説明

インドロキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩並びにそれを有効成分として含有するCaseinKinase2阻害剤

【課題】CK2に対する高い選択性と強い阻害活性を併せ持つ、医薬品として有用な化合物を提供すると共に、これらの化合物のCK2阻害剤又は抗癌剤としての医薬用途を提供すること。
【解決手段】本発明は、以下の一般式で示されるインドロキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩、及びそれを有効成分として含有するCK2阻害剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インドロキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩並びにそれを有効成分として含有するCasein Kinase 2阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
Casein Kinase 2(以下、CK2)は、ATPやGTPをリン酸供給源としてSer残基及びThr残基をリン酸化する酵素であり、細胞の異常な増殖に関与する酵素として知られている。細胞増殖に関わる基質分子の候補としては、DNA topoisomerase II(非特許文献1)、RNA porymerases III(非特許文献2)、NF-κB(非特許文献3)、p53(非特許文献4)及びApoptosis Repressor with Caspase Recruitment Domain(ARC)(非特許文献5)等が報告されている。
【0003】
近年では、CK2は、様々なタイプの癌や腎炎発症時に高発現することが報告され、癌や腎疾患の治療ターゲットとして特に注目されている(非特許文献6〜8)。
【0004】
CK2の阻害剤としては、Emodin、Quercetin、4,5,6,7-Tetrabromobenzotriazole(TBBと略す)、[5-oxo-5,6-dihydroindolo-(1,2-a)quinazolin-7-yl]acetic acid(IQAと略す)、ピラゾロトリアジン誘導体が知られている(非特許文献7、9、10及び11)。しかしながら、EmodinとQuercetinは、CK2に対する選択性及びCK2阻害活性のいずれもが低く、TBBとIQAは、CK2に対する選択性は高いがCK2阻害活性が低く、ピラゾロトリアジン誘導体は、CK2阻害活性が強いがCK2に対する選択性は不明であり、医薬品として有用なCK2に対する高い選択性と強い阻害活性を併せ持つCK2阻害剤は未だ知られていない。
【0005】
一方、3位がカルボキシル基で置換されたインドロキノキサリン誘導体については、これまでにいくつかの報告例がある(特許文献1及び2)。
【0006】
しかしながら、特許文献1には、液晶材料としての用途のみが記載され、インドロキノキサリン誘導体の具体的な化合物例及び医薬用途への利用については開示も示唆もされていない。特許文献2には、インドロキノキサリン誘導体の抗ウィルス作用及び抗癌作用についての記載があるが、その作用機序は不明であり、CK2阻害作用との関連性については開示も示唆もされていない。
【0007】
また、アセナフトキノキサリンカルボン酸誘導体についても、抗癌剤及びCK2阻害剤としての医薬用途の報告はなされていない(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2007/141025
【特許文献2】WO87/04436
【特許文献3】WO2007/142003
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Escargueilら, J. Biol. Chem., 275, 34710-34718 (2000)
【非特許文献2】Ghavidelら, Cell, 106, 575-584 (2001)
【非特許文献3】Farahら, J. Physiol. Gastrointest Liver Physiol., 285, G919-928 (2003)
【非特許文献4】Kellerら, Mol. Cell, 7, 283-292 (2001)
【非特許文献5】Liら, Mol. Cell, 10, 247-258 (2002)
【非特許文献6】Ahmedら, Trends Cell Biology, 12, 226-230 (2002)
【非特許文献7】Bortolatoら, Anti-Cancer Agents Med. Chem., 8, 798-806 (2008)
【非特許文献8】Yamadaら, Proc Natl Acad Sci U S A, 102, 7736-7741 (2005)
【非特許文献9】Stefaniaら, Biochem J., 374, 639-646 (2003)
【非特許文献10】Molinerら, J. Biol. Chem., 278, 1831-1836 (2003)
【非特許文献11】Nieら, Bioorg Med Chem Lett., 17, 4191-4195 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、CK2に対する高い選択性と強い阻害活性を併せ持つ、医薬品として有用な化合物を提供すると共に、これらの化合物のCK2阻害剤又は抗癌剤としての医薬用途を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、インドロキノキサリンカルボン酸誘導体及びアセナフトキノキサリンカルボン酸誘導体がCK2に対する強い阻害活性とCK2選択性を有することを見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明は、以下の一般式(I)で示されるインドロキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩、及びそれを有効成分として含有するCK2阻害剤を提供する。
【化1】

[式中、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン又はトリフルオロメチル基を表し、Rは、炭素数3〜13のアルキル基又は一般式(Ia)若しくは一般式(Ib)で表される置換基を表す。]
【化2】

[式中、n及びmは、それぞれ独立して0〜6の整数を表し、Xは、−O−、−S−、−CO−又は−CH−を表し、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、アセチル基又は水酸基を表し、iは、0〜5の整数を表す。]
【化3】

[式中、kは、0〜6の整数を表し、Yは、−OR、−SR、トリフルオロメチル基、シアノ基、アセチル基又は以下の一般式(Ic)で表される置換基を表す。ただし、R及びRは、それぞれ独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、kが0である場合には、Yは、アセチル基又は一般式(Ic)で表される置換基を表す。]
【化4】

[式中、jは、0〜6の整数を表し、Zは、それぞれ独立して−(CH)−、−(CH−O−、−(CH−S−、−(CH−CONH−又は−(CH−CO−を表し、この場合、hは、0〜2の整数を表す。]
【0013】
上記のインドロキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩、及びそれを有効成分として含有するCK2阻害剤は、Rが水素又は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、Rが炭素数3〜10のアルキル基、一般式(Ia)で表される置換基(この場合、nが0〜3の整数、mが0又は1、Xが−O−、−CO−又は−CH−、Rが炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基又はアセチル基、iは、0〜5の整数であることが好ましい)又は一般式(Ib)で表される置換基(この場合、kが0〜4の整数、Yが−OR若しくは−SR(この場合、R及びRがそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましい)、トリフルオロメチル基、シアノ基、アセチル基又は一般式(Ic)で表される置換基(この場合、jが0〜4の整数、Zがそれぞれ独立して−(CH)−、−(CH−O−又は−(CH−CO−(hは0〜2の整数)であることが好ましい)であることが好ましく、kが0である場合には、Yがアセチル基又は一般式(Ic)で表される置換基であることが好ましい)であることが好ましい。
【0014】
また本発明は、以下の一般式(I’)で示されるインドロキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩、を有効成分として含有するCK2阻害剤を提供する。
【化5】

[式中、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン又はトリフルオロメチル基を表し、Rは、水素、炭素数1〜13のアルキル基又は以下の一般式(Ia’)若しくは一般式(Ib’)で表される置換基を表す。]
【化6】

[式中、n及びmは、それぞれ独立して0〜6の整数を表し、Xは、−O−、−S−、−CO−又は−CH−を表し、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、アセチル基、水酸基又は−NRを表し、R及びRは、それぞれ独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、iは、0〜5の整数を表す。]
【化7】

[式中、kは、0〜6の整数を表し、Yは、−OR、−SR、トリフルオロメチル基、シアノ基、アセチル基、−CONR、−NR1011、複素環又は一般式(Ic’)で表される置換基を表す。ただし、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立して水素又は炭素数1から6のアルキル基を表す。]
【化8】

[式中、jは、0〜6の整数を表し、Zは、それぞれ独立して−(CH)−、−(CH−O−、−(CH−S−、−(CH−CONH−又は−(CH−CO−を表し、この場合、hは、0〜2の整数を表す。]
【0015】
さらに本発明は、以下の一般式(II)で示されるアセナフトキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩、を有効成分として含有するCK2阻害剤又は抗癌剤を提供する。
【化9】

[式中、R12及びR13は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、トリフルオロメチル基又は−SOOR14を表し、R14は、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基、水酸基又はトリフルオロメチル基を表す。]
【0016】
上記のCK2阻害剤又は抗癌剤は、R12及びR13がそれぞれ独立して水素、ハロゲン又は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、水素であることがより好ましく、上記の抗癌剤は、結腸がん又は白血病に対する抗がん剤であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、CK2に対する高い選択性と強い阻害活性を併せ持つ新規な化合物を提供できる。また本発明の化合物並びにCK2阻害剤及び抗癌剤は、CK2阻害作用に基づく明確な作用機序を有する医薬品として利用でき、新たなCK2阻害化合物のスクリーニングや生体でのCK2の検出にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ヒト白血病細胞又はヒト大腸癌細胞の増殖に対する本発明の化合物の抑制効果を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のインドロキノキサリンカルボン酸誘導体は、以下の一般式(I)で示される化合物であり、本発明のCK2阻害剤は、以下の一般式(I)で示されるインドロキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩、を有効成分として含有することを特徴としている。
【化10】

[式中、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン又はトリフルオロメチル基を表し、Rは、炭素数3〜13のアルキル基又は一般式(Ia)若しくは一般式(Ib)で表される置換基を表す。]
【化11】

[式中、n及びmは、それぞれ独立して0〜6の整数を表し、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、アセチル基又は水酸基を表し、iは、0〜5の整数を表し、Xは、−O−、−S−、−CO−又は−CH−を表す。]
【化12】

[式中、kは、0〜6の整数を表し、Yは、−OR、−SR、トリフルオロメチル基、シアノ基、アセチル基又は以下の一般式(Ic)で表される置換基を表す。ただし、R及びRは、それぞれ独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、kが0である場合には、Yは、アセチル基又は一般式(Ic)で表される置換基を表す。]
【化13】

[式中、jは、0〜6の整数を表し、Zは、それぞれ独立して−(CH)−、−(CH−O−、−(CH−S−、−(CH−CONH−又は−(CH−CO−を表し、この場合、hは、0〜2の整数を表す。]
【0020】
本明細書において、「アルキル基」とは、直鎖状、分岐状又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。「炭素数1〜6のアルキル基」の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、t-ブチル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2,2-ジメチルプロピル基、3,3-ジメチルブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられ、「炭素数3〜13のアルキル基」の具体的な例としては、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、t-ブチル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2,2-ジメチルプロピル基、3,3-ジメチルブチル基、3-メチル-2-ブテニル基、4-メチル-3-ペンテニル基、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルプロピル基及びトリデシル基等が挙げられる。
【0021】
「アルコキシ基」とは、酸素原子に直鎖状、分岐状又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基が結合した置換基を表す。「炭素数1〜6のアルコキシ基」の具体的な例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、3-メチル-ブチルオキシ基、イソプロピルオキシ基、イソブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、アリルオキシ基、ブテニルオキシ基及び2-プロピルオキシ基等が挙げられる。
【0022】
「複素環」とは、少なくとも1個以上の窒素、酸素又は硫黄原子を環状に含む3員環から6員環までの単環式芳香族環基、単環式飽和環基又は単環式不飽和環基を表し、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。「複素環」の具体的な例としては、アジリジニル基、フリル基、ピローリル基、チエニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、テトラヒドロフリル基、ピロリジニル基、1-メチル-ピロリジニル基、ピペリジニル基、1-メチル-ピペリジニル基、テトラヒドロピラニル基、1,3-ジオキサニル基、1,4-ジオキサニル基、モルホリニル基、モルホリノ基、1,2,4-オキサジアゾリル基及び5-t-ブチル-1,2,4-オキサジアゾリル基等が挙げられる。
【0023】
「ハロゲン」とは、フッ素基、塩素基、臭素基及びヨウ素基を表す。
【0024】
一般式(I)の化合物において、Rは、水素又は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましいが、水素又は9位の炭素に結合したメチル基、エチル基又はプロピル基であることがより好ましく、水素であることがさらに好ましい。
【0025】
は、炭素数3〜13のアルキル基であることが好ましく、プロピル基、イソプロピル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-プロピニル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ブチル基、3,3-ジメチルブチル基、3-メチル-2-ブテニル基、n-ペンチル基、4-メチル-3-ペンテニル基、n-ヘキシル基、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエニル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルプロピル基又はトリデシル基が好ましく、イソプロピル基、2-プロペニル基、2-プロピニル基、3-メチル-2-ブテニル基、4-メチル-3-ペンテニル基、n-ヘキシル基、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエニル基、シクロプロピルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基又はシクロヘキシルプロピル基であることがより好ましい。
【0026】
が一般式(Ia)で表される置換基である場合、nは0〜3の整数、mは0又は1、Xは、−O−、−CO−又は−CH−であることが好ましい。この場合、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基又はアセチル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、t-ブチル基、メトキシ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基又はアセチル基であることがより好ましく、iは0〜5の整数であることが好ましい。
【0027】
また、一般式(I)の化合物は、nが0〜3の整数であり、mが0又は1であり、かつ、Xが、−O−、−CO−又は−CH−である場合、又は、iが0〜5の整数であり、かつ、Rが、メチル基、エチル基、t-ブチル基、メトキシ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基又はアセチル基である場合、がさらに好ましく、nが0〜3の整数であり、mが0又は1であり、Xが、−O−、−CO−又は−CH−であり、iが0〜5の整数であり、かつ、Rがメチル基、エチル基、t-ブチル基、メトキシ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基又はアセチル基である場合が最も好ましい。
【0028】
が一般式(Ib)で表される置換基である場合、kは0〜4の整数であることが好ましく、Yは、−OR(Rは炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。)、−SR(Rは炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。)、トリフルオロメチル基、シアノ基、アセチル基又は一般式(Ic)で表される置換基(jは0〜4の整数が好ましく、Zはそれぞれ独立して、−(CH)−、−(CH−O−又は−(CH−CO−が好ましい。)であることが好ましく、メトキシ基、エトキシ基、メチルチオ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アセチル基、1,3-ジオキサン-2-イル基、2-オキソシクロペンチル基、2-オキソシクロヘキシル基、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル基又はテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル基であることがより好ましい。ただし、kが0である場合には、Yは、アセチル基又は一般式(Ic)で表される置換基を表す。
【0029】
kとYの好ましい組合せとしては、kが1〜4の整数であり、かつ、Yがメトキシ基、エトキシ基、メチルチオ基、トリフルオロメチル基又はシアノ基である場合、又は、kが0〜4の整数であり、かつ、Yが、アセチル基、1,3-ジオキサン-2-イル基、2-オキソシクロペンチル基、2-オキソシクロヘキシル基、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル基又はテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル基である場合が挙げられる。
【0030】
また、本発明のCK2阻害剤は、以下の一般式(I’)で示されるインドロキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩、を有効成分として含有することを特徴としている。
【化14】

[式中、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン又はトリフルオロメチル基を表し、Rは、水素、炭素数1〜13のアルキル基又は以下の一般式(Ia’)若しくは一般式(Ib’)で表される置換基を表す。]
【化15】

[式中、n及びmは、それぞれ独立して0〜6の整数を表し、Xは、−O−、−S−、−CO−又は−CH−を表し、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、アセチル基、水酸基又は−NRを表し、R及びRは、それぞれ独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、iは、0〜5の整数を表す。]
【化16】

[式中、kは、0〜6の整数を表し、Yは、−OR、−SR、トリフルオロメチル基、シアノ基、アセチル基、−CONR、−NR1011、複素環又は一般式(Ic’)で表される置換基を表す。ただし、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立して水素又は炭素数1から6のアルキル基を表す。]
【化17】

[式中、jは、0〜6の整数を表し、Zは、それぞれ独立して−(CH)−、−(CH−O−、−(CH−S−、−(CH−CONH−又は−(CH−CO−を表し、この場合、hは、0〜2の整数を表す。]
【0031】
一般式(I’)の化合物において、Rは、水素又は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましいが、水素又は9位の炭素に結合したメチル基、エチル基又はプロピル基であることがより好ましく、水素であることがさらに好ましい。
【0032】
は、水素又は炭素数1〜13のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜13のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-プロピニル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ブチル基、3,3-ジメチルブチル基、3-メチル-2-ブテニル基、n-ペンチル基、4-メチル-3-ペンテニル基、n-ヘキシル基、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエニル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルプロピル基又はトリデシル基が好ましく、水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、2-プロペニル基、2-プロピニル基、3-メチル-2-ブテニル基、4-メチル-3-ペンテニル基、n-ヘキシル基、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエニル基、シクロプロピルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基又はシクロヘキシルプロピル基が好ましい。
【0033】
が一般式(Ia’)で表される置換基である場合、nは0〜3の整数、mは0又は1、Xは−O−、−CO−又は−CH−であることが好ましい。この場合、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基、アセチル基又は−NR(R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。)であることが好ましく、メチル基、エチル基、t-ブチル基、メトキシ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基又はアセチル基であることがより好ましい。
【0034】
また、一般式(I’)の化合物は、nが0〜3の整数であり、mが0又は1であり、かつ、Xが−O−、−CO−又は−CH−である場合、又は、iが0〜5の整数であり、Rがメチル基、エチル基、t-ブチル基、メトキシ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基又はアセチル基である場合がさらに好ましく、nが0〜3の整数であり、mが0又は1であり、Xが−O−、−CO−又は−CH−であり、iが0〜5の整数であり、かつ、Rがメチル基、エチル基、t-ブチル基、メトキシ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基又はアセチル基である場合が最も好ましい。
【0035】
が一般式(Ib’)で表される置換基である場合、kは0〜4の整数であることが好ましい。Yは、−OR、(Rは炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。)、−SR(Rは炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。)、トリフルオロメチル基、シアノ基、アセチル基、−CONR(R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。)、−NMe、複素環又は一般式(Ic’)で表される置換基であることが好ましく(jは0〜4の整数が好ましく、Zは、それぞれ独立して、−(CH)−、−(CH−O−又は−(CH−CO−が好ましい。)、メトキシ基、エトキシ基、メチルチオ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アセチル基、−CONMe、−CONEt、1,3-ジオキサン-2-イル基、2-オキソシクロペンチル基、2-オキソシクロヘキシル基、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル基、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル基、モルホリノ基、ピリジン-4-イル基、ピロール-1-イル基又は5-t-ブチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル基であることがより好ましい。また、kが0〜4の整数であり、かつ、Yが、メトキシ基、エトキシ基、メチルチオ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アセチル基、−CONMe、−CONEt、1,3-ジオキサン-2-イル基、2-オキソシクロペンチル基、2-オキソシクロヘキシル基、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル基、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル基、モルホリノ基、ピリジン-4-イル基、ピロール-1-イル基又は5-t-ブチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル基であることが最も好ましい。
【0036】
上記化合物の薬理学的に好ましい塩としては、無機塩基又は有機塩基から誘導される非毒性の塩であり、無機塩基からの塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩及びアンモニウム塩等が挙げられる。有機塩基からの塩としては、メチルアミン塩、トリエチルアミン塩、モルホリン塩、ピペリジン塩、ピペラジン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩及びメグルミン塩等が挙げられる。これら塩の中で、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩及びカルシウム塩がより好ましく、ナトリウム塩及びカリウム塩がさらに好ましい。
【0037】
一般式(I)又は一般式(I’)の化合物は、公知の製造方法、例えば、Varmaらの方法(J. Indian Chem. Soc., 55(10), 1043-1045, 1978)又はWO87/04436に記載の方法により製造できる。例えば、一般式(I)又は一般式(I’)の化合物は、以下の反応工程式Aによって製造できる。なお、反応工程A中のXはハロゲン原子等の脱離基を表し、R及びRは、上記で説明した通りである。
【0038】
【化18】

【0039】
反応工程式AにおけるA−1は、主骨格部分のカップリング反応である。これは、市販品又は市販品から公知の方法で合成できる出発物(III)と、市販品又は市販品から公知の方法で合成できるジアミン誘導体(IV)とをカップリングさせる反応であり、Varmaの方法(J. Indian Chem. Soc., 55(10), 1043-1045, 1978)で行うことができる。
【0040】
反応工程式AにおけるA−2は、N−アルキル化反応である。これは、化合物(V)を炭酸カリウムや水素化ナトリウム等の塩基存在下、アルキルハライド(R−X)等のアルキル化剤でアルキル化する反応であり、周知の方法により行うことができる。
【0041】
反応工程式AにおけるA−3は、エステルの加水分解反応である。含水メタノール等の含水アルコール、含水THF又は含水ジオキサン等の含水エーテルを溶媒として、水酸化ナトリウム等の無機塩基で化合物(VI)を加水分解することにより行うことができ、この結果、一般式(I)又は一般式(I’)の化合物を得ることができる。
【0042】
表1〜3は、本発明の一般式(I)で示される化合物の具体例を示したものである。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
表4〜6は、本発明の一般式(I’)で示される化合物の具体例を示したものである。
【0047】
【表4】

【0048】
【表5】

【0049】
【表6】

【0050】
また、本発明のCK2阻害剤及び抗癌剤は、以下の一般式(II)で示されるアセナフトキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩、を有効成分として含有することを特徴としている。
【化19】

[式中、R12及びR13は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、トリフルオロメチル基又は−SOOR14を表し、R14は、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基、水酸基又はトリフルオロメチル基を表す。]
【0051】
一般式(II)の化合物において、R12及びR13は、独立して水素、ハロゲン、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、t-ブチルオキシ基、トリフルオロメチル基又は−SOONHであることが好ましく、水素、塩素、臭素、メチル基又はエチル基であることがより好ましいが、R12及びR13が共に水素であることが最も好ましい。
【0052】
上記化合物の薬理学的に好ましい塩としては、無機塩基又は有機塩基から誘導される非毒性の塩であり、無機塩基からの塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩及びアンモニウム塩等が挙げられる。有機塩基からの塩としては、メチルアミン塩、トリエチルアミン塩、モルホリン塩、ピペリジン塩、ピペラジン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩及びメグルミン塩等が挙げられる。これら塩の中で、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩及びカルシウム塩がより好ましく、ナトリウム塩及びカリウム塩がさらに好ましい。
【0053】
一般式(II)の化合物は、公知の製造方法、例えば、Karishinの方法(Ukrains'kii Khemichnii Zhurnal, 23, 651-654, 1957)又は東京工業高等専門学校研究報告書(1990年、22巻、p.99-102)若しくはWO2007/125685に記載の方法によって製造できる。例えば、一般式(II)の化合物は、以下の反応工程式Bに示すように、アセナフトキノン誘導体(VII)と3,4-ジアミノ安息香酸(VIII)とを縮合反応させて得ることができる。なお、反応工程B中のR12及びR13は、上記で説明した通りである。
【0054】
【化20】

【0055】
上記の一般式(I)又は(I’)で示されるインドロキノキサリンカルボン酸誘導体若しくは一般式(II)で示されるアセナフトキノキサリンカルボン酸誘導体を有効成分とする医薬品を臨床で使用する際には、薬剤はフリーの酸又はその塩自体でもよく、また賦形剤、安定化剤、保存剤、緩衝剤、溶解補助剤、乳化剤、希釈剤、等張化剤等の添加剤が適宜混合されていてもよい。
【0056】
投与形態としては、錠剤・カプセル剤・顆粒剤・散剤・シロップ剤等による経口剤、注射剤・座剤・液剤等による非経口剤、あるいは軟膏剤・クリーム剤・貼付剤等による局所投与等を挙げることができる。投与量は患者の症状や年齢、体重、投与方法等に応じて適宜選択されるが、成人に対する有効成分量は、通常1日0.1μg〜10g、好ましくは1μg〜1g、特に好ましくは10μg〜100mgであり、それぞれ1回又は数回に分けて投与することができる。
【0057】
上記の一般式(II)で示されるアセナフトキノキサリンカルボン酸誘導体は、種々の癌の治療薬としても用いることができる。治療対象とする癌としては、例えば、食道癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、膵臓癌、乳癌、歯肉癌、舌癌、頭頸部癌、卵巣癌、子宮癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、骨・軟部腫瘍、皮膚癌、悪性黒色腫、脳腫瘍、白血病、悪性リンパ腫等が挙げられ、抗癌作用は、各種の培養された癌細胞株に対する増殖抑制作用及び各種担癌動物における腫瘍増殖抑制作用又は生存日数の延長作用により評価できる。
【0058】
また、上記の一般式(I)又は(I’)で示されるインドロキノキサリンカルボン酸誘導体若しくは一般式(II)で示されるアセナフトキノキサリンカルボン酸誘導体は、CK2の検出及び精製、CK2阻害化合物のスクリーニング等に用いることができる。
【0059】
例えば、上記のインドロキノキサリンカルボン酸誘導体又は上記のアセナフトキノキサリンカルボン酸誘導体をポリマーに結合させ、CK2を特異的に認識することができるアフィニティーカラムを作成すれば、CK2の特異的な精製に使用できる。また、上記インドロキノキサリンカルボン酸誘導又は上記アセナフトキノキサリンカルボン酸誘導体に蛍光試薬、発色試薬、ラジオアイソトープを含有する物質又は抗体等のタンパク質を結合させて標識すれば、生体試料中(例えば、血液中)又は生体内におけるCK2の発現の検出及び分布場所の特定が可能となる。その際、Rで表される置換基の末端をビオチンで標識しておけば、ビオチンを介して蛍光試薬、発色試薬等との間接的な結合も可能となる。
【0060】
また、生体分子の相互作用や活性化に対する化合物の影響を評価するための技術であるAlphaScreen(登録商標)において、ドナービーズ又はアクセプタービーズのどちらか一方に上記のインドロキノキサリンカルボン酸誘導体又は上記のアセナフトキノキサリンカルボン酸誘導体を直接又は間接的に結合させ、もう一方のビーズにCK2を結合させれば、CK2阻害物質を簡便かつ短時間でスクリーニングすることができる。この場合、蛍光の測定には、マルチラベルプレートリーダー、例えば、PerkinElmer社の2104 EnVision(登録商標)を用いればよい。
【0061】
さらに、表面プラズモン効果を利用した測定器、例えば、ビアコア2000(ビアコア社)のセンサーチップに上記のインドロキノキサリンカルボン酸誘導体又は上記のアセナフトキノキサリンカルボン酸誘導体を結合させ、被検物質とCK2とを同時に送液して結合活性の変化を経時的に測定すれば、被検物質のCK2結合活性、結合速度、乖離速度及び結合持続性を評価することができる。
【実施例】
【0062】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0063】
(参考例1)6H-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(V−1)の合成:
以下に示したように、Isatin(III−1)とMethyl 2,3-diaminobenzoate(IV−1)から、6H-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(V−1)を合成した。
【化21】

【0064】
200mLナスフラスコに、Isatin(III−1, 1.77g, 12.0mmol)、Methyl 2,3-diaminobenzoate (IV−1, 2.00g, 12.0mmol)を加え、酢酸(72mL)中18時間加熱還流した。反応溶液を室温に戻し、析出した固体を桐山ロートで濾過回収、洗浄、乾燥することにより、目的物6H-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(V−1)を黄色固体として得た(1.47g, 収率44%)。
MS(ESI):278(M+H)
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6)δ3.97(s, 3H), 7.41(t, J=7.3Hz, 1H), 7.61(d, J=7.8Hz, 1H), 7.77(t, J=7.3Hz, 1H), 8.18(d, J=8.8Hz, 1H), 8.35(d, J=8.8Hz, 1H), 8.39(d, J=7.8Hz, 1H), 8.64(s, 1H)
【0065】
(実施例1)6H-インドロキノキサリン-3-カルボン酸(化合物番号83)の合成:
以下に示したように、6H-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(V−1)から6H-インドロキノキサリン-3-カルボン酸(化合物番号83)を合成した。
【化22】

【0066】
6H-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(V−1, 89mg, 0.32 mmol)をジオキサン(3mL)に溶解させ、1N NaOH水溶液(1mL)を加え、75℃にて2時間攪拌した。反応終了後、1N HCl水溶液(2mL)を加え、反応溶液を室温に戻し、析出した固体を桐山ロートで濾過回収、洗浄、乾燥することにより、目的物6H-インドロキノキサリン-3-カルボン酸(83)を黄色固体として得た(66mg, 収率78%)。
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6)δ7.40(t, J=7.1Hz, 1H), 7.61(d, J=8.3Hz, 1H), 7.76(t, J=7.1Hz, 1H), 8.18(dd, J=2.0, 8.5Hz, 1H), 8.33(d, J=8.8Hz, 1H), 8.39(d, J=8.1Hz, 1H), 8.63(d, J=1.7Hz, 1H)
【0067】
(参考例2)6-エチル-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(VI−1)の合成:
以下に示したように、6H-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(V−1)から6-エチル-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(VI−1)を合成した。
【化23】

【0068】
500mLナスフラスコに、6H-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(V−1, 6.4g, 23mmol)を加え、DMSO(100mL)で溶解させた。さらに60%水素化ナトリウム(0.92g, 23mmol)を加え、室温で1時間攪拌した後、1-Iodoethane(3.6g, 23mmol)を加え、さらに2時間攪拌した。析出した固体を桐山ロートで濾過回収、洗浄、乾燥することにより、目的物6-エチル-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(VI−1)を黄色固体として得た(6.4g, 収率91%)。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ1.54(t, J=7.2Hz, 3H), 4.03(s, 3H), 4.57(q, J=7.2Hz, 2H), 7.41(t, J=7.6Hz, 1H), 7.51(d, J=8.1Hz, 1H), 7.74(t, J=7.8Hz, 1H), 8.27(dd, J=1.7, 8.8Hz, 1H), 8.33(d, J=8.1Hz, 1H), 8.50(d, J=7.8Hz, 1H), 8.88(d, J=2.0Hz, 1H)
【0069】
(実施例2)6-エチル-インドロキノキサリン-3-カルボン酸(化合物番号87)の合成:
以下に示したように、6-エチル-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(VI−1)から6-エチル-インドロキノキサリン-3-カルボン酸(化合物番号87)を合成した。
【化24】

【0070】
6-エチル-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(VI−1, 6.4g, 21mmol)をジオキサン(120mL)に溶解させ、1N NaOH水溶液(42mL)を加え、80℃にて2時間攪拌した。反応終了後、1N HCl水溶液(50mL)を加え、反応溶液を室温に戻し、析出した固体を桐山ロートで濾過回収、洗浄、乾燥することにより、目的物6-エチル-インドロキノキサリン-3-カルボン酸(87)を黄色固体として得た(5.3g, 収率87%)。
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6)δ1.44(t, J=7.1Hz, 3H), 4.56(q, J=7.1Hz, 2H), 7.43-7.47(m, 1H), 7.83-7.84(m, 2H), 8.18(dd, J=2.0, 8.8Hz, 1H), 8.33(d, J=8.8Hz, 1H), 8.42(d, J=7.6Hz, 1H), 8.66(d, J=2.0Hz, 1H)
【0071】
(参考例3)6-(2-モルホリノエチル)-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(VI−2)の合成:
以下に示したように、6H-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(V−1)から6-(2-モルホリノエチル)-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(VI−2)を合成した。
【化25】

【0072】
50mLナスフラスコに、6H-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(V−1, 300mg, 1.1mmol)を加え、DMF(8mL)で溶解させた。さらに炭酸カリウム(370mg, 2.7mmol)、4-(2-Chloroethyl)morpholine Hydrochloride(210mg, 1.1mmol)を加え、80℃で一晩攪拌した。析出した固体を桐山ロートで濾過回収、洗浄し、Hexane/酢酸エチルから再結晶させることにより、目的物6-(2-モルホリノエチル)-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(VI−2)を橙色固体として得た(350mg, 収率82%)。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ2.62(m, 4H), 2.89(t, J=6.8Hz, 2H), 3.62(t, J=4.6H, 4H), 4.03(s, 3H), 4.64(t, J=6.8Hz, 2H), 7.42(t, J=7.1Hz, 1H), 7.53(d, J=8.3Hz, 1H), 7.74(t, J=7.1Hz, 1H), 8.28(dd, J=1.7, 8.8Hz, 1H), 8.34(d, J=8.6Hz, 1H), 8.50(d, J=7.6Hz, 1H), 8.85(d, J=2.0Hz, 1H)
【0073】
(実施例3)6-(2-モルホリノエチル)-インドロキノキサリン-3-カルボン酸(化合物番号98)の合成:
以下に示したように、6-(2-モルホリノエチル)-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(VI−2)から6-(2-モルホリノエチル)-インドロキノキサリン-3-カルボン酸(化合物番号98)を合成した。
【化26】

【0074】
6-(2-モルホリノエチル)-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(VI−2, 350mg, 0.88mmol)をジオキサン(5mL)に溶解させ、1N NaOH水溶液(5mL)を加え、80℃にて2時間攪拌した。反応終了後、1N HCl水溶液を加えてpHを7.0付近に調整した後、反応溶液を0℃で攪拌した。析出した固体を桐山ロートで濾過回収、洗浄、乾燥することにより、目的物6-(2-モルホリノエチル)-インドロキノキサリン-3-カルボン酸(98)を黄色固体として得た(144mg, 収率43%)。
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6)δ2.50-2.51(m, 4H), 2.81(t, J=6.4Hz, 2H), 3.41(m, 4H), 4.65(t, J=6.4Hz, 2H), 7.45(t, J=6.4Hz, 1H), 7.83-7.85(m, 2H), 8.19(dd, J=2.0, 8.8Hz, 1H), 8.35(d, J=8.5Hz, 1H), 8.42(d, J=7.6Hz, 1H), 8.64(d, J=1.7Hz, 1H)
【0075】
(実施例4)インドロキノキサリンカルボン酸誘導体(I−1)の合成:
以下に示したように、6H-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(V−1)からインドロキノキサリンカルボン酸誘導体(I−1)を合成した。
【化27】

【0076】
6H-インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル(V−1, 700 mg, 2.4 mmol)を (80ml)に溶解させ、bohdan Miniblock XT反応管に800μLずつ分注した(各反応管における化合物(V−1)は7 mg, 0.024 mmol)。各反応管に炭酸カリウム (5.3 mg, 0.036 mmol) 、0.36 M DMF溶液として別途調整したアルキル化剤(ビルディングブロック)(100μL, 0.036 mmol)を加え、80℃にて4時間攪拌した。反応終了後、反応管を室温まで冷まし、反応液を濾過した。得られた濾液から、遠心濃縮機を用いて溶媒を除去し、固体を得た。得られた固体をジクロロメタン(1mL)に溶かし、Miniblock XT反応管に移し、窒素気流下、ジクロロメタンを除去した。各反応管にジオキサン(800μL)、1N NaOH水溶液(200μL)を加え、50℃にて3時間攪拌した。反応終了後、各反応管に1N HCl水溶液(400μL)を加え、反応液を遠心濃縮用試験管へ移し、遠心エバポレーターにて溶媒を除去した。得られた残渣にクロロホルム(1mL)、水 (1mL)を用いて抽出を行い、有機層を96穴ウェルプレートに取り出し、窒素気流下溶媒を除去し、検体乾燥機で乾燥し粗生成物(I−1)を得た。続いて、96穴ウェルプレート中の粗生成物に8連ピペットでDMF(600μL:2回分)を加え溶解させた後、Agilent社製LC/MS装置で分取精製した(展開溶媒:アセトニトリル-水-0.1%ギ酸。)。自動分注機で目的フラクションを回収した後、遠心エバポレーターで濃縮することでインドロキノキサリンカルボン酸誘導体(I−1)を得た。得られた化合物のMSをAgilent System 1100で確認した。なお、インドロキノキサリン-3-カルボン酸-メチルエステル誘導体(VI−1)及びインドロキノキサリンカルボン酸誘導体(I−1)におけるRは、発明を実施するための形態で記載した通りであり、合成に用いたアルキル化剤は、表7−1及び7−2に示した通りである。
【0077】
【表7−1】

【0078】
【表7−2】

【0079】
(実施例5)アセナフトキノキサリン-9-カルボン酸(化合物番号106)の合成:
以下に示したように、アセナフトキノン(VII−1)と3,4-ジアミノ安息香酸(VIII)からアセナフトキノキサリン-9-カルボン酸(化合物番号106)を合成した。
【化28】

【0080】
300mLフラスコに、アセナフトキノン(VII−1, 5.99g, 32.9mmol)、3,4-ジアミノ安息香酸(VIII, 5.00g, 32.9mmol)を加え、酢酸(150mL)中14時間加熱環流した。反応溶液を室温に戻し、析出した固体を桐山ロートで濾過回収、洗浄、乾燥することにより、目的物アセナフトキノキサリン-9-カルボン酸(106)を灰色固体として得た(8.65g, 収率88%)。
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6)δ7.96(t, J=7.6Hz, 2H), 8.26(m, 2H), 8.34(dd, J=4.6, 8.3Hz, 2H), 8.45(d, J=6.8Hz, 2H), 8.68(s, 1H)
【0081】
(実施例6)CK2阻害活性の評価:
被検化合物をDMSOで溶解し、最終濃度(1nM〜100μM)の4倍濃度になるように緩衝液(20mM Tris-HCl pH7.5、50mM KCl、10mM MgCl2)で希釈し、96 well plateに5μLずつ添加した。CK2酵素タンパク質(New England Biolabs, Inc.、2units)及びATP(New England Biolabs, Inc.、最終濃度1μM)を含む緩衝液(20mM Tris-HCl pH7.5、50mM KCl、10mM MgCl2)10μL及びCK2選択的基質ペプチド(RRRDDDSDDD、Upstate、最終濃度100μM)5μLをさらに添加し、全20μL の反応液を37℃で60分間インキュベートさせた。その後、ATP Lite(PerkinElmer)20μLを加え、さらに室温で10分間インキュベートさせた後、フュージョンα(Perkin Elmer)で化学発光を測定しIC50を求めた(表8−1及び8−2)。その際、CK2阻害活性の指標とするIC50値は、CK2酵素活性百分率を50%阻害させる濃度として、被検化合物濃度の対数とCK2酵素活性百分率をプロットしたグラフを作成して求めた。なお、CK2酵素活性百分率(%)は、CK2酵素添加かつ被検化合物非添加の場合を100%とし、CK2酵素非添加の場合を0%とした。
【0082】
【表8−1】

【0083】
【表8−2】

【0084】
表8−1及び8−2の結果より、本発明の化合物はCK2に対する強い阻害活性を有することが明らかとなった。
【0085】
(実施例7)CK2選択性の評価:
CK2に対する選択性を評価するため、代表的なキナーゼに対する阻害活性評価を実施例6と同様の方法で行った。評価を行ったキナーゼは、PKA(Protein kinase A)、PKC(Protein kinase C)、ERK2(Extracellular signal-regulated kinase 2)、S6K1(p70 ribosomal protein S6 kinase 1)及びCAMK2(Ca2+/calmodulin dependent kinase 2)である。被検化合物はDMSOを用いて溶解し、最終濃度(100nM〜1μM あるいは1〜10μM)の4倍濃度になるように緩衝液で希釈し、96 well plateに5μLずつ添加した。各キナーゼ酵素タンパク質及びATPを含む緩衝液及び各キナーゼ選択的基質ペプチドをさらに添加し、各キナーゼ反応条件にあわせて、反応液を30℃あるいは37℃で30分から2時間インキュベート後、ATP Liteを加え、さらに室温で10分間インキュベートさせた後、フュージョンα(Perkin Elmer)で化学発光を測定した。
【0086】
各キナーゼ阻害活性の指標とするIC50値は、各キナーゼ酵素活性百分率を50%阻害させる濃度として、被検化合物濃度の対数と各キナーゼ酵素活性百分率をプロットしたグラフを作成して求めた。なお、各キナーゼ酵素活性百分率(%)は、各キナーゼ酵素添加かつ被検化合物非添加の場合を100%とし、各キナーゼ酵素非添加の場合を0%とした。
【0087】
【表9】

【0088】
表9の結果より、本発明の化合物は代表的なキナーゼに対する阻害活性は認められず、CK2に選択的な阻害活性を有することが明らかとなった。
【0089】
(実施例8)各種癌細胞における増殖抑制作用:
ヒト白血病細胞としてJurkat細胞株、ヒト大腸癌細胞としてHCT116細胞株を用いた。培養液には、Jurkat細胞株ではRPMI1640(invitrogen)、HCT116細胞株はMcCoy’s 5A(invitrogen)に、penicillin Gを100 U/mL、streptomycinを0.1 mg/mL及びウシ胎児血清(FCS、ハイクローン)を10%になるようにそれぞれ添加したものを用いた。
【0090】
まず、各細胞株をそれぞれの培養液に懸濁させ、96ウェル平底プレートに(コーニング・コスター)に100μL/ウェルずつ播種し、5%CO2、37℃条件下で24時間培養した。化合物106をDMSOに溶解し、30 mM、10 mM及び3 mMの溶液を調製した。これらの溶液を5%FCS添加培地でそれぞれ希釈し、30 μM、10 μM及び3 μM(DMSO最終濃度0.1%)の溶液を調製した。24時間培養後、培養液を除去したウェルに、これらの化合物溶液を50 μL/ウェルとなるように分注し、5%CO2、37℃条件下で72時間培養した。培養終了後、WST-1溶液(Premix WST-1 Cell Proliferation Assay System、TaKaRa)を10 μL /ウェル添加し、37℃で30分間インキュベートした。インキュベート後、プレートリーダー(BioRad)を用いて、生細胞が産生するホルマザン色素に基づく、450 nmにおける吸光度を測定した。
【0091】
図1の結果より、本発明の化合物は、ヒトの各種癌細胞の増殖を顕著に抑制し、強い抗癌作用を有することが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明のインドロキノキサリンカルボン酸誘導体及びその薬理学的に許容される塩は、CK2阻害剤として利用でき、本発明のアセナフトキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するCK2阻害剤及び抗癌剤は、それぞれ慢性腎炎及び癌に対して強い治療効果を発揮し得ることが示唆される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(I)で示されるインドロキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【化1】

[式中、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン又はトリフルオロメチル基を表し、Rは、炭素数3〜13のアルキル基又は以下の一般式(Ia)若しくは一般式(Ib)で表される置換基を表す。]
【化2】

[式中、n及びmは、それぞれ独立して0〜6の整数を表し、Xは、−O−、−S−、−CO−又は−CH−を表し、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、アセチル基又は水酸基を表し、iは、0〜5の整数を表す。]
【化3】

[式中、kは、0〜6の整数を表し、Yは、−OR、−SR、トリフルオロメチル基、シアノ基、アセチル基又は一般式(Ic)で表される置換基を表す。ただし、R及びRは、それぞれ独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、kが0である場合には、Yは、アセチル基又は以下の一般式(Ic)で表される置換基を表す。]
【化4】

[式中、jは、0〜6の整数を表し、Zは、それぞれ独立して−(CH)−、−(CH−O−、−(CH−S−、−(CH−CONH−又は−(CH−CO−を表し、この場合、hは、0〜2の整数を表す。]
【請求項2】
は、水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、
は、炭素数3〜10のアルキル基である、
請求項1記載のインドロキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項3】
は、水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、
は、一般式(Ia)で表される置換基であり、この場合において、nは、0〜3の整数、mは、0又は1、Xは、−O−、−CO−又は−CH−、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基又はアセチル基、iは、0〜5の整数である、
請求項1記載のインドロキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項4】
は、水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、
は、一般式(Ib)で表される置換基であり、
この場合において、kは、0〜4の整数、Yは、−OR、−SR、トリフルオロメチル基、シアノ基、アセチル基又は一般式(Ic)であり、さらにこの場合において、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、jは、0〜4の整数、Zは、それぞれ独立して−(CH)−、−(CH−O−又は−(CH−CO−、hは、0〜2の整数であり、kが0である場合には、Yは、アセチル基又は一般式(Ic)で表される置換基である、
請求項1記載のインドロキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載のインドロキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、Casein Kinase 2阻害剤。
【請求項6】
以下の一般式(I’)で示されるインドロキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩、を有効成分とするCasein Kinase 2阻害剤。
【化5】

[式中、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン又はトリフルオロメチル基を表し、Rは、水素、炭素数1〜13のアルキル基又は以下の一般式(Ia’)若しくは一般式(Ib’)で表される置換基を表す。]
【化6】

[式中、n及びmは、それぞれ独立して0〜6の整数を表し、Xは、−O−、−S−、−CO−又は−CH−を表し、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、アセチル基、水酸基又は−NRを表し、R及びRは、それぞれ独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、iは、0〜5の整数を表す。]
【化7】

[式中、kは、0〜6の整数を表し、Yは、−OR、−SR、トリフルオロメチル基、シアノ基、アセチル基、−CONR、−NR1011、複素環又は以下の一般式(Ic’)で表される置換基を表す。ただし、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【化8】

[式中、jは、0〜6の整数を表し、Zは、それぞれ独立して−(CH)−、−(CH−O−、−(CH−S−、−(CH−CONH−又は−(CH−CO−を表し、この場合、hは、0〜2の整数を表す。]
【請求項7】
以下の一般式(II)で示されるアセナフトキノキサリンカルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩、を有効成分として含有するCasein Kinase 2阻害剤又は抗癌剤。
【化9】

[式中、R12及びR13は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、トリフルオロメチル基又は−SOOR14を表し、R14は、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基、水酸基又はトリフルオロメチル基を表す。]
【請求項8】
12及びR13は、それぞれ独立して水素、ハロゲン又は炭素数1〜6のアルキル基である、請求項7記載のCasein Kinase 2阻害剤又は抗癌剤。
【請求項9】
12及びR13は、水素である、請求項7記載のCasein Kinase 2阻害剤又は抗癌剤。


【図1】
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【公開番号】特開2010−173971(P2010−173971A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18726(P2009−18726)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】