説明

インプリントリソグラフィにおけるテンプレート用モートシステム

本発明は凹部により隔てられる第1のエリアと第2のエリアを有するボディに関する。上記凹部は、上記ボディの表面沿いに移動する液体が、上記第1のエリアと第2のエリアとの間で移動するのを防がないにしても、その量を少なくするような大きさを有する。上記第1のエリアと第2のエリアのどちらか一方の内側には1つ以上のアラインメントマークを設けることが可能である。このように、上記凹部は、ある量の液体がアラインメントマークに重なり合うのを防がないにしても、その量を少なくするモートとして作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、インプリントリソグラフィの技術分野に関するものである。より詳しくは、本発明は、モートシステム(moat system)を有するテンプレートを製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超微細加工技術は、例えば、マイクロメートルのオーダ以下のフィーチャを持つような非常に小さい構造の作製技術を伴う。超微細加工技術が大きな影響を及ぼすひとつの分野に集積回路の加工技術がある。半導体加工工業が、基板上に形成する単位面積当たりの回路数を増やしながらより高い製造歩留まりを達成しようと懸命な努力を続ける中にあって、超微細加工技術はますます重要になって来つつある。超微細加工技術は、より優れたプロセス制御をもたらす一方で、基板に形成される構造の最小フィーチャサイズのより大幅な縮小を可能にする。超微細加工技術が採り入れられている他の開発分野としては、バイオテクノロジー、光技術、機械システムなどがある。
【0003】
典型的な超微細加工技術は一般にインプリントリソグラフィと呼ばれ、例えば、いずれも本願発明の譲受人に譲渡された「寸法変動が最小限のフィーチャを複製するよう基板上にフィーチャを配設する方法およびモールド」という名称の米国特許出願公開公報第2004/0065976号、「計測標準器製作を容易にするよう基板上に層を形成する方法」という名称の同第2004/0065252号、「寸法変動が最小限のフィーチャを複製するよう基板上にフィーチャを配設する方法およびモールド」という名称の同第2004/0046271号のような多くの刊行物に詳細に記載されている。上記の各特許出願公開公報に記載されている基本的なインプリントリソグラフィ技術は、重合性層にレリーフパターンを形成し、そのレリーフパターンに対応するパターンを下にある基板に転写する技術を含むものである。そのためには、テンプレートを基板から離して配置し、テンプレートと基板の間に重合成形可能な液体を置く。この液体を固化させると、液体と接触するテンプレートの表面形状に合致するパターンが記録された固化層になる。次に、これらの基板と固化層を、固化層中のパターンに対応するレリーフ像を基板に転写する工程にかける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
重合性液体をテンプレートと基板との間に置くひとつの方法は、基板にその液体を複数滴付着させることによるものである。その後、重合性液体をテンプレートと基板の両方に同時に接触させて、重合性液体を基板の表面全体に広げる。その場合、テンプレートと基板とを正しく位置合わせして、これらの間に正しい配向関係が得られるようにすることが望ましい。そのため、テンプレートと基板の両方にアラインメントマークが設けられる。
【0005】
したがって、インプリントリソグラフィプロセスで用いられるアラインメント技術が必要とされている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、凹部により隔てられた第1のエリアと第2のエリアを有するボディに関する。上記凹部は、上記ボディの表面沿いに移動する液体が、上記第1のエリアと第2のエリアとの間で移動するのを防がないにしても、その量を少なくするような大きさを有する。上記第1のエリアと第2のエリアのどちらか一方の内側には1つ以上のアラインメントマークを設けることが可能である。このように、上記凹部は、液体がアラインメントマークに重なり合うのを防がないにしても、その量を少なくするモート(あるものや部分を取り囲む外堀)として作用する。これらおよびその他の実施の形態について、以下より詳細に説明する。
【0007】
図1は、本発明の一実施形態のリソグラフィシステム10を斜視図で示す。図示システムは、互いに離された一対のブリッジサポート12とこれらのサポート間に渡したブリッジ14とステージサポート16を備えている。ブリッジ14とステージサポート16とは互いに離されている。ブリッジ14にはインプリントヘッド18が取り付けられており、このインプリントヘッドはブリッジ14からステージサポート16に向けて延び、Z軸方向に移動可能である。ステージサポート16上にインプリントヘッド18に対向させて、移動ステージ20が配設してある。移動ステージ20は、ステージサポート16に対してX軸およびY軸方向に移動可能に構成する。当然理解されるように、インプリントヘッド18は、Z軸沿いに移動可能であるほか、X軸とY軸沿いにも移動することができ、移動ステージ20もX軸とY軸沿いに移動可能であるとともに、Z軸沿いにも移動可能である。典型的な移動ステージとしては、本願譲受人に譲渡された2002年7月11日出願の「ステップ・アンド・リピートインプリント・リソグラフィシステム(Step and Repeat Imprint Lithography Systems)」という名称の米国特許出願第10/194,414号に開示された移動ステージがある。システム10には、化学線を移動ステージ20に入射させるための放射線源22を結合されている。図示のように、放射線源22は、ブリッジ14に取り付けられ、発電機23に接続される。リソグラフィシステム10の動作は、通常、これとデータ通信するプロセッサ25によって制御される。典型的なリソグラフィシステムとしては、米国テキサス州オースティン(1807−C Braker Lane, Suite 100, Austin, Texas 78758)のモルキュラー・インプリンツ、インク.(Molecular Imprints,Inc.)社が商品名インプリオ(IMPRIO)100TMで販売するシステムがある。IMPRIO100TMのシステムの説明はwww.molecularimprints.comで得ることができる。
【0008】
図1および2において、インプリントヘッド18には、モールド28を持つテンプレート26が取り付けられている。モールド28は、互いに離れた複数の凹部28aと凸部28bによって形成される複数のフィーチャを備える。これらの複数のフィーチャは、移動ステージ20に載置された基板30に転写する原パターンを決める。そのために、インプリントヘッド18または移動ステージ20あるいはこれらの両方によってモールド28と基板30との間の距離「d」を変えることが可能である。このようにして、モールド28上のフィーチャを、基板30の流動性領域にインプリントすることが可能であり、これについて以下にさらに詳しく説明する。放射線源22は、これと基板30との間にモールド28が来るような位置に配設される。そのために、モールド28は、放射線源22が発生させる放射線に対して実質的に透過となるような材料で作製される。
【0009】
図2において、インプリント層34のような流動性領域が、基板30の実質的に平面である輪郭の表面32の部分に設けられる。流動性領域は、米国特許第5,772,905号公報に開示されているホットエンボス加工法、あるいはシュー(Chou)他による『シリコンにおけるナノ構造の超高速直接インプリント法』(『ネイチャー』2002年6月号、835〜837ページ、コラム417)に記載のレーザ利用直接インプリント(LADI;laser assisted direct imprinting)法のような周知の任意の技術を用いて形成することが可能である。しかしながら、この実施形態においては、流動性領域は、基板30上に材料の互いに離された複数の離散状液滴36として配置したインプリント層34で構成され、これについて以下にさらに詳しく説明する。液滴36を基板に堆積させるための典型的なシステムとしては、米国特許第6,926,929号公報に開示されたものがある(発明の名称は「液体を定量供給するためのシステムおよび方法」で、本願発明の譲受人に譲渡されている)。インプリント層34は、選択重合され、架橋されることによって原パターンをインプリント層に記録し、記録パターンを形成することが可能な材料で形成する。この材料の典型的な組成は、2003年6月16日出願で「適合性のある領域(コンフォーマブル領域)とモールドのパターンとの間の接着力を小さくする方法」という名称の米国特許出願第10/463,396号(出願公開公報第2004−0256764−A1号に開示されている。
【0010】
図2および3に示すように、インプリント層34に記録されたパターンは、部分的に、モールド28との機械的接触によって作り出される。そのために、距離「d」を縮めてインプリント液滴36をモールド28と機械的に接触させ、液滴36を押し広げることによって、基板の表面32の全体を材料が覆う連続した構造を持つインプリント層34を形成する。一実施形態においては、距離「d」を縮めて、インプリント層34の小部分34aを凹部28aに入り込ませ、そこを埋めさせる。
【0011】
凹部28aを埋めやすくするために、材料は、表面32を材料の連続構造で覆いかつ完全に凹部28aを埋めるのに必要な特性を有する。この実施形態においては、所望の距離、通常は最小距離「d」に達すると、凸部28bと重なるインプリント層34の小部分34bが残り、結局、小部分34aは厚さ「t1」、小部分34bは厚さ「t2」として残る。厚さ「t1」と「t2」は、用途に応じて任意の所望の厚さとすることができる。
【0012】
再び図2を参照する。所望の距離「d」になると、放射線源22が化学線を発生させ、これが材料を重合させ、架橋させて、架橋ポリマー材を形成する。その結果、インプリント層34の組成物は、元の材料から固体の架橋ポリマー材に転化する。具体的に言うと、図5により明確に示すように、架橋ポリマー材は固化して、インプリント層34の表面34cをモールド28の表面28cの形状と適合する形状にする。インプリント層34が、図4に示す架橋ポリマー材に転化したならば、距離「d」を大きくすることによって、モールド28とインプリント層34とを引き離す。
【0013】
図3において、基板30のパターニングを完結する前に、さらに他の処理を行うことが可能である。例えば、基板30とインプリント層34をエッチングしてインプリント層34のパターンを基板30に転写し、図4に示すパターン化表面32aを得ることができる。エッチングを容易にするため、インプリント層34を形成する材料をいろいろ変えることにより、基板30に対する相対エッチング速度を所望の通りに設定することも可能である。インプリント層34の基板34に対する相対エッチング速度は、約1.5:1〜約100:1の範囲とすることができる。
【0014】
別の態様として、あるいは上記の態様に加えて、インプリント層34は、その上に選択的に配置されるフォトレジスト材(図示省略)に対してエッチング差を与えることも可能である。フォトレジスト材(図示省略)は、周知技術を用いてインプリント層34をさらにパターニングするために使うこともできる。エッチングプロセスは、所望のエッチング速度と基板30やインプリント層34を形成する基本的成分によって任意のエッチングプロセスを使用することができる。典型的なエッチングプロセスとしては、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング、化学ウェットエッチングなどがある。小部分34bは、通常残留層と称する。
【0015】
さらに、基板32上に既に何らかのパターニング済みの層、パターニング無しの層が設けられている場合も設けられていない場合も含め、インプリント層34を基板32に形成するときは、まずプライマー層(図示省略)を堆積させる方がよいということが明らかになっている。プライマー層(図示省略)は、とりわけ、インプリント層34に標準的な界面を与えるよう作用することによって、インプリント層34を堆積しようとする材料に合わせていちいち各プロセスを変更・修正する必要性を低減させることが可能である。さらに、プライマー層(図示省略)は、インプリント層34と同じエッチング特性を持つ有機材料で形成される。プライマー層は、平面でなくても、連続性を有して滑らかな、比較的無欠陥の、プライマー層34に優れた接着性を示す表面を持つように形成する。プライマー層(図示省略)の厚さは、プライマー層が、上記の特性を持つことができるのみならず、下側にあるアラインメントマーク(これについては以下さらに説明する)を光センサ(これについても以下さらに説明する)を用いることにより検出することができるよう、実質的に透過となるような厚さとするべきである。プライマー層(図示省略)を形成するための典型的な材料は、米国ミズーリ州ローラのブルーワー・サイエンス,インク.(Brewer Science,Inc.)社より商品名DUV30J−6として提供されている。プライマー層(図示省略)は、スピンオン堆積やドロップ−ディスペンス堆積を含め、任意の周知技術を用いて堆積させることが可能である。
【0016】
図3および4において、表面32aの上の層31あるいはプライマー層(図示省略)のようなさらなるインプリント層を形成するには、基板30に対してモールド28を正しく置くことが重要である。そのためには、オーバーレイアラインメント法に、アラインメント誤差測定および/またはアラインメント誤差補償および/またはプレースメント(定置)誤差測定・補正を含めて行うことが可能である。本願で使用するプレースメント誤差という用語は、全体として、テンプレートと基板との間のXY座標位置決め誤差(すなわち、X軸および/またはY軸沿いの平行移動誤差)を意味する。一実施形態の場合、プレースメント誤差は、図5に示す光イメージングシステム40を用いてアラインメントマーク(図6を参照して以下に説明する)を検出することにより測定し、補正する。
【0017】
図5において、光イメージングシステム40は、光源42を備え、かつ基板30に光を集束させる光学系44を備える。光イメージングシステム40は、異なる焦点面にあるアラインメントマークの像を、光センサ46を配置した一つの焦点面Pに結ばせるよう構成されている。そのため、光学系44は、波長従属性の焦点距離が得られるよう構成する。異なる光波長は、当技術分野で周知の任意の方法で作り出すことができる。例えば、光源42は、光学系44に入射する光48として図示する波長を得ることが可能な単一の広帯域光源とすることが可能である。広帯域光源とアラインメントマーク(図示省略)との間に光バンドパスフィルタ(図示省略)を配設することも可能である。別の態様として、各々異なる波長の光を発生する複数の光源(図示省略)を用いることもできる。光48は、光学系44によって、領域R1、領域R2として示す1つ以上の領域にあるアラインメントマーク(図示省略)に入射するよう集束させる。光は、これらの領域R1、R2で反射し(反射光50として示す)、集光レンズ52により集光される。集光レンズ52は、すべての波長の反射光50を光センサ46が検出できるよう焦点面Pに集束させる。
【0018】
図1および6において、アラインメントマークは、多くの様々な形状とすることができ、各形状のものを対として用意し、各対の片方のアラインメントマークをテンプレート26上に配置する。その残りのアラインメントマークは、基板30上、例えば、前に堆積させたたインプリント層中に置くか、または基板30中にエッチングするか、あるいは前に基板30に堆積させた何らかの層に置く。例えば、アラインメントマークとしては、正方形として示された第1と第2の多角形マーク54、56があるが、所望の任意の多角形を用いることが可能である。アラインメントマークの別の形状として、十字形のマークが58、60として示してある。さらに、62、64で示すバーニヤマーク、66、68で示すモアレ格子模様のようなアラインメントマークを用いることもできる。
【0019】
図2、7、8において、光の波長は、モールド28と基板30またはその上に堆積されたインプリント層との間の間隙によって所望の焦点距離が得られるよう選択する。使用する光の各波長の下で、各アラインメントマークは結像面に2つの像を生じさせることが可能である。第1の多角形アラインメントマーク54は、特定の光の波長を用いると、センサ46に合焦像として現れる。第2の多角形アラインメントマーク56は、同じ光の波長を用いると、センサ46にピント外れの像として現れる。各ピント外れの像を除くためには、いくつかの方法を用いることができる。
【0020】
紫外線硬化性液体材料を使用するインプリントリソグラフィプロセスにおけるオーバーレイアラインメントについてのもう一つの問題としては、アラインメントマークの視認性がある。オーバーレイのプレースメント誤差測定(定置誤差測定)については、図8との関連で上に説明したマーク(まとめてアラインメントマーク84と称する)のような2つのオーバーレイマークを使用する。しかしながら、テンプレート26は硬化手段に対して透過であることが望ましいので、いくつかの実施形態の場合、テンプレートのオーバーレイマークは不透明な線ではない。むしろ、テンプレートのオーバーレイマークは、テンプレート表面の地形図様フィーチャである。いくつかの実施形態では、オーバーレイマークはテンプレートと同じ材料で形成する。さらに、紫外線硬化性液体はテンプレートの材料、例えば水晶または溶融シリカの屈折率と類似の屈折率を持つ。そのために、紫外線硬化性液体がテンプレート26と基板30との間の間隙を埋めたとき、テンプレートのオーバーレイマークが非常に認識困難になることがある。テンプレートのオーバーレイマークが例えばクロムまたはニッケルのような不透明な材料で形成されていると、オーバーレイマークの下方の紫外線硬化性液体が、例えば波長310乃至355ナノメートル(nm)の紫外光に適正に曝されないことが起こる。すると、モールド28でアラインメントマークに対応するパターンをインプリント層34にインプリントした後、基板にアラインメントマークをエッチングすることにより、基板30にアラインメントマークを形成したい場合に、下側にある表面をパターニングして次の処理のためのアラインメントマークを作り込む作業がうまく行かなくなる。したがって、インプリント材がアラインメントマークに重ならないようにすることについては、いくつかの理由がある。
【0021】
図7において、本発明は、インプリント層34の材料がアラインメントマーク84と重なり合う基板30の領域に入り込むのを防がないにしても、その量を少なくするものである。そのためには、アラインメントマーク84の周囲をモートシステム100で取り囲むようにしている。モートシステム100のセグメント102、104、106、108は、モールド92、94、96、98を互いに分離する。詳しく言うと、これらのセグメント102、104、106、108は、例えば30ミクロンというような、隣接するアクティブ状態のモールド92、94、96、98から毛細管作用力によってインプリント層34へ流れ出る材料の量を最小限に抑えるのに対応した深さを有する。さらに、モートシステム100には、モールド92、94、96、98を取り囲むセグメント109を備えることも可能である。前に説明したように、モールド92、94、96、98と、基板30または前に基板30に堆積した層との間に定めた所望の間隙が生じると、インプリント層34の材料はこれらの間に材料の連続領域を形成する。インプリント層34の材料の毛細管吸引力がモールド28と基板30の両方に作用する結果として、インプリント層34の材料の広がりは、通常、モートシステム100と重なり合う基板30の領域までは及ばない。むしろインプリント層の材料は、通常、モールド92、94、96、98に重なり合う基板30の領域内に閉じ込められた状態に保たれる。
【0022】
図8において、インプリント層34の材料は、インプリント層34の材料の表面張力によってモールド94の周縁にメニスカス105が形成される。このメニスカスはセグメント104のところにはほとんどない。メニスカス105における材料に関連する表面張力は、材料がセグメント104に伸び出る確率をかなり低くする。しかしながら、インプリント層34の材料がセグメント104のようなモートシステム100に入り込む確率は、モートシステム100を形成する面の不連続性を最小にすることによって実質的に最低限に抑えられるということが確認された。詳しく言うと、鋭利なエッジ部、直角部などのような面の不連続性は、インプリント層34の材料をモートシステム100に浸入させて、アラインメントマーク84(図7に示す)と重なり合う基板30の領域を占めさせることになり、好ましくない。
【0023】
それ故、図7、8、9において、インプリント層34の材料がアラインメントマーク84と重なり合う基板30の領域に置かれることを阻止しないまでも、その量を最小限に抑えるため、モートシステム100は、円弧状境界部により形成される部分110、112、114、116を設けて、とがった角隅部をすべてではないが大半取り除いてある。これらの部分110、112、114、116はアラインメントマーク84を取り囲むよう配設してある。詳しく言うと、部分110はセグメント104と106との間、部分112はセグメント106と108との間、部分114はセグメント102と108との間、部分116はセグメント102と104との間にそれぞれ配設してある。
【0024】
これらの部分110、112、114、116の円弧状接合部/境界部は、モートシステム100を形成する面における面不連続性を最小限に抑えることによって、メニスカス105がモートシステム100と接触する際にメニスカス105のインプリント材のようなインプリント材がモートシステム100を横切るのを最小限に抑えることができる。これによって、インプリント層34の材料がアラインメントマーク84と重なり合う基板30の領域に置かれるに至るのを防がないまでも、その確率は低くなる。
【0025】
さらなる実施形態において、モートシステム100は、モールド92、94、96、98を取り囲む複数の非直線状セグメントを備えることによって、インプリント層34の材料がアラインメントマーク84と重なり合う基板30の領域(図8に示す)に置かれるに至るのを防がないまでも、さらに最小限に抑える。詳しく言うと、モートシステム100のいずれか2つの直線状セグメントを接続するのは非直線状セグメント、すなわち円弧状セグメントである。モートシステム100の2つの直線状セグメントを接続する非直線状セグメントの例を図7に示す。より詳しくは、直線状セグメント120と122との間には、非直線状セグメント124が配設されており、非直線状セグメント124は、円弧状部126および128、すなわち角部のない滑らかな輪郭を持つ部分よりなる。もう一つの例として、直線状セグメント120と130との間には、非直線状セグメント132が配設されており、非直線状セグメント132は、円弧状134、すなわち角部のない滑らかな輪郭を持つ部分よりなる。これらの非直線状セグメント124、132については、上に説明したような部分120、112、114、116の円弧状境界と同様の説明が可能であり、したがって、非直線状セグメント124、132は、インプリント層34の材料がアラインメントマーク84と重なり合う基板30の領域上に置かれることを防がないまでも、その確率を低くする。
【0026】
図10に示すもう一つの実施形態においては、テンプレート90のモールド(モールド138として示す)の中にもう一組のアラインメントマーク136を配設することが可能である。しかしながら、アラインメントマーク136を設けたモールド138の領域には、フィーチャはまったくパターニングされていない。アラインメントマーク136は、図7、8を参照して上に説明した理由によりインプリント層34の材料がアラインメントマークに接触することがないように、モートシステム140で取り囲んである。モートシステム140は、複数の直線状セグメントからなり、これら複数の中の各2つの直線状セグメントは互いに非直線状セグメントによって接続される。モートシステム140の2つの直線状セグメントを接続する非直線状セグメントの例として、直線状セグメント142と144を接続する非直線状セグメント146が図示してある。非直線状セグメント146は、上に説明した非直線状セグメント124、132と同様であり、したがって、非直線状セグメント146は、インプリント材がアラインメントマーク136と重なり合う基板30の領域(図8に示す)に置かれることを防がないまでもその確率を低くする。アラインメントマーク136は、モートシステム100で取り囲んだアラインメントマーク84に加える形で設けることが可能である。
【0027】
別の態様としては、図11に示すように、モールド138の内部に配設したアラインメントマーク136には、これを取り囲むモートシステムを設けない構成も可能である。ただし、アラインメントマーク84をモートシステム100で取り囲んでもよい。アラインメントマーク84、136の少なくとも1つは周囲にモートシステムを設けず、かつ不透明な材料で形成しないことが望ましいということが明らかになっている。
【0028】
図12に示すように、さらに他の実施形態においては、アラインメントマーク148をテンプレート90の周縁150に沿ってモールド238と239との間に配設することができる。上に説明したモートシステム100と同様のモートシステム152はアラインメントマーク148を取り囲んで配設され、かつ円弧状部110、112、114、116と同様の円弧状部154、156を備え、したがってこれらの円弧状部154、156は、インプリント材がアラインメントマーク148と重なり合う基板30の領域(図3に示す)に置かれることを防がないまでもその確率を低くする。
【0029】
アラインメントマークは、それぞれアラインメントマーク448、538として示すように、モールド438、538の周縁部に配設することも可能である。上に説明したモートシステム100と同様のモートシステム452は、アラインメントマーク448を取り囲むように配設され、かつ前記の部分110、112、114、116の円弧状境界部と同様の機能を持つ円弧状部454、455、456、457を備える。詳しく言うと、これらの各円弧状部454、455、456、457は、インプリント層34の材料がアラインメントマーク148と重なり合う基板30の領域(図3に示す)に置かれることを防がないまでもその確率を低くする
【0030】
ここで留意しなければならないのは、互いに横切る方向にある直線状セグメントを必ずしも円弧状セグメントで結合する必要はないということである。例えば、モートシステム552は、コーナーセグメントによって互いに結合された第1の直線状セグメント560と第2の直線状セグメント562を有し、この場合コーナーセグメントは直角セグメント563として図示してあるが、これは鋭角でも鈍角でもよい。モールド538の境界にコーナーセグメントがあっても、本発明による問題の解決、すなわちモートシステム552へ入り込むインプリント層34の材料の量を最小限にするという作用が大きく減殺されることはないということが明らかになっている。
【0031】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明した。上に記載した開示技術に対しては、本発明の範囲を逸脱することなく多くの変更および修正をなすことが可能である。したがって、本発明の範囲は、上記説明によって限定するべきではなく、特許請求の範囲と共にその全般的均等物に基づいて決定するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のリソグラフィシステムの斜視図である。
【図2】図1に示すテンプレートにモールドを取り付けた状態を示すリソグラフィシステムの概略立面図である。
【図3】図2に示すインプリント層からそのパターニング後にモールドを引き離した状態を示す概略立面図である。
【図4】図3示す第1のインプリント層中のパターンに対応するパターンを基板にエッチングした後、基板上にさらなるインプリント層を置いた状態を示す概略立面図である。
【図5】図1のテンプレート上に設けたアラインメントマークを検出するために使用するイメージングシステムの立面図である。
【図6】本発明で用いる典型的なアラインメントマークの例を示す平面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における図1に示すテンプレートの底面図である。
【図8】図7に示すテンプレートの8−8線断面矢視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の図7に示すテンプレートの底面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の図7に示すテンプレートの底面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態の図7に示すテンプレートの底面図である。
【図12】本発明の第4の実施形態における、アラインメントマークとモートシステムを周縁部に沿って配設したテンプレートの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のエリア、および該第1のエリアの外にある第2のエリアを有するボディと、
該第1のエリアと該第2のエリアとの間に配設されたモートであって、該モート自体に関連づけられ、モートに入り込む液体の量を最小限に抑えることができる幾何学的特性を備えた、前記モートと、
からなるテンプレート。
【請求項2】
前記モートが互いに横切る方向に延びる2本の直線状セグメントをさらに備え、前記幾何学的特性が該2本の直線状セグメント間にわたる円弧状接続部を含む請求項1に記載のテンプレート。
【請求項3】
前記幾何学的特性が、前記モートに、互いに横切る方向に延びる2本の直線状セグメントの間を結合した、表面形状不連続性を最小限に抑えるための円弧状接続部を有する表面を備えたことを含む請求項1に記載のテンプレート。
【請求項4】
前記幾何学的特性が、前記モートに、該モートの形状不連続性を最小限に抑えるよう構成された第1の部分と、該モートの形状不連続性が存在する第2の部分を設けたことを含む請求項1に記載のテンプレート。
【請求項5】
境界を有するモールドを備え、前記幾何学的特性が、前記モートに、該モートの形状不連続性を最小限に抑えるよう構成された第1の部分と、該モートの形状不連続性が存在する、該境界に近接した第2の部分を設けたことを含む請求項1に記載のテンプレート。
【請求項6】
前記幾何学的特性が、さらに、前記第2のエリアと重なり合う前記液体の量を最小限に抑えるようにした特性である請求項1に記載のテンプレート。
【請求項7】
アラインメントマークをさらに備え、該アラインメントマークを前記第2のエリアに配設した請求項1に記載のテンプレート。
【請求項8】
前記第2のエリアに配設したアラインメントマークをさらに備え、該アラインメントマークがテンプレートの表面にある複数の凸部である請求項1に記載のテンプレート。
【請求項9】
前記モートが前記第2のエリアを取り囲む請求項1に記載のテンプレート。
【請求項10】
前記ボディが、前記第1のエリアの内側にあってさらなるモートにより取り囲んだ第3のエリアをさらに備えた請求項1に記載のテンプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−509825(P2008−509825A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525691(P2007−525691)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/028008
【国際公開番号】WO2006/017793
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(503193362)モレキュラー・インプリンツ・インコーポレーテッド (94)
【Fターム(参考)】