(充填混合物)を製造する。
b.ゼラチンベースの塊成分(グリセロール、水及びゼラチン)を混合し、高温で溶解する。次いで、相当する着色剤を添加し、混合して、着色されたゼラチン塊を製造する。
c.カプセル化機械の調節後に、回転ダイ方法を使用して充填混合物及び着色されたゼラチン塊を軟質ゼラチンカプセルに加工する。この方法が、例えば、Swarbrick, Boylann, Encyclopedia of pharmaceutical technology, Marcel Dekker, 1990, 2巻, pp 269 ffに記載されている。
d.回転乾燥機を使用して初期乾燥を行なう。最終乾燥工程のために、カプセルをトレイに入れる。乾燥を15-26℃で低い相対湿度で行なう。
e.変形カプセル又は漏出しているカプセルを分離するためにカプセルの100%目視検査をした後に、カプセルをサイズ分類する。
f.最後に、オフセット印刷技術又はインクジェット印刷技術を使用して、カプセルを捺印する。また、リボン印刷技術(その技術では、ゼラチンバンドがカプセル化工程cの前に捺印される)を使用してカプセル捺印をすることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩の懸濁液を含む、前記活性物質の製剤。
【請求項2】
活性物質の懸濁液が担体及び増粘剤を含む3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩の粘稠な懸濁液である、請求項1記載の製剤。
【請求項3】
担体が、アセチル化モノグリセリド、トウモロコシ油グリセリド、オレイン酸エチル、グリセロールモノ/ジオレエート、グリセロールモノリノレート、グリセロール、マクロゴールグリセロールカプリロカプレート、マクロゴールグリセロールリノレート、中間鎖長部分グリセリド、中間鎖長トリグリセリド、カプリル酸-カプリン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/リノール酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/コハク酸トリグリセリド、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、オレイン酸、液体又は半固体の低粘度/中間粘度のポリエチレングリコール、ポリオキシルヒマシ油、ポリオキシル水添ヒマシ油、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、精製された動物由来の油、精製大豆油、精製植物油、ソルビタンモノステアレート、トリアセチン、クエン酸トリエチル、又はこれらの混合物から選ばれる、請求項2記載の製剤。
【請求項4】
増粘剤が半固体の高度に粘稠なポリエチレングリコールもしくは固体のポリエチレングリコール、オレオゲル生成賦形剤、高粘度の親油性もしくは両親媒性賦形剤、及び硬質脂肪から選ばれる、請求項2記載の製剤。
【請求項5】
担体が脂質(親油性)担体である、請求項2記載の製剤。
【請求項6】
滑剤/可溶化剤を更に含む、請求項2記載の製剤。
【請求項7】
滑剤/可溶化剤がレシチンから選ばれる、請求項6記載の製剤。
【請求項8】
中間鎖長トリグリセリド、硬質脂肪及びレシチン中の3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホン酸塩の粘稠な懸濁液を含む、請求項7記載の製剤。
【請求項9】
一種以上のマクロゴールグリセロール及び/又は可溶化剤を更に含む、請求項1から8のいずれか1項記載の製剤。
【請求項10】
マクロゴールグリセロールがマクロゴールグリセロールヒドロキシステアレート又はマクロゴールグリセロールリシノレートから選ばれる、請求項9記載の製剤。
【請求項11】
カプセル製剤が請求項1から10のいずれか1項記載の製剤を含むことを特徴とする、カプセルシェル及びカプセル製剤を含むカプセル。
【請求項12】
カプセルが軟質ゼラチンカプセルであることを特徴とする、請求項11記載のカプセル。
【請求項13】
カプセルシェルがグリセロールを可塑剤として含むことを特徴とする、請求項11記載のカプセル。
【請求項14】
カプセルが、必要によりシーリング又はバンディングつきの、硬質ゼラチンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル、ポリビニルアルコールポリマーカプセル又はプルランカプセルであることを特徴とする、請求項11記載のカプセル。
【請求項15】
薬物としての使用のための請求項1から10のいずれか1項記載の製剤又は請求項11から14のいずれか1項記載のカプセル。
【請求項16】
抗増殖活性を有する医薬組成物としての使用のための請求項1から10のいずれか1項記載の製剤又は請求項11から14のいずれか1項記載のカプセル。
【請求項17】
癌疾患、免疫疾患又は免疫成分を伴なう症状、及び線維症から選ばれた疾患又は症状の治療のための請求項1から10のいずれか1項記載の製剤又は請求項11から14のいずれか1項記載のカプセル。
【請求項18】
癌疾患、免疫疾患又は免疫成分を伴なう症状、及び線維症から選ばれた疾患又は症状の治療のための薬物の調製のための請求項1から10のいずれか1項記載の製剤又は請求項11から14のいずれか1項記載のカプセルの使用。
【請求項19】
有効量の請求項1から10のいずれか1項記載の製剤又は請求項11から14のいずれか1項記載のカプセルを患者に毎日1回又は数回経口投与することを特徴とする、癌疾患、免疫疾患又は免疫成分を伴なう症状、及び線維症から選ばれた疾患又は症状を治療及び/又は予防する方法。
【請求項20】
体重1kg当り0.1mgから20mgの用量範囲の活性物質を使用するための請求項1から10のいずれか1項記載の製剤又は請求項11から14のいずれか1項記載のカプセル。
【請求項21】
請求項11から14のいずれか1項記載の一つ以上のカプセルを含む、カプセルの包装に適したガラス容器又は可撓性/硬質プラスチック容器。
【請求項22】
請求項11から14のいずれか1項記載の一つ以上のカプセルを含む、カプセルの包装に適した、必要によりアルミニウムのオーバーパッケージングつきのプラスチックブリスター、又はアルミニウムブリスター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−522812(P2011−522812A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512128(P2011−512128)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056878
【国際公開番号】WO2009/147212
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】